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1975-11-06 第76回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月六日(木曜日)     午前九時三十五分開議  出席委員    委員長 横山 利秋君    理事 加藤 六月君 理事 竹内 黎一君    理事 山下 元利君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君 理事 小林 政子君       愛野興一郎君    深谷 隆司君       加藤 清政君    和田 貞夫君       有島 重武君    石田幸四郎君       和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         経済企画政務次         官       安田 貴六君         経済企画庁長官         官房長     辻  敬一君         経済企画庁長官         官房参事官   柳井 昭司君         経済企画庁長官         官房参事官   朴木  正君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         通商産業審議官 天谷 直弘君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省航空局長 中村 大造君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      関根 秋男君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器電機課長  鈴木  健君         日本国有鉄道旅         客局長     馬渡 一直君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ――――――――――――― 十月十三日  公共料金抑制等に関する請願小林政子君外  二名紹介)(第六〇九号) 同月二十八日  公共料金等値上げ中止に関する請願赤松勇  君紹介)(第一〇九八号)  同外二件(久保等紹介)(第一〇九九号)  同(竹村幸雄紹介)(第一一〇〇号)  同(細谷治嘉紹介)(第一一〇一号)  同外一件(村山富市紹介)(第一一〇二号)  同(山本弥之助紹介)(第一一〇三号)  同(湯山勇紹介)(第一一〇四号)  同(辻原弘市君紹介)(第一一六七号)  同(永末英一紹介)(第一一六八号)  同(原茂紹介)(第一一六九号)  同(馬場昇紹介)(第一一七〇号)  同外二件(八木昇紹介)(第一一七一号) 同月二十九日  公共料金等値上げ中止に関する請願外一件  (阿部喜男紹介)(第一二一八号)  同(田口一男紹介)(第一二一九号)  同(山田芳治紹介)(第一二二〇号)  同外一件(阿部喜男紹介)(第一二八二  号)  同(上坂昇紹介)(第一二八三号)  同(角屋堅次郎紹介)(第一二八四号)  同(横山利秋紹介)(第一二八五号)  同(阿部喜男紹介)(第一三五八号)  同(中村重光紹介)(第一三五九号)  同(森井忠良紹介)(第一三六〇号) 十一月四日  公共料金等値上げ中止に関する請願阿部未  喜男紹介)(第一四五九号)  公共料金値上げ反対等に関する請願野間友  一君紹介)(第一五三五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十一日  公共料金値上げ抑制に関する陳情書外五件  (第一七〇  号)  公共料金及び農業生産資材値上げ阻止に関す  る陳情書  (第一七一号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、福田経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。福田経済企画庁長官
  3. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 どうも皆さん、しばらくでございます。常日ごろ皆さん大変お世話になりまして、感銘の至りでございます。  今国会の最初の委員会が開かれますので、この機会に当面の経済情勢について申し上げさしていただきます。  経済情勢につきましては本会議でも申し上げたわけでございますが、私は、前々から申し上げておりますとおり、石油ショック前後の経済の打撃、これは深刻なものがありまして、これを安定させるには三ヵ年の日子を要する、三ヵ年の調整過程が必要であるというふうに考えたわけであります。その調整過程の第一年度が終わりまして、いま第二年度になっておる。第一年度は、何といっても燃え盛るインフレの火を消す、これは大体成功したというふうに見ております。第二年目は、そういうインフレの火の手を消した後で、なお残っておるインフレの余じん、これを消しとめなければならぬ、そういう中で経済活動を活発にするという作業をしなければならぬ、こういう問題だ、そういうふうに見ておるんです。  経済情勢を見ますと、物価は本年度に入りましてからも鎮静化しておりまするけれども、どうも、経済活動の方がこれは活発を欠いておる、思ったように経済活動が浮揚してまいらない、そういうふうに見受けております。  そこで、ことしの二月以来、第一次、第二次、第三次という景気対策をとりまして景気浮揚に力を注いだわけでございますが、まあ、そういう結果もありまして、景気は三月から上昇傾向をたどるようになりまして、生産もふえる、また出荷もふえる、また設備稼働率も上がってくる、こういう傾向であります。世界じゅうがとにかくことしはマイナス成長である、そういうさなかで、わが国は、非常に微弱ではございまするけれども、そういう上昇過程をたどっておる。  ところが、経済界の中では、そういう傾向にもかかわらず苦悩の色が満ち満ちておるというような状態であり、企業の採算が悪化する、雇用情勢にも非常に関心を持たなければならぬ諸問題も起きてくる、こういう状態です。  特に企業の収支、その状態には、これは非常に憂うべき状態が出てきておるわけでありますが、それは何かと申しますと、企業稼働率は上がってきた、しかしとにかくあの石油ショックによる企業活動の落ち込み、これが非常に深刻でありまして、望ましい稼働率までわが国企業操業度というものが上がってこない。先ほど、操業度が上がってきた、こう申し上げましたが、これを稼働率指数で見ますと、三月が底で、三月が七七%だったのです。それが八月に八三%になる。望ましい操業度は幾つか、こう言うと、これはいろいろ議論のあるところでございまするけれども、大体私どもは九五と見ておるのです。九五に対して八三である。設備遊びがある、人手遊びがある。そういう人手設備遊びのある場合におきまして、外国企業におきましては首を切ります。そういうことで企業人件費負担ということを免れるのでございますけれどもわが国におきましては終身雇用体制である。そこで、遊んでおる人手企業内に抱えておるという問題がある。それから設備が遊んでおる。外国の場合におきましては、その設備建設に要した資金は主に自己資金である。わが国においては借り入れ資金である。こういうようなことで、わが国とすると、外国に比して、企業人件費負担というものがこういう際には非常に重くのしかかる。そこで、わが国経済界を見ますと、経済界全体としては上昇過程をたどるというにかかわらず、一つ一つ企業は非常に重苦しい状態に置かれておる。こういうことが今日の不況と言われるものの実態ではないか、そういうとらえ方を私はいたしておるのであります。  そこで、この不況状態、これを放置するわけにいかぬ、これから脱却を図らなければならぬ。それにはどうするかというと、やはり企業操業度を上げるということである。企業操業度を上げるためにはどういう政策をとるかというと、これは最終需要を盛り上げるほかはない。そういう考え方になるわけでございまして、最終需要といえば、これは申し上げるまでもありませんけれども、何といっても国民消費が半分を占めるわけでございますが、この国民消費は、私どもは本年度当初の経済見通しにおきましては、本年度一八%ぐらいの上がりになるだろうというふうに見ておったのです。それが、今日の実態は大体一五%ぐらいの見通しです。しかし、ことし全体の経済成長実質二・二%、名目で言いますと一〇%であります。一〇%名目成長の中で消費が一五%という位置を占める、これは私は決して低い水準ではないと思うのであります。見通しよりは幾らか減ってはおりますものの、かなり高い水準ではある、こういうふうに見ており、また、国民消費につきましては、いま非常に堅実化しておるというか、そういう状態ではありますけれども経済の先行きにつきまして国民が安定した考え方を持ち得るというような状態になると、さらにこれが盛り上がってくるというふうに思いますが、この傾向というものが非常に大事なことだ、私はこういうふうに見ておるのです。  つまり、いま資源有限時代世界じゅうに大きな変化が起きようとしておる、そういう中で、政府企業も、また家庭も新しい姿勢を打ち立てなければならぬ。そういう中での家庭生活のあり方、いままでのような、とにかく使い捨て的な考え方で行くことはとうてい期待できない、こういうふうに思うのであります。そういうことや、あるいはこれから国債が多額に発行される、その消化ということは非常に大事な問題になってきますけれども、その消化のうらはらは何といっても貯蓄ということです。そういうようなことを考えますと、ここで消費を何らかの政策手段によって人工的に刺激するという考え方は私はとりたくない。  それから、第二の最終需要項目である設備投資はどうかといいますと、これは公害投資だとか安全投資だとかあるいはボトルネック産業に対する投資だとか、そういうものにつきましては設備投資需要はあるわけでございますけれども、これは一般的に申しまして、先ほど申し上げましたような適正と見られる稼働率指数、これが九五というのに対して八三・四しか動いていないという現況のもとにおいて、この設備投資が起こる基盤があるというふうには考えないのです。でありますから、設備投資最終需要を盛り上げるという任務を求めることは非常にむずかしい。  それから最終需要としての輸出はどうか、こういうことになりますと、いま世界経済が総沈滞でありまして、先ほど申し上げましたように、どこの国もマイナス成長だ。それを受けて貿易もまた非常な落ち込みを示しておるわけです。そういう中でありますので、私どもいろいろ工夫はします。また、アメリカなんかでこれから景気回復の顕著な動きも出てきておりますが、しかし、さらばといって、大幅に輸出が増加いたしまして、これが景気牽引の先達としての役目を尽くし得るかというと、そこもまた期待できない。  そうすると、どうしても手段一つしかないのです。つまり財政による景気浮揚。ところが、御承知のように、財政は非常に窮屈でございます。しかし、さらばといって、日本経済をこのまま放置しておったのでは非常に憂慮すべき状態になる。経済あっての財政であります。財政は窮屈でありますけれども、その窮屈の中にも景気浮揚任務を担当していただかなければならぬ、そういうふうに考えまして、財政処置中心とした第四次景気対策を策定し、ただいま実施に移っておるわけでございます。  この第四次対策を実行いたしますと、これは景気浮揚効果約三兆円、こういうふうに見ておりますが、それが年度内、来年三月までに六割方実現をする、一兆八千億円、そしてわが国の下期の経済では年率換算実質で六%程度の成長過程に入る、さように見ておるわけであります。非常にむずかしい諸環境の中ではありますけれども、この目標をぜひ実現をいたしたい、かように存じておるわけであります。  一方、物価の方はどうかといいますと、卸売物価は引き続き鎮静の基調でございまして、最近の状況は、一年間の上昇率が一%ぐらい、非常に落ちついたかっこうになってきております。それから消費者物価におきましては、九月が前年同期比で一〇・三%というふうになって、まだ一けたにはなりませんけれども、一けたに接近する、こういう形になってきておるわけであります。それから十月の東京都区部消費者物価は一〇・二%というふうになっておりますが、これは干ばつと長雨の関係野菜が暴騰いたしまして、それでそういう数字になっておりますけれども季節商品を除きます消費者物価は九%となって、一けた台というものに乗っておるのであります。  こういう情勢を踏まえまして、さらに物価政策を推進したいと思いますが、特にその中でも国民生活に重要な関係のある消費者物価動向には格別な関心を払っていきたいと思うのです。フードウイークなんというものをどんどんやりますとか、あるいは年末の物資の輸送その他配慮するとか、個別の商品その他この上ともいろいろ注意してまいりますとか、あるいはこの冬の野菜、そういうものにつきましても特別の措置を講ずるとか、いろいろ配慮いたしまして、本年度政策目標である来年三月一けた、この目標をぜひ実現いたしたい、そういうふうに考えております。  そればかりではないので、物価問題というのはこの上とも重要な問題でありますので、長期的な問題、競争条件の整備でありますとかあるいは流通機構の改善とか、そういう基本的な諸問題にも取り組んでいく。かたがた、国民生活、これからいろいろ変わっていきまするけれども、それに対応いたしまして、国民が新しい世界情勢の中でどういうふうな生活態度であるべきかというような生活をめぐる諸問題、あるいは消費者としての立場をいかにして保護していくかというような、そういう基本的な諸問題にも取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、これは非常に長期的な問題になりまするけれども、われわれの任務は、この危機をいかにして脱却するかという問題ばかりじゃないのです。その脱却した後、長きにわたって国民生活を安定しなければならぬ、こういう重要な課題に当面しておるわけでありますが、そういう問題も当然のこととしてにらんでおるわけでありまして、ただいま勉強しておるわけでありまするが、年末までにさしあたりいわゆる新中期計画、五十一年度を初年度とする五カ年の、経済をどういうふうに運営すべきかという展望案、これを策定いたしたい、かように考えておるわけであります。  非常に困難な状態の中でありますが、全力を尽くしまして当面の危機を乗り切り、そして長期安定路線へこれを乗せていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  ちょうど予算委員会が十時から始まりますので、取り急ぎまして申し上げてまことに恐縮でありましたが、なお詳細につきましては、お手元印刷物として差し上げてありますので、ごらんおきを願いたいと思います。ありがとうございました。
  4. 横山利秋

    横山委員長 引き続き物価局長から説明を求めます。喜多村物価局長
  5. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 ただいま経済企画庁長官のごあいさつの中にございました最近の物価動向の部分につきまして、やや煩瑣ではございますけれども、計数によりまして補足説明を申し上げたいと存じます。  お手元に縦長の「最近の物価動向」という印刷物をお配りしてございますので、これをごらんの上御聴取のほどお願い申し上げます。  まず第一ページをごらんいただきます。ここには消費者物価指数推移が出ておりますが、御判断の便宜は下の表にございます「前年同月比、前月比推移」でございます。本年度に入りましてからの消費者物価動き全国総合指数ごらんいただきますと、「総合」という欄をごらんいただくわけでございますが、五十年四月の前月比は、一番左から二つ目の欄に出ておりますが、二・二%、前年同月比は、その左側に出ておりますが、一三・六%となっておりまして、その後前月比は五月に〇・七%、六月には、同じく前月比でございますが、マイナス〇・一%、七月には〇・二%、八月にはマイナスの〇・二%、九月には一・九%と推移いたしております。前年同月比で見ていただきましても、八月が一〇%、九月が一〇・三%と、先ほど長官のごあいさつの中にもございましたように、最近は一〇%付近を動いておるということでございます。  この中身につきましては、資料の三ページ、四ページあたりごらんいただくわけでございますが、非常に煩瑣でございますので、後ほどごらんいただくといたしまして、簡単に御紹介いたしますと、五十年九月の前月比が一・九%と比較的高くなりました理由は、先ほど長官も申し述べましたけれども、主食の上昇のほかに、野菜、果物などの上昇がございまして、季節的要因によるものも大きいと見られます。ただ、ここまでが確報でございますために、はっきりしたものがございますが、五十年十月にはどのようになっているか、これは東京都の区部の速報が出ておるのでございます。これは一ページの表で見ていただきました右欄の「東京」というところの十月のところにもございますが、前月比一・七、前年同月比一〇・二ということでございます。  内容につきましては、同じく三ページ、四ページを見ていただくわけでございますが、先ほども長官が申されましたように、干ばつでございますとか雨の影響もございまして、秋野菜などを中心として季節商品前月比一一・七%も上がったというところに原因があるわけでございまして、季節商品を除きますならば、前月比で〇・八%、前年同月比で見ますと九・〇%、昭和四十八年四月に九・四一%という対前年同月比が出たわけでございますが、それ以来三十カ月ぶりの九%台を実現したわけでございます。  したがいまして、CPIにつきましては、全体として物価基調はほぼ落ちついていると私どもは見ておる次第でございます。以上がCPI関係の指標でございます。  次にWPI卸売物価指数のことについて申し上げます。資料は五ページでございまして、同じく左下の表をごらんいただきたいと存じます。  総平均指数の欄、一番左の欄でございますが、これを見ていただきますと、五十年四月には前月比〇・二%、前年同月比四・三%となっておりまして、その後、前月比の欄をずっと見ていただきますと、五月は横ばいになっております。六月はマイナスの〇・一%、七月は〇・一%、八月が〇・六%、九月は〇・三%と推移いたしておりまして、九月の前年同月比は、先ほど長官も申し上げましたように、去年に比べて一%というような低いところで推移しておるわけでございまして、卸売物価につきましてはきわめて落ちついた状況にございます。この資料の中にはございませんが、十月の上旬あるいは中旬の資料が日銀から発表されておりますが、十月の上旬は前旬に比べまして〇・二%、中旬は同じくその前の旬に比べまして横ばいでございます。前年同月比は〇・八、十月に入りましても落ちつき動きにそう変わりはない、こういうふうに見ております。  中身につきましては七ページ以降にございますので、これまたごめんどうでございますが、後からごらんいただきたいと存じます。ただ、五十年九月の卸売物価動きだけを簡単に御報告申し上げておきますと、食料品の中で米でありますとか、パルプ・紙・同製品、それから石油石炭・同製品、これは石炭関係でございますが、上昇いたしました一方、海外市況の軟化から、金属素材でありますとか非鉄金属などが下落しておるということで、九月の数字がそういうように低いところに出ておるということでございます。  次に、日本物価に非常に大きな影響をもたらすと考えられます海外産品動向でございますが、八ページの左下の欄に輸入物価指数推移を出してございます。これにつきまして御報告申し上げますが、これも同じく総平均の欄を見ていただきますと、五十年四月には前月比〇・七%、それから前年同月比で見ますと一〇・三%となっておりまして、その後、前月比は五月がマイナスの〇・四%、六月が〇・一%、七月が〇・六%、八月一・二%、九月〇・七%と推移しておりまして、九月の前年同月比は一・八%ということで、これまた輸入物価も落ちついた基調にあると思われます。  五十年九月の輸入物価動きを見ますと、右欄ごらんいただければおわかりいただくのでございますが、繊維品などが下落いたしましたけれども食料品、これは小麦でありますとかコーヒー豆等でございますが、あるいは鉱物性燃料、これは原料炭関係でございますが、こういうものが上昇いたしておりまして、その数字になっておるわけでございます。  御参考までに資料の十一ページにロイター指数のグラフを用意いたしました。ごらんいただきますようなロイター指数推移でございますが、昭和四十九年の二月の二十六日に非常に高いところがございます。史上最高値の一四七九・七というところをピークといたしまして、その後ずっと続落いたしておりまして、五十年の四月末のあたりで一〇七七・六、五月末で一〇七二・〇、六月末で一〇六九・一、こういうことになっておるわけでございますが、その後六月から、一部世界の地域で不作の懸念などによります穀物の値動きがございました。そういうことのために七月末で一一三九・八、それから八月末二六七・三、こういう動きを示しましたが、アメリカ豊作見通しなどから九月末が一一五七・五、十月末一一四四・四と落ちついた動きを示しておりまして、十一月三日を念のために出しておきましたが、一一四五・二と全体として落ちつきぎみであるということでございます。  以上がCPIWPI及び輸入物価動きでございますが、それでは今後の物価をめぐる環境がどうなっていくのかというようなことについて簡単に御報告申し上げます。  先ほど大臣も申し上げましたように、現在需給は非常に緩和いたしております。また、春季の賃上げなどがなだらかに推移したということがございましたし、あるいは金利水準の低下から企業金利負担が今後徐々に軽減されるというようなことがございます関係から、物価につきましては、これらは良好に推移するものと見られる材料でございます。  海外情勢につきましては、まず、先ほど申し上げましたように、ロイター指数ごらんいただきますように、七月にちょっと上がりましたけれども、それ以降低迷をしておるというような関係でございますが、やや関心が持たれますのは石油でありまして、石油は九月まで急激な動きもございませんで推移しておりましたが、十月にOPECの例の価格引き上げの声明がございまして懸念されたところでございます。しかし、これによります原油輸入価格上昇もいまのところ、私どもの推測でございますけれども、おおむね一〇%を割るのではないかというようなことで考えられますので、この影響が全面的にWPIあるいはCPIにあらわれますのは、まだ相当期間のあることでもございますし、徐々に出てくるものでございますので、さしあたってこれに大きな警戒をする必要はないとは思います。  その他、一次産品価格も、上下はありますものの、とりたてて急騰するような気配もございません。  また、今後景気回復過程で、稼働率上昇に伴って固定費負担も減少してくるというようなこともございます。しかし、景気回復が急激でありますとかいうようなことが起こりまして、その過程需給の逼迫を生じたりあるいは物価が再び部分的に急激に上がるというようなことがありますと、非常に心配の種がふえるわけでございますけれども、私どもはそのことがないように十分配慮してまいりたいと存じておる次第でございます。  で、お手元資料は提出してございませんけれども、去る十月九日に昭和五十年度経済見通しの改定試算を行いました。これを公表いたしまして、この中で物価見通しも修正しまして明らかにいたしたのでございますが、鉱工業生産等の経済諸変数と整合性を持たして見直したという関係から、本年一月の段階において作業いたしました五十年度物価、これは卸売物価につきましては年度平均上昇率を七・九%、年度中の上昇率を七・七%と、こういうふうに見込んでおりましたのでございますが、今次の改定見通しでは、年度平均上昇率で二・八、年度上昇率五・八%と見込みましたし、消費者物価につきましては、本年度上昇率は当初見通しで一一・八%を一〇・五%に改めました。それから、年度上昇率は当初見通しと同様九・九%と変わらない見通しにしてございます。  以上、簡単でございますが、大変煩瑣でございまして申しわけございませんでしたが、補足説明を申し述べた次第でございます。よろしくお願いを申し上げます。
  6. 横山利秋

    横山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十時六分休憩      ————◇—————     午前十時二十四分開議
  7. 横山利秋

    横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  8. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はきょう、三つの問題について、前国会からの懸案でありますから、政府の方から明確な御答弁をいただきたいと存じます。  まず最初に、本委員会でも再三にわたって取り上げてきましたマルチ商法規制の問題であります。この問題は、御案内のとおりに、最近マルチ商法による被害者の集団訴訟が行われたことは政府も御承知のとおりだと思うのであります。本委員会でも、しばしば現品等が持ち込まれまして、あるいはその不当性等について、参考人を招致して、その対応策なりを政府に迫ってきたところであります。すでに昨年の十二月十六日、産構審からマルチ商法は新立法で禁止すべきであるという答申が出されておることも事実だと思うのであります。その間、御承知のように、公正取引委員会の方で、この問題については独禁法で処理できるということから、新立法が見送られたという経過がありました。同時に、経済企画庁の国民生活局が中心になりまして、各省庁を糾合して、行政指導を行われたこともよく私たちは熟知しておるところであります。週刊誌、新聞等を通じてマルチ商法の毒性について宣伝なさったという御苦労も十分理解をしておるところであります。  ところが、こうした体制をとっておるにもかかわらず、依然としてこうしたマルチ商法による国民の被害というものは減ってきておりません。こうした独禁法によるエー・ピー・オー・ジャパンあるいはホリデイマジック社あるいはジェッカー、こういったところの立入調査、こういった問題の効果あるいは行政指導の効果、こういうものが具体的にどのような形であらわれておるのかどうか、そのアフターケアについてこの際担当である経済企画庁の国民生活局長からお聞かせをいただいておきたいと思うのであります。
  9. 岩田幸基

    ○岩田(幸)政府委員 マルチレベル商法でございますが、去る六月に十省庁の申し合わせをいたしまして、種々の対策を講じたわけでございます。  この対策は、大きく分けますと三つございまして、一つはマルチレベル商法という商法自体の規制、取り締まりという問題二つ目にはマルチレベル商法で売られております商品の取り締まり、三つは苦情とか相談、さらには広報といったようなことでございます。  細かいことは関係省庁も来ておりますけれども、大ざっぱに私から御報告を申しますと、まず第一の商法自体の取り締まりにつきましては、六月の申し合わせ以後、御承知のように、七月の初めにエー・ピー・オー・ジャパンに対しまして公正取引委員会が立入調査をいたしまして、現在取引委員会の方で審査中でございます。また、警察関係でも、あの申し合わせ以後、各都道府県警察に対しまして取り締まりを強化するということを指示していただきました。その後、たとえば九月の三日には大阪府警でエー・ピー・オー・ジャパン加入のための出資金詐欺事件というようなものの検挙が行われるというようなこともございましたけれども、そのほか、警察自体といたしましても、苦情相談その他にもかなり力を入れていただいているわけでございます。  それから、第二番目の商品自体の問題でございますが、たとえて申しますと、厚生省関係では、ホリデイマジック社に対しまして薬事法六十九条に基づきまして立入検査を行う、あるいは検体の収集を行いまして現在国立衛生試験所で検査をしているというようなこともございます。また、ジェッカーチェーンの医療器具なんかにつきましては、その表示方法について東京都を通じて指導を行うというようなことをやってまいっているわけでございます。  それから第三番目の広報、苦情相談でございますが、先生も御指摘のように、週刊誌、新聞あるいは各種の展示会といったようなものを通じましてかなり大々的な広報活動をしたわけでございます。その結果ではないかと思いますが、私どもの集めましたその後のマルチに対する苦情とか相談の件数でございますが、かなり大幅に減っております。たとえば国民生活センター、地方のセンター、都道府県に寄せられました相談件数を集計をしてみますと、去年の一月からことしの五月まで大体四百三十一件こうした苦情があったわけでございますが、六月から九月まではわずか十二件というように激減をしております。また通産省の窓口と、これは昔の数字はわからないようでございますが、七月から九月までで十五件というようなことで、センターとか苦情相談窓口で親切な相談なりあるいは処理なりをやっているということもありまして、新規の苦情の件数はかなり減っております。  ただ、御指摘のように、裁判ざたになったものはございますが、これらはいずれも過去のエー・ピー・オー・ジャパンあるいはホリデイマジックについてでございまして、私どもの見るところでは、新規の被害はかなり減ってきているのではないだろうかというように判断をしているわけでございます。
  10. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま政府が言われたような方向でほぼ実効が上がっておるという御報告なんでありますが、このマルチ商法がまた形を変えまして細分化されて深く潜行しつつあることも、これまた事実だと思うのです。私のところへもそういう情報がたくさん入ってきておるのでありますが、そういったことについては情報として把握しておられますか。
  11. 岩田幸基

    ○岩田(幸)政府委員 私どもの方で把握しておりますのは、いま申しました各都道府県あるいはセンターあるいは通産省の窓口に寄せられましたものでございまして、もちろんそれらの中には従来のマルチ商法といいますか、それの変形のようなものも幾つかあるようでございます。
  12. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは本委員会でも再三議論されて、与党も含めて各党から厳しく指摘されたところなんですが、御承知のように、アメリカでは独禁政策の立場上いろいろと取り締まりが強化をされてきておるし、あるいは東南アジア諸国に至ってもすでに法律的に規制されているところがあるわけでありますが、九月一日に大阪の高校生が、これは過去のものでありますけれども、このマルチ商法にかかって若い青春を自殺という形で散らしておるということが社会的な問題として相当大きく取り上げられたわけです。  そこで、この際、いままで行政指導なりあるいは独禁の取り締まり等をやって、今日ある程度の効果を上げてきておるのですが、今後またこういうように潜行的になっておる姿が露骨に表面化することが必ずあると思うのですね、繰り返しますから。現にネズミ講というのがまた全国的に広がってきておることも事実なんです。不景気になれば必ずこういうものが出てくるところに、一獲千金を夢見るという消費者側の、極端に言うと、不注意もあるでしょうけれども、いずれにしてもこうしたものに対して、この際、産構審の答申にあるように、新立法で明確に禁止をするという方向に政府は踏み切るべきだというふうに私は判断をするのです。いろいろな意味で、いい意味のフランチャイズ制というものもあるわけですね。悪いものといいものの区別がないから、特殊販売というものを規制することについてちゅうちょするということもわかりはしますが、いずれにいたしましてもこういった問題については法律的に規制をするということが私はこの際望ましい方向ではないかという気がしてならないわけです。  そこで、この際、通産省の方にお尋ねをしたいのでありますが、このマルチ商法について新立法という方向で御検討をいただいておるのかどうか。御検討いただいておるとすれば、少なくともこういったことを行った場合には厳しい罰則とか、あるいは不注意かどうかは別にして、被害者が出た場合の救済措置、こういったものを含めた消費者サイドに立った新立法というものを考えておられるのかどうか、その点もひとつあわせて通産省の方からお聞かせをいただきたいというように思います。
  13. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 通産省の基本的な姿勢は、産業構造審議会流通部会からいただきました答申を尊重するということでございます。  ただ、このマルチ商法の問題というものの非常にむずかしいところは、いわば人間の体にたとえて申しますと、マルチ商法という潰瘍ができたようなものでございまして、この潰瘍部分を取り除くということを考えなければならないわけでございますが、潰瘍の部分と健康な組織部分との判別、区分けが技術的に非常にむずかしいという問題がございます。患部を切除するために、切り過ぎますと正常な組織に切り込んでしまうという問題があり、切り足りなければ潰瘍が残りまして再び害毒を流すということがございます。  正常な商取引の秩序に関しましては民法なり商法の基本原則があるわけでございます。通産省の方で立法をするといたしますと、こういう民法なり商法なりの特則をつくるということにならざるを得ませんので、法務省あるいは法制局等関係省庁とこの点につきまして意見を調整する必要がございます。それからまた、公正取引委員会は独禁法というメスによりましてこの問題と取り組んでおるわけでございますので、そちらの方面との調整をする必要もあるわけでございます。  いま申し上げましたような幾つかの問題と関係省庁との調整等が解決されますならば、これはわれわれの思うようにはまいりませんので、そこのところがうまく解決されますならば、可及的速やかに法案の形にまとめまして、早期に国会に提出するように努力をいたしておるところでございます。
  14. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 関係省庁との意見調整があることもよくわかっております。しかし、問題は、この時期を失するとまたこのことによる、大阪の高校生の自殺といったようなことが繰り返されてきたのでは大変だと思うのですね。特に未成年者が非常に多くなってきておる、成年者でなくて未成年者の中にこういうものが入り込んでいくというところに非常に大きな危険性があると私は思うのです。この前の省庁との合同会議の行政指導でも、文部大臣がそれぞれ学長に対して指導するようにという通知はしておりますけれども、なかなかそれが思うようにいかないという点もあるのです。ですから、私は、法務省と通産省あるいは公取、そういったとごろとの話し合いがあることもよく存じ上げておるのですが、いずれにしてももう産構審から答申が出て一年を経過しようとしておるわけですから、この際次の通常国会にはぜひ通産省の重要な法律として出すべきじゃないかという気がするのです。  そこで、いまあなたは法案の早期提出に努力をするという——決していいかげんな発言と言うつもりはありませんよ。そういう不明確な発言がいろんな意味でいいかげんだとかなんとかという批判を受けてきておることは事実なんです。そこで、本来ですと、法案の早期提出に努力いたしますということで終わりたいのですけれども一つの期限を切って、五十一年度なら五十一年度の国会に提出をする、提出できなかった場合は、その理由は本委員会で明らかにする、そういうことをここで約束していただけないかどうか、これは両省庁の関係ですから、国民生活局長も含めて、ここでお答えいただきたいと思うのです。
  15. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 先ほども申し上げましたように、通産省の事務当局といたしましては、関係各省庁との調整をできるだけ早期に終わりまして、次期通常国会に法案を提出できるよう極力努力をいたす所存でございます。
  16. 岩田幸基

    ○岩田(幸)政府委員 私どもも、このマルチ商法の取り締まりは、いまの独禁法だけでは限界があるということはよく承知をしております。ただ、新規立法につきましては、いま通産省からも御答弁がありましたように、やはり一つは、その法制上の問題に非常にむずかしい問題がある、もう一つは、公取との調整の問題があるということでございます。したがって、主管官庁は通産省でございますが、私どもも、公取なり法務省なりとの折衝を、通産省と協力をいたしまして、できるだけ早い時期に新規立法が出されるよう努力をしていきたいと思います。
  17. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は委員長にも要望しておきたいと思うのでありますが、横山委員会になりまして、本委員会としてはこのマルチ問題というのは非常に重要な、消費者に対する保護をしなければならぬという意味で、再三にわたって議論をしてきたところでありますから、先国会の議決にもあるところでありますので、ぜひひとつ横山委員会としての結論として、いま政府からも覚悟のほどが表明されたわけでありますが、委員長からもぜひ政府に対して、次期国会には意見調整を終わって出すように、そして出さなかった場合は、なぜ出さなかったのか、その理由を国民の前に明らかにするようにということを、理事会にお図りいただいても結構でありますが、委員長の立場でぜひ政府に対して申し入れを行っていただきたい。本日は国務大臣がおいでになっておりませんので、その点もあわせてお願いをしておきたいと思います。
  18. 横山利秋

    横山委員長 趣旨、了承いたしました。
  19. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それから続いて、運輸省と国鉄の方にしばらくお待ちいただきまして、通産省の方に、輸入家電製品について、これは輸入に関して全体的な問題でありますから、通産省の明確なお答えをいただきたいと思うのであります。  一つは、独禁法の関係で輸入業者の総代理店というものが崩されまして、並行輸入というのが認められておるわけであります。ところが、この並行輸入で品物を買う場合に、これは毎日新聞と日経新聞に記載された一月十六日の広告であります。大手の新聞紙上に全部こういうふうに広告が出ておるわけですが、これを見ますと、非常に価格が安いんですね。GEの大型冷蔵庫が四百二十六リットルで十三万八千円というふうな価格なんです。これは並行輸入しておる会社ですね。通常、日本のもので四百リットル近くになりますと、ちょっと二十六、七万ぐらいする、倍ぐらいするのですが、非常に安いというところから、安い価格につられて買ったおまえさんの方が少しお粗末だったんですよと言われればそれまでなんですが、実はこれは買ってもアフターケアがもう全くないんですね。故障したから、買ったところに行ってみたら、並行輸入したところへ行ってみたら、倒産して会社がなくなっておる。あるいは並行輸入したところに、アフターケアしてくれと持っていったら、いや、私のところはできません、こう言う。それで仕方がないので消費者協会あるいは国民生活センター等に苦情を持ち込む。苦情を持ち込むと、通産省にお願いをしなさいと言うから通産省にお願いをしたが、通産省としてもどうしていいかわからぬ、反応がない。結局このGEの大型冷蔵庫については当初総代理店であった三井物産の方に来る。そうすると三井物産の方はこれは一つの例でありますが、三井物産の方は、いや、私の方はおたくに売った覚えがありませんから修理はできません、保証期間中ですから、あなたはひとつ買ったところで無料でやってもらえるはずだから行きなさい、こういうふうに言うと言うんですね。しかし、それでもいけないというので、アフターケアのできる三井物産等では、有償で修理をしてあげております。こういうふうに言っておられるのです。  そこで、それじゃ、消費者協会等を通じて、最近までどれくらいの苦情があったのかというのを個人別に出してみてください、最近の分だけで結構ですと言ったら、これだけのものを持ってきてくれたんですね。  そこで、この際、通産省に明確にお尋ねをしておきたいのですが、大体並行輸入というのは、これは通産省の方からお聞きをして初めて知ったのですが、一人でも並行輸入の申請をしてやればいいんだそうですね。私個人でもやろうと思えばできる。そこで総代理店から並行輸入することによって価格を下げるという効果は確かにあったと私は思うのです。全体的な輸入価格を押し下げるという成果はあったけれども、こうしたアフターケアについて全く保証がないというようなものについてどういう許可条件になっておるのか。要するに並行輸入業者の許可条件というのはどういうふうになっておるのか、この際、明らかにしていただきたい。そうして、このアフターケアができないようなところから買わされた消費者は一体どうすればいいのか、その点をひとつ消費者にお示しをいただきたい。現行法体系でできないとすれば、通産省はこれからこのことをどう取り扱おうとするのか。まずその三点について通産省の方からお聞かせいただきたいと思うのです。
  20. 鈴木健

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  家電製品につきまして御指摘のような並行輸入の問題が起こっているわけでございますが、並行輸入につきましては、だれでも輸入できるというたてまえから、波打ち際でチェックするということは困難でございます。したがいまして、苦情があったものにつきましては、販売した事業者に対しまして個々に指導をするということにならざるを得ないわけでございます。そういうことで、購入をいたしました消費者につきましては非常に不利益を受けるということが起こるわけでございまして、たくさんの苦情が発生しておるという先生の御指摘をいただきまして、私ども非常に遺憾に存じておるわけでございますが、今後このような問題が続くということでございますと困りますので、輸入事業者団体等を通じまして指導を強化してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  21. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これはどうも私はわからないのですが、許可をする場合に、たとえば百個なら百個アメリカのGE大型冷蔵庫を輸入するなら、それに見合った部品そのものもそこに一緒に入れておるのかどうか、アフターケアをするだけの能力があるのかどうか、そういったチェックというものを許可する段階でやはりやるべきではないかというふうに思うのですが、そういうことはもう全く野放しということなんですか。
  22. 鈴木健

    ○鈴木説明員 並行輸入につきましては御指摘のような問題があるわけでございますが、昭和四十七年に、総代理店制度につきましていろいろ公正な競争を阻害するというような問題もございまして、並行輸入制度を導入したわけでございまして、いろいろの利点もあるわけでございます。そういうことでございますので、これを行いたいという輸入業者がありました際には認めざるを得ないということで、わずか数人で並行輸入を行っておるというものもあるわけでございまして、こういうところが倒産をして、そのためにアフターサービスができない、あるいは輸入部品等が十分なくて消費者がサービスを受けられないというような事態も起こるわけでございます。こういう事態が生じるということにつきまして、今後消費者の理解を得ていくという方向で消費者団体等にも協力を得まして周知させていきたい、このように存じております。
  23. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃ、課長さんの言っておられる話を聞きますと、外国から輸入された商品を買うときは、消費者の方で十分注意して買ってくださいよという以外にはもう現状としては予防措置がない、だから外国製品を買うときにはよっぽどしっかりしたところから買え、だから買うときにまず消費者自身がこれはどうだろうかという一つの疑問を持って買いなさいということしか現状としてはもう無理だ、そういうふうなことを消費者団体とも十分話をしていきたい、いま言われたことはこういうふうな御答弁だと理解してよろしいですか。それに関連して国民生活局長の方から、いまの状況はこういう状況だということについて、課長さんのお話を聞いた上でひとつお考えをもうちょっと、いますぐでは無理でしょうけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  24. 鈴木健

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  並行輸入につきましては、法的にこれを取り締まるということはできないわけでございますので、もし適法に行われているものでありますれば、現状では取り締まる手段はないということでございますので、十分問題点の所在等を周知徹底させることによって、消費者の損害を防いでいきたいというふうに考えるわけでございます。
  25. 岩田幸基

    ○岩田(幸)政府委員 並行輸入の問題につきましては、私も並行輸入そのものを禁止するということはかえってデメリットもいろいろあるかと思います。やはりこれから通産省とも御相談をしてみたいと思いますが、やり方は三つぐらいあるんじゃないだろうか。一つは、並行輸入業者の中にも小さいものもあれば大きいものもあるわけでございますから、かなり大きいものにつきましてはアフターサービスの体制を整備するという行政指導を強化する必要があるんじゃないか。それから一方、消費者につきましても、今後輸入品の購入に当たってそういう点をよく注意するようというPRももちろん必要だと思います。同時にもう一つは、やはりアフターサービスのできない並行輸入業者の販売するものについては、これはアフターサービスはないんだということを何らかの意味で表示をするなりPRを徹底するなりというような行政指導ができないものかという感じがいたしますので、こういう点につきましては通産省ともよく相談をしてみたいと思っております。
  26. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私も並行輸入そのものを禁止せよと言うつもりはありません。並行輸入をしたことによるメリットもあったわけです。しかし、問題は、そのことによって逆にまた被害の面も、デメリットも出てきておるわけですから、そのデメリットの部分をどう規制するかということがこれからの問題点だという指摘を申し上げているつもりなんです。だから、これはいますぐどうこうということは非常にむずかしい問題ですから、早急に経済企画庁と通産省で打ち合わせをした上でお願いをしたいと思うのです。非常に残念なことですけれども、要するに、消費者に対して輸入品を買うときには警戒をして買いなさいよということしか当面やりようがないのだということであれば、そのことをやはり徹底的に消費者に周知しておくことが私は次善の策だというふうに思います。価格が非常に安いので、この安い下の方にアフターサービスがありませんよ、こう書いてありますと、消費者もそのことを了解した上で買うわけですから、これは消費者の責任ということになるのでしょうが、そんなことは書いてないのです。価格でつっておるわけですからね、逆に言うと。ですから、この際、いま言われたように、何らかの規制措置ができるまでは、ひとつ責任を持って経済企画庁あたり消費者に対してマルチと同じようにPRをしていただくということをお願いしておきたいと思います。ぜひそのようにお願いいたします。  そこで、これに関連をして通産省にお尋ねをするのですが、実はこれは大きなスーパーとか百貨店に行ってチェックされたらわかると思うのですが、輸入されたものについてもTマークというのがつけられるのですね。これは家庭用品品質表示法及び電気用品取締法による表示ということで、GE電気冷蔵庫というのにこれは張られておるのですね。ところが、御承知のように、アメリカはプラグが三相なんですね、一つの例ですよ。ところが、日本の電気用品取締法でいけば、これは二つにして、しかも埋め込みのプラグでなければならない、電気冷蔵庫の場合は。そうでしょう。ですから、輸入した電気冷蔵庫のコードというのは全部取りかえぬといかぬわけですね。日本の電取法の規格に合ったように取りかえなければいかぬ。ところが、行ってごらんなさいよ。はさみで先の方のプラグのところをちょん切って、ネジ回しでつけたやつがいま公然と陳列されておりますよ。ところが、それを見ますと、これがぴしゃっと張ってあるのです。これは少なくとも通産省の輸入許可を得て、日本の電取法について云々だということの確証として張られておる。だから、本来なら、それには張ってはいけないのですね、違うんだから。それが大手のスーパーや何かでも売られておるのですよ。こういう事実について通産省の方は把握されたことがございますか。
  27. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  輸入の電気製品につきましては、輸入業者が型式認可を受けて輸入をするということになっておりますが、この型式認可といいますのは、型式の区分ごとに行うということになっております。それで、冷蔵庫につきましては、この型式の区分のファクターがいろいろあるわけでございますけれども、先生いま御指摘になりましたプラグのものにつきましては、三極のものも二極のものも両方あり得るようになっております。しかも、その型式の区分といたしましては三極も二極も両方とも一つの区分ということになっておりますので、その中で改造いたしましても、技術基準に合致しておる限りにおきましては別に違法ではない、こういうことになっているわけでございます。
  28. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうすると、三相になっておる分で日本の国内で使えるのですか、どんどん使えるわけですか。各家庭で使えるのかどうか、はっきりしてください。
  29. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  これは三極ということだと思いますが、一つはアースになっているわけでございまして、それも国内で使える場所はあるわけでございますので、通常の場合は二極でございますけれども、三極だから使えないということではないわけでございます。そういうことでございます。
  30. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま部長さんは使えるところもあると言うけれども、各家庭ではほとんど使えませんですね。使えるなら、何もちょん切ってくっつける必要はないのですよ。それを現地の方でコードを切って、そこにプラグをつけておることについてはどうなのかと聞いておるのです。それはいいわけですか。そういうものを売っていいわけですね。現在の電取法からいく埋め込みプラグでなくても、要するに頭の方を切って、そして二極のプラグをくっつけておけば、それで日本の国内における電気用品取締法の条件は満たしておるというふうに理解していいわけですか。
  31. 大永勇作

    ○大永政府委員 御指摘のとおりでございます。それで、プラグ自身が三角Tのついてないプラグでございますと、これは技術基準に違反することになるわけでございますが、取りかえましたプラグが三角丁のついたものでございますれば、日本国内で売ることに問題はないということになっております。
  32. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 電気冷蔵庫の場合、埋め込みでなくてもいいわけですか。ネジ回しで、ネジくぎでやるものでいいわけですか。ぱっと引っ張ったときにぼっとはずれるから、家庭の主婦が電気冷蔵庫を切るときに引っ張ったら、はずれて事故が起こるといかぬから、プラグは埋め込みというのが常識だというふうに私は理解しているのですが、通産省の方では、いや、ネジ回しで、従来の古いものでもよろしいというふうにその技術基準は定まっておりますと言われるなら、そういうふうにはっきり言ってください。
  33. 大永勇作

    ○大永政府委員 現段階では、埋め込みのものも、不ジ回しでとめましたものも両方とも認めておるわけでございます。
  34. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうすると、両方認めるということになれば、改造したものを通産省の方では認められてTマークを与えた、こういうことですな。プラグをちょん切って差しかえたものを認めてこれを渡した、こういうことですな。
  35. 大永勇作

    ○大永政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、現在の型式認可の制度におきましては、型式の区分というのがございまして、一つの区分でございますれば、その型式の区分の中で若干の改造をいたしましても、それは型式認可を改めて受ける必要はないということになっておるわけでございます。  いまのプラグの三極、二極の点につきましては、差し込みのところが三極のものと二極のものと、これは別の型式ということにはなってないわけでございますので、たとえば三極のものを試験品として提出して型式の認可を受けました後で、物によって二極のものに取りかえるということは、現在の電気用品取締法のもとにおきましては認められておる、こういうことでございます。
  36. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、いまのものは通産省としては問題ない。要するに、型式は三極ですね、GEの場合は、アメリカですから。それを三極でもらって二極にかえても問題がないということであるなら、あなたの方でこの苦情を調べてみてください。そういうコードに関する苦情が一番多いわけですね。そのプラグのところの扱いに伴う事故が一番多い。通産省の方はそれで技術基準を満たしておるということであるなら、それではもうその技術基準を改めてくれということを言う以外にないわけで、われわれは素人ですから、そういうおこがましいことを言うあれはありません。しかし、そういう苦情が多かろうが何だろうが、そういう技術基準は通産省としては関知しません、従来の電取法どおりです、一つも違法でもありません、こういうふうにひとつここで断言してください。
  37. 大永勇作

    ○大永政府委員 現段階におきましては申し上げましたとおりでございますが、御指摘の点につきましては、今後十分に調査して検討いたしたいと存じます。
  38. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いや、調査してとかどうとかいうのは、これは蛇足なんですよ。要するに、苦情が多いけれども、それは技術基準から見たらまともなんだ、苦情する方がおかしいというふうに、ここで断言したらどうですかというのです。それを断言したらいいんだ。そう言いなさいよ。
  39. 大永勇作

    ○大永政府委員 ただ、電気用品取締法につきましては、保安上の見地からのチェックをやるということになっておりますので、いまその三極、二極の問題でその苦情がどういう点についてあるかということでございますが、それが保安上非常に問題があるということでございますれば大変でございますので、これはもう技術基準を改定いたしたいと存じます。  ただ、苦情の内容が保安にはもう関係のないことでございますと、現在の電気用品取締法の外の問題になりますので、これは改定することはなかなか困難かと、その辺をよく検討してみたい、こういうことでございます。
  40. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結局、コードに関する輸入の冷蔵庫の苦情は、これはもう苦情する方がおかしいんで、電気の安全性上問題がなければいいんですというふうな御答弁だったというふうに理解をしておきますが、これは私は大変に意外な御答弁だというふうに思いますね。もう少し並行輸入されたものについてチェックしてください。ただ輸入業者に輸入させるばかりが能じゃないですよ。輸入されたものがどういうことになっておるのか、本当に通産省が言っておるような方向で安全性があるのか。プラグの問題を申し上げたけれども、コードの問題は、実際に切れて苦情が多い。そのことについても全く放置されて今日まで来ておるわけです。私はいま電気冷蔵庫だけ取り上げましたけれども、並行輸入を許可されておる品物についてはほとんどそうなんですよ。通産省で人手がないからチェックできないと言えばそれまでだけれども、やはりこれだけわれわれの生活の回りに外国製品が入ってきたら、これについても思い切ってチェッをしてみて、悪いものについては相手側にクレームをつけるぐらいのやはり自信と勇気を持っておらないとなめられるんじゃないですか、日本の通産行政というものは。消費者が信用しなくなるんじゃないですか。  もうこれ以上通産省と話しておったって時間がたつばかりですから、国民生活局長も、意見は求めませんが、こういうことがあるんだということをひとつ十分理解をして予防措置をとっておいていただきたいということを希望として申し上げておきます。  それから、最後になりましたが、国鉄の皆さんにちょっとお尋ねをいたします。  実は、これは私のところを起点として——運輸省、国鉄にこんなことを申し上げたらおかしくとられるんでしょうが、一つの例として聞いていただきたいのです。  実は、大阪から宮崎まで、あるいは宮崎から大阪までグリーン車で、小倉から新幹線に乗って行きますと、今度の料金改定で汽車の方が高くなるんですよ。飛行機の方が安いんですわ。こういう問題に対して国鉄当局なり運輸省はどういうふうに考えておられますか。要するに、汽車よりも飛行機の方が安い、料金体系のあり方として。その点についてひとつ国鉄当局のあるいは運輸省当局の感想をまず求めておきたいと思います。簡単で結構ですよ。
  41. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 お答えいたします。  おっしゃるように、今回の料金改定ができますると、先生のただいまおっしゃいました大阪−宮崎の間におきましては、グリーン料金で計算いたしますと、約二千円ばかり航空機運賃を上回ることに相なります。従来、飛行機の運賃と新幹線あるいは特急のグリーンとの比較におきましては、航空機運賃よりも下回るということが常態でございまして、利用する方のサービスその他の観点から見まして、現実問題といたしまして、航空機の速いということも加味いたしますと、やや不自然ということも考えられるわけでございますが、グリーン料金に関しまして今回非常に大幅な値上げを考えました背景といたしましては、最近におきますグリーンと普通との差というものにつきまして、前におきましては、グリーンというのは一等、二等というような差でございまして、一般運賃の約二倍というような観点で料率が定められた時代もございますが、最近は非常にその格差が縮まりまして、グリーン料金の相対的な低下といいますか、そういう結果に相なったわけでございまして、お客さんの選好からいいまして、グリーンの方に非常にお客が移ってくる。したがって混雑する、なかなか切符がとれないというような状況にもなっておるわけでございます。  こうした点から、普通の運賃に対する割合をできるだけ前のものに近寄せたいという観点から、今回九二%というような大幅な改定を行ったわけで、その結果といたしまして、一部の区間におきましては、航空機運賃とグリーンとの比較におきまして航空機を突破するということになるところが出てまいったわけでございますが、これはまことにやむを得ないという感じでございます。
  42. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまあなた、国鉄の立場だからやむを得ないと言われたのだと思うのですが、運輸省は大体総合交通網というのをどういうふうに考えておるのか。一体新幹線なり在来線なり飛行機なりカーフェリーというものに対してどういう役割りを果たさせようとしておるのか。極端に言うと、新幹線なり何なりにはスピードアップした大量輸送機能というものを持たしておると私は思うのですね。ところが、料金の分野から見ると、一体総合交通網というのがどういうふうな感覚で処理されておるのかというのが、われわれ国民の側にはさっぱりわからぬわけですよ。飛行機の方が速くて安いというのが。  そこで、そういった疑問点を含めてこれから一つ一つ解明していくために、ひとつ的確にお答えをいただきたいと思うのですが、いま申し上げたのは一つの例ですけれども、従来は政府に対して運賃と料金というのを同時値上げを申請しておったのです。従来ずっと国鉄の運賃、料金の値上げ改定を見てまいりますと、運賃と料金というのは常に両方あわせて申請しておった。ところが、今度に関してだけは料金だけを先行させた。その根拠は一体どこにあるのか、もう時間がありませんから簡単にひとつお答えいただきたいと思います。
  43. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 おっしゃるとおり、いままでの歴史を顧みますと、運賃と料金というのは大体一緒で改定が行われております。一、二の例外はございますけれども、相互に関連があるということで同時の改定ということになっております。  今回、料金だけ特別にやった理由でございますが、国鉄の財政状況につきましては、いまさら申し上げるまでもございません、三兆円の赤字を抱えておるという実態でございます。特に本年に入りまして、春闘の結果の仲裁裁定の金額及び不況影響からする減収というようなものがございまして、ふだんでございますと、そうしたものに対しましては補正予算におきまして政府の方からの借金というようなことで済ませたことが多いわけでございますが、今回は国の方の財政事情も非常に悪い状態でございます。したがって国鉄自身がいわば鉄道債券によりまして銀行から借金をするというようなことにも相なるわけでございまして、現在の金融情勢からいいますと、それだけの調達能力がない。したがいまして、資金上非常に金繰りがつかなくなるという緊急の事態が予想されたわけでございます。過去の例からいいますと、こうした分離をしたことはございませんが、制度的には大臣権限として認可が可能でございますので、この際緊急やむを得ざるものといたしまして料金申請に踏み切ったものというふうに解釈するわけでございます。
  44. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それは国鉄が大変な赤字だということは私たちも知っておるのです。ところが、いま部長さんが言われたところで国民の側からして納得できない点は、汽車を利用する者は、料金と運賃というものの区別はないわけですよ。どっちも消費者負担をするんでしょう。大体、急行、特急、寝台——まあグリーン車に乗る人は特定の人だとして、グリーン車を除いてもいいですよ。しかし、急行、特急、寝台というのはみんな消費者が使うんです。運賃は運賃、これは別々ですよといくら国鉄の皆さんが言われてみても、使う側は一緒だと思っているんです。そうすると、片一方の法定料金の方は申請せずに、こっちだけ上げておくということは、逆に言うと、法定料金をずっと抑えておくと国鉄の収支が赤字になるからというので、大臣権限である料金の側をどんどん上げていく、法定料金が据え置かれれば据え置かれるだけこっちの方を上げていきますぞという一つの、言葉は悪いですが、法定料金に対する挑戦だというふうにも理解ができるわけですよ。国民の側、使う側は、さっきから言うように、運賃も料金もわからない。利用する側は区分がないわけです。しかし、その中で、いま言われたように、赤字だから法定料金の申請をすれば、経済企画庁長官がどうも本年度はむずかしいからと抑えた、赤字はどうかせぬといかぬ、だから大臣権限である料金だけ上げよう、五十一年度の運賃改定のときに仮にまたそれが据え置かれたとすれば、また赤字だからというので大臣権限の料金だけ上げていく。そうすると、運賃と料金が逆転するということも、実質的にはあり得ないことかもしれぬけれども、理論上はあり得るわけです。ということは逆に言うと、今度のこの措置というのは法定料金に対する一つの挑戦だ。国の方で早く決めてくれなければおれの方は料金をどんどん上げますよ、そういう気持ちが有形無形で働いたんではないかという気が私はするんですが、その点について御批判があったらひとつお聞かせいただきたい。  それから二番目の問題は、あの十カ年計画は、御承知のように、十年間に四回値上げをやって、十年目にやっと黒字になる、そういう再建計画というものをずっととってきたんですね。そして、当時の運輸大臣によると、三方一両損という落語の言葉で、国も消費者も国鉄も一両損ずつだ、こういうふうに言われました。ところが、今度の料金値上げに対して、国民の側だけが一両損で、一体これに伴う財政計画、国の方はそれではこれに見合うものをどれだけ国鉄に入れてあげるということを約束しておるのか。片一方だけやられて、国の方は赤字は知りませんよというのじゃ、国民の側が損をするわけだから、三方損ではない。三両全部国民の側ですからね。そういう点も私はすでに国鉄、運輸省は議論されておったと思うのです。  だから、料金関係をこれだけ上げるんですから、法定料金に対するそういうものの挑戦じゃないかということが一つと、国鉄に対する国の財政援助というものは一体どうなっておるのか、その点をひとつはっきりしてください。
  45. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 第一点の運賃と料金の関係でございます。おっしゃいますように、一般の利用者の方から見ますと、これは一体のものでございまして、区別につきましては余り御理解がないと思いますけれども、われわれの、あるいは国鉄の立場から申し上げますと、運賃というのは基礎的なサービスに対する料金、料金といいますのはこれに付随いたします付加的なサービスということを言われておるわけでございます。この料金の付加的なサービスにつきましては、国民生活の向上等に伴いまして、スピードなりあるいは快適性、よい時間帯というようなものにつきまして利用する方々の希望、要求というものがやはりかなり高まってきておる、これが実態でございまして、現実の国鉄のダイヤを見ますると、特急、急行の優等列車というものが非常に希望されまして、またこの利用が非常に高いということも事実でございます。運賃と料金というものは常に一体ではないかということでございますが、そうした付加的なサービスに対する御要望というものが高まり、それに対応する国鉄側のサービス改善、こういうようなものを考えますと、やはり料金部分におきましても実態に対応する変化があるというふうに私ども見られるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、過去におきましてもこうした分離の形は余りとっておりません。できるならばこれが一本で改定されることが国民の皆様方にとりましても御理解ができやすいのではないかというふうに考えるわけでございますが、今回はまことに緊急やむを得ないという判断で、このような措置がとられたものでございまして、先ほど法定主義の問題に対する一つの突破口なり挑戦ではないかというようなお話もございましたが、私どもといたしましては、決してそのような気持ちをもちまして今回料金だけを申請を受けたわけではございませんで、法定主義の問題につきましては、御承知のように、各方面でいろいろな議論が現在なされております。こうした議論をわれわれ一つ参考といたしまして、運賃の制度のあり方につきまして、財政再建の計画の一環としまして、今後も十分慎重に検討をしたいというふうに考えるわけでございます。  それから第二番目の問題といたしまして、過去におきまする料金値上げ、運賃値上げの際には国の助成というものが必ずつきまとうのではないか、今回それがないじゃないかというような御指摘でございます。過去におきまする再建計画の際におきましては、御指摘のように、三本柱という形で、国鉄の努力、国の助成、それから国民の御負担と、この三つを柱にしていままでやってきたことは事実でございます。今回におきましても直接的な助成という積極面では手当てはしておりませんけれども、先ほど申し上げました本年度資金繰りのショート約千六百億ばかり予想されたわけでございますが、そのうちで、この料金改定を含みまして、国鉄の方で国民に御負担を願いたいというのが約四百億でございます。約四分の一程度を御負担願いたい、残りの四分の三につきましては、政府といたしましても財政投融資によりましてこれを補っていく。なおまた、その財政投融資に伴う利子負担につきましては、これを補助するというようなこともうらはらとして考えておるわけでございまして、積極的な助成というものはございませんが、やはり三つの柱のうちの二つの柱、さらに国鉄自身におきましては今後もサービスの面で努力するということを加えますと、従来どおり三本の柱につきまして大いに努力をしてまいりたいということでございます。
  46. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま言われたような話を聞いておりますと、料金の値上げだけは国民の側に負担をさせられたけれども、あとの方はこれから検討をしたり、できるだけの努力をしていくという形で、非常にあいまいなんですね。従来ですと、これが運賃と料金と同時申請ですから、これだけ国民負担させれば国の方もこれだけだという対比する議論ができたのですが、料金だけになりますと、一方的に国民の方にしわ寄せがくるということで、国の方は努力するで何でも済まされるわけです。私は非常に危ないと思うのですよ。しかももうすでに逆転現象が起こっているのですね。東京−博多、新幹線に乗りますと、運賃よりも料金の方が高くなる。遠いですからB寝台を使う。B寝台を使えば、やはりこれも基本運賃よりも料金の方が高くなる。全国的に逆転現象が出てくると、運賃というのは刺身のつまで、結果的に全部料金で国鉄は済ますというかっこうになってくるのです。その証拠には、ダイヤを見ればわかるでしょう。ダイヤ改正したたびに鈍行がなくなって準急、準急がなくなって急行、急行がなくなって特急、超特急でしょう。そういうふうにだんだん国民を——さっきあなたは国民が優等列車を期待すると、こういうようなことをちょっと言われたけれども、いつの間にかそういう方向にずっと国民の側が誘導されてくる。国民の世論じゃなくて、政府が誘導していくという、私はそういう姿だと思うのですよ。  だから、逆に言うと、もう時間がありませんから、これはずばり申し上げて、議論は後に譲りたいと思うのですが、いまの法定主義というところにやはりネックがある、これはどうかしたいと大臣が再三にわたって各界で、あちらこちらへ行かれたときに、法定主義には問題があるという発言をしておられますが、運輸省当局としてはあるいは国鉄当局としては、もうこの際運賃というのも法定主義から外してもらいたいという気持ちがあるのじゃないですか。これは正直に言ってもらいたい。あるならある、ないならないと、この際はっきりしていただきたい。これが国鉄、運輸省にお尋ねをする最後です。  それから生活局長にお尋ねをしますが、物価局長でも結構ですが、国鉄料金というのはCPIに出ませんね。消費者物価指数には、料金の方は上がってこないでしょう。運賃の方は出てくるが、料金の方は出てこないはずですね。(喜多村政府委員「出てまいると思います」と呼ぶ)いや、いままで出ないでしょう。だから、仮に今度大幅に料金の方が上がったけれども、いまの指数でいくと、これは物価に全く影響がないのです。ところが、国民の側は、逆に言うと、大変な負担をさせられているわけですよ。消費者物価にあらわれてくるのは運賃だけのところに問題がある、盲点がある。それで、来年三月三十一日一けたですよと経済企画庁長官が言われても、消費者の実感と合わないでしょう。運賃が改定されたら指数に出るけれども、料金だったら上がらない。これほど都合のいいやり方はないですよ。物価は一けた台に抑えましょう、上がってこない料金だけさっと高く上げておく、私はまことに都合のいい物価政策だと思うのですけれども、その点についても物価局長としてはどう考えるか。今度の料金値上げが一体国民生活にどれぐらいの影響を与えると思っておられるのか、その点をお聞かせいただきたい。運輸省と物価局長の御答弁をいただいて終わります。
  47. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 法定主義の問題でございますが、現在外部の各界各層からのいろいろな御意見を、私ども国鉄再建に関しまして耳を傾けて参考になる点をキャッチしたいと思いまして、お伺いいたしておるわけでございますが、そうした御意見の一環といたしまして、国鉄の運賃法定主義につきましては、外国に現在そういった制度がない、やはりわが国におきましてもかなりな弾力化が必要であり、これがまた実態に合うものであるというような強い御意見もあることは確かでございます。ただ、またこれは国会の法律事項という点でございますので、私ども軽々にこれは判断はできないわけでございますが、こうした問題を含めまして十分に慎重に検討を今後重ねてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  48. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 まず、料金改定がCPIにどの程度の影響を与えるかということについては、従来は確かに運賃と料金とが一体的でございましたために、別々にどの程度のCPIへの影響があるかというような出し方はいたしておりませんでした。今回、先ほど御答弁がございましたように、料金だけの改定になりますと、確かに計算方式が若干変わってまいるはずでございます。先生仰せのとおり、この料金改定が三十数%になりますと、確かに家計に及ぼす影響も大きいことでございますし、またCPIへの影響もそれは当然あるわけでございます。現在、統計局の方で、初めてのケースでございますので、その点についてのCPIの出し方を検討しておるもののようでございますが、私たちの方でも、これが確かにCPI影響しないから、運賃、料金の値上げの協議に応ずるというような、そういうこそくな考え方は持っておりませんで、これがどの程度影響するかということについて計算は十分していっておるつもりでございます。まだ具体的にどの程度であるかということを申し上げる段階ではございませんけれども、それほど大きなCPIへの影響はないものと思います。  それから料金でございますが、今回の料金につきましては、先ほど運輸省の部長からお話がございましたように、非常に緊急的なものでありまして、これが国鉄がいま非常に大きな破綻の状態にあるということの証左でもあるかと思いますが、いずれにいたしましても運賃が、冒頭に先生のお話にございましたように、体系的にどうあるべきかということは、やはり国鉄再建の問題の解消の中で十分に考えていくべき問題であろうかと私は存じます。
  49. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 馬渡局長さんですね。局長さん、現状の国鉄という経営の中で法定主義というものがあることについては支障がある、国鉄当局としてはどうかしてもらいたいというお考えがあることは事実でしょう、これは。最後に国鉄側の見解をひとつ聞かしてください。
  50. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 いままでの運賃改定をお願いいたしました過去の実績が、私どもが希望しておりました時期並びに運賃水準というものを得られなかったということは事実で証明されるとおりでございまして、その結果が国鉄の財政に非常に悪影響を与えたということも事実だと思っております。その面から判断いたしますと、適時適切なかっこうで国鉄の財政が保たれるような制度を望んでおるということでございます。
  51. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この問題はさらに議論することを申し上げて、私の質問を終わります。
  52. 横山利秋

    横山委員長 山中吾郎君。
  53. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 灯油問題についてお聞きいたしたいと思いますが、先ほど物価局長からわれわれに配付になった第四表ですね。「最近の卸売物価上昇率推移」、その一覧表をちょっと見せていただきますと、石油石炭・同製品上昇率が一番高い。その中で一番右側の対前月比を見ますと、石油石炭・同製品の比率は六月が〇・七、七月が〇・八、八月が〇・六、九月は一・五。この一覧表を見ますと最高の上昇率です。物価局長から出されたこの一覧表の中で、飛び抜けて対前月比、それから対前年同月比もそうなんですが、特にいま私が問題にしたいのは前月比でありますが、これが特に高くなっておる理由ですね。御説明願いたいと思います。物価局長の方がわからなければ、石油部長になるか。
  54. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 九月の一・五%につきましては、先ほど私、御説明申し上げました中で、この分については相当部分が石炭であるというように申し述べました。石油につきましてはじりじりと上がってはおりますけれども、ここで突然として一・五になっておりますのは石炭関係でございます。原料炭関係でございます。
  55. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 そうすると、その八月までの、六月〇・七、七月〇・八、八月〇・六、これは石油ですか。
  56. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油製品の値段につきましては、昨年の三月に、それまで凍結しておりましたものを八千九百四十六円上げるということを認めまして、その姿が大体昨年の十月ぐらいまで続いておりました。そういたしまして、その後八千九百四十六円上げの値段については自由になりましたので、各石油会社は原価が償えないという理由で値上げを需要家に要請をしてやっておりましたので、その後、大体ことしの夏までに平均二、三千円ぐらいの値上げが実現したというふうに見ております。したがいまして、この資料でじりじり上がりましたのは、石油が上がったという部分もあるというふうにわれわれは考えております。  それから昨年の九月に対して相当上がっておりますのは、いまの御説明石炭の部分も相当あると思いますが、石油につきましても、昨年の九月はまだその三月の通産省の指導価格のままでございましたので、その後の比較をいたしましてある程度上がったということは言えるというふうに思います。
  57. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 前月比ですよ、一番右の方です。これが六月〇・七、七月〇・八、八月〇・六上がっておるについては、通産省は何か指導されたのですか。ただ見ておられただけですか。
  58. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油製品価格指導につきましては、先ほど申しましたように、昨年の三月十八日に値上げを認めましたが、その後八月に至りまして灯油の元売り仕切り価格以外は自由にいたしました。したがいまして、その後は通産省といたしまして値上げを指導したということはございません。
  59. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 指導はしていないということも言えると思いますが、この委員会で六月の二十六日に灯油問題について私、左近石油部長に質問をして、そして指導価格廃止後の価格状況、灯油を中心としてお聞きしたのですが、そのときにあなたは大体三千円ぐらい元売り価格を上げる動きがあるとぼくに答弁された。覚えておりますか。しかし、末端に行きますと六月三千円、七月二千円、計五千円を上げるメーカーの裏協定があって、どうもそういう傾向があるから、三千円上げた後はそういうふうな上げ方に対してむしろ抑える指導をすべきではないか、大いにそれについて留意してやりますと、たしか答えたはずなんです。公取委員会の方にも聞きましたが、それが仮に裏でそういうふうなことで各メーカー相互に行われておればやみカルテルの疑いがあり、事実ならば取り締まりの対象になるという答弁もした。そういうことですから、その後の実態をあなたはもっと把握されておるはずであって、もう少し正確に御答弁なさるべきではないかと私はいま思っておるわけです。それはなぜかと言いますと、いま物価局長から配付になったこの上昇率表を見まして、六月が前月比〇・七%上がっておる、これは三千円分ではないか。七月にさらに〇・八%上がっておる、さらにこれはまた二、三千円上げたのではないかという疑いをこの一覧表をちょっと見たときに私は思うのですから、お聞きしているのです。もう少し実態説明してください。
  60. 左近友三郎

    ○左近政府委員 先ほどお答えいたしましたのは、石油製品全般にわたって申し上げましたので、やや不明確でございまして失礼いたしました。  灯油につきまして申し上げますと、ことしの六月まで、御案内のとおり、元売り仕切り価格を指導いたしておりまして、大体六月現在で二万五千三百円ということでございまして、その後、この冬の需要期に備えまして在庫を確保するために元売り仕切り価格の行政指導を撤廃いたしました。したがいまして、市況の実勢に任すということでございましたが、その際申しましたように、むやみな不当な値上げが行われないように十分監視するとともに、指導といたしまして、大体この灯油と似たような油でございます軽油とかA重油というふうな値段と著しく乖離しないような指導は続けるというふうなことを方針といたしまして指導いたしてまいりました。  大体灯油については価格をずっとチェックしておりますけれども、七月、八月にかけまして、これは一斉な値上がりはいたしておりませんが、結局現在までに大体四千円程度、これは三千八百円ぐらいから四千二、三百円程度までの、差はいろいろございますが、その程度の値上げが実現をしております。ただ、われわれといたしましては、そのときどきの軽油の値段、A重油の値段をチェックいたしまして、それよりも乖離しないようなふうに監視をしておるところでございます。
  61. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 東北、また岩手の末端価格を見ますと、現在生協で六百五十円、一般小売りで七百二十円になっているのですが、これを一かん十八リットルにしますとそうなるので、皆さんの方はどう把握しておりますか。
  62. 左近友三郎

    ○左近政府委員 灯油の小売り価格につきましては、通産省といたしましては、消費者価格モニターを全国に配置いたしまして、そこから毎月の灯油の小売り価格の報告をとっております。現在明らかになっておりますのは九月現在でございますが、九月現在では全国平均、十八リットルかんの店頭価格平均いたしまして六百六十円ということになっております。配達つきの価格が六百九十一円ということになっております。  ただ、九月の価格と申しますのは、東京から西の地域についてはまだ需要期ではございませんので、まだ需要期に入ってからの値段ということにはなっておりません。したがいまして、この全国平均というものは必ずしもまだ需要期に入った値段とは言えないと思います。ちなみに、そのときにそろそろ需要期に入りました地域でございます札幌を申し上げますと、大体店頭十八リットルで六百六十九円、仙台で六百四十五円という数字になっております。
  63. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 その全国的な末端の灯油の価格ですね、資料をひとつよこしてください。——ああこれですか。大体全国平均で配達つき六百九十一円、東北六県になると七百円を超えるというのがやはり実態ではないかと思うのですが、これにさらに原油価格が一〇%引き上げの動きがあるためにまたこれを上げるという動きが出てきておる。これだけは通産省もひとつ決意を持って抑えてもらわないと、寒冷地帯の冬季の家計に対する圧迫は非常にひどいものがある。節約といっても家屋の構造その他からいってすぐとはできないのですね。そういう点から考えて、これだけは明確にひとつ確固たる指導方針で、あといろいろといわゆる石油メーカー全体の経営の問題があっても、油種別の価格の構成全体の中で私は調整できると思うので、その辺は通産省は明確な指導方針を持ってもらいたい。これは私の質問の結論ですから、それをまずお聞きして、各論についてもう少しお聞きしたいことがあるので、お聞きしたい。
  64. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油製品価格につきましては、現在、いまお話のありました十月以降のOPECの値上げに対してどう対処するかということで、実は石油審議会において全体の価格をどう持っていくかということについての御審議をお願いすることにいたしまして、実は明日からその審議に入ることになっております。したがいまして、大体約一割と言われております原油の値上がりに対して石油価格全体をどうするかという問題については、そこの御審議の結果、大体今月末ぐらいに結論を出していただこうということでお願いをしておりますが、その結果にまつということになりますが、家庭用灯油につきましては、従来から通産省といたしましては、それが一般の消費者の必需品であるということから、極力値段を抑えていくという方針をとり続けてまいりました。したがいまして、今度の価格決定に当たりましても、通産省の意見は十分審議会に申し上げて、そういう配慮をしていただきたいということを考えております。  ただ、一割の値上げと申しますと、大体キロリットル当たり二千円という計算になります。もちろん一割は現実には上がらずに、大体八%ぐらいではないかとも言われておりますが、この辺も詳細に検討して数字を出したいと思っておりますが、その辺の値上がりをどういうように分担するかということが今回の問題になりますので、われわれといたしましては、その分担の中で、灯油に対する分担は極力軽減するような形で審議をお願いしたいというふうに考えております。
  65. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 いまお話しの石油審議会の審議が始まっておる。これはちょうどけさの新聞に出ておるわけですが、これを見ますと、「石油審議会は七日の初会合を契機にOPECの原油値上げに伴う石油製品の“望ましい新価格体系”を、石油業法に基づく標準額によって決める。これは河本通産相の諮問によるもので、十一月末をメドに答申予定だが、今後の審議では油種別の値上げ幅をどのように設定するかが焦点になる。通産省では灯油、軽油、A重油など物価へのハネ返りの大きい“物価関連油種”を低く抑える方針であるものの、一部には灯油などの価格水準を大幅に引き上げ節約を引き出すことによって、省資源時代に対応させるべきとの意見もあり流動的。」と書いてある。この辺の裏はどういうところなんですか。
  66. 左近友三郎

    ○左近政府委員 実は石油審議会につきましては、先週の金曜日に第一回の会合を開きまして、そこでは今後の石油価格について審議をお願いするという経過報告をいたしたわけでございまして、実質の審議は明日から始まるわけでございますが、その席上いろいろ意見が出ました意見の中に、いまのような二様の意見が出ておるわけでございます。ただ、その新聞にも書いてございますように、通産省としては灯油というふうなものについてはいろいろ配慮をしなければいけないということを考えておりますが、確かに一部の委員の中にはもう一つの意見もございます。しかしながら、われわれといたしましては、大臣も何回も国会でも御答弁申し上げておるように、灯油というものの性格を考えて価格を決めていきたい、単純にほかの油種と同じような形で、理屈だけで算出した値段で決めるわけにはいくまいというふうに考えております。
  67. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 その辺を明確に指導的立場にある皆さんに思ってもらわなければならぬと私が思うのは、灯油などを大幅に引き上げて節約を引き出すという、実態を知らないでこんな暴論を、こんな非常識なことを審議会で発言する人があるとすれば、大変なことだ。一体、寒冷地帯の灯油などが節約——これは価格を引き上げて節約できるものじゃないのですよ。これはもう冬季における生活の最低の条件なんです。ことに東北地域なんというのはそんな防寒装置の家屋ではないのですから、灯油などを高くして暖房をとってしまうような、ぶるぶるふるわせて子供の勉強もできない状況に追い込むことによって節約さすなんという暴論を私は見たものですから、こういう非常識な論議が横行しておるとすれば、大変なことだ。どういうメンバーかわからない。そこで、通産省においては、その点よほど明確な思想を持ってもらいたい。こういうメンバーを選択したのは通産省でしょう。通産省がそういう顔ぶれを選んでおるのだ。そうしてそういう論議をさせて、審議会の答申はこうですから、また需給のバランスで上げますというふうなことが出そうだから聞いておる。それはどうですか。
  68. 左近友三郎

    ○左近政府委員 現在の灯油の消費状態が、何といいますか、節約がなされないでおりまして、そして値上げによって節約効果を出そうというふうな議論がもしあるとすれば、これは先生御指摘のように、はなはだ実態とかけ離れた考え方だろうと思います。私ども寒冷地から何回もお話を伺っておりますし、また現地へ担当者を派遣して実情も調べておりますので、そういう点はそういう議論が現在通るというふうにはわれわれ考えておりません。したがいまして、審議会の席上でも通産省の考え方は十分披瀝をいたしまして、審議が正常に行われるように持ってまいりたいというふうに考えております。
  69. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 一応部長の答弁を信頼をして、そういう暴論が横行しないように期待してやみません。  そこで、新しい価格体系という言葉が出ておるわけですが、新しい価格体系をつくるには、それについての新しい一つの価値観が前提になると思う。成長型のいままでの価格体系をそのままコストプッシュでコストを上げていくのでは、やはり成長型の価格体系になり、あるいは企業に有利な価格体系になり、生活物資についても特別の生活を守るというものは出てこない。成長型の価格体系から安定型の価格体系に持っていくという価値観が前提にあって、皆さんの言っておる石油の新しい価格体系を考えておるのかどうか。これはどうです。
  70. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油製品は、御案内のとおり、連産品でございまして、価格総体がコストを償うということになり、その後の価格の配分につきましては、需給状態とかあるいはそのときどきの経済状態というものを反映して決まっていくものでございますし、また、政策的に一つ経済の形を出すための配慮も加えなければいけないというふうに考えております。したがいまして、いま御指摘のとおり、従来のような高度成長時代の価格パターンとそれから現在のような事態に入りました時代との価格パターンは、おのずから変わってくるというふうに考えております。したがいまして、そういうことも含めて議論をしてまいりたいと思いますし、そういうことも加味しまして、実はこの第一回の審議会にお諮りする前に、とりあえず現在の逆ざやを解消するというふうな考え方のときには、従来割り安であったC重油とかナフサをもう少し値上げをするという形でわれわれは指導してきたわけでございます。
  71. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 その点はひとつ新しい価値観を前提として構造改革的な価値体系をつくってもらわなければいかぬと思うので申し上げたのですが、石油製品の一体の価格ですね、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料油、灯油、軽油、重油、こういうものが原油の蒸留の沸点の違いで製品が区別される。したがって価格構成の八〇%はいわゆる原油代で、製品が違っても、皆共通したコストである。残りの二〇%だけが製品別の価格の構成を決定する要素になっていると聞いておるわけでありますが、そのときに、私の調べによりますと、家庭用灯油は全製品のたった二%である。その二%に相当する灯油を、一般の自由経済の需要供給の関係でバランスをとって決めるという思想を堅持する必要はないじゃないか。これについては生活安定という前提に立って、灯油自身の精製費に若干の赤字ができても、原油代の八〇%プラス二〇にしないで一〇%にするとか一五%にして、その他のものについては二〇%に相当する部面を二二、三%にすることによって、全体として生活を守りながら新しい石油価格体系はつくれるし、つくるべきであり、そういう指導は妥当であり、最近出ておる企業の社会的責任論から言っても、そういうものはコンセンサスを得るものであると私は思うのですが、そういう指導をされますか。
  72. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この灯油の全体の生産に占める比率は、石油製品全体を一〇〇といたしますと、大体八%ぐらいになっておりまして、そのうちで家庭用に回る分はその七割強でございますので、全体から言えば約六%ということに相なっております。したがいまして、この数量のものをどういうふうに価格として考えるかということでございますが、この灯油が国民生活に非常に密接不可分の製品であるということから、確かにこの配分上配慮を加えるということは必要かと思いますが、その辺の配分の仕方等々は、やはり類似の油種との関係等からも慎重に考慮しなければいけないというふうに考えております。しかしながら、考え方として単純にほかの油種と同じような形で処理すべきでないという点については、御意見のとおりと考えております。
  73. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 大体石油部長の思想が前向きであると確認をして、現実に灯油の価格はこれ以上上がらないように期待してやまないし、そういうことのないように——ことに需要期になると大体便乗値上げが出ますから、ちょっとした雰囲気で非常な影響があるので、特に通産省の努力を念願してやみません。  そこで、あともう一問だけで終わりますが、一〇%の値上げの動きが仮にあるとして、何か十月の中旬ごろに産油国の方で引き上げるというふうな雰囲気があって、それが直ちにまた便乗値上げに結びつく可能性があると思うのですが、現在灯油の貯蔵が七十五日分ある。これは間違いないですか、違っておれば後で言ってください。それから、原油は二カ月分貯蔵されておる。十月の中旬に仮に一〇%輸入原価が値上がりになっても、それまでにもう港を離れた海上輸送分のものがある。合わせてみると、実際に値上げをすべき石油価格というものは、大体一月、二月あるいは三月以後ではないか。その前に上げることは全部便乗値上げになると私は思うが、そう考えてよろしいですか。
  74. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油製品全体の価格についての原価をはじきます場合には、最近は会社も一年決算が多くなりましたので、大体われわれ判断いたしますのは、五十会計年度、五十年の四月から来年三月でございますが、それをとりまして、その中で過去の原油の在庫、それから将来入ってくる原油の価格というものを評価をいたしまして、そこからコストをはじくわけでございます。したがいまして、過去の在庫分がどれだけあるか、いつから値の上がった原油が入ってくるかということをチェックしながら、五十会計年度のコストをチェックするという形になっております。  大体OPECの値上げは十月一日から実施ということになっておりますが、航海日数のかげんで日本に入ってまいりますのは、最も早くても十月の二十日以後でございます。そういう実態も踏まえまして計算をいたしまして、その中から幾ら値上げをしたらコストが償えるかという計算が出てまいるわけでございます。したがいまして、当然のことながら十月末からすぐに上げなければいけないということには相なりません。そこはわれわれの方も十分計算して、値を上げる必要があるというふうに判断いたすにいたしましても、妥当な時期にやるということでございまして、十月からすぐに値を上げるというふうなことをわれわれは考えておりません。
  75. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 十月からすぐになどということは当然のことなので、私は来年の二月ごろまでは値上げをする理由は、論理的に見ると、ないと考えたので、いま御意見を聞いたわけです。  なぜこういうことを言うかといいますと、とにかく貯蔵分を含んで安い原価の原油があり、灯油が貯蔵されておる。したがって、灯油に限っても、現在の価格を保持していくことは、二、三カ月までは余りむずかしい理屈でなく、企業が、正当に考えれば、原油が十月から一〇%上がっても上げる理由はないんだ。東北あたりは、大体、石油を使うのは四月五月で、六月になると暖かくなってくる。三月ぐらいまでは安い原価の石油が国内にある。あるいは二月ぐらいかもしれません。そこで、いわゆる需給関係とか自由価格というふうなことを主張する企業が一方にあるでしょう。しかし、あと三月、四月ぐらいの二カ月を抑えてやればことしの冬は越せる、現状価格を維持してやれるじゃないかという理屈も成り立つと私は考えたので申し上げた。  この灯油問題だけは、生活保護の原理というものを需給関係の古い伝統的な自由経済の原理だけによらないで、プラスをして、最近企業の社会的責任論も出ておるのだし、また安定成長というものを前提として経済政策の転換もあるわけでありますから、その辺しっかりと一つの哲学を持って向かっていただきたい。  以上申し上げまして、私の質問を終わります。
  76. 横山利秋

  77. 小林政子

    小林(政)委員 私は灯油の問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、本年六月以降、灯油の元売り指導価格が廃止をされたわけでございます。その際、ただいまもいろいろと値上げの問題等について御意見がございましたけれども、これを廃止することによって相当価格が上がるのではないか、これは私どもの、北海道から出ております多田議員も、具体的な数字を挙げて、恐らく需要期を迎えて価格が相当上がるのではないかということを質問いたしていたわけでございますが、元売りの仕切り価格は現在幾らになっているのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  78. 左近友三郎

    ○左近政府委員 現在の元売り仕切り価格は、これは会社によって違うわけでございますが大体二万九千円から二万九千六百円の間にございます。
  79. 小林政子

    小林(政)委員 当初、六月段階では二万五千三百円ということになっておりましたけれども、その間二万九千七百円あるいは六百円ということで、この半年の間に相当値上がりをしているわけです。六月ですから、まだ半年たちませんね。五カ月近くの間に上がっているわけです。五十年八月の資料を私、持っておりますけれども、灯油の元売り仕切り価格は二万九千七百円、これは石油業法に基づいた届け出によって出されているものだと思いますが、間違いありませんか。
  80. 左近友三郎

    ○左近政府委員 二万九千七百円という数字は、石油業法に基づいてとりました数字平均でございますが、これは工業用灯油と民生用灯油との平均でございますので、民生用灯油はそれよりも安くて、その当時、八月では二万九千三百円という数字になっております。
  81. 小林政子

    小林(政)委員 灯油の問題について、通産省は一体国民生活にとってどのような位置づけをされているのか。御承知のとおり、かつて灯油の価格が、元売り仕切り価格で一万二千九百円、四十九年三月のときには、他の油種は平均八千九百四十六円ですが、一斉に値上げをした際にも、灯油については据え置くという措置をとられたわけですし、また四十九年、昨年の六月の段階でこれについて一万二千四百円の値上げを認めて、結局は二万五千三百円、こういう元売り仕切り価格状況になっていたわけですけれども、その間これを廃止した。歯どめをとれば相当上がってくるのではないかということは当初から予想されていたわけです。そういう中で、いま現実にもう実勢の価格では三万円というようなところも出てきている。こういう状況を見ますと、あの時点で歯どめ措置をとられたことが妥当であったとお考えになっているのかどうなのか。そしてまた、灯油という問題について、この位置づけを国民生活の立場から通産省はどのように具体的にお考えになっているのか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。
  82. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘のとおり、家庭用灯油というものは国民生活上必要不可欠なものでございますので、極力低廉である方が望ましいということは、われわれも考えております。したがいまして、いま御指摘のありましたように、八千九百四十六円の値上げを認めた時点がちょうど昨年の三月でございました。その時点で、需要期のさなかに値上げをするということは非常に価格の混乱を生ずるということもありますし、また便乗値上げを誘発するということもありましたので、四十八年の冬から四十九年の春にかけての需要期については据え置きということにしたわけでございます。     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕 しかしながら、需要期が終わりました時点では、類似の油種、たとえば軽油とかA重油というものと著しく格差がございますと、その次の需要期、つまり昭和四十九年の秋から五十年の春にかけての需要期に十分な数量を備蓄することができないという理由で、二万五千三百円という元売り仕切り価格の指導に昨年の六月に切りかえたわけでございます。その時点で、この三月時点の軽油、A重油と大体価格が並んだということに相なっております。  したがいまして、われわれといたしましては、軽油とA重油の値段と余り格差のないという形での指導を続けてまいりたいということで、昨年はそういう形で冬を越したわけでございます。しかしながら、軽油、A重油は昨年の八月に価格を自由にいたしましたので、その部分はやはりコストが上昇してまいりました。そこで、ことしの六月については軽油、A重油並みということの歯どめを残して、しかしながら、二万五千三百円というのではことしの冬の備蓄が十分完遂できないというおそれがございましたので、自由にしたわけでございます。  したがいまして、家庭用灯油については数量を確保し、しかもできるだけ低廉に持っていくということは、今後もわれわれは十分努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  83. 小林政子

    小林(政)委員 先ほど各地域での小売価格などについても質問ございましたけれども東京でももう七百円というところはざらに出てきております。まして東北、北海道というところは、ともかく生活水準とか所得水準、こういったものに関係なく、暖房としてはこれはもう最重要の必要物資であります。したがって、生活に欠かすことのできない重要物資である灯油の問題について通産省はどう位置づけているのか。まして寒さの中で、東北、北海道方面ではもうそれこそ十万円からの経費がかかるという実態です。しかも、そうかといってこれを省くということはできない。あるいは所得水準が低いからといってドラムかんを半分にするということもでき得ない。こういう立場から、灯油の位置づけという問題、家庭用灯油を一体どうお考えになっているのか。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕  それからまた、先ほど、四十九年三月の段階では一応据え置いたというお話でしたが、これは、この問題を一つ政策料金として取り扱っていくという姿勢を通産省は示していたんじゃないのですか。どうなんですか。
  84. 左近友三郎

    ○左近政府委員 灯油に対するわれわれの考え方は、先ほどから申し上げておりますように、国民必需物資、ことに寒冷地域においては非常に重要な物資だというふうに考えております。したがいまして、この物資を量的にも十分確保し、また値段もできるだけ低廉に持っていくという政策をとっていきたいというふうに考えております。先ほども御指摘のありましたように、ことに需要期の最中に値を上げるということは、しかも昨年の春にはまだ狂乱物価の時代でございましたので、便乗値上げその他を誘発するおそれもございましたので、三月には上げずに六月までその値上げを抑えたということがございます。今後もこの灯油の価格につきましては、十分政策的な配慮はしていきたいというふうに考えております。
  85. 小林政子

    小林(政)委員 私はこの問題は政策料金として——たとえばいま石油業界が赤字を出している、これを何とかしなければならない、逆ざやの解消などということでいま新聞などでもいろいろと報道されておりますけれども、そういう一環としてこの灯油の問題を扱うべきではない、こういう見解なんです。あくまで国民生活にとって欠かせない必需物資である、こういう立場からこの問題については、もちろん量の確保の問題も含め、そして政策料金としてこの問題を貫いていくお考えというものが通産省の姿勢の中にあるのかどうなのか。まあ、A重油あるいは軽油などと同じようにというようなお話もありますけれども、この灯油の問題についての根本的な考え方ですね、こういう基本的な政治姿勢をまずお聞かせを願いたいと思います。
  86. 左近友三郎

    ○左近政府委員 灯油に対する姿勢につきましては、通産大臣も何回かの国会におきます御答弁でも申し上げておりますように、政策的な配慮をしていくということを申しております。したがいまして、われわれといたしましては、単にほかの油種と同じような扱いでなくて、価格、数量というものについて十分納得のいくような数値を持っていきたいというふうに考えております。しかしながら、基本的に申しますと、余りコストからかけ離れた価格をつけるということは、むしろ数量の確保も非常にむずかしいということにもなります。したがいまして、われわれとしては、全体の石油製品価格体系の中で配慮をしていくということでございます。
  87. 小林政子

    小林(政)委員 現在、灯油の備蓄量はどのくらいありますか。  それからもう一点。類似ということでA重油あるいは軽油等とできるだけ同じようにしていきたい、こういうことを言われましたけれども、この六月一日から元売り仕切り価格の指導価格が撤廃になりました。そのときに、通産省というよりも資源エネルギー庁が五月三十日付で出しました「家庭用灯油の指導方針について」という文書を見ますと、この時点で「ところで、現在の家庭用灯油の元売仕切価格は二万五千三百円/klと元売平均仕切価格を相当下回り、また類似油種である工業用灯油、軽油、A重油とも三千円−四千円/kl」の開きがある。こういう通達を出しているわけですね。ところが、現在で見てみますと、その当時三千円から四千円の開きがA重油あるいは軽油とあった。ところが、いまの時点といいますか、五十年八月段階の数字を見てみますと、軽油は元売り仕切り価格が二万九千六百円、A重油が二万八千四百円、灯油が平均で二万九千七百円。当時三千円から四千円の開きがあったのですね。これは通産省が行政指導でここまで灯油を上げてきたのですか。
  88. 左近友三郎

    ○左近政府委員 最初にお尋ねのありました在庫の点からお答えさせていただきます。  在庫につきましては、灯油が需要期に至りまして価格が品がすれで暴騰するということが一番問題でございますので、夏場に十分な在庫を積ましておいて、冬に至りましてその在庫とそれから冬場に生産するものと合わせて供給をする、そして潤沢な供給をすることによって不当な価格の値上がりを抑えるというのが基本的な方針でございます。大体ことしの冬の在庫については五百九十万キロリットル強を目標にやってまいりました。これは九月末の目標でございます。それが現在九月末の速報統計数字でございますが、出ております数値を調べてみますと、この数値は足して大体六百万キロリットルに達するようになっております。したがいまして、数量的にはこの冬は問題はないというふうに考えております。  それから価格につきましては、いま御指摘のとおりの数字でございます。そして、結局、われわれがそのときに申し上げましたことは、元来たとえば石油危機の以前の価格の体系を見てまいりますと、灯油、軽油、A重油というのは、いわゆる中間留分といいまして、石油製品の中でほぼ中間的な地位にある油でございます。そしてその中でやはり精製度の高いのは灯油でございますので、値段の通常の体系は灯油、軽油、A重油という形でだんだん安くなってくる。しかし、値幅がそれほど大きくなくて、いろいろな油の中の中間的な価格を占めておるというのが通常でございました。したがいまして、われわれといたしましては、軽油、A重油と余り大きな格差を与えないということにしておりますれば、むやみな暴騰は防げるというふうに感じておるわけでございます。ただ、六月段階で三千円程度の格差がありましたので、これでは今需要期に向かって灯油を積み増させるというときに現実的な障害になるということで、この二万五千三百円という価格を自由にいたしました。しかしながら、軽油、A重油よりも著しく高くならないということの歯どめつきで自由にしたということでございます。したがいまして、後の値上がりについてはわれわれは別に指導はいたしておりません。ただ、それ以上灯油が上がらないようにという頭を押さえるということだけをやってきたわけでございます。したがいまして、現在灯油、軽油、A重油とほとんど並んでおるという状態は、現在の価格水準から言えば、やむを得ない水準ではなかろうかというふうに考えております。
  89. 小林政子

    小林(政)委員 私は非常におかしいと思うのですよ。これは通産省が、類似品という軽油だとかあるいはA重油、それと大体同じくらいになることが望ましい、こういうことをはっきりと公式の通達の中にも——格差がこれだけあります、そして逆にほかの文書を見ますと、大体それと同じ程度が望ましいというふうにとれる文書を出しているのですね。そういう中で、わずか四カ月か五カ月の間に逆に今度は灯油の方がA重油を、わずかではありますけれども平均元売り仕切り価格は上回っていますね。A重油は二万八千四百円で、灯油の場合にはここでの平均は二万九千七百円ですね。ですから、上回っている。こういうものがわずか五カ月くらいの間に通産省が何らかの形で介入しないでひとりでに上がっていくものなのでしょうか。本当にもっとはっきりとした態度で、通産省は、何かガイドラインだとか行政指導ということで——価格を抑えるということの行政指導は国民は皆喜んでいますよ。価格をつり上げる行政指導というのは、一体これは何なんですか。いや、私どもとしてはこれが望ましいということを言っただけなんだ、実勢価格でもって需要と供給との関係価格というものは決められていくというふうに六月以降はなったのですと。ところが、ぴったりとこういう形になり、しかもA重油を上回るというようなところまで灯油がこれだけ短期間の間に上がってきたということは、逆に、いろいろと石油製品逆ざや解消云々というようなことが盛んに言われている中で、何か一番国民生活に密接な関係のあるこういう灯油が、逆ざや解消の最先端に立つ。そしてナフサだとかC重油というようなことよりも灯油をまずここの短い期間に、他の油種はなかなか売れない、灯油はなかなか魅力がある、こういうことで、備蓄も一応五百九十万ですかできているということですけれども、これはもう業界が、ほかの品物が値上げしてもなかなか売れない、ところが灯油は冬になればどうしても欠かすことのできないものだ、生活必需品だというところから、備蓄もある程度そういう形でふえてきたでしょうが、価格は通産省のそういうお墨つきで上がってきたのじゃないか。これは国民が納得しませんよ。私どもは介入しておりません云々とおっしゃっても、事実こういう数字がはっきりとここで出てきているということは問題じゃないでしょうか。国民にわかるように、ひとつ誤解をされないように、はっきり答弁してください。
  90. 左近友三郎

    ○左近政府委員 私の説明が言葉が足りませんで申しわけございません。実は、先ほど申しましたように、自由な価格、つまり従来からの石油危機前の値段とかあるいは諸外国の値段というふうなものを見ますと、灯油、軽油、A軽油、並べて考えますと、普通は灯油の方が高くてその次が軽油、その次がA重油という形になっております。したがいまして、ほっておきますと、自然の価格形成になりますと、灯油の方が値が上がるわけでございます。それを実は昨年以来ずっと抑えてまいりまして、昨年の六月からは二万五千三百円ということで抑えてきたわけでございます。しかしながら、ことしの春に至りましてほかの油種が相当値上がりをいたしましたので、その格差が、先ほど言いましたように、三千円以上出てまいりました。これは非常に不自然で、灯油以外のもの、たとえば軽油とかA重油というのが高いと、そちらの方に物が流れて灯油の確保ができないということになりましたので、二万五千三百円というわれわれが抑えておりました天井を取り払ったわけでございます。しかしながら、これも自由にいたしますと、軽油がA重油の価格を上回った値段が出てまいります。したがいまして、自由にはするけれども、軽油がA重油の値段以上に上がってはいけないという、やはり上を抑える指導はずっと続けてきたわけでございます。したがいまして、決して値上げを指導したわけではなくて、自由な価格形成に任しておきますともっと上がるわけでございます。しかし、灯油は、いま御指摘がありましたように、ほかのものが売れないからといって、ほかのものの売れない損失分を灯油にかぶせるということは、われわれは絶対許すことができませんので、灯油については軽油、A重油並みということで頭を抑えてきたということでございます。
  91. 小林政子

    小林(政)委員 石油業界は今回赤字を出している、こういうことで、一つには逆ざやの解消をこの段階でやらなければならない。そして第二段階としては、OPECでの一〇%からの原油価格の値上げの問題について審議会で検討するということでございますけれども、業界で、非常に赤字を出しているという宣伝をやっておりますね。しかし、国民の側から見ますと、具体的な資料も国会にも提出されないし、一体実情がどうなっているんだか、そういうこともわからない。こういう中で、千載一遇の好機だなどといったああいう状態から、国民は、やはり石油会社が赤字だ赤字だと言っても、具体的な実態もわからない、中身もわからないで、ああそうかと簡単に信用するというようなことはできないんじゃないか。これは当然のことだと思うのです。また、事実業界が言っている赤字宣伝、これもいわゆる新価格体系に乗りおくれたというようなことで赤字が相当出ているんだ、価格をもっと上げて早く新価格体系に乗りかえるんだ、こういうようなことも言われているわけですけれども、私は、やはり今回の赤字は、いわゆる新価格体系が実現していないから赤字が出ているんだということではないと思うのです。  御承知のとおり、C重油にしろナフサにしろ、数字を見てみますと、販売量そのものが非常に落ち込んできている。そしてこれは、C重油の場合を見てみますと、四十九年の四、五月あたりから六、七、八と販売量そのものは対前年比で見てもずっと落ち込んでいるわけです。たとえば四十九年の五月を見てみれば、対前年比で八八・一%、六月は八六・八%、七月は八五・六%という形で、ずっと数字を追っていきますと落ち込んでいるわけです。五十年五月も、落ち込んだ四十九年度の一年前に比べても八三・三%という数字が出てきております。販売量そのものが非常に落ちてきているし、またナフサの販売量を見ましても、五十年三月の段階を一つ例にとってみても、これもやはり対前年比七五・四%、四月は八〇・三%、五月は八〇三%という形でずっと全部落ちてきているわけです。実際にはこういう落ち込みといいますか、販売量そのものが、不況もあるでしょうし、よくない。こういうことが赤字の原因じゃないか。しかもその赤字の解消は、第一段階としては逆ざやの解消なんだ、新価格体系への移行なんだという形で、すべて国民に転嫁するというような行き方は問題ではないかと私は思いますけれども、いまの業界が出しているこの赤字の内容について、具体的にどのような見解をお持ちか、お伺いをいたしたいと思います。
  92. 左近友三郎

    ○左近政府委員 現在の石油企業の赤字の原因につきましていま御指摘がございましたが、赤字の基本的な原因といたしましては、原油代の大幅な値上げということがあるわけでございまして、御承知のとおり、石油危機前に比べますと原油価格が四倍以上の値上がりを示しております。したがいまして、この輸入の原材料価格上昇した分は、将来もちろん一部は企業がその企業努力で吸収はいたしますけれども、吸収できない部分は、やはり製品価格となって、国民経済全体の中でそれが吸収されていくということになろうかと思いますが、ちょうど石油危機後の不況と重なりまして、御指摘のように、工業生産が伸び悩みましたものですから、工業原材料の需要が落ち込んだということが大きな原因の一つに確かになっておると思います。  しかしながら、結局不況回復した暁において、ある程度の石油製品の値上がりを国民経済で吸収していただくということが必要ではないかというふうに考えております。したがいまして、この赤字というものが今後石油価格に正当に反映をしていかなければいけないというふうに考えております。ただ、その点で、企業努力を全然無視して、単純に製品値上げに走るということは、やはりわれわれとしても十分チェックしていかなければならないというふうに考えております。
  93. 小林政子

    小林(政)委員 赤字を出しているからということで、不況でもって品物が売れなくなってきた、したがっていろいろとコストも比重が高まってきている、こういうことで、すべてその分を国民に転嫁をしていく、こういう安易な考え方で通産省が業界の立場に立って指導するということは、私は問題だと思うのです。  これは一つお伺いしたいのですけれども、四十八年の十二月の段階で、元売り仕切り価格について、キロリッター一万四千四百四十円の段階で、一月以降の原油の輸入量の総平均を加えて、八千九百四十六円を加算したんだ、こういうことを国会の答弁でおっしゃっているわけです。キロリッター当たり平均で八千九百四十六円を上げるについては、そういう理由がつけられていますけれども、原油が上がった分についてはこれでもってカバーできるということで、当時八千九百四十六円の値上げを通産省が認めたわけでしょう。ここのところを少しはっきりさせてください。
  94. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘の、昨年三月に行われました八千九百四十六円の値上げは、どのように計算をいたしましたかと申しますと、大体四十九年度の上期の石油製品価格というものを考えまして、そのためには四十九年の上期に入ってまいります原油の値段を調べたわけでございますが、それは当然この当時在庫は相当安い原油が入っておりました。したがいまして、そういう過去に入った安い原油と、それから今後入ってくる高い原油とを平均いたしまして、コストを算出したわけでございます。ところが、その後、四十九年三月から一年半以上になるわけでございますが、そういう安い油はもうすでに使い尽くしました。それから、その三月時点からまた原油の価格が大体一ドルぐらい上がってまいっております。四十九年三月の輸入原油のCIFの価格、これは関税統計でございますが、これが一バーレル十ドル五十一セントの値段でございましたのが、五十年八月、ことしの八月には十一ドル七十七セントということになっておりまして、大体一ドル強の値上がりをしております。したがいまして、四十九年の上期では償えたこの八千九百四十六円の値上がりは、今日に至っては逆ざやを発生せざるを得なかったという理由はあるというふうに考えております。
  95. 小林政子

    小林(政)委員 四十九年度経済白書でも、原油価格の高騰分をすべて国内価格に転嫁するという、そういう新価格体系への移行ということは国内においてはもっと狭く解釈すべきだということが、やはり解釈としては正しんじゃないかということがはっきりとうたわれていますしね。  こういう点から考えても、灯油の問題一つをとっても、国民は、自分の家がこれだけ不況インフレで仕事を続けられるか続けられないかわからない、あすにも倒産するかわからないという事態になっても、実際問題として、それじゃ国がどうめんどう見てくれるのか。石油の場合は、ともかく赤字なんだ、だから何とか国のてこ入れでひとつ価格をもっと引き上げてもらいたい、売れ行きが不振だから何とか政府の責任でてこ入れでもって価格をもっと上げてもらいたい、こういうようなことを言い、あるいはまた、どんどんもうかっているときには、設備投資に金がかかる、だからもうとてもじゃないけれども資金が不足していて、そのためにもう少し一般価格を上げてくれ、不況になれば不況になったで、景気のいいときは景気のいいときで、あらゆる形でそういう要求が出てくる。しかし、一般の家庭はもう火の車であっても、政府が具体的にこの問題についてどういう処置をいままでやってくれたか。これはある人が本当に真剣に私に訴えた事実ですけれども、こういうことを考えますと、今回のこの業界が言っている、赤字だから通産省がここでてこ入れを行っていくということは、これは本当にそうであるなら、国民の前に実態を明らかにしてくださいよ。事実、業界からいろいろ資料が出てきているんでしょう。原価も含めてはっきりさせてください。そうでなければ、だれが信用しますか。中身がよくわからない。こういう問題について具体的にどうお考えになるか、御意見を伺いたいと思います。
  96. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油企業が赤字を続けておるということにつきまして、われわれといたしましては、企業を擁護するという観点ではなくて、日本のエネルギーの大半を供給しております石油の供給者として、それが成り立つようにならなければ日本石油の供給の安定も保てないという観点から検討しておるわけでございますが、お説のとおり、やはりその実態を究明する必要があるわけでございます。したがいまして、現在石油審議会で議論をしていただいておりますので、その石油審議会の議論の過程においてその問題を究明してまいりたいというふうに考えております。
  97. 小林政子

    小林(政)委員 石油審議会が明日も開かれるということですけれども、この審議会に提出をいたします諮問案というものはどういうものなんでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。
  98. 左近友三郎

    ○左近政府委員 明日予定をしておりますのは、いままさにお話がありましたように、石油産業の実態の把握を委員の方にしていただこうということでございまして、そういう実態把握をやっていただいた上で価格をどうすべきかということを議論していただいて、その上で標準価格の案を出そうというふうに考えておりますが、標準価格の案をまとめてお出しするのはやはり今月の中旬以降になろうかというように考えております。
  99. 小林政子

    小林(政)委員 石油審議会は、明日から本格的に開かれて、聞くところによりますと、今月末にも答申を出すというふうにも伝えられております。今月末というと、もうそれこそ期日もそうないわけですけれども、こういう中で当然価格の問題についても、政府としてどのくらい値上げをしたいというような数字なんかはもう諮問しているのじゃないですか。そういうものは一切まだおつくりになっていないのですか。
  100. 左近友三郎

    ○左近政府委員 先ほど申しましたように、石油製品価格といいますのは、連産品でございまして、どの製品にどういうふうな価格の配分をいたすかということが非常に大きな問題になってまいります。したがいまして、まず石油産業の実態を審議会で議論をしていただきまして、どの程度の赤字かということ、あるいは値上げ幅がどの程度かということも決めなければいけませんが、さらに重要なのは、その上げなければいけない分をどの油種に配分していくかということでございます。したがいまして、その辺の考え方を審議会でまず議論をしていただきまして、その上で数字を出したいというように考えておりますので、現在われわれとしては、その考え方がまとまってから試算をいたそうということでございまして、油種別の数字についてはまだ検討中ということでございます。
  101. 小林政子

    小林(政)委員 これがたとえば来年にまで向けて諮問を出して答申をお願いするということであれば、まだ準備もできていないとか、あるいはまた諮問案についての値上げ案も政府としてはこれから具体的に検討するということは、筋が通ると思うのですよ。しかし、聞くところによりますと、今月末にも結論を出して答申をしていただく。これはどうなんですか。
  102. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま申しましたように、コストをどう考えるかという考え方あるいは油種別の配分をどうするかという考え方をまず審議会で議論していただきまして、この議論の中には、先ほど申しましたように、灯油をどう配慮するかということが当然入ってくると思いますが、そういう考え方に従って計算をしなければいけないというように考えておりますので、われわれといたしましては、まずその考えを議論していただくということを前提にしておるわけでございます。
  103. 小林政子

    小林(政)委員 諮問案は提出していないということですね。
  104. 左近友三郎

    ○左近政府委員 少なくとも明日は実態説明ということでございまして、まだ諮問案を出す予定はございません。
  105. 小林政子

    小林(政)委員 それではお伺いしますけれども、今回通産省がお考えになっている諮問の中に、灯油も含まれるのですか、どうですか。
  106. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油製品全体の価格の問題を討議していただこうというふうに考えておりますので、灯油もこの中に含まれるというふうに考えております。
  107. 小林政子

    小林(政)委員 今回のOPECの値上げ分の中で、実際に元売り全油種の販売総額に占める民生用灯油の額の割合というのは大体どのぐらいになりますか。
  108. 左近友三郎

    ○左近政府委員 四十九年度の実績から計算をいたしますと、灯油の石油製品総販売額に占めるウエートは約八%でございます。ただ、灯油の中で工業用灯油が若干ございますので、民生用灯油だけに限りますと約六%ということに相なります。
  109. 小林政子

    小林(政)委員 これは額はわかりませんか、販売総額の中に占める民生用灯油の額の割合は。
  110. 左近友三郎

    ○左近政府委員 これは販売総額と、それから単価をどう見るかということで若干数字の移動が出てまいるかと思いますが、一応推算ということで御容赦願いたいと思いますが、石油製品全体で四十九年度で大体六兆六千億円強の売り上げがあるわけでございますが、そのうち灯油、ことに家庭用灯油は大体三千八百億円ぐらいであろうというふうな推算が出ております。
  111. 小林政子

    小林(政)委員 その占める割合も、量の上からも、民生用灯油の場合は六%ぐらいということですし、また、いま総額もお聞きしましたけれども、額からいっても六兆円を超える中から三千八百億という、量としても額としても本当にわずかである。今回の石油審議会に値上げということで諮問をする中に、こういうごくわずかであり、しかも一部である灯油、この値上げを諮問するというようなことは、それはもう国民生活に必要不可欠の物資でもありますし、そういう点から考えても、本当に政策的な価格というものを貫いていくんだというお考えがあるなら、この問題については私は据え置くべきではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  112. 左近友三郎

    ○左近政府委員 灯油価格につきましては、再々申し上げておりますように、国民生活に及ぼす影響を考えまして、極力抑えていくという形に持ってまいりたいというふうに考えております。したがいまして、十分政策的な配慮を講ずるということを考えております。
  113. 小林政子

    小林(政)委員 これは据え置くべきだというふうに私は強く要望いたしておきます。  なかなか据え置くということはおっしゃらないわけですけれども、灯油をこの審議会の諮問案の中に含めるということ自体  含めるということははっきりしたわけですけれども、これは私は問題だと思うのです。しかも、今回のこの第二段階の審議会に諮る値上げ問題につきましては、石油業法の十五条に基づく標準価格を設定する、こういうことが言われておりますけれども、標準価格は、なぜいまの段階で業法を適用して行おうとしているのか。本来、自主性といいますか、市況に任せるというような、こういうことで価格を決定していくということが、いままで通産省あたりでもよく、いまの社会の中ではそういうことが一番適正なんだということをおっしゃっていましたけれども、今回、業法をここで適用して、そして十五条を適用して標準価格を決定していくというこのねらいは、一体どこにあるのでしょうか。
  114. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油業法の標準価格は、価格が非常に下落をいたしまして、そういたしまして結局コストが償えなくなる。そういたしますと、石油企業自身の運営が非常に困難になりまして、したがいまして、石油の供給に非常に問題が生ずるという事態に発動するということになっておるわけでございますが、現在の事態は、われわれも昨年以来石油企業実態を見てまいりまして、現在に至って大体三期赤字を続けております。そして、しかもこの十月のOPECの値上げという事態に際会したわけでございます。したがいまして、この時点では、やはりこの石油業法で考えておる時点ではなかろうかというふうに考えておりまして、そういう標準価格というものを公示いたしまして、その価格に従って取引が将来行われるということによって石油の供給の安定化を図りたいということでございます。  それから、先ほどお話がありました灯油価格を標準価格の検討の中に加えることについてでございますが、石油はやはり連産品でございまして、仮に灯油価格を計算の数値よりも安くするということにいたしますと、ほかの油種の値段を上げなければならないというふうな相互の連関性がございます。したがいまして、石油価格を議論するときは、やはり灯油も含めて議論をするということにせざるを得ないということでございまして、灯油を意図的に値上げするためにそこへ出すというふうなことではわれわれは考えておりません。
  115. 小林政子

    小林(政)委員 時間がもう来てしまいましたけれども、私は今回の御答弁を聞いておりまして、今回、業法に基づくこのような標準価格の設定の問題一つを取り上げましても、あるいはまた本年六月の段階で元売り仕切り価格の指導価格を廃止するというあのときの危惧等から考えても、通産省がおやりになっている行政というのは、業界等のこの状況を何とか通産省がてこ入れして、値を国民の立場に立って抑えるということではなくして、結局は価格を引き上げていくということに結果としてはなっているという疑いを晴らすことはできませんでした。  この問題について、きょうは時間がありませんので、私は引き続いてこの問題を取り上げていきたいというふうに考えますけれども、標準価格を設定するときには当然メーカーから生産費など詳細な資料を提出させることになると思いますが、これを公表し、国民の納得のいく価格にすべきであると思いますけれども、最後にその点についてお答えをいただいて、きょうの質問を終わりたいと思います。
  116. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油審議会の場におきまして十分討論がなされることだろうと思いますが、その資料の取り扱い方につきましても、審議会にもよく御相談をしてやってまいりたいというふうに考えております。
  117. 小林政子

    小林(政)委員 審議会のことを私は聞いているんじゃないのです。審議会の方は審議会で独自の形でいろいろと御論議なさると思います。しかし、委員会として、こういう問題について政府国民に公表するのかどうなのかということを、私は本委員会で質問をしているわけなんです。責任ある答弁をお願いいたします。
  118. 左近友三郎

    ○左近政府委員 私、いま申し上げましたのは、審議会においてその検討結果が明らかになってまいるということを申し上げたわけでございますが、それについて当然審議会の議論になりますデータは公にされるというふうにわれわれは考えております。
  119. 小林政子

    小林(政)委員 委員会として、審議会に提出した資料をぜひ本委員会にも提出をしていただくようにお取り計らいをよろしくお願いいたします。
  120. 横山利秋

    横山委員長 理事会で相談をいたします。  石田幸四郎君。
  121. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまお二人の委員の灯油に関する議論を聞いておりまして、なおいろいろ納得のいかない点がありますので、この点について先に二、三質問をいたしたいと思います。  まず十月十七日に、経済閣僚協議会の席上におきまして、総務長官から、灯油価格が値上がりしそうである、物価対策上好ましくないので十分注意をしてほしい、こう通産大臣に要請があったと伺っておりますけれども、その要請を受けて、いわゆる通産省としましては具体的にどういう柱を立ててこの総務長官の要請にこたえようとしているのか、まず簡単にこれを御説明いただきたいと思います。
  122. 左近友三郎

    ○左近政府委員 需要期を控えましてそういう御注意があったものでございますので、先ほどから申し上げておりますように、六月以来軽油とかA重油とか類似の油種以上に元売り仕切り価格を上げることのないようにという指導をやっておりますので、それについて十分チェックするとともに、実は需要期の、ことに当初は末端価格が混乱をいたしまして、比較的高い価格が出てくるというような状態があるものでございますので、当時特に需要期に入りました北海道等につきましては、地方の通産局を動員いたしまして、そういう末端価格で高いものが出てきた場合には個別にも指導をするということでやってまいっております。  また灯油につきましては、共同購入を進めていただきますと比較的流通経費が安くなりますので、そういう点での共同購入を進めるような配慮も通産局を通じてやるというふうなことで、われわれが六月以降とっております政策が十分浸透するような配慮を、改めて各通産局に指示をしたということでございます。
  123. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 先ほど山中委員からの御質疑もございましたけれども、いわゆるOPECで決まりました一〇%の原油の値上げの問題、十月一日から実施されることになっておりますけれども、その原油が日本に到着をいたしまして灯油として精製をされ、販売をされるという時期の問題。それから、いま赤字であって逆ざやが出ているわけでございますけれども、こういう一〇%の原油値上げの問題と逆ざやの問題というのは区別して、この灯油の価格対策問題としては考えるべきじゃないかと私は思うのですけれども、この点についてはどうなっておりますか。
  124. 左近友三郎

    ○左近政府委員 原油の価格は十月一日以降値上げになりましたけれども、御指摘のとおり、日本に入ってくるのは早くても十月の末になりますし、しかも、在庫の油というものは以前の値段を持っておるものもございます。したがいまして、これをチェックする場合には、そういう過去の油、それから将来入ってくる油というものを一年という決算期で見まして勘案するわけでございますので、その辺の、新しく油が入ったらすぐにその値段にするという形にはならないというふうに考えております。
  125. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点でございますけれども、特に九月末の灯油の民生用の在庫というのは五百九十六万キロですか、そういうふうに新聞報道をされておりますけれども、これは今期の需要量の約半分というふうに考えられるわけですね。そうすると、少なくとも季節的に見ても、一月末あるいは二月にかけていわゆる古い価格のものが原油として入ってきているわけでございますので、そこら辺まではこの一〇%の原油の値上げというのは響かない、こういうふうに推論をしてよろしいですか。
  126. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油製品は、先ほどから再々申し上げておりますように、連産品ということで、原油を精製いたしますといろいろなものが一緒に出てまいります。したがいまして、個々の油のコストというものは把握できなくて、全体の中で見ていくということになっておりますので、計算上は、灯油だけが備蓄があるからということで灯油の値段がどうなるかというふうな計算は出てまいらないわけでございますが、おっしゃるような考え方もとれるわけでございますので、今後の灯油の値段を決めるときには、そういう要素も十分配慮の中に入れなければならないのではないかというふうに考えております。
  127. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それから灯油の値上がりの問題でございますけれども、じりじり上がってきている、前年度比で一〇%は上がってきているわけでございますが、このままの勢いで推移をいたしますと、やはり八百円くらいまでは上がるんじゃないかというようなことも予測をされておるわけでございます。政府はいまいわゆる物価抑制策、先ほど長官もおっしゃったように、これをどうしても一けた台に抑えなければならぬというような方針があるわけですね。そうして考えてみますと、そういう方針が基本的にあるわけでございますから、灯油価格が八百円台というようなことになりますと、これは前年度比にしてみますと相当な値上がりになりますね。そうしますと、あの狂乱物価のときに制定をいたしました国民生活安定法との関連において、どの程度まで石油が上がった場合にこれを活用しようとなさるのか。これは経企庁あたりに聞いた方がよろしいと思うのですけれども、そこら辺の考え方は経企庁の方ではどういうようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  128. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 現在の石油価格の値上がり及び灯油の値上がりに対応して国民生活安定緊急措置法を発動しないかどうかというような御趣旨の御質問かと存じますが、私どもは安定法の第三条によりますところの法律発動要件というのを三つくらい考えておるわけでございます。一つは、法律にも書かれてありますように、物価が高騰しまたは高騰するおそれがある場合、それから当該物資が生活関連物資であること、第三が、その物資の価格が著しく上昇または上昇するおそれがあるという、この三つが発動要件であるかと存じます。  この三つの中で、現在これが当然生活関連物資であることは間違いございませんけれども、第一の条件、第三の条件につきましては、先ほどから長官も私も補足説明申し上げましたように、物価がいまのところ鎮静いたしておりますし、また今後政府の九・九%への努力ということを考えますと、高騰することが一般的な物価水準についてはないと考えますし、また当該物資の灯油価格も、先ほどから左近部長から申し述べておりますように、いまのところは値上がり分が十分に灯油価格に転嫁されていくということは比較的少ないだろうということが言われておりますので、現在のところは、この緊急措置法を発動するつもりはございません。  また、釈迦に説法になりますけれども、この緊急措置法は、どちらかと言いますと、臨時緊急措置を定めたものだと理解しておりまして、四十七年以降のあの例の物価高騰はきわめて異常であったし、その背景となりましたものが総需要の急速な拡大でありましたし、そういうことを背景にいたしました先高見越しの先取り的な価格引き上げというものがあった、あるいは海外物価の高騰がきわめて急激であった、あるいは投機的な機運とかインフレ心理が高まっておったというようなこともありまして、総需要抑制政策だけではとても価格高騰に対して十全に全うすることができないというような事態において、個別物資対策としてこれをやった経済的な背景がございますが、こういう背景自体はいまのところないと私は存じます。  先生御心配のような事態が招来いたしましたならば、もちろんこれは主務大臣との十分な御相談の上でございますけれども、そういうことが招来いたしますならば、その時点において考えなければならない、こういうように考えます。
  129. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 法律に基づけば、そういうような解釈をあなた方がなさるのも無理はないとは思いますけれども、しかしながら、この灯油の問題というのは生活に非常に直結しておるし、また政府は一けた台に抑えようという努力をしておるわけでしょう。物価狂乱の状態がない限りにおいては国民生活安定法が発動しないというようなことであっては、これは政府の基本方針とは違うじゃないですか。そこら辺のギャップはどういうふうに埋めるのですか。これは答弁いただいておりますと長くなりますから、この次また福田長官がおいでの節にこの問題はお伺いすることにいたしましょう。  ただ、これは通産省と経企庁にぜひ御勘案をいただきたいと思うわけでございますが、いま小林委員の指摘によりますれば、北海道、東北においては他の地域に比べて年間十万円ぐらいの経費増ということになる、全国平均の七、八倍もしくは九倍、十倍というような支出になるというような問題の御指摘もございましたけれども、そういった意味におきまして、それらの特定地域に対して、これだけ燃料費を家計費から支出をするということになりますと、やはり生活全般、いわゆる文化生活を営むための、これは家計における大きな圧迫になるわけでございますので、この寒冷地もしくは生活的に非常に弱い立場の人たちに対して何らかの助成措置がとれませんか。  計算をしてみますと、民生用の本年度の下半期の需要というのは約千百八十九万キロというふうに想定をされておる。仮に計算しやすくして千二百万キロというふうに考えましても、灯油の価格がキロ当たり三万円というふうに考えますと、総体で三千六百億円というようなことになりますね。この一〇%をただにしたと考えても、ざっと三百六十億。ただにするということは実際上不可能でありますけれども、仮に五%、この問題について配慮をいたしたとしましても、百八十億ぐらい。寒冷地あるいは生活保護世帯、そういうような問題を考えましたときには、そう多額のお金を支出しなくても、仮に一千万人を対象、あるいは生活保護世帯等、いわゆる生活レベルの低い人たちを考えますと、この間の予算委員会等で議論していた数字を聞きますと、約六百万人ですね。そうしますと、それらの人たちに対して一〇%の国庫助成を与えるにしても約四十億ぐらいで済んでしまうわけですね。そう多額な金じゃない。そういうような問題から何らかの助成措置というものはとれないか。これは生活を圧迫しているという現状、将来ともに圧迫するという現状から考えて、これはもちろん永久的にできる問題ではないにしても、短期間の間にそういうような助成措置を講ずる考え方はないかどうか、非常に寒冷地の人たちの生活の中に占める灯油の重要性という問題から考えて、そういうような考え方はできないかということを、ひとつ経企庁並びに通産省両省からお伺いをしておきたいと思います。
  130. 安田貴六

    ○安田政府委員 いま灯油の問題に関連しまして、民生安定用の灯油に対しては何らかの助成措置を講じて消費者負担を軽減ができないかという御質問でございますが、公務員制度等の中におきましては石炭手当等を支給されておる地域もあるようでございますが、私はやはりこれは物価問題の立場から解決することが基本的な姿勢であるべきではないか。したがって、仮にこういう種類のものを、消費者生活上相当重圧になるということを理由にして、一々助成をしていくことになりますれば、これは各種の問題が発生するわけでございますので、やはり特殊地域におけるこういう灯油問題というような国民生活に特別な負担を及ぼすものについては物価政策の面で十分に配慮をする、それ以外はやはり地域地域の産業分野において、あるいは工場に働く人あるいは会社に働く人あるいはその他の公的な職場において働く人、そういう方々の給与体系の中でこれをどう配慮していくかということで解決する以外には、政府の力でこれを補助していくという仕組みはなかなかとりにくい問題ではないか、こう考えておる次第でございます。
  131. 左近友三郎

    ○左近政府委員 灯油につきましては、寒冷地の方々には非常に大きな出費になっておるということも事実でございますし、そういう点でことに生活に困っている人にとって大切であるということは御指摘のとおりとは思いますが、いま経企庁の政務次官からも申されましたように、この問題につきましては、単に灯油のみならず、いろんな生活必需物資の取り扱いとも関連をいたしますので、われわれとしてはいまのところすぐにそういうことをやろうということは考えておりません。  ただ、寒冷地につきましては、われわれとして現在やれることとしてやっておりますのは、北海道は寒冷地でかつ灯油を大量消費するわけでございます。そうでございますが、昨年までは北海道への灯油の価格というのが、これは商慣習上からだと思いますが、むしろ割り高であったという事実がございます。したがいまして、われわれはこれを指導いたしまして、むしろ大量消費地に向けて出すのであるからそういう価格差を設けることは必要はないというような指導をいたしましては、元売りの値段を内地並みにするというようなこともいたしておりますし、それから大量販売をする場合には割り引きをするという制度を定着化させるようにも指導いたしております。したがいまして、寒冷地対策としてわれわれ現在の事態でできる限りのことはやっておるつもりでございます。
  132. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 灯油の問題はこれでやめますけれども、経企庁にひとつぜひ御要望しておきたいのは、私が申し上げましたのは、アイデアの中の一つでございまして、そういう物価物価と言いますけれども、やはり問題は人間の生活でしょう。その生活が、いわゆる憲法にも保障されておりますように、日本人はどういう地域に住んでおってもひとしく文化的な生活を営む権利はあるわけですから、やはりこういうようなごく限られた条件のもとに生活が圧迫をされる問題については、幾つか新しいアイデアを検討してみるという姿勢が必要じゃないかと私は思うのです。通産省の方の寒冷地に対する対策というものもなされておるようでございますけれども、ぜひひとつこれは国民生活あたりで十分御検討をいただきたいというふうに、御要望だけ申し上げておきたいと思うのです。  それでは、牛肉関係の問題についてお伺いをいたします。  最近、牛肉の高騰が非常に話題になっておるわけでございますけれども、特に畜産事業団が扱っております輸入肉の問題についても、これはどうも価格を安定させる方向に進んでおらないというように大変非難が高まっているのではないかと思うわけでございますが、私も、最近の状況を見ますと、どうも畜産事業団というのはそういった食肉類の安定法の立場から見ましても、「国民の食生活の改善に資することを目的とする。」というふうに定められてはおりますけれども、どうもそういう方向に進んでおらぬのじゃないか。法律に示されております畜産事業団の目的の項を見ますと、まず最初に「主要な畜産物の価格の安定」というようなことがうたわれておるわけでございますけれども、かえって価格の安定については最近特に後退するという方針を出されているのではないかと疑わざるを得ないような状況、食生活の改善に資するどころか、後退される努力をしている方向に方針を転換したのではないかと思わざるを得ない状況が続いておるわけですけれども、まずこれについての御意見を承ります。
  133. 関根秋男

    ○関根説明員 畜産振興事業団の方針が変わったのじゃないか、こういうお話でございますけれども、御承知のように、前の国会で畜産物の価格安定等に関する法律の一部が改正をされまして、牛肉が指定食肉の対象に追加されたわけでございます。この指定食肉になりました場合の畜産振興事業団の扱いの方針でございますけれども、これは畜産振興事業団の輸入牛肉の取り扱いにつきましては、需給調整の機能を事業団が最大限に活用する、こういうふうな考え方でおるわけでございます。したがいまして、事業団の扱いにつきましては、今後も牛肉の輸入につきまして改正法の七条の規定がございますが、事業団が一元的にこれを行うというような原則になっておるわけでございます。したがいまして、事業団は輸入牛肉の大部分を扱って、それを通じて需給調整の機能を発揮する、こういうことでございまして、私どもそういう方向に沿って事業団を指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  134. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、ひとつここで新聞記事を読み上げてみますけれども、「九月十一日のことである。畜産振興事業団は徹夜の折衝をした。相手は商社と需要者団体。チルド・ビーフ千五百トンの売買である。各商社は見積書を出し、事業団は自身の予定価格と比べながらの“見積もり合わせ”は双方の思惑がからんで難航するのが通例である。この徹夜折衝の結果はどうなったか。豪州産フルセットがキロ当たり最低千八百三円、最高千八百八十円で売れた。事業団は買い入れ価格について口を閉ざしているが、商社側の話では七百−九百円というから、キロ当たりの利ざやは千円。一日で十五億円もうけた勘定だ。」というふうに報道されておりますけれども、どうも最近の傾向はこういう状況にあるのじゃないですか。ここら辺の、なぜこういうような逆ざやが大きくなってくるのか、ひとつ御説明をいただきたい。
  135. 関根秋男

    ○関根説明員 事業団が牛肉の売買をいたします場合には、法令の規定に従いまして行っておるわけでございます。その法令の規定によりますと、売り渡す場合には安定上位価格を基準にして売り渡す、こういうことに相なっておるわけでございます。したがいまして、事業団が差益をかせぐために売買をしているのじゃなくて、事業団は、法令の規定によりますと、買い入れました物を安定上位価格を基準にして売り渡すということでございますから、買い入れの場合には、入札等の方法によりますから安く入りますが、売り渡す場合には、法令の規定によりまして安定上位価格を基準として売り渡す、したがいまして、買い入れ価格と売り渡し価格の間に差が生ずる、こういう結果になっておるわけでございます。  先生いま御指摘のところの、九月の十一日に取引をしたときに相当な差額が出たじゃないか、こういうお話でございますが、これは事実そういうことがございましたわけでございますけれども実態は、九月十一日に牛肉の買い入れ、売り渡しを先物というような形で見積もり合わせをして事業団が売買をいたしたわけでございます。そのときは、買い入れ価格は九百五十六円、売り渡し価格は千八百八十四円、こういうふうになっております。  どうしてこういうふうに非常に高い売り渡し価格が出たかという御質問もあったかと思いますが、これは輸入牛肉につきましては、昨年の二月から輸入停止というような状態であったわけでございまして、かなり輸入牛肉についての需要もあった。それから先物でございますから、先高ということを、買い入れる方でそういう思惑が働いたというようなことで、特にこういう高い価格になったのではないかと思います。しかし、最近の外国の事情を見ますと、かなり外国の方の価格も上がりぎみでございますので、今後もこういうような非常に高い差が出るかどうかというようなことは、なお必ずしも言えないというふうに考えております。
  136. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その問題はもうちょっと議論をするとしまして、さらに、民間貿易部分の輸入牛肉にかかる調整金が、今月から骨抜きフローズンのブリスケットでこれまでのキロ当たり十円から二百九十円に、チルドフルセットが同五十円から三百十円へと、六倍から三十倍という大幅な調整金のアップということになっておりますけれども、これはなぜこういうふうになったのですか。これはちょっと上げ過ぎじゃないですか。だから、新聞等には「国だけモウかる安定商法」というようなことになってきて、そういう批判が出てくるわけです。
  137. 関根秋男

    ○関根説明員 これは、畜安法の趣旨が先ほども申し上げましたとおり、市場を通じます需給の安定、こういうような考え方でございますので、民間の売買につきましても時価を基準として売り渡す、こういうような思想になっておるわけでございます。その結果といたしまして、民貿の対象になりますものにつきましても、民間団体の日本食肉協議会が中心になりまして、そういう思想のもとに買い入れ価格と売り渡し価格の間の差額を自主的に集める、こういうことになっておりますから、現在の価格状況のもとではおっしゃるようなことが現出をした、こういうことでございます。
  138. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 国内産の牛肉の問題については、私も、生産地が近いものですから、コスト高で非常に困っておる、生産高の消費価格安というような状況がずっと続いておったことはよく承知しておるのです。それがなぜそうなるかという問題についてもかなり突っ込んで勉強したことがございますけれども、しかし、畜産物の価格安定等に関する法律、これを見ますと、「主要な畜産物の価格の安定を図るとともに乳業者等の経営に必要な資金の調達を円滑にし及び畜産の振興に資するための事業に助成等のみちを開くことにより、畜産及びその関連産業の健全な発達を促進し、」というふうになっていますね。この間の事情は私も十分わかるのですよ。だけれども、その基本的な目的は、ここにもありますように「あわせて国民の食生活の改善に資することを目的とする。」ということであって、一体「国民の食生活の改善に資することを目的とする。」ということについては、農林省はこれをどういうふうに理解をしておられるのか、解釈をしておられるのか、この点をまずしっかり伺っておきたいと思うのですよ。どうもここら辺が、私は考え方が少し不徹底じゃないかというふうに思われてならないのですけれども、どうですか。
  139. 関根秋男

    ○関根説明員 これは「国民の食生活の改善に資する」ということの中身は何か、こういうお話かと思います。  国民の栄養なり食生活の点から言いますれば、私どもといたしましては、畜産物を安定的な価格で供給をする、こういうことが一つの重要な要素ではないかと思います。そういう意味で、私ども、この法律の安定帯価格の中に畜産物価格の水準を持ち込む、こういうことによって安定的に国民に食肉を供給するということが、この重要な要素であるというふうに思います。
  140. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ですから、安定供給ということになりますと、これはやはり国内産との価格のバランスをどうしてもとらなければならないわけですね。これを私は全く否定しているわけじゃありませんよ。だけれども、食生活の改善に資するということになりますと、一般の消費者が買い得る値段でなければいかぬわけでしょう。まず価格の問題が一番問題になるわけでございますから、やはり価格を安定させるというところに努力を置かなければならぬのじゃないかと思うのですね。  では、農林省にお伺いしますけれども、一体、豚肉あるいはブロイラーの価格、それと牛肉の価格との格差がどの程度であれば、消費者が買いやすい状態になって、そしてそれが食生活の改善につながっていくというふうにお考えなのか、こういうような御研究をされたことがありますか、いかがですか。
  141. 関根秋男

    ○関根説明員 それぞれの相互の価格が幾らであれば国民が買いやすいかと、こういう御趣旨の御質問だと思いますけれども、私どもは、基本的には、需給の実勢に応じて消費者の購買が行われるというようなところでは、その需要に応じた供給をなすべきであるというふうに考えるわけです。ことしの……(石田(幸)委員「どのくらいなら需要が出てくるのですか、それを聞いておるんじゃないですか。そういう研究をしたことがあるのかと伺っている」と呼ぶ)そういう研究を、特に何は幾らというようなふうにはやってはおりませんです。
  142. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 さあそこですよね、問題は。確かに国内産の牛肉が飼料等の問題によって高くならざるを得ない方向は私もわかりますけれども、一時、国内産の生産が非常に落ちたでしょう。いまも落ちている傾向にあると私は思うんだけれども、そういうものはやはり価格が高いから売れないんだ。あるいはあの当時でも枝肉が七百円ぐらいのものが小売価格では四千二百円というような、六倍もするようなそういう流通経費の問題、そういうようなことがあって消費者は豚肉やブロイラーを買うよりほかない。とてもじゃないけれども、これは高くて買えないという状況があるわけですよ。だから、売れない。売れないから、結局生産をやめる以外にないというような悪循環を繰り返しておるわけでしょう。私はそういった意味において、こういう豚肉、ブロイラーとの価格差、ここら辺がどの程度、何%ぐらいまでに縮まれば牛肉も食べてもらえるのだというような研究は、当然農林省としてそういう研究はなさるべきじゃないかなと思うのですが、いままで研究されてないということでございますので、この点はひとつぜひそういう点の研究までしてもらわないと、これはつくる方だけ将励して、皆さん需給需給とよくおっしゃるけれども、供給の方だけ一生懸命やったって何にもならぬじゃないですか。そこに大きな落し穴があるということを、私はまず御指摘を申し上げておきたいと思うのです。  それから、ちょっと聞き捨てならないのは、いわゆる豪州産の牛肉、最近は少し上がってきたからさらにまた上がるんじゃないかというようなことをおっしゃっておるわけでございますけれども、少なくともいままでは安かったわけでしょう。たとえばここ一年のオーストラリアの牛肉相場、そういう相場はどんな状態になっていましたか。あるいは、もし日本においてそれと比較できる何らかの価格があったならば、その比較をひとつ御報告を願いたい、こう思いますが、いかがですが。
  143. 関根秋男

    ○関根説明員 最初に前の御質問に対する補足といいますか、ちょっと申し上げたいと思いますけれども、どのくらいになったら消費者が買えるかということであったかと思いますが、これは今度の畜産物価格安定法の中で、いわゆる安定帯価格というものをつくりまして、私ども牛肉の場合で申し上げますと、過去七年間の趨勢から見て、安定帯価格の中の中心価格にリードしていきたい、こういう考え方があるわけでございます。それは過去の需要と供給、生産そういうもののバランスの中で、安定帯価格の中の中心価格であれば生産者も消費者も御納得いただけるものではないか、こういうようなことで私ども指導してきておるということは一つございます。  それから、いまの豪州の価格日本価格というお話でございますけれども、これはいま手元資料がございませんですが、豪州のフローズン物の価格を国内の牛肉の価格と比べてみますと、まだ相当な差があるわけです。買い取りましたものを売り渡す場合に、いままで事業団が売り渡している例から見ますと、その間にキログラム当たり大体二百円ぐらいの差がある、こういうような実態になっております。
  144. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その安定帯価格という問題についての中身を私は言うておるわけでございまして、そういうものを算定をする場合に、やはり私が先ほど申し上げたように、需要の方の状況を十分観察した上でやらなければ、何ぼ決めたって、売れなければだんだんだんだん生産が下がるんじゃないですか。そこのところを御指摘申し上げておるわけです。安定帯価格というのがあるのは私も知っておりますよ。そんなものを勝手に決めてみたって何にもならぬじゃないですか。だからこそいわゆる家庭の肉類を食べる状況の観察が一番大事ですよ。豚肉やブロイラーとの関連等を考えてみたときに、牛肉の方がむしろ割り安であるということになりますれば、これはもっともっと牛肉をみんなが摂取するわけですよ。そういうごく簡単な食生活実態を、やはりその動向を追っていかなければ、こういうような安定帯価格を、何ぼ上の方で生産者の話だけ聞いてみて、これだけ経費がかかるのだからこれ以下では売れませんなんて言ってたって、だめじゃないですか。まあこの議論はまたあらためてすることにいたしましょう。  いずれにいたしましても、いま申し上げたように、現状においてはかなり現地の価格と格差があるわけですね、実際に売る場合においては。だけれども、安定帯価格ができたために、最近の状況を見ますと、売り方が変わってきているわけですね。最近では中央卸売市場においていわゆる競りで売る、それから振興事業団が一定の事業者団体に対して競争入札をする、それから随意契約をやる。昔は随意契約の方がはるかに多かったわけでしょう。それを中央卸売市場の競りにかけたり、あるいは競争入札をさせれば、当然こういうような結果になることはもう目に見えているじゃありませんか。そうでしょう。安定帯価格との関連において競争入札をさせざるを得ないというようなこと、それで農林省は事終わりとしているところに私は問題があるのじゃないかと思うのですよ。そう思いませんか。そこをもう一歩突っ込んで考えてみなければならぬのじゃないでしょうか。それでなければ、法律に示された目的とはずいぶんかけ離れたまま、片一方においては価格安定法があるのだからやむを得ません、こういう状態はいつまでも続きますよというのでは、全然進歩がない。こういうような批判に対して答えができないじゃないですか。こういうような批判に対してやむを得ないと考えていらっしゃるのか、あるいは改善をしなければならぬと考えていらっしゃるのか、あるいは改善をしなければならぬというのは、どういう方向に改善をされなければならぬと考えていらっしゃるのか、そこら辺の御見解を承りたい。
  145. 関根秋男

    ○関根説明員 事業団の肉の売り渡しの方法につきましては、先ほども申し上げましたとおり、法令の規定がございまして、これは競り売りなりあるいは入札売りなりやらなきゃいかぬ場合が多いわけでございますけれども、私ども事業団の売り方自身、すべて競り売りで中央市場でやる、こういうことでは必ずしもないわけでございます。法律の規定によりますと、中央卸売市場で売ることが原則でございますけれども、これによりがたい場合には、それ以外の方法によって随意契約その他の方法で売る、こういうことになっておるわけでございまして、私ども、一部食肉市場を通じます競り売り、それからさらに一部につきましては、お話しのように、随意契約あるいは入札売りというようなことで運用をいたしておるわけでございます。  それから……
  146. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 わかりました。結構です。  そういう説明を私は伺っているのじゃないのでありまして、そういういまのやり方、たとえば売り方一つにしても、昔は随意契約が多かったわけでしょう。今度新しい法律ができて、競り売りや競争入札をしなければならぬという状況は私も理解しますよ。しかし、それだけでは、現状の説明をされているだけでは輸入肉を安く売ることはできない。したがって、肉の価格も下げることはできないという点を私は指摘をしておるわけです。  時間もありませんからもう一点伺うのは、新聞では、最近は年に二百億から三百億くらいになるのじゃないかと言われていますね。四十九年度においては、輸入ストップした関係もあって、八億ちょっとの差益金になっておりますけれども、このままでいきますと、五十年度の差益金というのは一体どのくらいになるのですか。どういう見込みですか。
  147. 関根秋男

    ○関根説明員 これはまだ事業が終わっておりませんので、幾らというふうにこの段階でなかなか申し上げられないわけでございますが、仮に私どもの十月までの数字で申し上げますと、六十三億円程度になるのではないかというふうに思っています。
  148. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 十月まででもう六十三億でしょう。これからまた輸入肉を入れるというようなことになりますれば、大変な差益金が出るわけですよね。その分だけどうして安くしてくれないのだろうというのが消費者の率直な実感なんですよ。そういう率直な消費者の実感に対して農林省はお答えすることができないのですか。いかがですか。
  149. 関根秋男

    ○関根説明員 新しい牛肉の価格安定制度のもとにおきましては、いろいろと制約があるわけでございますけれども、法律の趣旨に即していえば、できるだけ安定帯価格の中に価格を安定させるというようなことでございますので、これは先般フードウイークの際に私ども実施をいたしたわけでございますけれども、直接消費者に対しまして精肉用として適正な価格で販売するものを対象といたしまして、九百六十トンほど安定帯価格見合いの価格、つまり時価よりは低い価格で特別な売り渡しをやったところでございます。今後もこういう消費者の声にこたえるために、こういうようなことを輸入牛肉についてやっていきたいというふうに考えております。
  150. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 またこれはほかの場合において議論をしたいと思いますけれども、しかし、現実はそういうふうに差益金がどんどん上昇するということは、とりもなおさず輸入肉だって安くはならぬのだという諦観みたいなものが消費者の間に定着をしているということについて、もっともっと畜産局あたりでも真剣に考えてもらわなければいかぬ。この点を御要望申し上げておきます。  では、この問題については終わります。  次に、ジェット騒音料の問題についてお伺いをしたいと思います。  このジェット騒音料については九月からスタートをしたわけでございますけれども、第一回の徴収日が十一月末にやってくるわけでございます。この間の新聞報道によりますと、このジェット騒音料についてはアメリカ側からいろいろなクレームがついておるというようなことでございます。クレームはクレームとしまして、それに対する議論もしなければなりませんけれども、時間がありませんので端的に伺いますが、そういうアメリカ側の拒否に対して十分説得できる、十一月末には徴収できるという状況になっているのかどうか。あるいはまた、アメリカに対してこれは回答しなければならぬことになっておりますね。その回答の内容がここで公表できる段階なのかどうか、そこの辺をちょっとお伺いしたい。
  151. 中村大造

    中村(大)政府委員 特別着陸料につきましては、先生御指摘のように、九月からこれを徴収することにいたしまして、その九月分を十一月の下旬に各エアラインに対して納入告知書を発することになっております。これにつきましては、アメリカだけではなく、その他の国々からもいろいろな要望なりあるいは疑問の提出というものがあるわけでございまして、またその要望の中身はいろいろでございまして、必ずしも一致してなくて、相矛盾するような要望があるわけでございます。私どもはそれに対して一々回答いたしておるわけでございまして、基本的には特別着陸料というものが空港における騒音対策を実施するための費用としてぜひ必要なものであり、また今回設定いたしました方法、徴収基準というものは十分合理性があるということはわれわれといたしましては自信を持っておるわけでございして、十分これは説得できるというふうに考えております。
  152. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ほかの国々からはそういうようなクレームはついていませんか。
  153. 中村大造

    中村(大)政府委員 アメリカだけではなく、イギリス政府あるいはインド、その他の国々からも要望なりあるいは疑問の提出、そういうものは来ておりまして、それについては返答をいたしております。また、先ほど申し上げましたように、その疑問の提出の中身自体がお互いに相矛盾するような意見もある、こういうことでございます。
  154. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この回答が具体的に出ますのは、アメリカが最初ですか。それで、いつごろやりますか。
  155. 中村大造

    中村(大)政府委員 アメリカに対しましては、その以前に要望がございまして、それに対してはすでに回答いたしておりますし、その他の国々に対しましても、それぞれの要望なりクレームの内容に応じましてこちらの考え方を回答いたしております。
  156. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ひとつ御要望申し上げておきますが、この問題について国内航空というよりは日本人だけが特別着陸料、いわゆる騒音料を払って、外国人、外国の飛行機は払わぬというようなことにならぬように、十分な対策をひとつ御要望しておきたいと思います。  それから、もう時間がありませんから、ごく簡単にお伺いします。  国際線の割引運賃の問題なんですけれども、これはもうIATAで相互に協定し合うことになっておりますけれども、これは一体何とかならぬのですか。東京−ロサンゼルス間の往復ベースをとってみましても、エコノミークラスで個人の場合は三十万九千百円。それが二十一日間の有効期間に回遊をすれば二十五万四千二百円、一七・八%安。それから既成団体運賃になりますと二六・九%安。一括契約包括旅行運賃ということになると四八・五%安ですね。その他個人包括旅行運賃、これなんか普通の運賃とそうたてまえは変わりはせぬ。だれがどこへ行ったって旅館の宿泊費その他も払うのだし、セットにするかしないかだけのことであって、普通の運賃よりも二割以上も引かなければならぬというような状況海外へ行ってみますと、日航あたりがツアーで募集をしてやっておりますけれども、そこへ来ている団体というのは、ただ回る日にち、泊まるところ、コース、そういうものが一緒だけであって、何も団体じゃないのです。そこへ勝手に個人が参加しているのです。そういうものが大幅な運賃割引になっておるわけでしょう。ところが、何かというと日航の方は、赤字になるから運賃を上げなければならぬというようなことを言い出す。あるいはボーナスにしても、一時は他社に比較して大変なボーナスが出ているということですね。これは国策会社ですから、税金がつぎ込まれているわけですが、国際問題があるにしても、もう少しこの運賃割引というものについては各国と折衝して整理をしなければならぬ。そういうような努力はしていらっしゃるのではないかとは思うけれども、もうちょっと進まぬのですか。もう何年間もこういう状況で、個人と団体が半分も違うなんというのは運賃体系になりませんよ。どこの国だって、ほとんどの国が航空会社はもう赤字でしょう。日本の場合だって、大変な赤字が今度日航に出る。結局、国民の財産を食いつぶしていると同じですね。この運賃問題について、今後一体どういうふうになさるのか。これをひとつ伺いたいと思いますが、いかがですか。
  157. 中村大造

    中村(大)政府委員 きわめてむずかしい問題でございますけれども、国際航空運賃というのは、いわゆるIATA加盟国とそれからノンIATA、IATAに加盟してない国、こういうものの間の競争がございます。それからチャーターとの競争がございます。そういう中で適正な運賃を設定し、かつそれを維持するということは非常にむずかしく、そのためにはこのIATAの機能というものを今後どうするか、あるいはIATAの機能強化に対してそれぞれの関係国がどのように行政的な力を加えるかといういろいろな問題があろうと思います。  普通運賃と団体運賃との関係につきましては、確かにこの差が非常に大き過ぎる。こういう考え方はきわめて妥当な考え方であろうと思います。わが国といたしましては、最近、IATAの場において運賃改定の作業が行われる場合には、そのような問題を、格差を少しでも是正する方向でIATAの場で働きかけるように日航を通じて指示しておるということでございまして、一朝一夕にはなかなか解決できないわけでございますけれども、そういう方向で努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  158. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それは従来どおりの努力のやり方ですよ。この間イギリスへ行っていろいろ聞いてみますと、要するに、航空行政というのは、対象になる会社はそうたくさんないんですね。だから、たとえば経営不振でもうやっていけない会社はつぶすということをイギリスあたりでは言っておるわけですよ。そのくらい行政当局の各航空会社に及ぶ力というのは大きいわけですよ。そうしてみますと、ソ連だとかアメリカだとかイギリス、フランス、西ドイツ、その他の国々もあろうけれども、もう少しやはりそこら辺の問題を基本的に考えなければならない。これがスムーズに解決されれば、各国とも大きなメリットになろうかと思うのです。そういう方向で話し合いを進めてもらわなければどうもならぬですよ。IATAのままでやっていたのでは、各民間会社それぞれ雇用条件も違うし、コストも違うわけですから、そこで解決しようと思ったって、これはできませんよ。この点はひとつもう一歩御研究をいただきたい、こういうふうに思うのですけれども、いかがですか。
  159. 中村大造

    中村(大)政府委員 私、説明不十分でございますけれども、この際IATAというものの機能を解消するということも議論としてはあり得るわけでございますけれども、むしろそうじゃなくて、私としては、IATAの機能に各国政府の力をどのように反映させるかということによって、IATAというものをもう少しあるべき姿に是正していく方向で進むべきではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。そういう考え方で先生御指摘のような問題は解決していくべきだろう、こういうふうに思っております。
  160. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、最後に一問。特別着陸料の問題に戻りますが、地方の飛行場、これについては騒音料を払って乗る場合がたくさんあるわけですが、いま自衛隊とそれから運輸省で二本立てで騒音対策費を出している場合がありますね。これはもう少し一元化できないかという問題と、それから特別着陸料を払っておるわけですから、その地元に対して、これは乗る人の問題じゃなくて、そこに住んでおる人たちを説得できるような対策というものが打たれていかないと、これは大きな不満があるわけですよ。ここら辺の考え方は、これからどういうふうに進めますか。この二点を伺って、終わりにしたいと思います。
  161. 中村大造

    中村(大)政府委員 各空港の騒音対策は、原則的にはその空港を設置管理する者が騒音対策事業を行う、こういうことでございますので、運輸大臣が設置管理いたしております空港は運輸大臣が行う、防衛庁が設置管理いたしておりますものについては防衛庁の方において騒音対策を行う、こういうのが原則でございます。ただ、たとえば名古屋空港につきましては、運輸大臣が設置管理いたしておりますけれども、これは覚書によりまして、防衛施設庁において騒音対策を行う、こういうことでございまして、そのどちらがやるかという点については、責任の所在は明確にいたしておるわけでございます。  それから第二点でございますけれども、この騒音対策は、空港周辺の住民のいわば騒音に対する苦痛というものをやわらげるためにきめの細かい施策をしなければいけないということは、これはもう先生御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、騒音防止法の規定に基づきまして、できる限り予算を増額してこれを実施したいというふうに思っておるわけでございます。      ————◇—————
  162. 横山利秋

    横山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  物価問題等に関する件について、来たる十一日、十二日の両日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来たる十一月十一日火曜日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時一分散会