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芳賀委員 次に、てん菜並びにてん菜糖の問題ですが、これは関連して当然サトウキビ及び甘蔗糖にもかかわることになるわけでございますが、まずてん菜の関係については、十月九日に農林省としててん菜の原料
価格並びに製造されたてん菜糖の事業団の買い入れ
価格を決定されたわけでございます。この決定の際に算定要素として用いた反収あるいは収穫量、それから歩どまり等についても、現在の状況というものは当時と相当相違しておる点が見受けられるわけであります。そうなりますと、これは決定時の、特に事業団の砂糖買い入れ
価格等についても大きな
価格上の影響が出てくるわけでありますが、これに対する検討については実際に行われたかどうか、その結果について
説明をしてもらいたいと思うわけでございます。
それから第二の点は、原料
価格並びに事業団買い入れ
価格を決定する際の
政府の国内糖価水準の安定については、農林省が適宜決定して指導しておるいわゆる消費者
価格といいますか、一キロ
当たり二百六十円台を維持することによってことしの原料
価格並びに砂糖の買い入れ
価格というものを適正水準に維持できるということでありましたけれども、現在においては国内の砂糖の市況が大体キロ
当たり二百円程度に低迷しておるわけです。そうすると、農林省が行った指導
価格二百六十円という
価格帯というものは実際に維持されておらぬということになるわけです。その原因は、輸入粗糖の国際
価格が低落をしておる。大体百五十ポンド程度に低迷しておるわけでありますから、精製糖業者は予想外の極度に安い原料を買い付けしてくるわけです。安い原料で精製糖の生産を行えば当然生産費が低減するわけですから、国内の砂糖市況というものを引き下げるということが現象として出てくるわけです。しかし、国産糖の場合においては、
政府が決定した原料基準
価格、あるいは非常に不当に低い
価格でありますけれども、生産者の取引
価格としてトン
当たり一万六千円というものを実行さしておるわけです。そういう国内糖と輸入糖との間における
価格の混乱というものは、どうしても国内の砂糖市況の中にあらわれてきておるわけです。それを農林省として的確に安定
措置を講ずる責任があると思うわけですが、この混迷というものをなかなか整理、調整できないでおるわけですね。その苦心はわかりますけれども、これがまた来年の北海道あるいは沖繩等における甘味資源の生産等に対して致命的な減産の影響を与えるということになるし、そうなれば国内の製糖事業というものが大きく陥没をするということになるわけですね。そういう点に対して農林省として、本年度の問題と来年以降の原料の生産対策あるいは国内における砂糖生産の自給度向上の
方針等についてどういうふうに考えておるのか、時間の関係で大事な点だけ先に質問したのですけれども、これは昨日質問要旨をそちらへ伝えておるわけですから、この項目に分けて明快な答弁をしてもらいたいと思います。
それからあわせて農林大臣にお尋ねしておきますが、これらの困難な問題を解決するためには従来の行政方式を温存した形では解決できないと思うのです。たとえば国内の甘味資源の増産体制をとるとしても、当然財政的な
措置というものは必要になってくるわけです。そこで、これは私の構想を申し上げますと、現在糖価安定事業団というものがあるわけですが、これが効果的な機能を発揮していないことは大臣も御承知のとおりです。しかも、「総合
食糧政策の展開」で見ると、この糖価安定事業団を改組して、輸入大豆等を中心とした備蓄機構というものを法律の
制定等を行って実行するということになっておるわけですから、その構想を実現する自信があるとすれば、この機会に砂糖類の
取り扱いについても、一つは輸入粗糖についての買い入れ売り渡しというものを、国産糖と同じように糖価安定事業団に瞬間タッチでもいいですからやらせる。国産糖はやっておるわけですからね。あるいはまた、農林省所管の畜産
振興事業団もこれは現物の
取り扱いをしておるわけですから、これを実行するということにしなければなかなか国内産糖の
振興対策を進めることはできないじゃないかと思うのです。需給と
価格安定を農林省が責任を持って調整するということになれば、現行の糖価安定事業団の機能を根本的に改革してこれを活用する、そういうやり方が一つと、もう一つは、国内の石炭
振興対策の事業として石炭及び石油対策特別会計という制度があることは大臣も御承知のとおりであります。これに対して
昭和五十年度一年間に、重油関税を中心とした原重油関税収入のうちから、石炭勘定で九百七十一億、石油勘定で四百四十二億、合わせて一千四百十三億円程度の関税収入を国内の石炭並びに石油の
振興対策のために特別会計を受け皿にして、これはもうすでに実施しておるわけですね。そういう実例もあるわけですから、ことしの秋の、糖安法に基づく砂糖
価格の上限
価格と下限
価格の引き上げを行った結果、大体砂糖の輸入関税は年間に一千億以上収益が出るということが見込まれておるわけですから、その全部を国内の甘味対策や国産糖の
振興対策に使う――それほど膨大な金は要らぬですけれども、少なくとも三百億程度は、砂糖関税の三〇%程度は、これに関する特別会計というものを設置して、そうして糖価安定事業団の根本的な改組を通じて運営を進めるというような両々相まった方式によって、国内のてん菜あるいはサトウキビの増産を進めていく、そうして国内の砂糖の自給度の向上を図るというような
施策を実行すべきであるというふうに考えるわけです。
以上が、この甘味対策についての質問の内容ですけれども、これに対して明確なお答えをお願いしたいと思います。