○瀬野
委員 えさ二
法案については
政府としても慎重に
検討をさせていただきたいということでございますので、本日提案したわけでございますので、将来にわたって重要な問題でございますから、ひとつ慎重な
検討を進められるように特に要求をいたしておきます。
そこで、
政府が示した六十年を目標とする農産物の
需要と
生産の
長期見通しによれば、
昭和四十七年度の
飼料作物作付面積七十六万八千ヘクタールを
昭和六十年には百四十六万九千ヘクタールに拡大することとしております。その方法としては、
一つ、草地の開発、二つには稲作等からの転換、三つに水田裏の積極的活用等が考えられておるようでありますが、特に次の点に対する
政府のお考え等をお聞きしたい、かように思うわけであります。
最初に草地の開発利用についてでありますけれ
ども、
土地改良
長期計画によれば、四十八年以降十カ年で約四十万ヘクタールの草地開発を予定しておられますが、しかしながら、最近の公共
事業の予算等の抑制、
事業単価の上昇等から見ますと、目標の達成はとうてい不可能であるということで、九月十日、また十一月の初めに
農林大臣に指摘をしてまいりました。こういったことを踏まえまして、わが党はかねてから山林原野の有効活用を図る方策として山地酪農の普及を提言してきたのでありますが、これが国の施策として実施されれば、相当量の粗
飼料供給に寄与するということは、火を見るよりも明らかであります。むしろ、いままでこういったことをやらなかったのが問題だ、かように私は思うわけであります。
そこで、山地酪農の
振興、また山地酪農の重要性については、山地酪農を進めるについての最小限の定義というものがあるわけです。すなわち、わが党では、山地酪農三章、こういうふうに言っておりますけれ
ども、
一つには
牧草地で草を創造し、二つには草を乳牛に処理させる、三つには人は調整して牛乳それから牛体を
生産する、こういうような三つの原則があるわけです。従来の日本の酪農が都市近郊の搾乳業で始まったことに起因して、
輸入飼料や都市廃棄物等に依存した加工・処理業的なものになっているのに比べまして、
わが国の広大な山地を利用し、日本の恵まれた気象
条件や乳牛の食性等から見て最も適した在来の雑草である芝、すなわち山芝と普通言っておりますが、これを
牧草とする牧山を創造し、その草を放牧した乳牛に処理させ、健康長寿な乳牛を育成する。草の育成、刈り取り、詰め込み、運搬、牛の
管理等に要する多大な人力を省き、人間は採草地や
飼料畑から冬越しのための
飼料を確保したり、
一定量の
濃厚飼料を調整投与して牛乳、牛体を
生産するというもので、従来の草地観、乳牛観、酪農観と著しく異なる独特の酪農形態であります。
時あたかも世界的な
飼料穀物の高騰により
わが国の
畜産農家の
経営が未曽有の危機に直面している一方、
畜産製品は高騰し、同じ動物たん白源として重要な水産資源にしても、経済水域の拡大により大幅な縮小が余儀なくされていることからも、このような
自給飼料型の酪農を
振興する乙とは、国民食糧の安定確保のためのエース的存在であるばかりか、
畜産公害のない緑豊かな山地の造成は、環境保全、国土の有効利用の
立場からも重要な意義があると言わねばならないが、
農林省の山地酪農に対する
見解を承りたいのであります。
なぜ私がこういったことを申し上げるかと申しますと、従来から
農林省は、いわゆる大規模草地改良等を推進してまいっておりますけれ
ども、これにもいろいろ問題がございまして、私たちは今後農家の所得を増すためにも、こういった山地酪農は目下の焦眉の急である、かように思います。そういった意味で、提案を兼ねて背景を申し上げ、まず冒頭、
農林省の
見解をお聞きするわけでございます。