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美濃委員 いま
お話を聞いておると、確かに昨年、これは
告示価格を上げたわけじゃないわけですけれども、一万五千円を
奨励金をつけて実現した。それは従来の
価格から見れば五〇%の
引き上げである。しかし昨年の
告示価格一万一千百十円という
価格そのものが――統計情報部の
生産費
資料によりましても一万一千百十円で
生産された四十九年度
てん菜に対するいわゆる一日
当たりの家族労働報酬は千二百何ぼとか書いてありますね。これはまた前食品流通
局長の森
局長が何回も言っております。計算の中で何か置き忘れたものがある。たとえば
パリティの計算とか、そういうものに過去通算してきた計算上の不備がある、著しく低い。そのことは昨年の小
委員会でも森
局長は言っておりますね。各農産物の中でこれは一日
当たり家族労賃何ぼになるかというわが党の
芳賀委員の質問に対して答弁しておる中でも、これは全然生活できる所得にはなっていないということを前
局長は表現しておる。そういうことがあって一万五千円という――まあたまたま国際糖価も高かったということで糖業から出させた。しかしこれは国の
制度でやっていかないといけない。いま
局長の言われたように、何らかの形で糖業も
てん菜振興に一役買う必要がある、それはそのとおりだと思うのです。そのとおりだとは思うけれども、片や国際糖価の管理をやはり輸入も一元管理体系にして、たとえば国内産糖と輸入糖とをECのようにプール
価格で市場へ出すような強力な機能でも
糖価安定事業団に持たして、そして事業団の調整でその条件を解消するからという裏づけでもあればいいですけれども、現在の国際糖価と国内糖価との関係の中において、糖業に何らかの
責任があるといって糖業にことしは三千八百六十円出させるわけですが、しかしそのとおりに国際糖価がいかなかった場合には――これはなると思うのですね。で、こういう
決定ではだめだと思うのです。ですから私がいま申し上げておるのは、
てん菜は
決定したわけですから
てん菜だけを申し上げておるのでなくて、こういうことではだめだということです。これから決めるサトウキビについてはこういう
考え方を改めて、二十一条を直ちに
改正して
決定するということは間に合わぬわけですけれども、
改正しなくともここに書いてあるわけですから、この二十一条の
趣旨を実態に合うように判断すれば、ことしの
決定であれば、この
方式を準用して、この
てん菜糖を決めたガイドラインをサトウキビにかぶせて計算してみれば、およそ出てくるわけですね。それでは一時間
当たり家族労賃は五百円
程度になってしまうと思うのです。それを上回るということはないです。一時間
当たり五百円という労賃は、いま補正予算も出ておりますけれども、高校卒初任給です。一年間の支給額を二千時間で割れば五百円ですよ、初任給は。これでは、全部
農家は家族を構成しておるわけですから、親
たちや子供を扶養するに足る労賃ではない。だからこれはつくれないということになっていくわけですね。そこに問題があると思うのです。
それからもう一つは、この
パリティに問題があります。ことしの米の
生産者米価を決めたとき
全農あるいは通産省で公表しておる農業
生産資材の値上がり率は、化学肥料が二七%、農薬が一七・七%、輸入大農機具が一五%、国産の大農機具が一〇%です、それに対して米の場合多少ごまかしておりますね。米価の
決定のとき肥料は二四で計算しております。ここで食糧庁が言ったわけです。速記にも載っておりますが二四%、農薬は一四%、大農機具八・六%。公表されておる値上がり率を下回ってことしの米価が
決定されておる。
ところが
てん菜に至っては、これはサトウキビに準用するしかないかわからぬけれども、
てん菜の
決定をサトウキビに準用するとしたら九・六でしょう。農業
生産の重要資材で九・六%の値上がりというものはないんですよ。こういうものが前
局長の言うておったいわゆる何か置き忘れたものがある。
パリティ、
パリティというけれども、こういう経済が著しく変動するときには
パリティそのものでは間に合わぬわけですね。そういうものを全然修正しようとしない。全く実情に合っていない
価格の
決定だということが言えるわけです。
サトウキビはどう決めるのか。いま
北海道の
てん菜生産者は本当に心理的に動揺しております。
北海道の寒冷地作物として、輪作計画上あるいは経営上、畑作専業
農家というものは、
てん菜という作物を経営上から外すということは、非常に経営の安定を欠くということになるわけです。しかし、
価格上これではもうつくれない。つくっても生活ができない。サトウキビがまた同じ条件に置かれていくわけですね。ここでサトウキビが直れば、来年決めるときにはビートも直るだろうということで、来年の
生産意欲も出ると思うんです。
ところが、この
てん菜を決めたガイドラインで同様にサトウキビも決めてしまうということになれば、もうこれは国内産糖自給確保は放棄したということになるのではないですか。放棄の政策だということになると思うんです。将来の展望として、国内産糖は
農林省の発表でも八十万トンくらいの構想は持っておるわけですね。また、そのくらいは
生産していかなければならぬと思うわけです。八十万トンあれば国民一人
当たり八キロありますから、経済的な変動や、あるいは将来どういう変動が起きないとも言えないし、また、つい最近ロンドン市場で六百ポンドまでもいったわけですが、ああいうことがまた重ねて起きないとも言えない。将来の問題としてそういう経済上の問題もあるでしょうし、また、国際的には事変的な問題で輸入がストップすることもないとは言えないわけですね。そういう場合においても、国民一人
当たり八キロの自給率を持っておれば、乳児用や病人用の最低自給の確保には通ずると思うんです。いまアジア地域の発展途上国の国々では、六キロ、八キロという国民一人
当たりの消費量の国も相当あるわけですから、最低自給率は確保できておるということになると思う。最低自給率というか、最低必要量は確保できておるということになる。
それをするには、やはりいまの政策じゃだめだと私は思うのです。何としてもいまの
考え方、こういう政策で、その自給率を確保すると行政屋や政治家が口や頭で描いて放言しても、実際に耕作する農民は生活できないからその政策には同調することができない。つくりたいんだがつくれないということになるわけですね。どういうふうにお
考えになっておりますか。サトウキビの
価格の
決定はどうしますか。ガイドラインをかぶせるというか、時期がもう迫っておるんだから、あなたらの構想の中にはあると思う。ビートと同じガイドラインをかぶせて決めるというのか、それとも新たな観点に立って、再
生産可能な
価格で決めるというのか、ここではっきり答弁してもらいたいと思う。