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坂田国務大臣 私、
長官に就任いたしまして一年になります。そうしますと陸海空二十六万おりますと、実は毎日のようにいろいろな事故の報告がございます。世間に出ていないものもあるわけでございます。その報告を受けながら、実は胸の痛む思いをいたすわけでございます。しかしまた一面、できるだけ私は、現場を視察したり、あるいは
防衛庁を警備しております
人たち、これは付近の部隊からやってくるわけでございますが、その
人たちに
長官みずから接触することがいいことだということで、時間の許す限り集めまして、五、六分私の話をすることにいたしております。そして一緒に写真を撮りまして、もう三十回以上やりました。恐らく三千人以上の
人たちとお会いをしております。その間、たとえば勤務しておるときに奥さんが子供さんを持った、
長官、名前をつけてくれというようなほほえましい事例も実はあるわけでございます。その他いろいろの機会に会っております。私と会う自衛官というのは、あるいは選ばれた人を会わせるのかもしれませんけれ
ども、しかし、会ってみますると、小中高でいろいろ生徒
たちと会ったり学生
たちと会ったりしておりました私でございますが、なかなか頼もしいという一面を私ははだ身で感ずるわけでございます。
それから自衛官の意識調査をやってみますと、自衛官となって生きがいを
感じているというのが、平均いたしますと七四%あるのです。入りましたばかりの士の層でございますが、その
人たちはやはり五一%くらいです。だんだん教育訓練を行ってまいりますと、自覚してまいりますのか、意識が高まってまいりまして、曹及び幹部だけをとりますと、八〇%近い者が生きがいを感ずるということでございます。官吏になっておる人、あるいは警察官になっておる人、いろいろございますけれ
ども、八〇%近い
人たち、七四%の
人たちが自分の選んだ職業について生きがいを
感じておるというのは、私は全体として見れば健全に育ちつつあるなという気がいたします。
それから、いま御指摘になりましたような問題は別といたしまして、
自衛隊で厳しいかという質問に対して、余り厳しく
感じない、もっと厳しくあってもいいんだというようなことを求めておるのが七〇%ぐらいございます。これは学生の調査をしましたときもそうでございますが、どうも終戦後、少し甘やかしてみたり、あるいは放任したり、そういうものが非常に過剰にある。そこで学生
たち自身も、あるいは一般の青少年の中におきましても、もう少し規律ある、秩序ある、そういうことを求めておるというような調査結果が実はあるわけなんで、大
人たちがもうちょっと厳しくしつけてもらいたいというものを求めておる、若者
たちは。そういう一面もある。
それからもう
一つは、同じ自衛官の意識調査でございますが、公務の時間はそういう厳しさを求めるけれ
ども、自由な時間、わずかな時間でございますけれ
ども、その時間についてはプライバシーを守ってもらいたい、もう少し自由を与えてもらいたい、あるいは外出等について二重、三重のチェック、ああいう問題についてはもう少し何とかならぬだろうか、普通の世の中と同じように考えてもらってもしかるべきではないか、われわれを信用してもらいたい、こういうような気持ちが実は出ておるわけでございまして、一般の青少年の層とそう変わらない意識、つまり同質の意識にある。
自衛隊が別な意識を持った集団であるならば、これはまた一面においては危険であるというのが私の考えなので、その
意味におきまして、私は全体としては健全に育ちつつあるなという
感じを持っておるわけでございます。
しかし、私は毎日のそういうような事件等を見ますと、これではいかぬというふうに思います。もう少し適切な教育訓練のあり方があるものだというふうに思って日ごろ注意をいたしておりますが、私、事故が頻発しておりましたので、いろいろ考えました末、一年間の統計をとってみますと、大体七月から八月にかけて事故が激増するのでございます。そういうグラフができたのです。どういうわけだろうかと私は私なりにいろいろ考えてみました。そこで私は、六月の中ごろ全
自衛隊に向かいまして、安全週間というものをそれぞれ各部隊で工夫をしてやりなさい、とにかく事故の起こらないような状況をつくってみなさいということで、それもただ一片の通達だけでなくて、相当丁寧な
指示をいたしました。その結果、最近、中間報告及び本報告が出ましたが、昨年一年の事故率に比べまして、大体半減いたしております。内容を調べてみますと、大体七月一日というのがユニフォームの
人たちの人事異動の時期なんです。私が考えましたのは、なぜ七月、八月が多いか。季節的なものもあるかもしれないけれ
ども、一面においては、七月の人事異動前後においては、指揮官それ
自身の心が動揺しておる。おれはどこかへ行くのじゃないだろうか、おれは出世するのだろうか、そういうような心の動揺が指揮官にある。あるいはまた、七月に任務についたばかりで部下を掌握しておらない。つまり、指揮官が末端の一人一人について注意が十分でない。その結果ここだけが非常に急激に事故が起こっておるのじゃないだろうか。こういうふうで、もし指揮官がそのとき注意をするならばどうなるだろうかという
指示をやってみたら、その結果が実は出たわけで、これは私は非常にうれしかったわけでございます。
やはりわれわれの指導、助言というものを適切にやるならば、事故というものもだんだん少なくなっていく。しかし、やはり一般社会の青少年と同じで、しかもその募集等については、先生御指摘のような状況もございまして、二十六万おりますと、いろいろのことが実は起こっておるわけなんで、これを精強なる
自衛隊員となり、しかも健全なる常識と広い視野を持った自衛官の一人一人に育てていくということがお預かりした私の
責任であるというふうに考えております。
実を申しますと、率直に申し上げまして、この一年間を振り返ってみますと、私の文部大臣を経験いたしましたその面における教育訓練の実態については、まだ私
自身が余り顔を突っ込んでおりません。私は、この地位におる間は、ひとつその方面にもう少し力を入れてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。