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1975-11-20 第76回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月二十日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 上原 康助君 理事 中路 雅弘君       大石 千八君    大村 襄治君       唐沢俊二郎君    近藤 鉄雄君       竹中 修一君    旗野 進一君       林  大幹君    増岡 博之君       三塚  博君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 永井 道雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         国防会議事務局         長       内海  倫君         防衛庁参事官  伊藤 圭一君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁次長 長坂  強君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君  委員外出席者         文部省大学局長 佐野文一郎君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 十一月十九日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     田村 良平君   吉永 治市君     木村 武雄君 同日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     吉永 治市君   田村 良平君     近藤 鉄雄君 同月二十日  辞任         補欠選任   笠岡  喬君     大村 襄治君   中馬 辰猪君     唐沢俊二郎君   吉永 治市君     増岡 博之君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     笠岡  喬君   唐沢俊二郎君     中馬 辰猪君   増岡 博之君     吉永 治市君     ————————————— 十一月十八日  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  鬼木勝利紹介)(第二五七五号)  同(鈴切康雄紹介)(第二五七六号) 同月十九日  兵庫県温泉町内温泉町等の寒冷地手当引上げ  等に関する請願佐々木良作紹介)(第二八  〇四号)  北海道滝川市等の寒冷地手当引上げ等に関する  請願岡田春夫紹介)(第二八〇五号)  淡水区水産研究所の存続に関する請願瀬野栄  次郎君紹介)(第二九〇〇号)  金鵄勲章制度の復活に関する請願小坂善太郎  君紹介)(第二九七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  防衛庁施置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  恩給制度調査のため、小委員十三名からなる恩給に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員及び小委員長選任についてお諮りいたします。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、小委員及び小委員長につきましては、委員長において指名し、追って公報をもって通知いたします。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます よってそのように決しました。      ————◇—————
  6. 藤尾正行

    藤尾委員長 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。
  7. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ただいま議題となっております防衛二法の改正案は、四次防の第四年目の計画を実行するために必要なる法案だと承知しておるのでございますが、この春の当委員会でも私承ったのですが、四次防の完成の見通しでございますね。五十一年度予算もすでに概算要求していらっしゃるのでありますから、仮に五十一年度予算防衛庁要求のとおり認められるといたしまして、四次防はどれくらいな達成率になるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 丸山昂

    丸山政府委員 ただいまの先生の御指摘の五十一年度の要求がそのまま認められるという前提でございますが、五十一年度につきましては一応二五%増という枠で組んでございますので、現実見通しが大変厳しい状況にございますから、したがいまして五十一年度予算についてもかなり大幅にダウンせざるを得ないのではないかという見通しがあるわけでございます。  いずれにいたしましても、ただいま御指摘のように五十一年度をそのまま認められたといたしまして、主要項目だけについて申し上げますと、陸の場合には戦車が約九三%、それから装甲車が八〇%、それから自走火砲は五二%、それから作戦用航空機は九五%というようなところでございます。これはそれぞれの項目でございまして、陸上自衛隊全般についてどうであるかということになりますと、積み上げた全体の数字がまだわかっておりませんので、はっきりしたことを申し上げられないわけでございます。  それから海上自衛隊につきましては、もとの要求が五十四隻の約七万トンであったわけでございますが、これが五十一年度要求を含めまして四十一隻の五万三千五百トンということでございまして、この要求段階においてすでに十三隻、一万六千トンをあきらめざるを得なかったという状況でございます。  それから航空自衛隊につきましては、二百十一機が計画総数でございますが、このうち、五十一年度要求を含めまして二百十一機が一応達成を予定されておるわけでございまして、全般的に見ますと、航空自衛隊については大体一〇〇%の達成率ということに相なるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、五十一年度が相当厳しい状況にございますので、この一〇〇%も実際の結果としてはきわめて達成が困難であるというふうに現在の段階では考えられる状況下にあるわけでございます。
  9. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 この前、これはシュレジンジャーでしたかレアードさんでしたか、日本に見えたときに、防衛庁長官に、自衛隊装備が非常に老朽化をしておるということが指摘をされたということでございますが、稼働率はどれぐらいなんですか。兵器、それから飛行機、艦船戦車等についてあるのでしょうか。
  10. 丸山昂

    丸山政府委員 レアード長官がこの前、ちょうどこの八月にシュレジンジャー国防長官が見えましたときと相前後して非公式に見えまして、坂田長官ともお話をされ、私もその席に陪席をさせていただきましたが、前に見えましたときに、北海道の第七師団を見ました際に、非常によく整備が行き届いておるということをほめたつもりが、実は日本兵器は大変古いということで報道をされて心外に思っておる、自分は日本自衛隊が、同じアメリカ装備しておる状態に比べてはるかに維持の状況がよろしい、アメリカ兵隊に比べると大変よろしいということで、実は、帰ってからアメリカ兵隊に、日本自衛隊をよく見習えということを言ったつもりなんだけれども、大変古い兵器日本が持っておるというふうに新聞に報道されたというふうに釈明をされておりました。いずれにいたしましても、客観的に見て、われわれの持っておる兵器が新しいか、近代的かといいますと、ただいま先生の御指摘のように、全般的には古い、老朽化的なものになっている、残念ながらそういうふうに申し上げざるを得ない状況下にあるわけでございます。  稼働率の点でございますけれども、いまちょっとはっきりした数字を持っておりませんでまことに恐縮でございますが、一例を航空機にとってみますと、航空機の標準の稼働率につきましては、大体いまの状態においては基準の率に近い数字を一応は維持しておるというふうに私どもは判断をいたしております。稼働率が著しく下がってきておるという部門はいまのところ全般的にはないと思っておりますが、ただ、これは見通しといたしまして、全般的に、たとえば航空機の場合に、航空機耐用時間と申しますか、これがそれぞれの機種について相当程度まで来ておりますので、この稼働率が逐次低下していくことは、長期的な見方をいたしました場合には不可避であるというふうに考えるわけでございまして、現在の状態において不満足な状態であるかというと、必ずしもそうではないという状況でございます。
  11. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 一番問題になるのは車両戦車とか装甲車だと思うのですね。アメリカからもらったものがまだ残っていると思うのですが、こういうふうなものはどれぐらい稼働率があるのでしょうか。——じゃ、後で……。  アメリカから供与された艦船はもうないだろうと思うのですが、日本でつくったものもそろそろ艦齢に来ておるか、艦齢に近いものがあると思うのですね。それはどういう状況でしょうか。
  12. 丸山昂

    丸山政府委員 ただいまおっしゃいましたように、アメリカから供与されました、いわゆるMAPその他の計画によりまして日本供与されましたMAP供与艦はほとんどアメリカに返還をするということで、現在残っておりますのはほんのごく少数という状況になってきております。わが国が建造いたしました艦艇、これはかなり早い時期に、他の装備品と比較いたしますと、これはもう先生十分御存じのとおりでございまして、相当早い時期に国産に踏み切っておりますので、現在保有しております艦艇のうち、艦種によっていろいろ耐用年数が違っておりますけれども、二十年というのを一応基準にとってみますと、艦艇相当数のものがすでに艦齢が二十年に達しておるという状況に相なります。  それから潜水艦に例をとってみますと、ただいま十五隻保有をいたしておりますけれども、ただいま大体年に一隻という建艦ベースで参っております。間に石油ショックの時期その他で残念ながら見送りをせざるを得なかった時期がございますけれども、大体一隻でやってきております。ところが、すでに最初につくりました潜水艦耐用年数をすでにオーバーしておりますので、近いうちにこれを除籍をせざるを得ないということになるわけでございまして、かつてもやはり一隻ベースでずっと建造されてきておりますので、新しく一隻ずつ建造いたしましても、ちょうど除籍が始まる年の総隻数というものに以後ずっと抑えられていく、場合によっては、その建造を見合わせたときもございますので、それ以下のときになり得ることがあってもそれ以上になることがあり得ないというような、大変深刻な状態になるわけでございます。
  13. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 護衛艦についても、もう艦齢に達しておるものが何隻かあるのじゃないでしょうか。
  14. 江口裕通

    江口政府委員 ただいま詳細は調べましてすぐ申し上げますけれども、ごくラフな数字で申しますと、次期のポスト四次防関係耐用年数の来るのは大体四万トン程度になろうかと思います。詳しくはもう少し資料を見まして申し上げます。
  15. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 車両はわかりましたか。戦車装甲車……。
  16. 江口裕通

    江口政府委員 MAP供与を受けました車両関係でございますが、現在の総保有数は、戦車で申しますと七百六両でございます。そのうち純国産は現在五百六十両持っておりまして、MAP関係で受けております現在の残高は百四十六両ということに相なります。  それから装甲車で申しますと、装甲車保有数は六百八十一両でございますが、これは三月三十一日現在の数字でございます。そのうち国産物になっておりますのは四百六十一両ということで、差し引き二百二十両程度MAP数ということになっております。  稼働率につきましては、これは数字がいろいろございまして、とり方の問題がございますので一概には申し上げられませんが、ごくならして八割ないし九割程度になっておると推定いたされます。
  17. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 アメリカ供与戦車装甲車がまだ相当残っておるように思うのですが、これはもちろんアメリカでは生産してないと思うんですね。部品の補給については問題ないのですか。
  18. 江口裕通

    江口政府委員 御指摘のとおり、米軍から供与されました戦車で申しますと先ほど申しましたような数字のものが残っておるわけでございますが、これに伴う部品等につきましては、現在一応まだ保有在庫がございまして、特に部品供給面で支障を来すというようなことはないと思います。
  19. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 次に、隊員充足率ですね、これについてちょっとお答えいただきたいと思います。
  20. 今泉正隆

    今泉(正)政府委員 十月三十一日現在で八九%でございます。内訳は、陸上自衛隊八五・六%、海上自衛隊九六・二%、航空自衛隊九六・三%でございます。
  21. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 最近の応募倍数と申しますか、採用人員に対して希望者はどれくらいの状況ですか。
  22. 今泉正隆

    今泉(正)政府委員 ことしに入りましてからの応募倍率は約二・二倍でございます。この点は実は昨年あるいはそれ以前とそれほど変わらないわけでございます。民間不況のために自衛隊志願者が多くて倍率は上がるはずではないかというお尋ねがときどきありますが、そういった傾向はありますけれども、もともと十八歳ないし二十四歳の若者がいま給源として非常に少ない時期でございます。したがって、民間不況のために従前同様の倍率自衛隊が維持しているというのが率直な現象でございます。
  23. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 その中で婦人自衛官についてはどうですか。婦人自衛官がいま定数が何ぼで、実員が何ぼおって、この応募倍率はどれくらいかということを聞かしていただきたい。
  24. 今泉正隆

    今泉(正)政府委員 婦人自衛官は特に何名という定数を設けませんで、自衛官定数の中で婦人に向く職域ということで募集をいたしておりますが、年々婦人自衛官職域を拡充いたしておりまして、今日現在では、看護職が約八百名、それから看護以外のわれわれWACあるいはWAVEと称しておりますが、一般職域後方職域が多いのでございますが、これが約千五百名でございます。応募倍率はこれは非常によろしゅうございまして、八倍ないし十倍でございます。
  25. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私もときどき部隊へ寄せてもらうのですけれども、婦人自衛官は私はなかなかいいと思うのですね。まだ婦人自衛官職域を拡張する余地があるのではないかというふうに思います。応募倍数も非常にいいようでありますから、男子の隊員の方がいいという部面もありますけれども、婦人自衛官でも代替できる面がまだまだあるのじゃないかと思うのです。ぜひ御研究を願いたいと思います。  その次にお伺いしたいのは、防衛庁は二十何万名の青年の世話を見ておられるわけでありますが、私いつも気になるのは健康状態なんですね。健康管理は十分行き届いておるかどうか、どれくらいの疾病率かという点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 萩島武夫

    萩島政府委員 最近の状況で申しますと、全部の隊員の中で、入院をしておったりあるいは治療を受けておったりする者に区分してございますけれども、両方合わせますと千人について九十七・九という数字でございます。約一割の隊員が通院または入院をしておるということでございます。
  27. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 この中で完全に隊務を休んで入院をしておる者はどれくらいの割合ですか。
  28. 萩島武夫

    萩島政府委員 入院をしておりますのは休務と申しますが、陸海空合計いたしまして千人について八・五でございます。
  29. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは一般の同じ年代の国民層に比べて高い方ですか低い方ですか。
  30. 萩島武夫

    萩島政府委員 自衛隊は十八歳から五十八歳までの主として男性でございますので、その細かい数字一般国民と比較することはむずかしいと思いますけれども、大まかに申しまして半分くらいの率かと思っております。
  31. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 一般の同じ年齢層国民疾病のパーセンテージに比べて自衛隊の方が半分くらいだ、こういうわけですね。——わかりました。大変結構だと思うのですが、前々から医官が非常に不足で防衛医科大学校をつくられたわけでありますが、現在医官充足状況はどういうふうになっておりますか。
  32. 萩島武夫

    萩島政府委員 ちょうど十年ほど前からでございますけれども、インターン制度改正になりましてから、また大学問題等がございました関係もありまして、そのころから医官充足が大分下がってまいりました。特に二、三年前からは三〇%を切る状況が続いており、最近九月三十日の状況では医官充足率は陸海空合わせまして二八・二%ということになっております。幸いにちょうど防衛医科大学校を御認可いただきましたので、この防衛医科大学校は現在二年生が四十六名、一年生が八十二名おりますけれども、防衛医大の卒業生が今後就職する時期、つまり長期的には相当見込みがあると思っていますけれども、それまでの間非常に低調で苦労しておるということでございます。
  33. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 防衛医大を出て医官として勤務する方が出るまでには相当年数がかかるわけですね。二十何%という充足率は私はどこかに無理があると思うのですね。いまの定員決め方そのもの検討を要するところがあるのではないでしょうか。どうしても医官を配置しなければならないところが三分の一しか回ってない、それでも何とか衛生管理をやっている、何か無理があるような気がするのですが、その辺はいかがですか。
  34. 萩島武夫

    萩島政府委員 定員の問題もベースとしては検討する必要があると思いますけれども、諸外国のそれぞれの軍隊の衛生医官の率からいたしますと大体よく似た数字でございます。現実有事を想定して配置、定員を考えておるという事情もございますので、検討してみる価値はあると思いますけれども、二十四時間拘束されて自衛隊の任務につくというために、健康的な心配がない受け入れを考えておくということも重要なことだと思います。その点、定員の問題もさることながら、医官が就職いたしまして後離隊をするまでの期間がそう長くはない者が多うございます。自衛隊医療活動の中の魅力を多くするというようなことにも大いに考慮を払いまして充足を高める必要があると考えております。
  35. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 医官婦人の方はいまおられないのですか。
  36. 萩島武夫

    萩島政府委員 原則的にはおられません。ただ、委託医師その他で実際に協力していただいている方はいらっしゃいます。
  37. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 長官婦人医官を採用する、これは御検討なさる価値があるのじゃないかと思うのですね。看護婦などはずいぶん応募者も多いですし、第一線は別として、いまの病院勤務の医者などは御婦人でもやっていけると思うのです。これは検討をお願いしておきます。  部隊の実情について伺ったわけでありますが、長官にお伺いしたいのですが、いまお述べになったとおり四次防そのものが、五十一年度の予算が完全に認められましても、陸上自衛隊で言いますと、戦車などはいいでしょう、装甲車が八〇%、自走火砲に至っては五十二%ですね。それから海上自衛隊では艦艇が五十四隻のうち四十一隻、これは大変な積み残しができるわけでございます。四次防につきましては、ここ二、三年当委員会でも与野党ともに熱心に論議をして一応国会の中の了解が得られておる、私はこう思っておるのですが、今度ポスト四次防の構想をお出しになった。私は後で伺いますけれども、長官大変御努力なさっておるなということを感じるわけでありますが、経済事情の変遷でやむを得ないと思うのですが、四次防をこれだけ積み残してポスト四次防の計画にかかるという点について、私読んでみましたが、四次防当時の情勢判断と今度長官がお出しになった情勢判断とどうも基本的には変わりがないように思うのですね。にもかかわらず四次防を積み残したままで新しい防衛整備計画をお立てになるという点がどうも納得いかないのですが、この点いかがでしょうか。
  38. 坂田道太

    坂田国務大臣 四次防につきましてはいま答弁を申し上げましたような状況でございまして、来年度の予算を一〇〇%いただきましてもなおかつ充足ができないということにつきましては、いろいろの事情はあったにいたしましてもまことに申しわけない事態であると考えております。  そうでございますが、しかし、これをどうするかということでございますが、結論を申しますと、もちろんこの四次防の積み残し分の大部分というのは、やはり次の新防衛構想の中に取り込んでいかなければならない、そしてそれを満たしていかなければならないというふうに思います。  しかしまた、今度新防衛構想を固めますにつきまして考えましたのは、果たして四次防策定のその当時と今日の段階とで情勢の変化というのをどう見るかということです。国際情勢の問題については、私は変わっていないというふうに思います。基調はあくまでもデタントの方向にあるかもしれませんけれども、しかし、それかといって危険な要素が残らないわけではないという認識でございます。  一方経済の方は、もちろん御承知のとおりに、高度経済成長から安定経済へ移行。この点はやはりいささか変わってくる。  それから、新防衛構想でいま考えておりますことは、もちろん四次防まで積み上げてまいりましたこのものを確かに大部分は吸収をしていくというのであるけれども、この段階で、長官指示の第一次で申しておりますように、経済成長時期におきましては、当然なことながらやはり正面装備ということに重点を置いていった、しかも、ゼロから出発いたしましたわが自衛隊といたしましては、それは四次防を策定いたしましたときには当然なことだったというふうに私は思うわけでございます。  しかし、有事ということ、どういう事態が起こらないとも限らない、少なくとも局地戦以下の小規模の侵略に対しては、これはやはり対応力あるいは即応力を持ったものでなければならない、そう考えますと、どうしてもその即応力を持つということから考えて、確かに正面は、四次防で積み残しはあるけれどもかなりなところまでいっている。しかし、これで一体その小規模の局地戦に即応できるかというと、残念ながら私は、見てみると、後方支援、抗たん性ということを考えると、ここが薄弱である、ウイークポイントであるというふうに思いまして、したがいまして、私は、このあたりで、後方、抗たん性、そして正面というバランスのとれた小規模以下の限定的な侵略、直接侵略には即応力を持ったものをやはり備えておくということが、日本の安全と独立のために必要なことではないだろうか、つまり、経済とかあるいはまた国際情勢とかいうようなこともさることながら、その整備の仕方について、本質的にこのあたりでもう一遍四次防というものを見直してほしいという長官指示を実は出し、またそういう指示のもとにこの第二次の指示をいたしたわけです。そして、一応そういう正面、抗たん性後方、こういう三位一体の実力ある、反撃力のある、あるいは奇襲攻撃等にも対処できるものをひとつつくりたい、こう思っておるわけでございまして、それを基盤防衛力というふうに名づけまして、そして、もし緊張がさらに高まるという事態が起こる、あるいは有事というような場合に、これだけではなかなか対処できないという場合には、これを基盤としてエクスバンドできる、拡充ができる、こういうものをひとつきちんとこの際整備すべきじゃないだろうか。  確かに、従来の四次防までの考え方としては、周辺の潜在的脅威、軍事力というものに対応して計算をいたしまして、所要の防衛力というものを考える、そしてそれを整備していくという考え方であったと思うのです。それは純軍事的な合理性追求から言うならば、私は当然なことだと思う。そしてまた諸外国についても、恐らくそういうようなことで自国の軍事力というものを整備しておるものだろうと思うのです。しかし、それでございますると、年に大体GNPの一%という状況整備してまいりますと、どうしてもその理想と現実というものに余りにも距離があり過ぎる。一体いつまでたったらその整備は終わるだろうかという不安が実は内部においても、ユニホームそれ自身においてもある。そのことはむしろ士気を阻喪させることにつながっていくのではないか。それよりも実現可能な一つの目標というものを一応設定して、それに向かって全力を注ぐ、そうすることによってユニホームの人たちも、これならいける、そしてこれがおれたちが責任を持たされておる部面だ。そうすると、その政治的一つのガイドラインと申しますか、リスクともいいますか、その上のものについてはあくまでも政治の責任において外交、経済、民生、そういうことで一応責任を持つという体制であれば、その一つのガイドラインまでのことについてはわれわれは責任を持って責務を果たします。つまりいわゆる実力部隊の責任感とわれわれ政治家の責任感とはっきり明確にして、そして全体としての日本の独立と安全、国民一人一人の生存と自由を守る体制を考えていったらどうだろうかというのがいま私が考えておることでございまして、もちろんこの四次防につきまして積み残しがあることはわれわれは十分承知しております。それを充実し、なおかつ後方支援体制をも含めたそういうバランスのとれた、小規模の直接侵略に対してもそれのみで一応対処できる、そういう基盤防衛力というものをいま考え、そういう考え方で一遍作業をやってみろという指示を実は出したということでございます。
  39. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いままでの四次にわたる防衛整備計画でも、これでもちろん十分だということではなかったわけでありまして、中曾根長官のときにも、大体これが所要防衛力の六分か七分ぐらいだ、あとは政治が責任を負うのだという言い分だったわけですね。私はそれでいいと思うのです。  いま長官のおっしゃるところを聞いていますと、経済事情の変遷というようなこともあって、いままで一応目標としておった所要防衛力を格下げをしたという、とてもそこまで行けないから、行けないものをいつまでも目標に置いてはいかぬから格下げをしたという感じに受け取れる。格下げをしたという感じの中には、いままでの四次防でもそうですか、後方補給と申しますか、抗たん性というふうな点において四次防の計画は十分ではなかったので、そういう点をもう一遍見直しをしたいというふうなお気持ちのようにいまお聞きしておったのですが、いかがでございましょうか。
  40. 坂田道太

    坂田国務大臣 そのとおりに実は考えておるわけでございます。
  41. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そういたしますと、四十八年の二月に、これは増原長官のときですが、平和時における防衛力の限界と申しますか、こういうものをお考えになったのであります。これは長官御承知だと思いますが、どうもこの平和時における防衛力の限界の考え方と、いまの長官のお述べになりました考え方と似ておるような気がするのですけれども、その点は長官どういうふうにお考えでございますか。
  42. 坂田道太

    坂田国務大臣 実は私は、その平和時の防衛力の内容というものを詳細には存じておらないわけでございますけれども、しかしながら、私自身として実は考え抜きまして一応ああいう指示をいたしたわけでございます。  その考え方というものを大体集約していきますと、あの場合におきましてもやはり日米安保条約というものが日本のエクスバンドのために不可欠な要素である。そうするとその抑止力が効いておる場合において、平和時においてはこれくらいのものでいいんじゃないかということで、考え方にはそう相違はないということはあるいは言えるのじゃないかと思います。  それは平和時の防衛力を考えたときにも、無限にと申しますか、世界の軍事力あるいは周辺諸地域の潜在的な脅威というものが、科学技術、産業あるいはその国のいろいろの意思、そういうものが加わって絶えず変化をしておる。そうするとやはりそれに対応する所要の軍事力、防衛力というものをあれしなくてはいけない。これはそのものの持つ必然性から実は天井がないわけですね。量的に決められるものじゃないのだ、変動するものだと私は思います。それだから、今度は国民から見た場合には、どこまで行くか、歯どめがないではないか、あるいはまた、かつてのような軍国主義になるのじゃないだろうか、他国に侵略をしていくようなことになるんじゃないか、憲法にはあるけれども、その内的必然性が逆に憲法を突破するようなおそれはないのかという不安もありますし、一面においては、福祉政策その他いろいろいまわれわれの生活を直接潤してくれるようなことをやっておるけれども、防衛費が非常に増大することによって著しく民生を圧迫してくるんじゃないだろうか、それはどうかなという不安も実は一方にある。  そのことに対して、そう無制限に行くんじゃないのですよと、というのは、そこが非常にうまくできておるのだけれども、日米安保条約というものがあってその抑止力があり、しかも一方において外交努力が非常に行われておる、そういう状況において、日本に直接侵略をすることが生起する可能性というのは、いろいろの場合を考えなければならないけれども、それは非常に局限されてくるのではないか、つまり限定戦争ということになるんじゃないか。大規模な攻撃ということも頭の中では考えるけれども、日米安保条約というものを考えた場合には、アメリカと一戦を交えることを覚悟しなくては日本に侵攻ができない。そうすると大規模なことは現在の状況ではまずまずないだろう。あり得る場合は、その安保条約の抑止が効かない部面について短時間に着上陸をやるとかなんとかということはあり得るかもしれない。そのところはきちんとこちらが反撃力のあるものを持っておれば全体としていけるのではないか。  そして何と申しましても、平和時においては、これは世界各国そうでございましょうけれども、本当に直接脅威のある場合は国民こぞっての国防、安全保障ということで、かなりの費用をかけてもそれは納得がいく。しかし一般が非常に平和な状況になりますとなかなか国民を納得させることができない。そういう平和なデタントを基調とするときに、一体どの程度を持つかということは政治家として考えていい問題だということで、その政治のリスクをわれわれが負うということなんで、それのいい悪いは別といたしまして、そういう考え方はあってしかるべきだということでございます。それを計算しまして今度指示をいたしまして、来年の三月ぐらいにどういうふうに計数が出てくるか、一応の量的なあるいはいろいろの仕組みにつきましても各幕で検討をして上がってまいると思うのですが、その出てまいりましたものがこの前の四十八年の平和時における防衛力の量的なものとどうなのかということは、まあでこぼこはあるかもしれぬけれども、大まかに申しますとあるいは同じような計数になるかというふうな気はいたすのでございますが、しかしここはもう少し検討をしてみなければわからないと思っておるのです。
  43. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 その点はよくわかりました。  ちょっと四次防との関係防衛構想についてお伺いしてみたいのですが、四次防では小規模の直接侵略に対してはわが国が独力で排除する、こう書いておったわけですが、今度の長官指示では「原則として独力で」こう書いてありますね。これはどういう意味なんですか。私どもは小規模の侵略日本だけじゃないという気持ちなんですが、何か限定されたところに理解しにくい点があるのですけれども……。
  44. 丸山昂

    丸山政府委員 この考え方は前と基本的には変わっておらないわけでございますが「原則として」という表現が入っておりますのは、ただいま長官からもお話ございましたように、わが国の安全保障というのが日米安保体制を基調にして、そして同時にわが国みずからも自己の防衛努力により防衛力を保持することによって、全体としてあらゆる各種の脅威に対処し得る間隙のない体制を保持していくという考え方に立っておるわけでございます。  そこで、いま長官から例示として申し上げましたように、大きな規模の戦争と申しますか、これは安保体制が現状のように維持されているということを前提に考えますと、侵略国は直接アメリカとの対決を覚悟しなければできないということによって抑制をされる。したがって、非常に限定された小規模の侵略ということを現実的な問題としては考えておけばよろしいのではないかということでございます。  その場合に、小規模と申しましても、一応わが国に対する直接の武力侵略ということを考えますと、現実にはわが国にはアメリカの軍隊が駐留をしておるわけでございます。もちろんわが国独自でこれに対処するだけの能力を持っておかなければならない、これが新しい防衛構想の考え方でございますが、現実の問題として、その場合アメリカがわが国に駐留しておりますと、いわゆる安保第五条にありますわが国の領域内に対する日米いずれか一方に対する侵略、こういう事態になりまして、当然安保五条の発動が考えられる事態でございますので、現実アメリカ軍が日本に駐留しておるということによって即時にアメリカがこれに共同作戦の行動に出得る、出動し得るということを考えておるのでございまして、そういう場合もあるだろう。しかしながら、わが方は独自にこういう問題を処理できる、こういう侵略事態をわが国だけで処理できる能力は当然持つべきである。だけど、現実の問題として考えた場合には、日米安保条約でアメリカが駐留しておるという事態を想定した場合には、必ずしもわが方が独自でなくて、アメリカとの共同行動ということもあり得るのではないかということを考えて、実は「原則として」という言葉を入れたわけでございまして、これは御案内のように、いままでも考え方としてはずっとあったわけでございまして、在来の考え方を変えたわけではございません。現実に着目をいたしまして、明確に、明文にその趣旨を打ち出したというところに違いがあるかと思います。  それから、在来通常兵器による局地戦について、わが国が独力でこれに対処するという考え方を述べておりますけれども、局地戦と申します用語が必ずしも明確に理解をされておるわけではございませんで、これも大変釈迦に説法になりますが、局地戦と申しますのは、軍事用語としては、世界規模で行われます全面戦争に対立する概念として局地戦という言葉が使われるということでございまして、いままで第二次大戦後発生をいたしました朝鮮戦争あるいはベトナム戦争あるいは中東戦争、いずれもいわゆる局地戦争という概念に入るということでございまして、その場合、わが国にとってみました場合には、局地戦争であっても、わが国の全域がこれに包含されるという事態が考えられるわけでございますが、在来、この局地戦という言葉によって、ややもするとわが国の部分的な地域ということを特に想定をして考える考え方もありましたので、その辺の概念の混同を避けるために、明確に限定的な紛争事態侵略事態ということを申し上げたわけでございます。いまこの局地戦という言葉によって地域的な限定を行っておるわけでございますが、限定的な侵略事態と申し上げます場合には、必ずしも地域的でなくて、時間的あるいは紛争の手段、侵略の手段、その他いろいろな面におきまして限定的なもの、こういうことでこういう用語を使わしていただいたということでございます。
  45. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 お考えはわかりましたが、四次防の場合も小規模な直接侵略に対しては独力と言っておるけれども、これもやはり文章の問題で、在日米軍はおるのですから、おっしゃるとおり、安保条約の五条を発動するのですから、米軍の助けをかりるということもこれは実際問題としてはあり得ると思うのですね。ただ、それを今度のように「原則として」と書かれますと、何か日本国民の自主防衛の決意を鈍らせるような感じがして私は残念なんですが、お考えはわかりましたから、これ以上お尋ねはいたしません。  それから「間接侵略及び領空侵犯その他の軍事力をもってする不法行為」、これはどういうことですか。
  46. 丸山昂

    丸山政府委員 具体的な事例としてなかなか想定がしにくいのでございますけれども、いわゆる本格的な侵略以前の事態において、軍事力をもってするいわゆる不法行為というものに包含されるいろいろな事態現実にあり得るのではないかということでございまして、そこで、いま私どもが考えておりますのは、軍事力を使用いたして行われます不法な漁船に対する臨検、拿捕といったような事態、これを考えておるわけでございます。
  47. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 その点わかりました。  間接侵略に対しては「迅速かつ適切に対応し得る」、こう書いてありますね。いままでは間接侵略に対してはわが国は独力でやるのだ、こういうことが書いてありますが、もちろんこれは間接侵略については安保条約の発動はないものだという前提で考えておられると思うのですね。同時に、いままでと間接侵略に対応するやり方を変えようというお考えがあるのですか。
  48. 丸山昂

    丸山政府委員 間接侵略につきましては「早期に事態を収拾し、直接侵略については、」云々と、こういう対処の構想を書いてあるわけでございますけれども、間接侵略について早期に、つまり間接侵略事態があってすぐにいわゆる治安出動ということが行われるのかという御疑問が出るかと思うのでございますけれども、ここで言っております「早期に」と申しますのは、御案内のように一応こういう事態は国内の治安問題として発生する、現象的にはそういう形で出るわけでございまして、警察その他の治安機関がまず第一次的にこの問題に対処するということになるわけでございまして、自衛隊法の治安出動の項に定められておりますように、一般の警察力をもって対処し得ないという事態になりませんと治安出動ということにならないわけでございます。したがいまして、ここで「早期」と言っておりますのは、一般警察力をもって対処し得ない事態といういわゆる治安出動の必要条件ができました場合において、できるだけ早く事態を収拾して、その後に引き続きます間接侵略が直接侵略に拡大しないように対処する、こういう考え方でございます。
  49. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 実際問題としてはいままでの考え方と余り変わっていないということですね。わかりました。  その次に、今度長官は「災害救援等」というものを自衛隊の任務の三本の柱の一つにしておられます。このこと自体は悪いことではないと思うのですが、これはいままでのやり方とどういうふうに具体的に変えようと考えておられるのですか。たとえば災害救援の専門の部隊を置くとか、専門の訓練をするとか、あるいはその機具を購入するのだとか、具体的にどういうことをお考えになっておるのでしょう。いままでもやっておることなんですね。これを特に掲げられたのはちょっと私にはわからない。
  50. 坂田道太

    坂田国務大臣 この考え方は、私といたしましては、やはり国民一人一人の生命財産、そういうものが侵されるということに対しまして、天災地変あるいは大震災、そういうようなことにも対処しよう、これまた地方の消防団あるいは警察力をもっては十分でない、どうしても対処できないという面について対処をするということで、いささかもこの点については変わってないわけでございます。また、このことについて自衛隊法改正しようとまでも実は思っておりません。しかしながら、ここに少しウエートを高めるということでございます。  それからもう一つは、たとえば昨年の暮れに起こりました水島の油の流出、そういうような場合にひしゃくでこれを排除して、まあ言うならば人海戦術でこれに対処した。それはそれなりに実は地元住民から喜ばれておるし、そして自衛隊が出動してくれたことに対して非常な感謝をしておるわけでございますが、そのときの感想等も隊員から聞きましたし、あるいはそれを指揮しました人からも聞いたわけでございますが、自衛隊が出動することによって住民があんなにも喜ぶのか、そして本当に感謝の気持ちを持っておる、あるいは信頼を得たという、そのことが隊員に及ぼす影響というのは非常に大きいもので、それが非常に士気を高めることになった、最初、指揮官が出動するときに感じたことと、終わったときの感じと非常に違う。こういうことについては、やはりわれわれがもう少し十分対処できる能力も多少持っておった方がいいんではないか、資材ももう少しぐらいあった方がいいんだというようなことでございまして、考えてみますると、日本は今後侵略国家ではなくて、他国に派兵をするということはないわけであります。もし侵略が行われた場合には、このわが国で戦わなければならない。そういたしますると、結局道路がやられる、橋がやられる、あるいは民家がつぶされる、それを修復しながら戦わなければならぬ、侵略を阻止しなければならないという事態だと思うのです。そういたしますと、やはりふだんにおいても多少の機材を構入し、あるいは保持しておくということは必要じゃないか。そして、そういうような国民一人一人の生命財産を侵すような大災害、天変地変に対して対処していくということが有事の際においても役立つことではないだろうか。こういう一つの発想から、この災害出動というものあるいは民生協力というものは大事なことだぞという認識を深めたいという一念に実はほかならないわけでございます。
  51. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 長官のお考えはわかりました。私は、法律の改正をされたりしようということをお考えになっておるのかなと思ったのですが、いまの自衛隊の任務そのものは変らぬわけですね。わかりました。  それでは、文部大臣においでいただきましたので、ちょっと問題を変えまして文部大臣にひとつお伺いいたします。  先般NHKのテレビで、琉球大学の自衛官の授業拒否の問題でニュースがあったわけでありますが、これは大臣御存じでございますか。
  52. 永井道雄

    ○永井国務大臣 存じております。
  53. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私はこれを調べてみまして、大学の方は入学を許可しておるのですね。授業の登録もしておるのですね。にもかかわらず、一部の学生が自衛官であるがために授業を受けさせないという態度は非常にけしからぬと私は思うのです。全く基本的な人権を侵しておるものだと思うのですが、これは国立大学ですから、文部大臣としてもお考えいただかなければいかぬのじゃないかなという気がいたすのでありますが、どうでございますか。
  54. 永井道雄

    ○永井国務大臣 ただいまの先生指摘の問題について、文部省のとっております原則的な考え方を最初に申し上げたいと思います。  すべて日本国民が大学に入りたいというふうに希望いたします場合に、その職業の違いによりまして差別を設けるということは、これは原則としてあり得べからざることでありますから、大学の研究教育にもちろん支障があってはいけませんが、支障のない限りどの職にあります人も大学を受け、そして入っていくという原則を堅持すべきである、これは自衛官にも当てはまる、これが文部省の原則的な考えでございます。  したがいまして、いま先生が御指摘の学生の場合にも、琉球大学もその方針をとりまして入学させたわけでございます。ただ入学させた後に問題がありますのは、一部の学生が繰り返し妨害をするということがありますために、事実上その学生が大学あるいは文部省の方針にもかかわらず学業を続けていくことに支障を来している、かような事情でございます。これは非常に憂慮すべき事態であると思いますが、ただその場合に、ある日だけ、たとえば警官にお願いしてその学生に授業ができる事態をつくるというだけで問題は解決するのではなく、私は、こういう場合には、学生の場合は長期にわたってやはり、先生はもとよりでありますが、他の学生とともに学習していくという全体的な状況というものが改善されなければならないと考えております。したがって、相当根気を要することであると考えるほかはありませんが、文部省もそういう考えで、琉球大学の方でせっかく原則に基づいて入学を許可されたのでありますから、そうした状況というものをつくり上げていくように御努力願いたい、かような考えで臨んでいる次第でございます。
  55. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いまの文部大臣のお考えは琉球大学の方には伝えてあるのでしょうか。
  56. 永井道雄

    ○永井国務大臣 いまの大学入学に関して以上のような原則で進んでいかなければならないということは、琉大だけでなく他の大学にも当てはまることでございますから、申し上げているわけでございます。
  57. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私もいまの文部大臣の御答弁に満足いたします。どうぞひとつこの上ともに文部省としての問題の解決に御努力を願いたいと思います。どうも御多用中恐れ入りました。  じゃ、防衛庁に対する質問を続けます。  「わが国の防衛を考える」という本をいただきまして、私読んでみました。非常によくできておるし、専門ではないにしてもさすがに一流の方々ばかりだなという感じを持っておるのでありますが、その取りまとめの中に、核問題について「非核三原則を堅持する方が賢明な政策といえる。もっとも、アメリカの立場からすれば、「政治家はともかく、軍人たちは、いざというときに有利に戦うために、いつでも核兵器を使えるという選択の余地を残しておきたい」と考えるだろうが、核兵器日本に持ち込む必要性は、それほどないと思う。」こういう文句があるわけですね。これは素人の方と言っちゃ語弊がありますが、余り専門に御研究なさっていらっしゃらない方の結論ですから、それなりに評価すればいいわけでありますが、これは防衛庁の立場から考えたらどういうことでしょうか、どういうふうに思われるでしょうか。もう少し専門的に、核兵器日本に持ち込む必要はそれほどないという点を御説明願いたいのですがね。
  58. 丸山昂

    丸山政府委員 いま御指摘ございましたように、これは防衛を考える会の先生方の中での御議論の過程においてこういう一つの御見解が示されたのでございまして、これは即私どもが考えております核戦略といいますかこういった考え方と一致するものではございません。  こういう考え方について防衛庁がどういう考え方を持っておるかということでございますが、これについては、先ごろというかこの前の国会でも、非核三原則、特に核の持ち込みという点についていろいろ御議論がございまして、その際にも申し上げておるとおりでございますけれども、まず戦略核につきましては、必ずしもわが国に持ち込むということを必要としない。要するに、わが国に持ち込むか持ち込まないかということは、戦略核の核抑止力を担保するという意味においては余り重要な意味を持っておらない。これは十分皆様も御理解をいただけるところでございます。そこで次は、問題は戦域核あるいは戦術核でございますが、こういったものの持ち込みについてはどうなんだということが問題として、主としてこの面においての御議論が多かったように思うわけでございます。  戦術核につきましては、わが国を防衛するという見地から戦術核を使用するかどうかという点になりますと、御案内のように、わが国は非常に横幅のない縦長の島国であるということ、それから、特にいわゆる太平洋ベルト地帯に全国の人口の大部分、それから重要施設の大部分が集中しておる、こういう地理的な特殊性、こういったものを考え合わせますと、国民に対する被害、波及的被害ということを考えずに戦術核の使用ということがあり得るのかどうかということになりますと、多分に疑問視せざるを得ないのではないか。つまり日本の国内に戦術核を持ち込んで、そこから戦術核を使用するという事態が必要であるかどうかということになりますと、必ずしもそうではないのではないかということに相なるかと思うのでございます。  そこで問題は、日本に参ります艦船あるいは潜水艦、こういったものが日本に寄港する場合に、日本で使用するあるいは日本に配置をするのではなくて、いわゆる通過の過程において日本に一時的に核を持ち込むという、こういう形が現出することを、これを非核三原則で制限するということは、アメリカのそういう戦術核を含めた戦略、それからそれに伴う抑止力というものを著しく減殺するものではないか、こういう一つの御議論が出てくるのではないかと思うのでございます。現実に、たとえば攻撃型の原子力潜水艦、これは御案内のようにサブロックという核兵器を積んでおるわけでございます。サブロックは、この原子力潜水艦がかなり長距離の探知能力を持っており、かつこのサブロックをコントロールできるシステムを持っている、こういうことによって可能でございまして、アメリカの対象とする国のポラリス型の原子力潜水艦に対しては、常時いわゆるマン・ツー・マン方式によってこれに対処をする姿勢にあるわけで、それがたまたま日本近海に参りましたときに、何かの乗員の故障であるとかあるいは船の故障ということで日本に立ち寄ることもあり得るのではないか。それが日本に立ち寄れないということによって、米ソの相互間の核均衡というものが、たとえ部分的にしろ制約を受けるということは好ましくないのではないか、こういうお話かと思うのでございます。  こういった点につきましては、確かにそういう意味においてはいわゆる核のスペクトラム、あらゆる脅威のスペクトラムに対応するという点においては多少の制約になるということ、これは純軍事的に見ました場合には確かにそういうふうに考えられるわけでございますけれども、わが国の防衛という点について考えました場合に、その核抑止力の一部についての制約ということが決定的な要因になるかというと、必ずしもそうではない。つまり上位の核抑止力によって十分下位の抑止力がカバーされるということがあり得る。これは純技術的にあり得るわけでございまして、そういった点から考えまして、わが国の場合から見ました場合に、いわゆる核の持ち込みを禁止するということが、核戦略上決定的なわが国にとってマイナスの要素になるかというと、私どもは必ずしもそうではないというふうに考えておるわけでございます。  また同時に、アメリカの国防省の責任ある地位にある人々は、いずれも非核三原則、特に核の持ち込みは、アメリカが核をもって日本防衛するという戦略戦術においていささかの支障も来さないという趣旨を明言しておりますので、私どもも彼らのその言葉は専門的な詰めをやった上においての見解であるというふうに判断をいたしておるわけでございまして、この問題については、結論的にはここに書かれておりますように必要性はないということと同じことになるかと思いますが、立論の経緯はちょっと違うわけでございまして、結果的にはいま申し上げましたような判断をいたしておるわけでございます。
  59. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 戦略核と戦術核の問題につきましては、ちょっと私意見が違うのですが、結論は私も同感でございます。しかしこれ、余り軍事専門的に勉強していらっしゃらない方の集まりでこう簡単に書かれるとちょっと戸惑うのですよね。  それからもう一つ、この中で、これは個人の意見ですが、荒井さんという方の意見です。「防衛に関する若干の所見」の中で大変私おもしろい御意見を拝聴したのですが、自衛隊定員の問題ですね。定員と欠員、実員の問題、これはいまでも陸上自衛隊相当欠員がございますし、海上、航空はさっきも聞きましたがほとんど充足をしておる。ある程度定員を凍結して、その凍結定数のうちの二分の一以内を他の自衛隊自衛官定数に加えることができるようにするという案を提案していらっしゃる。私、これ非常に興味があるのですが、これはわれわれが国会でやるべきことかもわかりませんが、防衛庁長官のお考えを一応伺っておきたいと思います。
  60. 坂田道太

    坂田国務大臣 この御意見はちょっと興味のある御提案だと実は思って、もう少し検討させていただきたいというふうに思っております。  この基盤防衛力構想の中において、部隊の編成の問題もひとつ考えてほしいという指示をいたしております。その作業の過程でどういうことが出てくるかということでございますが、現実にたとえば陸につきまして十八万、しかし充足率はかなり落ちている、それをどういうふうに考えていくか。しかし私は、基本的にはやはり先ほど申しました昭和三十二年の「国力国情に応じ」云々というああいう国防の方針からずっと参りまして、その基本を踏襲いたしていくつもりでおるわけでございます。そういたしますと、これは国会で御承認いただいた定員でございますから、これをあくまでも守っていきたいというふうに思っておるのです。しかしそれを現実の運用としまして、たとえば教育訓練を行う場合にどうなのか。いまのような編成だけでいいのかどうかということについては、むしろ別な編成もあってしかるべきじゃないだろうか。そしてむしろ充実した教育訓練が行われるあるいは作戦が行われるというようなことも考えられるんじゃないだろうかというふうに、これは全くの素人の考えでございますけれども、一応そういういろんな場合を私は考えるわけでございまして、そういう考え方も一つの考え方として、ひとつ実際運用しておる人あるいはそういう専門家の人たちの意見を出してもらいたいということをいま指示しているということでございます。
  61. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 その点よくわかりました。  では問題を変えまして、これはきのうの各新聞に出ておりましたが、対潜哨戒機、これは専門家会議から国防会議の事務局に答申が出て作業をしていらっしゃるのだと思いますが、国産は見送りで、P3Cですね、これを五十機導入するんだというふうに「防衛庁長官方針」と出ておりますが、これは事実でございますか。
  62. 丸山昂

    丸山政府委員 私から御説明を申し上げます。  まず結論から申し上げますと、まだ、いま新聞の記事で御引用になりましたような結論を防衛庁長官が下されておるわけではございません。現状について私から御説明を申し上げたいと思いますが、御案内のようにこの次期対潜哨戒機PXLにつきましては、四十八年から四十九年にかけまして、国防会議の事務局で設置をいたしました専門家会議で、国内生産それから外国機の導入、こういった問題につきましていろいろ専門技術的な見地から御検討いただいたわけでございまして、その結論が昨年の十二月に国防会議に対する専門家会議の答申という形で出されておるわけでございます。その答申に基づきまして、同じく昨年の十二月に開かれました国防会議におきまして、この問題についてはさらに技術的、財政的な基盤について関係省庁において十分検討するようにという御指示をいただきまして、その後関係省庁において技術的、財政的基盤について検討を進めてきておるというのが実情でございます。その過程におきまして、外国機の導入という場合の外国機については、当初イギリスのニムロッドあるいはフランスの開発いたしておりますアトランチック、こういったものも対象に挙がっておったわけでございますけれども、わが国がPXLを実際に配備をいたします時点においての取得の見通し、それから搭載されております機器の性能その他諸般の問題を勘案いたしまして、結局アメリカが現在使用いたしておりますP3Cがこの三機の中では最も進んでおる、適当であるということになりまして、そこでそのP3Cを導入するのか、あるいは従前の計画どおりPXLの国内開発で行くのか、こういう点でいろいろ関係省庁間の検討を進めてまいっておるというところでございます。  実はことしの三月に国防会議事務局の参事官会議におきまして、この問題についてさらに検討を進めると同時に、できるだけ早く、つまりことしの八月末の五十一年度予算の概算要求に間に合うように結論を出すということであったわけでございます。それで再度調査団を派遣いたしまして、P3Cについてもっぱら検討させると同時に、国内開発の諸条件についてもその後見直しを行ってまいったところでございます。P3C調査団の結論がかなりおくれた事情もございまして、結局結論的には八月末の概算要求には間に合わなかったわけでございまして、その後関係省庁の中ではっきりした結論が出れば五十一年度に追加要求をするということになっておるところでございまして、現在もそういう点でいろいろ、各種の見地から検討を進めておるというのが現在の状況でございます。  大変押し詰まった状況になっておりますので、そろそろはっきりした考え方が出るのではないかということでございますが、一方、この問題についてわれわれとしては次期防、つまりポスト四次防の主要項目として、対潜兵器体系、これは航空機艦船、あらゆるものを含めまして、いかなる形であるべきかという基本的な問題からの洗い直し、これを実はいまの長官指示に基づきまして作業をやっておる段階でございまして、この結論は来年の八月ごろ防衛庁原案というものができ上りますまでになってみませんと、どのような形になるのかということは、いまの段階でははっきり申し上げられない状況でございます。特に、いまも申し上げましたようにポスト四次防の主要な項目でございますので、当然これはポスト四次防の閣議決定をいただきます際に、初めて方針として決まるものであるというふうに私どもは考えておりますので、それまではっきりした結論を得ることはきわめてむずかしいのではないか。したがいまして、現在の段階でこういうことを申し上げるのはどうかと思うのでございますけれども、五十一年度の概算要求に追加要求の形でできるだけ乗せるように努力をしておりますけれども、いまの段階ではきわめてむずかしい。したがいまして、この問題は、先ほど申し上げましたように来年の八月、ポスト四次防の全般の計画が定まります時点において、同時にこの問題に対する結論も出したいというふうに考えておるわけでございます。ただいまの段階国産かあるいはP3Cの導入か、こういった単純な問題の割り切り方では処理がむずかしいのではないか。実際いろいろな問題を勘案をいたしました場合に、実際の処理の仕方としてはバリエーションがたくさんございますので、国産か導入かという、そういう形での割り切り方は恐らく出てまいるまいというふうに思うわけでございまして、現在の段階では大変不確定なことを申し上げて恐縮でございますが、実情といたしましてはそういう状況にあるということを御報告をさしていただきたいと思います。
  63. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 対潜能力の強化ということはポスト四次防でも非常に大変な問題だと思うので、慎重に御検討なさることは当然だと思います。  そうしますと、国産と決めることもむずかしいということになれば、五十一年度の予算には出てこないということになるのですね。輸入なら問題ないと思うのだけれども、研究開発だったらこの五十一年度予算にのせなければいかぬのじゃないかなという気がするのですが、どうなんですか。
  64. 丸山昂

    丸山政府委員 輸入の場合でございますと、これは四次防の大綱との関係もございまして、四次防期間中にこういう主要項目の導入ということは、これはいわゆる先取り問題ともなることでございますし、結局五十二年度以降のポスト四次防の主要項目として国防会議、閣議で御決定をいただく、こういうことにならざるを得ないと思います。  一方、研究開発のための所要経費ということでございますが、実はこのPXL自体の問題ばかりでなしに、今度PXLで私どもとして非常に重視をしておりますのは、機体の問題よりはむしろ中身のセンサー、それから情報処理能力、こういった点を大変私どもとしては重視をしておるわけでございます。現在のP2Jがこの点において大変立ちおくれておるわけでございまして、できるだけ早く国際水準にこぎつけたいというのが私ども並びに海上自衛隊の願望であるわけでございます。  そこで、わが国のコンピューター産業の実態その他からいたしまして、また当方のこういう部門に対する体制の問題、こういった点でやはり本格的に取り組むということが必要なのではないか。そういう点からいたしますと、いろいろな見地からの再検討ということは十分に行われる必要がありますし、それから場合によりましては、いま先生指摘のように、このPXLそのものでなくとも、いわゆるコンピューターのソフト部門の体制の確立のための何らかの予算措置というものは五十一年度でお願いをすることになるかと思うわけでございます。
  65. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 わかりました。  きょう朝のNHKのテレビで、長官が前から言っていらっしゃった日米安保協議委員会の枠内で作戦協力等を協議する機関を来年の一月から設けることが決まったというニュースが入っておりましたが、この内容について御説明願いたいと思います。
  66. 丸山昂

    丸山政府委員 これもまだ決まっておりませんので、私から御答弁申させていただきたいと思います。  御案内のように、坂田シュレジンジャー会談におきまして、日米の防衛協力に関する協議機関を日米安保協議委員会の枠内において設置する、こういうお話し合いができまして、次回の日米安保協議委員会の開催までにこの協議機関の構成、任務、それからいかなる場所に設置をするか、性格づけ、こういった問題について日米相互間においてあらかじめの合意を得たいということで、まず政府部内におきましては外務省と私どもの方で現在のところこの問題について協議をいたし、問題点を詰めておるという段階でございます。  安保協議委員会は、これは外務省の問題でございますので私どもから申し上げるのはどうかと思いますが、四十九年度はまだ開催をされておりません。大体最低年に一回は必ず開かれておりますので、恐らく見通しとしては来年わりあいに早い時期に開催をされるのではないかというふうに考えておりますが、これは外務省マターでございますので、私どもの方からそういうことを申し上げることは不謹慎かと思いますが、大体の見通しとしてはそういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、それまでに当然いまの安保協議委員会の問題につきましてはまず政府部内での意見の一致を見、そしてアメリカとの非公式の交渉に入りたいというふうに考えておるわけでございまして、現在外務省との間で問題の細かい詰めも含めましてやっておるという段階でございます。これにつきまして大臣からの御承認を得られました際に、引き続いてアメリカとの関係の折衝に入りたいと思っておるわけでございまして、現在の情勢はそういう実態にございますので、御了承願いたいと思います。
  67. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 まだ決まってないのなら結構です。  時間がありませんので、基地問題で二、三お尋ねして終わります。  基地対策の重要性は長官、前から言っていらっしゃる。私も全く同感なのですが、防衛施設周辺整備全国協議会ですか、その会長さんからは陳情が参っております。これは防衛庁にも行っておると思うのです。いろいろなことが書いてありますが、その中で特に私が注目いたしましたのは「市町村が基地対策の一環として行う事業については、すべての事業を採択するとともに、補助金の交付に係る事務の簡素化を図ること。」こういう一項目があるわけです。これもこの前の委員会でも私は申し上げたと思いますけれども、やはり基地対策というものは防衛施設庁だけでやるというのでは限度があると思うのです。政府が一体となってやってもらわなければいかぬと思うのです。基地問題閣僚協議会ですか、こういうものがあるように聞いておりますが、これは開かれておるのですかどうですか、その点をお伺いいたします。
  68. 長坂強

    ○長坂政府委員 御質問の基地問題閣僚協議会は三十六年に設置を見まして、四十年、四十三年、四十五年各一回ずつ開催されております。以後はほかのたとえば基地問題連絡調整会議等の機能が動きまして、この会議は開催されておりません。
  69. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ほかの機関でもいいのですけれども、いま私が申し上げたように、とにかく政府一体となって、なおかつ文部省も厚生省も建設省も皆関係があるのですから、基地対策に取り組むという体制をつくっていただくようにお願いいたします。
  70. 坂田道太

    坂田国務大臣 加藤先生のこの御指摘は、実はまことに私わが意を得たりというような気でおるわけでございます。と申しますのは、就任いたしまして、やはり基地対策を十分にやらなければ安保条約そのものが機能しないというふうに思っております。したがいまして、先般シュレジンジャー国防長官と会いましたときにも、安定的使用という言葉をもって表現をいたしたわけでございますが、同時に、この基地が安保条約を有効に働かせるために非常に必要であるということであるとするならば、基地のあるその周辺の市町村住民の方と、基地が全然ない市町村の住民と比較をいたしてみますると、片方はいろいろな騒音その他の面で御迷惑をかけておるわけでございます。だから、それが安定的に使用される、つまり、平時においても安定的に使用されるということを考えますと、やはりその基地の周辺の住民の方々になるたけひとつ摩擦なく、そしてまた納得をした上においてわれわれのその目的も達成しなくちゃならぬ。そう考えますと、この問題はやはり防衛庁はもちろん主体的にやらなければならないけれども、しかしその基地周辺の対策となりますと、これはおっしゃるように建設省もございましょうし、あるいは運輸省もございましょうし、あるいは病院あるいは福祉施設、そういうことを考えれば厚生省もございましょうし、文部省でも学校その他の騒音等もそこに生ずるわけでございますから、そういうことで政府機関においてそれぞれの予算措置もしておられるわけでございます。もし、これが国全体として日本の安全保障という立場から考えるならば、そういうことで行政が進められてしかるべきじゃないだろうかというふうに私は思います。うちの予算だけじゃなくて、文部省は文部省の予算、あるいは厚生省は厚生省の予算の中で、基地というものをそういう日本全体の安全という立場から考えるならば、行政としてもそういうような指示もできるんじゃないだろうか、あるいは行えるんじゃないだろうかというふうに思うわけでございまして、そこで、私いろいろ調べましたら、いま御指摘の閣僚協議会というのが存在をしておる。存在をしておるけれども、いまお答えを申し上げましたようにそれが動いていない。早速これを動いてもらうようにお願いをしようということで実は官房長官にもお願いを申し上げておるわけでございます。そのための資料を整えて、そしてお願いをするように各省庁にもちゃんと連絡をとってやってくれといま言っておるわけで、時期を見てこの会議を開き、そしていまの問題を総合的に基地対策として考えていくという政府の姿勢をひとつ打ち出してもらいたいと思っておるわけで、きょうは本当にいい御提案をいただきましてありがとうございます。
  71. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ぜひ防衛庁長官、御努力をお願いいたします。  これは、私この前の委員会でも申し上げたんですが、飛行場周辺の土地ですね、買収された土地が荒れたままになってほってあったりするところが大分あるのですね。資料をいただきましたけれども、この前のときに比べて余り進んでおりません。これは私は非常に残念に思うのですが、これは簡単にいまどういう現状になっておって、どういうふうに緑化なりあるいは貸し付けなりしていく計画かということを御説明願います。
  72. 長坂強

    ○長坂政府委員 総保有面積は約三百八十五万平米という面積を持っておりますが、いま先生指摘のように、このうち半分はまだ緑化等の施策が講ぜられておりません。百九十五万平米というものについてはまだその施策が講ぜられておりませんので、これは昭和五十一年度、五十二年度の二カ年で全部緑化をしてしまおうという方針で、所要の予算も来年度要求をいたしております。  それから、この年度内におきましても、たとえば小松市などにおきましては、青少年の朝起き野球のコートがほしいということで、そういうものは三面ほどとれるような面積もございますので、そういう面にこの年度内も活用を図りまして、緩衝地帯として整備緑化を大体今年度中に終わるものは、従来のものも含めまして九十八万平米ございます。それから、現在すでに地方公共団体に駐車場とかその他消防の器具の置き場だとか、そういうのに使用許可をしておるものが九十二万平米ございます。これは両方ともそれぞれ拡大をしてまいりまして、五十二年度には全部終わりたいと考えております。
  73. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 非常に結構です。ぜひそうやっていただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  74. 藤尾正行

    藤尾委員長 三塚博君。
  75. 三塚博

    ○三塚委員 まず長官に、国防白書の問題について若干御質問を申し上げます。  四十五年に防衛庁は、一度中曾根長官時代に白書が発表されておるわけでありますが、昨今新長官になられましてから、きわめて哲学的な文政に明るい坂田長官民間の意見などを徴しながら、防衛論議を盛んにせしめようということで、ある程度の効果が出ておるように感じます。そういう意味で、他の政府機関はその都度白書が発表され、それをまた中心として次への飛躍が行われてきておるわけでありますけれども、そういう点で白書というものが非常に重要な役割りを果たすものだというふうに考えるわけでありますが、いつごろ発表されるか、そういう御準備があるのか、あるとすれば、白書が訴えようとするポイントはどの辺に力点を置こうと考えられておるか、そんな点などをお伺いいたしたいと思います。
  76. 坂田道太

    坂田国務大臣 私、防衛白書はこれはぜひ出したいと思っておるわけでございます。実は「防衛を考える会」三カ月、四月、五月、六月とやりまして、そしてそのまとめができましたのが実はかなりおくれました。やはり防衛を考える会のレポートを見ながら防衛白書を作成していこうというふうに思ったのであります。     〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 それは、従来、防衛白書は中曾根長官のときが初めてでございます。その後絶えて久しくございません。これはおかしいと私思いました。それから、防衛を考える会の初日でございましたけれども、角田さんという女の方が、防衛を考えろとかあるいは安全保障について考えてみろというようなことをしょっちゅうおっしゃいますけれども、いままで防衛庁や政府なりは、防衛を考える材料や資料を十分発表されておりますか、ないじゃありませんかと言われて、実はぎゃふんとまいったわけでございます。そういうわけでございまして、厚生白書もございます。農林白書もございます。外交白書もございます。各省あるのに、一番大事な防衛白書というものが絶えて久しくないということはおかしい。日本国民のコンセンサスを得るだけでなくて、やはりこの防衛白書が毎年出ることによって、周辺地域における国々が、日本防衛構想はどうなんだ、憲法の制約を受けて他国を侵略するということはないのだ、あるいはかつての軍国主義時代のような、そういういわば防衛というものを整備しておるんじゃないんだというようなことをはっきり認識をするということは非常に大きい、よいことだと私は思います。  また、国民の側から見ましても、一体どこまで防衛費はかかっていくんだろうか、その規模はどうなんだ、あるいはどうやって自分たちの生存と自由というものを守ってくれるんだろうかということについて本当にわかっていないと思うのです。意欲はあっても材料がないから考えようがないというのが実情だと思うのであります。そういうことを考えまして、私はどうも各省の白書を読みましても、膨大ではあるけれども、これをなかなか読みこなせません。特に防衛庁防衛白書になりますと専門用語がございます。わかりにくいわけでございます。私も文部大臣、厚生大臣をやって飛び込んでいって、実は言葉にちょっとまいったわけでございますが、もう少しわかるように説明はできないものかということを申しておるわけであります。今度できます防衛白書には、できればひとつ高等学校を卒業した程度の人には読める、読んでわかるというものにしてもらいたいという指示を与えまして、いませっかくやっております。ところが、書いてみますと、ときどきある一章を持ってこさせまして読んでみますと、やはりかたいのですね。そのかたいのをやわらかくするだけでも実はかなりの時間がかかりまして、最初の予定といたしましては年内にはと思っておったのですが、場合によってはあるいは年内では完成できないのじゃないか。しかし、できるだけ年内に完成するように最大限の努力をいたしたいというふうにいま考えておるわけでございます。
  77. 三塚博

    ○三塚委員 検討計画は年初めにあるわけですから、どうぞひとつ年内に構想をまとめられて発表いただきたいと思います。  そこで、国防という問題は、防衛庁自衛隊だけで達成でき得る性格のものではない。これはもう長官もよく御存じのとおりでありまして、政治、経済、外交そして軍事、そして特に国民の背景、こういうものの総合的な問題、トータルディフェンスということであろうと思うのであります。そういう点から考えますと、今日の防衛体制、またそれをつかさどるべき防衛の機構、こういうものが一体現況のままでいいのであろうかという疑問を持たざるを得ないわけであります。いわゆるシビリアンコントロールという問題もありまして、国会、行政府である内閣、そして国防会議、そして長官、内局、統幕、そして各三軍、三自衛隊ですか、こういう形であるわけでありまして この流れを見てまいりますと、そのうち主要な役割りを果たすであろうと思われますのはやはり国防会議であろうというふうに私は思うのであります。そういう意味で本日、内海局長にもおいでをいただいたわけですが、この国防会議の態様それから機能というものが今日まで正しく行われてきておるのだろうかという点については、専門家筋ではそれは行われておるのだというふうな意見もあろうと思うのでありますが、何せ、いま長官の言われましたとおり、国民的なコンセンサスの中で防衛、大きく言いますと安全保障という問題が議論をされ、考えられ、合意に達する、こういう時代だと思うのでありまして、その主要な役割りを果たしていく国防会議、この会議が今日の日本の国際的環境の中において、今日の日本的な要素の中で防衛を進める上において、また安全保障というものを進める上において正しく機能しておるものかどうか、機能しておったとお考えになられるかどうか、その辺の見解をまず長官からひとつお聞かせ願います。
  78. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点につきましても先生の御指摘のとおりに私は考えておるわけでございまして、特に特殊の憲法を持っておりますわが国の安全保障というものを考えた場合には、単に軍事力、つまり防衛庁のみによってあらゆる脅威に対処するということはできないわけでございまして、ウエートは非常に、外交、経済、民生安定、そういう要素が強くなくては、この憲法のもとにおいて日本の独立と安全というものは守れない、国民一人一人の生存と自由というものは守れない、こういうふうに私はかたく信じております。それでございますから、国防会議が本当に活発な議論を展開し、実質的な審議を行って、初めて日本の安全というものが全うできるというふうに考えております。  私、着任いたしましてからいろいろ調べてみますると、約二十年間になりますが、前半十年間はかなり活発に動いておるように承知しております。しかし、その後十年間は多少低調に陥っておる。しかしながら、やはり国防会議は国防会議といたしまして、そのとき、その場所における事情もこれあったと思います。たとえば沖繩返還等の大きい問題もございましたし、いろいろございましたから、私がいま、そういうものが解決した後において、ただそういう見方から二十年間の業績を云々するということは差し控えなければならない問題でありますが、これからは少なくとももう少し活発に実質審議が行われてしかるべきである。それにはやはり総理大臣及び外務大臣あるいは通産大臣、経済企画庁長官、大蔵大臣、防衛庁長官、一体となって協力し合ってこの運営が行われるべきである。総理にやはり本当にその気になっていただいてこれを利用していただく。それにわれわれはあらゆる努力を惜しまない。また、やはり私のところが中心のようになっておるわけでございますから、各省にお願いをして、そして国防会議がその本来の目的に沿った運用、運営がなされるようにひとつお願いを申し上げたいという強い実は希望を持っておるわけでございます。
  79. 三塚博

    ○三塚委員 そこで局長にもひとつ御見解を承りたいのですが、国防会議の事項というのは、一に国防の基本方針、二に防衛計画の大綱、三に防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱、四に防衛出動の可否、五にその他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項——これは重要装備等もその他の問題だと思うのでありますが、こういうことで、まさにわが国の安全保障の基本に関する事項がここに国防会議の協議事項として行われておるわけであります。  そこで、大変奇異に感ずるのでありますが、わが国の防衛に関する装備の問題あるいは整備計画の問題、こういうものにつきまして、これは内局が発表しておるのかどこが発表するのかわかりませんが、ちょいちょい新聞紙上に発表されている。これは非常に問題だと思うのであります。でありますから、国民の側から言わせますと、防衛庁が、いま申し上げたこの五つの項目についてすべて権限を持ってやられておるかの感じを与える。でありますから、つまらぬ摩擦がここに起きてくるわけであります。言うなれば、自衛隊という軍事力を持った防衛軍でありますから、そういう点で本来スムーズに通るべきものが論争を起こし、非常な錯誤を起こし、そこで議論を沸騰せしめる。その議論が正しい方向に行くのでありますれば大変いいのでありますが、残念ながら委員会の審議等を通じましても決してそういう方向に行っておらぬ。だといたしますと、やはり国防会議というものをもう少し権威づけていかなければならぬだろう。いま長官が言われましたとおり、設置の前半においては精力的にこの会議が開かれ、防衛という問題についてきっちりとした指針が出されてきた、そういうふうに思います。後半は開かれない年もある。閣僚懇談会ですか国防会議懇談会ですか、こういう形で行われておる形態、あるいは幹事会ということで行われておる形態などもありますが、開かれない年もあるように見受けられる。そういうことになりますと、重要な国防会議が形骸化されていくのではないだろうかというような懸念を強く持たざるを得ない。これはアメリカ流にいきますと国家安全保障会議、こういう性格のものであろうと私は思うのであります。そういう意味で、閣僚は政党政治の関係でその都度かわるので、やはりそこにおられる局長及び参事官の方々の果たす役割り、見識というものがきわめて大事だと思うのであります。そういう意味で、いままでの国防会議の経過を見まして、もし局長として、この辺がよかったこの辺がやはり今後是正すべき点である、お考えがあるとすれば、この際率直にお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  80. 内海倫

    ○内海政府委員 大変御理解ある御質問をいただいておるわけでございますから、この機会に国防会議というものにつきましての、事務の立場におります私の見解を若干申し述べさせていただきたいと思います。  総論的に申しますれば、先ほど防衛庁長官のお答えになりましたところと何ら異なるものではございませんが、ただ、もう少し事務的に掘り下げて国防会議というものについての御説明をしておきたいと思います。  いま先生から、アメリカにおける国家安全保障会議等の例が出たのでございますが、しばしば論ぜられます場合、アメリカの安全保障会議あるいはその他の国のこれに類似する会議と同じような意味合いで日本の国防会議というものが引き合いに出るのでございますが、私も国防会議に参りまして、その辺の疑点を少し明らかにしたいと思いまして、私自身もそういう国の会議を訪問していろいろ調べ、また外務省を通じていろいろ資料を集めました。検討いたしましたが、実は非常に違うのでございます。端的に申しますれば、やはり各国の場合はそれ自身がかなり強大な、いま先生のおっしゃったような外交、防衛、財政、経済の国防というものあるいは安全保障というもので重なる部分をみずからの行政内容としてこれを所掌しておるわけでございます。私、去年の秋、ちょうど一年ほど前ですが、フランスの国防関係を視察しまして、あそこの安全保障会議の事務総長ととっくりと懇談いたしましたが、あのフランスの場合は、約五百名に近い強力な陣容を擁しておる。大統領直結のもとで広範な行政権限を保有して、その部分については、場合によれば各省を指揮するところまでの権限を持って臨んでおるわけでございます。わが国防会議は、そういう意味合いでは、そういうふうな所掌事務というものを持たないで、いま先生のおっしゃったような問題について内閣総理大臣が行政事務を行おうとする場合に、そういう問題についてはこれを国防会議に諮って、国防会議の意見をもらった上でこれを行う。いわば国防会議の現状というものは——実は現状というのは法的な、合わせましてですけれども、諮問機関という立場にあるわけです。したがいまして、われわれは、その諮問機関である限度内で、しかしながら、いま先生のおっしゃったような形において何とか運用できないものかということで、その辺を見出しながら仕事を進めてきておるわけでございます。  そうしますと、国防会議が一番活発に活動いたしますのは長期防衛計画、先ほどお読み上げになりました中の防衛計画の大綱というものを内閣総理大臣が決める場合におきまして、これを国防会議に諮問いたしますから、これにつきましては、国防会議は最も基本的な仕事として活動をしなければならないものでありまして、したがいまして、現状におきまして国防会議は、ポスト四次防にいかに対処すべきかということに対してどういうふうな考え方を持って、どういうふうな体制を持って、どういうふうな諸条件の中でこの問題を進めていくかということを取り上げなければならない。現在はそのための問題に対決をしておるということでございまして、先般防衛庁の内部指示防衛庁案の作成の指示が出ましたのを機会に、国防会議におきましても、これをもって第一回のポスト四次防に対処する国防会議会議といたします。自今国防会議としては最も英知を結集しながら、いかようにして政府としてのポスト四次防に臨むかということのスタートを切ったわけでございます。恐らくそういう意味では各議員の大臣の熱烈な御尽力によりまして今後国防会議は活発な活動を展開していく、こういうふうに私は考えております。したがいまして、長期防衛計画というものが策定され終わりますと、次の防衛計画の策定までの間は、どちらかと言えばその策定された長期計画というものが間違いなく防衛庁その他において進められておるかどうかをフォローするとともに、もしその間にそういうものを変更しなければならないような諸条件が出た場合においては、その問題について国防会議としてはやはり総理からの諮問を受けることに相なろう。たとえばシュレジンジャー坂田会談というふうなことを通しましての日米の問題が活発化しました際には、国防会議の議員懇談会をもって詳細に説明を承る。これに対処する防衛庁の方向あるいは外務省の方向というものが議員懇談会において提示されたのも一つの例でございます。  大変僣越なことを申しましたけれども、一応御説明を申し上げます。
  81. 三塚博

    ○三塚委員 大体、防衛庁設置法六十三条に基づき、国防会議に関する法律でこの国防会議が設置をされておるというところにも異常なような感じを持つのであります。ただいま局長の御説明にもありましたようなことで、他の諸外国との観念から言いますと、これは余りにも弱体であるというふうに考えざるを得ません。やはり国防会議、そしてこれに関連する閣僚がその議を練る、こういうことであるわけでありまして、総理大臣の諮問機関という法的な性格もさることながら、やはり現況のままでこれの体制の整備、いわゆる機能できる状態をつくり上げていくことができないとするならば、やはりこの機構をきちっとしたものに仕上げていくために法改正もある場合においては私は必要でないだろうかというふうに思うのです。  なぜかならば、参事官といま言われましたけれども、この職制表を見てみますと、参事官は三人、それであと参事官補の方が八人おられる、常勤の方を見ますと。そして局長がおられるわけですが、あとはタイプを打つ人、運転手と労務職員とこういう形、兼任参事官が、それぞれ関係する各省から課長クラスの方が出ておられる。幹事会というのは、御承知のようにやはり関係各省の事務次官をもってこれをやられるというのでありますから、これは常設の機関ではないわけであります。  私がこれを申し上げるのは、いわゆるポストベトナム、特にアジアにおける状況、デタントが進んでおるという解釈もあるでありましょうし、私は、朝鮮半島等の例を見た場合、アジアの状況というものは決してさようでないというふうに考えますし、朝鮮半島の平和がわが国の防衛に密接不可分な関連にあるという政府当局の認識、それは正しいと思うのであります。そういう点などを考えてみました場合、これに正しく対応していく国防会議という機関、このような状態であっていいのだろうかという大きな疑問を持ちます。それともう一つ、一次防、二次防、三次防、四次防、重要な装備の変更等、すべて国防会議の議を経て、そのラインにおいて決定されておるということになりますと、諮問機関とは言いながら、いわゆる決定機関であるという性格があるわけです。これは法律の読み方をしてみましても、私はそういうような性格がこれに与えられているというふうに思うのです。そういたしますと、今日の防衛計画防衛装備等の変更あるいは発展と申しますか、そういう問題に煮詰めて考えてみた場合に、制服組がその法に基づいた計画策定というものをなされる、そして内局がチェックをされながら、そこでまたそのものを、原案というものを仕上げられてくる、そしてこの国防会議に出されてきて、そこで検討をされる、こういうことになりますと、この法に定めておるいわゆる国防の基本方針あるいは防衛計画の大綱というこの決定機関、諮問機関と言っても決定機関でありますから、そういう点から言いますと、もしこの防衛担当、自衛隊の幕僚幹部の諸君がつくり上げたそういうプランというものが国防会議でいつもつぶされていくということになりますと、これはやはり国の防衛の将来から考えますと決して好ましい形ではないというふうに思うのです。そういう意味で、まさに国防会議というのは国家防衛の指針をここで決定づける機関でありますから、それこそシビルコントロールの最も中心にある。国会を除きますと行政府におけるポイントでありますから、そんな点から考えてみますと、やはりこの国防会議の権限を正常な姿に——強化しろとは私は申し上げません、正常な姿、いま正常でないと私は判断をするものでありますから、そういう方向で、これは長官としても十二分に御検討をされ、それぞれの国防会議の議事の中において、また閣議の中においても、そのような方向を検討するように仕向けるべきであると考えるわけでありますが、長官の御所見をお伺いをしたいと思います。
  82. 坂田道太

    坂田国務大臣 全くお説のとおりに私も考えておりまして、諮問機関ではありますけれども、この議決を経なければポスト四次防も決められない状況でございます。どうも日本人というのは、制度をつくってしまいますと、何かそれにとらわれちゃって、その運営ということを考えない面もあるわけでございます。私は、やはり制度を変更する場合は、それを十分に運営してみて、そしてそれがどうしてもいけなかったときに変更したらいいわけなんで、ただ制度を変更すればそのまま動くかというとそうじゃないんじゃないかという気が実はするものでございますから、現在のままでも、この運用をうまくやれば相当、より以上の使命を果たし得るのじゃないかというふうに私は思っておるわけでございます。したがいまして、就任いたしましてからかなり内海事務局長とも相談をいたしまして、できるだけ国防会議あるいは議員懇談会を頻繁に行いまして、そしてこれを、いま申し上げまするような使命達成のために沿いたいというふうに思っておるわけでございます。  何と申しましても、シビリアンコントロールのもとにおいて自衛隊が運営をされなければならぬ。その第一は、やはり国会でひとつ常設の防衛委員会をおつくりいただきたいということ、そしてまた、国防会議が行政府における最高の機関でございますから、これがやはり活発に機能をするということが一番大事だというふうに思っております。
  83. 三塚博

    ○三塚委員 私どもの方もなかなか各党の合意を得られておりませんが、防衛に関する委員会あるいは安全保障に関する委員会、そういうものが必要な時期に到来をしておるわけでありまして、ない方がおかしいのでありますので、これは委員長を初め委員各位等と協議の上、そういう委員会を進めてまいりたいというふうに考えます。国防会議の機能、これこそまさにシビルコントロールの中核でありまして、これが正しく機能していくということがわが国の国家安全保障、そして防衛という問題について的確な措置をとることができ得ますし、そうすることがまた自衛隊隊員各位に対して大きな士気を与え、それぞれの部署において自衛隊法の定める目的に向かいまして正しく活動できるものだというふうに考えるわけであります。そういう点で今後一層の御努力を賜りたいと思います。  そこで、次にお伺いをしたいのでありますが、自衛隊の任務ということでありますけれども、これは先ほども答弁が行われておりましたが、直接侵略及び間接侵略に対応していくということ、さらに治安出動、こういうことであろうと思うのでありますが、この場合、自衛隊にこれだけの膨大な国家安全保障上の重要な任務を与えておるということだけでありまして、果たして今日それぞれの三自衛隊の権限と申しますか、そういう問題をとらえながら具体的な指針というものがあるのだろうかどうだろうかという問題であります。  というのは、直接侵略に対しましてはそれなりに明確な目標が出てまいりますから、これはそれなりに対応できるというふうに思います。間接侵略がきわめて重要な問題でありまして、これは思想、経済、政治、挙げますとたくさんの問題が個々にあるわけであります。そういたしますと、この間接侵略に対応するための自衛隊の機能というものが今日確立をされておるのであろうかというふうに考えますと、私は今日の機構の中におきましては不十分であろうと思うし、また、それを近代戦と申しますか、仮に近代戦という言葉を使わしていただいて、その範疇の中のいろいろなカテゴリーを見てみました場合に、とうてい自衛隊だけではこれは達成でき得ない、こういうことになりますので、その点についてやはりきっちりとした方向というものをやらなければならぬと思います。そういう点で、間接侵略に対応するための組織上の体制あるいは責任体制と申しますか、こういうものがどのようになっておられますか、この点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  84. 丸山昂

    丸山政府委員 御案内のように、自衛隊の主要な任務は防衛出動それから治安出動ということでございまして、いわゆる直接侵略と間接侵略ということに対応し、かつ治安維持の補完的な任務に服する、こういうことでございます。  直接侵略については、先ほども御説明を申し上げましたように、小規模の武力侵略に対してはこれに独力で対処し得る能力を持ちたいということで、これが次のポスト四次防以後の一つの整備目標ということで考えられておるわけでございます。  間接侵略でございますが、これについては、ただいま先生がおっしゃいましたように、大変に事態の様相というのは複雑でございます。私どもは基本的な考え方としては、この直接侵略に対応する体制というものを持っておることによって、それが一つの抑止力になり、かつ間接侵略が拡大するということを防止するための大きな力になるということを期待いたしておるわけでございますが、現実の問題といたしましては、間接侵略その他の緊急事態ということについては、七十八条に掲げられておりますように「一般の警察力をもっては、治安を維持することができないと認められる場合」この場合に初めていわゆる治安出動という形で自衛隊が出動できるということになるわけでございます。この点は、あくまでもやはり治安の第一次的な責任を負っております警察あるいはその他の関連の治安機関においてできるだけ処理するということが望ましいというふうに考えておるわけでございまして、自衛隊としては、一般の警察力をもって対処できない場合に、補完的にこれに対処する、そして逐次この事態の深刻化によって、いわゆるエスカレーションに対応して自衛隊が今度は正面を承る、こういう形になるようになっておるわけでございます。この辺は国内の問題であるだけに、問題の処理については相当慎重な配慮、また微妙な、技術的な問題、こういうものがいろいろ配慮をされなければならないわけでございまして、こういった点について第一次的な責任を負っておる警察その他の関係機関と十分有機的対処ができるように連絡をとる必要があると思いますし、そのために御案内のように、いわゆる緊急時におきます対処の問題について、警察庁長官と当方事務次官との間の協定というのもそういう趣旨からでき上がっておるということでございます。この治安出動訓練については、主として陸上自衛隊でございますが、訓練は主要科目の一つにもなっておるわけでございます。その点一番大事な問題は、やはり現地における指揮官の判断、処理ということが一番重要な問題だというふうに考えられるわけでございまして、こういった点についての指揮官の教育訓練という点については十分今後も力を入れて実施をしてまいるということが必要ではないかと思います。  大変抽象的なお話になって恐縮でございますが
  85. 三塚博

    ○三塚委員 そこで、それじゃひとつ具体的にお聞きをさしていただきますが、直接侵略の場合は防衛出動ということになるんだろうと思います。間違っておりましたら、御訂正ください。治安出動の場合には、それはもう間接侵略というカテゴリーが非常に強いかというふうに思います。その場合に、しからばどういう命令系統でこれが行われるか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  86. 丸山昂

    丸山政府委員 一般的に、防衛出動それから治安出動でございますが、防衛出動については、御案内のようにこれは内閣総理大臣が命令権者でございます。内閣総理大臣が国会の承認を得て出動命令を出されるわけでございますが、細かく申し上げますと、その前に国防会議にその可否を諮るということがただいまの国防会議の所掌事務の中に明記をされておるわけでございまして、国防会議に可否を諮り、それから国会の承認を得るということになるわけでございます。防衛庁長官は、内閣総理大臣のこの防衛出動命令の執行の責任に当たるわけでございます。この防衛庁長官の指揮命令、これを補佐するものとして、まず統合幕僚会議がございます。有事の場合でございますので、統合幕僚会議がそのいわゆる本来の機能を発揮するわけでございます。ここで、設置法の中では二十六条の一項の四号に、指揮命令の基本、それから各幕の連絡調整というのが統合幕僚会議の仕事になっておるわけでございます。したがって、この防衛庁長官の指揮命令の基本は、統合幕僚会議が立案をいたしまして、そして、まあこれは当然のことながら、防衛庁長官の政策的な見地からの補佐として内局の審査を経て、長官の決裁を得まして、そしてこれは各幕僚長に指示をされるということになるわけでございます。各幕僚長は、ただいまの長官の指揮命令の基本を受けまして、そして具体的な行動命令を立案をいたします。これは当然のことながら陸海空各三幕について、ただいま申し上げました統幕の調整と内局の政策的な審査、これを経まして、長官の決裁を得て、そして長官の命令として各幕僚長を通じて一線の部隊に参る、こういう筋を通るということでございます。
  87. 三塚博

    ○三塚委員 とてもそれじゃ有事の際に間に合わぬようですな。もうそれだけの手続をやっておりましたならば、有事の際わが国民の生命と財産を守り、独立と平和を守るという自衛隊の使命というのはとうてい達成できないというふうに私は考えるわけであります。これに答弁しろと言っても、長官なかなか大変でしょうから、まあこれは私の見解として申し上げておきます。やはりこれは国会の事項でありますから、その辺のところは国会の論議の中で、協議の中で煮詰めていかなければならぬ問題。とてもいまのことを国民の諸君は知らぬと思うのですよ。もう有事の場合には自衛隊が守ってくれる、こういうことで自衛隊に信頼を持っておるわけでありまして、こういうことの経過を経ていくということになりますと、自衛隊の持つ本来の目的を達成するについて大変大きな間違いが起こるのではないか、目的を達成できないのではないか、こういうふうに思います。そういう意味で、先ほど申し上げました国家安全保障会議というような問題が、国防会議の機能というものを正しくこれをつくり上げていくという意味において私は重要だと感じておりますのも実はこの点であります。  そこで、その前提となる情報の収集であります。これは警察庁長官とも事務次官とのレベルでその協定が行われ、そこでやるというのでありますが、やはり情報というものは、攻めてきたというときにはこれは簡単にわかるわけですから、そのときはそれに対応できまずからよいのでありますが、やはり攻めてくる以上、これはその間髪を与えないという桶狭間方式が軍事戦略の一つの基本だと思うのです。そういう点から、もう一つ重要な間接侵略という問題などを考えた場合、これこそ詳細な緻密な情報というものを収集しながら、その分折の上に立って直ちに出動できるような体制が絶えずとれる状況になければならぬ。そのためにはその情報というものは的確でなければならぬし、その前提となる情報の収集というものが局限されたものであってはならない。その情報がきわめてよいものであれば、国防会議を開き、きちっきちっとこれが行われていくということになると思うのでありますが、そういう点で、今日の自衛隊の本来の目的を達成するための情報機能というものはどういうふうに考えられておるのか、またどういう状態にあるのか、その点をひとつお知らせいただきたいと思います。
  88. 丸山昂

    丸山政府委員 現状について私から御説明を申し上げたいと思います。  自衛隊自身が持っております情報の収集あるいは情報の整理分折、こういう組織でございますが、各自衛隊がそれぞれ持っておりますのは資料隊でございます。この資料隊は、自衛隊が独自に入手をいたしました情報はもちろんのことでございますが、実際は大部分は国内外の交換資料でございます。これを整理いたしまして、必要に応じていつでもこれが使用できるような状態に置くということが資料隊の任務でございます。  それから陸海空それぞれ調査隊というものを持っておりますけれども、これは自衛隊員に対する外部からの働きかけから自衛隊員を防護するという目的のためのものでございまして、これについては要するに自衛隊の一つの自己防護本能と申しますか、こういう目的のためにやりますので、いわゆる外部からの侵略あるいは間接浸略というようなことについての直接的な情報がこのルートで入ってくることは期待ができないということでございます。  それから各幕に、たとえば陸幕でございますと第二部、海幕は調査部、空幕は防衛部の一部でございますが、これがそれぞれその各幕の情報活動のいわゆる集約、分析というものを全部担当する部局としてございます。それから統幕には統幕の二室というのがございまして、これは統幕自体の運用に関連した情報収集を行うということになっておるわけでございます。それから陸幕の二部の別室、これは前から申し上げておりますように、わが国周辺の軍事に関する通信情報を所管しておるところでございます。  それから各海峡、沿岸、こういったところに陸上自衛隊は沿岸監視隊、それから海上自衛隊は警備所というのを持っておりまして、これがそれぞれの海峡あるいは沿岸について、航行いたします船舶あるいは航空機その他についての情報の収集を行っておるわけでございます。もちろん航空自衛隊のレーダーサイトもそういう意味での情報収集の一つのネットワークでございます。  それで、これらの情報はどういう形で大臣まで上がるようになっているかと申しますと、先ほど申し上げました陸上自衛隊の幕僚監部の第二部あるいは海幕の調査部、こういうそれぞれのところから統幕の二室あるいは防衛局の調査一課、二課というところに連絡がございまして、そしてそれが大臣まで上がる。必ずしも全部が大臣まで上がるわけではございませんが、そういう体制がとられておるのでございます。  これは防衛庁自体のいわゆる情報組織でございまして、全体をカバーする構成比としては余り大きな構成比を占めておりません。現在非常に大事なのは、むしろ関係省庁から御連絡をいただくのが非常に多いのでございまして、その中で一番大きいのはやはり外務省でございます。外務省には、私どもの方から防衛駐在官がそれぞれ外交官の身分で海外に行っております。行っておらないところもございますが、行っておるところがございます。行っておるところは、当然それらの駐在官からの起案に基づく情報がもたらされるわけでございますが、そうでないところにおきましても、われわれに関係があるところの情報については、外務省から積極的に御連絡をいただくということになっておるわけでございます。  また、国内治安に関係する情報については、警察庁あるいは公安調査庁その他の関係部門、あるいは運輸省の海上保安庁、こういったところからの御連絡も終始いただいておるということでございまして、防衛庁の内部の情報組織につきましては、ただいま申し上げましたような実態でございます。  これがどのような状態にあるのかということになりますと、現状は必ずしも満足すべき実態ではない。これは必ずしも分量の問題ではございませんで、質的に高めるために、要員の訓練あるいは資材の近代化、こういったものと相まってこれから整備をしてまいらなければならない。特に作戦分野に対するミートする適切な情報を適時に入手し得る体制ということが大変重要だと思われるわけでございまして、次期防におきましては、長官の特に重点的な御指示もございまして、この点について格別の配慮をなしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  89. 三塚博

    ○三塚委員 いまの防衛局長の必ずしも十分でないというのは、それは正直な見解だと思うのであります。今日のような多様化した国際社会の中におきましての情報収集がなかなか困難であることはわかります。     〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、困難とは言いながら、やはり情報を的確に収集し、分折し、対応していくということが国家安全保障に関して最大の重要な役目であり、これがなければ自衛隊の出動もあり得ませんし、これがなければ政治の対応の仕方もない、こういうことになるわけでございまして、先ほど来何回も申し上げるようでありますが、内局がそれを集めながらやられるという分量から言いますと、とうてい手に負えないものであろうというふうに思うのであります。そういう意味で、長官に国防会議の機能というものを正しく機能させる意味におきまして、そういう方向の一元的な情報の収集、そして分析、判断というものが行われ、総理を初め閣僚に的確にこのことを伝達していく、そういう常時の腹構えがございませんければ、とうてい自衛隊があってもわが国の防衛達成することができない、そういう状態が出てくるのではないだろうかというふうに思うのであります。  そういう意味で、特に一例を挙げますと、私もわざわざ韓国に出向きまして、例の北から南に掘られましたトンネルを現地において見てまいりました。これは時間がありませんから長く申し上げません。それぞれの新聞に、またそれぞれのマスコミにおいても取り上げられておるようであります。金日成が宇都宮徳馬さんに言われましたとおり、そんなことは一時も考えなかったし、そんな意図もない、こういう性格のものでは決してないし、灌漑用のトンネルは掘ったことがあるけれども南進用のトンネルは掘ったことはない、こういうこともいかに詭弁であるかということを私はこの目で確かめてきたわけであります。優に一個師団がわずか三十分で通過できるりっぱなごうであります。花岡岩地帯でありますから、南から掘るということであれば、それはすでに発見され、このことが公表される性格のものであります。綿密な計画のもとに掘り進められてきておる。未然に宇宙衛星がこのことを感知し、また二十四時間勤務体制の韓国の前戦部隊がこれを探知しましてこれが判明した、こういう事実の上にあるわけであります。このことなども、わからなければどういう事態になっておったかということでありますが、これはもう考えるだけで身の毛のよだつ状態が起きておったと思うのであります。このことが未然に防げましたから、今日の朝鮮半島の平和があり、わが国の平和が今日あるということになるわけでありますから、そういう意味で、情報収集にさらに強力な努力をしてほしいと思います。  特に、松生丸事件についてもそうであります。明らかに領海を侵犯しておらぬという発表がなされた。あの船長さんが帰ってきたとき私もテレビを見ておったのでありますが、あれだけ群がるマスコミの諸君のインタビューに対して、いまは何も言えないのだという答弁に終始しておりました。そしてひとり言のように、ぼくは再び北朝鮮沖には出漁しない——漁民は漁労することによって生活の糧を求めておるわけでありまして、その漁民にもう出漁しないんだという、そういう決心をせしめたというところに、異常な国際環境もあるとは思うのでありますが、われわれ政治家として、また国会として、また政府として、日本国民の生命と財産を守っていく、こういう大きな目的の上から見ますと、内心じくじたる異常なものを感じなければならぬ事件であったというふうに感ずるわけであります。  そういう点で、情報収集が的確に行われておりましたならば、あのようなこともあるいは未然に防ぎ切れたのではないだろうかというふうに思うのであります。防衛庁設置法の五条の十五号には「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合において行動すること。」とあります。こういうことであるわけでありますけれども、海上自衛隊が漁船を一々守りながらやるほど海上自衛隊装備が完全でもありませんし、こんなことはでき得るはずのものでもない。また、わが国の平和外交の基本から言いますと、よけいな摩擦をそこで起こしてはならぬという忍耐の外交に日本があるわけでありますから、せめて間接侵略であろうと有事であろうと、間髪を入れず国民の生命と財産を、また独立というものを守り抜けるんだという体制が何にも増して政治の場面の最大の要点であり根本であろうというふうに私は思います。  そういう点で、防衛庁長官の御見解、また今後に対応する心構えをお聞きしておきたいと思います。
  90. 坂田道太

    坂田国務大臣 情報収集がいかにわが国を守る上において大切なことかということは御指摘のとおりでございます。これも国会で私が申し上げましたように、わが国の安全にとって情報収集の大切さということ、しかもまた、日本がかつてのように大陸まで出向いていって、派兵をして、そして侵略をするという意思は全然ない、いわば専守防衛ということで日本の国を守らなければならない、それにはやはり情報の収集は非常に大きい意味がある、そういうふうに私は考えます。したがいまして、今度の新しい防衛構想の中におきましても、平和時における基盤防衛力というものの中で、この情報収集だけは即応体制をとった一〇〇%のものにする、つまり基盤防衛力の中でこれだけはぬきんでて一〇〇%対応力を持つべきであるという考えを実は打ち出しておるわけでございます。  それからもう一つは、いまおっしゃいましたとおりで、あらゆる情報が入ってきますけれども、この情報を的確に整理をする、あるいは分析をする、あるいは問題意識を持ってこの情報一つ一つを考えるというのがまた非常に大事なんで、これを一元化していくということに対して若干不十分な点がございます。この点は、私は、ポスト四次防をやる上におきましても詰めてまいりたい、それから内の体制も固めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  91. 三塚博

    ○三塚委員 どうぞ積極的にお進めいただきたいと思います。  時間も参りましたから、最後に国連の問題これに対応するわが国の体制、これは外務省の問題も含まれると思うのでありますが、いわゆる国連外交を中心として進める、また国際平和を国連の機構を中心として進めるというわが国の国是があるわけでありますが、自衛隊は海外派兵をしないという憲法上の制約がございます。しかしながら、全部国連によって、国際の協力によってわが国がお守りをいただく、しかしわが国は国際の平和、国連に対して一切手をかさぬのだ、現実にかせない、これではなかなか通らぬだろうというふうに思います。そういう意味で、防衛庁として、これは私見ではありますが、国連への協力ということになりますと、災害に対する派遣の問題、あるいは後進国その他の国家に対する技術の提供の問題、こういうものがあり得るのではないだろうかというふうに思うのであります。自衛隊の諸君を訓練をすることによりまして、それぞれの地域に国連の命により出向いていく。そのことは、軍事的なものにタッチはしませんけれども、いわゆる非軍事的な面におきまして、民生の安定あるいはその他の問題について協力をするという体制が必要ではないだろうか。そうすることが、国連を中心としていくわが国の外交の基本にも沿うでありましょうし、わが国の国是にも沿うであろうというふうに思うのであります。非常にむずかしい問題ではあると思いますが、何かこの辺で長官のお考えなり、また政治家としてこれはこういう方向があるのではないだろうかというような御見解などがありましたならお伺いをさせていただきたいと思います。
  92. 坂田道太

    坂田国務大臣 平和維持機構としての国連に対する自衛隊の協力の問題についてでございますが、これにつきましては、防衛を考える会でもいろいろの御提案がございました。しかしながら、その中には、自衛隊による輸送や補給や通信などの面で、武力をもってのものでないということにおいては何とか協力ができるのではないだろうか、こういうような御提案でございます。しかし、この問題につきましては、いま少し国民的コンセンサスを十分得ないといけないというふうに考えますので、慎重にこれは検討してまいりたいというふうに思っております。  実際、この前のサイゴンの陥落の際におきましても、わが国の邦人の救出の場合において、アメリカの軍が、自国の関係する者あるいは自国民を救出するのに大わらわの状況において、日本が割り込んでお願いをして、そしてこれを救出をしてもらうというようなこと、しかしこの点については日本航空機を政府としては出したわけでございますけれども、こういうようなことについてどう考えていくかということは、もう少し真剣に考えるべき問題だというふうに私は思っております。  それからまた、諸外国におきましては、当然のこととして長官専用機みたいなのがございます。それはどういうことかというと、たとえば民間航空機でございますと、その搭乗員の人たちで組合をつくっているというようなこともございますし、危険なことに対して拒否をするということは、これはまた私は当然なことだと思うわけなのです。そういった場合には、やはり何か工夫があってしかるべきじゃないか。この国内的な問題についてもやはりそういうことなんで、やはりVIPを、どこの所管になりますか知りませんけれども、予算で飛行機を買い、そしてその日ごろの管理運営等については自衛隊がお引き受けをするというふうなことだったって考えられることではないか。現にこれは学術研究の部面で南極観測をやっておるわけでございますが、これはたしか文部省の予算で船をつくって、そしてその運営は自衛隊にお願いをしてということで出発をし、それで今日問題を起こさないで運営をしておるわけでございます。私は、この辺でいろいろなものを工夫してみるということ、検討してみるということが必要だというふうに考えておるわけでございます。
  93. 三塚博

    ○三塚委員 どうもありがとうございました。
  94. 藤尾正行

    藤尾委員長 竹中修一君。
  95. 竹中修一

    ○竹中委員 時間もございませんし、きょうは基地問題についてお尋ねをしたいと思いますけれども、せっかく長官がお見えでございますので、長官の御所見を二、三お伺いしたいと思うのです。  十一月一日に長官が全隊員に出されました訓示、あれを読ませていただきました。長官のいわゆるお人柄が非常ににじみ出ておりまして、私は大変感激をして、地元の自衛隊協力会とかボリューム会とか、そういう人たちにコピーをして分けてあげたわけでございます。それで、一番先に感じましたことは、例として適当でないかもしれませんけれども、戦前の軍隊というものは、軍人、兵隊は消耗品扱いをされた、あるいは一銭五厘の価値よりないんだというふうな風潮もあった中で、長官自衛隊隊員を一人の人間として、社会人として、平均的な国民として考えておられる、こういうことに非常に感銘を受けたわけであります。そのことが、長官がいつも言っておられるように、国民とともに歩む自衛隊国民の理解を得た、協力を得られる自衛隊というところに私は出ていると思うのです。そういう点で、いまの自衛隊の諸君の一人一人が長官のお気持ちをよく認識されて、そして国民として、国民自衛隊としてやっていくということについて、私は非常に期待を持つわけです。大変感銘を受けましたので、一言申し上げておきます。  その訓示の中で長官は、いま三塚君も言いましたけれども、国民の理解と協力と支持を得るということについて努力をしている、それで四つのことを具体化したい、一つは防衛を考える会をつくったということ、それから国防会議を活発化すること、これは三塚君が議論いたしましたが、それから国会に防衛委員会を設けること、それから防衛白書、この四つをこれから心がけていく、これは形にあらわれたことだと思うのです。  一言お伺いをしたいと思いますのは、その防衛を考える会、その討議のまとめを私も読ませていただいたわけでありますけれども、この防衛を考える会の討議、それからそろぞれの委員の方が所感を申し述べておられますが、これをどういうふうに受けとめておられるか、長官からお伺いしたいと思います。
  96. 坂田道太

    坂田国務大臣 この防衛を考える会の十一人のメンバーの方々にそれぞれ御意見を承り、また御討議もいただいたわけでございます。非常に貴重な御意見があると思いますが、その一つは、先ほどもお答えを申し上げたわけでございますが、防衛を考えろ、安全保障について考えてくれと防衛庁もおっしゃる、政府もおっしゃる、しかしながら、それを考える材料、資料というものが十分でないのだ、こういう意見が実はございまして、確かに考えてみれば、防衛白書というのは中曾根長官のときに一回出たきりでございます。ところが他省庁を見ますと、厚生白書、外交白書、農林白書、いろいろございまして、実は毎年出ている。むしろ防衛問題あるいは安全保障に関する問題は国民一人一人の生存と自由にかかわる問題であって、たとえば主義主張は違っても、その考えはあってしかるべきだと思うのです。私は自衛隊を認めないということが国民の一部にあるということは、それはこういうような自由な世の中ですからあるでしょう。しかし七三%は何らかの形において支持するという人のあることもわかって、一二%の人が反対しているということ、それから一五%の人はわからないということ、そういうわからないということに対しては、わかってもらう努力をわれわれはすることが必要だ。私の、防衛白書をどうしてもつくらなければならぬという動機は、やはりこういうようなところからも実は出てまいったわけでございます。  それから災害の問題でございますけれども、それは確かに直接侵略、間接侵略、これを日本の国の独立と安全というものを守るために阻止しなければならないことは当然なことといたしましても、国民一人一人の生命財産ということを考えたら、大震災あるいは東京周辺に過去に起こりました大震災が起こったら一体どういう事態になるのだ。その場合に、一体現在の警察力あるいは消防団の活動のみによってこれは守れるかといったら守れない。やはりそれに対して、警察力をもってしてもあるいは消防団の力をもってしてもできない部面については、わが自衛隊国民の一人一人の生命財産を守ることを任務と考えていいじゃないか。また現にそうなっているのですけれども、これにやはりウエートを置いて、多少の資材も保有し、あるいは訓練もし、そして大震災に対する備えをしておくということは平時において必要なことである。地方においてもそうである。やはり各地において起こるべき災害に対してそういうような訓練をし、しかもその訓練は警察、消防あるいは市町村一体となってふだんやっておくということが非常に大事じゃないだろうか。そしてそのことは、かつてのように、大陸に出て侵略をするというような軍隊ではなくて、内に攻め入ってきたものに対しては敢然としてこれを排除する。そういたしますと、その戦場というのはこの日本列島内であります。そういたしますと、結局橋を壊される、家を倒される、あるいは道路は倒れた物によって動けなくなる、逃げようと思っても逃げられなくなる、それをどうやって排除していくか、あるいは橋をこしらえて道を通れるようにしていくか、そういうことも自衛隊として、むしろ有事の際における訓練としても必要じゃないだろうか、そういうような位置づけがあってしかるべきじゃないだろうかというのが新防衛構想の一つの柱だ、これも実は防衛を考える会の御提案でございます。まあいろいろほかの面についてもございますけれども、たとえばいま二つ申し上げましたけれども、その一つの一、二の例でございますけれども、なかなか貴重な御意見であるというふうに考えております。
  97. 竹中修一

    ○竹中委員 ところが、いままで防衛について余り関心のなかった方々に資料を提供し、材料を提供して防衛を考えていただく、平均的な日本人としての立場の方々に防衛を考えていただく、まことに結構なことで、しかもそれがいま長官の御答弁のように現実に新防衛政策の中に生かされていく、大変結構なことだと思うのです。  先ほど三塚委員から防衛出動の場合あるいは治安出動の場合にどういうふうな指揮命令でやっていくかいろいろお伺いしましたけれども、いみじくも三塚委員は、いざとなったら間に合いはしないんじゃないかということを漏らされたわけです。実は私もそう思っているのです。きょうは深く議論するつもりはございませんけれども、出動させる場合に、いろいろ国内的な手続、これは国会で決めた法律によってそうなっておるわけですけれども、もう一つ、余り議論するつもりはありませんけれども、戦前の軍隊のように非常大権がないということについてどういうふうにお考えか、お聞きしたいと思います。
  98. 坂田道太

    坂田国務大臣 有事の際におきます諸法規、これがまだ十分整っていないということはそのとおりだと思います。でございますから、こういうようなこともやはり国民のコンセンサスを得ながらある時期には整備しておかなければいけない問題だというふうに私は考えております。
  99. 竹中修一

    ○竹中委員 そのことも、実は一般国民の方々はほとんど知らないのです。旧軍のことをただ連想しておるだけなんです。ですから出動するための発動がおくれる、間に合わない、いざ出動してみても非常大権がないということであると、実際に何かあったら自衛隊が守ってくれるんだという信頼にこたえられないのです。そういうことを、いま長官はいみじくもその時期が来ればというお話でございますが、速やかにひとつ御検討いただきたいと思います。  そこで、今国会から政府では基地の安定使用ということを言っておられるわけです。これはいまの基地を動かさないで居座るんだというふうな曲解をしている方も一部あると思いますけれども、私はそういうことではなく、整理統合を進めていく、それはもちろんそうでありますけれども、基地が所在する地域の市町村あるいは地域住民、この方々と基地がトラブルを起こさないでいくということが本質だと思うのです。そういう点でいわゆる基地問題があちこちで新聞だねにならないように、基地との関係がうまくいくようにということを長官はもちろん言っておられ、それを念願しておられるわけです。これはもともと日米安保条約の六条に基地提供がうたわれている。それとうらはらに五条の日本防衛義務があるわけです。その相関関係が何か忘れられて、基地だけがあるんだということが先に議論される。そのためにわれわれ非常に損害を受けておるんだ、こういう議論が非常に多いわけです。そういうことで基地問題はこれから非常にクローズアップされてくる。いままでも非常に問題になってきたわけです。そういうことで長官が新聞に、自衛隊の諸君に話しかけてみてくださいというような大変な一大キャンペーンをやったわけでありますけれども、基地問題でごたごたしていると、せっかく自衛隊の諸君が町を歩いていても、くそ食らえということになるわけで、こういう基地問題についての長官の根本的なお考えをお聞きしたいと思うのです。
  100. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほど御指摘がございましたように、具体的な問題として国防会議、それから国会にひとつ専管の防衛委員会を設けていただくこと、それから国防白書、防衛を考える会、こういう四つの具体的な案を示しましたが、実は私就任いたしまして、最初、総理大臣のところに呼ばれまして任命を受けまして、各社の報道機関に申し上げました三つのことがあるのです。それは一つは、まず国民の理解を得るということ。つまりどんなに優秀な装備を持ち、あるいは自衛隊そのものが士気が上がっておっても、国民の理解と支持と協力がなければその防衛力は力にならない。したがって国を守る気概がなければならないということにつながっていくわけですが、どうしても国民の理解というものが一つ。それから二番目には、必要最小限の防衛力は着実にこれを進めていかなければならない。三つ目には、実は日米安保条約が日本の独立と安全のために不可欠であるとわれわれは考えておる。また日米安保条約を基調として日本防衛構想というものが構築されておる。そうならば、いま御指摘になりましたように、われわれは義務として、アメリカが大規模の攻撃、核の攻撃あるいは全体的な戦争抑止力として働いておるとするならば、その裏側として、アメリカにわれわれが義務として背負っておるものは基地の提供なんだ、施設の提供なんだ。しかしそういう重要な基地の提供が安保条約を有効に働かせる機能を果たしておるとするならば、これは非常に大事な問題だ。しかし大事なものであるけれども、その基地をめぐるところの市町村あるいは市町村住民にとっては、全然基地のない市町村住民に比べると雲泥の差がある。騒音にいたしましてもその他のことについても非常な御迷惑をかけておる、したがってトラブルが起こっておる、こういう状況です。だとするならば、日本の安全保障ということにかかわりある基地だとするならば、これに対してはやはりもうちょっと進んだ、温かいというか、厚みのあるといいますか、細やかなと申しますか、そういう周辺対策というものがあってしかるべきだ、そうしてこれは単に防衛庁のみで考えるべき問題じゃない、その課題は日本列島に住んでおる国民の自由と生存にかかわる問題を含んでおるというそういうとらえ方をするならば、これは内閣全体としてとらえるべき課題である、あるいは国防会議で非常に声高々に言われるべき問題である。そうだとすると、そういう一つの観点に立って、安全保障という大きい立場から基地問題をとらえるとするならば、たとえば文部省の予算——私、文部大臣をやりましたからわかるわけでございますが、学校建築の予算がございます。それを行政的に基地周辺に対しては特別に考えるのだという一項があってしかるべきじゃないか。厚生省の分野に行きますと、福祉施設もございます。病院もございます。そういうようなことについて、もし厚生大臣の了解を得られるとするならば、あるいは安全保障ということを考えられるならば、その厚生省の行政の中においても基地周辺の課題を解決することができるのじゃないだろうかというようなことが、建設省でもあるいは運輸省でもあるんじゃなかろうか、そういう大きい、グローバルな、総合的な形で基地問題というものは処理すべきものであるというのが、実は私の考えにあったのです。したがいまして、この間のシュレジンジャーと私との会談におきまして、あえて私が基地の安定的使用と言った意味は、これは非常に大事だ、基地問題というのはただトラブルだけが問題にされておる、しかしこの基地そのものは日本の安全保障にかかわっておる、否、国民一人一人の生存と自由にかかわる大きい問題である、そうだとするならば、それに対しての施策は総合的であっていいのだ、こういうことを実は言いたかったわけです。そして国民にも理解をしていただくと同時に、政府としても内閣としてもそういう観点から基地問題を考えていただきたい。  そこで私はいろいろ調べてみましたところが、基地問題閣僚協議会というものがあるのでございますね。それが、先ほども答弁いたしましたけれども、四十五年以来実は余り動いていないということを聞きましたので、したがいまして、これをひとつ活用して、いま申しました目的を達成することができないだろうかということでいま準備をしておるところです。官房長官にもお願いしてあります。いずれこの基地問題閣僚協議会というものを開いて私の考え方を申し、各省庁の大臣の御了解を賜って、いま申しますような形でひとつ基地問題に取り組んでもらいたいというふうに私はいま考えておるわけでございます。
  101. 竹中修一

    ○竹中委員 長官は御就任以来各地を巡視されて、しかも若い自衛官と写真を写したり、握手をしておられるようでありますけれども、基地問題についても各地の状況をひとつつぶさに御視察の上、今後の対策を練っていただきたいと思うのです。  昨年の九月に当内閣委員会が三沢に参りました。基地を見ただけではなく、市役所の講堂で一時間半ばかり地域の方々とお話をしたわけです。大体の空気として、三沢に基地がある、そのことは自分たちもとうとい国防の一端を担っているんだという気概を持ってくれているわけです。その気概を持っているわりにさっぱりめんどうを見てくれないのだというのが、非常に俗っぽい言葉ですけれども、実感なんです。そのときに、地域の方々ですから、地域の労働組合の代表の方も出席しておられました。その方の言われるには、自分たちは理念的には自衛隊の存在に反対である、しかし現実に三沢に基地があるんだ、そのことは否めない事実です。したがって、われわれは一応ここで生活をしているんだから、理念とは別にやはり基地を抱えている三沢に対して温かい国の行政を、そして国民全体の国防を自分たちが、一部局所の者が預かっているのだという取り扱いをしてもらいたいということを言ったわけです。そういう点についても、これからぜひ基地問題の平静な御解決に御尽力をいただきたいと思うのです。  細かいことの法案の方に移りますけれども、生活環境整備法の第九条で、特定防衛施設の調整交付金が決定をして、昨年の予算が五億円、三月の年度末ぎりぎりにある程度決まったわけでありますけれども、ことし新しく特定防衛施設の指定があったわけでありますか。
  102. 長坂強

    ○長坂政府委員 昨年と申しますか四十九年度は、特定防衛施設として内閣総理大臣指定を見たものが五十三施設でございます。それから関連市町村が九十四市町村でございます。それで、五十年度に入りまして、演習場その他の使用態様なども変わっております部面がございます。いままで実弾の演習ができなかったものが実弾の演習ができるようになったものなどがございまして、いま五十年度で追加指定を総理大臣にお願いしようとしておりますものが新たに三施設、それから市町村の数では八市町村を予定いたしておりまして、いま大臣の御決裁を得まして、内閣総理大臣の方に手続を進めておるところでございます。まだ指定は完全に終わっておりませんが、手続が済みましたら指定をする、そういうことになります。
  103. 竹中修一

    ○竹中委員 九条一項の指定のことをいま伺いましたが、九条二項の交付金のことで、昨年度とことしと御説明いただきたいと思います。
  104. 長坂強

    ○長坂政府委員 昨年度は、先ほど先生お話しのように五億円でございまして、そのうち本年の十月末日現在で結局三億一千五百万円が執行済みになっております。(竹中委員「それは昨年度分ですか」と呼ぶ)昨年度分でございます。あと残り一億八千五百万円がまだ未執行でございますが、これは各市町村には割り当て額は通知済みでございます。それで、その通知の額に基づきまして交付申請を上げてきていただいて、交付するという手続が残っております。  それから五十年度予算額、これは合計三十億円でございますが、まだ交付をいたしておりません。おりませんが、なぜ延びているかと申しますと、四十九年度で交付をいたしました結果、各施設ごとにはバランスはとれているものと私ども考えておりますけれども、特定のたとえば演習場なら一つの演習場に関連する市町村が四つ、五つある、複数であるようなときには、自分の方の町があの市よりも、隣の市よりも多く来て当然だ、もう少し差が開いて当然だ、それなのにほぼ同じくらいしか来てない、あるいは自分の方が少なくなっているというような苦情が実は出てまいりました。それでよくその言い分を聞きますと、たとえば飛行場などの場合には、ある飛行場などは飛行場の占めている面積、人口がその市町村の管轄区域からいいますと面積としてはたくさんとっておるけれども、飛行機の通過する経路としては騒音を市の方には余りまき散らさない、むしろ飛行場に面積を持っていない町の方の部落の上空をしきりに飛んでおる、そうすれば被害の実態は、面積がなくても被害人口の多い方が余分に被害を受けている、だから交付金は余分でいいじゃないか、こういう理屈が立つわけでございまして、これに類する事項が四つ、五つございますので、これを算定基準の中に適正に反映するようにいろいろ計算をし、相談をしましていま固めておるところでございまして、この算定基準のきめの細かい修正と申しますか、これをやるのに大分時間がかかりましたが、これも成案を得ましたので、総理府の方に改正方をいま手続中でございます。これらによりましてそういう交付に関する政令とか規則がだんだん整ってまいりますので、これによって適正に五十年度も交付してまいりたい、このように考えております。
  105. 竹中修一

    ○竹中委員 交付の時期はいつごろになるのですか。
  106. 長坂強

    ○長坂政府委員 ほかに格別のことが出てまいりませんければ、あと二、三週間くらいで大体行くのじゃないかと事務的には考えております。
  107. 竹中修一

    ○竹中委員 いまの調整交付金についても、長官の御意向は温かい行政の目で基地問題を解決するというお考えですが、現地では実際に苦情が出てきているわけです。そうすると温かいも何もなくなってしまうわけです。その点のきめの細かい御配慮をお願いしたいと思うのです。  そこで法律の四条、五条、六条による第一種区域、第二、第三区域、これは三沢については五月の末に事前調査をして、八月本調査をするということでございましたが、これは三沢だけではなくて、この調査の必要な個所は全国でどれくらいあって、三沢はどうなっておるか、お答えいただきたいと思うのです。
  108. 長坂強

    ○長坂政府委員 まず三沢の方から申しますと、実は昨年実施予定のコンター作成のための騒音調査は五月に繰り下がりまして、さらにこれは一番音のうるさい時期をとらえなければまずかろうということで、艦載機の飛来してくるところをつかまえよう、それからそれに調査委託機関の都合も合わせようということもございまして、コンターの調査をしましたのが昨年の九月でございます。目下これの調査委託機関でこのところのデータを整理中でございまして、その整理が終わりましたら私どもに報告書を出してもらいます。この提出を待ってうちの方で案をつくりまして、その上で三沢市などに意見を照会いたします。その上で関係省庁とも協議いたしまして、早期に区域指定を行う、こういう運びでおるところでございます。  それで、全国的に騒音コンターの作成のための調査の実施状況としましては、四十八年度に調査を完了しておりますのは、千歳、百里、横田の三カ所、四十九年度で嘉手納など五カ所、それから五十年度では七カ所が調査を完了し、ただいまの三沢のようにいまデータをまとめ中のもの、それが七カ所ございます。それから、あと岐阜などは今年度実施するところで計画中でございますが、まだ未実施のものが二カ所、それから五十一年度では七カ所でございます。これで総体二十四カ所で全部終わりということになります。大体、そういうような予定です。
  109. 竹中修一

    ○竹中委員 もう予鈴がなりましたので、細かい質問事項はまたあとで直接お話を申し上げますが、最後に一言だけお尋ねをしておきたいのですが、前国会で、なぜ愛知県の小牧から第三航空団が三沢に移駐をするのかということをお尋ねしましたら、当時の施設庁長官が、演習をするために非常に過密になっている、それから騒音が非常に激しいということで三沢に移すんだというような、いかにもいやなものを三沢に押しつけるような表現を使ったわけです。ですからこの際もう少しすっきりした答弁を最後にしていただきたいと思うのです。なぜ三沢に移駐をさせるのか。
  110. 丸山昂

    丸山政府委員 私はそのような答弁はまだ聞いておらないのでございますが、これは実に防衛サイドの必要性からお願いをしているわけでございまして、御案内のように、現在日本の防空圏といいますか、防空体制は、大きく分けまして北と中部と西とこの三つに分けております。そのほかに沖繩の混成団があるわけでございますけれども、それぞれの地域にいままでいわゆる要撃戦闘機の部隊と、それから支援部隊というものをバランスをとって配置をする、こういう考え方でございまして、当然北の方におきましては、三沢に北空方面隊の指揮下に地上支援戦闘機の部隊を置くことが防衛上必要である、こういうことでございました。いまの騒音その他の問題は、これは私どもの方では直接関知をしておらない問題でございます。
  111. 竹中修一

    ○竹中委員 防衛上必要であるということであれば理解ができると思うんです。きょうは時間がありませんので、そのほかいろいろ宿舎の問題、三沢の宿舎の充足率が非常に悪いようでありますので、こういうことも、いわゆる安定した基地対策の上で必要なことだと思うんです。  きょうは時間がございませんのでこれで終わりますけれども、基地問題についてどうぞ長官の御意図を末端に至るまで体して、トラブルの起こらないようにひとつお願いを申し上げて、質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  112. 藤尾正行

    藤尾委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十五分散会