○内海
政府委員 大変御理解ある御質問をいただいておるわけでございますから、この機会に国防
会議というものにつきましての、事務の立場におります私の見解を若干申し述べさせていただきたいと思います。
総論的に申しますれば、先ほど
防衛庁長官のお答えになりましたところと何ら異なるものではございませんが、ただ、もう少し事務的に掘り下げて国防
会議というものについての御説明をしておきたいと思います。
いま
先生から、
アメリカにおける国家安全保障
会議等の例が出たのでございますが、しばしば論ぜられます場合、
アメリカの安全保障
会議あるいはその他の国のこれに類似する
会議と同じような意味合いで
日本の国防
会議というものが引き合いに出るのでございますが、私も国防
会議に参りまして、その辺の疑点を少し明らかにしたいと思いまして、私自身もそういう国の
会議を訪問していろいろ調べ、また外務省を通じていろいろ資料を集めました。
検討いたしましたが、実は非常に違うのでございます。端的に申しますれば、やはり各国の場合はそれ自身がかなり強大な、いま
先生のおっしゃったような外交、
防衛、財政、
経済の国防というものあるいは安全保障というもので重なる
部分をみずからの行政内容としてこれを所掌しておるわけでございます。私、去年の秋、ちょうど一年ほど前ですが、フランスの国
防関係を視察しまして、あそこの安全保障
会議の事務総長ととっくりと懇談いたしましたが、あのフランスの場合は、約五百名に近い強力な陣容を擁しておる。大統領直結のもとで広範な行政権限を
保有して、その
部分については、場合によれば各省を指揮するところまでの権限を持って臨んでおるわけでございます。わが国防
会議は、そういう意味合いでは、そういうふうな所掌事務というものを持たないで、いま
先生のおっしゃったような問題について内閣総理大臣が行政事務を行おうとする場合に、そういう問題についてはこれを国防
会議に諮って、国防
会議の意見をもらった上でこれを行う。いわば国防
会議の現状というものは——実は現状というのは法的な、合わせましてですけれども、諮問機関という立場にあるわけです。したがいまして、われわれは、その諮問機関である限度内で、しかしながら、いま
先生のおっしゃったような形において何とか運用できないものかということで、その辺を見
出しながら仕事を進めてきておるわけでございます。
そうしますと、国防
会議が一番活発に活動いたしますのは長期
防衛計画、先ほどお読み上げになりました中の
防衛計画の大綱というものを内閣総理大臣が決める場合におきまして、これを国防
会議に諮問いたしますから、これにつきましては、国防
会議は最も基本的な仕事として活動をしなければならないものでありまして、したがいまして、現状におきまして国防
会議は、
ポスト四次防にいかに対処すべきかということに対してどういうふうな考え方を持って、どういうふうな体制を持って、どういうふうな諸条件の中でこの問題を進めていくかということを取り上げなければならない。現在はそのための問題に対決をしておるということでございまして、先般
防衛庁の内部
指示で
防衛庁案の作成の
指示が出ましたのを機会に、国防
会議におきましても、これをもって第一回の
ポスト四次防に対処する国防
会議の
会議といたします。自今国防
会議としては最も英知を結集しながら、いかようにして政府としての
ポスト四次防に臨むかということのスタートを切ったわけでございます。恐らくそういう意味では各議員の大臣の熱烈な御尽力によりまして今後国防
会議は活発な活動を展開していく、こういうふうに私は考えております。したがいまして、長期
防衛計画というものが策定され終わりますと、次の
防衛計画の策定までの間は、どちらかと言えばその策定された長期
計画というものが間違いなく
防衛庁その他において進められておるかどうかをフォローするとともに、もしその間にそういうものを変更しなければならないような諸条件が出た場合においては、その問題について国防
会議としてはやはり総理からの諮問を受けることに相なろう。たとえば
シュレジンジャー・
坂田会談というふうなことを通しましての日米の問題が活発化しました際には、国防
会議の議員懇談会をもって詳細に説明を承る。これに対処する
防衛庁の方向あるいは外務省の方向というものが議員懇談会において提示されたのも一つの例でございます。
大変僣越なことを申しましたけれども、一応御説明を申し上げます。