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○大西
委員長 これより会議を開きます。
地方自治、
地方財政及び警察に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
愛野興一郎君。
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○愛野
委員 警察庁にお伺いをいたしますが、凶悪犯罪とかそういったものは大変世間の目について、そして重大事犯として国民の目を引くわけでありますが、しかしその裏に隠れたきわめて重要な問題も多々あるわけであります。
そこできょうは、いわゆる家出少年とかあるいはまた俗に言う蒸発とか、こういったことで行方不明のままになっておる方々の捜査がどういうふうになっておるのか、こういうことをお伺いをいたしてみたいと思うわけでありますけれども、私が佐賀県の、これは警察本部じゃなくて県庁の方からの資料をいただいたところによりましては、佐賀県全体で家出人の届け出があったのが前年より増加をいたしておるわけでございますけれども、警察に捜索願のあったものは、大体四十七年の解決件数が九三・三%、四十八年九一・八九%、四十九年九七%、五十年は一月から十月まででありますから七六・六七%、こういうふうに一応率としてはきわめてりっぱな解決率になっておる、こう思うわけであります。
しかしこの解決してないわずかなパーセントの中に、きわめて不可思議な件数もあるわけでありまして、たとえば佐賀県の北方町のごときは、自宅におるべきはずの女の子がどこに行ったのか、まさに神隠しのような状態で、いまだにどこにおるのかさっぱりわからぬ。あるいは佐賀県内か福岡県か忘れましたが、農業協同組合かどこかの職員さんが、山中に車はあるけれども、これまたどこに行ったのか、神隠しのようなことでさっぱりわからない。あるいはまた、私自身が知っておるところでも、突如としてりっぱな青年がいなくなったまま、しかも大野という山間部落の青年が突如としていなくなったまま、いまだに生死がわからない、こういう状況になっておるわけであります。したがって、解決しておらない件数の中に、家庭的にもまた社会的にもきわめて悲劇的な問題が惹起をいたしておるわけでありまして、こういう捜査体制、あるいはまた捜査を今後どういうふうにしていこうと思っておられるのか。
警察庁の防犯少年課の古川十三郎さんの「警察時報」における家出少年の問題についての論文には、やはり、家出をしようという原因究明はいろいろとなされているわけでありまして、こういった問題は、やはり家庭なりあるいは社会環境の中で責任を持ってこういったことがないようにしなければならぬわけでありますけれども、現実に起こってしまっておる事件に対する今後の捜査体制、こういったものをお伺いいたしたいと思います。
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○吉田(六)政府
委員 ただいま佐賀の例を引いてお話がございましたが、大体各県におきましても状況は似たり寄ったりでございます。
そこで、家出人の状況がどうなっているかと申しますと、かつては大体毎年十万人くらいの家出人がございましたが、最近の五カ年間を見ますと、だんだんと減ってまいりまして、昨年は八万四千三百三十一人の捜索願が受理されております。これを性別で見ますと、男が四七%で女性が五三%でございます。また年齢別で見ますと、未成年者が三九%、それから五十九歳までの成人が五七%、六十歳以上の老人が四%というような状況になっております。
そこで、昨年中において家出人として発見された者は、八万三千九百八十七人でございます。そうしますと、捜索願を出した者の数とほぼ同数でございますが、これは捜索願の出てない人の発見というのもございますのでこういう数字になっておるわけでございますが、捜索願を昨年出しまして、昨年中に見つかったという者は六万八千二百二十人で八二%でございます。もちろんこの年間で見つからない者も、本年になってから見つかるということになりますので、最終的にはもっとふえてくるわけでございますが、そういう状況でございます。
そこで、発見の方法について見ますと、警察官の職務質問などによります警察活動によって発見した者の割合は全体の五四%、みずから帰宅した者とかあるいは警察活動以外の方法で発見された人の割合が四六%、そういうような状況になっております。
そこで、現在の捜索活動の実態でございますが、保護者の方から警察署へ捜索願がありますと、家出の動機、原因とかあるいは立ち回り見込み先とか手配の必要性などについてできるだけ詳しくお聞きいたしまして、これによりまして必要な立ち回り先とかあるいは観光地などを管轄する警察に手配して発見活動に努めるということにいたしております。
なお、殺人とか誘拐などの犯罪の被害にかかるおそれのある者とかあるいはまた自殺のおそれが非常に濃厚であるというような、その生命身体に危険が及ぶと考えられる者につきましては、その状況に応じて組織的な捜索活動を行うというようにいたしております。
このほか、各都道府県警察では、家出人の資料を整理保管いたしまして、警察官が職務質問などによって家出人らしい者を発見したときには、その照会に応ずるというような体制をもとっております。
なお、立ち回り先等が判明している者については、手配によって比較的容易に発見できるということになりますけれども、立ち回り先などが判明していないような場合には、どこをどう捜したらよいかという点につきまして、大変漠然としたものになっているわけでございます。このような場合には主として街頭における警察官の職務質問などに大きく頼っているというのが現状でございます。
家出人の発見活動は、家出人そのものの生命、身体の安全を図り、また残された家族の御心配も一日も早く解消するということが必要でございますし、これは警察の重要な責務の一つであるというように受けとめております。今後もそういう観点から一層こういう点に配慮いたしまして、発見活動を強化していきたいというふうに考えております。しかし、先ほど御指摘ございましたように、どうしても見つからないという人が多少残りますのは大変残念に思っております。
そういうことでございますので、本年の十月を目標に、従来各都道府県警察単位で行ってまいりました家出人照会制度というものを全国的な規模に
拡大いたしまして、警察庁の電子計算組織に家出人の手配を登録いたしまして、全国からの照会によって即時に回答ができるというような制度を現在検討中でございまして、これができました暁には大変効果を発揮するのではないかというように期待しておるところでございます。
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○愛野
委員 いまのお話で御努力の点はよくわかったわけでありますが、この家出人の捜索等は、捜索打ち切り期間というか、捜索願いが出されてから何年ばかり経過したらそれはもう打ち切るという期間があるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
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○吉田(六)政府
委員 家出人の捜索については打ち切りということはいたしてございません。ただ、事実上非常に長くなってわからないというのもございますが、そういうこともございますので、毎年全国で行方不明者相談所を開設いたしまして、そのつど家出人の発見に御相談に応じてまた再調査をするとか、そういうことに努めておるところでございます。
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○愛野
委員 そこで、未成年者の問題でありますけれども、成年者は、これは不謹慎な言葉かもわかりませんが、みずから進んで行方不明になるという方もあられるかもわからぬわけでありますが、しかし、この未成年者の場合は、どうしてもやはり腑に落ちないという問題が多々あるのではなかろうか。そうして、警察もまた行政当局もどうにも手がつけられないわけでありますから、家族としてはやむを得ずそのままにいたしておる。しかしながら、死んでおるものやら生きておるものやら、まだ一縷の望みはあるわけでございますから、何とかこれは見つからぬものだろうか、こういうようなことであろう。そうしますと、原因が、言うなれば誘拐されたとかそういったものじゃないために、そのまま結局社会的には放置されておる、こういうことにもなるのではなかろうかという気がするわけでございますね。ことに、江北町のごとき、自宅からそのまままさに消失したままということになりますと、これは本当に家族等々はまさにこれはどういうことであるのか手がつかぬような状態である、こういうふうに思うわけです。こういったことを、これは日本ばかりじゃなくて世界的に人間社会の、まあ必要じゃありませんけれども、やむを得ざるものであるというふうに捨ておいていいものかどうか、この辺はきわめてむずかしい問題であるわけでありますけれども、もう一つ、もうその段階になれば結局、どこに頼んでも見つからないというあきらめから、この家族は泣く泣くそのまま放置をいたしておる。しかし、何と申しますか、希望は持っておるわけでありますから、地方の議員さんとか、区長さんに何とかならないかという相談をする、こういうようなことだろうと思いますが、今度は警察御当局から見て、言うなれば一般家庭なりあるいは県なり市町村に対して、こういった未成年の行方不明者なりあるいは蒸発事案に対する家庭なりあるいは県なり市町村なりはどうあるべきか、こういったことを御希望の点がありましたら、また、いままでの御経験からこうすべきであるというふうな、これは家庭も市町村も警察当局も有機的にこういった未成年の家出事案については対処しなければならぬと思うわけでありますが、その御見解があればひとつお伺いしたいと思います。
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○吉田(六)政府
委員 未成年者の家出人が大体全体の四割を占めていまして、比較的発見の率は低くはないわけでございますが、中には御指摘のように、はとんど迷宮入りというような形に近いままで残っているという例があるわけでございます。ところが、そういう方々の家出の理由とか、それから御家庭とお話し合ってみましてもかいもくわからないというような場合があるわけでございまして、そういうことになりますと、警察といたしましては、これまでも苦い思いをした、たとえば重大な被害にかかっておる例もございますので、私どもとしては、あくまでも関心を持ちまして、御家庭の御意見や、あるいは御心配を軽減するという意味から、相談に乗ってまいりたいというふうに考えております。
なお、そういう地域社会のいろいろな、特に都市においてそうでございますが、情報がなかなか入りにくいというような社会になっているというような観点から、市町村なりあるいは地域社会の有識者の方々が、そういう社会のあり方についていろいろと御尽力をいただければ私どもとしては大変ありがたいと思っておりますが、警察側として市町村にどうしてほしいと家出人の問題についてお願いをするというようなことは、特別はございませんけれども、常に同じような協力の関係では大いに今後ともやっていただきたい、かように思っております。
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○愛野
委員 若干ちょっと奇異な質問になるかもわかりませんけれども、今度は成年者の場合ですが、成年者の場合は、日本のような狭い国土でも、やはり東京とか大阪に行けば、本当にこれはちょっと全然わからぬようになる日本の状態であるのかどうかですね。やはり大分佐賀県でも、警察に届けてない者でも、これは死んでおるまい、どこにかおるだろうというようなことで行方不明になっている者もたくさんおるわけでありますが、きわめて抽象的な質問でありますけれども、日本というところは、東京とか大阪あたりに行けばまるっきりわからないようなことになるものかどうか、この辺をちょっとお伺いしたいと思います。
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○吉田(六)政府
委員 成人の場合で、家出をされましても届け出のないのがかたりございます。子供の場合におきましては、先ほど申し上げましたように、職務質問などで大体、未成年の者がうろついておるというような、特に年少者でございますが、そういう場合には、保護というような形で比較的、本人が拒みましても、家出人であるかどうかというようなことが察知できるわけでございますが、成人になりますと、いろいろな事情で蒸発された方におきましては、もちろん警察の目から離れようということを意識しているわけでございますので、職務質問いたしましてもわからないというのが実情じゃないかと思います。ことに、大都会に参りますと、いろいろな宿舎や自由に住めるという環境がございますので、実際上強制的にやれる仕事じゃございませんので、なかなか発見しがたい。これが何らかの犯罪がかかわっておるというようなことがあれば当然身元がわかるということになりますけれども、そうでない限り本人の側から拒否すれば実際上は発見が困難だというような状態が間々出てくるというのが実情でございます。
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○愛野
委員 そういたしますと、これは日本ばかりじゃなくて、極端に言えば世界じゅうが未成年ないし老人を除いてはそういうことだ、こういうことですか。
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○吉田(六)政府
委員 外国の統計をしさいに検討しているわけではございませんが、日本と似たり寄ったり、むしろ外国の方がそういう面では多いのじゃなかろうかというように推測いたしております。
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○愛野
委員 大体状況は理解ができました。しかしそういうことであろうともなお特に未成年者の場合ひとつよろしく捜査体制を充実をしていただきたい、こういうふうに考えます。
それともう一つは、最近いろいろと警察の皆さん方が、交通安全の確保のためにあるいはまた赤軍派のあれのためとか、とにかく余りにも事件が多過ぎて、現実次々に起きてくる問題に追われて、そして家出なり蒸発の未成年者まで手が回らない、こういうことはないかどうか。もっとやはり人員も充実をし、あるいはまた科学的諸機械と申しますか、施設も充実をすべきではないか。それはいろいろな事犯に備えるための充実によってそういう未成年者も捜索をする余裕力を備えていく、こういうことが必要でないかどうか、お伺いしたいと思います。
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○吉田(六)政府
委員 何しろ年間十万人近い家出人がございますので、国民の側からいたしますとまだ不十分ではないかというような御指摘を受けるような場合もあろうかと思いますが、幸いわが国の警察ではいわゆる交番や駐在所とか、そういう外勤警察が非常に強いというような状況でございまして、日常の街頭活動によって発見するということが諸外国から比べればはるかに多いというように私どもは考えております。そういうわけでございますので、家出人の御家族のお気持ちを十分そんたくいたしまして、私どもとしては手抜きをするというようなことはないように努めてまいりたい、かように考えております。
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○愛野
委員 最後に、三億円事件が警察当局の本当に血みどろの捜査にもかかわらずああいう結果になったということはまことに残念でありますが、しかし警察当局にはその御努力に対して国民の一人として心から感謝を申し上げるわけであります。
そこで、この三億円事件のみならず、最近金融機関における犯罪というものが続出いたしております。それは若い女性、中には余り若くない人もおりますが、女性が簡単に着服ができてみたり、あるいはまたたとえば佐賀県の勧業銀行佐賀支店事件というのは迷宮入りになっていると思いますが、これは全然人間には被害は与えないけれども、金融機関から二千万というものをだれかが深夜持ち逃げしてそのままになっておる、こういうことがあるわけであります。そこで、たとえば一口に三億と申しましても、佐賀県なんかの市町村の五十年度の赤字を何市は幾ら何町は幾らというふうに考えてみますと、まことにもったいない話でありまして、そういうことでひとつ警察御当局として、金融機関そのものが、農業協同組合あるいは漁業協同組合等金融事業をやっておるもの全般にもっと自己防衛をすべきである。警察は事件が発生してから先の話でありますから、要するに金融機関そのものが自己防衛をもっともっとすべきである。特にこういう世知辛い世の中になってまいりますと、そういう感じがいたすわけでありますが、その点についての御当局の御見解をひとつお伺いしておきたいと思います。
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○
土金政府
委員 ただいま御指摘のように金融機関を対象とする犯罪が最近目立っておるというか、多く発生するようになっておるということは御指摘のとおりでございます。大きく分けて、先ほどお話しありましたように行内の行員、たとえば女性の行員が大金を横領する事案が最近ときどき新聞で報道されておりますように起きておるというふうなこと。それからまた金融機関をねらった窃盗あるいは強盗、こういう事案も相当ふえてきております。特に歳末にはそういう事案が多いわけでございます。例の三億円事件も十二月十日という、大金が動く一つの時期をねらってそういうふうな事案が敢行されておるわけでございまして、こういう事案の予防ということも、警察はもちろんでございますけれども、金融機関自体としても十分その防止のために対策をとって、自衛策を講じていただくよう、私の方も連絡をとり、指導し、いろいろとお願いいたしておるわけでございます。また金融機関の方も自衛強化の立場から警察の方にいろいろとそういうふうな点については連絡をとり、協力いたしていただいておるわけでございます。最近は防犯の器具というか、そういうようなものも大変進歩いたしまして、侵入する場合には、その防止、発見のためにいろいろの進歩した器具がございますので、そういうふうなものを取りつけていただく、あるいはまた発生した場合には警察に何よりも早く届け出ていただくということが、これはもう検挙のためには必須の条件でございまして、そういうような点、強盗とかそういうような場合には緊急通報装置などが発達しておりまして早いのでございますが、内部の犯行というふうな場合あるいはそのおそれがある、あるいはちょっとした金が盗まれておるというふうな、強盗でないような場合には、ややもするとその銀行の信用を失するというふうなことから、その届け出がおくれる。内部でいろいろ調べてしまってからどうもわからないというので届け出るというようなこともあるわけでありまして、そうなりますと証拠の保全その他で警察としても大変検挙が困難になるというふうなことがありまして、そういう事情を銀行の方にも説明して理解を得、協力を求めているわけでございますが、今後ともなおそういうふうな点についての銀行の方の自己防衛というふうなことについても指導を強化してまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
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○片岡
委員 私は、まず最初に警察の問題につきまして、いまお話のありました三億円事件についてちょっとお尋ねをしたいと存じます。
昭和四十三年の十二月の十日、府中市において起こりました三億円事件、残念ながら昨日の午前零時をもってついに公訴の時効が完成するという残念な結果に終わったのであります。この間、七年にわたって延べ十七万人を動員をせられて、そしてこの捜査にあらゆる辛酸をなめられた警察御当局に対しまして、私は深く敬意を表するとともに、その御労苦に対して並み並みならぬものがあるだろうということで、心から敬意を表するものであります。
しかしながら、結局において犯人が検挙に至らなかったということは、これはまことに残念千万なことであります。国民もこういう凶悪な、多額の窃盗、強盗ですか、やった者に対して、一日も早く検挙されることを期待をしておったのでありますが、ついにその望みが絶たれたということは、本当に残念なことであります。私は、かねがね日本の警察の犯罪検挙というのは大変これは、世界的に一番りっぱな成績をおさめておると思います。これは何も私が警察の先輩であるからお世辞を言うわけではございませんが、事実最近の統計を調べてみますと、一九七三年の国際警察の統計によりますと、検挙率を調べてみますと、強盗においては、アメリカにおいては二七・二%、イギリスにおいては四六・〇%、西独では五四・九%というこの成績に対して、日本警察は八〇・六というすばらしい成績をおさめております。
殺人罪、これは各国とも非常に主眼をおいて捜査をするのでありますが、この殺人の検挙率を見ますと、アメリカにおいては七八・七%、イギリスにおいては九三・四%、西独においては九四・六%、ところが日本においては九六%という、各国とも力を入れておる中でも、最もよい成績をおさめておるということでございますから、これは明らかに世界一の成績であるということであります。
私は、この事件が発生いたしましてから、この日本警察の名誉にかけて何としてもこの三億円事件は解決してもらいたいとひそかに期待をしておったのでありますが、まことに残念至極でございます。土田警視総監も、率直にこの捜査の失敗を認められ、そして国民にわびられたということ、これは失望したものの、国民に大変好感を与えたと思っております。しかし、いずれにしてもこの検挙ができなかったということは、これはまことに残念なことであります。
そこで、問題はなぜ捜査が失敗をしたのかということであります。これはいろいろの事情がありましょうが、最近の新聞ではいろいろこれについて検討が行われ、議論が行われておるのでありますが、たとえば、これは届け出がおくれたという点もありましょうが、初動捜査において大きなミスがあったということも考えられると思いますし、あるいはまた捜査指揮体制というものが一貫していなかったという点にもやはりミスが見られるようでございます。ところが、ある有力新聞では、特に社説で述べておるのでありますが、旧態依然たる見込み捜査というものが失敗のもとであるというふうに論説で書いておるのでございます。懸命の努力にもかかわりませずいろいろの誤りが捜査の上にも起きてくるということは、これは人間社会においてやむを得ざることと存じますが、しかし、この失敗を私はむだにしてはならぬ、こういうふうに思うのであります。
そこで、このとうとい経験を今後にどういうふうに生かそうとしておられるか、そしてまたこの捜査の失敗に対してどういうふうに反省をし、その中から教訓を導き出そうとしておられるか、こういうことをまずお聞きしたい。
もう一つは、巷間よく三億円事件に捜査の費用がべらぼうにかかった、三億円の捜査をするのに五億円も十億円もかかったということが言われておるのでありますが、しかし、最近の新聞で警察当局の御発表の中にもあったので、それが必ずしも正確でないということであります。大体九千万から一億ぐらいの金がかかったということが言われておるのでありますが、これらのことについてもやはり国民は大変興味を持っておると思います。やはり三億円事件であっても、それは幾ら金がかかっても再犯防止のために全力を挙げて、相当の国費を突っ込んでもやらなければならぬ場合があることは当然でありますが、ただしかし、これが実際にどれぐらいの捜査費用がかかったのかというようなことについても、見解を発表していただきたいと存じます。
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○
土金政府
委員 三億円事件につきましては、七年間にわたり、警視庁のみならず、全警察官がこれに協力一致して捜査に当たったわけでございますが、ついに検挙に至らず時効を迎えてしまったということにつきましては、まことに残念でございまして、協力していただいた国民の皆様にはもちろんのこと、申しわけないと思っている次第でございます。
そういうふうなことで、大変貴重な事件であったということもまた争えない事実でございまして、この貴重な事件につきまして、私どもも十分反省をいたしまして、その教訓をくみ取って、今後の捜査あるいは犯罪予防という点に生かしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
反省点というか、教訓の点でございますが、非常に大きな事件でありましたために、これはもう非常に多くのいろいろと検討すべき問題があるというふうに考えておりますが、とりあえず要約して申しますと、次の四点ぐらいが挙げられるのではないか、こういうふうに考えております。
その一つは、初動捜査の問題でございます。率直に申し上げまして、緊急配備体制、特に車の検問について不十分な点がやはりあったかもしれない、こういう点が考えられるわけでございます。御承知のように、犯人は、いずれも盗んだ車ですけれども、オートバイと車二台、それと現金輸送車と、この四台の車両を駆使して犯行いたしておるわけでございますが、その行動が非常に計画的で速かったために、そういった車の緊急配備体制、特に車の検問等について、どうも反省すべき点があったのではないか、こういうような点を考えております。
それから、第二の点といたしましては、物の捜査の問題でございますが、最近まで日本の経済の高度成長と申しますか、あるいは大量消費時代、こういうふうに言われるこの経済社会あるいは国民生活の中におきまして、たとえば遺留品が今度相当あったわけでございますが、その遺留品の出所、それがどこであったか、どこからどういうふうに買い入れたものかというふうな、そういう捜査をやるわけでございますが、そういう捜査の手繰り方が、大変数が多いためにいままでのようなやり方で今後いいのかどうかという点については、やはりどうも反省せざるを得ない点がある、こういうふうに考えておる次第でございます。一つの証拠品をとってみても、それが物によっては何万、何十万と生産されて、その中の一つというふうなことは、非常に手繰っていくことが大変である、非常に困難であるというふうなことがございまして、そういう点について何らかの新しい方法ということが考えられるわけでございます。
それから、第三の点は、人の捜査の問題でございますが、御承知のように、この三多摩地区というのは都市化の進展が最も激しい地区でございまして、三億円当時、三多摩地区の人口が非常に急増しておったときにちょうど当たっておるわけでございまして、人の移動も激しくなっておる。こういうふうなところは何も三多摩地区に限らないわけで、ほかのところにもそういうところがあるわけでございまして、今後こういう地区で聞き込みその他の情報を収集する方法について、やはり従来どおりのやり方では万全を期し得ない点があるのじゃないかというふうな点を反省せざるを得ないわけでございます。
それから第四点は、内部体制の問題でございますが、こうした大型の犯罪で、延べ人員で十七万人も動員して捜査する、こういうようなことになりますと、その大量の捜査員というものを指揮、掌握し、これを管理して組織捜査を進めていくという点について、いろいろやはり内部体制がそういう点について十分でない点があったのではないか、こういうふうなことが内部でも反省されておるわけでございまして、こういうふうな問題につきまして、警視庁はもちろんのこと、私どもといたしましても全般的に、警視庁に限らず、警察全体の捜査上の今後の教訓として十分反省し、それに対する対策を考え、できるものは年内にも、そういうふうな問題についてはその時期をできるだけ早く——まあ、いろいろすぐには困難な問題もございますが、ひとつ実際の
改善に資してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
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○片岡
委員 御苦心のほどをよく承り、しかもその中から貴重な経験を生かして今後の教訓にしようという刑事局長のお考え、まことに敬意を表するものであります。ただ、私もう一つお聞き……
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○
土金政府
委員 もう一つ御質問の点を落としまして申しわけありませんでした。
捜査費用の問題でございますが、これにつきましては、本件のような大事件の捜査に当たりましては、刑事部門のみならず、警察の各部門が一体となって捜査を行っておるというのが通常でありまして、また他の事件の捜査と同時に並行して捜査を行う、こういう場合もございますし、あるいはまた、全国的にこれに協力する、こういうふうな点もございますので、個々の事件ごとに費用の額を算出するというふうなことは困難であります。しかし、警視庁の大まかな推計によりますと、九千万円ぐらい、こういうふうに聞いております。これは人件費というふうなものは含まない数字でございます。先ほど申し上げましたような事情で、延べ何人、だからその人件費が幾らだというふうなことをこれに加算して考えるというふうなことについてはちょっとどうも申し上げかねる、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
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○片岡
委員 その点もよくわかります。
それで、私がもう一つお尋ねしたいのは、新聞でも論ぜられておったのでありますが、よく警察の使う手ですが、いわゆる見込み捜査、大体見当をつけてそれだけを追っかける、これが当たれば大変早く問題は解決するのでありますが、これがやり損なうと大変な後手を引いてしまうということになります。今度の捜査にそういう何か見込み捜査で無理に——無理にというか、そこへ何とか早くおっつけようというような、旧態依然たる捜査の仕方を最初したのかしないのか、その点、やはり国民が、いま科学捜査と言われておるのだから、そういう科学捜査の面からやっておられるのは当然ですが、そういう誤りがなかったのかあったのか、そのことだけ一言ひとつ所見をいただきたい。
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○
土金政府
委員 片岡
委員も警察のわれわれの先輩でございまして、捜査の内幕については御存じのわけでございますが、かつてはいろいろ捜査のあり方、終戦直後の新刑訴法施行時代にはいろいろそういうふうなことが言われたわけでございますが、それ以来、私どももやはり科学捜査あるいは合理捜査あるいは組織捜査ということを強調いたしまして、一貫してそのための教育も行ってきておりますし、捜査の指揮その他につきましてもそういう点を貫いてきておりますので、全般的にいまだに見込み捜査をやっておるというふうなことはない、私はこういうふうに確信いたしております。
今度のこの三億円事件につきましても、いわゆる見込み捜査だというふうなことはなかった、こういうふうに私は考えております。捜査をやる過程で、いろいろ捜査を進めた結果、結局シロになった、何人かのこういうふうな人がございましたけれども、しかし、やはりそれは合理的に考えていろいろそれだけの容疑というものがありまして、それによって——それは何も見込みということではなくて、具体的ないろいろの情報なり、あるいはそれについての容疑適格性と申しますが、そういういろいろの情況証拠なり、物的な証拠とまでは言えないにしても、そういう情況証拠というものがありまして、一応捜査をしなければシロであるというふうなことは確定できないということで捜査をする、これはしかし私は見込み捜査ではないのだ、こういうふうに考えておる次第でございます。
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○片岡
委員 よくわかりました。どうぞそれで結構です。
それじゃ、次の問題に入りたいと思います。私は、今度
地方公務員の定年制の問題でお伺いしたいと思います。
実はこれは先日、福田自治大臣が
地方公務員の定年制について次の通常国会で法制化を考えたいというようなことを述べられた記事が新聞に出ておりました。そういう関係で実は福田自治大臣にお伺いしたがったのでございますが、お忙しいようでございますので、
左藤政務次官にひとつ大臣にかわったつもり——つもりというか、私はむしろ大臣の御意向を伝えていただくという意味でひとつ確たる御返事を賜りたいと思うのであります。
最近の
地方財政の窮迫は、大変な未曾有のものでございます。そういうことを考えますと、この機会に
地方公務員の定年制、かねて問題になっているこの問題を解決する唯一の絶好のチャンスである、こういうふうに私はかたく信じておるのでございます。そこで私は最近の労働省の統計、これは昭和五十年十二月付の労働省の統計を見たのでございますが、民間企業における定年制の実施の状況を統計的に見ましたところが、五千人以上という大企業においては定年制は一〇〇%実施せられておる。それから千人から四千九百九十九人、それが九九%、それから三百人から千人といいますか、九百九十九人までの企業が九四・三%、それから百人から三百人、すなわち二百九十九人の企業は九〇・四%、三十人から百人足らずの小さな企業においても半分以上、五五%は定年制がしかれておると言われておるのであります。これが統計に載っておりますから、これは正確なものであることは当然であります。民間はこのように厳しい定年制というものをしいておるのを見ますと、どうも公務員は親方日の丸という考え方で、この定年制に対していままでも大変反対が強い。ことに一部の野党の方々がこれを支援して、この定年制の問題についても非常にむずかしい状態が出ております。そしてこれがなかなか行われないために、今日
地方公務員の中には七十歳、八十歳という高齢の人がいて、しかもこれが依然として高禄をはんでおるというようなことが言われておるのでございます。こういうことは、一番人間の働き盛りの、能力を持った人たちが、充実した気持ちで一生懸命に働いていただかなければならぬ人が、その地位につけない、そういうことであることは、私は人物経済上も大変許しがたいロスであると存ずるのでございます。そういう意味でこの定年制というものを、この財政困窮のときにこれは当然考えるべきものである、またぜひこれを実行しなければならぬ、こういうふうに私は強く思うのであります。ことに公務員については人事院の勧告という制度がとられております。そして民間の給与ベースとの較差がないように人事院が政府に勧告をする、そういう法制になっておるわけでございます。したがいまして、民間がこういうふうに、いま申し述べたように定年制をとっておる、そういう面においても、当然公務員制度においても民間と同じような制度が実行されなければならぬということは、これは当然のことであると存ずるのでございます。都合のいいところだけ民間のを学んで、都合の悪いところはそれは学ばない、そういうことはこれは片手落ちでございます。私は、そういう意味でこれはぜひ強く希望するとともに、今日は大変人間の寿命が延びまして、中高年層の人たちの雇用対策というものが大変重要なときになってまいりました。高齢者の方々に生きがいのある生涯を送っていただくというためには、この中高年の雇用対策というものが今後真剣に考えられなければならぬということは当然であります。しかしながら私は、そういう問題は、一遍雇用関係を定年制によって切って、それからあるいは再雇用するとか、あるいは別な条件で雇用期間を延長する、そういった方法によってその道は十分達せられると思うのでございます。
そういう意味においても、これは自治大臣が考えておられるならぜひ次の通常国会でこれが出てくるように要望をしたいと思いますが、政務次官、ひとつその間の事情を御説明いただきたい。
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○
左藤政府
委員 御指摘の
地方公務員について定年制を設け得る道を開くというために
地方公務員法の一部改正というもの、俗に定年制法案と申しますものをすでに何回も国会に提出してまいりましたが、ちょうど四十三年の十二月ですか、六十一国会におきまして、国会のいろんな事情によってその法案が審議未了、廃案になりましてから、客観情勢というものが困難な問題がいろいろございましたために、提案しないままに現在に至っておることは御承知のとおりでございます。
しかしながら最近、いま御指摘のようないろんな諸情勢から見まして、定年制に対します地方公共団体自体の要望というものもますます高まってきておりますし、すでに数回にわたって御答申をいただいております地方制度調査会、これが最近またと申しますか、夏ですね、七月に重ねて「定年制を採用し得る制度の速やかな実現」という問題も答申しておられるというふうなこともございますので、この際なお一層広い範囲の御意見をいろいろ伺う努力をいたしまして、何とかそういった意味におきましては、前向きの形でこの問題に取り組んでまいりたい、このように考えております。
それがいま御指摘のように、必ず出すか、そこまでいき得るかどうかということにつきましては、いまのところまだ見通しは立っておりませんが、いま申しましたような形でできるだけ広い範囲の御理解を得る努力をなお続けてまいっていきたい、このように考えておるところでございます。
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○片岡
委員 ただいま政務次官から伺ったのでございますが、それはやはり福田自治大臣のお考えと一致しておるのか。自治大臣が新聞でそういうことを語られたことは事実であると思いますが、その後どこかからの圧力で後退をしたのかどうか、そういう点をもっとはっきりしていただきたいと思います。
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○
左藤政府
委員 御指摘の、大臣がそういった意思を表明したというのは、恐らく知事会議の機会だったと思います。そういう考え方については今日も変わっておりません。そして、大臣はそのお考えのもとにいろいろ検討をいま命じられておるということでございます。
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○片岡
委員 大変しつこいようでございますが、私はこれを実現する一番絶好のチャンスであると存じますし、またそういうことが正されなければ
地方財政はなかなかよくなっていかない、こういうふうに思いますので、ぜひひとつこれを実現せられるように重ねて強く希望をいたします。
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○
左藤政府
委員 いま御指摘がございました点につきまして、さらに大臣にもう一度念を押して、この点についてそういった御質問があった、御希望があったということをお伝えいたしておきたい、このように思います。
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○片岡
委員 それでは次の問題に移りたいと存じます。
政府は、景気浮揚策を第一次から第四次まで実施をいたしました。いまは景気浮揚策の第四次対策が、過般の補正予算並びにこれに関連する一連の法律改正によって行われつつあるわけでございます。ところが、最近の経済企画庁の報告によりますと、わが国の景気の浮揚は予想を上回って非常に遅々とした足取りである、そして依然として低迷の状態が続いておる、脱し切れない、まことに楽観を許さない状態になってきているということでございます。ことに最近の閣議に報告せられたいわゆる失業率を見ましても、かつて八十七、八万まで落ちておった失業が今日百三万に、また大きく百万の台を超えたということが言われておりまして、まことに憂慮にたえないと存ずるのでございます。党の中でも幹部の方が、第五次の景気浮揚策も必要ではないかということが言われておるのでございます。そして経済企画庁の説明によりますと、この景気が浮揚しない一つの大きな原因に、地方の公共事業がうまく運んでいない、実施の段階においてもたついておる、こういうことが言われております。公営住宅であるとかその他のいろいろな公共施設等の事業がはかばかしくいっておらぬ、行き渡っておらぬ、こういうことが言われておりまして、第四次対策が、景気浮揚策がまだすそ野へ行き渡っておらぬということが言われておるのであります。そして、その中での地方の公共事業が十分うまくいっていないということに私はちょっと引っかかりを感ずるのでございます。それは、先般の補正予算において、それからまた
地方財政の特例法によって地方税の落ち込みによるところの一兆六百三十二億円というものは、これは地方債の発行で穴埋めをする、こういうことになったのであります。ところが、いまだにうまく公共事業が進まないというのは、私は、次のような理由があるのではないかということが思われるのであります。
一つは、
地方財政が非常に困窮であるために補助事業の裏負担ができないからこれを拒否する、そういう傾向が地方にあるのではないかということが思われることと、あるいはまた地方債を発行する。八千億以上の地方債を民間で消化するということに特例法がなっておるのでございますが、この民間の公債の消化がなかなかうまくいかぬ、そういうことのためにおくれておるのではないかということを恐れるのでございます。
この二つの原因のうちのどっちかが出ておるのか、また二つとも出ておるのか、そういうことが大変心配なのでありますが、その点、ひとつ何か具体的に、最近のまとめた資料がありますれば伺いたいと思います。
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○石見政府
委員 お答え申し上げます。
本年度の公共事業の各県ごとの予算計上の状況でございますが、十二月現在、私ども各県の財政当局から聞き取りましたところによりますと、全国総平均では予算計上率は九八・六%ということに相なっております。ただ、四十七県それぞれ若干ずつ差はございまして、すでに一〇〇%計上しております県もございます。あるいはまた一〇〇%に満たない県ももちろんあるわけでございまして、総平均いたしまして、ただいま申し上げましたように九八・六%という計上率になっております。
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○片岡
委員 この九八・六%しかまだいっていないというのは、いろいろの理由がありましょうが、これは財源がないから裏負担はしないのだ、だから補助は返上する、こういう考え方があるのか。それともまだ、例の
地方財政の特例法が大変おくれました。このおくれたのも、幸いにして最後はうまくいったのですが、私はあの審議のときも野党の皆さん方が態度が非常に妙であった。いまだにどうも釈然としないのでございます。それは、われわれは最初から
地方財政の特例法はこれは早くやらないと景気浮揚のために非常に大きなマイナスになるということを心配し、なるべく早く御審議を願いたいということでございましたが、衆議院においては、参議院の方からのいろいろな圧力があったようでございます。慎重審議をしろということで、非常に慎重に審議をしていただいた。ところが参議院へ行ったら途端に、慎重審議どころか、一日で通ってしまった、こういうことでございます。この点、私は納得いかないので、どうもあの野党側の御協力の態度は、初めは処女のごとく終わりは脱兎のごとしというふうに思われるのであります。そういう点でこれが大変おくれた。しかし幸いにして十五日に間に合った。(「おくれやしないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)
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○片岡
委員 間に合ったから私はよかったと思うのですが、これがたたって、もう少し早くなればもっとこの九八・六%が早く間に合ったのじゃないか、そしてそれが景気浮揚のために大きな効果をあらわしたのじゃないかと思うのですが、しかし過ぎたことはやむを得ません。
そこでもう一回お聞きしたいのですが、さっき言いましたその裏負担の拒否すなわち補助の返上というような傾向があるのか、あるいはまたわれわれが一番心配いたしました地方の地方債の消化がうまくいくのかいかないのか、この点の見通し等について伺いたいと思います。
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○石見政府
委員 いま御答弁申し上げましたように……(「そんなことを言うと、この次進まぬよ」と呼び、その他発言する者あり)
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○石見政府
委員 ただいま御答弁申し上げましたように、全国総平均では九八・六%の計上率になっておりまして、なお一・四%程度が私ども聞き取りました十二月上旬段階では未計上ということになっております。しかしこの未計上の分につきましては、各県では、私ども聞いております限りでは、せっかく認証を得ました公共事業でございますので、何としてもやはり消化はしたいという非常に強いお気持ちを持っておられることを財政当局から聞いております。したがいまして、各県ではいま十二月議会が開催されておるところでございますが、私ども聞き取りました後に、なおこの率が若干上がっておるかもしれないというふうにも存じております。しかし、なお最終的に、どうしても積み残されたものが出ました場合にはどうするかという点につきましては、各県ごとにいま歳入の確保あるいは歳出全般にわたって合理化をいろいろ検討しておられました。私どもはそのような各県ごとの御努力にまちたいというふうに存じておるわけでございます。
なお、後段御指摘をいただきました、せっかく地方債が今回の減収補てん債あるいはまた追加公共事業の裏負担分についての地方債の消化ができにくいのではないか、それによって公共事業の消化が邪魔をされているような向きはないかというふうなお話があったわけでございますが、この点につきましては、御案内のとおり減収補てん債につきましては二千億の政府資金が入っております。したがいまして、おおむね一般の市町村には政府資金で減収補てんは賄い得るであろうというふうにめどをつけておりますので、一般の市町村については、資金調達の問題というのは一般的にはいまのところはないだろうと考えております。と同時に、追加公共事業の裏負担分につきましても、総計二千六百六十億円の地方負担に対しまして千七百億円の政府資金が入っておりますので、この点につきましても一般市町村につきましてはまず問題がないであろうというふうに存じております。
ただ、残りました縁故資金の消化につきましては、各県でいまそれぞれ地元の銀行なりあるいはシンジケート団との話し合いか進んでおるようでございまして、私どもはまだその最終的な報告を受けておりませんが、先般のこの
委員会でも大臣あるいは局長が御答弁申し上げましたように、自治、大蔵両省相携えまして、この消化につきましては努力をいたしておるところでありまして、大蔵省ではすでに銀行局長名をもちまして具体の指導なりお願いを各金融機関にも発せられておるようであります。と同時に、どうしても消化ができない団体というものが出てまいりました場合には具体の事例に即しまして、個別の問題として、その団体と私どもと大蔵省あるいは日銀等も入っていただきまして、個別の問題として処理をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
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○片岡
委員 それでは、時間も余りありませんから、次の問題に移りたいと思います。
地方自治法第二条第三項各号に、市町村がいろいろの事業をやることができるその範囲が示されておるわけでございます。ところが、市町村が霊柩車を購入して遺体を火葬場に運ぶ、こういう事業をやっておるところが多いようでありますが、これはもちろんこの第三項各号のうちの第六号の「火葬場」とかと書いてあるその事項、それから社会福祉等に関する施設に該当するように思うのですが、この点はそういう立場からこれが行われておると見ていいのですか。どうぞその点……。
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-
○片岡
委員 ところが、私の選挙区内で、富山県でございますが、庄川町という町がございます。ことしの初めに霊柩車を購入して、遺体を火葬場に運ぶ、そういう事業をやろうということを計画をいたしまして、そして三月に町議会で議決をし、条例をつくってやった。そしてこれを名古屋の陸運局へ持っていって免許をいただこうという段階になったのでございます。
実はその前に、こういう話がずっと前からあったようでございますが、これの手続をどうすればいいだろう、そういうことは認められるかどうかということで、あらかじめ名古屋の陸運局へ行きまして係の人の御指示をいろいろ受けたようでございます。それでよかろうということで議決をして出したわけなんですが、ところが、出してしばらくしてから後、いざこざが起きたわけでございますが、その段階で免許を出すことは非常にむずかしい、こういう話になって、実はいま条例をつくりながら町長がその条例を施行できないので、実施できないので大変弱っておるという事態がありますが、このことについて自動車局長、事情を御存じでございましょうか。
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○真島説明員 ただいま先生の御指摘の案件でございます。御承知のとおり霊柩車による自動車運送事業、これは道路運送法の範疇で免許対象事業になっておりまして、霊柩あるいは地域トラックというようなある程度地域的なものにつきましては、免許権限を陸運局長に行使させておることは御承知のとおりでございます。いまの案件は、私どもも名古屋の陸運局の方から概略の事情は聴取をいたしまして、大体のことは存じておるつもりでございます。
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○片岡
委員 それならば、最初事務的に伺いを立てに行ったときは、大体その方向でよいということの話があって、それに基づいて議決をした条例をつくった。ところが、何かそれがどうもうまくないということで、許可なりがたしというような空気が伝えられて、大変町の人は困っているのですが、それはどういうわけでいけないのでしょうか。その道路運送事業法の第六条のどの項目によって——これは「運輸大臣は、一般自動車運送事業の免許をしようとするときは、左の基準に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。」こういうことが書かれておるのでございますが、その一から五号までございます。このうちのどれによってぐあい悪いということになったのでしょうか。
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○真島説明員 ただいまの先生の御指摘の点でございますが、最初の部分の陸運局の方へ町の方から来られまして手続を聞いたというところの事情は、実は私どもつまびらかには陸運局から報告を受けておりませんけれども、恐らく手続ということで、町がやるという場合には、もし免許になる場合には、当然条例でそのやり方その他を決めなければならない。その条例を決める時点の問題についてのいろいろな議論があったのじゃないかと思いますが、手続の問題の議論の中で、恐らく本件はおおむね免許に値するだろうとか、ちょっとむずかしいだろうというふうなことは、局の立場としては申し上げるはずはないわけでございまして、条例をお決めになること自体は、これはもう町の独自の見解でどちらにでもできることでございます。したがって、それをお決めになる、ならないということが、直接免許になるとかならないとかいうようなこととは関連がないので、何かその辺に両者の話し合いの中での相手の意図のそんたくの部分において多少の行き違いがあったんじゃないか、そのように存じますが、免許自体をすべきかすべからざるかということにつきましては、私どもいままで陸運局からの報告では、まだ陸運局はどちらとも方針を決定はしておらないし、当然処分もしておらないわけでございますが、なかなかそこの陸運局で苦慮しております問題、と申しますのは、恐らく先生が御指摘になりました道路運送法の条文の中での需給関係のところの判断がむずかしいということではないか、このように考えております。
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○片岡
委員 その点は、それは当然審査の対象になる重要な考慮要件であろうと思います。それで私も、この問題についてはあらかじめあなたの方へ話をして、それで事情を十分よく検討をしておいていただきたいということを言っておいたのですが、何かこの町は大変小さいから、年間六十体ぐらいしかないわけなんです。それだから、そんな六十体ぐらいに大きな霊柩車を買ってやったんでは、結局いわゆる採算ベースに合わないじゃないかということが原因のようでありますが、しかし何か聞くところによると、従来の業者がいろいろ意見を述べに行って、そうしてその結果何か問題がこんがらかってきたという話を聞いて、私も上田局長さんに電話をいたしまして聞いたところが、そういう点は伺いました。伺いましたので、私はそういう点をよく確かめましたところが、これは六十体ではあるけれども、別に千数百万円の霊柩車の新しいのを買ってやるというのではなしに、百七十万円ぐらいの古いのを買ってやる、そして運転手なんかも、スクールバス運転手がおるので、このスクールバスの運転手は朝と晩送ればあとはあいているので、お葬式はどうせ昼間だということで、そういうことでやらそう、こういうことになっておる。
何でそんなことになったかというと、それは何かいま隣の町の霊柩車を頼んでおる。そうして霊柩車を頼むと同時に、その町のやっておる人が、その業者が葬具屋をやっておる。だから、その葬具を同時に買わないと、霊柩車を貸してくれても時間を非常におくらしたり早めたり、何か思うようにならないんだそうです。そういうことがあって町民が大変困っておる。それでしかも、何か死体を焼く人が、これは実際そう言われておるのですから本当のことだと思うのですが、何かよその町の者だから、お酒を二升持っていったり、あるいは二、三千円のお心づけをしないとなかなか焼いてくれないというようなことで、大変町の人たちが不愉快な思いをしておるということであります。
そういう意味で、これはみんな隣の町に頼むよりも、自分の町に葬具屋がある、この葬具屋はやはり自分の町の人だから、この葬具をなるべく使ってやりたい、こういうのは町の人たちの気分だと思います。ところがその葬具屋に頼むと、いま言ったように霊柩車がないものだから、霊柩車だけ頼むんじゃあんまり喜ばれない。そうして、いろいろ便宜を図ってくれない。こういうことで大変不自由な思いをしておる実例が幾つもあるようでございます。
そういうことでその町では、庄川町では、これはやはり町民の福祉という立場から、できるだけその要望にこたえるように、霊柩車を古いのを買って、そうしていま言いましたようにスクールバスの運転手を使えば、そんなに大きな費用を使わぬでもできるんだから、それでやりたいということで、三月に議会で議決をして条例もできたわけでございます。そういうことでございますから、これは当然そういう立場を理解しなければならぬと思うのであります。
それで、まあ六十体ぐらいじゃ営業が成り立たぬじゃないかというようなことは、いま言ったようなことで、これは全然考慮の外の問題だと思いますし、それから既存業者がこのために営業が邪魔されるんじゃないかということも、これは運輸省として当然お考えになると思います。その点も私は調べましたが、これはほかの村のこともやっておられるので、その町自体も大きいから、十分遺体の数も多いし、それから同時に葬具屋もやっておるので、たとえばこの六十体がなくなっても、営業が成り立たぬということは全然ない。これはよくお調べいただければわかるようでございますが、そういうことで、それはまあいままでのようにもうからぬかもしれぬが、それはもうけは少なくなるが、そのために営業が成り立たぬということは絶対にない、こういうことであります。
これは道路運送法の第六条の二項によりますと、「運輸大臣は、免許の申請を審査する場合において、前項に掲げる基準を適用するに当たっては、形式的画一的に流れることなく、当該一般自動車運送事業の種類及び路線又は事業区域に応じ、実情に沿うように努めなければならない。」と書いてあります。だから、余り画一的に文句を言わぬで、実情をよく調べて処置をしなさいという、これは訓示規定であろうかと私は存ずるのでございますが、そういう意味から言うて、この町の町長がやろうとしておることは無理なことではない。そしてまた、十分それは自治体の地方自治というものの本義に立ち返って、余りこれに干渉すべきでない。まあそれにいろいろの理由があることは私はよく存じております。恐らく運輸省でも御存じになっていると思います。私は願わくは、一方的なものを聞かないで、これは富山に陸運事務所があるのですから、この陸運事務所に行って、そしていろいろ事情を聞いてほしい。この反対をしておる人は前に町の議長をやっておった人。この人だけが反対しているので、あとは全部満場一致で決まっておるわけです。これがまあその既存の業者と特別の関係にある。そのために自分一人が反対して、何とか町でやろうとしておることに対してやらせまいというような力が働いておるようで、それで政治上の紛争にもなっておるようで、そのために結局議長もやめて、いま別な議長が出ておる、こういう事情があるようでございます。私はそういう細かいいやなことについては中へ入りたくないのですが、これをひとつ現地によく御検討いただいて、今後の御審議の参考にしていただくようにお願いをしたいと思いますが、それに対しての御所見を承りたいと思います。
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○真島説明員 先生のおっしゃること、まことにごもっともでございます。私ども、公営と申しますか、市あるいは町村等が霊柩運送事業をやる場合の考え方といたしましては、当然にその町における需給状況もさることながら、特にその町あるいは市をすでに事業区域として活動している民営事業者があるときには、それとの関連、特に、大抵の場合、民営の業者のサービスが悪い、これでは困るじゃないかというようなことで出てくる場合もいろいろございまして、御指摘のとおり、私どもさらに、権限を行使いたします陸運局長に対しまして、富山陸運事務所その他関係者の意見をさらに公正妥当な態度で聞いて適正な判断を下すように指導をいたしたいと思います。
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○片岡
委員 この遺体を運ぶのが一体五千円だそうです。したがいまして、六十体といいますと三十万円なんです。この三十万円がその既存の業者に入らないからといって、営業が成り立つか成り立たぬという問題はないわけなんです。問題は、この人が同時に葬具屋をやっている。だから葬具の問題は運送の問題とは関係ないと思うのです。あなたの方の御考慮される上においては関係がないんじゃないか。そうすると、遺体を運ぶ問題については年間三十万円のマイナスになるだけだ。そういうものが既存の業者に大きな影響を及ぼすとは私は思いません。だから、そういう点でひとつ実情をよく調査をしてやっていただきたい。そして前の議長さんの問題も、いろいろ問題のある方のようでありますからひとつ地方の評判もいろいろ聞いていただいて、それで政治的な紛争も、まあボス的な存在であるためにいろいろごたごたして、町長がその間へはさまって大変弱っております。善良な町長だけに非常に弱っておるという実情があります。しばしば富山の新聞にもその事情が書き立てられて、町長がせっかく計画をして、そして町民のための福祉事業の一端としてやろうとしておることが実現できないということになりますと、私は町長の責任問題にもなると存ずるのでございます。そういう点で、林局長さん、あなたに運輸省と対立するようなことについて何か言っていただきたいと言っても無理でしょうが、小さな町ではあるが、いまのように古い自動車を買って、そして町民の困っておるのを救ってやろうという気持ちは自治体の立場から当然のことと私は思うのですが、その点で何か無理があって、それは自治の立場からけしからぬというふうにお考えになりますかどうか、その点ちょっと御意見を承りたいと思います。
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○林政府
委員 詳しい事情は実はよく存じ上げなかったのでございますけれども、いまの先生の御質問を伺っておりまして大変納得がいきまして、これはまさに一つの自治の営みだと思いますので、運輸省の方でもこれを扱っていただくについてはそういう点を十分しんしゃくしていただいて、このささやかな自治の営みにできるだけ力を添えていただくよう、私からも運輸省にお願いしたいと思います。
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○片岡
委員 林局長、大変御理解をいただいてありがとうございます。これは私も町長という立場を、それは間違いであればいけません。また無理をしようとしておるなれば、これはいけません。私もその点、そういうことがあるかないかということをいろいろ調査をしてみましたが、これはそういうことはやはりなさそうでございます。町長は大変まじめな人でありますから、間へはさまって大変困っておるという事情があるようでございますので、ひとつぜひ運輸当局におかれましても、まだ御納得のいかない点は富山の陸運事務所長に地方の事情をよく聞いていただいて、一方的に話が行かないようにひとつお願いをいたしたい。そしてまた、適正な御判断をいただいてできるだけ早く御認可がいただけるようにお骨折りをいただきたいと思いますが、いまのところではいかがでございましょうか。大変むずかしいというお考えでしょうか。
-
○真島説明員 陸運局の方にさらに督促をいたしまして、できるだけ早く結論を出すように私どもも指導をいたしたいと思います。
-
○片岡
委員 私は局長にも直接よくお話をしてありますので御理解をいただけると思いますが、どうぞひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
-
○大西
委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四分休憩
————◇—————
午後一時十一分
開議
-
○大西
委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
地方自治、
地方財政に関する件について質議を続行いたします。
小川省吾君。
-
○
小川(省)
委員 まず最初に、
委員長に申し上げておきますが、ごらんのような状態でありますので、確かに法律案の審議が終わった後の一般質問ですから、あるいはある意味ではやむを得ないかもしれませんけれども、やはり、こういう状態で
委員会審議をするというのはまさに異常だと言わなければならぬというふうに思っておるわけであります。そういう意味で、私は、今後一般質問の扱いについては、法案審議の中にはさむとか、今後の運営についてぜひひとつ配慮をしていただきたい、こういう点を一言あらかじめ申し上げておきたいと存じます。
そこで、質問に入ります。
まず最初に、運輸省に伺いたいのですが、お見えですね。一、二の点についてお尋ねをいたしたいわけでありますが、まず両毛線の複線化に関してでございます。両毛線は北関東を横断する路線でございまして、特に今後将来に向けては東北新幹線でありますとかあるいは上越新幹線をつないでいくところの重要路線となっていくわけであります。沿線には、首都圏の都市開発の区域に指定をされた八つの市を結んでいるわけであります。また、水戸日立港の整備とともに物資流通運送体系として、北関東を横断する重要な路線になっていることは明らかであります。複線化の構想が発足をしたのはかなりの前だったろうというふうに思っております。私も、県会時代に経験がありますから、十数年以前だったというふうに記憶をいたしておるわけでありますが、それにもかかわらず、現状では前橋と駒形の間、それから佐野と岩舟間が複線化されているのみでございます。
そこで伺いたいのは、まず一つは、今後複線化計画の進め方と、計画を完成をするのはいつごろまでの予定でこの複線化を完成をする予定であるのか。二番目としては、先ほども申し上げたように両毛線と水戸線をつなぐことが北関東地域を横断する重要な役割りを果たしていくわけでありますので、最も有効的な輸送体系としては、両毛線と水戸線との接続を図っていくことが当然のことであるというふうに思っておりますけれども、そういう計画を運輸省としてはお持ちであるのかどうか。この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
-
○
田中(和)説明員 お答えいたします。
両毛線につきましては、新前橋−小山間約八十四キロございますが、御案内のように、すでに電化はいたしておりますが、複線化につきましては、先生御指摘のように、前橋−駒形間、佐野−岩舟間の二区間にとどまっております。今後、この両毛線の複線化をどのように進めていくかということは、なかなか現時点で計画の立てにくい段階でございますが、今後の周辺地域の発展なりあるいは輸送需要の動向というものを十分勘案しながら複線化を検討してまいりたいと思っております。なお、新前橋 前橋間につきましては、現在も列車回数が非常に多くなっておりますので、この区間につきましては現在高架化の計画が地元で進んでおりますので、これとの関連を十分考慮しながら複線化を検討してまいりたい、かように考えております。
それから第二点の水戸線、両毛線の接続の問題でございますが、御承知のように、現時点では小山の駅におきまして両毛線と水戸線のホームが離れておりまして、その中間に東北本線が現在入っております。このためにスムーズな接続ができない状態になっておるわけでございますが、将来の構想といたしましては、小山の駅構内におきまして線路と線路の立体交差を考えまして、両毛線、水戸線が直通で電車が動き得るような形にしたい、かように考えまして、現在進めております東北新幹線の工事の中で、将来そういうことが可能であるような配慮は一部いたしております。ただ技術的な問題ではございますが、電化方式が両毛線と水戸線で違っておりまして、直流と交流というような問題か残っておりますので、車両面での
改善といいますか、そういう検討も必要かと思いますが、将来的にはそういうような構想を考えております。
以上でございます。
-
○
小川(省)
委員 その両毛線の複線化の問題ですが、新前橋と前橋間が高架に関連をして複線化をお考えだということでありますけれども、事実複線化になっているところはほんの一部なんですね、八十四キロのうちのほんのわずかであります。こういう点については、私ども地域の中では長い間要望をしてきて、国鉄当局としても運輸省としても決定をされて進めているわけでありますが、思いついたころにちょっとやるというふうな状態では、私どもとしては非常に遺憾なことだと思っておりますが、いま期限等も明示もされなかったわけですが、私どもとしては速やかにこういう計画を立てて、いわゆる年次的な計画の中で実施をしていくべきだというふうに思っております。
それから水戸線との直結の問題でありますが、技術的に進歩した国鉄が、直流と交流で電気の系統が違うなどということは私はいま初めて伺ったわけでありますが、そういう実情はあるにしても、小山駅内でドッキングをすれば直通するわけでありますから、ぜひひとつそれは促進をしていただきたい。両方ともぜひひとつ促進をしていくような年次的な計画というものを沿線の都市等にもちゃんとお示しをいただいて、今後の地域における開発等にめどというか、希望ができるような方向での計画を策定をしていただきたいというふうに思っています。この点についてちょっと御答弁をいただきたいと思います。
-
○
田中(和)説明員 先ほど計画の時点につきましてはちょっと御説明いたさなかったわけでございますが、先ほど御質問にありましたように、北関東全体の開発計画というものにつきましても、水戸から高崎に至るベルト地帯といいますか、北関東の開発計画がございますので、そういうものとの関連につきまして、運輸省といたしましても今後の地域の開発計画なり発展等の関連におきましていろいろ検討はいたしておりますが、現時点では両毛線等につきましても、いまだ需要面において複線化にすぐいたさねばならないというところが先ほど申し上げましたような区間ということにとどまっておりますので、今後全体の開発計画なりあるいはそれに基づく地域の発展動向というものを十分勘案しながら、しかるべき時期に複線化というものも進めてまいりたい、かように考えておりますので、御了承いただければと思います。
-
○
小川(省)
委員 しかるべき時期にということでございますけれども、複線化を完成をすることによって地域の発展というものも出てくるわけでありますから、ぜひひとつそういう点を勘案をしながら、可及的速やかに計画を実施するような方向に移していっていただきたいということを特に要請申し上げておきたいと思います。
次に、東武妻沼線の問題について若干お伺いをいたしたいわけであります。
東武妻沼線は、現状でも走っているわけでありますが、利根川を渡る鉄橋が戦時中計画をされて、敗戦によってこの計画がとんざをして、ピアを立てながらも結局鉄橋ができなかったという形になっているわけでありますけれども、戦後ずっと引き続いて東武鉄道がこの敷設の権利を持っていたわけであります。しかし、最近東武は、民営鉄道の経営状況等、あるいは交通等の諸般の情勢を勘案しながら、この敷設権を放棄して断念をしたようでございます。しかし、群馬県の東部地域ではこの鉄道の建設に大きな期待を持っていたわけであります。現在では、東京に至る線路というのは、両毛線を利用して高崎回りかあるいは小山回りかという以外は、東武鉄道伊勢崎線や桐生線を利用するほかにはないわけであります。そういうことになってくれば、東武が断念をしたというような状態であるならば、むしろこの際、国鉄が東武妻沼線並びに桐生線を買収するなり、あるいはここへの乗り入れ計画を立てながら熊谷−桐生間を結ぶ国鉄の路線を建設して群馬県東部地域のために配慮をいたすべきではなかろうか、私は実はこういうふうに思っているわけであります。
一時、群馬県の東部地方に米軍が占領した旧軍需省といいますか、中島飛行機の飛行場がありました。これが返還になった当時、貨物センターを設置をして云々というふうな一つの時期もあってかなり有望視をされたことがあったわけでありますけれども、現状ではどうも幻のような形になってしまっておるわけであります。しかし、群馬県東部地方の住民としてはこの鉄道の建設に対して非常に強い熱意を持っているわけでありますので、この点についてお伺いをいたしたいわけでありますけれども、東武が戦後二十数年間も権利を持ちながら景気のいい時代にも建設をしなかった、こういうことについての運輸省の監督の仕方というもの、ただただ権利を更新していくということについて何らの明示もしないで更新をさせてきたというところに問題があるのではないかというふうに思っています。かつて、二年ほど前に追及をいたしたわけなのでありますけれども、こういうふうな状態になってくればむしろ国鉄が、これはいわゆる僻地における過疎線とは違い工業が非常に発展をしている地域でありますから、そういう意味では赤字路線化をするような憂いはないというふうに思っておりますけれども、これらについての運輸省の見解はどうなのかという点についてお伺いをいたしたいと思います。
-
○
田中(和)説明員 お答えいたします。
御指摘の東武鉄道の妻沼−新小泉間の件につきましては、先生御指摘のように、戦時中に軍の強い要請がございまして熊谷−新小泉間の鉄道の建設に着手したわけでございますが、一部区間、熊谷から妻沼まで完成したところで戦争が終結になりまして、その目的がなくなったということでその後工事を中止した状態で推移したわけでございます。その後、先生からお話がございましたように、地元からぜひ早くという要請があったわけでございますが、経営的に見てなかなか輸送需要等が見込めないというような点から、実は着工に至らなかったわけでございます。
四十七年に至りまして、東武鉄道と地元群馬県知事あるいは関係機関との間でいろいろ御相談がありまして、地方関係団体あるいは埼玉県等も出資をして、会社をつくってやったらどうかというようなお話も出た時期がございます。しかしながら、やはり地元関係者の間で十分検討すべきだということで、運輸経済研究センターに委託をいたしましていろいろ調査をしたわけでございますが、その結果、当該地域では交通需要から見て鉄道を建設するというほどには至らないのではないか、バス輸送でかなり対応できるのではないかというような一応の結論が出てまいりまして、東武鉄道といたしましても、四十九年にこの未成線につきましての廃止を運輸大臣に申請をしてまいりまして、運輸省といたしましては九月に認可をした次第でございます。
かような状況でございますが、国鉄の新線の建設につきましては、運輸省といたしましては、各地域の交通機関の整備状況とかあるいは地域の実情というものを十分勘案いたしまして、全体としましてネットワークを形成するというようなこと、また輸送需要がかなり見込めるというようなものに重点を置きまして、現在その建設を進めてまいっておる次第でございます。
御指摘のこの路線につきましては、過去の事情もございますが、現時点で運輸省といたしましては国鉄線として建設するということは考えていないわけでございます。ただ、今後地域の発展といいますか、開発動向とかあるいは全体の総合交通政策の中での鉄道の位置づけというものも関連してくるかと思いますし、東武鉄道の既設路線の扱いもございますので、そういうようなものにつきまして十分慎重に検討をしてまいりたい、かように考えております。
-
○
小川(省)
委員 既設路線の扱い等を勘案しながら慎重に検討をしたいということはわかるのでありますが、国鉄としては現在建設は考えていないというふうに言い切られても困るのでありまして、地域としては非常に強い熱意がありますので、いろいろ法的な手続があることも承知をいたしているわけでありますが、ぜひひとつこういう強い声があるということを御承知の上で、慎重に検討、配慮をいただきたいということを強く要請をいたしておきたいと思います。
次に、農林省においでをいだだいておりますので、若干お伺いをいたしたいと存じます。
まず、農業と農業者を守るべき立場に農林省は立っていると思うのでありますが、将来に向けての日本農業の展望というか、当面この十年ぐらいの日本農業と農業者をどうやって守っていくのかという
施策についてお伺いをいたしたいと思います。
-
○
山田説明員 お答えいたします。
いま御指摘のように、高度経済成長のもとにおきまして、農家がいろいろと、基幹労働力の流出だとか農地の転用、こういうむずかしい問題に逢着していることは事実でございます。しかしながら、農家の所得の向上、こういった問題も一方にあるわけでございますが、いまいろいろと問題になっております客観情勢は厳しいという点を踏まえまして、わが国の経済の安定成長への移行とか世界的な食糧事情の変化、こういったものに対応いたしまして、高度成長の過程で脆弱化いたしました農業の体質を強化する、こういうことが重要ではないかと思いまして、総合的な食糧政策を今後強力に展開していかなければならぬ、こう考えております。
具体的には、農業基盤の整備の促進だとか、水田の総合利用を中心といたしました米、麦、粗飼料の生産対策の推進、それから農業生産の担い手の育成、確保のための金融政策だとか普及事業の充実
改善、そういうことをやりまして中核的担い手の所得確保、作目間の相対価格の均衡に配慮した価格政策の展開、こういうふうな具体的な
施策をもちまして国内の生産体制の整備を充実していこう、こう考えております。
-
○
小川(省)
委員 ひとつそういうふうな方向で進めてもらって、日本農業と農業者を守っていくという方向でぜひ進めていただきたいわけでありますが、いろいろ具体的な基盤整備でありますとかあるいはまた後継者の対策であるとかいろいろ言われたわけでありますが、私は食糧自給というのが、結果的に食糧自給に結びつくわけだと思いますけれども、食糧を自給をしていくということは何としても最優先に考えられていかなければならない
施策だと思うのであります。食糧自給というのはもちろん総合的な諸般の諸条件を完備をして整備をしていって初めて自給体制の
確立ができるのだろうと思うのでありますが、そういう意味で私は今後の農業というのはある意味では徹底をした保護産業として育成をしていかなければならぬ要素が非常に強いのではないかと思いますけれども、いかがですか。
-
○
山田説明員 農業も先生の御指摘のような産業の特性といたしまして豊凶の変動だとかいろいろな問題を踏まえております。したがいまして、従来から生産構造対策のほかにも価格政策等やってまいっております。このような
施策につきましては今後とも充実していかなければならない、こういうように考えています。
-
○
小川(省)
委員 私はそういう意味では、いま徹底をした保護政策というふうに申し上げましたけれども、日本農業を守るためには本当にある意味では徹底をした保護を打ち出していかなければならぬというふうに実は思っている一人であります。いま言われたような後継者づくりのためにもあるいはまた食糧自給を
確立をしていくためにも、私はその一つの要素として農産物の価格支持制度といいますか、農産物価格の問題というのは非常に重要なウエートを占めていると思うのであります。現状いろいろな農産物に対して価格支持の制度があるわけでありますけれども、それらの中にはただ支持制度があるだけというふうな、そう大きな機能、役割りを果たしていないものもあるのじゃないかというふうに思っておるわけであります。農林省としては現状の農産物の価格支持の諸制度についてどのような反省といいますか、お考えをお持ちでございますか。
-
○
山田説明員 農産物の価格政策の展開に当たりましては、従来から農産物ごとの特性に応じました価格支持の仕組みを仕組みましてこれに即した価格算定方式というふうなものをとりまして、その年々におきます生産、需給事情、物価、賃金その他の経済事情を勘案して適正な価格水準が形成されるように努めてまいったわけでございます。
-
○
小川(省)
委員 そういうことだろうと思うのです、概論的には。しかし、いろいろな支持制度の中でかなり反省を農林省自体が持っている価格支持の品目等もあるんじゃないかと思いますけれども、その点はいかがですか。
-
○
山田説明員 個別農産物につきましてはいろいろと豊凶変動なり生産構造の変化なり、そのようなことがございまして、価格水準もすべてがいわゆるバランスがとれたという状態になってないものもあろうかと思いまして、そのようなものにつきましては今後価格政策をどのように展開していったらいいかということで、今年省内に農産物の価格政策検討
委員会というふうなものを設けて検討をいたしまして、長期的な方向を明らかにし、今後
施策を充実してまいろう、このように考えております。
-
○
小川(省)
委員 せひひとつそういう形で農産物価格を生産費所得を補償できるような状態、農業者が安心して営業できるような状態に持っていくべきだと思うのであります。私はやはり価格支持制度の中での問題点があるのは、特に米価の中でも思うのでありますけれども、農業労働者の労働力の評価といいますか、そういう点がいわば都市勤労者並みの労働力の評価に立っていない、こういう点で私はやはり価格支持制度というのが役割りを果たすのに農業労働力の評価という問題がかなり問題があるのではないかというふうに思っていますが、その点はいかがでしょうか。
-
○
山田説明員 先ほどお答えいたしましたように、行政価格の算定の方式につきましては、米だとか牛乳、繭のごとく生産費をとっておるものもございますし、そのほか麦だとか大豆それからてん菜、このようなものにつきましてはパリティ方式というふうなものをとっておりまして、それぞれ仕組みとの関連におきまして算定方式も異なっております。米の場合におきましては生産費方式をとっております関係上、労賃部分につきましては評価がえということをやっておりますけれども、いずれの行政価格につきましてもそれぞれ仕組みとの関連で性格が異なっておりますので一律の方式はとれないのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。しかしながら、生産農家につきましては、最終的には農家の手取りが幾らになるか、このようなことが最も関心事ではなかろうかと思いますが、その点につきまして、ごく最近ではございますけれども、四十七年の国際需給の逼迫等の関連もございまして、自給率の向上、それにこたえるための生産奨励金だとかいろいろの種類の奨励金も出しております。そのような奨励金等を加えまして最近におきます農産物の農家の手取りというふうなものを計算してみますと、相当の農産物につきまして他産業の賃金に近いものが確保されてきつつある、こういうふうに理解しております。
-
○
小川(省)
委員 他産業の労賃所得に近いものになりつつあるという点は結構でありますが、まだかなりの差があるというふうに私ども思っているわけであります。そういう点ではこういうインフレが高進をした時期でもありますが、見直しをしょっちゅうやられているだろうというふうには思いますけれども、農林
委員会の中でかなりやられているのでしょうから、ぜひひとつ見直しを十分にしていただいて、農家の所得を補償できるような方法についてさらに一層の御検討をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
次に、農地の税金、いわゆる農地課税について若干お尋ねをいたしたいわけであります。
宅地並み課税の廃止やあるいは農業に供されている一般農地の評価がえについて農林省はどう考えているのか、実は私どもにはかいもくわからないわけであります。税制調査会や大蔵省やあるいはまた自治省の意見というのはかなり打ち出されて新聞等でも報道されているわけでありますが、これはすべてが現在の財政事情という一面がありますけれども、そういうものにかこつけながら税金を引き上げていくという形のPR、プロパガンダが盛んにやられているわけであります。何といいますか、財源強化のみからの引き上げばかりが盛んに宣伝をされているわけでありますし、農林省が農業と農業者を守るという見地に立って
宅地並み課税やあるいはまた一般農地の
固定資産税の評価がえについて意見を強く打ち出したということを実は寡聞にして聞かないのでありますけれども、私は農業と農業者を守っていくあるいは都市近郊農業を守っていくというふうな見地に立つならば、当然これらについての発言があってしかるべきではないかというふうに思っているわけでありますけれども、この点についていかがですか。
-
○
田中(宏)説明員 ただいま市街化区域内の農地に関する税金問題と一般農地に関します税金問題と二つにつきまして農林省の見解を尋ねられたわけでございますけれども、市街化区域内の農地につきましては、先生御承知のとおり、市街化区域という制度が十年以内に計画的、優先的に宅地化に供される。そういうことで、農地法上の扱いにつきましても、本来の農地ですと、農地法の許可ということで、他用途への転用についてチェックしているわけでございますけれども、市街化区域内の農地につきましては届け出ということで、農地法上の取り扱いも異なっているわけでございます。そういう性格から申しますと、一般農地と市街化区域内の農地を税法上や何かで同じに扱うということには必ずしもまいらぬかと思いますけれども、ただいま先生も御指摘なさいましたように都市農業という関係で、現に農業経営に供している以上、担税力という点におきましてもいろいろ問題がある、そういう関係から言いまして、慎重に検討すべき事項であるというふうに考えているわけでございます。
また一般農地につきましては、先生御承知のとおり昭和三十八年以来税額が据え置かれておりまして、その間のほかの税金との均衡なりあるいは市町村財政との関係なりということから引き上げという話もいろいろ議論されているようでございますけれども、ただいまも話がありましたように、農産物価格という農業政策にとって重要な話にかかわる点もございますし、あるいは農家経営に及ぼす影響ということもございますので、慎重に検討してしかるべき問題であると心得ておるわけでございます。
-
○
小川(省)
委員 私は、自治省なり大蔵なり税調がいろいろなことを打ち上げるのはそれぞれの立場でわかりますけれども、少なくとも農林省に農業と農業者を守るという立場が仮にあるとするならば、これは当然引き上げるべきじゃないというふうな主張がなければおかしいと思って聞いているのですよ。慎重に検討しますなどということでやられちゃ困るのです。農林省が本当に農業と農業者を守るという立場を放棄したのならばいざ知らず、農業のことをよく知っている農林省は、農業をいじめることも知っているわけですから、いじめる立場に立たれちゃ困るのです。そういう意味で申し上げているわけなんです。
私どもの立場を明らかにしておきますと、いわゆる都市近郊農業の保全であるとか、あるいは都市の環境保全という立場から、少なくとも耕作の意思を持っている市街化区域内のA、B、C農地、これは
宅地並み課税が残念ながら発足をされたわけでありますけれども、当然一般農地としての課税であるべきだというふうに実は私どもは相変わらず一貫して思っておるわけであります。他の一般農地についても、来年度が評価がえの年ではありますけれども、これは現状で、日本農業を守るという観点から据え置くべきだというふうに思っているわけであります。そうでなければ、私は日本農業は壊滅しかねないというふうに実は現下の農業の情勢から思っているわけでありますけれども、農林省はもっとしっかりしてもらわないと、一時期の市町村の財政が苦しいから自主財源を強化するのだというふうな中で、農地に対する課税を強化していって日本農業と農業者を滅ぼすようなことに農林省が手をかしていっては困るというふうに思っているのですが、いかがですか。
-
○
田中(宏)説明員 先ほど申し上げましたように、税金の問題というのは農業経営なり農産物価格に影響する問題でございますので、われわれといたしましては重大な関心で見守っているわけでございますけれども、現在具体的にどういう方向に動くかという案というものはまだございませんので、その案によりまして農業経営に及ぼす影響なり、それから今後農業を守っていくというたてまえから、それが農業にとりまして非常にマイナスであるというような向きになりますれば、それは先生御指摘ありましたように、われわれといたしましては農業を守るというきちんとした立場で、申すべき段階では物は申したいというふうに考えている次第でございます。
-
○
小川(省)
委員 これから慎重に検討してやるというのでは遅いのですよ。すでに税調は発足をして論議をして、近く結論が出るわけでしょう。マイナスがあるとするならばというふうな状態で、私は、農林省というのは日本農業や農業者を守る立場に立っていないのじゃないかと思うのです。私は、農林省から自治省の税務局あたりに、この点についてはやったら困るというふうな態度が申し入れられていなければおかしいと思うのです。一般農地に対する課税なり、来年度はC農地の
宅地並み課税をやるなどと言っているのだけれども、そういうことについての農林省の態度、まとまった見解はないのですか。
-
○
田中(宏)説明員 冒頭に申し上げましたとおり、
宅地並み課税につきましては、農地制度上の市街化区域の扱いの違い、それから現に農業をやっておるということとの担税力のむずかしさということから、事態の推移を見守りながら慎重に検討したいということが、現在の段階での基本的な全省的な考え方になっておるわけでございます。
-
○
小川(省)
委員 農林省がそんな態度では、私は日本農業と農業者を守っていくことはできないと思うのです。これは課税ですから地方税に関係しますから、税務局長にお尋ねをしたいのですが、まだ参議院の方からお戻りになっていないようですから、農林省大変恐縮ですが、私、
宅地並み課税や一般農地の課税について税務局長に伺いますので、それまでちょっといてください。
税務局長が来ていないようですから、次に飛ば
したいと思います。
-
-
○
小川(省)
委員 固定資産税課長がいるのならお伺いをしていきたいと思うのです。
私どもの承知している範囲では、三大都市圏の百八十二の市のうち百十五の市が、均衡のとれた都市開発をしていくという観点から、
宅地並み課税として、どの農地課税を取っても農地課税としての差額を農業緑地保全という対策としてこれを還元しているという、そういう
施策をとっているはずであります。このことは、
宅地並み課税が発足をいたしましたけれども、私は、少なくとも税そのものとしてすでに効力を失ったものだというふうに実は思っているわけであります。少なくとも課税をすることが正しくはない、適当ではないというふうに判断して差し支えないものだというふうに実は思っているわけであります。いずれにしても、農地が
宅地並み課税であろうとも何であろうとも、農業を続けていくという意思がある、それならば、当然いわゆる収益還元方式という農地課税としてやっていくことが正しい税の運営であろうというふうに思っていますが、いかがですか。
-
○川俣説明員 現在市街化区域農地の中で課税適正化
措置を実施いたしております市の数は百八十二ございまして、ただいまお話ございましたように、私どもの調査によりますとその中の百十八の市におきまして緑地保全でありますとか都市近郊農業育成というような見地から、補助金ないしは奨励金が出されていることはお話しのとおりでございます。ただ、数におきましては百十八でございますけれども、補助金なり奨励金の対象になっております地積でまいりますと全体の四割でございます。それから補助金、奨励金等の額とトータルの税額とを比較いたしますと三割でございます。そういうことでございますので、私どもはこの制度がまるっきりいわば骨抜きになっておるというふうには実は考えておらないわけでございます。
なお、この補助金、奨励金の制度は、昭和四十八年に課税適正化
措置が段階的に開始をされました時点から関係の市で出されるようになったわけでございますが、その後四十九年の六月以降生産緑地法が施行になりまして、市街化区域の中の農地でございましても、都市計画上やはり将来の多目的保全地区といたしまして緑地として保全をすべきものであるというふうに考えられるものにつきましては生産緑地としてこれを指定し、そうすることによって課税適正化
措置から外すという制度が生まれたわけでございます。
そういうことでございますので、私どもといたしましては、現在の補助金、奨励金の制度はいわば生産緑地制度の先取りあるいはつなぎの制度であるというふうに理解をしておりまして、今後は生産緑地制度の活用によりまして、ただいまお話のございましたように、真に市街化区域の中で農業を継続されたい方については、その活用によって問題の解決が図られるべきではなかろうか、かように存じておるわけでございます。
-
○
小川(省)
委員 いま、三割なり四割だからまるっきり骨抜きではないというふうな表現がございました。言葉、じりをとらえるわけではありません、私は大体骨抜きだと思っているのだけれども、どうもまるっきり骨抜きなんで……。
-
○川俣説明員 数におきましては、いま申し上げましたように百八十二のうち百十八の市で補助金、奨励金を出しておるわけでございます。ただいま申し上げましたように、いわばつなぎ、先取りの制度だと理解をいたしておりますので、これが生産緑地の方に移行をしていけば、おっしゃいますような意味での骨抜きでもなくなるんじゃなかろうか、かように思っておるわけでございます。
-
○
小川(省)
委員 それは表現ですよ。あなたとそういうことで論議をしようとは思っていないけれども、私は三割なり四割なり、百八十二のうちの百十八市ということになれば、大体こういう税を課税をしていくこと自体が少し妥当ではないということで、検討するのが税務局の仕事だろうというふうに思っているのです。生産緑地制度の先取りであろうと補助金、奨励金という形であろうとも、そういう点では妥当性を欠いておるんではないかという御指摘を申し上げたわけであります。
大臣を参議院にとられておるので、政務次官、あなた政治家だから、そういう点おわかりだろうけれども、どうですか、いまの討論を聞いてそう思いませんか。
-
○
左藤政府
委員 確かにそういう点で私はいろいろ問題があろうと思います。そこで、昭和五十一年度の税制として、こういったものをさらに、いまのところは、今度はA、B農地のほかにC農地に
拡大するかどうかという問題が議題になっておるときでございますので、そういった問題を抜本的に考えることと、それからもう一点は、現在の段階を少し改正していくといいますか、そういうふうな問題について改めていくべきじゃなかろうか、そういう点で検討をすでにやっております。おっしゃるとおり、これは確かに問題があるということで検討を進めておりますので、次の、五十一年度の税制のときにどういった形になるか、われわれとしては最大の努力をいたしたい、このように考えております。
-
○
小川(省)
委員 検討をしているのは、あなたもおわかりのように、引き上げる方向で検討をしているのですよ。それじゃ困るのです。しかし問題があるということは、あなたは政治家なんだから、そういう点は私と同じようにわかるわけですよね。だから、そういう点を含めて慎重に、これから決めていくのですから、検討してくれますか、余り深追いはしませんから。
-
○
左藤政府
委員 いま私が申し上げました線は、結局、現在の法律がございますが、この形で進んでいきますと、そうした該当する地域が広がるということで御指摘のとおりな形になるわけでありますから、どういうふうにしてそういった考え方を改めていくかということについて検討をしているところでございますから、その点は御理解いただきたいと思います。
-
○
小川(省)
委員 検討するにはいろいろあるわけですからね、わかりますよ。しかし、あなたは選挙の洗礼を経て出てくる政治家なんだから、そういうことは十分におわかりのはずです。特に都市近郊農業なんというのは十分おわかりのはずなんだから、そういう点でひとつ政務次官の自治省内にある立場というものをよく御理解の上で、これについては検討をして意見を出してもらいたいと思いますよ。
そこで、税務局に伺うんだけれども、私が先ほど農林省との間で
宅地並み課税やあるいは一般農地の課税についていろいろやりとりをやったわけでありますが、農林省の方から税務局に対して、
宅地並み課税についてはひとつぜひ今度は取り上げないでほしいとか、一般農地の評価がえについては附則十九条を相変わらず生かしておいて現状維持にしてほしいというふうな申し入れがありましたか。
-
○川俣説明員 この問題につきましては、私どもといたしましては現在税制調査会にお諮りをいたしておるところでございまして、いろいろな角度から今後御検討いただけるものと思っておるわけでございますが、農林省の方からは、このただいま御指摘の市街化区域農地の問題それから一般農地の問題、いずれもいろんな形で御相談をいただいておるという段階でございます。
-
○
小川(省)
委員 いや、農林省からそういう申し入れが自治省の税務局にありましたかということについてお答えいただければいいので、あなた方の方がこういう形でC農地も
宅地並み課税に来年度からはしたい、一般農地の評価がえも行いたいということで税調にかけているのであって、それはわかるのですよ。あなたの方がそれをやるのはわかるけれども、しかし農林省から、そういうことについてまあ思いとどまってほしいとかあるいは農林省としてはこうだというのは全然ないですか。
-
○川俣説明員 ただいままでのところは、市街化区域農地の課税につきましても、それから一般農地の問題につきましても、具体的にこういうふうにしてもらいたいという御要望は正式にはいただいておりません。
-
○
小川(省)
委員 そこで、
田中農
政課長、農林省に伺うんだけれども、非公式にも、
課長レベルの話し合いでもあるいは局長レベルの話し合いでも、まるっきりないというのは、農林省が日本農業や日本の農業者を守るという立場は放棄をされているのですか。
-
○
田中(宏)説明員 決して農業を守る立場を放棄しておるわけではございませんで、具体的提案がございませんので、それについてどうという正式の、公式の発言はしておりませんけれども、われわれといたしましても、ただいま
固定資産税課長から話がありましたように、再三接触しておりまして、
固定資産税の農業経営に及ぼす影響なりあるいは市街化区域での都市近郊農業の現況なり、そういう農業としての姿につきましての理解を十分深めてくださるよう、資料の提供なり説明なりというものは常日ごろしているつもりでございます。
-
○
小川(省)
委員 時間がないから余りこれに時間をかけませんけれども、ぜひひとつそういうことで——何もやってないんじゃ困るのですよ。やはり日本の農業と農業者を守ってくれなければ、農林省という立場は。そういう役所のはずなんですよ。少なくとも日本の農業者をいじめるための役所じゃないわけなんだから、こういうふうな動きがこんなにも顕著にあらわれている、自治省の税務局ではぜひ引き上げてほしいということで税調にかけているわけでしょう。そういうのがわかったら、農林省は早く態度を決めて、日本の農業と農業者を守る立場に立ってもらわなければ困るということを強く要請をいたしておきます。結構です。
そこで、私はいまから
固定資産税課長に聞きたいのだけれども、あなたも行政官の一員として、あなた、日本農業と農業者を、この一時期の
地方財政の危機の中で破壊しちゃってもいいと思いますか。
-
○川俣説明員 日本農業の重要性というものは十分認識をいたしておるつもりでございまして、私どもが一般農地につきましても税制調査会に御検討いただいておりますのは、三十九年度以来三十八年度の税額で据え置いておりまして、その間に評価がえは評価がえの年度に逐次行ってきておるわけでございます。そういう関係で、他の土地との間の不均衡というものも生じておりますので、市町村からもこれについて是正を図るべきであるというような御要望もいただいておるというような状態を踏まえまして、現在税制調査会にお諮りをしておるということでございます。
-
○
小川(省)
委員 まあいいでしょう。
固定資産税課長の答弁としてはいいでしょうけれども、政務次官、やはり確かに自主財源を強化をしなければならぬ。強化をする方法にはいろいろあるけれども、私は、日本の農業を破壊をしていま自主財源の強化をするほかに方法はないかと言えば、あるんですよ。そういう点を十分考慮して、配慮して、ぜひひとつ自主財源の強化に当たってもらいたい。こういうことを、またどうせ当然通常国会の中で税法の審議にも当たるわけでありますから、余り本日時間はかけませんけれども、ぜひひとつ、政治家であるあなたはそういう点を配慮をされて当たってもらいたい。自治省の自主財源強化という中で日本農業を滅ぼしてしまった、しかも守るべき農林省は何も言わないという状態なんですから、その点は農業
施策を進めていく役所を都道府県、市町村は持っているわけですから、農林省にかわっても自治省が守るぐらいの考えに立ってやっていかぬと困ると思うのですよ。日本農業は滅びてしまいますよ。日本の農業者は何としても生きる方法がなくなりますよ。そういう点を強く指摘をいたしておきたいと思います。
そこで、公
務員部長にまずお伺いをいたしたいわけであります。特に、本年度の給与改定の実施状況についてであります。
私は、国家公務員の給与改定が実施をされるならば、
地方公務員についても年内に差額支給がし得るように当然そういう指導をしてもらわなければ困るということを去る先月の十日にも申し上げたわけであります。しかしながら、私どもの承知しておる限りではかなりおくれているようであります。年を越すところがかなりあるのではないかというふうに実は恐れているわけであります。そこで、自治省が把握をしている現在の段階における賃金の改定状況はどのようになっているのか、御説明を受けたいと思います。
-
○
植弘政府
委員 都道府県におきましては、いま十二月定例議会が大体開かれておりますが、現在のところでは、大体二十六県程度が十二月議会に提案する予定であります。なお、いま職員団体との間で話し合いが行われておりますので、若干の団体では十二月県議会中に追加提案するというのがまだあるようでございます。
市町村につきましては、いま県を通して調査中でありますので詳細はわかりません。
-
○
小川(省)
委員 自治省は、このようにおくれている原因がどこにあるというふうに把握をしておるわけですか。
-
○
植弘政府
委員 いろいろあると思いますが、やはりいまの地方団体を取り巻く財政事情といったものが大きな要因であろうと思いますし、それからもう一つは、昨年からお願いいたしております給与水準の適正化という問題もございまして、そこらのところを十分当局と職員団体との間で話をしておるけれども、なかなか話が煮詰まらないというようなところであろうかと思います。
-
○
小川(省)
委員 そうですね、いま部長が言われたような原因だろうと思うのです。しかし、おくれている最大の理由は、自治省が少なくともこの一、二年来助言、指導というふうな立場を離れて不当な介入や干渉ばかり行っている、このところにやはり最大の原因があるというふうに私は実は思っているわけであります。そこで、自治省の数々の最近出された通達があるわけでありますが、これに基づいて自治体当局が従来の労使間の話し合いの慣行というものから離れて、あるいは議会を利用して百条の調査権の乱用をするというふうな問題あるいは不当な労働組合への弾圧、労働者の基本権というものを尊重しなくてもいいのではないかというふうな誤った受けとめ方を自治体当局がしたので交渉が非常に難航をしている。いわばいろいろな介入、干渉、そういうものを自治省が打ち出しているところに問題があるんじゃないか。こういうことによっていろいろな現象が各地であらわれているわけでありますが、そういう点について以下若干伺ってまいりたいと思っているわけであります。
ことしの六月二十日付の全国町村議会議長会の斉藤正夫事務局長による「給与にかかる疑義事項について(照会)」というものに対して、七月七日付で給与
課長名で回答が出されております。これを八月十六日の通達で出しています。それと十一月十八日付の「違法な昇給
措置の廃止について」という行政局長の通達、この二つの通達を取り上げるわけでありますが、これ自体が違法なのではないか、間違った見解に基づいたものではないかというふうに私は実は思っているわけであります。
まず第一に確認をしたいのは、国家公務員にある昇給期間の十二カ月というのが給与条例の上では明記をしてあるわけですね、給与法に基づいて。そこで話し合いをして——私自身も昭和三十二年の切りかえ時に当時県職の書記長をやっておりましたからわかるのでありますが、昇給期間を九カ月だとか六カ月というふうな文言で表現をした条例があるわけですよね。これに基づいていわば十二カ月の昇給のものが九カ月で上がっていくわけでありますが、こういう条例に基づいて行われているものについてはまさか違法と言うわけではないでしょうね。
-
○
植弘政府
委員 先生もよく御承知いただいて一おりますから余り詳しく御説明する必要はないと思いますが、先ほど御指摘のございました六月の町村議長会からの照会、それからそれを受けての、それに伴ってといいましょうか、十一月に出しました局長通達、この趣旨といたしますところは、一般的に私どもの承知いたしております条例は、昇給につきましては普通の定期昇給と特別昇給とございますが、定期昇給については、給与法に準じまして十二月を良好な成績でと書いてあるのが普通でございます。したがって、そういう条例のもとで全員についての特別昇給をやるということは考えられないことでありますから、これは法律違反であるということを、照会があったのではっきり回答を出したわけであります。したがって、いま先生の御指摘のように、必要に応じて短縮する旨を条例に規定いたしておるといたしますならば、二十四条の規定によしまして、条例主義の原則からいきますと違法にはなりません。ただ、御承知のように二十四条の第一項なり第三項を読みますと、職務給の原則なり、あるいは国家公務員あるいは他の地方公共団体、民間その他との均衡原則といいましようか、こういった給与決定についての原則がございますから、その地公法の趣旨から考えて著しく適当でない場合もあると思います。
-
○
小川(省)
委員 いいんですよ、著しく適当でない場合があったって。私の県などは昭和三十二年に私が県当局と決めたのだけれども、九カ月というのがあるわけですよ。六ヵ月というのも中にはあります。それで昭和三十二年から現在に至るまで、今度の問題のようになるまで自治省は何も言ってきていないわけです。ですから私はこんなのは違法じゃない、当然そうだと思うのですが、それはいいですね、当然ですよね。条例で決めてやってきていままで十何年間何も言わないものというのは、それは違法じゃないでしょう。違法だったらいままでだって言っているわけでしょう。
-
○
植弘政府
委員 いまもお答えいたしましたように、一般的な条例のもとにおきましてはその規定は違法であるということを申し上げたわけでありまして、そういうことを明文をもって条例に書いてございます場合には、形式的には条例主義の、二十四条第六項でございましたでしょうか、その規定には抵触しない。ただ、先ほど言いました給与決定の原則に照らして適当でない場合が多いということであります。
-
○
小川(省)
委員 最後のつけたりはいいんです。給与決定の原則に照らしてそういう条例ができたのだから、それは違法じゃないのは確かなんだからね。
そこで、公務員賃金について聞きたいのだけれども、公務員賃金というのはいわゆる年功序列型になっているわけですよね。そういう点では、いわゆる改定と定期昇給というものを基本とした年功序列型の賃金であるというふうに思っていますけれども、そういうことでよろしいですか。
-
○
植弘政府
委員 もう先生よく御承知のように、地公法の規定は二十四条一項では職務給の原則をうたってございます。しかし、わが国の従来からの労働関係といいましょうか労使関係といいますか、そういったものの特色からいたしまして、いま先生の御指摘のような年功序列型賃金体系になっております。したがって、地公法の二十四条でも、一項の原則を挙げながらも三項で現状に即したような均衡原則で決定することになっておりますので、おおむねはいま先生御指摘のような形でございます。
-
○
小川(省)
委員 次に、昇給という定義なんですけれども、「職員が現に受けている号俸を受けるに至った時から、十二月を下らない期間を良好な成績で勤務したときは、一号俸上位の号俸に昇給させることができる。」こうなっているわけですね。そうですね。そこでまた「良好な成績」というのは、ときどき無断欠勤をするとか、あるいは長期にわたる休暇、通常昇給期間の六分の一、二カ月以上の休暇等が欠格条件というふうになっておって、欠格条件がない場合には、すべて勤務成績は一応良好だというふうに判断をして運用されてきたということは、これは確認をいたしますね。
-
○
植弘政府
委員 いわゆる定期昇給についてはおおむねそのとおりでございます。
-
○
小川(省)
委員 通常、特別の事情のない限りは、そういう意味では、いわゆる無条件で自動的に昇給をすることになっておって、そういう年功序列型賃金のこれが骨格をなしているというふうに私は思っていますけれども、それが骨格になって現在の賃金体系というのはできているわけでありますから、昇給を停止をしていくということは、現在の賃金体系のいわば根幹というか骨格を揺るが、すことになるというふうに一般的には理解をしているわけでありますが、そうでしょう。
-
○
植弘政府
委員 原則的には先生のおっしゃるとおりでございますが、給与法なりあるいは地公法二十四条を受けました条例からいきますと、やはり昇給というのはできる規定でございますので、特別な事情がある場合には昇給をしないということもあり得ることが、当然法律のたてまえとして予想されているところでございます。
-
○
小川(省)
委員 そういうことなんですよね。法の上に特別昇給という制度がありますよね。勤務成績がこれは特に良好である場合には云々という文言になっているはずであります。しかし、特に良好というのは、いわゆる普通昇給と同じような欠格条項のない場合、勤務成績を指すものとして一般的に受け取られているわけですけれども、そうでしょう。
-
○
植弘政府
委員 やはり特にでございますから、それは定期昇給の場合よりも特別に厳選された意味の良好だというふうに思います。
-
○
小川(省)
委員 実はきょうは総
務課長においでをいただいているわけであります。総
務課長にお伺いいたします。
私は、国家公務員の昇給というのをある程度承知をいたしておるつもりでおります。それから、自治省の、いわばあなた方の配下の諸君には、ほとんどただしてみました。で、自治省における現在の特別昇給の実態というのは、私の承知をしている限りでは、国家公務員はどこの省庁でもそうでありますけれども、特別昇給の法令上の文言を見ると、あたかもいま
植弘さんが言ったように特別だとかいろいろなことを言うというと、まさに勤務評定や裁量によって昇給をするように見受けられますけれども、実際は一五%の枠内で、一人の者に二回も三回も特別昇給させてはまずいので、大体輪番制で、六年か七年間に各人が特別昇給に該当して、一号上げるというふうな形に各省庁はほとんどなっています。私が聞いた範囲内では、自治省のいわゆる役付でない諸君、何とかがついていない、机の向きの違わない諸君はそのとおりになっておりますということを言っておりますが、自治省でもそういうような運用をやっているわけですね。
-
○塩田説明員 自治省の場合は、特別昇給につきましては勤務評定によって実施いたしております。
-
○
小川(省)
委員 勤務評定というのは、制度の上でありますからそれはっけますけれども、今度は特別昇給に該当させる者を、勤務評定がいいようなAならAにするわけでしょう。そういう形で、私だって地方庁で人事やったのですから、私のいたころは特別昇給もあったんだから、そのくらいのことは百も承知なんだけれども、結局輪番制で全員が均てんをするような昇給をやっていますね。
-
○塩田説明員 勤務評定によってやっておりまして、輪番制ではございませんので……。
-
○
小川(省)
委員 全部に均てんをするようにやっているということ、必ず受けますということをあなたの配下の総務課の職員だって言っているんだよ。どうなんだ。虚偽の陳述をするとだめだよ。
-
○塩田説明員 勤務評定によって実施いたしております。
-
○
小川(省)
委員 全部に行き渡るわけだろう。輪番制がまずいと言えば、六年ないし七年の間に全部に特別昇給が行き渡るような方向でやられているのが実態で、あなたのところの職員に聞いたんだから、そのとおりですね。
-
○塩田説明員 輪番制でやっているわけではございませんで、勤務評定によってやっております。
-
○
小川(省)
委員 いいでしょう。勤務評定をやっているというあなたの答弁を認めてもいいけれども、全部が優秀だから全部が該当しているということになるわけですね。
-
○塩田説明員 非常に優秀な職員が多いわけでございますから、たてまえはもちろんそうでございますが、実態といたしましても、あくまでも勤務評定によってやっておるわけでございます。
-
○
小川(省)
委員 事実、塩田さんの表現はおかしいけれども、
植弘さん自体が知っておるわけで、あなたのところの配下だって、みんな該当して昇給しておるんだから、それが特別昇給の実態なんですよ。特に良好な勤務成績の実態はそういうことなんです。自治省ばかりに国家公務員の優秀なのばかりが集まっているわけではないのだから、そういう形で国家公務員の特別昇給が運用されていることも事実なんです。次官、初めて聞いたでしょう。そうなんですよ、次官。よく覚えておいた方がいいですよ、何も自治省にばかり優秀なのが集まっているわけではないのだから。
地方自治体の場合、国公と異なって特別昇給の予算というのは組まれていない自治体が大部分であります。国公の特別昇給がそのようにいわば私に言わせれば輪番制なんだけれども、輪番制で全員が特別昇給をされているという
措置に準じて、名目は不均衡の是正とかいろいろつけますけれども、二年に一回ぐらい三カ月ぐらいの特別の昇給短縮を行ってきたことも事実であります。これはあくまで、自治省のお好きな言葉の国家公務員に準じてやってきたんです。三ヵ月です。一年じゃないですよ。三ヵ月ぐらいの短縮を二年に一回ぐらいやってきた。これはあくまでも国家公務員の特別昇給の
措置に準じてやってきた方法でありますから、私は、国家公務員の特別昇給の
措置のある間は、こういうものについて違法だなどと言って抑制をできる根拠はないと思うけれども、いかがですか。
-
○
植弘政府
委員 特別昇給のやり方について議論がありましたようですけれども、やり方についての問題は問題といたしまして、少なくとも法の精神は、成績優秀な者について特別昇給するわけでございますから、これは本来を言いますと、二十四条一項の職務給の原則的な立場をある程度加味して考えられた制度ですから、その意味では、特別昇給がないからと言って、それではそういったものをやっていいかということになりますとこれ峠おかしいので、地方団体でも特別昇給制度を勤務評定とともに実施すべきであると思っています。
-
○
小川(省)
委員 さっき塩田
課長が苦しい答弁をされたけれども、そういうことで全員が勤務評定、自治省は優秀だそうだけれども、
地方自治体であっても全員が優秀だということで、国家公務員に準じて二年に一回ぐらい三カ月短縮するのは、国家公務員の特別昇給
措置と何ら変わりがないではないですかということをあなたに聞いているんです。
-
○
植弘政府
委員 先生、おっしゃりたいのは、結果がよく似ておるということだと思いますけれども、結果が似ておるといっても、いま塩田総
務課長の説明でも、勤務評定によってやっておるようでございますから、私は似ていると思いません。やはりちゃんと特別昇給は特別昇給の制度にのっとってやっていただきたいと思います。
-
○
小川(省)
委員 いいんですよ。結果が似ているのは、それはそのときに勤務成績優秀であるから、特に不均衡の是正だというふうないろいろな名目は地方庁だってつけます。そういう形でやられてきたのが昇給短縮なので、これを違法などとあなた方が言う権限は何もないと私は思っているわけであります。ぜひひとつそういう点は、いまの討論の中で、あなた方、十分わかりながら言えないだけの話で、公
務員部長という立場にいるから、そのことぐらいは十分わきまえているはずだと思うので、職員団体と当局者が決めて議会の議決を経てくるものに対して不当に干渉、容喙なんかしなくもいいんです。そういう点では、特に地公企業法の適用を受けている現業職員なんというのはなおさらですから、これは介入する権限なんてないわけなんで、ぜひそういう点は、私はだから、二つの通達が徹底を欠いているのか、あるいはこの通達自体が誤りなのか、恐らく私は誤りだというふうに思っているけれども、そういう
措置の中で自治体における昇給短縮等がとられておりますので、あくまでも国家公務員に準じた
措置でありますから、準ずるというのはいろいろあるわけですから、そういう点で特別昇給
措置に準じた方式がいろいろとられてきたわけで、そういうものを一概に違法だときめつけることはこれは明らかに誤りだという点を強く指摘をいたしておきたいと思うのであります。ですから、自治省が言っているのは非常に何というか、警告するのならともかく、自粛をしろと言うのならともかく、いわばおどかしであったり、違法だというような形でおどかして、あるいは起債のときに何かと文句をつけたり、いろいろなそういうことをやっておりますので、ぜひひとつ、話のわかる公
務員部長は、そういう点は今後十分配慮をした運営をしてもらって、指導をしてもらって、早い機会に
地方自治体の改定が、三月末だなんてことにならないように、ぜひひとつ指導してもらいたいと思います。何か答弁ありますか。
-
○
植弘政府
委員 最後の、給与改定が早くということにつきましては、当局と職員団体とが精力的に、正常なルールにのっとった交渉によって早く妥結していただきたい。そして、できるだけ早く改定していただきたいということについては、いま先生御指摘のように、私もそう思っております。
ただ、その前提といたしまして、通達がおかしいとか介入しているとかいう点につきましては、私は残念ながら先生とは見解を異にいたしておりますので、その点だけは申しておきたいと思います。
-
○
小川(省)
委員 見解を異にしても、立場が違うのだからしようがないから、それは異にしてもいいから、おかしな指導は、介入、干渉にわたるようなことはぜひ慎しんでもらいたいというふうに強く要求しておきます。
次に、赤字再建団体の問題について若干伺いたいと思います。
十一月十日に私は自主再建についていろいろ、自主再建の助言、指導を行うべきではないかというふうな指摘をいたしたはずであります。自治省がどうも自主再建でできるものを無理やり法適用に指導しているきらいがあるということも、実は申し上げたわけであります。竹田市の場合でも、私が、竹田市の承認については少し待ったらどうかというふうなことを言ったわけでありますが、日ならずして 私が十一月十日に指摘をした、日ならずしてこれを承認をしているわけですね。
いま財政危機の中で苦しんでいる団体が相当あると思うのでありますが、年度末になって再建準用団体に落ち込むといいますか、法適用を受けるようなおそれがあるというふうに予想される団体は、財政局の見込みとしてはどのくらいいまつかんでおられますか。どうですか。
-
○石見政府
委員 本年度中に再建の指定なり承認を今後どの程度受けることになるかという御質問であったかと存ずるのでありますが、いまのところは、先生お示しのございましたような本年に入りましての豊前市及び竹田市以外につきまして、本年度中にそういうような事態が起こるという予測は、いまのところ持っておりません。
-
○
小川(省)
委員 大変結構だと思うのであります。
そこで、財政再建促進特別
措置法なんですが、私は現時点で、制定をされて以来かなり改正されてきているんですけれども、改正をすべきじゃないかなというふうな気がするんですが、
措置法の二十三条の歳入欠陥を生じた地方団体の起債の制限等は撤廃をすべきではないかというふうに実は思っているわけであります。令の十一条の二で都道府県が標準財政規模の五%、市町村にあっては二〇%を定めた、三十六年ですか、この当時のこの根拠はどうだったのか。私は三十六年と現在、かなり時期が過ぎておりますし、かなり経済事情も変わっているわけでありますから、そういう点では現状の
地方財政の実態のもとではこの点は改める必要があるのではないかというふうに思うのですが、いかがですか。
-
○石見政府
委員 いまお示しにございましたように、昭和三十六年当時
地方財政再建促進特別
措置法が制定されまして、二十三条一項の規定が置かれておるわけでございますが、この当時の考え方といたしましては、大体赤字の解消におおむね三年ないしはそれを超える年限、期間が必要と認められます地方団体に対しまして、地方債の制限を行うということをめどにして定められたものでございます。このように、いわゆる単年度の赤字解消能力という点から見まして、県におきましては標準財政規模の五%、市町村におきましては二〇%という率が定められておるわけでございます。したがいまして、この五%あるいは二〇%という率は、当時からもう十数年たっておるわけでございます。いま申し上げましたようにこのねらいとしておりまするところがやはり単年度の赤字解消能力がどの程度かということをめどに置いておるわけでございますので、地方団体の赤字解消能力という点に着目いたしました場合には、当時と現在でもそれほど大きな変化はないのではないかというふうに考えておる次第でございまして、いま直ちにこの二〇あるいは五に対しまして手をつけることはいかがかというふうに存じておる次第でございます。
-
○
小川(省)
委員 ぜひひとつ検討してみてくださいね。
そこで時間がありませんから急いでやるのですが、豊前市と竹田市の問題について少々お伺いをいたしたいと思うのであります。
どう検討してみても、豊前市と竹田市の指定については、私は人件費抑制のサンプルつくりをたまたま白羽の矢を豊前市と竹田市に立てたのだというふうに考えざるを得ない。どうもそういうふうに考えられてならないわけであります。
そこで聞きたいわけでありますが、指定に至る前も当然自治省は再建計画の策定については自治体とかなり相談をするわけでありますから、私はそういうところに立って聞きたいわけでありますが、まず豊前市の場合、豊前市には九州電力の豊前発電所というのが五十万キロワットの発電機二基を持っているということは御存じだと思うのであります。これによる豊前市の収入というのがあるわけでありますし、そういう点についてはどのように、また豊前市がかなりの市有財産というのを持っているわけですね。これについてはどのように自治省は把握していますか。
-
○関根説明員 豊前市におきまして現在工事が行われております火力発電所の増設工事でございますが、いまのところは五十三年度に営業運転を開始する予定でございます。これが予定どおりできまして営業に入りますと、現在の見積もりでは約一億五千万程度の
固定資産税が入ってくるということでございますが、再建計画上は必要最小限度の経費を一方において歳出に計上し、したがって歳入面におきましてもできるだけ安全、確実な財源のみを捕捉するということによって財政再建計画が完全に実施できるように組んでおりますために、これは計上されておりません。
それから市有財産の問題でございますが、確かに豊前市は、いろいろ含めますと工業用地の造成等もやっておりますので、市有財産を持っておりますけれども、それらのうちで再建計画には、旧庁舎の跡地を売却いたしましてそれの収入を一億五千四百万計上をいたしております。これは売却が確実であるというふうに見込まれておりますので計上いたしました。その他の財産につきましては、果たしてその財産を売却することが将来の豊前市の富を確保する上で適当なのかどうかというような問題もありまして、豊前市としてはそのまま保有していきたいというような希望もありますので計上をいたしておりません。
-
○
小川(省)
委員 私が調査をした範囲では、去年国会で制定をされた発電用施設周辺地域整備法がありますね。これは御承知のように交付金が支給をされるわけであります。これによる交付金が昭和五十年度から五十二年度までに二億二千五百万円交付になります。五十三年から五十五年までには七千五百万円交付になるわけであります。昭和五十三年度以降は
固定資産税として二億二千万円が入ってくるわけですね。ですから、そういう点から考えるならば、若干の年月を見ていけば、豊前市の再建は当然自主再建で可能であるし、将来は不交付団体にもなるだろうというふうに言われているわけですね。その辺のところは、自治省は再建計画の中にかんでおって、承知をしていないはずはないだろうというふうに私は思うのです。さらに市有財産としては、いま言われたように、旧市庁舎の跡があるでしょう。それから山林が七百ヘクタールありますね。それからそれ以外に埋立地が五万二千坪ばかりあるわけですね。そういうふうな点からするならば、豊前を法指定にしなくてもよかった、当然自主再建ができるというふうに考えているわけですけれども、その辺の中で法指定に踏み切っていった自治省の助言なり指導なり相談なりというものは、明らかに人件費抑制のサンプルづくりのために指定をやったという以外にはないというふうに実は思っているわけであります。
そこで、特に竹田市の場合もそうなんでありますが、前回も指摘をしたように、二回にわたる機動隊の導入をもって市議会の議決なりをやっているわけですね。再建には、最も協力を必要とするのは、そこの市の自治体の職員の協力を得なければ再建計画というのは実行していくことはできないはずだということは当然だと私は思うのです。次官、そうですね。
-
○
左藤政府
委員 これはもう職員だけでなく、やはり町全体を挙げてそういったものに取り組まなければその再建はできないと思います。
-
○
小川(省)
委員 そうなんですよね。だから、わけても当然その地元の職員、職員団体の協力を得なければ再建計画などが実行できるわけはないわけであります。ところが、職員団体の協力も得ないままに、話し合いも十分に済まないままに指定をされているところにかなり多くの問題があるというふうに思っています。竹田の場合でも再建計画の中に人員の縮小というのがうたわれておるわけであります。二十六人を整理をしていくようでありますけれども、こういう整理というのは、当然指定を受けても、いわゆる勧奨退職というふうな方法でやっていくわけだというふうに私も思っているわけでありますが、当然そういう中では職員団体と十分な話し合いというのが必要だけれども、現状のように職員団体と交渉もしないで突っ放していて再建計画が軌道に乗るかということになるとかなり問題があるというふうに思うのですが、財政局いかがですか。
-
○石見政府
委員 竹田市の場合でございますが、先生御案内のとおり、昭和四十九年度末におきます実質赤字は約一億一千万円余りでございます。五十年度、本年度末にはこの額が非常に大きくなる、いわゆる大幅な赤字が発生することが見込まれたわけでございます。市といたしましては、いまおっしゃいましたように、その他若干の財産等も持っておるようでございますけれども、やはり長い目で見た市の今後の財政力というような面から見まして、直ちにこれを売却することにもいろいろ問題もあるわけでございまして、この際市議会の同意を得て再建に踏み切ったわけでございます。私どもといたしましてはいろいろその当時から竹田市の方からの御相談に応じておりまして、市の方でそういうことで市の判断において決定され、あるいは市議会の同意を求め、議決を得られた問題につきまして、私どもとしましては市の御意見も尊重いたしまして再建指定をいたしたわけでございます。ただ、お示しにありましたように、先ほど政務次官からも御答弁ございましたように、やはり職員団体を含めましての住民の深い理解なりあるいは協力がなければなかなか再建というものは本当にできないだろうというふうに私ども思っております。今後そういう意味で市の執行部自身がそういう形での職員団体なりあるいは住民各位の御理解と御協力を求めることについて積極的な努力が払われることは非常に結構なことである、また期待しているところでございます。
-
○
小川(省)
委員 石見審
議官そう言われるから、私はあなたにも強く要求しておきたいのだけれども、当然そうなんですよ。町全体の協力なり、特に地元の職員団体、職員の協力がなければ、再建計画なんか実行できないわけですよ。自治省は当然再建計画づくりからかんできているわけですから、町と議会が職員団体に抜き打ちで、しかもゴボウ抜きの機動隊の導入なんかやった再建計画では、これはなかなか実行していくのが困難だというふうに私は思います。私たちは別な立場ではそういう意味での職員団体の指導という一面も持っているわけでありますから、いずれにしても市が正常な財政状況にならなければやむを得ないわけでありますから、そういう意味では、仮に市長が職員団体に協力を求めて話し合いをやって、その職員団体との話し合いの中で、再建計画の変更などということも当然——私は既設の再建指定団体等の再建にもかんだ経験が幾つかありますので、そういうことでは当然この両市の場合だって計画変更ということは起こり得る。起こり得る中では、自治省としても、そういう状態の中で町全体の協力に基づいてやっていくところの、職員団体等の協力を得てやっていくところの変更については応じていかれるのかどうか。いく意思は当然おありだと思うけれども、念のために、時間がありませんから、また通常国会の中でかなり取り上げる期一間もあると思いますので、一言だけそのことについてお尋ねをしておきたいと思います。
-
○石見政府
委員 再建の指定を受けましても、今後の財政状況あるいは財政運営によりまして、所定の再建計画を変更しあるいはまた再建期間を短くしていくあるいは延ばすというふうなこと、すなわち計画の変更ということは私どもあり得ると思っております。今後どういう形でそういう問題が市として持ってこられますか、私どもまた今後竹田市の再建の実施の推移を見守らなければならないと思います。基本的には私ども、申しましたように、再建自身に支障が起こらない限りはそういう計画の変更ということもあり得てしかるべきものであろうというふうに考えます。
-
○
小川(省)
委員 私も群馬で一市一町の再建計画の指定の当時からその後の再建の段階でかんだことがあるわけです。そういう中で計画変更をかなり承認をしてもらった経験を持っているわけです。そういうふうに自治省は従来もやってきているわけでありますから、職員団体等の協議が十分整って話し合いをして、しかも財政を再建をしていくという方向の中で一致をして出てきた変更については、いま石見審
議官が言われたように、それに対応して変更を承認していくという考えでいかれるということを一私はいまの答弁の中で認めましたので、一応質問を終了したいと思います。
-
-
○
山本(弥)
委員 先般の地方交付税及び地方債の特例法案の審議の際にいろいろ同僚
委員から御質問申し上げまして、本年度の
地方財政の見通し等につきましてもお伺いしたわけでありますが、その際に、交付税の配分につきましては、私ども審議に協力いたしまして、地方公共団体の要望に、法案の内容には反対でございましたが、促進を図ってまいったわけでありますが、先ほど片岡
委員のいわれなき非難に対しまして、私ども非常に遺憾に存じておるわけであります。その際に同じような地方財源につきまして重要なウエートを持っております減収補てん債につきましては、来年度でなければ見通しがつかない、配分ができないというような御答弁が行われたわけでありますが、九月期の決算も出てまいったわけでありますので、これは現実に起債の許可といいますか、そういうことになりますのは依然として来年にならなければ行われないものでしょうか。
-
○石見政府
委員 今回のお認めいただきました減収補てんのための地方債の配分ないしは地方債の決定の時期でございますが、
〔
委員長退席、愛野
委員長代理着席〕
いま先生お示しのございましたように、その大宗をなしております法人関係分につきましては、要するに、五十年度中に各地方団体で幾らの税が収入されるかという見通しをつける時期がいつかという問題になるわけでございます。この点につきましては九月の法人の決算を待ちまして、そこで一応今後の年度内いっぱいの分の推計を立てて確定をするという方針をとっておるわけでございます。したがいまして、九月の決算が出てまいりますのは、御案内のとおり、それぞれの税務官署には十一月末でございます。それから各地方団体が集計作業等に入りまして、最終的な確定をいたすことになるわけでございます。
私どもといたしましては、この地方債につきましてはできるだけ早く確定し、配分をしたいという気持ちは重々持っておるわけでございますが、やはりいま申しましたような作業を考えました場合、年内にこれを決定するということは物理的と申しますか、時間的には非常に困難であろうというふうに思っております。と同時に、また私どもが仮に一定の推計方法を立てまして決定をいたしましても、地方団体の方でそれでは自分のところで推計しているものとは非常にかけ離れておるというふうな御議論があり、あるいはまたその内容が非常に御不満だというようなことになりますれば、非常にまたトラブルも起こるわけでございます。私どもは私どもとして一応九月決算を待って推計いたしますと同時に、地方団体でもそれぞれ推計していただきまして、それを突き合わせた上で両者の納得した額でいわば決定していきたいというふうな気持ちでおるわけでございますので、どうしても年が明けて早々にということにならざるを得ないのではないかというふうに存じておる次第でございます。
-
○
山本(弥)
委員 そういたしますと、この前予定いたしました一兆六百三十二億でございますか、この額につきましての見通しはいかがでございましょうか。
-
○石見政府
委員 これは税務局長お見えになっておられますので、税務局長から御答弁いただく方があるいは適当かと存じますけれども、当時私どもが一兆六百三十二億という額を推計いたしましたのは、今回の国税の落ち込み額というものを基礎にいたしまして、それから推計をいたしたものでございます。したがいまして、その後若干の移動はあろうかと存じておりますけれども、大体一兆六百三十二億で減収補てんは賄い得るものであるというふうに現時点では理解をいたしております。
-
○
山本(弥)
委員 もしこの額を超過するような確定的な数字が出た場合には増額するわけでございましょうか。
それからさらに、さっき片岡
委員からも質問があったのでありますが、年末を控えましていろいろ資金繰り、一時借入金というような問題があるわけでありますが、この点につきましては、先ほどの答弁にもありましたように、苦しい
地方財政に支障のないように資金の運用については万全を期するという御答弁がありましたが、これはそう了解していいわけでございましょうか。
-
○石見政府
委員 今回決定をいただきました一兆六百三十二億がもし足らなくなって減収額がはみ出した場合はどうするかという御質問であったかと存ずるのでございますが、私どもはいま先ほどお答え申し上げましたように、現時点ではそういう事態が起こることは万々ないというふうに、いわば安心と申しますか、考えておりますけれども、万一そういうことが起こりました場合には、その時点で改めて私ども国庫当局とは相談をしなければならぬというふうに思っております。
それから年末を控えましての一時借り入れと申しますか、資金繰りの状況でございますが、これは各県ことしいっぱいの収入見込みあるいは支出見込みを現在立てておりまして、各地元銀行と折衝しておられる最中でございます。私ども各県の出納当局からお聞きします限りでは丁大体おおむねの県でまず越せる、銀行に追加の御協力が願えるというふうな状況を聞いております。ただ、二、三の県につきましては、まだこれからもう一勝負銀行とやらなければいけないというふうなことも聞いておりますが、私ども今後各県とも十分連絡もとりながら、どうしても年末資金繰りのために越せないというふうな状況に立ち至りますれば、先ほどお答え申し上げましたように、国庫当局とも十分相談をいたしまして、遺憾のないように
措置をしたいというふうに思っておる次第でございます。
-
○
山本(弥)
委員 先ほど市の中で豊前市だとか、あるいは竹田市の問題につきまして
小川委員から御質問申し上げたわけでありますが、すでに再建団体として
地方自治体としての自主性を失った市が出てまいったわけでありますが、いろいろ人件費の問題は時間の関係で議論をしないといたしましても、地方公共団体は人件費の圧縮に躍起となっておるというのが現状でありますが、それにいたしましても、非常に苦しい五十年度の予算
措置ということに相なろうかと思うのであります。
大体の見通しから言いますと、再建団体がふえるかふえないかは今後の問題だと思いますけれども、府県、市町村に分けまして、ある程度の赤字団体に転落するであろうというような予想はついておるのでございましょうか。
その点と、もう一点は、景気の浮揚ということで本年度は公共事業の上期における推進ということを不況対策の中で打ち出してき、あるいは補正予算でも公共事業の追加が行われたわけでありますが、これらが五十年度におきましてどの程度まで進捗するのか、そのパーセント等もございましたら、お知らせを願いたい。
あるいはいろいろ公共団体等におきましてもし公共事業の推進に全力を挙げるとなれば、恐らく財政の事情から考えてみまして、単独事業の圧縮というようなことにもなろうかと思うのでありますが、単独事業はどのくらい圧縮されておるのかどうか、それらの点、もしわかっておりますれば、あわせて御答弁いただきたいと思います。
-
○石見政府
委員 第一番目は五十年度のいわば決算見込みはどうかという御質問であったかと存ずるのでございますが、五十年度につきましては、もう御案内のとおり地方交付税あるいは地方税の落ち込み分につきましてはそれぞれ所要の
措置をとっていただいたわけでございます。しかしながら、本年度の
地方財政の実態はいま先生御指摘のとおりきわめて厳しいものがあるわけでございまして、今後収支の均衡をとっていくためには各団体にあってそれぞれ歳入の確保あるいは歳出全般にわたっての合理化、見直し等もやはり徹底しての格段の御努力をお願いしなければならぬのではないかというふうに存じておるわけであります。
いま御指摘のございましたように、各団体ではこれから年度末を控えましていろいろな形でのそういう努力をこれから計画的に進めていくことにいたしておるようでございますが、私どもいまの段階で、五十年度につきまして、県、市町村の赤字団体がどの程度になるかということをまだ的確に御報告申し上げる材料を持ち合わしていないというのが現状でございます。私ども、できるだけ各団体の御努力によって赤字団体にならないようにしていただくことをこいねがっておるような状況でございます。
二番目は公共事業の本年度の各県の状況でございますが、十二月の初旬現在で私どもが各県の財政当局から聞き取ったところによりますと、公共事業の予算計上率は全国で九八・六%ということに相なっております。県によりますればもうすでに一〇〇%完全計上しております県もございますが、なお一〇〇%を切っておる県もあるわけでございます。全国総平均しまして九八・六ということでございますが、これは何分にも十二月初旬にまとめました資料でございますので、その後十二月の県議会で、あるいはまたこの公共事業の消化ということを進めております県もございますわけでございますから、この率はまだ若干上がっておるのではないかというふうにも思っておりますが、なお若干のものは積み残しという状況になっておるということは事実でございます。今後この点につきましては、私どもとしましてはできるだけ公共事業の消化ということに御努力をなさることを期待いたしておるわけでございます。と同時に、各団体におきましても、せっかく認証を受けた公共事業でございますので、何としてもやはり消化したいという県当局あるいは県民の皆さん方の非常に強い御意見もあるようでございまして、今後この消化に私ども期待をいたしておるというふうな状況でございます。
なお地方公共団体におきます公共事業の予算の執行状況でございますが、これはちょっと資料が古いわけでございますが、五十年九月末現在、すなわち第二・四半期が終わりました時点で補助事業の契約の進捗率を見ますと、前年同期は四八・六%であったわけでございますが、ことしは五五・九%ということになっておりまして、やはり前年同期に比べましてかなり率は上がってきておるということは事実でございます。その後、まだ正確な資料はとっておりませんが、各県ではかなりピッチを上げてその消化に努めておるということを承知しております。
-
○
山本(弥)
委員 その契約状況につきまして、それは九月末でございますね。事業別の契約状況というのはわかりますか。簡単に資料ができましょうか。
-
○石見政府
委員 補助、単独という形では分けておるわけでございますが、補助事業の内訳あるいはまた単独事業の内訳を各事業ごとにどういう進捗状況になっておるかという資料は実はとっておりません。したがいまして、補助一本でとっておりますので、ちょっと早急にお示しすることは困難かと存じます。
-
○
山本(弥)
委員 ひとつ本年度の予算執行につきましても自治省はあらゆる一いろいろ先般の審議の際におきましても
細谷委員から枠外債の問題だとか、極力
地方自治体が
地方自治体の使命を果たし得るような建設的な意見も述べられておるようでありますが、来年度も厳しい経済情勢でありますので、本年度の地方公共団体の予算経理につきましては、私は積極的に、前向きに地方公共団体の側に立っての指導といいますか、援助というものをしていただきたいと熱望しておきます。
次に、来年度の見通しでございますが、これも先般の
委員会の審議の際には、ある程度まで交付税の減収あるいは地方税の落ち込みというものにつきましては必至であるというような御答弁がなされたわけでありますが、最近の新聞紙上に伝えるところによりますと、今年度より厳しい
地方財政の状況に相なろうか、かように考えておるわけであります。
〔愛野
委員長代理退席、
委員長着席〕
この見通しにつきまして、すでに昨日の地方制度調査会におきましても自治省の方で見通し等につきまして詳しくお話がなされたようでございますので、それらの点につきましてお伺いしたいと思います。
-
○石見政府
委員 明年度の
地方財政の見通しにつきましては、現段階では、明年度の経済見通しがどうなるのかということがまだ十分明らかにされておりません現時点でございますので、したがいまして、明年度の国税、地方税を通じましての税収入の見込みというようなものもまだ明らかではございません。あるいはまた、明年度国税、地方税を通じましてどのような税制改正が行われるのかということもまだ内容が定まっておらないような現時点でございます。一方、歳出面におきましても、公共事業がどの程度前年に比べて増加するのだろうかというような問題等の取り扱いにつきましても、私どもまだ十分承知する時点には参っておりませんので、歳入歳出全般を通じまして非常に流動的な要素が多いわけでございます。したがいまして、的確に明年度の財政収支見通しというものを現時点で申し上げることはきわめて困難な状況でございますが、先般も大臣あるいは財政局長が申しておりましたように、地方税、地方交付税とも、本年度の当初見込みの額を来年は当初からすでにかなり下回るのではないだろうかという見通しも立てておるわけでございます。
一方、いま申しましたように、歳出面におきましては、企業関係経費を中心として、各種の義務的経費あるいはまた公共事業の取り扱い等未確定な状況があるわけでございまして、まだ十分な見通しは立てておりませんが、いずれにいたしましても来年度の
地方財政といたしましては、本年度に増して厳しい状況になるであろうというふうに考えております。当初財政計画策定の段階におきまして、いわばかなりの財源不足が見込まれるというふうな状況になるのではないだろうかというようなふうに考えるわけであります。
私どもいま申しましたようないろいろな要素を大蔵当局とも協議をしながら、計数的には詰めております。いま申しましたように最終的な確定的な数字を申し上げる段階ではございませんけれども、本年に比べて当初からかなり大幅な財源不足というものが見込まれるような状況であろうということでございます。
-
○
山本(弥)
委員 大蔵省の予算査定が二十日過ぎに行われるという話がありますね。きのうの地方制度調査会におきましても、自治省の方で見通しについてお話しになったということが日経のけさの新聞に出ておりますね。苦しい状態であるということしか言えないわけですか。もう少し見通しは話せないのですか、
委員会で。
-
○石見政府
委員 昨日の地方制度調査会で私どもの財政局長が非常に粗っぽい数字で御説明と申しますか、報告いたしたわけでございますが、いま申しましたようないろいろな要素を考えながら、事務的な整理をいたしておるわけでございますが、来年度の当初におきましては、歳入はほぼことしの当初と横ばい程度ではないだろうか。歳出面におきまして、ことしの当初に比べて、いろいろな要素はあるのでございますけれども、約三兆程度のものが伸びるのではないだろうか。そういたしますと、歳入歳出差し引きいたしますと、来年当初で三兆程度という表現を使っておりましたが、その程度のものが足らなくなってしまうのではないだろうかというふうな程度の御報告を申し上げた次第でございます。
-
○
山本(弥)
委員 私どももいろいろ集まりまして検討いたしましたときにも、三兆円を超える財源不足が出るのではないかというふうな数字が出るわけであります。本年度よりさらに厳しい情勢に当面するということが言えるわけですね。しかし、恐らく予定しております歳入におきましては余り伸びない、横ばいだ。歳出におきましては、切り詰めましても、不況対策、公共事業の推進によりまして不況対策をやるというような声がすでに報ぜられておるわけでありますが、そういたしますと、ある程度までそのことが地方公共団体の事業としてはね返ってまいりますので、伸びなければならぬということは想像されるわけでありまして、三兆円ということは、あるいは三兆円を超える財源不足になるということは、本年度より厳しい態勢に相なろうかと思うのでありますが、この点につきましては本年度より以上に多少恒久的なめどもつけながら、
地方自治体の運営のために私は自治省は努力を願わなければならぬと思うのであります。大まかな対策というのは、どういうふうにお考えになりますか。
-
○石見政府
委員 いま申し上げましたように、来年の当初の計画策定に際してすでに三兆円程度のものが不足をするであろうという前提のもとで、これに対してどういう所要の財源
措置をとるかということでございますが、まだこれについてどのような
措置をとるということをここで御答弁申し上げる段階に至っていないと申しますか、御答弁申し上げることは御容赦賜りたいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、これにつきましては所要の財源
措置をとることによりまして、
地方財政計画の策定を通じまして
地方財政の運営に支障のないようにしてまいりたいというふうに存じておるわけでございます。ただ、具体的に一体どうするのかということにつきましては、いま申しましたように御答弁申し上げることは、まだその段階まで至っていないというのが実態でございます。大蔵省の方とも計数的な詰めをしながら、その辺も並行して私ども事務当局ではやっておりますが、いよいよこれから年末にかけてが本番だろうというふうに存じておりまして、これからの取り扱いということで正確な内容を調査中でございます。
-
○
山本(弥)
委員 国の財政におきましても、補正予算の段階、いわば五十年度の予算よりも建設公債を除きまして赤字公債の増発をしなければならぬというようなことも報道されておるわけですが、そのことと、それからもう一つは、これは当たっておるかどうかわかりませんが、新聞で見ますところによりますと、財政審議会の答申等もきわめて厳しい、地方もほとんど起債に依存するということしか方法はないだろうというような厳しい態勢で、これにどう自治省は対処するかということは私は非常にむずかしい折衝になろうかと思いますけれども、それにしても安易な五十年度の
措置と同じような特別交付税の特別会計の借金というようなこと、あるいは今度は
地方自治体といたしましても自治省としても、年度当初の何といいますか、減収補てん債特例というようなことが制度的に可能であるのかどうなのか、あるいはそれらを可能にするような法改正をやるのか、もう少し基本姿勢といいますか、大蔵省にどう折衝する、一般会計から——これ地方団体としては切実な問題でありまして、知事会からの要望も自治省に出ておると思うのであります。当然三税に算定されるべき国債発行額を加えての交付税率の引き上げというようなことも強く要望しておるようであります。あるいはきのうの地方制度調査会等におきましても、財政金融を担当しておる秋田県の小畑知事なども強い要望をされたというふうに新聞に報道されておるわけであります。いずれにいたしましても、何か五十年度のやり方を踏襲するのではなくて、ある自治省の方針をもって当たらなければならぬと思うのでありますが、その辺もお答えできませんか。
-
○石見政府
委員 お示しにございましたように財政審議会での御答申によりましても、国は来年度特例公債を含みますかなり大幅な国債の発行によって財政
措置をとるということがほぼ明らかな現時点において、地方団体についてもかなり地方債による
措置というようなことも触れられておったことも事実のようであります。しかし私どもとしましては、先ほど申しておりますように、今後どうするかはまだここで御報告申し上げる段階ではないわけでございますが、いろいろな方法もあろうかと存じております。しかしやはり地方債も、例年に比べまして若干と申しますか、ある程度の増加はせざるを得ないということも考えてはおります。しかし地方債で三兆円をすべて賄い切り得るようなものではないということも、私ども存じております。いま御指摘ございましたように、六団体からもそれぞれのお立場で御要望もあったわけでございます。あるいはまたきのうの地方制度調査会でも、
委員各位からいろいろな御意見、御発言もあったわけであります。私ども、そういう状況も十分踏まえ考えながら、今後政府部内で最終的な取りまとめをしてまいりたいというふうに存じております。重ねての御質問で、十分のお答えになりませんでまことに恐縮でございますが、現時点で直ちにこれに対してどういう
措置をとるという的確な御答弁を申し上げられないことはまことに申しわけないと思っておりますが、この程度で御了承賜りたいと思います。
-
○
山本(弥)
委員 なかなか自治省の方針も事務的にはお話しにならぬようであります。政務次官、何か成算がございますか。
-
○
左藤政府
委員 これはもう非常に厳しい情勢でございますので、いい案があるかという、あるいは成算があるかというお尋ねでございますけれども、何とかしてこの危機を切り抜けなければならない、あらゆる努力をしなければならない。したがって節約もやらなければなりませんし、税制の改正ということによって歳入を少しでもふやすという努力もいろいろな面でやっていかなければならないということで、いま話を進めておるわけでありますけれども、経済見通しというものの確定もいたしておりませんし、税制の内容もまだ決まってはおりません。そういう意味で的確に申し上げられませんが、いずれにいたしましてもことし以上に厳しい、そしてことしの補正を加えました状況以上に厳しいことは事実でございますので、やむを得ないときには、そういった意味でまた歳入欠陥を埋めますための補てん債ということもやむを得ないと思いますけれども、そこにできるだけそれを縮めてやっていく努力というものをせっかくやっておるわけでございまして、予算の編成の段階でその点について全力を挙げて努力していきたい、このように考えておるところでございます。
-
○
山本(弥)
委員 どうもいまの段階になって大蔵省の予算内示があり、さらにその予算内示以前に自治省としての折衝が行われ、さらに大臣折衝ということで、
地方財政の問題は地方交付税の問題を含めまして、五十一年度予算編成の一つの大きな柱、これはいつでも
地方財政はそうなっておるようでありますが、五十一年度は特に重要な柱、しかも景気浮揚にいたしましても社会福祉の充実にいたしましても生活環境の整備にいたしましても、実際は具体的には地方公共団体がするわけですから、地方公共団体を優先的に物事を判断していくということでなければ、私は不況克服もあるいはわが国の経済の好転あるいは住民福祉の向上も期し得られないんじゃないかというふうに考えるので、あくまでも来年度予算は
地方自治体、
地方財政を中心にやらなければならぬと思うのであります。恐らくお話がございました地方債の増発ということも相当大幅にお考えになっておられましょうし、また手数料、使用料といった公共料金につきましても、取れるものは極力取るというふうな態勢で御指導がなされるものと思うのであります。
また、最近、補助負担金の問題につきましても整理をするというようなことを報道されておるわけであります。これは、私どもも、零細補助金あるいはすでに効用を終わったような補助金の整理につきましては賛成であります。しかし、補助金を整理するということは、
地方自治体に占める補助金のウェートは大きいわけでありますから、補助金の整理と同時に、これにかわるべき一般財源、交付税の増額あるいは地方自主財源である地方税の国税からの振りかえというようなことが伴わなければならぬと思うのでありますが、それにいたしましても、従来、自治省もなかなか強力に他の省に働きかけていない。補助負担金の整理、合理化が行われるとなれば、それらの振りかえ財源の配慮と同時に、超過負担の完全解消といいますか、単価差ばかりでなくて対象差だとかあるいは数量差の解消も含めての調査を五十一年度は徹底的にやりながら、年度途中でも是正していく、あるいはできれば当初予算から是正するというような配慮のもとに行われなければならぬ、かように考えるわけでありますが、それらも十分御配慮願いたいと存じております。
と同時に、この地方税の問題につきましても、抜本的な改正は、恐らく五十二年度あたりから国と地方の事務の配分との関連におきましての税源配分ということが行われるということはすでにお聞きしておるところであります。それにいたしましても、そういう方向を今回の税調等におきましてもある程度まで打ち出さなければいかぬ。わずかな増税にいたしましてもあるいは減税にいたしましても、国と地方との関係のそういう将来の展望に立っての配分を頭に置いて税制改正を行われなければならぬ、こう私は思っておるわけであります。
そこで、補助負担金につきましては、超過負担の解消のために対象差も数量差もあわせて検討することに努力するということは、同じ新聞に出ておりますが、これをおやりになるのかどうか。それから、地方税の改正につきましては、現在税制調査会で検討しておられると思うのでありますが、どういう項目を資料として御提出になり、どういうふうな審議が行われておるのか。その改正を行う、あるいは資料を出しておられる税目等につきましてお聞かせ願いたいということ。それから、もう一つは、今度は何とか切り抜けようというために、
地方自治体も相当いろいろ配慮をしてまいるのではないか。そのことの一つは超過課税の問題であり一いろいろお話を聞いてから質問しなければいかぬと思いますが、それから事務所税の課税主体といいますか、市の範囲の
拡大の問題、それからさらには法人
事業税の外形課税の問題、これをある程度まで独自に行いたいという団体が出てくることは私は当然だろうと思います。そういった地方の自主課税権といいますか、そういった方向について五十一年度、自治省ではどう対処されるかということ。
これら二、三点について関係審
議官なりあるいは税務局長から御答弁をいただきたいと思います。
-
○石見政府
委員 国庫補助負担金につきましては、御案内のとおり、単価差につきましては、これまでの調査によりまして、本年度当初、さらにはこの補正でもって六事業を中心にしてかなり手直しをしていただいたところでございます。なお本年度も引き続き、三つの事業についていま調査を進めておるような状況でございます。その結果を待って必要な
措置を講じていただくように、関係各省あるいは大蔵省に強く申し入れておるところでございます。
と同時に、御指摘のございました対象差あるいは数量差という点につきましても、私ども、これまでの経緯にかんがみまして、これはいわば補助金政策の問題であるといたしましても、やはり社会の実態に合わないものでありますれば、これはしかるべく手直しをしていくというのは、あるいはまた
改善をしていただくというのは当然必要だろうと思っております。私ども、関係各省あるいはまた大蔵省に対しましては、この点、来年度予算編成に際しましての特段の配慮方を数次にわたって文書でお願いし、あるいはまたその後関係各省、大蔵省とも接触をして強力にお願いをしておるところでございます。私ども、一気にというわけにはまいらぬにいたしましても、やはり手直すべきところは手直していただきたいということを強く訴えておるような状況でございます。私ども、これからの予算編成について各省の取り扱いあるいは大蔵の取り扱い等を十分見守りながら、必要に応じまして最後まで強力にお願いしてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
-
○首藤政府
委員 税制の今後のあり方につきましては、ただいま先生御指摘になりましたとおりのような状況でございます。
ただいま現在では、国も地方も挙げまして税収入が歳入として非常に枯渇をしてきておる、これで五十一年度は国も地方も財政需要を賄い切れる体制にないということは事実でございますが、今後このような低位安定成長経済下におきます租税負担のあり方がどうあるべきか、これはもちろん行政需要のあり方とのリンクによって国民のコンセンサスを得べき問題だと思うわけでございますが、そういう基本的な問題をやはり前提に踏まえながら、それを検討しながら、主として五十二年度以降に国、地方を挙げての税制度の見直し等が行われるべきである、このように考えておる次第でございます。
さしあたり、ことしの問題としてはそのような状況ではございますが、現在の状況に照らしまして、一般的な大減税をやるとかあるいは一般的な大増税をやるとか、こういった時期では五十一年度はなかろうと思いますが、現行の税制そのものの中に内在をします不均衡とか不公正とか、そういうものを見直すとともに、各税日ごとにやはり周到な配慮を加えて、可能な限りの、わずかずつでも増収は確保していく、こういうような考え方で明年度の税制改正に取り組んでおる次第でございます。そのため、政府の税調におきましても、やはり基本問題の小
委員会といったようなものが学識経験者を主体にして設けられておりまして、五十二年度以降の税負担のあり方等につきまして、これからかなり息の長い検討が進められる。その際、将来の見通しが決まってくることに応じまして、御指摘の国と地方との税源配分の問題、こういうことにもしっかり取り組んでいかなければなるまい、こう思っておる次第でございます。
なお第二点は、しからば明年度の税制改正に対してどんな資料を出して、どんな税目について議論が出ておるかという御指摘でございますが、地方税といたしましては、まず住民税関係、これの課税最低限等の扱い方をどうやっていくのかといったような問題、それから
事業税につきましては、先ほど御指摘の外形標準導入の問題、これをどのように考えていくのか、それから
固定資産税関係では、主として評価がえ等に伴います今後の負担調整
措置のあり方そのほかございますが、それから事業所税の課税客体の
拡大問題、こういったようなことを資料として差し出していま検討していただいておりますし、さらに増税関係の問題としては自動車関係税でございますが、これは特に地方税においては自動車税及び軽自動車税、これをどう考えるのか、それから道路目的税源としての軽油引取税とか自動車取得税、こういったものをどう考えていくか、こういったことを議論をしていただいております。なお、このほかに、いわゆる租税特別
措置の整理というようなことも検討をいたしておりまして、このことに関連をいたしまして産業用電気の非課税問題こういったことも議論をいまいただいているところでございます。
税調の状況は、まだ総会で非常に総括的なと申しますかの御議論があっておりますだけで、いわば甲論乙駁、あの意見この意見両方あるわけでございまして、まだ取りまとめの段階に立ち至っておりません。したがいまして、結論はいま申し上げる段階ではございませんが、ただいま申し上げましたような税目を審議をしていただいておる最中である、このようなことでございます。
-
○
山本(弥)
委員 詳しく私どもの意見を述べるのはもっと先の段階だろうと思いますけれども、やはり腰だめ的な税制改正ということも当然でありますけれども、将来の展望に立っての考え方をしなければならぬのじゃないかというふうに考えるわけでありますが、その意味におきまして自動車課税につきましても国と地方との配分の問題は将来の配分に関連を持つ問題でありますので、これらも十分自治省としての意見を述べていただきたいと考えておりますし、また私どもかねてからもう二、三年前から
委員長等の本会議の発言等において言っております。いままでのインフレによる土地の増価ということに対する再評価というようなことも主張をしておるわけでありまして、これらも単に国税としてばかりでなく、私は地方との配分を考えながらいかなければならぬというふうに考えておるわけでありますが、いずれにいたしましてももう予算の編成も間近になっておるわけでありますが、将来の大きな問題を控えておるだけに、また
地方自治体としては非常に苦しいわけでありますので、それらの点につきましては十分御配慮願いたい。
先ほどちょっと後で申し上げました地方の自主的な課税の問題については、いままでみたいにいろいろ文句をつけるということではなしに、ある程度自主性に任せるということがしかるべき年ではないか、それが悪ければ将来根本的な是正の際にそういったものをその中に解消させるということであってしかるべきだと思うのですが、これに対する御見解はいかがでしょうか。
-
○首藤政府
委員 答弁を落としまして申しわけございませんでした。地方団体の課税自主権尊重の問題でございますが、全般的な考え方としては御指摘のとおりの事態であろうと思います。したがいまして、地方税法に決められております趣旨ないしは標準税率超過課税やあるいは法定外普通税の創設の趣旨、こういったものの本来の趣旨に合います限り、私どもとしてはそのような徴収の強化も行政サービスとの関連において住民のコンセンサスを得ながら自主的に
措置をされていくということについては、それはもう当然のことであろうというように考えておる次第でございます。
-
○
山本(弥)
委員 最後に、この点につきましては事務的になりますけれども、もう都道府県におきましては非常に困難な中にも来年度の予算編成について考えてまいらなければならぬ時期に来ておる、市町村の場合は大分おくれると思うのです。この当初予算の編成について自治省は細かく指導なすっておられますが、どういうことで指導されるわけですか。たとえば減収補てん債というようなものが年度当初から組めるわけのものじゃないと思うのでありますが、それらのことを一体どういうふうな指導をなさるのか、まだちょっと時期が早いかもしれませんが、ぼつぼつ考えておかなければならぬ問題じゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
-
○石見政府
委員 明年度の各地方団体の予算編成の問題でございますが、予算編成のいわゆる査定の時期と国におきます地方財源対策の決定の時期との兼ね合いの問題があると思うのであります。基本的には私ども、いま伝えられるところによりますと、予算が年内に編成されるということになりますればその中で地方財源対策の大枠というものが確定されるんであろうということを存じております。したがいまして、第一段階といたしましては国の予算編成との関連におきまして確定されます地方財源対策というものをひとつごらんいただきますことと、それから来年恒例によりますと一月末、私どもできるだけ早くと存じておりますが、一月末ごろをめどにいたしましての
地方財政計画と申しますか、財源対策のアウトラインを各団体には具体にお示しをしたいというふうに存じております。この辺の状況を踏まえて各団体では予算編成をやっていただきたいと言うつもりでございます。先生御案内のとおり各団体当初議会は毎年大体二月末でございます。最終的な知事査定あるいは市長査定というものが二月の中旬ごろまで行われておるというのが恒例でございます。そういう状況もこちらも十分承知をしながら、いま申しましたような作業を通じまして、できるだけ早い機会にできるだけ細かく具体の問題をお示しいたしたいということで努力をするつもりでおるわけでございます。
-
○
山本(弥)
委員 この際、ちょっと参考までにお聞きしたいと思うのでありますが、五十年度末には
地方自治体の一般会計、特別会計合わせてどのくらいの地方債の残高がふくれ上がるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
この際、この問題打ち切りたいと思いますが、いろいろお聞きしたいこともありますけれども、明年度の予算折衝は
地方自治体にとりましてきわめて重要な問題であり、ことに公共事業を中心とする景気浮揚ということになりますと、また地方公共団体は公共事業の消化の方に重点を置かざるを得ない、従来やっと福祉あるいは生活環境に重点を置いてきた地方公共団体が後退せざるを得ないという状況、本来の使命から後退するような、国の景気浮揚というような不況対策というようなことに従属させられるような感じがしてまいるわけでありますが、どうかその意味におきまして、できるだけこの際地方との関係は、両方とも財政主導型とはいいながら、財源の乏しいときにどう対応するかということは、これはむずかしい問題でありますけれども、どうも将来のあり方が
地方自治体が中心になるという今後の国、地方を通じての行政のあり方から言いましても、大蔵省の折衝におきましては大臣を初め政務次官、極力
地方自治体の側に立っての御努力を願いたいということを申し上げまして、この問題を打ち切りたいと思っております。
-
○石見政府
委員 五十年度中の地方債は、当初地方債計画に基づきます地方債が大体二兆八千億程度でございます。これは普通会計あるいは企業会計全部含めての数字でございます。二兆八千億程度でございますが、今回減収補てんのための地方債あるいは追加公共事業の裏負担のための地方債等が約一兆三千億でございますので、この二つを足し込みますと大体四兆を少し超える程度の地方債になろうかと存じております。
-
○
山本(弥)
委員 本年度でなくて、従来の起債残高……。
-
○石見政府
委員 どうも失礼いたしました。
お答えをいたします。
私いま手元に特っております資料によりますと、四十九年末の一般会計分の既発地方債の現債高は約六兆でございます。これは四十九年末でございますので、その後五十年度に発行いたします地方債をこれに足し込みまして元利償還分を差し引くということに相なろうかと思います。まだ個々の細かい数字を手元に持ち合わせておりませんので御了承賜りたいのですが、いま申しましたように四十九年末では約六兆でございます。それに加えまして、五十年度に発行されます地方債が枠内で大体四兆でございます。そこから元利償還いたしますものを差っ引くわけでありますので、最終的な数字はちょっと持っておりませんがそういう状況になっておるわけでございます。なお今回の約四兆余りの地方債の中で、御案内のように政府資金が約二兆余り入っております。残りは一般縁故ということになろうかと思っております。今後国、地方を通ずる財政がきわめて厳しい状況になることは明らかなんでございます。私どもといたしましては、少なくとも今後の五十一年度以降の
地方財政の運営に支障のないように五十一年度の
地方財政対策を立てるに当たりましては、いまお示しのございましたような基本的な考え方に立ちましてこれからの調整をいたしてまいりたいと存じておる次第でございます。
-
○
山本(弥)
委員 財政計画の残高というか、一般会計あるいは特別会計合わせますと五十年度末は十八兆円くらいに起債残高はなるのじゃないか、私はこう思っておるのですが、それはいいと思います。ひとつ大蔵省の折衝につきまして、大臣がおりませんので政務次官から決意を聞かせてください。
-
○
左藤政府
委員 いま申しましたとおり、五十一年度は五十年度以上に非常に厳しい情勢にあるということもございます。いままで以上に
地方自治体のためその運営を厳しい中でも円滑にやっていくことができるような配慮を自治省としては全力を挙げて大蔵省と折衝してやっていきたい、このように考えております。
-
○
山本(弥)
委員 この機会に公有地
拡大推進法に基づく土地開発公社のことについてお伺いしたいと思うのであります。
土地開発公社は御承知のとおり地価が高騰いたしまして公共用地を確保することが至難なときに先行的にこれを確保するという使命を持っておったわけでありますが、もう一つは民間資金を吸収するということが大きなねらいだったと思うのであります。したがいまして金利の高い問題でも、地価が一般物価水準より高騰いたしておりますので金利負担を入れましてもある程度までその使命が大きかったわけでありますが、最近地価が鎮静してきている、それから縁故債その他いわゆる低利の資金以外にも金融機関に
地方自治体それ自体が依存しなければならぬという状況に相なっておるわけでありまして、地方公共団体と一体になっているだけに土地開発公社のあり方というものは重視しなければならぬ、かように考えております。四十九年度は四十八年度のいわゆる石油インフレで地方公共団体は大蔵省の銀行局の通達でいろいろ悩まされ、当該地方公共団体が最小限度必要なものまでなかなか金が借りられないという事態に追い込まれたわけでありますが、それなりにいままで使命を果たしてきておる。今後のことにつきましてもお聞きしたいと思いますが、そういった状況でその後の経済情勢によって影響を受けておることは、いい意味においても悪い意味においても当然あるわけでありますが、現在この土地開発公社は一体どのくらいの借金を背負っておるわけですか。
-
○久世説明員 御指摘のとおり土地開発公社は非常に苦しい状況になっておるわけでございます。現在金融機関からの貸し付け残高は、全公社の分はまだ調査していないわけでございますが、都道府県の土地開発公社と指定都市の土地開発公社の合計といたしまして四十九年度末で七千八百億円の残高を抱えておるわけでございます。
-
○
山本(弥)
委員 その他を合わせると、推定はできませんでしょうか。
-
○久世説明員 推定はちょっとできないわけでございます。
-
○
山本(弥)
委員 大部分が都道府県と指定都市でございましょうか。
-
○久世説明員 市町村の中でも人口急増地域等の土地開発公社はかなりの残高を抱えておりますので、市町村の土地開発公社にもかなりの残高があると思われるわけでございます。
-
○
山本(弥)
委員 総需要抑制等によりまして、土地は買いましたが当該団体が再買収ができない。結局公共施設を建てるにも資金繰りがつかない。したがって土地も買うのを見合わせておるというのもあるわけであります。これは学校にしろ保育所にしろ当該市町村、県がどうせ二、三年のうちにやらなければならぬものであるので、極力持ちこたえれば当該団体が買い取るときの関係もうまくいくと思うのであります。もっとも滋賀県の土地開発公社のように汚職の対象になりましてああいうことになりますと、県も悪い、土地開発公社の運営をしております役員も悪いということでこれは全く論外でありますけれども、まず正常な姿の運営がなされておる限りはいいと思うのであります。ただ当該府県、市町村以外の、たとえば国の直轄事業あるいはその他の問題で四十七年以前の民間団体その他の形態の法人から肩がわりしたという関係があって前からのものもあるかと思うのであります。それらはどういうふうになっておりましょうか。たとえば当然国が買わなければならないというようなものはどのくらいあるわけでありましょうか。
-
○久世説明員 私どもの土地開発公社の中で都道府県の土地開発公社が国の直轄事業の代行をいたして買いましたものの中でまだ再取得が進んでおりませんのが約一千四百億ばかりあるわけでございます。
-
○
山本(弥)
委員 新聞報道によりますと七千億あると出ておりましたのは間違いですか。
-
○久世説明員 ただいまお答えいたしましたのは国の直轄事業でございますので、国の補助事業それから土地開発公社の分でなくて地方公共団体の保有しておるものを含めますと、建設省の御調査によりますと約七千百億あるということになっておるわけでございます。
-
○
山本(弥)
委員 建設省所管の土地の再購入ができなくなっておるという問題につきましては早く買い取っていただかなければ公社の運営あるいは金利負担等の問題が出てくるわけでありますが、これは建設省と話し合っておられましょうか。
-
○久世説明員 ただいま先生御指摘のように土地開発公社の運営が非常に圧迫をされておりますのは特に国の直轄事業あるいは補助事業も含めてでございますけれども、その再取得がかなりおくれておる点であるわけでございますので、私どもは関係各省に対して絶えず再取得の促進を要請しておるわけでございます。ごく最近におきましても十一月二十二日に事務次官から建設、運輸の事務次官あてに促進方の文書を出したわけでございまして、この文書によりますと、地方公共団体なり土地開発公社等が先行取得した用地が非常に膨大な保有量に達しておりまして、それが土地開発公社あるいは地方公共団体の財政状況を極度に悪化させている原因でございますので、公共用地の再取得を促進されるよう特段の配慮を願いたい、このような文書を出したところでございます。
-
○
山本(弥)
委員 建設省、この土地の再購入につきましてはどうされるおつもりですか。
-
○
梶原(拓)説明員 ただいま七千数百億という数字が出ましたが、新聞等で出ております数字は、多分私どもが調べました昭和四十九年度末、つまりことしの五十年三月末におきまして私どもの所管の公共事業の先行取得の用地の量が、直轄、補助事業合わせまして七千百四十三億でございまして、面積にいたしまして五千八百ヘクタール、この内訳は、直轄事業につきましては二千五百九十億円、面積で二千六百ヘクタール、それから補助事業につきましては四千五百五十三億、面積で三千二百ヘクタールという数字でございます。
この二、三年のいわゆる総需要抑制下におきまして、公共事業費が圧縮されたということのひずみといいますか、そういうことも重なりまして、こういった保有量が非常に増高するという事態を招いたわけでございます。したがいまして、本来、この先行取得制度によりますと、先行取得した年の翌年度以降三カ年以内に再取得するというのが原則になっております。今後そういう方向に沿いまして極力再取得期間の短縮を図ってまいりたいというふうに考えております。まだ事務的な作業の段階でございますけれども、ほぼ大ざっぱな目安といたしましては、五十三年度末あたりの時点で八割方の問題解消を図りたいというめどで進んでおります。
当面は、保有期間の長いもの、あるいは周辺の地価の動向によりまして、いわゆる逆ざや現象が発生するおそれのあるもの、そういった急ぐものから優先的に予算をつけて再取得していきたいという考えております。
-
○
山本(弥)
委員 その場合に、金利等につきましても当然配慮されるわけですね。
-
○
梶原(拓)説明員 この先行取得制度につきましては、先行取得していただいた土地を再取得する場合における再取得価格といいますのは、その時点の時価の範囲内で所要の経費をプラスした取得原価というもので事業主体が引き取るというたてまえになっております。
-
○
山本(弥)
委員 逆ざやということはあり得るわけじゃないですか。
-
○
梶原(拓)説明員 先ほど先生のお話にもございましたように、四十八年、九年にかけまして地価が非常に高騰した、この時点で取得しました土地を、たまたま再取得計画がおくれておりますので、具体的にこういった案件でいわゆる逆ざやが出たという事例はまだございませんけれども、今後地価がこういうような安定傾向で推移するといたしますと、四十八、九年のいわゆる地価高騰時に取得しました土地を再取得する段階になりますと、資金コストの関係にもよりますけれども、いわゆる逆ざや現象が一般化するというおそれが多分にあるわけでございます。
そこで、そういった可能性がどの程度あるかということにつきましては、現在具体的に調査をいたしておりますけれども、同時に並行いたしまして、たてまえはたてまえでございますが、非常に異常な事態でございますので、制度の運用におきまして大蔵省等とも協議いたしておりますけれども、先行取得していただいた府県等に不当な迷惑がかからないような
措置について検討していく、こういう次第でございます。
-
○
山本(弥)
委員 いまの問題は逆ざやにならないように、それから五十三年度と言わずに、そういう不安がありますれば、できるだけ早く確保するようなことをしていただかないと、地方公共団体は、苦しい中でこういうのが幾つもあるのですね。これは一例ですけれども、そういうことで、国はある程度まで無関心ですけれども、そういうのが積もり積もりますと、地方団体を圧迫しているわけなんです。
もう一つ、これはあるのかどうか。通産省にもお見え願っていると思うのでありますが、日本列島改造論の後遺症といいますか、ことにおくれております東北におきましては、地域関発のための工場団地の造成あるいは工場誘致のために税制上の優遇
措置を講ずるばかりでなく、土地を購入いたしましてそして団地を造成いたしまして、それがそのときの財源によりまして買っておればいいのですが、借金して買うということになりますと金利負担がある。工場は不況になりますと来ない。何工場か誘致する団地が一工場か二工場しか来ない。場合によっては、そのために融資したのを工場が来なくなったために、町は無目的でそれを買収せざるを得ないという事態も起こっておるのです。
これは私通産省から詳しい資料をいただきたいのですけれども、何か調査資料があるようなことを聞いておりますが、全国でそういった、まあ知事が勝手にやったということであればともかく、いわゆる工場誘致あるいは工業化ということ、高度経済成長ということに関連いたしまして工場団地を先行取得し造成をしてそして処分をしないで残っておる比率なんかは、こういう苦しい財政の中で後どうするのかという問題に当面していると思うのであります。今後経済が低成長になりますが、いわゆる工場適正配置等いろいろ計画をなすってはそういうことを刺激されますけれども、現実に合わなくてそういう苦しい思いを地方公共団体はしている。岩手県のごときも膨大な工業団地、数字がありますけれども時間の関係で申し上げませんけれども、購入いたしましたが、工場が一つも来ない。それは土地開発公社ではございませんが、土地開発株式会社で、大企業も株主になってつくったのですけれども、そういうところに工場が来るのかと思われるような大造成をやったけれども、案の定ここ一年工場が何も来てない。これは地方公共団体の目に見えない負担になっているわけですね。これらも自治省は十分御配慮願わなければいかぬと思うのでありますが、私は、そういう資料があればいただきたいと思うのであります。何か調査があるはずです。今後新全総計画が第三次の改定もありましょうし、経済社会計画の策定も五十一年度からおやりになるようであります。そういう中で工場適正配置をどうされるか。地方公共団体の犠牲、これをどう緩和されていくのか。これがばかにならない負担になっておると思うのであります。この辺の概況を、資料があれば資料をいただければいいのですが、大体お話を聞かしていただきたい。
政務次官もこの点について十分——私はある程度まで、これらの問題が
地方自治体の財政に重くのしかかっておるということで、久世
課長のところでずっと真剣にじみな調査をおやりになっているという話を聞いて、あなたのところでやっていなければ、ほかの方でやっておるかどうか知りませんが、それを調べてもらって、
地方自治体とのかかわり合い、それらを中間報告でもあれば聞かしてもらいたいということを要求したのですが、何もないということですね。この問題はもう少し真剣に、
地方自治体も、こういう経済の変動期には検討願わなければいかぬと思うのですね。後でちょっと言いたいと思いました花巻空港の問題も、これは土地開発公社で先行取得しているのですね。これが大きく知事の意欲ということに結びついておる。もし飛行場の拡張計画が許可にならなければ一体どうするのかと。
これは後で運輸省にお聞きしますが、そういったふうに土地開発公社が本当に生活関連に結びついたものに活用されないで、滋賀県の問題は極端でありますが、岩手県の場合もそういった、飛行場というのはある程度まで土地を先行取得しなければ許可にならないという許可条件があるものですから、しゃにむに買う、問題があってもなくてもしゃにむに買う。そうすると残りは、成田空港みたいに、何人か、三分の一の人の地権者から承諾を得られないという問題で、四年越し紛糾しているという問題になっているわけです。これは後でお聞きしたいと思っているのです。これはやはり土地開発公社で先行取得しているのですね。
-
○久世説明員 ただいま御指摘の花巻空港でございますが、土地開発公社におきましてただいままでのところ六十九ヘクタールを購入いたしました。
-
○
山本(弥)
委員 花巻のことはいいのです。あなたの、土地開発公社は今後どうあるべきか、ちょっと情勢が変わっておりますが、ということと、そういった問題が、地域開発のために土地開発公社を利用いたしまして土地を買っておる。しかしそれは低経済成長になりますと、そのまま金利負担、全部かかってくるのですね。全額出資ですから、土地開発公社は県の負担にかわらにゃいかぬのですね。そういった土地開発公社の今後の運営のあり方といままで出てきておる、当然翌年学校を建てるために買った土地というものは早晩見通しが立っておりますからいいわけですけれども、そういったものが土地開発公社を利用されて行われておるという実態をお調べになって、それに対する対策と、今後土地開発公社のあり方をどうしていくかということを承りたいと思います。
通産省の方から、先に質問したこともお答え願いたいと思います。
-
○滝沢説明員 通産省からお答えいたします。
まず通産省で毎年各県を通じまして、アンケート調査によりまして工場団地の実態調査というのをいたしておりまして、これは用地の取得が済んだものまでを一応全部、戦後から全部集計をしたものを集めております。一応各県どの程度網羅しているかわかりませんけれども、それに基づくデータが私どもにございますが、現在一番新しいデータ、まとまっておりますのは四十九年の九月三十日現在のデータがございますので、必要に応じて後ほど先生のところにお届けしたいと思います。
それから、工業団地のそういった安定成長期におきます今後のあり方といったものにつきましては、通産省といたしましては立地問題の今後の大きな柱というふうに考えておりまして、御案内のとおり、工業再配置法というのがございまして、それに基づきます工業再配置計画というのを現在審議会等で審議を開始してございますが、それに基づきまして地域ブロックごとに、今後どの程度工業がどんなぺースで張りついていくかというのを決めるような予定にしておりますけれども、それに見合ったような形で、地域ブロックごとに工業団地を逐次張りつけていくというふうなことを考えておりまして、これも工場立地及び工業用水審議会の下に専門部会をつくるとともに、関係の都道府県と、そういった各県ごとの開発計画といったものをすり合わせまして、長期需給計画といったものをつくってまいりたいというふうに考えております。
-
○久世説明員 ただいま御指摘の点でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、土地開発公社をめぐります経済情勢あるいは金融情勢、そういう問題は非常に厳しい情勢下にあろうかと思われるわけでございますが、土地開発公社は、公共用地を計画的に取得するというところにその本来的な使命があるわけでございます。したがいまして、学校なりあるいは公共用地なりあるいは住民に直結する必要な用地は計画的に取得をしなければならないわけでございまして、土地開発公社の使命はますます重いものがあるのではなかろうかと思います。
そこで、私どもといたしましては、このような経済情勢というものを踏まえまして、土地開発公社等による土地取得につきましては、最近の経済情勢なりあるいは地価の動向なり、そういうようなものにつきまして、土地取得の必要性というものを十分検討いたしまして、また、国なり地方団体による再取得の見込みというものを十分立てて、そして地方団体と土地開発公社がよく相談をいたしまして、計画的に行うように指導しているわけでございます。しかしながら、今後とも経済動向等に配慮しながら土地の計画的な確保を図るという点で強力な指導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
-
○
山本(弥)
委員 それでは、通産省の方はいまの適正化計画を立てるという、いま作業中ですね。その点は十分実情に即した、いままでの工場団地がむだにならないように、活用できるような態勢を早くとっていただきたいということ、それから資料はぜひお願いいたしたいと思います。
そこで私、地元の問題で恐縮でありますが、いま花巻空港の拡張計画が問題になっておりますので、運輸省においでを願ったのでありますが、まあ地方公共団体は非常に財政的に窮乏しておるわけでありますが、この問題につきましては、話はもう四年前にさかのぼるわけであります。昨年の二月でございましたか、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部改正案の際に、
地方自治体も関係がありますので連合審査をいたしました際に、私この法律の内容につきましていろいろ御質問を申し上げました機会に、当時の徳永運輸大臣に申し上げたわけであります。そのときに、花巻空港の拡張計画は問題がある、それに新幹線が、当時におきましては五十一年ぐらいにはもう盛岡まで開通するという話、こういった交通運輸の、航空、陸上、海上というような総合的な見地から判断して、第二次空港整備計画の中に、花巻空港のいわゆる第二次計画の大型化、ジェット化というような方針に基づいて、花巻空港もジェット化をすることで、滑走路を二千メートルに
拡大する、その他の施設を整備するというような計画が入っておるわけですが、ほとんど地元の地権者の了解を得られないという、全面的な了解を得られないというために、いまだに——まあ一部買収にはなりましたけれども、先はど申し上げました土地開発公社を利用して買収するという、本来の土地開発公社の使命から、貧乏な県でありながら逸脱したようなことで無理をしているわけです。それからもう一つ、そういった総合交通体系を判断して考えなければならぬじゃないか。ことに、三種空港は三種空港としての使命があるのではないかということと、それからもう一つは、技術開発ということが今後行われるのではないか。そのために、ジェット化するにしても、滑走路の拡張をしないで飛行機が飛べるというような、YS11でなくて、ジェット機を飛ばせるようなことも、十年もたてば考えられるのではないか。ただ単に需要がある——需要も誤りであったということは、衆議院の運輸
委員会でもあるいは参議院の運輸
委員会でも、すでに鈴木力参議院議員あるいは衆議院では太田一夫先生等が質問をしていただいているわけですが、そういったことを考えますと、第三次整備計画の際に十分見直してもいいのじゃないかという意味の質問を私したのですが、大臣から、もっともだ、いままでは需要があるからというので、一種も二種も三種も、地元の希望があればどんどん拡張計画をして多額の金を投じるということをやってきたんだが、十分その点はそういった意味で配慮をいたします、技術の開発につきましても三次計画の際には肝に銘じて承っておきますという非常に前向きの答弁を徳永大臣はされたのです。ところが、その後どんどん許可という方針のもとに進められているわけですね。そしていまだに紛糾をしておる。公聴会というのは許可を前提の公聴会だと思いますが、公聴会も機動隊を要請しなければならぬ情勢で開かれた。それに加えまして、こういった
地方自治体の危機に当面しておる。私は徳永運輸大臣の考えていることは正しいと思うのです。ことに地元の要望があるからといって、航空ネットワークそれ自体あるいは他の新幹線というものとの関係等配慮せずに整備計画を立てなければならぬということが非常に納得がいかないのですね。地元の知事が熱心なものにけちをつけるという意味ではなくて、そういった多額の金、百六十八億もかかる。補助金は第三種ですから何分の一になりますか、四分の一か三分の一、三分の一は恐らく出ないと思う。財政窮乏しているところで、しかも二年間にほとんど百何億を投じなければならぬ。それも起債に依存しなければならぬ。こういったことを知事が要望することはわかります、一県に飛行場がなければいかぬ。しかし国の立場に立ちますと、一種空港の整備も完全にいっていませんね。成田空港はまだ開港していない。大阪空港は問題になっている。同じ運輸
委員会で兵庫の坂井知事でしたか、この騒音の中では、ことに新幹線で結ばれておる大阪や東京の間は、その上はYS11でもいいじゃないか。地域住民の迷惑になるようなジェット機をどんどん飛ばすということは避けるべきである。新空港が完成するまではそういう配慮も必要じゃないかという英断的な発言を公述人としてされているわけですね。私は知事としては英断だと思います。大阪空港の占める地位は高いわけでありますが、しかし現実に住民のことを考えると、そういう騒音対策からそういう発言をなさっておられます。しかも、今回の控訴審におきましては、住民が勝訴をしたというような事例が出ております。騒音対策の問題は今後の問題でございますけれども、花巻空港も国の立場で総合交通体系の立場で私は判断すべきではないか。知事が要望すから認めるんだ、財政が苦しくても運輸省が認めたら自治省は起債をどんどん認めるんだということでは私はこういった問題はおかしい。新幹線がおくれておるんなら、新幹線の方にむしろ国の資金を投じまして、これを促進するというようなことが必要になってきていはしないか。いまの財政の現況から言えば、知事がこれが優先的に重点であるからといって、ああそうかというような問題でなくて、こういった問題は、地域の問題にして、知事が県会においていろいろ政治的に意見が対立するような場面を醸成しながら今日まで繰り返し同じものが問題にされておるわけです。私はむしろ国の立場から、そういった総合的な立場から考える、第三次空港計画の際には何としてもそういった見地からむだのない、そして交通体系を整備してやるべきではないか。運輸省はここが必要なんではないか。知事がやりたいから認めるんだということでは、いかにも今後の貴重な財源を地域住民のために投ずるのは私はちょっと腑に落ちない点があるんです。私は、この点を飛
行場部長さんでございましたか、飛
行場部長さんの立場ではなくして運輸省のそういった総合交通体系の立場からお話を承りたい。飛
行場部長の立場から言うと、飛行場の整備をすることが眼目ですから、政務次官かあるいはそういうことを担当しておる部局の方がどう判断されるか、国鉄の再建もやらなければならぬというようなときに、そういった配慮がなぜ運輸行政の中に取り入れられないのか、ちょっとそういう意味で大きな疑問を持っているわけです。しかもこの問題は成田空港の、まあ問題は小さいですけれども、あれの小物といいますか、そんなものになって、却下になっても事業はなかなか進捗しないというようなことになりかねないと思われるのです。そういう判断はできないものかどうか、運輸大臣としての御意見を承りたいと思うのです。ぼくは単に航空局の部長さんでなくて、それをお願いしたのですが……。
-
○
梶原(清)説明員 飛
行場部長でございますわけでございますが、私ども総合交通体系の見地から特に問題になります新幹線と航空機というものの輸送分担を適切にやらなければいけないわけでございまして、新幹線と航空機との間におきましては輸送力と高速性というそれぞれ特性があるわけでございます。それぞれの交通機関におきます特性を十分に生かし、お互いに補完し合う関係にあるわけでございますけれども、そういう点を十分考えまして適切な総合交通体系を整備してまいりたい、かように考えておるわけでございます。先生御指摘のように、本年度までは第二次空港整備五カ年計画でまいりましたわけでございますが、五十一年度を初年度とする第三次空港整備計画を目下立案、制定すべく作業しているわけでございます。御指摘の花巻空港につきましては、昨年の九月に空港拡張の申請が参りまして、本年九月にその計画を変えて、数年の間に二千メートルの滑走路を有する飛行場にしてジェット機を飛ばしたい、こういうことでございます。事業量といたしましては百六十八億を予定しているわけであります。私どもとしましてはこれを公聴会も開催いたしまして目下審査しておる最中でございますが、私ども全国の航空ネットワークの形成という見地から、この空港の拡張、整備というものは必要であるものと考えておるわけでございます。また、先生御指摘のYSの後継機でございますが、日本の国情に合致して、しかも経済的な運航のできるようなYS後継機というのは今日のところなかなか開発できないような実情にございますので、この点が非常に問題になるわけでございます。
いずれにしましても先生御指摘のように、空港整備というのは非常に大きな問題を抱えておるわけでございます。今後全体的に十分検討いたしまして、適切な第三次空港整備計画を
確立するように努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
-
○
山本(弥)
委員 新幹線も必要だし、飛行機も必要だということは、恐らくそれはそうでしょう。補完と言いましても、五十年度に十八万の乗降客があるというのに、今日利用客が四万あるかなしかですね。それは航空便が一日一便かあるいは週に何日か、どのぐらいになるかわかりませんが、時間的に言いましても飛行機に乗る方が時間がかかるんじゃないかと思うんですね。何分短縮されるか、ジエットとYSと。YSの技術的な問題もありましょう。しかし六十年以降までYSを使わなければならぬ現状じゃないでしょうか。離島の航空路というのは海上とともに必要でしょうしね。それと、それまでにある程度技術の開発もなさるべきではないか。現に飛べるという航空会社もあるようですが、うわさですから、私は真相を確かめておりません。そういうときに、いまの情勢ですと東北新幹線、上越新幹線ができて、福岡までの新幹線が完通しておりますけれども、その新幹線網も縮小しなければならぬというときに、三種空港で整備しているところがあるかもしれません。秋田の空港あたりは場所を変えてジェット機が飛べるようにしているかもしれません。秋田と岩手と考えますと、秋田の空港整備は、新幹線がいつ通るかわからぬ、盛岡に出て、そして新幹線を利用するというときに、どっちが有利かということ。それから大量輸送の関係では、秋田県民の相当な人は、田沢湖線の整備によりまして盛岡に出て東京へ行くということは可能なわけなんです。東京とか、第一種と違いまして、盛岡を拠点に、まあ花巻空港を拠点に、東京からどこにもネットワークを結ぶという考え方が、むしろ将来多少ゆとりができれば、あるいは海岸との間にはプロペラで飛行機が飛ぶんだ、あるいは秋田にも行くんだというようなネットワークなら想像できるんですよね。ところが、大型機で、花巻空港が拠点になりまして東京へ行く、札幌も行く、秋田も行く。これは距離的関係で恐らくむだになることは当然なわけです。五百キロ以上でなければ意味をなさぬと私は思うのですね。そういったネットワークを考える際にも、十分そういった限りある——国鉄の再建だけでも重要な問題です。そして、国鉄の新幹線を今後整備していくにしても、当面そういった東北新幹線、上越新幹線というものにしぼられているわけですね。その後の計画も立てなければいかぬのじゃないかと思われますけれども、そういったときに、地元の財政窮乏した今日、地元の団体がそういった多額の起債を背負い込んで整備しなければならぬかどうか。第三種空港の位置づけですね、それがこの第三次五ヵ年計画の中にどういう使命を果たすかということは、私はやはり総合交通体系の中から出さなければ、空港はどれもこれも整備された方がいいということではいけないのではないか、こう思いますね。どうもあなたでは答弁がむずかしいだろうと思うのですが、まあ一応答弁をお聞きしたいと思います。
それから、財
政課長は参議院の運輸
委員会で、起債の申請が出ればそれなりに、知事が優先的に必要だということであれば十分考慮せざるを得ないというような意味の答弁をなさっておられますが、私は、もとより起債につきましては余り自治省が地方公共団体に干渉されてもらいたくない、あくまで優先的に知事が起債の決定を持つべきだというふうに考えます。考えますが、具体的な例になると答弁はしにくいと思いますけれども、こういった窮乏したときに、百四十六億も、あるいは七億は一般会計から出すわけですが、二年ぐらいの間に起債をしてまで、完成するまでに新幹線が通るというそういったときに財源を投ずるということは、知事の判断によるにしても、これはどうも適切でないような感じが私はするわけであります。答弁がむずかしいと思いますので、もし御答弁願えるなら財
政課長から答弁していただいても結構ですが、そういうなまやさしい問題ではない。そのことから考えますと、どうもやはりこれは国がはっきりした基本的な体系を持たなければいかぬと思いますね。昔は何でもかんでも飛行機、飛行機ということで、四十六年ぐらいですか、岩手の花巻空港が開通したときは。しかも地元には、今後絶対に拡張はいたしませんということで納得させているんですね。そして、穀倉地帯でもある。花巻市内を含めまして、恐らく騒音公害が起こり得る場所になる可能性のある岩手県の内部のいわゆる中核都市ですね、花巻は。そういった問題、いろいろな問題を想像いたしましても、大局的から、航空局というばかりでなく運輸省で判断を願わなければならぬ、かように私は思いますが、もしお答えできれば、お二方から御答弁願いたいと思います。
-
○
梶原(清)説明員 一応私どもといたしましては、距離が五百キロ離れておりますと航空機の特性が発揮できるボーダーラインではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。地勢等の関係で一概には申し上げられませんが、一応五百キロぐらいを一つのめどとしてよかろうかと思うわけでございます。
今日、先生御指摘のように、YSが一日一便、週に二便という程度でございまして、お客さんがいま落ち込んでおるわけでございますが、ロードファクターは非常にいいわけでございます。将来お客さんがふえるもの、こういうふうに考え、仮に新幹線が開通いたしました段階におきましても、相当量のお客さんが見込めるわけでございます。私どもとしましては、空港の整備が必要であるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。騒音問題その他、十分承知をいたしておるわけでございます。県を十分指導いたしまして、問題のないようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
-
○石原説明員 参議院におきまして、花巻空港の用地取得のための起債に関連して、鈴木先生からのお尋ねに私お答えしたわけですが、地方公共団体の投資事業についての私どもの地方債の審査に当たっての基本的な考え方等に関連して、私は、個々の事業の緊急度、必要度というようなものについては、最終的には当該団体の意向を尊重せざるを得ないというふうに申し上げた次第であります。
もちろん、空港のように膨大な投資を必要とする事業につきましては、その必要性、緊急性について、当然国の立場、運輸省の方から全国的な一つの交通ネットワークといいましょうか、そういう面からの位置づけというものが必要であろうと思います。そういうような面からしても必要であるという判断が下され、かつ当該団体が将来の財政負担をも勘案して、その地域社会としてどうしてもこの事業が必要であるというように判断される場合においては、私どもはその県の判断を尊重せざるを得ないという考え方を現在も持っている次第でございます。
-
○
山本(弥)
委員 最後に両
課長からお伺いいたしましたが、責任をお互いに、抽象的な御答弁なんですけれどもね。重ねて私は、今日の
地方財政の当面している現状、それから空港整備にいたしましても、恐らく、第三次空港整備計画の際に十分基本方針というものを全国的な見地から立てられまして、その方針に沿うかどうかをおやりになると思うのです。五百キロはボーダーラインだとか、将来の需要がふえるだろうとか、そういうことは、岩手の県民の実態から言いましても、あれば便利がいいけれども、そう需要が伸びるとも思えないし、でき得れば、現状をもって地方の負担がないように将来のそういった技術開発にまってそういう飛行機を飛ばすということで、
地方自治体の財政負担を著しくそのもののために優先させるようなことのないように、岩手県の現状は財
政課長もよく知っていると僕は思うのです。そういう際に、航空局におきましても、航空行政のあるべき姿を三次計画をお立てになるとき十分検討されることが必要ですよ。もし二つの飛行機が必要である場合は、もっと切実なところに投資すべきであるという問題が当然出てくるわけなんですね。新幹線ですら選別してやっているという今日、それと競合して需要がふえるというのは、いつの時代になるか。当面そう急激に需要がふえるとも思えない。むしろすでにある広島や岡山は、恐らく需要が減っているのじゃないかと私は思いますけれども、そういうときに、この重大な問題を乏しい
地方財政の負担において強行させるということには、私は大局的見地に立って、国の立場から疑問を持っているわけであります。三次空港計画の策定の際に十分検討を願いたい。二次の延長だということを離れて、当然、来年度お立てになる際に、その問題を十分配慮して、そういった大局的見地から計画を立てていただきたいということを大臣に強く要望をしておいていただきたい、私はかように考えております。どうもありがとうございました。
-
-
○
三谷委員 地方税法の附則によりますと、五十年度末までに三大都市圏以外の市街化区域農地についての
宅地並み課税について検討して課税の適正化を図るとされておりますが、これに対する自治省の基本的な方針をお聞きしたい。
-
○首藤政府
委員 御指摘のとおり、地方税法では五十一年度の評価がえの時期ということになりましょうか、五十年度末までに市街化区域農地の課税のあり方についてその適正化を図るようにという規定がございます。私どもといたしましては、市街化区域農地の課税の現状にかんがみまして、これはいろいろ問題があるわけでございますが、たとえば先生御案内のように、現在首都圏、中部圏、近畿圏の百八十二市のA、B農地だけについて
措置が進行いたしておりますが、その他の地域についてどう考えるのか、それからC農地についてどう考えるのか、あるいはまた現行のA、B農地についての課税制度のあり方そのものについてもいろいろ問題がございますが、そういうことについてどう考えるのか、こういうことを挙げまして、ただいま税制調査会に御審議をお願い申し上げておるところでございます。
-
○
三谷委員 税調につきまして、私どもは行政責任を持つものだとは考えていないのです。しばしば税調がどうだとか、地方制度調査会がどうだとか、こんなことをおっしゃっている。税調や地方制度調査会は政府の部内の機関であって、そこでどういう決定がされようと、われわれは税調や地方制度調査会に対して直接その行政上の責任を追及するという性質のものじゃありませんから、税調がどうとかこうとかいう答弁は私には通用しない。自治省はどういう方針かということをお尋ねしているのです。
-
○首藤政府
委員 ただいま申し上げましたように、税調にも諮りまして意見を承っておりますし、またこのことについては国土庁、建設省等からも意見が出てまいっております。そういうものを踏まえながら、もろもろの意見を承っておるところでございまして、自治省としては現在はまだ方針を決定いたしておりません。
-
○
三谷委員 国土庁は九月二十三日に課税の適正化に伴う税制の整備という見解を示しておりますが、具体的にはどうするのか、お尋ねしたい。
-
○
松本説明員 お答えいたします。
国土庁からは、土地政策官庁といたしまして、自治省に対しまして改正の方針につきまして要望をお出し申し上げているところでございます。その内容は、現在課税の対象になっておりません市街化区域農地のうちの三大都市圏の市の中のA、B農地以外の農地についてでございますが、現在適正化の対象になっております三大都市圏の市のA、B農地につきましては、三大都市圏内の住宅地需要が非常に大きいということ等を考え合わせまして、供給促進を図る必要があるという見地から、現在の適正化の
措置を継続すべきであると考えておる次第でございます。
次に、現在適正化の対象になっていない市街化区域農地でございますが、まず三大都市圏の市以外の地域の市街化区域農地につきましては、昭和四十八年度に適正化の
措置が具体化いたしました当時の経緯等を考慮いたしまして、当面これを適用
拡大すべきではないというふうに判断いたしております。
なお、三大都市圏の市の中のC農地につきましては、諸般の情勢を配慮いたしまして慎重に検討したわけでございますが、当面その後の情勢変化によりまして、三大都市圏の市の中のA、B農地並みになったC農地につきましては、適正化の
措置を適用すべきである。
以上が具体的な内容でございます。
-
○
三谷委員 農林省、建設省、それぞれに方針をお尋ねしたい。
-
○
田中(宏)説明員 農林省でございますが、お答えいたします。
市街化区域の農地につきましては、市街化区域の農地の性格上、たとえば農地行政上は転用許可について許可除外にしておるとか、そういうような農地行政上の特殊性も若干あるわけでございまして、一般農地と課税上全く同列に扱うということについては問題があろうかとは思いますけれども、しかし現に農業経営を行っている、しかも野菜等について、地域によってはある程度の地位というものも相対的に持っておる、さらに、現に農業をやっているということからの担税力という問題もある、そういうことで、市街化区域の農地の扱いにつきましては、課税上慎重な検討が必要である、そういう基本的態度でいるわけでございます。
-
○川合説明員 建設省といたしましては、宅地の供給の推進の立場から、先ほど国土庁が答弁されましたと同じ内容の税制改正要望を自治省に提出いたしております。
-
○
三谷委員 先ほど政務次官が、
宅地並み課税の検討の中で、今後における
拡大は好ましくないから、そのような方向で検討しておるとおっしゃいましたが、これは先ほどの税務局長の、自治省としては白紙であるという答弁とは食い違っておりますが、ここはどういう経緯があるのでしょうか。
-
○
左藤政府
委員 私の申し上げましたのは、私自身そういったことを希望して、省としてもそういった方向でやってほしいという要望をしております。自治省としていまそういった線で、方向としてというよりも、むしろそういう意味で、結果的にはまだどういうふうなことになるかということについて見通しがついていないので白紙だ、こういうふうな答弁をされたのだと思います。
-
○
三谷委員 そうしますと、先ほどの次官のお答えは個人的なものであるが、個人的にはどのようにお考えになっておったのか、もう一度お尋ねしたい。
-
○
左藤政府
委員 私自身の個人的な考え方としては、こうしたいろいろな問題点もあるので、これ以上に、たとえばC農地のところについて
宅地並み課税というふうなことについては好ましくない、いろいろな問題点がある。しかし、抜本的な改正というふうなものを期待しても一遍にできないならば、当面一つの案としては、たとえば凍結するとかいろいろなことが考えられると思います。しかし、そういうことで余りこの問題について、抜本的な改正を期待するまでにそういうものが進むことは好ましくないというような意味で、私はなるたけそういった方向のことを希望しておるということを申し上げたいと思います。
-
○
三谷委員 自治省が白紙であるということですけれども、どの審議会に問題を提起するにしても、自治省自身の基本的な考えを示さずに、何の考えもないけれども適当な結論を出せというふうな問題の付託の仕方があるでしょうか。いずれにしましても、自治省としてはこのような見解なんだ、それについてどうだろうという方式が常識的には考えられますけれども、いま自治省としては何も方針がないが適当に決めてもらいたいという、そのような諮問がなされておるわけですか。
-
○首藤政府
委員 税制改正の諮問でございますが、内容によりましていろいろなものがございます。
ただいま御指摘をいただきましたその市街化区域農地の扱いにつきましては、ただいまお聞き取りいただきましたように、国土庁、建設省等の意見もございますし、また、それに反したいろいろな意見もあることは承知をいたしております。省の方針としても、そういった意見をいろいろ承りながら、かつまた税制審議会でも十分御議論をいただいた上で方針を決定をさしていただくと申しますか、そういうことでこういうたくさんの問題があるが、これらについてどうお考えいただくのか、こういうかっこうで諮問をしておる税目でございます。
-
○
三谷委員 国土庁の考え方、建設省の考え方、農林省の考え方がそれぞれ示されて、自治省の考え方があるはずです。それを合わして審議会に諮問をするというたてまえのものだと私は思いますけれども、自治省が全く何らの基本的な見解がないというのは、全くこれは面妖と言わざるを得ませんが、そういう態度ですか。次官、どうでしょう。
-
○
左藤政府
委員 自治省の立場といたしましては、いまの各省庁の意見その他のいろいろな御意見を伺って、それからひとつ自治省としての判断を持っていきたいという考え方でおります。
-
○
三谷委員 そこは少しお答えの中に粉飾がありそうです。次官は好ましくないというお考えをお述べになっておる。個別に聞いてみますと、それぞれに見解が示されております。しかし、何らの成案もなしに諮問をしているんだということでは少し合点がいきません。自治省として検討してきたことがあるいは自治省としてこれに対応していきたいという考え方というものが基本にあるはずだと思うのです。それが全くないというのは一体どういうことなんですか。
-
○首藤政府
委員 各省の御意見なり、それからいろいろなその他の意見がありますこと、実態上の問題等はよく承知をいたしておるのでございますが、自治省そのものとして最終的な判断、それをまだつけるに至っていないというのが実情でございまして、それはそのままそのとおりそのように申し上げるよりほかに仕方がないと思います。
-
○
三谷委員 判断をつけるに至っていないというのはどういう事情によるものですか、どういう根拠によるものですか。何といいましても、地方自治法ですから主管官庁が自治省でありますが、ここが何らの判断を持ち得ないということは、どういう状況からそういうことになってくるのでしょうか。
-
○首藤政府
委員 ただいま地方税法の改正につきましては、その案をつくるためにいろいろ検討し、審査をしてもらっておる段階でございます。最終の段階になって、法案をつくりますときにはもちろん決断をいたしまして、案をつくりまして御審査をいただくことになろうと思いますが、今日ただいまの段階では、あれやこれやたくさん問題がございますから、それを取り上げて検討中の段階でございまして、かくかく決めましたという御報告を申し上げる段階に立ち至っていないということを素直に申し上げているわけでございます。
-
○
三谷委員 いろいろな問題があるとおっしゃっておりますが、その問題というのは、自治省としては一応の検討を加えておる性質のものでしょう。新しく生起した問題じゃないでしょう。各省の意見もある。農民の意見もあり、
地方自治体の意見もある。そういういろいろな総合的な条件を勘案をして、そして自治省は自治省なりの方針が当然考えられるわけです。ただ、それを最終決定する前に税調に諮問をするという手続は従来からなされておるのであって、いま自治省が何も考えておりません、そういうばかげた答弁で事が済むものと違いますよ。
-
○首藤政府
委員 ただいま自治省といたしましては、御指摘のようにいろいろな事柄がございます。それはまあいろいろ検討いたしておりますが、最終的な結論に達していないということは事実でございまして、いろいろな意見をただいま承りながら検討しておる最中でございます。まだ地方税法改正はこれからの問題でございまして、もちろん通常国会に出すべく、タイムリミットはあるわけでございますけれども、その検討段階でございますので、ただいま申し上げる段階には立ち至っていない、まあ正直に申し上げておるだけでございます。
-
○
三谷委員 たとえば、一般農地の税の引き上げなどについては、引き上げをするというたてまえで諮問されているのでしょう。
宅地並み課税につきましては、これは何もないが諮問にかけるという態度がそもそも私どもは理解がいかぬのです。このように自治省としては考えておるというその基礎があるべきものだ。それはもちろん最終決定じゃないでしょう。税調にかけなければ最終決定は出ませんが、自治省の今日段階における考え方があるはずなんです。それをお尋ねしている。
-
○首藤政府
委員 いろいろな考え方があろうと思いますが、各方面それぞれ食い違った意見もいろいろあるわけでございますので、最終的に自治省としてどう決めるか、これはもちろん大臣、政務次官にお伺いをいたしまして、最終的に省として決める段階が来ると思いますけれども、ただいま現在の段階ではそこまでに立ち至っていない、こういうことでございます。
-
○
三谷委員 そうしますと、自治省としては、いま建設や農林やあるいは国土庁からも一定の見解が示されております。そして法律によりますと、これは五十一年度分から必要な
措置を講ずるとなっておる。こういう状況の中で自治省は、全国的な
宅地並み課税をやるとも、あるいは三大都市圏だけにおいてB農地を
拡大するとも、C農地の扱いをどうするとも、全くこれは五里霧中である、そういうことなんですか。
-
○首藤政府
委員 何度も申し上げておりますように、最終的な意見がまとまっていない段階だということを申し上げておるわけでございます。しかし、個別の内容におきましては、たとえばいま国土庁、建設省の御意見でも、百八十二市以外の市街地に
拡大することはすべきではないという意見が出ております。この点につきましては、百八十二市以外の市に
拡大をすべきであるという意見はごく少のうございます。そういったことから、おのずと内容それぞれについては、われわれとしては検討しておるわけでございますけれども、まとめまして全体としてどういう結論にセットをするのか、これは決まっておりませんので、決まっておらぬと申し上げておるわけでございます。
-
○
三谷委員 それは合点のいく答弁じゃありませんが、それはおいておきましょう。
そこで、いま百八十二市だけに租税対象を限定するという意見、あるいは百八十二市だけでB農地を
拡大するという意見、こういうものがそれぞれ各省から出されておりますが、どの省でも構いませんが、そういう考え方に対して私はお尋ねしたいのは、なぜ百八十二市だけがそういう課税対象になるのか、法のもとにおける平等や税の公正という問題はどうなるのか、その点から考えまして、この百八十二市を課税対象とすることは妥当なものではない、これについて見解をお尋ねしたい。
-
○
松本説明員 国土庁の意見といたしましてそういう判断をいたしました理由は、四十八年にこの適正化の制度が制度化されました際にも、土地問題は一番解決の緊急に必要な地域は三大都市圏である、その三大都市圏の地域の中で、いわゆる百八十二市について宅地の供給方策を緊急にとるべきであるという判断がなされたわけでございますが、そういった事情は当時と現在と比べまして基本的な変わりはないのではないかということでそういう判断をいたした次第でございます。
-
○
三谷委員 これは後でお尋ねしますけれども、この
宅地並み課税の実態というものが憲法二十二条、二十五条、二十八条に触れるきわめて重大な問題を含んでいる。ですから、そういう基本的な憲法条項というものを行政上の便利で考えて、どうするこうするという態度自体が大きな間違いであるということを私は考えておりますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
それから、現在
宅地並み課税が実施されております百八十二市のうち、百十八市が差額の還元処置がとられておる。先ほど
固定資産税課長から説明があったのですが、その割合は三割とか四割とかいう説明がありましたが、いずれにしましても、このような処置が広範に実施されております社会的な根拠はどこにあるのか、これはどのような見解かお尋ねしたい。
-
○
松本説明員 先生御承知のように、現在大都市周辺におきます都市勤労者の住宅地需要というものは非常に大きいわけでございます。片や食糧増産という意味からの農地、あるいは環境保全という意味からの林地の保全という問題がまた重要であることは、私どもよく承知しているところでございます。そういう各般の問題を十分考えました上でも、先ほど申し上げましたように、勤労者のための住宅地確保という問題も非常に大きな問題であります。
で、これを放置いたしますれば非常に無秩序な市街地の拡散が行われるという趣旨から、できるだけ秩序立った市街地の形成あるいは宅地の供給が必要だということで、市街化区域あるいは調整区域の制度が設けられておると私どもは承知しておるわけでございます。そういった原則の中で、今後の住宅事情に応じまして宅地供給を促進しなければならない。その一つの方策といたしまして、課税の均衡という面もございますけれども、都市政策の面からは、そういった配慮を十分に考慮いたしましてこの制度ができたというふうに私どもは考えておるわけでございまして、そういった必要性が、この制度ができましたときから基本的には変わってないのではないかという判断をしてこういった結論に達した次第でございます。
-
○首藤政府
委員 百八十二市のうち非常に多くの市が、これによって徴収しております税金を、農業関係の補助金等々の名目をもちまして、その一部ないしは全部のところもございますが、補助をしておるというのは御指摘のとおりでございます。
この問題は、やはり去年あたりから制度としてでき上がったのでございますが、都市の中においてもやはり緑地保全といった見地、あるいは営農地として保全をしておくということが望ましい土地等もあり得る、こういった考え方から、そのような土地が営農を継続します場合においては、将来とも営農地、緑地として保全をする、こういったことが望ましいという見地から補助金を交付をする、こういう立場を市町村がとっておるのであろう、私どもそう考えておる次第でございまして、そういう意味では、いわば生産緑地制度の前取りとでも申しますか、そういったかっこうで支出された単独補助金である、このように考えて、あえてわれわれはそれに対してどうこうということを言っていないのでございます。
-
○
三谷委員 どうこう言いなさいとは言ってないのだ。そういう処置が広範にとられるについては、それなりの社会的な根拠がある。その根拠というのは、いまおっしゃいますように大都市周辺における環境保全の問題もあるし、あるいは災害対策の問題もある。しかし、さらに根本的には、この税そのものの持つ不合理性、違法性といいますか、こういうものにも関連を持っている。
そこで、お尋ねしますが、いま国土庁の方でおっしゃいましたのは、この制度ができました当時と状況が変わってないとおっしゃっていますが、制度そのものに問題があった。問題があったから、これが紛糾をして、そうして自民党の修正案という形でこれが出されてきた。政府案じゃない。修正案として出されてきた。いろんな紛糾や問題の中で修正案がつくられ、その修正案自体がきわめて論理性の乏しい、ますます違法性の強いものになってきた。ですから、制度そのものに問題がある。ですから都市計画法によりますと、八十五条でありますが、ここでは市街化区域内の土地につきましての税制その他の適切な処置を講ずるものとする、こういう規定がなされておる。ところが地方税法によりますと、附則によりまして、この都市計画法の定めるところとは全く別個の処置がとられてきておる。基礎になりますのは都市計画法が基礎になったわけでありますが、この基礎になります法律で規定したことが地方税法では曲げられてしまっておる。こういう矛盾も出てきている。もともと農地は農地であって、宅地じゃないわけです。だから、宅地でないものに
宅地並みな税を賦課しようとするところに、そもそも問題があるわけでしょう。これももちろん問題になったことであります。ですから、市街化区域に指定されました地域は七百六十二市町になっておりますが、そのうち百八十二市の農民だけが重課を受けるとすれば、なぜその農民だけがそういう負担を負わなくちゃならぬのか。同じように農業経営に参加しておって、同じように大都市周辺に住まいをしておって、なぜ百八十二市の農民だけが不当な重課を受けなくちゃならぬのか。このことについては、どのようにお考えでしょうか。これは新都市計画法の規定にも反しておる。
-
○
松本説明員 都市計画法の問題につきましては建設省の方から御答弁があると思いますけれども、百八十二市の中の農民の方だけに重い税金がかかることになるというのは、御指摘のとおり結果としてそういうことになっているわけでございます。
繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、やはり限られた土地の利用というものを適正にいろいろな行政需要とバランスをとって考えていくという必要から、総合的な都市計画というものができているということ、だろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたような住宅地の供給という必要もまた非常に強いわけでございます。その住宅地の供給の実現といたしましては、やはり
宅地並み課税で宅地の供給の促進を図るというだけではもちろん妥当ではないということは、私ども十分よく承知しております。そのためには、いろいろな公共投資でございますとか、あるいは農民の方が実際に住宅地化し得るような支えになるいろいろな
措置がとられなければいけないと思います。そういった
措置も徐々にとられていることと存じますが、そういったものとあわせて、やはり一つの都市政策からの要請として、この税法の中で特にそういう必要性の高いところについてそういう税制
措置がとられていくということで、必ずしも不合理なものではないというふうに私どもは考えるわけでございます。
-
○
三谷委員 それだけですか。住宅が必要であるということと農民が土地を耕して農業に従事する権利を持っておるということと、これはどう関連するわけですか。住宅が必要であるということになれば、そういう農民の生存権あるいは職業の選択権、こういうものに対して公権力をもってそれを随意気ままに抑制をするということができるわけですか。
-
○
松本説明員 そういうことを申しているつもりはないわけでございます。先生よく御承知のように、このA、B農地の、市街化区域農地の適正化の
措置につきましても、四十八年の制定当時非常に議論のあったことは私ども承知いたしております。したがいまして、私どもといたしましても、およそ線引きをした市街化区域の中の、たとえばC農地につきましてこれを全部一挙に
宅地並み課税にしてしまうということはとうてい妥当ではないというように考えているわけでございます。現在とられておりますのは、たしか三大都市圏の市街化区域では一四、五%というふうに承知をいたしておりますが、やはりそのもろもろの公共投資がやられまして貴重な資源の投資がなされまして、地価も非常に高いというような地域にあります一部の農地につきましては、そこを市街地として利用することが全体的な利用の面から望ましいということで、そういった要請を実現する一つの手法としてそういった
措置がとられているということだろうと思うわけでございます。
以上でございます。
-
○
三谷委員 都市計画法によりますと、線引きをしました市街化区域の農地に対しては、税制上の処置、その他の処置をとるということになっておりますが、この都市計画法における規定を無視して、百八十二市だけがなぜ地方税法におきましてそのような対象にならなくてはならぬのか。いま都市計画法によります市街化区域というのは、いまあなたがおっしゃいましたように、住宅が欲しいから線引きをしたわけでしょう。その線引きをしながら、なぜ百八十二市の農民だけがそういう重課の対象にならなくてはならぬのか。その法的根拠はどこにあるのか。
それからもう一つお尋ねしますが、
固定資産税は収益税としての性格を持つものですが、農地の
宅地並み課税というのは、収益税としての性格を全面的に否定するものになっておるのではないか。たとえば
固定資産税というのは、固定資産を売買することによって実現する収益に課税するものではない。固定資産を使用することによって生み出される収益に対して、ここに着目して課税するものになっている。これが
固定資産税。したがって、固定資産の適切な時価というのは、固定資産を売却する値段ではない。それが使用されて、そこから収益される価値のことなんです。農地の適正な時価というのは、農地をあくまで農地として使用収益する場合の価値であって、宅地転用を仮定した価値ではないことは言うまでもない。ところが、実際の処置を見ておりますと、農地としての収益税ではなしに、宅地転用を仮定した価値というものが税の基本とされておりますが、これは一体
固定資産税の性格から見てどのようにお考えになっているのかお尋ねしたい。
-
○
松本説明員 前段の御質問についてお答え申し上げますが、先ほど申し上げましたのは、先ほど申し上げましたような理由から四十八年当時立法が行われたと私ども判断しておりまして、現在すでに制度になっておるわけでございます。私どもといたしましては、その枠内で物を考えるべきではないかということを申し上げたわけでございます。
-
○川俣説明員
固定資産税の性格につきまして御質問あったわけでございますが、御案内のとおり、地方税法では
固定資産税はその課税標準を価格に求めることにいたしております。この価格は適正な時価とされておりまして、土地につきましては主として売買実例価額を基礎にして課税価格を求めるということになっておるわけでございます。
固定資産税そのものの性格につきましては、ただいまお話のございましたように、収益税的な性格を持っておるもの、あるいは財産税的な性格を持つものといろいろ議論があるわけでございますが、いずれにいたしましても年税でございますから、お話のございましたように、やはりその収益力を無視して課税をするということはできない性質のものだろうと思います。したがいまして、現在課税適正化
措置を実施しております百八十二市の
固定資産税につきましては、
固定資産税の本来の性格にプラスいたしまして、いわゆる土地税制として、政策税制として、宅地化促進を税制で行うという性格を無視しては理解のできないものであろうというふうに思っております。
-
○
三谷委員 後の方はよくわかりませんが、農地の
宅地並み課税というのは、市街化区域の農地に対して課する
固定資産税の課税標準となるべき価格については、類似宅地の
固定資産税の課税標準とされる価格に比準をする価格によって定められる、こうなっておるのですね。これでいきますと、農地は
宅地並みではなく宅地そのものとして扱っておるわけです。全く虚妄の上に立って課税標準を構築している。こういうことは収益税の性格からして行うべきものではないし、そういうことをやられたのでは、収益に見合わぬわけですから、とてもじゃありませんが農地の維持はできない。保全はできない。これが一番大きな問題となっておるところです。ですから、そういう点からいきますと、あなた方のおとりになっておるような処置そのものに非常に問題がある。
固定資産税でそういう処置をとるところに問題があるわけです。
たとえば税理論的に言いますと、租税とは私有財産の果実のうちから公権力によって徴収される価値の部分である、こうなっておるわけです。ですから、私有財産の果実というのは、元物から算出される収益性であって、いわば収益、所得に対する権力的な参加を意味しておるわけです。これはいまさら議論をする必要はない。
固定資産税も同様であって、ただ
固定資産税が所得課税そのものでないのは、所得課税が具体的な収益自体を課税対象とするわけですけれども、それと異なって
固定資産税というのは、固定資産が本来収益を生ずべき性格を持っておりますから、資産の収益性に着目して課税される、こういうことになっておる。ですから、昔の
固定資産税といいますと、たとえば地租だとか家屋税の時代がありましたけれども、この時代におきましては賃貸借価格というものが基準となっておった。要するに発生する収益というものが対象になっておった。したがって、
固定資産税というものは資産の切り売りによって負担させるものじゃない。しかし、いまの
宅地並み課税はどうですか。いまの課税というものは切り売りせずに保全ができますか。できるとおっしゃるならば、その実態を説明してほしい。
-
○川俣説明員 一般論といたしましては先生のおっしゃるとおりだろうと思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、市街化区域内の特定市街化区域農地について課税適正化
措置をしておりますのは、やはり当該地域における宅地供給の緊急性というものと関連をいたしまして、政策税制としてこれを行っているということであろうと思うわけでございます。御指摘のように、現在の税負担が収益に見合わないということはお話のとおりでございます。したがいまして、ただ税の課税適正化
措置だけでこの宅地供給の促進を図るということは問題があるわけでございまして、そういう意味から、四十八年度には、この課税適正化
措置とあわせて、いわゆる宅地化促進法が制定されまして、農地の貸し家住宅等の用地への転用を容易にする
施策もとられております。また本年の十月からは大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別
措置法が制定されまして住宅開発整備事業等が行われることになっておる、そういう一連の政策との関連でこの税制は理解をすべきものであるというふうに思うわけでございます。
-
○
三谷委員 宅地供給の緊急性に基づいて政策的、奨励的なものとして処置したとおっしゃいますが、奨励的なものというものは強制が伴ってはだめなんですよ。しかし、これは強制が伴っているわけでしょう。用い得ないわけだ、農業経営はできない、農地の保全ができない。要するに奨励という性質のものじゃない、強制になってしまっているんだ。ここに大きな問題が存在している。
そこで、これと関連をして、住宅あるいは借家等の奨励法などをつくっているとおっしゃいますけれども、百姓をしたいと思う人はどうするのですか。おれは農業をやっていきたいんだ、父祖伝来の農地を守っていきたいんだ、そういう農民の基本的な権利はどうなるわけですか。
-
○川俣説明員 御案内のとおり、もともと市街化区域は都市計画法にも書いてございますように、おおよそ十年以内に計画的、優先的に市街化をすべきところとされておるわけでございます。その線引きに際しましては、住民参加の手続等もありまして、そういう手続を経て線引きがなされたものであろうと考えておるわけでございます。
そこで、ただいまお話しのように、そこにおいて将来も継続的に農業をやりたいと言われる方につきましては、一つの方法といたしましては、先ほどから話に出ております生産緑地制度を活用することによりまして課税適正化
措置から除外をいたすという方法もございますし、たまたま都市計画の方におきますところの線引きの見直しも五年目で行われておるわけでございますから、ただいまお話しのような意思のおありになる農地につきましては、市街化調整区域の方に逆線引きをされるというような方法もあろうかと思います。そうやって残りました農地というのは、やはりこれは市街化を進めていくべきものではなかろうかと思っておるわけでございます。
-
○
三谷委員 あなたのお答えを聞いておりますと、便法と基本とを混同されているんだ。いろんな便法がある。生産緑地法なんておっしゃっておりますが、こんなものはあなた、面積に制限があってどんなところでも適用するという性質のものじゃないんだ。しかし、そういう便法と、基本的に農民の生存権や財産権を否認することとは別の問題だ。私どもは、どういう便法がある、どういう逃れ道がある、そういうところで問題にしているんじゃない。もしもこの
宅地並み課税なんてものが全面的にやられますならば、いま御承知のように自治体におきましていろんな負担軽減
措置をとっているけれども、そういうものが全面的に撤廃されましてさらに
拡大されますならば、まさに農民にとりましては、憲法に言いますところの生存権や財産権の否認に該当するわけだ。そういう法律をつくって、制度ができたものだからやむを得ないとか、制度があったのだからこれを続けるのだという考え方がおかしいのであって、そもそも無理があった。これは無理の上に生まれてきたものだ。だからそういう不合理なものは廃止をする、制度の改廃ということはいつでもできるわけだから。できた制度だからそれをさらに
拡大をするという性質のものではない。そういう点からしますと、憲法上の生存権や財産権に対しては一体どのようなお考えなのか。
それから、農業というのは御承知のようにこれは最も伝統的な職業であって、ほとんどの場合世襲制になっておる。にわかに職業転換をするということができるものではない。そこで農業の経営というのは自宅付近に一定面積以上の農地を必要として、これがなくては農業の継続はできない、こういうふうになっておるわけであります。そうしますと、いま
固定資産税課長が言ったように、
宅地並み課税では、これは農業ではやっていけないのだということをおっしゃっておりますが、したがって、市街化区域で農業経営ができなくなったからといって調整区域に農地を求めることは至難なわざであって不可能なことである。そうしますと、
宅地並み課税というのは、市街化区域の農民に対して負担能力を超える重税を課して農業経営を不可能にするものでありますから、農民が農業という職業を選択する自由まで剥奪してしまう。こうなってきますと、これは職業選択の自由に反する内容を構成している。こういう点についてはどうお考えなんですか。
-
○川俣説明員 先ほども申し上げましたように、市街化区域の中においても農業の継続をなさるという意思のある農家の方の農地につきましては、これが良好な生活環境の確保に効用があり、やはり多目的保留地としてこれを都市計画上も緑地として保存すべきものについては生産緑地制度があるわけでございますから、ぜひこれを活用していただきたいと思うわけでございます。仮に現行の生産緑地制度に現実の問題としてなかなか農家の方が乗っていけないような隘路があるとするならば、それは現在の要件についていろいろ建設的に検討をいたすということが必要なのじゃなかろうかと思っておるわけでございます。
-
○
三谷委員 それでは生産緑地制度について説明してほしい。
-
○台説明員 生産緑地の制度について御説明申し上げます。
生産緑地法は昨年の八月三十一日から施行されているわけでございますが、都市計画の観点からは、市街化区域内にある農地につきまして、その環境保全の効用と、それから将来公共公益施設用地として利用するという二つの観点から都市計画的に評価いたしまして都市計画に生産緑地地区を定めることができることにいたしました。
これには第一種と第二種とございまして、土地区画整
理事業でありますとかその他の開発行為が行われた土地につきましては第二種、その他につきましては第一種というふうに区分けしてございます。第二種の方は、面積要件といたしましてはおおむね〇・二ヘクタール、第一種の方がおおむね一ヘクタールとなっております。それで第一種の都市計画の生産緑地地区につきましては期間の制限はございませんが、第二種の都市計画は十年で失効することにいたしておりまして、さらに一度だけ十年間の延長ができることとなっております。したがって農業を継続する意思があります場合にはこの制度に乗り得るわけでございますが、継続中に農業を継続できないような、たとえば主たる従事者が死亡されたとゆうような場合には買い取りの制度がございまして、市町村に買い取り請求ができることになっております。なお、第一種につきましては十年経過後、第二種につきましては五年経過後におきましては、同様に買い取りができるようになっております。
-
○
三谷委員 その生産緑地制度が施行されましてから、これを申請して適用を受けておるものはいま幾つありますか。
-
○台説明員 現在のところ千葉県の松戸市、愛知県の豊明市、それから京都市、計百六カ所で約三十四ヘクタール指定されておりますが、いままでに入りました情報によりますと、現在、指定の準備中のところが東京都、埼玉県、愛知県、大阪府にわたりまして計五百十七カ所、約三百五十ヘクタールが遅くとも今年度中には指定予定というふうに聞いております。
-
○
三谷委員 なぜ農民がこの適用を積極的に受けないのかという点についてはどうお考えですか。その法の持っておる欠陥についてはどうお考えですか。
-
○台説明員 施行されましたのが昨年の八月三十一日でございまして、まだ一年ちょっとしか経過しておりませんので、所有者それからその他の権利者の全員同意がなければ指定できないことになっておりますので、手続的にも非常に時間がかかることが一つの要因かと思います。それと、先ほどからお話がございました還付金の制度がございまして、実質的に、税額で申しますと二割七分ぐらいが還付されるという経過的な
措置、これに乗りかえるための心構えの準備等について時間がかかっているというふうに理解しております。
-
○
三谷委員 その制度につきましてはいろんな欠陥があります。まず面積の制限もありますし、非常に繁雑な手続が必要であるというふうな欠点もあります。そのほか幾つかの欠点があるようですけれども、しかしいずれにしましても、もしもこういう農民の基本権を奪うような法律をつくっておって、そしてそこに逃げ道があるんだからいいんだというふうな考え方でいらっしゃいますと、これは本末転倒ですよ。もしもそういう生産緑地制度というものを本当に適用して農民の生存権あるいは財産権あるいは職業選択の自由を守るという立場に立つならば、生産緑地法をもう少し整備をする必要がある、
改善をする必要がある。それをしないならば、少なくとも農民の職業選択の自由あるいは財産権や生存権にかかわるような法律をつくることは憲法に違反するものである。そういうものをつくるべきじゃない。しかもつくる根拠というのは宅地用地が欲しいという、要するに行政上の便法にすぎない。それによって人間の基本的な権利を奪うというふうなことは許さるべきものじゃない。やるとすれば、もう少しそういう基本的な権利が保障される立場に立ってやってもらわぬと困る。だからこれは多くの問題か指摘されてきましたし、いまだに全国の農民の皆さんの反対が後を絶たない状態になっておる。こういう状態の中で一体これをどうされるかということを自治省がいまだにお考えになっていないというのは、どういうことなんでしょう。
-
○首藤政府
委員 先ほども申し上げましたように、こういう制度についていろいろ問題があるということは私どもとしても意識は持っておるわけでございます。したがって、この制度そのものを明年度の税制改正に当たってどう扱っていくのかということについて、目下いろいろ御意見も聞きながら検討中である、こういうことでございまして、まだ結論が出る段階にまで立ち至っていない、そういうことでございます。
-
○
三谷委員 問題はわかっておりますが、その問題の重要性についてはおわかりでしょうか。
-
○首藤政府
委員 もちろん問題でございますから、問題の重要性ということはよくわかっておるわけでございますが、都市政策上のいわゆる政策税制として立法されましたそのこともございますし、そういう政策上の面からいろいろな方面、特に各省等からも異なった意見がいろいろ出ておるわけでございます。もちろん問題は重要でございますからこそ、なお慎重に検討させていただいておるわけでございますが、まだ結論が出ていない、こういうことでございます。
-
○
三谷委員 盛んに政策政策とおっしゃっておりますが、政策というものは憲法で保障されました基本的な権利を尊重する観点から立案されるべきものであって、政策のためにはそれを侵害しても構わないというような考え方があるとしますと、これはまるで観念が逆立ちしているのです。いま言いましたように、この課税がやられますと農業経営はできない。農業経営ができなければ農地の保全もできないわけです。そうすれば当然財産権にもかかわってくれば職業にもかかわってくる、ついには生存権にも影響してくるわけでしょう。そういう重大な、人間の基本権を損なうような法律を政策上の必要からやりますというふうな考え方が、そもそもこれは大きな間違いなんだ。そういう間違いの上に立った税法でありますから、これは当然改正をすべきである。しかも税そのものがそういう不合理なものである上に、百八十二市だけはさらにB農地を
拡大する、こう言っているのだ。なぜ百八十二市だけが、こういう不合理な税制をさらに極端に集約をして集中的に受けなくちゃならぬのか、これも説明してほしい。これもさっき説明を聞きますと、三大都市圏が特に住宅が足りないなんてことを言っているんだけれども、これは明らかに便宜主義なんだ。そういうことで三大都市圏の農民に対して二重に権利を侵すようなことをやってはならないということ、それについてどなたでも、見解をお尋ねしたい。政務次官でも結構です。
-
○
左藤政府
委員 いろいろ問題はあるといたしましても、すでに現在の法律としては成立して現に法律が実施されておるというところであるわけで、これをどういうふうな方向に持っていくかということについていま検討をしておる問題でございますので、そういった意味からいろいろ最近の実態、法の運用の問題について各省の意見を聴取したり、そういうことで次にどういうふうな方向へ持っていくべきかということを、そういった御意見を聞いた上でわれわれとしての意見をまとめていかなければならない、こういう性格のものじゃないかと思います。
-
○
三谷委員 さっきから私はお尋ねしていますけれども、都市計画法によりますと、線引きしましたところは税制上の
措置をとる、こうなっておるのですね。ところがこの都市計画法の規定というものは、実際には百八十二市だけが適用されておる。この法のたてまえにも明らかにこれは反している。その点についてはどう考えますか。
-
○台説明員 都市計画法の八十五条は、いまの関連するところだけについて申し上げますと、「市街化区域内の土地について、その有効な利用の促進」「に関し、税制上の
措置その他の適切な
措置を講ずるものとする。」というふうになっておりますので、宅地供給の観点から緊急性の著しく高い三大都市圏内の特定の農地について税制上の
措置がとられることは、八十五条の趣旨には反しないと思います。
-
○
三谷委員 あなたは勝手な解釈をしてはいかぬ。法律の文言を正確に読んでみなさい。「市街化区域内の土地について」、市街化区域内の土地ですよ、三大都市圏じゃないですよ。これについて、その有効な利用の促進のために税制上の処置その他の適切な処置を講ずる。要するに線引きした段階で、線引きによって市街化区域になったところについては有効な利用の促進のための処置をとる、こうなっているのですよ。そこで、住宅の必要度の軽重をはかって随時それを行うというようなものじゃない。線引きした段階に、線引きによって市街化区域になったところについては税制上の処置をとるとなっているんだ。これがなされますならば、少なくとも七百六十数市におきましては
宅地並み課税的なものが行われるわけなんです。これがこの都市計画法の税のたてまえになっている。ところが、実際におきましてはそうではなしに百八十二市だ。これもきわめて便宜的なやり方だ。そこだけの農民に重課をかけるということがなされてきている。しかもそれは時間を切っておって、五十一年以後については検討を加えて適切な処置をとるとなっているわけですから、来年度からは全般に行うような適切な処置をとる、こうなっておる。地方税法でそうなっていますよ。そうしますと、来年度になると全体にこれが適用されるわけだ。ところが、いまあなた方の意見を聞いていると、こういう規定があり、しかも地方税法におきまして、五十一年度以後におきましては市街化区域につきまして全般的な検討を加えるとなっておるのにまたぞろ百八十二市だけのB農地を
拡大をして、三大都市だけに対して不公正な税制をさらに強化する、こういう意見をいま出していることがあなた方の見解によって明らかになった。そういう不公正を繰り返し繰り返しやってもいいわけですか。
-
○台説明員 八十五条の趣旨は「市街化区域内の土地について」という適用の土地の区域の範囲を示しただけであって、税制上の
措置その他の適切な
措置を講ずる場合に市街化区域内の土地についてすべて一律の
措置が講ぜられなければならないというふうには私たちは考えておりません。
-
-
○台説明員 そのような観点から先ほども申しましたように、宅地政策上の緊急度の高い百八十二市が
措置の対象となったことについては、八十五条の趣旨には反するとは考えません。
-
○
三谷委員 その分は八十五条でなしに地方税法の関係を言っているんだ。地方税法は五十一年以後市街化区域については税の適正化を図る、こうなっている。これはいま検討中とは言っているんだけれども、検討中ということは、そういう法のたてまえはあるけれども場合によってはその附則は変更するという意味を含めて検討しているのかどうか、これをお尋ねしたい。
それからもう一つの「市街化区域内の土地について」ということは、土地の部分について、土地の一部について、あるいは特定の土地についてという意味だとあなたはおっしゃるのですか。
-
○首藤政府
委員 税法には御指摘のように五十一年において検討する、こういう旨の規定があるわけでございます。そこで、ただいま検討中であるわけでございますが、ただいま御指摘のように、条文との関係がある結論が出てまいりますれば、その附則に所要の改正を加えることも含まれてそれは検討いたしております。
-
○台説明員 後半の問題でございますが、市街化区域内の土地というのは対象の範囲を示したのであって、その中で適切な
措置が講ぜられればよろしいというふうに考えております。たとえば譲渡所得の控除につきましても、生産緑地の場合には千五百万控除になっておりますが、都市計画施設の場合には三千万控除というふうに、それぞれの
施策に応じて差別が生ずることは八十五条の趣旨に反しないというふうに申し上げたわけでございます。
-
○
三谷委員 あなた方がおっしゃっておる三大都市圏が特に住宅不足だなんということは、全くの公式論にすぎないわけだ。実際においては五十万程度の都市におきまして、さらに住宅の不足が深刻化しておるというような事態もあるし、それから投機的取引の抑制という問題から見ましても、三大都市圏だけにおいて投機的な取引がなされておるのじゃないのだ。これはそうでないところにおいてもなされておる。そうしますと、この八十五条によりますと、「有効な利用の促進及びその投機的取引の抑制に関し、税制上の
措置」を講ずることとなっておる。しかし、今日におきまして三大都市圏に限定しておるのだ。限定しておるのは、要するにこれは前回の法案審議に当たりまして問題になって、そして
宅地並み課税そのものについて違法性も指摘され、あるいはその合理性につきましても多くの問題を醸し出して、やむを得ず、とりあえず三大都市圏だけでやっていこうという妥協案がなされたわけだ。その妥協案というものは、とりあえず両方の顔を立てる。両方といいますと、自民党とそれに反対した野党でありますが、両方のある程度の顔を立てるというふうなことで、わけのわからぬ妥協案ができてきて、それが三大都市圏に対する課税
措置になって実現してきたわけだ。だからこの経過というのは私どもよく知っている。論理的には非常に根拠の弱いものだ。弱いものだが、これは地方税法によって規定されました、五十一年度において検討を加える時期にはそういう不合理な制度につきましては、当然廃止をするという処置をやってもらうという考え方で私どもは今日まで経過してきたわけです。だからそういう法律ができたのだから、これは続けていくのだという根拠にならない。問題があるものだから、そういう経過をたどったものだから、ある時期にはこれを廃止するということも考え得るわけだ。そういう立場になぜ立ち得ないのか、お尋ねしたい。それからもう一つは、国土庁の新全総の中間報告によりますと、いろいろなことをおっしゃっておる。たとえば四十年から四十九年の間の農地転用面積は全国既成市街地の面積に相当する四十万ヘクタールである、あるいは全国の耕地面積の八%に相当する膨大なものである。農業人口にして見ますと、専業農家でありますが、三十五年から四十九年までの十四年間に千二百万人から六百万人に半減しておる。このままで推移するならば西歴二〇〇〇年には六百万人から九十万人に激減するであろう。食糧自給率も著しく低下してきた。食糧自給率の向上のためには農用地の造成が必要になってきておる。一方では農地をつぶしながら、一方では農用地の造成が必要である、こういう矛盾した報告が出されている。こういう事態に対して一体どうお考えになっておるのですか。一方では農地が足りなくて食糧の自給率が低下して困るのだ。食糧問題は重要な問題ですよ。住宅問題以上に重要な問題なんだ。その食糧問題におきましてきわめて危機的な状況に立ち至っておるのに、そのことを国土庁は認めながら、一方におきましては農地をつぶす。農地を奪うということを何でもないかのようにおっしゃっておる。ここの矛盾は一体どうお考えになっておるか。
-
○
松本説明員 まず第一の問題でございますが、一番最初に申し上げましたように、国土庁が自治省に対しまして税制改正につきましての要望をお出し申し上げておるわけでございますが、その中では、繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、住宅事情の要請が非常に強いという地域に限定をいたしまして、この制度を続けることが妥当だという判断をしたわけでございまして、その事実を御報告することできようはお許しをいただきたいと思います。
それから第二の問題は、突然のお尋ねで、私所管でございませんので真正面からお答えすることができなくて大変恐縮でございますが、ただ
宅地並み課税に関連いたします一般的な考え方に限定をしてお答え申し上げたいと思います。
先生御指摘がございましたように、食糧自給率を高めるという意味から、農地の確保を図るということは非常に重要でございまして、国土庁といたしましても最重点事項の一つと考えているわけでございます。ただ一方、住宅地の需要その他の土地需要がかなり大きいということもまた事実でございます。これを放置をいたしますと、無秩序なスプロールとかあるいは市街地の拡散によって、かえって都市周辺農地が非常に被害をこうむるということもまた事実でございます。一方で食糧確保のための農地の保全ということには十分計画面で配慮してまいることになると思いますが、一方ではやはり、特に大都市周辺の住宅用の土地の確保という面からは、できるだけ計画的な秩序ある土地の供給というものが必要であろう、基本的にはそういうふうな考え方でございます。
大変限定的な答弁で恐縮でございますが、以上でございます。
-
○
三谷委員 いまのお答えでは、私のお尋ねしましたことについて十分な答弁になっておりません。いま国土庁におきましても、食糧自給率の低下が将来にわたって不安であるという立場をおとりになっておるのです。それでも
宅地並み課税を
拡大する、こう言っている。農林省はどうですか。昨年のローマの世界食糧会議では、先進国の食糧増産という問題が議題になってきた。それから国際的な食糧備蓄網づくりなどが論議されるほど、食糧問題が世界的に深刻な問題になってきているわけです。そういう中で、農地を取り上げるのでなしに、農業生産を奨励すべきものなんだ。そう
いう見地に立つべきものだ。ところが、そういう見地がはなはだしく弱い。そういうことではいまの国際的な課題にもこたえ得ないということが考えられますが、その点はどうお考えですか。
それからもう一つ盛んに住宅用地住宅用地といいますが、三大都市圏における公有地
拡大法による土地先行取得はどういう状況にあるのか。さっき全国の分を御説明になるのを聞いておりましたが、七千百億円、約五千八百ヘクタールと聞きましたが、三大都市圏ではどうなっているのか。しかも、これは先行取得をして住宅用地などに転用する予定でおるにかかわらず、これが進行していないが、この状況についてはどうお考えになっているのか。そういう点を抜きにして、農民から土地を取ることだけが住宅の確保だというふうな考え方をお持ちになっているとしますと、それは大変な間違いなんだ。一体いま先行取得しました土地は何ぼあるか、三大都市圏において。それはどうなっているのか。お尋ねしたい。
それから、一体この三大都市圏におきまして、民間デベロッパーの買い占めました用地についてはどのような調査ができておるのか、どのような判断をなさっておるのか。農地を取るよりも、それが先行すべき問題ではないのか。これをお尋ねしたい。
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○
田中(宏)説明員 ただいま御指摘がありましたけれども、ここ二、三年の国際的食糧需給から申し上げまして、ぜひとも国内での食糧自給率というものを少しでも向上したいということで、われわれといたしましても、昭和六十年の長期見通しで五百八十五万ヘクタールの農用地を確保するということが農業
施策の基本となっているわけでございますけれども、この限られた国土の中でそういう優良農地というものをどこでどう確保していくかということで宅地需要であるとかそういう関係との摩擦調整というものが必要になってくるわけでございます。
それで、われわれの基本的
施策といたしましては、今後とも農用地として永続的に確保していくというものは、農業振興地域の制度に基づきまして農用地として指定いたしまして、そこにつきましては転用もまかりならぬということで、優良な集団農地はぜひとも確保していきたい。そういう、面として確保すると同時に、最近農地の利用率というものも耕作放棄等で低下しておりますので、そういうものにつきましては、裏作の活用であるとか、せっかく確保されておる農地のより高度な利用というものも足しまして、何とか食糧自給率の向上というものには努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
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○川合説明員 公有地
拡大法によります三大都市圏の土地保有につきましては、ただいま資料を手元に持っておりませんので、
委員会の御要求があれば後ほど資料として提出いたしたいと思います。
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○川合説明員 民間の宅地開発事業者が持っております土地につきましては、昭和四十九年三月三十一日現在におきまして、千四百二十一業者の集計といたしまして、たな卸し資産が全部で十一万四百七十八ヘクタール保有しております。
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○
三谷委員 それは大変ずさんな調査です。これは首都圏だけでも約一万ヘクタール、近畿圏で約九千ヘクタールというのが私どもがつかんでおります数字ですが、まあこれは多少の増減があるかわかりません。これに対しては、一体それほど住宅の必要性を言うのであれば、この民間デベロッパーの買い占め地に対して住宅化するための法制的な処置などを考えるべきではないのか。農民から土地を取り上げるだけでなしに、農業生産と何の関係もない、投機のために取得した土地に対して、もう少し住宅確保の観点に立つ方策が必要ではないか。
それから、公有地につきましては、
委員長、資料を請求しておいてください。いまわからぬそうですけれども、公有地の先行取得も膨大な数量に達しておりますが、これが建たない。
地方財政の破綻に伴って、住宅の建設がむずかしいという状況になってきている。こういうことに対しては一体どう手を打たれるのか。つまり、農民から土地を取ることだけを考えずに、まず、ある土地をどのようにして住宅にするのか、あるいは民間が投機のために取得しました土地をどのようにして住宅建設に役立てるのか。つまり、あなた方は民間デベロッパーなんかについては私有権だとかいろいろなことをおっしゃっている。農民は私有権がないのかね。三大都市圏における農民というものは、私有権も認められなければ、財産権も認められないことになってしまうじゃないか。職業まで奪われてしまうじゃないか。なぜ農民だけそういうしわ寄せがなされるのですか。なぜ三大都市圏の農民だけがそういう不当な冷遇を受けなくちゃならぬのですか。しかも憲法に反するような冷遇をなぜ甘受しなくちゃならぬのですか。ここのところが一番根本の問題です。
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○川合説明員 先ほど申し上げました不動産業者が保有する土地のうちで三大都市圏の市街化区域にあります土地は、おおむね一一・二%にすぎませんが、これらの土地につきましては、四十九年から五十三年までの五年間で、供給可能なものはすべて最終供給にまで持っていくように指導いたしております。
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○
三谷委員 それを指導するのであれば、農民の土地の問題も指導でやってもらいたい。公権力でこれを奪取するということでなしに、指導
措置でやってもらいたい。公正にやってもらわぬと困る。
そこで、先ほどからいろいろ聞いておりますと、住宅が欲しい、そのためには何をしてもいいというふうな考えがあるようだ。そういう立場にお立ちになっているようだ。そうではない。人間の基本権を尊重する中から住宅の問題が生まれてくるのであって、住宅をつくるためには農民の基本的権利なんというものは全く無視しても構わないという立場で物をお考えになっていると言わざるを得ぬわけだ。そこがそもそも根本的に間違っている。しかもそれが三大都市圏に限定されてきている。三大都市圏の農民が承服しないのは当然の話だ。これはどのように
改善されますのか、私はお尋ねしたいと思う。
それに加えましてお尋ねしておきたいのは、この三大都市圏の一市街化区域も調整区域もありますけれども、ここは大都市周辺におきましては重要な役割りを農業生産の上で果たしているということです。たてえば神奈川県などは、
宅地並み課税を全面実施しますと全県ほとんどが課税対象地域になりますが、神奈川県におきましては野菜の四六%、卵の四五%、牛乳の三八%、豚肉の三一%というものがその地域で生産されているということ。大阪でも一緒なんですよ。大阪でも蔬菜の三〇%、果実の二二%、牛乳の四五%、鶏卵の三六%というものはその地域で生産されている。もちろんそれは調整区域を含めておりますけれども、いずれにしてもこれは大都市における主要な生鮮食料品の供給基地であるということをはっきりと証明している。これによりまして、大阪におきましてもあるいは横浜市周辺におきましても、都市住民が重大な利益を享受している。そういう点などを考えていきますと、あなた方のように住宅住宅、実際におきましてこれによりましてどれだけの住宅ができるか、大変疑問なものなんですよね。ですが、とにかく農民が土地を持てないようにするという
措置は、これは絶対に許せる
措置ではない。いま申し上げました数字につきましても、もしも農林省の方の方で御意見があればお聞きしておきたい。
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○
田中(宏)説明員 各地域別で、市街化区域、調整区域を含めましてどの程度の農業ウェートという数字、残念ながら私どもの方で集計しておりませんけれども、全体的な話といたしまして、市街化区域の総農地面積が二十六万五千ヘクタールほどございまして、全体の五百七十万ヘクタールの中でそういう地位を占めているわけでございます。現にA、B農地として課税対象になっております面積が約一万四千ヘクタールと承知しております。なお、こういう市街化区域の二十六万五千ヘクタールの主な作付面積といいますのは、先生も御指摘ありましたように野菜においてウェートが高いのでございまして、全国の野菜の総生産額のおおむね一〇%程度を占めているようでございますけれども、地域別によりましては相当ぶれがあるというふうに承知しているわけでございます。
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○
三谷委員 いまあなたはA、B農地だけおっしゃいましたが、C農地はどうするおつもりでしょうか。国土庁や建設省や農林省は、C農地はどうするお考えですか。これは新都市計画法によってもあるいは地方税法によりましても、来年度から実施するようになっている。来年実施を控えて、法律の規定に対してどういうふうな対応をお考えになっているか。
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○
田中(宏)説明員 ただいま申し上げました二十六万五千ヘクタールというのは、A、B、Cそれから三大都市圏以外の市街化区域もすべて含みましての面積でございます。
なお、C農地につきましてどうするかというお話でございますが、先ほどから自治省などからも御説明ありますように、本制度をどうするかということを現在主務官庁でございます自治省においても検討中でございまして、われわれも冒頭に申し上げましたように、農地制度上の違い等でいろいろ都市政策上問題のある地域ではございますけれども、現に農業をやっているあるいは担税力という点から慎重に検討すべきである、そういう態度でいるわけでございます。
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○
松本説明員 国土庁の考え方といたしましては、C農地一般につきましては今後の市街地整備のための条件の進みぐあい、それから住宅地供給の必要度等を勘案しながら推移を見守りたいという考え方でございます。
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○川合説明員 建設省といたしましても、国土庁と同様に考えております。
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○
三谷委員 そうしますと国土庁、建設省、農林省は、地方税法の附則第十八条については、これを改正をして推移を見るということなんですか、あるいはそれはそのままほっておくということなんですか。ほっておいてはだめなんでしょう。改正が必要になってくる。その法律改正についてはどうお考えですか。
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○
松本説明員 私どもは、実質的にただいま御説明申し上げましたような考え方を自治省に申し上げているわけでございます。もしそのために附則の改正が必要ならば、それは必要ではないかという考え方でございます。
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○
田中(宏)説明員 われわれといたしましても同様な考え方でございます。
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○川合説明員 建設省としても同様であります。
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○
三谷委員 そうしますと三省の方では、C農地におきましてはなお推移を見る、したがって五十一年度からC農地の
宅地並み課税を実施検討するという地方税法の附則につきましては当然改正が必要であるというふうな見解になっておりますが、自治省はどうなんですか。
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○首藤政府
委員 先ほども申し上げましたように、C農地の扱い方につきましては国土庁、建設省等の、制度としてC農地の一部を見直すと申しますか、A、B格づけに移すというような考え方ですね、そういう考え方も承っておりますし、また農林省等の意見もいろいろ承っておりますので現在検討中でありますが、その検討の結果次第によりましては、先ほど申し上げましたようにその附則の改正をも含めてただいま検討しておるということであります。
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○
三谷委員 C農地課税は実施をしないがB農地を
拡大する、しかも三大都市圏だけやるということは不公正をさらに
拡大することになりますけれども、なぜB農地の
拡大をそのようにして強硬にやらなくちゃならぬのですか、お尋ねしたい。
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○首藤政府
委員 それは、そういう意見、か国土庁、建設省から出ておるということを申し上げただけでありまして……。
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-
○
松本説明員 C農地のうちで三大都市圏の市の区域にございますもので、その後の推移によりましてA、B並みに変化したものに限って適用するのが妥当だという考え方を申し上げているわけでございますが、その考え方は、最初から申し上げておりますように、厳密に三大都市圏のうちのA、B農地につきまして宅地の供給促進を図るという
措置の延長上のものとして考えておるわけでございます。
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○川合説明員 建設省も同様に考えております。
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○
田中(宏)説明員 私、先ほど推移を見守ると言いました点は、いま国土庁、建設省からも御説明ありましたけれども、C農地そのものについての税法上の扱いを現在のままで推移を見るという話では必ずしもございませんで、政府部内でいろいろ案について検討が深められておりますので、そういう検討の推移も見守りながら、その段階で附則の改正、これは主務官庁でございます自治省の仕事でございますけれども、そういう結論に達するかどうかを見守りたいという趣旨でございます。
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○
三谷委員 C農地を
拡大しないということは、ほぼ各省が一致しておることがわかりました。わかりましたが、もう一つは、C農地は
拡大しないかわりにそれをB農地に格上げをして課税範囲を
拡大するということになってきますと、C農地を
拡大しないという内容が、事実上は
拡大でなしにB農地にして
拡大をする、こういうむしろよくない内容になってくるわけでありますが、そこで、先ほどから申し上げておりますように、三大都市圏の農民の置かれております不公正な扱い、それからこの税が持っております憲法で保障する基本権に対する侵害の問題ですね、そういう点などからしまして、これをいま
拡大すべきではないというのが私どもの考えでありますし、
拡大はやってもらっちゃ困るわけでありますが、政務次官は大阪出身で、大阪の状況などはよく御承知だと思いますが、この点についての御意見を聞いておきたいと思います。
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○
左藤政府
委員 私、冒頭に申し上げましたような形で、私個人としてはそういった意味で一つの、−少なくとも、たとえば凍結するとかそういうような方向でこの問題についていい案を立てて、その上で抜本的な改正というものを持っていくべきで、それまでの段階ではそういった意味のことを進めるべきでないんじゃないかというふうに私自身は考えております。
そうしていまお話しございましたような御意見を、各省の御意見もまとめていま省として審議をしておりますので、この結果によって判断をいたしますときに、先生の御意見も十分参考にさせていただきたい、このように思っております。
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○
三谷委員 五十一年度の地方税制の検討に当たりまして、次のような処置を私は要望しておきます。
一つは、五十一年度以降
宅地並み課税の対象地域の
拡大はしないこと。二つ目は、現在
宅地並み課税が実施されております三大都市圏のA、B農地についても、
宅地並み課税を廃止する。農地に対しては農地課税をする、宅地になれば宅地課税をする、当然の
措置であります。したがって、
宅地並み課税を廃止して農地課税をする、農地に対しては農地課税をする、そういう所要な
措置をとっていただくこと。もう一つは、勤労者の住宅用地や農地の
固定資産税の評価がえはいまのところ中止をして、農地に対する据え置き処置を従来どおり継続してもらいたいこと。三つの事項につきまして要望をしておきます。
いずれまた税の改正等の問題が国会に提案されると思いますので、そのときにさらに引き続いてこれらの問題についてお尋ねをすることにしまして、きょうはこれで打ち切っておきます。
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○大西
委員長 次回は、明十二日金曜日午前九時五十分から
理事会、午前十時から
委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十三分散会