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1975-11-05 第76回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月五日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 大西 正男君    理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君    理事 高鳥  修君 理事 中山 利生君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       伊能繁次郎君    小山 省二君       竹中 修一君    戸井田三郎君       渡海元三郎君    古屋  亨君       綿貫 民輔君    渡辺 紘三君       井岡 大治君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       村山 富市君    山口 鶴男君       山田 芳治君    多田 光雄君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 高橋 英雄君         自治政務次官  左藤  恵君         自治大臣官房審         議官      横手  正君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         運輸省自動車局         業務部旅客課長 山下 文利君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     杉岡  浩君         自治大臣官房審         議官      田中 和夫君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十一月五日  辞任         補欠選任   木村武千代君     竹中 修一君   篠田 弘作君     綿貫 民輔君   保岡 興治君     戸井田三郎君   井岡 大治君     村山 富市君   小川 省吾君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   竹中 修一君     木村武千代君   戸井田三郎君     保岡 興治君   綿貫 民輔君     篠田 弘作君   村山 富市君     井岡 大治君   山口 鶴男君     小川 省吾君     ————————————— 十一月四日  自治体病院健全化に関する請願外一件(黒金泰  美君紹介)(第一三六一号)  同(野呂恭一紹介)(第一三六二号)  同(細田吉藏紹介)(第一四六九号)  同(松澤雄藏紹介)(第一四七〇号)  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(伊  東正義紹介)(第一三六三号)  同(大村襄治紹介)(第一四七一号)  地方財政危機打開に関する請願吉田法晴君  紹介)(第一三六四号)  同(浦井洋紹介)(第一四七二号)  地方財政危機突破対策に関する請願小沢貞  孝君紹介)(第一三六五号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一三六六号)  同(吉川久衛紹介)(第一三六七号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三六八号)  同(羽田孜紹介)(第一三六九号)  同(倉石忠雄紹介)(第一四七三号)  同(中澤茂一紹介)(第一四七四号)  同(原茂紹介)(第一四七五号)  名古屋市営交通事業財政危機打開等に関する  請願佐藤敬治紹介)(第一三七〇号)  同(細谷治嘉紹介)(第一三七一号)  同(小川省吾紹介)(第一四六七号)  同(佐藤敬治紹介)(第一四六八号)  地方自治体の財政危機打開に関する請願(鬼木  勝利君紹介)(第一三七二号)  同外一件(久保田鶴松紹介)(第一三七三  号)  同(有島重武君紹介)(第一四八〇号)  同(井岡大治紹介)(第一四八一号)  同(久保田鶴松紹介)(第一四八二号)  新産業都市建設に伴う財政特別措置延長等  に関する請願小沢貞孝紹介)(第一四四九  号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四五〇号)  同(吉川久衛紹介)(第一四五一号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四五二号)  同(羽田孜紹介)(第一四五三号)  同(倉石忠雄紹介)(第一四七七号)  同(中澤茂一紹介)(第一四七八号)  同(原茂紹介)(第一四七九号)  地方公務員共済組合における産休補助教員の加  入条件緩和等に関する請願三谷秀治紹介)  (第一四七六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年度における地方交付税及び地方債の  特例に関する法律案内閣提出第三〇号)      ————◇—————
  2. 大西正男

    大西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山田芳治君。
  3. 山田芳治

    山田(芳)委員 昨日に続いて残っている分を質問いたしたいと思います。  その前に、新産工特かさ上げ分が十年間延長されるという新聞記事がけさ載っておったわけでありますが、首都圏近畿圏中部圏整備のための財政特例法は五十年事業をもって法の期限が切れるわけであります。五十年度以降も継続する必要があるというふうに思うのですが、この点については、きょうの新聞を含めてどうなっているか。この際、大臣からお答えをいただきます。
  4. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまの問題につきましては、われわれとしては、大体五年くらいをめどにしてやはり延ばしていくべきではないかという考え方を持っておるわけでございます。
  5. 山田芳治

    山田(芳)委員 新産工特については新聞に出ているわけですね。こちらの方が出ていないというのは、若干おくれているのか。同じような扱いであるべきだと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  6. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私どもとしては、同種類のかさ上げ立法でございますから、新産工特という代名詞で呼ぶか、首都圏で呼ぶかということで、差別をつけるつもりは全然ございません。
  7. 山田芳治

    山田(芳)委員 それならば、新産工特と同様であると理解をします。ただ、新聞に出ていないので、ちょっと心配をわれわれはしたということであります。  建設省にきのう残っていただいて申しわけなかったのでありますが、下水道企画課長にお伺いをします。  下水道事業団委託をしないと、いわゆる補助金の先渡しといいますか、補助金が一括して計上されないので、それを分割をしてやるという特別事業債というものが認められないということはないであろうかという点について国会で審議をされてそういうことはないという趣旨答弁があったのであります。特に東京都を初めとする指定都市では、自分のところの技術なり能力なりからいって、別に下水道事業団委託をしないでもやれるという自信を持っている。しかし、現実に非常に差別をされるのではないかという話があって、結局は全部委託をするという形になったということでありますけれども、そういうふうなうわさがあるということは非常な遺憾なことだというふうに考えるわけであります。  一つの例でありますけれども、たとえば鹿児島県のK市においては、いままでは前年度伸び率が一〇%以内であったのでありますが、今回事業団委託をすると倍以上の一八・四も伸びたというようなデータがあるわけであります。そういう点からいうと、何か事業団委託をすると非常に有利に扱われる、そうでないと非常な差別があるんじゃないかといううわさがいまだにあるということはまことに遺憾だと思うのですが、この点についての考え方をこの際明確にしていただきたいと思います。
  8. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘の特別の起債でございますが、特別の起債につきましては、実は昭和五十年度から新しく追加をするということであります。これは国費、いわゆる補助金伸びがなかなか期待できないということにつきまして、水質環境保全、こういった面から緊急にその整備をしなければならないというような処理場があるわけでございますが、そういったところを予算平準化ということで、特に当該年度を含めまして五年の起債をつけまして、これを国費で消化するというような制度昭和五十年度からとったわけでございます。ただいま申し上げましたように、いわゆる補助金でございますが、国費と全く同等のもの、それにかわるものという認識をいたしておりまして、われわれといたしましては、これが配分に当たりまして、特に事業団委託したところに多く配る、あるいはそれを優先するというようなことはいたさずに、やはり水質環境基準保全、そういった方面に緊急性のある処理場等中心配分を進めるという考えでございます。
  9. 山田芳治

    山田(芳)委員 緊急性のあるということが基準であって、事業団委託をするしないということは問題でないということは、明確に言えますね。
  10. 杉岡浩

    杉岡説明員 ただいま先生指摘のとおりでございます。事業団法律も、これは八月一日からセンター法から事業団法に変わりまして、事業団業務につきましても、水質保全のところ、それを確保するためのところを優先するというようなことがございますが、特別の地方債等配分につきましては、そういう水質環境基準整備ということを基準に、緊急性のある、あるいは計画熟度が進んでいるというところを中心配分いたしております。
  11. 山田芳治

    山田(芳)委員 的確に答えていただけばいいので、要するに事業団委託したところに有利にして、そうでないところは不利に扱うということはないのであって、行政的な必要性の濃淡が判断の基準になるということだけである。そうならそうだと、これだけ答えていただきたい。
  12. 杉岡浩

    杉岡説明員 ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
  13. 山田芳治

    山田(芳)委員 はい、結構です。それじゃもう結構ですから……。  次に運輸省に。昨晩遅くまで待っていただいて申しわけありません。実は先般来、都市交通に働いている諸君と一緒に各省といろいろお話をしておるわけでありますし、また、昨年の国会の中におけるいろいろの答弁の中での問題をひとつ確認をする意味で、ここで二、三の質問をしたいと思います。  まず第一に、地下鉄、いわゆる地下高速鉄道建設費を含めて、運輸省関係のいろいろの補助金増額やあるいは新規事業についての運輸省対策ということについて要求をいたしておるところ、おおむね五十一年、三年に一度は見直すんだ、その三年目が来年度予算であるということを言ってこられておったので、われわれとしても来年度予算において、新しい制度なり新規事業なり、あるいはいままでの補助金を大幅に増額をするという問題について、五十一年の段階におけるいろいろの措置を期待しておったのでありますが、最近、運輸省あたりの話を伺うと、来年度は非常に財政が厳しいので、五十一年度において見直しするのは一年延ばして、五十二年において見直しをするのだ、こういうような意向が非常に強く言われてきている。この点について、たとえばわれわれとしては、地下鉄建設費補助実質負担三分の二にすべきである。また、大規模改良工事、たとえば大阪の梅田、一日も早く改良をしたいけれども、新設と同様ぐらいの経費もかかるので、これも補助対象にせよということを言ってきたのでありますが、いまのように五十一年ではとうてい財源的にむずかしい、五十二年度において見直すんだ、こういうことであるようでありますが、この点は、やはり五十一年度見直しの時期であるということを従前から言ってこられたのでありますから、この点について一体どう考えておられるのか、ひとつお答えをお願いいたします。
  14. 高橋英雄

    高橋(英)政府委員 お答えいたします。  地下高速鉄道に対します政府の助成の拡充という問題でございますが、運輸省としましては、かねてから地下鉄補助金につきましては前向きに検討いたしておりまして、たとえば、対象になります都市につきましても、すでに開業をいたしております札幌、東京、横浜、名古屋大阪の五都市のほかにさらに京都あるいは神戸、福岡といった八都市補助対象都市ということになっております。  また、この補助制度の中身の問題につきましては、先生指摘のように、従来の経過からいたしますと、三年ごとに改定をいたしておりまして、たまたま五十一年度が、その三年目が終わった翌年になりますので、これの見直しをしたいということを私どもも申し上げておりました。私どもといたしましては、お約束どおり五十一年度予算要求をするに当たりましては、一応見直しをいたします。その見直しに当たりましては、私どもとしては、地下鉄事業というものはあくまで事業でございますので、事業者経営努力とそれから利用者運賃負担、これによって基本的には運営されるべきものであって、その足らざるところを補助金が補っていくんだ、こういう基本的な考え方を持っておりまして、こういう見地に立って総合的に一応検討をしてまいりましたところが、現在の時点におきましては、この補助制度をさらに改定をしなくても、長期的に見て地下鉄事業というものの経営が成り立たないというふうな結論には達しませんでした。そういうことで五十一年度予算要求に当たりましては、補助制度改定ということは要求いたしませんでした。  しかしながら、私どもとしましては、今後の地下鉄建設のコストがどうなるか、それから地下鉄事業の収支がどうなるか、そういう推移というものを見守りながら、なおかつ、国の財政事情なり地方財政事情なりというものを勘案しつつ、さらに今後とも検討は続けていきたい、かように思っております。  それから、もう一点の大規模改良工事の問題でございますが、大規模改良工事につきましては、検討をしないということではございませんで、現在の地下鉄補助制度過年度補助ということで、今年度工事をいたしましたものについて、翌年度から工事費補助をしていく、こういう制度になっております。今年度工事の中に、そういう対象になるような大規模工事があるかないかという点を検討いたしましたところ、いまのところでは対象になるような工事はないというふうなことになっておりますので、実際に予算要求をする材料がない、そういうことで、ことしはそういう点について予算要求にあらわれなかったということでございまして、これについては今後ともそういう工事が行われるというときが参りますれば検討したい、かように思っております。
  15. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると大阪等の大規模改良工事については、大阪市においてその改良工事を行うという段階においては考えたい、こういうことでよろしいね。
  16. 高橋英雄

    高橋(英)政府委員 行われる段階においては、その要求をするかどうかということを検討したい、かように思っております。
  17. 山田芳治

    山田(芳)委員 そういうことじゃなくて、やはり同等のあれだから、ひとつ本当に前向きに検討してもらうということでないといかぬ。  それから、大臣にちょっとお伺いしたいのですが、事務所事業所税についてはわれわれの要求どおり本年度から、一応一定条件はあるけれども公営交通等都市的な施設に必要とする財源として設けられたわけでありますが、われわれとしては人口規模等をもっと下げるべきであるということを要求をしておったわけであります。特にその当時は、法定外普通税でもできるだけ積極的にやるならば認める、こう言ったわけでありますが、この事務所事業所税基準財政収入額として交付税収入額の中に算定をする、特別法定外普通税になればそれが算定されないという問題との兼ね合いで、現実的には法定外普通税というものが設置できるかどうかということが非常に問題になっている。そこでこういうものは法定をしてもらうということがやはり望ましいということで、われわれとしては五十万という人口段階をもっと二十万程度に当面下げるべきではないか、範囲を拡大すべきではないかという要求をいたしておるわけでありますが、来年度に向けて事務所事業所税課税権を与える範囲を拡大することについて、大臣意向を承りたいと思います。
  18. 福田一

    福田(一)国務大臣 この問題はかねて御要望のあった件でありますし、われわれとしてはその御趣旨に従って、五十万の数をどこまで下げていくかということで検討いたしております。また、それをやる場合には法定をしなければならないと考えております。
  19. 山田芳治

    山田(芳)委員 いつの段階でこれは明確になりますか。
  20. 松浦功

    松浦(功)政府委員 昨年つくったばかりの制度でございますので、これについてはいろいろの御意見もございます。税調等の御意見を十分伺いながらということでございますので、来年度予算編成時期までにはこれを明確にするということに相なるのではないかというふうに考えております。
  21. 山田芳治

    山田(芳)委員 それじゃ運輸省伺いますけれども、あるいは自治省を含めてでありますが、地方鉄道軌道整備費補助、いわゆる路面軌道欠損補助と言われるものは、昨年は予算要求で三カ所も出した。ところが、ことしは鹿児島市一件しか予算要求いたしておらないということは、一体これはどういう理由であるのか。昨年は削られたのでことしは一つにしぼったというのか、その他の理由があるならひとつ聞かしてもらいたい。ほかの都市函館とか熊本等を再要求する考えがないかどうかということであります。  それから、大都市交通対策補助、いわゆる大都市バス施設整備費、たとえば東京とか大阪圏等人口三十万以上の都市で、一定条件に対して百二十八駅というようなものがあるのでありますが、これが二千四百万も昨年は不用額ができたということを聞いておるのでありますが、これは条件が厳しいから二千四百万の不用額が出たのか、その他の原因があるのか、その点についてひとつお伺いをしたい。
  22. 高橋英雄

    高橋(英)政府委員 公営路面電車に対しますその補助の問題でございますが、これにつきましては、昨年の予算要求の際には鹿児島市と熊本市と函館市の三市につきまして要求をいたしました。その結果は残念ながら実現を見なかったということでございまして、それでこの委員会におきましても、今後どうするかという点については自治省とよく相談をして決めたいと、こういうふうにお答えをしておったかと思いますが、来年度予算要求に当たりましては、前年度予算折衝経過等を踏まえまして、十分時間をかけて自治省と御相談をいたしまして、その結果、来年度予算要求としては鹿児島市だけにしぼることとして、それから熊本函館の二市については、今後もさらに検討しようということで合意に達しましたので、運輸省としては、一応来年度予算要求としては鹿児島市だけにしぼって欠損補助要求をいたしておる、かような次第でございます。御了承を願いたいと思います。
  23. 山下文利

    山下説明員 先ほど先生から御指摘いただきました大都市バス施設整備補助制度でございますが、これは大都市駅前バスの乗り場に屋根をつくったり、あるいは案内板をつくるということでバス利用者の利便を図ろうということで、四十九年度から創設された制度でございます。ただいま先生の御指摘にございましたとおり、初年度の四十九年度は二千四百万の不用額を計上いたしましたことは確かでございまして、大変残念に思っておるわけでございます。ただその理由でございますが、考えられる点としまして三つほどあろうかと思います。  その第一点といたしましては、この制度一つ駅当たり千八百万の事業費を予定してございますが、現実にでき上がったのを見ますと大部分が一千万円以下にとどまったということで、当初予定しておりました十駅に対し十一駅もできたわけでございますが、資金的にはかなり余裕があったということ、これが第一点でございます。  それから第二点でございますが、駅の選択に当たりまして、当初予定しなかった問題が出てきたりした点がございまして、なかなか数がこなせなかったという点でございます。二、三例を挙げますと、たとえば新宿駅西口の場合、これは候補に挙がってございましたが、ここに施設をつくるためには、地下商店街とか、あるいはコンコースとか、こういったところに影響が出るのではないかという検討が必要であったとか、あるいは渋谷の駅の前を候補に挙げたわけでございますが、そこがちょうど駅前広場の再開発でもう少し時間をかけたいとか、そういった問題点がいろいろ出てまいりまして、やはり選考難があったということが第二点でございます。  それから第三点といたしましては、何分四十九年度初めてできた制度でございまして、この制度は国が三分の一、それから事業者が三分の一、さらに関係の市あるいは東京都区内におきましては都が三分の一を出すという制度でございましたが、私どもPRが不足であったせいか、関係公共団体の御理解が得られなかったという面も第三番目の不用額が立った理由でございます。こういった点につきましては私ども十分PRをして、来年度にかけてそういったことのないように努力いたしたいと思ってございます。
  24. 山田芳治

    山田(芳)委員 要件が厳しい点があるならやはり緩和して、せっかく取った予算ですから消化をするように努力をしてもらいたいということを要求しておきます。  その次に、新住宅地路線バス対策補助というものの、実際の本年度施行状況はどうか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  25. 山下文利

    山下説明員 ただいまお話のございました新住宅団地バス路線開設運行費補助金、いわゆる団地バス補助でございますが、これは四十八年から創設されまして、予算執行いたしましたのはすでに二年間経過してございます。これもまた大変残念なことながら不用額が毎年立ってございまして、初年度は約二千万、第二年度は三千万の不用額が立ってございます。その理由として、これまた二つほど挙げられると思います。  一つは、予定しておりました団地の竣工がおくれた、そのためにバス路線開設が必要なくなったという点、これが非常に大きな要因でございます。  それから第二点は、現実バスが運行いたしましたが、私どもが当初予定しておりました赤字幅が非常に少なかった。というのは、バス事業者努力とかあるいは開発者の協力、そういった面があったと思っております。そういう意味不用額が立ったわけでございますが、こういった点については、今後は団地が竣工するにつれて十分予算が消化されていくんじゃないか、そのように思ってございます。
  26. 山田芳治

    山田(芳)委員 いま言ったように、私二つ挙げたものは非常に不用残が多いわけです。こういうことは、せっかく努力して取られたものに対してもったいないと思うんですね。だから、もう少し条件を緩和していろいろ処置を考えてほしいと思います。  委員長岩垂委員大臣がおる間にしたいというので、私は大臣がおられなくても済みますので、交代をさせていただきたいと思います。
  27. 大西正男

  28. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、地方財政計画に計上された歳入額を確保するために自治省大変努力を払われたことを否定するものではありません。しかし、この特例法に盛られた対策は、言うならば一時しのぎの対策である、遺憾ながらそう申し上げざるを得ないのであります。しかし、今日の地方財政危機というのはきわめて深刻でありまして、今回の特例法だけで克服できるものではないと考えております。  そこで、自治大臣にお伺いをしたいのですが、この危機を乗り切るための今後の施策をどのようにお考えになっていらっしゃるか。きのう来、本委員会並びに参議院の予算委員会などでもいろいろ御質問があったようでありますが、そのお答えよりもさらに突っ込んで、たとえば五十一年度予算の中では一体ことしと同じような措置年度当初にお立てになるお気持ちがあるのかどうか、あるいは五十二年度は一体どうなさるのか。承れば増税というふうなこと、付加価値税などを予定をし、その一部地方財政へのいわば繰り入れみたいなことも考えざるを得ないというふうな大蔵当局の見解もあるようでありますが、それらについてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。  それから、この特例法に基づく地方債の償還の始まる五十三年度ということをめどにとこうおっしゃっているわけでありますが、その具体的なプログラムをこの機会に大臣から見解を承りたいと思うのであります。  また、この措置で解決をしない約一兆円に上る実際の自治体の歳出をどうなさるおつもりか。  一つ一つについて具体的にお答えを願いたいと思います。
  29. 福田一

    福田(一)国務大臣 今回の措置と関連して、来年度以降について地方財政計画をどのように考えておるか、具体的な方法はどうであるかという御質問であると理解をいたすのでございますが、御案内のように、日本の経済は高度成長時代を迎えておったのが、石油ショックによって昨年来非常な影響を受けまして、影響は受けましたけれどもこれを何としても乗り切っていかなければならないという努力をいたしておりまして、その間においては、一応私は昨年のこの委員会においても申し上げましたが、ことしは非常に苦しいことになるだろう、特に人件費その他の見直し等も考えていただきたいものであるということを申し上げておったのであります。しかし、そうは言いましても、税金の落ち込みの問題につきましては、きのうも実は山田委員にもお答えをいたしたのでありますけれども、これほど深刻なものになるとは思っておらなかったということは、これは事実でございます。また、そうでないならばあんなものをつくるはずがないのでありますが、結果において非常な落ち込みが出た。国税においても二七%前後の落ち込みになるであろうと言われることでありまして、そういうことでありますから、今後の問題としては、やはりここいらで行財政の抜本的見直しを行うべきではないか。大体、自治省関係におきましては三十一年にある程度の改正を行っておりますけれども、その以後二十年はこれといった行政の改革というものを行っておりません。ちょうどこのような時期になっておるのでありますから、ここいらでひとつこの問題を取り上げていくべきではないかということが私の一つ考え方でありまして、それではそれをどう実現していくか、プログラムということになりますと、これはある意味で少しこそくな考えになるかもしれませんが、私は実は余り大言壮語することは好きではないのでございます。できないことを言うのもきらいなのです。そうなると、やはり、ここでテーマというか、これとこれとこれはやるべきだということにいたすべきではないかという考え方を持っておるわけであります。一つのことをやる場合でも、自治省だけで決まるものではありません。各役所との関係において考えなければならない、また大蔵省との関係において考えなければならないということでありますから、容易ならざる問題がいろいろ起きてくると思いますけれども、やはりこの際はそういう行政面での改革ということをどうしても考えてみる必要があるということが一点。  それから、それと同時に、しかし、それはそれとして、行政の改革というものは毎年でもやっていくのが私は姿としては正しいと思うのです。このような変化の起きたときでありますからして、当初特にこれはやらねばいけないというような問題を取り上げて、そうして三年とか五年とかというくらいの日をかけて一つずつでも着実に片づけていくというのが私は実際的ではないかと思っております。ここで行財政の根本的改革を図るなんというようなことを言っても実はなかなかむずかしいのではないかという考えを私は持っておるがゆえに、いま申し上げたような考え方を申し述べておるわけであります。  そこで、今度、財政の問題になりますと、来年度予算編成に当たりましては、きのりも山田委員よりいろいろと御指摘もございましたが、このように国の税収入も非常な落ち込みをしている。そしていまもう御案内のようにこの臨時国会といいますか、これが、まあそんなことを私が言うのは少し越権でありますけれども、あるいは会期延長もせねばならないのではないかというような話も出ておると聞いておるのでありまして、そういうことをやっておるときに、ここで抜本的に財政問題についての考え方を変えて、そしてその問題で大蔵省と折衝するなどということは、やってもとうてい来年度予算の編成に間に合わないと私は思うのであります。ということになると、結果としていまのような、少なくとも来年一年はことしと同じような仕組みでいかざるを得ないのではないか。言いかえれば、やはり来年も二兆円になりますか、幾らになりますか、私、いま明言することはできませんけれども、その程度以上の赤字が出るものと想定しながら予算編成を行わざるを得ないのではないかという考え方を持っておるわけであります。しかし、五十二年度には、先般もちょっと申し上げたのでありますが、何らかの抜本的な見直し財政の問題についてはすることについてひとつ検討を加え、また、関係省との間で協議もしていくということにいたすべきではないか、かように存じておるわけであります。
  30. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 二点目の、この措置でも解決しない、いわゆる実際の自治体の歳出についてどのように処置なさるおつもりか、その見解を承りたいと思います。
  31. 福田一

    福田(一)国務大臣 歳入歳出両面から問題は考えていかなければならないんでありますから、私は、歳入面のことについて先ほども申し上げておったわけでありますが、歳出面においても、国、地方を通じてやはりこの際、適正化をするといいますか、是正をすべきものがあれば是正をするというような方向において問題の解決を図るべきである、かように考えておるわけであります。
  32. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 けさの新聞を拝見しますと、今回の地方財政対策を大蔵省とお話し合いになったときに、国も台所が苦しいから交付税率の引き上げなど地方財政制度の改革問題には当分触れない、いわば休戦協定を結んだというお話が実は新聞に載っているのであります。真偽のほどをここでお尋ねをしたいわけですが、もしそれが事実であるとすればこれは大変なことでありまして、まさに自治省が大蔵省のしもべになってしまう、あるいは地方自治が国の従属物のようなことになってしまうと思うのです。そんなことはないと思うのですけれども、あえて、あるかどうか、承っておきたいと思います。
  33. 福田一

    福田(一)国務大臣 あの記事は、全然われわれの関知するところではありません。また、そんなことを大蔵省とわれわれは話をしたこともございません。
  34. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そうしますと、いま大臣が言われたわけですが、今日の地方財政制度の改革の問題というのは、正直なところ、三年間のんびり待っているという状態にはない、もっと切迫したものだろうと私は思うのであります。また、五十年、五十一年、五十二年と三年間も資金運用部から借りたり、あるいは赤字国債と競合して地方債の消化が可能であるかどうかというようなことも考えなければならぬと思うのであります。もう少し早く制度の問題を含めた改革の展望をお示し願うべきではないだろうかと私は思うのであります。それについて御見解を賜りたいと思います。
  35. 松浦功

    松浦(功)政府委員 御承知のように、今回の補正予算におきましても、一体経済の動向がどちらを向くかということ、特に法人等の税収入がどういう形になるかということを中心に、大蔵省もその先行きの見通しについてなかなか決意がつかない、これが実態でございましたことはよく御承知のとおりであります。したがって、現在の段階で、本年度の税収入の見通しすらなかなかつかないような状況で、こうしますという案をつくること自体が、もしできたといたしましても非常に信の置けないものになるはずでございます。  私どもといたしましては、大臣お答えになられましたように、五十二年度には基本的な対策というものを国、地方を通じて講ぜざるを得ない時期が来るのではないかと見ております。したがって、本年度、来年度、これはともかく地方財政の運営に支障がないように、どういう形で措置するかはいろいろの方法があるかと思いまするけれども措置をする、それは固い決意を持っております。財政計画を、いままでどおりのルールで歳出を計上していく、それに見合う歳入を確保すれば一応地方財政に回るはずでございます。そういう観点で努力をいたしたいと思っておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  36. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 しかし、現実には地方自治は生きているわけでありまして、可及的速やかにやはり自治省がイニシアチブをとって、できることなら自治体の労働者や市民の参加も含めた、制度改革に対するいわば原案といいましょうか、そういう検討を始める時期が来ているのではないだろうか。それを軸にして、いま大臣の御答弁の中にございましたように、自治省だけでは不十分でございますから、各省にも呼びかけて、政府全体が取り組んでいく姿勢をこの際お示し願わなくてはならぬのではないだろううか、私はこういうふうに思うのであります。また、地方制度調査会にも審議をお願いすることなどを含めて、とにかく今日の危機を突破していくいわば政府の姿勢、とりわけ自治省の姿勢というものを、態度でお示しいただくことが今日ではきわめて重要だと思いますけれども大臣、ひとつ自治省の中で議論をしていく、その議論を開始していく時期だ、私はこう思うのでありますが、それについてぜひ御理解をいただきたいと思います。
  37. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘ごもっともでございまして、私自身はいまあなたのおっしゃったような意味で問題の提起をしなければならないが、その提起をしても、自治省考え方が、ある程度素案になるようなものとか考え方が全然まとまっておらないでそういうことを発言するわけにはいきませんから、そこでそういうことをひとつ検討をするというか、意見をまとめろということを私は具体的にも下の方に申し伝えてあります。まだ出てきておりませんが申し伝えてあります。  そこで問題は、いまあなたのおっしゃったことですが、まあ少しここいらでわれわれは与野党を通じて——いまあなたのおっしゃったのは、住民の気持ちをくみ上げろとおっしゃる、これはごもっともなことであります。それについて、やはりこういう改革をする場合に、お互いにその意見が非常に違っておってはなかなかうまくいかないのですね。たとえば地方制度調査会というようなものを運営してみましても、どうもなかなかまとまらないのですね。だから、やってもまとまらないから、実際それじゃ意見をどっちかへ統一する、そういうわけにはいきませんが、何かそこに一つのコンセンサスが出るような配慮をみんなでもってやるということでありませんといけないわけなんですね。いまの日本の政治で一番問題になることは、そのコンセンサスを得るような素地がなかなかできておらないということが一番私は、——考え方はあっても、たとえば野党のお方も一つのお考えを持っておいでになる、そのお考えはやはり自治をどういうふうにして拡充していくか、あるいはもっとこの自治に力をつけるかという、地方に力をつけるかということだと思うのです。この点では何も野党も与党もちっとも変わっていないわけですね。その総論の方では一致している、さてそれを具体化するとなるとなかなかこれが一致を見ないのですね。それをわれわれは非常にいま心配もし、恐れてもおるわけでありますが、こいねがわくは、私はそういう意味で、こういう低成長時代に入ってきておるのだからいままでのとは違っているのだ、今後どういうふうにしていくかということについて、各党、また各分野の問題についてそれぞれの有識者がひとつ話し合いをして何かの一つ意見をまとめる、まずそういう考え方に立つことでありませんと、いたずらに調査会をつくったとか、こういう考え方を言っていますということを言うことは、題目を唱えるだけであって、実現しない可能性があると思う。この点はぼくは野党のお方もよくわかっていただいておると思うのでありますから、そういう意味で、まずそういうふうに今度はやろうじゃないかというような空気が出ることが私は非常に望ましいことだと思っております。
  38. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そういう小委員会のようなもの、自治体労働者や市民や、与野党含めてといういま大臣お話もありましたが、そういうものをつくっていくときに、あらかじめ升をつくることは、実は現実にいま意見の食い違いがあるわけですから、それはやはりできないというのじゃなしに、それをも含めて議論をしていかないと、私は、松浦さんがたとえばことしも税収見込みがつかめないという状態なんだから数字を出せっこないじゃないかとおっしゃるけれども、それじゃ来年、再来年というときに急速なたとえば景気の回復というようなものは見込めるかといえば、率直なところもう目に見えているわけであります。好むと好まざるとにかかわらず、それはたとえば環境公害問題をとらえても、あるいは工場立地その他の問題を考えても、あるいは資源問題をとらえてみても、急速に日本が高度経済成長に戻っていくという条件は存在しないわけでありますから、まさに好むと好まざるとにかかわらず低成長下の地方財政というものを見詰めざるを得ません。ですからそういうときに、いまの緊急ないわば危機ともいうべきこの危機を突破していく手だてについて、いま大臣が野党やあるいは市民や自治体労働者を含めた議論をする場所をつくることにやぶさかでないというふうにおっしゃったわけでありますから、ぜひともその点は早急に、そういうイニシアチブを大臣がおとりになるように私は期待をいたしたいと思いますし、そのことを要求いたしたいと思うのであります。  さて、引き続いてお尋ねをしたいと思うのですが、最近の地方公共団体財政状況がきわめて深刻だということは言うまでもありません。特にその一つの表現として、かつて富裕団体と言われた自治体を含めて軒並みに赤字が拡大をしているわけであります。それは不況とインフレの同時進行といういわゆるスタグフレーションと言われるものが大きな原因になっていることは言うまでもありません。さきの予算委員会で三木総理が政府の経済見通しの誤りをお認めになりましたけれども地方財政の方も、いわば大蔵省というか、政府の楽観的な政策方針に追随をして、危機に対応する改革案というものを示し得なかった責任というものをやはりとらなければいけないと私は思うのであります。率直に申し上げますならば、それは自治体も、そして私ども政治家を含めて反省を迫られていると言うべきでありますけれども、しかし、その中で私はあえて自治省当局の見通しと対策の欠落を指摘しないわけにはまいりません。今日の危機というのは、実は突然起こったわけではなくて、二、三年の国内外の経済の中に進行をしてきた、そういうものだというふうに私は考えます。そういう点で自治大臣の、いわば今日の事態に陥れたというか、招いてしまった反省の気持ちをぜひ承っておきたいと思います。
  39. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまお述べになりましたように、非常な財源不足を来すような経済情勢にあるという見通しを誤っておったではないかということについては、昨日も遺憾であるということを申し上げたわけでございます。しからばこれに対する手当てをもっと甲急にやるべきではなかったか、こういうお話でありますが、御案内のように、これがはっきりいたしてまいりましたのは九月前後になってはっきりそういう姿が出てきたわけでございまして、いままでは、少なくとも一応地方財政計画で組んだような歳入があんなに落ち込むとは考えておらなかったわけでございます。そこで、ことしの分としてはじゃどうするかということで、御案内のように、いま交付税の落ち込みについて、また一方地方税の落ち込みについての対策を今度立てたというところでございまして、そこで次に来るものは何かと言えば、やはり来年度予算編成という問題にどうしてもまいります。その場合においては、時期的に見て新しい制度に移行する、たとえば交付税率の引き上げなども一つ考え方でありますけれども、この前、交付税率が引き上げられるまでには七年間の議論があったわけでございまして、もちろんその後もずっと続いて税率の引き上げ問題が続いておりますけれども、歳入が毎年毎年高度成長でふえておったものですから、余り議論にならなかった。ところが、いまこういうような赤字が出てきたので非常に深刻な問題として受けとめられるようになったわけでありまして、これをどういうふうに見ていくかということ等についてなかなかそう簡単にここで結論を申し上げることはむずかしいと思うのであります。  いずれにしても、来年度予算の編成では困難であるとしても、再来年度予算編成、すなわち五十二年度予算編成に当たっては、いまも財政局長が申し上げましたように、この問題についていかなる措置をとって処理をするかということは、まだ案は決まっておりませんけれども、このままのやり方を三年間続けられるかどうか、またそれが至当であるかどうかということになると、われわれとしては、そのような考え方に立つわけにはいかぬ、何とかここでひとつ対策考えざるを得ない、こういう見地に立っておるということを申し上げたのでございます。
  40. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま大臣、五十二年度から具体的な措置というふうにおっしゃいましたが、そのとおりでございますね。
  41. 福田一

    福田(一)国務大臣 これは五十二年度からやるというよりは、まだやる案の内容も決まってない、どういうように措置をするかということも決まっておらないから、五十二年度を目途にしてその抜本的な方途によって国と地方との関係を律し、あるいはまたその機構の改革等も考える、こういう意味理解していただきたいと思っております。
  42. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それからの議論というものを前提にして申し上げますと、いま大臣が言われましたし、三木総理も経済見通しの誤りということを指摘されたわけであります。これは未曽有の財政危機というわけでありまして、その財政危機というものについて、どうも最近は地方財政危機が人件費にあるとかあるいは福祉の先取りにあるというふうにそこだけを強調なさる、そういう面が非常にいま目につくわけであります。率直に言ってぎらつくわけであります。しかし、いまお答えをいただいたように、いわば日本経済全体の、もっと大きな言葉で言えば国際的な景気の後退、とりわけその中における日本の景気の後退は大変深刻であります。けれども、それらの状況を考えてみると、文字どおりそれは構造的な危機だというふうに私はとらえざるを得ないのであります。だからこそ抜本的な対策が議論されていかなければならない事態を迎えている、このように思います。したがって、人件費や福祉の先取りだけに原因を、ハイライトを当てて、そして国民に見せていくようなやり方——なさっていなければそれでいいのですが、そういうふうに見えるやり方というのは穏当ではないというふうに思いますが、大臣、その点で御見解を承りたいと思います。
  43. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は今度、このいまの現段階において、いま申されたような人件費の問題あるいは経費の合理化を図るというようなことだけに問題をしぼって措置をしていこうという考えではございません。しかし、その問題をネグレクトしていいとは私は考えておりません。現に、ニューヨークなども十年間の福祉の先取りが今日の破産を招いておるのでありまして、日本においても福祉関係を充実せねばいけない、ニューヨークに続けというような意見がずいぶんありまして、これを模範にした時代もあったことは、これはもう明瞭でございます。ニューヨークではこうしておった、スウェーデンではこうなっておる、こういうような意見がよく国会その他の場においてもあったわけでありますけれども、私は何もニューヨークを云々するつもりはございませんが、海外でこうあったからそれだから日本もこうしなければいけないという議論は、いままでにやっていい議論であって、これからはそういう考え方は捨てなければならない。日本の国土において日本の国力においてどれだけのことができるかということを、今度は一つの別の柱として立てる。海外の事情ということを一つの柱に立てることは依然として必要でございます。しかし同時に、日本の国土というものにおいてはどれくらいの財政力があるか、また、それにおいてはどういうような福祉の実現を図っていくかというのは、それぞれによって違うわけですね。皆同じような福祉行政をやったらいいというわけでもなければ、パーセンテージも同じでなければいけない、そういう議論はなかったわけでありますけれども、そういうことではなくて、私は日本の力というものをはっきり認識をし、そしてその上に立って福祉の行政を進めていく。また、もし収入がなかなかふえないというような段階ならば、場合によっては経費の振りかえ、緊急でないものは抑えて、そして福祉の方へ回すという物の考え方も当然あってしかるべきであると思うのであります。それから同じくこの福祉行政をやっていく場合にも、一年でもって一挙にやるということができなければ、二年なり三年なり五年なりという長期の見通しで、ことしはこれまで、来年はこうしてと、こういうような立て方もあるのではないかと思うのであります。そういうふうに全体としてやはり世界の経済情勢をにらみ、それからその中において世界経済に対してわれわれがやらなければならない問題点も踏まえ、同時にまた、日本の風土、国土、そしてこういう狭小な国土の中に一億一千万以上の人口があり、しかもこれがまだ一億三千万までふえるのではないかと言われている時代であります。私は、国民総生産が伸びるということをよく——どの程度伸ばすかということはいろいろ議論が出ておるところでありますが、たとえば四%伸びるとか六%伸びると言いますけれども人口が一%ずつふえれば、今度は所得ということになるとその分だけはカットしなければならないわけですね。そういう点も含めて人口問題というのが最近ちょっとネグレクトされておる、世界の経済の問題を考えるときにもこの問題が余り取り上げられておらない、日本の場合もそれが案外取り上げられておらないことがあると思うのです。人口急増地域の高等学校の増設云々の問題もよく私はいまの段階においてせなければならぬということはわかっております。それじゃ今度は減ってきてまたそれが要らなくなるような時期が六、七年後にあるということも考えると、これらもにらみ合わせながら施策を考えていくということも必要になる。少し言い過ぎになりますけれども、とにかく私の言うているところは、人口問題ということも加味しながら、やはり施策というものをここで考えなければいけないのではないかということを申し上げたわけでございます。  いずれにしても、私たちとしては、しかし、福祉問題をネグレクトしていいなどという考えは毛頭ございません。同時にまた、いままで言っておったが、それだけにハイライトを当てたかとおっしゃるけれども、私たちは何もそこだけにハイライトを当てたわけじゃなくて、やはり人件費の問題も、また経理、経営の合理化も同時に考えていかなければならない問題である、このように認識をいたしておるわけでございます。
  44. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 地方と国の財政関係というのは、基本的には財政法第二条で示されている相互尊重の原則、それから片方では地方交付税法の六条や七条に規定されている地方財政に対する国の最終責任と言われるものによって規定されていると思うのであります。でも大臣御存じのとおりに、いわば高度経済成長政策の時代、住民の現実の必要に追られて、住民と最も身近な自治体というものが新しい行政施策を取り上げざるを得なかった、そういう経過はお認めになると思うのであります。その中でたとえば老人福祉や公害対策ども一つの要素であります。そこでは実はまず地方自治体が問題を取り上げている。それが行政としてある程度定着してきた段階で国がそれを法制化するというような、そういう手順といいましょうか段階があったことも御理解を願えると思うのであります。そういう意味では地方財源保障の制度というのは、国が期待する行政水準を維持するだけではなくて、もちろんそれも大事でありましょうが、それだけではなくて、可能な限り地方公共団体の自主的な行政を配慮し、それを尊重していくということが必要ではないだろうかというふうに私は思うのです。その点についていかがお考えかということと、その点に関連して、いま大臣答弁の中にもございましたけれども人口問題を取り上げるということは大賛成です。それはもうぜひ内閣でも議論をいただきたいと思うのであります。本当にそのことを見詰めてみる討論の場所というのが国会にもございません。これは賛成でありますが、それと同時に、いまあるべき福祉のいわゆるナショナルミニマムとでもいいましょうか、そういうものが明示されてそれを目指して努力をしていくという、この目標というものが現代では非常に重要な課題になってきていると思うのですが、その二点について大臣の見解を煩わしたいと思います。
  45. 福田一

    福田(一)国務大臣 あなたのおっしゃることに私は何も異議はございません。いまおっしゃったような考え方で進めていくべきであると思います。特に高度成長の時代には財源が地方自治体に予定よりはよけい入っておったことも御承知のとおりであります。そのときにこういうことをしてもらいたい、ああいうことをしてもらいたいという住民の要望があれば、財源のあるところはできるだけそれを満たそうとして努力をしてきたこと、それが国の一般的な福祉政策より若干前に出ておったということも事実でございまして、それを私はあながち否定すべきではないと思うのです、それが実を言うと自治なんですから。しかし、それならば自治というのは、ふえるときにそうであるならば減るときもやはりそれに対応することは私は必要だと思うのです。ふえるときにはそのままにしておいて、減ったときには国で全部めんどうを見ろ、そうしてそういうことも前に進めろということだけでは、私は相互が扶助するというか、相互が連絡をとってそして政治全体を円満に運営していくということにはならないと思うのです。そこでいまミニマムの福祉の問題はどう処置していくか、たとえば保険料なら保険料一つにしてもどこら辺まで見るのがいいかとか、これは厚生省関係の仕事がずいぶんだくさんあるわけでございますが、そういうことはそれぞれの役所においてやっておりますが、しかし、それにわれわれが無関心であってはいけない。やはり自治の考えから見て、一つの道筋というか原則というものはもちろん持たなければいけません。そういう意味ではわれわれも努力をいたすべきであると考えておるのであります。まあ、こういう新しい、二十年に一度というような改革を要すべき時期に来ておるのではないかと私は思いますので、今後はそれを踏まえて問題の処理に当たってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  46. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま自然増収というか税収が豊富なときにやった措置というものを、税収が減ってきたからそれはカットしていくというふうな意味のことをおっしゃったのですが——そうではないのですか。それじゃ後でお答えをいただきたいと思うのですが、私はある程度そういう形で定着してきたものというのは、なぜ私がナショナルミニマムというふうに言ったかというと、そこに到達した福祉のレベルというのは、ある意味で日本全体の福祉を引き上げている機能を持っていると思うのですよ。だから、それを伸縮自在に、財政が危なくなってきたからそれで切り捨てていくという形では本当の意味の福祉になり得ないのではないだろうかと思いますので、私の言葉が強ければなんでございますけれども、やはり全体のレベルを引き上げていくということであるならば、その中で、たとえば老人福祉を見詰めてきたように、全体のレベルに広げていくという役割りがいまこそ国のサイドで見詰められるべき時期ではないだろうか、こういうふうに思いますが、それについてちょっと見解をいただきたいと思います。
  47. 福田一

    福田(一)国務大臣 それはいままで福祉の先取りという言葉がいいかどうかは別にして、歳入がふえるという場合にやってくるのは地域によって皆違っておりますね。そこで一番最高のものを基準にして、それがナショナルミニマムになるかどうかということになると問題があるということを私は申し上げておるのでありまして、一応レベルを模索するというか考えて、この程度は住民の、国民の全体としての希望であるということは支えていかなければならないと私は思っておるわけです。切り捨てるなどということは考えておりません。その意味では切り捨てなどということは考えておりませんが、しかし先取りをして、あるいは全部いいことだからそれに全部右へならえをするという考え方では無理ではないかということを私は申し上げたつもりでございますから、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  48. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま大臣からナショナルミニマムのお話がございましたが、観点を変えて、地方団体である施策が住民の要望で実現をしておった、それは高度成長時代における自然増収が支えになってできておったと仮定をいたします。その場合に、低成長になったら自然増収が飛んでしまう、一体どうするのだ。私どもといたしましては、大臣からお話がございましたように、そういったものを直ちに切り捨てたらいいという考えを持っておるわけではございません。それは住民の理解を得て、どうしても増収の道を図ることができない場合にはコンセンサスを得て切り捨てるということもあろうかと思いますけれども、私どもは経費の振りかえを行うなりあるいは住民のコンセンサスのもとに増収の道を図るなりということも方途だと思うのでございますが、ただ足りなくなったからそれを国の方で財源措置をしろという議論には賛同しかねる、こういうふうに考えておりますので御了解をいただきたいと思います。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 全体のレベルを引き上げていくという配慮をこれからしていくつもりであるという点で、できるだけ到達したレベルを平準化していく努力の中に、福祉のレベルアップをこの際考えていただきたいということを私はあえて要請を申し上げておきたいと思うのです。  たとえば、いまの問題とも関連しますが、地方財政危機に陥ったときに、収支の適合が至上命題であるという形で政府の指示のもとで行政規模を切り詰めてきた経験が過去にはございました。特に民生関係費を含む行政経費の大幅な削減あるいは行政整理を含む人件費圧縮がまさにその典型でありましょう。先ほど大臣からそれだけを目のかたきにしたわけじゃない、同時に、それはそれとしていままでの実績を考慮しながらということをおっしゃったわけですから、私はそれ以上申し上げる必要はないと思うのですが、しかし、今回の措置の中にも結局は経済的に弱い立場に置かれた人たちやあるいはそこに働いている人たちを犠牲にする形で危機の克服が行われる危険性を強調せざるを得ないのであります。私はこれは重大な問題だと指摘をせざるを得ません。たとえば、それはきのうきょうの新聞などにも出ておりますが、地方公務員の賃金の確定が例年に比べると大変おくれております。それは確かに全般的な財政危機という問題はありましょうけれども、どうやら自治省の内簡や次官通達あるいは人事委員会を招集してというふうな、かねてから問題になっている幾つかの点が、まあ干渉というふうにとらえる見方をも含めて行われてきたことは事実であります。予算が通り国家公務員の方の給与は決まるという段階をもう目前に迎えているわけでありますが、財政危機が深刻であるだけに労使の円満な関係といわれるものが非常に重視されなければならぬだろうというふうに思います。各県で組合の皆さんと、それから当局といいましょうか、県や市などと具体的な話し合いが続けられていることも、大臣御承知のとおりであります。私は、そういう自主的な努力というものが非常に重要だし、率直なところ急速にこの一、二年で、あるいは三年というようなことで、地方公務員労働者のそういう犠牲で問題の解決を図っていこうというやり方がもしあるとすれば、大変不当だと言わなければなりませんけれども、そのようなことはないそしてそのようなことはなさらないというふうに、大臣にぜひこの際見解を承りたいと思うのであります。
  50. 福田一

    福田(一)国務大臣 結局は人件費の問題が中心に取り上げられておるように承ったのでありますけれども、私たちは合理的な、大体平等感というものが徹底されればそれでいいと思っているわけであります。平等という意味をどこでとるかということで、ラスパイレス方式というのが出てきたわけでありますが、実際問題として私は自分も二十年間月給取りをしておりましたからね。だから同じような人のあれを比較しますと、AとBの会社で、同じ年度に同じ大学を出た、しかも同じような仕事をしている人の月給を比較してみると、すぐ大体AとBの会社の給与の体系というものは比較ができるのです。それが一つの指針になっておるわけでありますから、これがあるから、絶対に一分一厘変わらないようにせいというようなことを私は申し上げてないことは、前々からここで御披露させていただいておるのであります。しかし、やはり公平にそういうことが行われるように、なるべくそういう方向に持っていくように努力をしてもらいたいということは、いまでもその方針を変えてはおりません。その気持ちはいまでも変わっておりません。これは将来にわたって変わらないだろうと思います。それは不公平だということになるからであります。  そこで、いまあなたのおっしゃったことは、とにかくこういう財政危機のときに、仲よくやっていかなければできないのに、そういうことで競り合わないで、ひとつ仲よく危機の解消に、こういうことだと思うのであります。しかし、仲よくするということは結構なことでございますけれども、仲よくすることによって公平の原則が失われても困るんですね。住民のサイドから見て、どうもそれは困るというようなことであってもいけないわけですから。相対立するものが一応あったといたしました場合に、片一方が自分の主張だけを言うておるというのでは、仲よくなるということにならないと私は思うのです。仲よくなるというのは両方が折れるということであります。私が折れているというのは、ラスパイレスは全部そのとおりやりなさい、すぐにやりなさいというようなことは言わないで、折れているつもりなんです。しかし、そういうふうな差があるものならば、順次是正をするように考えてもらいたい。そこへ来なければ、これはいわゆる仲よくなるということにはならない。自分の主張はあくまでも正しいということで、それを主張しておられれば、これはもうなかなか仲よくなるということにならないと思うのです。そこを踏まえながらお互いによく話をし合うということならば、全面的に賛成でございます。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 どうも自治大臣、わが方はすでに折れているのだ、こうおっしゃるのですが、どうも私どもの判断では、わが方はまだ折れ方が足りないのではないだろうかという感じがするのであります。と申しますのは、ラスパイレスの議論がこの委員会でももう何回か行われてきましたから、それを私が改めてここで議論するつもりはございません。ただ、地方公務員といわれる、いわば本当に住民の生活の一番身近なところで、文字どおり市民のサービスというか住民のサービスというものに携わっている人たち、あるいは公害行政などの面で言えば、そこにある大企業のそうした担当者よりも優秀な人たち——いわは企業の利益を守っていこうという立場の人たちに対して、技術的にもそしてまた同時に能力の上でも、それはおかしい、間違っている、この際はやはり市民福祉というものを考えるべきだという議論をなさっている人たち、そしてまた、一言で言えば優秀な人材といいましょうか、そういう者を確保していくことが自治体の行政の上で非常に重要だと私は思うのであります。ですから、たとえば急速に地方公務員の賃金をここで国家公務員に強引に近づけていく、そういう議論というのはまだまだ折れ方が足りないと思うのでありますが、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、その点が一点です。  それからもう一つは、人事院勧告それから人事委員会の勧告という、そういう制度が生まれてきた背景というのは、もはや私が多くのことを申し上げる必要はないと思うのであります。いま公労協のスト権の問題がいろいろ議論されておりますけれども、いわば労働者が団結をして、そしてその団結の力を使っていく、そういう手だてというものが取り上げられた経過からその問題があるわけでありますので、いわば代償措置というものについての配慮を、片方で公労協のスト権の問題が議論されているときでもありますので、重視すべきであろうと思うのであります。その意味で、自治省が干渉と見えるようなそういう措置をおとりにならないように私は指摘をしたいと思うのですが、今後そのような配慮といわれるものを続けていかれるかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
  52. 福田一

    福田(一)国務大臣 岩垂さんは非常にまじめなお方でもあるし、私はその人柄を信じておりますから、あなたのおっしゃることを頭から否定するような物の考え一つも持っておりません。ただ、もっと折れろ、もう少し折れたらいいじゃないかというお話でありますが、私はこの点は、ここで折れることはできないということをしばしば申し上げておりますし、私の考え方を変える意思はございません。  それから、人事院の勧告その他でございますが、すべて世の中で、制度があってもその制度がうまく運営されているかどうかということが問題なのでございます。制度というものは、非常にいい制度であってもうまく運営されておらないとかえって弊害を生ずる場合もございます。そういう点も考えてみなければならないのじゃないか。私はこの機会において、地方の人事委員会の勧告がいろいろ出ておりますけれども、果して人事委員会の勧告がうまく運営されておるかどうか具体的に調べてみると、その地域の農協とかあるいは会社とかというようなところと、ちゃんと一応均衡がとれるようにという意味でうまくいっているのかどうかというようなことを見てみると、所によってうまくいっていないところもあるように私は聞いておる。実は私が調べたわけじゃないが、役所の方で調べるというとそういうところもある。全部が全部そうじゃありませんよ。それをみんな一律に言ってはいけません。非常にうまくやってくだすっているところもあるし、また余りうまくいかないところもある。すなわち、制度はいい制度なんですよ、人事委員会勧告という制度は。しかし、制度が完全であるからといって運営が完全であるというわけにはいかないと私は思うのです。そこいらはやはりひとつお考えを願いたいと思うのでありまして、そういう場合において自治省制度を何も否定はいたしておりません。しかし、それがうまく運営されておるかどうかという点について一つのアドバイスをするということがあっても、私はこれはお認めをいただくよりほかないと思っておるのであります。大体給与を上げるということは私賛成なんですよ、私も月給取りをしておったからよくわかるのだ、それは苦しいのですから。それからまた、上げるとまた上げてもらいたいのですよ。隴を得て蜀を望む、これはもう人間の欲望というものは限りがないのですから。だから、それはもうよくわかりますけれども、それだからといって、制度自体がうまく運営されていないのに、制度がいいのだからすべて善であるという断定を下すのは少し無理ではないかということを私は申し上げておるわけでございます。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 禅問答になっちゃったのですが、やはり制度というのが生まれてきた背景があるわけですから、その制度はやはり尊重していくということが重要だと思うのですよ。それで、いま大臣がお言葉の中で、うまく運営されてないところが一部に、こうおっしゃっているわけですから、おおむねはうまくいっているというふうに考えていいですか。ちょっと揚げ足を取る議論で私も聞きにくいのですが、やはりその辺ははっきりさせておいていただきたいと思うのです。つまり、そうしませんと、制度それ自体を歴史的な経過を含めて否定することになりかねないのであります。制度はもちろん中身を伴って制度としての意味を持つことは事実でありますが、しかし、制度それ自身のあり方も含めて尊重されていかないと、社会的なルールは守られないということだけは事実でございますので、禅問答でなくてひとつ明確にお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  54. 福田一

    福田(一)国務大臣 私が申し上げておるのは、これがこうであるという断定をして、制度の運営が間違っておると言っておるわけではないのであります。私は制度は結構であると言っておる。制度が結構であっても運営はやはり合理的でなければいけませんよ、こういうことを申し上げておるのです。その例としてそういうようなものもあるやに聞いたということでございまして、すべてがどうだとかこうだとかいう意味で申し上げておるわけではございません。やはり制度というものは合理的また正しいことであっても、運営が間違っておると、たとえば民主主義、議会政治というものはどういうことだ、多数決というのはこれは原則だといっても、なかなかそのとおり行われない場合もあるようでございます。こういうふうに、制度が正しくても運営必ずしもうまくいっておらない場合は多々あるわけでございます。われわれの願うところは、やはり制度は結構であるが運営をひとつうまくやるようにしてもらいたいということを申し上げておるのでございます。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 制度が大事なんですよ、大臣。議会制民主主義がうまくいっていない、こういうふうにおっしゃるけれども、それはやはりそのうまくいっていないことも含めて制度なんですよ。  それで、はっきり申し上げたいと思うのですが、その少数の例を挙げて、自治省として助言を申し上げる、こういうふうにおっしゃいました。助言というのは、人事委員会の勧告と言われるものの完全実施について、これはまずいぞ、これは調子よくないぞというふうに助言をなさるおつもりですか。
  56. 福田一

    福田(一)国務大臣 そういう意図は持っておりません。それは自治体が条例によって決めるところでございます。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 じゃ人事委員会の勧告は尊重していくということについて、国もそうでありますが、そのように考えてようございますか。
  58. 福田一

    福田(一)国務大臣 それはちょっと、そこへ結びつけるのはいささか無理があるんじゃないでしょうか。要するに、制度は正しいけれども、しかし、その制度について一つの結論が出た場合に、やはり市にしても町村にしても、市会あるいは町会というようなものがありますから、そこで条例をつくるときに、よく事態を議員が認識をしてそして裁定をするということが必要になるのではないか、こういうふうに私は思っております。しかし、具体的にそれをどうしなさい、こうしなさいということは自治省としては言えない立場にあることは、これはもう明瞭であります。一般論を申し上げておるわけであります。
  59. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 人件費問題はまたほかの委員が集中的にお尋ねをすることになっていますから、大臣、時間もございませんが、もう一、二お時間をいただきたいと思うのです。  これまで自治省地方債計画において、自治体の地方債の発行というものを厳しく実は抑制をされてこられました。赤字補てんのための起債などというのはおよそ認められるとはいままでも思わなかったのですが、今回は歳入補てんの地方債をお認めになったわけであります。これは地方財政の異常な事態に対する措置だと説明をされているわけでありますけれども、この状態というのは過渡的なものだというふうにやはりお考えになりますか。先ほどからの議論の中にもいろいろありますけれども、改めて承っておきたいと思います。
  60. 松浦功

    松浦(功)政府委員 この前も申し上げたと思いますが、赤字債を認めるということは全然考えていないわけでございます。今度のやつは減収補てん債、しかも法律の規定は五条の特例起債対象範囲を拡大したというにすぎないのであって、金が足りないものに起債を認めるのではございません。標準税収入に対して税が落ち込んだ額について地方債を認めようということでございますので、全くの特例というふうに考えております。あくまで過渡的な全く特例であって、私ども来年のことははっきり申し上げかねますが、できれば来年はこの規定はつくらないでも渡れるようにいたすべきだというふうに基本的には考えております。
  61. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 大臣、もう五分あるようですからちょっと伺いますが、念のために申し上げますけれども、今度の措置というのは、要するに交付団体、不交付団体を問わず、それを差別しないで補てん債を認めるということでございますね。
  62. 松浦功

    松浦(功)政府委員 さようでございます。
  63. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それでは東京都の問題をちょっと伺っておきたいと思うのです。  まだ九月の決算の見通しがないわけでありますけれども、おおむね千五百三十億近い歳入欠陥が見込まれるということは財政局長御存じのとおりでありますが、今後若干の変動があるとしても、東京都の補てん債というのはおおむねこの辺のめどだというふうに考えてようございますか。
  64. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私どもはどの程度になるかまだわかりません。東京都が、落ち込みがそのぐらいだろうとおっしゃっておられるわけでございます。
  65. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 東京都が、そうであるということの意味は、当事者がそういうふうに導き出すわけでありますから、そうであるとすれば、——そうであるとすればという仮定で申し上げますが、そのように考えてようございますか。
  66. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私の方で計算してそういう数字になれば、そのとおりになる、こういうことでございます。
  67. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間ですから、大臣、結構です。  財政局長にお尋ねをいたしますが、今回の措置自治省が、先ほど見解の表明がありましたが、地方債の発行原則というものについて、率直なところ一定の修正といいましょうか、そういうものをなさったというふうに私は理解をいたしますが、これからの地方財政需要を賄っていくためには、もちろん地方債、それからさらにいわば民間金融の活用と言われるものも不可欠であることは御指摘のとおりでありますが、その場合に、これは鈴木武教授が提案をしておられるのですが、たとえば公営企業金融公庫を改組して、普通会計にも融資できる、いわば地方団体中央金庫というようなものを設けたらどうかという提言があるわけであります。これは将来の問題でありますけれども、私は、この辺のところはやはり少し問題提起をなさることが重要じゃないか、こんなふうに思うので、これが一点。  それからもう一つは、この際の教訓を考えてみてというふうに言うと言葉が過ぎるわけですが、適債事業については許可制をやめて自動承認制に転換するというようなことを御検討なさるおつもりは、今回の教訓からございますかどうか、検討なさってほしいと私は思うのですが、お伺いをしたいと思います。
  68. 松浦功

    松浦(功)政府委員 後段の適債事業については許可制をやめるということについては、毎回お答えを申し上げておりますように、当分の間許可制が必要であるということを繰り返して申し上げておりますところで、自治省としての態度は変わっておりません。  前段の中央金庫の問題は、自治省としては非常に長年の悲願でございます、前向きに検討いたしたい、ということをこれまで繰り返してお話を申し上げてまいりました。ただいま逆に先生の方から、そう簡単にいかない問題だろうがということもおっしゃられたのですが、実はこの問題は来年度予算編成をめぐって、恐らく大蔵省との間に最大の問題点になる問題だと私ども考えております。と申しますのは、政府資金がございません。ない以上、地方公共団体にできるだけ低利の資金を回すとすれば、政府資金並みのものをつくるしか方法はないわけです。そのつくるための機関として中央金庫をつくるべきだというのが自治省の主張でございます。どういう形で大蔵省と折衝に入るかはこの段階で何とも申し上げかねる問題でございますけれども、例年になくこの問題には真剣と申しますか、できるだけ早い時期にという態度で、いままでと変わった態度で、周りの情勢が変わってまいりましたから、地方団体にできるだけ低廉な良質の資金を回すということを基礎に置いて鋭意努力をいたしたい、こう考えております。
  69. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 努力したがだめだったというのじゃなしに、それこそ周りの条件を総動員して、そして実現をするように努力をいただきたいというふうに私は思うわけであります。  さて、これはちょっと角度を変えて、今回の予算、特に補正予算の組み方といいましょうか、あるいは組み込まれた内容といいましょうか、という面から見ますと、巨額な国債発行によって財政の運営を図っていこう、こういうわけであります。これは従来の財政運営のあり方を大きく転換したものだと言わざるを得ないと思うのであります。それは深刻な不況による歳入の欠陥と、それから先ほどから申し上げているところの低成長の時代における税の自然増収というものが停滞をせざるを得ない、だから国債に依存をしていくという大転換だということをあえて申し上げたいと思います。また同時に、大蔵大臣予算委員会でも来年度以降も特例法による国債の発行というものを明らかにしているわけでありますが、そうなりますと、国の方針が地方財政に及ぼす影響をこそくな手段でカバーできないことも先ほどからの議論のとおりであります。  そこで、高度成長時代は国は税の自然増収によって公共事業を拡大してきたわけだけれども、これに伴う地方財政の負担増というものも実は自然増収に反映した交付税増額によって確保されてきたというのが、その間のバランスが今日までの国と地方財政分担あるいは財源配分の中に連動してきたというふうに申し上げていいと思うのであります。そうしますと、今度は国が公共事業の財源を自然増収から国債というか、特に赤字国債を含む国債に転換をしてしまったわけです。つまり、このバランスは地方にとっては失われてくるわけでありまして、この段階では当然国と地方の負担配分と財源配分の再調整といわれるものがやはりどうしても必要だと思うのです。ですから、交付税率の引き上げなどを含めて、この際、自治省がそういうイニシアチブを発揮されるべきではないだろうか。そういう大きな財政の転換というのは、実は大蔵といいましょうか、政府全体の転換としてあらわれてきているわけですから、それに関連して地方財政のあり方を抜本的に解決をしていくというイニシアチブをおとりになる用意はないか。その点を、これはかなりくどいのですけれども、やはりそういう面からとらえて問題を見てみる必要があるんだろうと私は思いますので、御質問申し上げたいと思います。
  70. 松浦功

    松浦(功)政府委員 大臣からも繰り返してお話がございましたように、五十年、五十一年というのは全く異例の財政運営ということが国、地方にとって避けられない事態になっておるということだと思うのでございます。したがって、国が国債を出してバランスをとるということでございますれば、地方団体も地方債を発行してバランスをとるということで国、地方のバランスをとっておるわけです。  しかし、これが地方と国との正常な姿であるとは全然考えておらない。私どもは別にそういう決定権を持ちませんが、少なくとも第三者として国の財政なり地方財政なりを見ている限りにおいては、このままでは両方ともつぶれてしまう、早急に歳出に見合う歳入、こういう形がとれるように持っていかなければならないじゃないか、しかし、来年は事ここに至ってどうこうという抜本的な措置はとれないだろう、だから五十二年度には何か公経済全体を通じて歳入の増を図るとかあるいは歳出を切る、バランスを改めるための制度改正をせざるを得ないだろう、そのときに基本的にどういう制度をとるか、それを前提に置いて国と地方とで正しく納得し合うように財源を分け合う、そこで大きな制度改正が出てくるんじゃないかということを私どもとしては考えておるわけであります。  いずれにいたしましても、私は地方債をむやみやたらに増発をするという形で後に負債を残すことには賛成でございません。できるだけ地方税なり交付税なりで財源を充実していく。特に臨時的な経費のみについて地方債を発行する。公営企業は全部地方債、これは当然でございます。そういう考え方でございますので、本年度以降、五十二年度あるいは五十二年度にできなければ五十三年、できるだけ近い機会を目指して、国庫当局ともよく相談をしながら、いま申し上げたハム経済のバランスがとれる体制というものをつくることに力を注がなければいかぬのじゃないか、こう考えております。
  71. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 三木内閣は社会的な不公正の是正というものを公約されてきたわけですが、その立場に立って二、三お伺いをしたいと思うのでありまります。  これは東京都の新財源構想研究会で発表した数字ですから自治省も御検討いただいていると思うのですが、昭和四十七年の所得を調査分析してみて、資本金百億円以上の二十五社で法人三税の税負担率を見ると、税の軽減を考慮しない場合の実効税率は四三・六九%、しかし、租税特別措置法と法人税法による軽減措置を加えると三六・二二%に下がる。つまり実質の税負担というのは一〇%以上低いという傾向が示されているわけであります。この傾向は五十三社でも同じというか、ほとんど変わらないと言われているわけであります。細かい数字はともかくとしても、この軽減額から推算すると、百億円以上の大企業の法人三税の軽減税額は四百四十億円というふうにも言われておるわけであります。全法人では何と一兆円を超えるんじゃないだろうか、こういうふうに言われておるわけでありますが、もしこれらの優遇措置を撤廃すれば、地方税だけでも現行の二五%増収になるわけでありますが、自治省はこの傾向、傾向でございますが、お認めになるかどうか。それを前提にしながら、一体この傾向をどうお考えになり、こういう不当な措置と言われるものに対して具体的な措置を求めるべきであるというふうに私は思うのでありますが、その点についての自治省の見解を承りたいと思います。
  72. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、法人関係の税収入につきまして、特別措置法によります各種の所得控除そのほかの措置、それからそれ以外の法人税法の適用所得、こういった点で特例措置がありますのは御指摘のとおりでございます。この内容につきまして、表面的な実効税率より約一〇%程度当該年度の税収入として減収がある、これはそのどおりでございますが、その内容につきましては、大蔵省及び東京都との間にも、御案内のようにいろいろ論争のあった問題でございます。と申しますのは、この性格をどう考えるかということにも一つ問題がございまして、これは各種引当金あるいは準備金、それから特別償却、こういうものはいわゆる税の言わば延納でございますか、将来特別償却が終われば払う、こういうことでございますので、未来永劫に減税をしてしまったというものじゃないのだ、そういう面でこの考え方の基礎には非常に問題があるようでございます。それから大法人、中小法人等の関連もございますが、大蔵省あたりの算定をいたしておりますものについては、むしろ小法人、大法人、この両方にこのような特例適用のケースが多いような傾向が見える、中法人くらいがかえって適用の率が少ない、こんなようなことも言っておるようでございます。  いずれにいたしましても、このような各種の租税特別措置の適用あるいは法人税法の適用、このあり方については今後検討すべき問題があるという考え方に私ども立っておるわけでございます。できる限りこのような特別措置は、本来できております政策目的、これを果たしたものはもちろんでございますし、そうでないものについてもできるだけ整理をしていくべきだというように私ども考えておるわけでありまして、いわんやこういった措置地方税への影響というものはできるだけ遮断をしてまいりたい、こう考えております。きのうも申し上げましたように、税の公正性を確保するという立場からも、明年度の税制改正で現行税制の手直しという面では一番大きな問題点になろうかと思うわけでございまして、所得税、法人税関係を通じまして、いまこのような特別措置の整理を税制調査会に諮問をいたしておる、その結果に基づいてできる限り整理をしていく、こういう立場をとっておるわけでございます。
  73. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それから、いわゆる欠陥法人の問題も、この際指摘をしておかなければならぬと思うのであります。資本金十億円以上の企業が欠損法人ということで、地方税は均等割四千円とか五千円とかいうものしか納めていないという状況は、これはどうしても不自然であるだけでなしに不当だと私は思うのであります。なぜなら、地方行政によるサービスがなければ、そういった企業は一日だって活動ができないわけなんですから、そういう意味では所得にかえていわゆる外形標準など何らかの選択をしながら、そういう矛盾を即刻解決をしなければならぬと思うのでありますが、この辺についての工夫を自治省として今日までなさったことがあるかどうか、そしてどのようなお気持ちでいらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  74. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたことも、現行税法上の非常に大きな問題点であるという認識に私どもも立っております。ただいまの税制では、特に事業税でございますが、これが本来の性格は、当該企業が当該地域の行政サービスを受けることに対応する物税であるという性格を持つということを言われておりながら、先生御案内のように所得課税の形式をとっておるものが大部分でございます。そのために、ただいま御指摘をいただきましたように、赤字の時期には法人住民税の均等割を払うだけで、もちろん市町村には固定資産税を別に払いますが、府県関係には法人事業税を払わないという事態が起こって、税の年間を通じての均衡性という面からもはなはだ問題があるのではないか、こういうことを私ども考えておるわけでございます。  この点につきましては、従前から申し上げておりますように、現行の法人事業税にやはり何らかの外形標準課税の方式を導入することが、これを改正する唯一の道であろうと考えておるわけでありますが、もちろん私どもといたしましてもそういう方針で、何らかの形で外形標準を持ち込みたいということで、毎々税制調査会に諮問をいたしております。具体的なやり方等につきましても諮問をいたしておるわけでございますが、ただ御案内のように、従前の所得課税方式が純然たる外形標準方式に切りかわりますと、この間の変動は非常に大きいわけでございます。この変動が、各業種間におけるバランスも違ってまいりましょうし、それから大法人、中小法人、特に中小企業等を考えてみました場合、これに及ぼす影響というものも非常に大きゅうございます。  こういったようなことで、やはり何らかの激変を調整すると申しますか、そういう緩和措置もあわせながら、こういった方式に漸次切りかえていくということでなければ、なかなか現在の経済情勢に適応しにくいのではないか、こういう議論ももちろんあるわけでございます。ただいまは経済情勢が非常に不安定な時期でございますので、私どもの持ち出しております案に対しましても非常に議論が沸騰いたしておりますが、なお税制調査会等に十分諮問をいたしまして、私どもの方針としては、できる限り外形標準方式の導入をするという方向で努力をしたい、こう考えております。
  75. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、実は公害対策特別委員会委員でもありますので、例のマスキー法、五十一年規制のときにさんざん議論をしたわけでありますが、自動車の公害対策などについて自動車メーカーはほとんど負担をしていない。たとえば公害病の認定患者に対する健康被害補償法でも、メーカーは全く負担していないのであります。自動車重量税の一部が回されているという状態なのであります。これは清掃関係についても言えると思うのです。たとえばカドミ問題などを含めて言えば、自治体が支出を余儀なくされておるという現実もあるわけであります。そういう意味では、これらの分野に対して、PPPの原則とでもいいましょうか、つまり企業に負担をさせるということを考えませんと、正直なところ、大都市財政は大きな危機に遭遇するということだけでなしに、これからいけばほとんど大きな分野を占めるわけであります。いろいろなかけ方の問題もありますけれども、企業がそういう問題について原因者負担の原則を貫いていくという立場をここで生かさなければならぬと思うのですが、それらについてちょっと聞いておきたいと思うのです。
  76. 田中和夫

    ○田中説明員 現在、御指摘のように、公害対策基本法あるいは清掃関係法律にも事業者負担とか原因者負担という原則がうたわれておるわけでございます。しかし、現実には、いま御指摘のございましたように、たとえば廃止鉱山等で事業者がどこにいるかわからぬとか、あるいは原因者が不特定多数であるとか——自動車公害なんかもそうでありましょうが、そういうような問題で事業者負担の原則が必ずしも貫かれていないということは事実だと思います。しかし、このことについては、これは国の公害行政全般にわたります基本の姿勢にかかわる問題でありまして、その当否を一概にここで申し上げることは、いろいろな事例がございますのでできないのではないかという感じがいたします。ただ、私どもといたしましては、そういう法律の基本原則もあることでありますから、できるだけ事業者負担の原則が貫かれていきますように関係省庁と協議等の際に主張してまいりたいと考えております。
  77. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 今日の財政危機というものを克服していく上で余り即効的な方法はないのじゃないだろうかという議論が実はあるわけであります。三木さん自身も、景気の回復は五十三年ぐらいまでかかるのじゃないかということを述べておられるわけですが、だとすると、地方公共団体として当面する財源不安の中で、住民サービスを低下させるということにせざるを得ない、そういう状態があるわけであります。地方公共団体が文字どおり血の出るような苦労をしている中で、特に自主再建を目指す団体の問題を承りたいと思うのです。  財政再建法の規定によるいわゆる危機ライン——危機ラインという言葉が正確かどうか知りませんが、都道府県では標準財政規模の五%ですか、市町村では二〇%という設定によるところの起債制限措置があるわけでありますが、この起債制限措置について、特に都道府県について、この法律ができ上がってきた当時の財政状況と今日の状況というのはかなり変化しているとも思われますので、多少とも弾力的に考慮するお気持ちがあるかどうか、これは松浦さんでございましょうか、承りたいと思います。
  78. 松浦功

    松浦(功)政府委員 法律の規定から、御指摘のような運用は私どもはできないとはっきりお答えを申し上げた方がいいと思っております。というのは、再建団体になるデッドライン——この再建団体というのは、起債制限を受けたから再建団体になるわけじゃございませんけれども起債がとまれば再建団体にならざるを得ないだろうというのは常識になっているということだと思います。そのデッドラインに到達をしてしまったら、ほかに方法はないということなんです。到達する前に自主再建計画をおつくりになって、そこまで行かないようにするというのが自主再建であろうかと私ども考えております。したがって、そこまで行かないうちに自分で計画をお立ていただいて健全性を回復してほしい、こういうふうに申し上げた方が適切かと私ども考えております。
  79. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 先ほど東京都の問題をちょっと伺ったのですが、大体補てん債の金額は千五百億というふうなことを非公式にも自治省はお認めになっていらっしゃるわけでありますから、ここであえて細かく申し上げる必要はありませんが、これは不交付団体ではありませんが、神奈川は一体どのくらいの見込みを持っていらっしゃるか、そして、できればほかの不交付団体について、おおむねの金額でようございますが、お教えいただけるならば、ぜひこの際、愛知、大阪などを含めてお教えをいただけたら承っておきたいと思います。
  80. 松浦功

    松浦(功)政府委員 神奈川県につきましては、御質問の御通告もありましたので、一応向こうの方の数字を聞いております。大体二百五十億前後だろうと言うておるようでございます。各ほかの不交付団体につきましては、私ども調べましても向こうから聞くだけのことでございまして、私どもに何も意味のない数字でございます。私どもなりに、また法人については九月決算の見通しを立てた上で計算をしないと出てまいりませんので、その点はひとつ御容赦を願いたいと思います。
  81. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 九月決算というのは大体いつごろ決まるのですか。
  82. 松浦功

    松浦(功)政府委員 十二月に入りませんとわかりません。その数字を基礎にいたしまして、どういう算式を立てるか、税務局で検討いたしますので、数字が出てまいりますのは、年を明けるというふうにお考えいただけたら結構でございます。
  83. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 東京都のことに関連しまして、東京都が富裕団体だということで、例の義務教育国庫負担金などの補助金昭和四十九年度で約四百億円国に返上しろという財源調整を受けたわけでありますけれども、これは富裕団体だという形式といいましょうか、というのがあるわけでありましょうけれども東京人口急増地域で高校増設が緊急に必要だということはもうだれもわかっていることでありますが、このような問題について配慮する余地があるかどうか、承っておきたいと思います。
  84. 松浦功

    松浦(功)政府委員 交付団体と不交付団体との間には、財政力にはっきり差があるわけでございますので、現在のような実態のもとにおいて財源調整措置を撤廃するということは、私ども困難だと考えております。
  85. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 退職手当債の問題について、自治省が従来とってきた方針を変えて一定条件をつけて一般に広げて地方債を認めるというふうに態度をお決めになったように承っておりますが、その詳細についてお述べいただきたいと思います。
  86. 松浦功

    松浦(功)政府委員 態度を変えたという事実はございません。これまでも同様の取り扱いをしてきたわけでございますが、法律の規定に忠実に適合する場合、適正に適合する場合には地方債を退職手当債として許可をする、こういう方針でございます。具体的には二十四条にそれぞれ規定がございますので、たとえばある団体で本年度百人退職者が出られた、来年は五十人しか補てんをしない、穴埋めをしない、五十人、条例定数上から穴があくわけでございます。それを条例定数で五十名減員をしてくるということでございますれば、五十人分について退職手当債の発行を認める、こういう考え方でございます。と申しますのは、新陳代謝でございますと、それだけの償還財源が出てまいりませんけれども、人をそれだけ埋めないということになりますと、それだけ人件費が浮いてまいります。それで償還ができる、財政的に危険はない、こういう角度からでございました。これは法律の規定に忠実に従っていくというのみでございます。従来の方針を変更したということはございません。
  87. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは、七月三日に本委員会が、地方財政対策に対するいろいろな決議を行ったわけでありますが、その中には幾つかの項目がございます。あれから若干の時間も経過しておりますので、自治省が抜本的な対策を緊急にやるという決議に基づいてどういう御努力をなさったかということを、二、三の点について承っておきたいと思います。  一つは、超過負担の完全解消の問題であります。これは自治省の御努力経過を承りたいわけでありますが、単価差、数量差、対象差などについて、一体何が、どこからが超過負担かというような問題についてもいろんな見解の食い違いがあるわけであります。特に政府と自治体の見解が食い違っていたのではどうにもならぬわけでありまして、そういう意味自治省地方六団体との間に一種の懇談会とでもいいましょうか対策委員会とでもいいましょうか、言葉はどういう言葉かよくわかりませんが、おつくりになって、ともどもに超過負担問題について検討していくということが合意されているように承っておりますが、それがその後どのように運営されておられるか、それについての経過をお教えいただきたい。
  88. 松浦功

    松浦(功)政府委員 超過負担の問題、これ自身がなかなかむずかしい問題でございますが、六団体でおつくりになっている委員会等で御研究いただいたものをいただき、また当省としての意見を開陳し、それから早急に手をつけるべきものはどれであるかというような向こうの御意見伺い、私どもとしては対策を立ててきておるつもりでございます。  まず第一に、今度の補正予算措置をいたしましたのは、昭和五十一年度分として措置をするものが残っておりましたものを、少なくとも政府が超過負担に対してどういう姿勢をとっておるかということを明確にするためにも、繰り上げてやってほしいということで大蔵省と折衝いたしました。大蔵省は去年の経緯がございますので、それじゃおかしいじゃないか、約束違反じゃないかということでずいぶん私どもなじられました。しかし、これは基本の問題なんだということで、最後には大蔵省も快く了解をして協力をしてくれたという経緯がございます。またさらに来年度の超過負担に向かって、警察の施設費、保健所の運営費等について九月から共同調査に入っております。その結果も詰めました上で、来年の当初にはこれの実現を見たいという努力も繰り返しております。  ただ、問題になりますのは、最後に先生が御指摘をいただきました単価差、対象差、数量差、この問題でございますが、私どもの態度としては単価差をともかくまず片づけたい。それで数量差あるいは対象差というものは、これは非常に財源とも絡みがある問題で、一つ補助政策的な観点から考えざるを得まいという気持ちはいまのところ変わっておりませんけれども、少なくともそれについても不合理なもので目立つものについては前向きに直してもらうようにしようということで、各省にそれぞれ文書で次官名で申し入れる等の努力をいたしております。幸い、一つの事例を申し上げますならば、保育所は、保育の育児一人について五平米というのが補助数量でございましたが、やっと厚生省も腰を上げてくれまして、要求を今度は六平米という形で要求をいたしてくれております。そういったものについて全面的に厚生省を自治省がバックアップをするという形で、一歩でも補助対象あるいは補助数量、こういったものが前進するという方向で私ども努力をしてまいりたいという気持ちでおりますことを申し上げておきたいと思います。
  89. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 一つは、地方六団体が独自に調査をしているものと自治省とぜひ突き合わせる、そして一種の共同でそういう問題の解決についてコンセンサスを得るための努力をなさるということについて、ぜひそのことをお願いをしたいと思いますし、そういうふうに御答弁を煩わせたいと思うのですが、それにしても、実はきのう参議院の予算委員会で、社会党の野口先生質問に対して文部省は、超過負担はないと言っているのですよ。こういう答弁をしているのですね。どうも一体どうなっているのかという感じがするのですが、住宅とか保育所とか学校などの建設費や維持費などについて——維持費はともかくとしても、建設について共同で標準設計をおつくりになるように御努力をなさったらどうだろうと思うのです。その点の提案を申し上げたいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  90. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私は、ただいまの先生の御提案に全面的に賛成なんでございます。住宅については標準設計というものがございますために、住宅についての超過負担という声はほとんど聞かなくなりました。学校は標準設計がございません。仕様というものでございます。そのために、どの材料を使うか、どういう仕上げをするかによって値段が違ってくる。そこにいろいろの議論が起こってくるわけです。地方団体においても、もうあくまでその標準設計のどれをとるかということを決めるということでございますれば、超過負担はなくなると私は思うのでございます。そういう意味では、地方制度調査会も標準設計制度をもっと活用しなければいかぬということを提言をしていただいておるような事情でございますので、そういう方向で各省にも話を進めてまいりたい。現実の問題としては、住宅はほとんど超過負担がない。学校については、まあ大体片づいたような気がしますが、問題がないとは私ども必ずしも思っておりません。保育所についてはまだまだ問題があるような気がいたすわけでございます。
  91. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ある、ないの議論をここで時間をかけてするつもりはございませんが、いずれにせよ、こういう建設費だけでなしに維持費を含めて、補助率の引き上げや、言ってしまえば実支出額でめんどうを見ていくようなことをやはり考えていただかないと、抜本的解決にはならぬような感じがするのですが、それらを含めてぜひひとつ御努力を煩わせたいと思います。  それから、続いてやりますが、この決議では、多年懸案となっている、例の国と地方団体との事務の再配分、これに基づく税財源の再配分の問題が決議の中に盛られております。それをこれからどう具体的にお取り組みいただくつもりかということに関連して、マスコミなんかでも、これまで地方制度調査会が三回にわたって答申をしてきたにもかかわらず、国が怠慢で無視してきたじゃないか、国がみずからの施策を正さないでおいて地方自治体に厳しい注文をつけるというのはおかしいじゃないかという新聞の社説もございましたけれども、まさにそういう面があるわけでありますので、これらについても、具体的な努力の足跡をぜひお尋ねをしたいと思います。
  92. 松浦功

    松浦(功)政府委員 超過負担の解消について、先生の御提案を含め努力する、このことについては当然のことであります。ただ、実額精算方式については、にわかに賛成しがたいということだけはお断りを申し上げておきたいと思います。  それから行政事務の再配分及びこれに基づく税財源の再配分、この問題は、いまのように混迷している時点で、さっき税務局長からお話がございますように、自主財源の強化という方向について来年いろいろと努力をするということは当然だと思いますけれども、抜本的な問題になりますると、やはり国、地方全体を通じての問題として取り上げなければならないと思いますので、これはいましばらく時間をおかしいただきたい、先ほど申し上げている趣旨で御了解をいただきたいと思います。
  93. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最後に一つ、時間ですからあれですけれども。  地方財政のいわゆる長期政策といいましょうか、長期ビジョンとでもいいましょうか、自治省、かなり長い間検討しておられて、その検討した結果が、結論が出ないうちにまた新しいような事態が起っているわけですが、この時期はある意味で深刻な事態だけれども、それをやはり正確にとらえて、地方財政に対するこれまでの見方やあり方を根本的に見直していくときだろうと私は思うわけであります。その立場から、地方財政の長期計画を、三全総の策定の前に自治省は議論いただくことがどうしても必要な気が私はするのです。  たとえば、国土庁が十月の二十七日に、新全総の再点検の計画のフレームという項目の中で、三全総では、全国土にわたって安定感のある望ましい生活環境を計画的に創造するため、生産関連社会資本投資に比べて生活関連社会資本投資を優先することが必要だということが明記されておるわけであります。それらの問題を含めて、やはり中央として、国の財政地方財政のあるべき関係、国税と地方税のあり方などについて、今日の状態で改めて、たとえば地方公共団体の自主性というか、地方団体の意向も十分に組み入れて検討をされるつもりはないかどうか、これだけ承っておきたいと思います。
  94. 左藤恵

    左藤政府委員 自治省といたしまして、地方財政の長期ビジョン策定についてかねてからいろいろ検討は行っておるわけでありますけれども、長期ビジョンというものを策定いたしますためには、将来の日本経済がどういうふうな形になるものかということを一つ姿を描かなければならないわけでありまして、こういったことについて、経済審議会などでもまだ結論が出ていないというふうなこともございますし、さらにまた、いま御指摘のような国と地方公共団体との事務分担のあり方とか、国、地方を通じます行財政全般にわたっていろいろ検討すべき課題が山積しておるわけでありまして、こうした事情から、地方財政の長期ビジョンの策定はまだ最終的な結論を得るには至っておりませんけれども、過般、長期地方財政研究委員会が策定されました中間報告がございます。これを参考といたしまして、いま御指摘のような新長期経済計画やあるいはまた第三次全国総合開発計画といったものの長期展望作業が始まっておりますので、そういった点につきまして十分連携をとりながら、意欲的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  95. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ありがとうございました。(拍手)
  96. 大西正男

    大西委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕