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植弘政府委員 附帯決議をいただいております点につきましては、その御趣旨に従いまして努力いたしておりますことは申すまでもございませんが、毎回お答えいたしておりますように、
地方公務員共済
制度が単に
地方公務員の
制度としてだけで存在せずに、他の公的
年金、たとえば身近なものでは
恩給制度なり国家公務員共済
制度、それからまた、広く一般国民に
関係の深い厚生
年金といったようなものとの関連がございますために、私どもも附帯決議の趣旨に従ってやりたいと思いましても、やはりそういった各種
年金との均衡を保持するということもございますので、なかなか御趣旨に沿ってない点はまことに申しわけなく思っております。
いま具体的にということでございましたので、ことしの五月に当
委員会でいただきました附帯決議につきましては、まず一番目が
関係閣僚協議会の
関係でございますが、この点につきましては、先般もお答え申し上げましたけれども、現在厚生省におきましては、公的
年金制度を全般的にどうするかということで、厚生大臣の諮問機関を
設置いたしましたし、それからまた、社会保険審議会でも検討を行っております。具体的に共済の分野におきましては、国家公務員共済審議会あるいは私どもの
地方公務員共済審議会、こういうところにおきまして、個別に根本問題についての検討を現在行っております。たとえば、私どもでは附帯決議をいただきましてから、ことしでもすでに三回やってございます。そういうふうに個別的にやっておりまして、それがある程度方向が出ました際に、もうちょっとやるのが適当じゃないのだろうかということで、いま進めているところでございます。
それから、二番目の公的負担の
関係でございますが、この点につきましても、これは私どもといたしましても年来の主張でございまして、先生よく御承知のように、厚生
年金では二〇%、それから農林
年金だとか私学では一八%といったようなことになっておりますので、共済についても現在の一五%を引き上げてほしいという組合員側の要望も強く、私どももその必要性は考えております。この前の
委員会におきましても、せめて農林、私学並みの一八%までを第一段階の目標としてということで努力いたしておりますが、今
国会も一応
関係の向きからは予算要求していただいております。
ただ、こういったような財政情勢になりましたので、そう簡単にいけるかどうか。なおまた、先般も申し上げましたが、厚年等を初めとしての公的
年金全般を考える中で、そういうものをどう位置づけるかという点もこの際しっかり考えなければならない問題じゃないだろうかというふうに考えております。
それから、三番目のスライド制の問題でありますけれども、これも毎回同じお答えで恐縮に存じますが、
制度としてはまだ実施されておりませんが、実際問題といたしましては、
恩給におきまして賃金スライド制がとられているわけであります。ルール化されているわけであります。私どもの今回提案いたしております
法律でも、実際上は賃金スライドと同じ立場で
改正をお願いしているところでございます。したがいまして、現実的にはそういうふうにスライド制がもうルール化されておるのではございますが、これを法制化するといたしますならば、やはり最も身近な
恩給なり国家公務員共済なりとの関連を考慮しなければならないということになろうかと思っております。
それから、四番目の
最低保障額の問題と一時金の控除の問題でありますが、これは先生御指摘のように最低保障というものをどう考えるかという根本問題があるわけでありまして、最低保障があるにもかかわらず、その中から一時金を引くとはちょっとおかしいではないかという御意見、私ももっともと思います。ただ問題は、もちろん最低保障
制度はございますけれども、一時金をもらっている者ともらってない者との不均衡が発生するということも、これまた、共済
制度というものが組合員の
掛金と使用者負担とで成っているという性格からいたしましても、やはり十分考慮しなければならない要素であろうかと思います。そういうことを考えますと現行の
制度が必ずしも間違っているとは思いません。しかし、おっしゃるように、最低保障
制度というものをとる限りは、最低保障なんだからそんなもの保障してもいいではないかという筋論も当然だと思います。御趣旨に従って十分検討させていただきたいと思います。
それから、五番目は
遺族年金の
関係でありますが、この点につきましては、私どもも当面
給付内容の改善では最重点に考えるべき問題だろうと思っております。明年度以降を期して検討いたしております抜本
改正の中でも、この点は最も大事に取り上げていかなければならない問題だと思っておりますので、
関係省庁とも十分協議を続けてまいりたいと思います。
それから六番目でありますが、通算
退職年金制度につきまして、他の公的
年金を含めての抜本的検討、これもたとえば
遺族年金の通算といったような問題、非常に大きな問題でありますが、これは当然に抜本的
改正の一環として検討すべきことでございますので、先ほど冒頭に申し上げましたようなそれぞれの
関係機関で検討いたしている中で検討させていただいております。
それから、七番目の家族療養費の
給付でありますが、これも同じようなことでございます。
それから、八番目の
退職後の
地方公務員の医療保障につきまして、これはちょっと大事な問題でございまして、いわゆる老人医療との
関係をどのように考えるかという問題であります。これは私どもも実は
関係省庁との間で最も真剣に取り上げている問題でありますが、何分にもこれは一般の社会保険と非常に密接な
関係を持っているものでございますために、そちらの方の動きを注目しているところでございます。
それから、九番目が
職員団体等の非在籍専従
職員について、これはやはり在籍専従
制度の基本的な性格がございますので、御趣旨のようにこれを継続するということは、なかなか問題がございます。この在籍専従
制度をどうするかという問題につきましては、すでに公務員
制度審議会の審議においてもある程度の方向が出ている問題でございますので、なかなかこの点を改善することはむずかしい問題かと思いますけれども、御趣旨もございますので、
関係の向きとも相談をいたしたいと思っております。
それから、十番目に共済組合の運営の問題がございますが、この点につきましては、運審に組合員の代表の意見を入れるということで、十分配慮いたしているつもりでございます。したがいまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、運営審議会の審議等につきましても、組合員の代表の意見を入れまして、その意向で運営をするといったようなふうに心がけております。この点は御趣旨に従って今後ともそういうふうに考えてまいりたいと思っております。
十一番目は、これはいわゆる互助組織等の団体共済への加入の問題でありますが、これはせんだっての
国会でもお答え申し上げましたが、社会保険の一本化という基本的な理念からいたしまして、現に厚生
年金に入っている者を、それから引き出して団体共済へ入れるということにつきましては、社会保障
制度審議会その他の基本的な反対がございます。したがって、この十一につきましては、附帯決議もいただいておりますが、実現については非常に困難だと思っております。また、従来から申し上げておりますように、この点につきましては、
政府が、たとえば自治省がそういう気持ちを持ち、企画立案いたしましても、厚生
年金、社会保険の主管でございます厚生省との間で十分意見の一致を見るということはなかなか困難な問題でございます。しかしながら、長年の懸案でもございますので、当
委員会の御趣旨は
関係の向きには十分お伝えしておるところでございます。
以上、いずれにいたしましても、五月からもうかれこれ半年近くたっておりますが、余りにも抜本問題といいますか、基本問題の検討と、その中で検討しなければならない問題が多うございますために、十分なお答えをする段階に至ってないことを非常に申しわけなく思います。ただ、御趣旨のほどは、先ほど申し上げましたように、それぞれの機関で検討いたしまして、中にできるだけ生かすように努めておるところでございますので、御理解いただきたいと思います。