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松尾委員 幌内炭鉱の
災害の
現地調査の結果は、その
状態と、
会社の方または組合等の
方々との協議内容も含めまして、
報告書が提出されてありますから、私は、時間の
関係もありますので、あえて、その内容には触れません。しかし、この十一月一日の高島
炭鉱の
災害また、それを上回る非常に重大なる
幌内炭鉱の
災害、このような大きな
事故を
反省材料としまして、今後の
対策につきまして若干の
質問をしたいと思うのであります。
いま
石炭企業が抱えておる問題、これはいま、ここでも取り上げておる
保安の問題が基本でありましょう。それから新
鉱開発の問題炭価の問題、そうして閉山の問題、いろいろの問題を抱えておるわけであります。その中でも基本的な問題は
保安の点でございましょう。そしてまた、そこには、どうしても
日本の
石炭というものが宿命的に背負っております。深いところを掘らないとできない、こういう
深部移行の問題から、特に
保安の
事故が頻発しておりまするし、また、そこに大きな問題を抱えておるわけでありますので、どうとかしてこれを絶滅するという
方向に向かって、はっきりとした結論を出しませんと、常に
災害が起こっては、このように石持を開いて、また
調査団が行ったりして、そして
大臣も、たびたび遺憾であるということを繰り返しておる。それがまた次の
災害で同じく繰り返されるということになりかねないのであります。
ですから、まず
保安の問題でありますけれ
ども、何としても十分なる
技術、そして十分なる資材がそろわなくてはなりませんが、指摘されておりますとおりに、企業といたしましては、やりたいけれ
ども十分なるお金がない。
ガス抜き等の
技術は非常に進んでおると言っておりますけれ
ども、現実には、それが完全に除去されるだけの資材、設備というものが現実には投入されていない。そこでまた不測の
災害ではないのでありまして、当然として、そこにまた大きな
事故が起こる、これをいま繰り返しておるわけであります。法の整備も、もちろん大切でありますが、法が完全に実施されて、そして
技術がりっぱに進んで、そこに
事故を防ぐだけの設備、資材というものがそろわなければ、いつまでたっても
事故の絶滅はできない、
保安問題を常に伴う、こういうことであります。そして閉山の問題が叫ばれる。
災害復旧のためにはお金が要る。そのお金も
会社自身で調達ができるかどうか、また
政府で大きくお世話をしなくてはできない。
日本の
石炭予算だけでも、いま一千億、そういうものが毎年出されておりますけれ
ども、そういうお金を使っておりながらも
事故は続々と起こる、こういうことを
考えてみますと、
大臣、もういまの
石炭企業の限界というものを、私はしみじみと感ずるものであります。
保安の問題わかっておるけれ
ども、しかし、何としても
会社は赤字では暮らせません。ですから、いやでもおうでも、やはり
生産というものに走りまするし、
炭鉱に働く人々もまた、それについていかなければできないというような
実態であります。そこに私は、いまの私企業による企業の大きな限界があると思う。
そして、おまけに閉山を申し出る。そのときに、私企業でありますから、私やめますと言われた場合に、それはまだ継続してくれと言えない。いろいろ話し合いというものはありましょうけれ
ども、最後の腹は、向こうがやめると言ったら、どうしようもないというようないまの経済の仕組みであります。結局、私企業というものが限界に来ておる、そのためにいろいろの問題が起こりまして、
日本の
石炭政策というものがもう実現できない。
エネルギー資源政策というものも、そこに突き当たって壊れていく。そしてまた、いつの間にやら、すべてのものが
外国の
エネルギー資源に頼っていって、そして石油ショックのような、また何かのショックを受けて、大きくあわててまた
反省し直す、これを繰り返すわけですよ。
おまけに炭価の問題も企業自体で決定する力がない。通産省の指導、業界との話し合いをしてもらって、これくらいでどうかというような指導価格によって、どうやらこうやら息をついておる。そして新しい炭価が決まりましても、赤字の
会社が現実に残っておる。
災害では赤字、また経常的にも赤字、そうすると百五十億円もの赤字を抱えた
会社なんかは、
災害が起こりますと閉山を
考えますよ。それは現実にあります。また
幌内の方も、私はそういうところに話が飛んでいくのじゃないかという心配もあるわけです。
ですから一番、大事な
保安の問題、炭価も決定できないような
現状の、力の弱いというか、力のない企業の本質、いつ閉山するかわからないような
実態、新
鉱開発も口で言うだけで実現できない。そういうものが新しい
石炭政策の前に大きく覆いかぶさっておるわけでありまして、通産
大臣が幾ら決意を並べても、われわれはそういう問題を基本的に解決しない以上は、新しい
石炭政策は、もう砂上の楼閣である。
災害も次々に起こる。それでわれわれが、むなしくこのような
委員会で叫ぶ。そしてたくさんの人々が
自分のかけがえのない生命を落とす。この繰り返しを二度といたしたくありません。私一人しゃべるわけでありますけれ
ども、よくよく、そのような
日本の
石炭界の
実情を見ると、大事な大事な
エネルギー資源の問題、その底を固めていく
日本の
石炭の問題、そういう問題は、もう私企業に任せておく段階でありませんし、任せておって彼らがやっていく力がない。とするならば、石油
開発公団のごとく、
思い切って公団によって赤字
会社を吸収する、新
鉱開発もやる、それから
輸入炭の方も一括してやらせる、
海外の
開発もやるというような基本的な発想がなされなければ、幾ら論じても、もう
石炭問題を解決できる段階じゃない。基本的に変えなければ、もうだめなんだ。これだけ、まだ
政府が手厚く予算を使っておって、そしてこのような問題を抱えておいて、少しも明るい見通しというものが
石炭界にはございません。そこまでの決心を早急に固めなければいけない段階である。また
大臣は、そのような発想をしないでいる。そして
災害の絶滅、
保安第一ということを一生懸命言いながらも、いつ起こるかわからない
災害に常に脅かされなければいけないと私は思うのでありますけれ
ども、そろそろ決心の固めごろと思うのでありますが、
考えはいかがですか。