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1975-11-12 第76回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十二日(水曜日)     午後一時三分開議  出席委員    委員長 田代 文久君    理事 金子 岩三君 理事 田中 六助君    理事 三池  信君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 春夫君 理事 多賀谷真稔君    理事 多田 光雄君       愛野興一郎君    佐々木秀世君       三枝 三郎君    篠田 弘作君       楢橋  進君    野田  毅君       細谷 治嘉君    渡辺 惣蔵君       鬼木 勝利君    松尾 信人君       小宮 武喜君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君         労 働 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         通商産業省立地         公害局長    宮本 四郎君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         資源エネルギー         庁石炭部長   高木 俊介君         労働省労働基準         局安全衛生部長 中西 正雄君         労働省職業安定         局失業対策部長 石井 甲二君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    蓼沼 美夫君         資源エネルギー         庁公益事業部計         画課長     柴田 益男君     ————————————— 委員の異動 十一月十一日  辞任         補欠選任   稲富 稜人君     小宮 武喜君     ————————————— 十一月十日  石炭鉱害処理対策促進に関する請願(諫山博君  紹介)(第一九〇三号)  同(田代文久紹介)(第一九〇四号)  同(三浦久紹介)(第一九〇五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 田代文久

    田代委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  今回、三菱石炭鉱業株式会社高島炭鉱災害について、委員を派遣し、実情調査を行いました。  この際、派遣委員より報告を聴取いたします。田中六助君。
  3. 田中六助

    田中(六)委員 三菱高島炭鉱災害現地調査の結果を御報告申し上げます。  日程は、十一月九日、十日の二日間でありまして、現地では、病院に負傷者を見舞った後、福岡鉱山保安監督局三菱石炭鉱業株式会社労働組合職員組合長崎県、高島町当局から、それぞれ説明並びに要望等を聴取してまいりました。  派遣委員は、田代委員長、多賀谷真稔君、多田光雄君と私、田中六助の四名でありましたが、松尾信人君、小宮武喜君が現地参加されました。  まず、三菱高島炭鉱の概要について簡単に申し上げます。  当鉱は、長崎港外約十五キロに位置し、約二百七十年前に石炭発見されるという古い歴史を持っております。その後、明治十四年、三菱鉱業が買収、創業し、以来、四十九年度までに約三千百万トンを出炭しております。炭質は、優良な弱粘結性原料炭得率約八〇%であります、炭層は五層ありますが、現在このうち、胡麻層バント層、十八尺層の三層を稼行しており、今後なお約四千万トンの実収炭量があると言われております。しかし、炭層は約三十度の傾斜をもって展開しているため、機械化がむずかしく、能率に影響しております。  採炭長壁式で、ホーベルとカッターに発破を併用しております。現在の稼行区域は三区域で、十月現在の労働者数は千七百十六名、九月の出炭は五万二千トンであります。  次に災害状況について申し上げます。  災害は、十一月一日午前十一時五分ごろ、坑口から約六千メートル、マイナス五百五十メートルの九卸三片胡麻払い発生したもので、災害の種類は、ガス爆発であります。  発見の端緒は、付近係員から、災害現場に炭じん、炭粉が舞い上がっている旨、誘導無線報告してきたことにより判明したものであります。  当時、九卸区域には、五十六名が入坑しておりましたが、このうち、三片胡麻払いには、係員六名、鉱員二十六名がおりまして、罹災者は、死亡二名、重軽傷二十五名であります。  救出作業は、救護隊の入坑を待たず、自力または九卸近辺係員などにより、十三時二十五分ごろには全員坑外に出ております。  罹災内容は、やけど及びCO中毒でありますが、負傷者CO中毒の程度は、比較的軽度に済んだ模様であります。  災害原因は、福岡鉱山保安監督局及び九州大学江渕名誉教授を団長とする保安技術調査団によって鋭意調査しているところでありますが、いまのところ、発破の異常が火源となって、停滞していた可燃性ガスに着火したと見られております。  次に、今次調査に当たり、私どもが感じました点について申し上げます。  一つは、発破作業についてでありますが、日常作業からくるなれを排除し、入念かつ綿密な発破設計を行い、また、ガス観測についても、必要な個所は完全に検知できるよう、作業内容を総合的に見直し、さらに保安教育徹底することが必要と思われます。  また、一酸化炭素自己救命器についても、瞬間的な災害に際しての活用の方法など、迅速に対応できるよう、器具の改良を含めて研究する必要があろうと思われます。  次に、現地における主な要望は、保安関係法規の再点検と改正の早期実現、国の保安関係対策費の増額、今次災害を理由とする閉山の阻止及び災害による操業停止に伴う影響防止などでありました。  このうち、操業再開については、三菱石炭鉱業株式会社において、今後の保安対策として、異常発破の排除及び跡方ガスルート遮断基本方針とした諸般の対策を決めており、労使及び監督局点検が済み次第、近日中に再開が許可される見通しであることを付言しておきます。  最後に、遺族補償関係は、死亡者に対し、弔慰金退職金葬祭料などの一時金が二人分で合計約三千四百八十万円、遺族年金については、二家族で合計月額約三十四万円となっております。また、負傷者につきましては、負傷見舞い金として五万円から二十五万円までが給付されるほか、労災による休業補償として平均賃金の八〇%の給付を受けることになっております。  大黒柱を失った遺族生活は、非常に不安なものでありますから、万全の遺族対策を期するほか、負傷者には、CO中毒による後遺症が懸念されますので、今後の生活が保障されるよう、会社並びに政府関係機関に強く要望いたしまして、簡単でありますが、報告を終わります。
  4. 田代文久

    田代委員長 これにて派遣委員報告は終わりました。     —————————————
  5. 田代文久

    田代委員長 次に、最近の石炭鉱山における主要災害について、政府から説明を求めます。通商産業省宮本立地公害局長
  6. 宮本四郎

    宮本政府委員 政府におきましては、従来から保安の確保を最優先に考え、その上に立って生産を行うということを念願いたしておったわけでございますが、お手元にお配りいたしましたように、七月六日の夕張炭鉱ガス突出災害を初めといたしまして、六件の事故が起きております。さらに、ただいまの御報告にございましたように、高島炭鉱におけるガス爆発事故が十一月一日に起きているわけでございます。この資料に従いまして、資料にございます六件の御説明をさせていただきますが、内容技術的にわたりますので、通産省の蓼沼参事官説明をさせていただきたいと思います。
  7. 田代文久

  8. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 御説明申し上げます。  まず、夕張炭鉱ガス突出災害からでございますが、災害発生個所は、新坑の北第二十尺の上層のロング上添え坑道でございます。  災害発生日時が、昭和五十年七月六日の零時五十五分でございます。  罹災者といたしましては、亡くなられた方が五名、重傷十一名、軽傷三名、計十九名ということになっております。  ガス突出によりまして局部通気が行われておりました鉄砲坑道におきまして掘進中の四名とコンベア原動機の一名、計五名の方が亡くなられまして、その坑道及び周辺作業を行っておりました十四名が、逆流した突出ガスのために酸欠症となって重軽傷となったものでございます。  災害原因対策といたしましては、まず原因といたしまして、空洞位置、形状、突出粉炭量などから見まして、切り羽面から約十五メートル先にあります断層付近に内包されておりましたエネルギーが、発破の衝撃によりまして炭層の弱い部分を刺激しまして、ガス一緒粉炭が吹き出したものと見られております。しかし、突出ガスの量から見まして、空洞周辺あるいは弱い線を伝わって、ほかの断層包蔵ガス一緒突出した疑いもあるということも考えられます。  対策といたしましては、断層のございます。その周辺の地層の異常状態の把握のための探査ボーリングと、それからこれに対するガス去勢のためのガス抜きボーリングを、三つの方法強化することを考えております。  その次に、発破対策といたしましては、指定切り羽とか沿層切り羽の発破に際しての点火位置点検、それから誘道発破についての点検ということを考えております。  その次に、ビニールハウス救急バルブ及び送電の停止のためのガス自動警報器とのインターロック等保安施設の整備を行うことになっております。  その次に、ガス突出前兆発破時の連絡及び退避訓練実施等保安教育徹底。  最後に、研究班等を設けましてデータの集積を行い、ガス突出との関連性を研究するとともに、突出対策についても検討するということになっております。  以上が、夕張突出災害内容及びその対策でございます。  次に、五ページでございますが、三池炭鉱落盤事故でございます。  三池につきましては、三池坑四山区域の五百二十メートル上層の五十卸東二片坑道災害発生しております。  発生日時は、昭和五十年七月二十八日二十三時三十五分ごろと考えられております。  罹災者はございません。これは崩落によりまして係員の一名と作業員の五名が閉じ込められたわけでございますが、直ちに救助隊を編成いたしまして、七月二十九日の十二時三十分に、全員無事、救出したわけでございます。  災害原因といたしましては、崩落個所断層部でございまして、岩質泥質細粒砂岩というもので、非常にもろいところでございまして、そのために間漏れを生じまして、それが拡大いたしまして高落ちとなり、枠が倒れたというように考えられております。  対策といたしましては、断層で天井が弱い個所は、次の対策を実施するということで、四点いたしております。まず点検強化、施枠の強化、板、竹す等による現場にマッチした間漏れ防止、それから最後に切り張り等強化、こういうことでございます。  以上が三池でございます。  次に、万字炭礦出水事故でございますが、事故発生個所は万字坑五片のポンプ室でございます。  事故発生日時は、昭和五十年八月二十八日の七時二十五分ごろでございます。  事故発生状況でございますが、以前に湧水量がふえておったわけでございますけれども、八月二十三日に同地方を襲いました台風六号の影響で、西原の排気坑道からの流入水及び地下浸透水等で、水量が一分十三ないし十四立方メートルに増加したという状況になっておりまして、このような湧水量増加に対しまして、揚水ポンプアップ公称能力は二十二立米ということでございますが、八月二十六日の正午ごろから、三立米能力を持っておりますポンプ四台が次々と故障いたしまして、ついに湧水量揚水能力を上回ったために、五片のポンプ室に浸水いたしまして、ポンプ運転が不能になった、こういうことでございます。  事故原因といたしましては、五片のポンプ室の平常の運転状況が、湧水量十一ないし十二立米に対しまして、三立米ポンプを三台ないし三台、五立米を二台、常時運転しておりましたが、二十六日の正午ごろからポンプが故障いたしまして水位が上昇し、ついに八月二十八日七時二十五分ごろに運転不能になったものでございます。この原因といたしまして、台風六号による影響で主なファン、扇風機でございますが、これが三十五時間以上停止したために、通気量が減少いたしまして、ポンプ室の温度が上昇し、湿度も高くなって、電気品に悪影響を与えたということが考えられます。  対策といたしまして、三片レベル押え水をするように努力をしたわけでございますけれども、水位の上昇が早くて、ポンプの撤去を余儀なくされております。水位は現在一片レベル下の百七メートルにあるという現状でございます。  これが万字でございます。  それから十ページでございますが、三井砂川炭鉱ガス突出災害でございます。  災害発生個所は、第一坑美唄部内の六百六十メートル南〇・五号縦入りでございます。  それから災害発生日時は、昭和五十年八月三十日二時四十分ごろでございます。  罹災された方は、亡くなられた方が二名、重傷三名、計五名でございます。  災害状況といたしましては、掘進作業中にガス粉炭突出してきたために、この五名の方が八番盤下坑道で濃厚なガスを吸って罹災をしたわけでございます。  それで災害原因及び対策でございますが、原因といたしましては、八番の上層は全般的に軟弱でございますが、〇・五号の縦入り着炭部付近は、細かい断層がございまして擾乱を受けておりまして、特に引き縦の左側が細かい軟弱な炭層ということになっておったわけでございます。その肩部に、中にございましたガスエネルギーが、この軟弱の部分を押し出しまして、不時の突出になったものと考えられております。災害の直接原因といたしましては、いま申し上げました高圧包蔵ガス去勢が十分に行われてなかったことと、それから引き縦付近の異常の予知に対する対応策及び退避体制が不十分であったことによると思われます。  対策といたしましては、ガス抜き対策強化ボーリング孔ガス観測体制強化簡易救命器配置等保安施設強化突出前兆対応策強化等教育訓練徹底ということでございます。  以上が三井砂川ガス突出災害でございます。  それから一二ページでございますが、幌内炭鉱自然発火災害でございます。  発生個所は西部五片連絡風道でございます。  災害発生日時が昭和五十年九月の四日、十七時十五分ごろでございます。  罹災者はございません。  これは九月四日の十七時十五分ごろに係員が、排気縦坑から白い煙が出ているのを発見いたしまして、異常を感じて直ちに上司に報告いたしまして、誘導無線を通じて坑内の異常の有無を確認したわけでございます。管理者は直ちに退避命令を発しまして、全員坑外退避が完了したということでございます。  この原因といたしましては、当該坑道通気専用坑道で、電気工作物の電源は遮断してございまして、また裸火等の存在は認めておらないところで、恐らく自然発火火源となったものと推定されております。自然発火の要因につきましては、当該坑道沿層坑道であったために、炭壁内に漏風回路ができて酸化し蓄熱して、発火したものと思われます。  この対策といたしましては、通気専用坑道設定方法の改善、たとえば沿層坑道の規制とか沿層部の処理でございます。それからボーリング残孔部の閉塞、自然発火早期発見、これは集中監視システムの拡充あるいは検査の強化ということでございます。それから消火設備強化というのが対策でございます。  以上が幌内でございます。  最後に、三井砂川坑内出水災害でございます。  災害発生個所は第一坑の登川部内、四百六十レベルの南第四北ナンバーワン盤下、十二番の目抜き採炭という個所でございます。  災害発生日時昭和五十年九月八日十八時三十一分ごろ。  罹災者は、亡くなられた方が五名でございます。  災害状況でございますが、当該個所を巡回中の係員異常出水を確認いたしまして、誘導無線採炭個所連絡をしましたが、応答がございませんで、坑外事務所に通報し、確認をしたわけでございます。なお、炭流し作業に従事していた鉱員一名は無事退避しておるわけでございます。  それでこの原因でございますが、旧鉱の採掘跡それから南の第三部内と第四部内の間に断層地帯がございますが、この地帯残炭ズリが、地表水浸透によって泥土化していたわけでございます。たまたま北海道に集中豪雨がございまして、それによります地表浸透水の急増、それから旧坑口からの流入水により、たまり水を生じまして、水圧の増加採掘跡崩落あるいは水力採炭影響で流動しまして、断層部崩壊ズリを押し流しまして、土石流となって北ナンバーワン盤下坑道の、主として十二目抜きから一挙に押し出してきたものと思われるわけでございます。  対策といたしましては、出水に対して安全な新採炭方式採用と、それから水抜きボーリングによる監視体制強化ということをいたしております。  以上が砂川でございます。  以上、六件御報告申します。     —————————————
  9. 田代文久

    田代委員長 次に、質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中六助君。
  10. 田中六助

    田中(六)委員 いま災害報告政府からあったわけでございますが、最近、高島炭鉱を含めまして七カ所、災害があったわけですが、これが人災天災か、いつも議論の分かれるところですが、両方の原因だと思います。これを頭に置いて、政府に数点、質問をしたいと思います。  いままで第六次答申も二千万トン以上を目標にというようなことをうたっておりますし、現在も一応二千万トン前後を目標にして出炭をやっておるわけでございますが、最近の出炭量はどういうふうになっておるか、ちょっと説明してください。
  11. 高木俊介

    高木政府委員 本年度生産目標は、二千三十万トンということで審議会で御承認いただいたわけでございますけれども、ストあるいは災害等によりまして、当初の計画を大分、下回っているような状態でございまして、いまのまま推移しますとすれば、五十年度生産量は、恐らく千九百万トン強ぐらいのところに落ちつくのじゃなかろうかというふうに、残念に思っておるところでございます。
  12. 田中六助

    田中(六)委員 石炭部長がいみじくも言っておるのですが、二千三十万トン目標だけれども、どうもそれを下回っておる。これは残念だという見解でございますが、現在の日本では、炭量はあったとしても、二千万トン前後を掘っていくということが、そもそも無理なんじゃないか。いまの労務者の数と能力、その他自然の条件、そういうものを含めまして、二千万トンにペースを合わせることがちょっと無理じゃないかという気もするのです。というのは、最近の頻発するこういう事故が、そういう出炭量との目安、それとの兼ね合い、そういうようなものと何か関係があるのじゃないか。つまり具体的に言いますと、無理なことになっているのじゃないかというような気もするのですが、その点はどうでしょう。
  13. 高木俊介

    高木政府委員 本年度の二千三十万トンにつきましては、昨年の各山の実績をベースにして、生産量を決定いたしておりますし、なお、長計におきます二千万トン以上という目標につきましては、再三御説明いたしましたように、現有鉱だけで見ました場合、鉱内の深部化あるいは保安上の問題等々考慮いたしますと、現有炭鉱だけで見た場合は、千八百万トン前後ということになるのじゃなかろうかと思います。二千万トン以上を確保するためには、次の国会には法律関係もお願いする予定にしておりますけれども、例の事業団消滅鉱区あるいは保有鉱区等採掘あるいは新鉱を開発するというような姿勢をもちまして、二千万トン以上を確保したいということで、答申にも記載されておるところでございます。
  14. 田中六助

    田中(六)委員 この点の配慮、つまり二千万トンと実態、日本エネルギーそれから石炭現状から見ますと、一億トンぐらいは足らないで、それを輸入しておるわけですから、海外炭との問題がどうしても浮かび上がってくるのですが、一千八百万トン前後がどうも妥当なようで、その後いろいろ検討しなければいかぬということなんですけれども、そういう点を十分配慮していかないと、やはり人命尊重ということとの兼ね合いから、エネルギー資源があるのに、二千万トンは達成しなければいかぬというように、経営者もそうなる。非常に石炭は無理しておりますので、炭価とかそういう関係も出てくるので、十分そこら辺は政府が頭に置いてやらないと、事故があり始めると、ずっとあっていきますので、私はこの分では済まないような予感もしますので、そこを十分、配慮していってもらいたいと思います。  それから、この高島の場合ですが、これは報告書には傾斜が三十度というように書いてあるのですが、私は現地で調べたときの記憶では、この事故のあった胡麻払いは、六十度の傾斜機械化ができないというような表現だったと思うのです。そこら辺はもう一回、確かめてみたいのですが、そういう自然条件が非常に苦しくなっておる、そういう炭鉱というものを、もう一回よく再調査して考えてもらいたい。日本炭鉱技術がすぐれておると言っても、自然には勝てないのですし、そういう点の配慮を十分やっておるのかどうか、その点はどうでしょう。つまり、出炭目標炭鉱は炭を掘ればいいということじゃなくて、やっぱり人間という一つの枠は同じだろう、田中六助も多賀谷真稔先生多田光雄先生も同じだろうが、性格とかいろいろなことが違う。それと同様に、自然というのは不思議に生きているんだね。だから、その炭鉱の持ち味というものがあるに違いない。それを一律に二千万トンとか、机上ではかったようなことでぱっぱっとやっていくのはどうか。というのは、事故でも、いろいろ七つの事故がそれぞれ違うのだから、そういうようなことの配慮というものが、露天掘りじゃないんだから、行われておるのかどうかということですね。そういう点はどうだろう。
  15. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、各炭鉱自然条件は非常に異なっております。また炭層状況、これも急傾斜あるいは水平その他いろいろございます。もちろんガスのあるなし、そういうことで保安の面につきましては、特にその状況に応じた対策、たとえば発破方法なり、あるいはガス抜きなり、あるいは採炭方式採用、こういうことでいろいろ対策は講じているわけでございますけれども、何しろ自然が相手なものでございますから、こちらで十分な対策ということでやっておりました時点におきましても、災害の後で考えれば、たまたま十分でなかったという点もあることはございますが、一応その特色に応じて、それに対応する採炭技術あるいは採炭方式、こういうことでやっておるわけでございます。
  16. 田中六助

    田中(六)委員 その炭鉱に応じて炭量をやっておるというのだけれども、私は、石炭審議会でああいうふうに答申が六次まで出ておるわけですが、果たして本当にそういう観点を含んで検討して、二千万トンとかあるいは五千万トンとかいうふうなことを、過去に出してきたのかどうかということを、最近少し疑問に思い始めたのですが、それはあなた、そういうふうにやっているというのだが、果たして石炭鉱業審議会の四十名の委員が、本当にそういうところから出炭量を割り出して答申しているのかどうか。これは私もその審議会にいたことがないからわかりませんが、そういう点の配慮を、これからもう少しやってみて、ただ出炭すればいいというようなことでないように、気をつけてもらいたいと思います。  それから、天災人災かということ、これは非常にむずかしいのですが、高島の場合も、これは人災だというふうに強い印象を受けて帰った人が多いのです。まだ調査中だから結論はわからないのですが、そういう点、特に私が人災というようなことが多少頭にひらめくのはなぜかというと、高島の場合、行って見ますと跡方ガスのチェックが足りなかったということは認めているわけです。それで、残っている跡方ガス異常発破のそのプラスで爆発したということなんですが、跡方ガスのチェックが足りなかったということは、本当にきわめて初歩的なもので、当然やっておくべきことがやられてない。それからもう一つ、死んだ人に気の毒だが、二十七名の罹災者のうち二人死んでいるわけですが、一人の人は救命具を持っておったけれども、それをつけなかった、そういう説明を組合の委員長はしておりましたが、疑えば切りがないのですが、本当に救命具を持って入ったのだろうか。救命具を持って入っても、マイナス五百五十メートルのところですから、普通の常識が働かなくなる、それから何か事故だということで瞬間的に動転する、ノーマルな考えが吹っ飛んでしまってアブノーマルになるということを計算しても、命が助かりたいということが本能ならば、本能的に救命具とかそういうものにまず手をつけるのじゃあるまいか。それがどこか、かけておったところが近くにあったというような説明で終わったのですが、果たしてそれがそうだっただろうか。つまり、なれによってそういうものを怠る。私は戦時中、飛行機に乗っておったのですが、落下傘を必ずつけなくちゃいかぬというのですが、多少、節約する意味もあって、落下傘をつけなくて飛行機に乗ったりしておったこともあるのですが、そういう意識することは別に、なれというか毎日毎日、毎日じゃないけれども、二日に一回入るとしても、方番によっても違いますから、そういうふうになるのでしょうけれども、そういうところの訓練ですね。というのは、まだ疑問に思うのは、二十七名の中で古い人が二十七年の経験、新しい人でも十七年間、坑内に入っているという説明を受けたのです。それから、年齢が一番古い人が五十三歳、一番若い人で三十五歳ですね。そういうような人が、本当にこういう初歩的な爆発事故で、そういうことになるのだろうか。やっぱり日ごろの心構えが、いつかこう、なれになってしまって、事故を起こしているのではないかというような気もしますし、その点の保安当局の訓練のやり方あるいは経営者訓練のやり方、あるいは組合自身、命というものに対して、法規がどうとか政府がどうとか、監督局がどうだ、経営者がどうだとか言う前に、やっぱり自分の命ですから、組合が、もしもあれだったら労務者そのものの訓練とか、そういうものでも、もう少ししておったら何とかなったのではないだろうかという点もあるのですが、最近の各炭鉱のそういう訓練についてのことを、これは対策として、この「最近の石炭鉱山における主要災害事例」の中には、訓練をあっちこっちに書いていますが、ただ文字で書いているだけじゃないのだろうか、本当にそういうことをやって身につけておるのだろうかということなんですが、その点はどうでしょう。
  17. 宮本四郎

    宮本政府委員 冒頭に先生から御発言のございました、保安が第一であるならば、各炭鉱の自然、天然的な条件に応じて、出炭量の方も積み上げていくように検討すべきであるという点につきましては、私ども、そういう観点からやっておるつもりでございますが、さらに具体的な検討を、その方向で進めさせていただきたいと思います。  それから二番目に、高島炭鉱人災ではないか。特に、いま原因につきましては調査中でございますけれども、発破ガスに引火して爆発したのではなかろうかというふうな疑いも持たれております。それから、そのときに被災者の中に救命具を十分使っておったかどうか、こういうお話でございますが、確かに炭鉱災害の中には、施設の不十分な面と、それから人の不注意な面と、二つの種類に分かれて原因があろうかと思います。施設の不備につきましては、もちろん保安関係のいろいろな事業で助成をしてまいらなければならぬわけでございますが、人災の傾向の強い災害防止のためには、これは申すまでもなく、管理者及び労働者各人が日ごろの訓練をすることが大切でございます。あわせまして、私ども鉱山保安監督局におけるところの監督検査を通じまして、炭鉱におけるところの保安を十分確保してまいるということを考えてまいりたいと思います。  当該高島炭鉱におきまして、先ほどのお話のように、相当経験の豊かな方が現場で被災しておられることは事実でございまして、三十数年から十数年以上の経験を持った方々ばかりでございます。思いますに、本炭鉱は四十九年度におきましては死亡者がゼロでございました。そういう意味におきまして、会社に聞きましたところ、いろいろ訓練をやっておる。たとえば、ガスマスクの着装の問題でございますけれども、法規上はもちろん三カ月に一回以上やれということになっておりまして、高島で聞きましたところが、五十年四月以降におきましても四月、七月、十月、それぞれ実施をしたと申しております。それから、マスクの数でございますけれども、これも坑内にちゃんとあったと言いますけれども、いろいろ聞きますと、全員が着装したという形跡がございませんで、その辺、現実に事故発生したときに、どう対処するかという問題もあろうかと思いますが、これは挙げて、保安教育と申しますか、日ごろの訓練が非常に大事だということを痛切に感じておる次第でございます。
  18. 田中六助

    田中(六)委員 いま局長が指摘するように、この炭鉱は二カ年間死亡がなかった。事故がゼロだったのですが、災害は忘れたときに出るということわざどおりを地でいっているようなことなんですけれども、そういうこと。それから、具体的には、六つの発破が二つうまくいって、二つが前にいって、その残りの二つが不発で後ろのガスとやったというふうに言われていますけれども、いずれにしても、そういう点でも私が先ほどから指摘をしていますように、非常に初歩的な爆発事故だし、十分考えてそれぞれ指示をしてもらいたいと思います。  それで、この災害と関連して、この前、大臣の答弁もあったわけですが、保安諸法規の改正というものが言われております。私自身に言わせると、諸法規を幾らシビアにしたり、こうこうしたから事故がなくなるというものじゃないですけれども、しかし、ある程度の諸法規の問題というのは大切なことでもありますが、この法規の改正ということについて、政府はいまどのように考えておるか、あるいは目下のところ、どのように対処しておるかというようなことについて、お答え願えたら、いまの段階で結構です。
  19. 宮本四郎

    宮本政府委員 最近の炭鉱災害の事例にかんがみる以前から、新しい石炭政策が展開されまして、いよいよこれから深部に移行するのだ、深部に移行いたしますと、当然ながらガスも多いし、地圧も高いし、温度も上がるというふうなことで、各種の悪条件が重なってまいります。したがいまして、こういう深部移行に対する保安上の備えというものを万全にしなければならない、こういう趣旨からいたしまして、現行の諸法規をもう一度、全面的に洗い直す必要がある、こういうことでございます。  そういう立場に立ちまして、現在、鉱山保安法にございます中央鉱山保安協議会、この中に石炭亜炭部会というのができておりますが、部会長の伊木先生のもとで、関係労働組合、学識経験者及び業界からも出ておられますけれども、そこで真剣な討議を賜っておる状態でございます。
  20. 田中六助

    田中(六)委員 そうすると、それは別にすぐ結論が出るというようなものじゃなくて、いつごろを目安にして、どうというようなことについては、どうなんですか。
  21. 宮本四郎

    宮本政府委員 問題が非常に各方面にまたがるかと存じます。現在は技術上の問題を中心に展開をいたしまして議論を賜っておるわけでございますけれども、他方、現実の問題の進行もございますので、できれば年度内に一応の区切りをつけて実施に入りたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 田中六助

    田中(六)委員 保安諸法規の改正については、年度内に一応目安をつけて、その後、検討したいということで、一応了承いたします。  それから最後に、二十七名の罹災者のうち二名死んでおるのです。この二名の家族の構成というようなものが、もしもわかるならば、ちょっと教えてもらいたいと思うが、どうでしょうか。わからなければいいです。
  23. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 申しわけございませんが、いま手持ちの資料がございませんので、後ほど御連絡いたします。
  24. 田中六助

    田中(六)委員 というのは、やはり遺族補償問題というのが問題になる。今後もあるし、いまから遺家族がどういうふうになっていくかということも、私ども十分考えなくてはいかぬことで、弔慰金とか退職金、葬式料を含めまして、一時金が二人分で合計約三千四百八十万というのですが、それから年金のこともあるわけです。こういうことは、私どもお見舞いして、これはこういう姿でどういうふうになっていくのだろうかと、ふと家族のことも頭に浮かびましたし、そういう点の配慮、それから年金についても十分政府が会社などもリードをしていただきたい。保安という責任は、大きく見ると家族に対しても及ばなくては保安にならぬと私は解釈しております。どうか、そういう点についての配慮政府がどういうように考えておるか、局長でも部長でも答えてもらいたいと思います。
  25. 宮本四郎

    宮本政府委員 不幸にして災害発生しました場合に、その罹災者というのが私ども最も心を痛めておる問題でございます。罹災者には罹災者の家族がございます。こういう家族の方々がどういうふうに安定的に今後の生活を送ることができるかということが確立されるのでなければ、石炭保安、さらには新しい石炭政策の方も進行しないということでございます。ただいま先生からお話しのように、私どももこの罹災者につきましては、数字は、どのくらい一時金として出され、年金として出され、ということは承っておりますけれども、その家族のことまで考えた温かい施策と申しますか、具体的な政策がとられておるかどうか、あわせて検討してまいりたいと思います。
  26. 田中六助

    田中(六)委員 終わります。
  27. 田代文久

  28. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 最近、北炭夕張炭鉱以来、相次いで災害発生しておるわけですが、この災害原因を見ると、共通して指摘される点があるわけです。それは、北炭夕張炭鉱の場合あるいは三井砂川ガス突出あるいは三井砂川坑内出水を見ると、全然、予見されなかった事故ではないわけですね。第一に、新夕張ガス突出でも三井砂川ガス突出でも、現実にガス抜きをやっているわけですよ。しかしながらガス突出した。そこで、あなた方の対策を見ると、いろいろ書いてありますけれども、結局ガスのボーリングが非常に不十分だった、こういう点が率直に指摘されておる。予見されておる、それは危険だ危険だといってガス抜きをやっているけれども、そのあと一歩という肝心なところに届いていない。こういうところがやはり非常に不十分だと思う。ですから、一体この点を役所としてはどういうように考えるのか。やはり生産優先あるいは生産第一主義で、保安が軽視されているという問題があるわけです。全然、天から降ってきたような話ではないわけですね。ですから、たとえば先進ボーリングをしても、ある一定期間そこは採掘採炭を開始しないで、ガスが十分流出するまで待っていくというようなことも、夕張炭鉱の場合には指摘をしておると思います。ところが、果たして現実に、そういうことが行われておるかどうかですね。すなわち、北炭の夕張炭鉱の場合に「沿層掘進及び払は先行したばん下坑道から25メートル桝目毎の貫層ボーリングにより有効なガス抜きを行い、ガス抜開始後沿層掘進は1ケ月以上、払は6ケ月以上経過した後に行う。」こういう対策が指摘されておる。果たして現実はどうであるのか。ことに、いま対策が指摘されております夕張炭鉱の場合は一体どうであったのか。これをお聞かせ願いたいと思います。
  29. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 お答え申し上げます。  事故以前の払いの作業状況でございますが、一応ガス抜きボーリングの本数は、そこの資料にございますように、勧告あるいは改善策に比べまして相当本数が少なかったことは事実でございます。それから、作業内容でございますが、ある程度、日にちを置いて、払いにかかったという作業をいたしております。
  30. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ある程度、日にちを置いてと言うが、あなたの方の対策では「沿層掘進は1ケ月以上、払は6ケ月以上経過した後に行う。」こう書いてあるが、現実にはどのくらいで行っておったのですか。
  31. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 お答えいたします。  この勧告前の払いの状況は、大体ここに書いてございます数字と同じぐらいの時間を置いて行っておったわけでございます。
  32. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、たしか出炭を急ぐ余りということを現地で聞いた記憶があるのですが、私もつまびらかでありませんから、これはまた現地に問い合わしてみたいと思います。実は衆議院が調査をした段階で、こんなに余裕を置いて行っていないのじゃないか、こういうように私は聞いたのですけれども、あなたの方は、これは対策の(1)のC項で指摘されておることは、現実において行われておった、こういうように判断しておるのですか。
  33. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 この問題につきましては、対策といたしまして、ガス抜き、あるいは作業にかかる期間の延長その他の総合的な対策を考えまして、このような内容になっておるわけでございまして、場所によりまして、いまの一カ月あるいは六カ月というのが多少、必ずしもそのように行われていたということにはならないかもしれませんが、大体において期間の延びたというところは、そのような内容になっている、そのように聞いております。
  34. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 むしろ、その夕張炭鉱の場合は非常に準備がおくれて、現実には急いだんじゃないですか。かなりピッチを上げて、出炭を急ぐために、あるいは経営状態の問題もあるので、そういう余裕がなかったのじゃないか、私はこういう判断をしておるのですが、これは詳細に事実を確かめてから、別の機会に質問をいたしたい、こういうように思います。  それから砂川もやはり坑内出水の場合です。水を抜いておるけれども、これも不十分だ。これには実は豪雨による地表水の急激な浸透に十分、対応できなかったということも指摘をしておるわけです。この三井砂川の場合を見ると、昭和二十五年から二十六年くらいの旧坑に水がたまっておったという。そうして四十九年の五月から六月に抜水を行った。それから恐らく地上が豪雨に入ってからでしょう、八月二十七日において、この十四目抜き採炭中に出水したので採炭を中止した。そして九月八日から十二目抜き採炭した。そして事故が起きたんですね。ですから、そういうように、もうすでに何カ所か出水事故が起こっておるわけですから、その十分な注意がなぜなされなかったのか、こういう感じを持つわけですが、それはどういうようにお考えですか。
  35. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 この砂川出水事故につきましては、先生御指摘のとおり二十七日に相当量の出水がございまして採炭作業を中止しているわけでございます。その対策といたしまして、すぐに数日かけまして、上向きの水抜きボーリングを六本ばかりいたしておりまして、この六本の内容を検討いたしまして、水量が相当程度抜けて大丈夫という判断をいたしまして、その後、採炭をいたしまして、このような事故になったわけでございます。考えられますのは、豪雨というのが相当あの時期に長期間にわたって続きまして、その影響がたまたま一時期に下にあらわれるのではなくて、ある程度、長期的な影響があったのではないか、こういうことで、その水を抜くボーリングのやり方について、もっと徹底的に検討してみる必要がある、このように考えられる次第でございます。
  36. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 時間がありませんから、問題指摘にとどめておきたいと思うのです。やはり基本問題は、また後から大臣が見えたら、質問いたしたいと思いますが、経営が悪化しておる、予算が十分ない、こういうところにも、やはり余裕がないという原因があるのじゃないですか。それは口では決して保安はサボっておりませんと言うけれども、現実にあらわれている事象を見ると、もう少し企業がそういう点について十分配慮しておれば、できたじゃないか、全然、予知しなかったところに起こったわけじゃないのですからね。中途半端なやり方をやっておるわけです、結論的に言いますと。そこにはやはり予算的な面、それは会社の費用の問題あるいは国の予算の問題そういう問題があるのじゃないか、こういうように思っておりますが、それについてはどういうようにお考えですか。
  37. 宮本四郎

    宮本政府委員 先生御指摘の北炭のケースあるいは三井砂川のケース、これらのケースをしさいに点検いたしますならば、事前に若干の予知、予見し得るような事態があったということがわかっておるわけでございます。たとえば、三井砂川出水の場合に、少し前に水が少し出ておる。したがいまして、これはおかしい、どういう措置をとるべきかということで水抜きをやったということになっておるわけでございますが、そのやった後で、もう大丈夫だろうと思って入ったところへ、どかっと大出水が来た、これは事実でございます。さらに、先ほどのようにガス突出事故におきましても、もう少し慎重なガス抜きのボーリングを加えながら前進しておれば、あるいはというふうなことも、後からは反省させられるわけでございまして、それの根本原因が何であるか、これは私、御指摘のような点もあろうかと存じます。  もちろん、石炭企業が長い間に十分な保安施設を展開しながら、生産を並行して進めていくということになるだけに、ここもやりたいあれもやりたいと思っておっても、なかなか経営の関係から十分な手当てができない。したがいまして、国におきましては重要な工事につきましての補助金という制度も出し、これについての年々の予算も増額してまいっておるわけでございます。しかしながら、十分か、これでもって事故が防げるかという観点から見ますれば、必ずしも十分とは言えない、こういうことがございまして、御指摘の点は多々あろうかと思います。私はそれにつきまして、今後、これは国だけの問題でもございませんし、経営全般にかかわる問題でもございますので、総合的に少しでも前進できるように考えてまいりたいと思っております。
  38. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に今度は高島炭鉱と北炭新夕張との共通問題としては、一つ発破の問題ですね。私は非常に残念に思うのは、非常に近代化しておるという高島炭鉱においても、あるいは北炭の新夕張炭鉱においても、今後の対策として、各払いの可燃性ガス自動警報器には、払い電源にインターロックする、あるいはまた断層部発破の際に水タンパーを使用し、噴霧発破を行う、こういうことを、いまごろ事故が起こって掲げなければならぬというのは、非常に残念に思うのですよ。こんなことを、いまごろ気がついたようなことで、これを会社も役所の方も対策に書いておる。こんなことはあたりまえのことで、なぜ完全な保安施設、あらゆる考えられる最大の保安の施設の整備を行っていなかったか。私は、事故があったときに、いや気がついたから、こういうようにしますというのでは、余りにも情けないという感じを受けるわけです。これについてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
  39. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 お答えいたします。  高島の場合におきましては、深部の採掘をいたしておりまして、その採掘状況で非常にガスあるいは状況の悪化ということがございまして、この採掘におきましては、いま先生御指摘のような保安措置というものを十分とっておったと聞いております。ただ、現在の九卸三片の払いにおきましては、深部と比べまして相当浅くなっていて、たとえばガスの量あるいは盤圧その他、条件が相当よかった。こういうことで昔の悪条件との比較において対処する保安のやり方というのが、現在、指摘されているような内容になった、このように考えられます。しかし、やはり先行する胡麻払いというところは、相対的にガス量が多いということは事実でございますので、今後そういう断層、特に問題がありそうなところにつきましては万全の策をとらせていきたい、このように考えております。
  40. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、保安機器とか、そういう施設の整備は最善の方法をとってもらいたいと思うのです。それは今後、開発して、そうしなければならぬというならば仕方がない。しかし現在、行われておる器具ぐらいは、こういうような山には当然あってしかるべきである、こういうように考えられるわけです。今後の対策として噴霧発破を行うとか水タンパーを使用するというのは遅きに失するのですね。なぜそれをやらなかったのか。これは非常に残念に思うのです。やはりここに保安軽視という面があらわれておるのじゃないかという点であります。  それからもう一つ、ちょっと時間もありませんが、私が気がついたのは、砂川ガス突出のときの政府資料による対策として「簡易救命器の配置」というのがあるのですね。これはどういう意味ですか。簡易救命器はなかったのですか。一体どういうことなんです、これは。
  41. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 いまの配置の問題でございますが、それまでも配置はされておったわけでございますけれども、一定の距離ごとに数多く配置する、こういう意味でございます。
  42. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは自己救命器というのはどうしておったのですか。
  43. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 COにつきましては各自持っておったわけでございます。
  44. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この砂川ガス突出の場合は、一回は全員が八番の盤下坑道へ退避しておるわけですね。そして今度は直轄のダブルチェックの係員が来て引き縦面に胴張りを実施するように指示したわけですね。そうして胴張りを実施していたところが、その切り羽面に異常を感じて、全員退避したけれども、退避すると同時にガス粉炭一緒突出してきたという事件ですね。ですから、前のところにずっと退避するか、その後、全員坑外に退避さして——この資料では人命には影響のなかったという事案もあるわけですね。せっかく退避しておるのに、のこのこ、そこで出して作業を命じて、そしてガス突出が起こって死亡者が出た。でありますから非常に残念に思うわけです。これはどういう判断であったのか、ちょっと私ども判断に苦しむのですが、どういうふうにお考えですか。
  45. 宮本四郎

    宮本政府委員 この調査報告書にも指摘いたしましたように、最初、異常を感じたというので八番盤下坑道へ退避いたしております。しばらくすると山鳴りが小康状態になったというので、ダブルチェックの係員が参りましたので、それが様子を探りに行った。それじゃ引き縦面に胴張りをやろうかというふうなことで、そこで仕事を始めて、大きなのが出てきた。まさにそのとおりでございます。  したがいまして、私ども後から考えますと、最初のときに、もう少しゆとりを持って間を置いて、安全を確認してから初めて入るということ。したがって私ども、これは現在、検討中の事項でございますけれども、この間の間隔をどういうふうに置くか、それで確認をどういうふうにして、次に進めるかというふうなところを、これは現場ごとにもちろん違いますし、それから経験による先行きの判断というものがあろうかと思いますけれども、何かしらそこで支えになるようなものがないだろうかと考えている次第でございます。
  46. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 割り当てられた時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますが、自己救命器をせっかく携行しながら、あるいはどこかほかの個所へ置いておったとか、あるいは実際、自己救命器を最終的につけたのが、高島の場合は二人だけ、これは非常に残念に思うのです。ことに自己救命器については非常に歴史がある。私どもも国会へ出てから何度かこの問題に遭遇しました。最初は、とにかく自己救命器もないというのはいかぬから、坑内に備えつけた。ところが、中小炭鉱から整備させておって、大手は一番おくれていて、三池災害のときにはそれが間に合わなかった。続いて三池事故が起こったときば、自己救命器は何カ所か集約的に置いておりまして、その自己救命器を取りに行くというやり方で、三つぐらい持っておった者は助かったけれども、一つぐらい持っておったのは亡くなったということもあります。それから今度は自己救命器は自己携帯にするということにしたわけですね。これは規則の方を見ると、たとえば四十三年一月十三日改正というのはこういう事件があったな、あるいは三十七年七月二日の改正の場合は、こういう事件があったからだという記憶が、私どもあるわけですけれども、どうも高島の場合でも、頭では教えておるけれども、体で教えてないのじゃないかという感じがするわけです。ですから、ああいうとっさの場合、ぱっとつけるという訓練ができてないのじゃないか。体でできてない。われわれも飛行機に乗るたびに、事故の際のやり方を聞くわけですが、あれもいよいよ飛行機にそういう事故があった場合に、果たして間に合うだろうかという感じがしますが、どうも頭では習っているけれども、体で瞬間的に教えていないのじゃないか、こういう感じがするわけです。そこで、やはり保安訓練というのは体で教えないと、何を言っても体が覚えないと、ああいうような瞬間的な事故というものは防ぎ得ないのじゃないかと私は思う。そこで、新幹線も一月のうちに一回くらい休んで総点検をするということですが、私も炭鉱保安日を設けて、月に一回はもう全部休んで、訓練をするなり保安点検をするというシステムを確立してみたらどうかと思うのですね。ですから、とにかく全部それをやってみたらどうか、こういうふうに私は考えるのですが、どうでしょうか。
  47. 宮本四郎

    宮本政府委員 事故時の対応策でございますけれども、たとえば三井砂川ガス突出のケースでございます。この調査報告書にも書いてございますように、ガス突出してきたときに、確かに退避をいたしました。退避をいたしまして、その距離が四、五十メートルでございますか、退避した地点で濃厚なガスを吸って罹災した人の中に、死亡された方がおられたわけであります。したがいまして、その時間の関係から申しますと、非常に短い時間でございます。その間をガスを吸うことなしに、何とかもつことができれば助かっておったわけでございます。そうすると、ガスマスクなり酸素ボンベなり、いろいろなことが考えられるわけでございますが、みな携帯はいたしております。ところが、十分それを着用したかというと必ずしもそうではない。なぜか。これは先生御指摘のとおりに、やはり体をもって覚えるというふうなことがなければならぬと思います。同時にもう一つ、短時間でも限界になりますと、生きるか死ぬかの非常に大事なところでございますので、簡易な、きわめて簡単に着装できるようなものが、技術的に何とかならないものだろうかという考え方さえ持っておるわけでございますが、いずれにいたしましても保安教育訓練というのは一番大事で、現在も、たしか一月に一回、三十分の保安点検保安日、保安訓練の励行というのはやっておるようでございますけれども、先ほど申しました中央鉱山保安協議会の席でも、こういう意見が出されておりますので、十分検討したいと思います。
  48. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 一月に三十分ぐらいではだめで、やはり保安日くらい設けて、一日そういう訓練をする、そして体で覚えるような訓練をしないと、どうも徹底しないのじゃないか。私は試験的にここ一年なら一年やってみたらいいと思うのです、それがどういう成果があるか。これはひとつ提言をしておきたいと思います。  大臣が見えましたら、後からまた質問を続けたいと思います。
  49. 田代文久

  50. 多田光雄

    多田委員 さっきの石炭部長田中議員に対する答弁で、五十年度出炭が千九百万トン強ぐらいに落ちるかもわからない、こういう御答弁だったわけですね。二千万トン以上ということで、私ども何度かこの委員会で伺って、果たしてそれが確保できるのかというふうに聞いてきて、政府も、まあ大丈夫という回答をしておられたのだけれども、やはり危惧したような事態を迎えているわけです。四十九年度は計画が二千二百万トンでしたね、それに出炭実績が二千二十九万トン。それでことしは二千三十万トン、ところがいま言ったように二千万トンを割ってしまうということなんです。  きょうは時間がないので伺えないけれども、いま石油の問題またエネルギーの問題で、六カ国の首脳会議もやらなくちゃならないというふうな、エネルギー問題が非常に大きな問題になってきているさなか、しかも、国内でともかく最低二千万トン以上ということを言ったのが、逆にこれが減少してきているということです。これは非常に私も心配しておることなんですよ。政府は、二千万トン以上ということで、ことし二億五千万の調査費をつける、来年の概算を見ますと三億四千万の予算をつけることになっておるのですが、調査個所は前から聞いておりますが、そこで、どういう調査をいつから始めたのか、それをひとつ簡単に答えてください。
  51. 高木俊介

    高木政府委員 国内炭の可能性調査につきましては、本年度から新たに予算をつけていただいた制度でございますので、大分発足がおくれまして、これは政令追加等の諸手続上の問題がいろいろございまして、大変おくれて申しわけなかったのでございますけれども、十月から全国九カ所にわたりまして調査を開始いたしております。この調査事業団に委託いたしまして、事業団が一応調査をしてくれるようになっておりまして、事業団の方といたしましては、調査地域ごとに連絡協議会を設けまして、これももうすでに開催したわけでございますけれども、各市町村の方も御協力をいただきながら、最終的にはまとめる予定にしております。  で、調査内容でございますけれども、これはソフト面とハード面の両方の調査を本年度やるようにいたしておりまして、本年度一年では、特にハード面の方は調査完了しないというふうに考えられますので、来年度も引き続き、特に来年度はハード面に力を入れまして、たとえばボーリングであるとか、いろいろそういうこともやりながらの調査の完成をいたしたいというふうに考えております。
  52. 多田光雄

    多田委員 聞けば、実際に調査を始めたのは大分おくれて十月中旬にずれ込んでいるようなんですが、事業団調査を委託しているわけだけれども、事業団は一体その実際の調査をだれにやらしていますか。
  53. 高木俊介

    高木政府委員 お答え申し上げます。  これは、それぞれ九地域にわたりましてハード面とソフト面の請負業者というようなことで、たとえば天北でございますと、ダイヤコンサルタントあるいは三鉱コンサルタント、ソフト面におきましては三菱総合研究所というようなことでやっております。なお、釧路におきましては、日鉄コンサルタントあるいはダイヤコンサルタント、またソフト面におきましては北海道環境保全エンジニアリングセンターあるいはセントラルコンサルタント、このように各地域ごとに、それぞれの専門家、一番そこに近い、いろいろ実情に詳しいと思われるような方々を、事業団としまして請負業者として選定しておるわけでございます。
  54. 多田光雄

    多田委員 聞けば、大体十企業くらい、事業団がさらにまたコンサルタントに委託している。それでコンサルタントの中身を見ますと、大体石炭企業の子会社だとか、あるいはまた石炭企業に密接な関連を持っているそういうコンサルタント、これがやっているようです。  そこで伺いたいのですが、この調査の結論はいつ出るのですか、ことし、来年ということだけれども。
  55. 高木俊介

    高木政府委員 地域の狭いところでございますけれども、そういうところの調査は本年度、来年の三月でございますけれども、完成いたす予定でございます。なお、天北あるいは釧路とか、地域の広いところにわたりましては、本年度一年では無理でございますので、先ほども申し上げましたように来年度まで引き続きハード面に力を入れて調査を実施したいということでございまして、二カ年の計画で、一応いま申し上げました九地域については完成いたしたいというふうに考えております。
  56. 多田光雄

    多田委員 先ほど言った、計画自体がもう達成できなくなってきているというその姿勢が、この調査にも出ていると私は思うのですよ。十月中旬にまで、その調査がずれ込んだということ、これはいろいろな予算の関係もあっただろうと思うのですけれども、今後、大体一年半から二年後、そういう調子でしょう。しかも加えて事故が相次いでいる。それから、後で聞くけれども、万字炭山が水没でもって閉山せざるを得ない。志岐炭鉱もやめてしまった。高島炭鉱もこの夏、相当合理化をやって人員を縮小してしまって、今度は六十万トンだ。それから有明にしても、当初二十万トン、二十万トンと言っていたけれども、五万トンぐらいしか出ない。こうなってくると、二千万トン以上どころか、二千万トンを割ってしまうというのが、もう常識みたいになってしまうのではないかという点から考えてみても、この調査というものを、もっと本格的にやる必要があるのじゃないか。  しかも、どうしてこれを民間に委託するのだろう。聞けば、たとえば工業技術院の地質調査所札幌支所なんかでは、相当前から調査をしてきて、いま言ったこれらのコンサルタントが連日のようにその地質調査所に行って資料や地図をもらっているということを、きのうも伺ったんです。政府に一体そういう力がないのかどうなのか。それから、そういう一国の資源を本当にいま盛り立てていくというものを、そのコンサルタントに任していいのかどうなのか。人数も四、五人程度、ボーリングをやったのは上茶路かの一カ所ぐらいであって、そして二十日かそこらでやる。ハードのところは来年もかけてやるということなんだけれども、つまり民間に任せてしまう。こういうことで本当に日本石炭を掘るという構えなのかどうなのか、私は大変疑問に感ずるのです。  そこで、ちょっとこれに関連してもう一つ伺うのだけれども、いま水没で問題になっている万字炭砿の、昭和四十八年十月二十三日、札幌通産局で認可した施業案に示された炭量は幾らですか。
  57. 高木俊介

    高木政府委員 四十九年八月三十一日に施業案が出ておりますけれども、これによります炭量は、理論炭量といたしまして六十六万トン、実収炭量といたしまして五十三万トン、これは施業案の本層部分採掘として一−三片レベルの炭を対象に掘るということで施業案が提出になっております。
  58. 多田光雄

    多田委員 水没した本層のところはそうだと思う。  ところで会社側は、旧万字の稼行区、夕張上層、ここからいまの水没した登川本層に移行する際、四十九年七月五日の労使の協議会で、組合に対してこういう説明をしているのです。本層の炭量三百二十三万八千トン、数字を間違わないでください。ところがその後、会社はこれを訂正して、いまの登川本層だけじゃなくて、万字の持つ全鉱区だというふうに訂正していたのですが、この三百二十三万トンの炭量について、石炭部長、知っておりましたか。
  59. 高木俊介

    高木政府委員 御指摘がございましたので、労使協議会において、どのような数字が発表になったかということを、きのう調べたのでございますけれども、その数字によりますと、ただいま先生の御指摘のとおり三百二十三万トンというようなことを公表しているようでございます。
  60. 多田光雄

    多田委員 当時、労働組合は登川本層に移行する場合、炭量が向こう三年でなくなるということは、会社からも言われていたし、組合もそれはわかっていた。しかしそのとき組合としては、三百二十三万トンあるのだから、さらに炭量の精査をして鉱命延長を図ってもらいたいということも、組合は北炭にそれを要望していたわけです。ところが今回の水没でこの登川本層、これはもう大変な事態で、場合によっては閉山しなければならないというふうな状況になってきているわけですね。ですから、どうも私は疑問に思うのです。政府も本当に鉱命延長のために、貴重な資源を文字どおり掘らしていくために、さらに精査することを会社に義務づけるとか、一体そういう行政指導をしたのかどうなのか。ともかく会社は、ここの層がだめであれば次でございます。そして向こう三年か四年しか掘れないのだけれども、言うと労働者が逃げてしまうというので、ともかく何年もまだあるように言っておく。ちょうど、まるで馬の前にニンジンをぶら下げて労働者のけつをたたいているようなものですよ。そして事故が起きたら、もう炭量がございません。万字もそうでしょう。あと三十万トンそこそこ、二十何万トンか。それを掘るのには、水を除外するのに三十億から四十億かかる。掘っては採算がとれませんから閉山でございます。これも後で述べるけれども、北炭の会長が、今度はまた別なところに山を掘ります、政府から金をもらわなくちゃいかぬと言っている。これくらいなことをやられていて、私は政府に責任があると思う。本当に二千万トン以上——われわれは二千万トン以上もっとたくさん掘らなくてはならぬと言っているけれども、掘るのであれば、もっと会社に精査を義務づけていく。それからいま政府が二億五千万円出している調査にしても、私はまだ少ないと思うのだけれども、本格的に政府が腰を入れて炭量調査していくということが、二千万トン以上掘る場合の基礎中の基礎だと私は思っているのですよ。そういうことをやはりなおざりにされてきているのです。そして外炭だという。ところがきのうの新聞を見たら、外炭は、豪州ではまた政変が起きてきている。これも前に私は言ったんですよ。外炭でまた何千万トン輸入するなんと言っているけれども、その相手の国の政治情勢が一体どうなるのか。  だから、そういう意味で、私ひとつ提案があるのですけれども、どうでしょう、権威のある独立した調査機関をつくっては。大学の先生方を入れてもいいですよ。そうして本格的に調査をしていく。それからいまひとつ、いま北海道の場合でもそうだけれども、ずいぶん各地方自治体から、うちの山をひとつ調査してもらいたい、調査対象に入れてもらいたいときている。たとえば阿寒町の北陽区域だとか、音別町の上茶路北部、赤平市の旧赤間区域夕張市の鹿の谷区域、こういうようなものが上がってきているのです。こういうものも来年度の予算の中で調査対象にしてやってみるということをどうですか。これはまた後で大臣に伺いますけれども、一応事務当局に伺っておきたいのです。つまり、もう一度言いますよ。独立した調査機関をつくるということと、すでに地方自治体から上がってきている、そういう調査区域について調査をするかどうか、これだけ伺って、私はまだ結論が出ておりませんから、大臣の質問に移りたいと思います。
  61. 高木俊介

    高木政府委員 独立した調査機関という先生の御指摘でございましたけれども、昭和三十年前後に実施いたしました調査で、例の地質調査所を主体にした調査でございますけれども、大体の埋蔵炭量というものは押えているわけでございまして、今回の調査あるいは今後、企業が開発するための調査というのは、いわゆる企業化調査でございまして、この企業化調査のためには、現在でも近代化資金の中で融資をするとか、いろいろな制度をとっておりまして、そういう制度の中で、ひとつ見たらどうかというふうに考えております。
  62. 多田光雄

    多田委員 それからもう一つは、地方自治体から、うちの区域調査区域にしてくれという要望がかなり強くきておるはずだ。
  63. 高木俊介

    高木政府委員 各地方の自治体から要望のあることは事実、聞いておりまして、この点につきましては、いわゆる企業化調査の段階になると思いますので、たとえば赤間区域であるならば住友と相談して、住友の方に、こういう助成をするから、あるいは融資をするから調査をしないかということは、うちが中間に立って、いま指導しているような状態でございます。
  64. 多田光雄

    多田委員 終わります。
  65. 田代文久

  66. 松尾信人

    松尾委員 政府から、先ほども大きな災害報告がありまして、また三菱高島礦業所の事故につきましては、私も調査団の一員といたしまして現地に参加いたしました。それを通じて言えますことは、どうも事故が起こっていろいろ反省する、そして、いろいろな対策を講ずるということが通例みたいになっていますね。たとえば今回の高島事故でございますけれども、その対策をどうするかということが、会社側からも提案になっておりまするし、あなた方もそれを了承しておるようでありますが、要するに異常発破を排除する、それから異常発破跡方ガスのルートを遮断する、こういうことが基本的な対策、それを土台にいたしまして、いろいろと細目の対策をとっていこう、こうしておるわけでありますけれども、今回の高島礦業所の事故も、結局、異常発破、それが払い高落ち個所ガスにちょっと通じた。そこから跡方ガスの方へ、ガスセンターと言われるところへそれが飛んでいって、そこでガスに燃焼いたしまして、今回の大きな災害を起こした、こういうことでございます。われわれは説明を受けまして、原因はそこであろう、こう言っているわけです。  それで、いま基本的対策を、異常発破の排除だとか、そして異常発破跡方ガスのルートとの遮断、こういうことに主眼を置いているわけでありますけれども、これも事故が起こって、いろいろ反省して種々の対策を講ずるということは、全くそのとおりであります。事故を未然に防ぐというのが、あなた方の責任でもあるし、また企業の方の最大の責任であります。それをいまのような状態でいきますならば、いつまでも事故保安対策というものが、要するに駆けっ比べになりまして、そして繰り返す。すでに今年の事故も相当の件数になっておりますし、死傷者も相当ある。そして口では絶滅と言うけれども、やはりつながっているわけです。でありますから、これは天災人災か、すべてこれは全く人災である。いまさら跡方ガスのルートの遮断とは何事か。常時そのような状態を把握しておいて、適確に常時、対策を立てていくのがあたりまえの企業の責任であり、政府側の監督の責任であろう、こう思うのでありますけれども、私の言っているのは無理かどうか、いかがですか。
  67. 宮本四郎

    宮本政府委員 石炭鉱山におきまして保安が何よりも優先する、人命が一番大事なんだということで、日ごろ監督、指導をいたしておるわけでございます。ただ御指摘のように、事故の件数、罹災者の数というものは、ここ数年はやや中期で見ますと、わりあいに下がってまいっておりますけれども、四十九年一月から本日までの段階、たとえば十一月十二日というところで区切って五十年と対比しますと、四十九年度は三十一件、死者が三十四名ということになっております。五十年におきましては、これが二十九件、三十九名ということでございます。したがいまして、ほとんど改善されておらないということでございます。  私ども、こういう数字を前にいたしまして、いろんなことを考えて、たとえば監督局、監督部によるところの巡回検査あるいは特定検査その他も頻度を増しまして、たびたびやっておりますし、あるいは経営者に対しましても、いろいろと総点検、個別の点検、クロスチェックなどをいたさせておるわけでございますが、なおそういうふうなことでございまして後を絶たない。もちろん天災人災かという問題もございます。先ほど来、御議論を賜っておりますように、かなり現場における者あるいは管理責任の者の十分でなかった面から、災害とつながっている面もございます。したがいまして大変、自然条件のむずかしいところではございますけれども、なお死者なしということに向かって、さらに努力をしてまいりたいと思います。
  68. 松尾信人

    松尾委員 要するに、そういう反省がありませんと、保安というものの確立ができない。会社も、その責任を本当に痛感して事業を進めなければ、今後ともに災害を起こさないという方向は確立できない。日本の石炭鉱業、唯一のエネルギー資源石炭というものを本当に大事にして、そして答申に沿った二千万トン以上の確保ということをやるならば、まず保安が大事ですよね。災害を起こさない、それを一生懸命やればいいので、事故が起こって、忙しくなったじゃなくて、年がら年じゅう事故を起こさないために忙しくやる。そして事故が起これば、発破係がどうだったとか保安係の責任がどうだとか、そういうところが問われておるが、会社自体、この跡方ガスの燃焼を起こさないようになぜしっかりやらなかったか。大きな問題は、そのような現場の人々よりも、むしろ会社と監督すべき政府の怠慢というか、自分の職責、使命を十分にやっていない点にある、これを指摘したいと思うのです。それを肝に銘じたときに、保安というものがやっと確立されていくであろう。ですから来年度の予算で、そのような面にどのくらい予算的な配慮なり、また政府のやらんとする配慮がどうなされておるかということは後で聞きますけれども、これだけで時間がなくなりますので、それははっきり肝に銘じて今後やっていただきたいという、私の保安に対する要請を、繰り返し繰り返し申し上げておきます。  次には、時間の関係で飛ばしますけれども、労働省の方いらっしゃいますか。——一種の職業病でございますところのじん肺の問題でございます。  健康管理区分で一から四までじん肺に対する区分ができておるわけでございまして、四が入院加療の必要がある、労災法の適用があるわけであります。三は職場転換の必要があるということでございまして、これは転換手当等の支給があり、そして管理手帳をもらっておるわけであります。ところが、このじん肺の補償給付受給者の推移をながめてみますと、昭和三十八年度で患者数五千三百五十九。これが逐年増加いたしまして、四十八年度八千五百四十四、四十九年度九千五十一。このようなのが労働省の調べではっきりしております。  特に私がここで問題といたしたいと思いますのは、閉山に次ぐ閉山で全部なくなりました長崎県北松浦郡の旧北松炭田の一帯でございます。当時の坑内採炭の労働管理が悪かったので、じん肺患者がふえておる。この半年間に、昨年一年間の患者数を上回る四十三人が出てきておる。それで、いままでの認定を受けた約三百七十人のうち五十人が入院して酸素マスクの生活を送っておる、このようなことであります。  それから、これは潜伏期が非常に長い。十年以上あるわけでございますから、若いときにやめましても、そういう人々がだんだん年をとって五十、六十くらいになってきまして、どっと表面に出てくるというような恐るべき病気でございます。これに対しては労働省もいろいろやっておると思うのでありますけれども、特に私がここで提案したいと思いますのは、先ほど申し上げました区分の一、二の人を総健診をしたらどうかというのが第一点。それから区分の三のお方でございますけれども、このような人が一、二の方から出てきた場合には、健康管理手帳を支給しなさい、こういうことであります。それから総じて言えますことは、炭鉱労働者の衛生管理の強化をしっかりやってほしい。  時間の関係で私は一方的に申し上げましたけれども、それに対するお答え並びに今後の考え方をお示し願いたいのであります。
  69. 中西正雄

    ○中西政府委員 じん肺の健康管理の問題は、先生おっしゃるとおり大変、重要な問題でございます。この管理につきましては、じん肺法に種々の規定がございますが、この法律の制定当時と比べまして、最近その発生状況等にも変化が見られておりますのは、先生御指摘のとおりでございます。  そこで、ただいま御指摘の離職者の健康管理の問題を含めまして、そのあり方なり予防の対策等、総合的な検討を行うために現在、労働省に専門家会議を設置いたしまして、専門的な検討をやっているところでございます。その結論を待ちまして、じん肺法の改正について検討いたしまして、そして必要な措置をいたしたい、かように考えております。  なお総健診のことでございますが、これはまことに残念でございますが、非常に数が多い、それを国の力で全部いますぐに健診するということは、きわめて困難、できないことではないかと考えております。しかし問題が問題でございますので、何かかわる方法はないかということで、私どもも考えておりますが、一つはじん肺健診の中身といいますと、エックス線写真の像を調べて、その進行状態を見ていくということと、もう一つは結核がそれに合併していないかどうかということを調べるわけでございますが、この内容は結核健診の中身と非常によく似ております。ですから結核健診をすることによって、じん肺の進みぐあいなり、あるいは結核がついているかどうかということもわかりますので、住民健診としての結核健診をぜひお受けいただくように、私どもいろいろ指導していきたいと思いますし、また関係機関とも連絡をとっていきたい、このように考えております。  それから第二の、管理区分が一、二であった者が、離職後、三になった場合の手帳交付の問題でございますが、この問題も、先ほど申し上げましたように、現在、専門家会議で検討中でございます。  なお、炭鉱における労働衛生管理の充実につきましては、私ども今後とも十分留意をし、力を入れてまいりたい、かように考えます。
  70. 田代文久

  71. 小宮武喜

    小宮委員 先ほどの通産当局から最近の石炭鉱山における主要災害について報告がありましたように、ことしに入って各炭鉱で重大災害が連続して発生しまして、これが偶然の一致がどうかは知りませんが、このように連続、集中して起きるということは異常な事態だと思います。そういうことから、その原因について、一部の見方では、石炭見直しという今日、生産第一、安全第二という企業の姿勢に起因するのではないかという見方もございますが、当局としてのこの重大災害発生に対しての、まず、その原因についての見解をお聞きします。
  72. 宮本四郎

    宮本政府委員 通産省といたしましては、石炭における坑内保安の確保というのが何よりも優先するという考えでございます。したがいまして、この大前提というものが満たされるのでなければ、生産は進められないという考えで、従来から指導をいたしておったところでございます。しかしながら先生の御指摘のように、災害が頻発いたしております。  この原因が何であるか、先ほど来、重大事故につきましては御説明申し上げておるわけでございますけれども、自然的な要因と人的な要因と両面が確かにあろうかと思います。私ども、この人的な要因につきましては、日ごろ監督検査を十分やり、経営者に対して保安の確保に徹底するようにいろいろ施設を講じ、かつ教育を徹底するようにと、組合の方にも協力をお願いするということで指導いたしておるわけでございますけれども、さらに一段とこの方面の指導を徹底させるつもりでおる次第でございます。
  73. 小宮武喜

    小宮委員 いま言われておるようなことはもう当然のことであって、だが、われわれが心配しておるのは、いわゆる生産第一、安全第二という企業の姿勢から、こういうような重大災害発生しているのではないかという見方もできるが、それはどうか、それに対して通産当局ではどう見ておるのかということを質問しておるわけです。
  74. 宮本四郎

    宮本政府委員 通産省といたしましては、保安第一ということで徹底するようにと指導いたしております。企業の方におきましても、そういう考え方ではあろうと思いますけれども、現実の事故がそういうふうに発生いたしておりますので、まだ不十分な点があるのではないか、こう拝察いたしております。
  75. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、これらの重大災害は不可抗力であったのか、また災害防止は可能であったのかという点についての見解はどうですか。
  76. 宮本四郎

    宮本政府委員 近年におきましては、石炭鉱山保安状況は、労使双方の保安意識が相当高まってまいりました。私どもも及ばずながら一生懸命やっておりますし、かたがた国の財政的な助成というのもございまして、全体的にながめますならば、保安水準というのはかなり高まってきているようには思っております。しかしながら、先ほどのように採掘個所の深部移行その他の状況が重なりまして、非常に事故が相次いでおるのも事実でございます。  私どもは、その原因が不可抗力であったか、あるいは人災であったかということにつきましては、これはケース・バイ・ケースでございまして、一義的に断定はできないわけでございますが、恐らくは、その両方が重合しておるのではないかという感じがいたします。したがいまして、今後はより一層、保安対策技術面の研究、保安確保に対する助成の強化保安教育徹底というふうなことも、あわせて対策として、保安の万全に進むつもりでございます。
  77. 小宮武喜

    小宮委員 この災害というのは、労働者にとってこれほど悲惨な、また悲しいものはないわけです。そういうような意味から、災害撲滅に対しては、これは全力を挙げて取り組んでおられると思います。しかしながら、こういった災害が連続して発生するというのは、やはり何かまだ欠けているところがあるのではないかというふうに考えます。また、こういうような災害は、石炭見直しがなされておる今日、いつも言われておるように、労働力確保というのが、非常に問題にされているわけですが、そういうような労働力確保の面からも、これは非常に悪影響を及ぼすことは、もう否めない事実だと思うのです。したがいまして、この災害防止するためには、私は少なくとも、労使ともやはり事災害に関しては、労使を超えてお互いが災害防止するためにやはり取り組まなければならないというふうに考えているのです。  それで、災害のたびに幾らりっぱな対策を立てても、その対策が守られないということになれば、これは絵にかいたぼたもちと同じなんだ。やはり同じような災害を繰り返していくということを、われわれは長い間の経験からよく存じておりますから、そういったあらゆる対策、あるいは保安規則にしても、それをやはり守る、守らせるということを徹底させていただかねば、同じような災害をまた繰り返すということになってまいりますので、特にひとつ御留意を願いたいと思います。  そこで今度は、ここの報告にも重大災害報告がありましたけれども、この重大災害が起きると、皆さん方みんな、われわれにしても、あわててすぐ調査とかやりますけれども、日ごろ発生している小さな災害でも、これは重大災害に発展する要因を持っておるものが多いのです。だから、やはり小さい災害であっても、これを見逃すということがないように、小さい災害があっても、原因がどうであったのか、それに対して対策はどう打てばいいのかという問題を真剣に検討されなければならないと思うのです。  そういうような意味から、御参考までにお聞きしますけれども、最近、たとえば四十九年度と五十年度の十月までので結構ですから、炭鉱において休業一日以上の労働災害が何件発生しているのか、その点ひとつお答えを願いたい。
  78. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 お答えいたします。  最近の災害による一日以上の休業という数字でございますが、いま手元にその数字がございませんが、その災害による減産という意味では、災害によりまして、ことしの一−八月の間に総出炭量千二百六十万トンに対しまして、休業した人のために影響された減産量というのは約十四万トン、こういうことになっております。そのほか、これは概算でございますけれども、たとえば三井砂川出水というような事故で、ある期間、生産がとまりますが、そういうものも含めまして約三十万トン、合計四十万トン強、こういう数字になっております。
  79. 小宮武喜

    小宮委員 いまの数字でもおわかりのように、これはやはり、災害発生するというのは、先ほど私が言いましたように、労働者自身にとって不幸なことばかりではなくて、炭鉱全体の労働力確保の面からも悪影響を及ぼすし、しかも、二千万トン体制の中で、やはり先ほど言われた四十二万トンの減産にもなるわけですから、そういうような意味からいって、災害発生すると、すべての面にわたって大きなマイナスになるのだということを、これはもう企業にしても労働者側にしてもそれから監督官庁にしても、十分こういったことを認識して、今後の安全確保のためにひとつ十二分の取り組みをお願いしたい、こういうふうに要望申し上げておきます。  それでは大体きょうは、ここで十五分間、後で大臣が来られてから三十分ということで、もう少し、五分くらい残っておりますので、これは通産大臣が来られてから質問した方がよかったかもしれませんが、部長でも結構ですから、部長の方がむしろ詳しいかもしれません。  私が申し上げるまでもなく、昭和五十一年度を初年度とするいわゆる昭和六十年までの新石炭政策というものが、石炭鉱業審議会から七月に答申されたことはもう御案内のとおりです。そこで通産当局として、こういった保安の問題も含めて、現在、五十一年度の概算要求を大蔵省にやっておられると思いますけれども、われわれが知りたいのは、ただ従来の五十年度の惰性的な予算要求ではなくて、やはり石炭見直しという一つ答申もあったということも契機にして、この石炭政策に通産当局はどれだけ本気で積極的に取り組んでいるかどうかを、われわれが判断する場合は、やはり通産当局が大蔵省に対してどのような予算の要求をやっておるのか、やったのかということが、その姿勢のバロメーターになろうと思いますから、これはアウトラインだけでいいです。具体的なものはいずれ機会がありますから、そういうような意味で、どういうような姿勢で、新石炭政策をどの程度盛り込んだ概算要求を大蔵省になされたのか、その点をひとつお聞きしたいと思うのです。
  80. 高木俊介

    高木政府委員 昭和五十一年度の予算の概算要求でございますけれども、五十年度千百億に対しまして、来年度千二百四十一億という予算を要求している次第でございます。  私どもは、七月十六日の石炭鉱業審議会答申の精神を受けまして、まず第一は保安面でございますけれども、現有炭鉱における保安確保ということを、第一に万全の措置を講ずべきであるという思想のもとで、特に保安対策費につきましては、前年度に比べまして四一%の増ということで、五十九億を要求いたしております。  なお、保安及び生産に効果のございます骨格構造の整備拡充補助金につきましては、二三%増ということで九十六億を要求しておるわけでございます。  次は、国内資源の活用ということと国内炭の供給安定という観点からでございますけれども、これは五十一年度も引き続きまして国内炭の開発可能性調査を実施するということで、三億五千万を要求しているところでございます。  なお、第三番目でございますけれども、エネルギー供給源の多様化に資するため、海外炭開発につきましても調査の補助、探鉱の融資等を始めようということにしております。  最後に、答申にもございますように、鉱害対策あるいは産炭地対策炭鉱離職者対策でございますけれども、それぞれにおきまして、その実情に照らしまして対策に必要な予算を、財源等厳しい環境ではございますけれども、大幅な伸びを要求しているところでございまして、たとえば鉱害におきましては二四%増でございます。ただし、このうち復旧事業関係では三八・五%というような増をいたしておりますし、産炭地振興につきましては三五%の増、あるいは炭鉱離職者関係につきましては一五%の増ということで要求をしておる現時点でございます。
  81. 小宮武喜

    小宮委員 もう大臣も参られましたし、また大臣の質問時間も各党大体、決まっておりますので、余りここで長くやると、今度は後で私の質問時間がやれぬようになりますから、これくらいで質問をやめまして、次にバトンを移したいと思います。
  82. 田代文久

  83. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 最近、非常に災害が頻発をいたしまして、コンピューター炭鉱と言われた北炭の新夕張炭鉱においてもガス突出が起こりました。それから重大災害が、いま報告にありましただけでも相当の数に上り、ことに死傷者が出ましたのは、その後、三井砂川炭鉱ガス突出災害三井砂川炭鉱坑内出水事故、それに先般の高島炭鉱ガス爆発事故でございます。これらの事故があって、ことに死亡者が出た場合の共通した点は、第一に予見をされておる事故ですね。ですから、ガスがたまっておりますからガス抜きをやっておる。ところが、それが不十分であったというのが北炭の新夕張炭鉱並びに三井砂川ガス突出事故であります。それから、もう水がたまっておるから水を抜いておる。それに豪雨が重なりまして起こりましたのが三井砂川坑内出水事故であります。あるいは北炭の新夕張炭鉱も言えるのですけれども、ことに高島炭鉱の場合は、こういう非常に近代的な炭鉱あるいは、かなり保安徹底しておると俗に言われておる炭鉱において、十分な保安機器が使われてない。そうして反省として、発破をかける場合に水タンパーをするとか、あるいは噴霧発破をするということが後になって指摘をされておる。非常に残念に思うわけであります。大臣は一体これらの災害について、どういうようにお考えになっているのか、どういう方向でいかれようとするのか、お聞かせ願いたいと思います。
  84. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石炭政策を進めていく上におきまして、やはり最大の課題は保安対策を十分にするということだと思います。石炭対策保安対策、こういうふうに考えてもいいのではないかと思いますが、そういうさなかにおきまして事故が続発したということは、私どもも大変、遺憾に思っております。  そこで九月九日でございますが、石炭企業各社に対しまして、保安の総点検を指示をいたしますとともに、鉱山保安監督局におきましても必要な監督検査を実施いたしまして、災害防止に努めておるところでございますが、今後はさらに保安対策に一層の努力をしていきたい、こう思っております。
  85. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 一つは俗に生産第一主義と言われておるのですが、たとえば水を抜く抜水にいたしましても、あるいはガス抜きにいたしましても、もう少し徹底してやればいいわけです。少しはやっているわけです。ですから周知できておるわけです。ところがそれが徹底が足らない。これは何を言っても、保安軽視だと指摘をされてもやむを得ないのじゃないかという感じを私は持つわけです。ですから、その点が徹底してやってないというところに問題がある。これは予算措置とも関連があると思うのです。これは一体どういうように考えられておるかお聞かせ願いたい。  時間の都合もありますから、さらに質問いたしたいと思いますが、先ほど局長に質問したのですけれども、どうも保安訓練というものが頭の訓練にしかなっていない。実際COの救命器を携帯するといっても、あの瞬間の事故に対応し切ってないですね。ですから、体で覚えてないわけですよ。われわれがよく飛行機に乗りまして、スチュアーデスがいろいろ器具をつける操作を教えておりますが、あれほどでもありませんけれども、あれなんか事故が起こったときは体は全く覚えてないわけでありますから、どういうことになるかわかりませんけれども、要するに体で覚えさせておかないと、瞬間的な事故は結局避け得られないのじゃないか、こういうように思います。  そこで、私はさっき提案をしたのですけれども、やはり一月に一回、保安日を設けて保安教育をやる、あるいは保安点検徹底的にやるというくらいにやってみなければならないのではないか。大体一カ月に一回、朝三十分くらいやるくらいでは、やはり徹底しないのではないか、私はこういうように思うのですが、これ、ひとつ大臣の保安新政策として、とにかく一カ月のうち一日は保安日だ、それは坑内くまなく点検をすると同時に、保安訓練全員にやるんだということを、政策として打ち出されたらどうかと思うのですが、この二点お聞かせ願いたい。
  86. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 保安対策というのは最大の課題と心得ておりますので、予算面はもちろんでありますが、考えられるあらゆる措置をとってみたいと思います。そういう意味におきまして、いま御提案の具体的な方法等につきまして、関係者至急にその具体化につきまして検討させてみます。
  87. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 新政策の答申が出ましたけれども、一体これは正式に閣議決定をされるのはいつでしょうか、この答申に基づく新政策の閣議決定は。
  88. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ことしの春に内閣に総合エネルギー対策閣僚会議というのができまして、新しいエネルギー情勢に伴う今後の日本の総合的な対策はどうか、こういうことにつきまして、石油、石炭、原子力、水力、LNGそれから一連のサンシャイン計画、そういうものをすべて含めまして総合的な対策をいま立てております。これまで七回、会議がございまして、あと二回ばかりで最終の結論が出ることになっておりますから、来月中にはその結論が出る予定でございます。今回は、先般七月にいただきました石炭に関する答申につきましては、来月の総合エネルギー対策閣僚会議の結論が出ますときに、その中に織り込んで、総合エネルギー対策の一環として石炭対策というものを決めたい、こういう取り扱いにしたいと考えております。
  89. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると十二月の、いわばかなり予算編成について論議をされる前に、大体、決定をされる、こういうことですか。
  90. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 予算との関連もありますので、遅くとも十二月の中旬ごろまでに結論を出したい、こう思っております。
  91. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで、先ほど予算要求について石炭部長から若干の説明がありましたが、これは重油の関税の何%ぐらいに石炭勘定は当たるのですか。すなわち繰り越しを除いて、重油関税の収入のうち、石炭勘定は、どのくらい五十一年度は使うように要求されているのですか。
  92. 高木俊介

    高木政府委員 予算要求でございますけれども、来年度石炭関係では千二百四十一億という金額を要求しているわけでございまして、そのうち原重油関税の収入といたしまして石炭に充当している金は九百三十億八千万というような金額を充当しまして、あと借り入れというような形で、これは一部前年度の剰余金もございますけれども、三十九億の剰余金がございまして、これを入れ、なお借入金としまして二百七十億というような借り入れを予定しておるわけでございます。
  93. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで石油勘定との関係で、石炭勘定は原重油関税の何%くらい充当になるわけですか。これは石炭部長では無理ですか、エネルギー庁の次長かなんかでないと。
  94. 高木俊介

    高木政府委員 千分の六百八十三というのが、関税のうちから石炭に充当する金になろうと思います。石油の方の予算関係もございますので、それとの関連においての説明が必要じゃなかろうかと思いますけれども、石炭関係におきまして千二百四十一億の予算要求に対しまして石油勘定の方は千三百五十六億というような金額を要求しておられるわけでございます。合計で二千五百九十七億という金になりまして、そのうち千四百四億というものが関税あるいは剰余金で賄われますので、いわゆる資金運用部資金の借り入れといたしまして千百九十三億というような予定でいま進めているわけでございます。
  95. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 原重油関税収入だけ言いますと、六八%というと五十年度と余り差がないのですけれども、しかし四十九年度は七十六%ぐらい。大体、石炭は関税の十二分の十を石炭で使うという約束事があるわけです、石炭答申を出すについて。それがだんだん崩れていったわけですけれども、今度の借入金を入れますと、大体石油勘定の方が多くなるわけですが、石炭勘定が非常に比率として少なくなるわけです。一体この予算として十分やっていけるのかどうかですね。今後どういうような状態になるのか、これをひとつ通産大臣から御答弁を願いたい。
  96. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 今度、七月に石炭に関する新しい答申ができまして、それに基づきまして政府の方は総合エネルギー対策の一環として強力な石炭政策を進めていこう、こういう基本方針が決まっておるわけでございます。石炭の見直しといいますか、石炭事業というものを非常に重大に考えておる、こういう考え方でございますから、石炭政策を進めていきます上において必要な予算は、これはあくまで確保いたします。ただ特別会計の方は借入金が今度、大分ふえますので、関税とのパーセンテージが若干違ってくるかもわかりませんが、政策を進めていく上におきまして必要な予算は、必ず確保するようにしたいと思っております。
  97. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 新政策を行う場合に、五十一年度というのを展望してみますと、わりあいに調査費等が多く要るのでありまして、すぐ採炭に入るということは、ちょっと時間的に間があるものですから、五十一年度というのは、この石炭予算としては比較的窮屈ではないかもしれない。しかし五十二年度を見ますと、石炭生産に相当金をつぎ込まなければならぬ状態であるし、またつぎ込まなければ答申は全く死文化するわけです。でありますから、そういう意味においてはどういう展望におられるのか、ここでやはり石炭勘定の位置づけというものをはっきりしておかないと、この五十一年度を、石炭生産について五十二年も踏襲するという程度では、とても五十二年度も新石炭政策は実を結ばない、こういうように考えるわけですが、その点はどういうようにお考えですか。
  98. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石炭政策の中心は、国内で大体、二千万トンの出炭の水準を維持するということと、それから今後十年の間に海外で一般炭を千五百万トン開発輸入する、こういうことを内容にしておるわけでございます。それには必要な資金は若干要りますけれども、私はそんなに膨大なものではないと思っております。そこで、必要な資金は当然、確保しなければならぬということを申し上げたわけでございますが、今後の資金を確保する問題等につきましては、いま大蔵省と折衝を始めておるところでございまして、抜本的な対策を考えてみたい、こう思っております。
  99. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、新予算並びに新答申に基づく法律の作業の進捗状態をちょっと聞きたかったわけですが、時間もないようですから、これは省略して別の機会に聞きたいと思います。  そこで、保安の問題ですけれども、保安法規の改正ということを、大臣も確約されたわけですけれども、これは鉱山保安法はどうなるのですか。鉱山保安法も当然、改正案を出されるわけでしょう、これは法規ですから。どうなんですか、その点は。
  100. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 保安関係の法規といいますか、保安関係の法令全体を含めまして、今後どうすべきかということについて、学識経験者あるいはまた関係業者等から、いま意見を聞いておるところでございます。
  101. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、それは保安法、狭義の意味の法律を含めての話でしょう。
  102. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 保安法規全体を含めまして、法令全体を含めて、一体どうしたらよいかということについて検討しておる、こういう意味でございます。
  103. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、私が申すのは、規則だけで糊塗するのではなくて、法律そのものも改正されるのでしょうね、こう聞いておるのです。大臣も必ずしも答弁を避けておられるわけじゃないのですが、いかにも漠然としておるものですから、鉱山保安法も改正案を出されるのでしょうね、こう聞いておるのですが、どうですか。
  104. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 保安対策は、先ほど来申し上げておりますように、非常に重大な課題でございますので、必要な保安対策を進めていく上においては、この法令全体を含めましてどうすればよいか、こういうことを検討しておるということでございます。
  105. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、法律も含めての検討だと思いますから、その法律の提案の内容を注視しておきたいと思います。  そこで労働大臣、この前から非常に問題になっておりました——これは何も労働大臣だけではありません、通産大臣でもそうですか、鉱害、産炭地振興あるいは離職者対策石炭勘定から抜け出すのじゃないかという心配ですが、この点は一本で要求されておるわけでしょう。こういう特別会計が石炭プロパーということはないと思いますが、どうですか、その点は。
  106. 石井甲二

    ○石井政府委員 予算要求につきましては、石炭勘定といたしまして石炭及び石油対策特別会計から要求をいたしております。  内容を申し上げたいと思いますが、一つ炭鉱離職者援護対策費といたしまして八十二億七千五百万、その中には援護対策あるいは緊就の補助金あるいはその他のたとえば雇用奨励、移住資金その他、従来からやっております援護措置の拡大という内容でございます。もう一つの柱は産炭地開発雇用対策費でございまして、これは六十八億ばかり要求をいたしております。全体といたしまして、いわゆる予算要求の限度枠ぎりぎりを要求いたしておる、こういうことでございます。
  107. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 具体的な問題ですけれども、いま炭鉱離職者が、筑豊で言いますと、ちょうどここ三年の間に閉山をされた諸君ですね、要するに黒い手帳が切れる諸君が、いま筑豊には非常に多いわけです。たとえば一番最初が明治平山、これが十一月に黒い手帳が多く切れる。それから来年の三月には山野炭鉱ですね。それから漆生炭鉱の諸君が三年目を迎えるわけです。それからその後に大之浦炭礦の離職された諸君が三年の期限が来る。ところが、職業訓練にいっておる者ほど悲劇を受けておるわけです。ちょうどいま職業訓練が終わった諸君が皆、就職がなくて困っておる。職業訓練を受けないで、さっと京阪神に出ていった諸君は、ちょうど四十八年ごろですからね、就職があったのです。そういうことを言いますと、結局、現実問題として中高年が残っておるという形になるのです。炭鉱はおのおの従来の炭住を払い下げまして、そうして従業員は退職金をもらって、それで家を改造して落ちついておるわけです。ところが職は全部ない。それで隣近所、皆、同じような境遇ですから、いままで余り動揺しなかったわけです。しかし、明治平山でも離職者の約半数が居残っておる。これは全然就職がないのです。これを一体どうしたらいいかですね。全員生活保護の申請をして受けるか。失対はあなたの方でもう窓口を閉めておるわけですから、いきようがない。緊就がいきようがない、開就がいきようがない、特開がいきようがない。ところが、いまのような状態ですから、ましてや筑豊炭田なんか就職の場所がありません。年齢はかなり高い年齢層です。  労働省は一体、全体的な雇用問題もありますけれども、これは別の機会にするといたしまして、筑豊あるいは石狩炭田でも同じだろうと思いますが、ここで起こっておる問題をどう解決されるつもりか、具体的にお聞かせ願いたい。
  108. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私も去年の秋でしたか、飯塚の山野の総訓の分校を見に行ったのです。そうしますと、そういう諸君がブロック建築、大工の訓練をしている。年を聞くといずれも五十一、二なんです。私は思わず、あなたのおっしゃるように、いまいろいろな援護手当てもしていますし、訓練手当も出してもいるし、こういうときには諸君は元気を出して、いまブロック建築で一般に就職すると相当な金になるし、大工さんならそうなるのだから、ひとつ元気を出してやってくれと言って、思わず肩をたたいてやってきたのですが、いろいろな広域的な問題等々で援護措置は講じて、三年間ということでやってきているわけですね。ですから、先生のおっしゃるように、早くどこかへ移った人はよかったかもしらぬが、なおかついま残っておる人がある。といって、これは全国的に三年間ということで出しておって、就職した人が大部分、残った人が、偶然の機会で、あるいは環境のいろいろな変化等々やらで、あるということになるから、これはおっしゃるように手帳をずっと延長するわけにもいかぬし、といって、いままでやっている就職のあっせんを、いままでも強力に進めてきたが、さらにこうした特殊な境遇の方々には、やはりもう少し緻密な就職あっせんでもするような形でもとらぬと、全体の均衡の問題もあるというようなことで、実はいまそういう状況を改めて私も勉強し、把握している、こういうことなんです。
  109. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 要するに、たとえば明治平山で言いますと、何度か合理化して、若い層は出ていっておるわけです。それで最終的に閉山をした。そうして、数字で言いますと、いま大体、閉山時の半分が残っているのですよ。そうしてその人たちは皆、自分の炭住を払い下げてもらって、そこに居を構えておる。ところが仕事はないということです。ですから、いろいろ就職のあっせんをするなんて、きれいごとを言っても、できないんですよ、いままで三年間できなかったのですから。ですから、私は、臨時的に失対を始めたらどうかと思うのですよ。従来の経緯があって、イメージが非常に悪いのですけれども、現実にいま筑豊炭田で失対がなかったら、暴動が起こりますよ。いまの諸君は非常によく働くし、道路もよくなっておりますし、年寄った人は苗木をやっておるし、非常に効率的にやっておるわけでしょう。ですから私は政策として、ある期間を定めて、この際、地域的に限定してもよろしいですけれども、それを始めたらどうか。それ以外には手がないです。どんなに名案を出してみても、それは実行不可能。そしてその人たちに、おまえたちは住宅を買うから悪いんだと言うわけにはいかないでしょう。その払い下げのチャンスを逃しては、一生、住宅は自分のものにならないのですから。ですから、どんな無理をしても買うわけですよ。買えば、そこに定着するわけですよ。仕事はないわけです。いま、どんな企業を持ってきても、中高年ばかり使う企業もないし、ましてや、こういう時期でしょう。ですから、ある期間を限って、ある地域を限って、そうして失対と言えば名前が悪いとおっしゃるなら、何でも結構ですけれども、やはり公的な緊就とか開就とか特開のような仕事をする。そして、まだよぼよぼじゃありませんから、十分働く能力を持っていますから、それは効率のいい仕事をさす、こういう制度を早く考えてもらったらどうかと思うのです。  もう時間もありませんから端的に提言をいたしますけれども、それ以外には、私は幾ら考えてみてもいま方法がないんですよ、救う道は。三年、黒い手帳があっても、それを延長せよといいましても、それはちょっと政府として無理だろうということもわかる。それの中で、やはり失対をもう一回起こすという以外に手がない。あったら私はお示し願いたいと思いますが、私が幾ら考えたって、それ以外に手がないんですよ。ですから、そういう点はどういうようにお考えですか。もう時間もありませんが、最後に大臣から御答弁を願いたい。
  110. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 あなたが一番あの辺、詳しいし、私もまた、そういう意味で一人一人が皆、炭住を払い下げて、きれいにしておることも知っておりますし、一つの新しい提案として、いろいろまた勉強させてもらいましょう。
  111. 田代文久

  112. 多田光雄

    多田委員 ちょうど労働大臣も来ておられますから、冒頭、炭鉱で最も差別的な扱いを受けている組夫の問題で、ちょっとお伺いしたいと思うのであります。  石炭協会が出している五十年八月の「石炭時報」によりますと、炭鉱労務者の数として、直轄がいま五十年七月現在で二万二千七百五十四名なんです。ところが、いわゆる組夫と言われている請負労務者、これが五千八百二十三名、まさに直轄労務者の四分の一、実態はあるいはもっといるかもわかりません。これだけ占めているのです。そして、この人たちが、同じ炭鉱労働をしながら、労働条件も悪いし、賃金も低いという状況にあるわけですね。そして、この組夫の人たちが、組夫をやめて直轄として会社に雇われようと、自分の自由意思でいった場合、そういう自由意思は当然、私は労働権として尊重されるべきだと思いますが、労働大臣、どうお考えでしょうか。
  113. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 組夫の問題は、先生がいつも御熱心に提案されることでありますけれども、原則論的なことを申し上げてあれですけれども、雇用のあり方として、直接、親企業が労働者を雇用することが望ましい面も、もちろんありますが、わが国の一般的な生産活動のあり方として、また多くの産業分野で下請企業が存在しておりまして、それを直ちに否定するということは、ちょっとできないと私は感じておりまして、そういう問題の扱いというものに、どういうふうな推進の仕方があるかということは、いますぐに先生に直接お答えするようなことができないのを残念に思います。
  114. 多田光雄

    多田委員 大臣、私は組夫を全部やめさせて直轄にしろ、こういうことを言っているのじゃないのです。当然、組夫は組夫として、それだけの存在理由があるわけですよ。その組夫の中で、自由意思でもって直轄夫になりたいと会社に申し出た場合、私の調べたところでは、会社はほとんど拒否しているのです。ひどいのは、二、三カ月どこかへ行って働いてこい、そうしてくれば何とかする、こういう状況なんですね。労働大臣御存じのとおり、いま炭鉱問題は、まさに労働問題というのが、ある場合は最大のネックの一つになっているのですよ。そうして、たとえば北炭の幌内鉱でも、この間、聞きますと、千名以上のところですが、年間やはり八十名前後、定年退職でやめていく。しかも、その補充がいま十分きかない、こういう状況なんですね。そうだとすれば、組夫をやめて、よりよい労働条件のところに就職していく、それを会社が一方的に拒否するというのは、これは石炭政策という観点から見ても、労働の基本権を守っていくという立場からも、これは非常に再考すべき問題だというふうに私は思うのです。もちろんその人に、会社が絶対入れないという、言えばいろいろな犯罪だとか何かあれば、これはまた別かもわかりませんが、そういうものがない人が入れてほしいという場合には、やはり会社が積極的に入れてやるような、そういう行政指導を労働省としていただけないかどうか、それをひとつお伺いしたいと思うのです。
  115. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 片方は直接雇用者として入りたい、片方は経営者として、その人たちに対する態度、そこに対する御質問だと思いますけれども、お互いの国においては就職というのは、職業は選択の自由もありますし、また雇う人からしますと採用する自由もある、そういうふうな問題がありまして、一方的に、大ぜいいったから、それを全部採用というのも、採用する側の自由、そういうものとのかみ合わせがどうなっているか、現実の場合においての、どういうふうになっているかということは、いま、ここではっきり申し上げられないことは残念に思います。
  116. 多田光雄

    多田委員 もちろん、私どもの党としては、こういう前時代的な組夫制度というものには反対しております。しかし同時に同一労働、同一作業をやっているわけですね。中には先ほど問題になっている保安に非常に大事な、たとえばガス抜きボーリング作業も組夫がやっているところが非常に多いのですよ。そうして労働強化が激しいのです。そういう人たちが、幾らかでも自分の生活や労働条件を改善しようと思って、直轄にしてほしいという場合、労働省として積極的にそういう人は採用してやれ——本当にその人が悪いならば、組夫として、大事なボーリング作業をさせられないわけですから、これは逆にそういう前時代的な組夫制度を温存することによって、企業が一層の利潤を上げるというふうにさえ言われても、これはしようがないことなのです。繰り返しますが、私は組夫制度をいま一気になくせと言っているのじゃないのです。しかし少なくとも、そういう自主的に、なりたいという者に対して、会社がやはり積極的に採用していくという程度の、労働の差別をなくしていくということは、労働省の行政指導として当然あってしかるべきだというふうに私は思いますが、もう一度ひとつその点で。
  117. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 改めての御提案ですから、現地の模様とか、いままでの慣行とか、どういうふうな最近の状態になっているか、研究させてください。
  118. 多田光雄

    多田委員 それから、これは通産大臣にお伺いしますが、この間、高島炭鉱に行きましても、ここにいま五百名から六百名の下請がいるわけですよ。そうして今度の事故でもって休業してしまう。直轄の労働者は最低の賃金を保障されます。ところが、同じ現場で働いている組夫の人たちは何の賃金の保障もないのです。ですから、こういう場合、親企業が積極的にそういう下請企業の労働者に最低の生活を休業期間中は見てやるとか、あるいは金のあっせんをしてやるとかいうことぐらいはするように、これも私は通産大臣にお願いしたいのですが、ひとつそういう指導をしていただけませんでしょうか。
  119. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまおっしゃるような関係は、日本の全産業にあるのじゃないかと私は思うのです。たとえば、製造工業がありますと、それに対する協力企業というものもある、あるいは下請企業というものもある、そういう形ではないかと思うのです。でありますから、その全体の問題をどうするかということをやはり考えませんと、石炭関係だけを、いまおっしゃるような形で解決できるかどうか。これは、もう少し現場の事情をよく調べてみませんと、いま、ここで、にわかに結論を出すということはできないと思います。もう少し現場の模様を調べさせていただきたいと思います。
  120. 多田光雄

    多田委員 全産業にあることは私も承知しているのです。ただ私は、石特委だからそれを言っているのじゃないのです。つまり、非常に数少ない国産のエネルギー石炭産業を見直していかなければいかぬ。しかも、それは先ほど大臣もおっしゃったように、保安が決定的な問題だという意味のことも言われている。これは前回もそういうことを言われているわけなんです。それほど労働者を確保するということが、いま重要な問題になっているわけです。これはある意味では国策なのです。石炭産業でいま労働者が少なくなってきている。まさに金の卵になってきている。その石炭産業に対して、企業にも保安確保の金を何十億と出している、骨格坑道の拡張にまで出しているというのであれば、本当に保安を重視し労働者を確保していくという立場であれば、その程度の炭鉱労働者に対する、あるいは組夫に対する援助というものは、私は最低限度の問題ではないかというふうに思っております。調査しなければ十分回答できないということもわかりますけれども、現状はやはり膨大な組夫がいるわけです。そして生活の不安定に泣いているわけですよ。そうだとすれば、調査の上、その人たちに積極的に援助していただくとか、あるいは親企業に向かっても、そういう措置をとらせるような指導をされていくということ、これは常識的に見ても私は当然なことだし、ほかの企業自体が、そのことでどうというわけではないのじゃないかというふうに思うのです。そういう行政指導を企業に対してやっていただきたいということなのです。どうでしょうか。政府がいますぐ金を出せということじゃないのです。
  121. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いずれにいたしましても、実情をよく調査してみます。
  122. 多田光雄

    多田委員 それでは、それはまた後でお伺いすることにします。  そこで私は、先ほどはやらなかったのですが、保安の問題についてお伺いします。  この保安の問題について、七月二十二日、当委員会で私の質問に対して通産大臣が、五十年度中に保安法の抜本改正をやりますというお約束をされて、その後、事務当局も検討されているというふうに伺っているわけですね。しかし、先ほど報告があったように、こういう中でも、すでに三井砂川事故が二回、北炭新鉱の事故があるし、万字の水没があるし、そして今度の高島炭鉱ガス燃焼という事故も続いているのです。そして、昨年の十一月から、この一年間で何人死んでいると思いますか。炭鉱労働者は四十五名死んでいるのです。それに何倍かする重軽傷者がいるわけです。恐らく、ほかの企業だったらこれは大社会問題ですよ。炭鉱だから、そんなことがまるで日常茶飯事のように思われてきている。そこで私は、保安法の抜本改正というのは一体どういうふうにお考えになっているのか、これをひとつ大臣にお伺いしたいと思うのです。
  123. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 この法規の改正につきましては、現在、中央鉱山保安協議会石炭亜炭部会でいろいろ検討していただいておりますが、この結論がまだ出ておりませんので、その結論が出るのを待って、必要な措置を講じてまいりたい、こういうことで、いま結論を急いでいただいておるところでございます。
  124. 多田光雄

    多田委員 それも伺っております。その抜本改正という改正の方向ですね、もちろん具体的に何をどうするということは、いま審議しているところですから、お答えはあるいは無理かもわかりませんが、少なくとも抜本改正の中身というのはどうあるべきなのかという、そういう基本姿勢は、審議を要請する政府側として当然、持っているはずなんですから、これは大臣にお答えを願いたいし、もし、あれでしたら局長でもよろしいです。
  125. 宮本四郎

    宮本政府委員 最近の事故の多発状況にかんがみまして、相当、問題は広範囲に展開する必要があるとは存じますが、基本問題といたしましては、新しい石炭政策の方向に沿いまして掘採個所が深部に入ってまいります。したがいまして、深部掘採におけるところの保安を重点に、たとえばガス、たとえば自然発火、たとえば山はね、こういった問題を重点にして、そのほか、たとえば運搬の問題その他の問題も広範囲に取り上げてまいりたいと考えております。
  126. 多田光雄

    多田委員 局長、保安の最終責任はどこにありますか。
  127. 宮本四郎

    宮本政府委員 保安の最終責任は、一応、炭鉱におきまして自主保安の原則を貫いておりますので、経営者にございます。
  128. 多田光雄

    多田委員 その一応という言葉は要らないのです。これはまさに企業そのものにあるのです。  そこでもう一度、抜本改正の問題について私の意見を述べる前に、さっきから問題になっています高島の例で、ちょっとお伺いしたいのですが、高島炭鉱はいま負傷半減運動というのをやっておりますね。その負傷半減運動のさなかに、いま言った事故が起きたわけです。そこで、負傷半減運動の中で会社が、今度、事故が起きたガスや炭じん対策として、どういう対策を立てていたか、簡単に答えてください。
  129. 蓼沼美夫

    蓼沼説明員 現在まで、その内容につきましては詳しい情報が入っておりませんので、入り次第お知らせいたします。
  130. 多田光雄

    多田委員 だから、あなた方の調べているのは、本当にもうアウトサイドの調べ方だと思うのですよ。この企業に行って、会社の出している「炭の光」という冊子を見せてもらったのですが、半減運動の目標としてこう書いておる。まず「ガス・炭じん爆発防止対策」として「ガス、炭じん爆発の防止の基本は次の三点です。即ち爆発限界内のガス停滞防止、炭じん発生防止、そして火源管理です。」この三つが今度みんな当てはまらなかったじゃありませんか。つまり、専門家も行って調査した。監督局が行って調査した。会社も労働組合も一様に言うことは、火源発破である。そしてその発破が不発になったものの火が出てきて、天井の方にたまっている後払いから出てきたと思われるガスに引火したのだ。まさに会社が指摘しているとおりのことが、いままでの調査の結果、それが原因だということが出ている。ところがこれに対して、きのう調査団が行って会社に、それではどういう措置をとるのだと聞いた。それに対する会社の答えはこういうことですよ。保安要員、発破係員の再教育だ。もう百年一日のごとしです。それから後払いのあり方、それから高落ち——高落ちというのは、坑道の上のあいたところですよ。そこをもっと空気の流通をよくするのだ。そんなことが気がつかなかったのか。甲種炭鉱として最もガスの多いとされている山です。それから、各払いの自動警報器の万全を期す。これは自動警報器が一台動かなかった。それから払いの跡方にシートをきちんと敷くだとか、それから発破の、さっき出ていた水タンパーをやるとか、驚いたことには噴霧をする、水をまくのだ。こんなことは小中の小のことでしょう。それをいまからやるのだ。きちんとガス、炭じん防止対策として観点を三つ挙げておきながら、それをやらないでいて、そして、これからこんなことをやるのだと言っている。だからこの事故天災ではなくて人災なんだということ。さっきの与党議員ですらも、人災と思われる節があると言わざるを得ないのです。まさに企業責任でしょう。しかも二十数名の人がCOの中毒にかかっている。その軽重の差はあっても、二名亡くなっている。そうだとすれば、保安法の改正というのはどこにポイントを当てるのか、これを局長に伺いたいのです。ただ、あれこれの技術上の問題を直すのじゃなくて、どこが一体、根本なのか。どう思いますか。
  131. 宮本四郎

    宮本政府委員 高島炭鉱は、御存じのように九州管内では炭層が非常に急傾斜であるとか、可燃性ガスが多いとか、いろいろなことがございまして、監督局の方におきましても月一回以上検査を実施いたしております。特にいま御指摘のございましたガス、炭じん、それから自然発火、こういうことを中心に、特に九卸の三片区域につきましてはガス抜き強化、先行する払いのガスの管理あるいは掘進個所の排気の独立分流などを指導しておったのでございます。しかしながら、先生現場においでいただきましたのでよく御案内のとおり、先ほどお話のありました人災天災か、人災の傾向があるではないか。その原因といたしまして、どうも発破のやり方に問題があったのではないか。発破はもちろん三名で担当してやったわけでございますけれども、高所にガスがたまっておった。それから発破の方向がどうであったかというようなことがございます。それからガス警報器の話でございますが、これは後で動いておるわけでございますが、火が走りましたその瞬間におきましては、まだその濃度に達していなかったというようなこともございまして、幾多問題がございます。したがいまして、そういうふうな現実の問題を、さらに深部移行に伴いまして十分、検討しなければならぬと考えております。
  132. 多田光雄

    多田委員 三井砂川の水没で五名亡くなった。あれもそうですよ。あの水没の干草台の密閉した旧坑口、ここから、ことし一月三十日ガスが漏れてきて、下水道を伝わってきて炭住に入って、ある炭鉱の奥さんが火をつけようと思ったら、ほっと火事になって、そして炭鉱の消防が来て家の中が水浸しになってしまった。それで、今度六月にフライアッシュを密閉した。そこからまた水が入ってきた。行ってみて全部、写真を撮ってきた。だから、さっきあなたが保安の最終責任者は企業なんだと言った、その企業はこういう調子なんです。もうすべての災害をえぐってみると、もちろん労働者に全く責任がないなどと私は言っているんじゃないが、企業のそういう保安軽視のやり方をチェックするということが、抜本改正の場合には最大の問題なんです。もちろん、あれこれの技術上の問題で、数値をもって示すとがということは不可欠のことです。一番大事な問題はそこなんです。そこで、抜本改正にこういう問題を協議会に提案されるかどうか、私、一つお伺いしたいのです。  皆さんがいろいろ改良されてやっていくわけだから、それを私いま、だめだと言っているのじゃないし、詳しいことをお聞きしなければわからないけれども、少なくともこういう問題を入れるかどうかということを聞くのです。それは、炭鉱では毎日、保安日誌をつけていますね。その保安日誌を公開させますか。そういうことを入れるかどうか。あるいは、保安監督官が少ないのですよ。これはもう前からも当委員会でも出ていることなんだけれども、少なくとも、もうこれだけ山が減ったのだから、もう三十そこそこでしょうかね、一つの山に保安監督官一人を常駐させるという措置を提案しておられるかどうなのか。あるいは炭鉱にある保安係員です。この保安係員に文字どおり作業停止権を与えるかどうか。危ないと思ったときに、作業停止権を与え作業停止させて点検する。ところがこの保安係員の身分は企業なんです。だからこれは一時、国に出向させるとか、そしてその身分を保障してやる、あるいはその増員をしてやるとかいう点はどうか。  さらにもう一つ問題は、災害を起こした企業、事業所の責任者に対しては、これを無過失責任制によって厳重な処罰を加えていくべきだ。いつも処分されるのは末端の係員なんです。まさに一将功成り万骨枯るなんです。公害でもこういうことがいま検討されているわけなんだから、そういう思い切った措置というものを、今度の抜本改正の中に提案されるのか、あるいは提案したのか、検討されているのか。いまの保安法だって、企業が本気になってやろうと思ったら、かなりのことがやれるのです。そういう措置を、的を射た改正をやられるのかどうなのか、これをひとつ私は大臣にお伺いしたいのです。そういうことが本当に私は抜本改正に魂を入れていくものだと思うのです。どうでしょうか。
  133. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ごもっともな御意見だと思います。いま中央保安協議会でいろいろ検討していただいておりますから、いまお述べになったようなことを、ひとつ検討してもらうようにいたします。
  134. 多田光雄

    多田委員 ぜひ、それはひとつ検討していただきたいと思います。これは私は保安法ができるまで、この点はひとついろいろお伺いしていくつもりでいます。  そこでもう一つ政府から企業の保安確保の事業補助金として七五%出ていますね。これは五十年度には石炭企業に三十三億九千八百万、それから五十一年度の概算では四十七億三千六百万という保安確保の金が出ているのです。恐らく、こういうめんどうを見てもらっている企業はほかにないでしょう。そこでお伺いしたいのですが、私ども何度も政府に要求して、各企業ごとに一体どれだけの保安の補助費を出しているのか教えてほしいと言っても、なかなかこれを教えてくれない。それでやむを得ず、われわれは有価証券報告書その他を見るわけなんです。ところがこのごろは、企業が掘るところを子会社にしてしまって、株が上場されませんでしょう。わかるのはほんの少ししかないのです。三井もそうだし、太平洋もそうだし、それから住友もそうなんです。  そこで私、大臣にお願いしたいのは、これほど保安の金の七五%を国がめんどうを見ているのに、しかも、その中身を出さない。人が死んでいっている。私は国会に当然、各企業にどれだけの保安補助費を出しているのか、それが実際にどう使われていっているのか、また、実際に企業が裏負担になる二五%を本当に出しているのかどうなのか、あるいは補助対象の物が完全に買われているのかどうなのか、こういうものを逐一資料を出してもらいたい。そうでなければ、何でわれわれ石炭見直しでこんな巨額の金を、保安費だけでも四十億近い金を出さなければならぬのですか。私は企業の上げた利益まで出せと言っているのじゃないんです。せめて保安の補助費ぐらいの資料を国会に出して、企業の保安への取り組みの姿勢をチェックするというのはあたりまえのことだと思っているのです。こういう資料を、大臣ひとつ出していただけましょうか。
  135. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 その点につきましても十分検討いたしまして、後で御返事をいたします。
  136. 多田光雄

    多田委員 これは本当に保安の問題を突っ込んでいくには、これが必要なんですよ。労働者や労働組合は疑義を持っているのです。どれだけ一体やっているのか。まあ保安監督局も抽出調査をやっているようです。しかし、これは実際の現場へ行って聞いてごらんなさい。人がいないから大体五〇%ぐらいしか調べられないのですよ。大きな器材ならすぐわかりますけれども、わからぬのですよ。そういう意味で私はひとつ理事会で検討願って、これを政府から出してもらえるかどうか、ぜひ当たっていただきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  137. 田代文久

    田代委員長 委員長として、ただいま多田委員から、資料提出の件について理事会に諮って要望に沿うようにしてほしいという申し出がありましたので、これは理事会にお諮りの上、決定したいと思います。
  138. 多田光雄

    多田委員 あと、もう時間がわずかしかなくなりました。実はきょう石油の問題や首脳会議の問題もお伺いする予定でいたのですけれども、時間がありませんので次の点だけお伺いします。  五十年十一月六日の北海道新聞によりますと、北炭の萩原会長が、夕張新鉱に続いて来年度から北海道の磐の沢、鹿の谷、穂別、桜沢と、道内の四地区で新炭鉱開発に乗り出す、そしてこのほど具体的な開発計画を通産省に提出した。新炭鉱出炭量はこの四炭鉱で二百三十万トンだ、これは既設の炭鉱を含めると年間七百万トンの出炭体制だ。七百万トンというと二千万トンのうちの三分の一に当たるわけです。それを北炭がやるんだ。それからこの計画を十一月初めから福田副総理、河本通産相、増田資源エネルギー庁長官らに個別に説明、五十一年度から始まる石炭新政策の中に織り込みを目指しているという記事が、一面のトップで出ているのですが、こういうことについて大臣、何か萩原会長から御相談を受けたり、あるいはまた耳にされたでしょうか。また、そういう計画が出されているかどうか、まず伺いたい。
  139. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 その計画は聞きました。聞きましたが、いろいろ問題点がありますので、それをどうするかは、いま研究しているところでございます。
  140. 多田光雄

    多田委員 先ほど午前中に、政府側に炭鉱調査の問題について聞いた。ところが企業の方は、調査の対象になっていない個所であるここで、二百七十万トン掘るのだと、もうぶち上げているのです。私はこれがいいか悪いかを言っているのじゃないのです。企業の持っている鉱区を本当に精査していくならば、もっと掘れるところがあるということを、北炭の萩原会長自身がちゃんと証明してくれたようなものです。それからこの中には、再開発では第三セクター方式はとらないのだと言っている。ところがまさに今度の新石炭対策答申は、第三セクターが一つの目玉になっている。日本石炭の三分の一を掘ろうという意気込みの北炭の萩原会長は、第三セクターによらないで自力でやるんだ、こう言っている。これでも私は、政府の出された新石炭政策のいわば骨組みというのは揺らいできていると思いますよ。しかもそれが当の企業サイドから出されてきている。もう時間もありませんから、この問題について立ち入る余裕はございませんが、大臣、検討されているということは当然なことですが、二千万トン体制が、ことしはもう二千万トンを割って千九百万トン強だろうということを政府側は答弁なさっている。ところが他方では、大いに掘るんだという、こういうアドバルーンか何かわからぬけれども、上げている企業もある。第三セクターは御免こうむりたいと言っている。そうだとすれば、今度の答申というのは、あのまま閣議決定されたら大変なことになってしまう、後で泣きますわね。石油の動向一つ見たって、これはわかることなんですから。十二月に決定されるというお話でございますが、こういうことも深く考えて、そして国民が納得できる、本当に石炭を見直していく石炭政策をつくるべきだというふうに私は思うのですが、答弁に対する態度は伺っております。そういう意味で私は練り直してみたらどうなのかということを、通産大臣にお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
  141. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 最初に北炭の新計画の問題ですけれども、実はいろいろなことを言われましたが、さっきもちょっと触れましたように、いろいろ問題はあるのです。そこでいま研究しておるということでございます。  それから新石炭政策でございますが、これはせっかくああして長い間かかって研究の結果、答申をいただきましたので、大体あの線を基本どいたしまして新しい石炭政策を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  142. 多田光雄

    多田委員 いずれにしても二千万トン体制を維持するということ自体、私はなかなかむずかしいだろうと思っているのです。相当無理する。無理すれば人命が失われていく。人命が失われては労働者が集まらない。しかも炭鉱調査にしても、先ほども問題になったのだけれども、ほとんど民間に調査をお任せになっている。私はそういう意味で、大臣のお言葉ですが、石炭問題は真剣に、いまやっても、まだ遅きに失しないのですよ。そういう意味で本当に慎重に考えてもらいたいということを申し添えまして、私の質問を終わります。
  143. 田代文久

  144. 松尾信人

    松尾委員 通産大臣に伺うわけでありますけれども、石炭対策保安対策である、九月九日に各社にも保安の総点検も命じた、また政府の方に対しましても、自分の出先機関等に対しても、そういう面でいろいろ指示をした、こうおっしゃっておりまして、次々と事故が起こるのは遺憾である、こういうことでありますが、災害の実態等をもう少ししっかり大臣にも掌握してもらいたい。しておるとおっしゃるかもしれませんけれども、昭和五十年の石炭鉱山死亡災害、これは調べではございますけれども、ことしの一月から始まりまして二月、三月、四月、五月、七月、八月、九月、十月、十一月と、このようにほとんど各月にわたって死亡災害が起こっておる。合計二十九件、死亡者のみで三十九名、こういうことでございます。まことに遺憾という大臣の言葉もそのとおりで、遺憾とするわけでありますけれども、しかし、それではやはりいかぬのでありまして、これはどういう点からそのようになるかと言えば、やはり政府の腹構え、また企業の腹構えというものが、生産に追われるとか二千万トンの維持だという、そのような生産第一の考え、従来の発想、そこの転換ができないで、どうも後向きの問題、保安対策に対する真剣な取り組みという、それがうかがえない。本当に石炭対策保安対策だということに徹しますれば、その決心をひとつはっきりと明確にここであらわしていきませんと、遺憾が遺憾に終わるわけでありますが、大臣、そういう面において、いかがですか。
  145. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 全くお述べになったとおりでありまして、昭和五十年の災害を見ましても、大小ありますけれども二十九件もすでに発生をしておる、こういう状態でございます。これは大変なことだと思います。そこで先般、総点検を命じますと同時に、法規全般の改正、保安対策全般のあり方等につきまして、いま協議会でも検討していただいておるわけでございますが、私は石炭の場合は保安対策がしっかりしてくるということになりますと、政府の新しい石炭政策とも相まちまして、労務問題はある程度、解決されるのではないか、この労務問題を解決するのにも保安対策がどうしても必要である、こういうふうに痛感をいたしておりますので、石炭政策の中でこの保安対策が一番重要な課題である、こういうことを申し上げたわけでございます。
  146. 松尾信人

    松尾委員 だから真剣に取り上げてこれをやる、こういうことですね。では、それはそれで了承いたしまして、次に参ります。  災害発生が企業に対してはやはり大きな影響、負担の増となっているわけですね。そういうことでわれわれ調査団が参りました高島の艦業所でございますが、今期もすでに七億の赤字がある。累計百五十億の累積の赤字がある。それでまた災害も起こる。それはそういう苦しい状態でありますけれども、現地における不安は、そのようなものを一つのきっかけにして手を引いてしまうのではないか、このような閉山の心配でございます。一つの限界企業と申しますかね、わかっておっても保安の方に金が入れられない、そういうことが現実の問題としてはあるわけでございます。そして、要は政府も、最終的にはいままで経済炭量が枯渇したということから閉山をずっと認めてまいったわけであります。それが、約六十億トンの日本石炭資源というものを、再び掘れないようにしておるという回答も、私は政府から受けております。そういう点は、閉山はもうやらないのだというようなわれわれの提言といいますかね、大臣も、この十三項目に対する石特の提言というものは真剣に考えて、取り上げていくというお答えもあるわけでありますけれども、過去において閉山をやった、閉山交付金も申した。そうでなくて、改めて閉山をしないための交付金と申しますかね、むしろ逆に閉山したから交付金をやるというような安易な、日本石炭産業というものをつぶすという方向、それは今回はうんと歯どめがかかったと思うのでありますけれども、もうそのような一つの限界の企業、やろうと思ってもやれない、保安の方へうんと金がやれないような企業、そういうものは一つの限界企業、そして何といっても六十万トンというような年産の生産の力がある。一たん閉山になりますると大変なことになるわけでありますが、一企業のそのような累積赤字だとか、または企業の採算がいま合わないとかというような問題で、閉山というものを取り上げていっては相ならぬと私は思うのであります。やはり資源またエネルギー資源、そういうものを踏まえての石炭政策、先ほど大臣は総合エネルギー調査会、また最後の閣僚の協議会に諮って強力なる石炭政策をとりたい、こういう答弁でありますけれども、その言葉の中から、このような事故が相次いでみたり、閉山するんじゃなかろうかというような話が出てきたりすることは、これもまことに残念至極でありますが、私が言っているそういう閉山問題につきましては、今後もう絶対になし、そして深くエネルギー資源の問題から高い次元で判断する。一企業の判断等に任せる問題じゃない、こういう考え方を私は持つわけでありますが、大臣はどうかということですね。そして、私だけしゃべっておると、何もかも大臣のお答えが短くなりますから、ここでとどめておきますが、以上の点について大臣はどのようなお考えですか。
  147. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 今度の石炭政策は二千万トンの出炭水準を維持していくということが基本になっておりますけれども、その場合といえども、やはりいろいろな意味で閉山しなければならぬ山が相当出てくると思うのですね。それに対して、ほっておいたのでは二千万トン切りますから、新鉱をどんどんと開発していく、そして閉山をしていく山を埋めていく、こういうことが基本になっておるわけでございますから、一切、閉山をしないというのではなくして、新陳代謝をしていく、そこで一定水準を確保する、そういう考え方でやっていきたいと思います。
  148. 松尾信人

    松尾委員 それは新陳代謝していくわけでありましょうけれども、結局、政府の施策というか、考え方によりまして、閉山しないでいい山も閉山するわけですよ。すでに経済炭量の枯渇ということで、六十億トンの日本の大事な石炭資源が再び掘れないようになっておるという事由ですね。炭価の問題でありますけれども、炭価が上がればまだ掘っています。これは北海道で露天掘りの再開発しやすいところは、そういうことができるわけでありますけれども、炭価で行き詰まって閉山した。炭価が上がったから掘り出した。そしてまた炭価で行き詰まって閉山した。また炭価が上がって、いま一生懸命掘っておる。同じ山で、やめたり掘ったり、やめたり掘ったりしているのですから、一概に本当に経済炭量の枯渇というようなことでなくて、もう少し政府が閉山というような安易な考えをやめて、そしてエネルギー資源というものを高い次元で考えていくならば、閉山しないでいける。新陳代謝という簡単な言葉じゃなくて、できるだけそこでがんばっていく。そこがつぶれましたら、仮にこれを高島に限りますれば、あそこの一帯は西彼杵炭田であります。そして高島、伊王島、端島、これを入れた地域は高島区域の炭田であります。それが伊王島がすでに閉山いたしました。端島もことしの一月に閉山いたしました。残りは局島だけでありますが、あの西彼杵炭田というものは日本における石炭の宝庫です。それを安易に新陳代謝というような考え方だけでいくならば、永久にこの西彼杵炭田というものを日本は放棄した。最後最後まで拠点として、そしていま開発を一生懸命やっておるけれども、断層その他で困っておる。そして自分の力では、それを乗り切ることができないようなことまで心配される一企業というものに活を入れる。そして政府が思い切った施策をして、それをきっかけに、改めて高島地域の石炭資源というものを考えたらどうかということを根底に置きながら、私は論じておるわけでありますが、いかがですか、大臣。
  149. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 お述べになりました御趣旨は理解をいたしましたが、先ほど申し上げましたように、二千万トンという出炭はあくまで維持したい。そのためにあらゆる方策は考えたいと思いますが、しかし採算が非常に悪くなった鉱山を維持するということは、これは考え物じゃないかと思います。それよりもやはり同じ国の財政資金でございますから、それを使って援助をする場合には、新しくより採算的な山を掘っていく、そういうことの方が望ましいと思いますので、一つ一つ具体的に検討しまして、果たしておっしゃるようにここはどうか、ここはどうかということをよく一つ一つ具体的に検討して結論を出しませんと、原則論でなかなか割り切れないと思います。お述べになりました趣旨は理解をいたしましたので、具体的によく検討いたします。
  150. 松尾信人

    松尾委員 では、くどくなりますから、私もこれでとどめておきますけれども、本当に慎重に大きな高い次元から御判断を願いたい。  それから、保安対策強化ということは当然でありますけれども、これは相当のお金が要るわけであります。それがやがて石炭の値段にはね返ってまいります。そうすると、そういういろいろの中で石炭の競争条件というものを悪化していくわけですね。保安対策強化、そこには金が要る。政府も入れようとしている。企業も当然入れなくてはできない。それをいままで余り出さなかった。今度はこれをうんとさせるということは、これは炭価に響いてくるわけでありますが、その炭価の決め方、これはやはり石油との比較で、何としても決められていく傾向が、過去ははっきりしておりましたし、いまも濃厚ですね。ですから、石油によって日本炭鉱はつぶされたわけです。そういう後遺症というか現象というものが、いま厳然と残っておる。そしてなかなか思ったとおりいけない。政府の方もいけないし、企業の方もいけないし、労働者も苦しんでおる。こういういろいろな問題が炭価の中にあるわけでございますけれども、このような一連の、保安強化すれば炭価に響く、響いたものは競争条件がそれだけ悪化してきて、他の資源との関係で苦しい、なかなか簡単に炭価を上げると認められにくい。そのうちに行き詰まる。行き詰まって閉山するとか、また事故が起きるというような悪循環があるわけですよ。ですから、やはり新しい石炭政策という以上は、この総合エネルギー部会または閣僚の最後の決定、そういう中では、そのような問題をしっかり把握して解決していきませんと、現実にこの日本エネルギー政策の根本に立てなければできない石炭というものが、いわゆる口先ばかりでありまして、そしてだんだんと一千九百万トンとなり一千四、五百万トンとなるというような傾向をたどる心配があるのでありますけれども、このような一連の問題につきまして大臣はどのようなお考えですか。
  151. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 石炭は、政府の方もいろいろ補助をしておりますけれども、経営は民間企業でございますから、採算に乗らなければいかぬ、これはやはり経営の原則だと私は思います。  そこで炭価の決め方ですけれども、やはりコストを中心にしまして決めていく、こういう考え方でございます。今回、若干の値上げをさせるようにいたしましたけれども、これもコストを中心に決めていく、こういうことでございまして、コストを中心にしませんと経営が成り立たない、こういうことになりますので、そういう方向でやっていくつもりでございます。
  152. 松尾信人

    松尾委員 コスト中心と言われても、炭鉱各社におきましてもコストが違います。非常に条件のいいところと、長らく掘ってまいりまして非常に深くなったとか、ガスが多いとか、それで改めて、そこをどうとかして脱出したいというので、新しいところを掘っていく。池島もそうでありますが、高島もそうなんです。飛島地区というものも、やっとそこに炭層があるとわかりましても金も入れてきたけれども、そこは断層が多い。その断層が乗り切れないというのは一つの企業の限界ではないかと私は思うのです。そういうところを思い切ってどうとかしてやっていく。そのところはコストは高くなっておりまするし、平均炭価の値上がりくらいでは、そのような条件の悪いところの企業は、いまだに採算のベースに乗っておりません。ある程度、石炭の値段を上げてもらった、それでやっていけるところと、現実にはコストの問題でやっていけないところがあるということですね。こういったものはよく大臣も認識してもらわないと、平均コストなんかでやられますと、即座につぶれていかなくてはならないところがあるわけです。そういうところは大きな炭田の要するにセンターですから、そこを放棄すれば、二度とそのような炭田というものに日本としては手がつけられない、こういう重大な問題もありまするので、単に安易なコスト引き上げじゃなく——コストからいったら石油に負けるじゃありませんか。まあこの前、三倍上げた、最近一割上げたというので、ある程度抵抗はできますけれども、今度は他のエネルギーのコストと比べた場合に、果たして日本石炭が有利であるかどうかということは一概に論じられませんし、将来も石油の値段の動き、それに対しての炭価の考え方というもので、いろいろバランスをとっていかれるのでありましょうけれども、私はもうそういう時代じゃなくて、石炭というものはやはり日本エネルギー資源の土台に置く。安易な考え方で、そういうものは出炭をとりやめるとか閉山につながるというような考え方は基本的に捨てなくては、この二千万トンを確保して、そしてどうとかして新鉱の開発もいたしながら、これを相当長期間にわたって維持していかなくてはできない。それが基本的に崩れていくのではないかと心配するわけでありますけれども、くどくなりましたが、もう一回、大臣の考え方を聞きたいと思います。
  153. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまのエネルギー政策全体として考えておりますことは、まずエネルギー全体における石油のシェアを低くしたいということで、現在は約七八%が石油でございますが、これを十年後には六三%に持っていきたいというのが基本的な骨子になっておるわけです。同時に、六三%にシェアを下げた石油の輸入ソースの多角化を図りたい。それから同時に、石油のシェアが低くなりますと何かで補わなければいけませんので、それは原子力とかあるいは石炭、こういうもので補っていくということから、この石炭政策というものを非常に重大に考えられるようになったわけでございます。石炭の場合も大部分は輸入に依存するわけでございますが、それでは心配である。やはりできるだけの数量は国内で確保していきたい、こういう全体のエネルギー政策から石炭を重視する、しかも国内炭を重視する、そういうふうな考え方で、この新しい石炭政策というものを進めておるわけでございますから、お述べになりましたように、できるだけ石炭生産をふやすというのがたてまえでございます。ただしかし、何が何でもむちゃくちゃに掘りまくるということではなくて、やはりある程度採算というものを考えなくてはいかぬ。そこには新陳代謝というものがある。しかし、一概に新陳代謝といいましても、企業の経営そのものをよく掘り下げて検討しませんと、そう簡単には結論は出ませんので、よくそういう点は監視いたしまして、そして石炭政策というものを重視しながら進めていきたい、こういう考え方でございます。
  154. 松尾信人

    松尾委員 時間がほとんどなくなりましたので、急ぎますけれども、高島に参りまして、事故があったものでございますから、業務命令で、ずっと十一月一日から仕事は休まれております。これは会社の命令です。そこには下請の労働者がおりまして、休業を余儀なくされておる。本工の方は生活保障がありますけれども、全然、生活保障がない。この問題は先ほど触れておられましたが、これは当面の緊急問題でございます。日本全国のそのようなものを研究されているということ、もっともでありますけれども、ことしだけでも事故が二十九件、治安にも通じた問題でありますが、すべてに通ずるこれは当面の緊急問題として、早速に取り上げて指導してもらいたい。私は高島艦業所には強くこれを要請しておきました。いかがですか大臣。
  155. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 よく調べまして、これは労働省ともよく相談をいたします。
  156. 松尾信人

    松尾委員 この石炭予算から見ましても、相当手厚い救済といいますか、金が使われておるわけであります。肩がわりの問題種々の補助金の問題、交付金の問題、それは相当の予算というものを占めておる。いわば石炭というものは政府の助成によって、いま、かろうじて息をついていると言っても過言ではありません。今後なお、保安強化の問題、災害絶滅の問題、炭価の問題等、一企業で処理できない問題が山ほど、この石炭の企業の中にはあります。ですから何としても新しい発想を持って臨みませんと、私企業の一つの自由競争だとか採算ベースだとか、そういうことに任しておきますと大きな失敗を繰り返すのではないか、こう思うのでありますけれども、大臣、基本的な考え方をどのように持っていらっしゃるか、これを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  157. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほど申し上げましたように、石油危機が起こりましてから、新しい角度から、この総合エネルギー政策を進めておるわけです。その結論が近く出るわけですが、その一環として石炭政策を今度、決めるわけでございますね。でありますから、非常に新しい石炭政策というものを重視しておるわけなんです。そういうことでございますから、いろいろ資金は要ると思いますけれども、必要な資金は総合エネルギー政策の一環として確保するようにいたします。
  158. 田代文久

  159. 小宮武喜

    小宮委員 私も最初に石炭の基準炭価について質問いたします。  いま石炭企業では、四十九年度にトン当たり三千円の炭価アップがありました。ありましたけれども、なおかつトン当たり千七百円の赤字が残っていた。そして五十年度になりますと、賃上げとか諸経費の高騰によってやはり赤字がトン当たり平均で三千百円になっておった。それで今度、基準炭価が平均二千五百円値上がりしても、七百円の赤字が依然として残っているわけです。  五十一年度の炭価アップがどうなるかはわかりませんけれども、ただ問題は、この答申の中にも、いわゆる二千万トン体制を維持していくためには「石炭企業の経常収支ができるだけ早い機会に黒字となることを目標とすべきである。」こういうように出ているわけですね。そうしますと、一応その年々の炭価アップというのが審議会から答申をされる、あるいは需要業界との話し合いをやるにしても、通産省当局としては、この石鉱審の答申を尊重するならば、一応のめどをどこに置くか、少なくとも累積赤字は別としても、単年度における黒字を出すためにはどうするかということを、通産省当局としては考えていただかぬと、答申が出ているのにもかかわらず、ただ、それは需要業界と石炭業界の話し合いというか、もちろんその中には通産当局も一応入っておるようですけれども、そういった目標をひとつ明らかにしてもらいたい、この点を大臣に特に御答弁を願いたい。
  160. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先般の値上げで大部分の赤字は解消したのですから、しかし、ほぼいまお述べになりましたような金額が赤字として残ると思います。しかし、企業のことでございますから、やはり何としても赤字が解消するという形になりませんと、活力が生まれてこない、そういう意味からも、できるだけ早く赤字を解消するように、こういう意見が出ているのだと思います。しかし、何分にもこういう激動期でございますので、それでは、いつ何年何月から、その赤字を解消するのかということを、いまちょっと述べかねますけれども、できるだけ早く赤字を解消するように、ひとつ協力していきたい、こう思っております。
  161. 小宮武喜

    小宮委員 いま七百円の逆ざやがある、したがって今後また賃上げとか、いろいろあるでしょう、そういうような場合に、ある程度何年以内とか、いつごろだという目標を立てないと、目標を立てることによって逆ざや解消を計画的になくしていくということを考えないと、ただ結果としてどうなったということでは不十分ではないか。これは石炭政策を尊重する大臣として、なかなか言いにくい点があるということはわかります。私の私見を言わしてもらえば、いま七百円だ、それが来年ぐらいで単年度収支で大体とんとんくらいまで持っていく、五十二年度くらいからは黒字に転ずるというような、これは私の素人の考えですがね。だからそういった一応の目標を立てぬと、結果としては黒字になるのはいつになるか、なかなかわからぬということでは、答申を尊重する立場から言えば、ちょっと消極的ではなかろうか。しかし、これはいろいろ需要業界の問題もありますから、むずかしいと思いますけれども、一応のそれぐらいのめどは持って取り組んでいただかぬと、どうなるかということになると、非常にむずかしい問題がありますが、そういった明るい見通しのもとに、この政策を進めていただきたい、かように考えます。  それからもう一つは、そういった意味では、何はおいても答申の実現を図るためには、需要業界の協力が必要になってまいると思うのです。しかしながら今回の交渉の経緯を見ましても、難航に難航を重ねて、大体、予定より一カ月ぐらいずれ込んだというような経過から見ても、これは言うべくしてなかなかむずかしい問題と思います。したがって需要業界と石炭業界と、これに国も入ってお互いが話し合う場を求めて、そういった話し合いの場で、たとえば需要業界がどれだけコストの負担に耐え切れるかどうかという問題も考えながら、そういった場合はある程度、国が補助をしていくというような方式も確立されなければ、ことしの基準炭価の引き上げについても相当難航したという経過から見ても、来年あたりは、もっと基準炭価の引き上げについてはむずかしい問題が出てくる、非常にことし以上に難航するということが予測されますので、いやそのような予測は心配要らぬということであればよろしゅうございますけれども、この問題は必ず来年、再来年と年を追うごとに非常にむずかしくなってくるということを考えた場合に、国としても何らかの補助制度というものを、どちらに補助するかは別として、やはり考えていかなければならない問題に逢着するというふうに私は考えますが、その点、この補助制度について通産当局として、また大臣として、どのように考えておられるのか。さらに今後そういった炭価アップの交渉について、どのように考えておられるのか、ひとつ大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  162. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 需要業界といいましても、これは鉄鋼業界と電力業界が大部分でございます。そこで、石炭業界もやはり思い切った合理化、近代化をしていただきまして、需要業界の方も、なるほどよくやっているというふうなことでないといかぬと思うのですね。政府がバックアップする、その上にあぐらをかいて、一向に合理化、近代化が進まぬ、こういうことになりますと、需要業界も、電力といいましても結局電力料金にはね返る、鉄鋼といいましても結局国民経済全体が負担をしなければならぬ、こういうことでございますから、やはり懸命の合理化と近代化をやっていただくということが私は先決だと思います。しかし、電力業界と鉄鋼業界は非常に実力もありますし、企業規模が大体、石炭業界と全然違いますししますから、若干の値上げの受け入れの力というものは私は持っておると思います。ただしかし、繰り返しますけれども、その前提として相手になるほどと思わせることが必要である。私は、いまのところは補助金などは出さなくてもいいのではないか、また出すような考えは持っておりません。
  163. 小宮武喜

    小宮委員 大臣は、補助金を出さぬでも、石炭企業が黒字に転ずる時期は近い将来、必ず来る、だから補助金を出す必要はないというふうに考えられてのことかどうかということが、まず第一点。  もう一つは、なるほど抽象的には、合理化の問題はすぐ言葉の先に出るわけですけれども、しかしながら、炭鉱はもう昭和三十四年ごろから非常に斜陽化していく中で、何とか生き延びるために合理化に次ぐ合理化をやって、われわれが見ても、まだ合理化の余地があるだろうかというぐらいに、石炭企業の合理化はなされ尽くしておるというふうに私は考えるのです。その上にさらに合理化をやれと言うが、どういう合理化を具体的にやるかは別として、そういったことが、ややもすれば余りにも合理化を強いるの余り、保安問題に関係してきて、事故でも発生したら、これはまた大変ですから、そういった意味で、いまの石炭企業の中で、まだ合理化の余地があると通産大臣は考えておられるのか。この三十三、四年以来の石炭企業は合理化に合理化を続けて、生き延びるために今日まで努力をしてきているという観点から見れば、合理化の余地は余りないのではないかというふうに私は考えます。だから、まだ合理化の余地があるかどうかという、その点の通産大臣の認識の問題をもう一遍お聞きします。  もう一つは、石炭企業として、これまでいろいろ努力をしてきたわけです。それぞれの企業で合理化をやれるところはやってきた。しかしながら、これ以上、合理化をやれというならば、設備資金が非常に膨大にかかるわけで、そういうふうな資金の面から取り組めば、取り組むところもあると思うのです。もし大臣が合理化をやれということであれば、合理化をするための合理化資金を、政府当局ももっとどしどし出してもらわぬと、金は出さぬわ、合理化だけはやれと言ってみたって、金のかかる合理化はできないわけですよ。だから、私が言っているのは、合理化の余地があるとすれば、もっと国が合理化に対する資金の援助なり、あるいは融資なりをしてやらぬと、もう炭鉱はすべてが担保に入っておるわけですから、銀行もなかなか金を貸してくれないという事態の中で、合理化をやれといっても、これはなかなかむずかしい問題ではないかというように考えますので、ひとつ大臣の所見をお聞きします。
  164. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私が補助金と言いましたのは、石炭の価格ですね、炭価に対して直接の金額を上乗せするような補助金は考えていないという意味でございまして、補助金ということにつきましては、いろいろな形で石炭産業に出ておるわけですね。それから電力にいたしましても鉄鋼にいたしましても、炭価に上乗せするという形では出ておりませんが、いろいろな形で鉄鋼産業にも電力事業にも出ておる。ですから、補助金という意味はそういう意味であるということを、ひとつ御理解をしていただきたいと思います。  それから基本的な考え方といたしまして、戦後の産業界における一つの特徴は、技術革新が非常に激しく進んでいくということだと私は思うのですね。でありますから、二、三年前には最も合理化された経営である、近代化された経営であると言いましても、また数年たつとそれが古くなる、さらにまた数年たつと古くなる、こういうことになりまして、世の中の進歩におくれないように絶えず努力していくことが、どうしても必要だと思うのですね。そういう意味で、絶えずこの合理化の努力を怠らぬようにしてもらいたい、こういう一般論を言ったわけでございます。  それから新しい施設等については当然、資金が要る、新しい近代化の機械を入れようと思えば当然、資金が要ると思います。もっとも石炭はいま民間の経営でございますからね。何から何までまる抱えで、手取り足取りして、すべての資金を提供するというわけにはいきませんけれども、民間の企業が、こういうことで努力をしてみようという計画を積極的に立てられるならば、政府は、それに対して可能な限りの援助なり資金のあっせんをする、こういうことでございます。しかし、政府の保護とか補助に安住してあぐらをかいて、一つも努力をやらないということになりますと困るわけでございまして、いろいろな意味におきまして積極的にこの仕事に取り組んでいかれる、こういう場合には、政府の方も前向きで資金のあっせん等もする所存でございます。
  165. 小宮武喜

    小宮委員 石炭政策の答申にもありますように、海外炭の開発輸入という問題が出ております。したがって、通産省としても、輸入炭については五十五年度で四百七十万トン、六十年度で一千四百六十万トン考えておるようですが、輸入炭と国内炭との現在の比較、それから将来の見通しはどうなるのか、それからさらに石油価格との比較についても、ひとつ御参考までに、これは高木部長からで結構ですから、御答弁を願いたいと思います。
  166. 高木俊介

    高木政府委員 本年度石炭と重油との比較でございますけれども、一応、揚げ地関係におきましては、今回の炭価アップをしていただきました結果、五千五百八十カロリーという一つの標準をとりますと、一万一千三百八十円というような金額になります。それから油の方でございますけれども、これはまだ現在、価格交渉中でございますので、はっきりした数字は申し上げられませんけれども、一応、二万円というようなことで想定いたしますと、カロリー当たりに直しましたとき、石炭の方は二円四銭、それから油の方も二円四銭というようなことになるわけでございますけれども、重油と石炭のデメリットというような点を一応、見ますと、この見方も金額的にはいろいろ見方があろうと思いますけれども、一応、二千百四十円というようなことを置きますと、そのほか、いろいろなカロリー格差というようなあれもございますので、そういう点を見ますと、一応、揚げ地においては石炭が二千百円ぐらい高いというようなことになろうと思います。  なお、積み地におきましては、今回の炭価アップ後の金額でございますけれども、四千六百五十カロリーというのを標準にとりますと、七千四百三十五円ということになりまして、これがカロリー当たりで一円六十銭というようなことになりまして、同じような油の価格が、まだ未定ではございますけれども、一応二万円と置きまして計算いたしますと、石炭と油は約とんとんというのが実態でございます。これは一般炭でございます。  それから原料炭におきましては、本年度、三千六百円という値上げをしていただきまして、本年度末の輸入炭と国内炭との比較におきましては、約七百円から八百円ぐらい国内炭の方が高いのではなかろうかというのが見通しでございます。  なお、将来の輸入炭の価格問題でございますけれども、私どもがいま計算いたしております五百万トンあるいは千五百万トンというような数字につきましては、大体豪州あるいはその他の露天掘りから持ってくる炭ということを一応、念頭に置いておりますものですから、そういう点からいきますと、コスト関係だけでいきますと、大体五ドル前後ではなかろうかと思います。しかし、内陸輸送あるいはフレート関係がございまして、国内着ということになりますと、恐らく一万円前後という金額で来るのではなかろうか。現在が一万円というようなことで来ております。一万円前後で、輸入炭の一般炭については、これは審議会で認めていただきました数量だけでございますけれども、スポットのものでございますけれども、来ております。そういう点から見まして、今後これが大口というようなことで長期契約というようなことになりますと、金額的にはある程度安くなるのではなかろうか。そうしますと、油と石炭の経済性という問題になろうと思いますけれども、一応私どもは将来、輸入炭におきましては、油と比較して、これは価格問題でございますので、一概にどうということは言えませんけれども、一応、油よりも安い水準で輸入できるのではなかろうか、こういう考えでございます。  その場合、国内炭の今後のいま申し上げたようなプライスでございますけれども、今後のいわゆるコストアップ要因、特に賃金を初めとする、その他のアップ要因というようなことを考えますと、恐らく国内炭の方は相当高くなるのではなかろうか。その場合、輸入炭と国内炭との関係、これをどうするか、そういう点を審議会答申を受けまして、いろいろ国内炭に悪影響を及ぼさぬような形で輸入を実施すべきである。なお、国内炭におきましてもできるだけ活用するという方向で歯どめをかけつつ、必要な、なお不足する量については輸入せざるを得ぬのではなかろうかということで、いろいろ作業をやっておるわけでございます。
  167. 小宮武喜

    小宮委員 輸入炭の場合、各火力発電所に運ぶ前のストックヤードの問題つまりコールセンターの問題、これはいろいろ構想があるようですけれども、そのコールセンターの構想について、何かまとまったものがあれば、ひとつ御説明を願いたいと思うのです。
  168. 高木俊介

    高木政府委員 まだコールセンターにつきましては、どこにどういうような規模で、どういうものをという最終の結論を出しているわけではございませんで、来年度調査費といたしまして一億二百万ぐらいの金を要求しているわけでございます。これは今後、石炭火力発電所が建設されるということになりますと、やはり石炭サイドとしましては安定供給というのが第一の義務ではなかろうかと思います。そういう点から、安心して石炭を引き取ってもらうというためには、やはり全国的に見ましてコールセンターというのが必要ではないかという考えに立っておるわけでございまして、また、このコールセンターを利用しつつ、輸入されます高品位の石炭と国内の低カロリーとの混炭というようなことも考えつつ、できるだけ国内資源を活用するという意味でも、コールセンターを今後、活用の方向で検討していくという考えでございます。
  169. 小宮武喜

    小宮委員 長崎県の西方海上一帯の西彼杵郡炭田、ここには優秀な原料炭が埋蔵されておるわけですが、しかし、海底炭田であるために、地上のようになかなか簡単に、また安くでは、ボーリングができないわけです。したがって海上ボーリングをやるのに非常に膨大な資金を必要とするわけですが、この点については、やはりもう企業の能力の限界を超えるものになるわけですから、そういうような意味で、この海上ボーリングについて国の方でひとつやるべきじゃないのかというような強い要請もあっているわけです。したがって、将来の二千万トン体制を維持していくためには、そういうような国としての海上ボーリングというものについても、ひとつ国が積極的に取り組んでいただきたいというように考えるわけですが、通産省としての考え方はどこにあるのか、その点ひとつお聞きしておきます。
  170. 高木俊介

    高木政府委員 海底炭鉱炭量調査につきましては、せんだって九州の方に国政調査先生方のお供をいたしましたときに、現地でも話を聞いておりまして、帰ってきてから、いろいろ研究してみたのでございますけれども、実は四十七年度まで持っておりました太平洋探海の「探海号」というボーリング船があったわけでございますけれども、松島沖あるいは釧路沖の調査を済ませまして、現在スクラップ化いたしまして、もうこの船が残っていないというような状態でございまして、そのほか東京大学あるいは東海大学あるいは金属鉱業事業団、こういうところで一応、地質調査船は持っておりますけれども、これはボーリング船じゃございませんで、海底の石ころ、あるいは砂をかき揚げるような装置がついている調査船でございまして、これを直ちにボーリング関係の船に使うというわけにはまいらぬのではなかろうかと思います。なお、石油資源開発公団が一つ持っておりますけれども、これは現在、相当使用中でございまして、これを借りるというわけにもいかぬのではなかろうかということでございます。なお、海底ボーリング船の建造ということも検討いたしましたが、既存船を改良するといたしますと、約四十億ぐらいの金がかかるということでございまして、これで直ちに国が海上ボーリングを引き受けるというわけにはまいらぬのではなかろうかと思いますけれども、できるだけ、将来の二千万トン体制というようなこととも関連いたしまして、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
  171. 小宮武喜

    小宮委員 最後に、御存じのように長崎県の大瀬戸町で、電源開発株式会社が百万キロの火力発電所建設予定地として、いま環境調査をやっているわけですが、この環境調査現状と今後の見通しがどうなるのかという点について、説明を願いたい。  あわせて、今度の五十一年度予算で松島火力発電所建設についての所要建設資金が確保される見通しがあるのかどうかということについて、これは大事な点ですから、ひとつ大臣から御答弁を願って、その環境調査現状と今後の見通しについては、高木部長からで結構ですから、ひとつ説明を願いたいと思います。
  172. 高木俊介

    高木政府委員 公益関係からお見えになっていますので、そちらにお願いします。
  173. 柴田益男

    ○柴田説明員 松島の火力発電所計画につきましては、先生ただいま御指摘のとおりに、本年度内に環境調査を終了いたしまして、明年度から本格的な着工の準備を進めているところでございます。全体の建設費は、五十年度価格で約千五百億円を予定しているわけでございまして、来年度着工いたしまして、五十五年の七月に一号機の運開、五十七年の七月に二号機の運開、そういう予定になっておりまして、関係電力会社の合意も先般、九月に取りつけているところでございます。  問題は、財政資金でございますが、この建設費千五百億円、当面五十一年度につきましては九十一億円でございますけれども、これは全額、資金運用部資金ということで、現在、大蔵省に強く要求中のところでございます。
  174. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 これは新しい石炭政策の一環としての発電所でございますので、ぜひ着工したい、こう考えております。資金の方も、先ほど課長が言いましたとおりでございますが、初年度は金額も少ないわけですし、かつまた、これを第一の発電所といたしまして、あと何カ所か計画もありますので、これはぜひ成功させたい、必要な予算は確保する、こういうことで進んでおります。
  175. 小宮武喜

    小宮委員 質問をこれで終わります。
  176. 田代文久

    田代委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四分散会