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佐野(進)
委員 大臣と話していると、いつもそういうように何か非常に明るいような——これはことしの春からもう何回も何回もやっておるわけですが、明るいようなことを言われておるのだけれ
ども、実際はいささかも明るさを増していない。特に第一次から比較して第四次の
不況対策は飛躍的にその厚みを増していっているわけですね、あなたの言われるとおり。にもかかわらず、それが所定の
効果を上げてない。
しかも、
世界各国は落ち込んでおる中で
わが国だけが二%の
成長率だ、こうおっしゃっておられますが、果たして二%の
成長率になるのかどうかということについても、若干各界における
見解の中に開きがあるわけで、あなたの方は
経済企画庁として二%だとおっしゃっておられるわけですけれ
ども、その二%が果たしてどの
程度妥当性を持っておるかということについては、私
どもはいささか疑問を持たざるを得ない、こう思っておるわけです。しかし、あなたの方で資料としてそれぞれ
調査された結果としてこうだから二%になるのだ、こう言っておられるのだから、それをいまここで違うぞと論争している時間はないわけであります。
私の言わんとするところは、希望を持っての
対策はもちろんなければならないし、その希望を持っての
対策の中で
一定の明るさを見出していただくということは当局者として当然だと思うのですが、何かやっていることやっていることが手おくれで、小出しにすることによって、むしろ十の
効果を上げるものが三の
効果か四の
効果しか上がってないような、そういう
対策を
政府がお立てになっておられるのじゃないか、あなたの言われる二%か四%になる回復率を示すならば、もっとそれにふさわしいような
対策があるのじゃないか、私
どもは前から何回も何回もその点については主張しているのですが、そういうような気がいたすわけです。
特にことしの三月か四月ごろでしたか、失業者が約百万に近いと言われ、
中小企業の倒産が一千件を超えるというような時期の中でわれわれが
質問をいたしまして、そういうことは年の暮れの
段階の中ではほとんどあり得ないというような
意味の、この
対策が成功していけば間違いないというようなことを言われたのですが、いまこの暮れにきて、完全失業者が百万を超え、これは労働省の
調査ですから、潜在者を含めればもっと多くなるわけです。
中小企業の倒産は千三百十七件を超える、こういうような倒産数、これまたこの十二月
段階においてはふえるであろうと言われるほど深刻な様相、しかも大
企業はそれぞれ粉飾的な決算、こういうような言い方が適切かどうかわかりませんけれ
ども、株を売ったり土地を売ったりしながら収支のつじつまを合わしている大
企業等も相当あるとわれわれは聞かされておるわけです。
したがって、いま
福田さんが
お話しになりましたように、
操業度を上げれば何とかなるのだ、
操業度を上げるためにいまの第四次
不況対策をやっておるのだ、こういうような
お話でございますが、いまの第四次
不況対策は金融と公共事業、この二本の柱にいろいろなものをつけ加えておるわけでありますが、いわゆる
操業度が上がるためには、先ほど
お話しのあった
需要が喚起されなければならぬわけでありまして、これがいまの
状態の中においては喚起される、多くなっていくという
見通しはほとんど持たれない。その
需要を求めるために
企業はいわゆるダンピングを行う。百円で当然売らなければ赤字になる物も六十円で売ってでも何とかしていこうという形の中にある。そうすると、それが強いものから弱いものへとだんだんしわ寄せがいって、もう最末端の
中小企業段階に至れば、倒産か転換かということの選択を迫られてくる、そういうことになってくると思うのです。
そこで、私、時間が余りないですから、ここで基本的な
経済論争をやっているあれはございませんが、私の願わんとするのは、その基本的な
経済論争ではなくて、何とか
景気をよくしてやるために
福田さんひとつがんばってくださいよと、こういう希望を込めていま聞いておるわけですが、あなたは一体
日本の総
需要が、
輸出から消費から、その他いろいろ含めて幾らぐらいあり、それに供給をする現在の
生産量はどのぐらいあるとお
考えになっておられますか。
いわゆる操業率を上げていっても、いまの
操業度をもって生産しているものが滞貨の山になっておったとするならば、その
操業度を上げることが
景気回復につながるということの
意味はないわけですね。いまの操業率が九五%だ、これで百三十兆なら百三十兆の生産力がある、これに対して
需要は百十兆だというならばあと二十兆上げなければならぬし、あるいは百五十兆だというならばあと四十兆をどうするかということになってくると思うのです。
あなたは
操業度、
操業度という
お話で、この前も
景気回復の決め手は
操業度がこうなればと、
河本通産相もそれに一緒になってそのようなことを言っておられるのですが、
経済企画庁としては、
日本の総
生産量は今年度どの
程度で、それに対して総
需要はどの
程度であると分析しておられるのですか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。