○
齋藤(太)
政府委員 非常に
不況が長引いておりますので、
中小企業者の耐久力もだんだん苦しくなってきておるように察せられるわけでございまして、倒産
状況もことしの上半期までは八百件とか九百件といったような
数字でございまして、高水準ではございますけれ
どもやや平穏に推移をしておったように
考えておりましたが、九月に千件台に乗りまして、十月が千二百七十八件というように戦後最高の件数を記録いたしたわけでございます。さらに十一月は千三百十七件でございまして、十月の記録を再び更新をしたという
状況でございます。
しかも、倒産の内容を見てみますと、昨年の倒産はいわゆる放漫経営というもの、たとえば本業以外の不動産投資等に手を出したといったようなことのとがめからくる倒産がわりに多うございましたけれ
ども、最近の倒産の半分は、いわゆる
不況型倒産と申しますか、販売不振とか、
受注がはかばかしくないとか、こういうことによる倒産が総体のほぼ半分を占めておる
状況でございまして、その
業種も建設業を初めといたしましてほぼあらゆる
業種に広がってきておるという
状況でございます。
私
どもといたしましては、とにかくまじめにやっておられる
中小企業が金繰りがつかないために倒産に追い込まれる、こういうことは絶対に避けたいと
考えまして、特に
金融面で各般の手を打っておるわけでございます。
政府系の三
機関の
融資といたしまして、今年度二兆五千億の
融資枠を用意いたしておりましたが、先般四千八百億の年末
融資の追加を決定いたしましたので、年間ほぼ三兆円という
融資規模に
なります。このうち第三・四半期に一兆円強、第四・四半期に五千五、六百億円を予定いたしておりまして、年末分の第三・四半期としては去年の一〇%強の増加になっております。
資金需要の方を見てみますと、昨年よりも生産がやはり七、八%方落ち込んでおりまして、操業率も七割五分ぐらいの
状況でございますので、前向きの増加運転
資金の需要というのはまだ少ないようでございます。同様の
意味で、
設備投資
資金の需要も余り活発ではございません。したがいまして、
資金需要の大半は後ろ向き
資金と申しますか、減産
資金といった内容のものが
中心でございますけれ
ども、在庫調整の方は、昨年来ずっと生産を落としておりますので漸次進捗を見ておりまして、この十一月ごろの在庫水準は昨年の同期に比べますとやはり七、八%方低目になっております。
そういう
意味合いで、
資金需要も前年の
資金需要に比べましてほぼ一割増ぐらいの申し込みの水準でございますので、年末の
資金融資所要分としては先般の四千八百億の追加で何とか間に合っていくのではないかというふうに見ておりますけれ
ども、今後国債の大量発行とかあるいは地方債の発行といったようなことによります
金融面への
影響等もあろうかと存じますので、この点は金融の情勢を慎重に見守って、適時適切な
措置を講ずるようにいたしたいというふうに
考えております。
また、民間の
金融機関につきましては、
大蔵省の方からお願いをいたしていただきまして、十−十二月の
中小企業向けの貸し出し増加の
計画といたしまして、三兆五千二百億の目標を先般設定いたしました。これは去年の目標の一二%増の目標でございます。
政府系と民間と両方合わせましてこの年末の金融を何とかしのいでまいりたい、かように
考えております。
また、特にお困りの向きには
返済猶予を弾力的に
措置をしてまいりたいというふうに
考えております。昨年の年間の
返済猶予額は三万件で約千六百億円でございましたが、ことしは上半期で二万件、千三百億円の
返済猶予を
実施いたしております。この点、今後もさらに弾力的に取り計らうように三
機関を指導いたしたいと
考えます。
また、
担保の徴求につきましては、先ほど
お答え申し上げましたように、
評価あるいは
担保の
順位、あるいは
担保の
対象とするものにつきまして極力弾力的に計らうように、今月の初めに三
機関に
通達をいたした次第でございます。
また、信用
保証の面におきましても、この信用
保証が非常に活用をされておりますが、特に零細の
担保のない
中小企業者のために特別小口保険の限度上げを
考えまして、先般本委員会に御
審議をお願いいたしまして、ただいま参議院で御
審議を願っておるところでございます。
こういった
金融面の
措置並びに先般決定を見ました第四次の
不況対策によります追加公共事業あるいは住宅投資、こういうものを速やかに
実施に移しまして、いまの
中小企業の困難がこれ以上広がりませんように
景気の回復を急ぎたいというように
考えております。