○
大橋(敏)
委員 先般
報道されました国立がんセンターの薬剤科職員の収賄事件、大変な社会問題化しつつあるわけでございますが、私は、この
報道を聞きましたときに、やっぱりだったのか、そうだったのかと非常に残念に思うとともに、ざんきの念にたえない。私は、特にこの事件について、その成り行きを厳しく見守っているわけでございます。と申しますのは、いまから五年前に、この国立がんセンターに
関係したある種の事件を通して、もうすでにそのときに汚職のにおいがあるぞということを指摘していたのです。実は、わが党の区
会議員の
紹介でこの国立がんセンターの薬剤科内に働いていた一下級職員、看護助手の方ですが、その人から訴えがあったわけです。上司から大変ないやがらせや圧迫を受けている、そして職場の配置がえを一方的に強要されております。何とか実情を
調査して善処していただきたい、こういう内容であったわけですが、私の手元にそのときの手紙がまだありましたので、きょうここにお持ちしております。
昭和四十五年八月十九日付の手紙の内容は、区
会議員に送られたものでございますけれ
ども、二回にわたっているのですが、その内容を要約しますと、国立がんセンター設立以来勤務している一看護助手であります。当病院の管理運営は非民主的なところがある、上からの押しつけで一切が動かされているように思う、また、
自分の所属は薬局であるが、ここには汚職の感を深くするようなものがある、
調査してほしい、それから独身宿舎とは名ばかりで雨漏り、盗難、管理人もいないというようなずさんさである、官舎の方は医師とか上司の人ばかりが入居して、下級職員は高い部屋代のところに入れられて苦しんでいる、大変矛盾だと思うがどうか、また、今度問題になっていた矢野氏に特に汚職のにおいが強い、製薬会社のセールスマンなどと癒着している疑いがある、そしてまた、この矢野氏はずっと同じ職場に居座っている感じであるが、こういうのは前例があるのかどうか調べてほしい、というようなのが八月十九日付の手紙の内容でありました。
その次に、私の秘書あてに送られている手紙の内容、これも要約しますと、労働条件が非常に劣悪である、あるいは処遇問題、つまり
自分自身に対して非常に冷遇されているという事情が細かく書いてあります。それからまた、特別昇給のあり方についても不審な点ばかりであるというような内容であります。
それから次に、私あてに来た手紙でありますが、その内容も、国立がんセンターの運営というものは非民主的な運営である、また職権乱用、人権侵害、職務逸脱、非常識な行為、特に薬剤科の職員の中には公私混同している実態がありありと見える、こういうのは一日も早く
調査し善処されるべきではないか、特に私自身はこの矢野氏から職場でなぐられたり、あるいは職場にかぎをかけられて働くにも働けない
状態にさせられたり、
自分が仕事をとっていた机をほうり出されたり、あるいは職場の配置がえを一方的にやらされた、というような内容でありました。
私は本人ともお会いしまして、この問題をずっと聞きながら、これは無視できない重要な問題だ、早速
厚生省の
関係の方にこの内容をつまびらかに伝えて、一日も早く実情
調査をして善処せよ、このように強く要請したのであります。ところが数日後でしたか、ある
程度期間たったと思いますが、つまびらかではございませんが、
調査報告が
厚生省のその
関係者の方から私のもとになされました。また、それと同時に、その国立がんセンターの
関係者も私の会館の部屋まで数名見えまして、この事件に対するてんまつの詳しい報告あるいは釈明がなされたわけでありますが、そのときの報告内容は、確かに、看護助手に対する暴力的行為あるいは暴言等については大人げない行為でありました、反省の色を含めた内容で述べたわけでありますけれ
ども、看護助手の訴えは多少食い違いがあるようであります、むしろその看護助手の方の日ごろの
生活態度というものは非常識的なところもあるというような逆な説明も加えられまして、私も非常に戸惑いを感じながらその報告を聞いたわけでありますが、数人の方々の証言的な
発言でありましたので、私もその報告をそんなものかなと聞いて、むしろその看護助手本人に対して、あなたも日常
生活の非常識的な行為がある旨を聞いたので、それを改めることも大事ではないでしょうか、あなたが心配していた他の問題については何もなかったという報告だからがまんしておさめてくれ、こういうことで私はその問題にけりをつけたつもりでいたわけですが、本人はどうも釈然としない、こういう
気持ちできた模様でございますが、依頼した私がそのように言うのであるならば、もうやむを得ませんと力を落として一件落着と、実はこうなっていたわけです。
ところがその後、病院の看護助手の
関係者の中から、公明党は弱い者の味方と言いながら期待外れであったとか、特に
大橋代議士も
政府とがんセンターの者に言い含められてしまったのではないかというような余り好ましくないうわさがちらほら立ったわけでありますが、私自身も釈然としない
気持ちで今日まで実は過ごしていたわけです。
ところが、先ほど申し上げましたように、国立がんセンター薬剤科の汚職事件が
報道されたその直後に、そうした
関係者から電話が入ってまいりまして、
大橋代議士さん、やはり私たちの言っていたこともまんざらではなかったでしょう、このように指摘をされたのです。私も本当に恥ずかしい思いがするやら恐縮するやらで、と同時に、あのときにもう一歩、真剣に
厚生省の方々が取り組み、
調査をしていたならば、この問題ももっと変わった姿で解決され、そして今日のようなああいう汚職事件にまで発展しなかったのではないだろうか、このような気でいっぱいなんです。そういう
気持ちでいる私に対して、
厚生省としてどういう考えでいるかお聞きしたい。