○田口
委員 時間が迫ってきましたので、ただいま大臣それから経企庁からお答えなんですが、確かにかつて経験したことのない事態ですから、予測ということもむずかしいと思うのですけれ
ども、それだけにこういう説もちらほら出てきておるのです。いままでの経験に立って言えば、インフレを抑えるために総需要抑制をやった、その総需要抑制が
雇用の面にはね返って大変な問題になってきておる。となると完全
雇用を――完全
雇用といってもアメリカ、イギリス、西ドイツ、日本の場合には、分子、分母も国によって違いますからはっきりは言えぬと思うのですが、
一般的に完全
雇用をやる場合には、物価も安定をし、完全
雇用もやりということは、あっちも立てこっちも立てということは、いままでの経験からちょっとむずかしいのではないか。だから、完全
雇用の方に力点を置くとすれば、いまは物価を一けた台に抑えるという目標ですけれ
ども、二けた台になってもある程度しようがないのじゃないかというふうな説もちらほらあるわけです。そうなると、これはまた違った面で物価問題で苦労しなければならぬ。
こういうことですから、これは
お互いに英知を出し合ってこの事態を乗り切らなければならぬと思うのですが、その一つとして、さっき言った労働投入量の日本の
現状から見て、これもある人の言い分なんですが、四十八年の十一月時点の稼働率まで高めれば、いま雇っておる
労働者をふやさなくても、労働時間を延ばせば数字の上ではちょうどよくなるのじゃないかという見方もあるのです。労働時間を短縮してともかく切り抜けておるのだから、景気がよくなって稼働率が高まって時間を延長すればもとへ戻る。これは
雇用の問題では何にもならぬのですから、前々から言われているように、この際は労働時間短縮、週休二日制という問題を、
労働者のレジャーとかなんとかいう面ではなくて、
雇用量を拡大するという面から私はもっと真剣に考えなければならぬのじゃないかという気がするわけです。
そういう点について、これは後でお答えをいただきたいのですが、時間がありませんから、こういった厳しい
雇用問題の中での具体的な問題を三つほど取り上げて、
関係行政当局からお答えをいただきたいと思います。
その第一は、厚生省、これは本来二十一日にでもやるべきことなんですけれ
ども、
雇用の問題に関連して言いますと、そういうむずかしい失業がどんどん続出しておる。
労働者は安易に首を切られませんから解雇反対闘争をやる。そこで健康
保険の
適用問題があるわけですね。
昭和二十五年に
保険局長通達というのが出されておるのですが、一方的に
事業主の方からおまえさんはもう首だ、この事業所を閉鎖しますと言えば、その日から政管健保にしろ何にしろ被
保険者じゃなくなってしまう、こういう現実なんです。この
昭和二十五年の通達第六十八号を見ますと、そのときは被
保険者の資格がなくても、中労委やその他の裁判なんかで身分が回復すれば、さかのぼって被
保険者の資格を与えますよ、こういう通達なんです。それが果たして今日のこういった
雇用不安のある、いろいろな問題が激発をしておる時期にふさわしい健康
保険の資格云々ということになるのかどうか。
この辺について、私は先に一方的に質問の第一としてやりますけれ
ども、少なくとも係争中といいますか、解雇反対闘争を続けて一応の決着がつくまでは、健康
保険の資格は認めるべきじゃないか、こう思うのです。そういったことでいろいろと
関係する
労働者の諸君などから私に相談があるのですが、それに関連して調べてみますと、いまだ今日に至るまで古くさい厚生省
保険局の通達が出ておるのです。たとえば、いま
雇用の調整をするために休職発令をしておる会社が多いんですね。三年間休職だ、そのかわり月給やりませんよ、三年たったらもうやめてもらう、こういった休職者についても休職発令の際に健保の資格がなくなってしまう。なぜかと調べてみますと、これは私の間違いかどうか確かめたいのですが、いまから四十四年前の
昭和六年二月四日の保発第五十九号で、休職発令をし給料の支給がなければ健保の資格は喪失したものとみなす、こういう通達が今日も生きておるのかどうか。それから
昭和十年十一月に、これも四十年前ですが、関連して言いますと、いま自動車がこういう事情ですね。事故をちょいちょいやります。公安
委員会の
処分で運転停止三十日とか五十日とかちょいちょい食らいます。そうすると、自動車運転手がそこで働いておって運転免許の停止三十日以上食った場合には、当然に企業は運転手の職種として雇っておるのですから
賃金を払いません。そうすると健康
保険の被
保険者の資格を喪失させるのが望ましい、こういった通達が四十年たった今日でも健保については生きておるのかどうか。生きておるとすれば、はなはだ浦島太郎みたいで、いまの
時代から見れば通達もびっくりするのではないかと思うのです。さっき言った解雇反対闘争係争中の健保資格等に絡んで、いま言った
昭和六年の通達、
昭和十年の通達なんかはいまの時世にふさわしくない。しかも
雇用状態がこういう緊迫した状態ではふさわしくないと思うのですが、その辺改善する気持ちがないのかどうか、まず厚生省から……。