運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-12-05 第76回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月五日(金曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 金丸 徳重君    理事 今井  勇君 理事 越智 伊平君    理事 高鳥  修君 理事 兒玉 末男君    理事 柴田 健治君 理事 柴田 睦夫君       宇田 國榮君    小沢 一郎君       志賀  節君    塩谷 一夫君       竹中 修一君    中尾  宏君       萩原 幸雄君    旗野 進一君      三ツ林弥太郎君    村岡 兼造君       金瀬 俊雄君    川俣健二郎君       中川利三郎君    高橋  繁君       広沢 直樹君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         気象庁長官   毛利圭太郎君         労働大臣官房審         議官      吉本  実君         労働省労働基準         局長      藤繩 正勝君         消防庁次長   森岡  敞君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   鎌倉  節君         警察庁刑事局保         安部保安課長  四方  修君         行政管理庁行政         管理局管理官  山本 貞雄君         行政管理庁行政         管理局管理官  竹村  晟君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    渡辺 重幸君         国土庁土地局国         土調査課長   高田 徳博君         厚生省社会局施         設課長     水田  努君         農林省構造改善         局農政部農政課         長       田中 宏尚君         林野庁指導部森         林保全課長   野辺 忠光君         通商産業省産業         政策局商務課長 鯨井 鉀一君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       志賀  学君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         気象庁海洋気象         部長      土井 謙二君         労働省労働基準         局補償課長   山口  全君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     野原 石松君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      平賀 俊行君         建設省計画局宅         地開発課長   川合 宏之君         建設省計画局建         設業課長    大森 敬介君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月五日  辞任         補欠選任   津川 武一君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     津川 武一君     ――――――――――――― 十一月二十日  干ばつによる被害対策に関する請願(柴田睦夫  君紹介)(第三二七四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十日  台風第五号等による北海道地方災害復旧促進  等に関する陳情書外四件  (第二七一号)  台風第五号等による北海道地方災害激甚災  害指定に関する陳情書  (第二七二号)  高知県の災害再発防止のための激甚災害対策特  別緊急整備事業創設等に関する陳情書  (第二七三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 金丸徳重

    金丸委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田(健)委員 きょうは時間の制約がございますので、簡単に御質問申し上げたいのですが、消防庁の方にお尋ねしたいのです。  水島三菱石油流出事故について、もう一カ年を迎えるわけですが、事故調査委員会調査を付託されて、自来いろいろの角度から原因究明に当たられたと思うのですが、この点についていつごろ正式にこの事故調査委員会の発表をされるのか、それから発表されたらその原因というものを資料としてわれわれ災害委員会にお配り願えるのかどうか、この二つの点をまずお尋ねしたい。
  4. 森岡敞

    森岡政府委員 水島重油流出事故につきましては、お話しのように事故原因調査委員会を設けまして、鋭意学者の有識者によって検討していただいておりますが、何分にも御案内のように破断いたしました基礎が流されてしまっておりまして、的確な原因究明につきまして率直に申して大変難航いたしておりますけれども、ちょうど約一年になるわけでございます。今月の半ば、中旬にはほぼまとめ得るものという見通しで現在作業を進めております。  原因結果の報告書ができました際には、もちろん災害対策委員会にもごらんいただきまして、内容につきましてよく御検討願うということにさしていただきたい、かように考えます。
  5. 柴田健治

    柴田(健)委員 次に、防災器具関連をしていろいろ問題があるわけでありますが、特にその中で消火器の問題でお尋ね申し上げたいのです。  私たちは、災害が起きてからどうするというのではなしに、起きない予防措置に重点を置いて取り組んでいかなければならぬということは万人が認めておるところであるし、また当然それがあるべき姿だ、こう思っておるわけであります。そのために国民の皆さんにそれぞれ自分の財産を守ってもらう、自分の生命を守ってもらうといういろいろな処置を講じてもらう、そういう立場からみずから防災器具を備えてもらう。こういうことで、各家庭においても消火器というものが相当今日まで普及されてきておるわけでありますが、この消火器関連をしていろいろ問題があるわけであります。いま日本各種消火器がいろいろあるわけでありますが、たとえば粉末消火器なり自動車用消火器、また船舶用消火器、それからあわ消火器強化液消火器ということでいろいろ種類がございますが、特にそれらの種類について年間生産数量というものはどの程度になっておるのか、まずその点からお答え願いたいと思うのです。
  6. 森岡敞

    森岡政府委員 申しわけございませんが、ちょっといま資料を持ってきておりませんので、年間生産数量につきましては後ほど資料をもってお答え申し上げたい、かように思います。
  7. 柴田健治

    柴田(健)委員 いずれ資料として出してもらいたいと思うのですが、メーカー、また流通の過程におけるそれぞれのメーカー代理店、それから販売業者、それぞれあるわけですが、どうも今日の販売方法を見ておると、本当にまじめで、正規手続家庭販売をしておる業者、そしてまた本当にわけのわからない販売方法をやっていろいろな物議を醸しておるという、警察の方にも御厄介になっておるというような販売方法をしておるメーカーもある。そういうことからわれわれ消防の方にとばっちりを受けて大きな迷惑をしておる面もあるわけでありますが、今日そういう事件が各地域に発生をしておるその原因と、そしてまたそれらを防止する方法はどういう方法をやったらいいのかというようなことについて、取り調べをしておられる警察庁の方に、今日までの現況と、そして未然にそういうものを防ぐ方法はどうしたらいいのかということをまず見解を聞きたいのですが。
  8. 四方修

    四方説明員 道路が混雑いたしておりましたので、こちらに参りますのが数分おくれましたことを冒頭に先生におわび申し上げます。  ただいま御質問の点につきまして、御指摘のとおり消火器を含みます訪問販売につきましてのトラブルが非常に増加をしてまいっております。われわれの方に各県から報告のありました数字だけを参考に申し上げましても、警察の方で詐欺等で検挙をいたしました件数は、昨年一年間で十六件、三十二名、このうち消火器販売に関するものが六件、十九名でございます。ことしに入りましてから昨日までの時点で百三十三件、百四十六名、このうち消火器販売に関するものが五十一件、三十八名ということで、非常な増加を示しております。  このように、主として詐欺事件として検挙する場合が多いわけでございますけれども、こういう問題が起こりますのは、一つには、販売に当たる者が自分身分を偽って相手方商品を売ろうとする、もう一つは、法律によって消火器の設置があたかも義務づけられているかのごとく虚偽の告知を相手方にいたしまして売りつけるというようなことで、販売の手段について常にうそが言われておる場合が非常に多いわけでございまして、そのために起こっておる問題であるとわれわれは承知をいたしております。  それから二つ目のお尋ねの、こういう問題を防ぐためにはどうすればいいかという御質問でございますけれども訪問販売等いわゆる特殊販売につきましては関係行政機関の方において御検討がされておると聞いておりますが、そういう立場から所管行政庁の方で、こういう特殊な販売方法についてトラブルを起こさないような安全な販売方法が担保し得る方法について御検討いただくのが最も賢明ではなかろうか。具体的な方法についてはその検討過程においていろいろ出てくると思いますが、警察立場からも特にこういう方法がよかろうということを検討しておりませんのでこの席上で申し上げるものを持っておりませんが、いずれにしましても早急に検討していただくことが望ましいのではなかろうか、このように考えております。
  9. 柴田健治

    柴田(健)委員 消防庁森岡次長にお尋ねしたいのですが、こういう消火器は、日本検定協会があって、この協会理事長自治大臣が指名をすることになっておるし、そういう検定までは正規手続というか厳密にやっておられるのですが、しかしその検定協会のあり方も私は非常に疑問を持っておる点があるのですよ。手数料もちゃんと規則小型消火器は一個四十円、大型についてはいろいろあるわけですが、検定をする協会が本当にまじめに検定しておるんだろうかという疑問がまず一つ。それからもう一つは、できた品物の販売方法について、いま警察庁お答えになったように、メーカーももっと責任を持って各消費者である家庭にどういう方法で供給していくかという、そういうものを消防庁行政指導の中でやるべきではないかという気がするのですよ。たとえば、各都道府県にそれぞれのメーカーがつくっておる代理店というか販売業者があるわけですから、この販売業者共同責任販売員に対する身分証明を出すか、もしくは都道府県の知事に身分証明を発行させるのがいいのか、その点は研究課題だろうと思いますが、どちらにしても販売をする者がもっと責任を持ってもらわないと、消防の方には年二回各家庭査察をやらせておるわけですが、この査察のときに、これはどこで買われたのですか、どこでどういう方法で入手されたのですかと聞いてもようわからぬ。だれが売りに来たのか、まあ押し売りだ、買え買え言うから、規則がそうなっているのだからぜひ買いなさいということで半ば押し売りで、性能も何もよくわからない。そういう中身を十分説明しない、使用方法も十分説明しない、ただ一片のパンフレットだけつけて押し売りをするというやり方は余りにも無責任ではないか、こう思うのですが、消防庁としてはこの点について今後の指導をどうされるのか、そういう面まではわれわれ消防庁としては責任がないんだとか、何らか考え方を明らかにしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  10. 森岡敞

    森岡政府委員 お答えいたします前に、消火器生産本数でございますが、四十九年で検定いたしました数量が約四百二十万個でございます。  それで、ただいま御指摘消火器悪質販売の問題につきましては、最近その件数がふえているということで、私どもも何とかその是正を徹底しなければならないということで、いま早急に検討を進めております。  考えておりますことは、一つは、販売組織をもう少し合理化すると申しますか、きちんとしたものにしてもらいたい。これはいろいろなやり方がございますけれども、たとえば市町村によりましては販売業者届け出制度をとっているところがございます。そういうふうな方式も一つの問題でございます。それから、御指摘のように、販売の際に身分証明書を必ず持たせる、あるいはワッペンのような形で販売業者名を胸にきちんと表示をさせる。それからまた、販売いたしました際には必ず販売業者の名前の入った領収書をきちんと出させる。こういうふうな、いま御指摘のありました種々の点を含めましてきちんとした形を販売組織についてとっていくことをぜひ考えたい、これが第一点でございます。  第二点は、これもお話の中にありました、メーカー販売ルート全体を通じましての責任をある程度とってもらう、きちんとした販売が行われるようなフォローアップをぜひしてもらいたい。現在、検定の際に製造番号をきちんと打たせておりますけれども、その製造番号ごとにどういう販売業者に卸していったのかというふうなことについて追跡を記録上きちんとさせる。ただ、これは販売業者が数段階にわたるものですから、末端段階までフォローアップすることには相当むずかしい問題もございますが、ぜひそういう方向でやりたい。  第三番目の問題は、やはり買われる一般家庭あるいはユーザーの方も、たとえば法律で義務づけておるというふうな間違った宣伝といいますか、言葉に惑わされないように、PRをぜひやっていきたい。現在、地震対策その他火災問題につきまして相当のPR予算も持っておりますので、その中におきまして、間違った判断に基づいて不当な押し売り販売に応ずるということのないようにぜひ注意をしていただきたいという広報活動も積極的にやってまいりたい。  かような方向でいま鋭意検討を進めておりますので、早急に結論を得て、市町村消防当局指導し、また業界の指導も徹底していきたい、かように考えております。
  11. 柴田健治

    柴田(健)委員 まあ、あなたらの立場から言えば前向きということになるのでしょうが、前向きで取り組んでおられることの御答弁をいただいたのですが、役所のことだから取り組みかけても一、二年かかるという気がするのです。そうかかられたのじゃかなわぬので、早急にそういう策を講ずるように、実施できるように明確にしてもらいたいのですが、いつごろまでを目途としてやっておられるのか、その目標の期日、もう何カ月先だとかいうようにこの期日を明らかにしてもらいたいということ。  それから、私は販売価格、要するに標準価格決め方がおかしいと思うのですよ。たとえばA、B、Cの粉末消火器能力単位というか容量というか、そういう点を標準価格決め方において消防庁としてはどういう検討を加えておられるのか。それは内部的に検討を加えてメーカーとの折衝とかいうことはなかなかできにくいとは思いますけれども、やはり標準価格決め方がおかしい。たとえば、大体家庭には一・二キロ入り、一・五キロ入りというのが多いのですが、この一・二キロは末端販売標準価格が八千六百円、一・五キロの場合は九千五百円、それから二キロが一万一千百円。ところが、いま押し売りをやっておるのは、一・二キロから一・五キロのものを最高標準価格一万一千円で押し売りをしている。素人から見ると正直言ってわからない。一・二キロだとか一・五キロだとか一・八キロだとか二キロといっても、大きさは大して違わない。だから、最高標準価格押し売りをする。その点について段階別価格表示単位能力というか能力単位というか、そういうものとあわせて明確に明示できるような証紙を張らせてはっきりさせていく、こういう指導というものをどうせられるのか、その点をまず消防庁の方にお聞きしたい。
  12. 森岡敞

    森岡政府委員 メーカー及び販売組織を通じます悪質販売防止のための措置の徹底につきましては、一カ月ないしは二カ月の範囲内でぜひ結論を得たいと思っております。  それから、価格の問題でございますが、価格の問題は率直に申してなかなかむずかしい面がございます。ただ、消費者サイド能力価格とのバランスといいますか、そういうものについてなかなか判断がつきにくいという点は確かにございますので、消費者がその能力に応じた適正な価格というものを判断できるような何らかの方策といいますか、これはいろいろ広報問題も関連するわけでございますけれども方策についてもこれはぜひ考えていきたい。ただ、商品価格でございますから、行政サイドで一方的に何か決めてしまうというわけにも、これはもちろん御承知済みのようにまいらない面もございます。しかし、不当な、能力に応じないような価格押し売りの形で売られるという形は避けるような方策をぜひ考えていきたい、かように考えております。
  13. 柴田健治

    柴田(健)委員 森岡次長消火器業者はいま日本で何ぼあるのですか。
  14. 森岡敞

    森岡政府委員 販売業者の数につきましては、ちょっとこれまた資料がございませんが、現在各県で販売業者の組合をつくっておるところがございますが、これが二十二組合ございます。その連合体といたしまして全国消防機器同業会協議会というのがございます。私どもといたしましては、販売合理化を考えていきます際に、この協議会なりあるいは二十二県に設けられております同業会を通じまして積極的な指導をぜひやってまいりたい、かように思っておるわけであります。
  15. 柴田健治

    柴田(健)委員 メーカー、要するに製造業者が何社あるのかということを聞いているのです。
  16. 森岡敞

    森岡政府委員 いまちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんので、後ほど申し上げたいと思います。
  17. 柴田健治

    柴田(健)委員 先ほどのお答えの中にありましたように、一、二カ月の間にもう明確に方針を打ち出して指導をせられるというのですから、大きな期待をかけておりますから、もうこういう事犯が起きないようにぜひやってもらいたい。この点については強力にお願いしておきたいと思うのです。われわれは、消防人の方は大きな迷惑をしておるわけでして、大変な不服をそれぞれの各県の消費センターの方に何回となく――そういう不正売り込み、たとえば恐喝売り込み、強引な、迷惑防止条例にも平気で、かかっても構わぬのだ。たとえば売り方についても、あるメーカーは、もう売れさえすればいいのだ、そういう売る方法について社会的責任を持たない、そういうやり方。そうして代理店へ、きょうは十個なら十個売ります、一個三千円ですと言う。三千円で現金で取引して十個持って帰る。それを一万一千円で売るんだから、一つについて七千円か八千円もうける。それだから、十個売れば一日七、八万円になる。だから、原価の点においてこれは大きな問題がある。だから、その点の標準価格についてもっと手厳しく検討を加えるべきですし、それからコストについても消防庁はもっとメスを入れるべきだ、これを付言しておきたいと思います。この問題については早急に解決してもらわないと、いずれまた質問しなければならぬときが来ると思いますので、十分万全の対策をとってもらいたい。もう警察の御厄介にならぬ、こういうぐらいにやってもらいたい、こう思います。時間がございませんから、いずれ後の同僚議員に……。  次に、建設省なり国土庁にまず聞きたいのですが、宅地造成なりゴルフ場造成にいろんな事故が起きる。日本ぐらい労働災害の多い国はないと言われておる。火災発生件数はそうでなくても、焼死者世界最高だという。これらも人間尊重していない日本の姿を浮き彫りにしておると思うのですよ。同時にまた、労働災害においても世界最高である。たとえば新幹線においても、東海道新幹線が死者が二百十一名、けが人三千六百人、山陽新幹線で大阪から博多までが死者百五十九人、けが人五千人を出しておる。交通事故なら華々しくマスコミに乗るけれども労働災害というものはもう業者が徹底的に隠してしまう。それから、労働基準法から言うと、届けば一カ月以内であるから、その場で届けをしなくてもいいから隠してしまう。恐らく労働災害の中で建築業者建設業者と言われるそういうものの災害が非常に多い。これらを未然に防ぐ方法については、工法なり技術なり地質なりという総合的な研修をさせるべきではなかろうか。ただ資本金がどうであるとか、建設機械をたくさん持っておるとか、経験年数が長いからとか、こういうだけでは、もう人命尊重にならないと私は思うのですよ。総合的に科学的な面を身につけていく。今度の千葉県のゴルフ場災害についても、千葉大学の理学部の先生がはっきりあの辺はもう房総半島を含めて超危険地帯である、最も危険地帯であるということを警告しておるにもかかわらず、県も発注者業者もそれに目を向けようとしないというところに大きな誤りがある、私はそう思うのです。  これらについて、建設省国土庁は、これから地質学をどう住民の中にそして国民の中に理解さしていくかという点をひとつやってもらいたい。その点についての見解をまず聞きたい、こう思います。
  18. 大森敬介

    大森説明員 ただいま先生指摘の点は、まことに私どもそのとおりだと思っておりまして、かねて建設業法建設業者の許可をいたします際に、そういう観点も当然盛り込んでございます。  各建設業者工事をやります際には、現場主任技術者ということで技術の方をつかさどる主任者を置くことになっておりますが、この主任技術者資格要件といたしまして、前提となります施工管理技術検定というものをやっております。この技術検定をやります際に、その学科なり実地試験につきましては、いま御指摘もございました土質関係あるいは地質関係、こういった関係学科なりあるいは実地上の知識というものを一定の経験なり大学卒業なりというものを通じて取得していることを認めた上で建設大臣認定をする、そういう施工管理技師現場主任技術者としてそれぞれ工事を監督するというたてまえをとっております。  したがいまして、当然建設業者施工の仕事によりまして、こういう技術知識については十分練達した者が各現場に張りついているということでございますけれども、しかしやはり現実に事故が起こるということはこれまた非常に多いわけでありますので、こういった点につきましては、私どもといたしましても、さらにその技術検定学科なり実地試験なりという内容におきまして、いま御指摘がございました土質関係あるいは地質関係、こういったものをさらに重視して、こういう認定の際の重需要件として試験の運用に当たっていきたい、かように考えております。
  19. 高田徳博

    高田説明員 国土庁といたしましては、国土調査法に基づきまして全国土自然条件というものの概況を把握したいということで、この調査法に基づきまして土地分類調査というものを実施しております。その中で地質調査も実施しておるわけでございまして、そのできました成果の利用につきましては、各種計画基礎資料として活用するように指導してまいっておるところでございますけれども、今後とも都道府県等に対しまして、それらの成果の活用が一層図られますように指導してまいりたい、こう思っております。
  20. 柴田健治

    柴田(健)委員 終わりました。ちょうど十一時ですので……。
  21. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、川俣健二郎君。
  22. 川俣健二郎

    川俣委員 私の質問ゴルフ場建設をめぐる諸問題なんですが、大臣にあえてお願いしたのは、ゴルフ場から問題が惹起されるというのはゴルフ場建設所管官庁がないという、大変に奇妙な話なんですが、そのとおりなんです。そこで私は、このゴルフ場の問題は二回目ですけれども、前回はこういう問題だったのです。  千葉県に起きたわけですが、千葉県は御案内のとおりエネルギーは九五%天然ガスで賄っておる。しかも、地元から出ておる天然ガスで賄っておる。そこで、資源不足の折から、この天然ガスの開発に非常に力を入れておるということは当然であるが、天然ガスを掘る際、当然鉱業権が起きるわけですが、通産省から認可を得てさて掘ろうとなった、ところがその地上権はこれからゴルフ場をつくるから待ったということになった。そこで、らちが明かなくて、通産省は天然ガスを掘ってよろしいという認可を出していながらどうにもならないということで、いまだにそれが滞っておる。そこで、商工委員会でしたから、通産省の方から、結局鉱業法に最後の手段として土地収用というのがうたってあるわけですから、それを使うか使わないかということで、別に迫ったわけではないが、政府の考え方はどうか、こういうことになったら、時間がありませんので途中の経過は省きますが、最後に政府の方から、これは第百四条、百六条にうたっておるわけですが、土地所有権者との話し合いがつかないときは、鉱業法上、鉱業権者が所管の通産局長の許可を得て土地を使用できるように道を開きたい、こういう言明をしておった。それが六月二十日なんです。  さてそれで、政府はこれからどう料理するだろうかと見ておった。ところが、ゴルフ場所管官庁がないために、話し合いがつくといったって業者同士の話し合いでどうにもならない。じゃ、一体どうなっておるのだろうか。そこで、半年たったてんまつを通産省のエネルギー庁からまず聞かしてもらいたいと思います。
  23. 志賀学

    志賀説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話ございました千葉県下におきますゴルフ業者と天然ガスの開発業者との間の問題でございますが、先生から御指摘がございました後、所轄通産局であります東京通産局に、ゴルフ業者及び天然ガスの開発業者を数度にわたりまして呼びまして、調整を図るべく努めてまいっております。ただ、一方におきまして、問題になっております天然ガスの井戸の掘削につきまして地元の住民の中にも反対があるというような動きがございまして、現在その天然ガスの開発業者に対しまして、やはり地元住民の了解をとるようにということで指導をしてまいっております。天然ガスの開発業者の方も地元住民の了解を得べく現在努力をしておるところでございます。私どもといたしましては、地元住民の方々の了解が得られた段階で再び両者、関係企業を招致いたしまして、地下資源、天然ガスの採掘が実行できるように調整を図っていきたいというふうに思っております。私どもといたしましては、もとより、先生から御指摘ございましたように、千葉県下におきまして、また日本全体におきましても天然ガスの重要性というのは認識しておりまして、それができるだけ早く開発できるように鋭意努力してまいる所存でございます。
  24. 川俣健二郎

    川俣委員 釈明を聞いていると時間がないのです。地元の了解を得るとかなんとかというのはもうとうに終わっている。その地元の町長も、天然ガスの開発は同意書をちゃんと書いてある。いよいよ掘ろうというときにゴルフ屋が巻き返しをやった。ところが、ゴルフ場そのものの所管官庁がないものだから押さえがきかない。土地所有はおれなんだから、こういう状態でにっちもさっちもいかないというのが現状です。  そこで大臣に、どうしてもやはりゴルフ場造成というものの窓口一本化というか、所管官庁を一本に決めてもらわないことにはどうにもならないのだ。というのは、やはり千葉県なんです。先日のストのさなかであったわけですが、ゴルフ場造成中の八人死ぬ、突貫工事、生き埋め。これはスト中であり、身動きもできなかったわけですが、その労働者というのは青森、秋田、山形、出かせぎ労務者、生き埋め、八人死亡。これが、ストのあれに隠れておったが、かなり大きくニュースバリューになって出たわけです。千葉県はこのごろゴルフ場が非常に乱開発されておるのですが、千葉県のような余り広くない、しかも首都圏であり工場地帯に、一体ゴルフ場というのはいまどのくらいあって、いまどのくらい工事されておるのだろうか、そして総面積はどのくらいあるのだろうかということをどこの官庁でやっているかなと思っていろいろ聞いてみたが、やってない。ただ、自治省が、税金が入る、利用税が入るものだから、お勧め品にはなってないかもしれないけれども野方図に許しておるということから、通産省の方で、その自治省に出た利用税のデータをバックデータにして調べておるというのが細々とした統計だと思う。通産省、ちょっと聞かしてくれませんか。千葉県のゴルフ場の数と、いま造成中の数と総面積、どのくらいあるのだろうか。
  25. 鯨井鉀一

    ○鯨井説明員 現在千葉県にありますゴルフ場は、五十年三月一日現在で四十七カ所でございます。(川俣委員造成中、申請中は」と呼ぶ)申請中につきましては、私どもの方ではちょっとつかんでおりません。
  26. 川俣健二郎

    川俣委員 そういうような状態なんです。むしろ新聞記者の方がつかんできている。申請中はいま七十四、造成中が二十、千葉県はこういう状態なんです。数をつかんでいるように思われる通産省の窓口がこの程度なんです。一体ゴルフ場建設というものをどうするのだろうか。  そこで、労働災害の方からこれをとらえる場合、今回の八人の生き埋め死亡、労働省は一体どうとらえていますか。
  27. 藤繩正勝

    藤繩政府委員 今回の千葉県のゴルフ場造成工事におきます労働災害につきましては、まことに遺憾にたえないというふうに思っております。私ども、目下鋭意現地の職員を督励いたしまして災害調査を行っておりますが、先生も昨日現場に行かれたやに伺っております。御承知のとおり、私どもとしては直ちに現場の作業停止を命じまして、緊急な措置をいたしたわけでございますが、今後の被災者の労災補償等につきましても万全を期したいというふうに思っているわけでございます。  そこで、いま御議論になりましたこういった種類災害防止という点でございますが、私どもゴルフ場造成に限らず、道路、河川その他一般、あるいはビル建設等、建設業における災害という点につきましては、ほかの産業に比べて特に多発傾向が著しいということから、一般監督の中の四五%をこれに投下いたしまして相当監督をいたしておるつもりでございますけれども、なお非常に零細な現場が多いというようなことで、たとえば今回もそうでございますが、事前の届け出ということが怠られがちである、そういうような点についてさらに反省を加えまして、関係業界等にも働きかけ、こういう点について十分措置いたしたいというふうに思っておりますが、とりあえずは、千葉県下におきましては、いまお話が出ましたような造成現場がかなりございますので、緊急に一斉監督をいたしたいというふうに思っているわけでございます。今後とも私ども十分関係者の注意を喚起し、またわれわれの監督を強めたいというふうに思っておるわけでございます。(「監督署の職員が足りない」と呼ぶ者あり)
  28. 川俣健二郎

    川俣委員 そこでさらに、本論に入る前に、警察庁来ていると思うが、立入調査をもちろん地元にさせたと思いますが、その結果、どういうようにとらえておるか聞かしていただきたい。
  29. 鎌倉節

    ○鎌倉説明員 本件につきましては、十一月三十日、十二月一日両日にわたりまして山頂それからがけ下、ヒューム管の埋設工事現場等につきまして詳細な実況見分をいたしております。その結果から考えてみますと、がけの中段からの土砂の崩壊によるものというふうに思われますので、関係者の供述とあわせまして、目下事故当時の状況を明らかにすべく努力をいたしておるところでございます。  この事故につきましては、関係者からの事情聴取、それから現場の実況見分等を総合いたしまして、事故原因の究明に努めておりますが、その結果を慎重に検討いたしました上で、関係者の刑事責任判断いたしたい、このように考えております。
  30. 川俣健二郎

    川俣委員 あれは素人が見てもむちゃというか、無謀な工事で、三方が全部山でその谷間で造成しておる。砂地の状態なんだ。そこで、事故が起きてから警察庁も労働省も走っていくわけだが、あそこで工事をやっておったということを知っておった官庁が一体あったろうか、こういう問題なんだ。労働省の方に、この前つくった労働安全衛生法八十八条によると、十メートルを超えるがけをやる場合には届け出なければならぬ。これは一体届け出ておったのだろうか、どうでしょうか。聞いておりますか。
  31. 藤繩正勝

    藤繩政府委員 お話しのとおり、労働安全衛生法八十八条三項では、建設業等の仕事で労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を十四日前までに労働基準監督署長に届け出なければならないという規定がございますが、今回は届け出がございませんでした。まことにその点は遺憾だと思っております。
  32. 川俣健二郎

    川俣委員 そこで、建設省関係の方、一体これを知っておったのだろうか。建設業法五条にはちゃんと書いてある。特に下請だから十五条にも触れる。主任技術者を置かなければならぬ。主任技術者はいませんでした。こういうことなんだ。建設省はどうこれをとらえていますか。
  33. 大森敬介

    大森説明員 建設業者の許可の際に、いま御指摘がありましたような主任技術者その他の要件はすべて定めてございますが、個別の工事個所ごとに建設省に届け出るという形には必ずしもなっておりません。したがいまして、私どもといたしまして、ゴルフ場現場の状況についての詳細なる報告というのは、事故が起こってからむしろ事情聴取をしたという状況でございまして、事前に工事場所に関する報告等は特に徴しておりません。
  34. 川俣健二郎

    川俣委員 大臣、事ほどさようにこのとおりなんだ。  もう一つ農林省にちょっと聞きますけれども、これは農地法適用地なんだ、農地転用なんだ。しかも、二ヘクタール以上ですから。水田なんだ。これは一体承認したのだろうか。これは届け出なければならないはずだ。どうです。
  35. 田中宏尚

    ○田中説明員 ただいま御質問のありました千葉県のゴルフ場につきましては、昭和四十九年八月三十日付で農地法第五条の許可をいたしております。
  36. 川俣健二郎

    川俣委員 その辺からぼつぼつひもといていかなければならぬ。やはりどこかに届け出て、ゴルフ場をつくるなということは知っておった官庁があった。ところが、ゴルフ場をつくるということの大元締めの所轄官庁はないというところからこの不幸が起きたような気がするのです。これは大臣、これから先やはり考えものじゃないですか。しかも、七十四申請中、いま二十工事中、そしていま五十ある。千葉県はゴルフ場だらけになってしまうのじゃないですか、どうでしょうか。
  37. 金丸信

    金丸国務大臣 ゴルフ場の問題につきまして、先般千葉県の工事現場で埋められて亡くなられた方々が八名あるわけです。まことにお気の毒で、こういう問題をたびたび繰り返すということは、これは政治にならないということでありますから、たとえば川俣先生がおっしゃられるように、未然防止することを考えなくてはならない。いままでは県の条例とか要綱等でいたしておるというのが現状の姿だと思います。しかし、国土庁といたしましては、農林地とかあるいは歴史的な景観、土地、こういうものをゴルフ場にするようなときは、その状況を判断して、この申請のある中でいろいろチェックするというようなこともやっておるわけでありますし、あるいは都市計画法とか森林法とかいうような面で規制もあるわけでありますが、しかしそういうような状況の中で、実際はゴルフ場の問題については各県の自治体に任せておるというような実態がいまの姿だろう、そこに問題もあると私思いますし、窓口を一つにするということは必要だと私も思います。ひとつ検討をさしていただきたいと思います。
  38. 川俣健二郎

    川俣委員 ぜひこれは早急にお願いしたいと思います。  そこで、八人死亡したわけですが、問題点と対策をちょっと聞いておきたいのですが、この出かせぎのほとんどが季節労務者なのです。三県からと、それから地元、いわゆる短期雇用労働者。そこで、この短期雇用労働者の労働災害はどうなるのだろうか。一体これは労働災害の補償金が幾らくらいになるのだろうか。
  39. 藤繩正勝

    藤繩政府委員 今度不幸にして被災なさいました方は十名でありまして、うち八名が亡くなっていらっしゃいます。これらにつきましては、いずれも労災保険は当然適用がございますし、また関係の今度の会社は適用の手続も行われておりますので、その点は問題がないと思います。  御承知のように、亡くなられた方につきましては、原則として年金でございます。遺族関係によりましては一時金の場合もございますが、主として年金でございまして、年金につきましては御承知のように、給付基礎日額の三百六十五日分について遺族の数に応じた一定率を掛けまして、そして支給せられるわけでございます。一時金につきましては、千日分の一時金が出る。それから、重傷で療養なさっている方もいらっしゃいますが、その方にはもちろん療養給付が出る、こういうことになるわけでございます。これがどの程度になるかは、いま鋭意調査を進めております。一応の給与といいますか、賃金日額は推定しておりますけれども、これは十分確定する必要がありますので、現在鋭意調査を進めております。そういう段階でございます。
  40. 川俣健二郎

    川俣委員 いま一時金が総評傘下のデータによると平均千二百万、それからきのう金属鉱山で労働災害闘争で妥結した金額が千百三十万。この千日分は、季節労務者をちょっと計算しますと、賃金は四千五百円の日額だそうですからそれを二十五日稼働で三十日で割って、それを千日分掛けると、二百五十万、こういう金額なのです。  そこで、季節労務者というものを何とか対策を立てないといかぬのじゃないか。そこで、失業保険の改正のときに大論議をした。出かせぎ労務者をどうとらえるかということで、いままでのような働き方で五十日分だれにも失業保険はやるという法律修正の中で、この出かせぎというのはほとんど建設業に当たるのが常であるから、建設業に携わる季節労務者が多いのであるから、出かせぎ立法というような法律化を急ぐべきではないか、これを約束してくれた。  そこで、労働省、これは作業に取りかかっておりますか。
  41. 藤繩正勝

    藤繩政府委員 お話しのように、建設業における出かせぎ労働者の問題というものは、きょう議題になっておりますような労働災害の問題を初めとして、賃金不払いの問題、あるいは雇用の不安定、あるいはいまお話しのような失業の問題等々、いろいろな問題があるわけでございます。  そこで、かねてからそういう御議論もございますので、労働省といたしましては、建設業の雇用の改善に関する法律案とでもいうべきものをこの次の通常国会にお出しして御論議をいただきたいということで、いま鋭意作業を行っているわけでございます。担当は労働省の職業安定局の特別雇用対策課というところでやっておりまして、担当課長も来ておりますので、もし詳細な御質問があればなおお答えいたさせます。
  42. 平賀俊行

    ○平賀説明員 出かせぎ労働者が多く就労しております建設業の問題につきましては、先般の雇用保険法案の審議に際しまして、社会労働委員会で附帯決議がなされまして、専門の検討機関において検討する、その結果によって具体化を図るように、そういう決議がなされております。  その後、中央職業安定審議会でこの問題についての検討、審議がなされまして、本年の八月に建議が出ております。  また、雇用審議会では建設労働に関する専門委員会をつくりまして調査しておりましたが、これも近く結論を得る段階になっております。  こういった審議会の検討結果を基礎といたしまして、特に建設労働者の雇用の明確化、雇用の近代化、こういったような観点から、対策の充実を図るべく作業を進めておる段階でございます。
  43. 川俣健二郎

    川俣委員 出かせぎ組合の要求で国会に提案して十年、ようやく出かせぎ立法というものが日の目を見る時期が迫ってきたと思うが、しかしこの事故には間に合わない。  そこで、労働省に約束してもらいたいが、総評の一時金が千二百万、これはありったけもらって二百五十万から三百万。そこで、この一時金の上乗せに、われわれも要求しておくが、労働省も買って出て協力願えるかな、どうです。
  44. 藤繩正勝

    藤繩政府委員 いま一時金のお話が主として出ておりますが、先生十分御承知のように、死亡災害に対する給付の場合は、主として年金のたてまえでございます。年金でございますと、今回の場合で概算して百万前後の年々の給付になろうと思いますけれども、遺族がずっといらっしゃる限りは毎年それが給付されるわけでございますから、その給付年数を掛け算いたしますと、かなり手厚い給付になるわけでございます。  ただ問題は、遺族関係によりましては、御指摘のように、一部一時金で支給する。その場合に、金額が他のたとえば自賠等に比べて低いじゃないかということがいつも指摘されるわけでございまして、その辺につきましても、私どもは今後いろいろ工夫をこらしていきたいと思いますけれども、企業が行われます、いまおっしゃいました上乗せの分なんかにつきましても、できるだけ被害者の処遇を厚くするという意味で、私どももできるだけ行政指導いたしたいというふうに思います。
  45. 川俣健二郎

    川俣委員 それからもう一つ労働省に、この業者の元請、富士工、ゴルフ場屋さん、これは出かせぎの不払い問題も起こしておる。これは労働省の特別雇用対策課長が来ておるようだから、この不払い問題にもわれわれは苦慮しておるのだが、この問題解決にも協力願えるかな。
  46. 藤繩正勝

    藤繩政府委員 一般的には、賃金不払いの問題は、この不況の深刻化に関連いたしまして非常に重大な問題になっておりまして、労働四団体等からもいろいろ要求が出ておるということでございます。それで、労働省といたしましてもこういった問題についても次の通常国会に何らかの措置を織り込んだ法案を出したいということで、いま鋭意検討いたしておりますが、いま御指摘の具体的な富士工の不払いにつきましては、私どもも実は承知をいたしておりませんでしたが、そういう事件があれば――かねがねこの建設業につきましては賃金不払いが多うございます。当然のことながら、労働者を働かしておいて賃金を支払わないということは大変不当なことでございますから、私どもは労働基準監督機関をして十分その原因をたださせ、支給をさせたい、必要な措置をとりたいというふうに思います。
  47. 川俣健二郎

    川俣委員 時間がありませんから……。  それから、対策一つの問題は、先ほどもこちらの方から発言があったが、事故が起きる前の対策、いわゆる労働災害防止する監督官の問題です。行政管理庁が来ていると思うのですが、大臣、監督官というのはいま全国で三千人足らずなんです。東京都の監督官が工場を見る場合に、いまの監督官の数で見ると十年かかるというんです、三千人しかいないから。そこで、このゴルフ場造成工事現場に、もちろん消防団も行ったろうし、警察も行った。監督官もすぐに基準局長以下走っていった。ところが、基準局長以下ありったけ走ったって四人か五人なんだ。警察は何人来たと言ったら、四十何人来たと言う。警察はヘリコプターで見た、うらやましいと思った、こう言う。警察は四、五十人来てヘリコプターで調査した、労働災害の監督官は四、五人で下の方でテクテク見た、うらやましいと思った。これは政治上の問題じゃないかと思う。  そこで、きょう来ている行管は査定者だと思うのだが、一体この監督官というのは、これはわれわれ社労でかなり長年やって来たのだけれども、どうするつもりなんだ。毎年ふやすふやすと言っていながら、自然減耗をやっと補っている程度なんだ。ことしも百二十人試験を終わったばかりだ。これは社労でやるべきなんだけれども、ついでだから聞きたいのだけれども、どう思います。
  48. 山本貞雄

    ○山本説明員 行政管理庁といたしましては、従来から労働安全衛生問題については特に重視する姿勢をとってまいったわけでございます。したがいまして、労働基準監督官の定員につきましては、削減面につきまして特に手厚い措置を加えますとともに、増員につきましても前向きで配慮をいたしてきたわけでございます。したがいまして、労働省の基準監督官全体の定員といたしましては、毎年増員を行っておる次第でございます。  また、これに関連いたしまして、安全衛生を専門的に指導いたします安全衛生専門官の増員措置も行ってきたわけでございます。これらの措置に加えまして、安全監督につきましては重点化と効率化によりまして監督指導の効果を十分上げていただくことを期待しておる次第でございます。
  49. 川俣健二郎

    川俣委員 それはあなたを追及したってどうにもならないと思うのだが、大臣、さように監督官の増員というのは非常な至上命令のような気がします。四十人と四人では余りにも数が違っている。そこで、さっき大臣ゴルフ場の窓口一本化と行政規制、それから労働省も出かせぎ立法化等々、対策が浮き彫りに出てきましたけれども、ぜひひとつ再度、最後に大臣の方にお願いしたいのは、国土利用計画法を取り扱っておるだけに、やはり土地を非常に広く要するから、ワンホール単位で言ったってあれだけの――大体十八ホール、これも十八ホールなんだけれども。したがって、国土利用計画法から見ても、大臣にぜひこのゴルフ場の問題を閣議で大きく取り上げて、規制その他窓口一本化をやってもらいたいと思うのだが、最後に大臣の方の発言を求めたいと思います。
  50. 金丸信

    金丸国務大臣 川俣先生のお話を承っておりまして、土地利用計画という問題はわが方の担当でありますし、また均衡のある土地の利用もしなければならぬ、みだりにゴルフ場ばかりたくさんできるということについても考えてみなくちゃならぬ問題点もあるだろうし、またこのような災害が起きるということを考えてみれば、本当にきめ細やかなあり方を考えなくちゃならぬ、こう私は思いまして、ただいまのお考えを閣議等に諮り、この窓口を一本にできるような方向に努力いたしたいと考えております。
  51. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、兒玉末男君。
  52. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この際私は、地震に関係しまして、国土庁並びに科学技術庁、気象庁の皆さん方にお伺いしたいと存じます。  第一点は、地震の予知に関してでございますけれども、たまたま中国の地震学界の各層が来日されまして、きのうまでいろいろな見解の表明や意見の交換もあったように聞いておりますが、第一点、気象庁と科学技術庁にお伺いしたいことは、先般来大変問題となっておりました川崎地区の地震の問題が大変新聞をにぎわしていたわけですが、その後余り新聞等の報道でも出ていないわけでございますけれども、その後どういうふうな調査なり、あるいは中間的な経過というものが報告されているのか、この点について御見解を承りたいと存じます。
  53. 渡辺重幸

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  昨年の暮れ、十二月の二十六日でしたか、地震予知連絡会の方から、川崎地域について異常な隆起現象があるので、この地域については観測を強化しなければならない、このような見解が表明されました。私ども科学技術庁では、昨年の十一月に、関係各省から成ります地震予知研究推進連絡会議というものを持ちまして関係各省と連絡協議してまいっておるわけですが、直ちにこの連絡会議で、この川崎についてどのように取り組むべきかということを協議いたしまして、翌二十七日には本会議を開いて、関係省庁それぞれ分担しておりますけれども、集中して川崎地区の観測に当たろうということに決まりまして、各機関とも直ちに対応したわけですが、さらに年を越えまして、一月には、科学技術庁は特別研究促進調整費というものを持っておりますが、このお金を支出しまして、水平方向のひずみとかあるいは地震観測の費用に充当いたしました。また、四月になりましてさらに上下方向のひずみの測定並びに深井戸による地震観測、この費用も特別研究促進調整費から支出いたしました。また、関係各省では、五十年度の予算に川崎地区の観測の強化についての費用を充当いたしまして観測の強化をやってまいった次第でございます。
  54. 末広重二

    ○末広説明員 ただいま科学技術庁の方から御説明いたしました観測の結果、現在われわれがどう考えているかということを御説明申し上げます。  いま申し上げましたとおり、そもそも発端になりましたのは川崎地区の異常な隆起活動でありますが、あの辺は浅いところに地震活動のない場所でありまして、その辺から果たしてその後の調査でどうなっているかということを突きとめたわけであります。結果といたしましては、やはり川崎地区の浅いところには依然として地震は起こっておらない、また水平ひずみも危険と思われるほどは蓄積されていないということ等が特別観測からわかってきたわけでございます。したがいまして、現在われわれは、ちょうど一年前に心配したような現象が地震に結びつくという公算はだんだん薄れてきたという見解を持っております。  しかしながら、将来日本できめ細かい地震予知をいたしますためには、ああいった工業地帯で人工的に地面の表面が非常に汚染されておりますところでも、正しい地下からの情報をより分けなければならないわけでございます。今度の川崎地区での特別観測は、その非常に大切な実験と申しますか情報を与えてくれますので、まだ完全に地震の公算が薄れ去ったという時点までは立ち至っておりませんこともありまして、今後とも観測は続行するつもりでおります。
  55. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そこで、地震課長にお伺いしたいわけでございますけれども、これは国土地理院の発行している「地震とその予知」という資料によりますと、大体関東大震災のときのマグニチュードが約七・九、これに類するようないわゆる八以上の震度の地震というのが、一八九〇年からの統計でも、大体十年ごとに周年的に強度の地震が日本列島のどこかで発生しているわけです。残念ながら私たちいろいろな参考文献なり資料によりましても、この地震について事前に地域の住民が避難をするとかあるいはそういうふうな対策を講じたという記録がないわけであります。にもかかわらず、きのう課長も中国との会談に出られたと思うのですが、中国は本年二月、遼寧省の海城に発生した地震において、少なくとも二時間前に避難命令を出して大変な予知の効果を上げた、こういうことが報道され、恐らくきのう、おとといのこの会議でもそういうことについてはいろいろな検討がなされたと思うのですが、今後の予知対策ということについて、現在では三つの機関、国土地理院あるいは気象庁あるいは地震研究所、大体こういうような複合した形で、まずそれぞれのデータを持ち寄って対策検討されておりますけれども、やはり私は、機構と組織の面は後で国土庁長官にも聞きますけれども、そういうような対策、機構というものをもう少し強化すること、あるいは現在、三・二でございますか、それ以下の研究というのは気象庁でやっておらないというふうなことも言われておるわけですが、こういうような予知について、今後どういうふうにしたらば事前にこういう対策が十分に対応できるかということについて、地震課長見解を承りたいと思います。
  56. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  われわれのただいま行っております地震予知技術開発の方法は、まず相当大きな地震、たとえばこれは新潟地震あるいはそれを上回るような関東大地震、こういったクラスの地震の危険性の迫っている場所を何とかまず見つけたい。これは長期予知と申しておりますが、これをまず達成した上で、今度はその地域に集中的な観測を行って、できれば時間的にももっと限った予知をするように技術を開発していきたい、こう思っておりまして、その線に沿って各種観測を整備強化しているわけでございます。こういった方法が正しい方法であるとわれわれいままで思ってきたわけでありますが、今回、ただいま御指摘になりました中国側での研究、それから海城地震に対する予知の成功、こういった例を聞きましても、やはりわれわれと同じ方法をとっておるようでありまして、今後はこの方法をますます強化する方向で、なるべく近い将来に地震予知ということが自然災害から国民を守る防災に役立つようにしていきたいと存じます。  ただ、この地震予知の技術開発は、建物を建てたりあるいは橋をかけたりする場合の突貫作業に類するような作業が残念ながらできません。一つ一つ起こる自然地震を踏まえてわれわれの技術を開発していくわけでございまして、その点多少時間のかかるということはどうしても免れないところでございますので、どうかその間、長い目で諸先生初め皆さまの御鞭撻を得たいと存じております。
  57. 兒玉末男

    ○兒玉委員 重ねて気象庁にお伺いするわけですけれども、私たちが聞いているところでは、先ほども申し上げたわけですが、現在の気象庁の地震課の構成メンバーは六十七名と聞いております。それから、全国のネットワークでも三・八以上しか測定をしていない。ですから私は、この資料で見ますと、少なくとも過去三百年から四百年前までに発生したところの地震の強度とか、そういうふうなデータが大体そろっておるのですね、そういう点からするならば、やはりもう少しこの組織の強化ということと、それから震度の測定、こういうことについて、たとえ微小地震であっても測定をできるような機構に拡大強化すべきじゃないのか。こういう点、私は中国の例を見ましても十数万という人を動員し、しかもいろいろな記録現象やら自然現象等含めて大衆のいわゆる知識というものの普及、それから国家機構の強化、こういう点でわずか十年足らずでこういうふうな遼寧省の予知に成功したこの貴重な経験というものは、特に地震国日本としてはもう少し真剣に学ぶべきじゃないのか。  同時にまた、この際科学技術庁にもお伺いするわけですが、そういうふうな各省庁のなわ張り的な機関でなくして、強力な機構の一本化という点をこの際私は再検討すべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、機構強化の問題はこの際ひとつ国土庁長官にもその見解を承りたいと存じますが、まず気象庁と科学技術庁に、そういうふうな基本的な点について見解をお伺いいたします。
  58. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘になりましたように、いろいろな面でわれわれの地震予知技術開発を今後強化していかなければならないわけでございますが、たまたまおっしゃいました、より小さい地震まで気象庁でしっかり監視をするという点につきましては、その方向で現在も予算要求その他努力中でありますし、また大学等でいま研究レベルで行っております観測も、これは業務的にやるべきである、その方が地震予知技術開発に役立つという判定が下りますれば、気象庁としてそういった方面にも観測を広げていく方針でおります。
  59. 渡辺重幸

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  現在、地震予知に関係します研究を担当しております省庁は科学技術庁、それから関係の各大学、それの付置研究所、それから緯度観測所、それから通産省では地質調査所、運輸省では海上保安庁と気象庁、それから建設省国土地理院、この五省庁にまたがっております。それぞれ担当する分野が違っておりまして、地震予知というのは総合的な技術というふうに言われておりますが、地震の活動だとかあるいは地殻の変動だとか、それから地質の構造あるいは海中における地形、地質の構造、それぞれ非常に専門的な分野の知恵を総合しているわけでございます。したがいまして、文部省に設置されております測地学審議会におきましては、地震火山部会、さらにその下に地震予知に関する特別委員会というものを設けておりまして、ここで地震予知研究のあり方を常に議論してきておられるわけです。  それで、この地震予知の計画は、関係各省一体となってやるようにということで昭和三十九年に第一回の建議が出されまして、昭和四十年から関係各省がそれぞれ協力し合って研究を推し進めてまいりました。現在、第三次の測地学審議会の建議を実施中でございますが、ことしの七月にもこれの一部見直しという作業が行われまして、測地学審議会の方から関係大臣に再び建議がなされました。したがいまして、私どもとしましては、この建議の線にのっとりまして早くこの研究が実用化されるように大いに推進してまいりたい。そのために関係各省が協力し、また連絡調整を随時やるために地震予知研究推進連絡会議というものも設けておりますので、こういう場を通じてさらに一層研究を推進してまいりたい。この研究がさらに進みまして実用化の域に近づく時点では、先生がおっしゃいましたようなさらに強力な組織あるいは一元化というようなものも十分考えてまいらなければならない、このように考えております。
  60. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま科学技術庁から御説明があったわけでありますが、これはひとり大臣という立場でなくて政治家として、なかなかこういうものが一本になれないという各省庁のいわばセクト主義というか、そういうものもあることは兒玉先生もおわかりだと私は思うのです。しかし、そういうものを乗り越えて一本にしていくという方がより効果的であるということならば、当然それはやるべきだと私は思います。しかし、地震予知研究推進連絡会議というものがあって各省庁が非常に協力的にただいまやっておりますし、またこの担当は科学技術庁を中心にしてやろうじゃないかというような考え方があるわけであります。まあ理想としては一本にして、同じところであらゆる研究をし、あるいは連絡がすべてつけられることを考えることが、そして命令は一本の系統で行けるということの方がより効果的であるということはだれが考えても常識的に考えられることでございます。地震、雷、火事、おやじといって地震が一番恐ろしい災害だろうと私は思うので、そういう意味で、また国民の願いもそこにある、こう思うので、今後も十分検討してまいりたい、こう考えております。
  61. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間の関係で、あと一問だけ国土庁長官にお伺いします。  本年の五号、六号台風による災害で、私も災害調査委員としまして四国の三県と東北三県を見てまいったわけでございますが、やはり自然災害に対応するために、たとえば急傾斜地あるいはがけ崩れまたは集中豪雨等による沢崩れのところで貴重な国民の生命、財産が奪われているわけでございますから、国土庁としてはこういう予想されるところの災害地域あるいは全く不意に来るところの集中豪雨等によるこういう強大な沢崩れ災害、または国道等に面する急傾斜地あるいは国鉄沿線については、今後の災害防止のためには事前に土質の検査または状況の判断調査等を行って万全の体制を講じておく心要があるじゃないか。こういうような総合的な立場から国土保全、災害対策について国土庁としては今後どういうふうな対策を講じていかれようとするのか。特に今回の五号、六号の災害にかんがみまして十分な検討対策が強く要望されているわけでございますが、特に長官としての御見解を承りたいと存じます。
  62. 金丸信

    金丸国務大臣 ことしの災害は例年にないひどい災害であったことは申すまでもないわけであります。そういう意味で、危険地域については昭和四十七年に総点検をいたしたわけでございまして、建設省及び農林省が重点的に対策を講じてきているところであります。しかし、ただ危険個所が非常に多いから手が届かないということでは、これはいかにしてもこの危険を防止することはできないわけであります。これは予算の面からもまた指導の面からも強く推進しながらやってまいりたい。そこで国土庁は、なお一層の調査をするために、国土庁の持っております調整費を六千万ですか六千五百万ですか今回出しまして、この調査の全きを期したい。お説のとおりだと私も考えております。
  63. 金丸徳重

  64. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 最初に、気象庁が進めております業務整理問題に関連しての質問でありますが、根本的に言いますと、災害対策基本法の第四十七条でも指定行政機関の防災組織を整備しなければならぬ、そして絶えず改善するように努めなければならぬ、そういうことが決められているわけで、当然気象庁の業務整理もこれに沿って防災機能の一層の向上という点から実施されるべきでありますし、機能を低下させるということがあってはならない、これは当然なことで気象庁としてもそのように考えておられると思いますが、ことしになって日曜、それから休日の沿岸観測を欠測するという測候所が出てきているということを聞いているわけです。  まず、こういう測候所はどこかということ、それから沿岸観測を欠測するようになった理由はどこにあるかということをお伺いします。
  65. 土井謙二

    ○土井説明員 お答えいたします。  沿岸観測につきましては、私どもの聞いておりますところでは、東京管区気象台内にございます輪島測候所、相川測候所、それから八丈島測候所についてそういうような話を聞いております。  元来、沿岸観測と申しますのは、種類から申しますと海面水温、塩分、沿岸波浪、それから海氷、この四種類について観測をしております。その目的は、たとえば水温につきましては、観測船の資料とあわせ用いまして、海況、主に海の水温でございますが、海況の調査、あるいは海況予報というものに使うということでございます。それから、沿岸波浪につきましては……
  66. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が余りないので説明はいいですから、欠測するようになった理由だけ簡単に答えてください。
  67. 土井謙二

    ○土井説明員 理由と申しますのは、ただいま御説明を途中ではしょりましたけれども、この観測の目的そのものが、何と申しますか、そういうデータの平均値を取り扱う、そういうものを用いましていろいろな調査とかいうものの基礎資料にしようということが目的でございます。それともう一つは、海のデータと申しますのは陸の気象データと違いまして、変化の速度も変化の幅もかなり小そうございます。そういうことである程度の欠測というものがありましても、全体的な利用目的から申しますとそう重大な支障はないというようなことが従来の観測結果から確認されております。  そういうこともございまして、一方ではこの仕事はすでに三十年以上前から同じようなペースで行われてきているという事情もございますし、その利用目的あるいはその現状というものを考えまして、できるところは仕事のやり方を効率化を図ることも必要であろうというふうに考えた、そういうことでございます。
  68. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの説明ではちょっと納得できないのですが、そうすると、欠測してもよろしいという考え方であれば、結局いままでむだな観測をやっていたということになってくるわけです一ね。気象庁が出しております観測の統計指針によりますと、欠測日数が二〇%を超えると統計はとれない、こういうことになっております。ことしを見てみましても、日曜、休日に欠測しますと統計をとれない旬が七回、それから月が一月、十一月、十二月の三回、これだけありますと年の統計もとれなくなってしまうわけです。ということは、こういう指針に基づく沿岸観測の統計はとらなくてもよいというような考えに立っておられるのか。それとも自分たちで決めた統計の指針を守れない、そういう統計でやろうとするのか、御意見をお伺いします。
  69. 土井謙二

    ○土井説明員 お答えいたします。  沿岸観測の統計につきましては、現在まだはっきりした統計要領というものがございません。たとえば地上気象観測につきましてはそういうものがございますけれども、海洋観測につきましては現在ございません。  なお、波浪につきましては統計ということをいたしておりませんし、水温につきましては、主に十日間の平均とか月の平均、そういうものを算出しておりますけれども、いままでの観測結果から考えまして、大体全体の六〇%のデータがあれば平均値の算出には差し支えないというような結論を得ております。したがいまして、私どもとしましても近いうちに海洋観測についての報告、統計要領というようなものを制定するつもりでおります。
  70. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いままでの統計では、地上観測の統計指針で実際上海洋観測の方も統計を出して、それから必要なところにその統計資料をずっと送付されていたというのが現実であるわけです。結局、欠測する日がふえるということは、統計が非常に正確さを欠くものに、粗い統計になってしまう、こういうことにつながっていくと思うわけです。ですから、気象庁とすればいままでよりも悪い、粗い統計になるし、それからいままで守ってきた地上観測の統計指針に準じてやっていたやつもやめてしまう、こういうことになっていくと思うのです。   〔委員長退席、兒玉委員長代理着席〕  この問題はまた後でやりますが、日曜や休日に欠測するわけですけれども、この日に地元の漁協やあるいは官公署から沿岸観測のデータについて問い合わせがあった場合、その日は何と言って答えるわけですか。いままでもそういうところからいつも沿岸観測についての問い合わせがあったわけで、これからもずっとあると思うのです。そういう場合にどう答えるわけですか。
  71. 土井謙二

    ○土井説明員 お答えいたします。  部外からどういう目的でそういうデータを照会されるか、ケース・バイ・ケースで違うと思いますけれども、たとえば水温につきましては、先ほど申し上げましたように、その時刻の値でなければどうしてもだめだという場合を除きましては、たとえたまたまその日に欠測がありましても実際の利用上は差し支えないというように考えております。そういう点で、ある程度部外の人と話し合いをすれば余り問題にはならないと思っております。  それから、沿岸波浪につきましては、これは現在沿岸観測として実施しております波浪観測と申しますのは、毎日十時一回の観測でございます。たとえば部外からの照会が、海上の波浪状況あるいは予報というようなことでございますと、この程度の観測ではほとんどと言っていいくらい役に立たないわけでございます。実際には波浪の状況を、理想的に申しますと、常時監視する必要がございます。現在こういう海上の予警報につきましては、地方気象台が実施しておりますけれども、そういうところである程度天気図のパターンとか、そういうものを参考にいたしまして海上の状況というものを把握しているわけでございますので、そういうことを考えまして、それは正確ではございませんけれども、大体の海上の状況というものは情報として提供することができるというふうに考えております。
  72. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、結局当日測定していなければ、きょうは欠測していますというように答える。そして一般的には、去年の例などはこうだった、こう答える以外にはない、こういうことになってしまうと思うのです。それではいままでよりずっと悪くなる結果になるわけですね。東京管区気象台長から輪島の測候所長にあてた指導文書になるのでしょうが、これを見ますと、漁船や船舶からの照会に対しては、「貴所でもっているデータ(推定も含む)の範囲で答えればよい」、こういうことになっているわけです。ところが、これはまさに漁民の安全がかかっている。こういうところに、推定でよいとか、欠測して正確な情報にならないとか、こういうことでは、これは大変なことになる、こう思うのです。そういうことから考えてみまして、そういう欠測をするということは、防災業務機能の低下を招いているんではないか、ここのところをはっきり答えていただきたいと思います。
  73. 土井謙二

    ○土井説明員 お答えいたします。  現在、海上観測につきましては、気象官署がたまたま海が見える個所にございますと、常時監視という点が非常にうまくいくわけでございますけれども、海が見えないところでございますと、わざわざ海岸まで出かけていって観測しなければならない。したがいまして、現在では十時一回という非常に不十分な観測で甘んじているわけでございます。ですから、本当の意味で防災に役立つようなことをするためには、海の見えない測候所におきましても、常時波浪の状況がキャッチできるような施設を設ける必要がございます。それがございませんと、仮に十時一回の観測がございましても余り十分なお役には立たないのではないか、そういうふうに考えております。
  74. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 十時一回で不十分だ、その不十分である十時一回をしかも休日、日曜日やめてしまう、もっとこれは不十分になってしまうわけですね。まさにこれはただでさえ不十分なものがもっと悪くなる、機能の低下だ、こう見なければならぬと思うのです。いま言いました文書の中で、部外者に対する欠測理由の説明をどうするかという問題ですが、これは業務の一部が変更されたためだ、こう言いなさい、それで納得しない人に対しては、これによってデータ利用に不都合をもたらすような統計上の影響はないと考える、こう説明しなさい、こういうことを言っているわけです。いままでやってきた統計指針、これは地上観測の準用でやってきていたわけですけれども、その点から見ても重大な影響が生じておりますし、しかも外部にはこれが影響はないと答えなさい、こういうことを言って、実際は人員削減によって防災機能が低下しているその事実を外部には隠す、そういう態度があらわれていると思うのです。気象庁というのは災害対策基本法の指定行政機関の中でも防災上最も重要な立場にあるわけですし、そういうところでこういう部外者をごまかすような指導文書を出している、こういうことはやめなくちゃいけないと思うのですが、どう考えますか。
  75. 毛利圭太郎

    ○毛利政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘になりました海上につきましての防災という点で問題があるのではないかというお話でございます。ただいま海洋気象部長の方から申し上げましたように、海上観測につきましてはすでに約三十年近いデータの集積がございまして、こういう資料を使いましてわれわれとしてはかなりの程度基礎的な資料もつかんだというふうに理解している状況でございます。なお、近年気象庁におきまして気象業務法に定められております趣旨に沿いましていろいろの施設の充実が図られてまいりました。石川県につきまして、金沢の地方気象台におきまして海上の予報というものも自立して行えるようになってきている現状でございます。なお、海上のデータと申しますと、さらに金沢気象台では三カ所から波浪、うねりのデータが入りますし、舳倉島の灯台からも一日八回の観測資料が入る。それからさらに、気象庁におきましてはレーダーの常時監視でございますとかあるいはいろいろの資料の充実がございまして、海上につきましても十分いままでどおりの資料の提供ができるというふうにわれわれは考えまして、業務の一部の変更を行ったものでございます。
  76. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 実際は新しい観測機器をどれだけいままでより採用しているか、ここにやはりまだ大きな疑問があるわけです。結局いままでやっていたことをやめざるを得ない、こういうことが問題であるわけです。   〔兒玉委員長代理退席、委員長着席〕 欠測の理由というのは、結局は地上の観測、二十四回観測を今度八回観測にして人員を削減する、そこから人手不足が生じて、結局は沿岸観測の方も日曜、休日はやれない、こういうことになっているわけです。いろいろ私も聞いてみたのですが、そういうところに人を一人手当てすれば、日曜、休日の欠測は出さずに済むということです。沿岸観測だけではなくて、ほかの観測業務もいままでよりもより円滑に進むようになる、こう見られます。そういう意味で、欠測をするようなところに、欠測をなくするためにも人を手当てする、そういうことが必要だと思うのですけれども、その点についてはどう考えていますか。
  77. 毛利圭太郎

    ○毛利政府委員 お答え申し上げます。  気象庁におきましてはいろいろ技術の進歩、施設の充実を図りまして、新しくふえます部分につきましては充実を図り、人員の適正な配置も考えまして、充実すべきところは充実し、またこの新しい技術段階におきまして、いままでどおりでなくてもできるような効率化の図れます部分につきましては、十分慎重に検討いたしまして、外部に対しますいろいろのサービスその他も落ちないように努力しながら技術の進歩を図りたい、乙ういうふうに思っております。そういうふうな段階で慎重に検討いたしまして、沿岸波浪観測、海上に対するサービスにつきましても、地方気象台を充実する、施設の充実を図るなどによりまして実行しておりますし、今後もこういう方向で進みたいと存じます。
  78. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そう言われますけれども、現実に欠測が出て、いままでよりもこの統計においては粗いものになってしまう、ここが問題であるわけです。来年度の気象庁の人員削減計画が今月になると決められるという話ですが、結局二十四回観測をやっている全測候所を八回観測にする、各測候所で二名ずつ削減する、こういうことになっていると聞いています。そうしますと、先ほど言われました輪島や相川、こういうところと同じように、結局すべての測候所において欠測が出てくる、こういうことになるわけです。  この点について行政管理庁に伺いますけれども、気象庁の人員削減がもう国民の安全を脅かすというような状況になっているわけですが、それでもやはり六十五名という削減を実施しなければならないのかどうか、行政管理庁の見解をお伺いします。
  79. 竹村晟

    ○竹村説明員 定員の削減の問題でありますが、これにつきましては、御承知のように、第一次、第二次といままで実行されまして、現在第三次の削減計画を実施中であります。この考え方は、定数の適正配置、それとともに総定員の増加を抑制する、こういう考えで行われているわけであります。したがいまして、行政需要の変動に伴いまして必要なところには定数の配置が行われますし、また一面では効率的な行政を遂行していく体制をつくるということが必要でありまして、こういう観点で行うわけであります。  気象庁の削減につきましては、この第三次の削減計画によりますと、運輸省全体といたしまして千五十九人というふうに決まっております。これを気象庁の中でどのように削減するかということは、運輸省の責任におきまして、実情に即した措置がとられているというふうに考えております。
  80. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 欠測せざるを得ないというような、それから二十四回を八回にせざるを得ないというような、結局機能低下をもたらすような人員削減というのはやっちゃいかぬ、こういうことを強調したいと思います。  それから、二十四回を八回にすることについて、航空安全会議から気象庁に対して、航空機の安全運航上支障を来すからやめるようにという要請書が来ているということです。この点につきましては、各方面から八回観測にすることについての反対の意見が出ていますし、特に飛行機というような問題を考えてみた場合に、国民の安全を犠牲にする、こういうことにつながってくると思うのですけれども、それでも観測回数を減らして削減を強行しなければならないのか。この削減計画をもう一度見直さなければならぬ、こう思うのですけれども、気象庁の考えをお伺いします。
  81. 毛利圭太郎

    ○毛利政府委員 先生おっしゃいましたように、航空安全推進連絡会議からこれにつきまして要望書が来ております。  なお、この航空気象の関連につきましては、われわれといたしましてその観測の利用状況、その影響その他を十分に勘案いたしながら、また御意見をいろいろお伺いしながら、現在検討を進めている段階でございます。
  82. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは、以上の点強く要望しておきます。  それから、先ほどから話が出ていました市原のゴルフ場関連してですが、ちょっと時間がなくなってきましたので、簡単にやります。  一つは、このゴルフ場の山崩れによって死亡事故、傷害事故発生した、こういうことになるわけですけれども災害弔慰金法の適用の可能性といいますか適用条件について、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。
  83. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  災害弔慰金に関します法律につきましては、柴田先生非常にお詳しいわけでございますので、簡単に御答弁させていただきたいと思いますが、自然災害であるというのが法二条で規定されておりまして、これが絶対の条件になっているわけでございます。それから政令で、五世帯以上の住居の滅失があって、その災害の規模が災害救助法の発動される程度という一つの歯どめがかけられておりまして、これに準ずるものの取り扱いとして、いまお尋ねの千葉の市原市のゴルフ場の山崩れの問題になるわけでございますが、この山崩れが自然災害であるものか人為災害であるものか、ここが争点になろうかと思います。この点につきましては、ただいま私ども、県当局並びに市原市が十分その点の原因究明をされて、向こうの調査報告を待って、その結果によって対処してまいりたい、このように考えております。
  84. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これは労災保険の関係もありますし、それから会社の責任という問題もありますが、ああいう状況ですから、これは人為的な原因と自然的な原因と複合する関係になると思うのです。そういう場合はどういう扱いをするわけですか。
  85. 水田努

    ○水田説明員 これは先生法律の立法系統を十分御存じでございますので、釈迦に説法になるので大変恐縮でございますが、私どもは自然災害に起因したものに限定さるべきだ、このように考えております。
  86. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いままでの過去の例を見てみましても、たとえば岩木山の事故、これはスキー場を上につくって、その土砂の関係災害につながってきている。人為的なものと自然的なもの、こういうものが複合して発生している、こう見られるわけです。そういう面から、この市原市の事故、これは原因の究明はまだどこも断定はできておりませんけれども、そういうことも考えてやっていただきたい。人為的なものが入っているから、それによって排除だということにならぬように要望しておきます。  それから、ゴルフ場全般の問題ですけれども、特に千葉県ではゴルフ場が、先ほど話がありましたように、オープンされているのが四十七、申請中のものが七十四、造成中が二十、特に市原市に最近は集中して、市原市全体の三分の一ぐらいがゴルフ場になってしまう、こういうふうに言われているわけで、特にこの場所のゴルフ場というのは夷隅川それから養老川、この上流部に当たって、そこのところを開発するということになると、これはもう前から言われているのですけれども、養老川、夷隅川、こういうところは大水害があったところで、しかもそれが上流の開発によってそういう災害につながっていくということから、ゴルフ場の規制についてやはり根本的に考えなければならない問題があると思うわけです。これは先ほど金丸国土庁長官も言っておられましたが、そういう面から根本的に考えなければならぬ問題ですが、現在の状況、林野庁の方にまず森林法ではゴルフ場の規制はどういう規制になるのか、それからこれは建設省の方ですが、都市計画法では都市計画区域外についてはこの規制が及ばないと思われますが、都市計画をする上においても、そういう川でつながってくる、それが下流の方に災害をもたらすような問題があるということを考えてみた場合に、建設省の方としては、この都市計画法を検討してそういう面についてのゴルフ場の規制というようなことを考えられる余地があるかないか、お伺いしたいと思います。
  87. 野辺忠光

    ○野辺説明員 森林法の関係を御説明申し上げます。  森林法におきましては、一般の民有林におきまして一ヘクタール以上の開発をいたそうとする場合には、あらかじめ都道府県知事の許可を要することといたしております。この許可に当たりましては、都道府県知事は、申請をされました案件につきまして現地を十分調査いたしまして、土砂の流出であるとかあるいは崩壊であるとかいった災害防止の面、あるいは周辺地域の水の確保に問題がないかどうか、さらには周囲の環境に著しい影響を及ぼさないかどうかといったことをチェックいたしまして、それを確認いたしました上で、著しい影響を及ぼすことがないと認める場合には許可をしなければならない、そういうことになっております。
  88. 川合宏之

    ○川合説明員 先生指摘のとおり、都市計画法に基づくゴルフ場の開発許可は都市計画区域に限られておりますので、これは本件のようなゴルフ場造成には及びません。ただ、一般的な制度といたしまして、都市計画法と別に、これも先生承知と思いますが、宅地造成工事規制区域あるいは地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域というような制度がありまして、これらはいずれもゴルフ場であると否とを問わず、一定以上の切り土盛り土を一般的には禁止し、これを許可制に係らしめておりますので、必要に応じまして、これらの現行の制度を活用いたしまして災害防止に努めたいと存じます。
  89. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局、森林法を見てみましても、たてまえは許可しなければならぬ、それから都市計画法そのほかの法律を見てみても、これの十分な規制というまでには至らないということから考えてみました場合に、全般的にそれらの制度もあわせながら検討を加えるということが特にいまは必要な時代だ、こう思いますので、この点はまた次の機会にしたいと思います。  終わります。
  90. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、中川利三郎君。
  91. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまの質問にもありました市原のゴルフ場の土砂崩れの問題でありますが、十二月二日の新聞によりますと、千葉大研究室の資料ではこの地域は最危険地帯だったということで、かねがね警告をしておったという事実が記載されているわけであります。  簡単ですから読みますと、「先月二十九日、八人もの死者を出した千葉県市原市月出の「加茂ゴルフ倶楽部」のゴルフ場造成での土砂崩れ事故は、工事方法などをめぐり人災の疑いが強まっているが、千葉大理学部応用地学研究室では、この地区一帯が五百メートル四方当たり百か所以上のがけ崩れが集中するという“最危険地帯”であると指摘、千葉県に市原地区の災害予測地質調査を行うよう要請していたことがわかった。」こういうふうにあるわけでありますが、建設省あるいは国土庁はこの事実を知っておったかどうか、お聞きします。
  92. 川合宏之

    ○川合説明員 建設省といたしましては、ただいま先生指摘の学者の警告は事前には存じておりませんでしたが、本件の現地を県の担当者と一緒に建設省におきまして調査いたしましたところ、がけ崩れのありました土地はもともと古いがけ崩れの崩壊地であったようでありまして、それから崩れました土砂、約五百立方メートルほどになりますが、これもまだ十分に調査はいたしておりませんが、やや水を含みますともろい層であったように思われます。千葉県におきまして、早速、現在ゴルフ場造成をやっております業者を二日に県に呼びまして、とりあえず注意を与えたという状況です。
  93. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 いまの千葉大の先生から御指摘いただいた事項についてでございますが、私の立場では知らなかったということでございます。
  94. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり国土庁建設省も、知る立場であるかどうかは別にして、どっちも知らなかった。これは皆知らないということだと思うのです。しかし、実態としてはそのような指摘がありまして、その内容的なものとしても「同地区には国本(こくもと)層、柿の木台層、梅ケ瀬層の三層が走っているが、各層とも泥岩、れき岩、砂岩が交互に入り混じった構造。いずれも見かけは硬そうに見えるが、固結度が低く、すぐ粒状になりやすい地質で、表面をはぎ取ると中の水分が急激に発散、割れ目が出来やすいという。」そういう学術的な検討内容さえ出ているわけであります。したがって、こういう結論になるわけです。「同研究室では「今回の事故は起きて当然だ。設計や工法以前の問題で、もともと地盤が弱すぎるのにそうした実情を知りながら造成を認可したのは県の怠慢だ。」」こういう記事になっているわけでありますが、このことについてどう考えるか、建設省にお聞きしたいと思うのです。
  95. 川合宏之

    ○川合説明員 千葉県におきましては、内規といたしまして、ゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱を制定いたしておりまして、これによりまして、本年の二月三日付で千葉県知事から事前協議を了したことを通知いたしております。  千葉県を含めまして、一般に宅地造成災害に対しては、今後とも事前に十分な資料を収集することといたしまして、このような災害の再発を防止するため一層努力をいたしたいと存じます。
  96. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまの答弁でも答弁になっておらないのですね。つまりそういうことをかねがね県当局にも指摘しておってこういう事故が起こり、また先ほど森林法の改正の問題について林野庁からのいろいろなお話がありましたが、一ヘクタール以上、つまりその一ヘクタールを一つの単位として国土開発を規制していくんだ、乱開発を規制するんだ、こういう立場で法改正をしたという状態から見ますれば、当然この開発その他に当たりましては――全く何というか、県当局が、ここに新聞にもありますように「野放しゴルフ場工事 規制は着工まで」、なぜかと言えば「利用税に弱い自治体」、先ほどもお話ありましたが、利用税という税金が入ってくる、このことのためにせっかくの規制やそういうものがうやむやにされていってしまうというところに、肝心の問題があり、それを見逃してきた国あるいは県、こういうものの責任は免れないと思うわけであります。先ほど人災か自然災害かでの論議が若干ございましたが、そういう意味からしてもこういう指摘が事実あるし、だれもそれをつかんでおらなかったということは、明らかに政府当局も含めてやはり何か大きい責任を感じなければならないだろうと私は思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。これはやはり建設省かな、そういうことになるのですね。
  97. 川合宏之

    ○川合説明員 一般的に宅地造成技術的基準につきましては、いままで私どももそれから県の第一線もある程度の技術的な勉強はいたしておりましたが、今回のような事故を貴重な教訓といたしまして、今後とも一層努力いたしたいと存じます。
  98. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 きょうは何か私の担当は、建設省と労働省、あと国土庁のようでありますので、非常に質問がやりにくいわけでありますが、いまのようなお答えがありますけれども、実際は県は計画段階指導しただけなんですね、この現場の問題については。設計も施工も監督すらも、工事元の、つまり請負業者の自主管理になっておるんですね。あるいは労働基準監督署は何をしたかというと、飯場に出入りしただけで、工事現場には一回も顔を出しておらないのですね。こういうことが全部重なってこういう災害が起きた、こういうことになるだろうと私は思うわけです。  しかも、この地質の特徴については先ほど申し上げましたが、会社がこの事故が起こってから「今後の崩壊防止対策」というものを、これは「事故顛末書」というのをきのう会社から私は取り寄せたのですが、そこに書いてあるんです。これを見ますと、今後はこうするということで四つばかりその問題点を書いている。一つの例をとってみましても「掘削面は地質に見合った安全な勾配を設ける。砂地に対しては三十五度以下とし、又は高さ二メートル未満とする。普通の土質では、高さ二メートル以上五メートル未満の場合は七十五度以下、高さ五メートル以上の場合は六十度以下を確保する。」あるいは「安全な勾配が設けられないときは深さに応じて鋼製等による適切な土止支保工を設置する。」云々ということが書いてあるんですが、こんなことはあの現地の状況からいたしましても、また工事の常識からいたしましても、事故が起こったからやるのではなくて、当然やっておらなければならないものだ、労働安全衛生法からいいましてもそのように考えるわけでありますが、これについて労働省はどういう御見解を持っていますか。
  99. 野原石松

    ○野原説明員 ゴルフ場造成工事に限らず、建設業におきましては非常に多くの災害発生しておりますので、従来から監督指導の最重点業種として、一般監督の約半分をこれに投入して、特に元方事業場サイドにおける統括的な安全管理あるいは工事用設備の安全確保、こういったことを中心に強力な監督指導をやってきておるわけでございます。  今回のゴルフ場造成工事について申し上げますと、ああいった掘削面の高さが十メートルに及ぶような造成工事につきましては、十四日前に、こういうふうにして工事をやりますという工事計画を出していただくことになっておるわけですが、それが今回は出されていなかったということは大変に遺憾に思うわけであります。したがいまして、今後はこういった工事計画というものを事前に必ず出すようにということで十分な監督指導を行うとともに、その段階において工事計画過程における安全面からの審査を十分にやると同時に、工事開始後は最も適切な時期を選びまして、監督官あるいは安全専門官等によるきめの細かな監督指導を実施してまいりたい、こういうふうに考えております。
  100. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は今回の問題についても、政府の指導監督やらふだんのあり方についても責任は免れない、こう思うわけであります。いま労働省からそのようなお答えをいただきましたが、今回の工事につきまして、たとえば安全対策費が工事予算の中に積算基礎として算定されておったのかどうか。つまりそういう発注者が、予算のいろいろな制約がありますから、そういう点で非常に不備になるという一連のつながりもあるわけだろうと思うのですね。そういう点で、皆さん方がそこまで、労働省だとか――労働省が直接チェックするわけではないと思いますけれども建設省にいたしましても、そういう点の検討は当然あの事故の中でなされなければならない、そういうふうに思うわけでございます。もっとも直接的には県そのもののチェックになるわけでありますが、いろいろな不備が重なってこうなった。したがって、先ほどお話もありましたように、市原市におきましてだけでなしに、あの森林法が改正になりましてから、いろいろな林地開発許可申請の処理状況がいまの国土庁からも出されておりますけれども、これを見ましても、ゴルフ場の設置が一番多いのですね。森林法が改正になりましてからのいろいろなちょっとした資料があるわけでありますが、これを見ましても総面積八千六百五十ヘクタールのうち、その五五%に当たる四千七百六十二ヘクタールがゴルフ場の設置、こういうことになっておりまして、私は林野行政の監督指導並びにそのあり方について大きい疑問も感ずるものでありますけれども、きょうは林野そのものが質問の相手ではありませんので、非常に残念なことだと思うわけであります。  それにつけましても、私の方の出かせぎ農民が二人もこの中で命を失っているわけですね。一人は湯沢というところの高橋さんでございますが、この方は二十歳の息子さんがおりまして、並木宝石という誘致工場に勤めておるのです。その下は小学校五年の女の子と、寝たきりのお母さんがおりまして、この寝たきりのお母さんを見るために奥さんが働けない。たんぼはわずか二反歩しかないというのですね。だから、毎年出かせぎの中で一家の支えとして暮らしておった。もう一人の松岡さんという方は五十一歳で、これはもうたんぼが三反か四反しかなくて、子供がまだ小さい、十歳と八歳なんです。一家の柱としてがんばっているわけでありますけれども、この方々がなぜ出かせぎに行かなければならないか。いろいろな問題があるわけでありますが、時間の関係上私割愛いたしますけれども、こういう方のこのような悲惨な、出かせぎで死んだといいますけれども、実態的には殺された、こういう受けとめ方が私たちの地元の中で一般的に考えられているわけであります。特にいま死んでしまいましたので万全の補償をすべきであるということです。この点について先ほど何かいろいろありましたけれども、一般的な補償以外に、たとえば労災補償だとかそういうものがあるわけでありますが、とりわけ政府の側として会社側に一定の上積み措置をとらせるとか、そういう出かせぎ者の実態に見合うようなかっこうで指導することを考えているのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  101. 山口全

    ○山口説明員 今回の事故で死亡者八名、重軽傷者二名、十名の事故発生したわけでございますが、労災保険の関係は保険関係が成立しておりますし、明らかに業務上の災害と思われますので、早急に補償給付を行うように準備をしております。なお、関係者に対して請求の指導も行ったところでございます。ただいま先生指摘の二名の方につきましては、就労後間もないものでございますので、その平均賃金の算定その他慎重に検討を進めております。  なお、上積みの件につきましては、私ども承知している範囲では互助会から弔慰金を含めて三百五十万を上乗せするということを承知しておりますが、なお実態をよく掌握の上、適切に措置をしていきたいと考えております。
  102. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 時間もないですけれども、私もきのう会社を呼びまして、その互助会の上積みもありましょうけれども資本金十六億円で年商三百億円を超えている会社が親会社になっているわけでありますので、ひとつそれらの会社ができる限りこの留守家族というか遺家族といいますか、安心でき、仏も成仏できるようなかっこうで、ひとつ政府も強力に指導していただきたい、このことをお願いしたい思うのです。  最後でありますが 賃金の不払い、せっかく出かせぎに行きましても賃金の不払いがどんどん起こって、それが皆さんの統計あるいは秋田県の出かせぎ互助会の統計の中でも大変な数として出ておるわけであります。こういうことに対して皆さん方の対応は一体どうなっているのか。私のところへどんどんいろいろな問題が持ち込まれてくるということは、これは皆さん何か近く立法措置をやるとかなんとか言いますけれども、現実この中でもうどんどんそういう不払いの問題を何とかしてくれということが持ち込まれているということは、おたくの対応が非常に不十分じゃないかと思うのです。そこら付近を含めてひとつ賃金不払い問題に対する労働省の御見解を聞かせていただきたいと思います。
  103. 野原石松

    ○野原説明員 先生指摘のように、賃金は働く方々並びにその家族にとりまして唯一の生活の基盤だと存じます。したがいまして、労働省としては従来からこの賃金不払いの早期発見並びにその速やかな解決につきまして最大の努力を傾けてきておるわけでございますが、出かせぎ者の方々の多い建設業の場合には重層下請というようなこともありまして、労働条件が明確でない、そのことがこの賃金不払いの解決を妨げている事例が少なくございません。  そこで、私どもとしましては、まず雇い入れ通知書あるいは賃金支払い明細書あるいは就業規則等によりまして労働条件の明確化を図るということを推し進めると同時に、公共工事等につきましては発注の際に入札資格者の審査をするわけでありますが、その場合に、この賃金不払いについても十分に勘案をするといったようなこと、さらにはこの業者間に自主的な賃金支払い保障制度の設立が促進されるようにいろいろな行政指導をやってきておるわけであります。  今後もこれらの制度の改善、整備についてさらに努力をしてまいりたいと思いますが、いまお話がございましたように、最近の不況を反映いたしまして企業の倒産等が各地に発生しております。この企業倒産の場合には、事業者に支払い能力がなかったり、あるいは行方がわからなかったりいたしまして、現実にこの賃金不払いの問題を解決することが非常にむずかしいわけであります。そこで、こういった問題につきまして、実はかねがね労働基準法研究会に検討をお願いしておったわけでありますが、ことしの七月の末に報告が出てまいりましたので、この報告に基づきまして、こういった企業倒産等の場合における救済措置も含めまして改善措置を逐次来年度以降実施に移してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  104. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 出かせぎ者のこうした悲劇が一向になくならない、労働災害やあるいは賃金不払い、しかも出かせぎ者というのは一つ身分が一方では農民でございまして、もう一つ身分が労働者だ。そうして、自民党農政と言えば言い過ぎかもわかりませんが、この中でずっとつくり出されてきたそういう特殊な階層であるわけでありまして、いろいろな問題を特別にはらんでいるというふうに位置づけなければならないと思うのです。そういう意味からいたしまして、私かねがね、出かせぎ対策室みたいなものを国土庁なりあるいは総理府の中につくって、ひとつ総合的に出かせぎ対策を前進させるべきだ、こういうことでこの前の予算委員会でも問題提起をしておるわけでありますが、このとき出席したのは農林大臣でありますが、これは十分やるんだ、自分がひとつ音頭取りになってもやりたい、こういうようなお話もありましたので、それが今日どのように前進し、そういう趣旨の中でどのように発展してきたかということを最後にお聞きして、私の質問を終わります。
  105. 平賀俊行

    ○平賀説明員 四十八年三月の予算委員会の分科会であったかと思いますが、出かせぎ対策の問題について、農林大臣、それから私どもの加藤業務指導課長が出席しまして、中川先生から御質問があり、それについてお答えをいたしたところでございます。  そのときにもお答えをいたしておりますけれども、出かせぎ者の問題というのは非常に範囲が広い、したがって関係する省庁も多い、営農関係でいいますと主として農林省の所管する事項が多い。それから、出かせぎに就労するという事態に着目して、その就労先あるいはその就労までの問題等については労働省の所管するところである。したがって、ほかにもたとえば社会保険の問題とか税金の問題とか、そういうこともございますけれども、多く関係いたしますのはこの二つの役所でございます。したがって、その点についてできるだけ緊密に連絡をとってやっていく考えであるという答弁を私どもの方からもいたしておりますけれども、その後も連絡をとりつつ業務を進めております。
  106. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 不十分ですけれども、終わります。
  107. 金丸徳重

    金丸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十九分散会