○
佐藤(敬)
委員 枝葉末節、それこそ枝葉末節のことより根本的なことを聞きたいのです。
私はいま、今回の
災害について乱伐という批判があるがどうだ、こうお聞きしました。そうしたらあなたのお答えは、乱伐ではない、しかし切ったものが
被害を与えている、こういう批判はある、こう言っているのですね。
被害が起きるような切り方をすれば、これはやはり乱伐という批判を受けても私はいたし方がないと思う。実際にいま津川
委員からも
質問がありましたとおり、地元でいろいろ批判をあなたが聞いて、これが乱伐でないと——まあ乱伐という字にこだわるならは乱伐でなくても何でもいいんですが、これが
災害の一つの大きな
原因になっている、こういうことを認めないという姿勢というものを大体直してもらわなければ、これは幾らたってもできないと思う。あなたはいまいろいろなことを言って厳重に注意しているし、皆伐もしないようにしている、こう言っているのです。ところが、たとえば私この
災害についてずっと新聞の切り抜きを全部集めましたけれ
ども、
東北の周辺に載ったのは、ほとんどが
東北の水害は明らかに人災だ、林野庁が乱伐をしたからこうなったんだ、そういう投書ばかりなんです。これに対してあなた方は乱伐じゃない、こういうふうな姿勢じゃなくて、もっと謙虚に耳を傾けて、一体それじゃどうすればいいかという、単に皆伐しないで択伐しているとかなんとか、そういうことじゃなくて、もっと根本的なことの反省が必要だ。この反省の上に立たなければ、いかなることを言ってもいままでと同じようなことを繰り返すにすぎない、私はこういうふうに思うのです。
たとえばこれは鶴岡の朝日新聞に対する投書なんです。「
東北の水害は明らかに人災 私たちは、過去に何度となく営林署をはじめ、林野庁など各方面に「ブナ伐採中止」を訴え続けてきました。というのも、原生林、とくに
東北では、ブナ林は学術的にも貴重なものになりつつあることはもちろん、生産される木材以上に、国土保全、水源確保、自然環境保全などの多面的な機能を持っているからです。ところが、営林署は「有用樹」に植えかえるといって、ほとんどの山岳地帯で、雪や急峻な地形で「有用樹」が育ちにくい場所のブナまで伐採しているのが現実です。」こういうふうに書いてある。そして、いま津川
委員が言いましたように、「岩木町の場合は、上流にスキー場があり、砂防ダムが役に立たなかった。真室川町では、上流の山は伐採されてハゲ山同様になっていた。」こういう
現状を地元の人は十分認識しているのです。そうしておいてあなた方に聞くと、これは乱伐じゃない、乱伐じゃない、何年となく同じ
答弁を繰り返しているけれ
ども、いつも何年となく同じような
災害が起きているのです。今回の
災害の特徴は、私はつぶさに
現地を見ましたけれ
ども、どう
考えてもやはり山の乱伐、特に国有林の乱伐というものが
災害の
原因になったとしか
考えられない。特徴的なのは、どこもほとんど同じですけれ
ども、大河川じゃなくて今回は小河川、局部的な雨が降った、そういうことも言われますけれ
ども、非常に小さい河川に極端に大きな水が出てきておる。たとえば私のすぐ隣のところに比内町というところがあって、その大葛地区、いわゆる犀川という川が最大の
激甚災害を受けました。これはその犀川自体じゃなくて、犀川に注ぎ込んでいるたった三キロか四キロくらいしかない小さい谷みたいな川、これが一番大きな暴れ方をしているのです。たとえば犀川のところに森越という川がある。三キロしかない。そのほかは全部国有林ですよ。そうして、流れてきた小さい谷みたいな川に家が六軒も流されているのです。そこの町の人は、これを切ると必ず水が出てくるから、もし切るならば砂防の手当てをしてから切ってくれと何遍も
陳情までしている。ところが、そんなものを何もしないで皆切ってしまったから、今回のあれで、大きい川は何でもないけれ
ども、小さい川でめちゃくちゃにやられている。しかも、そのほかは全部国有林です。こういう例は幾らでもある。その隣にすぐ長部川という川がある。その川も同じなんです。国有林で皆伐されているのですよ。そして、植えたと称しているけれ
ども、木というものは、そう簡単には草と違いますから伸びませんよ。植えた後のものがまだ一メートルくらいしかない。こんな木は保水力も何もないですから、今回みたいな局部的な雨でもちょっと降るとああいうふうに流れてくる。
こういうことをずっと見てみますと、あなたは乱伐じゃないというけれ
ども、乱伐に違いないと私は思う。いままでの切り方が悪いのだ、そしてこういうふうな水害につながったのだ、このことをはっきり認識した上でいろいろなことをやらなければ、いつまでたってもごまかしなんです。あなた方は、恐らく従来大変な水害に何遍も繰り返して同じような
答弁をしてきただろうと思う。しかし、あなた方の
答弁のとおりにいけば絶対に
災害が起きないはずなのに、毎年毎年、年々歳々
災害を繰り返しているじゃありませんか。もう一遍あなた方の
考えを聞きたい。