運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-11-19 第76回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十九日(水曜日)委員会におい て、次のとおり小委員及び小委員長選任した。  公職選挙法改正等調査小委員       石井  一君    奥野 誠亮君       久野 忠治君    小泉純一郎君       小山 省二君    佐藤 孝行君       田中 榮一君    阿部 昭吾君       佐藤 観樹君    山田 芳治君       津金 佑近君    林  孝矩君       小沢 貞孝君  公職選挙法改正等調査小委員長 田中 榮一君     ――――――――――――― 昭和五十年十一月十九日(水曜日)     午後一時三分開議  出席委員    委員長 小澤 太郎君    理事 吉川 久衛君 理事 久野 忠治君    理事 小山 省二君 理事 田中 榮一君    理事 阿部 昭吾君 理事 山田 芳治君    理事 津金 佑近君       石井  一君    小泉純一郎君       小島 徹三君    福永 健司君       村田敬次郎君    山本 幸一君       林  百郎君    林  孝矩君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君  出席政府委員         警察庁刑事局長 土金 賢三君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君  委員外出席者         自治省行政局選         挙部選挙課長  秋山陽一郎君         自治省行政局選         挙部管理課長  大林 勝臣君     ――――――――――――― 十月二日  公職選挙法の公正な適用及び執行に関する陳情  書  (第一〇六号)  公職選挙における得票報道公正確保に関する  陳情書  (第一〇七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  公職選挙法改正に関する件(改正された公職選  挙法施行状況等)      ――――◇―――――
  2. 小澤太郎

    小澤委員長 これより会議を開きます。  この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  本委員会に、小委員十三名よりなる公職選挙法改正等調査小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  3. 小澤太郎

    小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についてお諮りいたします。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、ご異議ありませんか。
  4. 小澤太郎

    小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは公職選挙法改正等調査小委員に       石井  二君    奥野 誠亮君       久野 忠治君    小泉純一郎君       小山 省二君    佐藤 孝行君       田中 榮一君    阿部 昭吾君       佐藤 観樹君    山田 芳治君       津金 佑近君    林  孝矩君       小沢 貞孝君以上十三名を指名し、小委員長には田中榮一君を指名いたします。  次に、小委員及び小委員長の辞任、補欠選任等に関しましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  5. 小澤太郎

    小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 小澤太郎

    小澤委員長 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  まず、去る十月十四日から施行されました改正公職選挙法施行状況等につきまして、政府から説明を聴取いたしたいと存じます。自治大臣福田一君。
  7. 福田一

    福田(一)国務大臣 去る十月十四日から施行されました改正公職選挙法につきまして、その施行後の概況を御報告申し上げます。  御承知のとおり、今回の改正は、衆議院定数是正を初め、選挙の公正を確保し、金のかからない、きれいな選挙実現に資するための重要な改正内容を含んでおり、近来にない大きな改革でありました。中でも、候補者等選挙区内にある者に対する寄付禁止及び政治活動用立札看板等の掲示の制限に関する規定は、選挙時のみならず日常にわたる規制であり、施行日から直ちに適用されたところでありまして、関係者はもとより、広く国民各位にもよくこの改正趣旨を御理解いただき、法の精神が生かされることを強く期待しているものであります。  まず、改正法についての周知説明状況について申し上げます。  自治省といたしましては、改正法趣旨徹底を図るため、選挙をきれいにする国民運動強調月間である十月を中心に、寄付禁止立札看板規制等改正内容を、テレビ番組新聞広告交通広告、壁新聞、リーフレットの大量配布等により周知するとともに、公明選挙連盟、明るい選挙推進協議会等選挙啓発団体全国都道府県及び市町村選挙管理委員会を通じて国民への周知徹底に努めてきたところであります。  また、総理府においても、改正法周知のための政府広報について、新聞週刊誌、テレビ等可能な限りの媒体を使用し、寄付禁止立札看板規制などを中心に積極的な広報を進めているところであります。  次に、立候補予定者後援団体政治活動に関する立札看板等状況について申し上げます。  今回の改正により新たに規制されることとなったこれらの立札看板裏打ちポスター等撤去を要するものがそのまま放置されることのないよう、現に掲示されているものの実態の把握を行い、取り締まり当局との協力連携のもとに撤去を要するものの発見とその排除が厳正に行われるよう努めてきたところでありまして、調査が完了したものにつきましては、順次選挙管理委員会において撤去の勧告、撤去命令を出すこととしております。  具体的に改正法施行後現在までの概況都道府県別に申し上げますと、実態調査が一通り完了したところが四十一都道府県、やがて完了する見込みのところが六県であり、違法な文書図画撤去指導は全都道府県において行っておりますが、法に基づく撤去命令を出したところは全国で四千三百七十一件、枚数にして二万六千四百十五枚となっております。  なお、警察庁調査によりますと、取り締まり当局がとった措置としては、警告が二百四十二件、枚数にして六千八百十八枚となっております。  次に、寄付につきましては、今回の改正により候補者等選挙区内にある者に対する寄付は、特定の場合を除いて、当該選挙に関すると否とを問わず一切禁止されたのでありますが、金のかかる選挙是正し、選挙の浄化に資するという改正趣旨が真に生かされるためには、候補者等はもとより一般の理解協力を求める必要があるという見地に立って、その趣旨が広く徹底するよう努めているところであります。  その他、改正法内容は、供託金の引き上げ、選挙公営拡充機関紙等頒布制限強化及び連座制強化等広範にわたっておりますが、これらについては改正法施行後に公示または告示される選挙から適用されることとされておりまして、その後国の選挙もなく、御報告申し上げるような事項も現在のところありません。  以上のとおりでありますが、金のかからない、公正な選挙実現は、ひとり制度改正のみでなし得るものではなく、広く国民の自覚と協力のもとに不断の努力を続けていくことが必要であることは言うまでもありません。  その意味で、自治省といたしましては、今後においても、可能な限りの広報媒体を利用するとともに、選挙啓発団体地方選挙管理委員会と相携えて改正法趣旨徹底に一層努力いたしたいと考えております。  以上をもちまして、公職選挙法改正施行後の状況の御報告を終わります。     —————————————
  8. 小澤太郎

    小澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田芳治君。
  9. 山田芳治

    山田(芳)委員 自治大臣が後の予定があるようでございますので、申し合わせの時間にやめたいと思いますので、集中的に大臣に申し上げて質問をいたしたいと思います。  その前に、実は、国、地方を通ずる選挙管理組織拡充強化の問題について、都道府県選挙管理委員会連合会市町村連合会等からも要望があるので、この点について行政管理庁長官質問をする予定をして出席要求をいたしたのでありますが、どうしても出席ができないという御返事であります。きわめて政治性の高い問題でありますから、行政管理庁長官出席を求めて質問をいたそうとしたわけでありますが、どうしても本日は御勘弁をいただきたいということでありますから、委員長において次回には必ず出席方をお願いをして、その点については質問は次回に譲らしていただくということだけ申し上げておきたいと思います。  第一点でありますが、いま自治大臣から、全国取り締まりなり実態についての報告がありました。しかし、現実に公選法施行令施行された十月十四日以降、いわゆる規格の定められている看板あるいは裏打ちのある個人用ポスター等についての取り締まりがきわめて不十分であるというふうに考えております。私の選挙区一つを見ましても、私は公選法委員会理事でありますから率先してそういう看板を取り払いましたけれども、どの党とは申しませんけれども、まだ従来のまま放置されておる。そこで、われわれの党といたしましては、都道府県選挙管理委員会に、施行されて一月もたつのだから取り締まりをやるべきではないかということを強く要請をいたしましたところ、京都府の選挙管理委員会は、人手が足りないのでとても取り締まりができません、こういう返事であったのであります。したがって、機構拡充の問題を当然私は質問しようと思ったわけでありますが、これは次回に譲りますが、非常に取り締まりが不十分であるというふうに思うわけであります。  いま総数の件数を大臣は言われましたけれども、具体的にそれでは都道府県ごと撤去警告なり、あるいは文書による通知なりというような措置をされている数なり、あるいはいまだされていないところがあればその数をひとつ発表していただきたい。少なくとも私の選挙区である京都においては全然そういうことがなされていないということは事実でありますし、同僚議員から聞いてもほとんど聞いていないという点が多いのでありますが、その点をまずひとつお伺いをいたしたいと思います。
  10. 土屋佳照

    土屋政府委員 総数につきましては先ほど大臣から御報告申し上げたとおりでございますが、全体的な各県ごとの数で申し上げますと、いろいろと警察当局協力をいたしまして調査をいたしておりますところが大体四十一県でございまして、あと六県についてはほとんど調査は済んでおるわけでございますが、全面的に済んでいないといったようなところがあるわけでございます。撤去命令につきましては大体二十二県ほど、もう少しふえておるかもしれませんが、私どもの手で調べた段階では二十二県ほどが撤去命令を出しておるということでございました。これも県内終わったというわけではございませんで、順次やっているところがございますので、だんだんふえていくことであろうと思っております。いま御指摘京都につきましては、まあ大体調査も済んでおるようでございますけれども、若干出足がおくれておったように私ども承知をいたしておりますが、全般的に十分趣旨徹底を図っていきたいと思っております。
  11. 山田芳治

    山田(芳)委員 それは厳格にひとつ警察庁の方もおやりをいただきたいということを要望して、時間がございませんから次に移ります。  次は、大臣に伺いたいのでありますが、去る十月十四日に政令が出ました。今度の公選法改正は、御承知のように私どもの方で修正提案をいたしました。そして個人用ビラというものを新しく設ける修正案提案をして、自民党並び民社党の同意を得て多数で可決をしたわけであります。修正提案者である私どもとしては、その修正提案趣旨に沿って政令を定めてもらう、すなわち、各戸配布というものを入れてもらいたいということを強く政府にも要求をしておったわけであります。少なくとも修正提案をして法案を修正する限りにおいては、修正提案者意見というものを尊重しながら政令というものを決めていくべきであるというふうに考えるわけであります。  われわれとしては、具体的に与野党いろいろと話し合いをしながらいわゆる議会制民主主義の立場に立って法律の修正等が今後はなされる可能性が非常に大きいわけでありますけれども、その場合に修正提案者政府に委任をするという政令内容については少なくとも修正提案者意見というものを尊重していくべきではないかというふうに考えるわけでありますが、こういった点について、今後のこともありますので、本来的な、本質的な考え方について自治大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
  12. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまのことでございますが、修正提案をされた場合においては、原則としてこれを重んずるということは私は当然なことであると思っております。ただ、提案をなさいましたのは自民、社会民社三党であると考えておるのでございまして、しかも、われわれの与党の方からはわれわれに御趣旨のような修正は求められておらなかったと私は承知をいたしておるのでございまして、そういう意味で今回私たちは私が国会において答弁をいたしておりました範囲において処理をいたしたというのが私のただいまの考えでございます。
  13. 山田芳治

    山田(芳)委員 修正提案社会党と民社党がいたしたのであって、自民党賛成をしていただいたのであります。修正提案の中で、分区につきましては、確かに自民党提案をされてわれわれが賛成したのでありますが、個人用ビラについては、私ども提案をした、これは選挙部長、間違いありませんね。——ですから、ちょっと大臣勘違いをされておられるようでありますから、その点はひとつ直しておいていただきたいと思います。
  14. 福田一

    福田(一)国務大臣 それならば私が勘違いをしておったのかもしれませんが、このことにつきましては、御案内のように政党内閣でございますからして、内閣としてはやはり与党意見というものを尊重しなければなりません。そういう意味与党とそして野党との、修正提案をなさった民社社会のお考えがはっきり決まって、そして私の方に申し出があれば御趣旨に沿うべきかと思いますが、まだその了解に達しておらないということでございましたので、われわれとしては私が国会で御答弁を申し上げたとおりの内容において政令を決めた、こういうことでございます。
  15. 山田芳治

    山田(芳)委員 もちろん今後も、政令でありますから政府の手で直していくことの権限があるわけでありますが、この問題については今後も、もちろん三者が賛成であったわけでありますから、話し合いは続けるということの合意はとってあるわけでありますが、しかしながら、私の聞きたいのは、少なくとも修正提案部分については提案者意見を尊重してもらいたいということであったわけであります。大臣の最大限尊重するという姿勢であるようでありますから、今後もそれはひとつ貫いていただくということでないと、今後修正提案というようなことはできないということだけはひとつ申し上げておきたいと思います。  次に、先般、九月十日現在における全国選挙人名簿登録者自治省は十一月三日に発表をされたわけであります。それによると、衆議院におきましても分区はいたしまして定数是正をいたしたわけでありますけれども、さらに一対三・三四に開いた、参議院については完全に五倍に開いてしまったということになっております。  そこで、大臣にお尋ねをしたいのでありますが、先般の国会におきまして、参議院において最終的に河野議長裁定案というものが出されておりますが、参議院地方区定数是正の件について小委員会も設置されましたから、小委員会等でも十分話をされるわけでありますが、政府にももちろん提案権があるわけであります。参議院定数是正の問題について、これは地方区でありますが、現段階において自治大臣としてはいかにお考えになっておられるか、すなわち先ほどの有権者の登録名簿数発表と関連をいたし、かつ参議院議長の前国会における裁定案を含めてお答えをいただきたいと思います。
  16. 福田一

    福田(一)国務大臣 お説のとおり、先国会におきまして参議院議長からも裁定があったことを承知いたしておるのでありますが、大体参議院の問題につきましては、衆議院と違いまして、いわゆる参議院定数是正の問題につきましては与野党意見が一致いたしておりません。衆議院の場合においてわれわれが定数是正に踏み切りましたのは、与野党が一致いたしまして二十名の定員を増加すべきであるということでございましたので、その御意見を尊重いたしたわけであります。  もちろん参議院の場合においても、政府自体としての考え方をまとめて、そして定数問題に触れることはできないわけではありません。しかし、私は衆参両院選挙というものを考えてみますと、一応共通の意見に基づく土俵づくりができないのに強引にこれをやってしまうことは非常に無理があると思っております。それから、何といってもまだ参議院におきましてはわが党は多数を制しておるのでございまして、その多数党の意見が全然入れられないのに私たちとして参議院定数是正の問題に触れるということは事実問題として困難と考えておりますので、参議院定数是正の問題をどう取り扱うかということについては、参議院における委員会、小委員会等の御意見等を十分に参酌をいたしまして対処いたしてまいりたい、かように考えておるところであります。
  17. 山田芳治

    山田(芳)委員 もちろん衆議院においてもこの問題を取り上げていきたいと考えておるわけでありますから、その点は今後の与野党の折衝なり、委員会、小委員会等における折衝においてひとつ問題を前に進めていくということで、その段階において自治大臣としては考える、こう考えてよいわけだと了解をいたします。  さて、時間もありませんので次に進みます。  去る十月十四日の政令を決定する閣議において、ある大臣は、今度の公選法については「結婚式のはなむけや葬式の見舞いなどが制限されるのでは、義理人情が果たせなくなるのではないか」云々というようなことで、どうも改正公選法寄付禁止について異論があるというような、余り詳しくは申しませんがここに新聞がありますが、こういう事実があったのかどうか。その点について自治大臣としては、少なくとも公選法閣議で決定をされ、内閣は一体の原則をもって処理しているのに、政令を定める段階においてそういう公選法内容ではおかしいと言うがごとき閣僚がいたという、もしこの新聞報道が事実であるならば、われわれとしてはまことにもってけしからぬというふうに感ずるのでありますが、一体そういう事実があったのかないのか、あったとすれば自治大臣としていかにお考えになるかちょっとお伺いしたい。
  18. 福田一

    福田(一)国務大臣 私はこの改正政令説明をいたしたわけでございますが、その節そのような発言があったということを承知いたしておりません。もっとも私も大分年をとりましたから耳が悪くなったかもしれませんので、そこのところは……。
  19. 山田芳治

    山田(芳)委員 それじゃ新聞は必ずしもいつも正しいとは限らぬ、こうおっしゃるのだろうかと思いますが、われわれは新聞が言われたようなことはあったものだと取り消しされていない限り理解をする、まことにけしからぬことだということを申し上げておきます。  時間がありませんから最後に、実は今度の公選法改正公営拡充がなされたことはまことに結構でありますが、衆議院参議院にばかり行われるということはこれでは均衡を欠くのでありまして、たとえば知事とか都道府県議会あるいは指定都市議員程度まで他の公営等が行われている部分にやはり拡大をしていくべきではないかというふうに思うのでありますが、自治大臣としてはいかがお考えでありますか。
  20. 福田一

    福田(一)国務大臣 ごもっともな御質問であると思うのでありまして、今後検討をさせていただきたいと存じます。
  21. 山田芳治

    山田(芳)委員 時間が参りましたから、事務当局にはまた別途質問することにして、大臣にはこれで終わります。
  22. 小澤太郎

  23. 津金佑近

    津金委員 時間の制約もありますので、幾つかにしぼってお伺いいたしたいと思います。  今度の公選法の改悪によって私ども政党機関紙号外配布について重大な制限が加えられたわけでありますが、これは従来の、前国会での論議を通じて政党機関紙号外については選挙期間中は選挙に関する報道評論、これを掲載したもの、あるいはその選挙区の中で候補者氏名が類推されるようなものを掲載することはできない、こういうことでありまして、これをめぐっての論議の中でそれ以外のもの、すなわち選挙に関する報道評論を載せていないそういう号外禁止する意図はないのだということを三木総理福田自治大臣その他強調されたと思うわけでありますが、まず、基本的にこの点はこういうことで間違いありませんか。
  24. 土屋佳照

    土屋政府委員 あのときの質問にもございまして、そのときお答え申し上げましたとおり、選挙に関する報道評論が掲載されていない確認団体機関紙号外頒布につきましては、選挙区の特定候補者氏名あるいはその氏名が類推されるようなものが記載されていない場合は、選挙期間中であっても号外頒布を特に禁止しておるわけではございません。
  25. 津金佑近

    津金委員 福田さん間違いありませんね。——ところが、この選挙に関する報道評論とは何かという問題をめぐっていろいろ議論がありましたね。ところがこの問題の解釈、その範囲というものが非常に不明確のまま多数で押し通されたという経過が率直に言ってあったと思うのです。そしてその過程の中でそうしたものの認定は、個々のケースについては司法当局の手によって認定せざるを得ないのだというふうな問題があって、私どもはそういうふうなことになれば、警察の不当な干渉その他によって言論の自由というものが圧迫される、そういう危険が必ず生ずるということについて警告を発したわけであります。ところが現にやはりこうした問題が起こっておるわけであります。  現在、御承知のように、和歌山県で知事選挙が行われておりますが、十一月の十六日の午後、和歌山市の北島公民館というところの付近で、いわゆる正規の法定ビラ配布中のわが党の党員に対して、北島駐在所口井巡査部長ら三名が、これは違法ビラである、駐在所まで来い、氏名を名のれ、こういうふうなことを言いまして、二十分程度このためにそのビラ配布活動ができなかった、こういう問題が起こりました。われわれは、そうではないということでその法定ビラをちゃんと示したにもかかわらず、警察への同行を最後まで迫る、こうした態度をとったわけであります。  しかも、その後の事態の経過の中で明らかになったのは、この巡査部長は、和歌山県の北署の松本という刑事課長から、赤旗号外というのは公選法改正で違法だというふうにいわば指示を受けて、そうして十一月五日付で発行した赤旗号外配布調査するために各戸を訪問、そしてこれを調べる、そのための巡察をやる、こういうことをやっておったということが明らかになったわけであります。  これは私は非常に重要な問題であり、われわれの指摘が決して単なる憂慮でなかったということを裏づけたものだというふうに思うわけでありますが、まず第一に、これはあたりまえのことでありますが、念のために、こういうことが現に起こりましたのではっきりさせておきたいと思いますが、法定ビラ配布そのものをこういう形で妨害をするということ、これは絶対許すことのできない行為である、これは選挙活動に対する明白な妨害行為であるというふうに言わざるを得ないと思いますが、この点はいかがでしょう。
  26. 土金賢三

    土金政府委員 もちろんそれは許されないと思います。
  27. 津金佑近

    津金委員 当然のことだと思いますね。  しかも法定ビラだということを明示しているにもかかわらず、交番へ来い、こういうことを言うわけでありますからまことに不当なことである、こういうことが現に行われておるということですね。  しかも、そういう事態が起こったことの一つの原因が、上部の刑事部長、刑事課長から、赤旗号外公選法改正で違法だ、こういうふうに言われ、そして赤旗号外を調べるために各戸訪問をやったり何かして調べておるんだということを彼は言っておるわけであります。  こういう赤旗号外それ自体が公選法違反だという指示、それ自体も正しくありませんし、そういう誤った指示に基づいて各戸を訪問して、そうしたものを調べて歩くということ自体もきわめて不法なものだ。これは私たち指摘した今度の公選法の改悪をいわば口実にして、政党の当然な政治活動に対する不当な干渉を加えているものだ、こういうふうに言わざるを得ないのでありますが、この点どうお考えになりますか。
  28. 土金賢三

    土金政府委員 ただいま御指摘和歌山県の事例でございますが、私ども報告を受けておりますところによりますと、和歌山県の知事選挙の期間中である十一月十六日に、和歌山市内で警察官が警らをしている途中、新聞紙のようなものを抱えて民家の郵便受けに配って歩いている男の人に出会いまして、何を配っているのですかと質問いたしたところ、適法な法定ビラであることがわかったのでその場で別れた、こういう報告を受けております。  なお、法定ビラ頒布等について妨害するというふうなことのないよう、選挙の適正な理解と、違反の取り締まりについては適正に実施しますよう、さらに一層指導をいたしてまいりたい、こう思っております。
  29. 津金佑近

    津金委員 しかしこの問題は、さらに現地の党組織の警察当局に対するその後の抗議、追及の中で、北署の八尾という次長並びに刑事部長も最終的には、法定ビラ配布というものは当然な選挙活動であって、それを干渉することは重大な誤りであるという問題、それから同時に、赤旗号外全部が違法であるというふうな認識は正しくないのであって、問題は選挙に関する報道評論というその問題である、しかも当時問題になった、警察がいろいろ調べた十一月五日付の赤旗号外というものも、これは内容的に見て選挙報道評論にかかわるものではない、政治活動としては違法でないということをはっきり認めざるを得なかったわけでありますが、こうした問題が発生したということは、われわれとしてきわめて重視せざるを得ないわけであります。  末端にいる警察当局がこういう認識でいま言ったような行動を行うというならば、これは選挙の正しい運営が行使できないことになることはきわめて当然だ。現にこういう実態が起こっておる、その非を警察も認めたという現実を踏まえて、こうした事態が絶対に今後起こらないように、自治大臣は同時に国家公安委員長でもありますので、正しくこうした問題についての指導を強化するということをこの場ではっきりさせていただくことが必要だと考えますが、いががでしょう。
  30. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘のように、適法なビラその他号外等を配布することについては、そのようなことのないように指示をいたしてまいりたい、かように考えております。
  31. 津金佑近

    津金委員 そこで、時間がありませんので先に進みたいと思いますが、問題は、こういう問題が起こる一つの重要な原因は、先ほど申し上げたように、いわゆる選挙にかかわる報道評論範囲というものが必ずしも明確でない。政府は統一見解を出されたわけですが、これについてもどうもよくわからぬということで、また政府は統一解釈を述べられるというふうなことが参議院の事態であったわけでありますが、この点に関しては、その後の衆議院における論議参議院における論議を通じて三木総理、特に自治大臣の発言、さらには選挙部長の発言もありましたけれども政府のこの問題に関する具体的な適用の問題としては、選挙に関する報道評論であるかそうでないかということの一つの現実的な判断の基準としては、政党の一般の政策という場合に、選挙の公示前に出した政党の政策、これは選挙に関する報道評論というものには当たらない、しかし選挙中になって新たに出した政策というものは選挙に関する政策、こういうふうに認定せざるを得ない。それからそのような一般的な政策であっても、今度の選挙に関してわれわれはこういうことを主張するというふうに、選挙と関連さしてこれを提起するならば、これは選挙に関する報道評論になる。しかし選挙中にコンビナートが爆発したというような天変地異などの問題に関して政党が見解を発表する場合、これを選挙に特に絡めなければ、それは選挙中に発表した政策であっても選挙に関する報道評論ではない。それから各党の理念あるいは政治姿勢、それから政策批判、こういうふうな問題も従来から行っている、すなわち選挙の前に明らかになった見解の範囲内でこれを行う場合は選挙に関する報道評論に該当しない。  私は政府答弁を全部調べて、その中で具体的な判断の基準として、大臣その他が言っておられることを具体的な問題の適用として考えてみると、そういうことを大体共通して言っておられるように思うわけでありますが、それらの従来の発言はそのとおりである、こういうふうに認定してよろしいですか。いろいろ問題が起こりますから、こういうことはひとつはっきりさせておいてもらいたいのです。
  32. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまの御指摘のうちで一番問題になるかもしれないと思うのは、選挙の期間中は別として、選挙の期間のその前の日に、たとえばその選挙区に重要な関係のあるような問題について号外を出された、その同じ内容のものを選挙期間中に出すのがいいか悪いかということになれば、私は、その具体的な問題、その選挙区に関係のあるような問題を再度編集して出されるということは疑義があると思います。いまの問題のうちでその一点だけは、いまおっしゃったようなことについてはむしろ差し控えるべきである、法の精神からいって、やり方の問題からいってそれはフェアではない、それを悪用——悪用と言うては失礼でありますが、そうなる可能性があるという意味において、具体的にたとえば東京都なら東京都、あるいは東京都の中でもそれぞれ選挙区がありますが、その選挙区の利害の関係ある問題について、それは号外を出されることは何もいけないとは言えませんけれども選挙の前の日に号外を出しておったのだから、その内容のことをもう一遍出してどこが悪いのかと言われても、これは差し控えていただくべきものだと私は思っております。
  33. 津金佑近

    津金委員 大臣はきわめて極端な例を出されて言うわけですが、それは前の日に出す出さぬという問題は別として、そういう場合を除いては、すでにその以前にはっきり党としての政策が天下に公表されておる、それも前の日に急に出したのではなくてちゃんと党の正式の機関を通じてそういうものが発表されておるというふうな場合はそうではない。いま言ったように前の日に急に出して、それを前に出たんだからいいんだというふうなことだけには疑義がある、だからいま言ったような点を除けばよろしい、こういうふうに承ってよろしいわけですね。
  34. 福田一

    福田(一)国務大臣 前の日というのは極端な例を申し上げたのでありますけれども、そこはやはりお互いに利益誘導のような感触を与えないようにすることが、まあ失礼だが、どの党にとってもそれはフェアな選挙のやり方であるというふうに考えますから、それを一日前がいいのか十日前がいいか一月前が当然であるかというようなことについては、ここでいまちょっとお答えはできないと私は思いますけれども、やはりその精神をひとつ生かすように選挙に関する機関紙号外というものを運用していただきたいと考えております。
  35. 津金佑近

    津金委員 それではいまの点をもう一つだけ聞いておきますが、いま言ったようないろいろなケースがありますが、一般的に言って選挙の公示の前に出されていた従来の政策、それを明らかにすることはいい、こういうお考えですね。
  36. 福田一

    福田(一)国務大臣 政党にはそれぞれ政綱があり、一つの問題についてはこういう方針で臨むというような政策綱領というものをよく出されておるわけでありますから、それを出されることは差し支えないと私は考えておるわけであります。
  37. 津金佑近

    津金委員 時間がありませんので先に進みます。  先ほど山田議員の方の質問もありましたが、今度の個人公報ですね、いわゆる個人ビラともいわれておりますが、個人公報の問題について、山田さんが趣旨弁明に立ったから、彼と議論をして、きょうも本当は山田さんがそっち側に座っていてくれた方がむしろいろいろ聞きたいことがあるのだが、きょうはそういうふうになっていませんけれども、しかし、あのことについては、あのやりとりを大臣もずっと聞いておられて、そしてその趣旨賛成して、最後政府もこれに賛成するということを言われたわけでありますから、そういう意味で当然重要な責任があるわけであります。  そこで、ひとつ申し上げておきたいことは、あの個人ピラというものについては、われわれあの当初から非常に厳しい批判的見解を持っておったことは御承知のとおりであります。これは繰り返しません。しかし、なぜああいうものを出すのかということに対して当時の提案者は、やはり候補者の政策あるいは人柄のようなものを広範な有権者に周知徹底させる、その一助として出すのだと  いうことをそのときに認めておられるわけですね。  ところが、いざその配布段階において、御承知のように政令で四カ所に限定されましたね。非常に限られた範囲にこれを限定されたわけであります。しかもその中身は、選挙事務所に来る人だとか演説会を聞きに来る人だとかある程度知っている人で、むしろ本当にそういうものを読ませたい人には見せる乙とができないような不当な制限がついているわけであります。少なくともあのとき山田委員説明では最終的には政府に任せるのだということを言われたが、少なくとも各戸に入るということは提案者としては最低考えておられたようでありますけれども、なぜああいう不当な四カ所にこれを限定されたのか、その根拠について説明していただきたい。
  38. 福田一

    福田(一)国務大臣 いまあなたの山田さんの提案理由の説明のうちに、周知徹底の一助としてというお言葉をお使いになった。その一助という意味は、全部それで周知徹底させるという意味ではなくて一助としてという言葉が入っておったわけですね。あなたもそれをいまここで御発言になった。私は、いろいろのこともございますが、各戸配布するということになると戸別訪問と非常に紛らわしいことになりまして、それならば戸別訪問を認めていいかということになって、戸別訪問を認めるということになれば、これはもう周知徹底の一助でありますから当然配布できるようになりますが、いま戸別訪問というものは認めるということになっておりませんから、そこでわれわれとしては、この間決めたような政令にしたわけでございますので、この点はひとつ御理解を賜りたいと思う。  しかし、私は前々から申しておるように、実際にやってみてまた非常に問題が多いということであればこれはまた考えてもいいが、さしあたり一遍これをやってみないことには、どういうことになるか、ここいらをひとつ考えた上で処置をいたすべきではないか、こう考えておるわけであります。
  39. 津金佑近

    津金委員 その議論をここでまた繰り返してやっても始まりませんが、私どもとしては、率直に申し上げて、今度のあの処置はやはりきわめて不当なものであって、わわれれがかねがね指摘していたとおりの事態になったというふうに言わざるを得ないということを申し上げておきます。  それから、時間がありませんので、最後にもう一点だけお伺いしておきたいと思います。  一般紙誌の配布に関する問題でありますが、ことしの九月二十七日付で自治省の事務次官から各都道府県知事並びに選管委員長に対して通達が出ておりますね。その中の「一般紙誌の頒布に関する事項」の中で、団体並びに組合、特に労働組合の事例を挙げて、自分の組合の組合員に対して配布しても、それは組合費負担になっているわけだから無償でやってもよろしい、これに対して、組合相互間で組合機関紙配布する場合は、それぞれの組合は他の組合の機関紙を購入しそれを組合員に配布するという方法を講じない限り有償配布でなければいかぬのだということがはっきり書かれていると思います。これはこのとおりですか。間違いありませんね。  その場合、前回の国会で特に参議院段階でわが党の内藤議員がこの問題で福田さんと大分いろいろ議論があって、特に総評との関係をめぐっていろいろ議論があったことを福田さん覚えていらっしゃるでしょう。そのときにあなたは、あのときの議論は私も議事録を読みましたが、まことに妙てきれんな議論であって、そのときに最終的に、いろいろありましたが、福田さんは結局その組合が他の組合のそういうものを読みたいのだ、あるいは購読する必要があるのだということを規約その他で明記されておれば、そういうところに配っても、それは言うなれば認められるという趣旨の発言をされておったというふうに思うのです。一々議事録を挙げてはいきませんが、趣旨はそういう意味だったと思うのです。  そうすると、これは違いますね、この趣旨と。ではお聞きしますが、「他の組合の機関紙を購入し」という、この「購入し」というのは、ちゃんとお金を出して買わなければならないというのが日本語の解釈ではないですか。そこを聞いているのです。
  40. 福田一

    福田(一)国務大臣 私はやはり、その場合には購入して配られるものと理解してお答えをしたつもりであります。
  41. 津金佑近

    津金委員 そうすると、この間の参議院のやりとりというのは、そのときも購入して買うべきなのだという趣旨でそういうことを答えている、ここに書いてあるこのこととは矛盾していない、こういうふうにいまおっしゃっているわけですね。
  42. 福田一

    福田(一)国務大臣 そうでございます。
  43. 津金佑近

    津金委員 そうだとすれば、問題の解釈として非常にはっきりするわけですが、前回の論議では、少なくとも議事録の範囲内でこれを見ますると、いま言ったような処置がとられれば、実際は金を払わないかもしれないけれども、そういうことは一応やむを得ないものとして法を適用するということはしないようにしたいという意味のことも言っておるので、私ははっきりさせるために聞いたのですが、結論はいいです。そういうふうにはっきりさして、この通達の線どおりでいくのだということが自治省としての正式な見解だ、こういうふうに承って間違いありませんね。——わかりました。  これと関連して、あともう少しありますが、それは土屋さんの答弁に関する問題ですから後でやりましょう。  もう私の時間がきているようですから、それじゃ私の質問は一応これで終わります。
  44. 小澤太郎

    小澤委員長 林孝矩君。
  45. 林孝矩

    ○林(孝)委員 先ほど自治大臣の方から報告がございました件について御質問申し上げます。  まず、新しい公選法施行されて、自治省がその内容周知徹底のために、選管の委員長説明をなさったり、あるいは市町村連合会説明したり、都道府県連合会説明したり、委員長会議説明したり、こういう周知徹底の方法をとってこられた。また、十月を中心に、テレビ、新聞、リーフレット、そういうふうなもので広告をして周知徹底をした、こういう説明が先ほどあったわけでありますけれども、結論的に言いまして、新公選法施行されて一カ月余になるわけでありますけれども、いまだに違反ポスター、違反看板、こうしたものがやっぱりちまたに見受けられる。これは否定することができないわけであります。そうしますと、こうした法律を正直に守るという人たち、それから全然守らないで撤去命令とかそうしたものが出るぎりぎりまで、立て得といいますか、張り得といいますか、そうした考え方でいる人たち、この間に非常に不公平もあるわけですね。  そこで、一つは十月十四日に施行されてから今日まで、これは自治省、それから警察庁として勧告あるいは撤去命令、違反摘発、こうしたタイムスケジュールが決まっておって、いついつまでに全域にわたって撤去命令を出すとか、あるいはいつから違反摘発をやるとか、こういうタイムスケジュールをつくってこうした周知徹底に臨まれておるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思うわけです。  その次に、都道府県に対しての自治省周知徹底というものがあったことは私もわかるわけでありますけれども、今度は都道府県から市町村に対しての説明、指導というものがどのようになされ、また、その結果徹底されておるかどうかということを自治省としてつかまれておるのかどうか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  46. 土金賢三

    土金政府委員 第一の点についてお答え申し上げます。  文書違反の取り締まりにつきましては、警察がこの種の違反文書を認知した場合には、一般的に警告によって違法状態を速やかに除去する、何よりもまずその違法状態を速やかに除去するということが必要でありますので、警告措置が多くなる、こういうわけでございます。警告しますと、直ちにその警察警告に対して従う者が多いのでありますけれども、中には、実質的に違反状態を除去するため繰り返して警告を行う必要がある場合も少なからずあるわけでありまして、また、放置すればほかへの悪影響が非常に大きくなるというふうなこともありますので、その場合には検挙する、こういうことにいたしておるわけでございます。  したがって、警告または検挙というものは、時期的に何月何日までは警告、何月何日以降は全部検挙というふうにスケジュール的に分別するというふうなことは実情に沿わない場合が多くなりますので、警告を反復して行う場合もあり、あるいはまた数回の警告の後に直ちに検挙する場合もあるということでありまして、あくまでも警察といたしましては、違法状態の除去に主眼を置きながら、事案の悪質性の判断によって検挙措置を行う、こういうふうな方針でございます。
  47. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいま警察当局からお話がございましたように、われわれは協力してやっておるわけでございますが、当初に私どもの方では、法が施行になると撤去しなければならない状況になるわけであるから、施行前から十分周知徹底をして、できるだけその前にやっていただきたい、しかし新しい改正であるからなかなかそうはいくまい、といって、ある期間までにやれとかいったようなスケジュールを組んでいきますと、それまではいいのだというようなことにもなります。取っ払わなければならないような状況というものは早く整理していかなければなりませんので、特にいついつまではいいという形ではなくて、できるだけ速やかに撤去をしてもらいたいということで、十分政治団体あるいは候補者等に対して連絡をとってやってもらうという方向でまいったけでございます。  それから、府県について説明をやった後、その府県においてはそれぞれ市町村の担当者を集めて、直ちに法の施行前に説明会を開いて同様の趣旨を伝えておるわけでございまして、それに基づいて、先ほど大臣からも御報告を申し上げましたとおり、順次整理をしておるところでございまして、私どもの方も実はたびたび全県に電話を入れ、そしてまた文書等も出しまして、促進方を図っておるわけでございますが、一方が取ったのに一方が残っておるという不公平なことはまことに困るわけでございますので、できるだけ速やかに徹底を進めるということで、ただいま警察の方からもお話がございましたように、なお一層その点は力を緩めないで進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  48. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それではその趣旨徹底が、先ほど実例として挙げられたように結果的にはまだまだという状態にある。その原因ですけれども、いろんな条件というものがあってなかなか徹底できない、こういう声が現場にはあるわけですね。  たとえば地方の選管の陣容の問題、一般市民からいろんな苦情であるとかあるいは新公選法施行されておるけれどもまだこういう状態だというような連絡があったとしても、それに対応する人的能力というものが果たして充足されておるかどうかという点、こういうことなんかも一つの条件だと私は思うわけです。  そこで、それ以外にもまだ理由があると思いますけれども自治省として、現段階においていまだそうした状態が解決されていないその原因をどのように受けとめられておるか。先ほどトータルとして、たとえば撤去命令について四千三百七十一件ですかの件数が報告されましたけれども都道府県別に見ると非常にきちっとできている県が片一方にあり、もうでたらめなと言っていいくらい周知徹底されていない県が片一方にある。そういう面でも非常にばらつきがあるわけです。したがって、そういう原因というものをやはりきちっと分析しないと今後の公選法施行の進捗状況というものに対して非常に不安を感ずるのですが、その点についてどのように考えられておるか、お伺いしたいと思います。
  49. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまお話がございましたとおり、私自身が自分の目で見てまだ完全に行き渡っているとは思えない状況が残っておると思います。そしておっしゃいましたように、県によっても若干進捗状況は違うということもそのとおりだろうと思います。ただ、その原因は何かということになりますと、一つには選管というのは御指摘のありましたとおり通常の常備人員というものは非常に少ないわけでございまして、そういった点もあろうかと思いますけれども、それでもなおかつ警察等とも十分に協力をいただきまして連絡はとっておるわけでございますけれども、一方では取っ払う方も非常にたくさんあるので、われわれも取っ払うのに人手が足りないといったようなことで十分協力を得られないという点もやはりあるだろうと思うのでございます。  しかし、そうだからといって、これを放置しておっていいわけでもございません。同時にまた、この撤去命令を出した場合に、これに違反した場合は罰則もあるわけでございますけれども、一罰百戒ということもございますけれども、できればそういうところに至らなくてきれいになるということがより望ましいわけでございますので、そういった点、御指摘の点は重々おっしゃるとおりだと思うわけでございます。今後は、非常に悪質なものについては厳重に処断をするといったような気持ちも含めて、この法の適正な運営ができるように、われわれとしても一段と努力をいたしたいというふうに考えております。
  50. 林孝矩

    ○林(孝)委員 自治大臣にお伺いしますが、いま選挙部長の方から厳重に処罰するということも含めてという意味での答弁があったわけですけれども、陣容の面について各都道府県の現場の声、特に選管等の声を聞くと非常に手薄である。これは共通した意見なんですよね。それに対して自治大臣はどのように対応されようとしておるか。
  51. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私らも選管の陣容はいかにも弱過ぎる、いざというときになりますと、みんな人をかき集めてきて、選挙になるとやる。ところが、いまは常時やらなければならぬ仕事もあるのですから、この陣容では不十分であるということを考えております。その点ひとつ今後の問題として、予算編成のときその他に十分研究をしてみたいと思っておるのでございます。
  52. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、公職の候補者等後援団体がする寄付の規定についてお伺いします。  今回の改正では、候補者がする寄付については当該選挙に関すると否とを問わずと規定されているわけです。しかし、後援団体については百九十九条の五では「一定期間」という言葉があり、同条の四では「当該選挙に関し」となっております。今回の改正は、この「当該選挙に関し」という立証が現場で非常に困難だ、そういうことから、関すると否とを問わず、こういう形に変えたのではないかと私は思うわけでありますけれども後援団体の規定が、現職の者あるいは候補者後援団体の名前で寄付を行うおそれがある。わかりやすく言いますと、この後援団体という規定があいまいなために現職の者や候補者後援団体という名前を使って寄付をするおそれがある、こういうことです。  具体的にいままで明確になっていない点があるわけでありますけれども候補者あるいは現職の者が後援団体の名前で寄付をするということが果たして合法的なのか合法的でないのか、こういう面について具体例を挙げますと、たとえばカレンダーに現職の政治家の名前ではなしに後援会という名前を入れて、後援会員に配る、あるいはその後援会員に配ったものが後援会以外に流れる、こうした例があるわけでありますけれども、こういう後援会名の使い方、こういう場合だったら後援会という名前でできる、こういう場合はできないという点について明確にしておいていただきたいと思うのです。
  53. 土屋佳照

    土屋政府委員 後援団体については、いま御指摘がございましたように、百九十九条の五の規定によりまして定義づけられておるわけでございまして、この後援団体というのは、候補者を支援しておるものでございますけれども、支援されておる候補者とは一応別個の団体、別個の存在でございます。したがって、後援団体自体としての一般的な政治活動というものも当然あり得るわけでございます。  しかしながら、その後援団体というものも選挙が近くなったりしたような場合の活動というものは非常に問題があるので、百九十九条の五で一定期間はこれは寄付をすることはできないということにされておるわけでございますが、それ以前については特別、寄付等に関する制限はございません。したがいまして、法的に一定期間以外は特に本来の政治活動についての規制は何もないわけでございます。  ただ、おっしゃいますように、その後援団体の名前に候補者等の名がついておるような団体、これは選挙に関しては寄付ができない。本来独立の団体でございますから、そういう仕組みになっている。もちろんこれはまれな例でございましょうけれども、その後援団体の中に公職の候補者等が役職員、構成員で入っておるような場合は、これは逆にまた百九十九条の三の規定によって、選挙に関すると否とを問わず寄付ができない、そういった法制になっているわけでございます。  したがいまして、後援団体自体としての本来の政治活動ができる分野というものがあるわけでございますから、その形において活動をされることは、これは一般論としては許されるわけでございます。会員の出した会費その他基金があって、そこで活動なさるということは、それはそれなりで差し支えない。しかしながら、その後援団体の名前を使えばいいのだということで、禁止を免れるためにその名前を使って本人がやるということは、これは許されるべきことでないわけでございまして、法の趣旨に従って皆さんが行動していただくことを期待をするわけでございます。後援団体は、いま言ったようなことで本来の活動ができるわけでおりますから、会員の集まりのときに会員にそういった基金から何か簡単なタオルを贈ったとか、あるいはカレンダーを贈ったとかいうことは、ある程度のことは、それは許されるべきことだと思います。  ただ、いまお話しのように、その他一般の不特定の人に、特に何か名前入り、写真入りのものを大いに配るということになると、むしろそこらは事前運動といったような、そういった面からの規制というものが働く余地はあるだろうと思います。すべてそういう点については実態を見て判断をせざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  54. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、これは自治大臣にも見解を伺いたいわけですけれども地方公共団体の長、その長の名義で行われる寄付ですね、これは違法ということにはなってない。他の公職の候補者ができないものが、地方公共団体の長の場合はできるということですね。このいわゆる自治体の長だけができるということになると、いろいろまた問題があるわけです。たとえば自治体の長が、いままでは市長であった人が今度は国会選挙に出馬する、こういうケースを考えてみますと、その市長だとか知事の時代にその名前で賞状だとかいろんなものが配られるわけですね。それで急遽出馬を表明して、たとえば選挙が近づいた場合に立候補する、そうすると、この地方公共団体のいわゆる自治体の首長だけは規制外に置かれているわけですから、他の候補予定者あるいは現職の議員との不公平がそこに生ずる、こういう問題が出てくるのではないか。こういう点についてはどのように考えられておるか、お伺いしたいと思います。
  55. 土屋佳照

    土屋政府委員 先にお答えをさせていただきたいと存じますが、先ほども触れましたが、百九十九条の三の規定は、「会社その他の法人又は団体」というものが寄付をすること自体は禁止をいたしておりませんが、その寄付をする際に、そこの役職員あるいは構成員である人が公職の候補者等である場合に、その人の名を使って出すということを禁止しておるわけでございます。したがいまして、団体自体がやることは差し支えない。  ところが私どもとしては、その「会社その他の法人又は団体」という場合に、国あるいは地方団体が入るかどうかという点については従来から議論をしておったところではございますが、一つの考えとして固まっておりますのは、それはこういう「会社その他の法人又は団体」には含まれないという解釈でございます。一つの根拠は、まあ法律としては国、地方公共団体というのは一応使い分けてあるということと同時に、国なり地方公共団体というものは一応国民なり住民なりからの負託に応じて行政を行っておる、行政の必要としていろいろな自治功労者の表彰とかなんとかあるような場合に賞状を出す、あるいは賞品を出すということがございます。その場合に賞状そのものは寄付というには当たらないと思いますが、賞品はやはり一種の寄付であるということには変わりないわけでございます。しかしながらいま申しましたように定義としてはずれておるから、まあほかの会社等のごとく、それは仮に知事の名前が入っておったとした場合でも直ちに違法とは言えないということでございますけれども、ただ今回の法律の改正趣旨から見て、特に条例なり何なりできちんと決まってない形でも、一般の行政として寄付をされる、賞品が出されるということもございますので、そういう点については十分ひとつ法の趣旨考えてそれに対応したやり方をしていただきたいということを、私どもとしては実は各方面に指導をしておるわけでございまして、大多数のところ、その線に従って行動されておるというふうに聞いておるわけでございます。
  56. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それは非常にあいまいなんです。趣旨に従って対応していただくように指導しておると言われましたけれども、実際問題としてそれがそのとおり行われておるかというと、そうではないわけですね。たとえば参議院選挙というものを考えた場合、これはもう任期が決まっておるわけで、そうした任期が決まっている選挙になりますと、そのぎりぎりまで出馬を表明しない場合だてあるわけですよ。その間には知事としてでも市長としてでも候補者と見られない状態でおって、そのぎりぎりになって出馬する。こうした場合に、完全にもう本人だけが意識してやっていることですから、他にはわからない、しかし合法的だということで不公平が出てくる。  だから、この地方公共団体の首長という立場の人たちのそうした寄付行為、こういうものに対して一考をする必要があるのではないかと私は思うわけですけれども自治大臣これはどうでしょうかね。
  57. 福田一

    福田(一)国務大臣 確かに私は疑義がある面があると思うのですね。だから一応こういうふうに、いま事務が言ったようにしてやっておりますが、将来余り問題が出るようであれば、たとえば県知事という名前だけでしか出せない、何々という名前はもう認めないというようなことも考えてもいいのじゃないか。もともと知事としてやることであって、その知事じゃなくて出すわけにはいかないですからね、賞状でも。だから、そこのところに名前を抜いて出すべきであるというところぐらいまでは、余り弊害が多いようであれば将来考えてみたいと思っております。
  58. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、候補者等寄付禁止されたわけでありますけれども、会費ならばよいということで、たとえば祭りの場合、何々祭協賛会というようなものをつくる、集会所のような建築物を建てる場合の寄付ならば何々建設実行委員会とか、そういう名前の団体をつくる、その他何々を守る会と、さまざまな名目で会をつくって、その会費としてお金を集めて寄付に肩がわりする、こうしたことが行われる可能性がある。すでにそうした形で行われておるところも出てきているということでありますけれども、こうしたことは自治省としてどのように判断されるか、お伺いしたいと思います。
  59. 土屋佳照

    土屋政府委員 社会の中にはいろいろな実態がありますから一概には言えないと思うのでございますけれども、たとえば一定の行事といったようなことを継続的、反復的に行うために実質的に会員制度による団体をつくる、会費によってその会を運営し維持し、そしていろいろな行事を行うといったような場合には、必ずしもそれに出しておる会費は寄付とは言えないと思うのでございますけれども、まあ一応会費の名義で出されるものでございましても、それが特定の目的のための贈与的性格を有する、それを通じて寄付をやるのにただ名前だけを使っておるというような場合は、これは実質的な判断としては寄付に当たるというふうに解されるわけでございまして、今回の改正法に違反をすることになるというふうに考えるわけでございます。  まあ実体上どういうものがあるか、いろんな例があると思うのですね。お祭りの寄付をやる場合でも何か会さえつくればいいかということになりましょうが、今度は逆に、毎年あるいは毎月やっておるということで本来その団体が実質的に活動していろいろなことをやっておるという場合は、似たような形態でも、あるいは一種の団体の会だと言える場合もあろうかと思うのです。ただ一般的にはどうも名目だけで通り抜けでやるという場合には、これはもう実質的に寄付だというふうに判断せざるを得ないのではなかろうかと考えております。
  60. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  61. 小澤太郎

  62. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 自治省報告やら先ほどの質問を聞いていなかったので、若干重複するところがあると思いますが、本日は公職選挙法施行になって初めての委員会であります。方々からわれわれのところへ連絡が来るわけであります。まだポスターがかかって、ベニヤが裏打ちされてあるが、あれはあなたから説明を聞いたところに関する限りは非合法じゃないか、しかるに施行前からかかっているものも撤去しないし、施行後にまた新たにどうも疑わしいポスターが出てきた、こういうようなことを方々から聞くわけであります。われわれは選挙区へ戻ったり、全国あちこちに引っ張り出されて選挙法のことをよく説明してくればくるほど、どうも紛らわしいものがたくさん出ておる、こういうように出てきているわけであります。  先ほどの答弁では、二十二県において警告をした、こういうように聞いておるわけですが、選管はそれに対してどういう取り組みをしているか、あるいはこれは、警察庁は見えておるわけですか。——警察庁はどういうような対処の仕方をしているか、改めてひとつ御答弁をいただきたい、こう思います。
  63. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、全府県においてほとんど調査というものを終わり、それもまあ警察協力の上で調査を終わったわけでございます。数県がまだ全部終わってないというぐらいで、これも近いうちにはほぼ終わるだろうと思っておりますが、それに対応して実質的な意味での警告というものはもうかなりやっておるわけでございます。  先ほど二十二県程度と申し上げましたのは、これは現実に選管としての権限を持った撤去命令というものを出しておるという形のものでございまして、しかし直ちにそういうことによって罰則で担保をするということのほかに、警告をすることによって正しい姿に早くなってもらう、これが望ましいことでございますので、その点については十分注意をして実際に行動さしておるつもりでございますけれども、現実はいま申されましたように、私自身でも見たところまだ十分に行き渡っていないという点がございます。  しかし、やっと一通り調査も終わって撤去命令も出し始めた段階でございますので、速やかにその趣旨徹底するように一層努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  64. 土金賢三

    土金政府委員 法施行後一カ月の十一月十三日現在で、私どもの方でまとめた数字をもう少し詳細に御報告申し上げますと、警察から選挙管理委員会へ、これは全国的な数字でございますが、違反として通報した文書図画は一万五千八百二十六件、十四万五百七十二枚でございます。そのうち選挙管理委員会の方で撤去命令を出した旨法律に基づきまして警察に通報があった文書図画は四千三百七十一件、二万六千四百十五枚でございます。  それから、選管から撤去命令が出された中で、選管の撤去命令に従わないものに対して警察が重ねてさらに警告した文書図画の件数でございますが、これは百二十三件、二千四百二十枚でございます。  大体そういうふうな状況でございます。
  65. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 警察の方から選管へ注意を喚起したか通報したというのが一万五千八百二十六件、そのうちに選管が撤去命令を出したのは四千三百七十一件、こういうようにいまお聞きいたしました。そうすると、あと一万一千五百件何がしというものはまだ選管からは撤去命令も出していない、放置のままだ、こういうように理解をしていいですか。
  66. 土屋佳照

    土屋政府委員 警察の数字についてのことでございますが、通報がございましたのは、まさにその時点においては違反があったという形で残っておるわけでございますけれども、それに基づいて実質的に警告等も出しておるわけでございますから、どんどん片づいていっておるものもあると思うのでございます。まだ残っておるのもあろうかと思いますが、その両方がその差になってきておるということで、この差が全部残っておるのだというわけではないというふうに考えておるわけでございます。法律上の撤去命令は出さない、しかし、そういうことが通報もあって、連絡をとってどんどん撤去されておるものもある、そういうものも含まれておるのだ、そういうふうに理解をしておるわけでございます。
  67. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今度は警察庁の方へお尋ねしますが、これは違反の文書図画というのは、まずワンステップとしては選管が撤去命令を出す権限があるから、まず第一段階は選管へやるわけですか、警察から直接ストレートで警告なり何なりしますか。
  68. 土金賢三

    土金政府委員 警察といたしましては、これは法律にも書いてございますが、法施行以前にそういったものが出されておってそれが違反となっておるものが相当あるわけでございますが、こういうものにつきましては法律によりましてまず選挙管理委員会の方へ通報する、選挙管理委員会の方から撤去命令を出して、それから警察の方の取り締まり段階になる、こういうふうになっておりますので、それに従っておるわけでございます。
  69. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、警察からはストレートではまず以前からのものについてはやっていないで、選管へまず通報して、選管から撤去命令を出してもらう。先ほどの警察庁の御答弁の中には、それでもまだ従わないところ、明確なことのようですが、それが百二十三件ある、こういうことになれば、それに対する対処の仕方——これは従わないもの、明確なものを数字として百二十三件、何千枚とこう聞いたわけですが、そういうものは警察としてはどういう取り締まりをするのでしょう。
  70. 土金賢三

    土金政府委員 そのほかになお、先ほど申しおくれましたけれども、悪質なものにつきましては、たとえその前のものであっても警察から直接警告するというふうな件数もこのほかにございますし、さらに、撤去をなるべく早くする、こういう趣旨で、なるべく撤去命令によって撤去されることを私どもも期待し、選管とも十分そういった連絡をとってやっておりますが、それでもなお従わない者については、私どもといたしましても検挙する所存でございます。
  71. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣、ここでちょっと提案があるのですが、実はなかなか説明の仕方によって、政党の演説会その他で弁士何々としたものについては、これはベニヤの裏打ちをしてよろしい、個人後援会式のものはベニヤの裏打ちをしていけない、こういうようになるので、その境のところが大変あいまいなものがあって、われわれ自体としても、一体これは確認団体がやっていることなのか、個人後援会がやっておるものなのか、そのポスターのわきに小さく図書の販売の広告もあるから、おやこれは図書の販売、商業宣伝のものか、なかなか判定しにくい、正直に言って。そういうものが多々あるのを、片や警察庁から、片や自治省からそれぞれ言っても、末端へいけばなかなか解釈について食い違いがあって、警告を出すの、それ撤去命令を出すのということについてちゅうちょしているところもあるのではないか、これはまあ善意に解釈をして。それに山田先生からよく提案があります、選管の人的その他の体制もないというようなことも手伝って、この法施行に当たって混乱している面がありはしないか、こう思うわけです。  そこで私は、大臣提案をしたいのだが、いま出されているベニヤの裏打ちのポスターを、これはまあ一種類何千件かあるのは一個とってくればいいわけですが、これを選管と警察とで全部代表的なものを写真を撮ってきて、これはいい、これは悪い、悪いと決まったものは直ちに撤去させる、こういうようにしないと、これはせっかく法律ができてもその権威がないようなことになってしまうのではないか。  きのうも実は私のところへ電話がかかってきた。ほかの候補者と目される者はこういうポスターがかかっているが、小沢さんの説明によればあれはいけねえはずだ、いけねえはずのものが二週間でも三週間でもかかっているということになればこっちでもやらなければいけねえが、小沢さん、ポスターを印刷して始めていいかい、こういうように私の支持者の中から言ってくるわけであります。だから、悪貨は良貨を駆逐するというようにだんだんなっていってしまうと思うわけです。  そこで、この際は少し警察自治省と選管がひとつ手分けをして、全国にあるポスターの種類、一枚だけ張ってある人はいないのですから何百枚もまだ張ったり残したのがあるわけですから、それを写真を撮ってきて、一週間以内なら一週間以内に警察自治省で判定してみて、これはこういうことではいかぬ、これはこういうことでよろしい。いかぬと判定したものは直ちにそれこそ法の厳しさで撤去させる。こういう節目をつけたことをやらないと、あっちがあれをやって十日でも二十日でも何とも言わない、それじゃこっちでもやれ、こっちでもやれということになってみんなやり出せば、取り締まりの法がない。なしくずし的にこの法というものは崩されていってしまう可能性があるので、大臣にそういうことを一つ提起する。金はそんなにかからぬ。フィルムを撮って、代表的なものをみんなで手分けをして警察と両方でやればいい。そして持ってくる。一週間後に判定をする。そのくらい厳しくやるべきものはやらなければいかぬ、こう思う。どうですか。
  72. 福田一

    福田(一)国務大臣 実は写真機をみんな持っているかというと、写真機を持っているわけでもないし、選管じゃとてもできないですから、警察の方が人手がありますから、警察でやればやれないことはないのですけれども、写真機をみんな持たして現像までやらせるというようなあれにもなっていませんが、いまのところわれわれとしては徹底してやっているつもりなんです。ちょっと名前を言わぬで知らしておいてもらいたい、小沢さんが何もだれのことを言うたなんというのではなしに。小沢さんがいま言われたからどこの選挙区かということはすぐわかるから、これはちゃんと調べてやることはできますが、これはやり出してから一生懸命私はやっているのですけれども徹底しないのは大変残念でありますが、もうちょっと待ってください。もうしばらく時をかしていただいて、それで今度はその間やる、どうしてもいかぬということになればそこで考える、こういうことにさしていただきたいと思います。
  73. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは先ほど口頭で言っていただいたことをちょっと数字で、どこの府県というだけでいいわけです、どこの府県においては警告をどういうように出した、警察庁においては選管へ一千何百だか四千何百幾らだか口頭で言ったというものを、県別にひとつ資料を出していただくことをこれはお願いをいたします。委員長、取り計らっていただきます。  それが一件と、いま一つは、私がそういうことを言い出したのは、選挙法が施行された後に新しいベニヤ板の裏打ちが出てきているのですから言うわけです。前からのものは、人手が足りなかったりいろいろして村の片すみに一枚や二枚残っているのについて私は言っているわけじゃないわけです。選挙法が施行された後に、新しく違法と思われるベニヤ板の裏打ちしたものがたくさん出てきて、おやいいのかいという問い合わせがたくさん来るものですから、よほど徹底したことをやらなければこの境があいまいだ、こう思われるから、特別にいま申し上げているわけです。
  74. 福田一

    福田(一)国務大臣 新しくやったのについてはすぐに警告をして、そしてすぐに責任者を呼んで、場合によっては告発してもいいと私は思っているのです。それくらいのつもりで警察の方を指導したいと思っておりますから、もうしばらく待ってください。
  75. 小澤太郎

    小澤委員長 先ほど小沢委員から要求されました資料、警察自治省で提出できますか。——提出してください。
  76. 土金賢三

    土金政府委員 提出いたします。
  77. 小澤太郎

    小澤委員長 委員長に提出してください。
  78. 土金賢三

    土金政府委員 はい、
  79. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それから次は、みずから決めたことはみずから自粛すれば大変いいことですが、私たちこの前の公選法理事会で、年賀状というものは公選法の中に入れることになじむかなじまぬか、そういうことについてまた自治省はひとつ検討してくれないか、こういう申し合わせがあった記憶があるわけです。その後、議院運営委員会で、公選法施行されて大変自粛ムードの中だから、ひとつ国会議員は年賀状を出さぬように厳重に申し合わせよう、こういうことで各党の間で話し合って持ち寄ったり何かしている間にだんだん出てきたのは、われわれは申し合わせをしても新人にどんどん出されれば追われる身で気が気ではないが、こういうような問題も出てきたわけであります。したがって、公選法の中に、候補者または候補者となろうとする者、公職にある者を含む、こういう者は年賀状やそういうものを出してはいかぬぞ、こう決めれば、新人までカバーをしてまことにいいわけであります。これはなかなかなじまぬだろうとは思うのだけれども、それについての研究の結果をひとつ選挙部長から御発表いただきたいと思うのです。
  80. 土屋佳照

    土屋政府委員 先般理事懇談会でそういったお話がございまして、私どもいろいろ内輪で検討したわけでございます。年賀状あるいは暑中見舞いといったものは従来から慣習としてなされておる一つの社会的なあいさつ行為でございます。そういったものをどう考えるかという場合、選挙に照らして考えれば、それが規制できるということは、要するに選挙の公正を害するからだという点からだと思うのでございます。そこで選挙の公正を害するという点で規制できる範囲はどこまでだろうかということを考えてみますと、やはりその中身が選挙運動に使われるといったような形が考えられる。これは現行法でも事前運動等で禁止をされておるわけでございます。それからもう一つは、一般のそういったはがきでございましても、不特定多数に選挙運動といったような態様でまかれますと、これも一つ公選法ではいけないことになっておるわけでございます。さらにまた、選挙期間中になりますと、百四十六条でそういった年賀状等は禁止事項として規定がされておるわけでございます。  そういった現行法上の禁止体系というものがすでにできておる以外に、どうもやっぱり抜けていくから全般的に規制をしてはどうかというような御意見、これもわかるような気がするわけでございますけれども、基本的には、先ほど申し上げましたように一般的なあいさつ状でございますから、選挙に関しない場合についてまで全部規制をするということは非常に理屈がつけにくいのではないかというような問題がございまして、表現の自由とかどうかというような大きな議論まではしなかったわけでございますけれども、やはりそういう世間並みのあいさつ行為を全部禁止というのはちょっと法の規制としてはなじみにくいのではなかろうか。  それならば寄付行為等についてもかなり言われておるじゃないかという議論もあるわけでございますけれども、これは一つの財産的な価値のあるものを贈るということによって選挙に結びつきやすい、そういった点で異なるのではないか、あいさつ状そのものはどうもそういったものとは少し性格が違うのではなかろうかということで、いろいろ国会での御議論もおありかと思いますけれども、私どもとしてはどうも消極的に考えざるを得ないというのが現段階における結論でございます。
  81. 小澤太郎

    小澤委員長 小沢君、大臣の時間が二時四十分までということですから、どうぞ。
  82. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは大臣最後に一つだけ。  先ほど山田委員から質問がありましたが、参議院地方区定数是正であります。大臣答弁を聞いていると、共通の土俵がまだできぬということと与党がまだ意見が一致していない、だから容易に取り組めない、こういうような御答弁であったように考えるわけです。ただ、衆議院定数参議院定数はいつも連動だか約半分とこういうことになっているから、衆議院が二十名ふえたといえば、十名がいいかどうかわからぬが、もう半分ぐらいはふやすのがあたりまえだと思うし、最近の世論の中にもそういうのが大変大きく出てきているわけです。だから、与党がまとまらぬというだけではなくて、この参議院地方区のアンバラ是正については省内においてももっと積極的に検討をするように、これは大臣から指示されてはどうでしょう。ひとつ大臣の前向きの取り組みを要請をするわけです。
  83. 福田一

    福田(一)国務大臣 これは政党内閣でございますから、実際言えば総理、総裁からそのことを言うてもらうのが筋だと思いますが、私からも総理の方へいまのお話をよく伝えて善処させていただきたいと思います。
  84. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃ要望だけ一つ。自治省だか選管でもって寄付禁止のきれいなリーフレットをたくさんつくってくれたようです。あれは三百万枚とかなんとか聞きました。ああいうことは大変効果があって、もう公職にある者から寄付をもらえないんだということはなかなかよく浸透してきているようであります。でき得べくんば三百万枚なんて言わないで、もっと一千万枚でも何でもたくさんやって、あれはもっと徹底をしてもらうように要望をしておきます。
  85. 福田一

    福田(一)国務大臣 承知をいたしました。
  86. 小澤太郎

  87. 山田芳治

    山田(芳)委員 まず第一に、これは大臣に伺おうかと思ったわけでありますが、立札看板の項であります。  後援会一つについて十枚、こういうことの制限政令でできたわけであります。ところが後援会をつくるのは結社やその他の自由だから、それぞれ独立の後援会があればそれについて十枚だ、そうなら十の後援会をこしらえれば百枚の看板が出せる、また市町村別にそれぞれ独立した後援会をつくれば、それは当該町村ごとに十枚衆議院の場合には立てられる、こういうことは、これはわれわれがこの公選法を審議したときの趣旨からいうと、そういうことではない。  結社やそういう後援会をつくる自由というのは憲法に保障された自由であるから、つくっていっていいわけであります。ただ、当該公職の候補者あるいは候補者となろうとする者あるいは現に公職にある者は、看板の類は少なくとも結社の自由がどうあろうとも、候補者間の平等なり選挙の公正を確保するために、当該事務所については一人について十枚、また後援会については氏名が出せるものは十枚という趣旨であるというふうにわれわれは考えておるし、それがまた金のかからない選挙のたてまえから必要だというふうに考えたわけでありますが、その後聞いていると、独立さえしていれば、後援会活動が独自であり、そういう実体を備えておれば十枚を立ててもよろしい、範囲外であるということで、すでにそういう状況で各地の都道府県の選管に申請がなされているということを聞いております。  私自身は、独立しているあれがあっても、やはり十枚にすべきだという考え方で十枚しか申請をしておりませんけれども、これはやはり結社の自由と看板を立てて公正を図ることとは別個に考えていくべき筋のものではないかというふうに思うわけであります。そういう点について一体どう考えるか、自治省からお答えを願いたい。
  88. 土屋佳照

    土屋政府委員 今回の改正は、いまさら申し上げるまでもないわけでございますけれども、従来は禁止をされてはいなかったけれども、余りにも候補者等立札看板等がエスカレートしていくといったようなこともございまして、一定の制限をかけるということになったわけでございます。  そういった意味では、かけられる、禁止のできる範囲というのはどこまでだろうかということが議論になるわけでございますけれども、今回の法律で規制になりましたのは、要するに候補者ごとの事務所それから候補者を支援はしておるけれども、その人を支援をしておる別途の存在である政治団体、そういったものについて事務所を持っておるなら、ここが事務所であるというぐらいのことはかけるのは当然だ。しかしそれが余り広がってはいけないということで、一定の枚数その他の制限を付したということになるわけでございます。  そうなってまいりますと、やはりお話の中にもございましたけれども後援団体は、これは独立の政治団体でございますから、同一の候補者を推薦、支持しておるということでございましても、その団体ごとには構成員とかあるいはまた政治活動内容ども異にしておるということもあるわけでございます。そこで、たまたまある一人の候補者をこの団体もこの団体も推しておるからということで、一律にそっちの面から制限するというのは適当ではないのじゃないか。また、候補者等との関係で複数の後援団体が組織されること自体を制限されるということは、やはり先ほどのお話のございました結社の自由といったこととの関連もあるので、慎重に考えるべきではないか。  もちろん、実体が本来一本であるのに、それをよけい掲げるために何か名目だけで分けていくということになると、それは若干脱法的な行為になると思うのでございますけれども、基本的に名が出ておるのは、別な団体であっても全部一緒でなければならぬのだという合理的な根拠がないわけでございまして、やはりある団体が独立して存在し、事務所がここだということで外部の人が来てわかるような存在を知らせる看板というものは、一定数範囲内で認めざるを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  89. 山田芳治

    山田(芳)委員 そういうことだと、皆編成をし直して、縦割り、横割り、市町村別割りに、あるいは山田芳治を励ます労働者の後援会、あるところは山田芳治を励ます婦人の会というのをどんどん別個に組織して、というより組織してもらってもらってというか、自主的にしてもらっても結構ですけれども、後援会の組織を縦割りなり横割りに、しかもそれは政治資金規正でちゃんと届け出るということにしていけば、それは五十や六十できますよ、町村ごとにやればいいのですからね。  だから、そういうことの趣旨ではないのであって、言論、結社の自由というものは別途保護されていくべきだけれども、当該候補者たらんとする者の名前を書いた看板の数を抑えていこうではないかという趣旨だと私は思うわけで、現在の法律の中でそれがおかしいというなら、新しく立法でもわれわれとしてもひとつ提案したいと思いますけれども、そういう趣旨ではなくて、選挙の公正なりあるいは金のかからないために、なるべく看板などというものは、当該候補者たらんとする者の氏名を書いたものは制限をしていこうというのかこの法律の発想のもとではないかと思うのですが、重ねてひとつお答えをお願いします。
  90. 土屋佳照

    土屋政府委員 確かにおっしゃいましたように、候補者の名前が無数に出ていくといったようなことでだんだんそういった文書活動がエスカレートしていくということは、金のかかる選挙を防止するという面からも好ましいことではないと思うのでございます。そういった意味で、確かに今度の選挙法の改正、この文書図画に関する規制というものは行われたわけでございますけれども、ただ、繰り返しになるようでありますけれども、一つの団体というものが、事実その政治団体としての実体を持ち存在しておる限り、自分の事務所はここであるということを掲げること、これを禁止するということは、たまたまその後援団体の名前に共通の名前が仮に出ておったといたしました場合でも、それのゆえにその団体としての存在を示すための標識をかけてはならないというところまでは、ちょっとむずかしいのではなかろうかという気がやはりするわけでございます。現実問題としては、まだ選管の方へ標識をもらいに来ておる例は少ないようでございますが、実際上そういった事務所が少ないからだと思うのであります。  ただ、いまおっしゃいましたように、そういうことが非常に脱法的に——脱法的と言いますか、実際あるにいたしましても、そのために禁止する前よりも、むしろ十枚認められるのだからということでどんどんかえって広がっていくというような実態が出るということになれば、これは一つの問題点だろうと思います。そういった状況等が出てくれば、そのときに、どう考えるかということはもう一度議論をしなければならない事柄だろうというふうに考えております。
  91. 山田芳治

    山田(芳)委員 結社の自由ですから、その内容に立ち至って判断するというようなことは、公権力を持った者がやることは厳に慎むべきことだと思うのですよ。だから、少なくともそういうものは形式的に選挙の公正あるいは金のかからぬ選挙の立場から立法政策としてやるべきものであって、本来的に結社の自由を侵すようなことを前提として、実体がないとかあるとかということを調べたらなかったから数が多いのはおかしいと、そういう判断をすると事がややこしくなるのであって、そうではなくて、要するに当該候補者たらんとする者の名前が出てくるというところを形式的に縛っていくというのが選挙の公正であるべきものであって、結社の自由の内容が、実体があるとかないとかという問題との関係で判断をしていくということは、これはとんでもないことなんです。そういう点までわれわれは要求しているのじゃないので、少なくとも形として言論、結社の自由というものとは関係なしに、それはそれで自由に認めるけれども、当該候補者となろうとする者の氏名なり類推するような名前のものを形式的に縛っていくという立法政策の問題だというふうに考えるわけで、実体があるからというようなことを言い出すとこれはややこしくなるということは、念を押して申しておかなければならぬと思うのです。  この点については、われわれとしては、後援会は十枚という形で、当該公職の候補者となろうとする者の名前を冠した看板というものは一人の候補者について十枚というふうにすべきであるということを強く要求をいたしておきます。いずれまた大臣にも質問をし、必要であればまた理事会等に諮っていきたいと思いますので、次に進みます。  次に、寄付行為の中で、いわゆる通常社交の程度社会的な通念であるとか交際の範囲というものの解釈というものは千差万別であって、自治省ではなかなかこの解釈ができない。  人によっても違うし、場合によっても違うということであるようでありますが、そういう点、たとえば名刺広告をこれから年末に向かって出しますね、そういうような場合には、一体これはどう考えるか。祝電や弔電は、これはもちろん問題にはならないというふうに思うわけでありますが、先ほど途中でやめましたけれども閣議でも出ておったようでありますが、結婚式の場合は会費ならいい、香典の場合は一体どうなんだ、という点についての解釈等についてはどうもはっきりしない。そういうところをもう少しはっきりさせる必要があるのではないかと思うのですが、これはどうでしょうか。
  92. 土屋佳照

    土屋政府委員 公職選挙法では、御承知のように、特定の場合を除いては一切の寄付禁止しておるわけでございまして、そういった寄付に当たるか当たらないかということの解釈としては、いろいろ千差万別の態様でございますから、判断はむずかしいと思いますが、それはおのずから法的に結論が出るものだと思っております。ただ、それをすべて罰則をもって担保するかどうかということになりますと、いろいろ問題がございますので、ただいまおっしゃいましたように、罰則をかけるときは、選挙に関して寄付をした場合はいけないのだということにしておりまして、そうして通常一般の社交の程度を超える寄付というものは選挙に関するものとみなしますよということで罰則を適用するということになっております。  そこで、その接点で、どこから罰則がかかるのだということが非常に問題になってくるのだろうと思いますが、いまもおっしゃいましたように、その寄付の金額とか相手方とか、また渡した場合のいままでの相手方との交際の状況といったようなことから社会通念上社交の程度と認められる程度である、こう言わざるを得ないわけでございます。したがって、何ら交際もなかったが、関係もないのに急に売名的な意味で花輪を贈った、香典を贈ったとなると、やはりそれは一つの社会通念を超えるのだということになってまいりましょうし、たとえば五千円程度のものであるところへ五万円出すといったような場合でも、これも通常社交の程度を超えるというふうに見ざるを得ないわけでございます。  しからば、いろいろなことについて、この点についてはこれくらいが通常一般の社交の程度であると言えるかとなりますと、同じ行為でもいろいろ違うと思うのであります。たとえば結婚式一つとりましても、田舎でやる場合、それからまた同じホテルでやる場合でも、東京の非常に有名なホテルでやる場合、いろいろ問題が出てくるでございましょうし、そういった意味からおのずから、そこでやる場合はこれくらいという通念、相場というものがあると思います。それをもとに判断せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。  そこで今度は、それに続いての寄付内容についての若干のお尋ねがあったわけでございます。たとえば名刺広告といったような例を出していただいたわけでございますが、これもいろいろの形態がございます。普通の新聞に名刺広告を出す場合もありますし、どうかと思われるような新聞もありましょうし、あるいはお祭りや何かでプログラムなんかをつくった、町内会で名簿をつくった、そういった場合に名刺広告というものがございます。いろいろ形態があるだろうと思います。  しかしながら、これは率直に申し上げて、判定は非常にむずかしいと思うのであります。新聞等については、この新聞については一般的に何段どれくらいのものであれば何万円あるいは何千円といったような相場というものがございます。そういうように適正な価格で適正に広告を出してもらう。そのスペースを買うことによって広告を出すという目的がちゃんと契約の上で結ばれて実行されれば、それは対価を払ったということで寄付にはならないと思うのでありますが、通常、後段で申し上げたような事例については、ひとつその会に協賛してくれというような意味での協賛費、賛助費といったようなかっこうで出される場合がある。そういうたぐいのものは、仮にそのかわり名刺広告が出ましたといっても、やはり寄付の概念に入る例が多いのではないかというふうに私どもは解釈をし、そういう指導をしておるところでございます。  そのほか、祝電、弔電の話がございました。これは寄付という概念には入るまいと思います。  結婚式についても、会費制であれば、当初から問題はございません。ただ、結婚式についても、法律上は、祝儀については、祝儀は出してはいけないとなっております。そこで披露宴に出て飲食物も食べるといった立場上、それに見合う実費程度はひとつ出させてくださいということで相手方にお渡しをする。そこにもおのずから相場というものがあろうかと思いますが、そういう実費程度のものをお出しになっていく場合は、それは特に寄付には当たらぬだろうということでございます。  まあいずれにいたしましても、人間の生活全体の中で起こってまいります非常に複雑な態様の寄付行為でございますから、具体的な事例は、私どもが想像しないようないろいろなものが出てくるかもしれませんけれども、そういう考え方で事例に応じて判断せざるを得ないというふうに考えております。
  93. 山田芳治

    山田(芳)委員 候補者たらんとする者の問題も非常に問題があるわけであります。候補者になろうとする者の判定ですね。それの時期とか基準については一体どういうふうに考えているか、この際明確にしていただきたいと思います。
  94. 土屋佳照

    土屋政府委員 候補者となろうとする者というのは、これは従来から選挙法にある言葉でございますけれども、これまた言葉の上からは明確に出てまいりません。実際にその実態から判断する以外にないと思うわけでございますけれども、みずから立候補する意思を表明しておる者、こういうものは当然入ると思いますし、あるいはある党でも公認をしたということで活動しておられれば、これも当然候補者となろうとする者だということになろうかと思います。しかしそれ以外でも、必ずしも本人の立候補の意思表明がなくても、その人の行動等から観察をいたしまして、客観的に立候補の意思を有しておると認められる者もこれに当たるというふうに考えられるわけでございまして、それではいつの時点から立候補予定者と認められるかということになりますと、具体的な事例に即して判断せざるを得ないわけでございます。自分の氏名を普及宣伝するために、ポスターの掲示が非常に盛んになった、寄付なりあいさつ行為等がどんどん行われるということになりまして、本人はまただと言っておっても、社会通念上、立候補の意思があると認めざるを得ないというような事例もあろうかと思います。そういうときには、そういう行動が客観的に外から把握できる時点から立候補予定者ということでいろいろな規制がかかってくるというふうになろうかと思います。
  95. 山田芳治

    山田(芳)委員 はっきりせぬわけですね。結局、判断の問題というものを客観的にやるのだということでございますから、非常にむずかしい。しかも、これがまた当局だけで判定をするということは非常にむずかしいと言わざるを得ない。基準は結局ない、こういうことで、具体的な問題でケース・バイ・ケースしかない、こういうことですね。
  96. 土屋佳照

    土屋政府委員 具体的に判断できる段階はあると私は思うのでありますが、言葉ではなかなか言いあらわせにくい、こういうことでございます。
  97. 山田芳治

    山田(芳)委員 じゃ次の二、三点について伺います。  ポスターの裏打ちの個人ポスターか政党のポスターかという問題でありますが、たとえば日本社会党の何々県演説会という場合に、弁士として候補者氏名を羅列した場合に、当該選挙区の候補者氏名候補者に立とうとしておる者の氏名の羅列だけではこれはいかぬのだというようなことを選挙課長が十月の二十八日に発言をしているのでありますが、そうじゃなくてわれわれはやはり当該選挙区の候補者氏名であってもそれが弁士として羅列をしている、しかも政党の演説会のポスターである限りいけないというのはおかしいのではないかと思うのが一点。  それからその次に、選挙期間中以外の時期に乗用車のボデーに名前を書いているものですね。これはペンキ等で書いているというのは一体適法なのかどうなのかというこの二点についてひとつ伺いたいと思います。
  98. 土屋佳照

    土屋政府委員 御承知のように、今回この立札看板等規制がございますのは、候補者等個人の事務所等の場合と、それからその人を支援しておる公選法百九十九条の五に定義がございます後援団体についてのみでございます。したがいまして、政党というものは後援団体には入らない、したがって、そのポスターというものを出す場合に裏打ちをしたものを禁止してないということは言えるかと思うのでございますが、ただ、その氏名を記載したものを裏打ちをして使用する場合に、結局その中身がまさにこの政党の政治活動としてのものであるのかないのかということになってくるわけでございまして、そこでそこに書かれた名前がどういうことになっておるかということで判断せざるを得ないわけでございまして、結果的にはそれもケースによって考えなければいけないと思うのでございます。  たとえば文字の大きさ、特定候補者、そこの選挙区の候補者だけの名が特に大きく出ておるとかということになりますと、後援会の名前よりもそっちの方がよけい大きく出ておるといったようなことになりますと、それは政党の告知用のポスターであると同時に、むしろ重点としては本人自身の政治活動用のポスターとして使われておるというふうに判断される場合もあるわけでございます。そうなると、そっちの方は裏打ちしたものはいけない、こういうことになってくるわけでございまして、そこでその意味では、いまおっしゃいました候補者等の名前が記載をされておるという場合に、その大きさその他のほかに、またどういう方が載っておるのだろうか、こういう場合に政党ではなくて本人の政治活動用かあるいは選挙運動用の文書になるのかならぬのかということの判定がもう一つ出てくるわけであります。  たとえば、その地区の候補者だけの名前が弁士として出ておるということになりますと、もっぱらその人が自分の名を売るためにやっておるのじゃないか、こういう判断もおのずから出てくるだろうと思います。複数であればどうかということになりますが、弁士が複数で並ぶということはいいわけでありますけれども、その場合でもまさに当該選挙区の、そこを選挙区としておる人だけの名前が出ておるということになりますと、若干問題が出てくる。まさに選挙区の人だけの名前ではないかということで、その点は本人の政治活動あるいは選挙運動とまでは申しませんが、政治活動としてのポスターではないかという問題が出てくると思います。もちろん、一般の形で、政党の政治活動だということが大きく出ておって、普通の方と一緒に、その他の地区の方等も並んで出ておるというような形であれば問題ないと思いますが、その場合でも、申し上げますようにその選挙区の人だけ特に大きく書くということになれば、複数であってもまたそこが問題になってくるというようなことで、実態に応じて判断せざるを得ないかと思うのでございます。  それから、第二の乗用車のボデーに名を書いておるのはどうかということになりますが、これはやはりボデーそのものの材質を使って書いておるわけでございますから、これは立札看板のたぐいに入るというふうに判定せざるを得ないと思います。
  99. 山田芳治

    山田(芳)委員 前の方ですね。だけれども、たとえば私が私の選挙区で国会・府市会報告演説会というのをやる場合に、私も当該選挙区の候補者であり、府会議員も当該選挙区の候補者であり、市会議員も当該選挙区の候補者である。それが同じ名前に羅列している場合に、当該選挙区で府市会なり国会報告演説会をやるのはあたりまえのことであって、他の府会議員が来るならもちろんそれは結構でありますけれども当該選挙区におる府会議員が当該有権者に対して府会の報告市町村議会報告をしていくということはまさにわれわれ政治活動として当然なんであって、それの羅列がいかぬということになると、これはまさに政治活動禁止する趣旨になるのではないか。当該選挙区の候補者の羅列はいかぬということになると、それは非常におかしいのじゃないか。むしろそうあることが政治活動ではないか。府会議員も国会議員も各級議員が一緒に出ていって市町村議会、府県会議員が議会報告並びに国会報告をするというのはあたりまえのことではないかと思うのですが、それはどうでしょうか。
  100. 土屋佳照

    土屋政府委員 率直に申し上げまして、それぞれの議員の方が政治活動をおやりになることは差し支えないわけでございますし、また政治活動用のそういったポスターをお張りになるということも差し支えないわけであります。ただ、それについては一体本人の政治活動なのか政党の政治活動なのか、そこのところによって裏打ちをした場合が違法になるか適法になるか、そこが境だと思うのです。だから、仮に裏打ちをされない場合ではあるいは問題にならないと思うのですが、裏打ちの場合に、政党活動といってもそこの選挙区の人だけが載るということになると、やはりその人個人のその場における活動になってくるのじゃないかというおそれが出てくるということを申し上げておるわけで、それ以外の人でも入っておればまさにその点は、もちろんその態様にもよりますが、比較的そういった問題がなくなるということで申し上げておるわけでございます。
  101. 山田芳治

    山田(芳)委員 しかし、府会の状況あるいは市町村会の状況当該選挙区から出ておる者が連名して同じ大きさで羅列をしてやることは、まさにこれは政治活動そのものであり、また有権者に対する当然の責任だというふうに思うのですが、何かそれが選挙運動に即結びつくと言うことの方がむしろおかしいのじゃないか。府県会や市町村はこの間選挙があったばかりですから、そういう人も報告をするということがその人の選挙活動だというふうにまで見るのは、あるいは衆議院の解散が近いから国会議員が入っているのはおかしいというのならまだ別として、むしろ国会議員も国会報告を当該地区の有権者にやるべきことが政治活動として当然になすべき義務だ、それが一緒に、市会議員ともどもやるということは当然のことではないかと思うのですが、どうです。
  102. 土屋佳照

    土屋政府委員 私の説明が足りなかったかもわかりませんが、そうしたことが本人の事前運動とか選挙運動的な意味で申し上げておるわけではございません。政治活動としては政党であろうと個人もおやりになることはできるわけですが、ただ法はきわめて割り切ってつくってあるものですから、政党の場合はよろしいが、個人のものについては裏打ちがいかぬ、そこの境目のところでどうなるかという判断の場合に、私がいま申し上げたようなことで、そこの選挙区の人だけになると個人的な色彩が強く浮かび出てくるのではないか、そういった意味で、選挙運動とは言えないかもしれませんけれども裏打ちポスターがいいのかどうかという問題が出てくるのじゃないかということで申し上げておるわけであります。
  103. 山田芳治

    山田(芳)委員 いや、もちろん裏打ちポスターの議論に集中しているので、個人ポスターはそうでない限りどこに張ったって自由ですからいいのですけれども裏打ちポスターの場合に、いま言ったいわゆる政党が主催をし、だから政党に所属する国会議員、府市会議員がそれぞれ数名同じ名前で弁士で出て、社会党何々本部主催国会・府市会報告会、弁士として国会議員だれだれ、当該選挙区の府会議員、当該選挙区の市町村会議員、こういう形に羅列しているのは、これはまさに政治活動そのものではないか、こういうふうに思うのですが、その点明確にひとつもう一遍お願いをしたい。
  104. 土屋佳照

    土屋政府委員 一人の場合は先ほど申し上げたようにはっきりいたしますが、複数の場合でもその選挙区の人だけというのが出ますと、やはり選挙区に関連があるからそういう人の個人的な名前が出てきておるのだというふうに見ていきますと、やはりその選挙区だけの人になりますと個人の政治活動用文書というふうに見られる場合も出てくるという気がするのでございます。
  105. 山田芳治

    山田(芳)委員 それは党の主体というか、それを大きくして弁士としてずっと羅列する程度であって、そんなに個人のというほどではなくて弁士として、大きくは社会党何々県本部主催市会報告会、こういうのが大きなのであって、弁士として横の方に当該選挙区を母体にした国会議員、市会議員を並べる、あるいは参議院議員も並べる、それがいかぬと言うのだったら、これは国会報告はなかなかできぬと思うのです。国会・市会報告ができぬのではないかと、まあ裏打ちポスターの問題で思うのですけれども、もう一遍重ねてお願いしたい。
  106. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほどからお話を申し上げておるとおりでございますけれども、そういった複数のものであっても、そこの地区だけのものになると、いま申しましたように、その本人の政治活動用氏名を表示した文書であるというふうに見られる場合が多いだろう、そういった意味では、あるいはどこか別な意味での委員長さんなり、その地区でない方の支部長さんなり何なり、議員でない人とか、そういったいろんな方がまじっておられればそういった恐れがないという意味において、その方がいいのじゃないかということで私は申し上げておるわけでございます。
  107. 山田芳治

    山田(芳)委員 どうもはっきりしませんね。いいのじゃないかという程度のものなら、それは取捨選択はこちらにはあるわけですから、それは私は政党活動だというふうに考えるわけでありますから、それでやるつもりですから、申し上げておきます。  それから、これはまことにけしからぬ例を二つばかり刑事局長さんに申し上げるので、きちっとしてほしいと思うのですが、いわゆる車に「社会新報を読みましょう」という看板ですね、これは先ほどの候補者もしくは候補者たらんとする者の氏名ではなくて、「社会新報を読みましょう」という看板を掲げるということで東京の葛飾署に許可を求めたところ、それは違反だというので許可をしてもらえなかったという例があるという報告を聞いております。これはチェックする方がおかしいというふうに思うので、一遍後で調査の上、ひとつ連絡を願いたいと思います。  それからその次に、これは愛知県の例でありますが、ガラス戸に内側からいまの個人用のポスターを張ったところが、これは裏打ちポスターだということでいかぬというふうに言われた、警告を受けたという例の報告が来ているのですが、これは個人の家のガラス戸に張るのは裏打ちポスターと関係ないはずなので、この点についても一遍調べた上で報告をしていただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。
  108. 土金賢三

    土金政府委員 調査の上、連絡申し上げます。
  109. 山田芳治

    山田(芳)委員 これで私は終わります。
  110. 小澤太郎

  111. 津金佑近

    津金委員 じゃあ簡単に一つお聞きしておきたいことは、先ほど大臣にお聞きした一般紙の頒布の問題に関して、労働組合間の問題に関する自治省の通達について質問したわけですが、その結果、労働組合間の場合は購入してそれを組合員に配布するという方法であればいいのだということが自治省としての最終的な考えだということでありましたが、これはあれですか、組合以外の団体の場合にもこういう考え方が適用されると、こういうふうに理解してよろしいですか。
  112. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほど大臣から申し上げましたとおり、通常の方法であったとしても選挙期間中は一般紙については有償でなければならない、したがって、その形態としてはその都度金を取る場合もございましょうけれども、前もって、こういうところは配ってください、こちらでその分まとめて払っておきますというような形でやる場合は有償制がかぶるだろうということでございますから、組合でなくてもほかの団体の場合でもそういう場合があり得るというふうに考えられます。
  113. 津金佑近

    津金委員 結論をはっきりしましょう。これはあなた覚えておられるか。私はこの種のものについて、この前の委員会のときに聞いたとき、やはりある団体がまとめて購入して配布するというふうな場合についてお聞きしたときに、あなたはそれはできないという意味のようなことを言われた記憶があるのですが、しかし、それはいいです。結論としては、いま言ったように労働組合のみに限らず他の団体であっても、いま言われたことできちっと購入して配るということであればいいと、こういうことでよろしいわけですね。——わかりました。  それから次に、いま山田議員が質問したポスターの問題でありますけれども、この裏打ちポスターの問題に関して自治省からいわゆる質疑集なるものがずっと出ていますね。その中で先ほどの裏打ちポスターの問題の場合、いわゆる政党の演説会の場合に候補者以外の者と併記してあるような場合は禁止の対象にならないのだということの解釈として、通常の文字で候補者と以外の弁士とともに記載されている場合は消極に解するということで、そういうことが載っているわけです。この点はいまの答弁の中である程度はっきりしましたが、もう一度これは念のために申し上げておきますが、その通常の文字ということは、どの程度の大きさを言っておられるのか。それからもう一つは、この解釈からすれば当然候補者以外の弁士と併記されて、しかもそれが候補者の方だけが特別大きく書いてあるというのではなくて、少なくとも同じ程度の大きさで書いてあるということであればこれに該当すると、こういうふうに理解をしてよろしいわけですか。
  114. 土屋佳照

    土屋政府委員 ポスターの態様によっていろいろ違うと思うのでございますけれども、まあ政党の場合であれば、党の時局講演会というのが少なくとも非常に大きく出ているべきであって、その弁士というものがこれがまた目に見えないほど小さく書くわけにもまいりませんから、ある程度の大きさは出てきてもしょうがないと思うのでありますけれども、まあ全体のバランスから見てそっちの方が特に大きく浮き出して見えるようなやり方というものは、これは通常の記載よりもちょっとそれを特筆大書したかっこうになるのじゃないかということになりますが、ただ、それじゃ何分の一までいいとか何センチまでとか、そこらの基準はやはりそのポスター全体の態様から判断する以外にはないと思うのでございます。もちろんいま言った普通の、外からすっと見える程度の文字であっても、まあ候補者だけを特に大きく書いたとなれば、おっしゃいましたようにそれはやはり意図を持ったものではなかろうかというふうに、ということは要するに本人の政治活動として浮き出したものじゃないかととられる場合が多いというふうに考えられるわけでございます。
  115. 津金佑近

    津金委員 そうすると、もう一遍整理しますと、その時局演説会ということがわからないようではこれはどうにもならないと思うのですが、時局演説会なり何なりということがかなりはっきりわかるようになって、そして弁士の名前が同じ程度の大きさ、特に弁士だけが大きくなくて同じ程度の大きさの文字として書かれているという、きわめて常識的な判断、大体こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  116. 土屋佳照

    土屋政府委員 一口に言えばそういうことでございますけれども、ただ、いま言ったように時局講演会と余り変わらぬほど大きく書いたとか、そういうバランスの問題だと思うのです。全体で占める割合と申しますか、そこらで御判断をいただかなければいけない。時局講演会は仮にこれぐらいでしたら、若干小さいが大きく名前だけが浮き出ているということになると、やはりその点を特に浮き出してやっておるのじゃないかと言われる場合があると思うのでございます。だから普通のあれで、時局講演会だということでまず弁士はこれぐらいと見える一つのバランス、占める割合その他からおのずから出てくるのじゃなかろうかと思うのでございます。
  117. 津金佑近

    津金委員 その場合に、いま山田議員の質問の中でかなり繰り返し質問されましたから私ももう繰り返しませんが、自治省のいままで明らかにされていた考え方で言えば、いま言ったような表現のバランス上の問題というのはあるかもしれませんが、候補者以外の弁士の枠というものはないわけですよね。いまあなたがおっしゃったように、他党の党の幹部が来るとかそれ以外の選挙区の人が来てやるとかそういう場合は問題ないが、さっき山田委員が言ったようなケースの場合は、余りはっきりしませんでしたけれども、その辺は従来の自治省の解釈からくれば、いま言ったポスターの掲示上の常識的な枠というものはあるというふうにわれわれはあなた方の説明理解しておりましたが、その弁士そのもののそういう形での制限というのはやはりつけるべきでないと思いますが、ここはちょっとはっきりさしておいていただいた方がいいと思うのです。  どこにさっき言われたように当該候補者の場合だと当該選挙区の中の地方議員と並べた場合はいかぬという根拠があるのですか。そういう法的根拠というのはないのじゃないですか。それが当該選挙区だからその候補者中心であるかどうかというのは非常に主観的な判断で決められるということになってくると、政党の当然の政治活動のあり方という点から見て大変大きな問題禍根を残す結果になると思いますが、そこはすっきり割り切った方がいいのじゃないですか。
  118. 土屋佳照

    土屋政府委員 問題は、いま申しました政党のポスターなのか個人の政治活動用のポスターなのかということで、個人の政治活動用のポスターを禁止しておるわけではありませんが、まさにこの裏打ちだけの問題になってくるわけです。  ただ、政治活動と申しましても、党としておやりになる以上は、党としてのいろいろな仕組みなり何なり、客観的に見てその党の演説会だということがわかればということになることが望ましいわけでありますけれども、それが特定のそこの選挙区の人だけということになりますと、まさにそういった選挙区においては個人というものが最も政治活動をするのには便利な場所でございます、そういった意味で非常に個人的な色彩が強くなるということで、私ども関係方面とも相談したわけでございますけれども、そういう場合には個人用のものとして見られるおそれが多いということでございます。  ただ、私がいろいろ申し上げておりますのは、最後のそこは、極端に申しますと私、裁判所の立場での物は申せませんので、さっき申し上げたようなことを言っておるわけでございます。個人というものとそこの地区との結びつき、そういったこと等から見ても、やはりいまのような形態の場合は非常に個人の政治活動用文書というにおいが強く出てくるといった意味でおそれが強いということを申し上げておるわけでございます。
  119. 津金佑近

    津金委員 そうすると、結論的に言って、いまの自治省としての解釈は、当該選挙区でないたとえば党の幹部と同じぐらいの大きさで全体のバランスを考えて出すということについては余り問題はない、当該選挙区の人と並べた場合はやや疑義がある。しかしそれは違法であるというふうに断定されているわけではないわけですね。その前段と後段と両方との関係についてもう一遍、私もこれでもう終わりにしますから、いまのあなた方の考え方をもうちょっと明快にしてください。
  120. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほどから申し上げているように、その選挙区だけのものを弁士として記載したものである場合は法に違反したものであると認められる場合が多いということでございます。
  121. 津金佑近

    津金委員 多い、そうでない場合は問題ないと……。
  122. 土屋佳照

    土屋政府委員 そこで、仮にそういった以外の複数の場合でも、当該選挙区の人が大きいとかどうとかという浮き出しがあるとこれはいけない、同じ並びであって一般に政党として委員長も見えた、あるいは学者も見えたというようなことでおやりになるのが一番問題を起こさない方法であろうということで申し上げておるわけでございます。
  123. 津金佑近

    津金委員 どうもこれ以上やっても……。  これで最後にします。これは前にも問題になりましたが、いわゆる在宅投票に関する改正委員会で行われて、その後これが実行に移されたわけでございますけれども、手続その他がなかなか煩瑣であるということで当事者からもいろいろ批判の声が多かったというふうに思うのです。  私ども、あのとき全国で対象者は約十万ぐらいだろうと言われておって、東京都の場合なんかも、この間の地方選挙の実例を見てみますと、実際利用したのは東京都知事選の場合で千四百五十四名、市町村長の場合は千二百六十一名という数が出ているわけです。大体全国の約一割というふうに見るのが東京都の通例でありますけれども、非常に利用度が少ない。その後御承知のように昨年の暮れに札幌地方裁判所の小樽支部において在宅投票廃止は違憲ではないか、こういう判決も出てこの問題が改めて大きな関心を呼んでおるというふうに思うのです。  そういう意味で、私どもも前回この法案が決まったときにその枠をもっと拡大すべきだという修正案を出しましたが、残念ながら多数の御賛同は得られませんでしたけれども、結果として見て、やはりああいう方向に進まなければならぬという感をさらに深くするわけであります。附帯決議にもそういう方向で努力するということが決められておるわけでありますが、その後この在宅投票制度の運用の現実とその問題点、そしてそれを打開する方向についてさらに積極的にいま対処すべきではないかというふうに考えるわけでありますが、その辺について自治省としてその後いろいろ努力されておられるはずだと思いますが、見解をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  124. 土屋佳照

    土屋政府委員 その前に、若干概況を申し上げますと、確かにおっしゃいますとおり投票された数は非常に少ないように受け取っております。この前の統一地方選挙を見まして、前回国会でお答えしたことがございますがそれより若干数は確定的にはふえてまいりましたけれども、要するに投票する前提となります郵便投票証明書を交付いたしましたのが十万人ぐらいのうちで見ましても二万四千六百四件でございます。全体的に見れば二四%ぐらいの方が一応投票するつもりで証明書をもらわれたという結果が出ているわけでございますが、実際問題としては投票者数というのは統一選挙でございますからばらばらで、知事全国的ではないとかどうとかでございますけれども、いまのを県会議員の方で申しますと一万三千四百七十人ぐらいが投票しておるというふうな状況でございます。  そういうことで各選挙ごとの数もございますが、一々申し上げると時間がたちますので省略をいたしますけれども、総体としてはある程度の利用者はあったけれども言われておる数に比べれば少なかったではないかということをおっしゃられればそのとおりだと思うのでございます。  ただ、われわれが一昨年でございますか国会で御審議をいただいて改正をいたしましたときにも申し上げましたとおり、これ自体については選挙権の手段を拡充していくということは必要なことだという前提で長年の困難も乗り切ろうということで踏み切ったわけでございます。ただその際も、過去あった失敗を二度繰り返してまたこれはいけないじゃないかと言われてはいけないということで、私どもとしては選挙公正確保ということに非常に重点を置いた。だから手続もある程度めんどうでございます。本人が署名して、そして証明書をもらい、それを送って投票用紙をもらって書いて送るというような形になるわけでございますから、めんどうだといえばめんどうなわけでございますけれども、いろいろな夾雑物が介入をして前のような失敗を繰り返してはいけないということで、ある程度かたく出発をしたということでございます。  確かにいまおっしゃいますように、重度身体障害者のほかにもうちょっと範囲を広げたらどうだという御意見、あるいはまたその手続についてももうちょっと簡素化できないかという御意見があることは承知をいたしております。いい方法があればそれはいいわけでございますが、本年の統一地方選挙では幸いにして管理執行面ではこれといった問題も起こらなかったというふうに私どもは聞いております。私どもに問題が投げかけられたものもございません。したがって、かたくやったので管理執行面ではよかったと思うのでありますけれども、一方これでいいんだろうか、その結果は果たして手続がめんどうだったから少なかったのか、あるいはこういう方の身体の健康状況その他いろいろな状況等から、結果的には投票ができなかったということがあるのか、そこらの内容は一々つぶさにはどうも調べにくい点がございます。しかしながら、今回いまお示しのとおり国会の附帯決議もあったわけでございますので、今後さらに制度の実施状況を見てまいりたい。一回統一選挙である程度ばらばらでやったわけでございます。国政選挙等もいずれあるわけでございますから、そういった状況等を見た上で、もしこういった方法でいけばもう少し前向きのやり方があるであろうというようなことがあれば、それはわれわれとしても注意をして検討していきたいと考えておる次第でございます。
  125. 津金佑近

    津金委員 いまの問題は、前から論議がありましたように、選挙権というのは国民の基本的な権利でありますから、万人に平等に与えられるという原則に立って、同時に違法行為が起こってはいかぬ、これもごもっともだと思います。したがって、今回実施をしたその経験を踏まえて、もう少し範囲の拡大それから手続の簡素化等について前向きの方向で努力すべきではないだろうか。それが本来この種の問題の基本的な趣旨に合致する方法だと思っております。きょうはこれ以上やりませんが、そういう方向で自治省としても前向きの検討をぜひ進めていただくことを強く要望しておきたいと思います。  じゃ私、これで終わります。
  126. 小澤太郎

    小澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会