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土屋政府委員 公職選挙法では、御
承知のように、
特定の場合を除いては一切の
寄付を
禁止しておるわけでございまして、そういった
寄付に当たるか当たらないかということの解釈としては、いろいろ千差万別の態様でございますから、判断はむずかしいと思いますが、それはおのずから法的に結論が出るものだと思っております。ただ、それをすべて罰則をもって担保するかどうかということになりますと、いろいろ問題がございますので、ただいまおっしゃいましたように、罰則をかけるときは、
選挙に関して
寄付をした場合はいけないのだということにしておりまして、そうして通常一般の社交の
程度を超える
寄付というものは
選挙に関するものとみなしますよということで罰則を適用するということになっております。
そこで、その接点で、どこから罰則がかかるのだということが非常に問題になってくるのだろうと思いますが、いまもおっしゃいましたように、その
寄付の金額とか相手方とか、また渡した場合のいままでの相手方との交際の
状況といったようなことから
社会通念上社交の
程度と認められる
程度である、こう言わざるを得ないわけでございます。したがって、何ら交際もなかったが、関係もないのに急に売名的な
意味で花輪を贈った、香典を贈ったとなると、やはりそれは一つの
社会通念を超えるのだということになってまいりましょうし、たとえば五千円
程度のものであるところへ五万円出すといったような場合でも、これも通常社交の
程度を超えるというふうに見ざるを得ないわけでございます。
しからば、いろいろなことについて、この点についてはこれくらいが通常一般の社交の
程度であると言えるかとなりますと、同じ
行為でもいろいろ違うと思うのであります。たとえば結婚式一つとりましても、田舎でやる場合、それからまた同じホテルでやる場合でも、東京の非常に有名なホテルでやる場合、いろいろ問題が出てくるでございましょうし、そういった
意味からおのずから、そこでやる場合はこれくらいという通念、相場というものがあると思います。それをもとに判断せざるを得ないというふうに
考えておるわけでございます。
そこで今度は、それに続いての
寄付の
内容についての若干のお尋ねがあったわけでございます。たとえば名刺広告といったような例を出していただいたわけでございますが、これもいろいろの形態がございます。普通の
新聞に名刺広告を出す場合もありますし、どうかと思われるような
新聞もありましょうし、あるいはお祭りや何かでプログラムなんかをつくった、町内会で名簿をつくった、そういった場合に名刺広告というものがございます。いろいろ形態があるだろうと思います。
しかしながら、これは率直に申し上げて、判定は非常にむずかしいと思うのであります。
新聞等については、この
新聞については一般的に何段どれくらいのものであれば何万円あるいは何千円といったような相場というものがございます。そういうように適正な価格で適正に広告を出してもらう。そのスペースを買うことによって広告を出すという目的がちゃんと契約の上で結ばれて実行されれば、それは対価を払ったということで
寄付にはならないと思うのでありますが、通常、後段で申し上げたような事例については、ひとつその会に協賛してくれというような
意味での協賛費、賛助費といったようなかっこうで出される場合がある。そういうたぐいのものは、仮にそのかわり名刺広告が出ましたといっても、やはり
寄付の概念に入る例が多いのではないかというふうに私
どもは解釈をし、そういう指導をしておるところでございます。
そのほか、祝電、弔電の話がございました。これは
寄付という概念には入るまいと思います。
結婚式についても、会費制であれば、当初から問題はございません。ただ、結婚式についても、法律上は、祝儀については、祝儀は出してはいけないとなっております。そこで披露宴に出て飲食物も食べるといった立場上、それに見合う実費
程度はひとつ出させてくださいということで相手方にお渡しをする。そこにもおのずから相場というものがあろうかと思いますが、そういう実費
程度のものをお出しになっていく場合は、それは特に
寄付には当たらぬだろうということでございます。
まあいずれにいたしましても、人間の生活全体の中で起こってまいります非常に複雑な態様の
寄付行為でございますから、具体的な事例は、私
どもが想像しないようないろいろなものが出てくるかもしれませんけれ
ども、そういう
考え方で事例に応じて判断せざるを得ないというふうに
考えております。