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1975-12-16 第76回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十六日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 渡辺 惣蔵君    理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君    理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君    理事 木下 元二君       住  栄作君    戸井田三郎君       八田 貞義君    渡辺 栄一君       岩垂寿喜男君    角屋堅次郎君       米原  昶君    岡本 富夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      堀川 春彦君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       奥山 正也君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 十二月十二日  自然保護のため経読林道建設中止に関する請  願(吉田法晴紹介)(第三六〇七号)  にほんかもしかの保護に関する請願外一件(  奥野誠亮紹介)(第三七六二号) 同月十五日  にほんかもしかの被害対策に関する請願(古屋  亨君紹介)(第四一五一号)  同(竹中修一紹介)(第四二八七号)  国(津川武一紹介)(第四二八八号)  同(渡辺栄一紹介)(第四二八九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(公害健康  被害地域指定問題等)      ————◇—————
  2. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本委員 時間が非常に制限されておりますので、最初に御質問をしたいことは、きょうは水質問題でありますけれども瀬戸内海環境保全臨時措置法が五十一年、来年の秋で切れるわけでありますが、これはやはり再延長しなければならないと思うのです。それについて、いまは議員立法でありますけれども環境庁の方でも非常にお考えであるそうでありますので、内閣提出案にすることを考えていないかどうか、これをまず、ちょっと一言。
  4. 堀川春彦

    堀川政府委員 瀬戸内海臨時措置法跡継ぎ法関係でございますが、これにつきましては議員立法でできました法律でございますけれども、制定の経緯等ございますので、私どもも、いま御質問の点も一含めまして、部内で検討中でございます。
  5. 岡本富夫

    岡本委員 と申しますのは、あなたの方の今度、予算要求を見ますと、瀬戸内海対策室というのを設けるようでありますから、そういうことになりますと、これはやはり瀬戸内海環境保全臨時措置法を、臨時措置法というようなことにせずに、瀬戸内海環境保全法というような名目にして、やはり環境庁の方から提案をするということにした方がいいのではないかと思うのですが、その点、大臣政治的配慮をひとつお伺いしたい。
  6. 小沢辰男

    小沢国務大臣 岡本先生瀬戸内海対策室は現在あるわけでございまして、私どもとしては課にして、室の上にもう一つあれをしたいという予算要求をしているわけで、行政機構簡素化の時代でございますので、なかなか困難だとは思いますが、この線で努力をいたしております。  それから、瀬戸内海臨時でなくて根本的な対策法にすべきだ、これはもう同感でございます。ただ、私が一番悩んでおりますのは、これは委員長及び皆さん方野党先生方意見を十分、承って、内容をどうするかということが一番、大事でございますし、その前に、法律によります基本計画を三年以内に立てることになっておりますので、この基本計画が出ないのに、その内容を決めていくということが、どうもなかなか、何かこう基礎をつくらぬで建築物を考えるような感じで、こんな悩みがあるわけでございます。したがって、私ども意欲は十分、持っておりますが、今後、内容等どういうふうな実効のある内容にしいくかということについては十分、検討をさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  7. 岡本富夫

    岡本委員 この点については、ひとつ十分、検討していただいて、同時に、次の国会に、やはり大体の骨子がわかるようにはしておいていただきたいですね。  それから空を、この臨時国会でやりまして、次には陸、要するに大気汚染、今度は水質が残っておりましたので、最後の締めくくりに水質をやるわけですけれども、この水質汚濁防止法というのは、もと工場排水法水質保全法と、これを私、四十二年に、何とかして一括して水質汚濁防止法にしたらどうだということを大分、提案したのでございますけれども、四十五年の公害国会で、その提案が用いられて水質汚濁防止法ということが決まりましたが、水質の方の総量規制をひとつ導入したらどうだという提案をいたしておきましたけれども、これについて、いま環境庁が考えておることを、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  8. 堀川春彦

    堀川政府委員 先生指摘のようなお話がございまして、私ども、水に係ります汚染をできるだけ排除するための方式といたしまして、量の規制ということを考えていくことが、確かに理論的にはすぐれた行き方であるというふうにも考えておりまして、これにつきましては、私ども環境庁の中に学識経験者から成ります専門検討委員会を設けまして、鋭意、検討を続けてきているわけでございます。  方式のあり方について、図上作戦でこういうようなことが考えられるというようなことは、だんだんと詰めてまいってきておるわけでございますが、それを現実に、たとえば閉鎖性水域のこういったような水域に適用すればどうなるのかというようなことについて、やはり、ある程度の検証をしてみなければならないというふうに考えておりまして、目下これらの点を中心といたしまして、大いに、いま申し上げました専門検討委員会等も活用して、詰めつつある現状でございます。  いずれにいたしましても、この問題についての結論を、私ども環境庁自身として、できるだけ早く持ちたいものだ、しかし、これはなかなか水質規制方法としては、いろいろ波及する問題もございますから、したがいまして、私どもとしての案ができた段階で、また各方面意見も伺って進めていく必要がある、こういうふうな考え方でございます。
  9. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、大気汚染防止法には、五条の二に総量規制基準を決定するというような項目があるわけですけれども水質汚濁防止法にはそういった項目がないわけです。したがって、この水質汚濁防止法法改正をやはり次期通常国会で出さなければならぬと思うのですが、この検討はいたしておりますか。あるいはまた通常国会水質汚濁防止法改正提案するかどうか、これをひとつお聞きしておきたい。
  10. 堀川春彦

    堀川政府委員 総量規制方式を、いまの濃度規制方式に取ってかわるということにいたしますためには、これは全部の水域対象ということではないにしましても、法律改正が要るのではないかというふうに考えておりまして、目下、その基礎的な考え方について詰めておるわけでございます。したがって、その考え方が煮詰まってまいりませんと、直ちに次の通常国会あたり法改正の問題を、水質汚濁防止法改正というような形で提案をするというところまで、まだ煮詰まっていないという状況でございます。
  11. 岡本富夫

    岡本委員 しかし、すでに瀬戸内海臨時措置法で、総量規制瀬戸内海海域の各県では、少なくともやっているわけですよ。そして、五十一年度までに二分の一にするということで、各企業に対して相当、厳しい総量規制割り当てをいたしまして、すでに、ここで一つモデルケースといいますか、全国的に総量規制を導入するモデルケースができ上がったと思うのです。ですから、環境庁はここで一つ勉強したわけです。そうすると次には、水質汚濁防止のためには総量規制をしなければならぬということは、先ほど、お認めになったとおりでありますから、この水質汚濁防止法の中に、やはり総量規制という項目を入れなければならぬ。大気汚染防止法には、これは入っておるから、もうやっておるわけでしょう。ですから、そういう提案をやはりするのがあたりまえであると私は思うのですが、どうも、もう一つ、はっきりしないのですが、もう一度ひとつ。
  12. 堀川春彦

    堀川政府委員 確かに先生おっしゃいますように、瀬戸内臨時措置法に基づく排水規制につきましては、通常水防法体系と違った観念を持ってきまして、そして四十七年当時の汚濁負荷量の二分の一カットということを基本にいたしまして、そして、この考え方に立っての各県別負荷量配分等をやって、それに対しまして具体的にとっている措置というのは、その負荷量カットをもとにして、そして手段、方法といたしましては、濃度規制を一層きつくするということで実はやっておるわけでございます。  基本的な考え方からすれば、二分の一の汚濁負荷量カットというのは、それは一種の濃度規制の形はとっておるけれども量規制であるとも言い得るという点は先生、御指摘のとおりでございますが、しかし、これが一般的な制度として定立をするということになるとすれば、これは二分の一というようなことでなくて、やはり水質汚濁防止の目的である環境基準目標達成ということに相なろうかと思います。そういうことになってまいりますと、環境容量を、適用対象水域について、どういうふうに計算して出すか。それから汚濁負荷量を、それぞれ関係工場事業場等産業排水系汚染源に対して、どういう配分をするか。こういったようなことを、これはシミュレーション等作業を通じて出てまいった結論に従って、適正に調整を図って配分するということになるわけでございます。そこにはまた業種間のおのずからなるスタンダードの調整というようなことも必要になってまいります。やはりそれら一連のことについての明確な結論を得てからでないと、実行できないということに相なるわけでございまして、したがって先生、御指摘のような総量規制をやるということになれば、確かに瀬戸内臨時措置法の体験というのは、私は一つの参考になるとは思いますが、直ちに、それと同じようなやり方で実行可能だというふうに直には結びつかないというふうに思っております。
  13. 岡本富夫

    岡本委員 これは、あなた濃度規制と言いましたけれども濃度規制をするけれども、結局、濃度を半分に落とす、そして出す量は抑えておるわけでしょう。出す量は、いままでよりふやしてはいけない。濃度規制だと薄めて出せば、しまいですから、そういうように私たち議員立法いたしたわけであります。結局、濃度規制をするけれども排水の量はふやさないということですから、減ってきているわけです。少し、きれいになっている。ところが水島でああなりましたけれども、あれは私は一つのいいテストケースではないかと思うのです。それで、まだ環境庁は渋っているような、非常に姿勢が弱いように私は思うのです。  そこで、水質汚濁防止法改正して、そして濃度規制をするという具体的なことについての目標は、やはり立てていると思うのですよ。目標なしに、いつできるかわからぬというようなことでは話にならぬと思うので、その総量規制を導入する時期は、大体どの辺に設定をしていらっしゃるのですか。これをひとつ。
  14. 堀川春彦

    堀川政府委員 私ども、先ほど申しました専門検討委員会にも御相談いたしまして、詰めてまいっておるわけですが、なお環境庁としての具体的なプランといいますか案を得るためには、あと、かなりの作業をしてみなければならないというふうに考えておりまして、それを考えますと、環境庁自体としての案ができるにつきましても、私ども、これは努力目標というふうに考えておるのですが、あと一年くらいはどうしてもかかるのじゃないか。それから、これは関係方面もいろいろ多うございますから、それぞれ各方面意見も聞いて法律改正案の立案、それから具体的ないろいろの関係方面調整、そういうようなことを考えますと、それから後ということに相なるのじゃないかというふうに思っております。
  15. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと大体、水質汚濁防止法に対するところの総量規制は、もう一年間ぐらい準備がかかる、その後で法改正方向にいきたいということですから、次の通常国会ではだめだ。その次ですな。その次ぐらいの通常国会には法改正を出そうという考え方ですね。
  16. 堀川春彦

    堀川政府委員 事務的な検討に、まだ最低一年ぐらいはかかろうというふうに、これは最低でございますが、思っておりまして、したがって、そこらの結論出ぐあいがございますから、確実に次の次の通常国会に御提案申し上げるということは言い切らぬわけでございますけれども、とにかく案を、われわれ自体として持つのに、あと一年ぐらいは最低かかるというふうに思っております。
  17. 岡本富夫

    岡本委員 どうも環境行政、遅いですね。  そこで、大体いま、あなたの方で予算要求されておる構想を、ひとつ発表していただきたい。たとえば規制項目指定あるいは水域指定もある。まず水域指定をするだろうと思うのです。それから基本方針の作成、それから量を削減していく、その計画、そういうことについて大体の構想を簡単に、ひとつ述べていただきたいと思います。
  18. 堀川春彦

    堀川政府委員 総量規制関係につきまして、私ども来年度の予算要求をいたしております関係予算は、約一億五千万円が少し欠けるぐらいの予算要求しております。  これにつきましては、対象水域を一応、想定した場合の、負荷総量というのはどうなるのか、その算出方法はどうかとか、削減負荷量算出やり方負荷量個別割り当て基準検討、そういったようなことも必要でございます。私どもは、いままでずっと検討は重ねてまいりましたが、なお所要の、そのような問題、あるいはまた環境容量把握ということも考えなければなりませんので、それらの点も含めての予算措置等要求はしておるわけでございます。
  19. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、まず規制項目指定、これはどうか。それから水域指定、いま予算要求いたしておりますけれども、どういう方面を考えておるのか。まずその二つ、聞きましょう。
  20. 堀川春彦

    堀川政府委員 規制項目につきましては、現在ございます規制項目が、規制方式が変わったとしても同じように取り上げられるということを前提にいたした検討をしておるわけでございます。  なお、対象水域につきましては、こういった総量規制方式を、一般的にどの水域にも適用するということはなかなかむずかしい問題でございます。したがいまして、まず対象水域を考えます場合には、閉鎖性水域というものを最初に取り上げて考えるということが適当ではないかというふうに考えております。
  21. 岡本富夫

    岡本委員 そんな抽象論ばかり言わずに、たとえば東京湾だとか伊勢湾だとか、あるいは瀬戸内海瀬戸内海臨時措置法で出てきますけれども、あるいは閉鎖性湖沼ですね。もうあなたの方で検討を終わって、そして予算要求をしておるわけですからね。いま検討しているところを、ひとつ、はっきりしたらどうですか。
  22. 堀川春彦

    堀川政府委員 予算要求しておりますのは、いろいろのことを調べなければならぬということがございますので、いろいろな要求をしておるわけでございますが、対象水域等について申し上げれば、これは環境容量把握やり方、また具体的なその結果をどう活用するかという問題がございますので、私ども、たとえばそういう項目につきましては、東京湾でございますとか伊勢湾、それから瀬戸内海、こういった内海でございますね、それから湖沼関係では、たとえば琵琶湖、諏訪湖、霞ヶ浦、こういったようなところについて、これは対象の物資につきましても、たとえば窒素、燐、そういうような問題も含めて調査をするというようなことにしておるわけでございますが、誤解を与えるといけませんけれども、これが直ちに、そういう水域総量規制対象にぴしゃっとするということを、いま決めておるわけではございません。
  23. 岡本富夫

    岡本委員 あなた、それは決まっていなければ、予算要求もできないはずですね。そんないいかげんな予算要求をしておるわけですか。
  24. 堀川春彦

    堀川政府委員 いいかげんということではございませんで、私ども真剣に、そういう項目について調べて、そして、その知見の上に立って、いろいろ制度を考えていく必要があるという考え方で、要求をしておるわけでございます。決して、いいかげんというつもりではございません。
  25. 岡本富夫

    岡本委員 そうすると、いままでは、瀬戸内海環境保全臨時措置法内閣提出については、環境庁長官が先ほど、野党意見も入れて、そして次に提案するということを考えておるということが一つ。それから総量規制を来年いっぱい、もう一年間ほど検討して、その次の時期に法改正をして導入するという計画である、この二点の答弁がありましたが、総量規制について、できるだけ早くその総量規制方式、たとえば瀬戸内海環臨時措置法のような考え方でいくのか、それともまた、ほかに方法はあるのか、これを各地方自治体にできるだけ早く説明する必要があると私は思うのですよ。すでに東京や三重や愛知、山口県、こういうところでは独自でいろいろやっておりますけれども、国の方の総量規制方式というものが一応、早く知りたい、これが各地方自治体の偽らざるところの心情なんですね。私たちにいろいろ言われる。ですから方向を示すと、各地方自治体の方で県では、そういう方向に向って、いまから準備していくわけですよね。そうしませんと、私は非常におくれてしまうと思うのですね。同時にまた県の意欲も、そこまで来ておるわけですからね、そういった総量規制方向づけというものを早く打ち出してあげる必要があると思うのです。これは大体いつごろ打ち出せるかどうか、これをひとつお聞きしておきたい。
  26. 堀川春彦

    堀川政府委員 おっしゃることは、まことにごもっともでございまして、私どもも、いままで専門委員会検討を経てきました、いわば総量規制をやるとしたら、その骨組みになるごくフレームワークでございますけれども、そういうものにつき、またこういうことになるのではないかというようなことについては、県の担当の者とも意見交換を、すでにいま、やっておるわけでございます。しかし先ほど申し上げましたような事情でございますので、私どもも上層、努力を重ねて煮詰めてまいりまして、そして、これが環境庁の案だというものが得られた段階では、これは関係の都道府県の方々あるいは市の方々、それから関係各省その他、関係方面たくさんございますので、そういうところには御説明を申し上げたいというふうに考えておる次第でございます。
  27. 岡本富夫

    岡本委員 そこで時間があれですが、最後長官に。  工場排水、これを下水道の中に入れるわけですね。いま入っているのですよ。そういうものを入れると、どうしても監視というものができなくなる。有害物のたれ流しを招いて、そして末端の下水処理場では非常に困っておるというような状況ですが、やはり将来、工場排水工場内で全部、処理していくというような方向にしなければならぬじゃないか、私はこういうように思うのですが、その点、いかがですか。
  28. 堀川春彦

    堀川政府委員 おっしゃるように工場排水下水の中に流れ込んで、下水の方でも処置がしかねるというような問題もございます。したがいまして、これは下水道法では、工場から下水排水をする場合には、条例をもって、その排水規制をやれるようにはなっておるわけでございますが、直罰もございませんし、水防法体系のように公共水域に直接排水するようなぐあいに、かちっとなってないというところが問題でございまして、これらの点については、つとに問題点をわれわれも指摘をし、建設省でも検討しておりまして、聞くところによりますと、建設省は次の通常国会には、下水道法のその点の改正中心とした改正案提案をしたいということを考えておるようでして、具体的などういう案になるのかということは、まだ、これからの問題でございますが、私どもも、そこのところをぴしっとやってもらえるよりな形に一刻も早く持っていく必要がある、そういう方向での法改正は、ぜひとも推進をしていただく必要があるというふうに考えております。
  29. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、水俣病からこちら、非常に騒がれました、第三の水俣病のきっかけにしてはいけないということで、苛性ソーダ水銀法隔膜法に変えるということで、これが、ことしの九月末までに大体五〇%ぐらいまでは抑えてなければならなかったのに、まだ目標の三分の二ぐらいしか転換してない、この未転換企業公表を十二月九日、環境庁からしておりますけれども、こういうまだ転換をしていないというところは結局サボっているわけですね。環境庁から、そういう企業に対しての勧告、こういうものをしておりますか。してなければ、これからするのかどうか。これをしなければ、五十三年の三月までに全面転換するという約束をされ、また通産省からも、そういうように指導したのですが、これもまだできないということになりますれば、私は非常に政府不信ということになってくると思うのですが、これに対して、未転換企業公表をしたけれども、その未転換企業に対して環境庁としては、どういう措置をこれからとるのか、これをひとつ長官からお聞きしておきたい。
  30. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私の方からは直接、工場に向けてというよりは、私の方から通産大臣申し入れをいたしまして、通産省が、計画に従って実施するように指導、監督、督励、融資その他の援助をやる、こういうことになっております。
  31. 岡本富夫

    岡本委員 そういう要請といいますか、あるいは勧告、これはいつおやりになったのですか。文書でおやりになったのですか、どうですか。
  32. 小沢辰男

    小沢国務大臣 文書をもっていたしませんが、例の企業の名前の公表以前、約一ヵ月半ぐらい前だったと思いますが、三分の一しか達成できなかった、その残りは来年三月までにはこうする、その後、五十三年までの目標は達成するが、その過程においてイオン交換膜法推進を図る。これは通産と私どもの方で御承知のとおり対策会議というのがありますので、そういう会議で、その点を明確にして申し入れをしているわけでございます。
  33. 岡本富夫

    岡本委員 この未転換企業、要するに苛性ソーダ製造企業に対しては、もうすでに半分ぐらいはできていなければならない。いまになって、まだ三分の二もできてない。これは、これまであなたの方も監視しなかったわけですね。環境庁がいまになってから、まだ、してないのはここですと発表しただけのことですよ。通産省は直接の担当でありますけれども、非常に通産省というところは企業擁護になっておりますから、通産省にだけ言うて、それでおしまいということでは、私はこれは五十三年になっても、また同じことになってしまうと思うのです。ですから、このときこそ、あの恐しい水俣病、ああいうものが起こったわけですし、また魚に水銀がたくさん入って食べられなくなったというので、非常にパニックが起こったわけですから、私はやはり、いまから環境庁としては、きちっとした要請書あるいは勧告を各企業にしておく必要があると思う。そういう手を打っておかないと、また五十三年の三月になって未転換企業がこれだけです、こんなこと発表したって何も痛くもかゆくもありません。不況であるということも一つの理由にしておりますけれども、それまでは不況でなかったわけです。ところがやってなかったということになると、私は環境庁として、ここで、くぎを打つ必要があると思うのですが、いかがですか。
  34. 小沢辰男

    小沢国務大臣 岡本先生、御承知のように、転換をしないから水銀が出ているんだ、こういうことじゃないのです。水銀はクローズドシステムで絶対、出さないようになっているわけです。ただ取り扱いの不注意あるいはその他の事故で万一、水銀が出ると悪いから、水銀を使うような苛性ソーダの製造装置は転換をさす、こういうことでございます。したがって、その点はまず基本的にはっきりしておかぬと、何か転換がおくれれば水銀が出て海は汚れて、水銀汚染によってまた水俣病やその他のものが起こるのだというような印象を持たれることは、私は非常に国民に対して正しい認識を与えないことになると思うのです。ですから、その点だけは明確にしておいていただきたい。ただ取り扱いの不注意や事故等によって万一のことがあってはいかぬから、水銀は使わない、そして転換をしていく、こういうことでございます。  しかも御承知のように私自身が非常に疑問に思うことは、水銀はまず出さないということです、水銀は出さない。そしてこれを転換をする。ところが転換をする場合に、例の石綿のあれによりますと、濃縮をしなければいけないから、百万キロもよけい油をたかなければいかぬ、そうすると大気がそれだけ汚れるわけでございますから、したがって、それぞれの地区において公害防止計画等の問題から見て、それがいろいろ公害防止協定の中で問題になってきて、なかなかそれが決まらぬとか、そういうことでおくれているのも二部あるわけでございまして、私が通産省に特に強く要望しておりますのは、その石綿の転換でなくて、イオン交換膜法による転換を急いでくれ、これが一番、有効でありますから、そういう意味でいろいろ強力に指導をするという方が本筋ではないか、かように考えておるわけです。ですから、もちろん強力に転換をお願いをしますけれども、そういう点で基本的には水銀の取り扱いについての問題をきちっとするということの方を、まず事故によっても万一でも起こらないという対策をきちっととらして、それから転換についてはイオン交換膜法推進を大いにひとつやる、これは五十一年とか二年とかを待たないで、もう相当めどがついているわけでございますから、なるべくそういうことを中心に、ひとつ強力に指導をしていきたい、かように考えているわけであります。
  35. 岡本富夫

    岡本委員 終わりますけれども長官あなたこの水銀の問題で論議したときの事項というものをもう一遍、研究してみてください。そうじゃないのですよ。そのために、こんな大々的に大きな費用をかけて隔膜法転換するわけですから。隔膜法転換すると非常に困ることがたくさんある。しかし水質の汚濁、海域の汚濁を何とかせなければならぬということで、大英断をもって、ここでこの隔膜法推進するようにしたわけですから、いまごろになって、いやそれは余りしなくてもいいのだ、それより水銀を出さぬ方が大事なんだというような、こういう後ろを向いたような考え方では話になりませんよ。一貫していないじゃないですか。環境庁の態度が。話にならぬと私は思います。ですからあなたの方としては、やはり一応決めた、環境庁もきちっと勧告した、その事項に対しては、できてないならできてないで、きちっと勧告していく、強く要請していく、それも通産省にだけするのでは話になりませんよ。あのとき立ち会って一緒にやっているわけですから、その時代のことは私はよく知っているのですから、いまごろになって、そんな後ろを向いたような話では話にならぬと思うのです。最後に、ひとつ企業にもちゃんと勧告するぐらいの強い態度を示してもらいたいと思うのです。これで終わりたいと思います。
  36. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先生の後段については私は同意見なんで、強い態度で、転換転換で、もちろん進めてまいらなければいかぬ、かように考えております。
  37. 岡本富夫

    岡本委員 終わります。
  38. 渡辺惣蔵

  39. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最初に私は、公害健康被害補償法の問題について伺いたいと思います。  この法律が、従来の医療救済制度と、新たにいわば生活保障制度とを一体化した点で一定の前進であるという考え方を、わが党も一明らかにしてまいりましたが、しかし地域指定制度の問題や公害の種類の限定などに、まだ根本的な問題点が残っていることを指摘せざるを得ません。きょう閣議で新たに十四地域の公害病認定指定地域の指定が行われるというふうに新聞報道で拝見をしているわけでありますが、この指定の経過の中で、たとえば東京都の四区などの問題について、いろいろな矛盾というか問題点指摘をされていることはもはや改めて申し上げる必要も一ないところであります。担当者にしてみると、一体どこで線を引くのか、道路一つ、あるいは線路一つでというようなぐあいに、指定をするところと、しないところが起こってくる矛盾について、恐らく大変なお悩みを感じてこられたと思うのであります。その意味で、今度の東京の四地域の問題について、そのお悩みを含めて、たとえばその調査の手法であるとか、あるいは手法だけでなしに調査自体のあり方なども含めて、問題点があるというふうに恐らくお感じになっていると思うのでありますが、その点について、いわば、その問題点と言われるもの、あるいは矛盾とお感じになっていることを、この際、御苦労の中から率直にお聞かせ願いたい、このように思います。
  40. 野津聖

    ○野津政府委員 御指摘のとおり、本日の閣議で地域の新たな指定を行ったわけでございますが、もう御案内のとおり、この法律そのものが一つの地域の指定ということを行うわけでございまして、一定の場所から線引きをいたしました場合に、その内と外との差が、白と黒というふうな形で明らかについてしまうという一つの問題がございます。ただ、特に第一種地域の場合でございますと、著しい大気の汚染が相当範囲にわたってということが一つの条件になっているわけでございまして、ある地点で線引きをいたします場合に、その上を流れております大気につきましては共通な部分があるわけでございまして、これをどこで線を引くかということが非常に大きな問題であろうかというふうに考えております。  また、東京都の区の指定の場合に、今回、四区が調査地区になっていながら、なおかつ、これが指定されなかったという場合に、東京都の二十三区の中で、いわゆる中心部、さらには東に寄りました部分につきましては、区の面積そのものがそう広くございません。したがいまして、区全体としまして大気汚染状況調査あるいは健康の調査ということを実施することにつきましては、わりあいにスムーズにいってきたと考えておるわけでございます。しかし、実際に相当、広大な面積を持っており、なおかつ、その中にいわゆる固定発生源の少ない地域というのがあるわけでございまして、そういうふうな場合に、それを区全体という一つの行政区に限っての健康調査あるいは大気汚染調査というものを実施いたしました場合には、これは当然と言っていいほど薄められてくるわけでございます。  特にいわゆる幹線道路沿線におきましては、自動車の排気ガスの問題というのが相当、大きな影響を持っていることは、私どもも認識をいたしておるわけでございます。  また、特に昨年の十一月二十五日に中公審でも御審議いただきました中に、いわゆる地域指定の要件というのがございまして、少なくとも、いわゆる窒素酸化物についての資料というものを考えるべきであろう。また、これの影響というものもあるはずであるというふうな考え方が流れてきているわけでございましたけれども、正直言いまして、現在の段階でいわゆる窒素酸化物と健康に対する影響というものが、疫学的に把握されていないというふうな大きな問題を抱えておるわけでございます。  したがいまして、特にその自動車道沿道というふうな問題につきまして、これからどのような処置をすべきか。また、特に非常に広大な面積を持っております一つの行政区としての区がある場合に、それをどのように考えていくかという問題がございます。事実、名古屋におきましては、もう御案内のとおり、名古屋の各行政区を区分した形での指定を実施をいたしておるわけでございます。  したがいまして、私ども一番、大事なことは、この法律そのものが一つの割り切りから出発をしているという大前提がございます。  それから第二番目には、いわゆる大気汚染物質三つにつきまして考えるべきであるという御答申をいただいておりながら、現在は特に窒素酸化物につきましてはいわゆる参考という形でしか取り上げられない。その他、浮遊粉じんの問題もございます。特に自動車道沿道につきましては相当の浮遊粉じんの問題があるだろうと考えておるわけでございますが、その辺と、いわゆる健康被害というものとの疫学的な結びつきというものを早く見つけなければいけないというふうに考えております。  したがいまして、この面につきましての調査につきましては、過去の五年間のいわゆる窒素酸化物あるいは複合大気汚染という形での調査を、いま見直していただいておりまして、これと健康影響というものの結びつきをはっきり出していきたいというふうに考えておる次第でございます。また特に自動車道沿道につきましては、いま川崎と兵庫県などにおきまして、騒音から大気汚染も、いわゆる三物質だけではなく、いろいろな面の相当、幅広い調査を実施すると同時に、健康面につきましても相当、幅広く、いわゆる呼吸器疾患だけでなくて、いろいろな面の調査も実施いたしております段階でございまして、この結果を踏まえて中公審に御審議をいただきまして、この法律が非常にうまく流れていくような、運営されていくような方法で進めていきたいと考えておるところでございます。
  41. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 つまり、いまの制度というものが発足して、まだ時間がそうだっているわけではありませんけれども、たとえば車公害と言われるものをとらえてみると、いわば、その基準のとり方や、あるいは調査の手法などに多くの問題があるということをお答えをいただいたと私も認識するわけでありますが、そうしますと、いま川崎と兵庫で調査をしております。川崎はもう済みました。恐らくは、その結果が来年の三月ぐらいまでには解析も終わって、結論が出ると思うのですが、窒素酸化物あるいは粉じんを対象に入れるという方向で御検討を願っているものだというふうに理解をしてよろしいかどうか。その点と、それからいまのプログラムは、いつまでも時間を延ばしてはいけませんと思いますので、私は環境庁の積極的な姿勢をこの際、承っておきたいと思います。願わくば三月に結論が出て、部会に答申を求めて、いろいろありますけれども、たとえば来年の早い機会に、そういう方向法律のあり方を検討していくというふうに理解してよろしゅうございますか。
  42. 野津聖

    ○野津政府委員 実際に苦しんでおる患者さんがおられるわけでありますから、できるだけ早く私ども結論を出しまして、それを結びつけていくというふうな形をとってまいりたいと思っております。
  43. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その場合には、要するに汚染物質の負荷総量を、いまのような自動車重量税の形で導入をしている原資の取り方などを含めて考えなければ、法律にはならないわけですか。
  44. 野津聖

    ○野津政府委員 汚染負荷量賦課金の問題との関連と切り離しまして、少なくとも健康被害関係のあります大気の汚染関係を詰めていきたいと考えております。
  45. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうしますと、川崎や兵庫での調査結論に基づいて、疫学的な結論が出た場合、それは当然、出ると思うのです。私ども実は東名高速でこういう調査をして、環境庁にもその資料をお届けしてございます。民間の団体で、市の協力も得てこの公害の実態を明らかにした中で、実は疫学調査と言えるかどうかは別として、そういう有害の、そして人体に影響を及ぼしている、被害をもたらしているという結論は出ているわけでございます。当然、出ると思うのです。その場合に、窒素酸化物、粉じんを含めて補償法の対象にしていく。その場合に、財源の問題よりも、現実にある被害の立場を重視しながら、窒素酸化物、粉じんについて健康被害補償法の対象にしていくというふうに理解してよろしゅうございますか。
  46. 野津聖

    ○野津政府委員 基本的には、そういう考え方で参っております。
  47. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは長官に実はお答えをいただきたいのですが、この間来の私の質問に対しても、率直なところ、窒素酸化物の環境基準の達成が、いろいろな努力にもかかわらず幾つかの困難があるということをおっしゃっておられました。国民にしてみれば、五十一年規制だけではなしに、技術開発のおくれというふうなことを含めて、速やかなる環境基準の達成を求めていると思うのであります。また現に国民の健康が冒されているということは事実なのでありまして、そういう、困難ではないかというふうに見通さざるを得ない状況のもとで、できるだけ早い機会に窒素酸化物並びに粉じん、つまり車公害からの救済、本当は、そういう被害が起きないような対策が先でございますけれども、しかし現実にそういう状況があるとすれば、被害を救済していくという手だてで、国民の現実の苦しみを救う以外に手だてはございませんので、来年の遅くならない時期に、そういう措置をとっていくという決意を、この際、承っておきたいと思います。
  48. 小沢辰男

    小沢国務大臣 健康被害地域指定につきまして、一番の問題点は、NOxがどういう役割りを果たし、どの程度の寄与率になっているかということが計量できるという点が一番のポイントではないかと思うので、それで実は四区についても、今度の場合に、ある部分的な地域については非常に何か国民の一般的な感情と矛盾する結果が出ている、また結論もそうなった、こういうことじゃないかと思うのでございまして、当然、先生のおっしゃるように両地域における調査の結果が出まして、これを踏まえた上で、私どもの方の科学的な基礎が固まりますと、補償法の費用とは別に、いま局長が言いましたように健康被害を補償する、守るという立場で結論をきちっと出していきたい、かように考えておるわけでございます。
  49. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは釈迦に説法でありますけれども、NOxの、特にNO2の毒性が動物実験などでも非常に高いということ、あるいはまた現実に肺に対する毒性が大きいということ、あるいはSO2の場合は微粒子の存在があって初めて気管や気管支あるいは肺のう、肺胞への到着であるけれども、NO2の場合は直接、単独で肺の奥に入っていってしまうというようなことだとか、あるいは現実に動物実験の中で非常な影響があって、特に微粒子がある場合には、体への影響がさらに大きくなっているとか、SO2と複合した場合には影響が倍加されるとか、こういうような科学的に立証されている事実がありますし、それからまた一方で、交通の激しいところでのNOxの濃度が高いということも事実だし、また、もっとはっきり申し上げて、その周辺で多くの被害者が出ているということも動かすべからざる事実なんです。光化学スモッグや大原のぜんそくの問題だけでなしに、きわめて明白な事実なのでありますから、今度、新しく指定のための調査で五地区ぐらい選定されますね、その中に東京の四区は、そのほかに再度ということをお考えになってはいらっしゃいませんか。
  50. 野津聖

    ○野津政府委員 今回の新しく調査をいたします地域は、神戸市ほかの地域でございますけれども、今回の結果が出ました段階におきまして、さらに東京都とも十分、話を詰めて、どういう形でもっていくことが大事かということを詰めてまいりたいと考えております。
  51. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大変しつこくて恐縮ですが、東京都と相談をして、ぜひ四地区、再調査をしていただいて、そして片方で言えばNOxの影響なり粉じんの影響なり、つまり車公害の影響というものと兼ね合わせて、ぜひ、ひとつ再調査について東京都と話をしていただきたい、そのイニシアチブを環境庁がとっていただきたい、このことをお願いしたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  52. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私も、この四地区の今度の調査結果を見まして、調査の場所、測定の場所をもう一回、検討して、大体、状況判断で、ひどいと思われる限定された地域というのはわかっておるわけでございますから、何とか今週中には暇を見て、省内で担当者を含めた、私みずから主宰をしまして検討会をやって、そして東京都とも連絡をして、できるだけ早く、その地域の再調査をやって、分区をしてでも、ひどいところは、地域指定の要件に合えば、私は指定をすべきじゃないかという気持ちを持っておるわけでございます。  この点、従来、大分強く申し入れをしておったのですが、なかなか分区ということについて都の方針が決まってなかったわけでありますが、これはもう少しよく率直に話し合いをして、そういう方向で早急にやれる調査ならば早急にやらせたい。そのある一定の時期を待って、どうということでなくて、そういう気持ちでございます。ただ、私は政治家としての気持ちでございますので、事務当局全体で会議を開いてみて、合理的なそういうものが出てくるのかどうかということを、もっとよく検討しないうちに、余り先走って素人が言ってはまずいかもしれませんけれども、私は、そういう気持ちで進めてまいりたい、かように考えます。
  53. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ありがとうございます。やはり外された人たちにしてみると、がっかりしていると思うのです。それから、被害者や大変、苦しんでおられる人たちにしてみると、一日も早くそういう補償制度を考えてほしいと、現実の出費も含めて考えておられると思いますので、そのような前向きな答弁をいただいたことに感謝をしたいと思います。  引き続いてお尋ねをいたしますが、これは補償法の福祉事業の関係でありますけれども、川崎なんかにいますと、たとえば公害病専門の病院が欲しい、あるいはせめて小児ぜんそくの患者の施設や保養所が欲しいという気持ちがあるのであります。しかし、もう率直なところ、最近の地方財政の状況や、あるいは用地確保や利用効率などの運営のことも含めて、実はそう簡単にはいかないという事情がございますので、できれば各都市、最寄りの、たとえば横浜や川崎や千葉や富士というようなぐあいに、東京を含めて、せめて公害病専門病院か、あるいは小児ぜんそく患者の施設あるいは保養所みたいなものを、何とかひとつ環境庁として共同利用できるような企画や調整を願いたいと思うのですが、この辺について、ひとつ保健部長の見解を承っておきたいと思います。
  54. 野津聖

    ○野津政府委員 いまの特に子供さんの患者さんのことを考えますと、非常に重要なことだと考えておるわけでございますけれども、ただ医療機関の問題につきましては、これは医療機関の性格上、認定患者さんだけというふうなしぼり方はできない問題がございます。特に国、厚生省の方でも、やはり小児病院あるいは小児専門病院という形で幅広く、いわゆる子供というものを中心とした考え方での対処をしておるところでございまして、環境庁といたしましても厚生省に、こういう部分の強化、あるいは特に小児ぜんそく、あるいは呼吸器疾患関係の強化につきましては、強く申し入れをしていきたいと考えておるわけでございますし、事実、国立療養所におきましては、一部におきまして小児の慢性疾患を対象としました性格を新たに持たせまして、その中でも、いわゆる小児ぜんそく等を含めて療養できるというふうな体制もとられておるところでございますので、私どもも、この問題の重要性につきまして十分、厚生省に申し入れをしまして、それに対応できるような体制を考えていくように要望していきたいと思っております。
  55. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 たとえば病棟があいているか、あいていないかという問題もあるにせよ、たとえば国立横浜病院なら横浜病院に頼んで、そしてある程度のベッドの中で、そういう人たちを集中的に診ていくというふうなことを、厚生省と折衝なさるというふうに理解をしてようございますか。
  56. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私も、これは何とか必要じゃないか、ブロック別にでも考えていくべきじゃないかという気持ちを持っております。ただ、新しく土地を購入し、それから何か国立でということになりますと、もういまの情勢でございますから、なかなか容易でない。そこで、いま部長はちょっと言葉が足らなかったと思いますが、厚生省の療養所、旧軍のいろいろな施設等が国立病院、療養所でございますので、それらのうちで選びまして、何とか方法がないものか、これを具体的にひとつ厚生大臣とも相談をして、ぜひ研究をさせていただきたいと思っております。まだ、ここで必ず実行しますと言うだけの基礎的な検討をしていないものですから、申し上げられないのですが、私も非常に同感でございますので、できるだけの努力をしてみたいと思います。
  57. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 あと十分しか持ち時間がないから、きょうは時間が制限されていますから、できるだけ要領よくまとめてください。政府委員も答弁を簡潔に。
  58. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 少し細かいことに入って恐縮ですが、転地療養の期間の、三泊四日ぐらいにしてほしいという要求がでていることは、野津さん御存じのとおりであります。それからもう一つは、医療手当の例の通院の日数のことでありますが、二日以上に緩和してほしいという要求も出ていることも御存じでございますが、この点について、ぜひ見解を承りたいというふうに思います。
  59. 野津聖

    ○野津政府委員 転地療養の二泊三日の件につきましては、私も聞いておるわけでございますが、ただ、転地療養そのものの性格について、一体どれだけの期間が、これら慢性疾患に役立つかとどうかというふうな問題があるわけでございまして、現在、試みといたしまして、三泊四日という制度を取り入れてみております。その結果をひとつ見て、それくらいの期間でも本当に役に立つかどうか、特に慢性疾患でございますので、その辺も詰めてまいりたいと考えております。  それから療養手当の問題でございますけれども、療養手当そのものが、いわゆる入院に要する費用あるいは通院の場合の交通費というふうな形で現在、支給しているところでございます。これを日にちを、月のうち二日あるいは三日くらいの短い通院まで持っていくということになりますと、現在の額の設定との関連もございまして、その辺がございますので、それに合わせてひとつ、その辺は検討していきたいというふうに考えております。
  60. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっと忙しくなってしまったのですが、いまの指定四病、つまり補償法の慢性気管支炎、気管支ぜんそく、ぜんそく性気管支炎、肺気腫という四疾患が指定されておりますが、この前この委員会で、この法律を審議するときに、実は私、たとえば鼻であるとか、のどであるとか、あるいは耳であるとか目であるとかいうようなことを、ぜひ疾患の中に加えてほしいというお願いをしたことがございます。その後、現実の状況を照らし合わせて、四疾患プラスそういうものを加えていく必要があるというふうに、恐らくお認めになっていらっしゃると私は思うのですが、その予算措置などを含めて、環境庁の見解を承っておきたいと思います。
  61. 野津聖

    ○野津政府委員 大気汚染に係りまして、目、鼻、のど等の疾患があるということは考えられるわけでございますけれども、ただ、目、鼻、のど等の疾患につきまして、どちらかといいますと急性的な疾患というものが前提になってくるわけでございまして、中公審におきましても一応議論はされたところでございますけれども、いまのところは可逆性の疾患であるというふうな形になってまいりました場合に、なじむかどうかということもあったわけでございます。ただ私どもといたしましては、実際、大気汚染によります目、鼻、のど等の疾患というものは考えられるわけでございますので、ひとつ明年度におきまして、これを調査するような形で予算要求していきたいと考えておるわけでございます。
  62. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ぜひ、ひとつそういう四疾患に、目、鼻、まあ耳はそれほどではないかもしれませんが、のどを含めて調査をしていただきたい、そして追加をしていただきたい、このことを、いまの御答弁に信頼を置きながら期待をしておきたいと思います。  あと、ちょっと飛行場の問題でよろしゅうございますか。駆け足で恐縮です。防衛施設庁はお見えですか。  今度の大阪空港の判決、公共性というものに対して、住民の健康や、あるいは安全ということを重視しての判決でございますが、判決それ自身は、私たちは、それに基づいてというふうに上告をしないようにという要請をしてまいりましたが、それはそれとして、現実に行政措置として、さまざまの措置がとられているわけであります。問題は実はアメリカ軍の飛行場、あるいは自衛隊も含めてでありますが、特にアメリカ軍の飛行場について、アメリカ軍に対して、こういう判決が出た、日本政府は、それに基づいて、あるいは、それとは独自にでも結構ですが、大阪空港について具体的な措置をとった、したがってアメリカ軍についても、日本政府のこういう努力に対して協力を求める、そしてアメリカの飛行場周辺の、これは自衛隊も含めてでありますが、特にアメリカ軍の飛行場について、夜間飛行について配慮するようにという措置をとるように、私は求めたいと思うわけでありますが、それについて御答弁を煩わしたいと思います。
  63. 奥山正也

    ○奥山説明員 大阪空港の判決が出ましたので、私ども施設庁といたしましては、米軍側に対しまして判決の要旨を伝えまして、今後この判決を踏まえました措置をとられることにつきまして、米軍と協議をいたしたいというふうに考えて、そういうふうに協議を始めております。
  64. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実は、これは全国の基地がそうなんですけれども、特に横田の場合は、ことしの九月八日から、沖縄から戦術空輸部隊が移駐をしておりまして、特にC130という大変、大きな飛行機が飛んでまいりまして、移駐前の平均発生回数二十一回が何と四十一回にふえておるのであります。これはやはりこの判決の趣旨から見ても、あるいは判決以前の実態なんかも一考慮して、できるだけ、そういうことのないように、市民の安眠を妨害することのないように措置をしなければならぬというふうに私は思うのでありますが、これについて、ぜひひとつ、東京都が防衛施設庁に要請をすると思いますけれども、単に周辺整備法でということでなくて、発生源で可能な限り、そういう周辺住民の安眠やあるいは健康というものを守るような措置をとっていただきたい、このように思います。もう時間がございませんので駆け足になってしまいますが、それについての御答弁を求めたいと思います。
  65. 奥山正也

    ○奥山説明員 横田の米軍飛行場につきまして、ただいま御指摘のございましたようにC130が十六機、配備されました。その結果、従前よりは確かに騒音度は高くなっておるということでございますので、私どもといたしましては、米側に対しまして積極的に、あるいは機会をとらえまして、騒音の軽減方につきまして申し入れております。
  66. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 施設庁、結構です。御苦労さまでした。  それでは運輸省に最後に承りたいと思うのですが、大阪空港の判決があったときに、その判決の後の措置については、他の空港とは別だというふうにお答えになったことが、何か印象的に残っていて、大変ぐあいが悪いのですけれども、ちなみに東京都で調べたデータを恐らくお持ちだろうと思うのですが、東京は総発着回数、これは四十九年ですが、十六万七千回、大阪はそれに対して十四万四千回、つまり東京が多いということです。その中でプロペラ機の割合が、東京は一五%なんです。つまりジェット機が多いということなんです。つまり十四万二千、ジェット機なんだ。大阪の方は四〇%でありまして八万六千というわけですから、ちょうど半分までではないが半分に近い。プロペラの方の音が小さい、ジェットが大きいことは事実ですからね。それから外国機の発着という割合は、東京が三二%で大阪が一五%、こういうわけであります。九時以降の発着回数を見ますと、東京が一日十五回です。大阪が八ないし九回。それから騒音発生時間帯のピークは、東京が午前十時と午後十時だ。大阪は午前十時と午後六時なんです。  つまり大阪に基準をとらえてみると、東京というのは確かに住宅は直下ではありません。にもかかわらず、これだけの違いがあるということは、どう考えても、公共性が違う、公共性のレベルが違うから東京の方は手はつけません、これでは済まないと思うのです。いままで、たとえば発着時間の規制を、ジェットは緊急を除いて十一時から六時まで発着禁止、そして、あと午後十時から十一時まで、あるいは午前の六時から七時までは海側の発着というふうに運輸省が指導なさっておられるわけですが、これがまた大変、守られていないのですね。これはもうあなた御存じのとおりです。だから、そういうことを踏まえた上で、東京はそのままでいいのかというふうなことを、何か公共性の程度が違うからと、からっと言ってしまうのじゃなくて、現実に常時測定の体制などを含めて、運輸大臣にぜひ一遍、環境庁長官と現場を見てもらって、ひとつ対策を、大阪の経験にちなんで進めてほしいと思うのですけれども、それらを含めて、もう時間がなくなってしまって、何もかもぶっ込んで質問するわけですが、御答弁を煩わしたいと思います。
  67. 梶原清

    ○梶原説明員 東京国際空港につきまして、以前から深刻な騒音問題が起きておることは御案内のとおりでございます。私ども先生、御指摘のとおりの運航規制等を実施してまいっておりまして、最近は、昨年度から民家の防音工事も実施することにいたしておるわけでございます。御案内のとおり、羽田飛行場といいますのは海に面しておりますので、極力、海側から離陸し、海側から着陸するという措置を、いろいろの手段でもって講じでまいっておるわけでございますが、なかなか十分にはできていない状況でございますので、極力そのような措置を講じてまいりたい。成田空港が完成をし開港いたしますと、国際線があちらへ移りますので、大分、運航状況も変わるかと存ずるわけでございます。また東京都なり周辺の区から御要望のございます羽田沖への移転ということも検討をしなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  68. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あと一つだけ。  環境庁長官、ぜひ羽田を見ていただきたいということだけ、お願いするのは道ではございませんが、対策をこのままにしておいていいかどうか。私は、やはりあそこに住んでおる人たちは深刻だと思うのです。たとえばモノレールの内側だと言っても、現実に数字が挙がっておりますが、相当、違反飛行があります。あるいは夜間の離着陸もあるわけであります。こういう状況というのは、やはり公共性というものがあるにしても、放置しておくべき問題ではない、このように思いますので、考えていただきたいことが一点と、きょうの新聞によるとIATAが何か文句を言ってきておるということを聞いておりますが、にもかかわらず、これまでとった措置というものを貫いていくお気持ちがあるかどうか、これは運輸省にお伺いいたしたい。  それから同時に成田の問題も、あれは羽田と同じように十一時になっておるでしょう。市長が大阪並みにと、こう言っておるでしょう。それについて多少とも、成田の問題についても、あなたの方で、この市長の意向なども含めて地元への配慮、そして大阪の判決というものを含めて再検討なさるおつもりがあるかどうか、このことを大変、恐縮ですが承っておきたいと思います。
  69. 小沢辰男

    小沢国務大臣 モノレールからこっちの方に絶対、入らないように、ひとつどうしても、してもらわなければいかぬと思います。これは運輸省当局に本当に真剣に検討していただきたい。そのおそれのあるC滑走路の離着陸については、できたらひとつ九時以降はやめるように、何か方法改善をやってくれという二点を、強く申し入れをいたしておりますので、運輸省当局も真剣に検討中だと聞いておりますから、私どもとしては、とりあえず、それだけでも何とかひとつ守っていただくようにお願いをいたしたい、かように考えます。
  70. 梶原清

    ○梶原説明員 成田空港につきましても、航空機騒音防止法に基づきます措置を十二分にとってまいりまして、環境基準を達成できますように努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  71. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 米原麺君。
  72. 米原昶

    ○米原委員 私も、岩垂委員に続いて、公害健康被害補償法の地域指定の問題について、まず最初に伺います。  先日の四十九年度調査分の結論ですね。危惧しておりましたように、世田谷、杉並、練馬、中野の四区が東京都では除外されたことは、私たちも非常に残念に思っております。これらの地域は、長官も現地に一度、調査に行かれたそうでありまして、環状七号線を初めとする幹線道路を数多く抱えて、いわゆる大原ぜんそくなどと呼ばれているように、これらの幹線道路周辺には多くの患者が存在していることは明白であります。この問題のかぎは窒素酸化物の問題であります。東京都の十八歳未満の人々に対する医療費助成制度を見ましても、これらの外された地域の患者の割合は、ほかの地区と比べて低くはないし、むしろ高い地域さえあります。また昨年、指定された品川区での患者の分布を見ましても、幹線道路付近に集中しております。こうした点で事実は幾らでもあります。政府自身、二酸化窒素については、その人体への影響を認めて環境基準を定めておりますし、また、この補償制度でも、自動車の影響があるということで、補償費の二割は自動車重量税で賄っております。こうした矛盾を犯しながら、窒素酸化物問題を、なおかつ検討中ということで逃げられております。この点が私は最も遺憾とするところであります。さらに、この地域指定基準についての昨年十一月の中公審答申を見ますと、硫黄酸化物による汚染度が三度未満であっても、硫黄酸化物以外の汚染物質による大気の汚染程度等を考慮しつつ、総合的な汚染の程度がおおむね三度相当とみなされれば、指定するのは可能と言っておるわけでありますから、直ちにこうした点を考慮して再検討していただきたいと思いますが、この点について一言、長官の御返答をお願いします。
  73. 小沢辰男

    小沢国務大臣 NOxの問題を全然、考慮しない結論ではないのです。考慮をして、なおかつ、どうも当てはまらない、こういう結果になっておるわけでございます。ただ、考慮の仕方について、科学的な、技術的な判定が、東西二ヵ所にわたる調査の結果、解析の結果を待たないと、なかなか確定してこないというところに問題があるわけでございます。  私も、この四区のうちで、特に環七公害と言われるような地点、これをできるだけ限定しても、何かもう少し精密なあれによって合格するような方法はないのかということを、あの視察以後ずっと言ってきたわけですが、何かいろいろ解析をして検討してもデータがそろわぬ、こう言うものですから、やむを得ず、とりあえずは、ああいう発表をいたしたわけでございますが、この地域について、先ほど岩垂議員に申し上げたような気持ちで、早急に再検討するように、ひとつ今週中には内部の方針をいろいろ討議して、決めてみたいと思っておるわけでございます。
  74. 米原昶

    ○米原委員 もちろん、いろいろ調査し、再検討されること自体は結構です。結構ですが、窒素酸化物の問題は考慮してないわけではないと言われますけれども、確定的なものに、その基準がまだなってないわけです。そういう点で、こうした地域が結局まだ放置されておきますと、環境庁は自動車公害被害者を切り捨てたと言われても仕方がないのではないか、こうした地域の公害病の患者の人々が、みんな、そう思っているわけなのであります。いろいろ調査するなら、それはそれで結構ですが、要するに行政のおくれが患者を犠牲にしているということになります。長官、この窒素酸化物問題では、この補償法が成立したとき、すなわち昭和四十八年に、三年以内に結論を出すという答弁がありました。もう、そろそろ時間切れであります。早急に措置をとることを要求しますが、その決意を伺いたいと思います。
  75. 小沢辰男

    小沢国務大臣 三月までに解析の結果を出しまして、来年度にはNOxの、いまおっしゃるような点の解明をきちんといたしまして、方針を決めたいと思いますから、当初の前長官が申し上げたような三年以内には結論をつけていけるのではなかろうか、かように考えております。
  76. 米原昶

    ○米原委員 では次に、石油備蓄精製基地の立地問題について聞きます。  これは昨年も質問した問題ですが、奄美大島の枝手久島における東亜燃料の精製備蓄基地の問題です。昨年の質問の際にも述べましたが、企業側が札束攻勢を行って、あるいはまた漁業権買い取りのために、不正手段による漁協での多数派工作などが行ってこられました。伝えられるところによると、長官は、ことしの夏、現地を訪れられまして、自然を破壊するような企業の進出は認められない、こう述べられた。さきに参議院の予算委員会でも、あの環境を見ますと、とても環境破壊として私が許せるようなものではない、こう答弁されております。いま現在まだ法的な手続はとられておりません。長官も言っているように、やはりどうしても残さなければならない自然だと思いますが、この点の長官の見解を改めて伺っておきます。
  77. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私が現地を見まして、伝えられるところの東亜燃料の石油基地ですか、コンビナートですか、海岸、海を埋め立てて、島を全部、取り崩して、それを埋め立てに使って、湾の出口、外洋とのつながり口の一方をふさいで、そして大工場地帯をつくりたい、こういうようなことを地元の村では村長以下、決議をして、ぜひ誘致したい、こういうことであったようであります。私、行ってみまして、ちょうど夕やみ迫る非常にそういう環境でもあったせいかわかりませんが、どうもこれは困るな、この島をつぶして閉鎖性水域みたいなかっこうにしてしまうということになると、あの湾が非常に奥深く入っておりますので、これは将来、禍根を残すのではなかろうか。それから、これはもう絶対に私としては、正確には何も申請を受けて聞いているわけではありませんが、伝えられるようなやり方では、私は絶対に賛成できない、こういう印象そのままを現地の皆さんに申し上げた。  ただ参議院の宮之原議員、御出身でございますが、そのときにお答えしたのですけれども、私は一切の開発すべてを反対をして、あそこで表明したわけではありません。御承知のとおり奄美大島は、あそこが南部になると思いますが、南と北の方では非常に所得が違う。南の方は全く所得が低い。いまのままですと何ら向上できる手がかりがない。そこで住民も、また住民の村政を預かる方方が非常に苦労して、何とかひとつ考えていきたいという熱意から、この問題が出てきたのではないかと思うのです。したがって、われわれはこの自然を守りながら、そういうおくれた地域の生活向上に役立つような方法を、どうやって考えてやるかということを真剣にあわせて検討していかなければいかぬ、こういうふうに思って帰りました。私の気持ちは、あの土地について、あのやり方で開発をするということについては、いまだに賛成しがたい、かたい決意でございます。
  78. 米原昶

    ○米原委員 長官のおっしゃるとおり、あすこの自然は確かにすばらしいわけであります。しかし、同時に一方で、おっしゃったとおり深刻な過疎問題を抱えておるわけであります。これをどうしても解決しなければならぬということも私は賛成です。こうした過疎を解決するのに、やはり農業や漁業や、そして問題になっている大島つむぎ、サトウキビ、そういうもの、いやそれだけではとても足りないので、自然を破壊しないような地場産業をあそこに興すというようなことが当然、必要ですし、また、この自然を守るとともに、国民本位の、地元本位の観光事業というようなものも重要だと思うのであります。その点からしますと、昨年二月に奄美群島国定公園の指定が行われましたが、どういうわけか、長官自身も認めたような、この美しい自然の地である枝手久島近辺が指定から外されているわけであります。国定公園ですから、もちろん、これは鹿児島県が決めなければいけないことでありますが、長官、ひとつ県とも協議して、ここの自然を守り、かつ適切な観光事業などを行うためにも、国定公園の指定も含めて検討すべきではないか。ここを外したということは非常に不適切なやり方ではないかと私は思うわけであります。この点ひとつ県とも協議して、国定公園の指定検討されてはどうかと思いますが、いかがでしょう。
  79. 小沢辰男

    小沢国務大臣 夕やみ迫る中で私はあの海岸に立ちましたときに、確かにすばらしい景色だと思いましたが、国定公園とか国立公園の地域編入ということについては、やはりわれわれ素人が、ああいい景色だと思うだけではいかぬので、何といいますか自然の専門家がよく検討していただいて区域を決めなければいかぬわけでございますから、いま私がどうも素人の考えで、こうだと言うわけにはいきませんが、それだけの価値のある景観ということであるとすれば、これは当然、県が出してくるときには入れてきたのではないかと思うのです。しかし何も国定公園でなくとも、いろいろなやり方等がございますので、私の言う地域のあれを尊重しながら、自然を守りつつ、いろいろな開発をしていくということは、沖縄の西表についても考えておりますし、そういうような方法を、そう国定公園にこだわらないで私やれると思いますから、いま私、直ちに国定公園の見直しをしろというような、鹿児島に命令したり要請したりするような気持ちは、いまのところ持っておりません。なお検討してみますけれども、御了承願います。
  80. 米原昶

    ○米原委員 これは私、現地へ行ったときから、もう聞いているのです。ここを国定公園の指定から外したということが、そもそも石油基地を誘致するという意味があって、そこでわざわざ、そこの一番、景観のいいところを外してしまっているのですよ。そういういきさつがあるということを、現地の人はみんな知っているものですから、国定公園に、この地域を指定しますと、この石油基地問題に一応ピリオドを打つことになる、そういう意味も含めて、ひとつよく検討していただきたい。  そのほかもう一つ、鹿児島県の金峰町の吹上浜に、五十七年度を最終年度として千五百八万キロリットルにも及ぶ膨大な計画でありますが、アジア石油の大きな石油備蓄基地の建設計画があります。政府の計画では、五十年から五十四年までの間で、いわゆる九十日分備蓄計画として三千万キロリットルの備蓄を計画しているようでありますが、この金峰町の吹上浜だけで、その半分を備蓄してしまうということになります。したがって政府としては相当、関心が深いところだと思うのでありますが、この点について見解を伺いたいと思います。
  81. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 金峰町におけるアジア石油備蓄基地計画につきましては、先生おっしゃるような非常に規模の大きい、喜入基地の何倍かに当たるというような計画があって、アジア石油が地元の金峰町にそういう申し入れを行ったということは聞いておるわけでございますが、具体的な計画については、まだ私ども承知しておらないわけでございまして、聞くところによりますと、鹿児島県知事が金峰町の町当局に対して、この計画については慎重に取り扱うようにという申し入れをしているというふうに聞いております。
  82. 米原昶

    ○米原委員 通産省の方に、通産省の五十一年度の概算要求について聞きますが、石油備蓄施設立地促進交付金として八十一億円もの予算要求がありますが、この交付金の制度内容について簡単に御説明願いたいのです。
  83. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま御指摘がありましたように、昭和五十一年度の概算要求といたしまして、われわれの方から石油備蓄基地立地促進交付金という制度の創設を要求をしております。これは要求でございますので最終的にどうなるかはわかりませんが、われわれの要求内容を申し上げますと、石油備蓄基地というものができ上がりますためには、やはり地元にいろいろな立地をいたしまして、その立地によって、いろいろ御協力を願うことになるわけでございます。ところが石油の備蓄というものは、これは国民経済全般の問題でございまして、国民経済全般の安全保障のために石油を備蓄するという国家目的に対して協力をしていただくわけでございますし、何かと地元の方々にも、あるいは周辺の地域の方にも、お世話になるわけでございますから、そういう点では、やはり国全体の目的に対して協力をしていただくという意味で、こういう交付金を出してはどうかということで、石油備蓄施設が建設される市町村それから周辺の市町村に対しまして、それぞれ石油備蓄施設の貯油能力の一キロリットル当たり四百円の交付金を交付いたしまして、その地域の道路とか公園とか環境衛生施設とか福祉施設等々の公共施設の整備に充てていただこうということで検討しておるわけでございます。
  84. 米原昶

    ○米原委員 説明を伺いまして、わかりました。つまり基地をつくるその町村と、その周辺の町村に出されるということで、そうしますと昨年、電源施設周辺整備法が成立しましたが、あの中に出ているやり方と同じではないか。各地でいろいろ原発や火力発電所の建設に反対運動が起こる、そうすると、それを抑えていくためにも地元周辺に相当、金をばらまく制度。今回のこの石油備蓄基地立地促進交付金制度も、現在、過疎問題やあるいは自治体の財政危機、こういう中で非常に困っているわけですが、ある意味では、そこに乗じて巧妙に九十日分の備蓄を推し進めようとするものだ、こういうふうに受け取れますが、この点どうでしょう。
  85. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油備蓄基地を建設するに当たりましては、やはり地元の方の十分な御理解が要りますし、また先ほど長官もおっしゃいましたように、その地域の公害防止あるいは自然保護ということも十分、考えた上で決定しなければいけないというふうに、われわれは考えております。したがいまして、そういう決定は地元の住民の方々の御協力ということを前提にして行うわけでございますので、その地元住民の御協力を、何といいますか促進するために、そういうものを準備するという意味ではなくて、むしろ、そういう協力をしていただいた後、われわれが、そういう公共施設の整備等に若干の金を出すということでございますので、これによって、いま御趣旨のような形をわれわれが考えておるということではなくて、むしろ基地の決定自身は、十分そういう環境問題、公害問題、それから地元住民の福祉というものを考えた上で、まず決定されるべきであるというふうに、われわれは考えております。
  86. 米原昶

    ○米原委員 この制度は、現在、石油基地のある自治体へ交付するものではないのですね。新設したり増設したりする場合に、この交付金が出る、こういうことですか。
  87. 左近友三郎

    ○左近政府委員 現在、基地のございます市町村にありましては、固定資産税とか、とん税とか、いろいろな意味での石油基地の活動に伴いまして財政的にも貢献があるわけでございます。したがいまして、現在あります地域について、この制度をさかのぼって適用するということは考えておりません。
  88. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、たとえば鹿児島県の喜入町などでは、この交付金をくれろというような要望もあるそうですか、それには出ない、そして、まあ出るとすれば、たとえば基地を増設したりした場合には出る、こういうことになっているわけでしょうか。
  89. 左近友三郎

    ○左近政府委員 既存の基地の所在の市町村から、この交付金を、つまり既存の市町村にも交付してほしいという御要望は、われわれも承っておりますが、来年度の予算では、まずやはり新設のところということにいたしまして、現在のところ、われわれの要求では既存のものは含まれておりません。
  90. 米原昶

    ○米原委員 これは、いま御説明があったように五十一年度分の概算要求として、通産省がいま予算要求をされている段階なわけですね。そこで聞きますが、実はここに、この金峰町で住民に配られている大変、豪華なパンフレットがありまして、「南薩共同原油備蓄基地」とあります。アジア石油がつくったもので、十二ページにも及ぶ大変りっぱなパンフレットであります。ところがこれを読んで驚きました。こう書いてあります。「CTSを誘致した地もと町及び周辺の市町には、住民の協力に対し政府より多額の特別交付金が与えられることになっています。」こう書いてあるのです。いま質問した石油備蓄施設立地促進交付金制度が、あたかもすでに実現したかのようなうそを書いている。それとも大蔵省がもうすでに内諾して、それを通産省がアジア石油へ教えてやったということなのかどうか。そんなことはないのかどうか、見解を伺いたいと思います。
  91. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘のとおり、この立地交付金というのは、われわれも予算要求段階でございまして、今後どのような決定になるかは、まだ全くわからない状態でございます。したがいまして、会社が準備いたしました、あるいは配布いたしたのだろうと思いますが、パンフレットに、そういうあたかも決まったかのごとき書き方をしておるとするならば、大変、不適当だと私は思います。したがいまして、それについては会社にも注意をいたしたいと思います。
  92. 米原昶

    ○米原委員 おっしゃるとおりだとすると、これは全く非常に悪質なものだと言わざるを得ないのです。通産省としても断固たる処置をとっていただきたい。具体的にはアジア石油を厳重に注意して、そうして地元住民に謝罪させるべきであります。同時に、こうした制度が、政府の予算案が決定して、そして国会の議決を経て決まるものでありますから、このパンフレット自体国会をばかにしたものであります。われわれに対しても謝罪させるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  93. 左近友三郎

    ○左近政府委員 会社のパンフレットにつきましては、私も内容を存じておりませんでしたので、御指摘によって十分、調査いたしまして注意をいたしたいと思っております。
  94. 米原昶

    ○米原委員 実を言いますと、これを読んでごらんになればわかりますが、このパンフレットで問題なのは、それだけの形式的な問題ではないのです。この交付金で町がどうなるか。体育施設ができる、文化施設ができる、学校ができる、医療施設が充実する、福祉施設が充実する、そして最後は何と道路、上下水道などの公共施設が完備されてしまう、こんなことになっております。もともと決まってもいない交付金が出るなどとうそを述べておる上、あきれるばかりの誇大宣伝をやっております。この点でもどう思いますか、こんなことを書かして。通産省に伺いたいと思います。
  95. 左近友三郎

    ○左近政府委員 まだ確定していない事実をもとに、そういう説明をしているといたしますと、これについては、やはり事実に基づいて、いろいろなPRをすべきでありまして、そういう点で不適当な行為だと思いますので、十分、調査をいたします。
  96. 米原昶

    ○米原委員 さらに先ほど環境庁長官が触れられました、この地帯の過疎問題についても、このパンフレットでは、過疎問題が解決し人が集まるなどと書いてあるわけです。これはどう考えても、とんでもない話であります。この金峰町の人口は昭和三十一年当時、二万人程度であったのが、現在、一万人であります。しかし、これが石油基地の建設で解決するか。確かに工事中は一定の人数が必要かもしれませんが、完成後は、会社側の資料によっても、幾ら多くても五百人にも満たない従業員で、このうちかなりの部分がコンピュータなどの操作ができる技術者で、現地での雇用はほんの少々で、とても、こういうもので過疎が解決するなどと言えるものじゃありません。また、これができたからといって、関連企業がそこに移っていくというようなことも、どう考えても期待できないのです。  さらに、このパンフレットは十一月に配布されたもので、聞くところによると、町の職員が各部落会長を通じて配布されたということであります。こうしたでたらめなパンフレットを町の職員を使って配布するなどというのは、はなはだおかしいことであります。この点も含めて調査の上、厳重な処置をとることを要求しますが、見解を伺いたいと思います。
  97. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘のとおり十分、調査をいたしまして、実態を調べた上で会社に対する措置をしたいと思います。
  98. 米原昶

    ○米原委員 それでは環境庁長官企業がこういう行為をやって、住民をたぶらかして開発を強行しようとしているわけですが、環境保全に責任を負う立場から見解を伺っておきます。
  99. 小沢辰男

    小沢国務大臣 はなはだ企業の姿勢としては間違いだと私は思います。調査するまでもなく、直ちに会社に厳重に注意をすべきだと思いますので、通産省の方でそういう措置をとることを、私の方からも要望いたします。
  100. 米原昶

    ○米原委員 長官、ここの金峰町吹上浜というのは、実は日本三大砂丘すなわち鳥取の砂丘それから九十九里浜、そしてこの吹上浜と言われるもの中の一つで、砂丘のほかにすばらしい松林があります。県立公園だということです。そして、この松林は砂防林としても重要な役目を果たしております。こうした砂丘のど真ん中に埋め立て三百六十万平米、陸地三百万平方米を使って、この松林を半分近く切り倒し、あの喜入の二倍以上という、とてつもない規模の石油基地をつくろうというわけであります。ここは埋め立てを伴うので、当然、埋立法上、意見を述べることはできるわけですが、できるだけ、こうした三大砂丘と言われるような自然を守ってほしい。さらに、できれば、ぜひ現地を見ていただきたいと思うのでありますが、どうでしょうか。
  101. 小沢辰男

    小沢国務大臣 県の自然公園地域であることは知っております。したがって知事ともよく話し合ってみて、必要があれば見に行きますけれども、いま、そうさしあたっての見に行く必要性はないのじゃないか。まだPRをして、何かこれから会社が計画しようという段階で、私の方へ全然まだ上がっておりませんし、県の方でも地元に慎重にするように指示をしているようでございますから、なお、それぞれの景観につきまして県の方の意向をよく聞いてみて、私の方の態度を、知事と相談をして決めたい、かように思います。
  102. 米原昶

    ○米原委員 この立地される金峰町を除くと、隣接する吹上町、東市来町、加世田市などの漁協を含めて周辺の市町村全部、反対している。もちろん金峰町の中でも、多くの部落で反対の決議がされております。そして長官の行かれた奄美でも、立地される宇検村だけが賛成で、周辺の市町村はみんな反対となっていたわけです。これは一面、当然で、周辺市町村は固定資産税など何一つ得るところはなくて、環境破壊だけを受ける。ところが先ほど来、問題にしてきた石油備蓄基地立地促進交付金制度は、立地される市町村と、そして周辺の市町村に分けて、同額の金を落とそうとするもので、奄美やこの金峰町での実情に合った、ある意味では実にうまい制度、ずるい制度だと思うのです。こうした全く金の力に物を言わせるような制度について、こういうようなやり方が果たして適当であるかどうか、最後長官自身の見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  103. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は、金の力で何か、そういう開発を納得させてかかるというような制度予算要求ではないと思うのです。先ほど通産省が言いましたように、そういう協力を得た後の福祉の増進ということで、予算要求しているわけでございます。これは電力の問題でも、法律が通りましたときにも、われわれは、やはりその点は反対ではない、そのこと自体先生がそっちの面から、こう言われますけれども、実は考えておるのは、そういう面からじゃなくて、結果として協力に対するいろいろの地元の福祉増進のための国の行政施策である、かように考えれば、一概に反対すべきことではない。ただ、それといまの金峰町の自然公園地域において、そういうものをつくる可否の問題とはまた別でございますから、それははっきり分けていかなければならぬと思っております。
  104. 米原昶

    ○米原委員 その点は、これは現実の問題として、さらに議論する機会があると思います。  これで質問を終わります。
  105. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 次回は、来る十九日金曜日、午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十二分散会