運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-12-12 第76回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十二日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 渡辺 惣蔵君    理事 田中  覚君 理事 林  義郎君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       坂本三十次君    住  栄作君       葉梨 信行君    八田 貞義君       渡辺 栄一君    岩垂寿喜男君       米原  昶君    岡本 富夫君       折小野良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         通商産業大臣官         房審議官    伊藤 和夫君         運輸省航空局長 中村 大造君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    弓削田英一君         運輸省航空局飛         行場部環境対策         第一課長    井下登喜男君         運輸省航空局技         術部検査課長  大島 士郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染  対策等)      ————◇—————
  2. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下元二君。
  3. 木下元二

    木下委員 前回に続いて、大阪空港問題について質問をいたします。  ことに大気汚染関係について伺いますが、環境庁がかつて大阪空港内外測定したところでは、NO2は環境基準さえ未達成であります。これは環境庁の「大気汚染に占める航空機の位置」という資料によっても明らかなところであります。しかもその上、NOxが大幅に増加することの確実なエアバスを導入することは非常に問題だと思います。周辺住民の健康を守るという観点に立って、運輸省は考えてもらいたいと思うものでありますが、いかがでしょう。
  4. 中村大造

    中村(大)政府委員 大阪空港周辺住民の障害を少しでも軽減するように対策を講ずるということは当然でございまして、エアバス導入についても、そういうことを十分、念頭に置いての措置であるというふうに考えております。
  5. 木下元二

    木下委員 この大気汚染航空機寄与度を、運輸省の方ではどのように見ておりますか。
  6. 松本操

    松本(操)政府委員 お答えいたします。  大気汚染の中で、大気汚染原因となりますエレメントがいろいろございますので、それによって多少の数字の差はあるようでございますけれども、一般的に言いまして、固定排出源それから移動排出源航空機排出源、こういうふうに考えてまいりました場合に、航空機排出源によります大気汚染はパーセントが非常に低い。これはEPA、アメリカの環境庁数字とか、あるいは、その他いろいろなところの数字で、ばらつきがございますので、どれがどれというふうに明確に一言にして申し上げることはむずかしいかと思いますけれども、私ども理解しております限りにおいては、その寄与度は非常に低い、このように考えております。
  7. 木下元二

    木下委員 その点が問題だと思うのです。そういう認識に、私は非常に問題があるように思うのです。この大気汚染航空機寄与度というものを見る場合に、少なくとも、その飛行機が飛び立っていく、あるいはおりてくる、その狭い周辺範囲、その局所的な部分に限定をして見てみますと、私は非常に高いのではないかと思うのです。この点はいかがでしょうか。
  8. 松本操

    松本(操)政府委員 先生おっしゃいましたように航空機が着陸し、または離陸する場合、当然、着陸側離陸側条件は多少、異なってまいりますけれども空中をおりてきたり、あるいは空中に上がっていくといく過程をとります関係で、拡散問題というものを当然、考えておく必要があろうかと思います。したがいまして、固定排出源のように、その場にあって常時そこから何がしかの汚染物質が出てくるという場合と、ある一定の限られた時間の中で通過してしまう、こういうふうな形とでは様相が異なってくるのではなかろうか。したがいまして、先生おっしゃいましたように、非常に局地的な場合、きわめて短い時間をとって見ました場合には、航空機の種類によっては、多少の高まりが一時的に起こるということはあり得るかと思いますが、全般的に見まして、通常、考えられておりますような恕限度と申しますか限界値と申しますか、そういうふうな考え方で見ました場合には、先ほど申し上げたようなことになるのではないか、こういうふうに理解をしております。
  9. 木下元二

    木下委員 拡散という問題はありますが、しかし一体どれだけ、どのように拡散をしていくのかということは、実際問題として非常にわかりにくいのではないかと思います。いわゆる拡散式といったこともあるようでありますが、これは風向風速気温など、いろいろな条件のもとで、どのように拡散をしていくかという方式は確立していないのではないかと私は思うのです。いろいろ研究はされておりますけれども、実際に大阪空港で、実際との照合ができておるかというと、私はできていないと思うのです。ただ、マクロ的に大まかに見たときの寄与度というものは、全体としてわかるかもわかりません。けれども、それも風向風速など一定条件を前提にしたものであって、おおよその目安にすぎないのではないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  10. 松本操

    松本(操)政府委員 先生が最初におっしゃいました拡散の問題につきましては、これは純粋学問的には、いろいろ問題があるのかもしれません。私、そこまでは詳しく承知しておりませんけれども、たとえば大阪府とか、あるいは私どもの方で、いろいろと拡散計算をして予測をするというふうなことは現実に行われておりますし、この場合にも単に理論的な式ということではございませんで、私も十分は存じませんが、六弗化硫黄とかいうものを空中に流しまして、その濃度の分布を測定し、それが理論式と合うか合わないかということをチェックいたしまして式を修正する、そういうふうな式を使いまして計算をしておるわけでございます。したがいまして、もちろん予測値でございますから、厳密に現実と合うか合わないかという議論になりますと、あるいは問題があるのかも存じませんが、いずれも航空機の運航にいたしましても気象条件にいたしましても、時々刻刻に非常な変動がございます。したがいまして、こういう議論をいたします場合には、ややマクロ的な観点から見ざるを得ないのではないか。ただし、はなはだしく狂っておったのでは話になりませんけれども、前段に申し上げましたように、私どもの使用しております式は一応、実験との整合性ということも見てございますので、そういう意味で、空港を中心といたしまして周辺に、どのような形でポリュータントと申しますか、汚染物質拡散していくかということを推定いたしますのには、現在のところ、いま私どもが使っております手法、これも一般に使われておる手法と、ほぼ同様のものでございますが、その方法が適当なものではないか、こういうふうに思っております。
  11. 木下元二

    木下委員 実際との整合性も見ておると言われますが、この空港のごく周辺のところでの汚染一体どうであるかということを見ておるのでしょうか。その点での整合性というものは確かめておるのでしょうか。
  12. 松本操

    松本(操)政府委員 私ども、例を大阪空港で申し上げまするならば、大阪空港の中に、そういった大気汚染測定点を持って、測定を継続しておりますが、あるいは、そのほか随時、空港内の何ヵ所かに測定点を置きまして、そこで現実汚染状況測定するというふうなことも実施をしてきておるわけでございます。その結果、私どもの得ております数字から勘案いたしますと、厳密な計算との整合性という、非常に学術的な意味での整合性ということでは、あるいは、ないかもしれませんが、実務的な判断といたしまして、私ども観測によって得ました数字は、むしろ非常に低い、意外に低い数字が出ておるわけでございますので、したがいまして、大局的に見て、こういう形での考え方というものに、そう大きな違いはないのではないか、こういうふうに思っております。
  13. 木下元二

    木下委員 私は、拡散があることは否定いたしません。これは当然、拡散するわけです。たとえば千メートルから進入して着陸して、そしてまた千メートルに上がっていく、こういう大きな範囲をとってみた場合には、風向風速気温などの、いろいろな条件のもとで、いろいろに拡散をしていく、これは当然であります。しかし、飛行機が離発着をする、その局所的な狭い範囲をとらえますと、若干の拡散はありましょうけれども飛行機汚染に対する寄与度というものはうんと高いと思うのですよ。特にこの点は、先ほども飛行機移動発生源で、相当な速さで動くということも言われましたが、この拡散と関連しまして瞬間濃度ということが問題になるわけであります。この空港周辺における瞬間、瞬間の汚染濃度は非常に高いわけです。この前の控訴審判決も、これを問題にいたしております。  この点については、周辺住民はいろいろに訴えておるわけですよ。ジェット機は真っ黒い煙を噴出するのでありますが、このジェット機が飛び去った後は、もう周辺一帯黒煙に包まれると言われております。周辺住民の言葉をかりますと、飛行機のなまぬるい排気ガスが風に乗って襲ってきます。飛行機川西の方に飛び去ってから一、二分して、そのガスの通り過ぎるのが体で感じられますと訴えております。あるいはまた、誘導路ジェット機が通過していって、しばらくしてから生暖かいガソリンのすごいにおいがばっと漂ってきます。そのにおいをかぐと途端に頭が痛くなってきますというふうに訴えておるわけであります。こうした住民の証言に照らしましても、ごく短い時間でありますが、高濃度汚染が局所的に発生することは明らかなんですよ。だから、マクロの観点で大局的に汚染物質を見るということも必要でありましょうけれども、それをもって空港周辺汚染がこうだという割り切り方は、これは非常に問題があると思うのですよ。このことを私は言っておるわけです。いかがですか。
  14. 松本操

    松本(操)政府委員 汚染の態様というものをどのようにとらえるか。特にこれは数字的にあらわしませんと議論ができかねるものでございますので、いろいろ数字的なとらえ方をするやり方といたしまして、たとえば連続する八時間における一時間値とか、連続する二十四時間における一時間値とか、あるいは年間を通じての一時間値とか、いろいろな押さえ方をしてあるわけでございます。  先生ただいま仰せられましたように、航空機がたとえば誘導路上を通過いたします場合に、風向きのかげん、あるいは風速のかげん、これは全部、微妙に作用するようでございますが、風向き風速のかげんによりましては、局地的にきわめて短時間、高濃度の空気のかたまりと申しますか、そういうふうなものが流れてくるということはあるわけでございます。それはあるわけでございますが、どの程度の継続時間であるかと申しますと、観測いたしましたデータによりまして大体、一分前後でございます。それで、その濃度、たとえば一酸化炭素について、その濃度がどうなっておるかというのを見てみますと、その濃度が八時間連続における一時間許容値よりも、まだはるかに低いというような数字でございます。したがいまして、ある程度濃度の高い汚染物質が瞬間的にある局所を通過するということはございますが、それから先、直ちに拡散作用が行われてくる。それで、その一時的に起こります濃度がきわめて高いという場合には、仮に短時間であっても、いろいろと問題が生ずることも、あるいはあろうかと思いますが、観測されました数字に基づいて見る限りにおきましては、その濃度程度が八時間連続の一時間値、つまり、その程度濃度であれば八時間連続しても健康上支障がない、こういうふうに考えられております濃度よりも低うございますので、もちろん、それで構わないというふうに私、申し上げているわけではございませんが、そういうことではなくて、瞬間濃度というものが確かに観測されるということは、先生おっしゃるとおりでございますけれども、そのありようにおきましては、非常に問題になるというふうなことではなく、しかも時間が短いために、その後に引き続いて行われる拡散作用によって急速に薄められてしまうという現象が、また同時に起こっておるというふうに考えておるわけでございます。  それで、お話の中にございましたジェット機排煙につきましては、これは単にそういった汚染物質の有無ということのほかに、見た目にも非常に不愉快でございますし、また、ばい煙によって、たとえば洗たく物が汚れるとか、そういうふうな御議論もあったわけでございまして、これにつきましては、現在エンジンの改修がほぼ終わりまして、まだ一部、残っておりますが、国内で使われておりますほとんどの航空機につきましては、スモークレスチャンバーといいまして、排煙の出ないような形のものに取りかえさせております。そういう問題に対する処置というものは逐次、行ってまいっておるわけでございます。
  15. 木下元二

    木下委員 大阪空港大気汚染の瞬間濃度はどういう実態なのかということを、運輸省としては一体測定したことがあるのですか。いま瞬間濃度が大したことないように言われたけれども、では一体どういう測定運輸省はやっているのですか。
  16. 井下登喜男

    井下説明員 四十八年の測定でございますが、たとえば勝部地区におきまして、COの瞬間濃度通常の……(木下委員運輸省測定したのですか」と呼ぶ)測定いたしました。その結果、CO濃度としましては、勝部地区で二・九ppmという数字を得ております。
  17. 木下元二

    木下委員 いや、それは大阪府の測定と違うのですか。運輸省ですか。
  18. 井下登喜男

    井下説明員 大阪府でございます。失礼しました。
  19. 木下元二

    木下委員 私が聞いているのは、運輸省測定したかどうか、聞いているのですよ。していないでしょう。
  20. 松本操

    松本(操)政府委員 先ほど来、私が申し上げました運輸省測定におきましては、瞬間濃度というふうなはかり方はいたしておりません。
  21. 木下元二

    木下委員 そうでしょう。はっきりしなさいよ。何か、ごまかすようなことを言いなさぬなよ。私は、さっきから聞いているのですよ、運輸省は瞬間濃度測定をしたかと。していないはずですよ。大阪府がしておる。ところが、その大阪府の測定というのも、いまCOについて言われたけれどもNOxあるいはTHCについて測定しておりますか、しておりませんね。
  22. 井下登喜男

    井下説明員 一酸化炭素だけでございます。
  23. 木下元二

    木下委員 そんなことで一体、瞬間濃度が低いなどということが言えるのですか。そういうごまかしはやめなさいよ。しかもこれは、この空港周辺全体についてやっておりますか。そうじゃなくて勝部だけでしょう。ほかの地域でやっておりますか。
  24. 松本操

    松本(操)政府委員 大阪府の行いました測定勝部地域でございます。
  25. 木下元二

    木下委員 ですから、大阪空港内あるいは空港周辺全体で、瞬間濃度測定したのは勝部地点一ヵ所だけ。したがって、その勝部地区は大体におい飛行機がおりてくるところですね。飛行機が飛び立つ方、これは伊丹の方でありますが、こちらは瞬間濃度などは測定していないわけですよ。しかも、その瞬間濃度排出が一番、大きいと言われるのは飛行機が飛び立つときなんですね、その方は測定されていない。非常に不十分ではありませんか。そのことを私は言っているわけですよ。環境庁は、いま私が指摘したような点については、どのように考えられるわけですか。
  26. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いまの先生の御指摘は、瞬間濃度測定の問題と、伊丹空港周辺における瞬間濃度把握実態という問題でございますが、瞬間濃度の問題は、一酸化炭素については、これははかれます。それから炭化水素についても、かなりはかれます。ところが、窒素酸化物につきましては、現在のところはケミルミネッセンスの方の標準校正ガスができませんと、これは無理があるということで、大阪府は、このCO測定から、CO炭化水素とが一緒の場所から出てきて、もとの濃度がどの程度拡散されているかということの推定に基づくやり方をしておりますが、それ以外に、現在のところはやり方がないというぐあいに思っております。標準校正ガスが出てきますのは、あと大体、一年ぐらいかかるというぐあいに私は理解をいたしております。  それから、次の問題の把握実態はいかがかということでございますが、先生の御指摘のあったのは、四十九年の二月に大阪府の公害対策室が発表したものであろうと思われますが、大阪空港の形を見ますと、瞬間濃度で一番、問題になるところはどこかと、私は大阪空港の中をぐるぐる回ってみました。回ってみますと、一番、問題になるところはやはり勝部地区だろうと思います。A滑走路B滑走路とありまして、そうしてタクシーウェーから来ましてエプロンに曲がるところがあります。あそこのところが一番、地形的にも、吹きつけの観点から見ましても、最もそういう可能性の高い、しかも、においの問題も起こるところでございます。そういうところで、この大阪府の測定というのはやられておるわけでございまして、その測定結果といいますのは、われわれもその報告をいただいております。また、これば環境保健部の方の仕事の中で、鼻血調査のときにも、できるだけ、そういう濃度をつかまえようということで努力をしておられたということを聞いております。いずれ、そのデータは私どももはつっきり入手をして見ることができるようになると思いますが、全体の観点から見ますと、私は勝部と走井、あそこのところが瞬間濃度として最も問題のある場所だろうと思います。
  27. 木下元二

    木下委員 勝部地区も問題が大きいでしょうけれども伊丹の方の神津だって、あの伊丹周辺の方だって、やはり私は問題があると思うのです。特に排出量の点から言うと、むしろ飛び立つときの方が多いわけでありますから、その点では問題はより強いのではないかと思うのです。  環境庁は、鼻出血問題で瞬間濃度測定をしておるようでありますが、この測定をした実際の期間は、いつからいつまでですか。
  28. 野津聖

    野津政府委員 鼻出血問題との関連におきまして調査をいたしたわけでございますが、昨年七月からと、さらには十月からと、二回に分けて測定を実施いたしております。
  29. 木下元二

    木下委員 測定点はどこどこですか。
  30. 野津聖

    野津政府委員 測定点につきましては、ただいまお話ございました豊中市の勝部地区におきまして五測定点、さらに伊丹市の神津小学校の北側で一、それから伊丹市の日東紡社宅で二ヵ所、さらに対照地区としまして伊丹市の瑞穂小学校川西加茂小学校、尼崎の城内高校、これだけの測定点でございますけれども、ただいま御指摘のございましたいわゆる瞬間濃度につきましては、勝部地区の二点それから伊丹市の神津の一点と、三ヵ所で実施いたしております。
  31. 木下元二

    木下委員 調査結果の結論判断は、いつごろの予定、見通しでしょうか。
  32. 野津聖

    野津政府委員 ただいま大気保全局長から話がございましたように、現在の瞬間値につきまして、一応COでもって換算していくと、一番、大事な窒素酸化物につきましての問題が瞬間値として出てきていないという問題もございますけれども、それらのデータにつきまして、一応の考え方等につきましても各専門家の間でおまとめいただいておるところでございまして、近く会合を開きまして、それによっての結論をまとめていきたいと考えております。
  33. 木下元二

    木下委員 たとえば飛行機が飛び立った瞬間の濃度測定するといたしまして、飛び立った直後の、濃度の濃い、かたまりのような部分をもろに受けとめるということになりますと、この測定の数値がぴゅうと上がるわけですね。そのタイミングなり測定場所なり風向の組み合わせ、こういったことで微妙に結果が変わってくると思うのです。こうした瞬間濃度実態解明するには、私はいまのやり方体制というのはきわめて不十分ではないかと思うのです。  NOxの瞬間濃度測定について非常にむずかしい問題があるように言われました。確かに、むずかしい問題があると思うのですが、これがいまの段階で全然できないということでは私はないと思うのです。現に、これはあなた方の鼻血測定におきまして、非常に困難な中でやっておられると思いますが、全く結果が出てないというわけでもないのじゃありませんか。
  34. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 非常な努力をしてやられておりまして、確かに一部の、そういうものの試みのデータはございますが、標準校正ガス自身に非常に議論があって、それでがんばるということは、現在の段階ではなかなかむずかしいということでございます。ですから、出てないという意味ではございませんが、厳密な議論には、なかなかむずかしい問題点がある、こういうことであります。
  35. 木下元二

    木下委員 ひとつ環境庁の方も、この瞬間濃度実態を、より十分キャッチし、解明できるような体制をつくってもらいたいと思うのでありますが、どうですか。
  36. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま御指摘のように、私どもは瞬間濃度をできるだけ把握するようにいたしたいという気持ちでおります。ただし、標準校正ガスが出てくるのは、少なくとも一年はかかるという実態だけ申し上げます。
  37. 木下元二

    木下委員 運輸省の方も、この大気汚染問題について、これまで余り力を入れていなかったと私は思うのです。この一時間値の測定にいたしましても、これは誘導路のわきに一ヵ所、測定点があるだけではないですか。これでよいと思っているわけですか。私は、この測定点ももっとふやして、測定を常時やっていけるような体制をつくっていく必要があると思います。私は、環境問題に運輸省がもっと真剣に取り組むべきだと思いますが、いかがですか。
  38. 松本操

    松本(操)政府委員 現在、私どもが常時観測をしております場所は確かに一ヵ所ではございますが、先ほど来、話題に上ってまいりました勝部地区に最も近い誘導路のそばでございますので、汚染状況をとらえる一つのサンプルとしては適当な場所であろうと思っております。しかし、先生おっしゃいますように、そのほかにも、これに類似の地点、これに近い地点というものは、探せば、あるわけでございましょうから、そういうふうな点についての観測という問題につきましても、今後さらに努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思います。
  39. 木下元二

    木下委員 結局のところ、この空港周辺大気汚染物質状況はどうかというと、その現状把握はきわめて不十分であります。ことに、瞬間濃度実態が未解明であります。そして、環境基準現状において未達成であります。じかも、これを放置したまま、その上に大気汚染の一層、悪化を招くところのエアバスの乗り入れをすることは非常に問題がある、こう思うわけであります。空港周辺大気汚染実態をもっと解明できるように、そういう体制をつくってもらいたいと思います。長官、いかがでございますか。
  40. 小沢辰男

    小沢国務大臣 非常に必要なことだと思いますし、私どもは、エアバス導入に関しましては、どうしても、その点の詰めを十分やりまして、そうして、その結果を住民の皆さんにもよく説明を申し上げていきたい、かように考えます。
  41. 木下元二

    木下委員 ことに指摘をしておきたいことは、環境庁鼻血問題の解明のために、大気汚染調査も進めておるわけでありますが、大気汚染子供たち鼻血原因だということならば一体どうなのか。これは調査の結果にまたねばならないわけでありますが、その疑いは現にあるわけであります。だから調査もしておるのであります。また、この点は大阪府の調査結果は、もうすでに出ておるわけでありますが、大阪府の出した資料によりますと、豊中の勝部地区では特に被害が大きく出ておるという実態も出ております。エアバス導入で、さらに大気汚染が進み、鼻血がどんどんふえてもよいのかということになるわけであります。そんなおそれがないという保証はないわけでありますから、この点は、騒音対策も大事でありますが、しかしエアバス導入というのが、ただ一つ残された騒音対策では決してないと思うのです。まあ、はっきり言えば、新幹線が代替交通機関としてあるわけでありますから、新幹線のある区間は、ほとんど飛行機を飛ばさないということだって、やろうと思えばできるわけであります。エアバス導入を騒音対策として、まるでにしきの御旗のように言うのは、私は当たらないと思うのです。騒音対策としては、大幅減便という方法もあるわけであります。そういうことはしないで、大気汚染環境基準から、ますますかけ離れ、しかも子供が鼻血で苦しむ原因をさらに増大することになるおそれのあるエアバス導入というようなことは非常に問題がある、こう思うわけであります。少なくとも、このエアバス導入による大気汚染の増大は、子供の鼻血原因にならないという調査結果が出て、住民も了解するまでは、やるべきではないと思うのでありますが、長官いかがでしょうか。
  42. 小沢辰男

    小沢国務大臣 鼻出血問題は近く結論を出します。私は、そんなに鼻出血問題が飛行機による直接的な原因になろうとは、実は最近までのいろいろな調査その他のあれを聞きまして、思ってはおりませんが、その結果が近く出ますから、それによって十分おっしゃるような点の注意をやりまして、その上で、おっしゃるように大気汚染の問題については重大な関心を持ちつつ対処していく予定でございます。
  43. 木下元二

    木下委員 鼻出血はあまり航空機関係ないのではないかというふうなお話がありました。これは調査の結果にまたねばならないということでありますが、もうすでに、たとえば「大阪国際空港問題の概要」という大阪府公害室の出した資料がありますけれども、この四十六ページには、豊中で行った調査の結果が出ておるわけですよ。これを見ましても、たとえば勝部地区というのは被害が非常に多く出ておるのです。これはもう数字の上で出ておるのです。私は詳しく申しませんが、これは後でよく見ていただきたいと思います。こういう疫学的な調査の結果も出ておるわけでありますから、十分にひとつ、こうしたことも見ていただきたいと思います。飛行機鼻血原因であろうがなかろうが、何でもかんでもやるのだというふうな、そういう姿勢ば断じておとりにならないように、十分に調査をして、その結果を待つ、そういう態度を堅持していただきたいと思います。  そこでもう一つ。運輸省の方から、いろいろと資料が出まして環境庁の方も調査をされておる、合同で評価をするということで現在、進んでおるように聞いておるわけでありますが、大分、進行しておるでしょうか。
  44. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 運輸省から、まだ全部の資料は出ておりませんが、第一回の議論は、かなり数時間にわたって議論をいたしまして、そして次に、こういうことを一回、作業してくれということを頼んで、いまスタートしたところでございます。運輸省の方も慎重に積極的に対応するということで現在やっております。
  45. 木下元二

    木下委員 住民が非常に関心を持っておるわけですが、その運輸省の方から出た資料をいろいろ検討されるに当たって、どういう資料が出ておるのかということを、住民の方に明らかに公開していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  46. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 最終の結論を出しまして、そうしてそのときに、どんな資料が得られたかということは、環境庁としては当然その根拠になったものは公開するのが原則であるという考え方でございますが、運輸省自身の資料も使っておりますので、これは運輸省とよく相談をいたしまして、いたしたい、こういうふうに思っております。
  47. 木下元二

    木下委員 運輸省から出た資料等についても、よく検討されて運輸省と相談をして、その上で、できれば公開に踏み切りたい、こういうことでございますか。
  48. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のようなことでございます。
  49. 木下元二

    木下委員 それではまた、その結果を待ってお尋ねをしたいということにしまして、もう一つ、別の問題を聞きたいのでありますが、運輸省は、このエアバスのメリットの一つといたしまして安全性を挙げておるのでありますが、この点について質問をいたします。  アメリカ連邦航空局からエアバスに対しまして一定の改善命令が出ております。その改善命令が出されるようになったいきさつと、改善命令の内容を明らかにしていただきたいと思います。
  50. 松本操

    松本(操)政府委員 お答えいたします。  ことしの七月十一日、アメリカの連邦航空局の方からエアバス、この場合、エアバスといって対象になっておりますのはDC10、ロッキード一〇一一、ボーイング747でございますが、このエアバスに対しまして、貨物室に大きな穴が急にあいた、こういうふうな状況を仮定した場合に、御承知のように航空機は与圧と申しまして中の圧力が上げてございますので、貨物室に急に大きな穴があきますと、その貨物室の気圧が外気圧とほぼ同じに急に下がります。そうなりますと、二階部分が客室になっておりますので、客室の方の圧力が貨物室の圧力よりも高くなってしまう、そのために床が破壊をされて、そしてそれが操縦系統を傷めまして、その結果、航空機がコントロールができないようになるというふうなことがないようにする、何らかの措置をとれ、こういうことが七月十一日付で出されました。その改造の終末期は昭和五十二年十二月三十一日である、こういうふうになっておりますが、具体的に何を、どのようにすればいいのかという技術的な面については、何もこの指示の中には含まれておりません。
  51. 木下元二

    木下委員 それは、きっかけを聞いたわけでありますが、トルコ航空のDC10が墜落事故を起こして、それが発端になって、そういうふうな改善命令になったということですね。
  52. 松本操

    松本(操)政府委員 エアバス、特にDC10でございますが、DC10につきましては一九七二年、つまり四十七年の六月に、アメリカン航空の飛行機が一度、問題を起こしております。それから、いま先生おっしゃいましたトルコ航空の、これも同じくDC10でございますが、これが一九七四年でございますので去年の三月に、やはり同じような貨物室のドアが外れてしまうという事故を起こしたわけでございます。これに対しましてアメリカ航空局の方は、DC10のカーゴドア、貨物室のドアの改造の指示というものを早速にしておるわけでございまして、これによりまして、DC10の貨物室のドアというものが従来のようにあいてしまう、つまり飛行中、何らかの間違いで、あいてしまうということがないように、確実に改造、改修がなされてしまっておるわけでございます。それから、それ以外のロッキードのトライスターでありますとか、ボーイングのジャンボでございますとか、こういうものにつきましては、ドアの構造がDC10と異なっておりまして、そう容易には、あかないようになっております。したがいまして、現在のところ、構造的に見ました限りにおいて、これらのエアバスと俗称されておりますグループの飛行機の貨物室のドアが飛行中、急にあいてしまうというふうな構造的な要因というものは排除されておる、こういうふうに考えております。
  53. 木下元二

    木下委員 そこで運輸省の方では、改善命令が出ておるけれども、どのように進めてよいのかよくわからぬ、どこまで、どうやるのかわからぬということで、余り何もしていないということですか。これから一体どうされる考えですか。
  54. 松本操

    松本(操)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、アメリカの連邦航空局が出しました指示というものは、貨物室に穴があいたときに床が壊れないように考えればよろしいというだけのことでございまして、通常、このような改善命令が出ます場合には、別添の図面によりとか別添の仕様書によりとか、明確に改造の方法を指示してやるのが世界各国の通例でございます。このような形の、やり方について何ら触れてないというふうなやり方は、きわめて異例でございまして、しかも、先ほど申し上げましたように五十二年の十二月の末までに直せばいい、こういうことでございますので、私どもは早速FAAに対して照会をいたしまして、この趣旨は何であるのか、現在の、これらエアバスというものが耐空性上、問題が多少なりともあるということを前提にして改造を指示したものであるのか、もし、そうであるとするならば、なぜ具体的に改造の方法が示し得ないのかということを指摘したのでございますが、これに対します連邦航空局からの返事は、現在、耐空性に問題があるというふうに認識しているわけではない、しかしながら過去に、先ほど先生も仰せられたように、二回も事故があったということを考えれば、まあ非常に少ない確率だとは思うが、もし何かあった場合に、二度とこのようなことを繰り返さないための用心という意味である、したがって、どのように改造するかについては、三社ございますので、これから三社と十分に技術的な検討をした上でやるのである、こういう返事でございます。  そこで私どもの方といたしましては、このような改善命令が適切に出されております以上、直ちにわが方としても該当機に対して改善命令を出すというのが当然でございますけれども、ただいまのFAAの返答から見ましても、直ちに出そうと思いましても改造の方法がわからない。それからまた非常に問題がございまして、仮に貨物室の床に穴があいて圧力が下がった場合に、どうするかという方法論になってまいりますと、いま考えられておりますのは、客室と貨物室との間に特殊な仕掛けを置きまして、貨物室の圧力が下がったら、なるべく早い時間内に客室の圧力も下げてしまう、そうしますと両方とも同じ圧力になりますので、床が壊れないのだ、こういうことを考えておるようでございます。こういたしますと、今度は客室にはお客がおるわけですから、ここが急に圧力が下がってしまうわけで、この場合に一体お客の方はどうなるのだという問題が出てまいります。そういう点についてFAAは何にも答えを用意しておりません。そこで私どもといたしましては、ことしの八月、広胴機改修検討委員会というものをつくりまして、そして関係者が集まりまして、すでに二回ほど議論を重ねておりますが、こういうふうな点を十分きわめ、かつ、いずれFAAの方から、このような改造方法がよろしかろうというのが出てまいると思いますが、それをわが国において取り上げて改造する場合に、的確にできるかどうかという検討をした上で改善命令を出したい、このように考えております。
  55. 木下元二

    木下委員 エアバスは安全だ、安全だと言われているけれども、その御自慢の安全性も、さほど確実なものでないということを証明しておるのではないかと思うのですが、まあひとつ、よく検討いただきたいと思います。  そこで、航空機のエンジンの整備は、通常どの程度の間隔でやられておりますか。
  56. 大島士郎

    ○大島説明員 機種あるいはニンジンの種類によって違いますので、ちょっといま手元に資料がございませんが、それぞれ整備規程というもので、運輸大臣の認可によりまして、定時的な整備を行っております。
  57. 木下元二

    木下委員 エアバスの場合どうですか。おおよそで結構です。
  58. 大島士郎

    ○大島説明員 部分部分いろいろございますが、(木下委員「エンジン本体」と呼ぶ)エンジンの本体の非常にクリチカルな部分につきましては、たしか百ないし二百時間ごとの点検は行っておるかと思います。最近は整備の方法が非常に分割化されていますので、全体としてエンジンをおろしてオーバーホールするということはやってございませんので、全体として何時間かということは非常につかまえにくい状況でございます。
  59. 木下元二

    木下委員 厳密なことは聞きませんけれども、大体、四千時間ぐらいで、おろして整備をしておるということではないのですか。
  60. 大島士郎

    ○大島説明員 ジェットエンジンでは、非常に高温の……(木下委員「私の質問に答えてください。」と呼ぶ)低温の部分につきましては、先生のおっしゃいましたような時間で整備する部分もございます。
  61. 木下元二

    木下委員 そういうことになっているけれども、アンスケジュールド・リムーバルというのがありませんか。
  62. 大島士郎

    ○大島説明員 ございます。
  63. 木下元二

    木下委員 エアバスの故障率というのは、在来機に比べて、かえって多いのではありませんか。
  64. 大島士郎

    ○大島説明員 現在、日本で使われています、いわゆるエアバスと申しますと、ボーイングの747とロッキードのトライスターでございますが、いずれもエンジンにつきましては、使われ始めて、なお十分な年数を経過してない状況もございますので、十数年も使ったDC8のエンジン等と比べますと、なお多少、改善の余地はあるかと考えております。
  65. 木下元二

    木下委員 改善の余地でなくて、エンジン本体の故障をとってみても、B747の方がDC8よりも故障率ははるかに多いのではありませんか。
  66. 大島士郎

    ○大島説明員 ただいま具体的な数字が、ちょっと手元にございませんので申しわけございませんが、はるかにという感じで私どもは受け取っておりません。徐々に改善されつつあると考えております。
  67. 木下元二

    木下委員 多いことはお認めになったわけですが、では私の方から申しましょう。たとえば日航のDC8、これは四十八機あります。七四年に故障機数は八十四台。七五年は、八月までということで見ますと、六十二台が故障機数であります。B747、これは七四年で故障機数は百五台。七五年八月までで百十六台。DC8の方は七五年の方が七四年よりも少ないのです。これは八月までですから当然なんです。ところが、747の方は七五年は八月までであるのに百十六台。七四年の百五台に比べて多いのです。しかもこのB747の機数は二十六機。これは七五年で若干ふえておるかもわかりませんが、二十六機ですよ。DC8は四十八機なんです。747の方がずっと少ないのに、こんなに故障機数があるのですよ。私がいま申しました数字は間違いありませんか。
  68. 大島士郎

    ○大島説明員 ただいま先生指摘されました数字については、私ども改めて確認させていただきたいと思いますが、いわゆるアンスケジュールド・リムーバルと申します、定時整備外にエンジンを取りおろすということは、これは必ずしも安全性が落ちたという意味ではございませんので、安全性向上のために点検を厳密にやりまして、それで疑わしいものはおろしていくということをやってございます。それで現在、747のエンジンにつきましては、昨年あるいはことしの初めごろ、一部タービンブレードについて、ふぐあいがございましたので、そういった点を厳密に点検するために、事前に取りおろすという例があったわけでございますので、現在その状況も改善されつつあると私ども理解しております。
  69. 木下元二

    木下委員 定期に一定の時間を置いて整備をする、そして点検をするわけでしょう。そういうことになっておるのに、そうでなくて特別におろしてやる。これがアンスケジュールド・リムーバルなんですね。だから単なる点検じゃないでしょう。一応トラブルがあるということで検査をするわけでしょう。故障しておる場合もあるわけなんですね。だから、それが非常に多い、私がいま言いました数字は合っておるかどうかを、あなたに聞いておるのですよ。
  70. 松本操

    松本(操)政府委員 数字につきましては、ただいま検査課長からお答え申し上げましたように、手元の資料がございませんので、追って確認をさせていただかなければならないと思いますが、先生おっしゃいますように、アンスケジュールド・リムーバルと申しますのは、この点検を一定時間ごとにいたしておるわけで、その点検のやりようも、先ほど検査課長のお答えがあるいは十分でなかったかと思いますが、いまのエンジンの点検の仕方は全部、一遍に見るわけではございませんで、温度の高い部分とか低い部分とか、いろいろ分けてやります。そこで、そういうふうに点検を厳重にいたしまして、いささかなりとも疑問のある場合には、それが大きい事故になっていくのを未然に予防するために、あらかじめおろしてしまう。当然これはまだ使えるのかもしれません。そういうものでも、あえておろしてしまうというやり方をいたしますために、非常に手なれて、もう長いこと使い込んできておりますDC8のエンジンあたりに比べますと、それは多少、件数が多いというふうなことはあり得るかと私は思いますが、しかし、その内容が直ちに安全につながる、直接、不安全であるということではございませんで、安全につながるようなことがないように、あらかじめ、そういうふうな措置をとっておる、こういうふうに御了解いただけるとおよろしいのではないかと思っております。
  71. 木下元二

    木下委員 私の質問に答えてください。いまの数字は、これは手元に資料がないのでわかりにくいとしても、おおよそ間違っていないかどうか、いかがですか。
  72. 大島士郎

    ○大島説明員 おおよその点につきましては間違ってないと思います。
  73. 木下元二

    木下委員 これは故障率というふうに呼ばれておると思うのです。ただ安全性を念のために確認するというだけのものではなくて、それは、もうほとんど大したことがないという場合も含まれておるでしょうし、あるいは問題がある場合も含まれておるでしょうし、いろいろな場合を故障率ということで見ておるわけなんだから、これが非常に多いということは、やはり問題があるということですよ、いろいろ言われるけれども。  そこで、航空会社から、あなた方の方はレポートをとっておるはずなんです。この点について、どういうレポートをとっておるのか。エンジンの故障率などを報告させるレポート、これはとっておりますね。
  74. 大島士郎

    ○大島説明員 私どもは……。
  75. 木下元二

    木下委員 とっておるかどうか、聞いておるのですよ。
  76. 大島士郎

    ○大島説明員 とってございます。
  77. 木下元二

    木下委員 七四年、七五年の各航空会社からとったレポートのコピーをひとつ、お見せいただきたいと思います。
  78. 松本操

    松本(操)政府委員 ただいま検査課長がお答え申し上げましたように、いろいろなレポートをとっておるはずでございます。そこで、先生の御注文のようなものになっておるのかどうか、私、十分に責任を持って検討いたしまして、その内容について十分、整理した上で、ごらんに供することができると思います。
  79. 木下元二

    木下委員 余り整理せずに、そのものを見たいわけです。いろいろ手を加えられますと困りますので、安全率、故障率等を知りたいわけですから。あなた方は、エアバスは安全だ安全だと、安全を売り物にして、それをエアバス導入の口実にしてきたのです。理由にしてきたのです。そうでしょう。低騒音とともに安全であるということ、だから導入するんだとあなた方は言ってきた。ところが、その安全性というのは一体どこまで本当に確かなのか、これが問題になっているわけですよ。ですから、あなた方の方としては、航空会社からとったそのデータ、七五年あるいは七四年はどれだけ事故があったのか、あるいは故障があったのか、こういうデータがちゃんとあるのですよ。ですから、ひとつ、そのものをお見せいただきたいと思うのです。よろしいですか。
  80. 中村大造

    中村(大)政府委員 ただいま次長が申し上げましたように、一概に故障率という言葉を使いましても、これはいろいろ意味がございまして、直ちに、これが安全性を阻害するような故障であるかどうかということは、きわめて技術的、専門的に検討して整理しないと、言葉だけの整理で数字を挙、げるということは誤解を与えるということで、次長が申し上げましたのは、そういう、いわゆる安全性という点から考えての、もし故障があれば、そういう件数というふうに専門的に整理をいたしまして、恐らく先生も、そういう御趣旨で御質問になっておると思いますので、そういうふうに整理をして必要なものは御提出する、こういう意味でございます。
  81. 木下元二

    木下委員 内容については、いろいろ問題があるかもわかりませんが、いわゆるエンジン本体の故障、ベーシックというのですか、そういうことで表現されて資料が出ていると思うのですね。だから、そういうものを、いろいろ手を加えるのでなくて、ひとつ、そのものを参考にし、また国会でも論議をするもとにしたいというふうに思いますので、その資料をお出しいただきたい。よろしいですか。
  82. 中村大造

    中村(大)政府委員 手を加えるということではございませんで、御質問の趣旨によく沿うように整理をして御提出申し上げます。
  83. 木下元二

    木下委員 それでは、それが出まして、また、それをいろいろ検討しまして論議をしたいと思いますので、きょうは、これで終えたいと思います。
  84. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 岡本富夫君。
  85. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に、昨日、環境庁の中公審の大気部会ですか、そこから健康被害の救済地域の答申が出ましたが、これについて若干、質問をいたしますけれども、まず中公審の答申どおり、指定地域環境庁では指定するのか、これをまず、ひとつお聞きしておきたい。
  86. 野津聖

    野津政府委員 地域指定の問題につきましては、法の第二条にございますように、中公審の意見と、さらに都道府県知事、市町村長の意見を聞くということになっておるわけでございますが、私どもの感じといたしましては、ほぼ中公審の答申どおりの指定が行われるというふうに考えているわけでございます。
  87. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは、ちょっと政治的な配慮になるわけですが、この規則を見ますと、その地域の地方自治体の長の意見を聞くということでありますが、一つ、例をとりますと東京都内ですね。この中で、まだ指定されていないのが中野区、世田谷区、杉並区、練馬区、この四つが漏れておる。ところが、有症率が少し少ないとか、あるいはまた中には、去年、検査をして今年の検査の中に入っていないところもあるということで、知事の方から、これは東京都知事でありますけれども、この漏れた四区も指定をしてもらいたいというような申し入れがあった場合、まだ、ないかもわかりませんけれども、あった場合は、この地域指定の中に入れるのかどうか、これをひとつ長官にお聞きしておきたいと思います。
  88. 小沢辰男

    小沢国務大臣 東京の意見は聞いております。漏れた四区について、私も非常に気にしまして、よくデータを聞いたのですが、やはり有症率と汚染度の兼ね合いで決定をするものですから、その面から言いますと、区全体として指定するのはどうも問題があるということで、やむを得ず一応、保留をしているわけでございます。  ただ、私は前からいつも考えておるのですが、どうも区全体で物事を決めていく必要はないのじゃなかろうか。やはり地域のひどいところもあるわけですから、全体にならしてみると薄められてしまうというようなことでは、ひどい地域の救済にもなりませんので、分区をやっても、ひどいところについては何とか指定をしていくような方向をやるべきじゃないか。前に環境庁でそういう意見を出したのですが、都道府県側がなかなか納得しないというので、今日まだ分区というようなものをやっていないのですけれども、(岡本委員「通産省だよ」と呼ぶ)いや、通産じゃないのです。むしろ東京都側が、分区してもらったら困るという意見だったのです、率直に言いますと。そういう意味で、これはなお検討させていただいて、本当に同じようなところが公平にいくように考えていきたいと思いますので、もうしばらく検討させてもらいたい、かように考えておるわけです。
  89. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官環境庁長官になってから、あちらこちら視察されたと思うのです。そうしますと、たとえば、こっちが杉並区であって、こっちが練馬区、こういうようなところ、道路一本はさんで指定地域でないところと指定地域であるところでも、病人は同じようにいるということです。いま通産省は反対ではないんだというお話ですから、これは環境庁でできるわけですし、特に東京都の場合だと、東京都が消極的だというようなお話でありますから、東京都の方が積極的になってきたら、あるいはまた現実にその地域を見て、そして拡大をしていくということで了解をいたしますけれども、それを検討してということになりますと、今度は次の指定地域のときになりますね。いま中公審の答申どおりやるということでありますから、これは片手落ちのないように、早急にひとつ東京都の意見を聞いて、そしてまだ環境庁はしていないわけです。これは答申出ただけでありますから、今度の指定地域に一緒に入れていくというところまで前進はいたしませんか、いかがですか。
  90. 小沢辰男

    小沢国務大臣 御答申をいただいたのは早急に、やはりやりませんといけませんから、ほかのいろいろな検討まで待つわけにいきませんし、これはこれで、ひとつ告示行為をやらせていただきまして、他の問題については、できるだけ早くにひとつ検討するように、一応データをあれしていかなければいけませんし、ことに私は非常に頭を悩ましましたのは、環七の世田谷地区の一部分について非常に問題があるように思うのですが、なかなかデータがそろわないのです。というのは、調査個所、地点というものを選ぶ場合に、やはり——保健部長が後で、もし間違っておったら答えますが、そう意識的に、ここだけ、ここを調査しろとか、そういうことじゃなくてやるものですから、たまたま、たとえば私が行ってみて一番ひどいなと思った上馬の環七の交差点というようなものの地点が、直接的にその地点調査データというものが出ていない。ちょっと離れたところのデータであるというようなことになってきましたので、私は、それはちょっとおかしいのではないか、もう少し、そのものずばりのところを何か調査して、そして部分的に何かできないか、いろいろ検討しろということを、いま命じておるわけでございます。
  91. 岡本富夫

    ○岡本委員 テレビを見ておりまして、わざわざ長官が行かれたところ、また、いまもお話しのように非常にその訴えがあるところが抜かれて、世田谷区全体で薄めてしまうというようなことでは、実態に合わない。これは確かに世田谷はそういう大気汚染のないところもありますが、この一つをとってみましても、いま長官がやはり疑問を抱いているようでありますから、これはひとつ早急に入れていただかなければならぬのですが、聞くところによると東京都では、抜けたところに対しては都でやらなければならぬ、都で救済をするというような決意もあるそうですよ。そういうことを考えますと、私はこれはひとつぜひ、また次の機会となりますと非常にまたおくれるわけですからね、早急にやっていただかなければならぬと思うのです。  この間、四十四年に私、尼崎地域を抜かれたものですから、急に言って、その次の年に尼崎地域を入れてもらった。それも南部だけだった。それをまた私たちやかましく言って、結局、北部も一緒に入ったわけですけれどもね。こういうことになりますと、結局、同じ病気になっている方が救済されぬ、非常に不満が出てくると私は思うのです。したがって、早急にこの地域の拡大については検討をして、中公審の答申も必要でしょうけれども環境庁自体の判断によって、やはり指定地域にしていくということが大事だと私は思うんです。もう一遍その決意をひとつ承っておきたいと思うのです。
  92. 小沢辰男

    小沢国務大臣 科学的なデータが基礎になって判断しなければいかぬので、私はどうも政治的に判断するわけにいきませんので、そのデータがそろって、いままでの方針のように区全体、分区はしないということでなくて、救済の方法を見出していくという努力は、できるだけ早くやりたいと思います。
  93. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう一度、いま、ちょっと聞き漏らしたのですが、救済をしていく、指定地域にしなくても救済をしていくというのですか。指定地域にやはりしなければならぬでしょう。そのデータは、これはその付近のデータは都でも出ておりますから、私ははかる測定器の場所にもよるだろうと思うのですね。  長官、いつも私は思うのですが、あなた厚生省出身だからといって、いつも官僚答弁じゃ、あきませんよ、若干、政治的な答弁をしなきやね。環境庁長官というのは、大石さん時代から少し前に進んでおった。そして後、それに向かってみんながやったために、非常にいろいろ進んだこともある。これは後で言いますけれども、いまのように局長や事務的な答弁だったら、あなたに聞く必要はないのですから、もう少し元気を出した、帰って閣議があったときは頭下げるぐらいの勢いでなければ、私は環境庁の環境行政は進まぬと思うのですよ。その点で、もう一遍ひとつ、あなたの前向きな答弁をお願いいたします。
  94. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私は先ほど申し上げたのは、事務的答弁じゃないんですよ。ただ判断をする場合に、全く科学的なデータを無視してやるわけにはいかないんですね。だけれども、科学的なデータをとるのに、たとえば世田谷で四ヵ所やりました。分区をしないで区全体として判断する場合には、しかにやろうと思っても、科学的なデータがそろわないということなんですね。だけれども、分区をしてある一定地域に限ってみれば、科学的データもあるだろう。そういうふうに持っていくように政治的に、まあ、いままで区全体というようなことを言っているけれども、そんなふうにこだわらぬでいいじゃないか。政治的判断で分区をさせて、ひどいところだけは早くやれ、こういうのが私は政治的な判断だろうと思うので、そういう方向でやりますと申し上げているわけです。それには、もうちょっと待ってください。
  95. 岡本富夫

    ○岡本委員 それならわかりましたよ。どうも後で、ただというやつがつくので困る。それじゃ拡大の方向で検討して、すぐに。これも遅くなったのでは話になりませんからね。  それから次に、これは局長から、公害患者に対する救済ですね、これをもう一度ちょっと詳しく説明をしていただきたい。
  96. 野津聖

    野津政府委員 現在の公害健康被害補償法に基づきまして、七つの救済が行われているわけでございます。  第一番目には療養の給付と申しまして、医療費また入院費等につきまして支払いをするという制度でございます。  それから、さらに障害補償費と申しまして、これらの疾病にかかわるために労働能力を失われるというふうな面を考慮いたしました形で、級別に障害補償費の支給が行われておるわけでございます。  また、不幸にして亡くなられました場合に、遺族の補償費が支給されるわけでございまして、また、遺族の補償費が年金のような形で支給される以外に、希望によりましては、遺族の補償の一時金の支給が行われるということでございます。  また、さらに児童につきましては、先ほど申し上げましたような、いわゆる成人と違いまして労働能力の問題があるわけでございますので、この児童に対しましては児童補償手当を給付するということでございます。  また、療養のために必要な、たとえば通院に要する費用等もあるわけでございまして、これにつきまして療養の手当を支給いたしております。  また不幸にして亡くなられました場合に、その葬祭料につきまして支給をいたしておるわけでございまして、ただいま申し上げました七つの給付を行っているところでございます。
  97. 岡本富夫

    ○岡本委員 これもひとつ事務的でなくして、提案ですが、長官、不幸にして公害患者になられた方、認定された方が、いまここに元知事いますけれども、四日市に行きましたときに、汚染地域に指定されたところに病院があるわけですね。その中で療養するものですから、中には空気清浄器などをつけておりましたけれども、これではなかなか治らないのですよね。あちらこちら私たち調査いたしますと、転地療養が一番、早く治る。尼崎あるいは堺市では、市が契約いたしまして、鹿児島の霧島にある、これは杉安という病院でしたが、そこへ転地療養しますと、じき治るのですね。非常に治り方が早いのですよ。これは薬も要らぬわけですね。たくさんの給付をしまして治らない、あるいは薬害が出てくる、こういうようなことをしてやっておるよりも、希望者にはこういつた転地療養をさせてあげる、その転地療養費を出してあげる、そうした方が早く治るのではないか、こういうことを私、調査の結果わかったのです。いまの法律ではそれが入っておりませんけれども——入っていますか。そうですか。それは幾らぐらいになりますか、転地療養費。
  98. 小沢辰男

    小沢国務大臣 転地療養は保健事業として入っているのですよ。ただ問題は、二、三日行くというのが、いま認めてないのですね。やはり、あれは一週間以上でしたかの場合に認めているわけです。また、その必要があると医者が認定した場合ですね。よく二、三日行ってくるのを認めろ、こういうことを言われるのですよ。ところが、やはりぜんそく系統のあれですから、二、三日ではどうも治療効果が上がらないので、それで認めない、こういうことになっておる。ここに、いままで、どなたかの質問でしたか、何かあったようだったと思いますが、これは医者の判断で、ある一定の期間、行くということは、いまでもあるわけでございます。ただ詳しいことは私……。
  99. 野津聖

    野津政府委員 ただいま長官から御答弁申し上げたのは、いわゆる保健福祉事業という、形としましては一種の保養地に参りましての費用が入っておるわけでございますが、そのほかに、たとえば、その患者さんが別の地域の医療機関に入院して治療を受けるというふうな形でございますと、御案内のとおり、現在の公害医療機関と申しますのは別に指定制度をとっていないわけでございますものですから、たとえば、いまお話ございました、ある一地域の医療機関に入院しますと、先ほど申し上げました療養の給付という形での医療費等の支給が行われるということでございまして、どこの医療機関に入りましても、同じような費用の給付は受けられるという中に含まれるわけでございます。  御質問ございましたのは、二通り私はあると思いますが、一つは、一週間なり夏休みの間、非常に空気のきれいなところに行って、体の訓練もするし、病気の方も治療するという行き方、これが長官が申し上げました保健福祉事業になるわけでございますが、また、病状によりましては一ヵ月なり二ヵ月、別の地域にございます医療機関で入院して治療を受けるということになりますと、それは療養の給付という形で、同じように医療の給付が行われるということでございまして、いま御指摘ございましたにつきましては、そういう制度を適用することで、うまくいくのではないかというふうに考えております。
  100. 岡本富夫

    ○岡本委員 こういう遠方に行く人たち、近くては、これは話になりませんから、やはり転地療養といってもなかなかあれですが、交通費といいますか、こういうものも出るようになっておりますか。
  101. 野津聖

    野津政府委員 大体こういうふうな患者さん、特に慢性疾患の患者さんは、やはり御自分の家の近くでという気持ちが強い面は、一部ではございます。ですから、ある医療機関から、ある必要な医療機関に移送する場合には、現在の療養の給付の中で医療機関からの移送ということもあるわけでございますが、ただいまお話ございましたように尼崎から鹿児島あるいは宮崎県という場合につきましての交通費につきましては、もう少し検討させていただきたいと思います。
  102. 岡本富夫

    ○岡本委員 これがちょっとネックになっておりまして、いま尼崎では飛行機代とか、そういう交通費を市が補助しまして、そして行かせているわけですね。こういう交通費も中に入れていくと、私は、これを利用すれば、もっと早く治るのじゃないかと思うのですね。早く治るということになると結局、国家予算を出すのが少なくて済むということですから、その点、ひとつ交通費については検討をしていただきたいと思うのです。出せる市となかなか出せない市がありますから、これについては長官どうですか。検討して出さないというのだったら何にもなりませんが、そういった交通費をこの中に織り込んで支給していくという前向きの検討はなさいますか、いかがですか。
  103. 小沢辰男

    小沢国務大臣 実は、先ほど局長が言ったように、医者の判断で、ここで治療しても余り効果が上がらぬから、他の病院に行きなさいという場合の移送費は見ることになっておるのですね。これは健康被害補償法のみならず、他の療養給付の中に大体みんな入っておるのです。ところが、そうじゃなくて、たとえば尼崎の人が、おれはもう兵庫県の病院はいやだ、おれは大自然のふところに抱かれた北海道なり九州なりの病院に行って療養したいという場合に、何でもかんでも、その旅費を認めるということは、療養の給付というものはいろいろな制度であるわけですから、これは非常に影響が大きいのですね。私一人が政治的に判断、なかなか、これできないのですよ、他のいろいろなあれに影響しますから。したがって、これは大蔵省としても財政上の問題で大変なことになるのです。健康被害は国が余り出さないのですよ。あれは一般会計、二割出していますが、実は財源は重量税ですから、余り税金の腹は痛まないのですね。ところがこれを公害健康被害補償法で認めたというと、それでは原爆の療養給付にも認めろ、あれにも認めろ、これにも認めろということになりますと、これはもう大蔵省手を上げてしまうのですね。ですから、いま部長が検討すると言いましたが、これは先生のおっしゃるように必要な場合は何とかしてやらなければいかぬですね。ですから医者の判断で、これがどうしても必要だという場合に、病院から病院でなくとも、療養上、必要だという医師の認定を条件にして、何とかひとつ実現の方向で検討してみたいというのが部長の答弁だろうと思うので、その方向で私も検討してみます。
  104. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、Aという病院にいて、この病院では気管支炎なら気管支炎がなかなか治らない、だから転地療養のためBの病院あるいはCの病院へ、あなたは行った方がいいだろうという医者の判断があれば、その移送費は航空運賃であろうと船賃であろうと出る、こう判断していいですか。
  105. 小沢辰男

    小沢国務大臣 それは移送になりますから、いまの制度でも療養給付費の対象になる。ただ飛行機でも何でもということになるかどうか、その患者の態様によると思うのですね。汽車で行っても十分、間に合うという認定なのに、飛行機賃まで出してやるかどうか、その辺まで私よくわかりませんので、これは事務局から聞いていただきたいと思うのですが、移送費として見ることは事実でございます。
  106. 野津聖

    野津政府委員 必ず飛行機まで見れるかどうかにつきましては、問題があると思います。一般的ないわゆる旅費という形あるいは付き添いの方の問題とかいうものは含まれるかと思いますけれども、すべてについて飛行機でということにはならないと思っております。
  107. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、いまの移送する場合の旅費規定は国鉄による運賃、こうなっているのですか、それはどうですか。はっきりしていないな、自動車で行くのか。
  108. 野津聖

    野津政府委員 移送する場合には、患者さんの病状によるわけでございます。たとえば緊急に手術しなければならない場合には、救急車による移送もあるだろうと思いますし、場合によりましてはヘリコプターによる移送もあるだろうと思います。必ずしも、一つの定型的な問題じゃなくて、その患者さんの病状に応じた形で、すぐにでも手術しなければならないという場合に、汽車を待ってということでなくて、必要な形で移送する、こういうことでございます。
  109. 岡本富夫

    ○岡本委員 私が聞いているのは旅費の額。ヘリコプターなんてめちゃくちゃだ、そんなこと言うたって話にならないが、私が言うているのは金額ですよ。たとえば尼崎から鹿児島まで行くのは、転地療養したいという人の旅費については航空運賃なのか、あるいはバス賃なのか、あるいは国鉄の運賃なのか、ここのところをいま聞いているわけです。どのくらいの金額になるのか。
  110. 小沢辰男

    小沢国務大臣 健康被害補償法に旅費規定があって、たとえばグリーンはいかぬとか鉄道で行けとか、どうとかという細かい規定を私ども持っていないのです。ケース・バイ・ケースで全部、処理しているのですよ。ですから、その辺はひとつ弾力的に、もし尼崎の患者がそういうことであれば、やはり医者の認定が基礎にならぬとうまくいかないですが、医者が飛行機が必要だと言えば出しますよ。その辺は政治家である岡本先生、ひとつ御理解を願いたいのです。
  111. 岡本富夫

    ○岡本委員 私も政治家ですけれども、私が出すのではありませんので、やはり聞いておきませんとね。  そうすると、いま、かかっている医者の判断ということですね、そう了解していいわけですね。もう一度。
  112. 野津聖

    野津政府委員 主治医の判断によるということでございます。
  113. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、いまは救済の方でしたが、今度は加害の方ですね、こういう患者をつくる方を締めておかないと、それこそ幾らお金があっても足らないわけでありますから。  本年の十二月四日に「固定発生源に対する窒素酸化物排出基準の改定について」という資料を環境庁大気保全局からいただいておりますけれども、前の委員会でちょっと触れたわけですが、ここで鉄鋼の焼結炉の規制が見送られておるわけです。私も当委員会で昭和四十年から、あちらこちらを大気汚染問題を視察し、あるいはまた調査いたしましたときに、鉄鋼会社では何と言っても焼結炉が一番問題になっておる。したがって当委員会へ新日鉄の方、いろいろな方に参考人として来てもらって相当、論議したことがありますけれども、今度この鉄鋼の焼結炉が規制から見送られたことは、私はけしからぬと思うのです。この間の委員会ではそれは技術的にむずかしいからだというような答弁がありましたが、八月十一日の報道によりますと、長官は岡山に本社があります酸鉄工業の大月社長とお会いになっていますね。そういう記事が出ておりますけれども、大月社長との会談の結果あるいはまた、そのときの模様を一遍お聞きしておきたいと思うのですが、いかがですか。この酸鉄工業というのは御承知のように脱硝技術の専門工場であるそうでありますが、いかがですか。
  114. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 私は長官と同席をいたしまして話を伺いましたので、長官としてのお考えは、また後でお話しになると思いますが、申し上げますと、酸鉄工業は酸化鉄の系統ですか、触媒を現在、開発中でございまして、その触媒の使い方、形態等について工夫をして非常に有望な道を開きつつある、そういうことでございまして、こういうかっこうの触媒で、こういうぐあいにやるのだ、これを出すと目詰まりの問題も解決できると思うというようなことにつきまして、物を見せたり説明をしたりしたということでございます。まだ、それが実用化に入るとか、そこまでの問題ではございません。
  115. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官はこの方との会談の結果、どういうようにお考えになりましたか。
  116. 小沢辰男

    小沢国務大臣 あれは、たしか岡山の知事から、自分の県内で非常に進んだ技術を持った、こういうのがある、脱硝技術の開発について長官は非常に心配しているようだが、御紹介するから、よく聞いてみてくれ、こういうことでお会いしたのだと思います。お話を聞いて、私は技術屋じゃないけれども、なかなか進んでいるじゃないか、ひとつ、うちの事務当局にもよく検討をしてもらうようにということで別れているだけでありまして、そのとき後で、自動車関係でも、できるだけ触媒を使ってNOxの問題を解決するような方法も、なおこれからも研究するということでしたので、私、ぜひ頼みますよということでありました。その後、どういうような検討が進められて、脱硝技術について、大型のものについて、これが活用できる実用化までいっているのかどうか、私まだフォローしておりませんので、先ほど局長が言ったように、今後の問題ではないかと思います。  実は私、常にそういう脱硝技術の開発について非常に関心を持っているものですから、たとえば、いろいろな新聞記事が出ますと、すぐそれを調べろということでやっておる、その一つとお考えいただきたいと思います。
  117. 岡本富夫

    ○岡本委員 通産省の方から一遍、脱硝技術すなわち窒素酸化物の除去についての技術開発はどのくらい進んでおるか、答弁をいただきたい。
  118. 伊藤和夫

    ○伊藤(和)政府委員 お答えいたします。  通産省といたしましては、一つは、通産省の工業技術院に所属しております試験研究機関において、排煙脱硝技術そういうものの基礎的な研究をやっております。大体ことしの予算で三億円ぐらいかと思います。それからもう一つは、重要技術研究開発費補助金という制度がございまして、これによりまして民間の排煙脱硝技術開発と、その推進を進めているということでございます。大体この予算が、去年、ことしと六億円から七億円ということになっております。  現在のところでは、LNGでありますとか、あるいはLPGでありますとか、そういったものの燃焼排ガスのように、いわゆるクリーンガスと言われているわけでありますけれども、硫黄酸化物いわゆるSOxを含まない、あるいはダストもほとんどないといったような排ガスにつきましての排煙脱硝につきましては、実用化の段階に達しているのではないかと考えております。  しかしSOxが多い、あるいはダストが多いというようなダーティーなガスにつきましては、触媒が非常に劣化しやすいとか、あるいはダストによって目詰まりを来すとか、そういうような技術的な難点がまだ解決されておりませんので、現在のところ、そういうようなものにつきましてはパイロットプラントによる研究開発が進められている、そういう段階でございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後とも脱硝の効率ができるだけ高くて、また長期間の連続運転が可能であって、しかも、二次公害というようなものがないような脱硝装置の開発を促進してまいりたい、かように考えています。
  119. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、S02の規制につきましても、工業技術院の方では小さなテストプラントで大体できておったのです。それを今度は各電力会社に委託しまして、そして私たちが調査に行きますと、あっちこっちでやっているわけです。これはやればできる。ところがなかなかやらない。それをつくると、それだけの大きな敷地が要るということで、ずいぶん引っ張られたのです。木川田さんにもここに来てもらって、私たち相当やかましいことを言ったこともありました。これは利益にならぬ方ですから、任しておくと、なかなか各メーカーやらない、あるいはまた通産省の方も、しっかりしりをたたかないのです。結局、環境庁の方で環境基準を決めて、そしてこの決めたときも、産業界あるいは通産省から相当抵抗があった。しかし、これを決めたために、技術開発をやらなければならぬということで、今日ではS02の排煙脱硫は非常に進んでいっているわけです。したがって窒素酸化物NOxの方も早くこれを規制をかけて、しないと、いまのように適用除外をこしらえたりしておりますと、なかなか技術が進まないと思うのですよ。今度の発表では、大気汚染の一番根本で、一番大きな量を出しておる鉄鋼会社の焼結炉を適用から抜いてしまうということは、まことにけしからぬと私は思うのです。この技術開発を待っておったのでは、もうその間に、どんどんこういった公害患者が出ていくわけでしょう。この点について、どうお考えになりますか。
  120. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 長官のお答えになります前に、実際の問題を、ちょっと申し上げたいと思います。  焼結炉につきましては、脱硝以外にはNOx対策はないということでございます。ボイラー等は燃焼改善とか燃料問題があるわけですが、焼結炉は脱硝施設ができなければ、これはもうだめだ、そういう点がございます。  そこで、通産省の方からもおっしゃいましたように、焼結炉から出てきますガスは、きわめて大量であると同時に、その中に、ばいじんやS02がある。これは粉じんは取っておりますけれども、電気集じんで取っても、数十ミリグラムの粉じんの量でも、いまの触媒に非常に影響してくる。それからSOxもかなり低くなっております。しかし、やはりそのもので触媒の寿命に影響してくるというところに問題があるわけでございます。そういうことで、実験プラントとしては現在、私ども承知しておる範囲では四つぐらい実験プラントがあるわけでして、それは実験といいましても相当大きなものになってきております。本当に動き出すのは、来年の千葉の川鉄のができて、果たしてどう動くかというところが一番の焦点でございます。  そういうことで、この焼結の問題が、御指摘のとおり確かに非常に大きな発生源ですから、これは絶対に対応しなければいけないということは事実でございますが、私どもも非常な熱意でどんどん推しておりますが、先生、御承知のように、脱硝を手がけているのは世界で日本ただ一つでございます。よその国は、日本はどうして、そういうところまで入るのかとというあたりまでの、世界の全然、経験していないことを日本が、いま猛烈な金をかけてやっている努力は、先生も御理解いただいて、私どもも、それがちゃんと実験プラントとして数十万立米のものが動くということになれば、それを今度は総量削減のときには当然、入ってくるようにしなければならぬというぐあいに思っておりますが、残念ながら、まだ、そこには至っていないということでございます。
  121. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは、この間の委員会でも、ちょっと長官にもお話ししておきましたが、川崎製鉄の千葉工場、これば九〇%の脱硝効果を実験で上げた。そのために今度、工場増設につきましては、増設というよりも、聞いてみますと、いままでの工場がぐあいが悪いから、新しいりっぱな工場を脱硝装置をつけて、そしていい工場に変えるんだ。これは私、調査に行きまして、特に現地の千葉市ですかの市役所の方も、そういう答えをしておりましたが、また住民との協定も結んでおるわけですね。また千葉の県議会でも相当この問題について議論をやっております。ところがことしの七月に私の方から調べに行きまして聞いてみますと、県の環境対策課の方では、川崎製鉄に対して鉄鋼連盟から、余り先走って技術開発をPRしないようにしてもらいたいというような圧力がかかっている、非常にやりにくいんだ、こういうようなことを言っておりましたが、私はこういうところをもう一度、環境庁調査をしていただきまして、そして、この川鉄の脱硝技術がはっきりできれば、これはもう直ちに窒素酸化物排出基準の適用除外から抜いてしまって、そして適用していく、こういうようにひとつ要求をしたいと思うのですが、その点いかがでございましょうか。
  122. 小沢辰男

    小沢国務大臣 来年いっぱいで大体めどがつくと思うのですよ、できるのか、できないのか。川鉄の千葉でいろいろ新しくやりますときに、最後に私はそれを念を押したわけです。そうでないと、どうも幾ら千葉県から言われても許すわけにはいかないというので、私、責任者二人、たしか最高幹部だったと思いますが、社長ではなかったけれども二人、呼びまして、その内容をよく聞いて、そして年次計画で、きちっとやっていきたいということだったものですから、許したわけでございまして、ただ、いま実験的にはうまくいくようだから、それを一応、川鉄としては、その実験の結果を基礎にして年次計画を立てまして、あそこも焼結炉は、いますぐ、できるわけじゃありませんので、そういうような意味で言っているわけでございますが、私どもは技術開発ができれば、当然これは、もう、おっしゃるように規制を強化していかなければならないわけでございますから、ただ来年いっぱい見ませんと、大型のものについて本当に実用化できるか、これをひとつ十分、援助もしながら見守っていきたい。できれば、もちろんやりたいわけでございます。
  123. 岡本富夫

    ○岡本委員 ちょっと通産省にもう一度、聞きますが、すでにこの脱硝技術の実用化を完了したところ、それから現在、発注しておるところ、これ何件かおわかりになりますか。あるいは湿式も両方含めて。
  124. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 私どもは五十年の九月に脱硝技術の進捗状況ということで、各メーカーなりユーザーからヒヤリングをやったわけでございますが、その結果によりますと、すべてが実用規模の装置ではございませんけれども、先ほどから、お話のございます。パイロットプラント、いわゆる試験装置を含めまして現在、三十三基ほど、すでに建設完了あるいは発注したものを含めましてございます。現に動いておるものもございますし、これから動いていくというものもございまして、私どもといたしましては、これらの施設が動きまして、ある程度、一年程度ぐらいの長期運転の実績を見た上で、果たしてこれが工業化に持っていけるかどうかということを判断をしたいというふうに考えているわけでございます。  なお、ただいま申し上げました三十三件の中には、いろいろな装置がございまして、ボイラーもございますし、鉄鋼関係では加熱炉もございます。それから石油関係につきましては石油の加熱炉、こういうものもすべて含まったものでございます。
  125. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間がありませんから、これ一つ一つ、私、調査のあれを言いませんけれども、これは通産省の資料ですね。この中にもちゃんと、すでに実施しているところ、あるいはまた発注しているところがある。これに対して環境庁調査をなさいましたか。それが一つ。一遍それだけ聞きましょう、はっきり。
  126. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 通産省は九月にいたしまして、私どもは、この間NOxの規制を出しますときに、私どもの方としても検討しました中間検討結果を出しております。そのものについては、すべて把握をいたしております。
  127. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、通産省の意見だけ聞いて、環境庁からの実地調査というものなくして、そしてただ、こういうことをやったのでは話にならぬと思うのです。そこで、このままいきまして心配なのは、これは四十八年五月八日に環境庁が告示をいたしております達成期間、この達成期間に、いまのような状態で達成する見込みがついておるのかどうか、これが私一番、心配なんです。それについて、一つはいまの固定発生源、もう一つは移動発生源、すなわち自動車の方ですね、この両方を合わしましてどうなのか。今度も軽自動車の方は、環境庁長官はえらい後退してしまったような状態ですが、これで告示された期間に対して達成できるのかできないのか、これは非常に心配なんですよ。達成できなければ、環境庁長官としての、かなえの軽重を問われると私は思うのですね。その点についての自信と、それから経過、これだけをひとつお聞きしておきたいと思います。
  128. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 長官の方から後でお話があると思いますが、現在、環境基準達成しているステーションは二十五ヵ所、全国にございます。四十八年当時は四ヵ所のものが二十五ヵ所になったということは事実でございますが、そういう進展はございますが、それでは五十三年の、そのときに達成できるかと申しますと、私は全部が達成できないという意味ではございませんが、きわめてむずかしくて、良心的に言えば不可能であろう、というところは、問題地点はまず不可能であろうということでございます。これは環境基準達成することを目標として、最大の努力はいたしておりますし、いたすつもりでございます。しかしながら、現在、私の大気保全局長として置かれた一番の役割りは、実行するということでございまして、実行する段階で、どうかたく見積もってみても、五十三年までに八年地域で五五%程度、五年地域で六〇%カットしなければならないということになりますと、これは正直に申しまして、もうとうてい不可能でございます。また、大規模発生源だけを抑えても絶対NOx対策はできません。〇・〇二ppmというのは、すごく厳しい条件でございます。自動車の、東京、大阪がみずからやった調査によりますと、全部の自動車が〇・二五グラム・パーキロメートルになって、交通の非常に激しいところで、ほかの影響の全くないところで、現在の交通量を三〇%カットしなければできないということは、現在、交通規制で一〇%カットできていますが、そういうことを見ましても、最大の努力はいたしますが、正直に申し上げて、まず不可能であろうが、今後、猛烈な努力をするということを私は申し上げておきます。
  129. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、私どもの方で計算しても大体そういうことなんですよね。ですから、この告示を出されて、そしてこれに向かって皆、努力する。相当、猛烈な勢いで、先ほど、だれか諸外国にないことをやっているのだ、こういうことですが、諸外国では、私も調査に行きますと、初めから立地条件を考えて、工場なんかの立地にもコンビナートのようなことをしない。また日本と国土の広さが違います。このままいきますと公害先進国になっているわけですから、環境庁の本当の姿勢というものは、これから非常に大事なものになってくる。だから、いつも長官に少しきついことを言ったり、また激励をしておるわけですが、こういうことでは私ば政治不信はいつまでもつのると思うのです。自動車の排気ガスにしましても、前環境庁長官の三木総理がまず決められて、そうしてできない。こんなことでは話にならない。きょうは、その細かい数字を挙げてもっと話をしようと思ったけれども、時間がありませんから、長官に、最大限の努力をしますだけではお話になりませんので、実際の環境基準達成までのひとつ決意を、また、いつまでもあなたも環境庁長官をやっていませんから、次の方が、前の長官がむずかしいと言うておったから、むずかしゅうございますというのでは話にならぬ。ですから、どこまでやっていくか、あるいはまた、どういうようにするのか、必ず達成するというお考え、決意があるのか、ここをひとつ承って、時間ですから終わりたいと思うのです。
  130. 小沢辰男

    小沢国務大臣 いま橋本局長がお答えしたとおりでございまして、遺憾ながら五十三年までに非常にむずかしい地域を含めて全部、六割カットを達成できない。遺憾ながら私はどうもできないと思います。できないからけしからぬ。まことに残念なんでございます。もちろん、おっしゃるとおり、御批判は十分、甘受しなければいかぬわけでございますが、しかし、環境問題というのは、恐らくは、なかなかできないかもしらぬ、困難だろうと思っても、その目標を掲げて、やっぱりそこへ向かって努力するのが一番、大事なことでございますので、そういう意味においては、やはりあれだけ厳しいことを決め、それを五十三年の地域ということで私どもが決めたからこそ、今日、相当の成果を上げてきているわけでございますから、そういう面においては、ぜひ御理解もいただいて、もちろん、それをもって満足するわけにいきませんので、できるだけのことをやりますが、やっぱり通産と一緒になって技術開発を進めていかないと、なかなかこれは、ただきれいにしろ、きれいにしろと言っただけではいきませんので、できるだけひとつ技術開発の方も、われわれも監督し、指導し、あるいは援助をしまして進めていきながら、最大の努力をする。これ以外にはない。ことに、中小企業については、現在ほとんど進んでいないわけでございます。ただ、非常に悪い時期にぶつかりまして、中小企業も、私どもが規制を強化すれば産業全体が成り立たなくなる、雇用問題が起こるという、いろいろな問題がございますので、最大の努力をしつつ、目標を達成するように最大の決意をもって臨む、これ以外にはお答えはいまのところできないので、はなはだ申しわけないと思いますが、ひとつ御理解をいただいて、私どもも一生懸命やりますから、御協力を得たい、かように一般産業界に向かってもお願いをいたしてまいる所存でございます。
  131. 岡本富夫

    ○岡本委員 これで最後ですが、いまのような御答弁では、どうも納得しかねますね。中小企業の方は中小企業の方で、もっと政府の方から助成してあげて、あるいはまた規制はするけれども、それに対するいろいろの助成はしていく。どうも長官の頭の中には、不況だから、あるいはまたいろいろな社会情勢だからという、産業との調和条項というものが除かれた前の公害対策基本法の頭が、まだあるように思うのですね。そんな弱腰ではいかぬ。こうして指定地域にして、公害患者がどんどん、大体、日本の人口の一%ぐらいの患者が出てくるということでしょう。人の健康を守る、あるいはまた国民の生命を守る、これはもう環境庁しかないわけですから、環境庁がそんな弱腰の話で、ひとつ御理解いただきたいとか、御援助願いたいとか、また通産省とも話し合っていくとか、そんなことでは話になりません。だから、やっぱり厳しい規制をする、しかし、それに対してのいろいろな施策はやっていく、そういうことでなかったら、どうも三木内閣の姿勢を問われると私は思うのですよ。いま手も足も口も抑えられてしまっているから、やりにくいかもしれませんけれども、あなたは派閥が違うのだから、ひとつ大いに、もっと前向きの姿勢をとって、環境庁としての実力を発揮していただきたい。これを一つ要望いたしまして、また次の機会に話をさせていただきます。委員長委員長からもひとつ、きつく御注意を願います。
  132. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 よくわかりました。よく注意しておきます。  土井たか子君。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 昨夜テレビのニュースを見ておりましたら、大阪国際空港を東京に向けて出発する本当に最後の日航機が画面に映ったわけであります。現地の方々も、いよいよ本日の夜八時台をもって九時以降の飛行機は飛ばない、やっとのことで九時以後、静かな夜を私たちは迎えることができると胸ふくるる思いで言われた。私はそれを画面を通じて見ておりまして、胸が熱くなって涙がこぼれたわけでありますが、きょう一つだけ、私はここで確認をしておきたい問題がございます。それは、やはり八日の大阪高裁での決定を受けまして、地元の住民の方々からすれば、何としても目下、気にかかるのはエアバスの導入の問題だと私は思うのです。  そこで、お尋ねしたいのは、先日来、環境庁から十三項目にわたる申し入れが運輸省にあり、両省庁間での詰めが始まっているはずでございますが、どのようになっているかということを、ひとつ御説明を賜りたいと思います。
  134. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 運輸省の方からも御説明があるかと思いますが、環境庁の方で要求を出しまして、運輸省がどのように対応してきているか、その現状を御報告申し上げます。  実際の資料の提出は、まだ全部は出ておりませんが、できるだけの資料は現在、運輸省が持ってこられまして、そして昨日以来、担当の専門が全部、組みまして、いろいろのデータを見ながら議論を始めております。そしてその過程で、こういうことについての資料はどうなっているか、あるいは、これは別に計算をしてみなければいけないのではないか、そういうすべてのものをやりながら現在、始めておりまして、運輸省の方の側も、非常に誠心誠意、こちらの検討に応じていただいておるという状態でございます。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 そういう状況で詰めが始まったところでございますから、やはりひっかかってくるのは、この十二月二日の日に運輸省見解としてお出しになった中にございます予定表であります。  予定表の一の部分は、これは大変な御努力をいただいた結果、具体的には本日から実施されるということになったわけなんですが、2、3、4とございます中身が、実はエアバス問題でございまして、まず、その二つ目に書いてございます「一二月二〇日から日本航空及び全日空についてエアバスをそれぞれ一〜二便導入する。」とある部分、それから三項目に、一月十日から発着回数を二百十回として、エアバスの発着回数を四十回とするという部分、三番目には「国際線のエアバスの導入ば、明年七月を目途とする。」という部分、この部分にとらわれずと申しますか、こだわらずと申しますか、誠心誠意、環境庁との詰めをされて、また八日の日の決定にございますとおりに、住民の方々に対する了承、承諾を得るための御努力をなさるというふうに私たちは理解しておいてようございますか、いかがでございますか。
  136. 中村大造

    中村(大)政府委員 先生の仰せのとおり、二十日という日時に特にこだわっているわけではございませんで、現在、考えておりますことは、環境庁と細かいデータについて純粋に技術的に詰めを行っておりますので、それをどのようにして誠心誠意データを出して詰めるかということに現在、没頭しておるということでございます。したがって、その後のスケジュール等については、特にわれわれとしてはこだわっていない、こういうことで、したがって、そのデータが出て環境庁との間で詰めが終わりました場合には、当然それは地元の方々に公表をして、それが地元の方々の御理解を得る最大の要素になるのではないかというふうに考えております。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 いま局長のおっしゃいました、十三項目についての詰めができた段階で、住民の方々に対して御承諾を得るために、この中身を説明するという御用意がある旨、御答弁になったわけですが、これは運輸省環境庁と、それぞれから、その十三項目についての詰めの中身に対して住民に対する御説明を賜りますか、どうですか。環境庁の方、いかがですか。
  138. 小沢辰男

    小沢国務大臣 現地の方々の御要望があれば、詰めを終わり次第行きまして、ひとつよく話し合いをいたしたい、御説明もいたしたいと、かように思います。
  139. 土井たか子

    ○土井委員 私これで、きょうは質問を終えますが、要は焦ることなく、ひとつじっくりと、とことん、この詰めをやっていただくということを、まずお願いしたいと思います。一日も早く住民の方に説明しなければならないからとか、何よりも一日も早いエアバス導入が先なんだからということは、断じてこれは考えていただかないように、ひとつ誠心誠意、後に悔いを残さないような詰めを、この節、両省庁間でしていただきますよう、まずここで要望を申し入れて、質問を終わりたいと思いますが、それでようございますね。
  140. 小沢辰男

    小沢国務大臣 おっしゃるとおりの考え方でいきます。ぜひ、ひとつ先生方も御協力を願って、本当に客観的なデータで話し合いが十分、行われますように、御協力を私の方からもお願いしたいわけでございます。おっしゃるような方針で臨みます。
  141. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  142. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 次回は、来たる十六日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十五分散会