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1975-12-05 第76回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月五日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 渡辺 惣蔵君    理事 田中  覚君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 藤本 孝雄君    理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君    理事 木下 元二君       八田 貞義君    阿部未喜男君       岩垂寿喜男君    米原  昶君       岡本 富夫君    坂口  力君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         法務大臣官房訟         務部長     貞家 克己君         外務省経済局次         長       野村  豊君         運輸省航空局長 中村 大造君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         外務省欧亜局外         務参事官    木内 昭胤君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 十一月二十日  倉敷市福田町を公害健康被害地域指定反対に  関する請願加藤六月紹介)(第三二七九  号)  PCB、水銀汚染防止対策に関する請願田中  美智子君紹介)(第三三二一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十日  尾瀬の自然保護に関する陳情書  (第二七九号)  にほんかもしか被害対策に関する陳情書  (第二八〇号)  東京都江戸川区を公害健康被害補償法の第一種  地域指定に関する陳情書  (第二八一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(大阪国際  空港公害問題)      ――――◇―――――
  2. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件、特に大阪国際空港公害問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 去る十一月二十七日に出されました大阪高等裁判所控訴審判決、いわゆる大阪空港騒音訴訟の問題につきまして質疑を行います。  運輸大臣がまだ来ておられませんから、事務当局の方から少しお答えをいただきたいと思いますが、大阪空港について、いままで国が行ってきた騒音対策、これにいままで、ずいぶん大変な金をつぎ込んできたと私は思うのです。具体的にどうなっているのか、時間の制約がありますから、簡単に要領よくお答えください。
  4. 梶原清

    梶原説明員 大阪国際空港は非常に重要な飛行場でございますが、同時に、その立地条件からいたしまして公害問題が非常に大きいわけでございます。そのために私どもといたしましては、発生源対策周辺対策を重点に施策を進めてまいったわけでございまして、発生源対策といたしましては、運航規制——発着回数抑制でございますが、発着回数抑制と深夜の航空機発着規制その他の発生源対策を進めると同時に、周辺対策といたしましては、昭和四十二年に制定をしていただきました航空機騒音防止法によりまして、それ以来、教育施設病院等防音工事共同利用施設の助成それから移転補償等を進めてまいりましたが、特に四十九年三月に航空機騒音防止法を大幅に改正をしていただきまして、民家の防音工事をするようにしていただきましたほか、大阪国際空港周辺整備機構を設立いたしまして、これの積極的な推進体制というものができたわけでございます。今日までに大阪国際空港に投入してまいりました航空機騒音対策事業費は四百九十六億に上っております。これによりまして、いろいろの施策を鋭意、進めておるところでございます。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 国は本件につきまして上告をしていると聞いておりますが、私は上告の理由につきましては、後でいろいろとお尋ねもしたいし、私の意見も申し上げたいのです。しかし、大阪空港の問題からすれば、輸送需要というのは相当にある。特に今回のようなストライキなどのことがありますと、航空機輸送というのは大変に必要な足でありますから、これを確保する、そういった問題と関連いたしまして、やはり九時以降のダイヤを残すという問題は考えなくてはならないだろうと思うのです。と同時に、大阪国際空港でありますから、国際的な問題がありますから、これについては、国際的な問題の解決というのは別の問題でありますし、この辺は一体どういうふうにするのか、運輸省当局の御見解を承ります。
  6. 梶原清

    梶原説明員 先ほども申し上げましたとおり、大阪国際空港というのは非常に重要な拠点でございますし、また、国際空港ということで空の玄関でもあるわけでございます。お客さんは年々ふえてまいっておりますが、航空機騒音対策という周辺対策の観点から、便数抑制してまいったわけでございます。航空機本来の機能といいますか、迅速性というのが航空輸送の使命であるわけでございます。問題は、頻度と最終便がどのようにあるかということでございますが、九時以降、相当お客さんを運んでおるわけでございます。私どもとしましては、現在、九時五十分までございます最終便を、ぜひ確保したいということでございますが、今回の判決によりまして、九時以降の発着の差しとめ、それにまた仮執行の宣言までついておりますような状況を踏まえまして、九時を越えて発着する国内線ダイヤを削るという決定をいたしたわけでございます。これは十二日から実施する予定でございます。お客さんの不便ということは当然、招来するわけでございますが、やむを得ない措置として、そういうふうにしたわけでございます。  九時を越えての発着を削るということは、御案内のとおり航空輸送というのは、種々のダイヤを組んでやっておるわけでございますので、九時を越えて現在、飛んでおります国内線発着回数は六回でございますが、単に六回を削るだけにはとどまらない。あるいは、これを八時台に繰り上げるには相当の無理をしなければいけない。と申しますのは、七時、八時ごろというのは非常に過密の時刻になっておるわけでございますので、そこへ繰り込ませるというのは非常に困難な事態になっておるわけでございますが、万やむを得ない措置として、そういう措置をとろうとしておるわけでございます。  また、国際線につきましては、大阪国際空港が、わが国における航空協定上、重要なポイントになっておるわけでございまして、この国際航空の分野におきまして、ぜひとも国際線は確保いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 大阪空港というのは、交通の要点として大変、重要なところでもありますし、そういう、いまお話のありましたようなことから、エアバス導入をするという話も聞いておりますが、これは騒音対策上はわりと問題がない。普通のものよりは非常に問題がないというふうな話も聞いておりますが、この辺につきまして、一体どういうふうな考え方でやられるのか。むしろ積極的な、騒音対策ということよりは音源対策でもありますし、私は、エアバス導入には早急に踏み切るべきだろう、こう思うのです。NOxの問題であるとか騒音とかというのは、環境庁当局の方とも相談をしておられると思うのですけれども、その辺はどういうふうな形でやられるのか。運輸省の方と環境庁事務当局の方から、それぞれ簡単に御答弁ください。
  8. 梶原清

    梶原説明員 運輸省といたしましては、従来、発生源対策の最も重要なる柱といたしまして、低騒音大型機エアバス導入を図りたい、このように考えまして、二、三年前から地元に御説明を申し上げてまいったわけでございます。地元の理解を得て低騒音大型機導入を図るというのが私ども考え方でございます。  エアバスと申しますのはトライスターなりジャンボ等でございますが、これは一機当たりの、一機から出します音というのが非常に小さくなるわけでございますし、また収容力が多うございますので、減便をすることもできる、また安全性も非常に高いということで、航空機騒音対策の決め手として、私どもはぜひ一日も早くやりたいということで推進してまいったわけでございます。  ところが今回、先ほども申し上げましたように、九時を越えて発着する国内線ダイヤを削るという措置をいたします関係上、それに伴いまして輸送力確保の面で非常に支障を生ずるわけでございまして、公共性を幾分なりとも確保する、輸送力減というのを抑制するためには、エアバス導入が絶対に必要であるという事態に相なりまして、この機会にエアバス導入を図りたい、こういうふうにしたわけでございます。
  9. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま御質問の問題につきましては、環境庁といたしまして、判決に先立ちまして、私は大臣から、現地で一体どれぐらいひどい問題か、判決の場合の環境庁としての態度判断する材料としたいので、現地に行って現に体験してみてこいという命を受けまして、一番、問題のある勝部、利倉及び川西市の高芝地区に参りまして、おのおの夜三時間ずつ実態を見、はかり、また人々の声を聞いたわけでございます。その結果、非常にはなはだしい、ほかの空港では見られない問題があるということでございまして、直ちに長官に復命いたすとともに、運輸省にも直ちに申し入れたところでございますが、判決が出まして、九時以降の飛行の停止ということになりまして、環境庁の中でいろいろ議論いたしまして、上告問題いかんにかかわらず、とにかく夜九時からの便はなくすべきではないかということが最初の議論でございました。  運輸省との話の結果、国際便については、これは条約等もあり、できないという非常に強い問題がありまして、政府当局としては、そのできないことまで言うわけにはいかないということで、国内線についての飛行を中止するという問題と、減音をするためのエンジン等の機材の改良、運航方法の改善、機種別、時間帯別発着便数の削減あるいは周辺対策を、今後どういうぐあいに進めて、どういう見通しを持っているのか。あるいは環境基準達成状況についての点検を、やはり進めていかなければならないということで、運輸省長官名申し入れをいたし、続いて、エアバス評価の問題につきましては、以前、国会におきましても大気汚染の問題がございまして、そこの問題について議論もあり、また、判決の中にもエアバスの問題に一部、触れられたところがございまして、その点につきましては、環境庁環境保全という立場から、やはり、その影響の問題について運輸省当局も当然、資料を整えておられることと思いますので、必要な諸点について、その申し入れをいたしまして、そうして、それに対する予測、どうしてエアバスの方がいいのかということにつきまして、両省検討いたして一致した上で導入するようにすべきであるということを、大臣の命をもちまして、大気保全局長名航空局長あて申し入れたところでございます。
  10. 林義郎

    ○林(義)委員 大臣が来られましたから、お尋ねしますが、いま事務当局から当面のいろんな問題をお尋ねをしておったところであります。  この判決をずっと読ましてもらいましたが、非常におもしろいというか、いままでの裁判からすればきわめて特異な判決を出しておるように私は思うのです。  一つには、人格権に基づく妨害排除の請求として、これを根拠づけることができる、こういうふうな話でありますが、人格権に基づくところの問題というのは、いままでの学説判例、特に判例では、これは否定をされているところの考え方である。実は、当公害対策委員会でも、ずいぶん前から環境権という考え方があったわけです。環境権というのは将来の問題だと、この判決の中には書いてございますけれども、そうではなくて、静穏に生活するところの権利というものが一体、権利としてあるのかどうか、体が健康であるとか、あるいは財産権であるとか、そういったものは権利だろうと思いますけれども、そういった人格権というような問題というのは、どうも私はなじまない概念ではないか、こう思うのです。新しい、この判決でありますから、これについて、私はやはり当然、上告して、この問題は争わなければならない問題だと思うのです。  特に、これを非常に拡大して解釈しますと、実は、現在やっていますところの公害対策、いろんな形で規制をやっている、環境基準をつくり、排出規制をし、何とかするということも、こういった考え方に基づきますと余り要らないのではないかという議論ができると思うのです。私権の拡張をすることによりまして、やれば何でもできるということになりますと、いろんな公害対策をやっても、裁判所判断をすれば、それでいいんじゃないか、こういうふうな議論も出てくるのだろうと思うのです。  どうも、これは憲法の十三条あるいは憲法の二十五条というところから出てきているように私は拝見するのですけれども憲法二十五条の解釈というのは、いままで伝統的には、健康で文化的な生活をする権利を有するというところは、いろんな立法によって、これを解決をしていくというのが、いままでの基本的な態度だったと思うのです。立法によらずして司法によって、そういったことをやっていくということになりますと、私は大変にいままでのやり方というものを変えていかなければならない問題があると思うのです。  こういった点につきまして、運輸大臣、一番のやはり当面の御責任者でありますから、運輸大臣の御見解をひとつ、お尋ねしたい。  また、環境庁長官にもお尋ねをしたいのですけれども、やはりこういつたことでずっとやりますと、何か別のシステムをつくらないと動かないんじゃないか、環境庁という行政機関がいろんなことをやるというのは要らなくなっちゃって、何か行政訴訟あるいは行政手続でない司法手続によって、すべての問題が解決するということになりますと、全体の環境政策環境行政というものを改めていかなければならないことになると思うのです。そうした問題をどういうふうに考えられるのか、両大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  11. 木村睦男

    木村国務大臣 林委員お話のように、憲法によって、国民一人一人の健康で文化的な生活が保障されているわけでございますが、同時に、文化的生活近代社会において営むためには、交通手段が十分に提供されるということも、私は非常に必要な要素ではなかろうかと思うわけでございます。そういうことで、海陸空とも交通機関の戦後における発達はまことに目覚ましいものがございますが、同時に、これらが騒音であるとか、あるいは大気汚染であるとかいう公害を出しておるわけでございます。したがって、そういった個人の生活環境保護ということと公共の利便、福祉というものの調和点をどこに見出すかということが、この問題について考えなければいけないことであろうと思うわけでございます。  今回の判決をずっと見ますというと、まさしく、いま御指摘のように従来にない特異な、しかも、ある意味相当、思い切った判決と受けとめておるわけでございます。そういう受けとめ方をしながら今回の判決を見てみますというと、その中には、やはり司法権行政権との相衝突する面もあらわれております。たとえば空港飛行機の発着の時間を、今度は判決制約をされておる。もっとも、これは第一審でもそうでございましたけれども、こういうことが、行政責任を遂行するわれわれとして、判決によって行政権の一部が、行政権行使相当する事柄が決められてくるということが、果たして将来にわたって、それでいいであろうかどうであろうか、行政責任を果たすわれわれとしては、非常に疑問を持っておるわけでございます。そういう意味におきましても、それ一つを考えてみましても、やはり行政権司法権の相抵触するような問題でございますので、行政責任を果たすわれわれとしても、やはり司法権最高機関による判断を最終的に求めて、そこで、その決まった判断が出れば、それにはもちろん、これは従わなければなりませんが、少なくとも司法権威最高機関意思決定を要請するのは、われわれの当然やるべきことであるという意味で、関係各省相談をいたしまして上告に踏み切ったわけでございますが、なおそのほか、今回の判決補償の問題に関連して、いま、お話しのような人格権といったような一つの新しい問題も、ここで非常に重点視されて補償問題の判決も出ておる。いろいろ問題たくさん含んでおりますので、やはり、これはすべて司法最高機関判断を仰ぐのが妥当であろうというふうなことで、上告に踏み切ったわけでございまして、踏み切りました前提になる行政機関としてのわれわれの考え方は、あらまし以上のようなことでございます。
  12. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先生おっしゃるように、一般的に人格権という概念が法的な権利として確立し得るかどうかということについては、いろいろな御意見がございまして、しかも学説判例等について、まだ確立をしていないことは事実でございます。しかし、人格権侵害というものが、法的な一つの統一した見解というものが確定をするしないにかかわらず、一般的に人間の生活あるいは精神的、肉体的ないろいろな侵害があった場合に、この侵害一定受忍限度を越えるというような事態に対しては、この侵害についての救済を求めるということは、これやはり一つの行き方として是認していかなければいかぬのではないだろうか。いわゆる法的な概念として、きちんと確定をしているかいないかにかかわらず、一定の精神的、肉体的な、あるいはわれわれの生活全般に対して与えられた、受忍限度を越えるような侵害というものは、これはやはり、ある程度救済をしていかなければいけないというのは当然のことではないかと私は思うのです。  ただ、その場合に、その侵害排除ということを司法という見地からやるのか、行政という立場でやるのか、これが今回の非常な問題点ではなかろうかと思いますが、これらについて、法務省の見解等もあると思いますので、したがって、政府全体として上告によって最高裁判断を求める、こういうことにしたのじゃないか、かように考えます。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 日本国憲法規定四十一条からすれば、国の唯一立法機関国会である。裁判所がむやみな解釈をしてやるということは、やはり私は国会権威にも関する問題であると思うのであります。裁判所で全部、決めるのだったら、国会でこんな審議をすることもない、公害対策特別委員会なんかもやめてしまったらいいと思うのです。私は、国会唯一立法機関であるし、憲法規定からして、健康で文化的な生活をやるというのは、いままでの伝統的な解釈としては、これはやはり立法でもって解決をしていくという態度だったと思うのであります。これは、そうした意味におきまして大変な法律問題、憲法問題として大きな問題を含んでおりますから、この辺はぜひ十分に議論を尽くしていただきたい。憲法解釈の問題でありますし、憲法解釈というのは最終的には最高裁に任せられている。それが現在の憲法のたてまえでありますから、この辺は十分に議論をしてもらいたいと思うのであります。問題は二つありまして、人格権の問題が一つ、それからもう一つは、公共性と私人との関係をどう調整するかという、行政権司法権との調整の問題であります。私はそういった点は十分に議論をしてもらわなければならない問題だと思います。  時間も余りありませんから、私の意見を申し上げておきまして、大臣どちらかでも結構でございますし、あるいは内閣法制局の方もおられますから、内閣法制局の方からの御答弁でも結構でありますが、政府を代表して簡単に御答弁いただきたいと思います。十一時までだということでありますから、まことに申しわけありませんけれども、簡単に御答弁をいただけますか。
  14. 別府正夫

    別府政府委員 お答えいたします。  ただいま林委員から御指摘がございました問題につきましては、御指摘のとおり非常に重要な問題とは考えますが、今回の案件訴訟係属中、ただいま上告をしていることでございますので、政府側としては、これがこうだという判断を具体的に申し上げるのは差し控えたいと思います。  ただ、いま両大臣から答弁がございましたように、政府としては、いま御指摘のあったような問題点を十分、検討した上で上告をしたということによって、いま御指摘の問題についての政府考え方が一応、明らかにされておるというふうに考えております。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 終わります。
  16. 渡辺惣蔵

  17. 島本虎三

    島本委員 時間の関係がありますから。率直にお伺いいたしますが、十一月二十七日の大阪高裁判決、これは両大臣もすでに十分、御了知のとおりでありまして、いま、いろいろ御討論がありました公共性よりも人格権尊重という住民サイドに立った判決というので、いまや注目されております。環境庁もかなえの軽重が、いまや全国民から注目の目をもって見られている、こういうような状態であります。したがって長い間、公共性の名のもとに環境悪化による健康被害生活妨害に悩まされ続けた住民の切なる悲願が、ようやくいま認められつつある。いままでの政府環境行政に対して、受け入れながらも厳しく批判して、直ちにその姿勢を改めよと求めたものであって、当然これは受け入れなければならない性質のものであります。  しかるに政府は、二日ですか、この判決を不服として上告することに決めたという。みずからの責任をいささかも感ずることなく、国民の健康と生活を守るべき義務を放棄したもので、環境行政の面からも運輸行政そのものからも、これは許さるべきじゃないと思います。これに対して両大臣がこれをいかに受けとめたか。ことに環境行政の場合には、いままで公害四大裁判一つ一つの問題でも、住民サイドに立って、あるいは上告しようとする企業側を抑えつつ住民を守ったのが環境庁態度でございましたが、今回、急変したのは、これは了解できません。したがって環境庁長官並びに運輸大臣の御高見を拝聴したいのであります。
  18. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先生、ちょっと私は、先生のいまの御発言には承服できないのです。私ども上告をしたから、それだけでけしからぬと言われるのは、これは私は、ちょっといただけないのですよ。やはりあの判決に法的ないろいろな検討を要すべき点が多々あるから、そこでまた司法権行政権との関係とか、そういうものについて、やはり政府としては、ただすべきはただしていかなければならぬのです。  しかし一方において、あの判決全体あるいは訴訟経過をずっと見ますと、住民生活環境を守らなければいかぬという見地から、したがって上告とは別に、九時以降のあの判決の主体をなすことについては、政府全体として、いろいろな支障があっても、これはひとつ守ろうじゃないか。ただ外交上の問題として国際線その他の問題がありますから、これはもうやむを得ないとしても、われわれがいますぐできる問題については、できるだけ、あの訴訟経過あるいは被害者立場判決全体の精神というものを、そういう面できちっと実行しよう、こういうことになったのですから、この点は十分、私はむしろ評価をしていただきたいと思っております。
  19. 木村睦男

    木村国務大臣 先ほど林委員の御質問にもお答えいたしましたように、やはり行政権行使責任を持っております政府といたしましては、司法権判決によって示された事柄について、いろいろ問題があるわけでございまして、そういう場合には、ことに司法権行政権との接触面においての判断が、われわれの考え方とは違う判決として示されているような重大な問題も含んでおりますので、これはやはり最終的な最高裁判断をもらって、そして、それによって措置をしなければいけないという考え方上告をいたしたわけでございまして、あるいは同じ判決になるかもしれません。それはそれで私は結構だと思います。行政権行使する責任者としては、司法権の最高の判断を要請するということは、やはりわれわれのやるべき事柄であると考えております。  ただ、それはそれとして、飛行場の周辺の整備その他は、従来ともやってきておりますけれども、さらに一層、力を入れて、住民のそういった被害を、できるだけ早く最小限度にとどめるような措置は、今後とも強力に指導してまいっていくわけでございます。そういうふうな考え方に立っておるわけでございます。
  20. 島本虎三

    島本委員 環境庁長官がいま、おっしゃったような考え方ならば、これは即座に住民のために実施する、受け入れる、この態度。しかし上告して、それは全部、受け入れるというのはおかしいじゃないですか。  なお運輸大臣、東京都の品川区は、この一日にも同じような申し入れ運輸省にしたという。そうして大田区では先月の二十九日に、やはり羽田空港騒音防止のためにも、夜間飛行規制をしてほしいという要望書を運輸省に出されている。それが報道されているのでありますが、この趣旨とするところも大阪とほとんど似ています。そうすると品川区からも大田区からも羽田空港騒音公害について要請書がもうすでに出されているのであります。これは御存じですか。
  21. 木村睦男

    木村国務大臣 承知いたしております。
  22. 島本虎三

    島本委員 どのような措置を、これにいたされますか。
  23. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 お答え申し上げます。  東京都からの羽田空港規制についての要望につきましては、最近、提出されたわけでございますけれども、その中で、大阪空港における控訴審の判決と同じように、九時以降の便についてこれを停止するようにという要望その他、周辺対策等についても、いろいろ御要望がございました。それから現実に飛行をしておる飛行方式についても、いろいろな御要望がございます。そのうち、われわれといたしましては、羽田空港の持っておる公共的な使命から考えまして、九時以降の便を停止するという考え方は、これは毛頭、持っておりません。ただ、羽田空港公共的な使命を維持しながら周辺の苦痛を軽減するための措置は、これは大阪国際空港と同様に鋭意、努力してまいりたい。これは個々、具体的ないろいろな措置がございますけれども、それについては今後できる限りの努力をしてまいりたい、こういう基本的な姿勢でございます。
  24. 島本虎三

    島本委員 これは大阪のみの問題じゃなくて、やはり各空港の所在地にもそれぞれの問題がある。しかし大阪が一番、集中しているようだ。したがって大阪では今度のような高裁の判決になっているわけであります。だから、これを一番のモデルにして、これをもう受け入れて、行政的にも早くこれを整備しなければならない、措置しなければならない大きな問題なのです。ここでやはり運輸省の考えは、公共性というものが、いわば人格権、人間性、こういうようなものよりも優先するという考え方、これに立っておられるのですか。一言だけ、ちょっとお聞きしたいのです。
  25. 木村睦男

    木村国務大臣 航空輸送という一つ公共性と、それから個々の住民人格権といいますか環境権、そういうものとの調和をどこで求めるかということは、非常にむずかしい問題でございます。御質問のように、航空輸送力を維持するという公共性のみを考えて、航空行政はやっておるわけではございませんので、すでにお話し申し上げたように、周辺の整備その他、極力、騒音あるいは公害等の被害を少なくするような措置も並行してやってまいっておりますゆえんのものは、両方のことを考えながら航空行政を進めておるという、われわれの考え方のあらわれでございます。ただ、その接点をどこに求めるかということは非常にむずかしい問題でございますので、たまたま判決等で、その接点についての判決が出ております。したがって、そういうものも含めまして最終的な判断を得るならば、これらが一つの今後の基本になるのではないか、かように考えております。
  26. 島本虎三

    島本委員 この三日に三木総理にお会いしました。この問題で党としても申し入れをいたしましたが、その際に、判決については、騒音に悩む被害者立場、これは困っているのであるから、判決の趣旨を体して行政上、善処せいと、これははっきり関係閣僚に申し渡した、こういうように言っておりました、そうすると、運輸大臣環境庁長官じゃないかと思うのでありますが、これを体して、どのように措置するのですか。また、これをはっきり言われましたか。
  27. 木村睦男

    木村国務大臣 総理から、いまお話しのようなお話がございました。  そこで、今回の判決を受けまして、九時以後の着発をやめろという問題につきましては、非常にむずかしい問題がございましたが、判決確定を待つまでもなく、国内線においては九時以降の発着をやめることを決定いたしまして、それぞれの航空会社にも、その指示をしたわけでございます。ただ、その中には国際便もございまして、これはなかなかそう簡単にいきませんので、そのまま残しておりますが、そういうふうに判決を受けとめて、できるものは、そうやってすでに実施をしてまいっておりますし、また上告につきましては、先ほど申し上げましたような考え方と理由によって上告をいたしておるのでございまして、総理のそういう指示は私たちも承っておるわけでございます。
  28. 島本虎三

    島本委員 そうすると、これはあくまでも国内的には、行政的にこの判決の趣旨を受け入れ、生かす、はっきりこれを言っているわけですね。総理もそれを言明していますね。また総理が、行政を通じて判決の趣旨を生かして善処させる、こんなことだったら受け入れたと同じじゃないですか。被害者住民立場を考えて、騒音に悩む、こういうような立場からして、これはどうしても受け入れなければならないからこそ、行政サイドから、この判決の趣旨を十分、生かして行政するように善処せい、こういうようなことだと、はっきりそういうようにしたならば、これを受け入れたということと同じじゃございませんか。そして早くこれを行政的に対処するのがいいということになっている、また、それを受け入れたということじゃございませんか。それを受け入れながら上告した、どうもその辺が私はよくわからない。素人だからわからないのかもしれませんが、内容は受け入れた、しかし、それを上告する。何か公害関係のやつはどうも私どもわかりませんが、これは一体どういうようになっているのでしょうか、環境庁長官
  29. 木村睦男

    木村国務大臣 総理の意見も、判決が出たら無条件に全部、受け入れるという趣旨ではございませんので、その辺は誤解のないようにお願いいたします。
  30. 島本虎三

    島本委員 どういうことですか。
  31. 木村睦男

    木村国務大臣 判決が出ました、その内容を検討して、そして受けられるものは受けるという趣旨でございます。
  32. 島本虎三

    島本委員 それならば、今回エアバスの乗り入れということを直ちに行政的に発表されたようですが、これはどうなっていますか。
  33. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 私どもは、エアバス導入はいわゆる音源対策と輸送力の確保ということの両方の使命を達成し得る、しかも安全航行に役立つ、こういうものであるというふうに確信いたしております。したがって今回、大阪国際空港についてエアバス導入することを決意いたしましたのは、まさに総理も言っておられますような行政上の改善策をいろいろとる、こういう中の、われわれは音源対策の一環としてこれをやる、そういうことによって便数を大幅に削減する、こういう構想の一環として考えたわけでございます。
  34. 島本虎三

    島本委員 それは音源対策としては及第であっても、今度は大気汚染状況については落第である、こういうようなことであっては困るわけですね。したがって、こういうような点に対して、当然また住民の方からは被害を含めて、いろいろな疑義が出てき、また運動になってくる。すべて民主主義は手続の問題だと、これはやっぱり総理さえも、ついにこの間のスト権の問題では言っていたのですから、そうであるならば、住民の完全な了解が得られるまでは乗り入れ許可は撤回するというのが、これが主じゃないですか。これはいいと思ったから、そのまま住民の了解なしに入れる。民主主義は手続問題だ、そういうようなのを覚えていながら、こういうようなことを了解なしにやるということは、これはまだまだ皆さんの場合は、公共優先というような立場を固執して、人格権の問題なんかは後回しだっていい、こういうような考えが優先するのじゃないか、こう思うのであります。いまのようにして了解を得るということを前提にして、それまでの間は乗り入れの点は見合わせる、十分話し合う、ひとつ、こういうような姿勢は示されませんか。
  35. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 私ども従来からエアバス導入については、これは科学的にも、その優秀性が認められておるわけでございますので、この効果を地域住民の方にぜひ理解していただいて、導入をしたい、その努力は、昨年から二年間以上にわたりまして、してきたつもりでございます。ただ残念ながら、すべての方に御了解をいただいておるというところまではいっていないと思いますけれども、われわれとしては大方の少なくとも御理解は得ておるのではないかというふうに総合的に判断をいたしておるわけでございます。  ただ、先生いま御指摘のように、排気ガスの問題等があるわけでございます。これは確かにNOxだけは、エアバスの場合に増加するということは、これはデータでも出ておるわけでございますけれども、しかしながら全体の中での航空機から排出されるNOxの寄与率というものは、これはきわめて小さいのではないかというふうに、われわれは判断いたしておるわけでございまして、騒音の減少という大きなプラスと、それから一酸化炭素等のその他の排出物の減少という大きなプラス等を総合的に判断いたしまして、エアバスの効果というものは無視できないと思うわけでございます。ただ、この点については環境庁と事務的に現在いろいろ詰めておるわけでございまして、それを詰めた上で、エアバス導入は行いたいというふうに考えております。
  36. 島本虎三

    島本委員 これはやはりいろいろございますけれども、被害で困っている住民立場から、この判決の内容は行政の中で取り入れる、その趣旨を体して善処する、こういうふうに言うならば、当然、大阪空港以外の空港においても、早急に実態を調査して、騒音公害の疑いのある空港では、原則的に同様の措置をとるべきが当然じゃないかと思うのであります。この点は大臣いかにお考えですか。
  37. 木村睦男

    木村国務大臣 他の空港におきましても、運輸省といたしましては従来ともに騒音対策音源対策周辺対策、それぞれ精力的に進めておるわけでございます。ことに騒音防止法でございますか、ああいう法律もできまして、その基準というのも一応できておるわけでございますから、こういうものを一つの尺度にしながら、周辺対策を強力に今後とも進めていくつもりでございます。
  38. 島本虎三

    島本委員 いま言ったのは、この大阪空港のいわば判決、この趣旨とするところを国内的に、これを騒音公害で悩む被害者を持っている他の空港にも適用または準用して、その解決を図るべきだ、こういうようなことなんです。当然じゃないかと思うのです。それは当然でしょう。私は別に疑問を持って言っていることじゃないのです。判決で出て、それをいろいろの疑義をただすため上告するけれども行政的にはこれを受け入れて善処するのだ、こういうのですから、もしそうならば、他の空港にも、それをやってやるのはあたりまえ過ぎるほどあたりまえなんです。聞く方が私はやぼなんじゃないかとさえ思うのですが、そうなんでしょうということなんです。
  39. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先生、これは大阪空港が他と比べまして、騒音の点から見ますと非常に特殊な空港なんですね。私どもは、大阪は他と比較して非常に欠陥の多い空港である、こういう認識のもとに、大阪空港については、判決を尊重してとか判決があるからというよりも、大阪空港という実態、あの実態が住民に及ぼす影響を考えて、いろいろ運輸省としても都合はあろうけれども、何とか、こういうふうにしてくれということでやったわけです。大阪空港の特殊な状態というものをよく、ひとつ御認識をいただければ、直ちに他の空港全部にこれを尊重してやるべきだという見解には、ちょっと私は軽々にはならないのです。この点だけはきちんとしておきませんと、何かあれを一般的に推論して、他の空港全部にこれを当然、適用すべきだ、先生の言うように疑問は一つもないのだ、聞く方がやぼだという考えには、私はちょっとくみしがたいのです。この点だけは、はっきり申し上げておきます。
  40. 島本虎三

    島本委員 環境庁長官お話は後回しにします、答弁として受け取られがたい点が多いから。  まず運輸大臣なんですが、問題はやはり大阪空港なんです。ただ、それと同じ状態が羽田にもあるということなんです。ですから大阪空港が全面的にこれを取り入れる場合には、この羽田の方にも同じ状態があったならば、それを解決しなければならない、同じじゃありませんか。したがって、これもただ単に私の考えで言っているんじゃなくて、東京都の品川区からも大田区からも同じような状態で、これはもう要望書が出ているでしょう。これは内部へ進入しないためにも北側の方へ五度、角度を変えてほしい、同時に行政指導ではなくて強制力のある法によるところの措置がほしいということ、同時に午後九時から翌朝の七時まで、これは禁止してもらいたいということ、こういうようなことである。これこそあたりまえ過ぎるほどあたりまえじゃないかと思っているのです。これはやはり運輸省でも受け入れるべきだと思います。大臣、いかがですか。
  41. 木村睦男

    木村国務大臣 他の空港につきましても十時が九時、九時が八時、八時が七時になるほど、いいには決まっているわけでございます。しかしそれは、今度は一方、航空輸送力を確保するという点からして、やはりそこに問題があるわけでございまして、大阪空港の場合には、二審でああいう判決が出ましたので、われわれとしては九時で打ち切るということは、一方における公共の福祉という点に非常な障害はございましたけれども判決が出た以上、これには仮執行も伴っておるようなことでございますので、これを受け入れてやったのでございますが、やはり公共性という立場から問題はあるわけでございます。したがって、上告をして最終判断を仰ごうとしておるわけでございますので、それはそれとして受けとめておるわけでございますが、他の空港につきましても、いま、お話しのように周辺の方からの御注文はいろいろ出ております。これらはそれぞれ詳細に検討いたしまして、障害なくでき得るものは、また多少の障害があっても、それを克服してやれるものは、やっていくべく検討いたしておりますので、できる限り、そういう御要望には沿うようにいたしておりますけれども、ただ、大阪で九時という判決が出たから、どこの空港も全部やれという御注文には、にわかに応じがたいということでございます。
  42. 島本虎三

    島本委員 きょうの場合は両大臣出ているので、時間はまことに厳守であります。したがいまして、これで私は質問を終わるのでありますが、いろいろな疑義があります。やはり手続上の問題が残る。あるいは国家賠償というような問題や差しとめ請求という問題、手続上または実体法上の問題があるんだ、こういうようなことならば、そういうような問題を早くけりをつければいいし、この内容とするところは早く受け入れて尊重すべきであります。  ことに環境庁の場合には、運輸省公共性を主張しても、これは環境権なり日照権なり——かつては環境権も日照権も、言葉にも出なかった。それがいまやはっきりと、こういうのが憲法の中にも、それは受け入れる実定法がなくても、これはちゃんと生きているようになってきた。環境権も日照権も、そして今度は人格権も尊重というふうに、これはだんだん移ってきているのです。そういうような一つの根本は住民サイドに立つ、これが公害行政環境行政一つの基底なんです。いつも行政サイドに立ったり、国がやられたんだから、自分は住民サイドを無視してまでも国側に立たなければならない、もし、こんな考えを持っているとするならば、大臣としては落第であります。私はいままでずっと大臣にはつき合ってまいりましたけれども、落第する大臣のいなかったことを誇りとしているのでありますが、今後そんなことが一切ないように強く希望しておきたいと思います。その芽がちょっと出かかっているような気がするものですから、一言、自分の感想を率直に申し上げて、皆さんの御健闘を祈って、私はこれでやめます。二分残しました分は次の土井さんの分に献上して、これで終わります。
  43. 渡辺惣蔵

  44. 土井たか子

    ○土井委員 去る十一月二十七日に大阪高等裁判所で出されました大阪国際空港騒音訴訟についての判決の中にも、これははっきり書いてあるところであります。「現在午後十時以後の飛行は事実上規制されているが、これに加えて原告らは当初午後八時以後の差し止めを求める動きもあったが、最終的には午後九時以後一時間の最小限の請求に止めたというのであって、本件における原告らのすべての訴訟活動を通じて、この一時間にかける願いは極めて切実なものがある。」というふうに述べられているわけております。実は午後九時から十時の、この一時間の間というのは、大阪空港騒音直下に住んでいる住民の方々には、私たちがあの一時間どういうふうな生活の仕方をしているかということとは、まるでこの一時間の持つ意味が違うということを、まず御確認願いたいと思うのです。この一時間にかけた願いは、過去六年間、血のにじむような法廷闘争を通じて、あの大阪国際空港周辺の住民の方々の、実はもう本当に熱願を越えた悲願でありました。これについての判決が出た節、住民の方々が率直に、今晩九時から飛行機は飛ばないというふうに考えられるのが人情だと私は思うのであります。ほっとされた気分になられたというのは、私は本当によくわかるわけであります。  ところが十二月二日になりまして、政府の基本的態度というのが公表されましたが、その文章はごくごく簡単なものでありますけれども、この中で述べられているところを見ますと「判決は差止請求の当否、国家賠償法の適用等の諸点を中心として、数多くの実体法、手続法上の問題点を内包しているものと考える。よって、政府としては、これらの問題点を考慮し、更に上告審の判断を仰ぐこととしたい。」こうなっているわけであります。差しとめ請求、まさにこれは私が申し上げた、この午後九時から十時までの一時間の差しとめの問題なんですね。これについて過去六年間、血のにじむような法廷での白黒について悲願で臨んでこられた住民の方々が、またこれ上告で、最高裁で国を相手取っての裁判を係属していかなければならない。いま私は、日夜、来る日も来る日も、この航空機騒音の直下で生活をしながら、そういう気持ちになっている方々のことを考えますと、人ごとでない気がします。これは政府の基本的態度でございますから、きょう御出席の両大臣についても、この基本的態度を決するときに臨まれたと思いますけれども、私はまず環境庁長官に、上告に踏み切られた理由についてはもう問いません。ただ上告して、これから先、何年争われるかわかりませんよ。これに対して住民の方々に対して、どういう気分で、いまいらっしゃるか、お伺いしたい。次いで、運輸大臣からも、それはお伺いしたいと思います。
  45. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私の立場としては、まさに先生おっしゃるように、住民生活環境を考えますと、非常に、いわば心痛む事態であったわけでございます。したがって、先ほども申し上げましたように、九時については守れるものは全部守ろうという立場で、国内線については九時以降、飛ばないような措置を、政府として、運輸省も御了解の上でとるようにいたしたわけでございまして、実体的には、ひとつそういう要請にこたえたということで、御了解をいただかざるを得ないわけでございます。
  46. 木村睦男

    木村国務大臣 先ほども私るる申し述べましたように、今回の判決はきわめて特異な、しかも非常に思い切った判決であるということを受けとめておるわけでございます。また原告の方々が今日まで悲願として訴えられてきた、そのこともわれわれはわかるわけでございます。しかし一方、航空輸送力を確保して、利用者である国民の皆さんにそのサービスを提供するということは、一つのわれわれとしての公的な大きな任務でもあるわけでございます。その接点をどこに求めるかということは、先ほど申し上げたようなことで論争になっておるわけでございますが、決して運輸省といたしましても、原告のそういった立場を全然、関知せずして上告をいたしておるわけではございません。やはり適切な行政権また、われわれの行政上の任務を適確に遂行するためにも、こういった問題について最終的に司法権最高機関判断を仰ぐべきであるということで、踏み切っておるわけでございます。
  47. 土井たか子

    ○土井委員 関係住民の方々や特にこの訴訟について原告団の方々が、何回となく東京に上京されまして、運輸大臣にもお目にかかっていただくという時間をつくっていただいたことが再三再四にわたります。そういう席にも私も同席をいたしておりまして、いつもつくづく感ずることは、運輸大臣というのは全国の空港についてよく御承知のはずなんだけれども大阪国際空港に対しての実態を、いまだ事実を事実として御存じないのじゃないか。あそこで飛んでいる飛行機にお乗りになったはずであります。また何便あそこに発着陸しているかという便数は御存じであります。また飛行機の発する騒音の度合いをホンで書いてある数字は御存じのはずであります。しかし実態を、事実を事実として御存じないのじゃないかという気分が、私はいつもしてきた。ただいまの御答弁を聞いておりましても、運輸行政というのは飛行機を飛ばさなければならぬ、このことが至上命題だ、これは私もわかりますよ。わかりますけれども、その飛行機が飛ぶことによって、人の命や健康というものがないがしろにされるということは絶対にあってはならない、これこそ最も至上命題であります。この点を忘れられちゃならないと思う。  そういうことからいたしますと、このたびの差しとめ請求に対して、判決がこれを全面的に認めたという意味は、私は大きいと思うのであります。高等裁判所判決なんですよ。高等裁判所というのは国の機関じゃありませんか。司法権の独立ということを言われながら、この司法権行政裁量に関与することは許さないぞというふうな物の言い方を、この裁判の進行中にもるるなすったいきさつもあるけれども、しかし最終的には、この高等裁判所判決というのが、司法権というものの立場を守って、住民のいろいろな事実をつぶさに調査をした結果、こうなんだという判決を出しておられる。私はそれに対して、もっともっと謙虚な気持ちで臨んでいただきたいなあという気がするわけであります。  一つは、しかし国内便に対して九時以降の発着便を廃止するように、十二月十二日から午後九時過ぎに発着する国内線ダイヤは認めないこととして関係航空会社を指導なさる。これは私は、中身について具体的にこれを実現させようとしたときに、努力がどれくらい必要かということも、わからないじゃありません。だから、その努力は多といたします。大変な御努力がこれには必要だったということも、よくわかるのです。けれども、あそこに住んでいる住民生活からすると、来る日も来る日も騒音にさいなまれて、不健康な、まことに健康で文化的でない生活を強いられているということを、ひとつ念頭からお忘れないように私は努力の継続を切に希望するわけであります。  そういう点からいたしますと、あの十二月二日、国が上告に踏み切られた日に運輸省見解が出ておりますが、この運輸省見解の中には「国際線については、これが世界的慣行にも反することから外交問題すら惹起しかねない惧れがある。」ということで、九時以後にあの大阪国際空港を使用しなければならない国際線については、これをいま除外して考えていらっしゃるということになっております。この「世界的慣行にも反すること」と書かれている中身は、どういうことなんでございますか。
  48. 木村睦男

    木村国務大臣 世界的な国際航空の現状を申し上げますと、ことに国際空港の使用の状況を申し上げますと、大体十一時まで使っておるのが多くの実態でございます。もちろん十時までのもございますが、九時以降は絶対に使っていないという飛行場は、私はどこにあるか知りませんが、ごくまれでございます。そういう状況のもとで、国と国とが国際航空について協定をして飛行機を飛ばしておるわけでございます。したがって、日本におきまして国際空港が、九時以降は国際航空便も飛べないということになりますと、そういう、いま世界の空港の使用時間の実態にとりまして、日本は非常に特異な状況下になるわけでございます。  航空路というものは、やはり国際間で利害の調整を図りながら、やっておるわけでございますので、たとえば九時以降に外国便が入っておるのをやめるということになりますと、それとは反対に日本からそちらの国に出かけておるわけでございますから、それらの便数の問題等もございます。九時以降に来たものをやめるのに、全くやめてゼロにするか、あるいは九時以前の中に入れるか、あるいは、この飛行場を使わないで他の飛行場を使う場合があるとか、いろいろ問題があるわけでございます。したがいまして、国際空港につきましては、おおむねどこの空港を見ましても十時ないしは十一時まで使っておるという現状を見ましたときに、われわれとしてはこれを変更するということは、現状ではできない。ただしかし、司法権判決によりまして確定判決になってしまえば、もうこれはそれに服すべきでございますので、そのときには日本の事情はこうなっておるということで、そういうふうにせざるを得ませんが、その以前において行政判断だけで、こうするということは、まだ国際航空交通の現状から見て適切な措置ではない、かように考えております。
  49. 土井たか子

    ○土井委員 運輸大臣控訴審判決上告なさらなければ、あの判決確定判決になるべき判決でございましたね。上告なすったがために、恐らくは最高裁判決に持っていかれる。しかし破棄、差し戻しになったら、またさらに裁判は続くという体裁になってまいります。最高裁に持ち込まれて、この判決の結果、必ず原審つまり控訴審判決は間違っていたという判決が出るとは限らない。いまの高裁の判決を、そのまま認めるということになる可能性もあるのです。それを待ってとおっしゃるのなら、いまでもやろうとすれば、できることじゃありませんか。裁判所というのは日本では、大臣も御承知のとおり三審制をとっておりますけれども、どういう裁判も必ず最終的決着を最高裁でつけなければならないという問題じゃないのです。国として、この高等裁判所判決を守ろうという意思さえあれば、この判決に従って行政措置がとられてしかるべきだということになる。だから、最高裁判所判決の結果、決着を待ってとおっしゃるのは、どうもそういう点からすると説得力は弱いです。説得力はないと申し上げていいでしょう。  外務省に、ここに御出席をいただいておりますが、現に大阪空港に九時以後、着陸をいたしております外国の航空会社はインド航空とキャセイ航空です。この二つの航空会社に、九時以後、大阪国際空港については発着陸が認められないという判決が出たので、したがって、これに対しての考慮をしてほしいという協議なり交渉なりをすることは、私は事実可能だと思うのだけれども、それは現にどういうふうな方法でやることができますか、おっしゃっていただきたいと思います。
  50. 野村豊

    ○野村政府委員 本件につきましては、先ほど来、御審議がございますとおり最高裁判所の最終的判断がまだ下されておりませんけれども、それが下されました段階におきまして、関係当局と協議したいと思っております。
  51. 土井たか子

    ○土井委員 そんなことを聞いているんじゃない。ちゃんと質問を聞いて答えてくださいよ。私はそんなことを聞いているんじゃないのですよ。インド航空なりキャセイ航空会社に対して日本側から、そういう判決が出た、したがって、そういう状況下に日本はある、それについて協議が必要と思うがどうかという問い合わせくらいはできると思うのですよ。また事実を事実として伝達、告知するということはできると思うのですが、そういうことは、どういう方法によってできますかということを聞いているのです。何も最高裁判決を待って等々なんというのは無関係
  52. 木内昭胤

    ○木内説明員 お答えいたします。  実際問題として、ああいう高等裁判所判決が出たという事実については、先方に十分伝わることはもちろん可能でございますし、先方もすでに承知しておるわけでございます。ただし、私どもとしましては、この上告、したがいまして最終的な法的関係が決着するまでは、諸外国と、この問題について調整する段階にないというふうに考えております。
  53. 土井たか子

    ○土井委員 相手も、十分承知しているはずでありますと外務省はおっしゃっている。これに対して運輸省としては正式に相手に協議ということ声求められているのか、それとも事実を事実として告知されたという事実があるのか、いずれでございますか。
  54. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 運輸省といたしましては、この控訴審の判決の内容を、九時以降、大阪航空に乗り入れております航空会社に通知いたしました。しかしながら、当該の国に対して、そのような連絡をいたしておりませんし、また、九時以降の便をどうするかということについての意向打診とか協議はいたしておりません。
  55. 土井たか子

    ○土井委員 これはお互いの国家間に御承知のとおりに航空協定というのがございますね。航空協定に基づいて、インド航空の場合もキャセイ航空の場合も大阪国際空港に乗り入れているわけであります。それからしますと「両締約国の航空当局は、この協定の実施に関するすべての事項について緊密な協力を確保するため定期的にしばしば協議しなければならない。」ということも決めてございますし、また「協定業務の運営に関して合理的に必要とされるその他の情報」というものを提供するということが、この十二条、十三条で述べられているわけであります。これに従って、航空会社に対しては、それは告知をされているかもしれないけれども、相手国の政府の特に運輸省当局に対して、こういう事実を知らせるということがあってしかるべきではないかと思いますが、これはどういうふうにお考えになりますか。
  56. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先ほどから大臣が申しておりますように、運輸省といたしましては、大阪国際空港国際空港として十時までのカーフュータイムは確保しなければならないという考え方でございます。従来から、住民騒音に対する苦痛をできる限り、やわらげるために、九時から十時までの便数については、これをできるだけ減少させる、こういう約束をしてまいりました。しかしながら大阪国際空港の持っておる使命から考えまして、九時以降の便を全廃するということは、これは私どもは考えていないわけでございます。したがいまして、今回の判決は出ておりますけれども国際線について、これを八時台に繰り上げるとか廃止するという可能性について、運輸省としてその検討をするという段階には至っていないということでございます。
  57. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、これについては現在そういう段階に至っていないとおっしゃるのですが、かえってインドとの間には一九七〇年の七月二十一日に合意議事録というのがあるのを御存じだと思います。この合意議事録の中身を見ますと、ほかのいかなる航空会社もボーイング747、つまりエアバスでありますが、エアバス大阪への定期便運航を許されるまで、大阪へのボーイング747の運航はできない旨を取り決めているようであります。これはエアバスの乗り入れというものを早くから考えていらっしゃる時点で、しかし、なおかつ大阪国際空港については特殊な事情がある、住民の方々がこれに対して理解をなさらない限り乗り入れないのだという運輸省側の考えに従って、こういう取り決めができたわけであります。今回も判決に対して、やはり国内便を廃止されるという大変な努力をなさったわけですから、同時に国際線に対しても何とか考えていく手だてはないものかという意味で、相手国に対して問いかけをなさるという御努力があってしかるべきだと思うのですよ。いまの時点では考えておりませんという冷たい御返答のようでありますけれども、将来にわたって、やはりお考えをそのように固定したままで臨まれるかどうか。やはりこれについては、できる限り早く相手国の運輸省に対して話し合いを進めるという姿勢を持っていただきたいものだと思いますが、いかがです。
  58. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先生の御指摘は、よく理解できるわけでございますけれども、私ども、この大阪国際空港をどうするのかという基本的な考え方は、やはり決して公共性の優先を考えておるわけではございませんで、地域住民の苦痛を少しでもやわらげるために最大限度の努力をしながら、大阪国際空港としての機能を維持していきたいというふうに考えておるわけでございます。したがって、とにかく全国の騒音対策費の約八割を大阪国際空港に投入するわけでございまして、恐らく将来、数千億の金を大阪国際空港に投入するわけでございます。これは移転補償とか、いろいろ、そういう行政上の措置を講ずることによって、できる限り、その周辺の生活をなさっておる方々と大阪空港公共的な使命の達成ということを調和させながら維持していく、これがわれわれの基本的な姿勢でございますので、そういうふうな総合的ないろいろな対策を講ずる中で、大阪国際空港としての機能を維持していきたいというのが運輸省の基本的な姿勢でございますから、したがって、国際線については、私ども申し上げましたような基本姿勢でいくというのが、われわれの考え方でございます。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 ちょっとお伺いしたいのですが、ボーイング707というのは騒音証明に合致しておりますかどうですか。合格しておりますかどうですか。
  60. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 747でございますか。(土井委員「707です」と呼ぶ)707は合致いたしておりません。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 毎日、二十一時三十分に大阪空港に到着するキャセイ航空、また週二便、二十一時十五分に到着するインド航空、いずれも、これに使用いたします機種は、いまの騒音証明に合格をしていない707であります。大変、大きな騒音をまき散らしながら、その時間おりてくるのです。上がるときよりも、おりるときの騒音の方がきついというのは、これは常識なんですよ。騒音証明に合格していない機種を毎日九時以後、国際線だから仕方がないといって認めていってようございますか。
  62. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 騒音適合証明制度の観点からまいりますと、707はいわゆる適用除外になっております。しかしそれは、いわゆる騒音レベルといいますか、そういう基準から見ますと、それに合致しない機種であるということは先生、御指摘のとおりでございます。  いずれにしても、そういうふうな騒音適合証明制度の採用ということに関連いたしまして、新しい低騒音の機種なり、あるいはエンジンの改修可能な機種に、できるだけ早く、これを転換していく、こういういわゆる発生源対策は当然やらなければならないということでございますから、そういうふうな機種の変更等については、今後いろいろな努力がなされてしかるべきでございますけれども、それをもって、この便そのものを、その時間帯そのものを消すという理由にはならないのではないかと思います。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 時間帯そのものと機種の問題は別と、いま、おっしゃった。それならば、どうして今回、九時から十時の国内線に対しては廃止するということと同時に、エアバスの乗り入れを問題にされたのでありますか。機種と時間とは別と、いま、おっしゃったわけですよ、局長。それはもうはっきりと確認を願います。これはまさしく別問題です。しかし、いま騒音の非常に高い飛行機が九時以後、国際線として大阪空港に入っているというのは現実なんです。したがって、九時以後については飛ばしてはならないという判決からすると、これはまず二重に困る問題になりはしませんか。これについては相手国のあることですから、どのようにお取り決めになるかはわかりませんが、恐らく出てくる問題は、次には低騒音の大型機ということになるであろうと私は思う。  そこで、時間の点がありますから、エアバスの問題について一つお尋ねをいたしますけれども、このエアバス導入に関して、十二月二日の日に環境庁の大気保全局長から航空局長あて申し入れがございますが、この申し入れの文書を見ますと「貴省におかれては当庁」つまり環境庁「に対し下記の諸点について資料提供、説明等をなされた上、貴省と当庁間において合同の評価を行い、両省庁間の見解の一致をまって導入が行われるよう申し入れる。」こうございます。これは環境庁の大気保全局長に一言でお答え願いたいと思うのですが、見解の一致はまだございませんね。そして見解の一致がない限りは、環境庁としてはエアバスの乗り入れに対して、これをよろしいと言うわけにはいかないというふうにお考えでいらっしゃるわけですね。
  64. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 現在の段階では、資料要求と説明を求めている段階でございますので、見解の一致はございません。  それから、見解の一致がなければ、環境庁はよろしいとは言わないということでございますが、環境庁は許可をしたり何かする権限はございません。まだ一致はしていない、申し入れの、この趣旨から見ると一致をしていないというのみでございます。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 そこで運輸省の方にお尋ねをしたいのですが、この申し入れの中にも出てまいりますけれども大気汚染に対して、どの程度このボーイング747というのは影響があるかという問題であります。ここに私が持ってまいりましたのは運輸省の航空局がまさしくお出しになった資料でございまして、関西国際空港の規模及び位置関係資料であります。この二十ページのところを見ますと、ボーイング747のNOxに対する実測値というのは、DC8というあの飛行機に比べまして、何とDC8の場合は一四・三八二というのがボーイング747の場合には九四・〇六三という、約八倍の実測値をここにちゃんと掲載されております。大変ですよ、これ。一機についてこうですから。こういう問題も、これは運輸省とされては、ちゃんと掌握なさった上で、先ほど私が局長答弁を伺っておりますと、NOXについても大丈夫だというふうな趣旨の御答弁がございましたが、確認をなさっているのでございましようね、いかがです。
  66. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 エアバスのNOxの排出量がDC8等の在来機に比べて数倍ふえるということは、われわれも認めておるわけでございます。ただ先ほど来、申し上げていることは、そのような排出量というものが航空機から出された場合に、全体の大気における排出量の中で、どの程度の寄与率があるかということが、私は非常に大きなウエートを占めるのではないかと思うわけで、その点に関する限りにおいては、私どもは大きな影響はないということを考えておるわけで、むしろ、それよりも減音の効果を重く見るべきではないか、それから減便の効果を多く見るべきではないかと思っておるわけでございます。この点についてはさらに環境庁とよく詰めてみたいと思っております。
  67. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 協定の時間が来ましたから。
  68. 土井たか子

    ○土井委員 時間ですから、あと運輸大臣環境庁長官、お二人方から御答弁をいただいて終わりにします。  運輸大臣先ほど来お聞き及びのとおりでありますけれども、外国便の国際線の九時以後の問題については、いま私が質問申し上げたことに対しての御答弁でございましたけれども、今後どういうふうにお取り扱いをなさいますか。上告をされてはおりますが、片や国内線については、これを廃止するという措置を講じられました。この努力は、私が申し上げたとおり多としますが、国際線についてお取り組みを、どのようにお考えになっていらっしゃるかということが一つ。  それとあと一つは、いま環境庁の大気保全局長からの申し入れもございますが、この点については、やはり環境庁立場というものを重視していただきたい。そしていろいろ協議を詰めて、その内容の意見の一致をもって、エアバスについては運輸省大阪国際空港に対する乗り入れということに、初めてこの問題を持っていく。だから、これはまだまだ、それ以前の段階でありますから、その点どういうふうに環境庁のあの申し入れに対して、運輸大臣としては対処をお考えになっていらっしゃるか、この二点についてお伺いいたします。  環境庁長官には、同様の問題に対して、どういうふうにお考えになるかということを、ひとつお答え願います。
  69. 木村睦男

    木村国務大臣 第一点につきましては、航空局長がるる申し上げましたような考え方でございますので、これは現状のまま続けていくつもりでございます。  第二点につきましては、これも航空局長が申し上げておりますように、環境庁意見の一致を見て、エアバス導入をやるということに変わりはございません。
  70. 小沢辰男

    小沢国務大臣 エアバス導入については、ここで私、過般も申し上げておりますので、ただいま運輸省と十分詰めまして、いろいろプラス、マイナスを計算しなければいけませんので、騒音はよくなったが大気は悪くなる、人の健康に障害を来すようなおそれが出てくるということのないように、この点は十分ひとつ二十日までに詰めて、一致した上でお願いをしたいと思います。  それから国際線については、国内線と同じように、やはりそういう趣旨で、できることならやってもらいたいというのが私ども立場でございますが、この点はいろいろ航空協定等の問題を十分、考えていかなければいけませんし、それから先ほどの707、これらについては私も、同じ飛ばすのなら、もう少しほかの機種もあるのですから、善処をしてもらうように、できるだけ運輸当局と、きょう初めて聞きましたので、十分これから検討させていただきます。
  71. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 木下元二君。
  72. 木下元二

    ○木下委員 去る十一月二十七日に大阪空港公害訴訟判決が出ました。訴訟団は翌二十八、二十九日に、国鉄スト中にもかかわらずバスで上京しまして、運輸省局長大臣と交渉を行いました。第一点は、九時以降の発着ストップの問題です。第二点は上告するなという要請であります。第一点については大臣は、判決の方向で、判決の趣旨に沿って結論を出すというふうに言われました。第二点は、よく検討をするという態度でございました。この二点について訴訟団の方は、十二月の三日、四日、再度、上京をするので、その際、回答をしてもらいたいと要望をし、大臣も了承をされたのであります。  ところが政府は、十二月の二日にいきなり基本的態度というのを発表されました。運輸省見解をお出しになりました。九時以降は国際線を除いて十二日からストップをする、上告もする、こういう決定であります。なぜこういう発表の仕方をされるのかということであります。三日、四日に訴訟団が来ましたときに回答をするというふうに言われておったのであります。なぜ、このときに回答をしようとしなかったのか。これはもう住民の不信を招くもとを運輸省がつくっておる、こう言わざるを得ないのであります。
  73. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 二十八日に皆様とお会いしたときに、確かに九時以降の便についてどうするかということは、来週前半に結論が出ますということを申し上げました。それに対して、三日に来るから、そのときに返事をしろ、こういうことであったと私は記憶いたします。  その後の経過を申し上げますと、一日に原告側は仮執行の手続を開始されたわけでございます。それから政府といたしましては、判決文の内容を検討いたしました結果、これは上告をすべきであるという結論が二日の朝、出たわけでございます。したがって、従来からの皆様方にお話しした約束から申し上げますと、二日に上告決定がなされました場合に、それはそれとして、その後で九時以降の便についてどうするかということを切り離して御返答をするというのが、一つの筋ではあるかと思いますけれども運輸省といたしましては、これは無用の混乱を起こし、また誤解を招くだけであるというふうに考えましたので、上告の期日の二日に、すべての点について、これを明かにする義務があると思って、そういうふうに措置したわけでございます。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
  74. 木下元二

    ○木下委員 訴訟団の方が執行の手続をとったというふうに言われましたけれども、これは仮執行宣言に基づいて執行文の付与の手続をとったということでありまして、決して執行にかかったわけではございません。仮執行宣言がついておるわけでありますから、二十七日からいつでも執行ができるという態勢なのであります。住民の方は、これはやってきて申しておりましたけれども、これまでのいきさつにとらわれず、お互いに誠意を持って話し合いたい、こう言ってきておるのであります。二十八、二十九日に来ましたときに、次の三日、四日の回答があるまで執行はしないという言明もして帰っておるのであります。この執行文というのは単なる準備であって、執行そのものではないわけであります。なぜ、これが待てなかったのか。  上告の問題について言いましても、これはもう判決の前から数度、上京してきまして要請をしておるのです。その一つの柱は上告問題でありました。もう判決の前から、この控訴審判決に対して上告をするな、こういう要請を繰り返してきたのです。御承知のとおりであります。そのときに運輸省、あなた方は、判決が出た段階で考える、検討をする、こう答弁された。そこで、判決が出て、上告をするなというふうに要求をすると、これに対して検討をすると。そこで、三日、四日に回答をしてもらいたい、こう言って住民は帰っているわけなんですね。こういう経過から言うならば、当然、運輸省としては態度は二日に決められるかどうか知りませんけれども、この三日、四日に住民がやってきて、そして、そのときに回答をするというのが順序ではなかったのか。そうではありませんか。
  75. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先ほども申し上げましたように、三日御回答を申し上げるということは、判決に対する上告するかしないかということとは切り離して、従来から私どもが九時以降の便については、できる限りの削減をいたしますということを、これはもう去年の二月からお約束しておるわけでございまして、その点についての回答を、判決も出たことであるから、ぎりぎりの線を御回答申し上げる、こういうふうにしたわけでございます。これはあくまでも判決に対して上告するかどうかということとは別個の問題であったわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、判決の内容を見て検討した結果、これは早急に上告すべきであるという政府としての結論が二日に出されたわけでございますから、上告をいたします以上は、政府としてはこれに関連する問題については、すべて態度を明らかにする義務があるというふうに考えて、九時以降の便についての処置と、それからエアバスの処置についても、この際、運輸省見解を発表しよう、こういうことで、したわけで、決して二十八日に皆様にお約束したことに違背したというふうには、私は考えておりません。
  76. 木下元二

    ○木下委員 大臣、これは大臣交渉も行いましたけれども、そのとき私も立ち会いました。私も申しましたが、大臣は、上告をこれから検討すると言われました。住民の方は三日、四日に、もう一度やってきます。そのときに御返事をいただきますと、そして大臣も、それに対しては了承の意を表されて、別れているのですよ。だから当然、住民の方にしてみれば三日、四日に返事があるもの、上告についてもですよ、こういうことで帰っているわけですね。それをさっとその前に発表をする。もうこれでは、住民の皆さんと話し合って誠実に解決をしようという姿勢がないのではないか、こうとられてもいたし方ないんですよ。高裁判決には御承知のように、この判決を契機として真摯な話し合いを促進したいとの念願が込められておるのです。運輸省は本当にこの真摯な話し合いを促進しようという考えがあるのでしょうか。この考えに立っておるとすれば、三日に回答するまでに上告手続はとるべきではなかった。上告は十一日まで、できるわけなんでありますから、何もそんなにあわてて急いでやる必要はなかったと私は思うのです。九時以降ストップの問題も、それまでやはり発表すべきではなかったと思うのです。こういうやり方は、まさに住民感情を逆なでするやり方だと思うのです。こういうやり方を、あなた方はずっと一貫してやってこられた。ここに住民の間に不信感が生まれるもとがつくられておる。それとも運輸省は、高裁判決が言っておる、この真摯な話し合いを進めるべきだとする趣旨にも不服であるから、そういうものにはこだわらない、上告をしたから、そんな話し合いは進める考えがないというお考えでしょうか。大臣、いかがですか。
  77. 木村睦男

    木村国務大臣 三日、四日に皆さんが来られるということは私も承知をいたしておりまして、そのときに、いまの問題についてお話をするということも、当時あったわけでございますが、いま、それより前に政府の意思を決定したということについては、航空局長から説明したとおりでございますが、むしろ私は、あのときに皆さんがおっしゃったのは、三日、四日に来るが、そのときになっても、まだ返事ができぬようじゃ困るぞという意味でおっしゃっていたように受け取っております。したがって、その点は御理解がいただけることだろうと思います。  それから、判決に示されるまでもなく、いままでもそうでございますけれども地元とは、もう一年半にわたりましょう、一生懸命になっていろいろと話し合いを続けておりますので、これは判決とはかかわりなく今後とも話し合いを続けまして、できる限り、いろいろな点で地元の皆さんの御意思は聞くつもりでおります。
  78. 木下元二

    ○木下委員 政府決定したんだから、決定したことはいつでも自由に発表できるんだ、こういう考えのようですが、これは住民としては、そういう、いま大臣が言われたようなつもりで二十九日に帰ったのではないと思うのですよ。私たちに返事をいただきたい、三日に来ますということで帰っているんですよ。当然これは住民に対して返事を返すべきであります。政府は、あるいは運輸省は、こういうふうに決めたんだから、いっでもできるというのは、まさにこれは硬直した官僚主義であります。こういう態度が、やはりこの住民との問題を円満に解決する道をふさいでおると私は思うのです。反省してもらいたいと思います。  それから大臣は、話し合いは話し合いで進めるという意思を表明されました。それはそれで結構であります。これは上告をされましたけれども、ぜひそういう立場で話し合いを進めていただきたいと思うのです。住民の方は、この判決があってからでも二回やってきました。バスに乗って一晩、揺られて、夜も眠れずにやってきておるんです。お金も使い、時間も使い、ストの中をやってきておるのです。こういう控訴審の判決が出、この判決の趣旨に沿って真摯な話し合いを進めるという以上は、これはやはり国の方から、少なくとも局長あたりが現地に出かけていって住民と話し合う、こういう態勢を、これからとっていただきたいと私は思うのですよ。これはやはり判決が出ました以上、高裁の判決であります、国が加害者である、住民にいろいろな被害を与えておる、こういう実体について判断を示しておるのです。これは大臣、どのようにお考えか知りませんけれども、もう覆りません。上告審、最高裁で争うのは憲法問題、法的問題だけでありまして、そうした被害の実体等についての事実関係については、これはもう争う道がないのであります。そうしたことについて争う道がない以上、これは国としては、まさに加害者の立場ということをはっきりしたわけでございますから、この問題について話し合いをするという以上は、やはり出かけていって住民と話をしていただきたいと思うのです。この点いかがですか。
  79. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 最高裁上告いたしましたにつきましては、差しとめ請求につきましても、それからいわゆる国家賠償法を適用して損害賠償の責があるという判決をされたことにつきましても、これは実体論としてはもちろんのこと、法律論としてもわれわれは承服できないわけでございまして、これは当然、最高裁で、やはりわれわれとしての主張を申し上げることが義務であろうと思っております。  ただ先生、御指摘のように、それはそれとして私どもは従来から、たびたび申し上げておりますように、巨額の資金を投入して行政上の措置をもって対策を講じていこうとしておるわけでございまして、これはもう地元の協力がなくては、とうてい、その効果は出てこないわけでございます。したがって地元地方公共団体等と密接に連絡をとりまして、今後いろいろな話し合いは精力的にいたしてまいりたいと思うわけでございます。
  80. 木下元二

    ○木下委員 国賠の適用といった、その法適用の問題でなくて、住民の間に被害が現実に生じておる、身体的、精神的な被害があるということを認定いたしておりますが、これはもう争う余地がないですよ、はっきり言っておきますけれども。地方自治体等と話し合い、連絡等をとる、これは当然のことでありますが、住民がこの判決にも沿って話し合いを、これから進めていくという場合に、一々住民がまた東京へ来て話をするというふうなことは大変でもあるし、ひとつ局長現地に行って話をするというふうなことは、やるお気持ちがないのですか、どうですか。それは、いつもいつも行くということを何も言えとは言っておらぬのです。ときにはやはり行かれて、要請に応じて話し合いを進めるということもやっていただきたいと思うのです。また大臣も、これは再々、住民の方から現地に来て見てもらいたいということを言っておるのでありますが、ひとつこの際、現地状況をつぶさに把握をするために行っていただきたいと思うのです。
  81. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 地元とのいろいろな対話の方法は、これはもうあらゆる方法があるわけでございますから、私は、その方法に特にこだわるつもりはございませんので、できる限り地元責任ある方と接触できる方法を考えて、そうして、とにかくその地元との精神的な理解というものができるように努力をしてまいりたいと思います。
  82. 木村睦男

    木村国務大臣 この問題は、私が絶対に行くとか行かないとかというふうな問題ではないと思います。行く必要があれば、いっでも参ります。
  83. 木下元二

    ○木下委員 いや、その行く必要という一般的なことでなく、大臣、これは判決が出て、住民の被害が非常に大きく広がっておる、深刻な状態にあるということを判決も認めておるのですが、運輸省の所管に係る事項で、こういうことが生じておる、やはり、その実態というのは見ていただく必要が、いま切実にあると私は思うのですよ、いかがですか。それはもういますぐとは申しません。けれども、この機会に、ひとつ行っていただきたいと思うのです。
  84. 木村睦男

    木村国務大臣 適当な、そういう機会がございましたら行きたいと思っております。
  85. 木下元二

    ○木下委員 次に、環境庁長官お尋ねしますが、これまで、いわゆる公害裁判上告審に係属したケースというのはないのであります。初めてのケースであります。しかも、たとえば富山イ病裁判では小山環境庁長官は、住民に対しまして、会社に上告しないよう働きかけるという約束をいたしました。そして三井金属に対しまして上告をしないよう申し入れを行いました。その結果、上告せず確定をしております。あるいは水俣病裁判では三木環境庁長官が、判決を天の声として受けとめ、被害者への補償に努力すべきだという意思表明を行いまして、チッソの社長、これに説得されて上告をしなかったのであります。つまり、これらの裁判では国の介入、上訴をしないようにという働きかけが行われて、上訴審に進まなかったわけであります。今度の場合にも環境庁が、長官が、積極的に働きかけて上告をとめるのが相当ではなかったかと私は思うのですが、どうですか。
  86. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私のところへ、判決が出ました翌日に、当委員会からは土井先生、岡本先生が御同道されまして、今度の弁護団並びに被害住民の代表の方々がおいでになりまして、参議院の方からも近藤先生がおいでになりましたが、そのときに私いろいろ承って、私の立場から言うと、生活環境を今後いかにして守るかということを考えますと、これはやはり上告をしないでくれという御要望の本当の趣旨はどこかと言えば、まあ、いわば九時以降の便をやめること、こういうことにあるというふうに理解をいたしました。また私は、もちろん被害救済ということも環境庁一つの使命でございますから、あの判決の中にあります過去の損害賠償、救済あるいは将来にわたる問題等にも、もちろん重大な関心はありますが、問題は、やはり上告をするなという一番の念願というものは、九時以降の便をやめるということにあって、その結果、自分たちの生活環境を守っていきたいという御希望がやはり一番、強かったわけでございますので、率直のところ十一日まであるのだから、まだしばらくは十分、話し合いもし、三日、四日に、私のところはまあ聞いておりませんでしたが、相当おいでになるというので、それまではむしろ態度決定を保留したらどうかなというふうにも考えましたが、その前に、いま申し上げた一番の眼目である九時以降の便について運輸省も決断をしてくれましたので、われわれの要望によって決断をしてくれましたから、それならば、他のいろいろな面を考えれば、いま先生は、被害はもうこれで確定したんだと言われますが、いわゆる行政権司法権との法理論上の争い等のことも含めて考えますと、これはひとつ私どもとしては、その実体が通れば、若干、国際便についてはいま土井先生の御指摘の問題がありますけれども、大部分その実体を通していただくならば、これはその時期について、あるいは条項については、他のいろいろな環境庁見解以外の問題もありますので、これはやむを得ぬ、こういうように考えたわけであります。
  87. 木下元二

    ○木下委員 何か上告をしても、住民の意向がいかにも通ったかのような言われ方をしますが、その九時以降やめることにある、しかし、この九時以降やめることも国際線が除外され、通っていないではありませんか。それからまた住民の、上告しないでほしいというのは、単に九時以降だけの問題ではございません。それは第一、六年間にわたって裁判をやるということの精神的な負担そのものも非常に大きなものがあるわけであります。そのほか、やはり裁判が係属することによりまして、いろいろと負担がかかってくる、そういう問題があるわけでありますから、何もこれで住民が、九時以降、国際線を除いてとまることによって満足するということではないのであります。  また、いま行政権司法権との絡みのようなことを言われましたが、これは一体どういうことでありましよう。
  88. 小沢辰男

    小沢国務大臣 詳しいことは運輸大臣からお答えした方が適当で、私が先ほど申し上げましたのは、第一審の、あなたも専門家としてごらんになっていただくように、控訴をいたしました理由の中に明確に政府態度が、法理論上の問題として出ているわけでございまして、そういう点は依然としてやはり残っているわけでございますから、申し上げたわけで、法律的に、その点をどういう見解かということになりますと、これは所管の法務大臣なり、あるいは法務当局が当然、お答えをすべき問題だと思います。ただ、そういう問題が残っておって、その問題については私どもの権限外の問題でございますから、それらを含めてというふうなことでお答え申し上げたわけでございます。
  89. 木下元二

    ○木下委員 いや、そういう問題があるから、この上告をしたのだと言わんばかりのことを言われるので、長官に聞いているのですが、一体どういうことなんですか。そういう三権分立の問題を、上告をした大きな理由にしておるようなので、長官としては、どのように理解をされておるのか。
  90. 小沢辰男

    小沢国務大臣 だから、そういうのは上告の理由の一つである、その問題について、私の所管外ですから、したがって、その責任者がする判断に従わざるを得ない、こう申し上げている。
  91. 木下元二

    ○木下委員 要するに、住民が被害を受けておるわけであります。被害を国の方が与えておる。この被害を与えておるもとが民間の場合でも、国の場合でも、空港の場合でも、これは加害者には変わりないのであります。民事上の観点から申しますと、いずれも不法行為でありまして損害賠償を請求するということになる。これは国であっても民間であっても同じであります。そして、その不法行為が将来にわたって継続をする場合には、その不法行為の差しとめを請求できる、これも当然のことであります。これは民事上の請求として、国であっても民間であっても、理屈は同じことなんですね。この当然のことをやっておるだけのことであって、何がこれが三権分立とか司法権がどうのこうのという問題になるのか、これは全く私は理屈にならぬ理屈だと思うのですよ。こういう場合に、本件のような場合に、民事上の損害賠償の請求や差しとめを請求する、当然のことであって、こういう場合に三権分立が問題になってぐあいが悪いというふうな学説は全くございません。それはあるとすれば、国だけが言っておる珍説であります。これは私ははっきり申しておきます。そういうことを言われるので納得できないわけであります。  もう時間がありませんが、私はこの訴訟については国は上告するべきではなかったと思うのです。判決が認定しましたように、原告ら住民は重大な精神的、身体的被害を受けております。その被害は深刻かつ広範な広がりを見せておるということであります。が、これは、さっきも申しましたように事実問題でありまして、上告理由になり得ないわけであります。事実として争い得ないわけであります。そして、この被害が国の空港設置によって生じておることも明らかなところでありまして、つまり国が加害者という立場にあるわけであります。これは厳密に国賠が適用がどうのこうのという問題はさておいて、実体として、そういうことは争いようがないと私は思うのですね。  そして他方で、国は環境を保全し国民の健康を守るという義務を負っております。これは全く相矛盾する二つの顔ではありませんか。一方で加害者である、一方で健康を守る義務がある。しかも国民の被害というのは長年にわたって続いてきましたし、係争以来すでに六年間。国としては、この加害者であることを速やかにやめるべきことは当然であります。少なくとも被害の賠償を行い、公害防止の抜本的な施策を講ずるなどして解決を図るべきことは当然であります。この点はいかがですか。
  92. 小沢辰男

    小沢国務大臣 国としては環境を守らなければいけない義務がある、また、その責任もある。一方、環境を侵害あるいは破壊をしている。その前段については、おっしゃるとおりだと思うのです。だからといって、すぐ後段の御議論につながってくるところに私はちょっと問題があるので、お答えをしているわけでございまして、環境庁立場から言えば、それは上告しない——これは判決が出る一週間前から、当委員会の土井先生や岡本先生や、その他いろいろな方々から、とにかく上告を、おまえの立場ではすべきでないという強い申し入れを受けて、実は私、大分悩んでおりました。おりましたが、その上告の理由の中には、いろんな問題がありますので、そういう私の所管外の問題もあり、また被害の問題でも、今度の判決を見ますと、私はまだ素人で、この点はまあ最高裁判断をするのでしょうが、被害状況を健康に現実に与えていることについての、何か推認という言葉を使っておられますけれども、少し相当、幅広く推認をされている点についても、若干、私どもとしても気になる点があるわけでございます。しかし基本的には、先生おっしゃるように、私どもはなるべく上告をしないで、被害者あるいは環境保全立場に立って、早く結論をつけるべきだという気持ちは十分、持っておりましたけれども、いろいろなことを、あの内容を検討すると問題点がたくさんある。また現に、国際問題に関連します国際線の問題になりますと、そう簡単に解決はできませんので、そういう点をいろいろ考えますと、この際、最終的な最高判断を決めるということも、やむを得ないということになったわけでございます。
  93. 島本虎三

    島本委員長代理 木下君、時間ですので、ひとつ……。
  94. 木下元二

    ○木下委員 これで終わりますが、この判決に対しまして、私どもの党の議員団は直ちに、上告の申し立てをせず、判決の趣旨に従って住民との話し合いを行い、行政措置をとるように申し入れを行いました。これに対して踏みにじって上告をしたわけでありますが、それに対しましても、私ども議員団は、この上告を直ちに取り下げるよう強く要求をいたしました。この上告というのは、訴訟団のみでなく……。
  95. 島本虎三

    島本委員長代理 木下君、時間です。一時から本会議ですから……。木下委員 大阪空港周辺、二百万住民の願いを踏みにじるものであるということを、私は申しておきます。答弁は、もう時間が来ましたので結構であります。続いてまた次の機会に質問をすることを留保しまして、質問を終わります。
  96. 島本虎三

    島本委員長代理 岡本富夫君。
  97. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間が迫りましたから、重複を避けますけれども、最初に運輸大臣に……。     〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 この上告をした政府見解といいますか、この根本をつくったのはやはり運輸省でありますが、その中に国家賠償法の適用等の諸点についての不服があるというようなお話でありますけれども、この判決は二条一項を採用している。この二条一項には、承御知のように「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を」与えたとき、こういうことであります。先ほど環境庁長官からも、また在来の環境庁長官からも、この大阪伊丹空港は欠陥空港だ、要するに瑕疵があるんだということでありますから、どうもあなたの方から上告した意見と若干、違うように思うのです。これについてのお答えを大臣からいただきたい。
  98. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 国家賠償法の適用等について実体法上、手続法上もいろいろ問題があるというのは、基本的態度で申し上げているとおりでございまして、国家賠償法の適用について、法律上の問題ということは、むしろ、これは法務省からお答えいただいた方が適当ではないかというふうに考えます。
  99. 岡本富夫

    ○岡本委員 きょう法務省は来てないかな。帰ったんですね。では、この見解については、法務省の見解でなければ運輸省ではできない、こういうことですから、次の機会にしておきましょう。  そこで、運輸大臣に特に私、申し上げておきたいことは、私が昭和四十二年から、この大阪伊丹空港については、この被害を何とか解決しなければならぬと、たびたび当委員会でもやかましく言いました。まあ、それについての一つ一つの少しずつの対策はとられたということはわかりますけれども先ほど林委員からも、こういうのは判決でなくして国会の問題だというような発言もありましたが、どうも、いままでの運輸省態度というものが、たとえば夜間飛行の禁止、これも第一審が終わった後で決めておる。そのときは十時以降、第一審の判決があって、それを尊重していく。それから今度の九時以降の差しとめにつきましても、われわれはやかましく言うたのですけれども、なかなかこれを取り入れなかった。そして、やろうとすればやれないことはなかったということでありますから、こういう運輸省態度では、結局、訴訟が起こって、そして司法の手で判決がなければ十分な対策をしない、十分とは言いませんけれども、対策をしないというような姿勢では、もう全国にどんどん、こういう訴訟が起こってくるのではないか。それでは国会が要らなくなる、国会論議が要らなくなる、こういうことでは、議会制民主主義も何もなくなってしまう。皆さん方は直接いろいろ聞いて、相当局長大臣もつるし上げられていたけれども住民から直接聞かなければ話ができないというのだったら、当委員会なんか何にもならない。われわれが一生懸命に調査し、また、皆さんの調査されたものを一つ一つ具体化していくのが本当でしょう。九時以降の差しとめにしましても、やろうと思えばできた、まず国内線からでも。そうでしょう。これは検討しておったと言いますけれども判決が終わって、そして、その翌々日ですか、もう九時にできておる、こういうような議会を軽視した運輸行政について、私は厳しく申し上げておかなければならぬと思うのです。その点について、ひとつ大臣はどう思われますか。
  100. 木村睦男

    木村国務大臣 戦後わが国内のいろんな交通機関の発展の跡を見ますというと、経済の高度成長前後から、航空に対する需要が非常にふえてまいったことは、岡本さんもよく御承知のことと思いますが、その航空需要に対して供給力を提供すべく、いろいろ空港の整備あるいは航空輸送力の増強等を努めてまいったわけでございますが、われわれとしては国民交通の利便を提供するということを中心に、いろいろ施策もしてまいったわけでございます。そういう背景のもとに、ことに東京であるとか大阪であるとか、あるいは福岡、札幌といった主要空港便数も非常にふえ、混雑もしてきておるわけでございます。そのことが、やはりその周辺にいろいろと環境上の被害を与えてまいっておることも事実でございます。したがって、だんだん航空の輸送力がふえ、空港というものの周辺がいろんな被害を受けてまいるにつれまして、われわれとしては、一方においてそういった周辺の被害に対する対策も進めてまいってきておるのは事実でございまして、これは第一審の判決が出る前から手つけてまいっておるわけでございます。  ただ、反省をいたしますというと、いままで必ずしも十分でなかったということは率直に認めるわけでございます。しかし、ここ一年あるいは一年有半の間には、大阪空港につきましては周辺整備機構という一つの機構もつくりまして、航空関係の中では相当の予算をつぎ込んで周辺整備に力を入れてまいっておるわけでございます。しかし、依然として輸送需要が多いというようなことで、今日にまいっておるわけでございます。したがって、われわれとしては、その公共の利便を確保するということと、それによる関係地域の被害とを、どういうふうに調整していくかということに問題があるわけでございまして、いまの夜間の着発の問題にいたしましても、いまお話がありましたように、ある時期までは深夜もやっておったと思います。しかし、これを十時に抑え、さらに輸送力を落とさないで何とか少しでも短縮しようということで、エアバス導入等も、その解消の方法として現在、計画を持っておるわけでございますが、そういうふうな、われわれとしては輸送力の確保ということに努力をしてまいっておりますが、そのために関係地域騒音あるいは空気の汚染の被害はできるだけ防ぐという方向で、両立てで現在は努力をいたしておるわけでございます。しかし、これはいつまでたっても、これで十分だということは期せられないと私は思いますが、今後とも大いに努力をしてやる考えでございます。
  101. 岡本富夫

    ○岡本委員 木村運輸大臣、一遍、現地をあなた、ごらんになった方がいいです。いま、あなたの御答弁を聞きますと、航空機の需要が非常に多くなったというようなお話であります。これは多くなったことは間違いありませんけれども、これが昭和四十二、三年ごろは、大阪空港は二百四、五十回だったのですよ。いまピーク時は四百三十ぐらいになっておりますか、またジェット機は六割も出ている。この原因はどこにあるかといいますと、万博にあるのですよ。あの万博のときにうんと増強したのですよ、B滑走路もできましたけれども。それで急激にふえたのです。ですから徐々にふえてきたのではないということを、一遍、現地調査して、ほかの空港とは違うのだということをもう一遍、認識してもらいたいと思うのです。私は、いつも運輸大臣が就任すると、あるいは環境庁長官が就任すると、必ず現地を見てもらって、そしていろいろ対策も立ててきたということなんです。ひとつ適当な機会とか機会がありましたらということでなしに、機会なんかありませんよ、こんなものは。だから必ず一遍あなた、おいでになることです。そんなにワアワア、殺すようなことはしませんから、われわれ、させませんから、現地を見て、そして現地の本当の意見を聞いて、これから、もっと対策を立てなければいかぬわけですから、促進しなければいかぬわけですから、大臣どうですか、あなただけまだ来てないのですよ。ほかの人は皆お見えになっているのですよ。いかがですか。そう長く大臣やるつもりはないなんて、そんなのはあきませんよ。どうですか。はっきりしてください。
  102. 木村睦男

    木村国務大臣 伊丹空港は周囲に非常に人家が密集していることは十分承知しておりまして、ですから新国際空港も別の場所につくろうということで、現在、基本的な計画も持ち、その関係地元にも詳細なデータをお与えして検討してもらっておるようなことでございまして、伊丹空港そのものについての認識は、私も十分、持っております。また、私しょっちゅう利用しておりますし、あの周辺に私の親戚も大分おりますので、いろんな事情も聞いておりますが、それは私は見に行くことにやぶさかではございません。
  103. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、見に来ることにやぶさかでないと言うから、来ることに決めておきましょう。いいですね、大臣。——首振ったから、よろしい。  時間がありませんから、次に環境庁長官、この判決が出て、そしてエアバス導入するということになってから、大気局長が行って、そして申し入れのこんな何項目かありましたね。これはやらなかったよりやった方がよろしいけれども、これも当委員会でもやかましく言っている問題で、運輸省の方ではやろうとしているわけでしょう。もっと早くやらなければならぬ。そして、できれば環境アセスメント、これもして、そして、あなたの方は適切な運輸省に対する申し入れをしなければならぬと私は思うのです。そうすれば、もっと早くできているのですよ。変えなければならぬところは変える。運輸省の方では二十日からですか、もうエアバスを見切り発車しようと言っておるわけでしょう。二十日といったら、もう日がありませんよ。そこで、ちょっちょっとやって、そして合意して、ほうり込んじゃった。これは環境庁、どうなんですか。私はこういう態度は許されないと思うのですよ。これは運輸省から出てきたところのデータを出せというわけだ。そのデータが確実であるかどうか、環境庁はこれをどういうふうにして調べるのですか。調べる機関がないじゃありませんか。こういった後追い行政、これは公害対策基本法から出ておるわけですからね。これは環境保全基本法にすれば後追い行政にならぬで済むわけですけれどもね。今後この環境アセスメントについて、あるいはこの問題について、環境庁長官としての決意を承りたい。
  104. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先ほど岡本先生がおっしゃったように、行政国会責任を持つ、国会は政策その他いろいろ議論されまして、そして決定をされていくということが一番、大事だと思います。しかるがゆえに行政権司法権の問題の疑義があって、上告という、いろいろ先ほどの法理論も出てきたと私は理解をしているわけでありますが、いまの問題は、ここでいろいろ御議論がございましたときに、騒音なり全体の公害からいって、エアバスが、そういう面からは効果があるだろう、ただ、NOxの問題については、よほど突き詰めて調査をして、われわれとして、その面から支障がないという判断をしなければ、できないということを、国会で何遍も申し上げております。そして、その御意見等に基づいて私がもうすでに、文書は最近でございますが、そういう趣旨のことは運輸省とずっとやっておるわけでございます。ただ運輸省が、三日ですか二日ですか、エアバスも一緒に入れた見解を発表するということを聞きましたので、急速、正式に文書をもって申し入れをした、こういう経過でございます。確かに、もっと早くちゃんとやっておけばいいじゃないかという御非難については当然、私ども、まことに申しわけなか一つたと思っておりますが、口頭なり、あるいは部分的にはいろいろ本席においても話し合いをして、御意見によって進めてきたことは進めてきたわけでございます。
  105. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも長官の話で、口頭ではいろいろ相談してきたと言いますけれども、口頭で相談してきたのであれば、こういうような答えが運輸省からもう出ておるはずだし、あるいはまた環境庁自体で検査をしていなければならぬ。その結果によって、まあこれならばという判断が出るだろうと思うのですよ。私の質問時間と一緒で、こんな短い時間で本当の環境行政はできない、私はこういうことを強く指摘しておきますから、この次はこういうことにならないように、ひとつお願いしたい。  それから、エアバス導入については決して見切り発車はさせない。これがきちっとして環境庁もオーケー、これなら了解したというまでは、見切り発車はさせないというぐらいの、私には権限がないなんて言わずに、これは歯どめをしておいていただきたい。これを一つ要求しておきます。時間がありませんから。  それで次に運輸大臣、前の大臣もこういう答えがあったのですが、成田空港ができたら、国際線なんかを大阪空港から移す、少し減便するというような話でありますけれども、いまも、その決意は変わりませんか、いかがですか。
  106. 木村睦男

    木村国務大臣 成田空港ができますと、いま羽田がいっぱいでございますので、羽田の方の負担がずっと減るということでございまして、いま御質問大阪空港……(岡本委員大阪国際空港減便」と呼ぶ)航空局長から詳細、御答弁いたします。
  107. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 大臣が申し上げましたように、成田空港ができました場合には、現在、羽田に発着いたしております国際線を成田に移す、これがそもそも成田空港を建設する趣旨でございます。それで大阪空港の便を成田に移すということは、当初から計画としてはなかったというふうに私は了解いたしております。
  108. 岡本富夫

    ○岡本委員 いや、私は一遍、大阪空港が大変だと言ったときに、成田空港ができれば国際線が若干、緩和されるというような意見を聞いたことがある。これはこの次に、もう一遍、議事録を見て触れますけれども、これは大阪空港減便をする上においても、新しい空港ができれば、当然そっちに回してもいいわけですからね。これは条約上の問題があっても、それはまたそれで話し合いをして、そして欠陥空港であるところの伊丹空港を、新空港ができるまでの間、住民救済していく。この被害を小さくしていくという面も必要であろうと思うのです。  次に、いろいろやりましても地方の自治体は非常に困るわけです。この間、大臣のところへも豊中の市長さんや、あるいは川西の助役さんが来まして、いろいろ対策を立てられるたびに非常にお金がかかる。それで非常に困る。特に今度の伊丹の問題でありますけれども共同利用施設、こういうものをつくっておる。これは前に飛行場部長にも話しましたけれども、それに対する県費が、一種、二種、三種とありますけれども、それと同額のものを県から出さなければならないということで、今度できるかできないかわからぬというわけで、知事のところに住民の人たちがまたやかましく言ってきておりますが、その財源の問題で、飛行機の燃料譲与税は、私がやかましく言いまして、昭和四十三年ごろでしたか、やっと四十五年ぐらいから取るようになったわけですけれども、普通のガソリン税は一キロリットルにつき三万九千円取っておるわけです。航空機だけは最初、暫定措置として五千七百円ですか、いま一万三千円になっておりますか。航空機の事業に、もうそんなに助成しなくてもいい時代になっておるのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。したがって、この燃料譲与税を取って、これは大蔵の問題でありましょうけれども、あなたも運輸大臣として、県にも出していく、地方自治体にも、もっと増額していく。ここにおる住民で苦しんでおる人たち、まだ裁判してない人もたくさんいますよ。こういう人たちに対して、少なくとも市民税や固定資産税ぐらいは少しでも負担していくというところまで手を打っていくぐらいの財源をつくって、やっていかなければならぬ、こういうふうに考えるのです。これについて運輸大臣から、ひとつ決意を承っておきましょう。
  109. 木村睦男

    木村国務大臣 ちょっと御質問の趣旨、私、十分にわからないのですけれども、要するに空港には一種、二種、三種ございまして、地方の負担というものが、それぞれ違うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、地方の負担をできるだけ軽くするという方向では今後、努力してまいりたいと思っております。
  110. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう本会議の時間ですから、次の機会に、前の環境庁長官、内閣総理大臣三木さん、それから私いま質問したけれども答えられなかった、したがって法務大臣、こういう人たちの出席を求めて、そして再度この審議を進められるように委員長に要求いたしますが、委員長いかがですか。
  111. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 できるだけ意見に沿うようにします。
  112. 岡本富夫

    ○岡本委員 できるだけでなしに集中審議をひとつ、もう一度やり直す、いま入り口だということでいかがですか。御了解いただけますか。
  113. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 できるだけ意見に沿うようにいたします。
  114. 岡本富夫

    ○岡本委員 では時間ですから、一分残しまして、これで終わります。
  115. 渡辺惣蔵

    渡辺委員長 次回は、九日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十九分散会