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1975-12-18 第76回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十八日(木曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 下平 正一君    理事 大竹 太郎君 理事 片岡 清一君    理事 野中 英二君 理事 勝澤 芳雄君    理事 野坂 浩賢君 理事 平田 藤吉君       古屋  亨君    前田治一郎君       井上  泉君    久保 三郎君       紺野与次郎君    沖本 泰幸君       渡辺 武三君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         運輸政務次官 小此木彦三郎君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  竹村  晟君         文部省初等中等         教育局高等学校         教育課長    柴沼  晉君         文部省大学局学         生課長     十文字孝夫君         厚生省年金局年         金課長     坂本 龍彦君         運輸省自動車局         参事官     宇津木 巌君         労働省婦人少年         局婦人労働課長 高橋 久子君         労働省職業安定         局業務指導課長 望月 三郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 下平正一

    下平委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、交通事故裁定センターに関する問題について、委員長から政府の所見をただしておきたいと思います。  本問題については、去る六月二十五日の当委員会委員長見解を述べましたが、その後関係者の間で慎重かつ建設的な協議を重ねており、被害者救済機関設立必要性については、関係者共通理解が生まれ、論点もおのずから明らかになりつつあります。  現在構想されている交通事故裁定センターについては、日本弁護士連合会は反対の立場をとっておりますが、同センターの経費の大部分を占める自動車損害賠償責任保険運用益については、その運営機構について改善を図るほか、同センター人的構成についても十分な配慮を行い、事務手続についてもさらに明確な規定を設けること等により、かつ所管官庁の厳重な監督のもとに、その活動が厳正公平に行われるよう十分配慮されるならば、同センターの前身である交通事故裁定委員会発足に当たって日本弁護士連合会が、これに積極的に関与した過去の経緯から見ても、同連合会と相協力してこの種の被害者救済機関設立は可能であり、かつその必要性国民からの強い要請であると信じます。  被害者救済対策の強化という共通立場に立って、公平、中立被害者救済機関が速やかに全国的に整備確立されるよう、関係者の深い理解と一層の協力を求め、一日も早い被害者救済機関の確立を希望する次第であります。  なお、自動車損害賠償責任保険運用益については、現在においても、その具体的支出に当たっては、大蔵省の強い行政指導により自動車損害賠償責任保険審議会の答申の線に沿って厳正に行われていると認められるが、支出決定機関としての運営委員会が、社団法人日本損害保険協会会長、同理事等構成員とするものであるところから、損害保険業界の意思によってその使用が左右されるのではないかという懸念を生みやすいので、今後運営委員会構成中立、公平な立場から判断し得る第三者に限定する等、その性格をより公的なものに改正することが望ましいと判断をいたしております。  つきましては政府見解をただしておきたいと思います。
  3. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま委員長から御質疑がございました件につきましては、委員長の示されました交通事故裁定センターの抱えております諸問題につき、委員長の御見解の趣旨に沿いまして、被害者救済機関設立につき関係省庁関係団体協力を得まして今後懸命の努力をしてまいりたいと考えております。
  4. 下平正一

    下平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沖本泰幸君。
  5. 沖本泰幸

    沖本委員 質問に先立ちまして、委員長一言お願いがございます。  前からもいろいろ問題にはなったのですが、衆議院、参議院はあわせて常任委員会なり特別委員会が持たれるわけですが、きょうも答弁する担当の方をいろいろお願いしておったわけです。ところが、それの変更がいろいろあるわけで、お話によると、そのことを名指しして言うわけではありませんが、常任委員会が持たれておるのでそこへ政府委員を回さなければならない、こういうことがあったわけです。そうすると、特別委員会では他の者でいいのかということになるわけです。それは、御都合があったことはいろいろ説明を伺ってわかりますけれども、いままでもたびたびあるわけで、特別委員会常任委員会に比べて資格がないのか、あるいは一段下がったものなのかというふうなことになるわけで、各省ともそういうふうなとらえ方のように、私の邪推かもわかりませんが、しばしばそういう場面に遭遇するわけです。十分説明に事足りるということではなくて、責任のある答えを得たいためにより立場の高い人を答弁する方に要求するわけなのですけれども常任委員会とかち合うと、ほとんど常任委員会の方が主体になって、特別委員会の方はお留守になってくるということになると、これは十分な審議を尽くすことが期待できないということになるわけです。  そういう点がありますので、委員長からも十分、これは委員会の権威を保つためにも、この点の改善各省配慮してもらうなり、あるいは委員長会議なり何なりで十分この目的が達せられるような配慮をしていただきたいということを、質問に先立ちまして委員長にお願いしたいと思います。
  6. 下平正一

    下平委員長 特別委員会常任委員会に差別があるということは全然ありませんので、その点は御了承をいただきたいと思います。  なお、きょうの沖本先生出席要求の中で、労働省吉本審議官社労との関係都合が悪いという通告をいま受けましたが、別に特別委員会をべつ視しているわけではなしに、事務的な手続上の打ち合わせが完全でなかったような気もいたしておりますから、今後は御要望説明員なり政府委員が必ず出るように委員長の方としても手配をいたしたいと思います。  しかし、なお、御出席各省方々ももちろん各省を代表して御答弁いただくのですから、責任ある答弁が得られるものと確信をいたしております。  そういうことで御了承をいただきたいと思います。
  7. 沖本泰幸

    沖本委員 きょうは、交通遺児問題に焦点をしぼってお伺いしたいと思うわけであります。  まず、これは昨年の資料なんですけれども、冒頭の一節を読んでみますと、「交通遺児高度経済成長政策の産物である。昭和三五年来の成長政策自動車産業戦略産業として選ばれ、急速なモータリゼーション対策を強行、交通事故率は欧米の最高八倍にものぼり、遺児は量産され、お粗末な保険制度のも一とに急転落層の道をたどらされた。交通遺児繁栄日本の人柱だったのである。」これは交通遺児を励ます会というところが発行している。パンフレットなんです。  「私たちは、三年前、全国調査を行ない、その窮状を訴え、要望政府自治体に提出したが、対策は何一つ帰ってこなかった。打ち捨てられている間に、交通遺児家庭はふたたび高度成長政策の当然の帰結であるインフレ、その後の石油インフレの直撃を受け、壊滅的な打撃を受けた。一二万遺児の九割以上が低所得者層に落ち込み、母親の三人に一人は健康を破壊され、遺児たち進学断念を迫られている。繁栄の犠牲になった交通遺児家庭は、今度も一またインフレの最大の被害者となり、いまや崩壊寸前である。  そこで私たち交通遺児を励ます会と大学生となった交通遺児自身があい携え、再度、一八万遺児母子の血の叫びを集めて、政府各党全国の地方自治体要望を叩きつける。日本に憲法にいう「生存権」と「教育権」が真に存するかを問うて。」ということで、いろいろな問題点を指摘されておるわけです。  この指摘した問題については、要望として政府各省、各自治体各党に出されたわけであります。それから一年たっておるわけなんですが、その間の不況あるいはインフレ、こういうものの進行というものは私たちがすでによくわかっておる内容ですが、この一年間に各省は、要望された問題に対してこの人たちが満足する点に向って進められてきたか、あるいは将来に向かってこの問題が解決の方向で取り上げられていっておるかどうかということです。  この中にも文章として出ておりますが、いろいろやってきたけれども一つとしてやってもらえなかったというようなことが述べられておるわけです。そういうことで、ただかけ声だけに終わったのではないだろうか。育英会に向かっていろいろな補助も出されておりますし、民間団体からのいろいろな問題も出ておりますけれども、いま新しい来年度予算をつくるに当たって、これに関連する各省は一体どういうふうな対策で臨んでおられるか。来年度は税収の落ち込みで厳しい予算を予想しなければならないということがありますけれども、そういう厳しい予算の中でこの予算を削られてしまうと、この遺児たちあるいは母親たちはどういうところへいってしまうのだろうか。  これから日本の将来に向かって一番福祉行政が問われておる現状の中で、生活保護家庭であるとかあるいは身障者であるとかあるいは老人であるとかいうことがいろいろな角度から取り上げられていっておりますけれども、この交通遺児母親、またよく似たケースの遺児なり母親というものが存在してきておるわけですけれども、これが一番最低のところに置かれているのじゃないだろうか。だから、社会福祉を論ずるのであればあるいは福祉行政なり福祉政策というものを言うのであればこの問題点がある程度のところまで水準が上げられていかなければ全然問題になっていかないということになるのではないだろうかというふうに考えられるわけです。  ちなみに言ってみますと、たとえば生活保護家庭遺児家庭も同じですけれども中学校までは義務教育課程だからいろいろな形で補助も与えられて学校を卒業することはできるけれども、さて高等学校ということになりますと行政の面から切られてしまって、そして自力で学校へ行かなければならない。そうすると、まだいわゆる学歴偏重の問題は解決しなければならない大きな社会問題であって、その方向に向かっていろいろなことが議論がされておりますけれども、しかし現実問題として学歴というものは就職するいわゆる若い青少年の一番大きな、重大な課題である、資格であるということになると、転落している生活保護家庭子供なりあるいはこういう交通遺児こそ高等学校なり何なりの卒業資格というものを持たせてこそ就職の利益が生まれてくるということになるのですけれども行政の面ではこれとは全然逆のことが行われておるということになってくるわけです。  これは一部をとらえて総括的に申し上げたわけでありますけれども、ですからこの一年間、ことし一年振り返っていただいて、そして交通遺児とその母親、この関係について、時間がありませんから大まかに言ってどの程度のものがことし見られたか、あるいは来年に対してこれにどういう対策が講じられていくのか、ほっておけば物価高の中で落ち込んでいってしまう大変な問題をここの中に抱え込んでおるわけですけれども、これに対してお答え各省別にしていただきたいと思います。
  8. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 最初に総理府からお答えしたいと思います。  私も昨年の交通遺児を励ます大会に出席いたしまして、事情を聞いたわけでございます。本年度、五十年度交通遺児など交通事故によります不幸な被害者への基本的な対策は、まず何といいましても将来に向っての対策でございますけれども加害者から被害者への損害賠償を厚くすることだということで、運輸省大蔵省ということで、運輸省大蔵省協力いたしまして、とりあえず自賠責限度額を上げることにあろうということで、本年の七月に従来の最高限度一千万円を一千五百万円に上げるという措置をとったわけでございます。  それから、総理府といたしましては、御承知のとおり交通遺児だけが母子家庭ではない、他の災害遺児もたくさんおられるわけでございますので、交通遺児だけを特別に一般財源等で厚くすることはなかなかむずかしい、これは一般福祉対策として考えられるべき問題であろうということで、これは後で労働省あるいは厚生省からお答えになろうと思いますが、総理府といたしましては、交通遺児に特別扱いできるのはやはり交通関係基金等を利用いたしましての、現在やっております交通遺児への奨学資金増額ということに力を入れるべきであるということで、昭和五十年、本年度財団法人交通遺児育英会に対します補助金を、これは当初は二千万円であったのですけれども年々上げてまいりまして、昨年度は一億円に補助金増額したのですが、本年度はさらに一億五千万円に増額いたしまして、そして従来交通遺児高校生に対します奨学資金は原則五千円であったのを全部一万円に上げる、それから大学生は二万円、それから貸し付け人員も増加いたしまして、現在約四千六百人の高校生大学生への奨学育英資金貸し付けております。  また、昭和四十八年の十二月に運輸省の認可になりました特殊法人自動車事故対策センター、これが中学生より下の交通遺児に対しまして育成資金貸し付けておりますが、これも本年度増額いたしまして、当初の一時金六万円を七万円に上げ、育成資金月額も当初五千円を六千円に、わずかでございますけれども、それぞれ増額をする、それから貸し付け人員も増加いたしまして約五千人の交通遺児奨学育成資金貸し付けておる、昨年の事故対策センター交通遺児に対します予算は二億円でございましたが、本年は約倍の四億円にふやしたという対策をとったわけでございます。来年度はこの交通遺児に対します育成資金あるいは奨学資金対象人員をさらに、ふやすべくそれぞれの増額要求各省でやっておるところでございます。  後で、労働省等からお話があろうと思いますけれども、特に強い要望がございました寡婦雇用促進という問題につきましては、本年雇用保険法ができまして、寡婦雇用いたしました事業主には特別の奨励金を出すというような措置もとったように聞いておりますが、以下関係省庁から説明をしていただきたいと思います。
  9. 柴沼晉

    柴沼説明員 義務教育段階におきまして交通事故等によって父母などの一家の柱を失ったことによって経済的に困窮している家庭の児童、生徒につきましては、学用品費とか通学費とか修学旅行費給食費医療費等について二分の一の国庫補助による就学援助措置を行っているわけでございます。少し古い統計でございますけれども昭和四十六年の総理府交通遺児等実態調査によりますと、交通遺児小学校で約二万三千六百人、中学校で一万七千五百人ございまして、これらのうち就学援助対象となっているものは小中合わせて二九・一%で、小学校が約六千八百人、中学校が五千人、そういう数になっております。  文部省としましてはこういう就学奨励援助措置充実について従来から何とか拡大をしてまいりたいと努力をしてまいりまして、昭和五十年度予算におきましては前年度当初に比較しまして四五・六%増の百八億六千二百万円を計上しております。さらに来年度予算要求としましては現在前年度二〇・六%増の百三十億九千七百万円を要求してございます。  それから、高校段階につきましては、設置者である地方公共団体の方において一つ授業料減免措置をとっているということでございますが、この授業料減免措置につきまして各都道府県を調べてみますと、大体三つの形態がございまして、授業料減免の枠をその都道府県授業料収入に対する割合一定割合減免に充てるというような県が十九県、それから授業料減免の枠を生徒数で、たとえば生徒数の五%とかそういう規定をしている県が十一県、それから授業料減免について特に予算枠は定めておりませんけれども保護者経済状況によって実施している県が十七県と、全都道府県において授業料減免等措置を各都道府県段階では行っているわけでございます。  文部省といたしましては、こういう交通遺児に対する授業料減免措置については地方公共団体において少なくとも都道府県段階では全都道府県で実施されておるわけでございますけれども、ただそれを一律に指導いたすことはそれぞれ各都道府県財政事情とかそういうようなこともございまして、一律に指導するということではなくて、交通遺児等生活困窮な者に対しての手を差し伸べることは指導部課長会議とか一般的な論議としてそういう席で指導をしてまいっておるところでございます。  また、高校生段階以上の奨学金につきましては、担当学生課長から答弁させていただきたいと思います。
  10. 十文字孝夫

    十文字説明員 私ども担当しております育英会によります育英奨学事業につきましてお話し申し上げたいと思います。  優秀な学徒でありましても、経済的な理由によって修学が困難である、そういう高等学校生徒あるいは大学生に対しまして奨学金を貸与する、そして修学が続けられるように援助するというのが日本育英会目的でございます。その場合に、交通遺児あるいは海難遺児といったような個々の事情に従っていろいろ制度をつくるというのではなくて、広く一般的にそういう経済援助が必要になった人を対象にしまして、一般的な奨学援助措置の拡充ということに努めてきたわけでございます。  ちなみに申し上げますと、最近のこういう生活難物価高というようなことで、学生生活費も上がってまいりました。特に私立につきましては授業料等も上がってまいりましたので、そういうことを考えまして、本年度予算におきまして、これは従来国公立私立高等学校については一本の単価でございましたが、それを区分いたしまし七、私立単価を新たに設定いたしまして、私立高校一般貸与については四千円、それから、特奨特別貸与奨学生というのがございますが、これは特に優秀で特に経済的に困難である、そういう生徒に対しましては、私立の場合、いままで国公立並みの四千円でありましたのを、月額六千円というような改善をいたしたわけでございます。  なお、来年度概算要求におきましては、高等学校生徒奨学措置を要する者がなお多くあると思われますので、二千人ほどの増員要求をいたしているところでございます。  なお、原則的にはそういう一般的な奨学措置ということでございますけれども、さらにきめ細かく、日本育英会におきましては、奨学生を選びますときに、学業成績とそれから経済基準、その両方によって判定しているわけでございますが、経済基準の方につきましても、母子家庭について特別な配慮、緩い基準適用するというようなことをやっておりますし、それから成績につきましても、一般よりは緩い基準適用する、そういうような考慮を払っておりまして、そういうことで、交通遺児に対する奨学措置について、実態に即応した適切な措置が講ぜられるように努めているところでございます。
  11. 坂本龍彦

    坂本説明員 私どもの所管いたします年金制度は、厚生年金でございます。この両制度におきましては、特に交通遺児という形では取り上げておりませんけれども厚生年金におきましては遺族年金、それから国民年金におきましては、拠出制母子年金、無拠出制母子福祉年金、こういったものが交通遺児の場合に当てはまる給付でございます。これは交通遺児以外の一般遺族に同じように適用になっておりますので、私どもとしましては、そういった年金制度全体についての改善を実施してまいる中において、交通遺児家庭についても福祉充実できるようにという見地からまいっております。  今年度におきましては、厚生年金拠出制国民年金におきましては物価スライドが行われまして、厚生年金におきましてはことしの八月から、国民年金におきましてはことしの九月から、それぞれ二一・八%年金額が引き上げられております。  また、無拠出福祉年金につきましては、十月から政策的に年金額を大幅に引き上げまして、各福祉年金がそれぞれ約六〇%引き上げられておりまして、母子福祉年金につきましては、月額九千八百円が一万五千六百円になっております。また、無拠出福祉年金につきましては、所得一定額以上ありますと、年金の支給を停止するというたてまえになっておりますけれども、特に母子福祉年金につきましては、この所得の制限の限度額を、たとえば子供一人の場合に前年の百八十五万円程度から二百六十七万円程度まで引き上げて緩和を図ってまいっております。  なお、来年度につきましては、ただいま年金制度全般の見通しについて検討中でございますので、まだ具体的な改正の項目は決定しておりませんけれども、できる限りこういった方々福祉充実を図るように努力してまいりたいと考えております。
  12. 望月三郎

    望月説明員 交通遺児等子供を抱えました寡婦雇用につきましては、種々困難を伴う場合が多く、また現在の雇用情勢から一層厳しいわけでございます。このため、私どもといたしましては、全国職業安定機関におきまして、これらの人々の家庭環境緊急性等を十分に考慮しながらきめ細かい職業相談なりあるいは積極的な求人開拓等を現在進めておるところでございます。また御承知のように、本年度からは雇用保険法によりまして、事業主に対しまして寡婦等雇用奨励金という制度が生まれましたので、これをよりどころにいたしまして雇用奨励に大いに役立てたいということで、現在一生懸命やっておるところでございます。  今後につきましては、やはり寡婦労働能力等の向上を図る意味で職業訓練なり職業講習充実を図っていくというようなこと、それから企業内におきます保育施設に対する雇用促進融資適用というようなことを大いにやっていきたいということでございまして、寡婦の就業に障害のあるような諸問題を逐次解決していきたいというように考えております。
  13. 宇津木巌

    宇津木説明員 交通遺児対策といたしましては、社会保障施策ないしは福祉政策といたしまして総合的観点に立って行うべきものと考えておりますが、その一環として、運輸省といたしましては、先生すでに御案内のとおり、自動車事故対策センター設立して、義務教育終了前の交通遺児に対して育成資金貸し付けを行なっておるわけでございますが、この貸付けにつきましては、本年度、一時金につきましては六万円から七万円、月額につきましては五千円から六千円と増額いたしまして、とりわけこの一時金につきましてはさらに遡及適用を図っております。  また、民間育英団体であります交通遺児育英会に対しまして補助金を交付いたしまして、その育英事業を助成していきたいところでございますが、本年度予算では昨年度と比べまして五〇%増の一億五千万円を計上いたしております。  なお、直接の交通遺児対策ではございませんが、自賠責限度につきましては、やはり交通遺児対策を含めました被害者救済の基本的な項目でございまして、これにつきましても、本年の七月から従来の一千万円を千五百万円と引き上げを行っておるところでございます。今後ともどのような諸施策充実につきましては一層の努力をしてまいりたい、こう考えております。
  14. 沖本泰幸

    沖本委員 大体型どおり伺ったわけですけれども、私が期待したところは、去年に比べてことしはこういうことが問題になっているので、こういうことをやってみたけれども十分ではなかった、だから来年度はこういうところで十分そういう面を予算には限りがあることだから、どれぐらい先をめどにしてこの問題は解決していきたい、こういうふうな答えを私は期待したわけなのです。言葉の上でこれからも十分努力していく、これはだれでも言えることであって、それだけでは解決にならないと思うのです。  高橋さんに伺いたいのですが、ILOへお越しになるでしょう。——そうではなかったですか。労働省を離れてお越しになるので、もっとも席はちゃんと帰ってきてもあるようになっているのだとは私は思いますけれども、現在のところを離れてお越しになるわけで、あなたのお立場でごらんになった遺児家庭、それから一番問題になっております。テレビの「一〇二」でも国際婦人年に当たって婦人の立場というものを盛んにあなたはお話しになっておられた——間違ったそうで失礼いたしました。  それでは高橋さんにお伺いいたしますけれども、失業者が百三万を超えたと政府は発表しているわけです。しかし、具体的に言うと、労働者側の方では恐らく二百万をもっと超えているだろう。パートとかそのほかの時間的な仕事から外された御婦人の労働力なり何なりというものを入れていくと、これは想像もできないような数になるだろうということになるわけです。  そこで、交通遺児なり、あるいは御主人を亡くして女手一つ家庭を支えて子供を育てていかなければならない立場に追い込まれた御婦人が、不況あるいは物価が高く生活の苦しい中で職場を奪われていっている、こういう現況をあなたはどういうふうにとらえていらっしゃるか、それに対してあなたのお立場でどういう解決方法がいいのか、それは上司の立場もあるし労働省の政策も、あるいは行政の面もあると思いますけれども、その面について、御婦人の立場からお答えになっていただきたいと思います。
  15. 高橋久子

    ○高橋説明員 交通遺児を抱えた寡婦の現状につきまして、私どももいろいろ実情の把握に努めているところでございます。厚生省が実施いたしました昭和四十八年度の母子世帯等の実態調査によりますと、母子世帯の数が全国で六十二万六千二百世帯でございますが、そのうちに交通事故死で母子世帯となったものが五万五千世帯ございます。それらの方々のうち仕事を持っていらっしゃる方が全体の八三・九%を占めている。その所得を見ますと、年間の所得が六十万円未満というものが全体の六三・五%を占めているという状況でございます。また、労働省で労働災害の遺族の生活実態につきまして調査をしておりますが、それによりますと、現在就労している者が七割を超えております。  そういった状況でございまして、交通遺児を抱えた寡婦の現状の把握については今後も努めてまいりたいと思っておりますが、これらの方々の生活の安定を図っていく上において、その就業を促進していくということが非常に必要なことであるということを私どもも考えております。私どもは私ども立場から、これらの方々の職業に関する御相談に応ずるとか、あるいはこれらの方々の職業能力の向上を図るために短期職業講習というようなものを実施をしております。また、関係機関と連絡をとりながら、こういった対策充実に努めてまいりたいと考えております。  最近の不況に伴いまして、すでに職を持っておられる方々がその職を失うということがないように努めてまいりたいと考えております。解雇に当たりましてこういったご婦人が優先的に解雇されるということがないように行政指導に努めてまいりたい。このような努力をいたしているところでございます。
  16. 沖本泰幸

    沖本委員 では、質問をもとへ戻していきますけれども、この要望書では「昭和四十四年発足した財団法人交通遺児育英会は、民間の善意に支えられ、高校生四千五百人に月一万円、大学生三百五十人に月二万円の奨学金を貸与して、辛じて遺児の進学を助けているのが実情です。そんなとき、今春の私立高校の入学金・授業料などの四〇%値上げは遺児家庭には壊滅的でした。東京の私立高校では入学金十五万円、授業料月一万二千円が平均で、交通遺児育英会奨学金だけでは月謝にもことかく事態となりました。九割が母子家庭であるため、不況深化によって中高年女性の母親の職場は圧迫され、失業・残業カット・内職ゼロの大幅減収は、遺児の進路をさらに狭めています。加えて、母親の三人に一人は積年の過労で病気か病気がちです。  このように、交通遺児の教育環境は空前のピンチにおちいり、今日義務教育化している高校進学すら困難になっているのです。これは交通遺児だけでなく、全母子家庭共通の問題といえます。貧困のゆえに人並みに高校へも進学できないのは、もはや憲法でいう教育権の崩壊ともいえるでしょう」。というふうに言っているわけです。  先ほど福岡方式のことにお触れになっておったわけですけれども育英会のお金を借りて大学を出た人たちが一生懸命になって、同じ立場に立つ交通遺児に、せめて高校だけは進学させるために、従来の大学自動部による募金の範囲を、大学体育会、文化サークル、高等看護学校まで広げて、大学生遺児自身も立ち上がって、八百大学(団体)二万人学生全国三百拠点一億円募金を行うことになって、それでやっているわけです。これは各党の党首も立って、中曽根幹事長、成田委員長、公明党の矢野書記長も緒になって街頭募金に努力をしたという経過もあるわけです。こういうふうに周囲が一生懸命努力しておるわけです。  そこで、この人たちが、こうすれば解決できるという方法として、いま言ったところの福岡県方式を全都道府県で採用してほしい、このように政府努力してもらいたいということで、交通遺児は一学齢が約六千人、高校学齢は約一万八千人、高校進学率が八〇%に上がり、七〇%が公立高校で月謝千二百円、三〇%が私立高校で、月謝が一万二千円と仮定すれば、一年間の減免額というのは四億五千万円程度になるのだ、これを四十七都道府県で分担することはそんなに困難ではないのではないか、これを全母子世帯に適用しても五十億円だということを言っておるわけです。だからこれができないとしたらもう政治の怠慢としか言えない、こういうふうに指摘してきております。  この点について努力するとはおっしゃったのですけれども、解決の方法として、こういう問題に解決を与えていくにはどういうふうにしたらいいのですか。いわゆる免除のめどはあるのですか、あるいはそれに近いだけの予算措置ができるのですか、この辺いかがですか。
  17. 柴沼晉

    柴沼説明員 先生にいま御指摘いただきました福岡県方式と申しますのは、福岡県では従来から生活困窮者に対して公立高校の授業料を免除してきたわけでございますけれども、本年四月に、免除の場合として不測事故死により一家の生計を担う者が死亡した場合ということを明定したわけでございます。現在交通災害遺児として免除を受けている者の数が六十八名となっております。それからさらに福岡県では、私立高校については授業料の二分の一を限度として、当該私学が減免した額の二分の一を県が補助する制度を現在検討中であるということを聞いております。  ことに私立学校につきましては、都道府県が私学助成をさまざまな形態でやっておりまして、国がこれを交付税で見ているという形になっておりす。ただ、その私学助成の形態というのが非常にさまざまでございまして、一般母子家庭をも含め、生活困窮者全体の中でのかさ上げの中で交通遺児へ温かい手を差し伸べていくというやり方もあれば、福岡県のように、交通遺児を明定して援助の手を差し伸べる、そういうやり方もある。その辺は各都道府県がそれぞれ財政事情なりあるいはその実態に応じて対策を講じていただくことではないか。国として一律にどうしろということは考えておりません。  ただ今後とも、そういう交通遺児等非常に気の毒な立場にある人たちに対する配慮の手を差し伸べていくという一般的な指導については、私どもとしてはぜひ続けてまいりたいと思っております。
  18. 沖本泰幸

    沖本委員 それだけでは解決になりませんね。責任ある答えができる人に出てほしかった。というのは、来年度予算の一番重大な時期にかかっているわけなんですね。ですから、過去の事例だけにとどまって、そこから先というものがどうなるこうなるということがまだ見通しがきかないような答えでは、ここで質問しても議論の繰り返しだけで何の進展にもならないわけです。結局全体的におしなべてという考え方よりも、一つのところから問題を掘り下げてきてそこで一つの方法を見出してきて、なるほどいいことなんだという点が出れば、やはりそれは広げていくべきじゃないかということになるわけですね。  地方自治体の方では財源難が非常に大きな問題になっておって、今年度予算の中でも一番大きな問題として出てくるわけですけれども、その財源の乏しい地方自治体が、さりとて財源が乏しくなったからこの問題を薄めてしまうというようにしてしまってはならないわけですね。だから、話の中では、遺児というのは交通遺児だけではないということに非常な反駁をしております。高度経済成長の落とし子じゃないか、それは政治の責任ではないか、政府がとった政策の責任じゃないかというとらえ方なんですね。もっともだと思うのです。そういう点から考えて、もう少し解決の方法なりあるいは来年度すぐ、そうはいきませんけれども、何年計画なら何年計画でその問題を十分取り入れていきましょう、あるいは自治省と相談して、その問題の解決の点を来年度はこの程度見込んでいるのだ、こういうふうな形の答えであるべきなんです。ここが一つの突破口になって貧困家庭の子弟の学力、学歴というものをつけてあげられるという方向へいくわけですね。  それと社会全体が学歴偏重ということを減らしていくような、なくしていく方向をとっていくことと相まっていかなければ、どうしてもこういう人たちは転落していくことになるわけですね。したがって、生活を支えている人たちの肩の重荷を少なくするためにはそれだけのことをしてあげなければならない、こういうことになりますけれども、その点について来年はまだ何のめどもついてないわけですか。
  19. 柴沼晉

    柴沼説明員 先ほども説明申し上げましたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども義務教育段階においては、要保護児童生徒、そういう保護を要する児童生徒に対する補助金を昨年度より二〇%以上の増額要求をしてまいりたい、そのように思っております。  高等学校の場合には、国、地方の制度の問題あるいはまた私学との関連の問題、そういう問題がございまして、私どもとしては交付税措置を通じての私学援助の中でそれぞれの地方の実態に応じてできるだけの手を講じるようにしていきたいということを考えております。
  20. 沖本泰幸

    沖本委員 これは今後お考えになる面でぜひとも考えを変えていただきたいのですね。しゃくし定規にお考えにならないで、実際、逆じゃありまんか。貧しいお母さんの細腕で支えられている子供たちですね。せめて高校をと、こう言えば、いろんな恩典が中学で打ち切られていて、高校は自力で行きなさい、こういうことになるわけです。むしろ高校までそういう面を上げるべきなんですね。最近の考え方というのはほとんど高校卒業が義務教育のような考え方に変わってきて、その考え方も変わろうとしておるわけですね。ですから、こういうところにはそういう道をつけておいてあげるということが大事だと思うのです。いまあなたに答えを求めてもそれはお答えになれない内容だと思いますので、求めはしませんけれども、ぜひともその点は文部省の中でお考えになっていく考えの中に十分組み込んで今後検討していただきたいのです。  ではあと、お母さんの方に問題を持っていきますけれども、各新聞が扱っているわけなんですけれども、もう一度文部省の方に言っておきますけれども、これは朝日が十月十七日付で取り上げているのですけれども高校生の十人に一人がバイトをやっているというのですね。参考書も買えないというような事態に追い込まれているわけです。この家庭は月収が七万円未満が三割だということになるわけですから、親族じゅうが寄ってどうにか入学金をつくっていっているというそういう実態を、もっとつかんでほしいのですね。もっとこういう人たちの声を聞いてほしいと思います。現に自民党の中曽根幹事長も、自動車税やガソリン税を遺児奨学の財源にするということを公言していらっしゃるわけですからね。食事抜きで学校へ行かしている、日曜日なんかはもう何も食べないで寝ている日が多いのだ、こういうふうな悲惨な事態というものを何とかしていかなければ、社会福祉行政ということを言ったって、これは泣くということになるわけです。  そこで、こういう交通遺児なり、一家の柱、働き手をなくした家庭のお母さん方が、だんだん労働が過重になってきて、それで不況とインフレと病気ということに追い込まれているわけですけれども厚生省の方で、こういうふうな、だんだん体がまいっているお母さん方に、この人の働く力がなくなってしまうと一家は転落しなければならない、学校なんかも思いもよらない、こういうところへ追い込まれるわけなんですが、ただ一つの細腕のお母さんの病気に対して、厚生省の方としては来年度はどういうふうな方法をおとりになっていらっしゃるか。だんだんと追い込まれて、不況で賃金カットあるいは首切り、それから労働強化、こういうところへ追い込まれているお母さん方に対して、来年度労働省としてはどういうふうなやり方をお考えになっていらっしゃいますか。
  21. 望月三郎

    望月説明員 先ほどお答え申し上げましたように、今後におきましては、やはり安定した、労働条件のよい職場に寡婦を就業させることが一番基本でございますので、寡婦の労働能力の向上という見地から、やはり職業訓練とか職業講習というものを大いに充実しながら、さらには子供を抱えているという特殊の事情等も考慮いたしまして、雇用促進融資による企業内の託児施設の充実というような環境整備に大いに力を入れていきたいというように考えております。
  22. 沖本泰幸

    沖本委員 先ほども高橋婦人労働課長さんが数字をお挙げになったわけですけれども交通遺児を励ます会の全国協議会の要望書の中では、十二万交通遺児の九割が父親を失い、母親の懸命の働きにもかかわらず、実に九割以上は低所得層、うち半分は生活保護水準の飢餓的貧困層にたたき落とされている。勤労月収四万円から六万円の遺児家庭では、食べる物も食べず子供の教育にすべてをかけて必死に生きているが、昨今の不況は首切り、賃金カット、労働強化で母親の職場をさらに圧迫し、進学を断念する遺児も出てきている。労働条件の悪化は母親に過労と心労をつのらせて、三人に一人の健康を破壊している。ですから、低賃金、進学困難、病気の悪循環を不況が加速させて、いまや遺児母子は風前のともしびだ。  こういうふうな苦しみは、単に交通遺児家庭だけのものではなくて、災害遺児あるいは病死遺児などすべてを含めた全国四十万遺児家庭の問題になっておる。これら生活と進学の非常な困難を見るとぎ、先ほど言ったとおり、生存権教育権遺児家庭には存在していない。  このような遺児母子の空前の難局を救済するには、生活保護費やあるいは児童扶養手当など、給付金の少額アップといったようないわゆるびほう策では、貧困層の拡大再生産を助長するだけで、いま必要なのは、母親に安定した職場と賃金を法律で保障し、みずからの力で生活を安定させ、教育させるような抜本策なんだ。  ですから、さきの身体障害者雇用促進法にならって、資格技能を持たず職場で一番弱い立場母親に、安定した官公庁や民間会社に就職できるよう、法律による保障を強く望みたい。不況が構造的、長期的であるだけに、このような法的保護なしに母親たちの職場はもはや確保できない。また貧困のどん底まで落ちるのを待って救済するより、行政の手で一般家庭並みへの自力更生の道を歩ませるのが今日最も望まれる新しい福祉政策ではないだろうか。こういうふうに言っております。  ですから、遺児家庭母親約四十万人のうち、転職を望む可能性のある百人未満の事業所での常用労働者は、算定によると、八万四千九百人になる。同じ雇用率の身体障害者がこの法律で約十八万人就職している。母親の場合は雇用率の半分の枠内でおさまる人数にすぎない。中高年女性、母親であることの特性を生かし、寮母、保母、ケースワーカーなどの職業の開発可能性も高く、職業訓練によって労働の質は十分高まるはずなんだ。遺児家庭救済の抜本策として、このお母さんの、いわゆる寡婦雇用促進法なり何なり、法律につくってほしい。身体障害者がやってもらっているじゃないかということなんです。同じように法律で守ることができないのか、こういうことになるわけですね。条件としては同じではないかということになるわけです、弱さという点から考えていくと。こういうことになるわけですが、その点、どうなんですか。
  23. 望月三郎

    望月説明員 御指摘の点につきましては、私もよくわかるわけでございますが、まあ、寡婦の問題につきましては、やはりその特殊性であります労働能力以外の、周辺のそういう子供を抱えているというような環境、それから突然に社会に出て働くというような環境にございますので、その点に着目いたしまして、その環境を整備してやるということが当面の一番大きな問題だと考えております。したがいまして、いま雇用促進法の制定につきましてお尋ねになりましたが、その点につきましては、身障者との関係等も考慮に入れまして、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
  24. 沖本泰幸

    沖本委員 望月さんから答えを得ようと思っても無理かもわかりませんが、慎重に検討するというのは、慎重に検討して何もしないことなんですか。検討するだけということなんですか、何かするということなんですか、どっちなんですか。
  25. 望月三郎

    望月説明員 ただいまの件でございますが、たとえば身体障害者の場合は、非常に身体上の能力の欠陥という問題がございまして、本人の能力それ自体にやはり問題がございますので、そういった問題が身障者の面にはあるわけでございますが、寡婦の場合は、本人の能力は非常にある場合もあるし、あるいは主婦でありますので能力がない、余り高くないという場合もございます。したがいまして、本人の能力というよりもむしろ環境が非常にむずかしい要素を含んでおるということでございますので、その二つを同じように考えるべきかどうかという点につきまして、雇用義務をかけるかどうかという点については若干私どもも考えてみたいということでございまして、何にも考えないということではございません。この点につきましては、私ども、この前の母親大会の代表の方がお見えになりまして、ひとつ大いにみんなで検討していこうということで私も約束しておりますので、この環境の整備をどうしていくかという点を中心に、私ども真剣に受けとめていきたいということでございますので、御了承を得たいと思います。
  26. 沖本泰幸

    沖本委員 少し話が前の方へ進んだわけですが、それ以上は望めないと思いますけれども、不況とインフレということと、子供を抱えておるという点では、たちまちきょう、あしたという問題があるわけです。それを、いわゆる生活保護家庭に落とし込んでいく。そして子供の将来の人生に対する希望を折ってしまう。大きな問題だと思いますね。  ですから、ただ単に環境という問題だけで、その辺にストップするところをつくらないで、やはり問題を広げながら考えていく。早急に考えないと重大な問題だ。経済成長をどんどんやっていて、そこらここらで、政府の方としてもつまみ銭の補助金で何とか目先だけのごまかしがきいたという時代は越しているわけです。ですから、いま年末を控えて、必死になってどう年を越していこうか、生き延びていこうかということですよ。慈善なべが並んで、そしてあたかも苦しい人のために募金してくださいと、寒空の中で鈴が鳴っているようなのはそらぞらしいのじゃありませんか。その点を考えると、あなたの方で受け持っていることは重大なことであって、一日も半時もゆるがせにできないのだということをお考えになって、真剣に取り組んでいただいて、一日もいっときも早い解決の方法を見出してもらいたいと思います。  それから、総理府に最後にお伺いいたします。  これは新聞に出ていたのですが、「ねらいは予算のお余り? 歳末お願いします」ということで、「慈善のおすがり急増 霞が関は不況知らず国会議員の名使い圧力」こういうことで、山東昭子さんの名前で交通福祉慈善公演実行委員会がチャリティーショーをやったということになっているのですね。この中を読んでいきますと、こういうふうな慈善事業的なチャリティーショーをやれば幾らでも銭が出るのだ、国会議員の肩書きを使って名刺を配っていけばできるんだ、そういうことを専門的にやっていらっしゃる方もいらっしゃる、こういうことで、この記事の中でちょっと気に入らないところがあるのです。  名前をかりた山東昭子さんにも幾ら行っているか、こういうふうなことが出ているのですね。これはまことにけしからぬと思うのです。貧しい人や世の中の困った人を種にして、そして仰々しく大きな会場を借りてチャリティーショーをやって、そしてタレントをいっぱい呼んできたりいろいろなことをやって、そして差し引いてみたら幾らも残ってなかった。関係者にそれぞれ払って、残った分の中の幾らかが本当に困った人のところに行ったということは、全くこれはばかにした話であるということが言えるわけです。こういうチャリティーショーというのは絶対許せない問題です。  だから、たとえば何かをやってみて、一切合財その主催団体で賄って、そこで上がってきた収益は、そのまま目的としたところの困っている人とかあるいはいろいろな社会的に不幸な方のところへ差し上げるのだというなら、これは筋が通ります。しかし、チャリティーショーを華々しくやって、テレビにのっかってやったその収益のわずか二、三十万か四、五十万しか行かない。それはどれだけのものをやったかわかりませんけれども、名前だけでっかくて、そして来る人がいっぱいいて、そして結果的にはスズメの涙ほどしか相手の手に渡らなかったというのは、これは全く世の中の不幸な人をダシに使ってやっているとしか言えないと私は思うのです。こういうことは社会的にも絶対許せない行為だと私は考えるわけです。  そこで、総理府の方としても「チャリティーによるカネ集めについては、法人の場合は主管官庁が監督しているが、任意団体についてはほとんどどこからも監督されないというのが、実情という。同じような交通事故被害者の団体である社団法人日本交通福祉協会は四、五年前に似たような歳末チャリティーをやったが、世間の批判が強く、総理府指導もあってそれ以来やめているといういきさつがある。総理府は「こうしたすっきりしない不況下のチャリティーブームは問題があるようなので、この際、実態をハッキリさせたい」といっている。」こういうように出ているのですが、実態というものはつかんでいらっしゃるでしょうか、一体どういうことが実態だったのか、その辺どうですか。
  27. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えします。  世の中の福祉事業あるいは慈善事業というものに、何かの催しをして会員を集めて寄付しようというような動きがよく見られますけれども、そういうことをやる任意団体についての何らの監督権限はないわけなんで、それは善意でやるならば、いま先生が言われたように非常にいいことなんですけれども、それに名前をかりて非常に悪質なことをやるということでありますと、少なくとも人を欺罔してまでやるならば、これは刑法上の詐欺罪で司法当局の手をかりなければならない、このように思いますが、今回出ておりますのは、たまたま交通問題にかこつけまして、かこつけるという言葉は悪いかもしれませんが、一応全国ムチ打ち症被害者対策協議会という団体にムチ打ち症の被害者に対しての基金を集めようということでやっておるようであります。  実は、この交通福祉慈善公演実行委員会というのは、去年もやはりある先生のお名前をかりてやったわけなんですけれども、そのときに、私の方の認可団体であります日本交通福祉協会というものの名前を勝手にかりておったということで、これは去年警告いたしましてわび状を取ったわけでありますけれども、ことしはちょっと名前が違うようでございます。しかし、大体似たような手口でございますので、私の方で主催者側の名前はわかっておりますので、どういうようにしてどうやるのだということを聞きただそうと思うのですが、これがいまなかなかつかまらないのです。それで二十五日にやると言っております。もちろん山東先生の方にも十分に監督方をお願いしておりますし、私の方も主催者側に、集まった金なりをどうするんだということは、私どもは参考までに聞く程度の権限しかございませんけれども、交通の被害者ということにして集めておるものでございますので、私の及ぶ限りの調査をして、厳重に、公正に行われるように指導してみたい、このように思っております。
  28. 沖本泰幸

    沖本委員 これで終わりたいと思いますけれども、これは十分に総理府の中で調査していただきたいのです。  それで、全く不幸な人とそれから人の善意を食い物にしているということですから、これはもう許せないことだと私は考えます。国会議員がうかうかと乗っているということも問題があると思いますけれども、それが社会的に十分肩書きなり何なりが役立って、そしてそのことが大いに役割りを果たすということであれば別ですけれども、国会議員の名前を使ってそれで金集めの材料になる、まして終わった後、慈善事業をやった残りのお金から名前をかりたお礼を持っていくなんて、受け取る人も受け取る人だと思いますけれども、だれが受け取ったかわかりませんけれども、それを持っていく方も持っていく方であり、その辺からも、私は全くけしからぬ、こう思うわけですが、その点も十分御調査をしていただいて、交通安全対策委員会ですから、場所は違うかもわかりませんが、われわれの関係のあるところから問題が発生したわけですから、まとめたものをまず当委員会にでも御報告願いたいということをお願いいたしまして、一応この問題に関する質問を終わります。
  29. 下平正一

    下平委員長 次に、紺野与次郎君。
  30. 紺野与次郎

    ○紺野委員 きょう私は、自動車の欠陥問題について質問いたします。  排気ガス問題でも、政府が自動車メーカーの利益を守って、必要な自動車の改善についてしり抜け行政をしているという点が明らかにされて大きな世論の指弾を受けたわけでありますが、私は、走行の安全についての欠陥問題についても同じような重大な疑問がありますので、以下質問をいたします。  まず第一番に、自動車事故で現在国が刑事あるいは民事の被告になっていて、損害賠償を請求されている事件はどれぐらいあるか、ちょっとまず聞きたいと思います。
  31. 田付健次

    ○田付政府委員 お答え申し上げます。  ただいま私どもの方で承知いたしております国が訴訟の対象になっております件は、四十五年の十一月に兵庫県の明石で事故がございました件につきまして承知をいたしております。
  32. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その明石問題ですが、日本自動車ユーザーユニオンからの資料によって見ると、昭和四十五年十一月六日、兵庫県明石市内の国道二号線で、運送業者のトラック、昭和四十年式三菱ふそうT390型十一トントラックが走行中に、下校途中の小学生をはねて、一人即死、三人が重傷を負うという事故がありました。     〔委員長退席、野坂委員長代理着席〕  この裁判事件は、刑事事件としては証拠不十分で不起訴になっている。しかし、被害者昭和四十七年四月十四日、国に対して千三百九十六万円の損害賠償を請求しているという事件、そうですね。いま私が言ったこと、そうですね。——この事件は、自動車の継続検査の場合に、検査官が自動車の後車軸上の後輪デフケースのブレーキパイプの摩耗による亀裂に気がつかなかったという理由で問題になっているというふうにわれわれは理解しているが、そうですか。
  33. 田付健次

    ○田付政府委員 被害者の方からの検査官に対する訴えの内容には、いまお話が出ましたように、検査官の検査上の手落ちであるという旨の内容になっているわけではありますが、この辺につきましては、いろいろいま係争中のところもあると思いますが、刑事的には先ほどお話がありましたように不起訴になっております。
  34. 紺野与次郎

    ○紺野委員 この事故の直接の原因というのは、後輪のデフケース上のブレーキパイプの摩耗による亀裂ですね、それができて、そこからブレーキ液が漏れてブレーキ不能になって事故を起こした、これについてあなた方の所見はどうですか。
  35. 田付健次

    ○田付政府委員 本件のような内容の場合に、私どもが通常とっております方法は、その現地での状況なり当時の様子なり車の状態等が、すべて中央でわかりませんので、地方の局に任せまして、地方陸運局が中心になって法務局と連絡をとりながら訴訟に当たっておりますので、私ども細かい内容はいまわかりません。
  36. 紺野与次郎

    ○紺野委員 あなたのその態度、あなたは何ですか、田付整備部長でしょう。あなたは最高知能だと言われている。それが最高のおとぼけ答弁をする人物だ。これは国会を愚弄するものだよ。われわれこれから質問するが、そういうことは絶対許せぬぞ。  この事故を起こした四十年式の三菱ふそうT390は、ブレーキの取りつけ個所、ここに欠陥があるのではないか。この点について、つまり取りつけ個所に欠陥があるために、パイプが絶えず接触、振動等によって摩耗がひどくなり、疲労もひどくなって亀裂を生ずる、こういうことで人を殺しているんですよ。あなたは一体何の部長さんですか。下の陸運局の方からそういうことも、それからメーカーを呼んで調査したことがありますか、それはどうですか。
  37. 田付健次

    ○田付政府委員 先ほどお話し申し上げましたように、この車自体は、年式の古い車でありますのと、継続検査を受けております使用過程車であるために、私どもの方で、そういう同じ型式のものについて何回も繰り返し同じような事故が発生した場合には、当然メーカーを呼んで対処させておりますが、たまたま発生しましたこの事案についてこの部分だけであることと、現在そういうことで地方の裁判所で裁判いたしておりますので、私どもの方としてはそちらの方にお任せをいたしておる状況であります。
  38. 紺野与次郎

    ○紺野委員 われわれの入手した資料、これは三菱自工の欠陥情報だ。これによると、すでにこの事故発生の四年前、四十一年以降の車種については、デフカバーの上のところにクリップで取りつけ金具をつけてブレーキパイプを固定する、そして振動が起きないように抑えるようにされている。明らかに構造の変更であります。  メーカーとすれば、自動車の型式指定規則第十三条によって、こういう場合届け出の義務があるわけです。また関係方面、ユーザーやあるいは整備工場に対して警告告知をやるべきでありますけれども、それを怠っているのですよ。あなた、このことを認めますか。これはあなたの方にちゃんとそういう手続がされているかどうか。それも知らないのですか。
  39. 田付健次

    ○田付政府委員 型式指定を受けました自動車の場合には、私どもの方に諸元表というものを提出することになっておりますが、その諸元表に記載されます内容について変更があった場合には、変更の届け出なり承認を受けることになっております。  いま先生お話しになりましたブレーキパイプの取りつけ場所、方法等の細部については、そのような諸元表等に書くことになっておりませんので、その意味での変更届けあるいは承認等は現在のところでは要らないことになっております。
  40. 紺野与次郎

    ○紺野委員 要らないと言っているけれども、明らかに構造上の変更をしている。そういうことについて、それ以前のことについても全部そういうふうにされているかどうかということを当然行政官庁としては指導しなければならないと思うのです。そういう点で運輸省は、「サービス通報」、こういうものが出てちゃんとそういうことが書かれているわけだから、そういうものを見て、そうしてメーカーに対して指導する、こういうふうに行政的な指導をやるべきであると思うのです。「サービス通報」等々によって、これを知っているのですか。どうです。
  41. 田付健次

    ○田付政府委員 私どもの方は、その通報自体はもらっておりません。
  42. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、これはあなた方もらってないはずないんですよ。もらっていないとすれば、これは当然道路運送車両法の第百条かによって立入検査もして、それらを調べなければいけない。調べることができるようになっているわけです。あなたもそういうことを言っているのでしょう。  だから、そういうものをちゃんととって——現にこういう事故が起きているのですよ。そうしたならば、それを調べて、やはりそういう欠陥について、重大な人身事故を起こし、自分たちの部下である検査官も裁判にかかるということになっているのですから、当然あなたは責任を持たなければいけない。あなたはそれについて全然何の責任もないという態度ですけれども責任があるじゃないですか。人身事故を起こしたような自動車の欠陥問題について徹底的に追及するということは責任あると思います。どうです。
  43. 田付健次

    ○田付政府委員 自動車の事故防止をすることのために、いろいろな私どもができる範囲のことをしながら所期の目的を達成することに、私どもは決してやぶさかではありませんし、努力をしてまいってきたつもりでございます。もちろん不十分かと思いますが、できるだけのことはしてきたつもりであります。  ただ、この件につきましては、たまたま継続検査の際に発生した使用過程車のかなり年式の古い車であるということと、先ほどお話ししましたように、類似のものが当時ございませんでしたので、私どもとしては特に処置をいたしておりませんで、現在地方の裁判所で係争の中に入っておるわけでありますが、当然こういう同種のものがたくさん出てきます場合には、やはり私どもとしてはほっておけませんので、その場合には当然メーカーを呼び資料をとり、対策を究明しまして、再び同種の事故が起きないように処置をさせているのが通例でございます。  この辺御理解をいただきたいと思いますが、たまたまこの件につきましては、そのようなことで現在係争中でございますので、そちらの方にお任せをしているというだけのことでございます。
  44. 紺野与次郎

    ○紺野委員 後でまたあれしましょう。要するに、あなたのその態度、これが疑惑だというんですよ。現実に事実が存在していて欠陥が明らかになっているのに、それを下の方の事務系統の人たちに任せているのだ。私のところは調べる義務もなければ、知らぬ。あなたは何のことはない、自動車メーカーの防波堤みたいになっているのじゃないですか。それが問題なんです。これが自動車行政の暗黒面なんですよ。あなたが代表している。  第二点の事実を言いましょう。その一つは、三菱自動車工業の四十七年と四十八年式の大型バス6DC2二百馬力、それから8DC2二百六十五馬力とT951系の大型トラックとダンプ、八トンから十一トン、これのハンドブレーキなんです。これの破損や滑りのためにきかなくて、そして衝突事故が多発している。  具体的な例を申し上げますと、埼玉県の加須市の田中大昭という方が、昭和四十七年の八月、行田市の付近で緩い坂でとめてちょっと小用をした。そのときに後ろを見たら、これが後ろの乗用車にぶつかってずるずるっと落ちて、どんと当たって衝突をした。そのことからいろいろ整備工場との関係があったけれども、それから非常に注意をする。四十七年の十月に、今度は草木ダムの峠の坂のところでやはりまたとめて、そしてちょっとおりた。小石をはさんでそれをとめようとしたところが、やはり今度は前の方にずるずるっと三十メートルころがり落ちて、そうして大きい石にぶつかって非常に大きな故障が起きた。こういうふうな事件が起きております。このハンドブレーキのきかない、破損と滑り、こういう重大な問題でこの方は何遍も整備工場と往復があったけれども、現在では人身事故が起きる危険をおもんぱかって使わない、車庫に入れております。  こういうのは明らかに欠陥自動車です。先ほどの自動車の型式指定規則十三条によって、当然構造的にこれを変え、リコールしなければならないと思いますが、どうでしょうか。
  45. 田付健次

    ○田付政府委員 いまお話のございました中のダンプの件につきましては、先生御指摘のようなユーザーの方が持っております車について、三菱ふそうとの間で係争が行われているようでございます。内容的には現在そういうことで争われておりますので、ここでとやかく申し上げるべき筋合いでないかと思いますので差し控えますが、現在までのところ、メーカーから聞いております範囲内では、これはもちろんメーカーだけの言い分ですから、私はそれを全面的に信用しているわけではありませんけれども、一応その状況を聞きますと、ハンドブレーキの能力喪失によるクレームはいままでのところない。それから、いまいろいろと先生から御指摘のありましたユーザーから主張されたふぐあいについても、当方には連絡がないのでわからないということで、いまのところ、メーカー側から私どもが聞いた範囲では、内容的にもリコールの対象になるというふうには思えないという状況でございます。
  46. 紺野与次郎

    ○紺野委員 すべてそういうことでメーカーの防波堤の役割りを演じているとしか言えない。いいですか。三菱自工が各デイラーに出している「サービス通報」、これによると、このハンドブレーキの破損と滑りの原因は、主軸後端のロックナットの緩みとロックワッシャーの早期異常摩耗、そしてミッション後部のオイルシールの油漏れ、これによってハンドブレーキの中に油が浸入して、そしてきかなくなる。これは明らかに設計ミスと耐久試験の不足、こういうことで製作上の欠陥であることは明らかなんです。  それで明らかに欠陥だということから、メーカー自身も昭和四十七年七月から、これがロックナットですが、このロックナットの緩みを防止するためにナットのかしめを、ここにありますけれども、緩まないように一ヵ所から二ヵ所に変更しておるのですよ。構造的に変えておるのです。四十七年十月からオイルシールをゴムつきに変更したのです。これも構造的に大きな変更です。四十七年十一月からワッシャー、座金とロックナットを一体化しています。これは一体になっております。四十八年四月からはミッション主軸ベアリングをボールベアリングからローラーベアリングに変更して容量を大きくした。さらに四十九年、去年の三月からはナットネジの外径を三十パイから三十六パイに大きくして強度を増強しております。  これは明らかに連続した変更ですね。これは明らかに重要保安部品ですよ。これの構造的な欠陥であることは明らかです。これらの構造変更を届け出てきておりますか、どうですか。
  47. 田付健次

    ○田付政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、ミッションの中のボールベアリング、ボルトナット類につきましては、特に指定の際に諸元表の中に記載することになっておりません。細部でございますので、私どもの方には届け出はございません。
  48. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いいですか、これが全部自動車の構造の重要な部品ですよ。保安部品ですよ。これを、私何も知りません、何も関係ありませんと言うが、整備部長でしょう、あなた。それこそ一台の部品は四千とかなんとか言われておる。それ自体に対してあなたは責任があるのですよ。その構造の重要な保安部品がこういうふうに続々と変更されておるのに変更届がないのですね。こういうことで平気でおられるという、その神経ですね。だからしり抜けだって言うんです。そういうことでユーザーとかあるいは国民に対して責任がとれるかということなんですか。とんでもないことだ。  それで、これは全部「サービス通報」に書かれているのです。あなた、届ける必要がない、こう言っておるけれども、会社の方ではちゃんと「サービス通報」で出しておるのです。だから8DC2、6DC2、T951系の「サービス通報」ですね、昭和四十七年一月から四十九年五月まで——ようく耳で聞いていなさい。四十七年一月から四十九年五月までの分を直ちに提出させて、そうして検討してもらいたい。まずその点、どうです。
  49. 田付健次

    ○田付政府委員 メーカーから事情を聴取することにはやぶさかではございません。
  50. 紺野与次郎

    ○紺野委員 やぶさかでないですね。やりますね。やりなさいよ。これは国会ですよ。検討して、そうしていま言ったようなことは、これは明らかに構造変更でありますから、これはリコールです。リコールするというふうにするか何らかの改善対策を立ててもらいたい。  これについて、いまあなた方そういう態度で言っているけれども、こういう欠陥構造の車がどんどん出ている。知らないうちにこういうことが一いろいろの点で手直しはある程度はしているけれども、みんな有料でしているのですね。ユーザーはそのためにどういうことになっているか。大型トラック業者はそのために車検のほかに年間に五十万円から二百万円の整備費が要るのです。そのために泣いているのです。そのことをあなた方はメーカーといわば協力して、そういう事態に置いているとしか考えようがない。  こういうふうな点から見て、ぜひこれを出させて、そうして検討して、しかるべき対策をとるようにということをわれわれ要求しますけれども、答えをお願いしたい。     〔野坂委員長代理退席、委員長着席〕
  51. 田付健次

    ○田付政府委員 先生お話のありました資料は提出させて検討いたしますが、その処置につきましては、先ほどお話し申し上げたように、また先生からお話もありましたように、現在係争中でございますので、その辺は慎重に扱わせていただきたいと思います。
  52. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その次に、今度は運輸省がさらに重要な欠陥を知っていて放置しているというふうに思う点について、これはトヨタのトヨペットコロナ、RT100系の車両の欠陥です。これは前輪懸架機構のロアボールジョイントの脱落事故により走行不能になっている問題であります。  これは昨年十一月九日付の北海道新聞でこう書いてある。「トヨタ自動車工業の乗用車新型コロナに欠陥の疑いがある部品があることがわかり、ハイ・タク関係を中心に補修が行われている。部品ゴム部にキ裂が入り、前輪が脱落するもので、道内ではこれまで十一件起きている」と報道されている。それから運輸省自身の自動車局が出している、あなたのところですが、四十九年度の自動車運送事業用自動車事故統計年報十八号、これを見るというと、そういう事件が四件載っている。共通していることは、走行中に異常音の発生と同時にスリップして停止する。点検するというと、フロントサスペンションのロアボールジョイントが脱落して走行不能になっている。これは四例とも全部そうなっております。どうしてこのような事故が起きているのですか。
  53. 田付健次

    ○田付政府委員 実は乗用車の中でも特にタクシーにこれは非常に多くございまして、私どもの札幌陸運局が毎年——これは札幌陸運局だけではございませんが、毎年運送事業の監査をしておりますが、その定期検査の際にタクシー関係で発見できた事実でございます。  内容は、乗用車の前輪を支えておりますアームが上下にございますが、その下側のアームについておりますボールのところに、北海道でございますので雪なり氷なり水なりがかかりまして、それが氷結してしまいます。その氷結したかたまりが実は邪魔をしまして、わざわざそこへごみが入らないようなゴム製のものをつけてあるわけですが、そのカバーを押し上げるというようなことをするために、この中に泥水とか汚水等が入りまして、摩耗して破損していくということがわかってきたわけであります。内容的にはそのようなことで起こる欠陥でございます。
  54. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうしたら、これがもっとスピードが大きければどういう大きな人身事故になったかわからない、こういうふうなきわめて重大な欠陥です。そういう危ないものをリコールしないのですか。
  55. 田付健次

    ○田付政府委員 私どもいまこの問題につきましては警戒中でございまして、その結論をどうするか、いま実態をよく見きわめようということで待っておるわけでございます。と言いますのは、この事故が、あるいはこういう欠陥が出ておりますのが営業車に限られている、しかも北海道地区にしかない、ほかの地区に見られないわけであります。北海道の中でも自家用にこういう欠陥が出たというのはいまのところございません。  そこで私どもが想像するのは、恐らく非常に走行の頻度の高い、しかも朝晩急冷、温度の下がるときもあれば、また昼間になると氷が解け出す、そういう中を走って汚水を浴びながら、さらにまた夜間になるとそれが冷えて固まってしまうというようなことで、繰り返し繰り返し非常に頻繁に使って衝撃も非常に大きいというようなことが原因ではなかろうかと思いますので、私ども警戒を緩めておりません。誤解をしないでいただきたいと思いますが、ただその地区が非常に限られておりますので、いまのところそれに必要なだけの対策は講じたつもりでございます。
  56. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは弁解だ。そしてまた大変なことを言っていると思うのですね。その態度は何ですか、状況を見ているところだとか、北海道にしかないとか。  ところが、仮に北海道に多発しているということがあっても、現にそれと同じ問題がすでに東京では起きているのですね。東京でも共通の部品のダストカバーを使用しているトヨペットクラウンのボールジョイントダストカバーを昨年の七月にトヨタ部品東京共販が本社の指示でもって旧部品を全部商店から引き揚げるということをやっているのです。しかも部品ナンバーはもう変わっているのです。前のものは四三三三〇−二九〇五五です。今度の新品は四三三三〇−二九〇六五です。  一番おしまいのところの五五が六五になっております。こういうふうに下から二けたのところに部品ナンバーの変更があるというのはかなり重要な構造上の変更なんだ。明らかに形状とか材質、そういうものの変更をしている。  だから、こういう点で現に行われているこういう重要な構造変更、その届けをしているのかどうか、それはどうですか。
  57. 田付健次

    ○田付政府委員 届け出はございません。
  58. 紺野与次郎

    ○紺野委員 届け出てない。それでは、あなた方さっき知っていると言いましたね、見ているのだと言いましたね。何を見ているのですか。
  59. 田付健次

    ○田付政府委員 先ほど監視をしておりますと申し上げたのは、私どもがいま握っております情報では北海道地区にしか発生していない、しかもごく限られた営業車にしかないということで、営業車についてはすでにもう取りかえとかカバー等の処置を講じましたし、なお北海道地区の自家用車にもあってはいけないということで、念のためにそれぞれ入庫の際にメーカーあるいはディラ一側が適当な処置をとることになっております。一応それで他に波及しないかどうか、私どもの範囲ではいまのところ的確な情報がつかめませんので、他への影響が出てくるかどうかの確認をしたいということでいま監視をしておるわけでございます。ただ、いま先生お話がありましたようなことがあれば、私どもとしてはさらに調査をしたい、こういうふうに思います。
  60. 紺野与次郎

    ○紺野委員 あなた方は黙認をしてこういうことをメーカー側にやらしている。いまの態度は黙認しているのです。だから、そこのところで自動車メーカーとあなた方の運輸省、それから自民党政府というものが全く密着している。そうしてこういうことを黙認して、そのままどんどんユーザーたちに金を出させ、欠陥を補わせるようなことをしているのです。そういう点で、トヨタから出ている同じこの種の対象車であるコロナ、クラウンそれからマークII、これらの技術連絡書を昭和四十八年と四十九年度分を全部提出させて、そうしてもし出さないと言うのなら立入検査をやってでもそれをとってもらいたい。そうして現にこういうふうな事実、これはオゾンによる作用とか、いろいろなこともあるし、なかなかそう簡単に北海道だけの特殊事情であるというふうなことは言えない、こういう点で、とにかくリコールを指導するようにやれということ、まずこの点について、もう一遍この技術連絡書を全部とるかどうかということをお聞きします。
  61. 田付健次

    ○田付政府委員 先生御指摘のありました東京地区についてどのようなことをやっていたのか、またやっているのか、この点については調査をしてみたいと思います。
  62. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それから現に新しい部品が出ている構造変更、四十七年七月以降先ほどの新しい部品が出ているのですよ。これも構造変更の届けばないのですから、これを堂々と届け出させるべきじゃないかと思うのです。そういうことが行われているということを、構造変更を堂々と届け出させる、隠密のうちにやるのじゃなくて、堂々とやらせて、そうしてユーザーを保護するということをやってもらいたい。この点ではどうです。
  63. 田付健次

    ○田付政府委員 自動車の重要な部品のすべてつきましていろいろな変更が起こる場合、すべてこれを国に出さなければならない、役人は全部それを詳細に調べて比較検討して指導するということがもしできれば、私どもとしては非常に理想的な状態かと思うのでありますが、実は部品の数は非常に多いのと、もっと私どもとしては自動車全体の形としてブレーキ性能であるとか、ハンドル性能であるとかということにウエートをかけてしなければならないものもありまして、現状ではすべての部品についていまお話しのような変更を全部届けさせてということにまではややちょっと踏み切るのはむずかしいのではないかと思いますが、しかし……
  64. 紺野与次郎

    ○紺野委員 全部じゃないですよ。いま言ったでしょう、これに限って、四十七年七月以降、さっき番号も言いましたね。無限にあるわけじゃない、ナンバーは大きいけれども
  65. 田付健次

    ○田付政府委員 特定の部品についての先生御指摘のような問題点についての調査は、これはいたしたいと思います。
  66. 紺野与次郎

    ○紺野委員 調査するだけじゃないのだよ。それを構造変更をしたと言って、メーカーに公然と届け出させるようにせよということなんです。どうです、それもこわいですか。
  67. 田付健次

    ○田付政府委員 部品等を改善して変えました場合は、メーカーはディラーを通じまして当然サービスショップに知らせておきませんと、ふぐあいを生じますので、そういう意味ではある程度公表されておるわけであります。  役所に届け出ろということをさせますためには、しかるべく法律なり、省令なりに義務づけなければなりません。それをしますことがまず第一に必要であって、さらに出てきた件数が、これが非常に多数になってまいりますと、結局最後は役人の数もそうありませんので、ただ出てきたというだけになってしまって、実質的なものが伴わないというのでは問題ではなかろうかと思ったので、先ほど申し上げたつもりでございます。
  68. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、自動車型式指定規則十三条ではそういう届け出の義務を言っているわけだから、それに従ってこれをやらせるようにせよ、してもらいたいということなんです。これはできませんか。いま言いました部品のメーカーがすでにそういうことをやっているということについて、やはりそういうことを届け出させるというふうに指導できないか。
  69. 田付健次

    ○田付政府委員 先生お話が出ました十三条は、リコールに関する届け出の部分でございますが、アメリカではこの問題を一つ片づけるために三十数名の要員を抱えた専門の課がございまして動いているようであります。私ども運輸省の現在の要員はまことに微々たる数でありまして、要員の面からいきましても、いきなりそこまではなかなか飛び込めないという状況でございます点を御理解いただきたいと思いますが、私どもとしてもなお体制の整備なり内容の検討については研究してまいりたい、こういうふうに思います。
  70. 紺野与次郎

    ○紺野委員 もう一つ、いまのように運輸省が欠陥を知っていながら事実を隠していると思われているのは、日産のサニーエクセレントPB110型、これの昭和四十六年四月から四十八年四月まで販売されている一四〇〇セダンとクーペ、これは約十五万台、この間にそういうふうに売られているものですが、それのフロントブレーキホースですね。これです。これがひび割れ、損傷がひどいということです。いいですか。ほら見えるでしょう、皆さんこういうふうに。それからこれもそうです。同じようにここはひび割れになっております。それがたくさん来ておる。これは走行二万キロで早くもこうなっておる。こういうものは本当は二十万キロなくちゃならない。これは二万キロか九千キロでこうなるのです。みんなこういう大きな口をあけて、ぱかっとこう割れているのです。こういうのですね。これは明瞭に欠陥品です。  これは、果たしてこういうひび割れについて構造変更をするというような届け出が出ておりますか。
  71. 田付健次

    ○田付政府委員 これまたおしかりを受けるのでありますが、材質の変更等についてまでは私ども届け出制度を持っておりませんので、それはわかりません。ただ、これもまたおしかりを受けるかもわかりませんが、北海道地区では実は非常にたくさん発生いたしておりまして、これはたしか日産でございますが、日産の方から、北海道地区についてのこのブレーキパイプのホースについての注意を各ディラーを通じて出したという連絡が来ておりますので、その事実については承知いたしております。
  72. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これをそっちの方へ見せてください。これと同じホースのあれを使っておった日産のブルーバードUですね、これは堂々とリコールしております。昨年の三月七日にブルーバードの方のU、これははっきりリコールしております。どうしてサニーだけがこれをやらないのですか。何か特別の理由はありますか。
  73. 田付健次

    ○田付政府委員 私どもがメーカーの技術屋を呼びまして聴取して承知していますのを御説明いたしますと、サニー系とブルーバード系とブレーキホースのクランプの仕方が非常に異なっております。それが恐らく原因だろうと思います。両方ともゴムホースそのもの自体の材質は変えていないようであります。  なぜ片方だけ起きて片方起きないかということでありますが、先生承知かと思いますが、ブレーキを踏む場所は、運転台で踏んでおります。運転手が乗っている車体の部分とそれを伝えなければならない相手の車両、車輪の方でありますが、車輪の方とは相対的にお互いに移動し合います。横で自動車の動いているのをごらんになるとわかりますように、車体に対してタイヤの方が上下動をやっております。  そういうふうに動かないものの場所から動く相手にものを伝えるためのパイプでありますので、どこかでとめておきませんとぶらぶらしてしまうということになるわけであります。そのとめ方、クランプの仕方が、ブルーバードUの場合にはこのホースの中間で固定をいたしておったようであります。したがって、サニー系と比べますと、そのクランプをしている場所での屈曲等のつらさがサニー系よりはひどく出てきているということで、ブルーバードにつきましてはクランプの仕方も改めたようでございます。したがって、ブレーキホースそのものの材質は特に問題がないのでありますが、クランプの仕方が違ったためにブルーバードUの方はそういう結果が出たものと思っております。
  74. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ところが、いいですか、これは二つありますけれども、これはサニーエクセレントの方のいま言いました亀裂の生じているものに対して、メーカーは四十八年五月にモデルチェンジをしたものです。そしてPB110型からPB210型にモデルチェンジをしたときにこっそり、これは二十八センチのものを三十センチに、二センチ多くしました。これを見てください。ちゃんと二センチ長い。こういうものに取りかえた。そして材質も変えたのです。これはきわめて柔軟なものに変えた。こっちの方はそうなっていない。こういうふうに材質的な欠陥、長さの上でも欠陥があるということから、これが多発している。前の十五万台はこういうようになっているのです。その後のものについてモデルチェンジしたときから、こういうふうに変っているのです。変更しているのです。これは知っていますか。
  75. 田付健次

    ○田付政府委員 先ほど御説明しましたようなタイプの中に入りますので、私どもの方には特に届け出は来ておりません。
  76. 紺野与次郎

    ○紺野委員 知っていないのですか。
  77. 田付健次

    ○田付政府委員 先ほどお話し申しましたような範囲の中に入ってしまう変更でございますので、私の方には届け出はございません。
  78. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、その点で、あなた方は全部これを、われわれに責任ないものだ、そういうふうに言う。無責任に、これに対する責任というものを全部拒否しているのですね。整備部長という名前は、何のためにそういうことをしているのか、私はわからない。それは大きな欠陥であって、そしてまた無責任と言わなければならないと思うのです。  現に、いままでの規則によれば、整備関係の書類についてみると、こうなっておるのですね。検査主任者の実務必携というものの中に、制動装置の「ホース及びパイプ」という条項で、漏れそれから損傷及び取り付け状態、これについては事業車は一ヵ月に一回点検をする必要がある、自家用車については六ヵ月に一回検点をしなければならない、こういうふうに明らかに、ホース及びパイプについては漏れや損傷について、事業車は一ヵ月に一遍点検しなければならないという規則が出ているのです。そうしたら、こういう規則がある以上は、明らかにこういうことが発生しているということについて、当然検査によって明らかにし、そして対策を立てるというようにしなければならないのじゃないですか。どうですか。
  79. 田付健次

    ○田付政府委員 私ども国の方は少ない人数で最大の効果を上げようということで、先生承知のような定期検査をいたしております。乗用車は二年に一回、トラックは一年に一回やっておりますが、その中間の自動車の安全性の保持は、私ども街頭検査でチェックする以外にいまのところ方法はございません。もともと自動車の保安を確保する基本的な責任はユーザーにございますので、自動車をお持ちでお使いの方々に、定期的に点検整備をしてくださいということを法律に基づいて呼びかけておるわけでございます。  その内容が、いま先生からお話がございましたように、営業車については一ヵ月ごとに、自家用車については六ヵ月ごとに、大事なところを点検していただきたいということで、運動をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういうことを励行していただくことがまず基本的に大事なわけでありますが、その点検をしたときに出ましたふぐあい、あるいは発見できた損傷等につきましては整備工場で取りかえなどをいたしますので、整備工場の方からのデーターをまとめますと、そういうことの実態がある程度明らかになると思うのでありますが、非常に細部であるために、恐らくなかなか記録もできないかと思いますが、いずれにしましても民間側の、要するにユーザー側の処置の中にゆだねられているために、私どもとしてはなかなか実態をつかまえることがむずかしいというのが現状でございます。
  80. 紺野与次郎

    ○紺野委員 しかし、あなたは届け出がなかったとか、さっきこういうふうに変更されているものがなかったとか何とか、いろいろ言っているけれども、このダットサンPB110系統のフロントブレーキホースに関しては、すでに自動車整備振興会、そういうたくさんの事故を発見して、修繕したりなんかしてわかって、そして自動車整備振興会から整備工場に対して文書を出しているのですね。その中に、いま言った「ダットサンPB110系車のフロントブレーキホースに関するお願いの件」としてこう言っているのです。日産の方は、この欠陥については陸運局から指摘されている。だからということで文書が出ているわけなんです。だから、陸運局から本省にこういう重大な事故が現に出ているということについては、やはり報告が来ているはずであるけれども、これは知っているんでしょう。陸運局ですでにそういうふうに日産に対して指摘をしているというのですから、陸運局は知っているはずなんです。それを日産にだけ言って、本省の方に言わないということはないですね。あなた、それを知っていますか。
  81. 田付健次

    ○田付政府委員 当然、当時連絡が何かの形であったと思いますが、私はいまちょっとはっきりどのようなことであったのかはわかりません。日産の方から連絡がありまして、先ほど先生からお話がありました振興会が出したというのは、日産自動車の方から振興会に依頼をしまして、日産自体の自衛策としてこういうふうな欠陥が出るといけないので、自家用車等が入庫したときには入念に点検をしてください、その周知方を日産から振興会に依頼をした、そして振興会がそれを出した、こういうことであろうかと思います。
  82. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、そのときにその文書に陸運局から日産は指摘された、こう言っているのです。陸運局がそれを重大と見て指摘しているのです。だから、それは本省のあなたの方に報告が来ているのかということです。忘れたといま言っているけれども、それはどうなんですか。
  83. 田付健次

    ○田付政府委員 当時、口頭等で連絡があったとは私は思います。
  84. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そしてどうしたのです。口頭で言って忘れたのですか。
  85. 田付健次

    ○田付政府委員 当時の様子を調べた限りにおきましては、日産を、本省が情報が入りましたので呼び出して、どういうことかという事情をよく聴取しておるようであります。その結果わかったのは、先ほどのコロナの場合とよく似ておりまして、とりあえずその当時においては北海道によく起きているということで、どうもほかの地区にはなさそうだということがわかったわけであります。
  86. 紺野与次郎

    ○紺野委員 先ほどもオゾンの話もしましたけれども、こういうものの老化を促進するというのは、北海道だけにこれは災いがあるわけじゃない。やはりそれは同じなんですよ。だからこそ全体としてモデルチェンジの際からこれは材質も変え、しているのですね。  ですから、当然十五万台、先ほど言いました期間につくられたこの車についてはユーザーの責任においてではなくて、当然メーカーの責任において全部これをかえるべきなんですよ。それがリコールなんです、欠陥車としての回収なんです。それをやりますかどうですか。
  87. 田付健次

    ○田付政府委員 私どもがいままで調べております範囲では、直ちにリコールという状態に突入するような状態になっておりませんが、先ほどお話しましたように、地区的に多少片寄った発生を見ておりますので、私どもとしてはなお監視を続けていきたいと思いますし、必要な調査を行いたいと思っております。
  88. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それではわれわれこの国会の委員会としては承服できない。待って、観望しているというそういう姿勢ですね。これは結局メーカーとあなた方が共謀して、そうしてそういう事態を放任しているということだ。そうじゃないですか。やはりメーカーのそういう悪徳商法の片棒をかついでいるような行政と言われてもしょうがないじゃないですか。どうです。そこを変えてほしいというのです。
  89. 田付健次

    ○田付政府委員 御理解いただきたいのですが、技術的な改善の場合と技術的な欠陥の場合との区別が非常にむずかしゅうございます。したがいまして、私どもとしては十分自信を持って私どもの判断で、これは技術的に欠陥だということがはっきりするまで取り扱いを慎重にしたいという意味で申し上げたつもりでございます。
  90. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、技術的な欠陥だということを証明されて、こういうふうに改善されたものも出ているのです。ですから、その前の部分について、はっきり回収するというふうにしてもらいたいのですが、その点はどうです。
  91. 田付健次

    ○田付政府委員 いまここでそのようにするということを申し上げるような私自身の証拠資料もございませんし、もう少し時間を与えて研究させていただきたいと思います。
  92. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それでは政務次官に続いて聞きます。  こういう重大な、明白にもう証拠品も、新しいものもできておって、その前のものについては明らかにこういうふうに言われて欠陥になっているわけですから、こういうものを調べて、そして明白にこれはメーカーの責任として改善するというふうに努力してもらえるかどうか、大臣のかわりに、あなたひとつ。
  93. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 紺野委員御指摘の点につきまして、それを徹底的に全国的にこれを行なえればもちろん一番よろしいと思いますけれども整備部長が申し上げたとおり、これには法的あるいは人的構成上の整備もたくさん行わなければなりませんので、現状よりもさらに一層前進するという意味で監督指導の強化に努めたいと思う次第でございます。
  94. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、これから対策として要求したいことは、まず第一番に、トヨタは「技術連絡書」というものを出していますね。日産は「サ・技指導書、ササ外」というこういう二つの文書が出ております。三菱は「サービス通報」、本田技研は「サービス作業要領」、みんなこういう欠陥情報とでも言うか、こういうものであります。  したがって、これを行政官庁として当然、先ほどもそれじゃ取りましょうというものがありましたけれども、他の会社についてもこれを行政官庁として取ってもらいたいということ、また日産には「日産クレーム会議議事録」というのがあるのですよ。トヨタには「トヨタ重要品質会議議事録」というのがあります。ですからそういうものも取って、そうしてやはり国民及びユーザー全体のためにそれを洗って、そうして先ほど言いましたようないろいろの重要な欠陥が伏在しておりますから、それを検討してもらいたい。これが一点。  それから万一、それを出すことを拒むような場合には、道路運送車両法第百条によってそれを点検する、出してもらうようにするというふうにしてもらいたい、これが一つです。  それから、明らかにそういうことで欠陥による故障で整備した事例がはっきりした場合、ユーザーに対して有償の部品代あるいは整備費を返却させるようにしてもらいたい、欠陥であるということがわかった場合。そのためにいままで有料で部品その他こういうものをかえさせられているというふうなことがわかった場合に、これを返却させてもらいたい。  それから、過去の欠陥車の訴訟を洗った結果、欠陥が明らかになって、それがもとで起こった事件について、一方的に裁判や何かで支払い能力がないということで体刑を受けているような家族、これに対しては何らかの救済手段をとってもらいたいということをまずお願いしたいと思いますが、どうですか。これは政務次官と両方お願いします。
  95. 田付健次

    ○田付政府委員 第一点の、いろんなメーカー関係の資料の取り寄せの問題でありますが、取り寄せること自体についてはとやこうという問題はないのでありますが、私どもとしてはそれを取り寄せる意味から言いますと、当然しかるべき実質的な効果を上げなければ、ただとったというだけにしかならないと思いますので、とる以上はやはりそれなりのきちんとした人数をそろえて、そして国民の皆さんにおこたえできるような形にしたい。それには何といっても人間が必要であります。それはとてもいまの情勢から急速にはちょっと伸びそうもないのでありまして、私ども努力はいたしてまいりますが、そういう点で御理解をいただきたいと思います。  それから、欠陥品についての取りかえについて、有料でとったものは無料にするように返却をせよというお話でございますが、アメリカでは欠陥部品だということでメーカー自体が自発的に、あるいは国がそのようなことを認めた場合には、無償で取りかえろということがちゃんと明記されておるようであります。この辺はやはり制度上の問題が多少あろうかと思いますので、今後研究さしていただこうと思います。  それから最後の、裁判の問題でありますが、私、ちょっと専門外でよくわかりませんのですけれども、その方の機関に先生の御意向を伝えまして、また研究さしていただこうと思います。
  96. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 現状でできる範囲の最大の努力をいたす所存でございます。
  97. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それから、運輸省自動車局は、昭和四十四年六月十七日付で日本自動車整備振興会連合会会長あてに「欠陥車問題に対する対策について」という通達を出しております。その中で、別紙三で、運輸省に関する事項というところがあって、その中でこういうふうに言っているわけですね。  いま言われたように体制が弱い、だから体制をこれは強化しなくちゃいけない、そういうことです。そしてその中で三つのことがいわれておる。一つは、自動車審査センターというものをつくる。その次には、車両欠陥事故等を専門的に解析する。いま言った膨大な資料をとって専門的に解析する事故解析部というものをつくらなければならない、こう言っているのです。全くきょうの質問によって明らかになったように、これが必要だということは明瞭であります。また陸運局には、そのために事故調査担当する専門調査官を配置する、こういうふうに書いてあるのです。これは全部どうですか、やっておりますか、これをお聞きしたいと思います。
  98. 田付健次

    ○田付政府委員 先生御指摘の点を順に御説明いたしますが、総体的に申し上げますと、この当時、運輸省としてやりたい、またやるべきだと私どもが計画しましたことについては、曲がりなりにも形を整え得たというふうに思いますが、なお今後とも体制を強化すべきだと思っております。  まず第一点の、審査センターと当時申しておりましたのは、当時の予算折衝の結果、センターではなくて審査部という形になりまして、ちょうどその審査部ができました四十五年の七月に、片方で交通安全公害研究所の設立を要求いたしましておりました。これまた公害の問題とかいろんな安全の問題等につきます研究の体制の整備が必要でございましたので、交通安全公害研究所の設立を要求いたしておりました。それといまの審査センターのかわりました審査部とが一緒に同時に併設されて認められたわけであります。それが四十五年でございました。当初まことに少ない人数でございましたが、その後少しずつ増員の強化をお願いしまして、現在七十九人ということでこの研究所が動いております。  それから二番目の事故解析部でございますが、当時解析部ということで要求いたしましたのは、先ほどお話しした審査部ないし研究所ができました四十五年に事故解析研究室ということになりまして、同時に認めてもらいました。これも先ほどお話しした研究所の中の交通安全部という部の中に設けました。現在四人の定員で動いております。  それから三番目の地方への機構、体制でございますが、陸運局九つございますが、そのうち大きい局には事故公害課という課を設置いたしております。四十二年に東京陸運局、四十七年に大阪陸運局、四十八年名古屋陸運局、四十九年には福岡にそれぞれ事故公害課を設けました。さらにそのほかに、課がなくても専門官を置こうということで、課のありますところにもさらに同時に置きましたので、四十六年には先ほどお話しした東京、名古屋、大阪、福岡に専門官を置きますと同時に、課のないその他の五つの局、札幌、仙台、新潟、広島、高松に、それぞれ専門官を四十七年に設置をいたしております。以上であります。
  99. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最後のその専門官が幾つか置かれてあるということ、これは公害専門官と私聞いているのですが、事故解析専門官じゃないようですが、どうです。
  100. 田付健次

    ○田付政府委員 実質的にいまウエートが非常にかかっておりますのは、公害の方が大きいものでありますので、公害専門官と通称なっておりますが、私どもとしては余力のある限り事故解析の方もやるように、機能的には両方の仕事をもってもらっております。
  101. 紺野与次郎

    ○紺野委員 一人でですか、一人でそれをやるのですか。
  102. 田付健次

    ○田付政府委員 はい、そうです。そういうことでいま考えております。
  103. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これについてはやはり事故解析専門調査官というふうにして、公害の方は公害としてこれを区別しないと、ごまかしになるのですね。そしていまは重点は公害だからといって事故の方は後回し。やはりこれもいいかげんな体制だと思うのですが、これについて行政管理庁の方、こういう態度はいいのかどうか、ちょっと聞きたいと思います。
  104. 竹村晟

    ○竹村説明員 定員の配置の問題につきましては、現在一方で定員の削減をいたしまして、それをまた増員の必要な部分に振り分けるというふうな措置政府全体でとっておるわけであります。したがいまして、非常に重要度が高いもの、必要性の高いもの、こういった行政需要の高いものにつきましては増員をしていくというふうな態度をとっております。
  105. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いま言いました陸運局の専門調査官ですね、これを公害と事故と両方一緒にして、主としていまは公害をやってもらうのだというふうなやり方ですね。やはりこれはちゃんと事故調査の方の解析員というふうにしておくようにするのが本当じゃないですか、それを聞きたいですね。どうですか、行政管理庁の方は。
  106. 竹村晟

    ○竹村説明員 あるポストの職の人がどういう仕事をするか、その辺は一番効率的な仕事ができるような体制が必要だと思うのですが、それは各省でやはり判断していただく問題ではないかと考えます。
  107. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それについてはぜひ専門の解析調査員を置いて、膨大なああいう資料があるわけですから、そういうものを研究して直ちにこれを生かしていくというふうな活動、これができるようにあなたに努力じてもらえますか。
  108. 田付健次

    ○田付政府委員 先生からのお話を待つまでもなく、私どもとしてはなるべくそういう体制は充実していきたいという側でございますので、従来も、専門官をお願いした後、時期が来ますとそれを課に上げてもらおうということで、名実ともに事故も公害もはっきりできる体制をつくってまいりました。したがいまして、いま専門官しかないところも、将来は必要に応じて大事なところから順に事故公害課の課へ上げていくように要求をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  109. 紺野与次郎

    ○紺野委員 政務次官、そうですね。
  110. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 努力いたします。
  111. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最後に、時間がありませんから申し上げますが、以上の点から見て、非常に交通事故が多発しているという問題の一つの側面はやはり欠陥車だ。この対策ですね。これは統計もわれわれ持っておりますけれども、トラック、ダンプ、こういうもの、またバスも事故が起こっております。それは多分に欠陥からきているというふうに見られる。  そういう点で、そういう欠陥が明らかになったものについてはぜひ正式にリコールをさせる。欠陥が明瞭なものについては正式にリコールをちゅうちょしてはならない。そしてやはりメーカーについても即刻これを直すようにさせるという基本態度、これは異存ありますか。ちょっとこれをお聞きしたいと思うのです。
  112. 田付健次

    ○田付政府委員 欠陥自動車等が使われることは重大問題でありますので、基本的に欠陥自動車あるいは欠陥部品を排除するということにおいて私ども努力をしてきたつもりでありますし、これからもしたいと思います。  ただ、問題は、欠陥とは何かということが実は非常に問題なのでありまして、技術的な改善進歩をしていく過程の中で、明らかに設計または製作上のミスであるということが明瞭にわかるという条件が必要になってまいります。ところが、片方では、材質の改善だとか機能の改善だとかいう、いわゆる通常行われます技術の進歩という面もございますので、この辺の見きわめが非常にむずかしいところだ、こういうふうに思いますので、この点は今後とも十分慎重に考えていきたい、こういうふうに思っております。
  113. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その点でごまかさないようにしてください。欠陥についてはやはり明瞭に、厳正に、リコールもして完全なものにするということ。そういう点で、具体的には道路運送車両法の抜本的な改正がどうしても必要だというふうにわれわれは考えます。いま言ったような設計とかあるいは品質というような点で、欠陥に対する対策情報というものを各メーカーは持っておりますから、そういうものの報告をすべて義務づけるようにするということや、それからそれを拒む者については、やはり法的にも処罰事項をもっと完全にさせるというふうなこと、あるいは安全基準を満足にできないような車が見つかった場合には、それが安全基準に戻るまで車の販売をとめるということ、それからリコールについては、単にメーカーの自主判断というだけではなくて、いまあなた方がおっしゃったように、個人の頭で、ああも考えこうも考えるというのじゃなくて、運輸省と消費者組織の代表という協議会をつくって、そしてこれが本当に欠陥かどうかということを判断して、その上で公正に決定するというふうな内容を持った改正がやはり必要であるとわれわれは思うのですけれども、そういうことを検討してもらいたい。これは部長と政務次官、お二人にお答えをお願いいたします。
  114. 田付健次

    ○田付政府委員 いまいろいろ御提案のございました件につきまして、なかなかむずかしい問題も多いかと思いますし、急にできないものあるいは国情になかなか合わないもの等があるかと思いますので、その点は十分検討して、また来るべき車両法の改正等の際にはその内容の改善を研究してまいりたい、こういうふうに思います。
  115. 小此木彦三郎

    ○小此木政府委員 事人命にかかわることでございますので、紺野委員のおっしゃること、一々ごもっともでございます。しかし、たびたび申し上げますとおり、いろいろ法的あるいは人員構成上の問題もございますので、これらを勘案しながら慎重に検討して、努力したいと存ずる次第でございます。
  116. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、これで質問を終わります。      ————◇—————
  117. 下平正一

    下平委員長 次に、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。  交通安全対策に関する件につきまして、閉会中もなお審査を行いたい旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 下平正一

    下平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長への申し出に関する手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 下平正一

    下平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会