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1975-11-13 第76回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十三日(木曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長代理 理事 野中 英二君    理事 大竹 太郎君 理事 片岡 清一君    理事 三枝 三郎君 理事 勝澤 芳雄君    理事 野坂 浩賢君 理事 平田 藤吉君       足立 篤郎君    加藤 六月君       唐沢俊二郎君    佐藤 守良君       美濃 政市君    紺野与次郎君       沖本 泰幸君    渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         運輸省船員局長 高橋 全吉君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道旅         客局長     馬渡 一直君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  岩崎 雄一君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団営業部         長)      藤岡 長世君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十一月十三日  辞任         補欠選任   井上  泉君     美濃 政市君 同日  辞任         補欠選任   美濃 政市君     井上  泉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 野中英二

    野中委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行います。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 昨年の三月に船舶職員法改正されまして、小型船舶免許制度が大幅に変わりましたが、その後の施行状態はどうなっているか、まず最初に、御説明いただきたいと存じます。
  4. 高橋全吉

    高橋(全)政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、昨年の二月に船舶職員法の一部改正が行われましたけれども、その主な内容を申し上げますと、一つには、小型船舶に対する船舶職員法適用を拡大したことでございまして、これは五トン未満の旅客運送の用に供しない船舶にまで船舶職員法適用を拡大したということが第一点でございます。第二点は、新しい小型船舶操縦士免許を設けたこと。それから小型船舶の運航の実態に合わせまして配乗表を定めました。これはすなわち一級から四級まででございます。小型船舶操縦士をその配乗表によって定めた。それから第四番目には、免許取得のための試験制度を整備したこと等でございます。  この新しい制度に基づきまして小型船舶操縦士免許取得した者の数は、ことしの十月一日現在で約二十八万三千八百名でございまして、その内訳といたしましては、試験に合格した者及び運輸大臣指定しました養成施設養成を終了した者が三万九千八百名及び改正前の旧法関係で三十四万三千名がこの小型船舶操縦士免許取得しております。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、免許取得するにはどういう方法になっているか、御説明いただきたいと思います。
  6. 高橋全吉

    高橋(全)政府委員 免許する方法といたしましては、次のような方法がございます。  まず第一には、指定機関、これは運輸大臣指定しました指定試験機関でございますが、それによる試験を直接受けて免許取得する方法一つでございます。  第二は、乗船履歴を持っていない方でございますが、この方につきましては、運輸大臣指定しました養成施設学科実技講習を受けることによりまして試験を免除されております。  それから第三は、乗船履歴を持っていらっしゃる方につきましては、運輸大臣指定しました養成施設学科だけの講習を受けて試験を免除する、こういう三つ方法がございます。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは次に、漁民のように経験のある者と全然経験のない者との免許取得方法はどういう差になっておるのですか。
  8. 高橋全吉

    高橋(全)政府委員 ただいまも申し上げました一級から四級までの小型船舶操縦士資格に関します免許でございますけれども免許取得方法はただいま申し上げましたとおりでございますが、まず試験でございますけれども運輸大臣指定しました試験機関が行います国家試験におきまして、漁業に携っておられた方々試験を受けられる場合には、これは一定乗船履歴がございますと実地試験は免除されます。それからまた、一定乗船履歴を持っていらっしゃる方が、運輸大臣指定しました養成施設へ入りました場合には、先ほど申し上げましたように、学科講習だけで免状を取れる、こういう恩典がございます。したがいまして、一定乗船履歴があります者に対しましては、試験を受ける場合には実技試験が免除される、それから講習を受ける場合には実船の講習を受けなくてもよろしい、こういう恩典がございます。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、最近、静岡県の漁業協同組合の大会で、小型船舶操縦士試験機関として漁業系統機関大臣特別指定をしてほしい、実はこういう決議がなされておるわけであります。小型船舶操縦士試験機関としては、法律日本モーターボート協会指定されているということですが、日本モーターボート協会指定した理由と、それから新たにこういう申し出があったときに指定が可能なのかどうなのか、そういう問題についてちょっと説明を賜りたいと思うのです。
  10. 高橋全吉

    高橋(全)政府委員 小型船舶操縦士試験でございますけれども、これは本来国が行うべき事務でございますが、これをかわって運輸大臣指定しました試験機関にやらせるということでございまして、その同一性あるいは試験実施の水準の維持とか、あるいはこれが営利事業であってはいけないとか、それから公正あるいは中立性及びその継続性安定性、こういうものを確保する必要があるかと思います。そこで、法律では指定機関としては一つだけ指定することになっております。これは、二つ三つ指定しますと、ただいま申し上げました中立性なり公正なり、お互いに競争しますとそういう点が損なわれるのではないか。そこで、法律では一つということに規定されております。  さてそこで、先生指摘モーターボート協会だけを指定した理由は何かということでございますが、実はモーターボート協会は、法律改正以前に小型操縦士養成施設としまして運輸大臣指定を受けております。運輸大臣法律改正前に指定しました養成施設というのは、遠洋あるいは近海、沿海等のいろいろの資格がございますが、それから小型もございますが、そういう資格を受けるための養成施設としまして、モーターボート協会のほかに、たとえば日本船舶職員養成協会等がございますけれども指定されておりました数は三つ四つ。これは公益法人指定されておりましたけれどもモーターボート協会につきましては、旧法におきます小型船舶操縦士養成のみを行っておった協会でございまして、昨年法律改正されました後、たしか昨年の三月に申請が出ましていろいろ審査しましたところ、モーターボート協会が適当であるということで指定したわけでございます。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 法律一つと決めてあるからモーターボート協会がいま指定されているということはわかります、法律改正になればまたこれは別ですけれども一。  そこで今度は、試験機関一つでしょうけれども養成機関はどういうふうになっているのですか。
  12. 高橋全吉

    高橋(全)政府委員 養成機関といたしましては、日本船舶職員養成協会のほかに三つございます。だから合わせて四つございますけれども、そのほかにたとえば海上保安学校であるとか学校法人もございますけれども公益法人としましては四つばかり指定しておりまして、それで先ほど申し上げましたモーターボート協会旧法におきましては養成施設でございましたけれども試験機関指定いたしましたので、養成施設指定を取り消しております。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、たとえば全漁連というようなものが養成機関をこの法律に従った手続によってしようとするならば可能だというふうに考えてよろしゅうございますか。
  14. 高橋全吉

    高橋(全)政府委員 試験免除のための養成施設でございますので、原則として職員養成を目的としておりますので、これは規則で公益法人であるということが前提となっております。それで、先ほど申し上げました日本船舶職員養成協会が現在各地で講習を行っておりますけれども公益法人であるということが省令の五十七条の五で規定されております。それで、公益法人でないものはほかにどういうものがあるかと申しますと、たとえば学校法人あるいは地方公共団体等がございます。公益法人でない場合にはいろいろさらに基準を厳しくしております。と申しますのは、公益法人というのは営利法人じゃございませんので、中立性を守ってやっていただくような指導をしておりますけれども養成施設として指定する場合には、やはり常時そこで養成をする一定の教員なり管理者なり施設、これは実地講習もございますので船舶等も一設備しなければいかぬ、こういう基準を一応定めまして指定しておりますので、その基準にかなえば、漁業者関係方々公益法人あるいは基準に合った方法で申請されれば、私の方としても指定することになると思います。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほどの十月一日現在の数字を見てみますと、旧法適用者というのは二十四万とかと言われておるのですが、漁協関係一般と分けてみると、いままでとこれからというのはどれぐらいの人数になるのでしょうか。大まかで結構ですから……。
  16. 高橋全吉

    高橋(全)政府委員 詳しい数字を持ってきておりませんが、感じとしましては漁業が六に対しましてレジャーが四ぐらいの割合でないかと思います。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いずれこの問題は静岡県の方から、決議をされておるようですから、全漁連に上がり、問題の提起がされると思いますけれども提起がされたときにまたもう少し突っ込んだ質問をすることにいたしまして、実情はよくわかりましたので、きょうはこの問題はこの辺で終わっておきます。  それでは次の問題に移ります。  まず最初に、国鉄新幹線騒音とか振動による公害の現状はどうなっておるかという点についてお伺いいたしたいと存じます。
  18. 高橋浩二

    高橋説明員 お答えいたします。  新幹線騒音振動公害実情ということだと思いますけれども騒音につきましては、東海道新幹線については東京大阪間には橋梁等にいろいろ防音工事をやったり、あるいは高架橋等防音壁等をつくりまして、ただいまのところでは音はほぼ平均的といいますか、普通の区間では八十ホンに近くなっておりますけれども構造を十年前につくりましたので、どうしてもただいまのところ八十一、二ホンというところが大分残っておるのが実態でございます。大阪から博多にかけましては、建設当時から構造物をがっちりつくっていろいろ騒音対策等をいたしております関係上、ほぼ八十ホンということになっているかと思います。  それから、振動につきましては、これも東京—大阪間の方が構造物が弱いということで少し振動の大きさが大きいようでございますけれども、これは構造物よりもむしろ地盤影響等が非常に大きく出てまいりますので、これは地域によって非常に大きな差がございます。平均いたしますと、線路から二十メーター程度離れたところで一ミリ・パー・セック、一秒間に一ミリという程度が全平均でございますけれども、これも地盤影響によって非常に違いますために、小さいところは〇・二ミリ、三ミリ、大きいところは一・五ミリあるいは二ミリというところも現在実態としてはまだ残っておりますけれども、これについては逐次調査を進めておるのが実態でございます。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 新しい環境基準告示をされましたが、これによって国鉄はどういうような対処をお考えになっておるのか。それからその新しい対処の仕方なり研究開発なりは国鉄はどういうふうに扱っているかという点について御説明を賜りたいと存じます。
  20. 高橋浩二

    高橋説明員 ごく最近に環境基準新幹線騒音につきまして環境規制目標値が示されました。その前から私の方は緊急指針というので、騒音につきましては八十五ホン以上については緊急に処置をせいという指示をいただきまして、いままでは八十五を目標にいたしておりましたけれども、新しい環境基準が出ましたので、とりあえずは八十ホン、それから目標としては住宅地域七十ホン、商工地域等七十五ホンということで対処をしていきたいということで、ただいま全力を挙げている状況でございます。  この対処の仕方には、音源自体を減らすということと、音源ではどうしてもある限界がございますので、防音工等をして周辺対策をするという二つの方向でただいま進めておる状況でございます。  まず最初に、音源の方でございますけれども、これは去年あるいは一昨年から引き続いてやっておりますけれども、一番大きな鉄げた等についてはけた自体にはかまをはかせて音が小さくなるようにということをやっておりますし、それから高架橋等については防音壁等をやって、これはもう間もなくほぼ全線にわたりまして防音壁等が完成するという実態にまでなっております。それからまた、実際にはレールその他に波状摩耗等が出ますと、また音も若干、二、三ホン多くなるというところが出てまいりますので、日常の保守の中においてレール整正等もやって音源をできるだけ低く抑えようというふうにただいま努力をいたしております。  新しい環境基準については、とりあえずは八十ホンということを目標にしておりますので、これの進め方については、音源については、いま言ったように私の方で最大の努力をいたしますけれども周辺対策につきましては、用地の買収等も含まれてまいりますので、関係機関地方自治団体等と協議をして、できるだけ早く進めていきたいというふうに考えております。  それから、技術開発につきましては、これは音源中心にやっておりますけれども、音の出るのが、レール周辺から出る音あるいは空気を切る音あるいは架線をする音、いろいろの種類がございますけれども、そのいずれも並行的に技術研究所中心に進めておりますけれども、八十ホン以下に音源を下げるということは非常にむずかしいと考えております。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでいま、この音源対策なりあるいは周辺対策なり、言うならば公害防止の投資というものは、あるいは補償というものは、大体どれぐらいの予算を使われているのですか。大まかでいいのですけれども……。
  22. 高橋浩二

    高橋説明員 まず、高架橋防音壁をつくる等、音源につきましては年間二百億ぐらいを、二年ないし三年ということで約五百億ぐらいの予算音源対策についてはいま実施を進めている段階でございます。  それから、周辺対策につきましては、環境庁から示された告示も、とりあえず三年間に音の大きい、八十ホン以上のところを処置せいということで、その緊急な点を実は先にやろう。これは一応おおよそ三年を目標にいたしておりますので、人家の移転等あるいは家の防音工、その率はどのくらいの割合になるかということはまだはっきりいたしませんけれども移転が三割ないし三割くらい、あるいはそれ以外は防音工処置できるということになりますと、とりあえず八十ホン以上対策として千五百億ぐらいが三年間に必要ではないかというふうに考えております。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 音源なりあるいは周辺対策をしなければならぬ一番の理由というのは、これは速度の問題ですか。それから起きてくる、こういう対策ということになるのでしょうか。
  24. 高橋浩二

    高橋説明員 騒音が出る原因でございますけれども、音が出ますのは、一番音が大きく出るのは、レールの上を走る車輪とレールとの付近から音が出るのだということで、そういたしますと、音が出る直接の原因は、当然走るから音が出るのだということでございます。しかも、その走る速度によって騒音の大きさというのは当然変わってくると思いますけれども、ただいま私の方で調べたところでは、高架橋の上で二百キロの速度で走っているときに八十ホンぐらいの音が出るというところでは、速度を半分にいたしますと約六ホンぐらいの音が下がるというのが平均的な状況でございます。  それから、振動の方につきましては、これも地盤によってずいぶん違うので一概には申し上げられませんけれども速度を半分に落としますと、いま申し上げた一秒間に一ミリというのが、平均的には半分ぐらいになるだろうというふうに考えております。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 けさも実は都内の交通事情の視察に歩いたのですけれども、たとえば首都高速でいままで六十キロで走っていた。それで、付近住民がやはり騒音に悩まされるというような要請があって、そして警視庁としていろいろ研究した結果、六十キロを四十キロに速度制限をした。こういうことで地域住民の要望に沿った措置がなされているわけですけれども国鉄の場合、速度の問題というのが、少し落としてくれというような話がときどき出てそのままになっているようですが、新幹線速度というのは決められた速度でなければいけないというのは、どこで決めることになるのですか。そういう点はどうなんでしょう。
  26. 高橋浩二

    高橋説明員 新幹線に限らず、列車の速度はどこで決めるかということでございますけれども一般的には、その線路設備が、たとえば曲線半径幾らだ、勾配が幾らだ、それから車両の能力が幾らだということで決まってくるというのが通例でございますけれども新幹線の場合には、新幹線整備法で、新幹線というのは平均的なというか、主なる区間で二百キロ以上の速度を出すのが新幹線だという一応定義はされております。しかし、これは新幹線整備法にそういう定義があるので、実際に東京大阪間でも場所によりましていろいろの速度で、線路設備あるいは保安設備等によってはいろいろの速度で走っているのが実態でございます。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 道路の自動車の速度というのは、聞いてみると、警察庁がいま国道一号線でも六十キロのものを四十キロにやっているわけですね。それは交通安全あるいは環境整備のためにやっていると思うのですが、国鉄はどうして、周りの方から困る、何とかしてくれということに対してそれができないのですか。それは国鉄がしないのですか、運輸省がさせないのですか、そこはどうなんですか。あるいはどうしても二百キロで走らなければならぬということなのですか。その辺をちょっと教えていただきたいのです。
  28. 高橋浩二

    高橋説明員 一応東京大阪間三時間というのは、十年ほど前に、当時の私どもは、国鉄もそういうふうに考えていたし、一般国民の方もまあ三時間ぐらいでということを考えて決まってきたのだというふうに考えておりますが、いまの御質問では、だれがその後決めるのだということですが、それは一応そういう歴史的な経過によって国民の社会的な生活環境が、東京大阪間約三時間ということでいろいろそれに合うようなかっこうになってきておるのだ。したがって、それを大きく崩すということは、決める決定権国鉄にあろうかと思いますけれども、そういうことを考えて、ただいまのところ三時間十分のままで走っているというのが実情かと思います。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 町を歩くと、よく「狭い日本そんなに急いでどこへ行く」と、道路の方というのはわりあいと規制がされているのですが、鉄道とか飛行機とか船とかというと、どうもそういうことが行われていないで無視をされているのですけれども鉄監局長にお尋ねいたしますけれども、十年前東京大阪間三時間で走ったんだから、苦情があっても何があっても三時間で走らなければならぬ。だから、苦情があるんだったら、引っ越しをさせるから補償金を出す、あるいはその苦情をなくすためにそこへ防護措置をやる。それよりも、三時間でやるよりも三時間三十分にするなり四時間にすれば、別にそんなに急いでおる人がおるわけじゃないのですけれども、そこはどういうことなんでしょうか。幾ら考えても実はよくわからないのですけれども、ちょっとわかりやすくその辺を国民説明をしてもらいたいと思うのですけれどもね。
  30. 住田正二

    住田政府委員 新幹線スピードは一応二百十キロということになっているわけでございますが、東京大阪間を三時間で走ったらいいか、三時間半でいいか、四時間でいいかという旅客の利用の面から見ると公共性と、それからスピードを出すことによって与える公害振動とか騒音とかそういうような公害との調整というのが問題だろうと思います。  この問題につきましては、長い間、環境庁でもいろいろ御検討いただいた上で、この八月に騒音に関する環境基準告示が出たわけでございまして、現在それを実施すべく国鉄あるいは運輸省一緒になっていろいろ検討をいたしているわけでございます。結局あの環境基準というものが、先ほど申し上げました公害公共性の調和ということで出されているのじゃないか。したがって、私どもといたしましては、あの環境基準を達成するということによってその調整を図っていきたいというように考えているわけでございます。
  31. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それは五、六年前か十年ぐらい前の考え方じゃないんですか。よく公害基本法のときに産業との調整産業との調整と言った。国民の健康を第一に考えて、後で産業と、こうなってきたんですよ、法律考え方も。ですから、いまのお話は、環境基準に合わせるためにどうしたらいいかという、また国鉄に金のかかるように金のかかるようにやっているんでしょう。速度ダウンすれば別に金を出さなくても環境基準に合うのでしょう。だからそれをもう少し国民経済的に考えてもらいたいと思うのですよ。やはり国民経済的に物を考えるようなシステムにすべきじゃないだろうかという気がするのですがね。国道一号線を六十キロでだあっと走っていたのを四十キロにダウンしているのですよ。とにかく警察庁の物の考え方運輸省の物の考え方とまるっきりこれは違うじゃありませんか。六十キロを四十キロにダウンすれば全体的に——国鉄だけが依然としてわが意を行く、おまえたちはついてこい、こういう役所のものの形態になっているんじゃないのですか。  そこで、やはりきらわれる速度より好かれる速度に落とした方がいいんじゃないのですか。そこはどうしたらいいんですか。昔からやっているからしようがないといういまの言い方にしか聞こえないのですけれども、何とかそういう点を、立場で言えないならば、個人としてなり何か意見を言ってみてくださいよ。
  32. 高橋浩二

    高橋説明員 いまの先生の御質問は、スピードの問題で御質問がございますけれども新幹線は、私の方は、スピードの問題ともう一つ輸送力の問題と二つの面から非常に重要な問題だというふうに考えておりまして、スピードの方はいま先生のおっしゃるように、仮に若干下がったからといって、いろいろそういうことの方がいいんだという国民的コンセンサスが得られるならば考えられると思いますけれどもスピードを落しますと、一つには輸送力が非常に落ちてしまうというのが問、題かと考えております。  それで、ただいま環境基準で今度新しく示されたいわゆる七十ホン、七十五ホンというものに合わせるためのスピードというのは、東京大阪間で例をとって申し上げますと、トンネル区間は、これは別にスピードを落とすことはございませんけれども、いわゆるそれ以外の高架橋区間等あるいは橋梁等鉄げた等のあるところを環境基準に合わせて走るといたしますと、速度を半分以下に落とさないと環境基準の音にはならない。半分にいたしますと、東京大阪間がいま三時間のものが六時間ないし七時間という時間になりますほかに、輸送力としていまの半分以下になってしまうということが非常に重要かというふうに考えております。したがって、その両方といまの環境破壊をどうやって防ぐかということで、いま鉄監局長のおっしゃったような環境対策を並行してやっていきたいということでただいま進めているというのが実情でございます。
  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 スピードの問題も、いま三時間を半分に落とせば、それは六時間か七時間になる、そういう極端な議論をしているわけじゃないのです。三時間を三時間半か四時間にしてみたらどうだろう。それすれば、いろいろ不満が出ている、移転させなければならぬ、金を何百億もかけなければならぬ、こういうものが相当減るのじゃないだろうか。その方がまた喜ぶのじゃないだろうか。ですから、そういう立場で物の考え方をしてみたらどうだ、こう言っているわけです。私はそういう立場に物の考え方を変えなさいと言っているのだ。変えなければいかぬ時期ですよ。  それは国道一号線を英断をもって下げているわけですが、どこからも不満が来ない、みんな喜んでいる、乗っている人も喜んでいるわけですから。だけれども国鉄だけが唯我独尊でそうやっているわけですよ。それでいま言った輸送力と言う。夜遅い電車と朝早い電車に乗ってみなさい。そんなにお客さんはいないでしょう。いや、ピークには、時期によって乗りますよと。時期によって乗るのはあたりまえですよ。ですから思い切って削減する。お客に鉄道のダイヤを合わせるのでなくして、ダイヤにお客を合わしてもらうようなシステムにしない限りそれは直らないですよ。汽車が便利になっているからお客があるのですよ。今度は汽車が不便になって込めば、年寄り、子供というのは朝早くか夜遅くか、あるいはもっとシーズンオフをねらうとか、やはりこういう客の流れをつくっていかなければいかない。こういうことをやらない限り、幾ら線路をつくっても、東京大阪間は満杯になると私は思うのです。  ですから私は、そういう物の考え方というのが、国鉄もそうですし、運輸省もそうですし、また、さっきも話があった警察の人に鉄道に、運輸省に入ってもらって、少し交通の問題の考え方というのを変えてもらった方がいいのじゃないか。おれたちがこれだけ運ばなければお客が満杯だ。一〇〇になっておる、一五〇になっておる、二〇〇になっておる。むちゃくちゃですよ、三〇〇も二五〇もお客を乗せているのは。ですから、そこの考え方を、私は何回も言うのですけれども、もう少し考え方が直る方法はないだろうか。  朝始発が出ても五十人か百人ぐらいしか乗っていないでしょう。その一列車を仮に落としてなくしたら、どれだけ保守の工事ができるかということを——現場で徹夜で仕事をしている人たちがいま東京大阪ですか、東京−博多ですか、夜間作業だけで約七千人から一万人の人たちが夜仕事をしているというのですよ。その七千人から一万人の人たちが三十分間余分に仕事ができる、これは私は大変な時間だと思うのです。その三十分の時間と、どれだけ乗っているか知りません、百人だか二百人乗っているか知りません、その人間との問題を考えてみたら、これは国民経済的に物を考えてもらって、やはりそういうシステムというのは、朝の始発をこの時期にはおそらくそうか、夜の終車をこの時期にはとにかく早めてしまおうというぐらいの弾力のあることを——たとえば何か順法闘争かストライキで汽車がとまった、おくれたと言えば、付近住民は喜んでいるわけですからね。たまにはこういうのがいい。この間新聞でも、テレビが一日休みになったらどれだけ幸せになるだろう、新聞の夕刊がなくなったらどれだけ国民が豊かになるだろうという話まで出ているわけですから、国鉄だってそれくらいの発想を少し考えてみたらどうだなと私は思うのですけれどもね。  これはやはり二百キロとか二百十キロというのは、運輸省ですか、どうしてもそれよりおくらせるわけにいかないのですか。おくらせるわけにいかないとなったら、やはり国民経済的に考えて、どうやって計算して、これだからそうなんだ。それから警察の方とよく相談していると言ったって、国道一号線をどうやってダウンさしたのだ、それは国民経済的に貨物トラック輸送についてどうなっているかというような点もやはり総合的に考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  34. 住田正二

    住田政府委員 新幹線スピードは、二百十キロというのは法律で決めている新幹線定義でございまして、実際に新幹線が走っているスピードというのは、二百十キロの場合もあればもっと遅い場合もあると思います。やはり現在、一日五十万人ぐらいの旅客新幹線が運んでいるわけでございまして、新幹線の存在というものは国民生活にすでに密着しているのではないか。国民の社会活動、経済活動に欠くことのできない存在になっている。そういう面からの公共性というものが一つあるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、そういう公共性を維持する上において、一方では公害が発生している。  したがって、そういう輸送面の公共性公害とどう調整するかという問題ではないかと思うわけです。したがって、その公害との調整スピードを落とすということでなければ図れないということであれば、そういう方法をとらざるを得ないと思いますけれども、現在、環境庁が決めた基準というものがその調整方法であるというふうに私どもは理解いたしているわけでございまして、環境庁の決めた基準を達成してもなおかつ問題が起きるということであれば、その段階においてさらに検討するということだと思いますが、現在の段階では環境庁基準を達成していくということに全力を尽くしていきたいというように考えているわけでございます。
  35. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 騒音振動のために、いま二、三年で約五百億プラス千五百億、二千億の金を投じなければならない、こういう説明があったわけです。そうするとあなたの説明は、二千億という金を投じてもスピードをダウンしない方がいいという計算になることになるのですよ。あるいはその二千億が千億になるのか千五百億にまたなるのかわかりませんけれども一、私はそう思うのです。  だから、やはりそういう点も私は考えてもらいたいと思うのです。せめて運輸省というところで総合的な物の考え方をやってもらわなければ、スピード気違いが汽車を走らせて、そのスピードをとめるわけにはいかない、こう言っていて、片方はスピードから起きる障害については全部銭を出してやろう、それじゃ銭が足りなければ運賃を上げてしまえ、そしてとにかく静岡からだって新幹線に乗らなければ東京に来れないようなダイヤになっているのですよ。新幹線に乗せるように乗せるようにダイヤを組んであるでしょう。昔のように楽しく各駅停車で東京へと、のんびり汽車弁を買いながら来るという旅行ができないようなシステムになって新幹線に乗せているわけですから、あなたが言った五十万人輸送というのは。だから総合的に物を考えてもらいたいと思うのです。もう少し物の考え方、発想というものを転換してもらいたいと思うのです。  次に、先ほども申し上げましたけれども新幹線の保守の問題です。よく現場でいろいろ話をしてみますと、それは直接国鉄が工事している部分は少なくて、監督はあるが、後は下請、外注です。そういうものを考えてみると、何千人というのが毎晩やっているわけです。私は、そこへ十五分でも三十分でも仕事をする時間を延ばしてやったら、どれだけ新幹線の整備が進むか、大変な時間だと思うのです。それによる不便さですが、朝早くのものがなくなった、夜遅くのものがなくなった、それじゃその分が、今日の公共企業体としての国鉄が十分国から公共的な負担をしてもらっているかというと、私はしていないと思うのです。それをやったらば、国鉄国鉄企業の計算の上からいって、やはりこれはカットします、カットすることによって国鉄の外注をより能率が上がるようにします、こういうふりに物を考えなければいけないのじゃないだろうかという気がしますが、そういう点でいかがですか。
  36. 高橋浩二

    高橋説明員 これまでは私の方も、いま先生のおっしゃったようなことよりもむしろ夜間に一定の間合いで通常の保守ができるかどうか、つまり、終列車が済んだ後、実際には零時ころから作業が始まるのですけれども、朝の五時ころまで、いわゆる五時間の間合いの中で通常の保守ができるかどうかということを中心に考えてまいりました。事実、従来は、できてから十年間というのは、まだ線路もそれほど老朽化いたしておりませんので、通常の保守は一応できるというのが実情でございました。いまの先生のようなお考え方は、仮にもう三十分延ばして五時間という間合いが五時間半になれば、およそ一割ぐらい時間帯がふえるのじゃないかということで、もう少し経済的になるのじゃないかというような御趣旨かと思いますけれども、従来は通常の保守はそういう五時間の中でやってまいりました。  ところが、ちょうど十年を過ぎまして、これからレールの重量化、レールの交換、ポイントの交換あるいは橋梁の交換等、間合いをよけい長くしなければできないという作業が来る予定でございます。事実来ると思います。そういうことに対することで、五時間を五時間半にということだけでは解決しない点もございますので、今後については、間合いを少し長くすることによって全体の保守がどういうふうに能率的になるかということも含めまして、ただいま検討してまいりつつあるところでございますし、先生のおっしゃるようなことも頭に入れて、そういう方向で運転の扱い方等についても検討してまいりたいと考えております。
  37. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は、従来国鉄の場合は、お客さんを運ぶ、荷物を運ぶということだけを中心に物を考え過ぎて、どうしても安全なり保守なりというものについて、なおざりになったとは言いませんけれども、とかくそこの声というものが無視されがちな運営がなされてきたような気がしてならないわけです。ですから、たとえば保線に参りましても、十分な人がありながら、一日の作業時間というのはほんのわずかしかない。もう少し効果的に人を使う方法というのはないだろうか、私のような部外者が見た場合でもそう感ずる点があるわけです。そうしてみますと、私は、旅客とか貨物に合わせるのも大事だけれども、本来の鉄道の安全を守っていくということの方にもより力を入れなければならないし、また国鉄の採算という点で物を考えた場合にもその方がいいじゃないだろうかという気がしてならないわけです。ですから、そういう点で私は、従来の考え方というのをいつもこの場で話しているのですけれども、また別の機会に別の人たちともそういう考え方についての議論をしてみたいと思いますので、一応この問題は終わります。  最後に、新幹線輸送力が限界に来ているのじゃないかということが言われておりますけれども、第二新幹線について、新幹線という名前がいいのか、あるいは東京大阪と間を言った方がいいのか、これらの輸送についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  38. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいまの東海道新幹線は、この十年間に徐々に列車回数がふえてまいりました。お客さんがふえるに従って列車の長さを十六両というふうに長くする、あるいは列車の回数をふやしてまいるということで対処をしてまいりましたけれども、もうこれ以上増発する余地というのは、季節的な問題あるいは週末的な波動的対応ということはできるにいたしましても、恒常的に対処していくには、線路がもう相当限界に近くなってきているというのが実情でございます。このままふえていくというふうにも思いませんけれども、先ほどから先生のおっしゃったようないろいろのダイヤの構成その他をよく考えて対処するにいたしましても、五十年代の後半にはただいまの東海道新幹線では恐らく満足な輸送ができないのじゃないかというふうに私どもは考えて、いまお説のありましたような何かかわるべき第二東海道、いま具体的に調査いたしておりますのは中央新幹線というような名前で、東京大阪間にもう一本の新幹線が五十年代の後半までにはそういうものができてこなくてはいけないのではないかということで、ただいま運輸省からの御指示もいただいて、山の状況等を調査をしているというのが現状でございます。
  39. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いまの中央新幹線の構想というのをもうちょっと具体的に。大体いつごろまでにどうやってどうやるというところまではまだいってないですか。
  40. 高橋浩二

    高橋説明員 具体的にいつから始めていつ終わる、あるいはどの付近を経過して通るかということについては、まだ全然決まっておらない。一番むずかしゅうございますのは、この中央新幹線が途中で中央構造帯等を通過する非常に長いトンネルを、しかも非常に地質の悪いところを通らなければならない。しかも真っすぐ通しますと勾配が非常にきつくなるのではないかということ、そうなりますと、車両等についても、現在の車両でなくてもっと別の技術開発をした車両等も必要になるのじゃないか。そういう組み合わせでルートというものを検討いたしておるのが実態でございますので、どこを通るか、いつできるかということについては、ただいまのところ決まっておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、五十年代の後半には東海道新幹線というのは輸送力的には行き詰まってくると思いますので、できるだけ早くこの点については調査を完了したいというふうに考えております。
  41. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 終わります。
  42. 野中英二

  43. 美濃政市

    美濃委員 私は、北海道の帯広市の航空大学帯広分校におきまして、ことしの三月六日並びに七月二日、十月二十七日と三回連続的に航空大学の練習機の墜落事故が発生しておるわけですが、まず最初に、これに対する当局側の見解と、あるいは事故原因に対する調査の行われたもの、どういう原因でそうなったのか、それから今後の措置について見解を承りたいと思います。
  44. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のございました航空大学校帯広分校の訓練機の場外不時着の状況でございますが、実は四十七年の八月から航空大学校の帯広分校を開きまして訓練を継続しているわけでございます。従来幸いにして無事故の記録を持っておったわけでございますが、本年の三月六日、離陸の訓練をいたしますために教官が同乗いたしまして離陸いたしました直後に、プロペラハブが折損をいたしましてプロペラのブレードが脱落をする、こういう事故が発生いたしまして、機は不時着いたしまして機体が壊れまして搭乗員がけがをする、こういう事件があったわけでございます。これにつきましては、私ども早速事故の原因について十分な調査をいたしました結果、プロペラハブの部品そのものに実は欠陥があったということがわかりましたので、したがいまして、この種の部品につきまして全数の点検をいたしますとともに、それの交換、今後の検査のあり方、そういったものについてすべて改善を図りまして、その上でその後訓練を再開したわけでございます。  しかるに、その後七月の二日になりまして、学生が単独飛行の訓練をしておりまして、空中操作と申します種目を終わって飛行場に帰ってまいります途中でエンジンが空中で停止をして再始動しなくなった、こういう状態に陥りました。この場合の学生の措置はおおむね適切であったわけでございますが、付近の畑の中に無事に不時着をいたしました。つまり機体にも乗員にもあるいは第三者にも損害を与えないで不時着をしたわけでございますが、これは調査の結果、燃料が欠亡しておった、燃料の量が少なかったためにタンクを切りかえたわけでございますけれどもエンジンが再始動しなかったということが原因であることがわかったのでございます。これはまさに出発前の、搭乗前の点検が必ずしも十分でなかったということが指摘されるわけでございます。したがいまして、直ちに航空大学校の訓練機の運用に関しまして、出発前点検を単に計器で確認するだけではなくて、さらに具体的に目で見、手でさわって三重に確認するという方法に改善をいたしました。具体的に、ただいまの燃料につきましては、燃料計による確認のみならず、燃料タンクの中にさしを入れて現実に燃料がどのくらいあるかということを確認してから空に上がるというふうな措置をとるというふうな一連の事故防止対策をとりまして、その後訓練を再開したわけでございます。  しかるところ、まことに遺憾なことでございますが、去る十月二十七日午後、学生が再び単独の飛行をしておりまして、同じように空中操作を終わって空港に帰投いたします途中においてエンジンが不調になりまして、その結果道路わきの湿地帯に不時着せざるを得ないという事件が発生したわけでございます。この場合は、不時着いたしました場所は湿地帯でございますので第三者に対する何らの被害を与えずに済んだのでございますけれども、着陸の過程におきまして脚をひっかけましたものですから脚が折れる、それから着陸の衝撃でフラップが破損するという程度の機体の損傷を受けました。それと同時に、操縦をしておりました訓練学生は前頭部裂傷ということでございましたが、これも幸いにその後後遺症等もなくすでに退院をしておる状態でございます。この事故の原因につきましては現在目下鋭意究明中でございますが、私どもといたしましては、たび重なる不時着事案でもございますので、直ちに訓練を中止いたしまして、事故の原因の究明と並行いたしまして、航空大学校帯広分校の訓練のありようについて独自の検討を目下行っておる段階でございます。  いま先生指摘ございましたように、従来幸いにして二年半無事故を通してまいったのでございますが、ことしに入ってからきわめて短い期間に三回にわたって場外不時着ということをやるようになりましたことは、大変申しわけないことであったと思っておりますし、また、これによって幸い第三者に対する被害を与えずに済んだのではございますけれども、住民の方々に航空機の墜落に伴う不安感というふうなものを与えたおそれもございまして、その点も重ねて大変申しわけないことであるというふうに思っております。  今後は十分に事故の原因を究明し、それに対応すべき処置を全般的にもう一度見直して、確実な措置をとってからその後の行動をどのようにするかということを考えてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  45. 美濃政市

    美濃委員 次に、せっかくの機会でありますので、航空大学帯広分校となっておるのですが、どういう機構とどういう機能で行われておるのか、それをお聞きしたいと思います。
  46. 松本操

    ○松本(操)政府委員 御承知のように、航空大学校は運輸省の所管に属します大学校でございまして、大学ではございません。  現在のたてまえといたしましては、高校卒の者の中から選抜試験によって、定員としては百三十五名の人間を一年間に採用いたします。これに対しまして、これから申し上げますような各種のパイロットとしての訓練、教育を施しまして、修業期間が三年八カ月でございます。  ここを卒業いたしましたときに学生が取得をしてまいります資格といたしましては、航空法上の事業用操縦士の免状をまず取得する。それと同時に、計器飛行証明と申しまして、計器飛行方式によって飛行してもよろしいという証明、つまり有視界飛行のように地形、地物等を見ながら天気のいい日にだけ飛ぶというのではございませんで、計器飛行証明でございますので、計器のみに頼って姿勢、方向等を判断しつつ、たとえ雲の中であっても目的地まで飛ぶということの可能な技術、それをしてもよろしいという証明、これを持たして卒業させるということがたてまえになっております。  そもそもは、宮崎に航空大学が発足したわけでございますが、当初は四十五名の定員で発足したわけでございます。しかしその後、わが国民間航空の発達、発展に伴いまして、四十五名という定員はいかにも少ないということでございましたことから、逐次定員の増加を図ってまいりました。まず第一回が九十名になり、さらに四十五名を追加して、現在は先ほど申し上げました百三十五名の定員になっておるわけでございます。  当初宮崎のみで発足いたしました本校は、その後定員の増加に伴いまして仙台に分校を設けたわけでございます。しかし四十五年ごろにさらに定員を百三十五名にふやす、こういうことになりましたために、訓練の空域が非常に狭くなってきた、十分な訓練ができないというようなことになりましたために、もう一カ所分校を設けるという必要が生じてまいったわけでございます。そのため、初歩訓練に必要な空域が確保できる適切な飛行場があるかどうかということで鋭意検討をしておったわけでございますが、たまたま当時帯広市から分校誘致の御要望もございましたものですから、諸般の条件を調査いたしました結果、まず適当ではなかろうかということで帯広に分校を置くことを決定をいたしました。四十七年の八月から帯広分校における訓練を開始したわけでございます。  訓練の全体的な計画といたしましては、まず採用されました学生は三回に分けて入校をいたします。四月、八月、十二月の三回に分けて四十五名ずつ収容をいたします。で、宮崎の本校におきまして一年間、これは基礎的な学科を教育いたします。つまり一般教養とそれからパイロットとして必要な基本的な知識、教養というものを教育するわけでございます。  それが終わりますと帯広の分校に参りまして、帯広の分校で四カ月間の訓練を行います。この四カ月間の訓練の前半におきましては、そこで初めて飛行機に乗るわけでございますので、飛行機はFA200という富士重工のつくった軽飛行機でございますが、この飛行機についての基本的な知識、それから空中に上がったりおりたりあるいは空中操作をいたしますための基本的な知識というものを座学で教えまして、その後引き続き教官の同乗によって離発着及び空中操作の訓練をいたしまして、チェックをいたしまして、これならば十分だというところで単独飛行の許可をいたします。そして単独飛行の訓練を引き続き帯広分校で行うわけでございます。先ほど御返答申し上げました、この事故にかかわる学生の第二回目及び第三回目におきましては、この単独飛行の許可を得て単独飛行の訓練をしておった学生でございます。  ここで四カ月間単発機の単独飛行の訓練を経ました後に、再び宮崎に戻ってまいりまして、八カ月間同じように、これはビーチのボナンザという飛行機でございますが、これを使いまして飛行訓練を継続いたします。この中には、単なる離発着、空中操作のほかに航法訓練、つまり目的地まで飛んでいくという航法訓練をも含めまして八カ月の飛行訓練をいたすわけでございます。  それが終わりますと、今度は仙台の分校に参りまして、仙台の分校でやはりビーチクラフトの双発機を使いまして同じく八カ月間の訓練をいたします。訓練の内容といたしましては、いままでは単発でございますので、双発機の操縦にかかる基本的及び一般的な飛行訓練、さらに、先ほど申し上げましたような計器飛行証明にかかわる訓練というものもあわせ行いまして、かくして二年八カ月を終わって、仙台分校を卒業いたします時点には、事業用操縦士の免状と計器飛行証明を付与する、こういう形になるわけでございます。  定員は百三十五名でございますが、実際に卒業いたします学生は、採用の時点において適性検査その他によって百三十五名必ずしも採れない場合がございますので、何がしかこれを下回っておりますが、さらに訓練の過程におきましてパイロットとしての適性を欠くということが明らかになりました者は、エリミネートと称しまして、これを排除することもございますので、現実に卒業いたします学生の数は百十名あるいは百十名前後といったようなところになっておる状況でございます。
  47. 美濃政市

    美濃委員 いま説明を聞いておりまして、一つの矛盾、まあ問題点を感ずるわけですが、それは二年八カ月のいま説明がありましたような訓練を経て飛行証明が出るわけですね。飛行証明が出なければパイロットと言えないわけですね。そうでしょう。そうすると、その単独飛行訓練をやるときは、航空士としての、パイロットとしての資格はないわけですね。たとえば、地上の自動車にたとえれば、免許なくして道路上で訓練をしておるのと同じことになりますね。これはやはり道路上で無免許のも一のが訓練して道路上を走っておれば、それが発覚すればやはり無免許として摘発されますね、これは。  ですから私は、まず一点、地上に人家がなければいいのですけれども、飛行機でありますから、地上には人家があるわけですから、地上に人家のある上空をいわゆるまだパイロットとしての技術に達していない学生が単独飛行するという行為、これに対してまず一つの、いま説明を聞いておって疑問を感ずるわけです。これをこれから先どうするかということをやはり重要な課題として検討しなければならぬと思うのです、まだ資格も得ていなのだし、非常に技術も未熟なわけですから。自動車であれば訓練コースがありますし、あるいは広い河原等があれば、道路上でない広場を利用して操作訓練をして、そして試験を経て資格を獲得するという方法をとっております。道路上で運転訓練をするということにはなっておりません。ところがいま聞いておると、航空機の場合、自動車であれば道路上でやるのと同じことになりますね、下には人家もあるし。ですから、こういう事故が多く起きるのではないか。この問題を将来どういうふうにするかということが重要な課題だと思うのです。それについてどうお考えになっておるか。
  48. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、確かに航空従事者としての所要の技能証明を取得するまでは一人前のパイロットではございません。しかし、一人前のパイロットではないという理由をもって操縦の訓練をさせないでは、技能を向上するわけにまいらないわけでございまして、その矛盾をどう合理的に解決するかということが当然必要になってくるわけでございます。  そこでまず、ただいま申し上げましたような技能証明を持っていない人たち、これが航空機に乗り込んで訓練をするというようなことにつきましては、まず特定の空域でなければやっていけないという枠をかけてございます。それから、さらにこういった者たちが訓練をいたします場合には、教育証明というものを取得いたしております教官が同乗をするか、または地上から直接指揮がとれるような形で、その監督のもとに訓練をさせる、こういうのが航空法上の手続と申しますか、定めになっておるわけでございます。  したがいまして、要約して申し上げますと、一人前のパイロットとしての資格、必要な技能証明を持っていない者が訓練を受けるという場合には、特定の空域でなければならないということ、その特定の空域と申しますのは、一般の航空交通に支障のない空域であるという考え方でございます。それと同時に、このようなものが飛行訓練をいたしております場合には、教育証明というものを持っておる教官が同乗するかあるいは直接的に指揮がとれるというような形でしなければならない、こういうふうな規定になっておるわけでございます。  現実にはどのように配慮されておるかと申しますと、帯広空港におきまして最初の訓練をいたします場合には、まず先ほど申し上げましたような学科の教育のほかに、リンクというものがございまして、まず地上にある模型の航空機による基本的な訓練をいたします。それからそのFA200という飛行機は四人乗りでございますので、教官が同乗いたしまして、そこで徹底的に訓練いたします。さらに、教官が同乗した形で一人で操縦をさせまして、果たして一人で飛行機を離陸させ、所定のコースを回って着陸することができる技能を持っているかどうか、あるいは通常起こり得るような異変に対して適切に対処できるかどうかということをチェックをいたしまして、そこで一人で飛んでもよろしいということを許可いたします。  こうなりますと、先生指摘のように一人で空に上がることになるわけでございますが、そのために帯広空港の周辺に空域を定めておりまして、この飛行の高度も低うございますし、他の航空交通に全く影響のない空域というのを定めてあるわけでございます。さらに、地上に対する影響、これも当然考慮しなければならないわけでございますので、このような単独飛行の訓練を学生がいたしておりますときは、飛ぶ飛行経路も特定の経路というものを定めてございますし、同時に空に上がっておる航空機の数もおおむね四機を超えないというふうな制限も付加してございますし、さらにまた、万一の場合に不時着を余儀なくされたような場合に、どのような形で不時着をすればよろしいかというふうなことも徹底的に訓練をしてございます。  さらに、航空大学校の分校の中に指揮所という、あるいはこれは名前はいろいろ変えて呼んでおりますが、指揮所がございまして、そこに教官がおって、無線電話で直接飛んでおります学生と連絡がとれるようになっております。したがいまして、学生は逐次、自分の位置、高度、これから何をしようとするかということを教官に報告し、そして一定の種目が終わりますごとに、この種目が終わった、異状があるかないか、次はこの種目に移りますというようなことを報告し、それを教官が聴取しながら適切な指示を行うというやり方で訓練をするわけでございます。  今回の場合も、学生の方から、これこれの種目が終わったので続いて飛行場に帰りたいと思いますという報告がありまして、それからしばらくたちまして、エンジンが不調である、こういうことを言ってまいりました。教官はこれに対して、ブースターポンプを直ちに使って燃料の圧力を上げてみろということを指示をいたしました。学生はそのとおりに処置をしたのでございますけれども、不幸にしてエンジンが適切な回転数まで回らかった、こういう事態であったわけでございますが、御指摘のように、確かに十分な免状を持ち切っていない者をどうやって空中で訓練をするかという点については、非常に問題点があるわけでございますので、航空法上もしかるべき手当てをしてございますし、さらに、その運用に当たっては従来とも十分な配慮と細心の注意をもってやってきたつもりでございます。
  49. 美濃政市

    美濃委員 まあいろいろ御説明のような注意をしたとしても、こういう事故がこれから発生しないという保証はできませんね。起きたものに対する金銭的な補償ということ、それは別として、もう今後こういうことはありません、これは言い切れないですね、こういう方法で訓練をしておる以上。  そこで、三回目の事故が起きたときに、官川技術部長がこれは帯広に行ったのですね。それで確認書を交わしておりますね。いわゆる環境を守る航空対策連絡会議、これは個人、団体を含めて大体二万人で構成しておるわけで、これは御存じだと思いますが、この連絡会議の会長の岩渕誠という人と官川航空局技術部長との間に確認書を交わして、五十三年度までに移転するよう解決をしてほしいという要請に対して、誠意をもって努力するという確認書がありますね。これに基づいてこの移転策はどのように進めておりますか。いまどこまで進んでおりますか。まず確実にいつまでに移転できるか。  これは前提として申し上げますが、やはり飛行機がある以上、パイロット養成ということは必要だと私は思います。これは不可欠で、飛行士を養成していかなければ飛行機は飛べないわけですから、大切なことだと思うのです。しかし、大切ではあるが、さきに申し上げたように、その訓練というものが非常に危険な状態で行われるいうことは、これまたその地域の住民の——これは三回とも北海道でありまして広い畑に落ちておりますから、幸い人命の事故はなかったのですけれども、しかし、こういうことが続いていけば、帯広市の上空で人家に落ちないという保証もないわけですね。絶対人家に落ちませんという保証はできないわけですね。落ちる場合もあるという想定になっておる。  そこで、こういう確認書が交わされて、その保証ができないものですから、どこかへ移転するということを確認し合っておるわけです。そしてそれを前提にして、七月三十日に確認書が交わされて、その移転するまでの間訓練を続けてもよろしいということで訓練が持続されて、今度の事故が起きた。もう三度目だから、今度は絶対だめだということになっておるわけですね。これに対してどう措置をしているか、お聞きしたいと思います。
  50. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答えいたします。  航空大学校の分校を帯広に設置することにいたしましたいきさつについては、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、先生の方からも御指摘ございましたように、ともかく民間航空のパイロットの養成ということは不可欠の問題でございますし、またパイロットの養成のためには飛行機を飛ばさないわけにはいかない。したがいまして、航空機を安全確実に飛ばしながら所要のパイロットの養成を行うということがあくまで大前提になって貫かれていかなければならない、こういうことになるわけでございます。帯広に分校を決定するに至りましたときにもいろいろとどういうところがこのような初歩訓練に適当な場所であるかということについて、最大の注意を払って検討したわけでございますが、やはり十分な空域の広さというものと、それから地上の人員、物件等に対する被害、これがまずないか、ないと断言できるか、あるいは断言できるに近いような状態でなければならないということ、それからさらに、訓練機自身につきましても、万が一にも不時着その他の不祥事が発生いたしましたときに、機体の損傷はもとより訓練生あるいは教官の生命にかかわるような状態に陥るということでは、これまた適切な訓練場所とは言えないのではないかというふうなことをすべて勘案いたしまして、現在の帯広の場所というもうが、御要望もあったということもございましたが、それとあわせて現在の帯広を選んだという経緯があったわけでございます。  したがいまして、帯広空港を使って訓練をいたしますに当たりましては、タッチ・アンド・ゴーの仕方でありますとか、あるいは場周飛行をいたします場合の場周経路というものは、民家の上を飛ばないように配慮をしてこれを決定するとか、あるいは場外に出まして訓練をいたします場合には、なるべく人家のない原野の上を使って訓練を行う、あるいは飛行場に出入りする経路というものも通常の航空機の経路とは必ずしも一致しなくてもいいから、その下に民家等が密集しているところは避けるというふうな配慮をして現在に至ったわけでございます。  確かに今年引き続き事故を起こしまして、特に七月の事故のときには、いま先生の方からお話のございました航対連の方から強い御指摘がございました。このように市民に不安を与えるような分校というものが帯広市におるということはいかがであろうか、したがってこの移転という問題について十分に考えてもらわなければ困る、こういう御要望があったわけでございまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、この問題は非常に重要な問題でございますので、航空大学校任せということではなくて、本省から技術部長を派遣いたしまして、直接地元の方ともいろいろとお話し合いをしたわけでございます。  その結果、航大分校の移転という問題について、ただ漫然と考えますではだめだ、こういうことでもございましたので、五十三年度というのを一つの区切りといたしまして、それまでに誠意をもって真剣にどこへどうすればいいのかということを考えますということをお約束してまいったのでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、そのお約束に従いまして直ちに目下基本的なデータの収集に取りかかっております。つまり、日本国じゅう数多く、五十幾つかの空港がございますが、その空港の中で訓練飛行場として使い得るようなところがあろうかどうかという点について、いろいろといま勉強を始めた段階でございます。  その時点におきましては、もう二度と再び事故は起こすまいとかたく誓っておったわけでございますが、遺憾ながら三回目の事故を起こしてしまった。したがいまして、いま偉そうなことが言える立場に私はないのでございますけれども、しかし、もう本当にこれで三度目の正直で終わりである、今後は本当に事故を起こさない、仮に事故を起こしても絶対に人様には迷惑をかけないで、かつ訓練機も訓練学生も安全確実な方法で処理できるような方法、こういう形で訓練をさせていただければさせていただきたい。しかし、そうは言うものの、お約束はお約束でございますので、移転についてはあくまで誠意をもって研究をしてまいる、こういうふうな考えでいまおるわけでございます。
  51. 美濃政市

    美濃委員 今日の時点では移転については検討に入った、こういうことですね。まだいつどこへどうするというところまでは、五十三年という約束ですから、そこまではいっていない。  そうすると、もう一つの問題ですね。二回目のときは確認書で訓練開始を了解したわけです。三度目に至って、もう今回は三回事故が起きたわけだから、とにかく絶対体中止を要求してきておるわけですね。帯広市からも同様の文書で市長名で来ておるはずですね。絶対中止に対してどう措置するか、これを明らかにしておいていただきたい。問題は、学校ができる、できぬの問題より、地域住民の不安ですよ。訓練が持続できるとか学校の問題は運輸省の方ですから、地域住民は訓練は絶対再開してもらっては困るというのですから、訓練の再開をしなければそれで地域住民の不安というものはないわけですから、その点をどうするのか、絶対再開をしないのか、この点についてひとつお伺いをしておきたい。
  52. 松本操

    ○松本(操)政府委員 確かに、先生おっしゃいましたように、航対連の方からも、あるいは帯広の市長の方からも、訓練の即時中止、それから移転問題、この二つについて強い要請が出ているわけでございます。したがいまして、訓練はいたしません、こういうことがお約束できますれば、これは皆様方にとって将来にわたり不安を完全に除去したわけでございますからよろしいわけでございますけれども、先ほど来御説明申し上げましたように、ここで訓練をしないということは、結局わが国の民間航空のパイロットの養成というものそのものに基本的な問題を発生し、大きな穴をあけてしまうということになるわけでございますので、地元の方々に御迷惑をかけず、あるいは不安感を与えることなく、国としての目的である民間航空パイロットの養成をどのように行うかという、その接点を見出していくことがわれわれの任務であろうかと覚悟をしておるわけでございます。  そこで、まず移転の問題につきましては、先ほども御返事申し上げましたように、いま真剣に研究をしておりますが、ただ、いまの時点でどこへというところまではとてもたどりついておりません。しかしその問題は今後とも誠意をもって研究をしていきます。  それではさしあたってどうするのかということでございますが、仏の顔も三度ではないかという御指摘はよくわかるのでございますけれども、このような不祥事を発生いたしました原因というものは必ずあるわけでございますので、その原因について、いま私どもは全力を挙げて解明をしておるわけでございます。それと同時に、今回の事故にかかわる原因の追求ということと並行いたしまして、それとはまた別に、およそ航空大学校の訓練というものをどのように行えば人様に御迷惑をかけずに済むのか、そして目的が達成できるのかということを、本省自身及び分校あわせて最大の努力を払って現在研究中でございます。したがいまして、たとえば飛行経路というふうなものを適切に選定をする、あるいは訓練の課程というものを、組み合わせがいろいろあるわけでございますが、そういう課程の組み合わせに適切な改善を加えるというふうなことによって、さらに安全確実な訓練を行う方法というものが必ず発見できるものと私どもは考えて、いま作業を進めております。  したがいまして、一応の事故原因というものがわかりますれば、それに対応すべき措置というものは早速確立をいたしまして、それの実施についての諸般の準備というものを十分にいたしたい。と同時に、地元の皆様に対して、かくかくしかじかの原因でこの事故は起こったものであり、したがってこのような措置を講ずればこの種の事故の再発には万全を期し得るということを十分に申し上げ、それに加えて、およそ航大の訓練のありようについて全般的に見直した結果、このような改善措置をとってさらに安全度をふやすというふうな措置をとりました、ついてはぜひともこの点を御理解いただいて、訓練の再開ということについて御了承願えないだろうかということを十分に御説明を申し上げまして、御了解が得られればそこで訓練を再開させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  53. 美濃政市

    美濃委員 当局側の意向はわかりました。しかし、お話がありましたように、しからば、地元はいまのところ訓練の再開は絶対困るということでありますから、地元との話、連絡会議との、今後起きないという、地元が安心できるいまのような方法なり説明なりができて、前にも一回確認事項もあるわけですから、こういうことが行われれば別として、地元の了解なくして再開することはない、再開前には必ず地元の了解を前提とする、そう解釈してよろしゅうございますか。
  54. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先ほども説明申し上げましたように、この前すでにお約束をしたことが守れなかったではないかという、事実はどうであろうと現象論的にそういう指弾を受けるような状態にいま私ども立っておるわけでございますので、今後の安全訓練の実施という点について、われわれとしてはもう最高の案を出す、そしてそれを十分に御説明を申し上げて御納得をいただく、やはりおれは納得できぬとこうおっしゃれば、どういうところが御納得できないかを承りながら、さらに改善策があればその改善策を考えていくということで、十分に地元の皆さん方の御了解を得た上で訓練を再開するというのが当然の道筋であろうかと考えております。
  55. 美濃政市

    美濃委員 これはここで確認をしてもらわなくてもいいですが、その場所があると思うのですね、移転の場所が。参考までに申し上げておきますが、調べてみましたら硫黄島の滑走路は三千メートルくらいありますね。十分使えますね。調べてみると、あそこにはいまだ人家がないんですね。ロランCがありまして米人が三十人くらいおりますか、それと飛行場を監督するために自衛隊が二十人くらいおるのですか、二十人か三十人、もっとおるかもしれません、あるいは五十人くらいかもしれませんが、それ以上はいないわけです。ですから、あそこらは全く最適だと思うのですね。タッチ・アンド・ゴーしてもその騒音公害を文句言う者もいないし、硫黄島の飛行場あたりをやはり離着陸訓練、いわゆるタッチ・アンド・ゴーの練習場に使うということが一番いいのじゃないかと思うのです。障害は何も起きない、普通人はいないし、人家もないわけだから。そういうところもあるということを、そこがいいとか悪いとかいう論争はいたしませんが、そういうところは十分あるわけですから、一日も早く、やはり私が考えても前段で論議をしましたように、未熟で資格のない者が人家の上を飛ぶということは、これは最大限避けなければならない。たとえば探せばいま申し上げたように適格なところもあるのではないか、こう思うわけです。  最後に、大臣がお見えになっておりますので、帯広飛行場の問題、いまやりとりしておったわけですが、お聞きだと思います。これには移転するということの確認書をお出しになっておることも御存じですね。これらは事務的な問題よりも政治的な問題も多いわけでありますから、いま私が申し上げたように、運輸省としてはもう誠意をもってできるだけ選定すれば、やはり安全なところで十分パイロットが養成できる場所もあると思うのです。そういうところを速かに選定して、住民が危険だからやめてくれというところはやめる、こういうことにひとつ鋭意予算の上からも個所づけの上からも努力をしていただきたい。  それからもう一つは、いま次長が確認されておりますけれども、非常に住民が危険が伴っておるわけですから、地元の了解がつくまでは訓練を再開しない、この二つを次長が言われておりますけれども、責任者からひとつ確認をいただきたい。
  56. 松本操

    ○松本(操)政府委員 大臣が総括的にお答えいたします前に、いま先生から具体的な飛行場など挙げて、あるではないかというお話がございました。私どもはまだ研究を始めた段階でございますので、ここで先生のお言葉にどうこう申し上げるだけの十分なあれはございませんが、たまたま先生が例にお挙げになりました硫黄島につきましては、実は航空会社のパイロットの訓練飛行場をどこにしようかということで探しておりましたときに、硫黄島がいいじゃないか、こういう議論でございました。航空局といたしましても、調査団を硫黄島に送って十分に検討したわけでございます。  ところが、おっしゃいますように、確かに人家も何もございませんから、騒音の心配などは全くないのでございますけれども、名が示すとおり硫黄島でございまして、非常に金属の腐食の激しいところでございます。したがいまして、そういう面から機材の保守、管理という点にかなりの問題がありはしないか。  それから、第二点は、これはやはり海の中の島でございますので、タッチ・アンド・ゴーそのものは確かに飛行場でやるわけでございますが、その外側、周りが全部海である、したがって高速救助艇とかそういうふうなものを用意しておかないと、なかなか安心して訓練ができないのではないかというふうな議論がいろいろございまして、結局一人前に一応なりましたパイロットのさらに上級訓練というものは、先生御案内のように下地の訓練飛行場という計画に変わっていった経緯があるわけでございます。  したがいまして、であるからどうだという直接的な結論をいま申し上げる気はございませんけれども、初歩訓練という特殊な訓練ということであるだけに、確かに御指摘のように危険度も大きいわけでございますが、また初歩訓練であるだけにわりあいにまあめんどうを見てやらねばならない面もございますので、そういう点を十分に比較検討しながら、今後誠意をもろて研究は続けてまいる、そしてお約束どおり何らかの結論を得るように努力をする、こういう考えでおります。ちょっとその点、前に申し上げておきます。
  57. 木村睦男

    ○木村国務大臣 民間航空パイロットを養成するということは、非常に重要な運輸行政の仕事であるわけでございまして、パイロットの養成でございますので試験飛行ということになりますと、やはりいかに安全を期待し、いろいろと注意を与えておりましても、ときにやはりしくじることもあると思うわけでございます。最近帯広で二度、三度と続けて事故がそういうことで起こりまして、運輸省としても大変心を痛めておるところでございます。そういう訓練の飛行場として気象条件その他いろいろな点を考えまして、また地元の御理解も得て、帯広飛行場でもって、その訓練分校をもちまして訓練をすることにしてきたわけでございますが、そういう事故がたび重なって起きまして、住民の皆さんあるいは市の当局からもいまお話しのような善処の御要望も出ておるわけでございます。  そこで、先ほど来航空局次長がいろいろお答え申し上げておりますように、訓練飛行でございますから、絶対に事故が起きないというつもりで訓練を行う方はやっておるわけでございますけれども、今後とも絶対全然ないということは断言し切れない性質のものであろうかと私も考えるわけでございます。したがいまして、あそこは五十三年まででございますか、というふうなことでやっておるわけでございますが、試験飛行の飛行の仕方その他につきましても、過去の三回の事故、それから事故が起きて不時着をした場所、そういうことから考えまして、訓練のときの飛び方なり飛ぶコースなりそういうこともさらに一層厳密に検討いたしまして、万が一のときにも人的な被害あるいは人家の被害、そういうことのないような飛行の方法もさらに一層研究をいたさせたいと思っております。  また、即刻訓練をやめろ、こうおっしゃっておられるわけでございますけれども、この点も、これはやめますと大切なパイロットの養成にも支障があるわけでございますので、極力事故が起こりませんようないろいろな方法を講じながら、またいろいろといまお話がございました地元の要請その他につきましても十分お話し合いをさせていただいて、そして何とか安全度が少しでも高い訓練ができるような方法で地元の了解を得ながら、やはり訓練飛行というものはやらしていただきたいというのが私たちの考えでございます。  なお、移転の問題は十分その点を含みまして私の方で適当な他の飛行場その他についてはこれから十分研究をしてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  58. 美濃政市

    美濃委員 大臣のいまのお話の中で、もうちょっと確認をしておきたいのは、話し合いをすることは私はだめだとは申しません。しかし、了解がつくまでは訓練飛行は再開しない、そこをひとつもうちょっと明確にしておいていただきたいと思います。
  59. 木村睦男

    ○木村国務大臣 もちろん、一方的にこちらが言うだけ言って、それじゃやりますよということは絶対にいたしません。極力いろいろな具体的な訓練の方法その他を考えまして、十分御理解を得た上でやっていきたい、かように考えております。
  60. 美濃政市

    美濃委員 以上で終わります。
  61. 野中英二

  62. 紺野与次郎

    ○紺野委員 きょうは、八月二十七日に藤沢駅で起きた転落轢死事故を問題にしたいと思います。  この事故についてひとつ説明してもらいたいと思います。
  63. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 御説明申し上げます。  八月二十八日でございますが、藤沢駅でお客様がホームの上から落ちられて災禍に遭われました。その概要を申し上げます。午後一時二十三分、上り電車に乗る男のお客様が階段をかけ降りてこられまして、それが下から二段目のところで足を踏み外してホームの上に転倒されました。その際、ホームで下り列車をお待ち合わせになっておられました婦人にぶつかって、婦人がそのはずみで線路上に落ちられましたが、運悪く列車、これは荷物専用の三三列車で、藤沢駅を通過する列車でございますが、これの進入直前でございまして、当該のその男のお客様と転落した御婦人の娘さんの二人が線路に飛び降りて救助しようとされましたが間に合わずに、御婦人が轢死、そしてその娘さんが重傷を負われたわけでございます。  以上でございます。
  64. 野中英二

    野中委員長代理 質問中でありますが、ただいまお手元に配付いたしました名簿のとおり、藤岡参考人が御出席になりましたので、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人にはお忙しい折、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  なお、参考人からの意見聴取は質疑応答の形で行いますので、御了承願います。
  65. 紺野与次郎

    ○紺野委員 鈴木マツさんですね。この方はどういう状態で轢断されましたか。ちょっとそのことを……。
  66. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 やや細かくなりますけれども、階段からちょうど一メートル余りのところに立っておられたわけでございますが、それから斜め側に二メートル弱、男のお客様にぶつかられた後飛ばされまして、ホーム下に転落をされました。そこで男の方と娘さんのお二人が救助に当たられましたが、間に合わずに荷物列車に、衝撃と申しますか、ひかれて即死をされたわけでございます。それと、負傷されました娘さん、これはそのほぼ同じ場所で列車に触れられたということでございます。階段から一メートル余りでございますが、階段とホームの端までの距離が比較的短うございますので、斜めになって二メートル弱ということでございますけれども、ホームの端に近いところに立っておられた形になっております。
  67. 紺野与次郎

    ○紺野委員 どうもはっきりとリアルに——轢断されたのは上身、それから下身が真っ二つにやられたのでしょう。知っていますか。真っ二つにやられて、そうして下の方の体はその現場の近く、それから六十メートル先に上半身が、轢断されたものが落ちるという最もむごたらしい形でこの事故が起きているのです。それを確認しますか。わからない形で表現されているけれども、そういう大変な事故なんです。
  68. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 おっしゃるとおりでございます。
  69. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そのときホームで客扱い中の職員は何人いたのか。
  70. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 その際におりました職員は、通過列車を監視しておりました助役一名と、それから放送に従事をするべく事務室の中におりました職員一名ということでございまして、そのほか当駅に勤務しております。ホーム上で勤務しておりました職員は、当時清掃をいたしましたごみを捨てに行っておりました。当該時刻にはホームの上には二人おったということでございますが、助役が監視をしておる以外のもう一人の放送中の者は事務室の中におったわけでございます。
  71. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ホームには人はなかったのです、実際上は。助役がずっと、このあれで見ると、助役が見ておる百メートルも遠いところでこの事故が起きておる、そのホームにはだれも職員は実際上いなかった、そういう状況です。  それで、こういう事故を未然に防ぐことはそういう点でできなかったのか、どうすれば二度とこういうことが起きないようにできると思っているのか、いま聞きたいと思うのです。
  72. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 瞬間のことでございまして、お客様同士がぶつかるということを、そのことを避ける、これはまあお客様方でお願いを申し上げて、階段を駆けおりないでいただきたいというようなことをお願をいする、この点につきましては放送もいたし、あるいは掲示をしてお願いをいたしておりますけれども、それだけでは完全な姿ではないというふうに思います。  ただいまの階段のすぐ下にお客様が立たれておる場合に、もしそのような踏み外しというような場合でも、お客様同士がぶつからないで済むような対策というものを考えなければいけないわけでございますが、その場合に可能性のあることとしては、手すりをある程度長く出すことによって、上からのお客様とホーム上におられるお客様とがぶつからないで済むという点は考えられるわけでございますが、一方で、実はお客様を今度は通勤の時間帯等でどのようにしたら一番流れが阻害されないで済むかという面から考えました場合に、その手すりを長くすること必ずしもその面からはよくない場合もございます。私どもとしては、その辺はもう一度、手すりを長くしてお客様同士のぶつかることを防ぐ意味の方を考えるべきか、通勤時間帯で非常な混乱を避けるという方をとるべきかという点の検討をさせていただきたいと思っておる次第でございます。
  73. 紺野与次郎

    ○紺野委員 運輸省はこれに対してどういうふうに考えていますか、対策を。
  74. 住田正二

    住田政府委員 先ほど国鉄の方から御説明申し上げましたように、非常に突発的な事故であったのではないかと思うのでございますけれども、お客さんが階段を駆けおりていくということに問題があるのじゃないかということで、やはりお客さん自体の自覚といいますか、そういうものを待つ必要があろうかと思います。しかし、そう言いましても、やはり駆け足で走っておられる方がいるわけでございまして、その人と階段のお客さんとがぶつからないように手すりを設ける等の措置を講ずる必要があるかと思いますけれども、しかし、いま国鉄が申し上げましたように一方ではマイナス面もあるわけでありますから、そこら辺をどう調整するか、今後検討いたしたいと思います。
  75. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いままでの話を聞くと、全くこの問題について真剣に事の本質を追及していない。大変不勉強だ。そしてまたその責任をできればお客さんに転嫁しようという、そういうずるい態度をとっていると思います。  これについては、ちゃんと現場の写真をわれわれは写してきております。いいですか、現在でも事態は何も変わっていない。つまりこうだ。これは藤沢の駅ですけれども、この三段目付近から足を滑らしたのです。そして一メートル十五センチのところにおった鈴木さんに、たたたたたと、こういうたたらを踏むようなやり方で崩れていったと言われております。そしてばあんと突いて一メートル八十の先のホームの下に転落させたんです。これは相当のエネルギーでぶつかったのです。それで転落したのです。これをよく見てごらんなさい、この写真を。ここまでは手すりがきて二段目のところで終わっているのです。ここの二段目のところで崩れたんですね。ちょうどこのわきです。もしもこれがずっとこういうふうに延びていれば支えることもできたと思われるけれども、全然何もない。空間を泳いでいったんですね。無重力のあの宇宙飛行と違いまして、ここでは相当の重力のエネルギーを持って、どんと突き当たっていったのです。そうして事故が起きたのです。こういうようになっているのです。  だから、そういう点から言って、明らかにやはり階段とホームというここの接点のところでこういう危険な欠陥があるとそういう事故が起きてくる、どうしてもここはハプニングが起きる危険があるということをよくこれはあらわしております。ですから、ここの階段とホームとの境目のところで事故が発生すれば、やはり大きなエネルギーでもって突き飛ばすということは起こり得る、起きたということを示しておるわけなんです。そこをよく考えなければいかぬと思うのです。ここのところに対する対策を、どうしても何らかの改善をしなければいけない。ところがいままであなた方は何もしてない。これはこの間写したばかりです。そうしてやっているのは、階段の上の方にこう書いてある。「階段をかけおりないでください」階段の中途にこういう薄暗いスローガンが書いてあるだけなんです。そして何も具体的なことを、こういう肝心なところでの欠陥を改善することはしておらないということですね。そういう点で、この階段とホームとの境のところで事故が多発する危険があるということを、何らかの対策が必要だということを、いまではそれは認めますね。
  76. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 先ほど申し上げましたように、具体的にどれをとるべきかということを検討いたしておりますので、それはもう必要性を十分わかった上での話でございます。おっしゃるとおりでございます。
  77. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、これと同じことが、われわれ国鉄をずっと調べて、やはりたくさんあるということなんです。具体的にわれわれが調べた中で特に危険を感ずるのは、日暮里駅です。日暮里の場合には同じ状況になっております。やはり階段の下の二段目のところで終わっておるのですね。そしてホームがすぐ目の前にきている。こういう実態です。こういうのはたくさんある。それから上野駅にもそういうのがある。それから四谷のところにもこれと似たことが非常に心配されておって、そうして最近ここではこう言っている。  四谷駅で安全に乗降する会というものの準備会がありまして、あそこら辺がずっとビル化しておりますから通勤者が非常に多いのです。そしてあそこの場合にはアンケートが来ておりますけれども、それによると、こういうようなことが言われてきている。同じような危険をみんなひしひしと感じている、こういうことを言っているのです。また、ラッシュ時に階段から足を踏みはずしそうになったり、ホームから落ちそうになったりして、そういう危険を感じることは日常多くあります、こういうことを婦人が言っております。それからラッシュ時の階段上り口の混雑にはいつでもひやひやしています、こう言っている。ある人は階段から落ちそうになりました、朝の混雑で人がきに押され階段を踏みはずしたことがあります、こう言っています。実際に朝の通勤時の中央線ホーム階段際は、列車の発着ごとに大変混雑して線路に転落または列車と接触する恐れが多い。自分は階段口でこれから乗る人と正面衝突した。こういうふうに階段とホームとの境目のところは一つの大きな危険なところだということはこれではっきりしております。  だから、そういう点で、一番最下段のところで上からの事故がホームの人に影響を与えないように遮断するということですね。これは人身を守っていくためにどうしても必要だということです。そういうことでやはり手すりというものはホームまで降りて何センチか出す。技術的には三十センチとかいろいろあるでしょう。しかし、とにかく階段口で起きる転落その他踏みはずし、こういうことがホームの人に影響しないように手すりを延ばすことが、どうしても遮断という意味においてわれわれは必要だと思う。この点についてはっきりと、そう改善してほしい、こういう事故その他事実を調べてみまして、それをやる必要があるとわれわれは考えているけれども、その改善についてどう思うか、もう一遍お聞きしたい。
  78. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 先生のおっしゃったような場合に対する対策としては、その分が非常に効果があることは私どももそのとおりだと思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、各駅の実情によりましては、四谷の駅の場合もそうでございますけれども、流れを阻害しないでいくということがあわせて考えられないと、通勤時が特にさっきおっしゃったような状況である、これはもうわかっておりますけれども、その点も検討してその結論を得た上で改善すべき結論が出ましたら実施したいと思っておるわけでございます。
  79. 紺野与次郎

    ○紺野委員 われわれが新宿の駅を見ると、そういうふうに延ばしているのです。延ばしているところでお客さんは実に紳士的にちゃんと回り込んでやっているのです。そういう点から見て、明らかに国民道徳というか市民道徳というものは生活の知恵であり、そういう不安からしてちゃんと心得ているのだ。  だから新宿の駅でも、そういうふうに実際に延ばしてもお客さんは整然と流れに順応しているわけであって、あなた方の言うのは、いいですか、営業第一主義、どんどん運んで、そして運賃さえ入ればいい、流れさえよければいい、金が入ってくる、流れがよければいいという考えです。それは営業第一主義です。人命を第一に考えなければいけない。そういうことが何でわからないのか。あなたの考えは、人の流れが——市民はそういう聡明さを持っており、国民道徳、市民道徳というもので自分たちで必要に応じて調整する、そういう訓練ができている。むしろそういうことをやらないで、金がどんどん入ってくればいいのだ、この流れを阻止できませんという考え、これは全く人命を軽視した態度であって、これはやめてもらいたいと思います。どうです。
  80. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 先生のおっしゃるようなつもりでは毛頭ございませんで、しかしただいま具体的に手すりを延ばすことは一つの案であるというふうにはわかっておりますけれども、その駅の実情によってはそれだけではないかもしれませんので、本社としてそれを押しつけるというやり方でなくて、各駅ごとの対策を立てさせるという意味で、それぞれの駅ごとに検討してもらった上でという意味で御返事を申し上げた次第でございます。
  81. 紺野与次郎

    ○紺野委員 しかし、私がいま言ったとおり、あなたは人の流れが悪くなるということを言っているけれども、現実にそういうことはないということです。聡明にそこは順応してやっている。新宿駅の実情を見てもそうです。あなた方はこれだけの改善に金がかかると思っているのですか。一文惜しみで国民の命を犠牲にするというような態度、それはやめてもらいたいと思います。だから、この問題については至急に対策を立てて——いま言いました藤沢の駅の転落したところは、明らかに途中でもうなくなっているということを事実で示しておりますよ。  だから、まず最初に原点である藤沢の駅のところ、それから日暮里、四谷、こういうところについてはやはりまず第一番に対応策としてすぐ実行してもらいたいと思う。そしてその後でまた全体の駅の状況を調べてそれに対応するような対策をとってもらう、こういうふうにしてもらいたいと思いますけれども、どうです。
  82. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 各駅ごとにそれぞれの事情がございますので、その各駅ごとの事情を調査した上で実施すべきものは実施したい、かように思っております。
  83. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、藤沢のここのところは、このままほっておくのですか、その事故のあったときと同じように。どうですか。——見なさいよ、ちゃんとこれを。こういうふうにここで事故が起きているのですよ。何もしてないじゃないですか。国民をばかにするにもほどがあるよ。直しなさい。何を考えているのですか。見なさいよ、ここで踏みはずして、そしてそういうことが起きているのですよ。どうしてこういうふうに延ばせないのですか。
  84. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 延ばせないということで御返事を申し上げているわけではございません。各駅の実情に合わせたかっこうで対策を立てるということを申し上げているわけでございまして、藤沢の駅としてそれが一番いい方法であるということが、駅の判断も加えました上でそれの対策を立てたいと思っておるわけでございます。
  85. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では私が国会の場で、われわれが実地に基づいて、そういう欠陥が明らかにある、ここで直しなさいということについてはどういうふうに考えますか。そんなことはいいくらかげんですか。
  86. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 手を打たなければならないということについては、私どもも認識をしておると先ほど御返事申し上げたわけでございます。それをどのような形でやるかは各駅ごとの実情がございますので、藤沢駅につきましては、それが最善であるかどうか、いまのところおっしゃるような線まで延ばせば、その面での分は確かにプラスになると思っておりますけれども、駅の判断とあわせて対策を決めたいと申し上げておるわけでございます。
  87. 紺野与次郎

    ○紺野委員 国会でのわれわれの意見をどう思っているのですか。
  88. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 貴重な御意見であると思っております。
  89. 紺野与次郎

    ○紺野委員 貴重な意見ですね。それでは国会でそういうことが認められたならば、それを実行する責任があるんじゃないですか。何のためにわれわれはここでやっているのですか。体が真っ二つに割れた、そういうむごたらしい状況をあなたは隠していたでしょう。ただ衝撃を受けた。何ですか、衝撃を受けたとは。真っ二つに割られたのですよ。いまの文明社会の時代でこんなことが起こっているというのに責任を感じないのですか。どうです。
  90. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 お客様の安全を考えるということは、私ども輸送を任務としております者にとっては最大の事柄でございまして、それを決して軽視してほっておいていいというふうに思っているわけではございません。
  91. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いいですか、国会の場で公然と事実がいろいろ明らかにされて、そしてこれをもっとホームのところに延ばして、階段から落ちる事故に対してホームの人たちに影響を与えない、そういう分離の措置をやるということは必要であるということをあなたは言いましたね。そしてそれは重要な提案であるということも言ったでしょう。まじめに責任を持ってこれを実行するように努力しますか、どうですか。
  92. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 各駅ごとのそれぞれの実情ということで私は申し上げたわけでございます。この駅については、ただいまの御提案のものが最善であるかどうかは、駅の判断を待った上で、実施すべきであるという結論が出たら実施をいたします。そういうふうに申し上げたわけでございます。
  93. 紺野与次郎

    ○紺野委員 運輸省はこれについてどう考えますか。
  94. 住田正二

    住田政府委員 先ほど国鉄の方からお話しいたしておりますのは、この手すりを延ばすことによってかえって混雑になって、そのために駅のプラットホームが混雑になりますと、やはり危険が生ずるということだろうと思います。したがって、手すりを延ばすことによりまして、確かに駆け足で降りてくる人とプラットホームにいる人との間の衝実は避けられますけれども、逆に駅が混雑すると、その面の危険もあるのではないかと思います。したがって、各駅ごとにその駅のお客さんの流れ等を考えて、手すりを設けても別に混雑は生じないというところについては手すりを延ばす。それからそのためにかえって危険が生ずるような場合には、また別の措置を講ずるということではないかと思います。
  95. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それはへ理屈だよ。藤沢の駅でそんなに混雑しますか、どうですか。
  96. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 非常に混雑をいたします。
  97. 紺野与次郎

    ○紺野委員 新宿駅と比べてどうですか。
  98. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 ホームの混み方については、恐らく同じくらい混むと思います。
  99. 紺野与次郎

    ○紺野委員 新宿の駅ではうまくいっているのですよ。新宿の駅においては、市民はちゃんとそういうことを心得てやっている。あなた方は、これをやらないとあくまでも拒否する態度なのか、それともこれはまじめに検討して最善の手を打つということなんですか。その点どうですか。
  100. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 私の方の課で担当しておりますので、補足してお話し申し上げます。  いま局長が申しましたように、お客の流れが停滞するということが最終的にはホームの混雑を生みまして、それがまた危険につながるということでございまして、そのどちらをとるのが最善であるか、先生のおっしゃっているのと同じことをわれわれは考えておるわけですが、ここで手すりを延ばしますとお客さんの流れが若干とまる、これはホームの混雑につながる、それはまた危険につながる可能性もある、総合してどちらが最も安全なのか、こういう観点から最善の方策を求めて検討しておる次第でございます。
  101. 紺野与次郎

    ○紺野委員 あなた方が幾ら言ってもそれはちゃんと流れていくように事実が示している。この点については、現実に上がっていく穴があいておって、階段に吸い込まれていく、むしろ整然と、上からと下からとで混乱しないで、実際に新宿の場合にはやられているというこの事実に基づいて私は言っているのです。あなた方はそれをあくまでも、むずかしいということで言っておりますけれども、しかしこの点については、何らかの改善をしなければならないという点でははっきり言えますね。
  102. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 先ほど申しましたように、その駅における判断を加えた上で必要な手を打つというつもりでおるわけでございます。
  103. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、藤沢、日暮里、四谷という、いま実際に似たような状況になっているところでどういう手を打つかということを、あなた方はいつまでに返事できますか、それをはっきり聞いておきたいと思います。
  104. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 ただいま御指摘がありました駅に限ってということであれば、おおむねの案を得る期間は十日ぐらいあれば間に合うと思います。ただそれが施工なり何なりの問題までということになりますと、その点は事務的な時間をいただきたいと思いますけれども、こういうやり方ならば大丈夫であろうという案が得られる期間の見当は十日ぐらいであろう。いまの駅に限っての話でお答えを申し上げます。
  105. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、そういうふうに十日と期限を切って、どういうふうに改善をするかという改善の案を報告してもらいたい。これは委員長、いいですか。
  106. 野中英二

    野中委員長代理 旅客局長委員会の方へ出してください。
  107. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それから、この問題と関連して、今度はホームから階段自体の問題でありますけれども、階段をいろいろ調べてみますと、やはり手すりが案外軽視されているということであります。これも写真で見るとおり、階段が始まっているそこのところから始まっている。あるいは踊り場のところではこう切れている。おりるところも、さっき言ったように少し早目に切れてしまう。こういった事態があって、障害者とか手すりを必要とする年寄りの立場からするとこれまた危ないと言っている。いろいろの人の意見を聞きますと、障害者はここまで行ってこわくてしり込みをしておりられないというような人もあったし、ぜひきちっと手すりを完全にしてもらいたい、わずかばかりの改善なんですから、それをもっとつないでくれとか延ばしてくれということを要求してきております。  こういう点で、手すりをもう少し障害者とか老人のためにも役に立つように完全にしてもらいたいと思いますけれども、これについて、まず運輸省の方でこういった指導をやってもらえるかどうかということについて意見を聞きたいと思います。
  108. 住田正二

    住田政府委員 運輸省といたしましては、身障者の対策につきましてこれまでいろいろやってきておりまして、特に四十八年度から運輸省の中に身体障害者鉄道輸送対策懇談会というものを設けまして、いろいろ関係者の御意見を伺っているわけでございます。そういう意見を取り上げまして、その都度必要によりまして国鉄、私鉄、あるいは公営の地下鉄等を指導いたしているわけでございまして、いま御指摘のような手すりにつきましても、そういうものが必要であるという御意見がいただけましたらそういうような指導をいたしたいと思います。
  109. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ここで営団地下鉄の藤岡参考人にお聞きしたいのですけれども、九月二十六日に地下鉄の国会議事堂前駅をわれわれ調べまして、そういう点で、国の主権者がどんどんここに請願に来たりなんかするところとして国民だれでも差別なく尊重している駅であるということがわかるように、こういう中途半端な危険な状態はひとつ直してもらうようにということをわれわれお願いしたわけであります。そのときに藤岡さんはっきりとやりましょうということを言ってくれたわけでありますけれども、現在それはどういうふうに進行しているか、お聞きしたいと思います。
  110. 藤岡長世

    ○藤岡参考人 お答え申し上げます。  国会議事堂前駅、これは丸の内線でございますが、現状は先生指摘のような手すりでございまして、踊り場の部分、それから上がり切ったところ、おり切ったところまで延びておりません。それで国会議事堂前の駅につきましては、これを改善することにお約束いたしましたとおり、現在建築の方で設計が終わりまして、手すりの製作発注を行いました。そして明年早々にはこれが完備する見込みでございます。
  111. 紺野与次郎

    ○紺野委員 大変率直に引き受けてもらったと思います。それで、国会議事堂以外の駅なんかもお調べになるということでありましたが、そっちの方はどんなふうに進んでいるでしょうか。
  112. 藤岡長世

    ○藤岡参考人 お答え申し上げます。  現在、私ども一には百十五駅ございますけれども、まず対象といたしましては主な乗りかえ駅、それから身障者施設があるとか、あるいは大きな病院があるとか、そういう最寄りの駅につきまして、階段の手すり等を現在検討をいたしております。ただ、先ほど国鉄さんのお答えの中にもございましたように、私どもの場合にはホームに直角に階段が出てくるという場合もございますし、そういう点で手すりを下へ出すことが、ホームが狭いために支障を来すような場合もございますし、いろいろむずかしい点もございますので、実情を現在調査中でございます。  なお、今後新しく駅を設置する場合、あるいは駅の大規模改良工事等によりまして階段等を大きくいじるというような場合におきましては、先生の御指摘のような手すりをできるだけ設けたいと考えておりまして、すでに、昨年開業いたしました有楽町線におきましては、階段の踊り場部分等も連続手すりになっております。
  113. 紺野与次郎

    ○紺野委員 国鉄方々にもう一度聞きますけれども、こういう営団地下鉄の態度に、どうですか。あなた方、大変大きな世帯のようですけれども、それはどうです。
  114. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 私ども駅の中で、階段の手すり、あるいは途中の跨線橋等の場合におきましても不十分な点、配慮が足りなかった点があることを率直にただいま反省をいたしております。現在の心構えを申し上げますと、やはり近くにリハビリテーションの施設あるいは病院あるいは老人施設というようなものがある駅から改善をしたいということで、現在その実情調査に入っておりまして、必要性の高い駅から改善をしたいということで現在検討をしておるわけでございます。
  115. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういうことで、すぐしてもらいたいところを具体的にお目にかけましょう。  これは上野駅の写真です。上野駅は東京の玄関ですから障害者も来ているし、老人もいるし、そういうことでどうしても真っ先に考えてもらいたいところであります。それで上野駅のこの写真を見ますと、あの改札を出て、そしてその下には車いすで通れるように幅の広い改札口もできているのですよ、直行して東北線とかその他に乗る。  ところが、その左側に上がっていく階段を見ますと、こういう状態があるのです。片側は全然ノー手すり、何にもないのです。ここのところはアルプスの絶壁みたいになっているのです。そしてその反対側の真ん中のところでは、踊り場のところの広いこの柱ですね、ここのところが切れているのです。節約されているのです。それである障害者がここを上っていって、ここへ来て向こうへ手が届かないのでUターンをしてあきらめておりてきたと言われております。下のところは車いすで通れるようにわざわざあけておきながら、その知恵がなぜすぐ脇の壁に向かわないのか。こういう不統一のばらばらな、そういう態度をやめてもらいたい。それから、車いすでなくては今度は老人とかあるいは松葉づえをついている方々が、やはりその配慮に従って手すりにつかまって上に上がっていくような施設をしてもらいたい、なぜできないんだろう、なぜこういうふうにちぐはぐなんだろうということを不思議がっておるのです。どうです、これは。すぐ改善してもらえませんか。
  116. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 先ほど御指摘のございました駅の中に上野の駅が別の意味で入っておりました。先ほど日暮里と上野と四谷と藤沢とおっしゃいました。その中に上野の駅がございました。その意味ではあわせて検討するつもりでおるわけでございます。
  117. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それではそれも十日間でプランはちゃんとしてもらえますか。
  118. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 検討いたします。
  119. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その次は、九月二十六日にわれわれは国鉄に行きまして、そのときにシルバーシートが国電に取りつけられているという点で、それの改善方についてわれわれ言ったわけでありますけれども、シルバーシート、これが東京では国電に採用されている。これは大阪ではどうなんですか、やろうと思っておりますか。そのこととあわせて答弁してください。
  120. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 せんだって東京では京浜東北線を実施いたしましたが、今年度中に大阪でもこの方式を採用する予定でおります。
  121. 紺野与次郎

    ○紺野委員 大阪でもやるようにするということですが、調べたところでは非常に利用率が低いのですね。都バスの方の席は非常によく活用されているが、国電の場合には余り利用度が高くない。これはなぜ低いと考えられるかお聞きしたいと思いますが、どうですか。
  122. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 中央線には席数にして十八ございまして、山手線と京浜東北線には一列車に十二ずつシルバーシートがございますが、必ずしも利用率が悪いとは考えていないのですが、もう少し改善を要する点があるとすれば周知徹底方ではないか、同時に一般の謙譲なお客様にその面についての協力を求めるということだというように考えております。
  123. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ある老人クラブでシルバーシートを知っているかというふうに聞いたところが、半分と少ししかそれを知らないんですね。何両目にあるかということなんか聞いたらだれも知らない。この点について、きょうは旅客局長さんがおり鉄監局長さんがおられるわけですが、何両目にあるのですか、中央線は。ちょっとお聞きしたい。
  124. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 中央線は快速電車の一号車、四号車、十号車。山手線、京浜東北線はそれぞれ一号車、十号車でございます。
  125. 紺野与次郎

    ○紺野委員 なかなか徹底しておらない、知っておらない人が多いということで、われわれは九月三十六日に、シルバーシートが目の前にとまる場所をホームに明らかにするようにしてほしいということを言いました。そうしたら、それはやりましょうということで、ホームにそういう告示板をつくるということが出たのですが、最初のうちはこれはただマークをべったり張るというようなことでもあったようですが、しかし、その後それではだめだ、もっとはっきりと国民に対してわかるように、ここはそういうところですという五十センチないし一メートルの大きさの告示板をつくるというふうなことが進行しているやに聞いておりますけれども、どういうものをいま準備されておるのか、いつごろまでに中央線はやろうとしているのか、これについてお聞きしたいと思います。
  126. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 とりあえず中央線につきまして、二十駅になりますが、シルバーシートの停止位置表示をつける予定でおります。ことしじゅうにはつくと思います。ただ、どういう形のものをつけるのかについては、ちょっと私、いまつまびらかにいたさないのであります。
  127. 紺野与次郎

    ○紺野委員 どうもあなた方勉強不足なんですね。下の方の係長さんたちはアイデアを出して、そして上の方からただワッペンをつけろという指導があったけれどもそれじゃだめですということで、もっとりっぱなものをやはりつくるということで努力しているようであります。大体どれくらいの予算がかかると思いますか、その三十駅に。
  128. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 予算の点について本日お答えできませんが、これは簡単に調べてわかることですので、後刻御連絡いたしたいと思います。
  129. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ごくわずかなんですよね。係長さんたちは一生懸命駆けずり回ってその金を集めようとしているようです。そういう点について幹部は肝心かなめなところはいいかげんになっておって外れているということだと思うのです。それとも国会についてはそういうことは言えないという態度なのか、非常にその点は率直でないというように思います。とにかくこれも至急われわれに大体予算はどれくらいということでお願いしたい。一つ一万円以下というふうにわれわれ考えております。もっと安いものであるということですね。  そして問題は、中央線以外の京浜東北線はいつごろこういうことができるでしょうか。それとも中央線だけですか。その点、お聞きしたいと思います。
  130. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 中央線だけでよいとは考えておりませんが、山手線、京浜東北線についてはいつごろこれをつけるかという点について、まだ計画を決めておりません。
  131. 紺野与次郎

    ○紺野委員 来年の予算ではできますか。
  132. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 ことし検討することにしておりますので、できるだけそういう方向で努力をしたいと思っております。
  133. 紺野与次郎

    ○紺野委員 シルバーシート及びそういう改善を少なくとも来年は東京の都内でこれを行って、そしてさらに大阪あるいは総武線というふうなところに広げてもらえるかどうか。差はあってはならないのでありまして、二大中心である大阪の方もそういう方向で努力してもらえるかどうか、御返事願いたいと思います。
  134. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 おっしゃったような線で、ただいま国電が走っております統一されたタイプの電車の場合に座席が固定したかっこうで運行ができますので、そういう線区に及ぼしてまいりたいというふうに思っております。
  135. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それじゃ運輸省の方にお聞きしたいと思いますが、これを国鉄だけでなくて私鉄の方についてもこういう指導をしてもらえるかどうか、お聞きしたいと思います。
  136. 住田正二

    住田政府委員 現在私鉄でシルバーシートを設けておりますのは、東京都の交通局と伊豆箱根鉄道だけでございます。それ以外の私鉄につきましては、十月三十三日に大手私鉄あるいは公営の鉄道その他約二十社ぐらいに対しましてシルバーシートを設けるように指導いたしております。
  137. 紺野与次郎

    ○紺野委員 もちろんそれは国鉄でいま問題になっているようにホームにもちゃんと公示板を出してやるように指導しますか。
  138. 住田正二

    住田政府委員 私どもが出しました文書では、国鉄のシルバーシート等参考にしてといっておりますので、国鉄の例にならうことになると思います。
  139. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その二十社や名前を後で——ここでわかりますか。
  140. 住田正二

    住田政府委員 この資料をお渡ししてもいいわけでございますけれども、東武鉄道、西武鉄道あるいは札幌市、横浜市、名古屋市等、大手は大体網羅されていると思います。
  141. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その資料をください。  あとちょっとだけですが、最後に、視力障害者の安全です。重要なすべての駅に、また関係の多い駅に対して、直ちにいわゆる点字ブロックあるいは誘導テープですね、これをやってもらうようにお願いしてあるわけですけれども、これについては九月九日に目白駅で事故が起きておりますね。ですから、そういうことのないようにまず目白駅から至急に、この点は点字ブロックがやっぱりいいと思いますので、これをつけてもらえるようにお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  142. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 ただいま目白駅につきましては点字ブロックを埋め込むべく工事の計画を立てておりまして、今年度中には完成をする予定でございます。
  143. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、以上をもちまして私の質問を終わりますが、とにかく障害者にしても大企業は必ず雇用をやるようにという政府の指導があるはずなんですね。これをなかなか大企業も実行しておらないというふうなことが世論の中で指摘をされております。そういう状態ですから、まず何よりも国鉄は、そういう時勢でありますから、障害者やその他も積極的に大企業にも雇用され、またそれが要求されて社会的な活動をするようになってきております。そういう点から見て、やはり健常者だけの国鉄というのではなくて、障害者たちのためにもできるだけ施設を整えてやるというふうに努力をしてもらいたいと思いますが、これをもって私の質問を終わるのですが、その点を最後に運輸省国鉄の方から簡単に答弁いただきまして終わりたいと思います。
  144. 住田正二

    住田政府委員 先ほども申し上げましたように、運輸省といたしましては身障者等の対策について前向きに取り組んでいるつもりでございますし、省内に部外の関係者のお集まりをいただきまして、協議会を設けていろいろ御意見を拝聴いたしているわけでございまして、今後ともそういう方向で善処してまいりたい、そのように考えております。
  145. 馬渡一直

    ○馬渡説明員 国鉄の非常に古い駅等ございまして、そのころには配慮が足りなかったというような駅が多々ございます。私どもただいまそれらについて、これは一遍にできませんので必要性の高い駅から手を打っていくということで考えておりますが、今後つくりますものについては、基礎的な設備としてそれを取り入れて、設計の中から実施をしていくように今後配慮してまいりたいと思っておる次第でございます。
  146. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、終わります。
  147. 野中英二

    野中委員長代理 これにて紺野与次郎君の質疑は終わりました。  参考人には貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十四分散会