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1975-11-12 第76回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十二日(水曜日)     午後一時十三分開議  出席委員    委員長 下平 正一君    理事 大竹 太郎君 理事 片岡 清一君    理事 三枝 三郎君 理事 野中 英二君    理事 勝澤 芳雄君 理事 野坂 浩賢君    理事 平田 藤吉君       足立 篤郎君    佐藤 守良君       古屋  亨君    紺野与次郎君       沖本 泰幸君    小濱 新次君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     福田  一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  出席政府委員         総理府総務副長         官       松本 十郎君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         建設政務次官  中村 弘海君         建設省道路局長 井上  孝君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中 哲男君         厚生省医務局指         導助成課長   岸本 正裕君         自治省財政局調         整室長     中村 瑞夫君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 十一月六日  自動車交通安全対策に関する請願(渡辺武三  君紹介)(第一七一四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十一日  交通安全対策事業促進等に関する陳情書  (第一七二号)  交通安全思想普及及び交通安全教育費助成  措置等に関する陳情書  (第一七三号)  交通安全施設整備促進に関する陳情書  (第一七四号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件(交通安全施設整備  に関する問題等)  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 下平正一

    下平委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  交通安全対策に関する件について調査のため、明十三日、参考人として帝都高速度交通営団営業部長藤岡長世君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 下平正一

    下平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定しました。      ————◇—————
  4. 下平正一

    下平委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。
  5. 大竹太郎

    大竹委員 まず第一に御質問申し上げたいことは、御承知のように、この二十年間で自動車の数が非常にふえてまいりました。したがいまして、自動車事故による死傷者の数も非常に増加をしてまいりました。この統計を見ますと、昭和四十五年が一番のピークになっておりまして、死者一万六千人ということになっているわけであります。そこで、国におきましても、この自動車増加に伴って、昭和四十一年度から第一次三カ年計画、四十四年から第二次三カ年計画、それからこの五十年度で終わります昭和四十六年から現行の五ヵ年計画をやってきたわけでありますが、そういうようなことで、いまほど申し上げましたように、四十五年をピークとしてその後逐次事故が減り、死者も四十九年度はたしか一万一千幾ら、五十年度はまだ終わりませんけれども、恐らく一万人そこそこになるだろうということが言われております。  そこで、お伺いいたしたいのでありますが、もちろん事故が減り、死者も減ってきたことに対して、交通安全施設をやりました第一次三カ年計画、第二次三カ年計画、そして現行の五ヵ年計画、これが事故が減った一番の大きな理由だろうと思いますが、やはりこれだけが唯一の原因ではないと私は思うのでありまして、そのほかどういうものが原因してこう減ってきたか。来年からは第二次五ヵ年計画を立てなければならぬわけでありますから、それらの参考として、やはりほかの原因考えていかなければならぬのじゃないかというふうに思いますので、これを第一にお伺いいたしたいと思います。
  6. 松本十郎

    松本(十)政府委員 お答えいたします。  大竹先生指摘のとおり、この二十年間に自動車台数はわが国においては飛躍的に増大したわけでございまして、この十年間をとりましてもその台数はもう四倍以上に相なっております。しかしながらまた、諸般の施策によりまして、仰せのとおり交通事故減少しているわけでございまして、その原因としまして考えられますことは、これまた御指摘のとおり、累次の中期計画によりまして交通安全施設整備を飛躍的に進めてきたことが大きな原因だとは考えておりますが、しかし、そのほかにもいろいろと原因があるわけでございまして、交通の安全のための施策を講ずるに当たりまして、御承知のとおり、交通機関とそれを運転する人間、それから交通環境、この三つにつきまして、それらの相互関連を考慮しながら適切な施策を進めなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、交通安全施設整備はもちろんでございますが、交通環境の改善を行い、不断の技術開発によって自動車等交通機関安全性を高める、そしてまたさらに重要なことは交通安全教育あるいは交通安全思想普及によりまして交通事故減少を図る、これが必要だと考えるわけでございます。  政府におきましては、交通安全基本計画等もとにしまして、これらすべての施策を総合的に進めてきたわけでありますが、これらが交通事故減少原因として大きく貢献したものと信じておりますが、とりわけ世界にも誇り得るような民間交通安全運動あるいは運転者に対する教育広報救急活動充実等、これらがあわせて事故減少の大きなファクターと申しましょうか原因になった、こういうふうに考えるわけでございまして、来年度から発足します第二次五ヵ年計画を策定する際にもそれらの点を十分配慮して一層の強化に努めたい、こういうふうに考えております。
  7. 大竹太郎

    大竹委員 いま副長官の方からお答えがございましたが、やはり金をかけ交通安全施設を第二次五カ年計画において達成する。目標は、昭和四十五年度一万六千人であったものを今度の五カ年計画ではちょうど半分の八千人にしようというのが目的であるようであります。しかし、私、考えますのに、いままでと同じような方法、考え方によっては、これから予定どおり交通事故を減らしていくということは私はなかなか至難じゃないかというふうに実は考えるのであります。  そこで、いろいろ細かい問題を私も考えてはおりますけれども、実はきょうは四十分しか時間がないということでありますから、特に人の力、組織の力というものをどういうふうに利用していくかということについて若干お聞きをしておきたいと思います。  私は、いままで相当事故を減らすことに役立ってきたものの大きなものに、やはり交通関係警察官を非常にふやしてきた、そしてこの警察官によって取り締まりとか交通規制というものを強力にやってきたことが、交通事故を減らす上に大きく役立っているのだ、こう思うわけであります。  実は先ほど、もう来年度の要求その他について別の会で聞いてきたのでありますが、たとえば来年は交通関係警察官を六百人、全体として三千人ふやす要望になっておりますけれども、その中で交通関係は六百人というようなことを聞いてきたわけでありますが、四十一年から五十年まで一体交通関係警察官はどういうように増員してきたものか、そして今後はこれについてどういう考え方を持っていらっしゃるのか、それをお聞きしておきたいと思います。
  8. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通警察官増員といたしましては、四十七年度から五十年度までの四年間に約一万の増員をいただいているわけでございまして、現在約三万人の交通警察官交通警察仕事に従事をいたしておるわけでございますが、交通事故防止第一線に立ちますのは、交通警察のほかに外勤警察官にも非常な御苦労をいただいているわけでございます。
  9. 大竹太郎

    大竹委員 別に五カ年計画というようなものはないかもしれませんけれども、今後は一体どういうようにされる計画ですか。
  10. 勝田俊男

    勝田政府委員 先ほどのお話でございましたように、来年度警察官増員の中に、交通警察官については六百人余り増員お願いをいたしているわけでございますが、今後の交通情勢というものを見ながら、第一線交通警察官の負担が大変重いという実情もわれわれ承知いたしておりますので、その状況を見ながら、各般の条件も勘案しながら増員、体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
  11. 大竹太郎

    大竹委員 時間がございませんから、先へ進ませていただきます。  たしかこの五カ年の間だったと思うのですが、巡視員という制度がつくられました。これはたしか十万以上の都市配置され、これはしかも若い女性が私どもあたりでは巡視員になっているようでありますが、この制度が発足して以来この制度はどんな効果を上げているか、特に事故関係の問題についてどんな効果を上げているか、またこの制度をもっと拡張して人員をふやすといいますか、たとえば十万以下の都市にもこういうものを置くお考えがあるのかどうか、そういうような点についてお答えをいただきたいと思います。
  12. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通巡視員制度につきましては歩行者の保護、駐停車禁止の励行を一層強化するために昭和四十五年の五月に道路交通法の一部の改正によって新設されたものでございまして、定員は四千五百二十名でございます。四十五年度に二千五百人、四十六年度に二千人、そのほか四十七年度に沖繩県に二十人ということでございます。五十年十月末の定員は四千三百三十一人ということで、うち女性が四千二百二十六人ということで、女性が大部分でございます。  この巡視員につきましては、こういった仕事の性質上非常によく街頭に出て直接指導をしてくれる、そういった面で学童の指導なりあるいは駐停車の取り締まりなり、こういった面にきわめて効果が上がっているわけでございます。  なお、これが運営につきましては、当初の段階で十万以上の都市ということを中心に算定をして各県に配分をされたわけでございますが、それぞれの県の実情に応じまして最もふさわしい地域配置をして運用しているのが実情でございます。
  13. 大竹太郎

    大竹委員 つまらぬことですが、十万以上の都市ということでありますが、最低の十万都市で何人これが割り当たっているわけですか。
  14. 勝田俊男

    勝田政府委員 最低で、各警察署ごとになりますので、都市内に二署あるようなところもございますが、署ごとには二人とか、三人というところもあると思いますが、十万ちょっとした都市だと四、五人くらい配置になっているのじゃなかろうかとい、うふうに思います。
  15. 大竹太郎

    大竹委員 そこで建設省の方へちょっとお伺いしたいのですが、この巡視員と同じような制度道路監理員という制度、それからモニター制度、これはモニターというのは役所の方ではないようでありますが、こういう制度もあるということでありますが、やはりこれからの参考にいたしたいので、道路監理員、それからモニター制度について簡単に説明をしていただきたいと思います。
  16. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路監理員につきましては、全国でいま約一万人おります。その中にはもちろん公社、公団関係も含めております。  それから、道路モニターにつきましては、特に最近国道危険個所中心にその充実を図っておりまして、現在一般国道指定区間で千二百十二人、指定区間外一般国道で六百十八人、都道府県道で千九百九十二名、その他一般有料道路等で十四名、総計三千八百三十六人という設置状況でございます。
  17. 大竹太郎

    大竹委員 人数はわかりましたが、何といいますか、その職責とでも申しますか、事故に関してどういう働きをするのか簡単に……。
  18. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路監理員といいますのは、道路法に基づきまして道路構造保全等につきまして特に見回りをして管理をする。不正なものがございますれば、たとえば不法占用というようなものがございますれば適当な措置をして排除をする。  それから、道路モニターにつきましては、主として一般民間方々お願いをいたしまして、災害時あるいは交通事故等道路構造あるいは通行に支障を及ぼしておるというようなときには、しかるべき道路管理者の方の出先機関電話等連絡をしていただく、場合によっては応急の措置モニターの方にお願いする、こういうことが主な役割りになっております。
  19. 大竹太郎

    大竹委員 いまいろいろお聞きをして教えていただいたのでありますが、警察官、これはできたら大いにこれからも増加することは結構だと思います。また、この巡視員制度あるいは建設省関係道路監理員あるいはモニター制度人間をふやすこと、あるいは大いに勉強をしてその職責を十分に果たしていただくこと、いずれも必要だと思いますが、現在の財政の面からいたしますと、交通安全施設の五カ年計画は私はこれからある程度制限を受けると思いますし、まして人間をふやすというようなことも非常に大きな制限を受けるだろうというふうに思います。したがいまして、大いに勉強をし職責を果たしていただくことが大事だと思うわけでありますが、こういうようなときに当たりまして一番大事なのは、交通安全対策基本法を見ますと、第三十条二項というのがございまして、「国は、交通の安全に関する民間の健全かつ自主的な組織活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。」という規定があるわけでございまして、本当に交通事故をなくするということは、先ほど副長官も言われましたように、国民の各自がいわゆる交通に関する知識、道徳というものをしっかり身につけるということが一番大事なことではありますけれども、そこへ行くまでには、やはり民間で少しでもそういう面で一生懸命になっている団体とか人間というものをうまく利用して、逐次その団体自身目的でやってもらうと同時に、一般にも逐次及ぼしていくという方策がこれからの交通事故をなくするためには一番必要じゃないかというふうに私は考えるわけでございます。  基本法にこういう規定があるわけでありますので、いままでこの規定をどういうように活用されて、どういう団体に対して国として助成補助をされてきているか、これをまずお伺いします。
  20. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 交通安全対策基本法の第三十条の二項は、御指摘のとおり民間交通安全運動を支援するということが出ております。先ほど総務長官が答えましたとおり、私自身国際会議等に出まして、日本は同一民族ということもあろうかもしれませんけれども、一般市民方々交通安全に非常に積極的であるということ、これは世界一だと思っております。  たとえば長い歴史を持っております交通安全協会、そういった組織外国では余り見られませんし、民間で子供の通学路街頭に立つ交通指導員方々のあの自発的な活動、こういったものも外国では見られません。ぜひ第二次の交通安全対策の五カ年計画には民間交通安全活動交通安全組織育成なりこれの補助、これを最大ポイントにしたいと考えております。しかも、この民間交通安全組織地域社会におきますコミュニティー活動基本にもなるということで進めておるわけでございます。  長年の歴史を持ちます交通安全協会につきましては、警察庁の方あるいはその他の関係からの寄付や補助も出ておりますし、また私の方では昨年交通安全母の会というものを認可法人にいたしまして、本年度予算措置を講じております。それから四十七年ごろから御承知のとおり幼児交通安全の教本をつくりまして、それに基づきまして幼児の交通安全クラブというものを全国的に育成しております。これは自治省の方の地方財政の方にも金額的に盛り込んでもらっておりまして、現在約百万人の児童がこれに参加しておるという成果も出ております。あるいはダンプカー規制法によりますダンプカー協会につきましても、四十九年から国からの補助を出すということを進めております。あるいは厚生省の方では母親クラブに対します補助も四十八年から始めたようでございます。地方それぞれに交通安全対策協議会という民間方々も集まっていただきましての交通安全の協議を進め、しかも年に二回、これも世界にございませんけれども、年二回全国一斉の交通安全運動のその基盤として、こういう市民方々民間方々活動が最も大きな活動になっておると思います。  第二次交通安全基本計画最大ポイントとして、一層これの育成なり応援に努めてまいりたいと思います。
  21. 大竹太郎

    大竹委員 いまの御答弁をお聞きしますと、総花的にまあまあやっているのだというお話でございますが、私の知っている範囲におきましては、全国的にどこの県でもどこの町でもあり、そしてまた県は県として一つまとまりを持ち、また全国全国として一つまとまりを持っているものはこの交通安全協会だけでないか。ほかのものもこれから逐次充実してくるでありましょうけれども、少なくともいままでの実績においてはこの交通安全協会だけでないかというふうに思うわけでございまして、いまほどのお話だと、交通安全協会に対しては大いに育成考えているのだということでございましたが、ほかのものは別といたしまして、具体的にどのようにこの交通安全協会に対しては助成をしていられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  22. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通安全協会交通安全思想普及徹底運転者教育あるいは一般市民に対する広報宣伝、そういった面で非常な御活躍をいただきまして、これが今日の交通事故減少にもつながっているというふうに考えるわけでございます。そういった面で、警察といたしましても交通安全協会と緊密な連絡もと事故防止に努めているところでございますが、全国的な組織としての全国交通安全協会、これにつきましては国から補助金なり委託金という形で、十分ではないと思いますけれども、若干の援助をしている。それから府県段階にまいりますと、府県から府県単位交通安全協会にそれぞれ若干の補助金というような形のものが出ているところが多いかと思います。問題は地区段階ということでございますが、これは伝統的に各警察署単位にできて、これはやはり交通安全運動などの際には実際に現場にも出ていろいろと御活躍をいただいているというものであるかと思いますが、これについては組織は必ずしも全国的に同じような形のものではない。県段階組織の一環としてやっておるものもあるし、それから独立しているものもあるというようなことで、一律に実態はつかめないわけでありますが、関係の町村から御援助をいただいているというところのものも相当数あるというふうに伺っております。
  23. 大竹太郎

    大竹委員 そこで、この交通安全協会から私のところへ練情書が実は出ているわけでございます。この内容は、御承知のように、反則金につきましては、反則金を各市町村還元をいたしまして、そしてこれをもって、交通安全施設に充てろという、これは道路交通法ですかの規定によってそういうことになっているわけでありますが、御承知のように、この交通安全協会というのは、別に法律で決まって、何といいますか自動車を持っている人間あるいは運転している人間、いずれも入ることにはなっておりますけれども、いわゆる強制加入じゃないというようなこと、ことに御承知のように、最近は非常にオーナードライバーがふえてきている、一台しか持っていないというような、業者は別でありますが、そういう人間も多くてなかなかみんなが交通安全協会に入ってくれないというようなことからいたしまして、車が多くなった割合に協会に入る人間はそれほど増加をしてない。  そういうようなことからいたしまして、交通安全協会活動というものがなかなか思うに任せないというような趣旨からいたしまして、何とか地方還元される反則金交通安全協会——協会の連中にしますれば、あれはみんなわれわれのメンバーが納めたものなんだというような趣旨から、この交通安全協会活動資金として市町村からさらに還元を得られないものかというわけでありまして、これはさっきも申し上げましたように、交通安全施設に使わなければもとへ返せというような規定になっているようでありまして、市町村なんかも断る理由にそういうの使っているのかどうか知りませんけれども、これからでもやれるのならもっとやってもいいんだけれども、財政も困るし、わずかずつは出しているようでありますけれども、なかなか思うに任せないというわけでございまして、これは法律を改正するというようなことになりますと、なかなか一朝一夕でできるとも思っておりませんけれども、役所としてどうお考えになっているかということをこの際お聞きしておきたいというわけであります。
  24. 勝田俊男

    勝田政府委員 御質問のように、現在の特別交付金については交通安全施設のために使うということになっているわけでございます。そこで、現実交通安全施設の経費の中で、この特別交付金がどの程度の北率を示しているかということになりますと、やはり全体の膨大な中に占めてこれだけではまだまだ不十分である。これでもって余りが出るというような額ではもちろんないわけでございまして、当面まず安全施設整備というところに使うという現行制度をすぐに変えるということは、いかがなものであろうかというふうに考えているわけでございます。  そういった面で、しかし交通安全協会のいろいろな御努力ということもわかるもので、今後の援助指導なりについて、いろいろと検討、工夫を重ねてまいりたいというふうに考えます。
  25. 大竹太郎

    大竹委員 時間が来ましたので、私の質問はこれで終わります。
  26. 下平正一

    下平委員長 次に、野坂浩賢君。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 交通安全を図るために、特に昭和四十一年から第一次三カ年計画、第二次三カ年計画現行五カ年計画、新たに新五カ年計画等、そういうふうに総合的に進められておりますが、当初この計画を進められるに当たって予想した死者なり負傷者というものは、予想どおり大体進行しておりますか、総理府の副長官にまず冒頭お尋ねいたします。
  28. 松本十郎

    松本(十)政府委員 四十一年以来累次の三カ年計画あるいは五カ年計画をやってまいりましたが、交通事故につきましては、一応の想定の数字はございましたが、なかなか当初は減ってこない。四十五年をピークとしまして、その後は毎年五%、それ以上の率で減少してまいりまして、いままでのところはおおむね期待しておった減少率、あるいはそれ以上に進んでいる年もあるというふうに考えております。  ただ本年も、前半は大変好調裏に進んでよかったわけでございますが、八月末以降減少のトレンドがちょっと足踏みまで行きませんがスローダウンしておりまして、この調子では努力しなければ本年度の目標はむずかしいのじゃないかな、こういう感じもいたしております。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 現行の五カ年計画、これについては当初あなた方は一万九千人を想定をしておった。しかし現実は一万一千人に激減をした。これは予想以上だったですね。三木内閣の中では、すべて見直しに見誤りが多いのでありますが、これについてはまことに結構な見誤りであったと思うのであります。しかし、いまもお話がありましたが、その原因が非常にあいまいであります。減少原因は何かということを明確にしてほしいと思います。
  30. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりに、現在の五カ年計画を四十六年に設定いたしましたときには、このままでいきますならば、五十年には大体死者が二万人、うち歩行者が八千人になることが予想される、あるいは負傷者が百七十万人になることが予想される、それをこの五カ年計画で少なくとも歩行者八千人を半減したいということで進めてまいったわけでございますが、大体この目標は本年達せられるであろう、歩行者四千人におさまるであろうということで考えております。  この間、死者につきましては、四十六年から四十九年までの四カ年ですけれども、三二%減少したのですが、この減少の最も大きな理由は何かということでございますけれども、これはやはり自動車交通事故増加要因と減少要因があろうと思います。それぞれが、特に減少要因はいろいろな施策がありますから複雑にからみ合っておると思いますけれども、いずれにしましても、増加要因である最も大きな自動車の走行台キロの増加、これをはるかに上回る減少要因、その減少要因でも最も大きなのが安全施設なり交通規制なり取り締まりですが、これがこの五年間で急激に伸びてきた。自動車増加交通量の増加よりもはるかにテンポを高く施策が伸びてきた、このように言えるのではなかろうかと思います。  たとえば、この計画を始めました四十五年から去年の四十九年の四カ年ですけれども、この間におきまして自動車台数はプラス五〇%、それから自動車の走行交通量、これがプラス二五%ぐらいですけれども、この間におきまして、たとえて例を挙げますと、信号機は二・四倍、警察の規制を標榜します標識が二・七倍、横断歩道が二・三倍、チャンネルをやっております図示標示、これが実に五・九倍、実線標示が三・六倍、一方、道路管理者の歩道も八〇%増とか、あるいは自転車道が新たにつくられたといったこともございます。それから、あるいは交通事故死者を救うためにプラスであったと思いますけれども、救急施設も、これは救急隊員なり救急パトカー等が約二倍近くこの五年間でふえておるということ。  この自動車走行量の伸びを、この間自動車は約九百万台ふえておるのですけれども、その走行量をオーバーする交通安全対策、特に交通安全施設、取り締まり、規制、救急施設、こういったものが飛躍的に伸び上げたことがこの事故減少の最も大きな原因であろうと私は思います。  もちろん長年積み上げてきました交通安全教育なりあるいは広報活動なんかの蓄積が、だんだんと安全意識の向上につながってきたことも隠せないと思います。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 そうしますと、この三カ年間で、大体四十五年一万六千人が四十九年に一万一千人になった。その差は五千人である。それは走行の台数なり走行キロ数というものを安全施設が上回ったということが最大理由であるというお話でありました。今度の新五ヵ年計画というのは、この五年間で八千四百人の死者想定をする、こういうことになっておるわけです。五年間ですよ。そうすると一年間大体五百人ですよね。それならば、いままでの現行のものに三・〇五倍の施設増をしてもなかなか——これも走行キロ数なり走行台数よりも上回る施設と思われますね。保有台数を三千七百万台と想定をしておられるのです。大体そういうことになる。そうすると、いま室長からお話しになったようなとおりの計算にならないじゃないですか。五百人というのは少な過ぎるのじゃないですか。どうです。
  32. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 今度の第二次五カ年計画に、一応五十五年には八千人台にまでいき、そして五カ年計画が終わりました翌年の五十六年には、大体最盛時の四十五年の死者数の約半減に近い八千四、五百人台にまで減少させたいということでございまして、年率大体五%ずつの減少を一応われわれは目標にしておるわけであります。  これは四十六年から四十七年の減少率が年間約三%弱でありまして、そして四十七年から四十八年が約八%強の減少ぶり、特に去年は二一%の減少でございましたけれども、過去の減少傾向、それから私の方で東大の生産技術研究所に過去の交通安全施設なり規制なり、こういったものの数量を全部集めまして、そしてそれによった効果測定というものをある程度積み上げてみまして、そして今後従来と同じように安全施設なり規制なり取り締まりなり、これを従来どおりずっと同じ定量的に伸ばしていくとするならばどのような数字に落ちつくであろうという計算を、過去の実績をトレースさせましてやってみました。それによりまして、大体その当時も自動車は約三千七百万台、ただし、自動車はふえればふえるほど交通量そのものは逓減していきます。そういうこともございまして、そのトレースした結果八千人台まではあるいは今後の交通安全施設、規制等を従来どおりの努力を続けていくならばいけるんではないだろうかという目安を一応出してくれました。  そういう観点から見ましても年率大体五%ずつぐらいは今後安全施設をふやしていくならいけるであろうという見通しを立てたわけであります。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 論争する気持ちはありませんが、まず、先ほども確認したように、走行台数、走行キロ数よりも安全施設が下回った金額は、大体二千二百九十二億だったですね。大体三千億だったですね、この五カ年計画に投じたものは、道路管理者分と公安委員会分を含めて。ところが、今度は三・〇五倍に上っておるわけですよ、九千億。大体七千億と二千億、こういうことになっておるわけです。そうすると、いまあなたがお話しになったように、台数も走行キロ数も現行の五カ年計画よりも上回っておったわけですから、自動車の伸び分も、いまの二千八百万台という数字と、昭和五十五年の三千七百万台という台数とこの金額を比較いたしますと、あなたがおっしゃったように走行台数なりキロ数を施設分が金額的には上回ることになるんですよ。そうすると、四十九年に二一%も減になったんですから、それを基礎にしなければ、あなたのは長い昔のデータをとって、安全教育をしなかった時代のデータもとって五%に直してみてこうなるんですというのは、想定が違うのじゃないですか、あなたの理論と一貫しないじゃないですかと、こう言って聞いておるのです。どなたでも結構ですから……。
  34. 松本十郎

    松本(十)政府委員 先生御指摘の御趣旨もよくわかりますが、一つは、一昨年大幅に減りましたのは、御承知のような石油ショック、ガソリンの規制まで参りませんが、特にオーナードライバーその他の自粛等で走行キロ数が大幅に減ったという、これが相当程度の減少要因になったとわれわれも判断しているのが一点です。  それからもう一つは、金額的に約三千億が九千億になるから三倍になるではないか、こうおっしゃいましたが、御承知のような物価の上昇でございますので、施設の量そのものは、金額が三倍になりましてもそれほどふえない。そういう意味において施設そのものが実質的にどこまでふえるかというのは、これからの物価の趨勢等も勘案していかなければなりませんが、そういうので減量といいましょうか、若干修正しなければならぬ、こういう二点がありますから、必ずしも、先生の御指摘もあるのですが、そのとおりの計算ではいかないのじゃないか、こう考えます。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 もうそういう議論はしませんが、おっしゃいますように、四十六年から五十年というのは物価騰貴の非常に激しいときなんです。それで三木内閣は物価を安定をさせる、ことしの年度末は一けた台にする、こうおっしゃっておるわけです。松本長官だけは見解が違って、これから財政法特例法等によってインフレになるのだと、われわれと同じような見方なんですけれども、それで倍率が出てこない、物価は上がるんだと、こういうことであります。それならそれで四十八年の十一月以降、いわゆる石油ショックによって他動的な要因がこの一万一千人にせしめたという要因が大きいということをやはり確認しておいてもらわなければならぬと思うのです。  そこで、自動車台数自動車の数量といわゆる事故率というもの、死傷者、こういうものは相関関係を持つものかどうかということを聞きたい。
  36. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 交通事故増加要因としては自動車の走行量というものが最も大きな関係があると思います。この自動車の走行量に見合っての事故の比率というものの相関関係はまだ確実なものは出ておりません。ただわれわれは、非常に簡単なことで申しわけないのですけれども、自動車台数当たりの死者数というものをかねてからの一つの目安にしておりまして、これが二、三年前から、たとえばアメリカやイギリスあたりが一万台当たりの死者数が大体五人あるいは五人弱という数字が出ておるわけなんですが、昨年のわが国の死者数は一万台当たり警察統計では四・一人、実際に死んだ厚生統計でいいますと五・九人ということになるわけなんです。そうしますと世界的な水準にはある程度追いついてきた、これはもう過去十年間で四分の一ぐらい減ったわけですから非常に減ったわけなんですけれども、それを一つの目安にしております。  おっしゃるとおり自動車走行量との何らかの相関関係があるはずだと思いますけれども、それ以外に道路面積とかいろいろなものが入ってまいりますから確実なものは出せませんけれども、一応の目安としては私らいままで自動車台数当たりというものを一つの目安にしておったわけであります。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 この資料をこの間の委員会でもらいましたが、五十五年度は三千七百万台、こういうふうに資料にはなっております。そこで、自動車台数はいまどの程度あるかといいますと、たしか保有台数は二千八百七十五万二千二百四十五台、登録台数は二千百九十一万四千五百四十六台、これで間違ったら指摘していただきたいと思いますが、大体こういうことだと思うのですが、非常に伸びておりますね。年々ものすごい増加であります。そうして自動車の受けざらとして道路がつくられる、こういう関係になっております。  どこの標識を見ても、「狭い日本そんなに急いでどこへ行く」というようなことがたくさん、われわれはよく道路を通るたびに散見をいたしますが、一体運輸省はあるいは建設省は、そして最後に総理府自動車台数というものは野放しでいくつもりなのか、総体的にどこまでがわが国においては適当と考えておるのか、狭い日本は道路だらけということにするのか、どのようにその点は自動車に対しての認識をお持ちか、承っておきたいと思います。  まず、運輸省からお願いしましょうか。いなかったら建設省でも結構です。
  38. 井上孝

    井上(孝)政府委員 建設省でございます。  私どもの方の道路整備計画は、御承知のように五カ年計画をもって策定をいたしております。ただいまの第七次道路整備五カ年計画、これは四十八年に策定をいたしまして現在三年目に当たっておるわけでございます。その五カ年計画の策定時の交通量の予想昭和五十五年に三千二百五十万台、三千七百万台という最近の推計よりやや下回った推計のもと道路整備計画を立てておるわけであります。  しかしながら、実はこの五カ年計画、総体規模十九兆の整備計画でございますが、四十九、五十年の総需要抑制で、実は三年目で四三%の進捗を示しておる、今回の補正予算で若干追加をいただきましたが、それにしても四四%という、過去に六回やりました五カ年計画に比べまして非常に進捗がおくれておる、こういう状況でございます。したがいまして、現在の道路整備計画では、私がいま申しましたような昭和五十五年三千二百五十万台という自動車台数に見合うような道路整備するというのは、これからまだ数年ございますけれども、大変困難な事態になっておるという状況でございます。
  39. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えいたします。  先ほどおっしゃられた二千八百有余万台、現時点で大体正しい数字だと思います。昨年末で二千七百七十一万台という数字を運輸省から出しておるわけであります。この二千七百七十一万台は人口当たりですと四人に一台、一台当たりの人口四人という数字でございます。この一台当たり四人という数字は、昭和四十七年の諸外国の例を見ていきますと、たとえばイギリスの三・七人に一台あるいはイタリアの三・九人に一台、西ドイツの三・七人に一台、アメリカは別ですけれども、一・八人に一台ということから見ますと、四人に一台ということはまだほかの国より少し少ないということが言えるかもしれません。  三千七百万台と予想しますと、五十五年の人口が仮にそうふえない、一億一千万ぐらいとしますと、御承知のとおり三人に一台ということになります。日本は果たしてそこまで行くかどうかという問題は考えられると思いますけれども、御承知のとおり、いま日本の自動車台数世界第二位でございまして、しかも最近の急激な伸び率は世界第一で、急に伸びてきたわけでございますが、ただ日本の場合はちょっと違いまして、この二千七百万台のうち乗用車の台数が約六〇%そこそこなんです。諸外国は乗用車がほとんど八割から九割占めておるわけですね。そうして乗用車の保有率を見ますと、日本の場合イギリスやドイツやそこらに比べますと、マイカーの保有率はまだ二分の一程度なんですね。そうしますと、一般的に私は三千七百万台という予想をいたしましたけれども、日本は自家用乗用車を中心にして自動車の保有はまだふえていくのではなかろうかという感じがいたします。  ただし、日本の道路計画、百万キロありますけれども、その百万キロは非常に長い延長です。イギリスやそこらフランスに比べますと約倍近い延長ですが、しかし道路が非常に狭くて、そのうち二五%は自動車通行不可能な道路でございますから、日本の道路状況あるいは国土面積から最大限どこまで持てるかということはまだ十分詰めておりません。とりあえず三千七百万台くらいはいくであろうという感じを、いまの乗用車の保有率等を見、あるいは全体の車の保有率等も見、今後の運転免許人口の推移等から見まして伸びるだろう。  しかし、生産を抑えたらどうだということでございますけれども、これはやはり各国民の自由な自動車に対する需要はそれぞれに応じていいのではないだろうか、抑えるということは、生産を抑えたりあるいは保有を抑えるということはちょっとむずかしいのではないかと思います。ただし、持ってみてもそう走れないというようなことはあり得ると思います。現に過去数年間一台当たりのガソリン消費量は年々落ちてきておりますから、そういうことはありまして、もとを抑えるということはちょっとむずかしいのではなかろうか、自由な選好に任せておいて、そして狭い道路なんか走れないような交通規制なりなんかで抑えていくということじゃないかと思います。最終的にわが国の自動車保有台数が何台であるべきかということはまだ十分詰めておりません。申しわけございません。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 警察庁はどうお考えでしょうか。
  41. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通安全対策室長からお答えしたようなことになるわけでございますが、警察としましては、一応与えられた条件、与えられた台数というものを前提としながら、いかに交通事故をなくしていくか、いかに交通に伴ういろいろな障害をなくしていくかという努力を重ねていくということになるわけでございます。ただ、現状としてみますと、やはりかなり飽和の状態に達しておる地域が多いのじゃないか。ことしの自動車の登録台数の伸びを見ますと、都心部、大都市ではほとんど伸びが少なくなっている。それから北海道、東北、九州といった地域自動車の伸びが伸びている。そういった地域の伸びというものを頭に入れながら今後の対策を考えていく必要があるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 運輸省は、運輸大臣がおいでになるというような話を聞いておったものですから、別に出しておりませんが、後で来ていただければお願いをいたしたいと思います。  交通安全の施設を検討するに当たって、たとえば五カ年計画を策定する、その場合に警察庁は三千七百万台と想定をする。建設省は三千二百万台を想定をする。差は五百万台。まあ政府ですから大きな違いもあるでしょうが、こういうことではやはり一貫した交通体制なり交通安全施設、そういうことにならぬじゃないかと思いますね。総理府が一致をさせてそれに適応する交通安全施設をやらなければ、取り締まりの強化なり交通安全教育をやるから大体二一%程度の、国民の積極的な協力によって、政府指導性を国民の協力が上回ったという数字なんですから、そういう意味ではその点はずさんではないかというふうに私は思う。その点については副長官は、相互連携が不備ではないかというふうに指摘できますが、どうですか。
  43. 松本十郎

    松本(十)政府委員 御指摘のとおり、数字、見通しに政府の内部において若干の差はあるわけでありますが、ただ、ここで野坂委員お答えいたしたいと思いますのは、これからの経済の見通しがどういうふうになっていくのか、その過程において自動車台数というものがどういうふうにふえていくかということは、そう簡単には計算できないことであります。  まあ私見を交えて申せば、何ゆえに自動車を持つかと言えば、やはりより効率的に安全に物を運べ、人が動けるという効果があって初めて自動車を持つのが一点。いま一つはプレスティージと申しましょうか、人が持つならば自分も持とう、こういう気持ちで持つことかあるわけでございまして、後のプレスティージについてはだんだんと乗用車が普及してくれば、もうこれ以上要らぬじゃないかということで、当然そのカーブはどこかで限界に達してダウンするわけであります。  それから、経済の見通しにつきましては、安定経済成長がこれから中期的にどう動くかという問題もございましょうが、同時に可処分所得がどのような程度にふえていくか、これは福祉を重視する上において高福祉高負担となれば、当然可処分所得は減るわけでございまして、そうなれば自動車に、交通費に回せる部分におのずから限界が出てくる。一方また自動車、ガソリンに対する税制というものがどのように動いていくか、それによってコストが変わってまいりますから、そのコストとの関連において、無理をして持っても意味ないじゃないかということになること等もございましょう。  さらにまた、総合交通体系の中におきまして一人一人が自動車を運転して、それによって動いていくということが、果たして能率が上がるのか、よりマストランスポーテーションに依存して、バスとか地下鉄とかその他によって動いた方がより安くてより安全であり、より効率的じゃないか、こういうふうなことが出るわけでございまして、そういったもろもろの要素、関数というものを置きながら、いろいろな角度から計算しないと、なかなか見通しはむずかしい、こういうことでございますので、政府間においてはその数字を調整してまいりたいと思いますが、しかしまた同時に、なかなかむずかしい可変変数と言いましょうか、そういう要因が多分にあるということもひとつ御了承願いたいと思います。
  44. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 先ほどの三千七百万台ですが、これは運輸省、警察庁、私の方もその数字でいっております。初め建設省道路の第七次の整備計画のときに、一応三千二百万台くらい五十五年を考えておられたようですけれども、今度の交通安全施設整備計画をつくるに当たっては、警察庁総理府、運輸省皆歩調を合わせまして、一応三千七百万台を予想して一致しております。
  45. 野坂浩賢

    野坂委員 いまの答弁で政府間の意思統一はできておる、こういうふうに理解いたします。が、副長官のいまのお話では、可処分の所得の高福祉高負担等による減少、したがって自動車の持ち台数というものの動き、こういうことをるるお話しになったのですが、そういうことを総括をして運輸省とも建設省とも十分配慮をしてやるのが政府の務めであって、勝手気まま、ばらばらにやるのなら意味がない、こういうことを指摘をしておきたい、こういうふうに思います。今後そういう横の連携は十分にとって揺るぎない体制をとらなければ、新五カ年計画というものはすき間ができるということを申し上げておきたいと思うのであります。  その次にお尋ねをしたいのは、われわれは交通安全の委員会でありますから、これからできるだけ死傷者事故というものをなくしていかなければならぬ。最近、府県間、都市間の事故の率の格差というものが非常にありますね。たとえば東京都の武蔵野市と栃木県の小山市は人口十万人当たり武蔵野はゼロであったが、小山は十万人当たり三四・三であった。あるいは福山は二三・五であった。あるいは三鷹は〇・六人であるとか、こういうのは一体どこに原因があって、どのように政府指導して、われわれが目標とする方向になるように都市というものを指導していくのか、まずその原因は何なのか、そしてその対応策としてこうしておる、こういうものを、どの省でも結構でありますが、出していただきたいと思います。
  46. 勝田俊男

    勝田政府委員 府県間の格差という点から申し上げますと、一番少ないのが東京都、警視庁の十万人当たり三・八、一番多いところで茨城が二一・六というような差が出ているわけであります。都市についてはいまお話しになったような非常に大きな格差がある。今後事故減少するについては、この悪いところをいいところに引き上げていくということが非常に重要になるかと思います。  その原因一つは、やはり都市についてはその都市の置かれている地理的な環境というものが非常に大きな問題としてあると思います。事故率の高いところはほとんどが通過交通が非常に激しい都市である。そういった都市において、若干の例外はありますけれども、大部分が通過交通の激しい都市、そういったところで十万人当たりの死者率が大変に高いということが一つ。それから東京とほかと比較しますと、警察力にはかなりの差があるということも一つ言えるかと思います。それから安全施設の点につきまして言いますと、七大府県とそれから事故の高い府県との差を見ますと、平均して七つくらいずつ上と下とをとりますと、信号機の数一つを例にとってみますと、四倍ぐらいの格差があるのではなかろうかというふうな気がするわけでございます。  そういった面でその置かれている条件なり安全施設なり規制なりを担当する警察力なり、そういったいろいろな面についての格差というものが事故率につながっているのじゃないかという警察的な見方をいたしておるわけでございます。
  47. 野坂浩賢

    野坂委員 よくわからぬですね。武蔵野と栃木の小山とはそう地域的な環境とか大きな格差はないと思うのです。  それでは具体的にこの両市を挙げて、どういうふうに違うか。たとえば武蔵野市は、障害者その他も簡単に上げられる道路になっておりますね、行ってみると。信号機等は小山市とそう大きな変わりはないようですね。どこが違うのですか。
  48. 勝田俊男

    勝田政府委員 基本的には都市における通過交通の量が違う、それから通過交通の質が違う。小山あたりはかなり長距離の大型の車が通過するというような問題が大きいかと思います。そういった面で、通過交通を排除できる措置ができれば、バイパスをつくるとか、あるいは代替道路があれば、交通規制によって町の中を通過を避けさせるというようなことができればかなりの効果があるのじゃないかという気がいたします。
  49. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、小山市等も建設省指導によってバイパスを相当つけて、そういう中を走らない、抜けて行くのは、やはり名古屋のような方向をだんだんとりつつあるというふうに理解しておるのですよ。通過交通ということになれば、たとえば小山は通過交通関係でこうなっておるのですか、建設省どうです。
  50. 井上孝

    井上(孝)政府委員 私、ただいま小山についての調査資料を持っておりませんが、先般総理府関係各省が集まりましていろいろ御相談をした際に、人口十万以上の都市で非常に交通事故死者の多いところと少ないところ、どうも多いところは、いま警察庁交通局長がおっしゃいましたように、国道四号線のような遠距離通過交通が多くて、しかもバイパスが完全にまだできておらないというようなところ、あるいは環状道路ができておらない都市というところに多いような傾向がございました。恐らく小山につきましても、武蔵野と比べた場合に、そういった傾向があるのではないかというふうに思います。  ただいま手元に資料がございませんので、具体的に調べた結果ではございませんが、そういうように考えられます。
  51. 野坂浩賢

    野坂委員 建設省に要望しておきますが、各都市で通過交通のためのバイパス等の要求があれば、それが重点だとすれば、積極的に取り上げてもらいたい。しかも、年限を短縮してやっていただきたいと思うのです。大体三木内閣はこういうふうに総需要抑制なり締めていくということを言いながら、いままでの日本列島改造論方式の計画なり方針というものが十六本もまだ残っているわけですからね、ほとんど見直していないというような現状なんです。だから四四%というような進捗率しか出てこない、こういう現況でありますから、抜本的に考えてもらわなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに思うのであります。  しかも私は、一番この点で総理府に言っておきたいのは、いろいろそういうことを言われておりますけれども、問題は銭です。投資額によってずいぶん違うということですよ。交通安全施設の投資の多いところは効果を上げておる、多くないところは効果を上げていない。こういう点を十分配慮して、現行五カ年計画の進捗の度合いというものは一〇四%なり九三%というものが出てきたけれども、新しい五カ年計画というものについては十分この辺を補完してもらわなければ、本当の意味の実績は上がってこない、こういうふうに、あなた方の資料によると出てくるわけです。もっと勉強してください。  それで、この新五カ年計画というものは、それらの現行五カ年計画の弱点というものをどこに見て、どこを補強して、新五カ年計画はどこが目玉かということをこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  52. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 たとえば交通安全施設警察なら警察交通安全施設の五カ年計画をつくります場合の算定基準としまして、各府県なりあるいは各都市交通事故率なりあるいは自動車の保有台数なり、そういうものを考えて積算しておるはずでございますし、また、それによって積算されております。  今後、確かにおっしゃるとおり安全施設、特に単独の安全施設の予算の力の入れぐあいによって各都市ごとの不均衡も生じておると思いますので、新しい第二次五カ年計画で特に安全施設建設省それから警察庁が、これの決まりました後の配分につきましては、われわれも十分に御連絡させていただきまして、従来の過去五年間の人口十万以上の各都市の実績等をよく勘案しながら、重点的な配分をするように心がけたいと思います。
  53. 野坂浩賢

    野坂委員 私が聞いておりますのは、そういう抽象的なことではないのです。たとえば今度出てきた新しいものは、山間僻地においては建設省は路肩を中心にやると、こういう目玉があるのですよ。歩道や自転車道路はどうなんだ。こういうものはいつものせられておりますけれども、そう大きく伸びていないじゃないか、こういうふうに思うのです。それらの点について全体調整ではどのように連絡調整をされておるのかということをお聞きしたわけです。
  54. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 今度の第二次五カ年計画の目玉というのは、やはり歩行者、自転車の安全を図ることが最大の目玉であります。歩車分離を図るべく道路施設それから交通規制、こういうものを強力に進めることが大きな目玉であろう、このように考えております。あと、建設省警察庁でそれぞれの予算関係の詳細については御説明したいと思います。
  55. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは建設省に聞きましょう。たとえば国道の場合は歩道は大体二八・九二ですね。自動車というのは通りやすいところを通っていくのですね。幹線でバイパスなんかつきますと、利用度は一カ月後にはもう一〇〇%になるわけです、通りやすいところは。だんだんやはり主要地方道なり県道、市町村道まで入っていく。市町村道等においては、歩道の実延長というのはわずかに七・二一%です。やはりそこにも入ってくるのですよ。だから警察庁は袋小路作戦というようなものをとって自動車を追い出してくるわけです。しかし、田舎はやはり入ってくるわけですね、十万都市以下ぐらいのところは。しかも、都道府県道の合計にしても一四・一一しかない。  これでは、総理府が人車分離というようなことを言っても、これは話ですよ、一割しかないというようなことではね。将来、やはり先の見通しを立てて、道路改良する場合にはすべてもう歩道はつける。一遍道路をつけてからまた継ぎ足しみたいなことをするようなことをすれば、そのときは金が多いようであっても、将来ははっきり三千七百万台にも四千万台にもなって、政府は総量規制はよう規制をしませんということを言っておるわけですから、それで私はそこにも問題があって、これから議論しようと思っておりますけれども、この五カ年計画で、都道府県の歩道というものは、実延長に対して歩道の延長というものはどの程度なのか、どの程度までが人車分離ということになるのか、どの辺まで考えておるか、五〇%にするのはいつごろになるのか、こういうことを聞きたいのです。
  56. 井上孝

    井上(孝)政府委員 お答えいたします。  まず、私どもの新しい五カ年計画中心課題でございます。先ほど若干竹岡室長がお触れになりましたが、現在の交通事故による死者を見ましても、約半数が歩行者あるいは自転車に乗っておる者ということでございますので、第一次の五カ年計画でも中心課題でございましたが、そういう弱い歩行者、自転車利用者を自動車から分離するということが何といいましても第一でございまして、そのために、既存の道路につきましては歩道の設置を最優先に考える、これが交通安全施設整備五カ年計画中心課題になりまして、第二次の新しい五カ年計画でも、現在あります歩道つきの道路の延長をこの五カ年で倍にしたいという考えで作成をいたしております。  なお、ついででございますが、いま申しました歩道倍増と申しますのは、既存道路についてでございまして、要するにこれから新しい道路をつくるという場合には、いま先生お触れになりましたように、バイパス等には必ず歩道をつける、あるいは歩道のないものはもう自動車専用道路にしてしまう、こういう考え方をとっておりますので、念のためにつけ加えさせていただきます。  なお、歩道、自転車道の設置に際しましては、今度の五カ年では特に死傷者の多い老人、子供、こういう弱い者あるいは身障者という者に着目をいたしまして、そういう方々が使いやすい歩道にする。例を言いますと、縁石で段がついておりますと車いすが通れませんので、こういうものは段下げ、切り下げをする、こういうことがまず中心課題でございます。  その次には、先ほど先生もお触れになりましたが、田舎の方の山岳道路ですね。ことしの初めに青木湖でバスの転落事故がありまして、一遍に二十数人が亡くなったというような悲惨な事故がございましたが、こういったところも、交通事故の率といいますと案外少のうございますが、一遍事故を起こしますと大変大きな事故になります。こういった道路にはガードレールあるいは路肩を補強するというようなことを今度の五カ年で積極的にやっていきたい。  また、道路情報の徹底とかあるいは案内標識の整備というものも、従来の五カ年計画以上に取り上げてまいりたいと思います。  なお、先生お尋ねの歩道の設置の倍増ということでありますが、この五カ年の結果の数字を若干申し上げますと、いまの五カ年計画では、歩道の設置必要延長というのを私どもは当初八万五千四百キロと考えておりまして、そのうち、昨年末でこの五カ年等で設置いたしましたのが三万五千六百キロでございますから、必要延長に対しまして約四一%であります。先ほど先生おっしゃいました数字は全道路延長に対する延長でございます。私がいま申しました必要延長は、これはある基準がございまして、自動車交通量千台以上、歩行者百五十人以上というものを必要延長といたしております。そういう基準でとりますと、現在四一%設置済みということになりますが、新しい五カ年計画におきましてはこの基準を若干下げまして、いま申しました歩行者百五十人以上というのを百人程度に基準を下げますので、必要延長は九万七千二百キロと算定をいたしております。それに対しまして、いま申しました歩道倍増という計画計画どおり実現いたしますと、約七六%の設置率になるということでございます。なかなか一〇〇%にはまいりませんが、約八割近い設置率を目標にいたしたいと思っております。  以上でございます。
  57. 野坂浩賢

    野坂委員 必要延長に対する割合というものは八〇%を考えるということですが、社会福祉その他も絶対に必要ですけれども、人間が死ぬというのは最悪の事態でございますから、交通安全という意味でそういう点については惜しみなく建設省で使ってもらいたい、そして人命を守っていただくということに徹していただきたいと要望しておきます。  それで次に、今度の五カ年計画は七千億円管理者分、その他交通警察関係二千億円ということになっておりますが、まあ、こういう時代でありますけれども、何よりも人命は大切です。ぜひそれ以上に実現をしてもらわなければなりませんが、これはやはり都道府県に対する裏づけの財源も必要なわけでして、各県あるいは地方自治体と十分連携をとっていただいて、手落ちのないようにしていただくということを政府の全体的な統一の答弁として私は確認しておきたいと思うのです。総理府の副長官がおいでですから、それより落ちることは絶対にないということをこの際明言をしていただきたい、その決意を聞いておきたいと思うのです。
  58. 松本十郎

    松本(十)政府委員 新しい五カ年計画では人命尊重というたてまえで最大限の努力をいたしまして、政府間はもちろんでありますが、都道府県地方自治団体とも十分連携をとりながら目標達成に最善の努力をします、こういうことでございます。
  59. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がありますからもう一点聞いておきたいのですが、きょう、こういうのをもらいました。読んでみますと——選挙が間近くなったものでありますから、よく私たちが地方を歩きますと、国会等でもよく問題になります暴走族の問題がありますね、あるいは二輪車の激しい騒音ですね。それでこの免許の基準について、高等学校の先生等も十六歳是非論を言っておるわけですね。これが警察につかまると退学というような話もあります。子供たちにとっても大変な問題です。これを十八歳にするというような話もあります。これをいろいろ読んでみますと、そういうこともあるが、しかし学校を出たらまたすぐ自動車を使うような就職もある。だから安全教育をもっと徹底をしなければならない。十六歳で免許証を得る人が二輪車で非常に多いですね。十六歳が一番多くて十七、十八となっておる。これについて、十六を十八にするようなことを検討すべきかどうか、私も明言できませんが、安全教育というような問題もあります。どちらも重大ですが、あのように社会的な問題になるとすれば改めて検討をしてみる必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うのです。その点については警察庁はいかにお考えでしょうか。
  60. 勝田俊男

    勝田政府委員 二輪車の問題は確かに問題であろうかと思います。特に二輪車が、最近大型が非常に増加をしてきたということもその問題を大きくしている一つ原因かと思います。そういったことから二輪車の事故が一ころは非常に増加をした。三十九年には全国で三千七百人が二輪車で亡くなっている。そういったことから、その時期から三輪車に対する安全教育を非常に徹底してきたわけでございます。その間四十七年には、大型が少しずつふえてくるということで大型の二輪、三百五十ccの二輪については別に三百五十ccの試験を行うというようなことをやりまして、また民間の二輪車安全運転推進委員会というようなところでも教育を非常にやっている。そういったことで昨年の死者が千九百九人と、一ころのピークの約半分にまで減少してきた。事故という点から見ますと、かなり教育の成果は上がっていると思います。また、子供の性質からいきますと、自転車に乗っているとやはり二輪車に乗りたいという気持ちは自然にある。それが教育面のいい面に働く場合もある。それから、中学を終えてすぐに就職をする人という問題もあるということで、二輪車を全般的にすぐに年齢を引き上げるということについてはなかなか問題があろうかという感じがするわけであります。  こういった、特に最近の大型の問題、ナナハンというような問題も関連をいたしまして、ナナハンの免許については、従来サンハンで限定がなかったものですから、サンハンの技能が通ればナナハンも運転できるということであったわけですが、ナナハンを別に試験をやる、四百cc以上はナナハンで技能試験を受けなければ通らないというような制度になっておりまして、そうして見ますと、受験者も非常に少ないし、低年齢の人も比較的少ない、合格者も余り出ていないというようなことで、こういった面について現在とっている制度でかなり是正ができつつあるというふうには思うわけでございますが、なお今後の問題としていろいろな角度から検討を進めてまいりたいと思います。
  61. 野坂浩賢

    野坂委員 この点はまた改めて資料をもって議論をしたいと思いますが、十分御検討いただきたいと思います。  最後でございますが、道路管理体制の問題をお尋ねしたいと思います。  建設省はやはり道路を重点に交通管理考えられるであろうと思います。警察庁等はやはり交通の流れ、こういうものを主体的に管理をするということになります。たとえば歩道橋をつける、チャッターバーをつけるという場合に、例としてチャッターバーを設置する場合は、よく議論がありますように、除雪等のときには大変問題がある。しかし、警察の側から見れば、やはりチャッターバーをやれば追い越したり、はみ出しというものが防げる、こういう点がある。そういうことになりますと、道路交通管理の主体、あるいは施設の設置の場合は話し合って決められるでありましょうけれども、たとえばそういう施設、歩道橋なら歩道橋をつけるときには、建設省はこの方が経費は安いという、しかし警察庁交通安全のためにこの場所だという見解の違いはあろうと思うのです。そういう場合に、交通管理体制の強化拡充ということが言葉では言われますけれども、そういう一種の不統一等によって時期的におくれる場合だってあり得る、こう思うのです。  そこで、総理府はそれらを総合して統一していかれるわけでありますが、どちらに重点を置いてどのような措置をいままでしたか、今後はどうするのか、まず総理府の見解を承って、警察庁なり建設省考え方を伺って終わりたいと思うのです。
  62. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えいたします。  私も第一線交通部長なり警察本部長をやりましての体験でございますけれども、第一線警察関係者と道路管理者は非常にうまくいっていると私は思います。常に、規制をやるにつきましても、あるいは安全施設等をつくるにつきましても、たとえばバイパスをつくるにつきましても、必ず相互連絡し合っておりますので非常にうまくいっていると思いますが、いま御指摘のとおり、雪国でチャッターバーをつけた場合にどうなるかとかいろいろ問題がございますが、恐らく両者は交通安全の方に重点を置いて歩調を合わせていると思います。また私もそうあるべきだと思います。
  63. 勝田俊男

    勝田政府委員 室長からお話をいたしましたように、それぞれその土地の状況に応じまして、どうすればいいかということについては、道路管理者と県の警察ときわめて緊密な連絡を従来もとってきておりましたし、今後においても緊密な連絡をとって、安全施設整備に努力をいたしたいと考えております。
  64. 井上孝

    井上(孝)政府委員 ただいま竹岡室長勝田局長から申し上げましたとおりでございまして、末端におきましても、それぞれ道路管理者警察当局とが協議をする場ができております。そういうところを通じ、具体的な問題につきまして支障のないように、いずれにしましても交通安全の目的に沿うように努力をしてまいりたいと思います。
  65. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたからこれで質問を終わりますが、いままで申し上げましたように、府県間の事故率の格差というものがだんだん開いてまいります。それらに十分目を投げかけていただくと同時に、現行の五カ年計画をもう一遍総ざらいをしていただきまして、これから策定をされる新五カ年計画へ向けて、万遺漏のないように、英国がとっておりますように、十万人以上の都市の場合五人以下に全体的になる、そういう姿になれば、少なくとも八千四百人というのは四千人なり五千人のところまで死者減少していく、そういう姿勢で交通安全施設を進めていただくように、また交通安全教育を徹底をしていただくように要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  66. 下平正一

    下平委員長 次に、紺野与次郎君。
  67. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最初に、いままでの交通事故が四十五年をピークとしてずっと下がって、一応死者一万一千四百三十二人、負傷者が六十五万人台というふうに下がってきた。しかし、これは一方では石油ショックによって走行キロ数が減じているということを念頭に入れて考えますと、交通戦争と言われる大変な災害が依然として続いているということを示していると思うのです。そういうことで、これに対して真剣にあらゆる努力をするということはやはり非常に重要な問題だと思います。  この点について、根本的な原因は、急激なモータリゼーションと、それからこれに対応する、生活圏を主として通る道路が非常に欠陥道路であった。いままで歩道が余りつくられておらなかった、そのために子供や老人たちの死傷が非常にふえている、これは大変だということで、歩道をつくらなければいけないというふうに、人間を忘れて自動車道路をつくっておったということ、欠陥道路であることをいまさらのように認めているのだと思うのです。そういう点で、この道路の問題はいろいろの面からなお掘り下げてみる必要があるのではないかというように思います。  特に、いかに急激にモータリゼーションがひどくなっているかをヨーロッパの方と比べてみても、一九六七年と七二年を比べると、ヨーロッパの方は大体一一六ないし一四〇ぐらいの数字、日本は二一五ですね。ちょうど倍になっているわけです。いかに急激であったか。それから舗装道路一キロメートル当たりの自動車を見ると、日本の場合は九十四台、ヨーロッパの方は約四十台から五十台、この点でも道路が非常に過密になっている。こういう点から見て、これから新五カ年計画をつくるに当たって、こういう欠陥をいかに克服するかということが重要だと思います。  最初に私お聞きしたいことは、この事故の、先ほどはいろいろ年寄りや子供たちの災害ということが出ましたが、このことと、車同士が衝突したとか車自身の障害による事故、これとの比をちょっと知らせてもらいたいと思います。
  68. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通事故死者状況について申し上げますと、自動車に乗っている際に事故に遭って亡くなったという方が、昨年の統計では四千十人、三五・一%でございます。それから二輪車に乗っておって亡くなったという方が千九百九人、一六・七%でございます。それから自転車乗用中が千二百九十九人一一・四%でございます。歩行中亡くなった方が四千百四十人、三六・二%、その他が七十四人、〇・六%ということになっております。
  69. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、歩行者と自転車がほぼ半分、それから四輪車または二輪車の災害によって死んだりした人たちがやはり半分、ほぼ半々ということになっていると思います。そういう点で、やはり歩道を完備していくという方向が一つ出てくると同時に、依然としていまの道路自身に欠陥がないのかということが問題だと思うのです。  その点で、私、今度広島及び鳥取方面の委員会視察によって実際に見たこと及び私の周辺で行われているいろいろな事実を見まして、道路それ自身構造上の欠陥というか、歩道がないということもそうですか、その他、車同士の災害が起きているということも、道路の方にもいろいろな欠陥があるという点についてひとつ聞きたいと思うのです。  その一つは、東京の中でもあることで、実は第一京浜国道の田町駅から東京港口の間の芝四丁目の五の十三、あの辺なんですよ。ここでは直線コースでずっと来ました第一京浜、国道十五号線ですね、これがくの字型に曲がります。その曲がるところで、曲がり切れなくて直線で歩道に乗り上げ、商店に飛び込むという事故が瀕発しているところがあるのです。  一般に、カーブするときには外側は勾配を少し高目にするのが本当じゃないのですか。そういう点を知っておられるかどうか、ちょっとお聞きしたい。
  70. 井上孝

    井上(孝)政府委員 御指摘のとおり、道路でカーブがあります場合には、いわゆる片勾配と申しますか、カントと専門語で申しますが、外側を高くして内側を低くして回りやすくするように、また御指摘のように逸脱がないようにするという方法をとっております。ただ、これは一般地方部の道路ではできることでございますが、御指摘の芝四丁目付近のような市街地になりますと、片勾配をとりますと、両側の市街地の高さといいますか、取りつけが非常に困るというようなことで、その勾配は一般に街路ではとらないことになっております。したがいまして、むしろこれはスピード規制の方で安全を図るべきではないか、こういうふうに思っております。  具体的な御指摘のところがどういうふうになり、どういう事故であるかということは、ただいま手元に資料がございませんのでわかりませんが、これは取り締まりの方の警察ともよく協議をいたしまして対処をしたいと思います。
  71. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ここでは、芝四の五の十三、そこの菓子屋さんの石波健三さんという人と、くつ屋さんの石坂保さんという人が、たびたびその店に飛び込まれているのです。私も行ってみましたけれども、明らかに勾配が中心部からずっと両わきが低くなって、そういうカーブのところで、同じ調子で来るために、真っすぐに向こうから来たものが飛び込んでしまう。もう三回にわたってくつ屋さんには飛び込んだと言われております。     〔委員長退席、野坂委員長代理着席〕 ですから、こういうところは現地を調べて、そして改善策をぜひとってもらいたい。  それで、こういうことで事故が起きた場合の補償や何かはどういうことになりますか。
  72. 井上孝

    井上(孝)政府委員 私、建設省の立場で申しますと、道路管理に瑕疵があった場合には、損害の国家賠償をいたします。しかし、御指摘のところがどういうところかわかりませんが、市街地におきまして制限スピードを守って運転しておる限りにおいては、御指摘のような事故が起こるとは考えられません。もし制限スピード違反で起こっておりましたならば、道路管理者側には賠償の責任がないというふうに考えております。
  73. 紺野与次郎

    ○紺野委員 制限の範囲内でやって事故が起きていれば、賠償の責任を負うということですか。
  74. 井上孝

    井上(孝)政府委員 これはやはりその時点の判断の問題でございますので、ちょっとここでお答えできませんが、原因が何にあるかということが一番重要なポイントではないかと思います。
  75. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、いまのところは明らかにそのカーブの地点で、勾配が、いわゆる片勾配にしなければいけないところが、そういうふうな欠陥がああるために事故が起こっていることは明らかなんです。ですから、そこの場合については、必ず現地を調べてもらって、そうしてその原因がどこにあるかということを調べて、これに対する改善策を報告をしてもらうようにしていただきたいと思います。
  76. 井上孝

    井上(孝)政府委員 具体的なその芝の地点につきまして、直ちに調べまして、警察当局とも打ち合わせて、しかるべき対策を講じ、また事故原因を究明いたしたいと思います。
  77. 紺野与次郎

    ○紺野委員 次は、この間の広島、鳥取視察の結果、われわれはずっと国道を広島から鳥取にかけて視察をしたわけですけれども、そこで痛感させられることが三点ぐらいあったと私は思います。  その第一点は、先ほど来問題になっている歩道が非常に少ないということです。この歩道が少ないためにいろいろな事故が起きている。これは先ほど来いろいろ問題になっておりまして、これについては特にこれから大きな努力をそこに集中するということで、後ほどなおこれに関して時間があればもうちょっとお聞きします。  第二点は、中央分離帯です。これがほとんどないということです。中央分離帯が市街地の片側二車線の場合にはありますけれども、そうでない場合には、一車線が非常に多いということと結びつきまして中央分離帯がない。それで踏み出し禁止の黄色い線がところどころありますけれども、しかしいまの事故が非常に多発しているのは、この黄色い線を踏み出して車同士が正面衝突をして死傷者が非常にふえているということを、鳥取の側でも言っておりましたし、これは大問題なんです。そういう点で、この中央分離帯を設置するということを、少なくとも生活圏と密着しているそういう国道及び県道を含めてそうですけれども、特に国の責任としては国道ですね、そういうところでこの中央分離帯をどういうふうに考えているのか、これについて聞きたいと思うのです。
  78. 井上孝

    井上(孝)政府委員 幹線道路におきます中央分離帯と申しますのは、私どもの方の構造令では、片側二車線以上の場合に中央分離帯を設置する。先生おっしゃいます中央分離帯の中にもしチャッターバーという構造のものも入っているといたしますと、これは片側一車線でも設置いたします。いわゆる絶対に車が向かい側に入れないマウントアップしました構造の中央分離帯は、片側二車線のときに中央に設置いたします。そういたしませんと、片側一車線でございますと、追い越しが全くできませんし、故障車がある場合には交通がとまってしまう、バスがとまっておればとまってしまうというようなことになりますので、片側一車線、両側で二車線の道路におきましては、いわゆる中央分離帯というものは設けない。ただ、追い越しの際に若干衝撃を与えるというような目的でチャッターバーというものを設けて、追い越しをしにくくする、あるいは対向車線に入りにくくするというような措置はできると存じております。     〔野坂委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 紺野与次郎

    ○紺野委員 現在、実際行われているところを見ると、黄色い線を引っ張っているだけということが非常に多いのですね。そうすると、これは夜は余りよく見えないということもあるし、特に雨が降ったりすると、全くまたわからなくなるというふうなことがあるとか、そういうことで、いまのあの中央のセンターライン、これを一車線の場合でもやはり相当改造する必要があるんじゃないかということなんですね。単に黄色い線を引っ張るということだけではやはり解決できないということですけれども、この点は鳥取県庁でもいろいろ問題になりました。そういう点でいまの中央のセンターラインは問題がある、これを何らかの方法で強化しなければいけない、そうしないというと、正面衝突、対面衝突が実際上ふえているということも言われているのですね。これについてはどうですか。
  80. 井上孝

    井上(孝)政府委員 片側一車線、両側二車線の道路で、御指摘のように黄色い追い越し禁止といいますか、はみ出し禁止の標示といいますか、区画線が最近非常にふえております。確かに追い越す場合に正面衝突という非常に重大な事故につながります。警察当局とよく打ち合わせまして、必要なところには積極的にチャッターバーをつけて、夜でも見やすく、しかも容易にはみ出しにくいというような構造にしたいと思います。  ただ、基本的には私どもは、御指摘のような幹線国道は、本来片側二車線であるべきだというふうに存じております。そういう措置をこれからも積極的にとってまいりたいと思っております。
  81. 紺野与次郎

    ○紺野委員 結局この問題は、われわれが行って痛感したことは、国道が一車線だということの矛盾ですね。自動車が延々と連なっているわけですね。追い越ししょうとしてもできない。やると衝突が起こる。こういうことですから、少なくともこの国道は二車線構造にやはりするということと、それからその中に中央分離帯を設けて、ちょうど歩車分離を行うと同じ原則に従って、左右分離ということで、やはり自動車自動車が衝突をする——人と車との衝突もありますけれども、これは歩道の方を設置することによって避け、車の方の事故については、やはり中央分離帯と二車線ということで新五カ年計画考える必要があるのじゃないかということですね。それで、五カ年計画の中にはこの構想が入っておりますか。
  82. 井上孝

    井上(孝)政府委員 現在、わが国は一般国道が三万八千二百キロございます。そのうち四車線、片側二車線の道路は現在では実はわずかに二千八十キロでございまして、全体の約五%にすぎないのでございます。私どもは、先ほど申し上げましたような道路整備五カ年計画によりまして、バイパスあるいは現道の拡幅というようなものに幹線道路につきましては重点を置いて実施いたしておりまして、将来計画といたしまして、昭和四十七年検討いたしました結果によりますと、昭和六十年までにこの三万八千キロのうち一万四千四百キロ、約四〇%になりますが、少なくともこれだけの国道はおっしゃるような片側二車線のいわゆる四車線道路に改良する必要があるというふうに考えております。  一万四千キロといいますと、昔一級国道と申しまして、現在国道の番号で言いますと一けたと二けた、五十八号線までございますが、一号から五十八号というようないわゆる国土を縦貫し横断する幹線道路、これは全部で一万二千キロばかりございますが、この辺を中心に、いわゆる幹線国道は四車線に整備をするということを目標道路整備を進めておる次第でございます。
  83. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは六十年ですね。だから五カ年計画には入ってない。その次ですね。
  84. 井上孝

    井上(孝)政府委員 お答えが足りませんで申しわけございませんでした。  御指摘のいわゆる新五カ年計画と申しますのは、先ほど来の交通安全施設整備の五カ年計画で、来年から五十五年までのものでございますが、これはいわゆる交通安全施設を既存道路について設置するという応急的なものでございます。既存の道路を四車線に広げるというのは、この五カ年計画ではございませんで、いわゆる一般的な道路整備事業五カ年計画というものでございます。
  85. 紺野与次郎

    ○紺野委員 年代は。
  86. 井上孝

    井上(孝)政府委員 これは現在第七次五カ年計画でございまして、昭和四十八年から五十二年までの期間で、現在昭和五十年は三年目に当たるわけでございます。総額十九兆円の計画でございます。計画期間がずれておりますけれども、現在の第一次交通安全施設整備五カ年計画、それからいまの交通安全施設整備の新五カ年計画これもこの大きな道路整備五カ年計画の中に含まれております。
  87. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは高速自動車道路を含めた計画の中ですか、それとは別ですか。
  88. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路整備五カ年計画は高速自動車道路も含んでおります。市町村道も含んでおります。
  89. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、高速自動車道路は、むしろわれわれはそういうものを予算を削減してでも、緊急にいま必要なのは、こういう県道、あるいは国道でも一級国道と言われる住民と非常に関係の深い道路、そこにもっと多くの金を投入をして、そうしていま言いましたような二車線というものをもっと促進するというふうにしてもらいたいと思うのですが、その点はどうですか。
  90. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路整備五カ年計画は、高速自動車国道から一般国道、県道、市町村道とあらゆる道路整備を、国土の均衡ある発展ということを目標にいたしまして、それぞれの均衡ある道路網体系を形成するということを目標にしてやっております。おのずからその間に高速道路あるいはいま御指摘の既存道路に対する安全施設整備あるいは国道の二次改築というものもそれぞれ含まれております。ことに現在の五カ年計画におきましては、御指摘のような交通安全施設死傷者を減らすという安全対策ということに特に重点を置いております。私どもとしては、五カ年計画の中で、それぞれの道路に対する投資は一応バランスがとれておるというふうに考えております。
  91. 紺野与次郎

    ○紺野委員 交通安全の施設をやることがいかなる道路をつくるかということと無関係では完全じゃないのですね。そういうことで、こちらの交通安全施設をやるという新五カ年計画を遂行するに当たって、いま申しましたような、道路自身国道自身構造が不完全だ、一車線だというふうなことでは信号機をいろいろかけてもその効果が一〇〇%とはいかない、やはり効率が下がるということで、交通の災害を絶滅するという方法をとるには、道路それ自体の構造を変えていくということとあわせて、連携をとってやってもらいたいということですね。ですから、今度の五カ年計画にはそのような道路構造の改善の点と結びつけてやってもらいたい、そういうことを申し上げているわけなんです。このことと、もう一つは二車線ですね、これをずっと年度計画でやっていくのですか、どうかということをちょっと聞きたいと思います。
  92. 井上孝

    井上(孝)政府委員 御指摘のとおり、私どもとしては、既存道路に対する交通安全施設整備もとよりでございますが、新しくバイパスをつくり、四車線、片側二車線の幹線道路をふやしていくということを、これまでも重点的に実施しておりますし、これからも重点的に実施いたしてまいりたいと思います。もちろん御指摘のとおり、年次計画を立てて計画的に実施をいたしております。ただ、いわゆる四車線、片側二車線道路整備するというのは非常に大きなバイパスとか拡幅になりますので、一カ所に七、八年かかるというような大きな事業が非常に多くなります。そういうものを待っていましたのでは既存の道路交通事故が起こるということでございますので、新しいりっぱな四車線の道路をつくると同時に、現道に対する手当てということをこの新しい五カ年計画の中で十分してまいりたいというふうに思っております。
  93. 紺野与次郎

    ○紺野委員 あと、二車線をつくっていく場合、たとえば現在の道路に対して、一定の距離ごとに、危険を伴わずに、センターラインをオーバーしないで追い越しが十分にできるような、一定間隔を置いた二車線を早く設定をしていく、そういう意味の改善というふうなことはできないかどうか、ちょっとお聞きしたいのです。
  94. 井上孝

    井上(孝)政府委員 既存の片側一車線道路におきましても、拡幅の余地が両側にございます場合には、おっしゃるように、とりあえずある区間に限って片側を二車線にして自由に追い越しができるようにする、こういう措置はとってまいりたいと思いますけれども、大体わが国の既存の国道は、御承知のように両側ほとんど開発が行き渡っておりますので、なかなかそういうところがございません。やはり基本的にはバイパスをもって片側二車線、四車線の道路をつくっていくということが基本的な方針になると思いますが、御指摘の点、十分勘案しながら整備を進めてまいりたいと思います。
  95. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ最後に一つ。  自転車道路は歩道とどういうふうなことになるのですか。つまり、一緒に歩道と合わせて通っているところもありますけれども、歩道、自転車道それから車道というふうになるのかどうか、その点、お聞きしたいのです。
  96. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路敷地に仮に余裕がございますれば、当然自転車と歩行者とは分離すべきであるというふうに私は思っております。ただ繰り返して申しますが、既存の窮屈な道路におきまして、先ほども申し上げましたように、事故を減らすために、まず一番先にやるべきは、歩行者、自転車を自動車から分離するということでございますので、いま東京都内、あるいは各地で、私どもは自転車歩行者道と申しておりますように、自動車と分離はいたしますが、狭い道路でございますが、歩行者と自転車は一緒に通行するという、いわゆる歩行者自転車道というものを数多く設置をいたす。しかし、これは私ども完全なものとは思っておりません。たとえば新しい道路をつくって、その両わきに歩道、自転車道をつくる場合には、なるべく歩道と自転車道は分離すべきであるというふうに考えております。
  97. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では終わります。
  98. 下平正一

    下平委員長 次に、平田藤吉君。
  99. 平田藤吉

    ○平田委員 いまの質問とも関連しまして、当面の問題で幾つかの点について質問したいと思うのです。  いまのお話にもありましたように、四十九年度を見ると、依然として自転車と歩行者の犠牲者が全体の半数を占めているという状況です。それで、この状態をなくしていくための一つの問題は、やはり車道と歩道を分離するという問題だと思うのです。そこで今次五カ年計画で、今日まで、整備計画では一万二千六十キロ、国の直轄が三千六百二十キロ、補助事業が八千四百四十キロ、三対七の割合になっておるわけですけれども、実際はどこまで進んでいるか、お聞かせいただきたい。
  100. 井上孝

    井上(孝)政府委員 お答えいたします。  歩道につきまして、現特定交通安全事業では一万二千六十キロの歩道を設置する計画でございましたが、本年度まだ実績が出ておりませんが、計画ベースでまいりますと、この五ヵ年で八千百九十キロ、約六八%という進捗でございます。
  101. 平田藤吉

    ○平田委員 直轄と補助事業の別をちょっと出してください。
  102. 井上孝

    井上(孝)政府委員 申しわけありませんが、いまちょっと手元に資料がございません。後ほど調べまして……。
  103. 平田藤吉

    ○平田委員 それではあとで資料を出していただきたいと思います。  八月末の委員会調査で、鳥取県の場合を見ますと、国の直轄分の計画では七万六千七百メートル、これはメートルですね。五年間の実績では五万二千七百九十六メートルで六八・六%になっておるわけですね。いまの全国の水準とほぼ同じわけです。ところが県の計画で見ますと、地方の単独事業と補助事業を合わせまして十二万六千百七十七メートルで、計画はこれだけで、事業の実績は十万六千二百九十八メートル、この方は八四・二%いっておるのですね。地方の事業より国の事業の方がおくれておるというのはどういうわけなんでしょう。
  104. 井上孝

    井上(孝)政府委員 申しわけありません。ただいま手元に資料がございませんので、的確なお答えはできかねますが、あるいはということでお答えいたします。  私ども、先ほどの御質問にもございましたように、歩道をつくる場合に自転車道も一緒にいたしました場合には自転車道の方へ分類をいたしておりますので、あるいはその数字の違いかと存じます。よく調べましてお答えいたします。
  105. 平田藤吉

    ○平田委員 大方はこういう形になっているので、大変問題があると思っているのですよ。だから、そこのところはやはりきちっと踏まえておいていただく必要があると思うのです。建設省の資料では、五十年度末の歩道と自転車道の設置の状況は三万九千キロとなっている。これは国と地方の割合はどれくらいになりますか。
  106. 井上孝

    井上(孝)政府委員 歩道の延長が、若干数字に差異があるかと思いますが、現在、四十九年度末の歩道の設置延長が全国で三万五千六百キロという場合に、国の直轄管理をいたしております指定区間は七千六百四十一キロでございます。その他か知事管理国道及び都道府県道市町村道でございます。実数はそうでございますが、設置の実延長に対する率でございますが、国の管理をいたしております国道指定区間につきましては、歩道等設置済みの道路延長が全道路延長のうち四三%でございます。知事の管理しております国道につきましては、同様の率が一七%、都道府県道につきましては九・五%、市町村道につきましては七・二%、こういう歩道の設置率になっております。
  107. 平田藤吉

    ○平田委員 私の方の調査ですと、これはあなたの方から出された資料によっても、直轄はほぼ六分の一ですよ。これはあなたの話が違っているのじゃないですか。それから現行計画は、歩道は一万二千六十キロというふうになっているのですが、新しい計画では三万五千二百キロとされているのですね。これは二・九倍余りですよ。これはなかなか努力をしようという構えが見られるなというふうには一応思うのですけれども——これは注釈をつけておきますよ、一応そう思うけれども、国と県と市町村の割合はどれくらいになっているか、お聞かせいただきたい。
  108. 井上孝

    井上(孝)政府委員 現在あります歩道、五十年度末の推定設置済み延長三万九千キロのうち、国道につきましては一万三千三百キロでございます。  新しい五カ年計画の国と地方の割合につきましては、ちょっと手元に資料がございませんので、申しわけございませんが、すぐ調べて御答弁申し上げます。
  109. 平田藤吉

    ○平田委員 どうもみんな資料がないですね。論議にならないじゃないですか。  それでは、この計画が完成しますと、歩道の必要道路の長さに対する設置率はどれくらいになるものですか。これは国、県、市町村、それぞれに見てお聞かせいただきたい。
  110. 井上孝

    井上(孝)政府委員 歩道の設置率は、四十九年度末で歩道の設置必要道路延長に対して四一%でございますが、新しい五カ年計画目標といたしましては、これは七六%にするということを目標にいたしております。
  111. 平田藤吉

    ○平田委員 これは県、市町村はどうなりますか。
  112. 井上孝

    井上(孝)政府委員 三万九千キロの新しい歩道設置計画延長の内訳を申し上げます。  一般国道につきまして、国道は一万三千三百キロ、それから主要地方道が五千七百キロ、これは全部知事管理でございます。それから一般都道府県道が六千七百キロ、市町村道が一万三千三百キロ、こういうことになっております。
  113. 平田藤吉

    ○平田委員 いまのお話でもわかりますが、計画で出されている点はやはり約六〇%が県、市町村道になるわけですね。  そこで、私が特にお聞きしておきたい点は、この計画でいくと、これは市町村の負担が相当数に上るのじゃないか。今日のような地方財政の非常に大きな困難がのしかかってきている状況もとで、これを進められることはなかなか大変だなというように思うわけですよ。そこで私は、やはりいまの仕組み、つまり補助金がなるべく出ないようにする仕組みを改めて、地方道に対する歩道設置についての補助金を大幅にふやしていくという対策をとるべきだというふうに思います。  埼玉県の例で見ますと、現在の計画が三百六十九・六キロメートル、このうち補助事業が百八十三・七キロ、県単独事業が百八十五・九キロですよ。あなた方が立てた計画の中で県が仕事をやろうとすると、半分以上が県の単独事業になっているのですよ。補助がつかないのですよ。こんな調子で計画だけをあなた方は市町村に押しつけていかれたのでは、とてもやり切れない。ですから、たとえば埼玉県では五十年度計画が四十八年度実績の約五〇%程度しか実施できないという状況にまで追い込まれているのですよ。交通安全施策強化すると言うならば、当然いま言ったような状態が出ないようにしなければならない。国の施策に基づいて進めるこの種の事業については、やはり全面的に国が補助を出すという体制をとるべきだというように思うのですが、この点についてひとつ考え方を聞かしていただきたい。これは、大臣がおられれば大臣に聞きたいところなんだが、政務次官、ひとつどうです。
  114. 中村弘海

    中村(弘)政府委員 お答えいたします。  一般に、地方道路整備につきましての財源は、先生御存じのとおり、いろいろな財源があるわけでございます。地方道路譲与税とか軽油引取税とか自動車重量税とかあるわけでございます。地方単独の交通安全事業に対しましても交通犯則金などが充当されているところで、そういうことで地方の財源強化が図られているわけでございますが、私たちは、やはりいま先生のおっしゃられること、もっともなことでございますので、今度の新しい交通安全施設整備五カ年計画の実施に際しましては、重点的な財源の配分ということから考えて実施していきたいというふうに考えておるわけであります。
  115. 平田藤吉

    ○平田委員 そこで、もうちょっと具体的におろして例を挙げてみたいのですけれども、この間大宮市と埼玉県の実態調査を私どもはやったのです。大宮市の場合を例に挙げますと、四十六年から四十九年までの四年間に歩道整備をしたのが六十四路線。この六十四路線のうちの八割が通学路です。ところが補助をつけてくれたのはこの六十四路線のうちの十一路線ですよ。ですから総事業費三億四千六百四十二万円に対して補助がついているのはたったの四千八百二十四万円です。さっき中村政務次官が反則金云々ということを言われましたけれども、たとえば反則金は大宮の場合に四十六年から四十八年までに七千七百四十九万円です。これを加えたってとてもじゃないけれども間に合う数字じゃないのですよ。ですから、全体の中で補助がついているのが一四%なんですから、これはとても足りやしないですよ。  この問題は、私はやはり補助制度を改善していかなければならない問題じゃないかというふうに思っているのです。もちろん交通安全対策を進めようとすれば、これは先ほども紺野議員の方からも質問がありましたように、抜本的な対策をとらなければなりませんけれども、当面の施策を進めていく上でも、補助制度を思い切って変える必要があると思うのです。  交通安全施設整備事業に関する緊急措置法、長い名前の法律ですが、これによりますと、歩道の場合、都道府県道及び市町村道に対しては一分の一の補助通学路に該当する市町村道に対しては三分の二の補助を行うということになっている。ところがそのとおりにならない仕組みがあるのです。だからさっきの大宮みたいな事態が起こるのですね。それはさらにこの法律に基づいて一定の基準を設けて補助をする道路としない道路とを区分けしているのですね。いわゆる道路指定といい、指定道路といっているわけですよ。  緊急措置法施行規則に基づいて道路指定が行われるけれども、その規則によりますと、一つは、一定の交通量があること、死傷者を出す事故の発生する道路であること、二つ目に、「附近に保育所、幼稚園、小学校又は児童公園があることその他持殊の事情により交通事故が多発するおそれが大きいと認められるもの」こういうふうになっているのです。そこで選別が始まるのですね。これはやはり抜本的に変えなければいかぬと思うのです。  同時に生活道に対して車が入り込んでくるという問題をも考えますと、生活道についても歩道をつける場合にはやはり補助をつけて促進できるようにしなければならないと思うのです。  そういう意味で、いま言ったような規則自体を改善する必要があると思うのですが、その点どうですか。これは局長じゃ答えられないかな。
  116. 井上孝

    井上(孝)政府委員 御指摘の指定道路制度について法律的に根本的に変えるということは、ただいまのところは新しい五カ年計画段階考えておりませんけれども、ただ御指摘の指定道路の指定延長、現在の五カ年計画で決めました約八万九千キロという指定延長を、今度の五カ年では五割増しぐらいに拡大をいたしまして、指定道路をふやしてまいりたいというふうに考えております。  また、御指摘のような生活道路等に車が回るような場合も勘案いたしまして、これを弾力的に運用できるように工夫をこらしてまいりたいというふうに思っております。
  117. 平田藤吉

    ○平田委員 いまの指定道路の長さを延ばすということはそれ自体必要だと思うのです。ただ、指定道路についての規則、枠をはめておきますと、いまの規則ではうまくいかないのです。だからそこのところを、規則なんですかちね、法律はちゃんと決まっているのだから、規則でもって締め上げていっているのですから、ここのところは当然改善すべきだと思うのです。ところが規則すら守られていないのですね。  というのは、地方単独事業八千九百八キロメートルのうち通学関係道路六千三百八キロメートルは指定道路にされていないのですよ。弾力的運用と言われますけれども、通学路の六千三百八キロメートルは指定されていない。だから弾力的運用も何もないじゃないですか。こういう状態にしているところに問題があるのですよ。だから補助が出ないのです。なぜそんなことになっているか。
  118. 井上孝

    井上(孝)政府委員 お答えいたします。  通学路は指定道路になることになっておりますが、恐らくその後の状況の変化で、本来の法の趣旨からいけば追加すべきものが追加をしていないということになろうかと思います。確かにいまの五カ年計画の期間中、もう終わりましたけれども、途中の追加は認めておりませんでした。この次の段階ではひとつよく検討したいと思っております。
  119. 平田藤吉

    ○平田委員 この間鳥取県へ委員会から調査団が行ったときも同じことが言われているのですね。環境の変化に対応してもらいたい。たとえば過疎地は学校の統廃合をやるのですね。そうしますとここへ通学路ができるのですよ。ところが五カ年計画の当初に指定したきり後の追加は認めていないのです。だから、これはどうしたって安全を守ろうとすれば地方の単独事業にならざるを得ないですね。それから、これとは逆に今度は人口急増地帯で見ますと、この間も中村政務次官にお話ししたわけですけれども、たとえば私の町内に学校が新たにできた。これは大変な自動車が通る、危ない、歩道をつけたい。ところが市や県は、これは指定されていないからつかないので困りました、こういうお話なんです。こういう状態は学校をどんどんつくっているところ、人口過密地帯では新たな問題としてやはり出ているのですよ。  だから、検討したいと思いますというのじゃなくて、これは年々見直して追加するというようにいたしますという返事をするのはあたりまえだと思うのです。政務次官どうですか。
  120. 中村弘海

    中村(弘)政府委員 交通情勢の急激な変化を伴うような場合には、それに対応するような措置を十分講ずべきだと私は思いますので、この件も含めまして十分に検討させてみたいと考えております。
  121. 平田藤吉

    ○平田委員 これはどこになりますかな、担当は。建設省もかかわりがあり総理府もかかわりがあると思うのですが、駅周辺の自転車置き場。これはマイカーを規制しているのでしょう。自転車で通勤する、自転車で通勤したけれども、自転車の置き場がないという状態が、国鉄、私鉄関係とも全部出ているのです。たとえばいま私が耳にしているだけでも南浦和、北朝霞、これは、武蔵野線ですね。それから日進、指扇、これは川越線ですね。高崎線の桶川、東上線の朝霞、小田急線の大和など相当数、都市近郊の国鉄、私鉄関係の駅周辺というのは自転車置き場の問題が重大化しているのですよ。これはやはり政府がちゃんと手だてをして設置できるように措置すべきだというふうに思いますが、どうですか。
  122. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 お答えいたします。  現在の都市自動車交通量抑制等の手段もありまして、自転車というものをわれわれは見直しております。交通安全施設関係でも、現在の計画でも自転車道というものが大きなポイントになっております。御指摘のとおり、その結果非常に自転車が普及してきまして、特に通勤通学の駅前の自転車駐車場で非常に悩んでおる。特に地方自治体は自分の所有地ならいいのすけれども、その多くが国鉄の所有地である、あるいは私鉄の所有地である。私鉄の所有地あたりは、場合によれば無償で提供してくれているところもあるようですけれども、国鉄の場合、有償でいかにあるべきかということで非常に悩んでおりますので、いま私の方で、おくれまして申しわけございませんけれども、国鉄、私鉄関係、運輸省、それから建設省警察庁あわせましてのこの駅前周辺の自転車置き場はどうあるべきか。現在のモデル都市の設定には自転車置き場を約六百カ所つくることを計画しておりますけれども、一方道路管理者は、道路の付属施設なら道路補助しよう、こう言っております。ただし、駅前の問題につきましてはもう少し勉強させていただきたいと思います。いま各省詰めております。
  123. 平田藤吉

    ○平田委員 この問題はだんだん深刻になりますから、奨励する以上は責任を負った対策をとるのがあたりまえだと思うのです。  次に、信号機関係についてですけれども、この事業経過期間に事業量において計画との関係でどれぐらい進んでいますか。
  124. 勝田俊男

    勝田政府委員 信号機は計画としては三万五千二百十八基、そういう計画をいたしまして、実績といたしましては三万四千三百十九基、九七・四%程度ということでございます。
  125. 平田藤吉

    ○平田委員 昨年当委員会で東北方面の調査に入りましたときもそうですし、私どもが各警察署と住民要求に基づいて折衝したときもそうですけれども、大体要求の半分ぐらいなんですね。必要だと認められるところの半分くらいなんですよ。そういう意味では、これはやはり思い切ってふやしていかなければならないのではないかというふうに思うのです。特に人口過密地帯はひどいですね。それから道路が新設されたところ、ここなんかは急がなければならぬ。  この間なんか、私、熊谷のこっちの吹上まで見に行ったのですよ、十七号バイパスと中仙道とが分かれてくる場所。ここはあなた、警察の方は予算があるとかないとか言って、道路改良をする必要があると思うのだけれどもどうだろうと言ったら、建設省の方は、それはやります、しかし警察の方がどうも余りぱっとしないようなんですよ。調べてみたら、県が順番をくっつけてなかなかやろうとしないというところに問題があるようです。そんなぐあいで、何で順番をつけるかというと、数少ないからでしょう。重要なところであるにかかわらずそんなぐあいになっておるのですね。  大事故が起こってからでは間に合わないのですよ。どうしたって大事故が起こる危険性を大きくはらんでいる。そういう意味では、信号機の設置についてやはり予算をもっと思い切ってふやすという必要があると思うのです。  兵庫県の場合を見ますと、これまた大変なんですね。信号機の設置が地方単独で行われるために負担が大変なんですね。これを市に費用を負担させて、そして県が寄付をしてもらっているというのですか、そういうことになっているのですよ。こういうような事態をやはり改善する必要がある。これはみんな予算を渋るために起こってくる事態だと思うのですよ。  そういう意味で、今度の新五カ年計画をつくるに当たっては、実態がそういう実態だということを見て要求にこたえられるという立場から予算を組んでいくようにすべきだというように思いますが、いかがですか。
  126. 勝田俊男

    勝田政府委員 今度の五カ年計画を設定するに際しましては、各府県にそれぞれ連絡をいたしまして、それぞれの府県からの要望というものを十分に組み入れて、それを積算をしてつくっているわけでございます。
  127. 平田藤吉

    ○平田委員 最後に質問しておきますけれども、これも道路指定とかかわり合いがあるのですね。まずいですよ。だから、道路を指定してないために信号機がつかない、あるいは国の補助がつかない、こんなぐあいになっているのですね。だって事故をなくするためには道路を指定してあるか指定してないかじゃないのですね。そこに危険性があるかどうかが基準になってしかるべきだと思う。こういう点も改める必要があると思うのです。  今度の新しい計画を進める際に、地方に負担させないで済むような対策を立ててもらいたいと思うのです。道路の改良の問題も、全体を通じまして地方自治体の負担が重過ぎると思うのです。これをもっと軽くして交通安全対策が実質的に強化できるようにすべきだというふうに思いますが、この点についてひとつお答え願いたい。
  128. 勝田俊男

    勝田政府委員 公安委員会関係の事業につきましては、特定事業と県単独事業と二種類に分かれておりまして、特定事業については二分の一の補助、あとは県単独事業ということでございますから、自治省と折衝いたしまして地方財政計画の中にそれを組み込んでいただく、補助事業についても地方財政計画の中にその裏負担について組み込んでいただくということでございますが、なお裏負担につきましては、起債その他につきましても中央でできる限りの配慮をしていくということでございます。今後とも関係省庁とも連絡をいたしまして、財源の裏づけについて遺憾なきを期してまいりたいと思います。
  129. 平田藤吉

    ○平田委員 いま申し上げましたように諸般の問題があります。これは引き続いて委員会で検討していきたいというふうに思いますけれども、いずれにしましても地方財政の危機は非常に重大だ。それから同時に、当然のことながらインフレは高進するだろうというふうに見ざるを得ない。したがって当初、額で計画して額でもって工事量を押さえていくというようなことじゃなく、事業量で仕事全体を押さえて促進することによって計画が遂行できるのだというふうに考えますので、そういうふうに努力されるように要望して、私の質問を終わります。
  130. 下平正一

    下平委員長 次に、小濱新次君。
  131. 小濱新次

    ○小濱委員 本日提案される決議案の内容を明確にして今後の交通安全の充実を期するために、これに関連して数点お伺いをしていきたいと思います。  せっかく長官が御出席でございますのでお尋ねをしていきたいと思いますが、まず私どもが各地方を回っていったとき感ずることでありますが、当然あるべき必要なところに信号機がなかったり、不親切だということをよく見かけます。このことについて県当局で調べてみますと、交通安全の施設の指定道路に入っていないために補助金がつかないからできないのだ、このように申しております。やるとすれば県の単独事業でやらなければならない。しかも県も財政逼迫で思うようにできないというのが実態のようでございます。これとはまた反対に、信号が多過ぎるとかえって交通渋滞を来すのではないかと思われるところも少なくないわけでございます。  今後、安全施設整備を行うに当たって、安全施設の総点検が必要になってきたのではないか、このようにも考えますが、この点について、基本的な問題でございますので、長官からお尋ねをいたしたい、こう思います。
  132. 植木光教

    ○植木国務大臣 御指摘のように、いま交通安全施設の問題についてはいろいろな問題点がございます。したがいまして、第二次の五カ年計画におきましては、現在までのいろいろな問題点につきまして十分配慮をしなければならないという考え方もとに、まず各都道府県におきましてそれぞれ点検をしていただき、そしてその都道府県の要請を受けながら、国といたしまして五カ年計画の策定に当たっていく、こういう姿勢でおるのでございます。したがいまして、経費を第一次計画に比べまして約三倍を想定いたしておりますが、これによりまして歩道や自転車道は倍増し、信号機は現在のところ約六万基でございますが、十万基にするという予定でございます。そして施設対象の道路、指定道路でございますけれども、現在八万九千キロでございますのを十三万五千キロまでに延ばそう、こういうふうに考えているのでございます。その結果、死者数は五十五年におきまして八千人台にとどめたい、こういう考え方でございます。  お説のようにいろいろな問題がございますけれども、私どもといたしましては何しろ第一の目標交通安全にあるわけでございますから、その交通安全という目的と各住民の要請というものとを調和しながら万遺憾のないように施策を進めてまいりたいと存じております。
  133. 小濱新次

    ○小濱委員 大和市に上和田という団地があるのです。大きな団地ですが、ここから小学校に通うのにどうしても一本の信号機が欲しいわけです。朝家族がみんなでそこまで送り込みまして、そこを渡り切るのを認めて、それから家族は帰っていく、これを繰り返しているわけです。これもことしの当初にいろいろと相談をしてみたのですが、なかなかいま申し上げたような事情でできないで、今日までその悩みが持ち越されているという実態があったものですから、そういう例がいろいろと個所によってはございますので御質問をしたわけでございます。  いろいろ計画についてはわかりましたが、きょうはたくさん質問を持っておりますので、これから順を追って御質問をしていきますので、よろしくお答えをいただきたいと思います。  これは建設省であると思いますが、新計画では歩道整備が一・九倍、自転車道が二・六倍となっているわけでございますが、これまでの道路行政は、どちらかと言えば自動車道に力点が置かれておったような感を持ちます。歩道と自転車道は後回しにされてきた。そういう面からも、今回の計画でも、物価上昇を見込むと実質的伸び率は少ないのではないかと考えるわけです。ただいま長官からいろいろ御説明がございましたが、内容をいろいろと試算をしてみますると、実質少なくなっていくのじゃないかという考え方、こういう点から、歩道、自転車道あるいは通学、生活道路などの安全対策に重点を置いた施策にもっと力を入れるべきであると私ども考えているわけですが、建設省の御見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  134. 井上孝

    井上(孝)政府委員 御指摘のとおり、新しい五ヵ年計画におきましては歩道、自転車道は現在ある延長を倍増するということを目標にして策定をいたしております。  なお、従来も歩道、自転車道については重点を置いて実施してきたところでございますが、御指摘のように、確かに予算面では一〇〇%あるいはそれを超える消化をいたしましたけれども、歩道、自転車道につきましては、残念ながら事業量では八〇%ということになっております。今後のこれからの五カ年計画には十分な予算を計上して、一〇〇%事業量でも達成できるように努力をいたしたいと思います。
  135. 小濱新次

    ○小濱委員 資料も拝見させていただきました。大変に資料そのものはいいのですけれども、内容的にいろいろ問題があるように思いましたのでお尋ねをしたわけですが、局長さんから力強い御答弁をいただきましたので、今後の御努力をひとつよろしくお願いを申し上げたい、このように思うわけでございます。  これは自治省であると思いますが、新計画では事業費ペース、資料では九千九十五億円となっているわけです。この国費、それに伴う地方負担その他地方単独事業の内訳をお聞きしたいのですが、おわかりになりましょうか。
  136. 中村瑞夫

    中村説明員 お答えを申し上げます。  お尋ねでございますけれども、私どもまだ詳細にこの計画の内容につきまして承知をいたしかねておる点がございます。特に単独事業につきましては、細かい点につきましてまだ承知をいたしてないというのが実情でございます。ただ、全体から見まして、現在の計画に比べまして三倍余に及ぶ意欲的な計画でございますので、その事業の実施面、これから計画を策定してまいる段階におきまして、地方財源の問題につきましては十分関係省庁とも御連絡をして協議をいたしてまいりたいというふうに存じておるのが現在の状況でございます。
  137. 小濱新次

    ○小濱委員 私の方で調べても、いろいろと五カ年計画の内容が、資料があるわけです。ちょっといまの答弁としては再質問したいのですけれども、時間がないものですから後に譲りたいと思います。  もう一つ自治省にお尋ねいたしますが、最近の地方財政危機により、補助事業は地方負担がかかり、また単独事業なども交通反則金を充てているわけですが、その他地方にとっては相当な重荷になっているわけです。これに対する財源対策ですね、どういうふうにお考えになっておられましょうか。
  138. 中村瑞夫

    中村説明員 新しい交通施設整備事業に関係いたします地方団体の財源対策の問題でございますけれども、私どもといたしましては、現在のような厳しい状況でございますので、新しい計画が策定される段階におきまして、単独事業等に著しくしわ寄せが来ないようにということが第一の前提であろうかと存じております。  それからまた、適正な規模と考えられます地方団体の行います補助事業、単独事業合わせましての事業執行につきましては、できる限りの財源措置を図ってまいらなければならないというふうには存じておるわけでございますが、先生御案内のように、地方財政はこれからしばらく窮迫した状態が続くだろうと思いますので、やはり現実に可能な措置ができる範囲内においての計画ということも、今後関係省庁と十分御協議を申し上げていかなければなりませんし、また財源の内訳につきましても、現在の一般財源を著しく増強するということがなかなか望み得ない状況でございますので、全体の財源措置の中におきましてどのようなものを割り振っていくのかということにつきましても、今後十分関係省庁とも協議をいたしまして、地方団体が現在の苦しい状況の中で大きなしわ寄せを受けないようにということを十分配慮をいたしてまいりたいというふうに存じておるわけでございます。
  139. 小濱新次

    ○小濱委員 補助事業とか単独事業の地方負担金ですね、これは反則金で、その他は地財計画で見ている、そしてまた、その他は起債措置をやっている、こういう内容になっているわけでしょう。ですが、私の方のいろいろなのを調べてみまするというと、いまお話がありましたように、地方単独が、これに対して反則金を充てるわけですけれども、自治体の持ち出しが非常に多いわけですね。何かこの対策がないかということで私はこういう、例を取り上げたわけですが、いまいろいろお答えありましたけれども、私の方としては、この単独事業は何とか減らしてもらい、そして補助率をもっと上げてもらいたい、そして地方負担を軽くすべきであるということは、いろいろ自治体からの声を伺いますと、このことをどうしても配慮をしてもらわなければならない、そういうような内容がよくわかるわけでございます。まあしわ寄せが来ないように努力をしたいということでありますが、どうかひとつこういう問題が起こっておりますので、自治省としても早急に鋭意努力をしてもらいたい、こう思っておるわけです。もう一度お答えいただきたい。
  140. 中村瑞夫

    中村説明員 先ほどお答え申し上げましたように、こういう状況でございますので、いま先生御指摘のございました点については十分配意をいたしてまいりたいと存じます。  なお、私どもが現在聞き及んでおる段階におきましては、関係省庁におかれましても特に地方の単独事業の方にしわ寄せをするというお考えではもとよりないようでございますけれども、今後、国、地方を通じまして非常に厳しい状況でございますし、事業の緊急性ということもございますので、今後よく関係省庁と御相談をいたしまして、単独事業等について著しい負担がかかることのないように、地方団体といたしましても努力すべきところは努力をいたしまして事業の遂行に当たるようにいたしてまいりたいというふうに存じております。
  141. 小濱新次

    ○小濱委員 いまの問題ですが、五カ年計画の事業費、警察関係と建設関係、いろいろ拝見しますというと、大きな責任があるようにも感ずるわけです。いまの質問の内容から御答弁をいただいておきたいと思いますが……。
  142. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路整備に関しましては、国及び地方とも特定財源を持っております。地方道路財源といたしましては、御承知のように、地方道路譲与税、軽油引取税、石油ガス譲与税、自動車取得税それから自動車重量譲与税というような道路整備のための特定財源がございます。なお先ほど来お話ございますように、地方単独の交通安全事業の財源として、交通反則金がございます。これらの財源によりまして、地方道路整備財源については相当強化が図られておるところでございます。  交通安全施設整備も、新しい五カ年計画では現行の三倍という規模になります。非常に規模が大きくなります。国地方を通じまして、この財源調達には十分配慮しなければならぬと存じますが、特に交通安全施設につきましては、関係省庁とも相談をいたしまして、重点的な財源配分に努めたいというふうに思っております。
  143. 勝田俊男

    勝田政府委員 公安委員会関係交通安全施設等の整備事業は、国費、それから単独事業合わせまして五千億余りと大きな額になるわけでございますが、この事業の実施に当たりましては補助金なり地方交付税交通安全特別交付金の交付及び地方債のあっせん等による財源の手当てを行い、また事業の予算単価につきましては物価の変動及び実行単価を勘案して単価の適正化に努めておりまして、今後の地方自治体の財政負担に支障がないように努力をしてまいりたいと思います。
  144. 小濱新次

    ○小濱委員 まあ五ケ年計画地方単独欄を見ますと、警察関係で三千十九億、建設関係現行で二千三百億、反則金で大体二千五百億ですから、これ、半分以上地方が負担をすることになっております。そういう点でいろいろと配慮を願わなくてはなりませんのでお尋ねをしたわけですが、財源調達には十分配慮をするという建設の局長さんからの御答弁でございました。どうかひとつ建設、警察関係、特にこういう経済下における地方財政危機という立場から、この問題は、これは大いに努力をしてもらわなくてはならない問題でございますので強く要望しておきたい、こういうふうに思います。  次に、これは交通局長にお尋ねをしていきたいと思いますが、交通事故はここ数年減少しているとはいうものの、歩行者、自転車の事故歩行者などいわゆる交通上の弱者、これの事故に占める割合は非常に高いわけでありますが、この辺について新計画ではどのようになっているのか。  先ほどニュースをちょっと拝見したのですが、きょう警察庁長官は、交通事故は毎年五%ずつ減少する努力を続けてきた、本年度も五%減少し、五年間連続実施の記録をつくりたい、このように訓示をなさったという。いい傾向が生まれてきたなと思うわけですけれども、いろいろと弱者対策のその強調が叫ばれている立場から、新計画ではどのように考えているのかお答えいただきたいと思います。
  145. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通上の弱者である歩行者死者率は全体の三六・二%ということでございます。今度の五カ年計画におきましても、歩行者、自転車、老人、幼児といった弱者対策を中心考えているわけでございますが、その中で歩行者につきましては、特定事業としましては押しボタン信号機、主としてこれは歩行者が利用する信号機でございますが、これを現行五カ年計画に比べて一・七倍、八千五十基を設置をいたしたい。それから歩行者用の増灯でございますが、歩行者に見やすいように信号機を増灯するということでございますが、これは十三万八千二百八灯、現行五カ年計画について二・九倍の増を図ってまいりたいというふうに考えているわけであります。  その他、地方単独事業としましては、歩行者道路とか自転車歩道通行可とか、建設省道路整備事業と合わせまして、規制によるこういった歩行者、自転車の保護の措置もできるだけ進めてまいりたい。また横断歩道につきましても十分に強化をしてまいりたいと考えているわけでございます。
  146. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほど総理府長官から、四十五年度の死者の半数、約八千以下に減少させたいというような御意見があったと思いますが、具体的な内容も本当はお尋ねしたいのですが、決意を伺いましたので、どうかそういう方向で御努力をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。  さらに交通局長にお尋ねをしていきたいと思いますが、交通安全施設整備は欠くことのできないものであり、これに対し今後とも力を注がなければなりませんが、最近の老人、子供の事故に占める割合が多いことが交通安全対策上大きな課題になっておるわけでございます。これは安全施設整備だけでは万全を期することはむずかしいと思うわけでありますが、老人の事故の中には原動機付五十CCまで、自転車の事故が多く、子供については遊び場がないことなど、施設面の整備と同時に、これらに対するいわば教育面の体制がおくれていると思うわけでございます。学校教育または職場、地域あるいは免許取得などの際、これら教育の問題についても強化していかなければならないと考えておるわけですが、考えを聞かせていただきたいと思います。
  147. 勝田俊男

    勝田政府委員 老人、幼児の死亡率を両方足しますと全体の三六%ぐらいになるということで大変に高いわけでございます。幼児の事故につきましては家の周辺の事故が大変に多いということでございます。そういった面で遊び場の問題ということが一つございます。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕 こういった点につきましてはそれぞれの関係機関で整備をいただくほか、現在そういった敷地もなかなかないということもございますので、特定の時間帯を限って遊戯道路というような形で幼児の遊び場を確保するという施策も行ってきているわけでございます。  また、幼児の事故につきましては、母親の教育が大変に大事であるというふうに考えているわけでございまして、幼児安全クラブということで、あるいはヤングミセスの会というような名前をつけているところもありますが、幼児と母親とを合わせて一つの安全クラブをつくっていろいろと教育を進めていくということで、このクラブは現在全国に一万一千九百十二クラブ、幼児が百二十万余り、保護者が百十万余り参加をしているということで、こういった機会を通じまして幼児、母親の教育の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、学校近くにつきましてのスクールゾーン等につきましても、現在二万三千余りのスクールゾーンを設定いたしております。必要なところについては、ほぼ大部分がスクールゾーンの設定ができていると思うわけでございますが、今後さらに点検をして進めてまいりたいというふうに考えているわくでございます。  なお、老人の方々につきましては、特に自転車による死亡というのは老人の方が非常に多いわけでございます。そういった面で老人の方々についても安全教育ということが大変に必要なわけでございますが、そういった面でそれぞれ派出所なり駐在所で、特に用心すべき老人のお宅を訪ねていろいろと指導するというような個別的なきめの細かい施策もやっております。集まっていただいて集合的に教育する場というのがなかなか得にくいということでございます。そういった面でお年寄りの集まりの席、老人会の席とかそういった席もできるだけかりて交通安全についての教育の徹底を図っているわけでございます。やはり組織なりそういった面でなかなか苦労が多いわけでございますが、今後ともできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。
  148. 小濱新次

    ○小濱委員 老人ホームとかあるいは幼稚園こういうところから外れたものについてどうするのか、非常に関心があるわけであります。いま局長さんからいろいろと御答弁いただきましたけれども、そうしたものの老人、幼児教育の具体的なものはないはずであります。そしてその未組織者ですね、いまお話しありましたように、そういう組織のない人たちに対する指導はむずかしかろうと思います。いま御答弁のとおりでありますが、もう少し具体的な方策を考え、努力をしていきませんと、交通安全対策の実績を上げることはむずかしかろう、こういうふうに考えているわけであります。  いろいろと御答弁いただきましたからそれで十分でありますが、どうかこの点についてはこれからもなお一層の御努力をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  これも長官にお尋ねをしたいと思っておったわけですが、そういう内容になっております。ぜひひとつ、この組織のない人たちの指導、これをこれから大いに進めていかなくてはならなかろう、こういうふうに考えております。この点もひとつ強く要望しておきたいと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。  これも交通局長にお尋ねをしていきたいと思いますが、二輪車の事故が激増しているが、これも暴走族に一因があると考えられますが、これに対する警察指導、取り締まりはどのような方針で行っているのか、またその状況はどういうふうに最近変化を来たしているか、二輪車事故に対する安全教育と取り締まりということでありますが、お答えいただきたいと思います。
  149. 勝田俊男

    勝田政府委員 二輪車の事故状況でございますが、一番のピーク昭和三十九年で三千七百六十二人の方が亡くなっているわけでございます。その後逐次減少をいたしてまいりまして、昨年は千九百九人ということになっているわけでございますが、この間にわたって二輪車についての安全教育について関係方々の非常な御協力をいただきながら警察においても努力をしてまいったわけでございます。教育委員会あるいは高校、二輪車安全運転推進委員会と十分連絡をとって、安全教育普及と技能の再教育を積極的に推進してまいったわけでございます。警察が主体となってやっているもののほかに、二輪車安全運転推進委員会が非常に活発な活動をやっていただいているわけでございまして、こういった教育を受けた人が昨年で大体百八十八万人に達しております。そのうち高校生が約百八万人、免許保有者の四三・二%について教育をやっているということでございます。  そこで、暴走族の状況でございますが、暴走族としまして、われわれが一つのグループをつくって把握をしているもの、これが起こしている事故でございますが、本年の上半期の状況でございますが、暴走族が第一当事者となって起こした事故発生件数が三十六件、死者が十人、負傷者が四十二人、これははっきり暴走族として把握したものについての事故でございます。それ以外にもやはり二輪車で暴走をして事故を起こしたというものもかなりあろうかと思います。本年上半期における二輪車による死者は七百九十九人ということでございますが、全般的には昨年よりは減少いたしておりまして、八・四%の減少。これは安全教育の徹底あるいはヘルメット着用がそういった面で致死率を落としていくというようなことの効果も出てきたのじゃなかろうかというふうに考えております。  暴走族につきましては、ことしの春に対立抗争事件あるいは一般方々に非常に迷惑をかけるような暴力行為を働くというようなことが数件起こりまして、警察としましても強力な指導、取り締まりをやっていこうということで、警察庁に総合対策委員会を置きまして、全国的に指導、取り締まりの強化を図ってまいったわけでございます。暴走族はほとんど土曜の夜から日曜の朝にかけて出るというようなことで、その都度一万人余り警察官指導に当たる。一方、暴走族についてもその善導方について、いろいろと少年警察の面からも指導をしていくというような対策を講じてきたわけでありまして、表面的には少なくともそれ以降大きな暴走事案、大きな対立抗争事案というものはなく、現状におきましては暴走事案が起きている県もごく限られた県になってきたということで、大体においておさまってきつつあるように思います。  しかし、一般的にその暴走族が生まれてきた背景というふうに言われているもの、これは必ずしも解消はしていない一あるいはその暴走族として把握しているものは完全に解散したわけでもないということでございます。今後ともそうした動向について十分に掌握しながら、指導なり取り締まりを続けていきたいというふうに考えているわけでございます。
  150. 小濱新次

    ○小濱委員 十月一日から二輪車の免許取得の方法が改定されたわけでありますが、いま交通局長から御答弁がありましたように、いい傾向に向いているということでわれわれも喜んでおるわけですが、しかしながら、これは取り締まりだけを強化してもこの問題の解決はあり得ないとわれわれは考えているわけです。エネルギーの発散場所をどこに求めているのか、そういうことでのわれわれの努力も必要であり、また教育面でも当然でございますけれども、あらゆる方法でその効果というものを上げていかなくちゃいけない、こういう考え方に立っているわけですが、ぜひひとつこの努力をしていただきたいと思います。  これはやはり総理府関係がございまするので、一言この点についての考えを聞かしておいていただきたいと思います。長官からお願いします。
  151. 植木光教

    ○植木国務大臣 非常に大切な問題の御指摘でございまして、二輪車というのは非常に産業面での役割りも果たしているわけでございますけれども、先ほど来答弁の中にありましたように、非常に若い人たちがこれをレクリエーションと申しますか、ほかの目的に使うというような場合が多いわけでございまして、それによって事故が起きますことはゆゆしい問題でございます。     〔野中委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、取り締まりは取り締まりとしてやっていただきますとともに、御指摘のように、ただ取り締まりだけではなしに、青少年が健全に、社会に対しまして迷惑をかけないで、むしろ社会と調和をした生活をしてくれるということが私どもにとっての願望でございますから、したがいまして、社会問題教育問題、あらゆる面から青少年の健全な育成というものに努力をいたしまして、事故が発生をしないように解決を求めていかなければならない、こういうふうに考えているのでございます。
  152. 小濱新次

    ○小濱委員 そこで、事故防止の上から、二輪車については二輪車安全運転推進委員会などが積極的に指導しているように聞いているわけですが、これも交通局長にお尋ねをしていきたいと思いますが、これはどんな組織なのか。こうしたものに対し、今後どのように活用し、そして内容によっては奨励措置などを講ずるなど、今後の育成を図るべきだとわれわれは考えておるわけですが、お答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  153. 勝田俊男

    勝田政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、現在二輪車の事故減少してきているという原因一つに、この二輪車安全運転推進委員会が非常に精力的に活動をしていただいているということが大きいかと思います。この安全推進委員会は四十七年の一月十三日に全日本交通安全協会に中央の委員会が設置されまして、同年中に都道府県交通安全協会に県推進委員会が結成されたわけでございます。この推進委員会活動につきましては警察といたしましても全面的に協力をしてやっていくということで、二輪車の指導員の認定なり指導員の講習会あるいは白バイ隊員なり技能試験官が参加する、あるいは訓練場所に試験場を提供するというようなことで積極的にやっているわけでございまして、この推進委員会における講習状況は、昭和四十八年は千八百二十回で十八万人の人、うち十三万人が高校生、四十九年には三千八百十八回、三十三万人が講習を受ける。そのうちの二十一万八千人が高校生ということで、事故防止について大変に役に立っているわけでございまして、今後ともこの推進委員会と緊密な連携をとりながら二輪車の事故防止に努力をしてまいりたいと考えております。
  154. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろ御説明、御答弁がございましたけれども、この二輪車安全運転推進委員会、少し調べてみたのですが、年間百八万人ぐらい指導しているようでございます。交通安全協会の付置機関であるということですね。これだけの大きな仕事をなさっているこういう委員会に、交通安全協会には補助金が出ているようでございますが、この二輪車推進委員会には出ていないようでございます。内容が非常にすばらしい成果を上げておりますので、こういうものに対するこれからの育成とか助成の対策はどういうふうに考えておられましょうか。これは交通局長からやはり御答弁いただきたいと思います。
  155. 勝田俊男

    勝田政府委員 現在交通安全協会の中に置かれているということでございまして、安全協会もいろいろと御配慮もいただいていると思いますが、今後ともこれが育成配慮について十分な検討努力をしてまいりたいと考えております。
  156. 小濱新次

    ○小濱委員 私、内容を余り知りませんが、いまの御答弁ですというと、交通安全協会の中に所属をして、そしてどういう意味かわかりませんが、御配慮が置かれている、こういう御答弁のようですが、ぜひひとつ、やはり大きな使命を持ち、そして努力をしておられるこういう機関に対する何らかの温かい思いやりの措置というものは必要だろう、こういうふうに考えますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  さらに、二輪車にはこのような安全運転推進委員会があるわけでございますが、四輪車についてもこのような民間組織をつくるべきだと私どもは考えておるわけでございますが、この四輪車の安全運転推進の組織をつくるとともに、こうした民間組織育成に力を入れていくことが交通安全に今後大きな貢献をすると考えるわけですが、これからの方針、お考えを局長から御答弁いただきたいと思います。
  157. 勝田俊男

    勝田政府委員 免許を取った既得運転者についての安全教育の問題、それについてこういった推進委員会のようなものをつくったらどうかという御意見でございますが、確かに免許既得者についても安全教育を今後さらに徹底していく必要があろうかと思います。現在は、更新時講習の際に講習をやる、あるいは行政処分を受ける際に講習をやるということでございますが、こうした免許既得者については、いろいろな講習ないしは安全教育団体なり組織がございます。  二輪車の場合については、主として非常に年少者が多い。年少者について特に教育的な効果が大きいということで、こういった委員会ができたものと思いますが、四輪車についても、今後の安全については、現在の安全協会の持っている機能なりをさらに生かしていく、あるいは既存のいろいろな団体、自家用乗用自動車組合とかJAFとかトラック協会とかいろいろな組合、それから交通事業者にはそれぞれ安全運転管理者というような組織もございます。そういった組織を活用しながら、さらに安全運転の推進に努力を進めてまいりたいというふうに考えております。
  158. 小濱新次

    ○小濱委員 総務長官、いまお聞きのとおりであります。やはりいろいろと民間でも多大な貢献をしている団体があるということ。それからいま申し上げましたように、二輪車には交通安全推進委員会があるけれども、四輪車についてはない。したがって、民間組織をつくるべきだ、こういうふうに考えておるわけです。民間組織育成に力を入れる必要が当然あろうかと思うわけですけれども、この点について長官の御所見をやはり承っておきたい、このように思います。
  159. 植木光教

    ○植木国務大臣 御承知のように、老人あるいは子供あるいは母親、それから運転者に対します安全教育というのは、世界的に見ましても日本では非常に進んでいるということが言えると存じます。したがいまして、私どもがさらにそのための努力をいたしますとともに、民間団体も非常に組織化されてまいりまして、大変御協力をくださっているところでございまして、私どもといたしましては大変これを心強く存じております。  いま御指摘運転者に対する教育でございますが、これは警察庁が所管をいたしておることは御承知のとおりでございます。警察庁では御承知のように、三年に一回の免許の更新時あるいはまた交通安全協会とタイアップをいたしまして運転者教育を重ねているところでございます。さらにそういう教育面での充実を積極的に進められるように期待をし、私も警察庁に対しましてその点強く要請をいたしたいと存じます。
  160. 小濱新次

    ○小濱委員 国務大臣の立場からいろいろな機会に発言の場はあるわけでございまして、ぜひひとつ一層の御努力を強く要望申し上げたい、こう思います。  次に、救急対策について若干お伺いをしていきたいと思います。交通安全施設教育充実は当然今後とも力を入れていかなければならないわけですが、それとともに重要なことは救急体制の問題でございます。東京とか大阪、神奈川など比較的救急体制の整備されているところとそうでないところとでは、厚生省のこの死亡者数及び死亡率の資料を拝見いたしましても明らかでございますが、これは救急医療が完備しているところとそうでないところとの差がはっきりと出ているわけでございます。  私のお尋ねしたいことは、人命尊重の立場から救急体制の整備という点についての基本的な見解を、これは厚生省からお答えをいただきたいと思います。
  161. 岸本正裕

    ○岸本説明員 お答え申し上げます。  救急医療対策につきましては、救急告示施設の適正配置、救急医療センターの整備を進めるとともに、休日、夜間におきます急病患者対策として医師会等の協力によりまして地域に応じた形態で、当番医制あるいは休日、夜間診療所の設置を図ってきているところでございます。昭和五十一年度におきましては初期救急医療機関の後方病院として重傷の救急患者の診療に当たります救命救急センターを設置するよう予算要求をしております。このような救急医療体制の実施に当たって、国は従来から公的病院の救急部門に対する運営費の助成並びに休日、夜間診療所に対する財政援助を行っておりまして、五十一年度においてもこれを大幅に改善してまいりたいと思っております。  なお、中小都市の救急医療体制につきましては、大都市に準じて行っておるわけでございますが、救急医療センターを広域市町村圏単位に設置する等その運用の効率化を図りますとともに、この救急医療というものが地域に密着したいわゆる地域医療の中での中心的な問題でもございますので、このような地域医療計画の一環として救急医療体制づくりを進めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  162. 小濱新次

    ○小濱委員 厚生省、お尋ねをしていきたいと思いますが、現在国の行っている救急医療センターは日赤、済生会が中心に脳外科さえあればよいという考えのように私どもはうかがっているわけでございますが、脳外科、内科、耳鼻咽喉科など総合病院でなければならない。これは当然考えられるわけでございます。本来なら救急を専門に取り扱うのが望ましいが、既設の病院に設置する場合には窓口を別にするとかいう方法を考えて、救急業務と医療を完全に一致させたものでなければならないという考えが、いろいろな現場から総合して私どもは起こるわけでございますが、ひとつ御意見をお聞かせをいただきたいと思います。
  163. 岸本正裕

    ○岸本説明員 先生御指摘のとおり、救急医療対策というのは総合的に考えていかなければならないと思います。受け入れ施設といたしましても、たとえば脳外科だけということでなく、総合病院に、また救急専門の部署を持って、理想的には二十四時間体制をとるというようなことでやっていくのが非常に望ましい形であろうと思います。私ども先ほど申し上げました救急医療センターにつきましてはそういう方向で考えておりまして、そういう指導を行ってきているわけでございます。  なお、従来交通事故というものが非常に多発をしておりまして、脳外科を中心といたします重症患者の手当てというのが非常に大事であったわけでございますけれども、最近の傾向から、これは先ほどのお話にもございましたように、交通事故の搬送患者というものも漸減をしておりまして、それにかわっていわゆる内科系、小児科系の急病患者というものがふえてきているというようなことから、ますますその総合性というものが大事になってまいると思っております。  先ほども申し上げましたように、来年度におきましては初期救急医療機関の後方病院としての、重症の救急患者を診療いたします救命救急センターというものの設置構想を考えておりまして、これはただいま先生御指摘になったような要望にこたえるものであるというふうに考えておる次第でございます。
  164. 小濱新次

    ○小濱委員 ただいまちょっと御答弁の中に出ておりましたそのことで、重複するかしれませんが、もう一遍お尋ねをしていきたいと思います。  ちまたでは関係者の声として、救急車と霊枢車の違いは火葬場に運ぶかあるいはまた病院に運ぶかで、運ぶ先が違うだけである、このように言われている声があるわけです。現在の救急業務は、運ぶのは消防、医療は厚生省、大学病院は文部省となっており、このように二元性、三元性を帯び、いわば行政の谷間に置かれていると言ってもこれは言い過ぎではないようにわれわれは考えているわけです。  救急の使命は、特に交通事故の場合、事故の発生後十分間が勝負、こういうふうに言われているわけです。まず現場からあらゆる応急処置がされなければならないが、現状は一時間、二時間と大事な時間をたらい回しにしている例が少なくないわけです。そこで、救急車で運ばれた者は速やかに救急医療センターに運び込む、そこで適切な処置をして、必要があれば病院に入れるという体制をとらなければならないことは当然のことであります。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕 私が申し上げておきたいことは、救急医療センターを設立をする、そして救急患者の初期診療を集中的に行うために、一定の人口だとかあるいは一定の面積の地域一つの救急医療センターを設立すべきである、こう考えるわけでございますが、この点について厚生省はどのように認識をされ、計画をお持ちになっておられましょうか、見解を聞かしていただきたい、こう思います。
  165. 岸本正裕

    ○岸本説明員 ただいまの御質問にございましたとおり、私どももそのような考え方で救急医療センターの整備を進めてきているわけでございまして、経過的に申しますと、制度といたしまして、昭和四十二年度から救急医療センターというものを、当初計画によりますと、人口百万人に一カ所ということで整備を進めてまいったわけでございますが、そのほかに、昭和四十五年度から、高速道路の発達に伴います救急に対処しますために、必要なインターチェンジの付近に救急医療センターを整備をする。さらに最近におきましては、交通事故多発地帯を中心といたします、実際には広域市町村圏単位程度におきまして救急医療センターの整備を進めてくるというようなことで、先生のおっしゃいましたような方向で進めてきているわけでございます。  今後これをまたさらに発展をさせていくつもりで、来年度、先ほど申し上げましたような救命救急センターというような構想を考えているところでございます。
  166. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に力強い御決意を伺ったわけですけれども、現在ある救急医療センターの実態というものは、全国に約二百カ所弱くらい、そのくらいの数になっておるわけですね。そのうち日赤と済生会で約三十カ所ぐらいでしょうかね。しかし、これがほとんど都市に集中している。それで、そういう状態ですから、全国的にこう見詰めてみますというと、数が少ないということと、その設備が不完全であるということが指摘されているわけです。まあ、あなた方もこれから計画を進めていくという、そういう熱意でございますけれども、こういう状態ですから、大変な数の必要性が迫られているわけですから、私どもはやはり、これはもう何らかの対策を具体的に打ち出して、そして真剣に取り組んでいかなければならない、こういうふうに考えているわけですね。  そこで、お尋ねをしていきたいことは、この救急センターの設立ということであります。この救急業務の合理化という面からも大切なことだとわれわれは考えておるわけです。こうした面に力を入れるために、この財源対策ですか、当然自動車保険の運用益、これを充て、その推進を図る考えがあるかどうか、また運用益の用途はどういうふうになっているのか、これは大蔵省であると思いますが、まず御所見を承っておきたい、こういうふうに思います。
  167. 田中哲男

    ○田中説明員 ただいま先生が申されましたように、交通事故被害者の命を救うとか、あるいは交通事故被害者の実質的な被害をなるべく少なくするために救急病院を整備しなければならないということは、まことに大切な御指摘だと思われます。  いま言われましたように、自賠責保険も交通事故関係するということで、交通事故対策、救急対策等とは密接な関連を持っておりますので、運用益につきましても、現在まで交通安全対策及び救急医療対策に若干の支出をしているわけでございます。  この運用益につきましては、御承知かと思いますが、大蔵大臣の諮問機関といたしまして自賠責保険審議会というのがございまして、そこの答申にも、交通安全対策及び救急医療対策にも使えという答申が出ているわけでございます。この「にも使え」と申しますのは、本来的には料率水準の低下に使えということが前提にあるわけでございますので、そのような表現になっておるわけでございますが、現在のところまで、この答申の趣旨に沿いまして、交通安全対策及び救急医療対策に支出してきているわけでございます。  このうち、先生の御質問のありました救急医療対策につきましては、全国的な規模で救急病院を各地に持っているという点から、日赤と済生会を選びまして、いままでのところ年間十五億という寄付を毎年続けて行っているような状態にあるわけでございます。  今後のことにつきましては、運用益の発生状況、これは滞留する保険料がどのくらいの額になるか、どのくらいの期間滞留することになるか、またはそのときの金利情勢がどういうことになるかによりまして、運用益の額が全く予測がつかないものでございますので、明確に申し上げることはできない状況にございますが、審議会のいま申し上げたような答申もございますので、今後とも、先生のおっしゃいましたような交通安全対策救急医療対策の支出は応分の御寄付をさせていただきたい、このように考えている次第でございます。
  168. 小濱新次

    ○小濱委員 もう少し詳しくお尋ねしておきたいことは、この運用益の使い道とそれから金額ですね。いま細かい数字は別にいたしましても、いままでの実態だとか年間のこういう実績であるとか、それからその中でどういうふうな用途、いま大体どのくらいあるのか、こういうことを詳しくひとつお聞かせ願いたいと思います。
  169. 田中哲男

    ○田中説明員 それではまず四十九年度の実績を申し上げたいと思いますが、四十九年度に使用いたしましたのは、救急医療施設関係でいま申し上げましたように十五億でございます。そのうち日赤が十億、済生会が五億、そのほか救急車、これは消防庁に対する寄付でございますが、一億四千四百万、それから交通安全対策として、パトカーであるとか白バイとか、警察庁関係に関する御寄付が十三億九千二百万、その他三億七千五百万ということでございます。  現在までどのくらいあるかということでございますが、これは四十九年度について申しますと、積立額、これは発生額から税金を引いた額でございますが、約百十一億、それから四十九年度中に使用したもの三十四億、このような数字になっております。
  170. 小濱新次

    ○小濱委員 総務長官、こういう実態になっておりますが、この運用益の用途という問題につきましては、これはやはり大蔵省もそうでありますが、運輸省もこれは関係をいたしております。     〔野中委員長代理退席、委員長着席〕 どうしても救急センターの設立ということにつきましては、やはり相当の御助力をいただきませんと、このことの進捗はまずむずかしかろう、こういうふうに見ております。長官の御所見を承っておきたいと思います。
  171. 植木光教

    ○植木国務大臣 お説のとおりでございまして、救急業務というものが果たします交通事故というものへの役割りというものは非常に大きいものがあるわけでございます。この五年間で、御承知のように、救急隊あるいは救急隊員あるいは救急自動車というものは約倍増するというふうに充実をされてまいりました。したがいまして、これが早期に負傷者を救済するという役割りも大きく果たしてきたわけでございますが、肝心の救急センター等救急病院あるいは診療所を含めましての救急施設というものについてはまだまだ十分だとは申せない状況でございます。したがいまして、大都市での救急センターの設置というものは進めてまいりましたが、いろいろ各地方におきましても、交通の態様というものが激変をしてまいっておりますので、きめ細かい施策が必要であろうと思います。  運用益についての御指摘につきましては、関係省庁にも十分連絡をとり合いまして、その活用方を促進をしてまいりたいと考えるものでございます。
  172. 小濱新次

    ○小濱委員 どうかひとつ力強いお力添えを特にお願い申し上げたいと思います。  厚生省にお尋ねしますが、休日診療については、医師及び看護婦の確保ということが大きな問題になっております。医師及び看護婦の確保は自治体ではお手上げである。これはいろいろな実績からそういう姿になっておるわけでありますが、医師の確保については、憲法の精神からしても、当然国で責任を持たなければならない問題であると考えております。これは二十五条の内容であります。自治体に任せるというのではなくして、国としても責任ある対策を立てなければならないと考えますけれども、その点いかがでしょう。
  173. 岸本正裕

    ○岸本説明員 医師の確保の問題でございますけれども、その中心をなしますのは、医師の養成の問題であろうかと思います。私ども関係省庁等にお願いいたしまして、この養成確保が大幅に改善されるよう努力してまいっているわけでございますけれども、最近非常に医科大学の新設等が各所に起こりまして、これは養成の問題でございますから、直ちに実効が上がるということではございません、時間がかかりますけれども、たとえば昭和六十年くらいまでには相当の養成数が見込まれまして、現在では西欧諸国並みに到達できるというような見通しも立っているわけでございまして、今後とも関係省庁と協力をして、努力をしていきたいというふうに思っております。
  174. 小濱新次

    ○小濱委員 自治体に任せて医師会の協力を待つだけであっては、これはこの問題の解決はできないということですが、どうかひとつこれは厚生省の力強い、御理解ある御協力をもらわなければこの問題の解決はないわけですから、ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  最後に、病院、診療所などの休日夜間の診療が多くなってきているわけです。自治体では、休日夜間診療の体制をとっているところがあるわけですが、その体制が十分ではない。そのために行き先がない。救急車の出動要請が非常にふえているという実態があるわけです。現在の休日夜間診療の実態はどうなのか、またその対策についてはどのようになっているのか、伺いたいわけでございますが、これも厚生省からお答えいただきたいと思います。
  175. 岸本正裕

    ○岸本説明員 休日夜間の診療体制といたしましては、それぞれの地域実情に応じまして、休日夜間診療所あるいは当番医制等の体制がとられております。  厚生省は、昭和四十九年度より、休日夜間診療所の計画整備を進めるために、施設費及び運営費の助成を行ってきておるところでございますが、当面の目標としては、人口十万以上のすべての市に設置する計画で、現在までに百二十四カ所が設置されまして、昭和五十一年度中には目標を達成する予定でございます。昭和五十一年度におきましては、休日夜間診療所の内容の充実を図るために、運営費の補助単価の大幅な引き上げを図るとともに、休日夜間診療所並びに当番医制の円滑な運営を図るために、救急医療対策協議会を郡市医師会単位に設けまして、地域に密着した、きめの細かい救急医療体制づくりを推進してまいりたいと考えております。
  176. 小濱新次

    ○小濱委員 都心部が非常にすぐれているというふうに私ども見ておったわけです。ところが、横浜市の休日診療実施状況というものをちょっと調べてみたのですが、二百六十万人口があるのですが、十四区制中六区だけ、半分以下、こういう実態になっている。横浜でもそうなんですね。したがって、これはもう小都市の農村地域では、この問題の悩みを大きく抱えているわけです。相当長距離を走っていかなければならない。ところが、たどりついたそういうところが、なかなかまたいろんな事情があって受け入れができないというような、そういう問題を幾つか私どもは耳にしているわけです。この点について、やはりこれは厚生省、大きな問題点であろうと思いますよ。そういう点で、こういう大都市が指定都市がこういう実態なんですから、あとは推して知るべしということで、より一層の御努力をお願いしたいと思いますか、いま一度御答弁をいただきたい、こう思います。
  177. 岸本正裕

    ○岸本説明員 確かに全体で医療需要というものは非常に最近ふえておりますし、また週休二日制等の傾向とある意味では逆の立場の休日夜間診療体制というものは非常にむずかしい問題を抱えておるわけでございます。そういうこともありまして、この救急体制は非常に重要な問題としてわれわれ努力をしているわけでございますが、医療というものは非常に地域に密着した問題であるという特色がございまして、その地域地域でいろいろと実情も違う、またいろいろな機関の整備状況、それから住民の疾病の傾向であるとか、いろいろなことが違うわけでございまして、私どもといたしましては、やはりこれは地域に密着した計画、いわゆる地域医療計画という中で、この問題を地方公共団体また関係の医師会等関係者が集まって十分に御協議をいただきたい、そしてそういう地域に密着した、その地域の合意の得られた計画というものをつくり上げていっていただきたい、国といたしましては、そういうものに対しましてできるだけの御助力をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。今後ともそういうことで、地方公共団体並びに関係団体と協調してこの充実に努力をしていきたいと考えております。
  178. 小濱新次

    ○小濱委員 総務長官、お聞きのとおりでありまして、地域に密着した医療体制、それがどうしても必要な問題点がいまの内容になってまいりました。これもぜひひとつ強力なお力添えをいただかなければなりませんが、強くこのことをお願いをし、要望申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  179. 下平正一

    下平委員長 次に、渡辺武三君。
  180. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 時間が制約をされておりますから、私は余り余分なことはしゃべりませんが、私の質問趣旨は、総務長官も御承知のように、交通安全委員会は、委員会審議をするためには関係各省庁たくさんの方をお呼びしないと実はなかなか審議が進まないというぐらい関係省庁が多いわけでございます。従来余りにもおくれておりましたわが国の交通安全対策であったものですから、各省庁がばらばらに自己の立場において交通安全対策を進めてこられたわけですが、一応の成果というものは上がってきておると思うのです。ところが、これからは、そのような各省庁ばらばらの交通安全対策ではなかなか所期の目的を達成することが困難な状態になってきておるのではないか、つまり、総理府が果たすべき役割りというものがより一層重要になってきておる、こういう観点で質問をしていきますので、言葉の少ないところはそのような解釈でお答えを願いたい、こう思います。  まず、いまの日本の経済全体の仕組みというものが、つまりは都市へ集中するようにできておるわけです。そういうような都市集中化の現象というものをそのままにしておいて交通問題を解決しようとしても、一体意味があるのか、実はこういう学者の意見があるわけでございます。確かに、私はこの学者の意見には多くの示唆を含んでおるのではないだろうか、われわれ自身が、ともすれば交通安全対策そのものが、何となく、起きてまいりました事故、問題点についていろいろな対策を考えていくということに、従来はそれに追われてきたという感がなきにしもあらず、こういうふうに考えるわけでございます。  さらに、現状のままで一体総合交通体系などと言ってみてもとてもそれは無理であって、むだではないかという意見すら実はあるわけでございます。それはどういうことを言っているかといいますと、御承知のように、現在の官庁機構というものか縦割り行政になっておりまして、それぞれの交通手段を管轄をしておる省庁、これまた別々でございます。その別々のままの各省庁がそれぞれの交通安全対策というものをお立てになっておる。そういうところに大変な不合理さが目立っておるのだ。だから、むしろ最初に申し上げましたようなそういう中で、たとえば自動車というものが問題になってくるならば、自動車が一方的に都市へ集中化をしてくるという問題をむしろ考えるべきではないか、こういう意見もあるわけでございます。  私どもも実際に交通安全対策に加わってまいりました一員として、確かにいろいろ反省をしてみなければならない問題点だと思うわけでございますが、総理府総務長官の御見解をお伺いをしたいと思います。
  181. 植木光教

    ○植木国務大臣 私が交通対策本部長をいたしておりますことは御承知だと存じますが、同時に総合交通対策の担当もいたしているのでございまして、いま御指摘になりましたのは、いみじくも全体の交通体系を考え、そして同時に交通安全対策考えていくということでなければ問題の根本的な解決はあり得ないということは、私も全く同感でございます。したがいまして、いま一つの例として挙げられました都市の人口集中の分散につきましては、これは、たとえば事業所の立地の規制でありますとか、あるいは学園等の移転でありますとか、環状道路の建設でありますとか、いろいろなことをやることによりましてそれぞれの地域がそれぞれの機能を果たしていくというふうな方策が考えられなければならないと存じます。  それにつきましては、各省庁にまたがっておりまして、それぞれ国土総合開発計画等の中においても十分審議せられているところでありますが、交通という立場から私から申し上げますならば、やはり何と申してもどこかで一元的に総合調整をしていく必要があると存ずるのでございます。したがいまして、私自身警察庁や運輸省、建設省関係局長に何度かお集まりをいただきまして交通対策の基本的な方策についていろいろ協議をする、直ちにできるところからこれを取り上げていくというような努力もいたしております。同時に、今後行わなければなりませんのは、五十一年度から始まります第二次基本計画の策定におきまして総合的な調整機能を効果的に発揮していかなければならないことだと存じているのでございます。  いまお話しに、あるいは御指摘になりましたような点につきましては全く同感でございまして、ひとつ具体的にもいろいろな点についてお教えをいただき、御協力をいただきたいと存ずるのでございます。
  182. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 総合的に交通安全対策を推進していく、また総合的な交通安全対策の推進そのものが従来の発想を大きく転換をしなければならぬのではないか、こういうことを私は実は言っておるわけでございまして、極端な意見を申し上げますと、つまり、いままでわが国がとってまいりました交通問題というのは、いわば誤診の連続であったという評価をしている方もいらっしゃいます。中でも、国鉄の再建は可能だとか総合交通政策の実現などとともに、いま警察庁がおとりになっております。自動車は抑制ができるというのは、これは誤った診断の代表的なものだ、こういう指摘を実はしておる人がいるわけですね。これは運輸経済研究センターの某理事さんがわざわざ運輸省で講演をなさっておるのです。これは運輸省の方々は皆御存じだと思いますけれども、つまり、国鉄の財政再建だとか総合的な交通政策は理論上もう不可能なんだ、ましてや自動車を抑制をするというようなことは人間の欲望に反する行為だとさえ実は言っておられるわけでございます。  確かに、人間が豊かな生活を希望する欲望というものを持っておる以上、自動車の抑制は無理かもしれませんけれども、しかし、その欲望に沿って自動車が無限大に広がっていくということであれば、国土面積は限られておるわけですから、本当にそれでいいだろうかという疑問がわいてくるのもまたこれ事実であるわけでございます。  したがって、そういう問題点を解決するためには、従来とやはり発想を転換をしていかなければいけないのではないであろうか。いわば国民のニーズにこたえながら限られた国土面積の中で一体どうしていくべきか、こういういま同一視点の上に立った問題点の解決を図るような方向に方向転換をしていかないと、なかなか問題があるのではないか、こう考えるわけですが、総務長官、いかがですか。
  183. 植木光教

    ○植木国務大臣 現在わが国の自動車の保有台数は約二千八百万台であろうと存じます。この台数は、御承知のように毎年度増加してまいりましてここに至ったわけでありますし、今後もこれが増加をしていくであろうということは私は一つの趨勢であると考えます。  現在までの交通安全対策は、施設の面でありますとか教育の面におきまして台数増加を上回るような施策をとることによりまして事故数というものを減少させてきたということは、評価していただけるのではないかと存じます。今後これから一体どれぐらいふえるかということでございますけれども、やはり年間二百万台ずつぐらいはふえていくであろうということを想定をいたしまして私どもは交通安全対策を立てていかなければならないと存じます。  そして同時に、都市の総合交通の規制につきましては、いま警察庁でいろいろ御努力をせられておりまして、交通量の抑制あるいは道路利用の合理的な配分、交通流のパターンの改善、駐車規制の強化、バス専用レーンの拡大、生活道路対策の強化と、いろいろなことをやっておられるわけでございます。しかし、やはりこの規制では私は限界があると存じます。非常に一生懸命やっていただいておりますけれども、なかなかこれは、いま申し上げましたような自動車の果たす役割りというものを含めましての今後の増加ということを考えますと、やはり道路行政、運輸行政を含めました総合的な施策が必要である。  そのためにはやはり地下鉄、バスというような大量輸送機関をどういうふうにするか、貨物輸送のためには共同化が必要ではないか、あるいは通過交通を排除するための環状道路を建設する必要があるじゃないかというようなことも出てくるわけでございまして、いま御指摘のようないろいろな意見が各界から出されているわけでありますけれども、私どもといたしましては、やはり現在自動車は旅客輸送におきまして全国で五〇・一%くらいの役割りを果たしておりまして、貨物輸送では四一・七%の役割りを果たしているわけです。これは、先ほど申し上げましたように、その役割りとともにそれぞれの利用者のニードによりまして今後増加していくという前提で施策をしていかなければならない、こういうふうに考えているのでございます。
  184. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ちょっとぼくとピントが狂っておるのですけれども、そういう国民の欲望に従って自動車増加をしていくであろうということでいろいろな対策をお進めになる、これは私は別に異論を唱えているわけではありませんが、問題はその対策のとり方の問題であるわけでございます。つまり、従来の方向というのは、いろいろな現象が起きてそれに対する諸対策が講ぜられていく、あるいは現象が予想される問題についての対策が考えられていく、こういうことであったのだけれども、むしろそうではなくて、それをいわばもうそれ以前の問題としてやらなければならない問題点がやはりあるのではなかろうか、また、そういう問題点に力点を置いていかなくてはこれからの交通安全対策というのは大変なことになってくるのではないか、こう考えておるのです。  具体的に申し上げますならば、たとえばいまおっしゃっておるように住宅政策そのものあるいは都市計画そのものも、いわば交通安全という問題を離れてはいけないわけですね、実際には。ところがいまはそうではなくて、都市計画なりあるいは住宅政策なりというものは必ずしも、交通安全というものを十分に配慮された中でやられておるかと言えば、私はそうではないと思う。それぞれの省庁がそれぞれの考え方に従って、たとえば住宅なんかをお建てになっていく。ところが結果的に見るとそれが、一大団地ができ、その付近に非常に交通渋滞を起こし、既設の道路そのものを住民要求によって遮断をしなければならぬ、こういう問題が実は起きてきておるわけでございます。したがって、それ以前の問題として、つまり都市計画段階から総理府がタッチをしなければならないような問題がこれからあるのではないか。  そういう意味では、私は前にも申し上げたことがあるのですが、少なくとも交通安全に関する予算は総理府で全部総括すべきだ。そして各省庁にはそれから配分をするというような方向をとったらどうだ。交通安全対策室の予算を見ると、これはたびたび申し上げて恐縮でございますけれども、交通安全対策室とは名ばかりであって、貸し部屋業ではないかという御指摘を申し上げておったわけですけれども、予算上から見る限りそうとしか思えないきわめてわずかな予算しか受けていない。そして、各省庁が寄り集まって、そこでお話をされるというのですけれども、じゃ本当に調整機能が発揮されておるのかというふうに見ていくとどうも疑わしい面がある。  確かにいままでは余りにもおくれてきた交通安全対策だから、各省庁がばらばらにとってきた対策でも相当な効果は上がってきた。ことしの死者で見る限り、四十九年度は相当なパーセンテージによって死者減少していったけれども、ことし警察庁目標を立てておられます五%それ自身がもうすでに達成が危ぶまれておるというような現状の中で、なかなかむずかしい問題が私は出てきておると思うのです。  したがって、そういう個々のいままでとられてきた対策そのものの推進ということも決して私は否定をいたしませんから、推進をしていかなければなりませんが、もう一方でやはり従来余りにも忘れられてきたような交通安全対策、もっと次元の違う交通安全対策というものがあるのではなかろうかと、そういうものがより強力に推進をされていかなければならないときに来ておる、こう考えるわけですが、長官いかがですか。
  185. 植木光教

    ○植木国務大臣 まことに貴重な御指摘でございまして、私も同感でございます。したがいまして、先ほど申し上げました各省庁の局長に集まっていただきました会合にも、建設省計画局長にも来ていただきまして、したがっていまお話がありましたような都市計画あるいは住宅対策、そういうようなものと交通安全対策というものとをかみ合わせて施策が行われなければならないという認識のもとに私も努力をいたしているのでございます。ただ、総理府にこの安全対策費用を一元化をして、そこでやるべきだというのは、一つの御見解だとは存じますけれども、やはり道路行政、運輸行政あるいは建設行政と、それぞれ各省庁が責任をもって分担をしているわけでございますから、それらの機能というものを、私どもの調整機関の中で十分にその調整をした上で発揮してもらうということで現在の問題は解決できるのではないかということをいまは考えているのでございまして、共通の認識を持っているということについては御理解をいただきたいと存ずるのであります。
  186. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いわば縦割り行政に横割り行政をプラスしていくということ、これが総理府の役目ではないか、そして各関係省庁が非常に緊密な連携をしていく、そういうことなくして国民のニーズにこたえることは非常にむずかしい、私はこう考えているわけでありますから、どうかそのように推進をしていただきたいと存じます。  それでは具体的な問題に入ってまいります。  まず、警察庁にお尋ねいたしますが、先ほどもちょっと触れましたように、ことしの交通事故死者数の抑止目標五%ということをお立てになっております。昨年度は一万一千四百三十二人であったわけでありますが、しかしながら、ことしは十一月六日ですでに九千人を突破をしてしまったわけでございます。前年同期比では三百八十二人の減少でしかないわけでございます。こういう状況を見ますと、この五%達成ということが非常に危ぶまれておりますけれども、警察庁としてはどう判断をしておられるのか。さらにことしの事故の特徴、傾向などを把握をしておられるならばついでにお聞かせ願いたい。
  187. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通事故死者状況でございますが、昨日現在でマイナス三百八十人、マイナス四%という状況でございます。本年の目標が五%でございますので、大変に厳しい状況ではないかと思います。  本年の事故状況を振り返ってみますと、一月から六月まではほとんど毎月五%以上減少しております。上半期は六月末には五・七%ということでございます。七月に、これは昨年が非常に少なかったということがございますが、八十人プラスになって、それから七月、八月とが両月で減少なしということで三%ぎりぎりまで減少率が減った。九月が六・九%減少、十月が一〇%減少ということで、十月にまた四・三%ということでございますが、そこまで来たわけでございます。  そこで、昨年の事故の傾向とことしの事故の傾向とを比較してみますと、月例に見ますと、昨年は七月が非常に少なくて十一月が非常に多かったということでございます。十一月、十二月の事故の数が昨年は非常に高いということもありますので、今後の努力次第で五%目標の達成は可能であるということで、最善の努力を尽くして目標達成に努めたいと考えております。  そこで、本年の事故の特徴でございますが、昨年は非常に減ったということで、全国的にあらゆる地域都市も郡部も全部減ったわけでございます。それから県も一県を除いて全部一昨年に比べて減少している。ことしは県別に見ても三分の一ぐらいの県が若干増加をしている県が見受けられるわけであります。また減少しているのは主として大都市部分、十万以上の都市を含めた地域がほとんどです。全般では四%そこそこの減少でございますが、こういった大都市部分については九%になりますか九・五%ですか減少をしているというところが、地域的に見た一つの特色であろうかと思います。  それから、事故の中で、死者の中で幼児と自転車の死者の数が昨年に比べてふえている。これは自転車を利用する人が非常に多くなった、対象がふえたということが一つ原因であろうかというふうに思います。  それから、同乗中の死者がふえた。つまり、自動車一件当たりの死者の数がふえたということが一つの特徴でございます。これを見ますと、特に事故が多かった八月に同乗中の死者が多い。十一月の初めにもわりに死者が多いわけです。一八%ぐらいになっている。この期間も同乗中の死者が多いわけでございます。年間を通じると一二%か一三%ということでございます。やはり家族そろっての行楽とかそういった機会にレジャーに伴う事故がふえてきているのではないか。  それから、単独事故がふえてきている。結局居眠り運転とか酔っぱらい運転とかスピードの出し過ぎというようなことで、道路から飛び出したり物件にぶつかったりする事故がふえている。  それから、これからの問題としては、夜間事故一つの問題ではなかろうか。死亡事故から見ますと、昼間に比べて三倍ぐらい致死率が高いわけでございますが、年間を通じますとほぼ半々、わずかに昼間が多いということでございます。日没から日出という時間を見ますと、日没以後の時間が長くなる十月から三月までは夜間における死亡者の方が多いという状況でございます。そういった面で今後の夜間対策というものをどう考えていくか。曜日別に見ると土、日が多かったわけでございますが、最近は金曜日の夜もかなり多いという傾向があります。  こういったところが本年の事故の特徴的な動向かと思います。
  188. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 統計的に見ますと、確かに十月以降年末にかけての死者数は非常に多いわけですね。したがいまして、私が先ほど指摘いたしましたように、もうすでに九千人を突破しておるという状況考えますと、特に十一月、十二月の交通安全対策には格段の努力が必要だと思うわけですけれども、そういう面について警察庁は特別な対策を講じておられるかどうか。  あわせまして、いまもお答え願いましたように、同乗者の死亡事故がふえておるということでございますけれども、それに関連して若干質問したいのですが、同乗者の死亡事故を極力減少させるためにはやはりシートベルトの着用ということが非常に効果的であろう、こういうことで、ことしの八月でしたか、この一カ月間シートベルトの着用強化運動が行われたようでございますけれども、実際にそれによって着用率がどの程度アップをしたのか、あるいは運動の効果についてはどのように評価をしておられるのか、あるいは今後シートベルト着用を推進さしていくためにはどのような対策を考えておられるか。  なお、ヘルメットそのものの着用は法制化がされまして、ためにヘルメットを着用する率が相当大幅に上昇したということでございますけれども、一体どの程度アップをしたのか。つまり、その法制化によって着用率のアップを図るということは大変効果があると思いますけれども、それではシートベルトについては一体どういうお考えを持っておられるのか、これをお聞かせ願いたい。
  189. 勝田俊男

    勝田政府委員 本日も全国交通課長会議で指示をしたわけでございますが、やはり十一月、十二月ということになりますと、先ほど申し上げましたようにこの時期の特徴として夜間事故が多いということ、それから歩行者事故がほかの期間に比べて多い、老人の事故が多いというような問題があります。緊急的に効果を上げるということになりますと、やはり緊急的な規制、それと警察力を動員しての街頭における指導、取り締まりの強化ということになろうかと思います。長期的に見ていろいろな道路環境の問題は今後とも努めていかなければならぬ問題だと思いますが、そういった面で各府県の一層の努力と一般の県民の方々の注意の喚起ということについて努力をするように指示をしたわけでございまして、各府県ともにさらにそのとおり実行してくれるものと考えております。  次に、同乗者の問題について、シートベルトのお話がございました。確かにシートベルトの着用の効果については、いろいろな実験から見ましてもきわめてはっきりしているということでございまして、総理府等が中心になりましてこの夏八月いっぱいあるいは秋の交通安全運動の期間において着用の向上を図ってまいったわけでございます。着用状況調査につきましては、警察がいろいろ行った資料がございますので、われわれの調査した資料で申し上げますと、八月末高速で一〇・四%の着用率、これは昨年の調べでは、高速で六・二%ということでございます。約四%の向上をしておる。それから平場、一般道路では三・七%、昨年の調査では一%あるいは一%に満ちていないかもしれません。その程度でありまして、そういった面では、それだけの相当の効果はあったというふうに思いますが、着用率としてはまだまだ不十分じゃなかろうか、今後ともさらに努力をする必要があろうかと思います。  これの努力につきましては、関係省庁それぞれの立場から努力をしていく必要があろうかと思いますが、警察としましては、これはつけてみるとどうもくせになるということのようでございまして、そういったくせをつけることが大事である。われわれの方で管轄しております指定自動車学校も、訓練の際には必ずベルトをつけてやる、こういう指導をやっておるわけでございます。  それ以外に、更新時講習なりあるいは安全運転管理者を通じての指導の徹底、街頭における指導の徹底以外に、一般的な広報についても、シートベルトがいかに有用であるかということについての角度からの広報というものを今後活発にしていく必要があろうかと思います。  それから、ヘルメットの問題でございますが、四月に政令を改正をいたしまして、七月一日から着用義務のある者につきまして着用しなかった場合には反則点数一点を科することにしたわけでございます。  それで、自動二輪車についてでございますが、本年の一月の調査では、ヘルメットの着用率が六四・三%でございます。それが七月、点数をつけた直後における調査では九七・八%ということで、三〇%上がっております。その間、四月から七月にかけて街頭における指導その他も非常に徹底をしたわけでございますが、そういった効果と、やはり点数がつくということの効果がかなりあったのじゃなかろうかと思います。  それから、原付自転車については義務がないわけでございますが、これが一月では五六・六%、七月には六四・八%まで上がっている。これも街頭指導効果であろうかというふうに思います。  そこで、法制化すれば着用率が上がるのじゃないかということでございますが、確かに法制化すれば着用率が上がるであろうというふうに考えるわけでございますが、現在まだすべての車についてシートベルトが装着はされていないという状況もございます。それで区別をすることはどうだろうかということ。それからいま各国においての法令も調べております。ほぼ十カ国ぐらいで着用が義務化されているということでございますし、われわれもそういう方向で検討すべきであろうというふうに考えておりますが、法制的には前席か後席か、子供を乗せた場合どうするかとか、ちょっと走る場合にどうするかとか、その地域によっていろいろ変えるとか、なかなかむずかしい問題がございます。こういったものも含めて検討を進めておりますが、とにかくもう少し全般にその有用性を認識してもらって、そういった強制をしても国民的な合意が得られるような着用率まで高めていくということが急務であろうかというふうに考えております。
  190. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実はそのシートベルトについては、わが交通安全委員長は身をもって体験をされたわけでありまして、御本人は相当の重傷を負われて入院をされ、相手方はシートベルトをしておったために非常に軽傷で済んでしまった、こういうことでございます。これは必ずしもスピード違反を犯しておらなくても、法定速度で走っておってもそういうことが実は現実に起こっておるわけでございまして、私どもも一層強力に推進をしなければいかぬということを委員長事故によってさらに思い知らされたということでございますので、一層強力な推進をひとつお願いをしておきたいと思います。  それでは、今回私どもが決議をいたそうといたしております問題点について若干触れてまいりたいと思います。  つまり、新安全施設整備五カ年計画なるものの策定が考えられておるわけでございますけれども、昭和五十六年度の交通事故死者数を八千四百人以下に押さえるということを目標にしておられるようでございます。この交通安全という国民的な悲願を早期に達成することが非常に必要であることからすれば、目標自身をもっとシビアに考えるべきではないだろうか。この八千四百人という数字を私なりに分析いたしていきますと、大体交通死亡事故ピーク時の半分、こういう数字になるわけでございますけれども、そういう観点からいろいろ各都市状況を見ていきますと、実はすでにもうこの目標を達成しておる都市というものが出てきておるわけですね。そうだとするならば、全体的に八千四百人という目標を設定されたそのこと自身に、やや私は疑問を持たざるを得ない。むしろ目標である限りは、できるだけむずかしいくらいの目標を掲げながら最大限の努力をしていくということが必要であって、まずできるかできぬかが先に立って、このくらいの目標ならばできるぞというところに目標を置くということが果たしていいのかどうか。  そうではないとおっしゃるかもしれませんけれども、数字の上から見ると、私はそう考えざるを得ない。目標イコール実施値というような観点で設定をされておるんではないであろうかと思いますので、この八千四百人という目標を定められた根拠をちょっとお聞かせ願いたい。
  191. 植木光教

    ○植木国務大臣 お説のとおり、八千人台にまで持っていきたいということの目標数値を出しているわけでございますが、四十六年以降の死亡事故減少傾向、これはもう御承知のように、昨年は非常に多くて二一・六%というような減少見たわけでございます。私どもとしては、こういう大きな減少値はなかなか大変かとも存じますけれども、大体その趨勢としてわれわれは一つ減少傾向を考えているわけである。  もう一つは、東京大学の生産技術研究所におきまして学識経験者によって御検討をいただきまして、そして出してきたのが八千人台という数字であるという状況でございます。これは非常に甘いのではないかという意味の御意見でございますが、しかし先ほども申し上げましたように、自動車は今後増加してまいると存じます。一体それが五十五年に三千五百万台になるのか、あるいは三千七百万台かといういろいろな説があるわけでございますが、たとえば三千七百万台といたしますと、この八千人台というものは、自動車一万台当たりの警察統計上の死者数ということになりますと、二・三人という数字が出てまいります。これは国際的に見ましても、アメリカは現在四・八人、イギリスは五・六人、イタリアは八・〇人、西独は一一・三人。昨年度四十九年度は四・二人でございますから、したがいまして、自動車台数がこれからふえていきますものを考え合わせますと、一万台当たりの死者数というものはきわめて高水準の値を目標としているということになるわけでございまして、私どもとしては、甘いものではなしに、現在予想でき得る合理的かつ理想的な目標値であると、このように考えているところであります。
  192. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その目標値というものの認識の仕方ですけれども、つまり、このごろ環境庁がいろいろな数値を出しておりますが、これは実際は目標値なんですね。ところが実際には非常にむずかしい目標値なんです。それをどうも各省庁が掲げられる目標値というものが、いわば達成可能かどうかということで定められていく傾向が私はあるように思うから、そして目標を一〇〇%完遂しました、これは非常に喜ばしいことだというのだけれども、その目標値の設定の仕方そのものを問題にしてみれば、果たしてそれが喜ばしかったのかどうかというのはやはり私は疑問がある。  そこで、目標値と実施値というものは違うのだから、各省庁の考え方がまちまちであると、国民が受ける感じというのは非常に変わってくるのです。私が心配をいたしておりますのは、一応この目標値というものを掲げ、それが一〇〇%達成できたといたします。ところが、環境庁の方である数値を掲げられますと、それが目標値であるにかかわらず、いつの間にか国民の中には実施値というふうにとられていく。それがちょっとでも下がれば、それ反国民的だとかなんとかという議論がされてまいるわけでございます。  したがいまして、少なくとも目標値というものは非常に高い理想を掲げておけばいいではないか。それに到達するためにどういう努力をしていくか、こういうことが必要であって、すでに大都市ではこの目標値、つまりピーク時の半分という目標値は達成をしておる都市がもういろいろ出てきておる。そういう事態の中で、全体の目標値をピーク時の半分に抑えるということについては、私はやや疑問を持たざるを得ないという観点で実は申し上げておるわけです。  だから、それぞれの理屈はあるのでございましょうけれども、この目標値、いわばピーク時の半減ということが、各都市ともまだまだこれから相当努力をしなければならない数値だということであれば、まだわかるわけですけれども、これは少なくとも五カ年計画の最終年度五十六年にという意味ですよ。いまからまだ数年あるわけです。現時点で半数以下になった、目標を達成している都市があるわけです。そう見ていくと、この目標値の設定の仕方というのはややおかしいではないかと言わざるを得ないわけです。どうなんでしょうか。
  193. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 ただいま総務長官から答えましたとおり、われわれは一応八千人台というものを目標にしたわけです。しかし、希望的な数字といって余り根拠のない数字をわれわれ挙げることもいかがなものかということで、先ほどお話がありましたとおり、学識経験者等にも十分詰めさせまして、そして警察庁あたりも年率五%ずつ減らしていくという希望もありますし、ある程度根拠のある、われわれが達成できる数値ということで決めたものであります。  もちろん、おっしゃるとおり、東京は昭和三十五年に約千二百人死んでおった、あるいは大阪が三十六年に千百人死んだ。それが去年は大阪が五百人あるいは警視庁が四百何人ということで、三十五、六年当時から比べたら非常に減ってきたと思うのです。これはいろいろな施策を講じて減ってきたので、四十六年ごろの、あるいは四十五年ごろの警視庁あるいは大阪あたりは大体七百人から八百人くらいだったのですが、それも大体半減したとはいいますけれども、これをさらに全国の、たとえば千葉なり、あるいは神奈川なり、あるいは埼玉なり、北海道なり、相当の努力をしなければ、全体的な八千人台ということは非常に到達がむずかしい。  先ほど総務長官が言いましたとおり、諸外国の例から見ましても、私は大体一万台当たり五人というのがもうぎりぎりの限度ではないかという感じを当時は持っておったのですけれども、一万台当たり約二人あるいは厚生省統計でいきますと三人ぐらいになりますけれども、相当努力しなければならぬ理想値あるいは希望値である、このように考えております。そして合理的な裏づけがあっての上で詰めたものでございます。
  194. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いろいろな調査をされた後に設定をされたと思いますが、しかし、いまの現象から考えていくと、非常に進んでおる地区においては、すでに目標を達成しておると言っても過言ではないわけですから、私はやはりもう少し慎重に考えるべきではなかったかというふうに思いますが、それ以上追及はいたしません。  次に移ります。警察庁がいま都市の総合交通規制というものを実施をされておりますけれども、この都市の総合交通規制そのものも、先ほど申し上げましたように、基本的には都市計画にまでさかのぼっていかなければいけない問題であって、つまり道路構造そのものが、いまのような混合交通のままの状態でいいのかどうか、つまり、道路の建設あるいは改造ということ、そういうことが当然並行的に行われなければならないし、さらには外郭環状線というようなものがそのままでいいのかどうか、こういう問題に対する施策があわせ並行的に講じられていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう面から考えて、特に規制を要するというところ、そのこと自身には必ずそういう問題がつきまとっておると私は思うのです。  そういう意味で、警察庁として関係各省庁に対してどのような働きかけをしておられるのか、あるいはどのような意見具申をしておられるのか、その辺についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  195. 勝田俊男

    勝田政府委員 確かにおっしゃったとおりでありまして、現在警察でやっております交通規制は、現実にある都市の状態というものを前提とし、そこに現実に生じている交通事情というものを前提としておるわけでございますから、より基本的に考えれば、先生のおっしゃるように交通事情のあり方、それも都市構造なりあるいは道路構造なりあるいは輸送体系という面から基本的に改めていくということが、最も根本的な対策であろうかと思います。できるだけ交通規制が少なくても済むような都市づくりができるということが一番の理想だろうと思います。  そういった面で、関係省庁との連絡の機会も総理府中心としてあるわけでございますが、個々一つ一つの具体的な問題になりますと、それぞれの府県警察なり、それから府県の知事部局なり、大都市なりという問題と非常に関連をしてくるわけでございます。そういう面で、今後府県なり市におけるいろいろな協議会なりの席などに積極的に出て発言をする、交通の側から言えることはどんどん発言するようにというような指示もいたしておるわけでございますし、われわれといたしましても、関係省庁との連絡を今後さらに密接にするように努めてまいりたいと思います。
  196. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 道路局長さん、警察庁が総合交通規制を行っておる地域について、建設省としては、その規制区域内の道路状況等々について特にピックアップをして調査をし、施策を講じておられるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  197. 井上孝

    井上(孝)政府委員 都市の総合交通規制につきましては、警察庁といろいろ御相談をして、実施に際しては、私どもの所管の事業で、あるいは管理面で実施すべきものは次々と実施するという体制でございます。  先生も御指摘になりましたように、総合交通規制都市交通問題というものは、やはり建設省の所管いたしておりますもろもろの事業に関連をいたします。たとえば、具体的には都市再開発事業の実施とかあるいは流通拠点の整備、時間のかかる施策ではございますが、バイパスとか環状道路整備、こういう面で御協力申し上げる必要があると思いますが、当面、警察の実施しておられますものにつきましてはそれぞれ道路管理者連絡をいたしまして、たとえば道路の駐車禁止に協力をするとか、あるいはバス優先レーンの設置に道路管理者の面で協力をするというような施策をとらしておる次第でございます。
  198. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 やや消極的な施策のやり方ではないか。つまり、あらわれておる現象面についてバス専用レーンをつくったり何とかかんとかいうことは、現状のままでいかに問題点を解決するかということにとどまっておるわけですから、そうではなくて、いわば新たな交通規制を行わないための施策というものが当然考えられてこなければいけないわけではないか。交通規制を行っておるからその間に道路管理者としてはいろいろ協力する、ところが、協力するという範囲は現状のままの中で可能な協力をするということであって、むしろその規制そのものを解除できるような根本的な方策というものがやはり考えられていくべきではないか。
  199. 井上孝

    井上(孝)政府委員 御質問趣旨をやや取り違えて御答弁申し上げましたが、先ほども触れましたように、都市の総合交通規制につきまして警察庁の方でいろいろ調査をされました結果、百六十都市ばかりにつきましてバイパスの建設の必要の連絡を受けました。私どもとしては、その提案されましたバイパスあるいは環状道路の建設に重点を置いてこれからの整備を進めるという体制をとっております。
  200. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 生活道路とか交通安全上の問題は、特にやはり建設省道路局として私は相当神経を使っていただきたい。特に総需要抑制と称して全体的な公共投資が抑えつけられていく、道路投資を見ましても決してその枠外ではない、そう考えていきますと、私は大変重要な問題だと思う。交通安全というような問題は人命に関する問題だから、全体の中では福祉予算は増加をしておるという傾向を見るならば、むしろ福祉予算の一環だというふうに考えるべきではないか。同じような総需要抑制の中で、道路に対してはいろいろ批判があるから全体的に抑えていこうということであってはいけない。道路全体の予算がたとえば縮小されたとしても、そういう交通総合規制などを行われておるような道路については、あるいはバイパスの建設等については、むしろ従来よりも大幅に増加をしたような予算配分というものが当然考えられていってしかるべきではないか、こう考えるわけですよ。その辺はやはり区分をしておられますか。
  201. 井上孝

    井上(孝)政府委員 先生御承知のとおり、道路整備事業が、総需要抑制の政策のもと道路事業費予算はここ二年ばかり連続前年を下回ったという厳しい査定を受けております。昭和五十年度当初予算は前年の九五%というような事業費でございまして、非常に抑制を受けておる次第でございますが、先般申し上げましたように交通安全施設整備につきましては前年を上回る予算を計上する。それから市町村道等、国民の足元道路といいますか生活道路につきましては、全体減少の中でも十数%増加の予算を組むというようなことで、先生のいまの御指摘のような点に配慮しながら予算編成、事業の実施をやっておる次第でございます。
  202. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 時間が切迫しておりますから、急ぎます。  この新五カ年計画の策定に当たりましては、いわば今後のモータリゼーションの進展というものを考慮をされたと思いますけれども、資料によりますと昭和五十五年度に三千七百万台、年率にして六%の伸びだというふうに推定をされております。建設省としては五十五年度の保有台数は一体どのくらいに見込んでおられるのか、あるいは六十年度については一体どう考えておられるか、わかっておりましたらお答えを願いたい。
  203. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路整備の五カ年計画は御承知のように昭和四十八年に作成いたしまして五十二年までで、現在三年目を迎えておるわけでございますが、この五カ年計画策定の際、昭和四十八年当時でございますが、昭和五十五年の自動車保有台数を実は三千二百五十万台というふうに想定して作成したのでございます。ただし、いま話題に上っております来年以降の第二次交通安全施設整備五カ年計画、これは総理府からも先ほどお答えがございましたように昭和五十五年三千七百万台という想定計画を組み立てておる次第でございます。昭和六十年につきましては、昭和四十八年時点では実は三千七百万台という想定でございました。
  204. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実は過去に運輸省なり建設省なり、それぞれが保有台数推計ということをやったわけですけれども、往々にして食い違うわけですね。食い違いまして、各省庁がそれぞれの目標に向かってそれぞれの対策をお立てになっておる、こういうことが往々にしてあるわけです。今回の場合もそういうことがなきにしもあらずということでわざわざお聞きしたわけですけれども、そういうことすら実は過去は調整が図られていないという一つのあらわれとして出てきておったわけですよ。だから、これもひとつ総理府はよく頭に入れておいていただきたいということでございます。  それから、この新五カ年計画はいわば大府県地方県の安全施設の格差是正を大きなねらいとしておられるわけでありますけれども、いわゆる大府県地方県の格差というものは一体どの程度のものなのであるか。たとえば道路延長に対する安全施設投資額の割合といったような、具体的な数値でひとつ示していただきたいと思います。
  205. 勝田俊男

    勝田政府委員 一応七大府県とそれから事故死者の比率の高い最下位の七府県といいますか、それとの平均値で見ますと、舗装道路百キロメートル当たりの信号機の設置状況でございますが、七大府県が四十二・五、他の府県が十一・三基ということでございますので、四倍弱というくらいの比率の差になるかと思います。
  206. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 特に安全施設整備がおくれておるというふうに考えられる自治体は把握しておられますか。どの自治体でしょうか。
  207. 勝田俊男

    勝田政府委員 画然としてどこから悪いと言うのはなかなかむずかしいわけでございまして、結局平均投資額以下ということになりますと、七大府県の投資額が大きいものですから平均投資額以下になるのは半数以上になるのじゃなかろうかというふうに考えます。
  208. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この安全施設整備は、いわば地方自治体の投資というものが当然含まれてまいるわけでございますけれども、昨今のように地方自治体そのものの財政が非常に逼迫をしておるという状況から考えますと、ともすれば安全投資が抑えられてしまうのではないかという懸念が生ずるわけでございますが、そういった点に対してはどのように対処していかれるつもりなのか。
  209. 勝田俊男

    勝田政府委員 確かにことしの状況を見ましても地方財政が非常に厳しいという面で、県によりましては、われわれ地方財政計画上いろいろと考えて、この府県はこの程度くらいと考えたものに満ちていない県もあるようでございます。やはりこれは交通問題についてのそれぞれの認識というものが一つあると思いますが、やはり財源の問題というのは非常に大きな問題にもなっております。  われわれとしていままで措置しておりますのは特定事業、いわゆる補助事業でございまして、信号機等がそれに入るわけでございますが、これは半額国費補助でございます。その補助裏につきましては、特定の県の財源ということでございますが、これについては当然地方財政計画に計上されているわけでございますけれども、起債についてできるだけ配慮をしていくということで、県の要望によりまして七〇%程度まで、これは自治省とも相談をいたしまして配意をしているわけでございます。それ以外の県単事業につきましては、これは地方財政計画に入っているということでわれわれの方で財源措置をするということは非常にむずかしいわけでございます。自治省等とも折衝し、また知事さん方に交通問題についての認識をさらに高めていただくというようなことで努力をしていきたいと考えております。
  210. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それから、いわば安全設備投資額の効果についてちょっとお尋ねしたいのですが、安全設備投資額とその交通事故死者減少ということについては、私はこれは相関関係があるのではないかというふうに思いますが、それを実際どのようにとらえておられるのかお聞かせ願いたいと思う。
  211. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通事故減少原因は非常にいろいろとあると思いますので、安全施設だけの効果を引き出して出すということはなかなかむずかしいのじゃないかと思います。したがって、一応の推計といいますか参考の材料ということになるわけでございますが、七大府県を平均しますと、十万人当たりの死者が八人、先ほど申し上げた七府県につきましては十万人当たりの死者が十七人ということで、かなり死者率に差がある。それはやはり安全施設の差というものが影響している面も見受けられるのではないかというふうに考えます。
  212. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いわば投資額が非常に少ない地方自治団体事故者が非常に増加をしておる。具体的には茨城だとか栃木だとか滋賀というような地方自治団体を申し上げましたけれども、大変投資額は少ない、その割りに非常に高い事故率がある、こういうような現象があらわれておりますね。東京だとか大阪あるいは神奈川なんというところは相当高い投資率ですから、それに比較して確かに事故死者数がぐっと減少してきておる、こういうことでございまして、これは相関関係を見ていきますと明らかにそういう点がうかがわれるわけでございますので、そういう面では、いかに交通安全施設整備ということが大切なものであるかということが理解できるのではないか、私はこう思うものですから、わざわざ実はお尋ねをしたわけでございます。  そこで、昭和五十六年度の死者は先ほど申しましたように八千四百人以下に抑え、地域格差を解消しよう、こういう悲願を達成するために、当面やはり五カ年計画というものが必要だ、こういうことでございますが、私自身も、確かに短期的な五カ年計画というものも必要ではあろうけれども、さらに先ほど申し上げましたような単なる短期五カ年計画のみではなくて、もっと長期的な視野で長期目標を立てて施策を講じていく必要があるのではないか、またそうした時期に来ておるのだ、こう判断をいたしておるわけでございます。こういう点についてはどうお考えなのでございましょうか。  警察庁あるいは交通安全対策特別室あるいは建設省、それぞれひとつお答えを願いたいと思います。
  213. 竹岡勝美

    竹岡政府委員 おっしゃるとおり、現在第二次の五カ年計画事故防止目標を立てております。それ以上昭和六十年まで見越しての長期計画はいま鋭意詰めてみておりますが、施設計画としては、従来の法律どおりで五カ年計画の延長で進めてまいりたいと思います。それを超えまして、わが国の自動車台数の見通しなりあるいは今後の交通事故減少効果、そういうものは長期的にもう少し詰めてみたいと思います。
  214. 井上孝

    井上(孝)政府委員 広い意味では道路整備というものがすべて交通安全につながるものだと思います。したがいまして、道路整備計画につきましては超長期の昭和六十年目標というものを前提として五ヵ年計画を作成をいたしております。ただ、交通安全施設整備道路関係分につきましては、これは全く既存道路に対する応急的な歩道の設置とか歩道橋の設置というものでございますので、むしろ私どもとしては短い期間の五カ年ぐらいの目標で作成するのが至当ではないか。全体の大きな道路整備計画は超長期の目標で従来からも作成をいたしております。
  215. 勝田俊男

    勝田政府委員 当面はこの五カ年計画の達成に全力を尽くしてまいりたいと思います。また今後の見通しにつきましても、いろいろ困難な見通しの面もございますし、現実に働いている第一線警察官の心情というものを考えますと、やはり短期な目標で努力をするということが適当じゃなかろうかというふうに考えます。
  216. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いわば超長期にわたる交通安全対策目標を樹立する必要があるというふうに私は考えます。そういう場合には、特に冒頭に申し上げましたような発想の転換をしていただいて、従来の交通安全対策の延長であってはいけない、こういうことをひとつ特に強調をしておきますので、特に総理府の十分な御尽力をひとつお願いしたいと思います。  以上で終わります。      ————◇—————
  217. 下平正一

    下平委員長 ただいま野中英二君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の五党共同提出の交通安全対策に関する件について委員会において決議をせられたいとの動議が提出されております。  本動議について議事を進めます。  この際、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野中英二君。
  218. 野中英二

    ○野中委員 ただいま議題となりました交通安全対策に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党を代表いたしまして、私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     交通安全対策に関する件(案)   交通安全施設整備中心とする各種の交通安全対策の総合的な成果として、近年、交通事故は、減少の傾向にあるが、昭和四十九年においても交通事故による死者は一万一千人余、負傷者は六十五万人余に達しており、憂慮すべき事態は、依然として解消されておらず、今後、交通事故の一層の減少を図り、その傾向を定着させることは現下の国民的緊急課題である。   よって政府は、交通安全対策の万全を期すため、特に交通安全施設整備事業の拡大を図るとともに、道路交通管理体制の強化・拡充を積極的に推進すべきである。   右決議する。  次に、その趣旨について申し上げます。  戦後、モータリゼーションの進展に伴って増加の一途をたどってきた交通事故は、国民各般の交通安全意識の向上と、交通安全基本計画に基づき総合的に実施された施策の成果により、昭和四十六年以降今日に至るまで大幅な減少を示しているところであります。  しかしながら、昭和四十九年においても、一万一千四百人余のとうとい人命が約六十五万人の負傷者交通事故の犠牲となっているのであり、依然として当面する政治上、社会上の重要かつ緊急な課題なのであります。  交通事故の抜本的な減少を図るためには、交通安全施設等の整備交通規制交通指導取り締まり、道路管理交通安全教育等各種施策が一体的かつ総合的に実施されることが必要であります。  特に交通安全施設等の整備については、交通事故最大の被害者である歩行者の保護のため、歩道、自転車道の整備、また信号機交通管制センター等の整備事業を積極的に推進するため、その事業規模の大幅な拡大を確保することが必要であります。  さらに、道路は、適切な管理によって初めてその効用を発揮するものであって、整備された道路においてはもちろん、未整備道路においても、道路状況に対応した適切な管理はきわめて重要であります。また、近時、道路交通管理に関する国民の要請は、ますます高まってきているのでありますが、現状は、なお不十分であり、道路交通の安全と円滑を確保するため、道路交通管理体制の整備拡充を積極的に推進する必要があります。  よって、政府は、これらの実情を十分に認識し、何物にも優先されるべき人命の尊重を期して、常に交通の安全が確保されるよう努めるべきであり、本決議案の措置について強力に推進するよう特段の努力をすべきであるというのが、その趣旨であります。  委員各位の御賛同をお願いいたす次第であります。(拍手)
  219. 下平正一

    下平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  220. 下平正一

    下平委員長 お諮りいたします。  野中英二君外四名提出の動議のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 下平正一

    下平委員長 御異議なしと認めます。よって、本動議のごとく決議することに決しました。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。仮谷建設大臣。
  222. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 交通安全対策の推進は、道路行政においてきわめて重要な問題であります。交通安全施設などの整備及び道路交通管理体制の強化につきましては、従来から種々施策を講じてきたところでありますが、ただいま御決議いただきました交通安全対策に関する件につきましては、きわめて緊急な課題であると考えますので、その趣旨を十分に尊重いたしまして、誠意をもって実施に当たる所存であります。
  223. 下平正一

    下平委員長 次に、福田国務大臣。
  224. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいまは道路交通の諸問題について慎重な御審議をいただき、交通安全対策に関する決議がなされました。決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、今後の交通安全対策の万全を期する所存であります。
  225. 下平正一

    下平委員長 次に、植木総理府総務長官。
  226. 植木光教

    ○植木国務大臣 ただいまの御決議につきましては、関係各省庁全般に関することでございますので、御趣旨を体して政府部内の連絡調整を図り、その実現に努力をしてまいりたいと存じます。
  227. 下平正一

    下平委員長 なお、議長に対する報告及び関係方面に対する参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 下平正一

    下平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明十三日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十二分散会