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1975-12-17 第76回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十七日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 内海 英男君 理事 梶山 静六君    理事 唐沢俊二郎君 理事 服部 安司君    理事 村田敬次郎君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    大竹 太郎君       大村 襄治君    片岡 清一君       三枝 三郎君    塩谷 一夫君       中尾  宏君    野中 英二君       林  義郎君    松野 幸泰君       渡辺 栄一君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       柴田 睦夫君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 河野 正三君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君         建設省住宅局参         事官      救仁郷 斉君  委員外出席者         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     篠島 義明君         中小企業庁計画         部下請企業課長 飛永 善造君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         住宅金融公庫副         総裁      小熊 孝次君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     沢田 光英君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十七日  辞任         補欠選任   田村 良平君     片岡 清一君   浜田 幸一君     大竹 太郎君 同日  辞任         補欠選任   大竹 太郎君     浜田 幸一君   片岡 清一君     田村 良平君     ――――――――――――― 十二月十五日  琵琶湖総合開発に基づく下水道事業促進に関す  る請願瀬崎博義紹介)(第四〇五〇号)  国道号京滋バイパス石山地区通過計画の再検  討に関する請願外一件(瀬崎博義紹介)(第四  〇五一号)  多摩川護岸工事に関する請願小山省二君紹  介)(第四二八四号)  公団住宅家賃政策等に関する請願浦井洋君  紹介)(第四二八五号)  国道四七号川渡鳴子間バイパス工事早期実  現に関する請願庄司幸助紹介)(第四二八六  号) 同月十六日  公団住宅家賃政策等に関する請願柴田睦夫  君紹介)(第四五二七号)  同(瀬崎博義紹介)(第四五二八号)  同(渡辺武三紹介)(第四五二九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十五日  東北縦貫自動車道八戸線早期着工等に関する  陣情書(第三四〇号)  公団住宅家賃値上げ反対等に関する陳情書  (第三四一号)  住宅建設促進に関する陳情書  (第三四二号)  公営住宅処分制度の緩和に関する陳情書  (第三四三号)  下水道事業制度改善に関する陳情書  (第三四四号)  都市公園事業に対する国庫補助率引上げに関す  る陳情書  (第三四五号)  不況打開のための公共事業推進等に関する陳情  書  (第三四六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件  請願   一 琵琶湖総合開発に基づく下水道事業促進     に関する請願山下元利紹介)(第一一     号)   二 尾瀬分水広域的運用に関する請願(赤     城宗徳紹介)(第七一号)   三 同(千葉三郎紹介)(第七二号)   四 同(濱野清吾紹介)(第一二七号)   五 同(鴨田宗一紹介)(第一九八号)   六 同(長谷川四郎紹介)(第二六二号)   七 群馬県東村の過疎地域指定に関する請願     (林百郎君紹介)(第六〇五号)   八 尾瀬分水広域的運用に関する請願(小     平久雄紹介)(第六九七号))   九 都市計画法の一部改正に関する請願(新     井彬之君紹介)(第九五五号)  一〇 同(河本敏夫紹介)(第一〇九四号)  一一 同(戸井田三郎紹介)(第一〇九五号)  一二 同(松本十郎紹介)(第一〇九六号)  一三 愛知県音羽町に東名高速道路のインター     チェンジ設置に関する請願村田敬次郎     君紹介)(第一〇九七号)  一四 東北縦貫自動車道建設促進に関する請     願(鈴木善幸紹介)(第一一六六号)  一五 国道一七号新大宮バイパスに接する日本     住宅公団田島団地防音構築物設置に関     する請願平田藤吉紹介)(第一二〇五     号)  一六 北九州市下上津役地区土地区画整理事     業撤回に関する請願田代文久紹介)     (第一三五七号)  一七 硫黄島疎開島民の帰島促進に関する請願     (宇都宮徳馬君外九名紹介)(第一六七七     号)  一八 藤沢バイパス施設改善等に関する請願     (平林剛紹介)(第一七五九号)  一九 大場川水門の早期着工及び排水機設置に     関する請願小川新一郎紹介)(第一八     三四号)  二〇 同(竹入義勝君紹介)(第一八三五号)  二一 同(松本忠助紹介)(第一八三六号)  二二 同(矢野絢也君紹介)(第一八三七号)  二三 国道一七号新大宮バイパスに接する日本     住宅公団田島団地防音構築物設置に関     する請願小川新一郎紹介)(第二二四     〇号)  二四 公共下水道事業に係る国庫補助対象範囲     の拡大等に関する請願山中貞則紹介)     (第二八九三号)  二五 平作川の改修事業促進に関する請願(中     路雅弘紹介)(第三二七三号)  二六 琵琶湖総合開発に基づく下水道事業促進     に関する請願瀬崎博義紹介)(第四〇     五〇号)  二七 国道号京滋バイパス石山地区通過計画     の再検討に関する請願外一件(瀬崎博義     君紹介)(第四〇五一号)  二八 多摩川護岸工事に関する請願小山省     二君紹介)(第四二八四号)  二九 公団住宅家賃政策等に関する請願(浦     井洋紹介)(第四二八五号)  三〇 国道四七号川渡鳴子間バイパス工事の     早期実現に関する請願庄司幸助紹介)     (第四二八六号)  三一 公団住宅家賃政策等に関する請願(柴     田睦夫紹介)(第四五二七号)  三二 同(瀬崎博義紹介)(第四五二八号)  三三 同(渡辺武三紹介)(第四五二九号)      ――――◇―――――
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、日本住宅公団総裁南部哲也君及び理事沢田光英君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ――――◇―――――
  4. 天野光晴

    天野委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北側義一君。
  5. 北側義一

    北側委員 建設省住宅局がことしの八月に出しました「第三期住宅建設五カ年計画(案)の構想」これについて伺ってまいりたい、こう思っております。  昭和四十八年十二月の住宅需要実態調査によりますと、住宅に困っていると感じている世帯は全世帯の三五%、一千三万世帯に及んでおる、このように言われておるわけです。これらに対処するためにこの第三期住宅建設五カ年計画(案)の構想が練られた、このように私は思うのですが、この第三期住宅建設五カ年計画の概要についてまず説明願いたいと思います。
  6. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生おっしゃいましたように、最近の住宅事情では住宅困窮世帯が全世帯の三五・一%、約一千万世帯と言われております。それから、同時に住宅統計調査の結果によりますと、戸数の上では小さい物まで含めれば何とかなっているというような状況でございます。しかしながら、質の、いわゆるストックの点につきましては非常に立ちおくれているということでございまして、第三期五カ年計画の案の構想という段階では、特に住宅の質の向上重点を置くということにいたしております。  特に住宅宅地審議会答申の中で、今回の第三期五カ年計画構想をつくります際の基本となるべき事項が二つばかり示されております。  一つは、昭和六十年におきまして国民の全世帯が確保すべき最低居住水準目標ということでございます。これはやはり世帯人員別室構成考えましていろいろな御提案がございますが、一般的な夫婦二人子供二人という標準世帯の場合、三DK住居専用面積五十平方メートル、共用部分等を含めますと五十九平方メートルというものが最低の基準ということになっております。  それからもう一つ平均的居住水準目標というものを示されております。これは昭和六十年におきまして「平均的な世帯」という表現を使っておられますが、国民世帯の中の五〇%が確保するような目標数値ということでございます。それもやはり夫婦二人子供二人という普通世帯考えますと、三LDK住居専用面積が八十六平方メートル、それから住宅面積共用部分を含めますと百平方メートルというふうな水準が示されております。それが一点。  それからもう一点は、それらのものを達成するために、たとえば賃貸住宅におきましては国民の五分位階層の第一分位の普通世帯家賃負担率を一五%以下とすべきだ、それから持ち家対策を進めるにあたっては第三分位の二五%以下にすべきであるというような点を提案をいただいております。  最近の住宅統計調査等の結果をそれに当てはめて検討いたしまして、案の構想をつくった次第でございます。したがいまして、昭和六十年を目途にすべての国民最低居住水準を保障したい、そのためには五十五年度までには水準以下居住のおおむね二分の一を解消したい、それからさらに昭和六十年を目途に先ほど申し上げました平均的な居住水準をできるだけ確保できるように、公的誘導、助成を図るということにいたしております。  その水準以下居住解消のほかに普通世帯増加等もございます。それらのものを全部合わせますと、この五年間に約八百六十万戸の住宅建設促進いたしたいというのが案の構想でございます。  なお、この案の構想につきましては、さらに他の長期計画との整合等も図り、必要な手続等を経まして、来春三月ごろには閣議決定をいただきたいというようなことで検討を進めておるわけでございます。
  7. 北側義一

    北側委員 いま言われた質の向上、これを重点にやっておられるようにいまのお話があったわけです。  そこでこの構想、案を見ますと、いわゆる公的資金住宅、これの建設の量は、公営住宅改良を含めて五十六万戸、住宅金融公庫融資により建設する住宅二百二十万戸、日本住宅公団建設する住宅三十八万戸、その他の住宅七十万戸、合計三百八十四万戸、こう書いてあるわけですね。  そこで、第二期住宅建設五カ年計画の当初計画とこれを比較してみますと、非常に減っておるわけです。たとえば、第二期住宅建設五カ年計画の当初計画によりますと、公営住宅が六十七万八千戸。ですから、公営住宅で約十一万八千戸減っております。住宅金融公庫融資により建設する住宅が第二期の当初計画で百三十七万戸、これは二百二十万戸ですから八十三万戸ふえております。日本住宅公団建設する住宅は第三期五カ年計画が三十八万戸で第二期の当初計画が四十六万戸ですから、これは八万戸減っておるわけです。このように見ますと、いわゆる低所得階層が入居しやすい公営住宅なり公団住宅建設が非常に減っております。このように出てきておるわけです。第二期と比べますと合計で十九万八千戸減っておりますね。  ところが、昭和四十八年総理府の住宅統計調査によりますと、京浜大都市圏住宅七百万戸のうち、木賃アパートが二二・五%を占め、さらに中心部より十キロ以内ではその比率が三五・六%になる、このように言っておるわけです。しかも、これらの木賃アパート平均面積持ち家の八十一平米に対して平均二十三平米と狭く、なおそのうち三八%はあらゆる設備共同使用となっておる、このように報告されておるわけです。  そうしますと、いま言われました第三期住宅建設五カ年計画構想のうち、五十五年までに二分の一を量的にいわゆる解消していこう、こういうお考えであり、質的向上を図っていこう、こう考える場合に、こういう大都市圏に住むところの低所得階層、すなわち東京で言いますと約二百七十三万世帯、このように住宅統計調査では言われておるわけです。このうち七〇%が年収二百万以下、そうしますと、こういう公的資金住宅のうちでも、特に公営住宅公団住宅建設が一番大事ではなかろうかと思うのです。そうしなければ事実上のいわゆる質の改良というのですか、質をよくするというのは不可能ではないか、このように私は考えておるのですが、その点どうお考えでしょうか。
  8. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、第三期の案の構想では、第二期の当初計画戸数よりも公営とか公団は減っております。第二期の実績を見ますと、公営住宅六十七万八千戸の計画でございましたが、五十一万二千戸に終わる見通しでございます。それから公団住宅も四十六万戸の計画でございましたが、二十九万二千戸に終わるというまことに申しわけない事態になっております。しかしながら、今回の第三期五カ年計画を策定いたしますに当たりまして、先ほど申し上げました新しい住宅審議会答申最低居住水準、これに当てはめてみますと、昭和四十八年の統計調査の結果等と照らし合わせますと、最低水準以下の住宅が九百八十万世帯あるということになります。それから望ましき水準としての平均居住水準に当てはめてみますと、それに達しない世帯が二千百八万世帯となっております。それで、そのうちの最低居住水準の九百八十万世帯の半分をやるというふうに申し上げたわけでございますが、もう一つ住宅宅地審議会答申の中では、従来のような建設計画に終わるのではなくて、住宅ストックの活用も考え供給計画にすべきだ、本当に困っている人に住宅が供給されるようなことを検討すべきだというような御提案もございます。したがいまして、過去のストックの中におきます住みかえ、増改築等も加味いたしまして、それで昭和五十五年までに最低水準以下の二分の一をなくし、それから六十年までに半分を平均居住水準まで持っていくということで積み上げてみますと、先ほど申し上げたような数字になるわけでございます。
  9. 北側義一

    北側委員 私、そこらがどうも納得いかぬわけです。というのは、たとえば最低居住水準世帯、それ以下の世帯が九百八十万戸あると言うのでしょう。こういう世帯というのは、先ほどの住宅統計調査で言っておりますとおり、大体年収二百万以下の人が多いわけですよ。そういう人をいわゆる答申のあったような状態に持っていくためには、やはり公的資金のうちでも特に公営住宅公団住宅賃貸以外にないわけですよ。だから、数字の上から見てみても、あの構想に書いてあることは私は不可能だと思うのです。私、不可能なことは書いてはいけないと思うのですよ。それを私は言っておるわけです。間違いなくそのあなたの構想のとおりになっていく自信があるのですか。
  10. 山岡一男

    山岡政府委員 現在考えておりますのは、水準以下住宅居住解消では三百二十四万戸という数字を挙げております。それは、特に狭小住宅設備共用住宅等につきましては、住みかえによって改善されるもの、それから増改築によって改善されるもの等見込みまして、残りを五百四十六万戸と推定いたしております。それの二分の一を五十五年までに何とかして解消したいということで積み上げた数字でございます。  一応地方公共団体等とも協議をいたしておりますけれども、あれやこれやを考えて、私は十分お願いしているような趣旨で住宅難解消に寄与できるというふうにかたく考えております。
  11. 北側義一

    北側委員 たとえば第二期五カ年計画をつくったその当初においても、やはり同じようなことを言っておられるのですね。そうして公的資金住宅のうちの公営住宅公団住宅、これについてはやはり相当数建設戸数を見込んでそうおっしゃっておられた。しかし事実の問題として、あなたが先ほど言われたとおり、公営住宅にしても公団住宅にしても大幅に落ち込んでおるのです。理由はわかりますよ。理由がわからぬとは言いませんよ。しかしこの構想も、このような計画でいくならば絶対私はだめだと思うのですよ。  だから、やはりそういういままでの第二期五カ年計画でどういう隘路があったのか、その隘路を直して、そうしていわゆる住宅建設をやっていくような方向へ持っていかなければ、いつまでたっても同じだ。隘路をそのままにしておいて、そして幾ら計画を立てたって、また同じようなケースが起こってくるのです。やる以上はやはり、いままではどういう点に隘路があったのか、それに従ってそれを直していくような、そうして次の建設計画にそれをプラスしていくような方向へ持っていっていただきたいわけです。でなければ、幾らあなたがそういう構想で二分の一、たとえば三百二十四万戸を対象にしてまずやる、量、質的な向上をと言ったって、そんなことは結局通らないですよ。建設委員会住宅問題をやり出すと、いつでもその問題で行き詰まるのです。幾ら言っても仕方がないので私は引っ込むのですがね。しかし今度は第三期の初めなんですから、がっちりしたものをやってもらいたいと思うのです。そこらはどうなのだ。
  12. 山岡一男

    山岡政府委員 第二期住宅建設五カ年計画達成が九〇%を切るに至ったのには、二つの大きな原因がございます。一つは、大都市圏におきます公的住宅が建たなかったということでございます。先ほど来お話が出ておりますように、特に東京大阪等中心といたしまして公営住宅計画どおりできなかった。それから大都市圏で主としてつくっております公団住宅も、やはり地元団地拒否等のために思うようにできなかったという点がございます。もう一点は、期待しております民間住居におきましても、やはり石油ショック以来のいろいろなことがございまして予想どおりできなかった。この二点が一番大きな問題でございます。  特に公的住宅の立ちおくれにつきましては、大都市圏におきまして基本的に人口をふやしたくないという知事さん方のお話もございますし、水の問題、足の問題等もございますが、特に地元折衝で難航いたしますのは公共公益施設地元負担の問題でございます。それらの点につきまして、従来もいろんな手だてを講じてまいりましたけれども、今後も十分そういうようなものにつきましての新しい制度等も加味しまして前向きに検討してまいりたいと思っております。  それからなお、第三期住宅建設五カ年計画を策定いたします際には、昭和四十九年から五十五年までの全体建設戸数の推計を一応やっております。四十九年から五十五年までに約千百六十二万戸の家が必要だろうという推定をいたしまして、そのうちから、四十九年、五十年の当初計画より若干ダウンしておりますけれども、その実績を踏まえまして、四十九年、五十年分を差っ引いて八百六十万というのを出しておるわけでございまして、やはり第二期とつなげて考え計画を策定したというつもりでおります。
  13. 北側義一

    北側委員 ではこうしてくださいよ。この構想には、いわゆる「住宅宅地審議会答申による最低居住水準目標を、昭和六十年を目途に全ての国民に保障するものとし、昭和五十五年までに水準以下居住のおおむね二分の一の解消を図る。」こう書いてあるわけですよね。これは書いてあるのは間違いないでしょう。
  14. 山岡一男

    山岡政府委員 はい。
  15. 北側義一

    北側委員 これは数字的にどうなのか、具体的に一遍私に資料をください。
  16. 山岡一男

    山岡政府委員 細目の資料をお届けいたします。
  17. 北側義一

    北側委員 私は、結局この第三期のこういういわゆる計画では、とてもじゃないがこれはできる道理がないと思うのですよ。これは私の考え、見方なんです。だから、この住宅建設計画が、第二期住宅建設五カ年計画の失敗というもの、それをそのまま受け継いで、またこれをやっていくんですね。そういうように受け取れるのです。そこに何らかの――何にもないのですね。私はそこらが非常におかしいんじゃないかと思うのですよ。建設大臣、あなたこれはどう思われますか。
  18. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 第二期の五カ年計画計画率達成できなかった。しかも公団は六三%程度公営は七一%程度に終わりました。したがって第三期の計画は、そういう過去の現実の姿を直視して、問題がどこにあるかを洗い直して、第三期は少なくとも実現可能なものを立てるべきだ。これは答申もありましたものですから、それに基づいていろいろ検討をいたしておるわけであります。  率直に申し上げまして、私も大臣就任一カ年間いろいろな行政の面をやってまいりましたが、一番問題はやはり住宅問題でございます。理論に実態が伴わないところに大きな問題点がありまして、いまだに苦労をいたしております。私も確実に自信を持って、じゃこの八百六十万戸を必ず一〇〇%やりますと断言をなかなかするほどのまだ自信を持っておりません。ただ過去の実態を洗い直すために、一体なぜそれだけ達成ができなかったかということを考えてみると、いま局長からもお話がありましたように、公営にしても公団にしても、大都市中心にした建設計画が十分に行われなかったというのが一番大きな原因であります。     〔委員長退席内海(英)委員長代理着席大都市中心にしてなぜそれが実現できなかったかということを検討いたしてみますと、これも局長からるる御答弁を申し上げたとおりでありますが、まず公営住宅の問題が御承知のとおりであります。私は、これがすべて自治体に責任があるとは申しておりませんけれども、東京大阪のような大都市中心にして公営住宅が全く伸び悩んでおったということが、目標達成できなかった大きな原因であります。しからばそれはいかなる理由によるものかということをわれわれの立場から考えてみると、やはり物価の値上がり、用地の問題、そういうことが大きな原因でありましょう。あるいは居住者との問題にも管理制度そのものが不徹底であったということも事実であります。そういう面において国ができることは、やはり補助単価現実に応じて引き上げていくということ、それから裏負担についてはあくまでも、たとえば全額起債等をもって地方自治体に財政上の苦労を余りかけないようにすること、これが私どもの与えられた仕事であります。そういう面においてこれから実行していくために、居住者の協力も得、自治体の協力も得ながら、これはいやでもおうでも実行しなければいかぬ数字であります。最小限度の数字をわれわれは出しておるわけであって、しかもその数字は少なくとも居住水準を引き上げるという形においてやらなければならないところに戸数が若干減ってきた。これも意味があると思うのでありますから、そういう意味において、これは地方自治体と協力して全力を挙げて実行するということを考えておるわけであります。  もう一つ公団の問題も、これもまた大都市中心にして非常な隘路がありますことは、御承知のように関連公共公益施設等の問題で地方自治体に大きな負担をかける、団地お断わりという予想以外のものが出てきたことであります。団地お断わりということをなくしていくためには、じゃどうするかという問題が上げられるわけでありまして、そういたしますと、公共関連施設についてわれわれは積極的な姿勢を考えていかなければならぬ。それは公団の仕事だけではなくして、場合によれば民間のデベロッパーに対してもその程度のものを考えなければならぬと思っております。そうして、いわゆる宅地を円滑に大量に供給するということがこれまた大きな問題であることは申し上げるまでもありません。そういう意味において、不備ではありますけれども宅地開発公団もできましたし、あるいは大都市の中の宅地供給に関する特別措置法というものも皆さん方のお力添えを得て法律も成立をいたしましたから、こういうものをてことしながら、全力を挙げて来年度は宅地供給の面においても努力をしなければならぬ。両々相まって、何とかしてこの目的だけは達成をいたしたいというのがわれわれの最大の努力目標であります。  私どもは、冒頭にも申し上げましたように、一番むずかしいもろもろの問題の生じておりますのは住宅問題でありますから、これに対してさらに全力を挙げて計画達成のために努めてまいらなければならぬ。これはわれわれのやらなければならぬ大きな政治課題だと思って努力をいたしておるわけであります。その意味においては、ぜひひとつ野党の皆さん方にも一層の御協力をいただきたいことをお願いをいたしたいわけであります。
  19. 北側義一

    北側委員 これは後から数字的に資料を出すということですから、私はもう一遍詰めてみたいと思うのです。これをやりとりしておっても時間がたつだけですから。  特に今度住宅金融公庫融資による住宅、これは非常にふえておるわけです。第二期住宅建設五カ年計画より八十三万戸ふえておるわけです。二百二十万戸になっておるのですね。しかしこの住宅金融公庫融資を借りて家を建てられる人というのは私は非常に恵まれた人だと思うのですよ。まずこの貸し付けを受けられる資格ですね、これは土地がなかったら全然だめです。土地を持っておるか、借地があるかですね。ところがいま、御存じのとおり地価というのは非常に高いものですから、たとえば土地を借りようとしますと、大体その借りる土地の価額の約二分の一弱の権利金を払わなければ貸してもらえないわけですよ。しかも現在住宅金融公庫融資だけでは家が建たないのです。銀行ローンを借りるのです。住宅金融公庫の支払いと銀行ローンの支払いとそこへ地代、こうなってくると相当大きな金額になってくるのです。普通の一般のサラリーマンじゃこれは払えません。そういう点からしますと、同じ公的資金住宅でも、私の言うのは、大臣の言われるのはわかるのですよ、大都会で、事実、東京大阪で一番落ち込んでいるのです、よくわかります、落ち込んでいることはわかっても、それを何とか解決するようにしなければ、これはやはり民間の木賃住宅、アパート、そういうところへ住んでいる、非常に高い家賃で非常に居住水準の低いところは救えないわけですよ。そうすると、この第三期住宅建設五カ年計画構想で言うところの居住の質を向上していくというようなことは事実上できないわけです。そういう点から私いまずっと申し上げてきたわけです。そこらをまず考えていただきたいと思うのです。  あと具体的にずっと順番に並べて聞きますから、答えてください。  まずこの住宅問題で、ずっといろいろ私新聞等で見ておるのですが、たとえば一に、住宅金融公庫融資について、中古住宅融資が報道されておるわけですが、その制度の導入はどうなっておるのか、できるのかできないのか。また個人住宅の貸し付け制度、これもその金利について二本立ての制度を考えておられるようであるが、これについてはどうなのか。  二番目には、公営住宅の家賃も三DKになると、御存じのとおり地価、建設資材等の高騰で相当高くなっております。特に質の向上を目指す場合にはどうしても家賃が、これは公営住宅といえども三DKになりますと非常に高いものになってくるわけです。そこで、傾斜家賃制度の導入を考えておるようなことも報導されておりますが、これはどうなのか。  さらに、三大都市圏において低所得者を対象に、民間アパートで高い家賃を払っている人に公営住宅家賃を上回る分については国と地方自治体で家賃補助を行うというような案が言われておるのですが、この現実の具体性はあるのかないのか。  また、公営住宅の入居について、これは私はいい方向に向かっておるんじゃないかと思うのです、いわゆる選考方法がいままでの抽せん方式から住宅の困窮度を加味されたいわゆる登録制度、また戸別訪問で収入、家賃、家族数、住宅の不良度合い、勤務先の距離など調査して、点数として住宅困窮度を表にしてそして選考するポイント制度、大阪あたりはこれをやっておるわけです。こういうことを各府県でやっておるんですが、これについて建設省はどのようにお考えなのか。  大体これだけ先に答えていただきたいと思うんです。
  20. 山岡一男

    山岡政府委員 公庫融資に当たりまして、先ほど申し上げましたように、今後はストックの流通も非常に大事だということから、既存住宅の流通のための中古融資というのを強く要求いたしております。これにつきましてただいま予算の折衝中でございます。まあある人の意見によりますと、やはり不況時にはそういうふうな景気刺激にならないようなものは後回しにしたらどうかという御提案もございます。しかし、最近の情勢を見まして、供給ということの重要さにつきましてはぜひとも守っていかなきゃならぬことであると考えておりますので、これはぜひとも実現させたいと考えております。  それから、公庫の個人住宅融資につきましては、来年度は確かに二本立てで要求いたしております。  一つは五分五厘口で、従来の政策金融の線を守りまして、これはまだ厳密にどういうふうな選別をするかという件については鋭意検討中でございますけれども、五分五厘口というのがございまして、それについては、やはりできたら選考といいますか、年じゅういつでもというふうなつもりで検討したい。  それから、やはり公庫融資を伸ばします際に、いままでだんだん累増いたします利子補給金の一般会計の負担は相当なものでございます。今後もますます累増することが予想されております。なお、公庫住宅を一件融資いたしますと、これはきわめて概算でございますけれども、十八年間たとえば木造で現在の水準でお貸しをいたしまして利子補給を行っていくというのを考えてみますと、ちょうど十八年間にその公庫融資に当たった人に対しまして約百万円の国民の皆さんの税金を投入するということに相なろうかと思います。ほかの、たとえば公団等におきましても、傾斜家賃というようなものを導入してまいっておりまして、所得が上がるにつれてやはり利子補給金が減るようなことを考えてまいっております。したがいまして、そういうふうな財投金利に近い線で、できるだけ利子補給金が少なくても数をふやすということも非常に必要かと思っておりまして、二本立ての要求をしておるのが実情でございます。  それから、公営の三DK等で、来年はほとんど全部三DKでやろうというつもりでおりますが、そのためには確かに家賃が高くなる向きがございます。したがいまして、それに対しましては、いま先生御提案のとおり傾斜家賃を、公社、公団にならいまして公営にも政策家賃として導入をしてもらう、その際に、地方公共団体のみではなくて国もその半分を持とうという予算要求をいたしております。  それからさらに、民間の優良なものの中で公営住宅的に運用できるようなものにつきましては、これは東京都等でも現在検討しておるわけでございますけれども、そういう点、認定されました住宅には入居の管理を公的が引き受けるということを条件に、やはり公営住宅並みの傾斜というようなことで、当初は公営住宅入居階層を受け入れてもらうという措置を講ずるとともに、その間における経営費を地方公共団体と両方で補助していこう、これも予算要求をいたしております。  いずれも今後の予算要求折衝の段階で決まるわけでございますが、われわれといたしましては十分に力を尽くしたいと考えております。  それから入居の問題でございますが、登録制度の普及につきましてはわれわれもぜひともやっていただきたいということで、各管理担当者の会議があるごとに、いろいろな建築担当の会議があるごとに、これについては強調してまいっております。幸い東京都でも、そのポイント制を加味しました登録制度の導入の検討に踏み切っておりまして、今後もますますそういうものをふやしてまいりたい。将来は、でき得べくんば抽せんは一切廃止しまして、登録制度が全部に普及するようなことを前向きに検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
  21. 北側義一

    北側委員 それから、この第三期住宅建設五カ年計画の中で、特に持ち家建設、これが五百十六万戸、こう見ておられるのですが、これについて年間のいままでの建設戸数等見ますと、どうやらこうやらいけるのじゃないか、私こう見ておるわけですが、しかし実際の問題として、この民間自力に対するいわゆる金融上、税制上の何らかの措置がなければいけないんじゃないか、こう思うのですね。そこらはどうお考えですか。
  22. 山岡一男

    山岡政府委員 民間住宅につきましては先生おっしゃいますとおり、従来一部の減税等によって応援しておりました。わずかでございますけれども民間デベロッパー融資というのを最近始めております。そういうようなものについての額の増額ということに当然努めたい。  それからもう一点は、先ほど大臣からもお話ございましたけれども、民間の住宅建設につきましても、やはり一番困っておりますのは関連公共公益施設等の整備の問題でございます。そういう面につきましては金融公庫等からの融資の道を開きたい。また単独ででもそういう関連公共施設について民間にも貸せるようにしたいというようなことを念頭に置きまして、施策を進めてまいるつもりでございます。
  23. 北側義一

    北側委員 じゃ国土庁長官、ちょっとお伺いしたいのです。特にこういう第三期住宅建設五カ年計画を執行するに当たっても、要するに土地問題、非常に宅地供給というのは重要な問題になってくるわけです。この間三全総の作成に当たっての基本的な考え方の概要、これを発表なさっておるわけですが、それによりますと、今日までのいわゆる前にありました新全総の工業開発優先から、今回の三全総では人間生活優先に重点が置かれる、このように書いてあるわけです。これはまことに結構だと思うのです。そして昭和六十年の人口一億二千四百万、この人口が三大都市圏で五千五百万、地方圏で六千九百万、このように予想なさっておられるわけです。  そこで、いま申し上げましたとおり、第三期住宅建設五カ年計画住宅問題をいまずっと論議しておったわけですが、この三大都市圏住宅問題は、あらゆる面から非常に先ほど来論議されておりますとおりむずかしい問題が多々あるわけです。特にその根本的な住宅問題の一つ隘路となっておるのは、やはり土地の問題であろうと思うのですね。そういう点で、この宅地政策のあり方について、今後、たとえば来年から始まりますいろいろな五カ年計画があります、やはりこれは土地問題と全部関連してくるわけですね。そこらで、いわゆる土地政策としての、宅地政策としてのあり方、それについてどのようなお考えを持っておられるのか、それをまずお伺いしたいと思うのです。
  24. 金丸信

    ○金丸国務大臣 新たな住宅五カ年構想というものは、当然宅地の供給を確保するということが必要であることは言を待たないわけでありますが、国土庁といたしましては、国土利用計画法による土地取引規制を適確に運用して、宅地供給に当たっては価格の適正化を図ってまいりたい。また、国土利用計画及び土地利用基本計画の策定を通じまして、国と地方公共団体の間に人口の配置について合意を確立してまいりたい。その上で遊休土地制度の活用等による未利用地の利用の促進をし、また関連公共施設整備のための財源など宅地開発を促進するための財政措置、また税制等総合的な対策を講ずる必要があると考えております。
  25. 北側義一

    北側委員 それでは、具体的にやっていただかなければ、非常にこの宅地問題、問題が出ると思う。というのは、御存じのとおり、たとえば個人の譲渡所得、いままでですと、いわゆる恩典がありまして、個人のを売る場合には二〇%で済むわけですね、国税。ただし、これは来年から総合課税になるのですよ。そうしますと、売ったって総合課税で税金でがさっと持っていかれるから、売る人が非常に減ってくるのじゃないかと思うのですよ。ということは、宅地の供給が少なくなるということですね。そうした場合のいわゆる宅地供給というものが非常に問題が出てくるのではないかと思うのです。うかうかすると、供給が少ないのでまた必ず地価が上がってくる、こういう実態が出てくるのではないか、そういう心配をしておるわけです。そうしますと、やはりいま言われたとおり、国土利用計画の運用というのは非常に大事になってくるわけです。これを間違いますと、いわゆる宅地供給の不足から地価が値上がりする、こういう危険性が多分にあると思うのですよ。そこからはひとつ真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。そうしなければ、これは必ずそういう事態が起こってくると私思います、いままでの情勢を見ておりますと。特に国土庁に対しては、国土利用計画の適正な運営で、地価が上がり出したときにはすぐ手を打っていただきたい、このことをお願いしておきます。  次に、「「ハウス五五」開発計画」、これは通商産業省の生活産業局、建設省住宅局から出ているわけです。これについて伺ってまいりたいのですが、この開発計画は、建設、通産両省の共同プロジェクトで、昭和五十一年より開発を行い、五十四年には企業化、五十五年には本格供給、こうなっておるわけです。簡単で結構ですから、まず概要を説明していただきたいと思います。
  26. 山岡一男

    山岡政府委員 「ハウス五五」と命名しましたのは、五十五年ごろからそういうものを供給したいということを考えたわけでございます。  ハウス五五というのはやります場合に、従来と特に考えを変えておりますのは、画期的な、自動的なトータルシステムで住宅建設のコストダウンを図りたいという点でございます。従来も、「自由な間取りが可能で、好みにピッタリの住宅」というようなものについてのいろいろな知恵が民間にもございます。それから「セントラル・ヒーティング付きで、快適な居住性を備えた住宅」というような要求にこたえながら、民間でもいろいろな努力をしておられます。さらに、そういうようなものにつきまして、いろいろな、オーダー・エントリー・システムと称しておりますけれども、住宅の設計の面で、いろいろな諸元をコンピューターに入れまして、いろいろと変化の多い部材を生み出しまして、住宅を組み立てるというような方法の開発も行われております。それから製造時点での量産効果、合理化効果を上げるために、部材、部品リストに基づいて、部品につきましても成形、加工を連続自動的に行う生産システム、これも開発が行われつつございます。さらに現場施工の省力化を図るために、構造材としての機能と仕上げ材としての機能をあわせ持つ複合材、いわゆる多機能パネルと称しておりますが、そういうものの開発も進んでおります。さらに、積み込み、積みおろし等、効果的な輸送システムをやるためのシステムも開発されております。しかし、それは、ノーハウ的にそれぞれのところで各部分部分の開発でございます。そういうものを組み合わせまして、総合的な住宅供給システムをつくったら、非常に廉価でしかも性質のいい住宅が供給できるだろう、そのための開発には、建設省、通商産業省、力を合わせて取り組もうではないかということがこの発想でございまして、来年度から予算を要求いたしまして、着実に計画を進めていきたいと思っておる次第でございます。
  27. 北側義一

    北側委員 これによりますと、この住宅ができますと、百平米の広さで五百万円台の低価格の住宅を供給することを可能とする、こう書いてあるわけですね。これはまことに結構なのですが、これから開発、研究しようとするいわゆる開発計画に、こういうことがわかるのかどうかということですね。そこらがまず第一点。私は非常に不思議さを感じておるのですけれども、その点どうなのですか。
  28. 山岡一男

    山岡政府委員 計画どおりに量産体制的なものが、民間の方でうまくコンペに応募していただいて、量産化のスタイルがすぐ進めばその辺までいくだろうという、これはあくまで開発目標でございます。
  29. 北側義一

    北側委員 いま一つ、これを読んでおりますと、ぼくは、どこか会社の宣伝のパンフレットじゃないかと間違うぐらい、まことに結構ずくめなんです。ちょっと読んでみましょうか、こう書いてある。「「ハウス五五」は標準住宅から高級住宅まで新婚家庭から三世代家庭までの広範囲にわたる需要をカバーします。」それからまた、いまのような百平米で五百万円代、こう書いてあるのですね。もういかにも、これではできているような感じを受けるのですよ。そうしてどこかの会社が宣伝しているようにこれは受け取れるのですね。  それと、このハウス五五の開発の進め方、これはどうなんですか。
  30. 山岡一男

    山岡政府委員 ハウス五五の開発につきましては、予算がもしつきましたならば、公開コンペで実施をしたいと考えております。  そういう公開コンペのやり方、審査等につきましては、建設、通産両省で委員会を設置いたします。もちろんこれは民間の方々もずいぶん入っていただく予定でございます。厳正公平に審査をいたしました上に、手を挙げました委託企業を選定したいというふうに考えております。現在のところはまだ予算要求段階でございますけれども、公開コンペ、厳正な審査ということを念頭に置いて進めたいと考えておる次第でございます。
  31. 北側義一

    北側委員 このやはり囲み内を見ますと、「昭和五十五年、本格供給を目指して、委託費、補助金等の各種制度を活用し、開発を進めます。――総研究開発費三十五億円(三カ年)」と書いてあるのですよ。そうして、五十一年度から、五十二年、ずうっとこれは書いてあるわけです。  そこで私、実はこれは不審を一つ持っておるのですよ。というのは、これは毎日新聞に一遍出たことがあるのです。その毎日新聞にこう書いてある。「鉄とペーパーハニカムの複合材を使ったモデルハウスがすでに住宅評論家、松田妙子氏らを中心にして試作されており、これを国が本格的にとりあげれば三年間での実用化計画はムリなものではないとみられる。」こう書いてあるのですよ。片方の住宅新報ではこう書いてある。「延べ面積百平方メートルで価格五百万円台、工期は約一週間、設計プランは自由、そのうえ工法はこれまでの常識をはるかに超えた新工法――。”夢の住宅”が実現に大きく一歩踏み出した。かねて竹中工務店中央研究所内で研究開発が進められてきた「T型」住宅がそれで試作第一号が建築された。新工法とは、「ペーパーハニカム工法」という耳新しいもの。ひとくちにいうと、「紙と鉄による。パネル」の壁工法。ローコスト化に苦慮する住宅産業界で最大の関心事となっているものである。」こう書いてあるのですよ。もうすでに試作された第一号が江東区で建っておるのですね。これは写真が出ています。こうやって建っておるわけです。  そういう試作されたものになぜこのように、たとえ予算が三十五億――これの使い方はいろいろあるのでしょう、ずっと書いてあるから。それを委託し、そうして補助事業としてこれはやはり十四億七千万出るのですね。こういう莫大な金をなぜ使わなければならないのだろうかという疑問が私これを読んだときに生じたのです。すでにもうこれはできてあるというのです。こう書いてありますよ。「「T型」住宅の開発は竹中工務店、日本ホームズ、新日本製鉄、住宅問題研究所の四社共同開発の形で進められている。そもそもは住宅問題研究所の松田妙子所長が日本ホームズの経営に当たっているころから研究開発を進めてきたもので、現在の試作第一号までに約五年間の研究期間をついやした。」こう住宅新報では書いてあるのですよ。もう試作品ができて、そうするとこれは結局どこへ委託するのかということになると、やはりこっちの方に委託せざるを得ないようになるのじゃないかと思うのですよ。そういう点で、試作できたものになぜこのように莫大な金を出さなければならないのかという疑問が私に生じてきた。それはどうなんですか。
  32. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げましたように、今回のハウス五五というものにつきましては、全体の総合的住宅供給システムとして進めたいという考えでございます。その中のいまおっしゃいましたT型住宅というのは、確かに複合材としての多機能パネルなるものの開発は一部やっておるわけでございます。しかし何もそれに限ったわけではございませんで、いろいろな部材の研究等は各業界でいろいろと進められております。したがいまして、その中で将来の検討に値するようなものを選ぶという意味で、あくまで厳正な公開コンペでやるつもりでございまして、決してそういうものだけを念頭に置いているということではございません。
  33. 北側義一

    北側委員 この新聞報道から見ますと、レールが敷かれた上を走っておる。それを国の方で相乗りしていくような形に私にとっては見えるのです。だから建設大臣、この問題はいま私が論議しましたとおりなんですよ。私には少なくとも新聞紙上から見る上ではそのようにとれるのです。だから、これから以後これがどういうぐあいになっていくのかという問題は、それによっていまのお答えが正しいのか、正しくないのかが決まってくると思うのです。やるのだったら、そこらを厳正にやってもらいたいと思うのですよ。私はこれをやってはいかぬとは言っておりません。言っておりませんが、この住宅新報なり毎日新聞の記事を見ても私はどうしてもひっかかるのです。  これを見ても、全くどこかの会社の宣伝ですよ。しかも五年後に出すのでしょう。それが価格まで決まっておる。これから開発、研究していくものが、もうすでに価格が決まっているのですから、決める以上は何らかの試算がなければ決まらないと思うのですよ。そうするともうすでにレールが敷かれて、ちゃんとその上に乗って走っておるのか、このように私はどうしても誤解するのですが、それは大臣どうお考えですか。
  34. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 まず基本的な問題で御理解をいただきたいのは、先ほども御答弁いたしましたように、私が一年間やってきて一番むずかしい問題が住宅問題で、いまだに自信をよう持っておりません。それは、まず住宅を建てることに全力を挙げ、そういうふうな隘路を打開をして、そして国の予算をとって仕事を進めていきながらも、結局物価の値上がり、賃金の上昇等によって原価主義でいく限り住宅が高くつく、順調に建設されたとしても、建てた建設の単価は非常に高くなるということはどうしても否むことができない。そこで賃貸にしてもあるいは持ち家にしても、いわゆる入居者が自分の所得と比較検討した場合に非常に苦労をするということ、これはもう否めない事実であります。  そこで根本的な問題は、何とかしてよくて安い住宅ができないか、これに新しい技術を駆使してやらなければならぬことは、必ずしもこれは業者に任せる性質のものではない、通産省も建設省も全力を挙げて少しでも安くてりっぱなものをつくるということは最大の使命でなくてはならぬと私は思っております。  私もこれを毎日新聞で見たこともございます。そういう意味において、今度はこれに本腰を入れて取り組んでいこうということは、住宅問題を解決するためのより根本的な大きな課題だと思っておりますから、やるという意思、やっている方法等につきましてはひとつ御理解をいただきたいと思います。  ただ、おっしゃるような面で、これは単に最終的には業者を何かバックアップするものじゃないか、あるいは何のために大きな国費が必要かという問題は、実は私きょう初めてこのパンフレットを見まして、これは予算獲得のための、予算説明のための資料だというふうに言っておりますが、それにしてはこの黄色い表紙は要らないと思っております。これは少し行き過ぎている。そういった面においてはおっしゃるような御指摘を受けることも確かにあると思います。だからそういう面においては今後十分注意をしてまいるつもりでありますが、より安い、よりいい住宅をつくることに対して全力を挙げて努力をせなければいかぬということだけはひとつ御理解をいただきたいと思いますし、行き過ぎがあるとすれば十分慎んで所期の目的をりっぱに達成するために全力を挙げて努力いたしてまいりますので、御理解を賜りたいと思います。
  35. 北側義一

    北側委員 私、この計画に対してはとやかく言うのじゃないのです。しかし先ほどの新聞を見る限りでは、すでに試作品までできたものを、まあ総合的にもっとやるのでしょうが、しかし少なくともこういう計画を練って予算要求なさってやっておられる。しかも書いてあることは、もう既成の事実として価格までちゃんと入ってきておる。内容を読みますと会社の宣伝文句のようなことがいっぱい書いてあるわけです。私も初めはそう気にしなかったのですが、だんだん勉強していくうちに、これはおかしいんじゃないか、いわゆる会社の試作品で、その上に乗っていくためになぜ金を出さなければならぬの、だろう、こういう疑問が生じてきたのです。だから、これからこの計画についてどういう型を選ばれるのか、どういうところへ委託なさるのか、いろいろな問題が出てくると思うのです。そういう意味では、見ておったらわかるのじゃないかと思うのです。だから、これは莫大な金を使うのですから、そういう面に対しては大臣ぜひとも公正にやってもらいたいと思うのです。そこで変なことがあるようじゃ全然話にならないのですから。その点は私もがっちり一遍研究してまいりたい、かように考えております。  次に、これは多目的ダムの問題です。昭和四十九年度の決算検査報告が会計検査院からなされたわけですが、この多目的ダムの建設について、電源開発等の負担金については、特定多目的ダム法等の関係法令及びこれに基づく建設省と関係行政機関との協議によってその負担割合というのは決まっていく、このように私承知しておるのですが、この会計検査院の報告によりますと、その決算の計算の基準となりますいわゆる九電力の総括原価が、昭和四十年の総括原価で計算がなされておる。この総括原価はその後昭和五十年、現在大幅に値上がりしておるのだから、電源開発の負担金割合というのは現在では低い、このように指摘されておるわけです。電源開発の負担金が低いということは、すなわち国の負担が、税金がうんと使われておる、こうなるわけですね。これについてどのようにお考えになっておるのか。
  36. 増岡康治

    ○増岡政府委員 いま先生がおっしゃいましたとおりでございまして、会計検査院の方から本年度改善意見が出ました。  いまおっしゃいましたように、多目的ダムの建設に関する費用の分担の電源開発分については、いろいろこれに参加するファクターがございますが、その中で山元発電単価というものがございます。これは昭和四十年度の九電力の会社事業報告書に基づいて決めたものでございますが、その後四十八年度まで余り動きがなかったわけでございますが、四十九年の六月に電気料金の値上げが実施されました。したがって当然これが山元発電単価に反映するということを、私どももそういう結果からすでに四十九年の十月から、各省の局長等からなります協議会がございますので、それにかけて勉強しておった最中でございますが、今回会計検査院より改善意見が参りましたので、早急に各省庁といままでの作業を促進するようにいま努力しておりまして、早くこれを改定いたしたいと考えておるわけでございます。
  37. 北側義一

    北側委員 これは関係行政府とその辺やはりちゃんとやってもらいたいと思うのです。  最後にもう一点だけ、これは都市局の方へお伺いしたいのですが、都市計画法で市街化区域と市街化調整区域の線引きの見直しが五年ごとに行われるわけですが、それがことしから始まるわけです。その線引きの見直しについて政府としては一体どのような立場をとられるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  38. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 線引きを現在行っております都市計画区域は三百二ありますが、そのうちに昭和四十五年から六年にかけて線引きを行いましたものが二百八十区域ほどあります。これらはいずれも都市計画法の五年ごとの見直しのための基礎調査ということを現に実施中であり、一部は完了しているところもあります。こういうことで、各県の準備状況をヒヤリングいたしましたところ、この中で本年度中にでも線引き変更を行う予定の区域というのも二、三県ございます。それから本年度中に変更案の作成に入りたい、したがいまして来年度になってから線引きの変更を行う予定であるというようなものが十県余り、約百区域でございます。残りは大部分のものが明年度に変更案の作成に入ろうという全体の様子でございます。  私どもは、全体として見るならば、現在の市街化区域、場所によって相当の差がありますが、面積的にはなお余裕のある地域も多いと思われること、あるいはその後の人口の集中動向も当初の見込みよりやや鈍化していること、あるいは今後の市街化区域内街路等の施設整備の見通しというものも必ずしも今後さほど大きくは見込めないのではないかというようなことから、全体としてのスケールではそんなに大幅な拡大ということは考えられないと思います。  しかしながら、基本は各都道府県知事が原案を作成し、そのためには市町村長の意見を聞き、市議会にも諮る、あるいは農林省との協議等も行うものですから、厳正な立場で適切な線引きの変更は当然しなければならないと思っております。
  39. 北側義一

    北側委員 いまのお答えで大体わかったのですが、国土庁の調べで、大企業の買い占めた土地が約二十五万ヘクタールあるのですね。調整区域、それは計画区域外ですね。要するに、線引きでこういうところが救われるようなことをやっちゃならないということですね。その点を特にお願いしていきたいと思うのです。  あと細々した問題がありますが、一応それに対する答弁だけで結構です。
  40. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 先ほど申しましたように、全体の量としては私ども現在の市街化区域面積に対し数%ぐらいではないかという感じを持っておりますが、これは個々の都市計画区域ごとに事情も違います。そういうことで、せっかく拡大した区域が市街化区域に入っただけでいつまでも市街化しないということも、非常に貴重な土地であるだけに残念でございます。それは農地、山林等を切りかえて宅地化する予定のところでございますから、そういう意味では公的機関が開発を予定している区域というものが何といっても最優先でございます。あるいは地域振興、産業とかそういったものを持ち込んで大都市と地方都市との均衡をとろうというような、そういうものを中心としたプロジェクト、こういうものも優先した方がいいのではないか。そのほか、地区民の方が相寄って区画整理事業を必ずやるというような地区とか、また民間でありましても、優良な計画のもとに農林漁業との調整も十分果たし、県内あるいは地元市町村でも問題のないようなそういう計画のものがあれば、これもあえてそのために排除するということも逆におかしいのじゃないか、公平な立場で、何よりも市街化区域に入ったところは十分市街化が計画され進められるのだという見通しのものを優先して考えたいと考えておるわけでございます。
  41. 内海英男

    内海(英)委員長代理 中村茂君。
  42. 中村茂

    ○中村(茂)委員 市街化区域の農地の宅地並み課税についてまず最初にお聞きしますが、すでに税制調査会に対して農地の宅地並み課税については国土庁も建設省意見を出しているというふうに思うわけですが、双方同じ意見だったらどちらの大臣でも結構ですが、それぞれ別であったら双方の大臣から、ひとつ見解を明らかにしていただきたいというふうに思うのです。
  43. 金丸信

    ○金丸国務大臣 市街化区域の農地の問題ですが、この問題については市街化区域内の農地ということでございますし、またこれをつくった法の精神ということを考えてみましても、私は一応必要であるということだけは考えますが、しかし現時点においてこれを拡大したりすることはどうかという点につきましては、いささか考えざるを得ないのじゃないかという考え方でございます。というのは、今後食糧の自給率を上げなくちゃならぬというような事態も考え、また本当に農地として市街化区域内にある農地がそのまま農業をやっていくというようなことになるとするならば、これが緑地という立場あるいは避難場所というような観点、こういうことをいろいろ考えてみますと、この辺でいま一回考え直しあるいは検討すべき必要のあるものである、こういうように私は考えております。
  44. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そうすると、この税制調査会でいずれにしても検討してくれということで、特にC農地については五十一年度に再検討する、こういうふうになっていたわけですよね。それでA、Bについては、年度はずれているけれどもそれぞれ年次的に実施してきた。その検討時期にきている。ですから、いずれにしても検討してくれということでなしに、やはり国土庁としてどういう考え方で、どういう方向検討しろ――いずれにしても何か意見反映をこの調査会にしてあるのでしょう。それについてちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  45. 金丸信

    ○金丸国務大臣 このC農地の問題については、一応来年度の税制の中では検討すべきものであるということで、現在党でこの問題についてはその方向検討をしておるということであります。
  46. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで私は、税制の面からではなしに、A、B、Cを含めてこの農地の宅地並み課税という問題について、廃止の方向でひとつ検討すべきではないかという意見を持っているのです。  それはどういうことかと言えば、市街化区域というものが設定されて、その中に宅地なりまたは都市開発をしていく、これが設定された時期は高度成長のさなかで、確かにそういう方向で市街化区域を開発していくということが一面では必要な面があったというふうに思うのです。ですから、農地を吐き出させるために宅地並みの課税をかけていく。しかし経済がこういう段階に来て、開発という問題についても、人口を一カ所に集中させて土地政策をやっていくということよりも、都市環境を考えて都市政策を立てていく方向に大きな転換をいま迫られていると思うのです。そうなっていけば、集中した地点に対してA、Bというふうに税金を過重にかけていって宅地に放出させる、こういう政策が果たしていいかどうかということが根本的に問題になってくる。しかも、現実にいまなされている姿等を見た場合も、自治体におけるところの緑地政策というものがありますし、法に基づく緑地政策等それぞれあるわけでありますけれども、三大都市圏においても百十八の市において自治体の緑地政策がとられておる。これを考えてみれば、A、Bで宅地並み課税をかけておいてそれをまたそこのところへ返してやるというのですから、その制度そのものを百十八の市に適用されているということになれば、この宅地並み課税で農地を放出させていくという制度そのものが目的をもう失ってきているのではないか。  しかもいままでどのくらいそういうことによって放出されてきているかということを見ると、市街化区域内において農地の転用が一番なされた四十七年から四十八年の土地ブームというふうにいわれた時期ですら、A、B農地で二〇%、C農地で一〇%程度なんです。こういうふうになれば、その制度を根本的にひとつ考え直してみる時期に来ているのではないかというふうに一点考えるわけであります。  それから農業政策の面から見ると、この時期とは食糧事情というものについても変わってきておりますし、自給率も高めていかなければならないという時期に来ております。特に近郊の都市農業というものについても非常に重要視される時期に来ている。ですから、土地政策からも農業政策からも根本的にこの際検討してみる必要がある、こういうふうに考えるのですけれども、その点についてひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  47. 金丸信

    ○金丸国務大臣 考え方は私は先生の考え方と同じであります。そういう意味でこれは検討すべきだ。  ただ問題は、市街化区域ということで公共投資等も計画的に推進しておるというような考え方、また税金の関係は地方税でいま取られておるわけでありますから自治体の関係、こういうような関係も踏まえながら、ただいまお話ありました税金は取ったけれども、それを一部返還しておるというような状況もある、こういうようなことを考えてみますと、いろいろ矛盾した面も間々あるわけでありますから、この税制をつくったときと今日の時点とは相当変わってきておるということだけはわれわれも認識をしなければならぬ。国土庁でもこの問題については検討いたしておるわけであります。
  48. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いま申し上げたような趣旨でひとつ検討していただきたいことをお願い申し上げます。  次に、水利使用料の問題についてちょっとお聞きしたいと思うのですけれども、お聞きしてお答えを願う趣旨についてちょっと先に申し上げておきます。  私が水利使用料を建設省にちょっとお聞きしたいというふうに思いますのは、いま県等で県営の発電事業を行った場合に、水利使用料については免除されることになっているわけであります。ところが民間の発電については水利使用料を県に支払う、こういうふうになるわけです。県営発電を行って水利使用料が免除になる。そのことから出た電力については電力会社に売るわけでありますけれども、売る場合に、水利使用料が免除されているわけでありますから、県営発電でできる電力は、そのほかにも相当有利な面がありますから安くなる、こういうことであります。  一つの例を申し上げますと、長野県の場合には県営発電が八つある。そしてこの水利使用料の一年間の額が約五千万円程度になると思います。そしてそこから出た電力は中部電力に売られるわけであります。中部電力に売られた電力は長野県ばかりではなしに中部圏全体に配電されるわけであります。ところが県営発電を経営している県の企業についても最近赤字を生み出すような事態になってきている。  そこでお聞きしたいわけでありますけれども、県で判断すればこの水利使用料について県に支払う、いわゆる免除を逃れることができるかと言えばおかしい言い方ですが、建設省の立場でそういう措置をとることができるのですか。どういう指導になっているのですか。その内容をひとつお聞きしたいと思うのです。
  49. 増岡康治

    ○増岡政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、新河川法の施行に当たりまして、公営の発電事業、いわゆる県営の発電事業でございますが、これは従前と同じように流水占用料等の免除あるいは軽減措置を講ずるということになっております。こいういような処置は他の公営の水道事業とか工業用水事業にも同じようなことがなされておるわけでございます。ただそういうことが最終的に、と申しますより、こういうことの趣旨は、免除を受ける地方公共団体の利益のために講じた措置ではございますけれども、その利益を与えることがどういうように広がって最終的にどうなっているかという一つの追跡問題が実はあるわけでございます。これについては通産省ともいろいろ議論したこともあるわけでございますが、まだいまの段階ではどうしていいかという実は結論を持っていない、勉強してみる問題だという感じでおりまして、河川管理者とすればいいと思ってやっておることが結果的にその利益が分散してしまうことになっておるということはわかっておるわけですけれども、ではどうしたらいいだろうかということについてまだ今後の検討課題になっておるわけでございます。
  50. 中村茂

    ○中村(茂)委員 これはセクト的な考えと言えばセクト的な考えなんですけれども、そこから供給するものは、長野県から得た水利使用料、確かに飲料水なんかについても全部免除になっていますけれども、それはわかるのです、そこから得た公益がそこのところの住民に及ぼされていくということですから。しかし電力の場合にはその範囲が非常に広くなって分散されてしまう、こういうことになっているので、もう少しきめ細かく検討していただいて、やはりその地域で公益として出てくるものについてはその地域に及ぼしていくという範囲でこういうものは適用されていくべきじゃないか、私はこういうふうに思うのです。したがってそういうことでひとつ御検討を願いたいというふうに思います。  これに関連して、建設省でこの水利使用料の免除問題の解決が私の言う方向でできて、支払うんだ、こういうふうになった場合、料金算定要綱に基づいて、原価方式に基づいて売り渡す電力料金というものが決まって、それぞれ中配に売り渡すというふうになるわけでありますけれども、その指導をしている通産省の立場で、建設省の態度が決まればそれに付随してこの料金算定要綱も変えることができるのかどうか、その絡みについてひとつ通産省からお答え願いたいというふうに思います。
  51. 篠島義明

    ○篠島説明員 ただいまの御質問でございますが、現在九電力がそれぞれやっております水力発電所については、それぞれ水利使用料を払ってこれを料金の原価の中へ織り込んでいるわけでございます、したがいまして、公営企業につきましても水利使用料を払うということになれば、当然原価の中に織り込んで算定をするということになると思います。
  52. 中村茂

    ○中村(茂)委員 次に、住宅金融公庫の貸し付け全般についてちょっとお聞きしだいと思うのですけれども、まず現在の住宅金融公庫融資状況について、申し込み数、それから受理数、契約戸数、金額、資金の交付の数、金額、現時点においての融資状況についてひとつ明らかにしていただきたいというふうに思うわけであります。
  53. 小熊孝次

    ○小熊説明員 お答えいたします。  五十年度の個人の住宅建設の申し込みの受理は、第一次分は十三万四千八百三十戸、第二次分が十四万四千六百五戸でございます。第一次分のうち選定合格したものが十二万九千、それから第二次の方の当選者数が十万四千でございまして、受理戸数としては二十七万九千四百三十五戸ございます。  それから、第二次分は十月末の抽せんでございましたので、十月末におきますところの契約実績はすべて第一次分でございますが、その数が十一万六千七十七戸でございます。これは個人の建設の分だけでございますが、購入の分を含めますと十二万一千四百八十戸でございます。したがいまして、選定及び当選者の数が二十三万三千九百五十七戸に対しまして五〇%契約をした、こういうことになっておりますが、購入分を含めますと五二%になります。  絶対金額――契約金額でございますが、これは四千二百二十九億となっております。購入分を含めますと四千五百十四億円、こういうことになっております。  それから、資金交付の状況でございますが、十月までに千四百六十四億円の交付済みでございます。購入分を含めますと千六百二十五億円となっております。これは資金計画に対しまして三七%、購入分を含めますと四〇%の進捗状況となっております。今後、契約につきましても資金の交付につきましても、事業を促進いたしまして順調に行われるものとわれわれは見込んでおる次第でございます。
  54. 中村茂

    ○中村(茂)委員 その申し込み数と受理数の差というものはどのくらいになるのですか。
  55. 小熊孝次

    ○小熊説明員 お答えいたします。  第一回の個人の住宅の申し込み数は、先ほど申し上げましたとおり十三万四千八百三十戸でございます。これに対しまして選定合格前に書類不備等の理由によりまして約五千戸、正確に申しますと四千九百八十八戸が不合格または辞退、こういうことになった次第でございます。それで、選定合格した十二万九千八百四十二戸のうちで十月までに貸し付け契約を終わっておるものが十一万六千戸となっておりますが、これは今後十一月以降も若干の契約が行われる見込みでございますので、最終的な辞退者数等の見込みにつきましては現在精査中でございます。
  56. 中村茂

    ○中村(茂)委員 第二次分については全然契約の段階に入っていないようでありますが、入っても数字に上がってこないということだろうというふうに思うのですが、ここで一つお聞きしたいのは、第二次分で抽せん漏れば結果的に何戸になったのか。それから、申し込んだけれども実際には受理、契約にならない――この前も業者の一括申し込みについて、その中に架空名義のものがあった、こういうことが報告されているわけでありますけれども、架空名義の申し込み戸数が何戸あったのか。この差の中からこの二点だけひとつ明らかにしていただきたいというふうに思うのです。     〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  57. 小熊孝次

    ○小熊説明員 お答えいたします。  まず第一に、第一回の住宅貸し付けの申し込みの中で、いわゆる架空名義といわれる申し込みの件数は三百十七件でございました。これは申し込み書類がございませんで、単に氏名のみが記載された名簿が提出された場合にこれを受け付けた、それからまた、名簿もなくて受け付け予定件数を見込み計上したものとして報告されたものがこの内容をなすものでございます。  それから第二点の、第二次の申し込みの点でございますが、これは十四万四千の申し込みがございまして、そのうち十万四千が当選となりました。そうして補欠として認めましたものが二万一千ございます。そうして差し引きしまして完全なる落選者といいますか、当選でも補欠でもないものが約一万八千ございました。
  58. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで架空名義を行った件数が三百十七件というのですけれども、これはほとんど企業だと思うのです。ですから建設省の方にお聞きしたいのですけれども、住宅金融公庫とすれば、銀行まではまあ注意したりいろいろできると思うわけですけれども、銀行から今度は向こうへ行って業者ということになれば、建設省の全体的な指導を含めての所管になると思うのですが、こういうふうに架空名義まで行って金融公庫に申し込んだという企業について、何か注意するなり措置されたんですか。     〔委員長退席内海(英)委員長代理着席
  59. 山岡一男

    山岡政府委員 第一次の申し込み受け付けに際しましては、先生のおっしゃいました架空名義による申し込みというものもございましたが、特にまた一括代行というようなものもあったわけでございます。それらのものを含めまして、公庫業務の厳正な運営をするためには、将来戒める必要があるということでございまして、私の方から直接は処置いたしませんでしたが、総裁名の文書により、もしくは理事名の文書によりまして、今後こういうことがないようにということを公庫から申し入れております。
  60. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いま言われたのは銀行でしょう。業者についてはどういう措置をとっておるか。
  61. 山岡一男

    山岡政府委員 いま申し上げましたのは、業者に対しましても総裁名の文書によるもの、それから理事名の文書によるものによりまして、公庫の方が申し入れをいたしております。     〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そうすると、業者については公庫を通じて何社に対して注意したのですか。
  63. 山岡一男

    山岡政府委員 総裁名の文書によりますものが三でございます。それから、理事名の文書によるものが六でございます。
  64. 中村茂

    ○中村(茂)委員 その業者の氏名を発表する意思はおありですか。
  65. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど先生のお話もございましたけれども、公庫の方でも、申し入れというかっこうで、今後こういうことのないようにときつく戒めておりまして、相当皆さんも反省しておられるようでございます。それから、最近のいろいろな立法例等見ましても、企業名の公表等につきましては相当な制裁ということになっておりますので、再度やればもう絶対やらねばいかぬと思いますけれども、今回は名前を公表することは差し控えたいと思っております。
  66. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私は今度のこの事件全体を通じて、架空名義で申し込んだというのについては一番悪質だと思っておるのですよ、制度上から。もう抽せんまでしなければならないというふうにみんな要望している中で、業者が自分のやっているのを先取りしてしまう。架空名義で申し込んで権利を取っておく。詐欺ですよ、これは。ですから、簡単な注意で、二回あったらなんていうことよりか、こういうのこそ、また銀行はそれを受けて真ん中ですけれども、私は、銀行もそうですけれども、この業者だけは何といっても許せないのですよ。詐欺ですからね。だから、こういうものこそ、こういう業者、こういうことをやったんだということを天下に公表して、国民の世論を問う、このくらいな態度でいかなければ、一回は勘弁するけれども二回やったら今度はやるぞなんていうようなことじゃとてもじゃないけれどもだめだと思いますが、これ以上余り強くまた公表、公表と要求しませんけれども、これは相当強い態度で臨んでもらいたい。ひとつ大臣……。
  67. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 私もその架空名義ということを聞きまして、人の何でもない名前をつくって、それで申し込みしたら完全に詐欺じゃないかということを厳しく言ったんですよ。そんなものを捨ておくわけにはいかぬというのが私の趣旨でした。ところが調べてみますと、架空名義という言い方をしていますけれども、名前はないので、従来まあ百人ぐらい大体来ておったのを、実質的には五十人しか来ていないから人数を水増ししてやはり何十人か申し込みをしておったということで、調べてみると何にもないじゃないか、架空名義ですね、何にもないものを水増ししておって数をよけい申し込みしておったのじゃないかということで、それは全然問題にしておりません。だから、実質的には詐欺被害というのは全くなかったわけですけれども、それにしても、水増しをして五十戸しか現実に申し込みのないものを百戸にふやして持ってくるというのは、これは許せないことでありまして、今回は実害もなかったし、そういう面で事前に銀行の方でもチェックをしたわけでありましたけれども、今後そういう問題が生じるということになれば、厳重に処置をいたします。厳重に処置をいたします。その点でひとつ御理解をいただきたいと思います。
  68. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それから二次で漏れている千八百戸について、年度内に解決するように善処するという予算委員会の大臣の答弁もあるわけですけれども、この点についてはどういうふうになっておりますか。
  69. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 一応抽せんで十万戸をとったわけでありますけれども、完全に十万戸とりましてもそれが全部そのまま契約するというのは比較的少ないようでありまして、大体一割程度のものはいつでも契約をしないのができるようであります。したがって抽せんで漏れた人の補欠と、どうしても補欠にも入れないという組と実は分けておるわけであります。その補欠のものについてはできるだけ救済の措置を年度内に考えましょう、こういう意味で御答弁を申し上げたと思っておりますが、まあ聞いてみますとかなり救済できるようであります。どの程度できるか、まだ数字ははっきりでございませんけれども、いわゆる補欠になったものは相当程度救済ができるようであります。もしその救済が今年度の二次でできない場合あるいは抽せん漏れにした場合においては、次の機会に何らかの形で優先的に考えるようにいたしたい、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、その方針で努力をいたしてみるつもりであります。
  70. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それから、先ほどの報告で契約件数が約五〇%というふうに言うのですけれども、五〇%弱ですよね、十月のトータルでは。受理数が二十七万九千戸で、契約が十一万六千戸ですから、個人住宅ですけれども、これが一〇〇%になるのはいつなんですか。
  71. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 上期と下期と分けておりまして、上期は大体十月末現在で全部の契約は終わったようでありますから、これは年度末までに全部資金交付はできると思っております。それから下期の分は十一月から始めたわけでありますから、十一月末といえばまだ一〇%の契約しかできておりませんでした。今月の末には五〇%近い契約ができるようでありまして、契約は下期の分も年度末までには全部大体終わる予定であります。ただ資金交付の面は、契約が終わりましても、それからむね上げをして実際に資金交付をいたしますから、大体資金交付は第二期、下期の分で来年度に半分ぐらい、五〇%ぐらい繰り越されるのじゃないか。契約は全部終わります。終わって、実際の金を貸すのが、年度内には下期の分は五〇%ぐらい金が出て、五〇%ぐらいは繰り越しになるのじゃないか。これは従来からそういうふうに、大体むね上げをして、そうして最終的に金を出す。まあ一番早い近道でいっても五カ月ぐらい、契約から最終的に全部契約金を払ってしまうまでの間に大体五カ月ぐらい見ていいと思いますから、そういう意味で考えますと、明年度へ実際の資金交付が五〇%程度繰り越しになるのじゃないか、こういうような概算計画をいたしております。
  72. 中村茂

    ○中村(茂)委員 大体わかりましたけれども、この資金交付について先ほども報告ありましたが、契約戸数、これは第一次分で十一万六千戸で、十月のトータルで資金交付は三五%だ。これは全体の三五%というようなさっき報告だったけれども、契約金額に対しての三五%ですね。そうなっていくと、この三五%というものは二次分を含めての総体の一五、六%しかまだ資金交付はいっていないということなんですよ。二次分を含めての二十七万九千戸に対して契約が十一万戸で、五〇%弱。その契約に対しての資金交付が三五%ですから、まだ十五、六%しか実際の資金の交付はできていない、こういう計算になると私は思うのです。  それで不況対策、不況対策というふうに言って一次、二次で追加してやってきたわけですけれども、不況対策になるには、金が交付にならなければ実際の不況対策にはならない。半年たって三五%程度の交付しかならない。大臣、先ほど答弁の中で、確かに第一次分については三五%までいっていますから、年度末の三月までには一〇〇%一次分については資金交付もできるんじゃないか、そして三月までに第二次分の契約ができて、恐らく二次分については明年度に入ってから実際の交付というかっこうになっていくんじゃないか、こういう形は大体わかります。だということになると、政府がいままで不況対策だ、不況対策だというふうに旗振っていろいろやってきたけれども、実際の効果というものは、半年から十カ月たたなければその効果というものは出てこないのが住宅に対しての不況対策の姿じゃないか、こういうふうに思うのですけれども、大臣、どういうふうにお考えですか。
  73. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 ちょっと一つ御理解を願いたいのは、十月末ではまだ第二期は契約を始めていなかったわけです。十月に大体補正を不況対策で案を立てて、そして十一月に入って初めて契約受付を始めたわけです。そういう意味で十月末にはまだ第二期はなかったわけであります。これをまず御理解いただきたいことと、それにしましても上期の分が十月末で、実際の墓交付は――十月末に契約は全部終わりました、上期の分十一万戸、契約の実際の金を出すのは、交付金が十月末で四〇%しかいけませんでした。これは私どもはもっといっておると思ったのですけれども、それがなぜおくれたかということは、第一期分も最初は七万戸の募集であったわけです。それが一挙に十三万戸も来たものですから、下期の分を五万戸繰り上げて十二万戸にしたわけであります。そうしまと、上期では七万戸の資金手当ての用意しかなかったわけであります。それが五万戸余分に来たものですから、若干貸し付けの進度というものを調整をしたことは事実であります。したがいまして、ある程度おくれたことは事実でありますが、十月に補正を組むということであと二千六百億の財投の資金手当てをやったということで、もうこれで心配ないからいつでも応じましょうという体制をとったものですから、それからずっと急激に伸びてきたわけでありまして、十二月から年度末にかけまして、恐らく一月がピークになると思いますが、そういうふうにいきまして、年度末までには上期分は、契約も十月で終わっておりますから、全額貸し付けは終わります。  それから下期の分が実は本当の不況対策として私どもは考えたわけでありまして、それが不況対策として予算を決定をして、そして国会を通って、実は十一月の初めから初めて契約を始めたわけでありますから、実は不況対策としてやかましく言われたのは九月、十月でありながらも、実質的に契約を始めたのが、国会の補正予算の成立等のこともありまして、十一月から始めたということで、確かに二カ月以上のずれができてきておることは事実であります。だから、不況対策としてせっかく始めた第二期の下期の計画は確かにずれておることは間違いございません。ようやっと十一月の末で一〇%の契約しかできておらぬ、不況対策としてあれだけ打ち上げておりながら契約すらも十一月末で一〇%しかできておらぬという実情であります。しかし、ようやく決定をいたしましたから、だんだん進んでまいりまして、十二月の末には契約は恐らく五〇%に、半分ぐらいの契約は下期でできる見通しであります。そうして三月末には下期の分も全部契約は終わるはずであります。そういう行き方でいきます。そうして下期の分の貸し付けが、五〇%ぐらい実際金を出すのが来年度に繰り越されるというところまできておるわけでありまして、確かに、おっしゃるとおり二カ月ないし三カ月ずれがきたことは事実でありますが、そういう意味では年度内には目的は達成できる、そういう考え方をもって努力をいたしておるわけであります。
  74. 中村茂

    ○中村(茂)委員 じゃ、それぞれはがきで出したという、資金枠が窮屈なためゆっくり工事に取りかかってもらいたいという趣旨ですというこれは、資金面については解消できてしまった、こういうふうに理解してもいいわけですか。これはまだ存在しているんですか。
  75. 小熊孝次

    ○小熊説明員 お答えいたします。  九月に財投の追加の決定がございまして、それに伴いまして第二次の分も、それから第一次につきましての資金繰りというものも十分ゆとりがつくようになりましたので、直ちにそれは撤廃いたしまして、どんどん仕事を進めていただくということにいたしておりますので、その後各申込者、国民の方々からは特にクレームとかそういうものはないような状況になっておりまして、そのほかにわれわれとしては、景気対策の関係もございますので、できるだけ早く促進するように、たとえば現場審査というようなものにつきましても、できるだけ地方公共団体に御努力願って速やかにやっていただくというような点につきましても、市を通じて督励してお願いしておるわけでございます。
  76. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それから、ここのところに広告が一つあるんですけれども、新聞に載っている広告であります。「五十年度住宅金融公庫融資の受付間近です。」建設会社が金融公庫の宣伝をしてくれているわけでありますが、これを見ると、自分のところの広告は四分の一程度で、あと四分の三ぐらいは、この上ない大きな活字で、じきと公庫の融資が始まるぞという広告を建設会社が出している。これをひとつ見てください。それで私は、こういう広告というものについて見ていると、金融公庫の宣伝をしてくれるのは結構だけれども、そういうことを大きく広告に出すことによって、自分の販売している建築にやればいかにも金融公庫の安いのでできるぞという印象を与えるような広告になっている。ですから、まあ誇大広告というふうに言い得るのかどうかわかりませんけれども、いずれにしてもこういうやり方については、何とか建設省の方で指導して、こういう宣伝は一口に言えば行き過ぎがある、もう少し慎むようにというような指導ができないものかどうかということを痛切に感ずるんですけれども、どういうふうにお考えになりますか。
  77. 山岡一男

    山岡政府委員 先生の御指摘の新聞広告を拝見いたしました。実は九月二十六日に、公庫は十月一日からひとつ募集を始めるということを各紙一斉に発表いたしました。この新聞は信濃毎日だと思いますが、九月二十八日に載せております。中身も見ましたけれども、特に間違いの点はないようでございます。したがいまして、この程度の内容ならば、私といたしましては、企業の営業活動としてまあ許されていいのではないかと実は考えておる次第でございます。  ただ、この広告の中に、従前、私のところにいらっしゃれば全部代行してあげますとか、一括申し込み引き受けますとかいうていの行き過ぎがあったわけでございますが、そういうようなものがございましたら、今後もびしびし注意をしてまいりたいと考えております。
  78. 中村茂

    ○中村(茂)委員 一口に言えば、間違いがないからいいというふうに聞こえるのですけれども。  これは確かに、私も見たけれども間違いないのですよ。五十年度の公庫融資について受け付けが間近です、それでこれだけ貸します、しかしそれではできないから、自己資金がどのくらいあってローンでどのくらいやればどのくらいな家ができます。どのくらいな家というのはここには書いてないけれども、棒を一本引っ張って、それに該当するような家がここのところに展示してありますから見に来てください、こういうわけだ。しかし、これはどう考えてみても、お客さんから見ると、金融公庫の融資が、何かここのところの展示場に来て、この家を買うぞというふうになれば、自然につながってきて、融資が入る、こういうふうな印象を受けるのですよね。そうなってくると誇大広告じゃないかというような感じも受けるのですが、しかもやっているのは大成建設とかまたは積水ハウスとか、一流メーカーですよ。一流メーカーがこういうことをやっているわけです。だから、これは間違いないからほうっておくということではなしに、何らかの方法で、もう少し宣伝のやり方等についても慎むようにというような業界指導をしたらどうだ、こういうふうに私は思っているのですけれども、そういうことはできないのですか。
  79. 山岡一男

    山岡政府委員 実は、ときどき目を光らせておりまして、この手の広告については折々見ております。信濃毎日に載りましたのは、先ほど申し上げましたとおり、いわゆる企業の営業活動としてはぎりぎりのところセーフの部類に入るだろうと思いますが、確かに字が大き過ぎること、いろいろなことで先生方の御感触を承りましたので、また業界ともよく相談をしてみたいと思います。
  80. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それから、先ほど報告があったのですけれども、五十一年度の予算要求について、特に金融公庫の面について戸数をどのくらいいま大蔵折衝で要求しているのか。それから、制度として二本立てになるということですけれども、その二本立ての中の五分五厘の方を、パーセンテージでいいですけれども、どの程度に、それから七分にするという方を何%ぐらいに要求しているのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  81. 山岡一男

    山岡政府委員 来年度は、優先的に貸し付けを行うという従来の五分五厘を守りますもの、これを個人建設で十二万七千戸要求いたしております。それから七%ものを、若干金利が上がりますけれども、そのかわり融資対象住宅の規模を少し大きくするとか、それから据え置き期間を設けるとかいうようなことを念頭に置きまして、十万九千戸を要求いたしております。足しますと二十三万六千戸でございます。それにマンションも足しますと、マンションが二万三千六百戸要求いたしますので、合計では、個人住宅分といたしまして二十五万九千六百戸という要求をいたしておるわけでございます。
  82. 中村茂

    ○中村(茂)委員 この二本立てという問題ですけれども、結論から言うと、私はそういう方法をとるべきではない、こういうふうに思うのです。  というのは、ここのところ、金融公庫の利用の状況をずっと見ますと、四十三年から四十九年までの経過を年齢別にずっと見ていくと、四十三年の当時は三十代が比較的一番多かった、しかし四十九年ごろになってきますと、それが四十代に利用の年齢が移ってきている。それから職業別に見ていきますと、会社、公務員、この人たちが約七五%、あと商店、自由業、農業、これが一一%、それから団体役員等が五%、その他というふうになっているわけです。そして、収入の階層別比率で見ていけば、やはりこれも順に上がってきまして、四分位ぐらいのところがずっと上がってきている。三、四が一番多くなってきている。それと、住宅を建てるについてどのくらい資金が必要かという面から考えていけば、四十五年から四十九年にかけて、これは相当な額で上がってきている。そして、四十九年の場合には平均して七百三十三万円なければできない。そのうちの住宅金融公庫の占める割合というものが大体三八%、その他は自己資金とかまたはその他の金融機関から借りる。こういうふうに見ていきますと、この二つに分類して、五分五厘の方をどういう階層の人にしていくかということも、非常にむずかしい問題になってくるというふうに私は思うのです。  というのは、もう一軒の家を建てるということになれば七百三十三万円もかけなければだめだ、そして五分五厘のいままでのものを借りる場合に三八%で、あとの者は違うところからまた借りてこなければならぬ、こういう実情になってきておるということ、それから金融公庫の制度をつくった目的、これはもう第一条ではっきりしているわけでありますけれども、こういう目的からしても、二つに分けるというようなことはその目的に反してくるのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。  それからもう一つは、この五分五厘というのは法律で決まっているのですね。財投の場合に法律で決まっている例というのは私は少ないと思うのです、ほとんどないと思うのです。何で法律で決めたかといえば、やはり目的で言っておりますように、他の金融機関よりも低利で貸すというところに意味があるのだ、そして五分五厘というものが法律で決まっている。恐らくこれを改正するにはまた法律を出すから、そのときにおまえ論議すればいいじゃないか、こういうことになると思うのですけれども、出してくれば、今度それを通そうと思って皆さんまた一生懸命になるわけだが、これは何といっても、目的から言っても、七分の方でそういうものをつくりたいとすれば、また別な法律をつくるか、別な角度からそういうものを住宅の面にやっていくべきであって、金融公庫で取り扱う金利についてはあくまでも五分五厘というものを貫徹する、こういう趣旨が生かされなければ、この制度を取り入れてやっていく趣旨というものが半減されてしまうし、没却されてしまう、こういうふうに思うのです。  いま要求段階でそういう案を出しているわけでありますけれども、その点については、これは住宅政策を進めている建設省としては十分考えていただきたい。  大蔵省はいろいろ言うでしょう。大蔵省は言うでしょうけれども、こういう住宅政策を進めている建設省としては、その大蔵省の言い分に簡単に乗ってこういう二つのもので出してくるということについては全く反対であります。もう一度ひとつ何とかならないか。
  83. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますように、政策金利ということで五分五厘をずっと踏襲してまいりました。しかし、住宅金融公庫の個人住宅融資については、最近の状況でもおわかりいただけますとおり、非常に要望が多うございます。それで今後もますます一層拡充したいと考えておるわけでございますが、一方、限りある補給金とか財政投融資の中の運用でございます。特に累増して積み増していくというようなことがこの利子補給金にはございます。五十年度は五百億程度でございましたけれども、五十一年度にはこれが九百億程度になるというふうに、相当な額でふえていくものでございます。したがいまして、他の、たとえば傾斜家賃等で行っております、だんだん所得が上がっていけば家賃も上がっていくというような応能的な考え方というものも一部導入をいたしまして、そのかわり大いにふやしたいというのがわれわれの真意でございまして、そういう意味から申しますと、若干戸数といいますか、規模も大きなもの等考えておりますし、貸し付け条件の中でも据え置き期間を考えまして、利子は七分になりましても償還金には余り差がないというようなことも検討してまいりたいと思っておりますが、将来そういうふうな二銘柄をつくりまして大いに伸ばしていきたいと思っておるわけでございます。  それから、先ほど公庫のいろいろな実情について先生お話がございましたが、全部おっしゃるとおりでございますが、最近の年齢層で見ますと、大体平均で申しますと、四十五年から四十九年まで三十七、八歳というところが全部中心になっておりまして、その点だけがちょっとデータがわれわれの持っておるものと違うようでございます。  それから、制度の中で金融公庫法の目的から見ておかしいじゃないかというお話がございましたけれども、金融公庫法では、他の金融機関が融資をしないものを貸すのだ、こう書いてございます。現在、他の金融機関の一番の最低でも努力いたしまして九%と言っておりまして、やはり七%は一般の金利水準から見れば、他の金融機関ではとうてい及びもつかない金利というふうに現行では考えております。  それから法律でございますけれども、五分五厘のものにつきましては、先生おっしゃいますように法律で五分五厘と書いておりまして、これは将来といえども変えることはないというように考えております。五分五厘以内で政令で定めるということになっております。  それから今回のものにつきましては、やはり新銘柄をつくるわけでございますので、法律改正等を要します。したがいまして、その節にはよろしくお願いしたいと思っておるわけでございます。
  84. 中村茂

    ○中村(茂)委員 この問題についてはまたじっくりやります。  もう一つだけ。公営住宅法の十七条で単身者については入居資格がないということで、特に身体障害者の場合に、新聞で報道されておりますように、福岡で問題になっています。それから、局長も御存じのように、社会党の政策要求のときにもそういう方が見えまして、身体障害者で公営住宅から締め出されて、入りたいけれども困っている、何とか道はないか、こういう訴えがありました。この十七条については裁判にも持ち込むというような新聞記事も出ていますけれども、確かに身体障害者等で入りたいという場合に締め出されている面が非常に多くあるわけであります。こういうものを、法律でそうなっているからという面もありますけれども、行政指導なり何なりで、そう全国的に数が多いわけではないわけでありますから、何とかできないのか、こういう気持ちを強く持つわけでありますけれども、この点についてどういうふうにお考えですか。
  85. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、公営住宅法の十七条で二人以上の世帯ということに法律上は決めております。しかし、公営住宅法施行当時に比べまして住宅事情も相当変わってまいりました。世帯人員、構成等についてもかなりの変化が見られます。住宅宅地審議会答申におきましても、今後老人、寡婦等の中高年齢層の単身世帯がふえるぞ、そういう方々に対する公的住宅供給が必要だぞという御指摘をいただいております。今後も中高年齢層、身体障害者、寡婦等の単身世帯の増加は目に見えておりますので、これの事情を考慮いたしまして、適当な機会に公営住宅法の改正等につきましても前向きの姿勢で検討してまいりたいと現在考えておるわけでございます。  ただその場合も、既存の公営住宅の中に1DKみたいなものが相当ございます。将来いろいろな住みかえ等も今後の供給計画に活用したいと考えておりますので、まず第一次的にはそういうふうなものの住みかえの中で大いに活用してまいりたいというふうに考えておるのが現状でございます。
  86. 中村茂

    ○中村(茂)委員 終わります。
  87. 天野光晴

  88. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 各委員からそれぞれ質疑が続けられておりますから、一部重複するかもしれませんが、なるべく簡単に御答弁を願いたいと思います。  第二期住宅建設の五カ年計画が終わるわけでございますけれども、この達成率が大変疑問視をされております。特に、五十年度の計画戸数が一〇〇%達成されたとしても恐らく第二期住宅建設五カ年計画達成は不可能であろう、こういうふうに見られるわけでございます。そこで、第二期住宅建設五カ年計画に伴いましていわば宅地供給計画が立てられておりますが、この七万五千平米に対して実際の実績は六万九千六百平米、九二・八%の達成率だというふうになっておりますけれども、現実には各単年度では一体どのような状況になっておるのか、わかりましたらちょっとお知らせを願いたいと思います。
  89. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 第二期の五カ年計画に対応します全国の新市街地における宅地供給の単年度の実績につきましては、昭和四十六年度が一万四千二百ヘクタール、四十七年度が一万四千五百ヘクタール、四十八年度が一万三千七百ヘクタール、四十九年度が一万三千六百ヘクタール、大体平均いたしますと、年間約一万四千ヘクタールぐらいになります。
  90. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 新聞情報によりますと、民間業者による宅地開発と供給が大変に冷え切ってきた、そういう現状を打開するために、国土法上によるいわば土地取引の認可となる価格の引き上げをやろう、そして各都道府県との詰めを行っておるというような報道がなされておるわけでございますけれども、これは国土庁かと思いますが、その具体的内容をお聞かせ願いたいと思います。
  91. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 お答えいたします。  実は国土利用計画法の施行も一年を迎えるわけでございます。この一年間にいろいろな問題がございましたが、大観いたしますと、自画自賛かもしれませんけれども、適確に運営されてきたのではなかろうかと思うのでございます。その結果もこれあり、公示価格におきましてはことしの一月一日に対前年比全国で九・四%下がりまして、そのまま横ばいの状態で今日まで来ております。この価格を引き上げるとか、そういうようなつもりは毛頭ございません。  先ほども申し上げましたように、この一年間を振り返りまして、国土利用計画法施行上各県ごとに基本的な問題におきまして非常に不統一な点も散見される等のこともございまして、先般来九月、十月と各都道府県の代表も加えまして、運用改善研究会というのをやってまいりました。その結論に基づきまして、昨日と本日と二日間にわたりまして全国の土地対策課長会議を開催しているわけでございますが、その席上で、法律に言うところの届け出を受けました場合に「著しく適正を欠く」価格という場合に勧告を出すわけでございますが、その「著しく適正を欠く」という範囲はどのぐらいであるべきかという議論が実は昨日も行われたわけでございます。従前、四十七都道府県ごとにそれぞれ一定の許容範囲を県単位である程度決めておったようでございまして、中には五%を超えたらもうこれは勧告だというような県が実は二県ぐらいあるわけでございます。この県に対しましては他の諸県から、それは余りにも厳しい運用に過ぎやしないか、あらかじめ都道府県が調査しておきます標準地の価格自体が、これは人間の鑑定評価することでございますから、やはり何%かの許容範囲はあってしかるべきであるのに、その価格を五%超えたらもう直ちにこれは著しく乖離しているんだというような運用をやっているのは少し行き過ぎではなかろうかというような意見も、相互批判の一つとして出ているのでございまして、そういう県におきましては、この十二月二十四日に満一年を迎えまして次の第二年目に入るわけでございますが、その際に改善すべき事項の多々ある中の一つとしてそれも再検討してみたいというふうに言っており、また国土庁としてもそれが適当な措置であろう、こういう指示をしたのでございます。これが新聞報道におきまして、従来全国的に五%でやっていたものを四倍の二〇%に緩和する、こういう指示を国土庁がしたかのごとく報道されておりますので、諸先生にも大変御迷惑をおかけしている点でございます。  真相を申し上げまして答弁とさしていただきます。
  92. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 冒頭に計画局長にお聞きをしたように、いわば単年度でずっと見ていきますと、そんなに極端に供給が減っておるということが言えない現実が私はあったと思います。にもかかわらず国土庁の方では、大変冷え切ってきたからこの辺でぼつぼつ緩和措置をという、こういう一連の流れが、どういうふうに冷え切ってきたのだろうかと見ていきますと、計画局長に答弁を求めれば、各単年度の比較をしていきましてもそんなに緩和をしなければならぬというほど厳しいものではないのではないか、こういう答弁でしたね。したがって、そこに実は矛盾を感ずるわけでございまして、現実にわれわれが国土法を立案するときにも、土地の価格の規制、いわば引き下げということが最大の眼目であったわけです。それが現実に、では不況の影響を受けて実際には鎮静をしているかのように見えるけれども、本来的な目的を達成しておるだろうかと見ていけば、まだまだ法律を立案した当時われわれが頭の中に描いた価格に、それ以下になったかということになると、私はまだまだその域まで達していないという判断をしておるわけですね。にもかかわらず新聞報道によれば、規制緩和の方向をたどる、まあ国土庁はいま訂正をされましたけれども、少なくともいまの段階でそれをおやりになるということについては、私は大変な疑問が出てくる。むしろ国土法の中にいろいろ規定をいたしました遊休土地の利用方法――遊休土地そのものも全国では相当あるはずですね、必要ならば遊休土地の指定もできるようになっておるし、都市計画の網もかぶせられるようになっておるし、いろいろな措置が実はあるわけです。実際には遊休土地の所在が確認されておると思いますが、現実に法の運用はそこまでは及んでいないのですよね。そういう実際に宅地供給の完全を期するという諸方策が十分でないままに、すぐに価格面の方に施策を変更していこうとする姿勢そのものに、私は問題があるのではないかと思うわけですが、価格面以外にどのようにして供給を増加していこうとしておられるのか、この辺を少し御説明願いたい。
  93. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 まず冒頭に、重ねまして、価格を引き上げるあるいは規制を緩和するというような気持ちは毛頭ないということを申し上げておきたいと思います。  価格面以外の供給促進措置というようなお尋ねでございますが、おっしゃるとおり、現在の民間業者の供給の意欲なりあるいは数量的なその結果なりというものにつきましては、私ども決して前年に比べて減少しているとかあるいは供給意欲が減退しているとか見ておりません。向こう二年分、場合によっては三年分以上の土地が買いだめされておりまして、これらにつきましては、御承知のように四十四年一月一日以後取得の土地ですから、特別土地保有税という非常に重い税金も課せられておりますし、金利のついた金で買っているわけでございますから、供給には出さざるを得ない状態に企業はあると私は認識しております。  この直ちに開発し得る市街化区域内に企業が持っております土地を私どものところで推計いたしてみますと、約三万ヘクタール以上ございまして、先ほどの公共開発、民間開発全部合わせましても年間一万四千ヘクタールが平均だということになりますと、仮にその中の六割が民間であったといたしましても二、三年分は土地はあるわけでございますから、私どもは当面のところ供給減になるというような心配は持っていないのでございます。  そこでさらに、二、三年そういう見通しでございますが、その見通しに多少でも現実が適合しないというような点が出ました場合には、国土利用計画法に遊休地に関する措置等も御規定いただいておるわけでございますから、適確な運用をしてまいれるわけでございます。  ちょっと長くなりますが、現在その遊休地に関する措置の発動が一件もない、これは先生おっしゃるとおりでございます。これは現在地価が横ばい、地域的には弱含み横ばいの地域もあるわけでございまして、したがってこういうさなかに民間の土地を利用促進をする、そして言うことを聞かない場合には買い上げるということになりますと、金利のついた金で都道府県が買い上げましても、先行き弱含み横ばいである、値段が下がるかもしれぬということを都道府県は非常に心配しておられる。それから第二点は、やはり現在の都道府県の財政状況が非常に悪い。この二つのことで、現在十カ所ぐらい各県別に具体化しつつあるものがあるのでございますが、財政当局、企画当局との話し合いその他が難航いたしておりまして、指定という段階まで至っていないということでございます。
  94. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 遊休土地の指定あるいは公有地拡大法によるところの取得、これはいろいろあるかと思いますが、いずれにいたしましても、いまお話がございましたように地方公共団体が土地取得の財源というものをやはり持たないとなかなか進まない。むしろ、公有地の先買い権を発動して先買いをしておるのだけれども、各都道府県を調べますと、政府の公共事業投資の抑制によってその金利に追われておるというのが実際の現実の姿なんですよね。だからこの辺を一日も早く訂正をしていかなければならないし、さらには公有地拡大法に基づく買い取り協議の成立状況を見ていきましても、過去の実績を見ていきますと、実際には協議が成立する件数というものは非常に低いわけですね。したがって、国土法による買い取り協議ももちろんあるわけでございますので、過去の実績に基づいてそれらがいわばスムーズに行われるようにするためには、一体どうしていこうとなされているのか。これは先買い権は前の法律によってもあったわけですから、それが実際の現実実績から見ていきますと、協議が成立しておるものが非常に低い。そういう中で、それらのものを補完する施策として何があるだろうか、これをやはり考えておかないといけないのではないか。供給が少なくなったから少し価格を引き上げてやろうかということに安易に走りますと、われわれが土地の規制をやろうとしたその本来の目的が一瞬にして崩れてしまう、こういうことでございますから、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  95. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 公有地拡大法、今回の国土利用計画法による買い上げ協議、こういった公有地を先行取得しておきたいという制度は、本来二つの目的から生まれていると思います。一つは、地価が先行き上がるという状態下におきまして、なるべく安い状態のうちに取得をしておきたいということ。それからもう一つは、将来の用地取得事務、これが大概の場合は非常に難航するわけでございますが、そういうことを考えてあらかじめ円滑に用地を備えておきたい。こういう二つの目的だと思うのでございます。  ただ、地価神話が崩れました今日、非常なさま変わりでございまして、二つ申し上げました目的の中の将来の地価上昇に対処しておこうという部分につきましては、政策の運用に当たりまして多少考え直さなければならない点もあるんじゃないかと私は思うのでございます。しかし、依然といたしまして将来の公営住宅用地なりあるいは学校施設用地等につきましてあらかじめ安い段階に必要な土地を備えておくという施策部分は、これは大事なことだと思います。そういうことを勘案いたしますと、これからの先行取得に当たります場合のその資金の金利という問題が一番大きな問題になるのじゃないか。たとえば金利八%、九%という金を使って公有地を先行取得しておきますと、一年たてば八%部分地価が上がるわけでございます。二年たてばそのまた八%上がる、こういうようなことでございますので、私ども公有地を獲得するための基金というか土地資金の手当てを、もっと金利の安い形で、一言で言えば利子補給しながらとでも申しましょうか、こういう地価横ばいの状況下における先行取得に当たりましては、本当に必要な部分についてはそういった質のいい資金を用意するという方向に進まざるを得ないのではないかという感じもするわけでございます。  ただ、いまも申し上げましたが、本当に必要な土地でなければいけない。余分に買い占めておくということはもうできない時代になっているかと思います。そこら辺、今後の検討課題の一つといたしまして、研究会等を設けて現在検討を進めておるわけでございますが、国の財政状況はことしも来年も非常につらかろうと思います。したがいまして、その状況下でどこまで実現できるか。私個人といたしましては、現在成算が十分にあるわけではございませんけれども、諸先生のお力添え等にもよりまして、今後とも検討の成果を出していきたいと考えております。
  96. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 あわせて建設省の方にも、その宅地供給の件で同じような意味でお聞きをしておきたいわけですが、第三期の五カ年計画を拝見しますと、公的機関による開発計画が一万七千平米というふうに計画をされておるようでございます。具体的にはどのような公的機関によって開発供給されるのかよくわかりませんが、過去の実績を見ていきますと、この面では公的機関による宅地供給が大変進んでいない、こういうことが言い得ると思いますが、こういう面に対して今後どのような措置をとっていかれるつもりなのか、その辺の対策をお聞かせ願いたい。
  97. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 お答えいたします。  公的機関による開発の主体は、先生御承知のような宅地開発公団あるいは住宅公団といった公団、それから地方公共団体、それから地方住宅供給公社等の公社、この三本が従来も柱でありましたし、これから第三期においてもそう考えております。これらの公的機関による宅地供給が進まなかった理由というものは、一般論で申しますと、公的機関の宅地開発というのは民間に比しまして大体規模が大きいものが多い。それから低廉な供給を期するためにやはり縁辺地等が主体になりますので、環境問題とか水問題、交通問題、なかんずく地方財政の問題、関連公共公益施設に伴う財政負担の問題が多いということが、公的な供給をおくらせ困難ならしめている原因であったというふうに考えているのであります。  これに対処しましては、従来からもやってきている問題でございますが、何よりも地方公共団体特に市町村の財政的な措置を援助するということが重点でございまして、従来から国庫補助率とかあるいは起債の充当率のかさ上げ等を行う、あるいは地方交付税の特例措置を設けろ、あるいは立てかえ制度を強化改善する、あるいは地方債の拡充をいたしまして、またこれに対して利子補給を行う、あるいはまた宅地開発公団による直接施工の制度を設けるというような制度をとってきたわけでございまして、特に来年昭和五十一年度におきまして、われわれはこの地方公共団体等に対します立てかえ制度をもっと拡充強化する必要があると考えまして、公庫等におけるそういう制度を来年の重点として要求しようとしている次第でございます。
  98. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いずれにしても地方自治団体の財政強化ということが必要だということでございますから、その面に対する格段の努力をひとつ強く要請をしておきたいと思います。  次に、建設省が五十一年度の概算要求をなさっておられる中で、住宅金融公庫の件があるわけでございますが、第三期の住宅建設計画を見ますと公庫住宅戸数が二百二十万戸というふうに、従来から比べればきわめて急増をいたしておるわけでございます。これは、公的資金による住宅建設戸数の中に占める公庫住宅の割合が六割になります。第二期はどうなっておったかと見ますと、大体三割五分、三五%という実績であるわけですが、それらから比べますと非常に大幅にこの第三期の中では上回っておるわけですけれども、それならば公庫住宅のこれから来年度における一戸当たりの貸付枠というものを一体どういうふうに考えておられるのか。これも資料によれば四百五十万を五百万に上げたい、こういうことのようでございまして、貸付金利は五・五%だ、こういうふうになっておりますが、その理由を見ていきますと、いわば居住水準向上を図るために融資規模を引き上げる、融資単価の是正を図っていくんだ、これが一番大きな理由として第一項に掲げられておるわけです。  そこで私自身疑問に思いますのは、いままでの融資規模は大体よかったのだ、しかしこれから国民の要望に従って居住、つまり住宅の質の向上を図らなければならぬ、そのために貸付枠をふやしていくんだ、こういうふうに聞こえるわけです。裏返してみますと、いままでのような質の住宅であるならば非常に妥当であった、しかし質を上げなければならぬから枠をふやしていくんだ、こういうような理由が一番大きく取り上げられておるように思うのですけれども、これは過去にも再三指摘をいたしてきましたように、本来的に住宅金融公庫法を見れば、建設費の大体八割五分までを貸し付けろ、こういうことになっておる。しかし実際には標準価格というものが設けられてしまっておって、あたかも建設費の八割五分を貸し付けるような体裁は整えておるけれども、実態は五割にも満たない。極端に言えば、三割程度にしかすぎないというところが大半であるわけですね。そういう実態がありながら――それらを基本的に直していくということのためにその枠を向上させていこうとする姿勢ならわかるのですよ、そうではないように思うのですが、どういう御認識でしょうか。
  99. 山岡一男

    山岡政府委員 現在住宅金融公庫融資をいたしております住宅の規模は、平均で九十六平方メートルくらいになっております。地方に参りますと百平方メートルを超えるものも相当ございます。したがいまして、大宗となっておりますでき上がった住宅そのものの水準は、どちらかと申しますとわれわれがねらっております六十年の平均水準というところにまで公庫融資対象戸数につきましては大体いっておるわけでございます。したがいまして、実は先生おっしゃいますように、公庫法の許す範囲内で八割五分というような融資をしたいのがわれわれの本当の望みでございますけれども、毎回申し上げておりますように、四十六年に平均九十万だったものをやっとここまで引き上げてまいりました。それで来年もまた財政投融資を非常に多く要求いたしております。それやこれやを検討いたしますと、やはり実現可能性のあるところをねらいまして、着実に上げていこうということでございまして、確かに標準規模を上げて、それの何割というような見せかけの計算ではなくて、お貸しする実額を上げていきたいというのがわれわれの真意でございます。大体ことしまでの平均が三八%をちょっと超すというような融資になっておりますが、来年も四割五分から五割ぐらいの融資をねらいたいというのがわれわれのねらいでございます。
  100. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この標準建設費というものが決められますね。その標準建設費は一体幾らを想定されておるのでしょうか。
  101. 山岡一男

    山岡政府委員 まことに申しわけありませんが、ちょっと手元に資料がありませんで、すぐ調べて御報告いたします。
  102. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 本来ならば建築費の八割五分、しかしそれを超える場合には、標準建築費というものがあってそれの八割五分まで、そういうふうに理解をすべきだと思うのですけれども、標準建築費を逆算をしておられるようなことはないでしょうね。
  103. 山岡一男

    山岡政府委員 数字はただいま御報告いたしますが、実際は見せかけの計算ということだと私は思っております。最終的には実額で考えるべきだというのが私の考えでございます。
  104. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私が聞いているのは、四百五十万円を五百万円にしたい、しかしその五百万円が大体八割程度になるように逆算をして標準建築費というものを定められるようなことはありませんかと聞いておるのです。
  105. 山岡一男

    山岡政府委員 予算要求の説明資料といたしましてはそういうこともいたします。そして実際は標準建設費に掛けるとこういうようになるじゃないか、実額といってもこれが妥当じゃないか、こういう説明をしておるわけでございます。
  106. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その辺が私は大変問題だと思うのです。したがっていわば公営住宅にいたしましても地方の超過負担分がべらぼうに多くなってくる。実際には公営住宅をつくる場合には、国が半分、県が四分の一ですか、地方自治体が四分の一という原則がありながらも、実態はそうではない。その実態が非常にお粗末なものであるのを、逆に変な価格を決めてしまってそれに合わしてしまう、こういうやり方ですからね。こういうごまかし的なやり方というものは本来許されるべきことではないわけですから、それを基本的にどう直していこうとしておられのか。財源そのものが少ないからやむを得ないのだと言ってしまえばそれまでですけれども、それは法そのものをもう少し尊重する立場でどうしていかなければならぬかということが当然なければならぬと思うのです。いかがですか。
  107. 山岡一男

    山岡政府委員 公営住宅公団住宅のように、本当に家を建てなければならないというものにつきましては、標準建設費で家が建つようにしたいということで、従来も単価の改定等につきまして格段の努力をしてまいってきておるつもりでございます。ただ、公庫法におきましても実は八割五分以内と書いてありまして、実際の掛け算としては本当は四割でも五割でも通ると私は思います。通ると思いますけれども、前年度の対比上そういうものをつくるというだけでございまして、私はあくまで公庫につきましては、公庫へ行けば何百万借りられるということが最後に一番頼りになるところであるし、そういうことを念頭に置きまして、実現可能なものを要求してまいりたい、そういう態度で公庫につきましては臨んでおるわけでございます。
  108. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 二、三代前の建設大臣にも実はこのことはお尋ねがしてあるわけでございまして、現建設大臣は、このような法律のもとで、住宅金融公庫融資によって国民住宅を建てるわけですけれども、その住宅を建てる場合一体どの程度融資をするのが妥当だとお考えになっておるのか、ひとつそのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  109. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 公庫にも八〇%以内になっておればそれはそれにこしたことはないでしょう。ただ現実の問題として、渡辺議員さん御承知のように、一体公庫持ち家住宅を重視すべきか賃貸住宅を重視すべきかということもこの委員会でもしょっちゅう議論になっておる。私どもは本当に所得の低い階層の人々やその他の人々のために公営公団、いわゆる公的住宅をつくるということを第一義に考えていかなければいかぬと思っております。しかし、実はこれにも限界があるわけでありまして、精いっぱいやっておりますけれども、地方公共団体の問題もありますし、用地等の問題がありまして、予定どおり進まないことでおしかりを実はいただいておるわけであります。  そういう場合に、では公庫は規定どおり全部取ったらいいじゃないかということになりますと、たとえば八〇%出すといたしましても利子は五・五%でなくてはならぬ。いろいろ議論もされておるわけであります。その利子補給が一体どれだけ要るかと言えば、補正を含めますと今年約六百億近く要るでしょう。来年になれば九百億、一千億近くになってくる。雪だるまのようにどんどん一般会計から利子の補給をしなければならぬような状態が果たして続けられるかどうかということを、私ども多くの仕事の折衝の段階で非常に懸念をいたしておるわけであります。公庫住宅は進めなければならぬけれども、少なくとも公庫住宅の人のためにのみ一般会計から特別な資金を取ってしまって、ほかにしわ寄せが行くようなことになってはならないし、重点賃貸住宅に置きながら公庫住宅にもできる限りのことをしたいという――私が冒頭に実はここでどなたかの御質問にお答えしました、一年間やってきて一番むずかしい問題は住宅問題で、私自体まだ自信がございませんということを申し上げましたが、そのとおりでございます。公庫も理想どおりにやりたいんですけれども、いけない。まあ八〇%以内であれば、現実でも四百五十万にして――恐らく現実に建物を建てるというと四〇%じゃ足らぬでしょう。自己資金も要りますし土地も自分で持たなければならないし、あるいは別の住宅ローンも受けなければならぬという条件が全部整ってでありますけれども、それでも受け付けをすれば一律に何倍かの申し込みがあるということを考えてみると、やはりそれだけの希望者があるとすれば、これは希望者に甘えるわけではありませんけれども、現実にそれで消化ができているわけでありますから、八〇%でなければ借り手がないというのなら、これは話は別でありますけれども、そうでないわけです。これは現実に甘えるわけじゃありません。そういうふうにして現実の問題を実は処理いたしておるわけでありまして、それ以上私どもは精いっぱいのことをやりたいと思っておりますけれども、ほかの住宅との均衡もあるものでありますから、現実的な解決のために大蔵省との折衝をいたしておるわけで、理想はおっしゃるとおりであります。
  110. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 現実面はわかるのですよ。しかし、ビジョンはやはり持たなければいかぬ。これは木村大臣のときだったと思いますけれども、木村大臣は、七百五十万程度は必要だと思いますと、こうはっきりおっしゃっているのですよ。だからそういう面から見ていくと、だんだんだんだん後退をしていってしまうのではないか。ビジョンは持ちながらもそれに近づける努力というものはやはりやっていただかなくてはいかぬ。そういう意味では、放言さえすればいいということではもちろんありません、現実になっていかなければだめですから。しかし、この概算要求を見ていきますと、例年と比較いたしまして財政が非常に苦しい時期であるから、上げ幅が非常に少ないということはあり得るかと思いますが、確かに例年に比べて低いのではないだろうか、三百万から四百五十万になり、四百五十万から五百万にしようという要求ですからね。この要求がそのまま通るか通らぬかまだわからない、こういう段階ですね。最悪の場合は据え置かれてしまうかもしれぬ、こういうことですから、そういうときにこそしっかりとした将来ビジョンの上に立ってがんばっていかないと、現実の中に埋没をしてしまうとやはりぐあいが悪い。余りにも現実考え過ぎてしまって、みずからの要求、あるべき姿というものが忘れられてしまうというおそれがあるものですから、あえて実はお聞きをしたわけでございまして、その辺ひとつしっかりがんばってもらいたいと思います。  それでは大臣は結構です。  あともう一問だけ質問いたします。  この概算要求の中で、建設省は、いわば民間賃貸住宅の家賃補助について要求をされておるわけでございます。これは具体的に言うとどういうことになるのか。この中で「基準家賃」とかあるいは「入居階層の適正家賃負担額」というような字句があるわけでございますけれども、具体的に言いますと、この「基準家賃」とか「入居階層の適正家賃負担額」というものはどのようなものであるのか、あるいはどうして御決定されるおつもりなのかお聞かせ願いたいと思います。
  111. 山岡一男

    山岡政府委員 先生御指摘のとおり、来年度「低所得者向け優良民間賃貸住宅家賃対策補助事業」というのを要求いたしております。これの考え方は、三大都市圏におきまして良質な民間賃貸住宅の供給を促進し、あわせて低所得の住宅困窮者対策にも充てたいということでございまして、地方公共団体が適正な水準の民間賃貸住宅の経営者に対しまして、相当期間家賃を引き下げるための補助を行うというような場合には、その一部を国が補助するという制度でございます。  現在、予算要求段階で考えておりますのは、基準家賃といたしましては、現在すでに先発制度でございます特定賃貸住宅とか農住だとかいろいろな制度がございます。それらに類似をいたしまして、建設工事費、それから地価を基準といたしまして算出いたしました償還金、維持管理費、損害保険料、地代相当額、公租公課、それに空家引当金を合計いたしましてそれを基準家賃にいたしたいという要求をいたしております。  それから適正家賃負担額ということにつきましては、一種公営住宅の入居階層の標準世帯に対しまして、予算要求では現在のところ六分の一、一六%程度のものを掛けたものとの差額を要求いたしておる次第でございます。
  112. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 首を出すだけの新規事業ということですから、対象範囲が非常に狭いかと思いますけれども、将来的にはこれは一体どうなさっていくつもりなのか。これはいわば間接的な家賃補助ですね。個人にストレートに補助するのではなくて、建設者に対して補助する、あるいは持ち主に対して補助するという方向なんですが、そういう方向が将来的に一体どの程度拡大をしていかれるのか。この案で見ますと、「第一種公営住宅への申込資格者から公募により決定する。」そういうことになっておろうかと思いますが、いわば「第一種公営住宅への申込資格者」というものに限定されるということでありましょうか。     〔委員長退席内海(英)委員長代理着席
  113. 山岡一男

    山岡政府委員 これも今後の政策上の位置づけについては大変むずかしい問題かと思うのでございますけれども、われわれはあくまで公営住宅を提供していくというのが本筋だと思っております。したがってその補完の対策ということでございまして、現在、東京大阪等住宅行政担当者と協議をしておりますうちにそういうこともやってみたらどうかというアイデアが生まれまして、今回のことになっておるわけでございます。したがいまして、もし本年度この予算が認められましたならば、その後の地方公共団体のいろいろな住宅事情等も十分勘案しながら、公営住宅の補完的なものとして伸ばしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  114. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 時間が参りましたから終わりますけれども、これはこの住宅補助政策そのものの大綱が決められて、そして少しずつそれが具体化されていくという方向の方がむしろ望ましいのではないだろうか。大綱が何となくぼんやりしておって、まずはできるところからというような方向ですね。それですから、実は対象外に置かれたところがらはいろいろな不満が出てくると私は思う。したがって、大綱が先に決まって、その中でまずとりあえずどこを対象に実施をしていくか、こういう方向であるならば、全体的に見て対象外に置かれる方も、やがてはわれわれの方へも、こういう希望が持たれるわけでございますけれども、きわめて限定をされた、しかも二千戸を対象にしているわけですから、非常に少ない。そうしますと、これは非常に大きな問題が出てくるおそれがあると私は思うのです。したがって、もう少し広範囲にわたる将来的なビジョンをやはり確立をする必要があるのではないか。その上に立ってどこから実施をしていくか、こういう方向が望ましいと思うのですが、どうなんでしょうか。
  115. 山岡一男

    山岡政府委員 この制度の運用に当たりましては、やはり公営住宅入居階層を公募によって決定するということが一番の中心でございまして、その選定、入居の管理は地方公共団体にやらしてもらうという趣旨でございます。したがいまして、初年度におきましては確かに二千戸ということでございますが、三大都市圏の中でいわば試みにやってみるというような色彩が非常に多うございます。先ほど申し上げましたように、その二千戸が本当にスムーズにいった場合どうするかということで今後についての検討を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  116. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わりますが、いわば公営住宅というものが国民のすべての要望を満たすだけの数がないのですよ。だから、申し込んでおいても当選できないだろうしということで、逆に無理をしてやっておられる方もあるわけですから、そういう方々は実際には対象外になってしまうのですね、申し込み者の中から厳選をするということですから。だから、ある一部の方々のみが利益を受けていくという形の発足ですから、いろいろな面で大変不満が出てくるのではないか。それにはやはりもっと将来的にどうしていくんだということを明確にしておかなければいけない、こう思いますから、その辺はひとつ十分御検討いただくように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  117. 内海英男

    内海(英)委員長代理 清水徳松君。
  118. 清水徳松

    ○清水委員 これは十二月の十六日の新聞で、自民党の税制調査会において市街化区域内の宅地並み課税の問題について審議をして、C農地には適用しない、CをA、Bに格上げするようなこともしない、それからまた三大都市圏以外の農地にも拡大をしない、こういったようなことを決めたようであります。     〔内海(英)委員長代理退席、唐沢委員長代     理着席〕 これと関連いたしまして、「宅地供給促進の期待消える」というような解説まで、これは朝日新聞でありますが、ついているわけでありますが、このことに関連して建設大臣、どのようにお考えになっておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  119. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 宅地並み課税の問題につきましては、先ほど国土庁長官もお述べになりましたとおりでございます。     〔唐沢委員長代理退席、委員長着席〕 本来の目的は、これは市街化区域ということが定められました以上は、それは市街化を十年以内に優先的にやるところですから、したがって、当然促進を図るという面と、それから、他の宅地との均衡を図るという面からA、B農地というものがあり、そしてC農地の一部につきまして建設省、国土庁、自治省相図りまして、その一部の拡大を提案した次第でございますけれども、五十一年度につきましては、固定資産税全般の引き上げというような問題もこれあり、それからまた市街化の進展の状況というようなものもありますし、先ほど国土庁長官の申されましたような諸般の事情もありますので、これは慎重に検討すべき問題であろうということで議論がなされている次第でございますが、われわれとしましては、市街化区域内において市街化を進めていくと同時に、宅地の供給をこれからも、特に大都市地域等につきましてはどんどんふやしていかなければ実情にこたえることができないということで、その隘路になっている諸問題について、これを小まめに着実に積み上げていって、そして拡大を図っていくという方針に変わりございません。先ほど御答弁いたしましたような、従来からいろいろな手法を、改善措置をとって、そしてその強化を図っている次第でございまして、今後ともこの強化策につきまして、特に地方公共団体の財政負担というような隘路につきましては、早急に解決しなければならない課題と考えております。
  120. 清水徳松

    ○清水委員 自民党の税調の決定が宅地供給促進の期待を消してしまったというような考え方が一部にあるようですが、それに対しての建設省あるいは計画局長としての御意見を承りたい。私は、そうじゃない、自民党の応援をするわけじゃないですが、そういうことじゃない。農地の宅地並み課税は必ずしも宅地の促進にもなっていないし、あるいはそれを撤廃することが宅地の増強の隘路にもなっておらないという、実は私個人的な考え方があるものですから、お考えを承りたい、こういうふうに質問したわけです。
  121. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 四十八年にA、B農地という制度ができまして以来、その実際の状況を見ますと、百十八市町村が事実上ある一部を返還というような形をしているというようなこともありますし、それからまた実績を見ましても、A、B農地を指定したことによってそれが宅地促進にわれわれはなっているとは思いますけれども、実績としては余りはかばかしくいっていないというような感じは持ちます。したがいまして、これのみが宅地供給の決め手というふうにはいまの段階では考えられないというふうには思います。他の制度も考えなければいけないというふうに考えている次第でございます。
  122. 清水徳松

    ○清水委員 これに関係してくるわけでありますが、去年の六月一日、この委員会で審議されました生産緑地法が施行されましたですね。それ以来この法律の実際の適用状況ですね、どのようなことになっておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  123. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 生産緑地法は昨年八月三十一日に施行いたしました。  現在のところ松戸市と、それから愛知県の豊明市、それから最近になりまして京都市が加わりまして、全国で百八カ所、総面積で三十五ヘクタールが第一種または第二種の生産緑地地区に指定されております。  なお、本年中に予定をしているところがかなりありまして、それは東京都の区部及び市部あるいは埼玉県の四市、それから大阪府の枚方市、名古屋市、こういったところでございまして、私どもが把握している数字は、これら合わせて五百十六カ所、約三百四十七ヘクタールが指定される手はずになっております。
  124. 清水徳松

    ○清水委員 この三大都市圏における農地は大体九万八千ヘクタールですか、そういう少なからざる広さを持つこの農地の中で、そのようなごくわずかしか生産緑地の指定を受けられないというのは、それはいまあちこち、ここもやる予定だ、ここもやったといったような御答弁がありましたが、非常におくれているのじゃないかというふうに私は思います。どうでしょう、非常に進んでいるとお思いでしょうか。そうなるとちょっと質問のやり方が違ってくるものですから。おくれていると思っているでしょうか、それとも進んでいると思っているでしょうか。
  125. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 法施行後一年ちょっとですから、そう進んでいるとは私ども思っておりません。ただ対象農地としては、この法律による指定の最大のメリットが宅地並み課税の適用除外というところにありますから、三大都市圏のA、B農地の面積だけを挙げますと約一万三千数百ヘクタールというものでありまして、それらを対象考えれば比率としてもまだはるかに少ないですけれども、十万八千ヘクタールを対象に法律はありますけれども、実際は対象とする面積は一万数千ヘクタールと私どもは考えているわけです。
  126. 清水徳松

    ○清水委員 いま、おくれておるというような御答弁だと思いました。大体このせっかくつくった生産緑地法、どこかにこれは実際適用する面で無理があるのじゃないか、非常に適用しようとしてもなかなか適用できない一つ隘路というものがあるのじゃないか、そういうふうに思います。私たちがこれを審議した際に、それぞれ後で修正されまして、〇・二ヘクタールというふうになりましたし、それからまた、これは区画整理をやらない地点においては一ヘクタール、こういうようなことになっておりますが、余りにもそれは広過ぎやしないか。それからまた十年間という、必ず農業をやりますという約束を取りつけるわけですが、いまのこの農業の就業構造といいますか、農業の労働者の構造からして、非常に年齢が高くなっております。そういうような状況の中で、特に都市近郊における農業就業者のその年齢というものは非常に高くなっておる。そういう段階で十年間といういわゆる必ず農業やりますというような約束を取りつける期間というものが余りにも長過ぎるんじゃないかというようなことで、この法律を成立さした折にはわれわれはそういう意見を持っておったために反対をしておったと思います。実際、今日この法律が適用される場合に、これらのことがやはり隘路になってなかなか適用ができないというような状況になっていやしないか、これをお伺いしたいと思います。
  127. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 確かに生産緑地の指定要件の規模の規定がありますし、それから期間も第二種でも十年間ということでありまして、そういう点でA、B農地等の所有者の方々も、これは同意制になっておりますから、この都市計画に同意しようかしまいかということで悩まれるケースは多々あると思います。しかし、もともと生産緑地制度は、できれば宅地供給に回したいという、そのために優先的に市街化しようという区域の中で、あえて宅地化を断念してまで環境機能及び将来の公共公益施設用地の保留地としての機能、この両機能に着目してあえて残そうというものでございますので、やはりそういった機能が果たせる、それによって都市計画指定ができるという最小限度の要件が必要だと考えております。  立法当初から主としてA、B農地、現在では一万三千数百ヘクタールになっているわけでございますが、これの一割とかあるいは多くて二、三割、そういったものが指定されることを推定しているということを申し上げてまいりまして、もちろんその数字にも現時点で達しておるわけでございませんけれども、三大都市圏のA、B農地が全部これで拾われる、あるいは大部分拾われるということはやはり都市計画の制度としては当初から無理であり、またそういうものを求めた制度でもない、そういうことでございます。
  128. 清水徳松

    ○清水委員 せんだっても農業団体の方からいろいろ御意見を承ったわけでありますが、この三大都市圏の生産緑地法の適用を受ける百八十何市ですか、その中で百十八の市が、せっかく生産緑地法があるのにやはり相変わらずこれを適用しないで、というのは適用しようとしてもなかなか困難だというようなことで、いままでと同じように生産奨励金なりあるいは生産緑地奨励金ですか、こういったような形で補助金を出してしのいでおるというような状況がいまだにもってあるということですね。特に現在は地方財政が非常に苦しい。そういう状況の中で、せっかく取った固定資産税の中からまた割り返してやる、こういうようなことが現実に行われておる。しかもこれが半分以上の市において行われておる。  先日私は、和光というごく東京に近いところなんですが、そこへ行きましたら、百分の一・四のうち百分の一を還元しておるというようなことを聞いてきたわけなんですね。こんな無理をせざるを得ないというのは、せっかく農業を少しでも守ってやろうという気持ちでつくった生産緑地法が、どこか無理があってやはり十分に受けとめられないでおるということがあるんじゃないかというふうにわれわれは痛感したわけなんです。  そこで、先ほど申し上げましたとおり、その適用の面積ですね、それが広過ぎやしないか、あるいはまた、この指定をするための条件である十年間という、これは区画整理をした段階の方ですが、その十年間というものが長過ぎやしないか、そういうふうなことを考えたわけなんです。実際自治体に行きますと、それが一番大きな原因だというふうに言われました。ですから、せっかく、よい都市環境をつくる、それから農業を守るということをうまく調和した法律としてこの生産緑地法をおつくりになったわけですから、これを本当に実効のある法律とするために、もう一度、これからいよいよ適用に加速度的に入らなければならぬ段階でありますので、これらの点において少しくやはり手直しをする、改正をするという必要があるんじゃないかというふうに思いますが、これは大臣、どのようにお考えになっておるか。これからが大変なときなんです。ぜひお答えを願いたいと思います。
  129. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 まず、百八十二市のうち三分の二程度の市で条例とか要綱により農業緑地の保全策を独自にとっていることは御指摘のとおりでございまして、これはもともと、宅地並み課税が四十八年から発足したときに、生産緑地法がおくれたもので、まだ未制定でありましたために、その対応策として各市が工夫して対策をとられたものが、そのときの農民の方との協定期間というものが三年とか五年というようなものであったために、なお経過的に残っていること、それから生産緑地法ができまして後も、生産緑地法の趣旨と同じでないもの、たとえば特産物の保護とかそういった別途の目的に出るものは、生産緑地法ができたからといってそれに一元化すべきではないという附帯決議もございまして、そういう趣旨で残っているものもあると思います。そういったことでありまして、生産緑地法が実態にそぐわないためにそういった各市での措置がとられているというのは順序が逆になっていると思います。  いずれにしても、規模要件、期間要件で、すべての農民の方が全部こぞって希望されるというような要件にはなっていないことはおっしゃるとおりですけれども、やはり市街化区域というほかならぬ最も貴重なしかも三大都市圏の中で、あえて都市計画の地域地区の一つとして位置づけた理由は、やはり相当長期にわたり保全される、それから規模もある程度あって環境機能にも役立つと言えるし、また買い取り請求などがあったときに市町村は買い取らなければなりませんが、その場合にいろいろな公共公益施設の何かに使えるというような幅広い可能性を持つということがどうしても必要だということでありますので、やはり生産緑地の制度をさらに趣旨を浸透して指導を進めていくとともに、運用に当たりましても、いたずらに厳格にすることがいいわけではなくて、法の趣旨に即して、運用の幅のあり得るものはそれを考えていくというふうなことをいたしたい。たとえば規模要件もおおむね〇・二ヘクタールとありますが、当時お断りもしたかと思いますけれども、〇・一五ヘクタールぐらいまでは当然入れていいのだ、おおむねというのはそういう意味だということも申しておりますし、お一人でそれだけの土地を持っていなくても、二人か三人集まってまとまっておればいいわけですから、農地という場合を考えればさほど厳しい規模要件でもないのじゃないか、こう考えておりますので、生産緑地法を改正するということは私どもは考えておらない次第でございます。
  130. 清水徳松

    ○清水委員 非常に弾力的にやっているから改正の余地はないとおっしゃったようですが、本当にいまの苦しい地方財政の中で、百八十二のうち百十八の地方自治体が割り返しをしておるというような実態があるということは、やはりこれは、せっかくつくった生産緑地法が、幾ら弾力的に運用しようとしてもそこに大きな無理がある、どうしても超えられない無理がある、こういうような感じがしてなりません。したがってこれは、せっかくの法律でありますから、ぜひ適用のしやすいような方向に改正しなければ実効がある法律にはならないのではないか、そのような感じがするわけでございます。そういうことで、今後とも、この生産緑地法の運用に当たっては、いわゆるよき都市環境をつくるためにも、これをぜひ改正していただきたい。  というのは、こういうふうに思います。ぼくらはこの都市計画、区画整理等がこれから最も必要とするようなところに住んでおるわけですが、仮に千平米なりあるいは五百平米であっても、生産緑地として、これは一種の場合ですが、指定しておいた方がむしろ後になって区画整理がやりやすい、こういうような結果が出てくる。私は、農業を守るという意味ももちろんありますが、むしろそれよりも、よりよい都市をつくる、都市環境をつくり上げる、こういう目的のために生産緑地法というものを改正して実効のある法律にした方が非常に効果を上げることができる、こういうような感じがするわけであります。  この生産緑地というものを余り細かく指定してしまうと非常に困るのだというようなことであったわけですが、実際、神奈川県にしても、それから東京都にしても、埼玉県にしても同じだと思いますが、現在においてはA、B農地なんというのはほんのわずかなんですね。C農地全部含めても一〇%なんかないのじゃないかというふうに言われておるわけですが、そういうような段階において、都市計画で生産緑地というものを虫食い的に点々と指定していく、こういったようなことは後になって大きな支障があるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。そんなに必要のあるものなのかどうか。
  131. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 生産緑地に指定されますと、第二種なら有効期限がありますが、第一種なら一応期限の定めのない都市計画として定められまして、その間、民間、個人等が開発行為や建築行為をすることは、農業に必然的なもの以外は許可しないということでございます。もちろん、公的事業が行う場合にはそれはやれる道はあるわけでありますけれども、やはりせっかく都市計画として長期間生産緑地を保全しようと決めたところに、あえて公共公益事業といえどもぶつかっていっていいかという、法律、制度とは離れたその根源の問題がやはり生ずると思います。  それと、第二種は十年ですけれども、五年たったら買い取り請求ができる。その前でも、亡くなられたり、大きなけがをされた場合には買い取り請求ができる。これは買い取らなければならないわけでして、買い取るという市町村が必ず買い取るためには、その市町村が近くやろうと思っておるようないろいろな公共公益施設の中で、その場所にふさわしいものに使える、その財源を当て込んで予備的に早目に買っておくというようなことでなければ、実際買い取りというものもむずかしいのじゃないか。そういうことで、幾ら小さいといっても、たとえば児童公園の標準的なものぐらいはできる程度の規模というものがありませんと、買い取りすらできないということになって、制度の根幹も崩れる。こういったいろいろな面から、やはり規模要件というものがどうしても要ると私どもは考えているわけでございます。
  132. 清水徳松

    ○清水委員 ちょっと私の質問の意味を十分理解していただけなかったような感じもするものですから、もう一回繰り返して質問いたしますが、私の言うのは、市街化区域の宅地並み課税をしないということは、単に農業を守るというようなことばかりが原因じゃなくて、むしろ、よりよい都市環境をつくるために一石二鳥の考えではなかろうかということなんです。たとえば第一種の場合は、いわゆる点々として虫食い的に生産緑地があっても、家が建っているよりはこれは区画整理が後になってやりやすい、私はそのように思います。それから第二種の場合でも、これからいろいろ変動する社会情勢に応じまして、やはり都市計画の変更等もあり得る、またやらなければいかぬと思います。そのときには、幾ら小さな農地であっても、ある場合において交換分合だとか、またはそのものをそのまま使うというような形で、とにかくオープンスペースとして残しておいた方がよりよい新しい都市計画をつくることができるというように感じるわけでございます。そういうことで、特に第一、第二種を問わず、実際はA、Bに関する限りは三〇%なんというものはありません。そういったようなことで、このようなパーセンテージにこだわる必要はないし、それからこの生産緑地に指定する場合の面積制限、あるいはまた年限についての制限なんというものはする必要はないというふうに、私は実際これからよい都市をつくるためにもその方がいいのじゃないかと思うわけですが、どうでしょう。やはりどうしても、これはある一定の面積を、たとえば第二種の場合は二千平米以上なければならぬし、第一種の場合は一ヘクタール、一万平米ですか、なければならぬというような、そういう制限をしないと、やはり後になってどうしても困るという、そういうようなお考えでしょうかね。むしろぼくは、そういうオープンスペースを残しておいた方が、今後の非常に流動する情勢に対応するためにやりやすい一つの可能性を残すことになるのじゃないか、そういうように思うわけですが、いかがでしょうか。
  133. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 区画整理とか街路事業とか、そういった公共事業を将来しやすくということだけを考えれば、確かにどこが予定地になるかわからないけれども、家をなるべく建てないようにしておければ、それだけ工事は楽になり、工事費も節約できることはおっしゃるとおりだと思います。しかし、ほかならぬ市街化区域でございますから、民間による、つまり個人の方々による開発あるいは建築ということを考えているその場所でございますので、これが生産緑地になれば禁止されるということで、そういった制限までするという公益性がやはりなければならない。その公益性というのは、環境保全の機能とそれから将来の公共公益施設用地の保留地としての機能、その二つの面から出てくるわけでございまして、十分権利制限とつり合いのとれた程度の公益性ということになれば、幾ら小さく点在していてもいいじゃないかということにはならないのじゃないか。そういう民間の開発の関係において、やはり限界がある。公共事業だけを考えればおっしゃるとおりかもしれないと思います。
  134. 清水徳松

    ○清水委員 時間がないので、どうも質問の意味そしてまたあれがかみ合わないような気がしてしようがないわけですが、きょうはこれでやめます。  せっかく自治省来ておいでになると思いますので、最後ですから、自民党の税調の方でC農地には宅地並み課税はやらないというようなことも決定したようですが、これは自治省としてはどのように受けとめて処置されるか、その点だけをひとつお伺いいたしたいと思います。
  135. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 三大都市圏内のC農地、それから三大都市圏外の市街区域農地の固定資産税の課税適正化につきましては、御案内のとおり四十八年度の地方税法改正法附則におきまして五十一年度までに検討しなければならないことになっております。それで私どもといたしましては、国土庁あるいは建設省からは、三大都市圏内のC農地につきまして五十一年度に評価がえが行われますので、それに伴って従来のA、B農地に格上げになるものについては適正化措置を講ずべきであるという御要望をいただいております。  また一方、市街化の状況等からいたしまして、C農地あるいはその他の市街化区域内に課税適正化措置を拡張することは適当ではないのではないかというような御意見もあるわけでございます。  そこで、私どもはこの問題につきましては国全体の土地政策にも関連するところが非常に大きい問題である、かように考えておりまして、五十一年度におきますところの評価がえの状況、市街化の状況あるいは生産緑地制度の運用の状況等々を見きわめながら慎重に検討しなければならないというふうに思っておりまして、現在この問題につきましては政府の税制調査会にもお諮りをいたしておるところでございまして、いずれ結論を得たい、かように考えておるところでございます。
  136. 清水徳松

    ○清水委員 終わります。      ――――◇―――――
  137. 天野光晴

    天野委員長 この際、本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  審査の方法についてお諮りいたします。  各請願の内容につきましては、文書表で御承知のことと存じますし、また理事会で御検討を願いましたので、この際、各請願について、紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採決を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、日程第一四、第一九ないし第二二、第二五、第二八及び第三〇、以上の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  141. 天野光晴

    天野委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり二十七件であります。この際、御報告いたします。      ――――◇―――――
  142. 天野光晴

    天野委員長 次に、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。  内閣提出、  建築基準法の一部を改正する法律案並びに  建設行政基本施策に関する件  都市計画に関する件  河川に関する件  道路に関する件  住宅に関する件  建築に関する件及び  国土行政基本施策に関する件について、先ほどの理事会の決定のとおり、閉会中もなお審査を行うため、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長への申し出に関する手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  145. 天野光晴

    天野委員長 引き続き、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について質疑を行います。瀬崎博義君。
  146. 瀬崎博義

    瀬崎委員 第七十五国会でも私がいろいろと質問を申し上げました件は、その後ほとんどが警察の捜査の対象になっております。一部は起訴も行われておりますが、例の上田建設グループの問題について、きょうは政府の責任に関して質問をしたいと思います。  三点あります。  その第一は、建設省として当然とるべき行政措置の責任を果たしているのかどうか、また今後責任を果たしていく意思があるのかどうかという問題です。まず、仮谷建設大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  この問題について、前の委員会で、公社だけが悪いのではなく、むしろ仕掛け人は上田グループではないかという質問に対して、大臣は「これは私は両方責任があると思っております。」こうおっしゃっております。さらに、悪徳業者が許されてよいのかどうかということに対して、大臣は「そういう疑いを持たれることはまことに遺憾なことであって、今後そういった問題を絶滅するために努力しなければならぬことは必要であるし、そのために必要な行政措置をとることは必要だ、」このようにおっしゃっております。これは、大臣、いいかげんな答弁ではありませんね。
  147. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 そのとおりであります。
  148. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では、国会で答弁されたことを実行される意思を十分持っていらっしゃいますね。
  149. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 その答弁は当然実行しなければならぬことでありまして、そんな意思のないことを答弁はいたしません。
  150. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この問題に関連して、大塩計画局長は、これも本委員会で、契約関係について「やはり原則は対等の立場で行われた売買契約であると考えられます。」「公正取引上の、不正行為があったというような事実」が「上田建設と当該公社との間にあったかどうかということについては、業法上」――これは宅建業法ですね、「の立場からはこれはそうは解釈できないのでありまして、」「業法第六十五条に基づく指示事項というような問題ではない。」こう答えておられました。この見解について、現在も変わらない考え方なのか、それとも現在の事態に即して変わった考え方に立っていらっしゃるのか、まずお聞きしたいと思います。
  151. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 先回御質問の際に申し上げたのは、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。その当時は、上田建設あるいは公社から事情聴取をいたしました結果に基づきまして、そのような判断をいたし、合意に基づいて契約をしており、その間に取引の公正を害するような事実が認められませんでしたので、そのような答弁をいたした次第でございます。  しかしながら、その後報道によれば、両当事者、特に副理事長につきましてはすでに起訴されておりますし、それから上田建設につきましてはその社長につきまして任意取り調べ中であるというようなことで、あるいは共謀説あるいは教唆というような疑いを持たれているというような報道を聞いております。したがいまして、このようなことが事実とすれば改めてもう一度調査をし直す必要があるというふうに考えている次第でございます。
  152. 瀬崎博義

    瀬崎委員 去る八月十九日に、国会の答弁に基づいてであろうと思いますが、上田茂男社長をじきじきに呼んで調べていらっしゃいますね。ではそのときにも上田社長は合意の契約だと政府側に答えておったのですか。
  153. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 そのとおりでございます。公社もそのように陳述いたしております。
  154. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうすると、すでにその一方の当事者が起訴されているという事実は、当事政府側にしておった答弁そのものに大きなごまかしがあるというか、うそがあるというか、そういうふうに見て当然なのではないですか。
  155. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 先ほど申しましたように、警察の方で強制的な調査をいたしました結果、そういう容疑ありとしていま起訴されたのでございます。われわれの宅建業法上の報告を求め、かつ聴取をいたしました段階におきましては、そういう返事であったわけであります。先ほど申しましたように、もし報道するがごとく事実であるとするならば、両者の間にそごがあったことは明白でございます。
  156. 瀬崎博義

    瀬崎委員 うそをつかれた政府が今後一体どういう処置をとるか、これは三木内閣の一つの試金石でもあろうと思うのです。一応現時点で、この上田グループに対して宅建法上あるいは建設省として所管する法律との関連でとり得る行政措置にはどういうものがありますか。
  157. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 宅建業法上のとり得る措置といたしましては、まず七十二条により報告を求める等の調査をいたします。それから七十一条に基づく指導、助言、勧告という規定がございますし、さらに違反の事実が確定いたしますれば六十五条による監督処分がございます。
  158. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ということは、改めて調査をやり直すというお話は、その調査の結果によってはいま言われました指示及び業務の停止及び免許の取り消し等も含む法律上の行政処分まで考えている、つまり黒白をはっきりさせるまで今度は建設省として徹底して行政措置をやるんだ、このようにわれわれは理解しておいていいのですか。
  159. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 まずその前には宅建業法に基づく再調査をいたしたいと思います。
  160. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それはもう先ほどあなたが答えているわけなんです。その調査に基づいていいかげんにとめてしまうのか、それともその結果に基づいてであるが、法律がちゃんと規定している行政処分の条項もありますね、こういうものにまで立ち至るいわゆる徹底した調査や追及もやるんだ、こういうふうに理解していいかどうか、それを聞いているのです。
  161. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 調査の結果その事実がいま報道されましたような事実と合致するとか、あるいはそのほかの別個の事実が発見されて取引の公正を著しく害するというような判断に立ちました場合には、そのようにいたします。
  162. 瀬崎博義

    瀬崎委員 第二の問題点は、この上田建設グループの土地転がしに大手の建設業者も絡んでいるという問題であります。滋賀県警は十二月十二日に飛島建設、その子会社の飛栄産業及び東海土地建物の三社から取引担当者を呼んで事情聴取をしております。この滋賀県の土地転がしの疑惑の中に飛島建設などの大手企業が絡んでいたことは、改めてその根の深さ、範囲の広さという点で世論の重大な関心を呼んでいるわけでありますが、まずこのことは建設省承知していますね。
  163. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 先般の八月の調査の際にも、ニュータウン区域内について、主として上田建設を呼び公社から事情を聴取しました際に、飛栄産業等の関連していたことは判明いたしておりました。
  164. 瀬崎博義

    瀬崎委員 このうち飛島建設の方は、上田グループの転がし地の一つである大津市の真野谷口地区にかかわり合いを持っております。昭和四十八年九月に上田建設が熊谷組より三・三平米当たり二万五千円で取得して、同年十月にはこれを飛島建設に約二倍の四万九千円、総額三十八億五千万円で売っております。飛島はこれを一月おくれの十一月に五万六千円、総額四十三億一千万円で滋賀県土地開発公社に売ったのであります。が、最近の公社の鑑定価格は二万一千八百十七円と出ておりますから二倍以上の高値であります。ここまではもうすでに明らかにされておりますし、新聞等にも報じられております。  ところがこの取引に関連して新しい事実が絡まっていることがわかったわけであります。われわれが直接飛島建設に事情聴取をいたしましたところ、飛島はこの取引を仲介したという日本信託銀行に何と二億円の仲介手数料を払っているのであります。しかもこの二億円のうち一億二千万円は日本信託京都支店の森不動産部長の指示で滋賀物産に払い込んだということであります。御承知のようにこの滋賀物産というのはもちろん上田グループであります。また支払い延期に対する利息として飛島は公社から日歩二銭三厘を取り、上田建設は飛島から二銭五厘を取るという取り決めをしているわけであります。大臣、これはどうでしょう。上田グループはまず土地転売で推計十八億円もうけ、今度は仲介料を一億二千万円も身内の会社に払わせ、金利までしぼり上げる。つまり土地開発公社に不当に高く売りつけて、そのぼろもうけの利益を身内で山分けしているわけですね。こんな悪徳商法が世にあるのでしょうか。しかもこの土地転がしはたった二カ月間の出来事であります。そして銀行が仲介役をしている。全く疑惑に満ちたものであります。これがあの業法に言う「信義を旨とし、誠実に」行われた業務と一体言えるのかどうか、まずこれは一遍大臣の見解を求めたいと思うのです。
  165. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 いまの事実は私どもがまだ調査していない事実でございますが、もし先生のおっしゃるとおりの事実であるとするならば、非常に公正な取引を害する恐れがあるということに該当する恐れがございますので、これは先ほど申しましたように改めて調査をいたしたいと思います。
  166. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣どうですか。
  167. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 上田建設の問題について私が答弁する限りではありません。一般論として、そういう問題はきわめて遺憾なことであります。
  168. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あわせてもう一つ聞いておきたいのは、日本信託銀行ともあろうものが、言うならばこの転がし行為、不当取引の手引きをしているようなかっこうになっているでしょう。これについては一体どうですか。
  169. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 日本信託銀行は、恐らく不動産の取引に関し宅建業法の免許を持っておると思います。そういう仲介業務をやったということにつきましては、それ自体は、取引の仲介ということにつきましてはともかく、だれから買ってだれに売ってどれくらいの利幅をとってというような事実関係につきましては、いまここで私が初めて聞いた次第でございますから、即答は避けたいと思います。
  170. 瀬崎博義

    瀬崎委員 とにかくこの信託銀行の果たした奇怪な役割りについても、これは正しく究明してぜひこの委員会に報告してもらいたいし、委員長は後でそれを求めていただきたいと思うのです。――いまの信託銀行の件についてもその調査報告の中に含めて本委員会に報告するということについて、政府側の答弁を求めてください。
  171. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 仲介の業務等につきましての事実及びそういうことにつきましては、宅建業法上の立場からもそういう疑惑を持たれております以上、私は、ニュータウンの地区の内外にわたりまして一般的に不動産業の問題でございますから、これに関連して調査をいたしたいと思っております。その結果、もしそういう事実があれば御報告いたします。
  172. 瀬崎博義

    瀬崎委員 次に、飛島建設がほぼ全額出資をし、同じ建物の中に本社を置いております飛栄産業、これは上田グループの転がし地の一つであります、そしてすでに日本住宅公団も深い関係を持っておることを明らかにいたしておりますびわこニュータウン内西萱尾地区にかかわりあいを持っております。これは私も委員会でその経過を一応述べておりますが、また新聞各紙も報道しておりますように、登記面では上田グループの大和不動産から上田グループの京都レース、そして上田と非常に密接な関係のある京都労住協、さらに大成道路、それから大成道路の系列会社有楽土地、このような転売経過をとっているのであります。その他幾つかのケースがありますが、代表的なものを申し上げればこういう経過です。  問題は、この登記面の最終所有者である有楽土地の土地がどういう経過で開発公社に持ち込まれたのか、この点はいままできわめて不明瞭でありました。この点についても、飛栄産業の社長からも私は直接話を聞いてほぼ明らかになりました。明らかになったところでは、飛栄産業が単独でではなしに、東海土地建物とジョイントを組んで、つまり共同企業体の形で上田建設、大和不動産、伊吹産業、いわゆる上田グループ三社から買ったというのであります。こうなってまいりますと、われわれの推察するところでは、結局有楽土地などが一たん取得した土地をもう一遍上田グループが買い取ったというか買い戻した形にして、それを飛栄に転売し、飛栄が公社に転売した、こういうような形になら、さるを得ないと思うのです。飛栄が上田三社から買った価格は三・三平米当たり五万六千三百五十円、総額にして約百六十八億、公社への売りが五万九千六百五十円、総額約百七十七億となっております。そしてこれを飛栄と東海が二分の一ずつ受け持っている、このように飛栄産業は話をしているわけです。では初めからこれを転売の目的で買ったのかという私どもの問いに対しては、一応自社開発目的で買った、こう言っております。契約時上田グループ三社に現金五億円と約手二十五億二千万円を払い、あとは三分の一を六カ月以内、残金は三年の延べ払いという条件であった。つまりこれが飛栄と上田グループの最初の契約、だ、こう言うのであります。  ところが半年後の四十九年九月、どこからどういうふうにして話が出てきたのかについてはついに答えがなかったのでありますが、公社にこれを転売することになった。ところが不思議なことに、ここで上田グループと飛栄との契約は全面更改されるのであります。そして一たん飛栄が上田に払った二十五億二千万円の手形は、飛栄が返してもらっております。したがいまして、飛栄産業としては開発公社から五億円の支払いを受け、これを右左と上田グループ三社に払っただけということになっております。強いて飛栄の負担と言えば、今年六月に大津市に払った土地にかかわる税金だけ、こういう姿なんです。あとの支払いはどうなんだと聞けば、来年四月五日から五十六年三月五日にかけて分割支払うようなことに一応なっている、こういう話であります。これはだれが考えても、こんな大きな土地取引に当たってきわめて気楽な取引条件であります。自社開発目的で買ったと言うのだから、それなりの計画もあっただろうし資金準備も十分あっただろう、こういうふうにわれわれが聞いたところ、もともと上田さんからは金が入っただけずつ払えばよいというふうに言われたから気楽に話に応じたのだ、こういうことであります。まことに不思議だらけです。これ、だけの大きな土地の契約金がわずかに五億、だけ、しかも飛栄が上田に払ったのは公社から入った五億を横すべりさせただけ、しかも金が入っただけずつ払ってもらえばいいのですよというのも、これは上田グループにしてはきわめて寛大な措置であります。ここの公社の最近の鑑定価格は大体三・三平米当たり二万円強でありますから、これも二・五倍から三倍の高値ということになります。これはだれが見ても不正がらみの仕掛けがあると見るのが常識じゃないかと私は思う。こういうことによって、結局公社に大損害がいま与えられようとしておるわけですね。こういう点について、建設省としていまどういう手を打つべきだと考えますか。
  173. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 私どもはまず公社が非常な損害を与えたとしうその契約の問題を中心にして考えておりました。ですから、一番の焦点を置いておりますのは、公社に直接の売却をした者を中心にして調べておるわけでございます。その間の転がしの経過というのは、一応八月のときには調べましたけれども、契約の内容とかそういうことは直接これには関連ないものとして処理しておりました。したがって、公社に損害を与えるような、そういう直接の売った人を中心にして調べたい、再調査もそこに重点を置くべきではないか、その過程においてどういう転がしがあって、その契約がどうであったかということは、不正を前提としていまのところ考えておりませんが、われわれとしましては、公社がいま困っておる、その公社に対して売った売却契約につきまして不正があるかどうか、取引を著しく阻害したかどうかということを中心にして調べたいというふうに考えておるわけでございます。
  174. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私がいま例に挙げた飛栄の問題というのは、これは公社、それから飛栄産業、上田グループ、この三者の合意がなかったら起こり得たいような取引ではないか、こういうことを私は言っているわけなんです。俗な言葉をここで使わしてもらうなら、ぐるではないかという意味なんです。しめし合わせて公社に高い物を売りつけたということになるならば、これらは一蓮托生の責任を問われるのではないですか。
  175. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 大変よくいろいろお調べになっていられますが、そういう問題があるからこそ大きな刑事問題になって、いま検察庁が手を入れておるわけでしょう。上田グループと滋賀県の公社との取引ですよ。それを建設省が何で責任を負わなければいかぬのですか。たまたまその中に宅建業法違反の問題があるとすれば、それは私どもは考えます。おっしゃるような問題を私どもが調査をしなければいかぬとか問題にしなければいかぬという理由はないのですよ。これははっきりしておいてもらいませんとね。行政の筋だけは私どもはっきりいたします。
  176. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その答えの方がおかしいですよ。宅建業法で言う不当な取引、不公正な取引というのはいま私が言ったように上田グループ、飛栄産業、公社、こういうものがお互いに合意していなければできない行為、つまりぐるになっていなければできないような行為、こういうものも当然そういう概念に入るのじゃないですか。そこを政府が調べると言うならその中に入れなさいよ、こういう話なんです。
  177. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 いま司直の手で調査しておりますよ。すべての問題が洗いざらいすっきりするでしょう。そういうときに行政が軽々しく関与する性質のものじゃないですよ。この点だけはっきり言っておく。  ただわれわれは、宅建業法違反という問題があれば、それがあるかないかということは調査いたします。それ以上立ち入るべき性質のものじゃありません。
  178. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、まさにその宅建業法上の問題として、政府がこういうものを国会で報告を受けた以上は――警察は警察で徹底してやらなければいけませんよ。しかし建設省建設省の所管する法律に従ってやるべきことをやらなければならない。これをやるのかどうですかということを私は聞いているわけなんです。大臣、やるのですか。
  179. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 先ほど来宅建業法上の違反になるかどうかということに焦点を置きまして事実関係を再調査いたしたいと申し上げたわけでございます。
  180. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が言っていることも、宅建業法上の違反行為になるのではないかという意味でいま提起したわけですから、その課題の中に入れて調査されることを強くここで私は要求しておきたい。  委員長にお願いしたいのですが、始まりが聞いておる時間よりも十分おくれました。したがいまして、本会議以後その時間だけお願いしたいと思うのです。
  181. 天野光晴

    天野委員長 この際、午後二時三十分まで休憩いたします。     午後一時五十四分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十八分開議
  182. 天野光晴

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬崎博義君。
  183. 瀬崎博義

    瀬崎委員 第三の問題は、日本住宅公団がこの上田建設グループの土地転がしにかかわり合いを持っていることの責任についてであります。  これには二つありまして、一つはびわこニュータウン地域の問題、いま一つは、すでに井上前開発公社副理事長が起訴されております竜王町岡屋の地区の問題であります。  このびわこニュータウンの西萱尾地区に関しては、日本住宅公団と滋賀県開発公社、上田グループとのかかわり合いについて、この委員会で関係者の間を行き来いたしました文書を明らかにしておきました。ごくかいつまんで言えば、四十八年の六月一日に開発公社から日本住宅公団へ、「貴公団の参画にあたり、開発区域の検討をしたところろ、計画東部区域において約九九〇、〇〇〇㎡余の目途がついておりますので、何卒、ご検討のうえ、何分のご見解を賜りたく」、こういう文書を送った。これに対して、四十八年七月二十六日に住宅公団関西支社から県開発公社に対して「当公団といたしましては、御申し出の趣旨を了承」しと、事実上受けた形の回答文書を出したのであります。こういういきさつについて、公団側の見解と県公社側の見解が大変違っているということがこの委員会で明らかになり、これに対して建設大臣が「まことに不明瞭なことであるし、残念なこと」、「これは収拾をつけなければならない問題」、このようにおっしゃったわけであります。また大塩局長は「国民の納得のいくような」解決が肝要と、要約すればこういうことを言われたわけであります。その後、この不明瞭な問題の解明に政府として一体どれだけの努力をされたのか、この点が私まず第一疑問なのであります。その後この住宅公団にかかわり合いありと指摘された問題についてどのような事態の解明を行われたのか、それを伺っておきたいのです。これは大臣。
  184. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 その住宅公団の出した文書とかなんとかいったことについて不明瞭とかなんとか私が言った覚えはないのですがね。それと関連していろいろな……(瀬崎委員「いやいや、それについて、県の見解と公団の見解とが食い違っているというわけです。」と呼ぶ)まあ、それはいいとして、とにかくいろいろな問題が起こって、確かに不明瞭なことは間違いありません。私は、公団のこの文書の問題は別としましても、とにかく不明瞭な問題が起こって、不明瞭どころじゃない、より以上の大きな問題が起こって、いまあの大きな検察庁の問題まで発展しておりますから、これほど不明瞭な問題はない。  それでは建設省はどういう態度をとってきたかという問題ですが、そんな不明瞭の、少なくとも公社と業者がけんかをし、いろいろな不明瞭をやったことに建設省が立ち入ってそれへ指導するとか、調査するとかということ自体が私はおかしいと思っているのですよ。ただこれは、あなたも直接私のところへ、率直に言って関係の議員も一緒になって来てもらったことも私は承知しております。滋賀県の議長も各県会議員も超党派で私のところへやってきて、滋賀県がこのままの状態では立ち行かない、何らかの形で滋賀県自体が問題の解決をした上でこれから発展をしていく計画をつくっていかなきゃならぬから、建設大臣もその協力をせよという申し入れがありました。私は協力するということを返事をしたわけですよ。ただしそこには、私は過去に起こった問題は率直に言ってわれわれの関知しない問題でありますから、それはそれではっきりとけじめをつけてください、司直の手が入ろうがどうしようが、それはあなた方の手でかっちりとけじめをつけてください、そうしてけじめをつけた上で、超党派で今後滋賀県を再建していくためにどうすべきかという問題の御計画が皆さん方にできたら、その御計画に従って私の方もできるだけ御協力をいたしましょう、こういうことを私は言っております。これはあなたにも言ってあるはずであります。そういう形で私どもはやろうと思っておりますけれども、問題がここまでになってきておるときに、私どもが指導するとか計画を立てるとかいう性質のものじゃないでしょう。まずその問題が一段落をして、その上で新しい姿になって、やれというふうになれば、できるだけのことは御協力申し上げる、これは当然のことだと思っておりますし、いまもその考え方は変わっておりません。
  185. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣は問題を意識してすり変えられたのか、あるいは私の質問を誤解して受け取られたのか存じませんが、先ほど私が国会での御答弁を引用したのは、明らかに日本住宅公団に関する私の疑惑を質問したときのことなんです。つまり、政府にかかわり合いがあるということを私が指摘しているわけなんです。いまおっしゃいました、きれいな姿になって再建に前向きに進もうではないかということ、これはわれわれも異存がない。そうする以外には再建の方法はないでしょう。そのきれいな姿にするために、当然建設省も、特にこの土地取引の免許を宅建業法に基づいて与えている責任上、その業法が課している監督官庁の責任なりあるいは行政処置、これは当然任務を負っているわけなんです。ここを私は言っているわけです。  そこで、時間がありませんから先を急ぎますが、ある新聞、これは毎日新聞でした。ここで、県警捜査二課の発表ではという形で「問題の西萱尾地区の土地について、住宅公団は、三・三平米当たり五万円以上では買えないとの意向を示した。」これは何を根拠に五万円と言ったのか、こんな値段を出すはずはないのですが、とにかく出ております。現在の鑑定価格が二万円ということは申し上げたとおりです。「ところが、上田社長は、六万六千円ないし六万七千円を要求した。そこで、公社と公団の交渉ではギリギリの五万円台ということで」先ほど飛栄と公社の間の価格で申し上げました「五万九千五百円に決まったいきさつがある」とされているわけであります。ここに言われているいきさつを、住宅公団総裁は認められますか、否定されますか。
  186. 南部哲也

    南部参考人 びわこのニュータウンの問題につきまして、ただいまお話のあったようなことは公団側としては決定しておりません。
  187. 瀬崎博義

    瀬崎委員 決定しておりませんと言うけれども、こういうことはどうされるのですか、肯定するのですか、否定するのですか。
  188. 南部哲也

    南部参考人 私は承知しておりませんと申し上げております。
  189. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は承知しておりませんというのは、公団全体として否定するという意味なのか、ただ総裁個人として知らないだけで、あるいはそういうことがあるかもしれない、こういう意味なのか、どっちですか。
  190. 南部哲也

    南部参考人 この話が、滋賀県知事からお話がありましたときに……(瀬崎委員「この五万円台云々という問題ですよ」と呼ぶ)公団としては終始一貫、これは客観的な鑑定評価の範囲内でなければ用地は取得できません、こういうことをはっきり申し上げてあります。したがって、その五万円がどうかという問題につきましては、これは公団としてはただいまのところ承知しておりませんと、こう申し上げておるわけであります。
  191. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もちろんこれは新聞の記事であります。私も当然国会で質問する限りは、真偽を確かめる必要があります。直接県警に電話をしております。捜査二課の三田村次席の回答によれば、それに対しては、まだ確認したことになってはいないが、そうでたらめな記事ではない、こういうことであります。  こういう点で、ことしの三月末だったと思いますが、本委員会で主として公にされている文書で公団のかかわり合いを指摘したときよりは、より一層この問題に対する公団のかかわり合いは深いといいますか、大臣の表現を使うなら、不明瞭さは深刻になっているのじゃないかと思うのです。この点について、なお総裁としてきっぱりと、公団関係なしと言い切れますか。
  192. 南部哲也

    南部参考人 県の方からたびたび、びわこのニュータウンの開発について協力方の御依頼がありまして、その関係においてはわれわれの方の第一線でもできるだけの計画作成その他について協力するように私から指示してございます。したがいまして、そういう意味ではいろいろな計画の作成について、こういう点、こういう点が問題であるとか、県の計画がこの点では採算に合いませんよとかいうような御協力は申し上げていると思います。しかしそれは先生の言われるような、黒いとかなんとかそういうあれではなくて、誠心誠意県のいま置かれておる立場、財政上の立場、それらに基づいて将来どうしたらいいかということについて、こういうニュータウンの開発に知識を持っておる住宅公団の知恵をお貸ししたいということで参画している、そのように私は承知しておる次第でございます。
  193. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では、もう一つ、すでに起訴が行われております竜王町の岡屋地区の方について伺いましょう。  十一月二十五日付で、上田茂男社長が大津地検に提出いたしました上申書によれば、「四十八年十一月ごろ京都の料亭辰馬で、野崎前知事より、竜王の土地、つまり岡屋のことです、これは日野、水口の工業団地と近いので、将来この竜王を住宅公団と県公社が住宅団地にしたい、上田君ぜひ譲ってくれないかと言われた」と書いてあります。ここでもまた住宅公団の名前が出てくる。この竜王の土地に何らかの形で最初から公団はかかわり合いを持っていたことがうかがわれるのでありますが、総裁はこの上申書で上田社長の言っていることを認めますか、否定されますか。
  194. 南部哲也

    南部参考人 県と滋賀県中部の工業団地の開発について覚書を締結したことはございます。しかしこれは地元の反対で中止しております。したがいまして、そのような提言を公団側からいたすということはあり得ないと信じております。
  195. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あなたの方は一方的に中止したと言われるかもしれませんが、いま言われました「滋賀中部工業団地・基本構想策定報告書」、これは住宅公団大阪支所の作成で四十九年五月発行になっておりますね。この中には明確に、「住宅用地候補は一カ所で、県立希望ケ丘公園に接する区域を提出した」と明記をしております。この文書なんですが、これは写しです。この希望ケ丘公園に接する地域とは、問題の岡屋地域であります。同報告書はこの中に開発候補地図というのを入れております。ごらんになっていますか。これにA、BからFまでのいわゆる工業地域の候補地とそれからマル住として、つまり竜王の問題の地区に住宅用地の印が入っております。これを公団として中止したかどうかは知らないけれども、明らかに上田社長の方はこれを利用しているかもしれない。このような危険性を、こんなものを滋賀県で出せば使われるということについての危惧は持っていなかったのですか。
  196. 南部哲也

    南部参考人 各県のいろいろな開発計画につきまして、事前にいろいろな調査、研究をするというのは、予算もありますし、公団としては当然の責務と思ってやっております。滋賀県の工業開発が今後どういう地区でどうすればいいかというようなことにつきまして、第一線といたしましてはいろいろの調査をするということは当然あってしかるべきことでありまして、その結果が悪用されたといま先生おっしゃいますが、われわれの方としてはそういう調査は十分に行っていかなければならない。しかし、それはすなわち、即その土地を買うとかどうとかということとはまた別個の問題でございます。各都市における予算の配分の問題もございます。なかなかそれを実施するまでには、これは建設省の御承認も得なければいけませんし、実施に至るかどうかという事前の調査というものは、これはあらゆる地区でいろいろな調査現実に行っておるということは事実でございます。
  197. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いまのこの報告書というのは、一般に公開されているものなら総裁の言い分もある程度納得できる。しかしこの文書というのは実際的には非公開でしょう。しかも県と開発公社の場合だって、ごく限られた一部の人にしかこれは渡っていない。われわれの場合も、ことしの初めようやくこれが手に入っている、こういう状況のものなのです。こういう点で、これは結局裏におけるいろいろな黒いつながりの材料ではないかという一つのやはり推察が生まれてくる。  その上、先ほど覚書のようなものを出したことがあるとおっしゃいました。これは四十八年十月のものであります。これには住宅公団の扇谷大阪支所長、野崎前知事、開発公社河内前理事長、この三者が調印をいたしております。その中にはこう書いてある。本事業、つまり中部工業団地の用地取得については、公社は公団から依頼をうけて用地買収のあっせんを行うものとする。主体は公団で公社はあくまでその依頼を受けてやるんだ、こういうことになる。こういうものを出しておいて、途中でやめましたから責任はありませんというような、こういう無責任なことがもし公団で行われているとしたら、これもまた私は大問題だと思う。  ここで当然、いずれいろいろな捜査が進めばさらにこういう問題のつながりは出てくると思うけれども、早い話考えられることは、いかに経済情勢が大きく変化したとは言っても、滋賀県の現在の財政事情等から言って、何百億円もの広大な土地を公社が自力開発ができるわけはないわけです。したがって、やはり最終のゴールとして公団というものがあってこそ初めて、つまり買った土地はそこへ持ち込むという、こういう前提があればこそ、このような無謀な、しかも不当な土地取引に公社は応じていったのではないか、こういうふうに一般的には世間は見るわけなんです。しかもこのような開発構想には、公団もさることながら、近畿圏整備本部の関与もある。だから一たんこういうものがつくられれば、これは相当権威のあるものとして、よほどのことでない限り途中でこういうものは挫折することはないという前提のもとに、そういうものを目がけての用地買収あるいは買い占めということになってくるのではないかと思う。  したがって、結局は公団が何らかの形で、悪く言えば最初からこの上田グループの共犯的役割りを果たしておったのか、それともよほど善意に解釈しても、上田グループにうまく利用されたのではないか、このどちらかになってくると思うのですね。こういう点について、もちろんこのどちらに該当するかによって責任の度合いはうんと違ってくるけれども、いずれにしてもこういう形で上田建設グループの転がし地のほとんどに公団が絡んでいるということ自体について、当然総裁としても何らかの反省や責任を感ずるということがあってしかるべきだと思うし、またこれを指導、監督する建設省建設大臣の立場から、これが建設省に無関係の問題、政府は関知しない問題とは言えないと思うのです。答弁を求めたいと思います。まず総裁
  198. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 総裁からもたびたび御答弁をいたしておりますように、私どもは住宅建設をしなければならぬという大きな使命を持っております。そのための一番問題は土地取得の問題であります。だから全国的にできるだけ適当な土地を見つけて、そして住宅建設していって期待にこたえていくというのが私どもの使命であります。そのためにはあらかじめ調査をするし、そしていろいろと検討をした結果、適正な価格でそれを買い入れることが適当であるということになれば、買い入れを行っておるわけであります。その交渉の相手というのは、各県へ進出すれば大概それぞれの県の知事さんや主要の人々やあるいはその地域の公社の人々と相談をし合うのが常識になっておるわけであります。滋賀県だけが例外的にやったわけではございません。ただ、やったことが、たまたま公団がそういうふうにして進出してきたことを利用して、悪用して、あるいは不正が行われるとすれば、もってのほかであります。そういうことを見抜けなかった不明があるというなら、その不明は私どもは今後考えなければならぬ問題だと思うのでありますが、私はその責任があるとは思っておりません。  申し上げておきたいのですが、何でもかんでも悪くして責任者をつくり、罪人を出すというのも、これは共産党の主旨にはないでしょう。おっしゃるように何でもかんでもおまえたちのやっていることは悪いからといったようなことで、そういう言い方でなしに、むしろ私はもう少し建設的に、あなた方の言い分にも十分あるのですから、十分にひとつ建設的に注意もすべきはしてもらって、そしてわれわれも間違いのないような行政をやらしてもらうということがお互いに政治家としての務めでないか、こういう感じも実は私はいたしております。だから、決してあなたのおっしゃることを悪い意味にはとっておりませんけれども、私どもは、あくまでもそういう善意に基づいてやったことでありまして、たまたま滋賀県のような特殊なケースに巻き込まれて、本当に迷惑しております、率直なところが。だから、今後の滋賀県の建設問題についても、そういう問題がびしっとけじめがついて、そして責任者は処理をして、洗い直してこない限り、私はこの問題に対して協力はいたしません。はっきりいたしておきます。
  199. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では、大臣に聞きますが、去年の滋賀県の知事選挙、つまり十一月ごろですね。当時の建設大臣が、びわこニュータウン地域を知事選挙の応援のついでに視察に行ったという事実があったのではないかということについては御存じですか。
  200. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 私は知りません。
  201. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう問題まで今日疑惑の一環を構成しているわけです。  大体われわれがいままで国会で、これはまさしく不当な取引、不公正な取引ではないかと言ってきたときには、いや、業法に違反するようなものではなかろう、こういう答弁であったのが、いまではそうではなくなってきている。こういういきさつから見て、私どもが国権の最高機関でこの黒い霧を徹底して追及するのは、これは国会議員の当然の義務だと思う。これを聞いて大臣が、その国民の疑惑にこたえるために、宅建法上の措置あるいは公有地拡大法上の行政的措置、こういうものに基づいて建設省なりの責任を果たすのも、これは当然の措置だと思う。これを責任なしとしてサボろうというのなら、結局これも黒い霧への加担と言われたってしょうがないと思うのです。少なくともみずから所管している法律に基づく行政的な措置はとるのですかとらないのですか。これを最後にはっきりと答弁を求めて、私、終わりたいと思います。
  202. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 はっきりやろうということを言っているでしょう。一つもやらぬと言っていないですよ。われわれの責任のある行政上の責任は果たしますということを言っておるわけです。  ただ、この問題はあなたも御承知のように、上田グループと滋賀県の県と公社との問題なのですよ。建設省に関係のある問題じゃないのですよ。それをあたかも建設省に責任があるような言い方をしてあなたが言うものですから、もう少し建設的にお互い政治家として行こうじゃありませんかということを、率直に私の気持ちを訴えただけであって、私どもの行政上の責任は果たします。
  203. 天野光晴

  204. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 中小企業に対する不況対策に関連してお尋ねいたしますが、今日の国民生活と日本経済を襲っている不況というのは、これはかつてない深刻なものであって、特にその中でも中小零細企業への打撃がきわめて大きいものがあるわけです。政府が四次にわたる不況対策を発表してきましたけれども、中小企業の倒産は依然として相続いております。中でも中小建設業の実態は特に深刻でありまして、東京商工リサーチの調査によりますと、建設業の倒産件数が、昭和四十九年度で対前年度比が二・五倍増になっておりますし、五十年においても依然ふえ続けているわけです。政府は来年の予算編成に当たって、公共事業の増大ということを考えておられるわけですが、その中では、本四架橋だとか高速道路や新幹線などの大規模プロジェクトが復活されております。これらによって大企業の受注の拡大は保障されるわけですけれども、そしてまた政府はこれによって不況が好転するということを期待されておられるようでありますけれども、私は、そうはならない、こう思うのです。というのは、不況対策というのは、結局中小企業の仕事を保障するということが重点でなければなりませんし、現実を見てみましても、中小建設業が受注している工事は、公営公団などの住宅や公共下水道、学校、こうしたところが圧倒的であるわけです。これを見ても、生活環境の施設、その予算をふやして工事量を拡大するということが、中小建設業への不況対策の最善の方策である、こう考えているわけです。中小建設業対策を考え、また国民生活環境の改善ということを考えられるのであれば、いまの時点においては大規模プロジェクトはやめて、これらの予算をすべて生活環境に回すべきである、こう思うのですけれども、大臣のこの点についてのお考えを伺っておきます。
  205. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 年度の初めから私ども公共事業はできるだけ中小企業建設業の受注機会を確保するということで努力をいたしてまいったつもりでありまして、現在でもその気持ち、その方針は変わっておりません。  ただ、たまたま不況対策で若干大企業のものが入ったわけであります。これは東北新幹線の問題をもしあのままでストップされますと、相当多くの失業者を出すということもありましたし、それから私どもの建設省の方に、治水の中に五百億程度のもの、これは水資源の方のダム建設に充てるものがありました。ダム建設は大手業者がやっておりますから。これもしかし、もし工事が切れますと、失業者も出すし、水資源確保に大きな影響を及ぼしますものですから、そういうふうにやったことが一つと、もう一つ、道路関係千七百億の追加の補正の中で、六百億近く高速道路の方に、道路公団の方に回すことにいたしたわけであります。これは先行投資をずっとやりながら、まだその先行投資の支払いができてない地域がありまして、その地域の町村や人々にも大変御迷惑をかけているといったこともありまして、そういうものも含めて実は不況でそれを入れたわけでありまして、あとはほとんど――財投を含めまして七千二百億程度の事業量でありますが、ほとんど大部分はやはり中小業者が対象になる事業に振り向けられたと思っておりますし、そういう方向で努力をいたしておるわけでありますから、明年度もさらに計画を進めていく上におきましても、私どもはそういうことを特に重点として、たとえば住宅、下水道といったもの、特に生活環境の整備といったものについては、本年と同じ方針で努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
  206. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 大臣の答弁を伺っておりますと、いろいろ言われますが、結局は基本的には大企業擁護という感じをどうしてもぬぐい去れないわけなんです。  それで、具体的にお尋ねしますが、まず、毎年、中小企業者に関する国等の契約の方針、これが出されて、今年度も七月の十一日に閣議決定がされております。建設大臣としては、この点を今年度どのように実施されてきたのか、また来年度はどういう決意で臨むのか、この点を、基本的な点を伺いたいと思います。
  207. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生御承知のように、中小企業の受注確保につきましては、いわゆる官公需法というものがあります。これで閣議決定を毎年度いたしておりまして国の契約方針を決めております。これに基づきまして、建設省といたしましての目標を、五十年度の目標は直轄で四〇・五%、公団等で一九・八%という目標を決めまして、中小企業者の受注機会の増大に努めてまいっておる次第でございます。  特に公共事業につきましては、建設省の大部分の予算でございますので、年度当初、四月七日に、特に次官通達を出しまして、発注標準の遵守、それから極力分割発注を推進しまして地元の優良な中小企業者を活用する、またいわゆるジョイントベンチャー制度を活用いたしまして、中小企業者の受注機会をふやすということで努力してまいっておる次第でございます。来年度におきましても、先ほど大臣からも申されたとおり、私どもこの受注機会の確保につきまして十分努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  208. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 建設省としては一生懸命やったということだろうと思うのですが、これも毎年出されているのですが、「建設省所管事業の実施について」、その事務次官通達があって、これは四十一年から四十六年までの「中小建設業の受注機会の確保について」という通達を吸収したものだ、こう伺っておりますが、この次官通達と閣議決定の内容を照合してみますと、四十九年度も五十年度も、「中小企業者の受注機会の増大のための措置」というところの(1)にあります、「中小企業官公需特定品目の発注情報の提供及び発注の増大」、この点が欠けているわけですが、これはどういう理由でしょうか。
  209. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生の御質問を私こういうふうに受け取って御答弁申し上げるということをまずちょっと申し上げますが、四月七日、また十月三十一日にも次官通達を出しております。が、その通達の中には、いわゆる七月の閣議決定の中にあります発注情報の提供と発注の増大という言葉がないということを御質問だという趣旨で御説明申し上げますと、私ども、先ほど申し上げましたように、閣議決定が七月になされました後、七月二十九日付で事務次官通達でこの内容、官公需法に基づきますところの国等の契約方針については地方建設局長等に通知いたしまして、趣旨の徹底を図っている次第でございまして、その中には、もちろん先生のおっしゃいました発注情報の提供と発注の増大と特定品目の問題もちゃんとここに書いておる次第でございます。  四月七日の通達、これは建設省独自の、先ほども申し上げましたように、建設省の所管事業につきましてその執行の方針全般についての通達でございます。その中には、もちろん中小建設業者に対する配慮というものを、先ほど申し上げました点を中心にいろいろ記載し、指導いたしてきておるわけでございます。  物品でございますが、先生のお話の特定品目につきましては、これは閣議決定が七月でございます。毎年そのころになりますので、閣議決定を受けて出すのが適当と考えられますので、特にその内容の中には書かなかった次第でございまして、最初に申し上げましたように、その点は閣議決定がありました直後、七月二十九日付の次官通達で趣旨の徹底を図っている次第でございます。
  210. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 昭和四十一年にいわゆる官公需法が制定されまして、不十分ですけれども、官公需の特定品目だとかあるいは工事の発注を中小企業へできる限り回すことが義務づけられるということになったわけですが、これはまだ完全には実行されていない、特に建設省関係が弱い、こう見られるわけです。  まず、特定品目の実施状況ですが、地方建設局の官公需特定品目については、これはどうなっておりますか、お伺いします。
  211. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、特定品目に関する配慮方につきましては、七月に通達を出しまして徹底を図っておる次第でございまして、また、地建の契約課長会議などありましたときには、そういう趣旨を十分話して指導いたしております。  ただ、特定品目の調達状況につきましては、これは中小企業庁が取りまとめいたしておりますけれども、その実績取りまとめについての対象となります役所というのは、本省がその対象になっているわけでございます。これは発注のそういう情報を御承知のように全国中小企業団体中央会に提供する、そういうものに提供してそういう周知徹底を図るということになっておる次第でございまして、その全国中央会に情報を提供している役所、結局中央の役所でございますが、建設省本省はそういうことで出しておりますけれども、地建につきましてはそういうことになっていかなかったのでございますので、その実績を示す資料を私ども把握いたしておりません。その資料は作成されておりません。しかしながら、特定品目も含めました全体の物品契約は、地建の中小企業契約率は四十九年度で五七・八%、それから五十年度の上半期で五八・三%ということになっておる次第でございますので、相当のものの、特定品目につきましても契約実績があるというふうに想像している次第でございます。
  212. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 官公需法では、法律の対象となる物件の購入に当たる機関として「国等」と、こうしているわけですけれども、これには地建は含まれないのかどうか、中小企業庁にお伺いしたいと思います。
  213. 飛永善造

    飛永説明員 お答えします。  「国等」の中には地方支分部局も入っております。
  214. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 地建の予算を見ますと、四十九年度の一般会計の物品の項で見ると、これは本省の十一倍になっていろわけです。このような建設省の中でも大きな比重を占めている地建の予算で、その特定品目がどれくらい中小企業に発注されているか、そのことについてちゃんと把握していなければ官公需法が実際上骨抜きになってしまうと思うわけですが、今年度の実績から地建を加えてやる、こういう点について、大臣、お約束していただけますでしょうか。
  215. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども中小企業に対する契約率は相当あると推定いたしておりますけれども、中小企業庁の実績取りまとめの対象官署になっていないものですから実績がございませんでした。しかし、いろいろな面で中小企業対策上重要なことでございますならば、中小企業庁とも十分連絡をとりながら、実態把握につきまして十分努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  216. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次は建設省関係の五つの公団ですが、五つの公団それぞれの四十九年度の特定品目の中小企業の受注率を見ますと、首都高速公団が八二・九%、阪神公団が三七・四%、住宅公団が七七・八%、道路公団が六一・七%と、こうなっております。特定品目という条件は同じなんですけれども、実情にはいろいろ差が出てきているわけです。  そこで、調べてみますと、もう一歩工夫すればさらに一〇〇%近くまで中小企業へ回すことができると思うわけです。まず住宅公団ですが、中小企業受注率は七七・八%ですが、これを品目別に見ると中小企業へ回せるものがあるわけです。住宅公団にお尋ねしますが、住宅公団の外衣、下着類は、四十八、四十九、五十年度について金額と発注先はどうなっているか、お伺いします。
  217. 南部哲也

    南部参考人 お答えいたします。  四十九年度における外衣、下着類の発注先は、三越、松阪屋、高島屋、伊勢丹ということで、金額といたしましては三千四十七万円でございます。五十年度は伊勢丹、三越で四百四十三万円、このようになっております。
  218. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、その点については一〇〇%大企業へ回っているわけですが、これは官公需法のたてまえからいっても間違っていると、こう思うわけです。外衣、下着などは現実に製造元に発注すれば当然できるわけですから、五十一年度から中小企業へ回すということが考えられないかどうか、お伺いします。
  219. 南部哲也

    南部参考人 御趣旨に沿って検討していきたいと思っております。
  220. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に阪神公団ですが、阪神公団の中小企業発注率が低いというのは、これは特定品目の合計金額の九〇%を占めております印刷が、六〇%以上大企業に回っているわけです。理由は何かと言いますと、高速道路のチケット代金であるということですが、条件の同じ道路公団でも印刷の四〇%弱が大企業なのですから、これも努力すればやれないことはないと思うのです。官公需法の精神を積極的に生かせば、より中小企業に仕事が回せることになるわけです。建設大臣は予算委員会で、共産党の野間議員の質問に、外衣、下着類は五十年度全額中小企業へ発注すると答弁されております。特定品目は、元来中小企業が受注しやすいものを選んだわけですから、五十一年度は、本省それから公団も含めて一〇〇%やる、外衣、下着だけではなくて、そのほかのものも一〇〇%やる、こういうことになるべきだろうと思うのですが、いかがですか。
  221. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 大臣が予算委員会でお答え申し上げましたのは本省の部分でございまして、御承知のように四十八年、四十九年、一部運転手だとか守衛さんの外衣につきまして、デザインその他で一般の人からの要望が非常に強かったので、デパートに外注したわけでございます。しかし、五十年度は、大臣がお答え申し上げましたとおりに、全部中小企業に発注いたしております。したがいまして、その他の国の機関につきましても、それぞれ事情がございますけれども、できる限りそういうふうに指導してまいりたいと思います。
  222. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの点は大臣の答弁を聞きたかったのですが、同じであろうということで遠慮しておきますが……。
  223. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 あの予算委員会で私がお答えいたしましたとおり、その方針で進めております。  いろいろ聞いてみますと、女の人のいろいろ身につけるものには、それぞれ好みがあるようでありまして、余り押しつけるのもどうかといったことも気遣われておるようでありますが、やはりそういった面を十分考えながらそういう方も利用する、これも努力の一つでありますから、本省だけに限らずその他の公団等にいたしましても、できるだけ御期待に沿えるような方向で必ず努力いたしてまいります。
  224. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 では、この点についてもう一つ。五十年度の特定品目の未契約分が、本省と公団と合わせてまだ七億五千万円あるわけです。これを中小企業へ回す方針はあるかどうか。
  225. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生の御指摘のとおり、まだ未契約、未執行の分がございます。これにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、いろいろな特別の事情のものがございます。そういう特別の事情によりましてやむを得ないものを除きましては、原則としまして中小企業に発注するように指導いたしてまいりたいと思います。
  226. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次は、官公需の工事について尋ねます。  さきの次官通達が毎年出されており、いま末端の中小建設業者から話を聞きますと、民間事業が落ちこんでいて、仕事が非常に少ない。そういう場合に、官公需に対して期待する向きが大きいわけです。私もいろいろ業者から要望を聞いているのですが、その原因がどこにあるのか、何を解決すれば仕事が回るのかという問題に逢着するわけです。まずその前提として、次官通達がどれくらい厳格に実施されているかを調べるために、地建関係の資料をお願いしたのですが、非常に大きくなるので出し切れないということでありました。  そこで私は、住宅公団の工事を例にして質問したいと思うのですが、住宅公団総裁にお伺いしますが、次官通達は総裁にも出されていますけれども、これを現実にどのように実施されておるか、お伺いします。
  227. 沢田光英

    沢田参考人 次官通達の内容と申しますと、いま先生おっしゃいましたように、中小企業の業者の優先といいますか、そういうことが一つでございます。その方法といたしまして、たとえばジョイントベンチャーのようなものを使ってやってみよ、こういう御指導でございます。私どもの方は御存じのように業者を登録してございます。AランクからEランクまであるわけでございますが、中小企業は恐らくBランクの下の方から下だと思っております。こういうことで、先ほどの率もございますけれども、私どもは歴年三〇%程度を中小企業に確保する、こういう方針でやっております。さらにそれを具体化するためのジョイントベンチャー等につきましても、中小企業の方のジョイントベンチャーというふうなことで誘導してまいる、こういうことで運用しておる次第でございます。
  228. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次官通達では、優良な地元建設業者の活用ということが強調されております。たとえば私の千葉県内で実施されております住宅公団の建築工事のうちどれくらいが地元業者に発注されているか、この点について資料をお願いしたのですが、これは全部出せないということでしたが、最近比較的大規模な工事をやっております村上団地、千葉ニュータウン、それから東寺山の団地について資料をいただきました。この三つのところでは地元業者はどのくらい活用されておりますか。
  229. 沢田光英

    沢田参考人 先生の御指摘の団地につきましては、地元業者は合計で二社でございます。数といたしましてはその二つでございます。
  230. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その三つの団地の受注業者、これが合わせて百二十六あるわけですが、その中の一・五%にしかならない二社しか地元業者が入っていない。これはどういうことなのか、優良な地元業者がいないということなんでしょうか。
  231. 沢田光英

    沢田参考人 公団の出します工事を大別いたしますと、二つに分類されると思います。一つは、いわゆる住宅建設そのものでございます。もう一つは、これに付帯いたします学校とか診療所その他の、いわゆる雑件と申してはぐあいが悪いのでございますが、そういうものでございます。  そして、住宅の方に着目をいたしますと、私どもの長い経験から経済発注単位というものがございます。これは大体百戸程度、百戸下回る程度最低だ、これ以上細かくいたしますとコストが上がってくるということがございます。コストが上がりますと家賃等に響きますもので、その点は私どもといたしましては最低に抑えたい、こういうことがございます。  そこで、八十戸なり百戸なりをとってみますと、現在金額で三億とか四億とか五億程度に近くなってまいります。ということは、Bランクでございますと上の方とか、Aランクでございますと下の方以上、こういうことになります。そういうことで、いま先生おっしゃいました中小企業の地元業者というものの数が非常に少ないという結果でございます。  したがいまして、私どもの大部分の仕事でございます、相当の部分を占めます住宅建設につきましては参加は少ないのでございますが、地元業者の扱いというものにつきましては私どもは非常に配慮をしております。  たとえば、東京支社で四十八年に地元業者がどのくらい入っておるか聞いてまいりましたけれども、名前を言うのもあれでございますが、四十八年では五社、四十九年では七社、こういうふうに入っておりまして、たとえばA業者をとってみますと、十二回の指名を受けて四回通っておる。同様の業者が四十九年には十二回の指名を受けてやはり同じく四回通っておる。工事の内容でございますけれども、たとえば村上団地の小学校であるとかあるいは迫って出しました体育館であるとか、こういうもので一億ないし二億、あるいは診療所であるとかそういうふうなことで私どもは地元の業者に合った、分けられるものにつきましては、そういう配慮をして十分配慮をしておるつもりでございますし、今後におきまして、大筋といたしましてはさようなことではないか。  またもう一つ、先ほど出ましたような今後の方針といたしましては、ジョイントベンチャーなどございまして、優良な中小企業の業者というのは、大いにジョイントベンチャーで力を増していただいて御参加を願う、かような方針でございます。
  232. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 仕事は、入札やるわけですから、一定の公平性はあるということになるんでしょうが、その前提となっている建築工事のランクの問題、これで大体すでにふるい分けられてしまっている、ここに問題があると思うのです。四十九年度の公団のランク別の工事金額の合わせて九〇%以上がすべてA、Bランクで占められている。たとえば千葉県でいきますと、県内のトップクラスの業者が、県の仕事ではランクがAであっても、公団ではこれがCということになりますから、県内業者に公団の仕事なんかが回ることがなくなるわけです。こういうことは、次官通達の立場から言って是正する考え方はないのかどうかお伺いします。
  233. 沢田光英

    沢田参考人 先生の御指摘のランキングの金額の話でございますけれども、私ども、実は四十九年十二月、昨年の十二月にこれを大幅に改正してございます。  なぜ改正したかと申しますと、実は、石油ショック以来建築費が約二倍になってございます。そういうことから、同じ金額でも工事の大きさが違ってくるということでございまして、四十九年十二月以前におきましては、Aランクは三億以上、Bランクは一億以上等々と決めております。ところが、この四十八年の工事で、実績で見ますとこういうことでございます。値段が上がった結果、Aランクのとったものは五〇%を超すというふうな状況が出てまいりましたので、急ぎましてこれを変えまして、三億を五億にし、一億を二億にし、それに従いまして下の方もやっておる。こういうことでいきますと、Aランクには三十程度になりますし、それ以下には七十くらい、かようなことで、現在では私どもは単価が上がりましたことによりますA、Bランクの不合理というのは是正されておるし、今後建築費はなかなか上がっていきませんので、これで十分やっていけるのじゃなかろうか、かように思っておる次第でございます。
  234. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 しかし、現実に先ほど言いましたような事情になっておりますし、これは公団にしても建設省にしても実績中心でランクをつけるものですから、中小企業は入札前に結局は排除される。しかし実際、公団の中層住宅地元業者でも十分にできるということです。私も千葉県の建設業の中央会の人たちから話を聞いたんですけれども、ちゃんと自分たちでできる、こういうことを言っております。結局は発注主体の姿勢次第になる、こういうように見るわけです。  それから、もう一つ公営住宅の発注の問題で、公営住宅地元建設業者が受注しやすい工事であるわけですけれども、最近この公営住宅のプレハブ化が推進されております。建設省もその推進の立て役者であるわけですけれども、このプレハブ化率の上昇によって地元業者が仕事を受けにくくなっております。  たとえば千葉県の公営住宅のプレハブ化率は八三・四%で、低層、中層のほとんどがプレハブになっております。ところが、このプレハブ工事というのは、プレハブの系列メーカーにほとんど独占されてしまう、こういう実情になります。これについて建設省はどういう対策を講ずるつもりがあるかお伺いしたいと思います。
  235. 山岡一男

    山岡政府委員 住宅生産の合理化を推進したいということで先生おっしゃいますように、公営住宅につきましてもプレハブ工法の採用を推進しております。四十七年度が全体で約三二%、四十八年度が三〇%、四十九年度が二六%、最近少し下がりぎみでございますけれども、依然として二六、七%以上の比率で発注をしているのは事実でございます。  ところが、このプレハブ工法は在来工法とは異なりまして、技術、設備等を必要とするという点が一つございます。それから、いろいろな点でノーハウを持っております。したがいまして、在来工法による建設を行ってきた建設業者に直ちに参加ということはむずかしい点もございます。  しかしながら、プレハブ工法による公営住宅の発注に当たりましては、板の製造というのが現在一番中心になっておりますけれども、それ以外に建て方、内外装、設備等の工事があるわけでございます。特に低層プレハブの場合は、これらの工事を施工する業者は地元の中小業者である場合が多いとわれわれ承知いたしております。現実のプレハブ住宅の発注の方法等につきまして、地元のやり方を聞いてみますと、板メーカーに一括発注をしまして地元業者が下請として参加をするというスタイル、それから地元業者に一括発注をしまして板メーカーが下請として参加をするというスタイル、それから地元業者と板メーカーのジョイントベンチャーに発注するというスタイル、それから地元業者と板メーカーに分離発注するというスタイル等をこもごもまぜてやっておるようでございます。  ただ、そういう場合におきましても、先生おっしゃいますように、公営住宅等は特に地元に密着した事業でもございますので、地元中小業者の工事受注の機会がふえるように指導してまいりたいと考えております。
  236. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が参りましたので、最後に一つ。これは公営住宅だけではなくて、公団住宅にも言えるわけです。たとえばさきの公団の三団地のPC工法の比率を見ますと、村上団地が三九%、千葉ニュータウンが四〇%、東寺山が六〇%と、いずれも高いわけです。それじゃ住宅公団の中でPC工法を請け負える認定業者はということになりますと、全体の七・八%しかない。半分以上の工事が七・八%の業者に回ってしまう。そのほとんどは大企業系列のプレハブ業者であるわけです。こうなりますと、最初から入札が広く行き渡るというような公平性が保たれなくなってしまうと思うのです。こういう実態をひとつ徹底的に調査して、どういう対策を講じられるのか、きょうはもう時間が来ましたので、後でお知らせいただきたいと思います。  終わります。
  237. 天野光晴

    天野委員長 新井彬之君。
  238. 新井彬之

    ○新井委員 時間が非常に短いので、簡単に要点だけをお伺いをしたいと思うのですけれども、いまいろいろな住宅であるとかあるいはビルでもって事故がたくさん起こっておるわけです。その内容はいろいろございますけれども、問題は一つ、建築物の構造に対する問題、それからもう一つは、建設関係業者や建設関係技術者等のモラルの低下といいますか、経済性を優先したといいますか、そういうような住宅や欠陥ビル、こういうことに分けられるのじゃないかと思うわけです。  まず第一番目の問題としては、建築物の構造に対する問題としては、八王子市内でこの前も問題になりましたけれども、高層マンションのガス爆発事故があって、この調査の結果、別に工事に手抜かりがあったとか建築基準法上に問題があったというのではないけれども、耐火構造建築物が爆発に対して予想外にもろいことがわかったということが出ております。多くの建築とか消防専門家は、日本の高層住宅、高層共同住宅の構造は爆発に対しての予防措置が全く考慮されていない、こういうことで同じような事故が今後も起こるのではないか、五十年度の消防白書では、ガス使用器具による火災が年々増加している、こういうぐあいに出ておりますが、フランスなどでは、この前も指摘がありましたように電気に切りかえるということになっておりますけれども、耐爆措置についての具体的な方策について何かありましたらお聞かせ願いたいと思うわけです。  それからもう一つは、今後そういうガス事故というものに対していろいろな開発を建設省でも進められておるということは知っておりますけれども、行く行くは電気を使うようにするとか、そういうような問題についてありましたらお聞きしたいと思います。
  239. 山岡一男

    山岡政府委員 八王子マンションの爆発事故がございまして、事件発生後建設省は直ちに現地を調査いたしております。それから、これは前回も問題になりましたけれども、日の里団地の場合にも同様な問題があったわけでございます。その場合、日の里団地は在来工法によるものでございましたし、八王子マンションは新しいHPC工法によるというものでございました。それぞれにつきまして現在もなお検討を続けてまいっておるわけでございますが、今回の事故の特殊性にかんがみまして、関係学識経験者に集まっていただきまして共同住宅ガス爆発事故対策小委員会というのを建築審議会の中に設けておりまして、事故原因の究明と被害発生過程の解明に着手をしたところでございます。さらにその先生方にもこの間現地をつぶさに見ていただきまして、現在まで現地を調査をいたしまして一回会合をやったということでございますので、まだ十分な検討結果をいただくには至っておりませんけれども、やはり一般的に申しますと、建築物がガス爆発のような強い破壊力に対してこたえる。これは日の里のときの報告では一平方メートル当たり三トンないし四トンという報告を受けております。普通の計算ではHPC工法等の場合は一平方メートル当たり五百キログラムということでございまして、いろいろな経済性等を考えますと、直ちに全部をそれに耐えるほどにしなければならぬのかどうかという点についてはまだ疑義を持っております。  ただ、今回の事故から、直ちにプレハブ工法の構造、強度を強化することは考えていないとこの間申し上げたわけでございますけれども、小委員会調査結果等によりまして特に問題がありそうだと思われますパネルの取りつけなどについて、施工方法その他で改良すべき点があれば十分検討してまいりたいと思っております。  それから、さらにガスの爆発につきまして、そのガスが爆発しないような器具の開発ということを従来からも続けて住宅公団中心に始めておりましたけれども、それもさらに伸ばしてまいりたいと思っております。  それから設備の電気への変更でございますが、これもこの検討の中で十分いろいろ御議論をしていただきたいと考えておる次第でございます。
  240. 新井彬之

    ○新井委員 もう一つの問題は、先ほど申しましたように二番目の問題でございますが、建設関係業者や技術者等の経済性の優先や工事の手抜きやモラルの低下等によって起こったのではないかという問題でございます。五十年八月三日、杉並区の西荻台マンションの火災、これはいろいろ調査したときに手落ちがあったのか手を抜いたのかわかりませんけれども、そういう事件が一つあります。また、日本住宅公団高幡台団地、これは日野市の分譲住宅でございますが、入居後半年にして天井がたわんでひび割れをしたために二十戸が六カ月間疎開する、その間に総点検をするというような問題があります。それからコンクリートの強度不足から取り壊されることになった横浜の総合卸売センター、それから東海銀行の東京事務センター、生コンの強度不足ということでやりかえる、こういうようないろいろな問題が出ておるわけでございますが、こういうことが出てきておる背景といいますか、どういうところでそういうものが起こってくるのかということについてどのようにお考えになっておるか、それをお伺いしたいと思います。
  241. 山岡一男

    山岡政府委員 国民の生命、財産の保護のために、そういうような欠陥工事もしくは工事中の不手際等について適正な施工を図るということがきわめて必要でございますけれども、たとえばいまのコンクリートの使用等に関しましては、JIS工場だからということで信用してやっているうちにマンネリになってしまったというような怠慢が見受けられると思います。それから長谷川工務店等のものにつきましては、やはり現場の監督等について工事管理が不十分じゃなかったかという点も反省されます。それらのものも含めまして、やはり技術者のモラルの向上それからそういう現場監督の適正化というようなことが今後の問題だと思います。  それからさらに、そういうようなことが起こりました際に、直ちに適切な措置を講じてまいるということが今後特に必要であろうと考えております。いまの適切な措置と申します中には、そういうものの原形復旧等だけではございませんで、そういうことを行った者に対するいろいろな措置を含めて申し上げたつもりでございます。
  242. 新井彬之

    ○新井委員 そこで、いまも出ましたが、西荻台マンションの手抜き工事の問題についてでございますが、八月三日このマンションの六階の部屋の台所ガスレンジ付近から出火して、そのすぐ上の七階、八階の三室を全焼し、大惨事になりかけたわけです。この原因について東京消防庁の調べでは、部屋の壁際に細長い空洞が一階から八階まで吹き抜けており、ここから炎が吹き上げて火事になったということになっております。建築確認のとき添えられた設計図では、この穴は電線や水関係の配管空洞、こういうことになっておりましたが、マンションを少しでも広く使うため、この部分までも浴室やダイニングキッチンの中に含めてしまって、空洞はそのままにしてあった。完成時の検査でも、この空洞は浴槽や床に隠されて発見されないで、住民の人々もこの火事騒ぎで初めて穴あきに気づいた。建築基準法では床とか壁など耐火構造が義務づけられておるわけでありますけれども、それも守られていない、こういうことで、これはもう建築基準法違反ではないか、こういうぐあいに思うのです。  昭和四十八年三月の入居のときの説明では、このマンションはほかには絶対燃え移らない、ということはそういう設計構造になっているから、一カ所が燃えてもあとは燃えないのだということを説明して、皆さんが安心をして入ったのだけれども、これはそれだけの燃え移った原因というものが出て、えらい大変だ、それだけじゃなくて、ほかのマンションの人も、自分たちも燃えないマンションであるけれども一体どうして燃えたのだと言って、たくさんの方がここへ問い合わせに駆けつけておる、こういうようなことが出ておるわけです。この問題について建設省はどのようにお考えになっておるか、まず所見を聞いておきたいと思います。
  243. 山岡一男

    山岡政府委員 西荻台マンションの手抜き工事の実情につきましては、いま先生のお話になりましたとおりでございます。結果といたしまして、現在では建築基準法施行令の違反ということになっております。直ちに手直しをしておるわけでございますけれども、建設省のとりました措置としては、翌日から直ちに工務店を呼びまして事情を聴取しました。さらに計画局の方では建設業法第三十二条による聴聞を行っております。さらに指示処分を九月二十九日に行っております。指示処分の内容といたしまして適正な施工を確保できる工事施工管理体制を確立すること、設計図書に基づき適正な施工を誠実に行うこと、下請負人に対する指導監督の徹底を図ること、同種の事故の再発防止のためすでに施工したマンション等の点検を実施すること、という指示を行っております。  なお、工事監理者に対します建築士法上の行政処分についても現在検討中でございます。  これに基づきまして、長谷川工務店は、その後適正な施工を確保するために管理検査関係職員を、当時西荻台マンションの建設のときには三十名しかいなかったそうでございますが、現在百九名に増強したと言っております。また、下請業者と合同で施工制度委員会を設けて施工管理体制の充実を図ったという報告を受けております。  なお、既設マンションの総点検につきましても鋭意やっておりまして、全戸数が三万三千七百七十二月あると言っておりますが、それにつきまして本年中に約半分、来年中に少しかかりますけれども、全部の総点検をするということになっておる次第でございます。
  244. 新井彬之

    ○新井委員 総点検のやり方でございますけれども、現在総点検をやっておるようでありますけれども、その総点検のやり方について、たとえて言いますと、建築物を建てるときには設計管理、そういう事務所がちゃんと、これは建築基準法上問題ない設計もし、あるいはまたそのできぐあいもきちっと確認をして出すということになっておると思います。したがいまして、本来なら総点検をしても全然問題がないというのが本当だとは思いますけれども、こういう一つの手抜きであったか落ち度であったかわからないけれども、そういうミスが出てきた。したがって総点検をするときにも、長谷川工務店だけが調査をするのではなくて、やはりそれに対する設計管理事務所も一緒に、それは間違いなかったかどうかということをやらなければ、またそこに悪気がなくても落ち度が出てくるのではないか、こういうぐあいに思うわけです。  それから、そのチェックをして総点検をやった結果、その総点検自体には間違いないのか、だれか第三者の公平なものの証明というものは全然ないわけでございますから、それはそういうことはないとは思いますけれども、本来そういうことがあってはならない欠陥工事というのが一カ所ではなくて何カ所も出てきているわけですね。したがいまして、この際、これはやはり人の命を本当に守るかどうかという大きな問題になると思います。自動車一台買って、その自動車はブレーキはききます、あるいはアクセルはこういうぐあいに動いて走ります、こういうことになるのですけれども、それにどこか車輪のたとえ一つであっても欠陥があれば、これはすぐに取りかえなければいけないし、やはりきちっとした規定に基づいたものを責任を持って売っている。これは何も自動車だけではなくて、あらゆる電気製品にもあるいはガス器具にもそういう欠陥があってはいけないということになっているわけです。したがいまして、一般の方々が、家は絶対につぶれないんだ、これは強度の地震にも耐え得るし、あるいは火事になったときもほかに移らないんだ、こういうふうに安心して皆さんがお住まいになり、また買っておる住宅の中で、もしもそういう問題があるということはこれは大変な問題である。したがいまして、この総点検のチェックの仕方というのを、やはり当然設計事務所なりあるいはまた監督官庁なり、何らかの形で、いやもう再び総点検をする必要はありません、こういう確固たるものをやる必要があるのではないか、こういうぐあいに思いますけれども、いかがですか。
  245. 山岡一男

    山岡政府委員 おっしゃるとおりだと思います。そのように監督したいと思います。
  246. 新井彬之

    ○新井委員 それで結局、この問題について建築学会でいろいろ検討しておるようでございますが、欠陥工事の背景ということについては、企業の経済性の最優先、これは確かに経済性を重んじてやらなければなかなか売れないとかこういうような問題が出てくると思います。それから安全性の無視ですね。安全性の問題についてまだたくさんのいろいろの資料がございますが、きょうは時間がありませんのでそれは申し上げませんけれども、そういうことが出てきている。安全性のための対策というのは、技術者等のモラルの欠如を排除しなければいけない、それから現場管理の問題というのをきちっとしなければいけない、それから施工工事の欠陥、手抜きに対する厳重なる罰則規定、こういうものを講じなくてはこれは解決をしない、こういうぐあいに指摘をしております。そういうことで、こういうような問題についてどのようにお考えになっているか、お聞きしておきたいと思います。
  247. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話のとおり、最近建築工事に関しまして相次いで問題が発生して、建築物の安全性に不安を投げかけておるという点、まことに残念に思っております。その背景といたしましては、個々の事例を検討いたしますと、建築工事量が急激にふえたという時期におきまして、一部の建築業者及び建築技術者が技術のレベルを超えて営業的側面を重視した、先生御指摘の点があろうかと思います。  このような一部の建築業者等の実情を踏まえまして、建設省といたしましては、関係法令のより一層厳格な施行を図るということと、建築生産に関係する各方面の団体と密接な連絡をとりながら、建築業者、建築技術者等のレベルアップに努めてまいりたいと思っております。最近特に一番問題が多くふえておりますのは鉄骨造建築物等についてでございますけれども、そういうものにつきましても設計施工等に携わる技術者の、もしくは技能者にも問題があると思います。そういう点についても、十分関係団体とも協議しながら指導を進めてまいりたいと強く考えておる次第でございます。
  248. 新井彬之

    ○新井委員 じゃ、もう時間ですので終わります。
  249. 天野光晴

    天野委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十八分散会