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1975-12-12 第76回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十二日(金曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 梶山 静六君 理事 唐沢俊二郎君    理事 服部 安司君 理事 村田敬次郎君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君    理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    大村 襄治君       塩谷 一夫君    中尾  宏君       野中 英二君    浜田 幸一君       林  義郎君    松野 幸泰君       渡辺 栄一君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       柴田 睦夫君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁土地局長 河野 正三君         国土庁水資源局         長       宮崎  明君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         国土庁水資源局         水源地域対策課         長       原木 雄介君         運輸大臣官房観         光部業務課長  富田 秀明君         住宅金融公庫総         裁       淺村  廉君         中小企業金融公         庫総裁     渡辺 佳英君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡義登君。
  3. 福岡義登

    福岡委員 本四架橋問題についてちょっとお伺いしたいのです。  先般、井上委員の方からの指摘で、社会党の申し入れに対しまして何らかの政府としての回答をするというお話がございまして、その後事務レベルで一応政府の考えておられる内容説明を聞きました。幾つかの問題点があるわけでありますが、限られた時間で全部本日ここで質問するということも不可能だと思いますから、要点だけ二、三大臣の方から見解を示していただきたいと思うのです。  先日、事務レベル説明を聞きました限りでは、なお判然としていない点が幾つかあるわけです。たとえば一ルート決定は三全総の検討の中で行うという表現が使ってあるわけでありますが、その三全総の作業の経過を仄聞するところによりますと、経済の一般的な情勢その他から考えてみまして、必ずしも順調にといいますか進んでいない、相当おくれるのではないか、来年の秋ごろでないと三全総は結論が出ぬのではないかという話も聞くわけであります。そういう点が一つありますし、それから尾道今治ルート大三島はもうすでに着工命令が出て、あと因島大橋については着工準備を引き続き進める。こうなっておる。それから大鳴門橋につきましても着工準備を進めるというように説明してあるわけでありますが、いつごろまでに一体どういう方向で考えようとしておられるのかということが一つであります。  それから第二の点は、この本四架橋問題は、建設省のみならず運輸省あるいは労働省各省にわたっているわけでありまして、先日、私もこの場で窓口を一本にしてもらう必要があると思うがどうかという質問をしまして、大臣もその必要を認められまして、そういう対策を進めていこう、こういう答弁をいただいておりますが、先日の事務レベルの話では、まだ具体的な検討がなされていない、こういうことでございますが、この窓口一本化もどういう作業が進められておるのか、いつごろをめどに窓口が決まるのか、そういう点も問題があると思います。  それから、相当出資金地方自治体に求めておるわけでありますが、最近の地方財政状態にかんがみまして必ずしも当初の計画どおりにいきそうもない。先日の事務レベルの話では、自治省大蔵省などと十分協議をいたしまして地方財政については考えていきたい、こういうような説明でございます。  そういうようなことが幾つかあるわけでありますが、総合的に今日時点本四架橋というものはどういうようにわれわれは理解すればいいのか、あるいは政府としてはどういうように考えられておるのかという点について御説明をいただきたいと思います。
  4. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 御質問の範囲が広いようでありますから、足らないところは道路局長から一応御答弁をいたしますが、まず三全総の計画でありますが、決して明年度にも及ぶというようなことを考えておりません。国土庁でもかなり積極的に推進してくださっておるようでありますから、年度内には私どもは少なくとも三全総計画決定をいたしたい、かように思っておりますし、そうなるものと期待をいたしております。  それから窓口一本化の問題でありますが、これはさきの委員会でも井上議員さんにもお答えをいたしましたように、運輸省建設省の方でいま調査を進めておりますから、これも大体年度内には一応の調査が終わる予定であります。そうしますと、両方あわせて一本にして窓口はぜひつくりたいと思っております。これはそうしないと地元皆さん方にも関係者にも大変御迷惑をかけますから、窓口を一本化して、そこでひとつ責任ある今後のいろいろな施策を行っていく、行政を行っていく窓口をつくりたい、かように思っております。  それからルートの問題でありますが、私どもは、前の計画でも御報告申し上げましたように、当面ルートは一本、三全総で決定をするということにいたしておりますけれども、やはり地域的には、従来の経緯もこれあり、放任するわけにいかない問題もありますから、地域計画としてぜひルート決定以外の問題についても進めていきたいと思っておりますし、すでに御承知のように、大三島起工はこの二十一日にやることに決定をいたしました。因島の問題にいたしましても、この間関係のいろいろの船舶関係団体の方がたくさんお見えになりまして、いろいろ私も承りました。私ども考え方も率直に申し上げまして、一応御理解は得たようであります。そこで、やはり大三島起工についても同意をするというなにが出たわけでありますから、これは因島も大鳴門の問題も含めての問題であると私どもは解釈をいたしておりますから、因島決定についてのその面の障害はなくなったと感じております。  だから、これはやはり環境庁自然環境審議会にも諮らなければなりません。いま大鳴門の方の協議書を実は出しておるわけでありまして、この問題についても、できることなれば年内にと思っておりましたが、いろいろ審議会事情もありまして年内にはいかないようであります。けれども環境庁長官ともいろいろ相談いたしましたが、できることならば年内から審議会を始めてもらいたいと要望いたしてありますから、これも年が明けますとできるだけ早い目に決定をしてもらいたいと思いますし、それから引き続き因島の問題も私ども環境の方にも御相談をしようと思っておりますから、最初約束どおり、ぜひ年内には着工決定までに持っていきたい、こういう考え方努力をいたしておるわけであります。  その他いろいろとこの問題については、見方によってはいろいろの意見が出てくるわけでありますけれども、少なくとも現在の時点において現実的に問題を解決していくためには、私どもはいまの方法より手がないではないかということで、地元の方々にも御理解を得ながら、関係方面の御協力を得ながらこの問題を進めていきたいと思っておりますから、一番最初ここでお答え申し上げたとおりの基本線は少しも崩しておりませんし、若干時間的なずれができておることは申しわけないと思いますけれども方針に変わりはございません。年度内にはその方向決定をいたしたいというのが基本的な考え方であります。
  5. 福岡義登

    福岡委員 地方財政関係はまた後でついでのときに……。  広島県知事など関係する自治体意見を聞きますと、このままの状態では当初求められておるような出資が、できないとは言ってないのですが、非常に苦しいということを強く言っておるわけであります。恐らく愛媛県その他関係の県につきましても同様なことが言えると思うのですが、先ほども申し上げましたように、事務当局の話では、自治省大蔵省などと協議をして対策を立てたい、こう言っておるわけであります。深刻な地方財政の今日の状態でございますから、よほどのことを考えていかないと出資が困難ではないかと思いますので、もし後でお考えがあればお伺いしたいと思うのですが、さて当面どうするかという問題が私はあると思うのであります。  大鳴門大橋をかけるにいたしましても、因島大橋をかけるにいたしましても、幾つかの問題がある。この間も尾道の市長が参りましていろいろ話をしますのに、因島大橋がかかることによってフェリーなど十三社、約四百人の従業員の問題がある。橋はかけてもらいたいし、これらの従業員なり業者の身の振り方も必配である。漁業補償話し合いがある程度進んでおるようでありますが、航路の方はほとんど進んでいない。それから架橋した場合にメリットデメリットがいろいろ考えられるわけでありますが、そのメリットの方はよくなる方でございますからこれは特別問題はございませんが、デメリットに対する対策というようなものも立てなければいかぬ。地方自治体がそれらの問題を持ち込むその窓口が、建設省運輸省もある。多岐に分かれておる。各省庁にまたがっておるので非常に困難である。話が進まないということを言っておるわけでありますから、そういう意味でも、本格的な窓口一本化は若干時間がかかるにいたしましても、当面の窓口をどうするかというような程度は明らかにしておく必要があるんじゃないかということが一つであります。  それからもう一つは、これも先日の事務レベル話し合いのときの問題なんですが、架橋というのは一つ手段でありまして、生活向上手段である、あるいは経済発展一つ手段なんであります。橋をかけることが目的ではなくて、経済発展なり国民生活向上目的であって、架橋というのは手段なんであります。その本四架橋をかけることによってどういう地域開発を考えていくのかという、そういう計画はまだない。これは都道府県知県、まあ都はございませんが、県知事などあるいは市町村長が集まっていろいろ相談をして計画をつくっていただきたいというのが事務当局説明でございましたが、これだけの大事業をやるのですから、大筋はやはり政府としても持つ必要がある。たとえば総合交通体系というものについてどうなのかという質問をしてみますと、橋がかかれば自動車がどのぐらい通るであろう、あるいは船舶輸送にはどういう影響があるであろうという、そういう試算は出ておるわけであります。ところが、これがあるべき交通体系かということになってまいりますと、運輸省もそこまでまだ計画が進んでいない。ですから、これだけ大事業をやるのですから、その架橋中心にして地域経済発展なり国民生活向上というもののプランがなければならぬ。そういうものも急いでやっていく必要があると思います。  道路公団見解は、私どもの方は橋をかけることが主たる任務でございまして、経済問題その他については最小限の調査はいたしておりますが、将来の計画を策定するような立場にはございません、これはまあ当然のことなんです。建設省も、それが直接の任務ではない。経済企画庁なりあるいは国土庁なり、ある意味では政府全体として架橋中心にした将来の発展計画というものを持たなければならぬ。そういうものがいま説明段階では聞くことができぬわけでありまして、そういうものの策定もひとつ急いでいただきたいと思うのですが、御見解を伺いたい。
  6. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 細かいことはまた局長から答弁をいたさせますが、まず第一が地方財政の問題であります。二対一の割りで地方にも負担を持ってもらうことになっていますが、これは率直に申し上げまして、橋の問題に限らず公共事業推進していくために地方財政負担が非常に過重になるということで、私どもむしろ公共事業を進めるためにもいままでは国の予算を獲得することに全力を挙げておりましたが、もう一つ荷物ができたわけです。国の予算を獲得すると同時に、それを遂行していくための地方財政裏づけ財源を確保するというもう一つの問題ができたわけで、この問題と並行して今後の公共事業推進を図っていかなければなりませんから、これは必ずしも架橋の問題に限らず、地方財政確立という問題については今後の一つの大きな行政課題として考えていかなければならぬ、かように思っておるわけであります。  すでにこの架橋負担にしましても三十五億ですか、本年度五十億ぐらいそれぞれ地方から出資をしてもらっておりますから、これは地方に対する問題も、いままでも非常に御苦労なされてきておると思うし、実施をするということになって予算が増大してくればなおさら負担が大きくなる。さればといって、負担が大きくなるからといってこの問題でいろいろ足踏みをすることになりますと、せっかくここまで地元の非常に強い要望に沿って推進をしてきたものが、今度また地元のそういう都合によって停滞するようなことになってはいけませんものですから、これはじっくりと、この問題が本格的に進むことになれば、私は地元関係の県とも市町村とも十分相談をして、この問題に対する対策を考えていきたい、かように思っております。  いま即答にはなりませんけれども、これはなかなかそう簡単に即答のできる問題ではありませんから、根本的な地方財政確立という面から踏まえて、そうしてこの架橋に対する負担をどうしていくかという問題は十分ひとつ協議をしてまいりたいと思っております。  それから船舶関係の問題でありますが、確かに因島だけでも十二、三社あります。実はこの十二三社の代表者にもう二回お目にかかりまして、いろいろ私どもの基本的な考え方お話しして大変了解をしていただきました。橋がかかってそれから後の問題でありますから、まだ何年か先になるとは思いますけれども、それまでは社会的な責任を果たしてもらわなければならぬ。橋が終わったら、はいさようならではこれはいかないわけでありまして、過去の問題がどうあろうとも、将来の問題がどうあろうとも、私は、こんな大きな橋が過去にもそれからこれから先にもあるとは思っておりませんから、この問題についてはそれなりの独自の判断に基づいて話をつけなければならぬ、そのためには、協力してもらった人が、これが終わったら、はいそうですかという、そんな無責任なことはしません。責任を持って今後の処置の問題については、あるいは転向の問題とかあるいは就職の問題とか、いろいろありましょうから、それぞれケースがあります。漁業補償のように一律にはいかぬわけでありますから、それぞれのケースに応じて具体的に私ども努力をいたします。これは誠意を持って努力をいたしますという話をいたしまして、そこで御理解を得たわけでありますから、今後はそういった問題、具体的な問題が生じた場合に一つ一つ解決方法を考えていく、こういうふうにいたしたいと思っておるわけであります。  それから、いろいろ対策の問題です。橋はかけた。ただ橋だけじゃいかぬじゃないか。それに対して交通対策をどうするかあるいは振興対策をどうするかという、これは福岡理事さん前々からそういう御議論でありまして、そのとおりだと思っておりますが、率直に申し上げまして、公団はまず橋をかけることが先決問題。それが大きな離島振興の重大なポイントになるわけでありますから、まず橋をかけることが先決問題。かけた後のその島の経済はどうなるか、交通はどうなるか、あるいは発展計画はどうなるかという問題については、これは国も責任を持たなければいけませんけれども、やはり地方団体、県にしてもあるいは市町村にしても、自分の島を、橋がかかった後はどういう形で経済発展を図っていくか、安定を図っていくかといった問題は、みずからも計画を立ててもらわなければなりません。そういうふうに地方の実態に応じた計画案を立ててもらって、それに私ども十分相談に乗りながら、われわれとしてお手伝いすることあるいは協力することはできるだけ協力をしていく、こういう形で仕事を国の方と両々相まって今後の振興計画ですか、発展計画ですか、そういうものを立てていかなければならぬじゃないか、実はこういう感じがいたしておるわけでありまして、そういう基本方針に基づいて努力をいたしていくつもりでございます。  なお、詳細は局長からお答えするようにいたします。
  7. 井上孝

    井上(孝)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げたことでほとんど尽きておりますが、最後の各地域開発の問題でございますが、これは先生も御指摘のように、それぞれの都道府県の知事さんあるいは市町村長さんの方で地域開発計画をそれぞれお持ちだと思います。そういうものを総合し、かつ国としてどういう方針で臨むかということは、たとえばEルートの場合には離島振興計画というのがございます。このたび改定の作業中であります三全総でも、架橋を含めたあの辺の交通体系がどうなるかということを国の方でも示しまして、それをガイドラインにいたしまして各自治体がそれぞれの振興計画を立てる、こういうことに期待をいたしておるわけでございます。
  8. 福岡義登

    福岡委員 世紀の大事業でございますからそう簡単にはいかぬと思いますが、今後の御努力要望いたしまして、また別の機会にやりたいと思います。  次は、不況対策について若干お伺いしたいのであります。御承知のように中小企業倒産件数も非常に多くなっておるわけでありますが、建設行政関係で二、三お伺いしてみますと、公共事業執行状況を見ますと、昨年の同期に比べればある程度繰り上げ契約、発注をされたということで、相当進んでおるようであります。  建設省の資料によりますと、十月末の契約累計は七三%になっておるわけであります。上半期で七〇%ということを言われておったように聞いておったのですが、それからすると少し伸びが少ないのじゃないかというように思います。それでも昨年の同期に比べますと一三%ぐらい執行が進んでおるわけでありまして、その意味では努力の結果というものが出ておると思うのでありますが、しかし、当初考えておられました計画よりは相当おくれておる。  いろいろ理由があると思うのでありますが、内容別に見ますと、直轄事業の方は七六%、それから補助事業の方が七一・五%、それから公団が七四、平均して七三・三、こうなっておるのですが、問題はこの地方自治体単独事業、ここには出ておりませんが、相当落ち込んでおる、地方財政事情どもございまして、非常に落ちておるわけでございますが、都道府県は昨年同期に比べると逆に三一・五%ぐらい落ち込んでおる、それから市町村は九・五%の減になっておる。国の方はさっき言いましたように七三%、前年に比べて一三%ぐらい伸びておるのでありますが、問題は地方単独事業が相当ダウンしておる。これは国の責任ではないとおっしゃれば、建設省責任ではないと言えばそうかもしれませんが、しかし、行政指導責任はあるわけでありますし、あるいは景気対策全体からいくと、三木内閣としても考えなければならぬ問題であります。  そこで、公共事業をめぐる景気対策というようなものについて建設大臣は現状、どういう認識をされておるか、まずお伺いしたいと思うのであります。
  9. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 十月末の公共事業進行状況は、ただいまお話があったとおりであります。ただ、上期でかなり伸ばしましたものですから、若干下期が、前年度と比較いたしますと伸びは鈍化いたしております。これは、大体従来公共事業は、上期はある程度抑えておって下期に伸ばすという傾向があったものですから、そういう意味においては、上期で七〇%近く伸ばしたものですから下期が若干鈍化した問題と、もう一つ、率直に言って地方財政が大きく影響しておることは間違いございません。これは既定の計画ではもうそれだけの財源対策はあるはずだとわれわれは言っておるし、自治省も言っておりますけれども、やはり税収の落ち込みが非常に大きくて、しかも先行きが非常に不安だということから、下期になって、特に十月、十一月というのは地方の方では伸びが非常に低下をいたしております。これは先行き警戒をしておるという問題と、地方財政が大きく左右しておることは事実であります。  ただ、補正予算が十月に成立をいたしまして、それから、これには地方財政裏づけの用意ができておることは御承知のとおりでございますから、大体各県定例が十二月ですね、今月の定例県会補正予算のいわゆる手続をするわけでありますから、そういう意味において十月、十一月は若干おくれましたけれども、十二月定例県会補正ができればまたもとの姿にある程度戻るのじゃないかということも考えております。本年は補正裏づけを、公共裏づけだけではなくして、地方財政のいろいろな特別の措置もできたわけでありますから、本年はまずそれで乗り切れると私どもは思っております。  ただ明年度からの問題がまた大きな問題であろうかと思いますが、これはひとつ全般的な地方財政確立の問題として、各省庁とも十分相談をして最善の努力をしなければならぬと、かように思っておるわけでございます。
  10. 福岡義登

    福岡委員 一般論としてはわかりましたが、補助事業道路関係が六九・八%しかいっていない、それから住宅対策が六二%しかいっていないいいものでも治水、海岸が七三、都市計画は八〇%いっておるのですが、道路関係が低い、住宅関係が特に低いというのは何か特別の事情があるのか、その辺……。
  11. 山岡一男

    山岡政府委員 公営住宅が特に低いわけでございますが、これは年度の初めに、前年度繰り越し分を含めまして十万戸ぐらいの計画、本年度も八万五千戸ということで計上したわけでございますが、実際のところ、現在まで地方公共団体の方に個所づけが済んでおるものが七万戸ちょっとでございます。で、実際にまだ何千戸か残っております。そのうちで特に予定をいたしておりました東京都、大阪府あたりの方でわれわれの予定よりも要望が少なかった。それは全体を割り掛ける場合にはそれも全体の中には入っておりますので、執行状況が低くなっておるという事情でございます。
  12. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路事業につきましては、補助関係契約状況がちょっとおくれております。これは昨年に比べましては相当高くなっております。いろいろな事情があると思いますが、ことしは特に都道府県におきまして議会の予算の編成が大変おくれた、そういった事情があるのではないかと考えております。昨年も他に比べて道路は相当おくれぎみの結果が出ております。特に今年度が低いというようなことはないのじゃないかと思います。
  13. 福岡義登

    福岡委員 大臣説明もありましたが、補正予算の効果が、十二月県会にかかるなどの事情があってまあ年を越すのじゃないかということでありますが、不況対策の観点からも公共事業執行にぜひ適切を期してもらいたいということを強く要望したいと思います。  そこで、住宅金融公庫総裁はまだ——それでは、それは後回しにいたしますが、中小企業零細企業全体の倒産件数が非常にふえている、特に年末から一月にかけて大変なことになるのじゃないかという話があるわけでありますが、建設省としては、直接的には建設業者でございますが、特に中小零細企業の年末、年始にかけての不況対策というものについてどう考えておられるかという点をお伺いしたいと思います。  同時に、中小企業金融公庫の総裁にも御苦労いただいたのでありますが、どういう角度から、中小企業金融公庫の場合は建設業者だけという意味じゃないと思いますが、ここは建設行政を審議しておる場所でございますからそれを中心に申し上げておるわけでございますが、金融公庫としてはどういう対策をとろうとしておられるのか御説明をいただきたいと思います。
  14. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 中小企業の特に年末を控えましての資金の需要というものは、相当大きくなってまいっております。倒産件数もふえてきており、しかもその中には、従来放漫経営という原因が多かったのですが、不況による販売不振とか売掛金の回収不能とかいった不況型倒産がふえておる。こういう状況に対処いたしまして、年末を控えまして、先ほど第四次不況対策といたしまして、下半期の政府中小企業向け三金融機関、すなわち中小金融あるいは国民金融、商工中金、これらの下半期の貸付枠が約一兆円、一兆九百八十三億円でございました。これに対しまして四千八百億円、五割弱でございますが、これを追加することによって、これは全中小企業でございますけれども、対処しようとしておるわけでございます。  ちなみにこの中に占める比率というのは、大体建設業関係は平均して七、八%というのが現状でございますが、このような融資によって対処しようとしておる点が一点でございます。  それからもう一つは、昨年もやりましたが、市中銀行等の民間の金融機関から建設企業向けの年末融資について特別に見てほしいということで、特に保証事業会社、それから建退共、建設業退職基金共済組合による預託金を見返りといたしまして、十億円はすでに用意しております。今後業界の要望に応じましてこれを逐次増加するように配慮いたしたいと考えておる次第でございます。  こういったことで対処しようとしておりますが、これらの融資に当たりましては、信用保証協会による融資保証を積極的に活用する、こういったことを考えておるわけでございますが、やはり業界としまして、昨年とちょっと比べてみますと、資金の需要というのは、昨年相当思い切って年末の融資をいたしましたことによりまして、三年で返すというような状況になっておりますから、新規の需要もさることながら、業界全体といたしましては、先ほど来申し上げておるように、中小企業に対する発注、特に地方の財政等による発注の鈍化ということが響いておりますので、この発注の要望の方が強いというような傾向が見受けられる次第でございます。  年末の金融について主として申し上げました。
  15. 渡辺佳英

    渡辺説明員 お答えいたします。  中小企業金融公庫といたしましては、これは建設業だけを実は別扱いにしているわけじゃございませんので、融資の申し込みの中にもちろん建設業の業者からの申し込みがありまして、それを一般の場合と同じように扱っておるわけでありますが、この年末に際しましては、先ほど局長から御説明がありましたように、私のところも追加の枠をふやしまして、この十月から十二月の三カ月間に三千百二十億という資金を用意しております。これは、昨年同期の実績に比べますと一割二分ぐらいの増になっておりまして、したがって、資金的には当面必要な準備はできております。  それに対しまして、私どもの公庫の窓口に参ります建設業の割合というのは最近やはり多少ふえておりまして、従来は全体の七%前後であったのが、このごろは一〇%に近くなっております。その中でやはり運転資金の需要が多いものでありますから、これは恐らく不況対策向けと申しますか、後ろ向きの資金需要というのがそれだけ多くなっておるのだろうと思います。しかし、それに対しましていままでの足取りを見ますと、特にこの年末に倒産が非常に増加するというような気配はいまのところ見えておりません。一応われわれの方に対する業界の要望に対しましては、資金の供給に万遺憾なきを期してお句ます。したがいまして、この年末もそう大きな破綻なく過ごせるのではないだろうか、こういうふうに期待しておるわけであります。  以上でございます。
  16. 福岡義登

    福岡委員 総裁にもう一度お伺いしたいのですが、私どものアンテナに入るのは、どうも運転資金が苦しいから公庫の方に相談に行くけれどもなかなか思うように融資してもらえないという話を聞くのでありますが、手続がめんどうだとかなんとかいうのは別にいたしまして、結論として融資がしてもらえるかどうかというのが問題なんですけれども、中小零細企業者の話によりますと、必ずしも希望どおり融資してもらえない場合が多いというように聞いておるのですが、いまのお話だと、これ以上倒産はふえないであろうというようにお話しになったのですが、何かそれは根拠があるかどうか、ひとつ聞かしてもらいたいし、それから三千百二十億という資金枠で年末から年始にかけてはやっていける自信があるのかどうか、需要の関係はどうなるかというような点についても御説明願いたい。
  17. 渡辺佳英

    渡辺説明員 ただいま申しました三千百二十億という数字は、これは十月から十二月までの間でありまして、したがいまして、来年の一月以降の数字は、これは二千五百八十数億というのを別に用意しております。  それから、中小企業金融公庫は金を貸してくれぬじゃないかというお話があったわけでありますが、私どもの公庫は長期運転資金を供給するというのが公庫の仕事でございまして、したがって、きょうあす要るからというので急に思いつかれてばたばた来られるというような場合がありますと、これは短期の必要資金ということになりまして、したがいまして、その急場の間に合わないというような意味で御批判はあるかと思うのでありますが、しかし、企業は倒産さしてはならないというのが私ども方針でございますので、そういった場合にも、私どもの方の代理店であります市中の金融機関に話をつなぎまして、うちが将来出せるものであるならばつなぎに融資してもらうといったような措置も講じております。したがいまして、平素のおつき合いがあって従来何回も資金を御用立てしておる、したがって様子もよくわかっておるといったようなところに対しては、ある意味で早いアクションがとれるわけでありますけれども元来私どものところは預金を受け入れる機構になっておらないものでございますから、したがって全く新規のお申し込みがありましても確かに急場に間に合わないという点はあるかと思いますけれども、できるだけ倒産を起こさないという意味では万全の措置をとっていきたい、できる範囲の措置をとっていきたい、こう考えております。  先ほど、この年末にそう倒産がふえる気配はいまのところ感ぜられないということを申し上げましたけれども、これは私の窓口の感触でございまして、あるいは私どものカバーできない範囲でそういう懸念があるかもしれませんけれども、私どもの目から見ますると、この年末そう大きな事故は起こらないんじゃないだろうかという感じをいま持っておるということを申し上げたわけでございます。しかし、先生のお言葉もありますし、今後とも建設業の年末あるいは年始資金的な面につきまして、私どものできる範囲でございましたらばできるだけ配慮してやっていきたいと考えております。  以上でございます。
  18. 福岡義登

    福岡委員 総裁にお願いしておきますが、大変御苦労いただいておるのでありますが、なお一層万全を期していただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから建設省の方にお願いしたいのは、零細企業は、単独事業、いわゆる補助事業というようなものが中心なのであります。先ほど来話しましたように、単独事業はことのほか発注率がおくれておる。補助事業についても、住宅あるいは道路関係についてまだおくれておる。そういう単独事業なり補助事業についての行政指導なりあるいは財政措置なりに、今後適切を期していただきたいということを要望しておきたいと思います。  住宅金融公庫はまだお見えになりませんか。——じゃ、それは後回しにいたしまして、次の問題にいきます。  来年度予算公共事業関係について、建設大臣にお伺いしたいと思うのですが、昨日の新聞によりますと、「五十一年度予算大蔵原案の作成を急ぐ大蔵省は十日、当面の景気対策とからんで予算編成の焦点となっている公共事業費について「重点配分、効率執行型」とする基本方針を固めた。具体的には1住宅、下水道などといった生活関連重点をやめて、」ここが問題なのですが、「道路、河川、ダムといった広く国土保全、経済基盤強化に結びつくばかりでなく、景気にも“即効性”のあるものに重点配分する」云々と、こう書いてあるわけです。私どもが、建設省大蔵省に要求されました説明を聞く限りにおいては、こういうことになっていないというように思うのです。新聞報道でありますし、確かめたわけではないのでありますけれども大蔵省が生活関連の住宅や下水道を思い切って切っていくという方針を持っておるとすれば大変なことだと思うのでありますが、建設大臣はどう考えておられるかまずお伺いしたいと思います。
  19. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 実は私もその新聞を見て気がついただけのことであって、私どもは何も正式にそんな話も聞いていないし、党議で決定されたとも聞いておりませんし、これからの課題だと思っておりますが、率直に言って、いま不況四次対策を立ててありますが、それで十分でないからもう一遍五次対策を立てよという声もあっていることも事実であります。ただ、五次対策はやらないけれども、五十一年度予算は景気浮揚策も十分考えながら編成しようという基本方針を持っておることは事実でございます。  しかしそうかといって、私どもが、三木内閣一つの大きな看板でもあります生活環境整備ということで、住宅、下水道を重点にやるということは、これはもう御承知のとおりでありまして、明年度予算に対する要求もそのとおりでありまして、その姿勢を一歩も崩そうとは私どもは思っておりません。ただ、その上に景気浮揚対策として、あるいは浮揚五次対策一つとして道路とかダムとかいったものをさらにプラスアルファで考えるというならば、これはもちろん歓迎すべきことであって、否定すべき問題ではありません。しかし、それをやるために住宅やあるいは下水道を犠牲にせよということなら、そういう筋違いのものは私は納得するわけにはいかない。私どもは、あくまでも既定方針でいきたいですが、景気浮揚対策の面からいって公共事業を大いに伸ばしてやるということは歓迎すべきことであります。そういう意味で、さらに大いに枠をふやしてもらうことについては、もちろん私どもは大いに歓迎しなければいかぬし、その方向努力をしなければなりませんが、いま言ったような基本方針まで根本的に変えるといったことは、とうてい考えられる問題でもありませんし、そんなことは考えておりませんから、御理解をいただきたいと思います。
  20. 福岡義登

    福岡委員 お話を聞いて安心したのですが、公共事業の総枠をふやすというならわれわれも歓迎するところでございますが、枠の中で住宅、下水道、生活関連を切って、そうしてほかの方に回すというのは得心できない。いまから大蔵折衝に入られると思うのでありますが、ぜひ万遺憾なきを期していただきたいと思います。  ところで、ついでにお伺いしておきたいのですが、住宅の五カ年計画、下水道の五カ年計画が今年度で終わるわけであります。来年度予算要求の中身は一応あらかじめお伺いしておるのでありますが、この際ですから、来年度以降の計画決定基本方針的なものを明らかにしていただきたいと思います。
  21. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 具体的なことは局長からまたお答えをいたしますが、第二期の住宅整備五カ年計画、この基本的な考え方は、答申にもありますように、やはり量から質へということで進むべきだと思っております。じゃ、質とはどの程度のものかということでありますが、これは審議会からもいろいろ答申されておりますが、少なくとも標準家庭で三DK以下のものはそれ以上に引き上げるということが基本的な考え方であります。五カ年計画では、少なくとも三DK以下のものは五〇%は解消していこうというのが基本的な考え方であります。これが居住水準を引き上げた質の向上を図るという第一点であります。  第二の問題は、いままでは住宅は建設するだけで、建てさえすればそれでいいということだったが、これから先はそれではいけないと考えるわけであります。建てた住宅を入り手がなくて五〇%も六〇%も遊ばしておるというようなことは、私は少し考え直さなければいかぬ問題だと思うのであります。いつかは埋まるかもしれませんが、これほど住宅が逼迫しておるときに、建てた住宅を入り手がなくて遊ばしておるというようなことはあるべきことではないと思います。そういう意味で、建てるだけではない、供給の面も考えていかなければならぬ。そのためには既存住宅の活用、あるいは中古住宅の制度といった問題、供給の面もあわせて五次対策では考えるべきであるというのが基本的な考え方であります。  それからもう一点は、何といっても大都市を中心にした低所得層、母子、老人家庭が困っておることはしばしば言っておることで、非常にむずかしい問題でありますけれども、大都市を中心にするそういう人々のための住宅、いわゆる公的賃貸住宅を拡充していく、これは政策の一つの大きな目標であります。非常にむずかしい問題がある、隘路がありますけれども、何とかしてこれを崩して、できるだけそういった面で努力をしたいというのが重点の大きな一つであります。  もう一つの問題は、民間住宅の問題であります。八百六十万戸予定をいたしておりますけれども、公的住宅は三百八十万戸、あと五五%は民間住宅に頼っておるわけであります。民間住宅が完全にいかなければ、住宅計画を立てても結局目的は達成されないということになりますから、民間住宅の推進をどうするかということが大きな課題であります。これについては融資の問題とか税制の問題とか、いろいろ検討いたしておりますが、従来の隘路を打開して、民間も大いに伸ばしてもらうように私ども努力をいたしたい、これが基本的な住宅五カ年計画に対する考え方であります。  なお必要があれば、細かい計画局長から答弁をいたさせます。
  22. 福岡義登

    福岡委員 住宅問題、下水道問題は、いずれ機会を改めて議論することになると思うのですが、大臣のいまのお考えはそれで否定しません、そのとおりでいいと思うのです。  ただ、この機会に一言だけ要望しておきたいと思いますのは、先ほども不況対策のところでちょっと触れましたように、公的住宅が非常におくれておる。とりわけ公営住宅、これは全体のシェアからいたしますと公的賃貸住宅は七%しかないのです。どの程度が適当なのかというのは議論があるところでしょうが、少なくとも七%のシェアでは足りないということだけは衆目の一致するところであります。ですから第三期五カ年計画においては、公的賃貸というもの、いまもお話がありました低所得者層の住宅対策というものも考えまして、相当思い切った対策を立てていただきたいということが要望一つであります。  それからもう一つは、確かに世帯数を戸数が百何万戸か上回ったと言われておるのでありますが、しかし、全体の戸数に対する割合を出しますと、三%程度でしかない、空き家率三%、こう言うらしいのでございますが、全体的に考えてみて、住宅を円滑に供給しようとする場合にはある程度の空き家を持っていなければいけない。その空き家が三%程度でいいというようには考えられない。しかも、空き家は地域的にばらついておるわけであります。全国で平均して空き家が三%あるわけではないのでありまして、地域的に相当偏っておるということ、あるいは老朽住宅などを考えますと、あたかも建設省などの説明を聞くたびに思うのでありますが、いろいろ努力をした結果戸数だけは何とかもう確保できた、あとは質の問題だと、こういうように演説をされるのですが、素人が聞くとそういうように思うかもしれませんが、実際にはそうではない。完全なものだと、老朽家屋はないといたしましても、三%の空き家では人の移動その他から考えてみまして、円満に住宅を供給することはできないのでありますから、戸数も足りないのだ、質もまだ悪いのだ、こういうように考えて対策を立てていただきたいということをこの際強く要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、来年度予算に限定した話じゃないのですが、下水道整備の関係で、流域下水道というのをいろいろやっておられるわけであります。私の出身の広島県でも、太田川、芦田川という二本の流域下水をいま進めておるのでありますが、なかなかこれが進まない。したがって、たとえば県の開発公社なりあるいは勤労者住宅協会などが宅地造成をやる、家を建てる、しかし流域下水道がないために特別の排水設備をとらなければならぬ。数億円の金をかけなければならぬ。もし流域下水道の計画がはっきりして、何年何月ごろにはこれが供用開始できるというようなことになっておりますと、住宅建設も宅地造成もそれに合わせることができる。しかし、いまのところ一応の計画はあるけれども、いつごろまでには完成するという具体的なものがない。それは確かに終末処理場の用地を確保するとか関係住民の同意を求めるとか、いろいろの問題があるからということは承知するのでありますが、それにいたしましても、もう少しピッチを上げることはできないか。環境保全の面から考えましても、この流域下水道あるいは都市下水なども公共下水を含めましてですが、相当急ぐ必要のある事業だと私は思うのであります。どうもテンポがおくれておるように思いますが、その辺について方針を明らかにしていただきたい。できれば太田川なり芦田川の供用開始、どの辺に責任が持てるというようなことを説明してもらえればいいと思います。
  23. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 詳細は局長からお話し申し上げますが、まず先に、私は住宅五次と言ったかもしれません、三期計画でございますから、訂正をさせていただきます。  公営住宅の問題は、やはりおっしゃるとおりでありますが、これは地方団体との問題もありますから、私どもはこれを積極的に推進していく問題と、もう一つは、入居管理をもう少し徹底していきたいと思っております。そういう問題も含めて、これから一番必要なのは最低所得水準の人々に対する住宅供給ですから、これは公営住宅が一番重要であることはおっしゃるとおりでありますから、そういう方向で進めてまいりたいと思います。  それから、住宅とあわせて下水道の問題でありますが、これはたびたび申し上げておりますように、一番おくれております。全体の都市人口に比して二二・五%ですから、世界で最低でございます。そういう面から考えますと、これに重点を置かなければならぬ。そういう意味で、たとえば道路が必要であってもダムが必要であっても、おろそかにできないというのが私ども考え方。五カ年計画では少なくとも四五、六%、これで欧米諸国の大体半分程度になるわけでありますから、そのぐらいへは日本も先進国として持っていきたいという考え方を持っております。そのための五カ年計画で、大体十一兆円という予定にいたしております。いま二兆六千ですか、四倍ぐらいの計画明年度から発足する五カ年計画を進めたいと思っております。この計画予算獲得は、相当問題はあると思いますけれども、全力を上げて、また御協力もいただきたいと思っております。そうい形で、下水道もぜひ推進をしたい。特に流域下水道等の問題につきましては、御承知のとおりであります。  なお、細かい問題は、局長から答弁をさせます。
  24. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 例に挙げられました太田川の流域下水道の計画は、全体で九千九百ヘクタールに及ぶ非常に広大な区域を対象とした大事業でございます。そこで、第一期計画として当面の約十万人分、これは全体で六十七万人分の計画ですが、そのうちの約十万人分を対象にした第一期計画だけでも約三百五十億円の巨費を要する事業となっております。現在までに約五十億円程度はすでに投入いたしまして、暗渠の一部、特に道路工事等との同時施工が望ましいような地区から始めておりますが、処理場が、ようやく四十九年に広島市によって埋め立てを完了し、来年の一月から建設に着手するという工程になっておりますので、今後相当この金額を伸ばし、また事業のピッチを進めるといたしましても、通常なお数年はかかるだろうと考えております。  上流付近にいろいろと大規模な住宅団地等も計画され、あるいは建設中でございますので、現に建設中の団地の処理にはとうてい間に合わすことができませんが、今後のこともありますから、流域下水道につきましては特に力を入れたいと思います。太田川も、太田川処理区の第一期工事分くらいは何とか次の五カ年計画内には一部供用開始するというところまでは持ち込みたいという計画でございます。
  25. 福岡義登

    福岡委員 促進をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  それから、住宅金融公庫総裁お見えになりましたのであれしますが、不況対策の角度から、あるいは住宅対策の角度から御答弁をいただきたいのですが、十一月の申し込みの受け付けをされまして、たしか個人向けその他を含めまして十万八千戸でございましたかやられたのですが、どうも貸し付けの契約率が、申し込みはそれだけあったけれども余り伸びてない、一〇%程度しか契約されていないというように聞くのでありますが、十一月の申し込みを受け付けられまして貸付契約を完了してるものはどれくらいございますか。
  26. 淺村廉

    ○淺村説明員 先生お尋ねの、私どもで第二次分と申しております十月の一日から十三日の間に申し込みを受け付けた件が約十万戸でございます。これにつきましてどのくらい契約をしたかというと、十一月末現在で約一〇%、おっしゃるような数字になっております。  ただ、これは私ども決しておくれておると思っておりません。従来からそのような勢いで滑り出すのでありまして、むしろこれは滑り出しがいいと私は考えております。大分第一次分でいろいろごちゃごちゃいたしまして御迷惑もかけましたので、第二次分はひとつうまく滑り出し、上手にこれをこなしていきたいと考えまして、目下せっかく努力をいたしております。恐らく十二月末になりますと、これは見込みでございますから若干狂うかもしれませんけれども、約五万五千件、五〇%程度の契約が成立するであろう。一月末になりますと、ほとんど九〇%近いものが契約になる。始めたのが十月でございますから、どうしても最初はそういう率で、だんだん馬力がかかってまいりまして、十二月、一月になりまして非常な勢いでこれが出てくる、このように私は考えておるわけでございます。
  27. 福岡義登

    福岡委員 勉強不足でよく実務の方はわからぬのでありますが、気持ちは、こういう時期なんだから早く貸し出しをしてやってもらいたい、それが不況対策にもなる、あるいは住宅難解消にもつながっていくというのが気持ちなんであります。伺いますと、一月末になれば大体九〇%ぐらいというのですからあれでしょうが、これを繰り上げるようなことは何か特別の事情があって困難な問題があるのでしょうか。事務的にこういうペースでないとできないということなんですか。どうなんですか。
  28. 淺村廉

    ○淺村説明員 私どもの融資は従来から一つのやり方が決まっておりまして、まず融資を受けたいと考えておられるお客様が申し込まれて、設計審査というものを受けていただくわけでございます。その設計審査は、申し込まれて一応合格になった日から四十日という期間のうちでやっていただきたい。余り急ぎますとかえって御迷惑をかけますから、四十日の期間というものをとっております。そうすると、お客さんはその四十日の間に公共団体に依頼しまして設計の審査をしてもらうわけでございます。その四十日の期間というのがちょうど十二月、今月の十五日に切れるわけでございまして、そこでもう全部手続が済むわけでございます。もちろんそれまでにも済んだ方はどんどん手続に入っておられます。私の方は中間資金の交付、最終資金の交付と二度に割っておりまして、真ん中の資金はちょうど棟がふき上がったころに一応現地を見まして一定率の交付をいたしております。それで、でき上がると残りを交付する、こういうことで支障なく今回はそれを実施をしたい。何かそういう点で、事務の不なれで資金がおくれるようなことは絶対にないようにしたいと考えております。それ以上にこれを繰り上げるということは、これはまた制度との関係で直ちにはできないと私は思いますけれども、ただいま申し上げましたような割合で、この分は順調に動いておると私は考えております。なお一層努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  29. 福岡義登

    福岡委員 わかりました。順調に動いておると言われれば反論する資料はないですが、気持ちの上から言えばできるだけ急いでもらいたいということでございますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。ただ、急ぐ余り不正融資があってはならぬ。いろいろ問題がございましたけれども、今後の対策をお願いしておきたいと思います。  時間も来ましたが、最後にもう一つ、これは国土庁になるのでしょうか、お伺いしたいと思うのですが、ダム建設に従いまして水源地域の立ち退きその他いろいろな問題がございまして、昭和四十八年十月に水源地域対策特別措置法というのができまして、水源地域の整備をしていこう、こういうことになったのですが、まだ二年しか経過しておりません。したがって、そう数多くの実績があるとは思わぬのでございますが、この法の施行から今日まで、どのくらいのダムの建設がなされて、そのうち都道府県知事から整備地域の指定の申請が出てき、いわゆるこの法律を適用した実績というようなものがあれば御説明いただきたいと思います。
  30. 原木雄介

    ○原木説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  昨年七月二十日に二十ダムと一湖沼水位の調節施設についてダム指定を行いました。ことしの三月に三ダムにつきまして整備計画決定いたしました。去る十一月に六ダムについて整備計画決定いたしてございます。まだ残り十二ございますが、これについては逐次準備をいたすということにいたしております。  それから第二次指定でございますけれども、現在のところ県の方からお申し出をいただいておりますダムについては三ダムございまして、これにつきましては各省庁と連絡をとりつつ来年当初を目途としてダム指定を行いたいというように考えております。
  31. 福岡義登

    福岡委員 ちょっと聞き取れなかったのですが、二十ダムの指定をした、そのうち整備計画決定したのが八カ所というのですか。あと十二カ所残っておる。第二次指定で……。ちょっとその辺をもう少し整理して……。
  32. 原木雄介

    ○原木説明員 正確にお答え申しますと、昨年七月に二十ダムとそれから一湖沼水位調節施設としまして霞ケ浦を指定いたしてございます。ダム二十のうち九つについて整備計画決定いたしました。したがいまして、正確には残り十一のダムとそれから霞ケ浦の整備計画というのが残っておるわけでございます。それで都合十二残っておると申し上げたわけでございます。
  33. 福岡義登

    福岡委員 新たに三ダム申請があったというのはどういうことなんですか。だから合計二十三になるわけですね。
  34. 原木雄介

    ○原木説明員 いま申しました三ダムというのは、まだダム指定をいたしておりませんので、ダムの指定をしてくれと申し出ておりますのが三ダムございますということでございまして、整備計画決定とまた別でございます。水特法と申しますのは、政令でダム指定をいたしまして、その指定いたしました分について逐次整備計画をつくっていくということになっておりますので、第一次分の二十ダムについて整備計画決定して、整備計画をつくる候補者としてまだ残り三ダムがいま申し出がある、こういうことでございます。
  35. 福岡義登

    福岡委員 それではあと十二カ所について整備計画決定していくというわけでありますか。これはいつごろになるのですか。
  36. 原木雄介

    ○原木説明員 残りの十二につきましては、すでに申し出がございまして、整備計画を県と詰めておるのがございますが、整備計画を決めますのは県知事からの申し出があることが前提になっておりますので、まだ全部が全部私どもの手元に来ておるというわけではありません。したがいまして、地元の情勢等を県知事に御判断いただきまして、上げられた分につきましてこれを逐次決定していくということでございますので、来年中に約五、六はできるかと思いますが、地元の情勢その他でまだできないのが残るかというように考えております。
  37. 福岡義登

    福岡委員 九ダム全部についてでなくてもいいのですが、その中の一つ二つで結構でございますが、ダムの建設が進みますね。それでこの整備計画が決められて、整備計画事業をやりますね。その後の時間的なずれというか、どのくらいの関係になっておるのか。たとえばAというダムはすでに工事に着工しておる。それで三〇%できておるか五〇%できておるか、ある程度進んでおるわけですね。整備計画の方はどの程度これについていっておるのか、それをちょっとわかりやすいように例を一つ二つとって説明してくれますか。
  38. 原木雄介

    ○原木説明員 御指摘の点でございますけれどもいろいろなケースがございます。いままで決定いたしました岩手県のダム、それから栃木県のダムにつきましては、すでに工事が着工いたしてございますものにつきまして整備計画をことし決めまして、いま逐次……。(福岡委員着工はいつしたのか」と呼ぶ)着工自体といいますか、基礎工の本体掘削というのを栃木県につきましてはことしから行っております。(福岡委員「ことしの何月」と呼ぶ)正確にちょっと私いま手元に資料がございませんので、持っておりませんけれども、五十年には本体掘削をやっておるものがございます。(福岡委員着工して……」と呼ぶ)ダムの着工時点と申しますのは非常にむずかしゅうございまして、本体工事といいますか、本格的に工事に入っておりますダムということでとらえてございます。整備事業自体はダムの完成いたしますまでには全部終わるということで、一応全部計画をつくってございます。それからまだ本体——地元の同意をようやく取りつけた段階で整備計画をつくったというのが、たとえば兵庫県のダムあるいは鳥取県のダム等についてもございます。
  39. 福岡義登

    福岡委員 ダムの工事が完了するまでに整備計画事業も完了する、こういう計画になっておるのですか。
  40. 原木雄介

    ○原木説明員 そのとおりでございます。
  41. 福岡義登

    福岡委員 それはそれで結構なんですが、私がいま問題にしようとしておりますのは、私のところにも何カ所かダム計画がある。実態調査に入ろうとするのですが、なかなか地元が受け付けない。その場合に私どもが感じますことは、役所に対する不信感がある。地域整備をしてやると言うけれども建設省はダムをつくるのが仕事であって、地域整備の仕事は、道路とかなんとかいうのは建設省関係ではございますが、学校とかその他ということになると文部省なりその他に分かれてくるわけです。だから、建設省がダムをつくりたいばかりに甘言を弄する、後の責任を持ってくれないというような不信感などもありまして、整備計画を立てて生活再建などをお世話をします、こう言っても受け付けない。今月になって、あれは十二月五日か六日だったと思うのですが、私の選挙区の灰塚ダムというのが説明会を開こうとしたら、説明会すら開くことができないという状態なんであります。  そこで、この特別措置法の審議にも私も参加したのでありますが、ダムの建設計画と整備計画が同時にある意味では地元の方に説明できるような体制にしなければならぬのじゃないか。おっしゃるように、都道府県知事の申し出に基づいて内閣総理大臣が地域指定をするわけでありますから、それは知事の方が出してくればということになるかもしれませんが、そこのところはやはり国土庁なり建設省が適当に指導いたしまして、こういうダムをつくったときにこの地域はこういうように整備されますというようなことが説明されないと、地域の住民は得心しないんじゃないか。問題はそのタイミングを私は言っておるわけなんであります。  いま、どこのダムか知りませんが、すでに着工されておる。整備計画はできておるが、しかし整備計画事業にはまだ着工していないんじゃないかと私は思うのですが、その計画自体、整備計画決定とダムの決定は相当時間的なずれがあると私は思うのであります。それをできるだけ並行的に、正式な整備計画決定は若干事務的におくれるにいたしましても、実態的にはある程度のものを整理いたしまして、そうしてダム建設計画と整備計画を同時に説明するようにしなければならぬのじゃないか。  ただ、ここで問題になりますのは、国土庁建設省関係はある程度整備計画にかかわる部分も、ダム建設と並行的に議論できるかもしれませんが、問題は、その他の省庁にまたがっておるもの、これが相当後追いになるという状態なんであります。そこで、これも本四架橋の話じゃございませんが、特に大きいダムをつくるときなんかはそういう総合委員会というのですか、わかりやすく言えば窓口を一本にしぼって整備計画が示されるように、これは都道府県知事が策定をするとはいいましても、やはり政府がそれを認めなければならぬわけでありますから、その辺に私はダムの建設の問題点があるように思うわけであります。  もちろんこの特別措置法自体の不備もあると思います。たとえば整備計画をやってやると言うけれども、その財源は特別のものがあるわけじゃなくて一般枠を食うわけであります。一般枠を食って水源地域の整備に金を使えばよその方がへっ込むわけであります。ですから特別措置法自体にも幾つかの問題はあると思いますが、しかし、運用の妙を得ればダム建設がスムースにやれるということになると私は思うのですが、どうもその辺が少しタイミングとしてずれておるように思うから、その辺の対策というか今後の方針というか、お聞かせいただきたいと思います。
  42. 原木雄介

    ○原木説明員 着工段階とタイミングを合わせるというお話でございますが、たまたま水源地域特別措置法の施行が昨年ということでございまして、いささか混乱がございましたが、ことし決めましたものにつきましては、大体ダムの建設計画がはっきりした段階に整備計画をつくるというようなことでございまして、まだ着工の見通しが必ずしも定かでないといったものにつきまして広島県ではもうすでに整備計画決定いたした例もございます。逐次今後ともこのような方向で、大体地元の御同意を得るためにも、整備計画というものを粗筋は地元に御提示しながらダム建設を進められるように前広にやっていこうというように考えております。  それから、第二点のその他の省庁の問題の事業でございますが、いま申しましたダムにつきましても、義務教育施設その他各省の御協力を得て逐次含めておりまして、御懸念のように建設省あるいは国土庁関連のものということではなく、厚生省あるいは林野庁、農林省といった各省庁にダム建設ということについて御協力いただいて、これを含めております。   〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕 いま申しました例にいたしましても、簡易水道あるいは土地改良事業といったものを全部含めて広島県のダムなんかは整備計画をこの間決定いたしております。  それから財源の問題でございますが、一般枠を食うというお話もございますが、これにつきましては特に財源措置がございませんので、各省庁の補助金の枠をいただいてやっているという意味で、その点はやはり多少の制約もございますが、これも関係省庁いろいろ協力をしていただきまして、比較的優先的に見ていただくということもいたしていただいておりますし、それからもう一つ地元負担問題につきましても自治省の御協力を得ておりまして、特に起債の問題については優先的な配慮をしていただくというようなことで、いろいろ実態的には個別の御相談ということを、私どもも立ち会って自治省にお願いしてやっておるというのが現状でございます。
  43. 福岡義登

    福岡委員 それじゃ具体的にお伺いしますが、広島県に灰塚ダムの建設計画がある。今年度は一億一千万の調査費をつけて実施計画調査、実調に入っておるわけです。ところが、地域指定はまだされてないと思います。したがって整備計画もない。さっき言いましたように、十二月の五日の日に説明会を開く計画を立てて資料を持って役所から出かけましたが、開かれないままに終わっておるわけであります。これなんかは一体どうなんです。もう実態調査に入るということは、九九%それはやるということに間違いないと思うのですね。実態調査というのは設計書までつくるわけでしょう。そういう段階にきておるのに、地域指定もまだされてない、したがって整備計画検討されてない。どうですか、広島県にすでにやった例があると言われますが、現実に私が承知しておる今月五日の話で申し上げておるのですが、灰塚の場合はどういうようになっていますか。
  44. 原木雄介

    ○原木説明員 灰塚ダムの場合につきましては、特にまだ広島県知事からいろいろな事情その他まだよく伺っておりませんのでまだ判断いたしかねますが、知事が上げてまいられます場合には、いろいろ地元に反対派の方もおられますし、その辺の御同意を得て上げてこられるケースが多くて、なかなかダム指定自体にこぎつけられないといったケースがあるのではないかというように一般的には考えております。
  45. 福岡義登

    福岡委員 私は整備計画自体を言っておるのじゃないのですね。地域指定もしてないじゃないか。まだしてない。それから整備計画を正式にまとめるためには、それは関係住民の同意も必要でしょう。それは時間がかかると思うのです。私が言っておるのは、ダムをつくることにも反対もあるわけですからね。だから、整備計画についても意見があることは間違いない。ただダムをつくる側としては、県の意見も聞かなければならぬでしょうが、こういうダムをつくりたい、つくらしてくれれば地域整備はこういうぐあいにしたい、ただし住民の皆さんの御意見も聞かしていただいてこれを修正することはやぶさかではございません、こういかなければいけないわけですね。あなたの方は事務的な答弁であって、それじゃ問題の解決にならぬ。建設の主体はこの際は直轄でしょう。それなら、建設省なり国土庁というものが県知事相談をして、本格的な整備計画は別にして、あるいは地域指定はまた後になるにしても、整備計画のアウトラインくらいは——水没戸数は二百四十戸になるのですから、これは大変なことだ、そういうものの考え方ぐらいは同時に示さなければ説明会にならぬじゃないか、そこのところを言っているわけです。
  46. 金丸信

    ○金丸国務大臣 いまおっしゃられることは私にもよくわかる。問題は手順の問題だと私は思いますよ。手順を逆にやっているところに拒否反応も出てくる。だから、やり方によっては拒否反応なしにスムーズに話し合いが進んでいくというのに、逆のようなことをやっているから話が進まないのだ、全く私もそう思います。そういう意味で、御提案の御意見は十分尊重して、ひとつそういうような方向で今後進めてまいりたい、こう考えております。
  47. 福岡義登

    福岡委員 この六月か七月に、群馬県の八ツ場ダムについて、整備計画を示すどころか、整備構想といいますか、計画までいかぬにしても、そういうものを示すかわりに、このダムの建設を早く認めなければバイパスも予算をつけないぞ、あるいはこれは建設省ではありませんが、役場の移転の問題もあるわけです。それについて自治省でしたかどこかが、ダム問題は一体どうなっているのかというようなことでいろいろ役人がいやがらせをする。これはもう現地の人々の直接の生の声も聞きましたし、これは役場の関係者も口には出しておっしゃらぬけれども、八ツ場ダムの建設に対して地元がいい返事をしないためにバイパスの計画も認めてくれぬのではないかというように思っております。こう言っていましたから、どっちみちやらなければいかぬダムはやらなければいけない、そのためにはやはり関係者の同意を得て気持ちよくスムーズにやるというのが大切なわけですから、申し上げました趣旨は長官も御理解いただいたようでございますから、ぜひ今後はそういうようにしていただきたい。  先ほど申し上げました灰塚ダムについては、当面県知事とよく相談していただきまして、知事にも機会があれば私からも話したいと思っておりますが、この説明会に入るときには、地域の整備構想くらいは——地元の御意見は後でお伺いしますが大体こういうようなことをやったらどうかと思う、ぐらいの構想はあわせて説明をしていただかなければ、これは説明会自体開けませんよ。  以上要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  48. 梶山静六

    ○梶山委員長代理 次に、井上普方君。
  49. 井上普方

    井上(普)委員 きょう質問がはなはだ散発的になりますが、お許し願いたいと思います。  国土庁長官にちょっとお伺いするのですが、国が持っておる公団、公社、これが子会社をつくって、そして土地の売買あるいは不動産の開発をするということを、私は望ましくないと思うのですが、大臣どう思います。たとえば専売公社あるいはまた日本道路公団、こういうところが子会社をつくって土地の開発をやるというのは、私は望ましくないと思うのですが、土地の問題の関係からしてどうでございますか。
  50. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は事業目的というものは、会社は会社で定款がありますから、会社の定款に書いてあるその内容を見なければわからぬけれども、しかし、たとえて言えば交通公社とかその他航空会社とかいろいろあります。そういうものは、われわれは定款を知らなくても、交通公社は観光の切符を売るとかなんとかするということが目的だろう、航空会社は飛行機によってお客様を輸送したり貨物を送るということが目的だろう、これが一般国民の私は常識だと思うのです。そういう中で不動産をやるということについては私も一つの抵抗は感じます。感ずるが、しかしその定款の中にそういう目的があって、そしてあるいは子会社をつくって免許をとってそうして堂々とやっている。そうしてそれが不正でない営業をやっておるということであれは、いまの状況でこれをどうするかということについてはいささか頭をひねらざるを得ない、こういう感じがするのですが、あなたのおっしゃられる感じは私もわからないわけじゃありません。
  51. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、定款とかいうのは、これは再三変えておるのです。私がここで問題にいたしますのは、日本交通公社、この交通公社は私は財団法人であったと思っておる。ところがこれは昭和三十八年に株式会社日本交通公社という会社を設立しておる。それまでは財団法人であったと思うのです。  大臣、これから私質問しますから、土地問題についての所管省である国土庁長官の御意見を後ほど承りたいと思うのであります。  そこで、いま財団法人日本交通公社という法人と、株式会社日本交通公社という二つがあるのでございますね。ところが、いま交通公社としてわれわれが利用しておるのは、株式会社日本交通公社ですか、あるいは財団法人日本交通公社でございますか、どちらでございます。
  52. 富田秀明

    ○富田説明員 お話のとおりでございまして、昭和三十八年の十一月に、財団法人でございましたものを、旅行業につきましては営利事業として行われておりましたために、財団法人の公益性という趣旨からこれを一緒にしておくことは問題でございますので、分離をいたしまして株式会社日本交通公社を設立いたしておりまして、現在皆様方に切符を売ったり窓口サービスを行っておる現業部門というものは株式会社日本交通公社がやっておるわけでございます。
  53. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、財団法人日本交通公社というのは何をやっているのですか。
  54. 富田秀明

    ○富田説明員 従来からやっておりました財団法人としての調査研究などの公益性の強い業務につきまして、従来どおり実施いたしております。
  55. 井上普方

    井上(普)委員 調査研究というのはどんなことがあるのですか。
  56. 富田秀明

    ○富田説明員 観光事業一般の旅行を推進いたします上に、観光につきましてのいろいろな調査研究というものを行う必要がございますので、やっておるわけでございます。
  57. 井上普方

    井上(普)委員 そもそも財団法人でいままでやっておった。公益性があるとしてやられておったのであります。ところが株式会社日本交通公社という会社をつくった。そして国鉄が三七%の株を持ち、財団法人日本交通公社が三七%の株を持って、すなわち七五%の株を持って、そうして日本交通公社という株式会社をつくっておるのであります。あと二五%につきましては、銀行であるとかあるいはホテル協会であるとか、おつき合い程度の会社であります。  そこで、私もちょっと調べてみますと、それより先に、私がいまから一月くらい前に新聞広告を見ておった。そうすると、大和市と埼玉県の方で宅地の分譲の広告が出ておった。一般人に売る宅地です。それを見てみますと、交通公社開発会社という会社が新聞広告をして、そうして一般の方々に土地を分譲しようとする。交通公社開発会社というのはおかしい。交通公社開発会社です。まことにへんちくりんな名前なんです。おかしいなと思ってこの会社の内容を調べてみますと、株式会社日本交通公社が株をほとんど持っておる。三〇%以上持っておる。そしてここで宅地分譲を行っておる。  それで私もいろいろ調べてみた。そうすると、日本交通公社関連会社投資総括表というのを私は政府の方からいただいたところが、交通公社総合開発、これに六億一千万円、交通公社不動産という会社に四億四千八百万円、日本交通事業社というのに二億五千二百万円、こういうように多額にこれらの開発会社、不動産の会社に投資しておるのであります。この一億総不動産と言われた時代に金さえもうかりさえすれば何でもやってもいいという考う方、これがこの株式会社日本交通公社に出ているのではなかろうかと私は思う。とするならば、この交通公社の母体が国鉄なんですから国鉄が出資してともかく公益法人としてつくらした財団法人日本交通公社、それが、国鉄と日本交通公社とが金を出して株式会社日本交通公社というものをつくった。それがまた土地の投資をやる。こういうことをやりますと、私はとても——それが公益性を持っておる土地開発であればこれはある程度言い逃れもできると私は思う。しかし、これは一般人に売るのです。何ら町の不動産屋と変わるところのないような行為を行っておる。  これに対して、私は政府の姿勢がおかしいと思う。たとえて言うならば、日本道路公団も同じく交通関係します。道路公団が株式会社日本道路公団というのをつくって、それに不動産をやらしているのと何ら変わらない。こういう姿勢は土地を主管する国土庁長官としてどうお考えになります、どうでございます。  あなたは正直におっしゃる方だと思う。決して言い逃れをされる方じゃないと思うので、定款にいたしましても、先ほど定款にそのようなことが書いてあればしようがないとおっしゃる。私もこの株式会社日本交通公社の定款を持っています。これを見ますと、三十八年の十月九日に制定しまして、四十二年、四十五年、四十七年、四十九年、五十年の五月、過去において五回定款の変更をしておるのであります。幾らでも定款というのは変えられる。こういうやり方いいと思いますか、どうでございますか。
  58. 金丸信

    ○金丸国務大臣 なかなかむずかしい質問で、答弁もなかなか答えにくいと思うのですが、いまおっしゃられる国鉄の金が出てきておるという、国鉄が親方日の丸というところに一つの問題がある、こう指摘されておる。私もその点ではそういう感じがする。  そこで、不動産の免許という問題がここに付帯してきておる。その付帯をする不動産の免許をするときにも相当これはいろいろの議論もされておるだろうと私は思うのですが、この不動産業の関係は、私は逃げるわけではないのだが、わが省ではない。では、ひとつそれは不動産の免許を与えるときにどういう考え方でやったか、建設省の考えも聞かしていただいて、その上で判断をさせていただきたい、こう私は思います。
  59. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 不動産業、すなわち宅地建物取引業の免許に当たりましては、同業法第五条に要件が決めてありまして、左の要件に該当すれば免許してはならないとだけある。これは考え方からいたしまして、営業自由という立場から、これを禁止する以上は覊束裁量で、逆に免許側から自由裁量を極力制限していくというたてまえがございますので、そこで消費者保護という立場から、いかがわしいことをしそうだとか、あるいは不正な行為をしたとか、過去のそういう事実やマイナス要件が発見されない限り認めるということが本筋になっている規定と解釈して、運用している次第でございます。
  60. 井上普方

    井上(普)委員 すなわち、要件が整っておりさえすれば出さざるを得ないのが宅建業法であります。私の言うのは、そうではない。国の資金が入り、それにこういうような仕事に手を出さすことはいいのか、悪いのか。たとえて言うならば、先ほど来申しておりますように、道路公団が株式会社道路公団という会社をつくって、そしてそれが余りにも何だから日本道路公団開発会社というのをつくることと同じですよ。こういうことが望ましいか、望ましくないか、どうです。
  61. 金丸信

    ○金丸国務大臣 国民の一人として、好ましい形ではない、こういう感じがしますね。
  62. 井上普方

    井上(普)委員 当然なことだと私は思う。こういうことをやらしておる運輸省並びに国鉄はどう考えます。御答弁願いたい。
  63. 富田秀明

    ○富田説明員 私どもの旅行業法の立場から申しますならば、旅行業を円滑に行いますところの資力、信用、資産でございます。それから業務体制、人員あるいはいろいろな業務に必要な施設そのほかが整っておるかどうか、それらがうまく機能いたしましてサービスが確保されるかいなかという点につきましての監督権限は有しておるわけでございます。そのような観点から関係会社等の投資につきましてもおのずから制約があるものと考えておる次第でございます。  現在の投資会社の概要を見てまいりますと、ほとんどはこの旅行業、交通事業に関連のある事業に投資がされておるわけでございますが、仰せのような点もあるかと思いますので、その点につきましては運輸省内部の他の関係部局もございますので、十分相談をいたしまして、今後の指導方針につきまして検討をいたしたいと存じます。
  64. 井上普方

    井上(普)委員 運輸省というのはそんなルーズなところなんですか。建設省は各種の公団あるいは事業団を持っていますが、建設省にこういうようなケースがありますか。
  65. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 建設省の所管いたします公団におきまして宅地建物取引業、不動産業をやる会社に出資している例はございません。
  66. 井上普方

    井上(普)委員 それほど運輸省というものは特殊なところなのかと実は一驚いたしておるのです。あなた、おっしゃいますけれども、この株式会社日本交通公社の投資しておる会社を見ますと、一番大口が交通公社総合開発株式会社、二番目が交通公社不動産株式会社、三番目が日本交通事業社、こうなっておる。不動産に力を入れるためにこれはつくっているのじゃないですか。金もうけするためには何をやってもいいという考え方に左右されておるように思われてならない。  現に私自身が先般もこの国会内における交通公社に切符を申し込んだ。そうしますと返答が来た。とれませんでした。どうしてとれないんだ、飛行機の切符がどうしてとれないんだ。私はあらかじめ予約——発売日より前に予約申し込みをしておる。六枚申し込んだのだけれども一枚もともかくとれない。どういうことであなた方はとれなかったんだと言うて聞きますと、日本航空の方の電話がふさがっておりまして実はとれませんでした、こういう話。ほほう、そうかい。あなた方一体いつから業務を始めたんだと言うと、九時から業務を始めました、電話をかけました。そうか、日本航空は何時から発売するんだ。八時からでございます。——とれないのがあたりまえの話です、年末でありましたら。こういう仕事をいま株式会社日本交通公社はやっておるのであります。サービスの低下は著しいものがある。これは私が実際に体験したこと。方々聞いてみますと、交通公社を利用されたほとんどの方々は、ともかく不満たらたら。無理もない。片一方においてこういうように土地のがさがさともうかることをやれば、会社としては本来の業務をおろそかにしていく。当然であります。のみならず、それが国家資本が入っていっておる会社。運輸省はどう考えます。  私が言うのは、まず第一番にこのような会社をやめさすことです、こういうようなところに手を出すことを。いま土地の値上がりは一応鎮静化しました。しかし、この土地の値上がりによってインフレは非常に大きくなってきたことは御存じのとおりです。庶民大衆が土地を手に入れたい、住宅を手に入れたいというのも手に入らなくなった。その地価高騰の一つの原因を交通公社がつくっておると言っても差し支えはないじゃありませんか。こういうのを運輸省は黙って見ておるのですか。見てきた、いままで。  大臣、この免許というのは簡単に出るのです。要件さえ整えば建設省とすれば出さざるを得ないのです。しかも、先ほど来申しますような国家資本を投入しておるところがこういうことをやっておる。  銀行につきまして私は、銀行というような公的機関が不動産に手を出すのはけしからぬ、こういうことを申し上げたことがある。銀行においてももう子会社につきましては五%以上の株式を持ってはならない。しかも、不動産に手を出すこと、子会社に対しては極力手を引くように大蔵省は指導をしておるはずであります。純粋の民間企業である銀行においても、公益性の面からするとそういうような措置をとっておる。  国の資本が入っておる日本交通公社がこのようなことをやっておることを、私は政治家の一人として見逃すわけにはまいらないと思う。大臣は土地の関係を取り扱う国土庁の長官でもあるし、また国務大臣でもあります。この問題に対してどういうように措置されます。
  67. 金丸信

    ○金丸国務大臣 非常に貴重な御意見を承りまして、私の意見も述べたわけでありますが、ただいま運輸省からも意見が述べられておるわけでありますが、ひとつ運輸省と十分話し合いをしてみて、なお私も運輸大臣とも話してみて、あなたの意のあるところを十分に伝えてこれに対処してもらいたいという申し入れをいたしたい、こう考えています。
  68. 井上普方

    井上(普)委員 ともかくこういうようなことは私は許すべき性格のものではないと思う。したがいまして、大臣も、土地の値上がりを抑えるという立場からひとつこの問題を処理していただきたいということを強く要求いたしておきたいと思います。  お忙しいようでございますので、国土庁長官に先に質問をいたしますが、先般も新聞を見ておりますと、不動産業者が土地を分譲するのに行政機関から許可制がある、こういうことを実は見まして、おかしいな、規制区域というものはまだないはずだが、これに対して役所というのは、これは高過ぎるから許可せぬぞというような話があるのだなと思って、不思議に思っておったのです。いかにもやっておるようです。これはどういうわけでこういうようなことが法的にできるのか、この点ひとつお伺いしたいのです。
  69. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃいますとおりでございまして、現在のところ国土利用計画法の規制区域の指定は一件もやっていないわけでございます。したがいまして、行政庁である都道府県知事の許可という処分はどこにもないわけでございます。  ただ、御承知のように、一定面積以上の土地の取引につきましての届け出制があるわけでございます。したがいまして、その届け出がありました際に、適正を著しく欠くような価格あるいは利用目的が非常に悪いというものにつきましては、勧告をし、勧告が聞かれない場合には公表をする、こういう制度を運用しているわけでございます。その過程におきまして、会社サイドから申しますと、勧告を受ける、そしてまた公表されるということが、大変な社会的制裁を受けることとなりますので、事前に指導を受けに参るということがあるわけでございます。これがほとんど一般化してきているように思われます。その指導の過程で、都道府県知事が、適正な価格は幾らであるから御社の希望価格は高いという指導をいたしますので、必然的にそれが許可制に似たような圧力を民間企業に与えている点があるのではなかろうかと思うのでございます。  しかし、私ども、国土利用計画法の趣旨にかんがみまして、この指導のあり方は悪いことではないというように私は考えているわけでございます。
  70. 井上普方

    井上(普)委員 悪いようではないと言いますが、かなりこれが規制価格という価格になりつつあるのではございませんか。役人というのは、法律をつくりますと、それを極力利用してともかく権限を拡大しがちなものでございます。悪いことではないということは、今後も進められるつもりであろうと思う。  行政サイドにおきまして、地価規制を緩める、公示価格から一五%増しにするのだというような方針国土庁から出ておるように新聞報道されておる。これは一体どういうわけなんです。しかも、それの実態が、聞くところによると、南側と北側とでこれは同一価格じゃない、あるいは角地というのは高い値段で常識的にやられる。ところがこういうことは一切お構いなしに一律にやられているのだ、しかも規制をやっておるのだ、こういう話なんです。この点につきまして業者の方々も非常に不平、不満に思っておられるようでありますが、ここらあたりに対する考え方はどこにあるのか。役人さんに規制価格をつくりなさいなんということを私らつくった覚えもないのですがね。どういうわけでこういうことが行われておるのか、そこらあたりもう少し明確にひとつお答え願いたい。
  71. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 先ほど答弁申し上げましたような実態でございますが、重ねての御質問、私どもにも大変うなずかれる点があるのでございます。実は国土利用計画法の届け出制におきましては、著しく不適正になった場合に勧告というような形になるわけでございますから、したがいまして、その事前の確認指導におきましても著しく不適正であるというようなところに基準があるべきである、これは諸先生おつくりいただいた法律のとおり読みますとそうなっているわけでございます。ところが、各県におきましては、なかなか正義感に燃え過ぎるといいますか、あらかじめ不動産鑑定士等に基準地の鑑定評価をさせておきまして、その規制価格というのをとらまえて、それで業者の方々の希望する販売価格というものをその基準価格に照らしていろいろ審査をする。そのときに、人間の鑑定評価ですから多少のずれもあるはずでございますし、また、当該売り出し地あるいは売買対象地と基準地との条件の差違もあるわけでございますが、そこら辺を、低ければいいんだという非常に厳しい態度で、権力主義的にと申しますか、そういうような運営に走りがちな県が多少散見されているのでございます。この辺につきましては、おっしゃるとおりこの法律は重要な法律ではございますけれども、大きな逸脱があり、また大きな権力主義的な運営がありますと、規制そのものの根底に逆効果を及ぼすということもございますので、私ども施行まる一周年を迎えるにあたりまして、その実態の詳しい調査を行い、少し権力主義的に流れている県等につきましては、今月中旬に全県の会議を開きまして総合討議をさせまして、おのずからなる自制のある規制態度に改善をしたいということで、現在作業を進めているわけでございます。  新聞等にたまたまこれがスクープされておりまして、誤ったスクープというわけではありませんけれども、多少誇張をいたしまして、規制の緩和というような表題を付している新聞を二、三散見をするのでございます。私どもは、あくまで緩和というようなことではなくて、法の精神にのっとった適正、適確な運用に漸次誘導するということでの作業の一環であるということを申し上げておきたいと思うのでございます。
  72. 井上普方

    井上(普)委員 いまも局長お話の途中に、土地の規制価格やいうのは話は出てくるわけがないと思うのです。あなたのお話の中で、規制価格、規制価格と言うて二、三遍おっしゃられた。規制価格って何ですか。
  73. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 ただいま御答弁申し上げました中で、基準地の価格をあらかじめ評価し決定をしておくという言葉を私は使いましたが、そのことを先生が言っておられるとするならば、これには法律を適正に運用しようと思う場合にどうしても必要になる手続的な必然性があるということを御説明申し上げなければならないかと思うのでございます。御承知のように、取引がありました際に、知事のところへ参りまして審査を受けるわけでございますが、その届け出がありました際の手続を迅速に行うためには、あらかじめの調査も必要でございます。また民間の方々、これは売り主の地主さんにもあるいは買い主の消費者にも適用をされることでございますが、あらかじめどのくらいのところが適正な価格であるかということが、ある程度定型的な基準地、標準地につきまして決まっていることの方が国民の利害にも一致すると私は思うのでございます。そこで、届け出がありました際に個々の土地の価格を調べます場合には、公示価格のないところは固定資産税評価額公示価格のあるところはそれを基準といたしまして審査するわけでございますが、あらかじめその審査の際に発動されるであろうと思われる価格を用意しておく、こういうことをやらしているわけでございます。それがたまたまおっしゃるような規制価格というような言葉で民間企業の間では使われている場合があろうかと思うのでございます
  74. 井上普方

    井上(普)委員 私もいまの御答弁で、民間で使っておるのならそれでいいんです。あなたがいま規制価格ということを二回使われたんですよ、さっきの答弁で。おかしいなと思って実はお伺いしたのです。ともかくそれを一〇から一五%増加させるというような方針をあなた方はお決めになったんですか。
  75. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 新聞報道は多少間違っておりまして、今朝のある新聞の報道も、従来五%の枠内でやってきたものを一五ないし二〇に緩和すると、こういう種類の表現でございまして、それは間違っておりまして、正式に申し上げますと、各県ごとに地域の実情に応じまして、基準地の価格に照らして著しく不適正であるかどうかの幅は違うのが当然でございます。また、法律も各知事にそれだけの権限をゆだねているわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたが、県によりましては、厳しければいいというような気持ちで、五%違ったらもう直ちに著しく違うんだというような一律的な、その県内のどんな山奥も、あるいは市街地も宅地も、みんな一律にそういうような扱いをしている県が実はあるのでございます。これにつきましては、神ならぬ人間の正しい価格というものの算出をやるわけでございますから、余りにも恐れ多い一つの権力主義的な判断ではなかろうかという反省が、各都道府県代表者等でつくりました研究会の結論としても実は十月の中旬に出ておりまして、これをもとにいたしまして、今月の十六、十七日に各県の担当課長を集めました会議で議題にし、反省の討議をしたい、こういう気持ちでいるわけでございます。
  76. 井上普方

    井上(普)委員 ある程度その意味はわかりました。しかしながら、現在地価はやはり横ばいより少し強含みのあることは御存じのとおりであります。したがって、私どもとしましては地価をいかにして安定させる、といいますよりはむしろ下げさすこと、これに重点を置いた土地政策というのをやらなければならぬと思うのでございます。その考え方に逆行するようなやり方というものは厳に国土庁としても慎んでいただきたいと思います。ようやくいま横ばいになり、あるいはいま現在は強含みになっておると国土庁の方も御見解を示しておりますが、今後これをいかにして下げるかというのが私は大きな課題ではなかろうかと思うのです。したがって国土庁としては、今後土地政策についてどのような方針をもって新しく臨まれようとしておるのか、この点ひとつお伺いしたいのです。
  77. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 土地政策の目標はいろいろございますが、まず先生の御質問中心が、庶民の取得能力との関係で地価がすでに非常に上がってしまっている、この現状にかんがみる場合に、できる限り価格を低下させる、国民の買いやすいような、求めやすいような安定した価格に下げていくというところに目標がなければならないであろうという御提言でございますが、その点にしぼってお答えを申し上げたいと思います。  そのために、おかげさまで国際的にも非常に珍しいこういった取引の規制ができる国土利用計画法という法律をおつくりいただいたわけでございまして、当面この適確な運営に努めるということがまず第一でございます。おっしゃるとおり、規制の緩和であるとか、いいかげんなところでこの適確な運営を崩すというようなことは毛頭念頭にないのでございます。  第二には、仮にこういった形で、価格をある点横ばいあるいは場合によっては弱含みの状態に持っていくことができるといたしましても、現実の経済体制が、御承知のようにマル公価格で配給をするというような特殊な経済体制になっているわけではないのでございます。したがいまして、自由主義経済下におきまして異例とも言えるこういった規制をしっかりやっていくということの反面には、十分な住宅地を低廉な価格で供給していくという姿勢がなければならないかと思うのでございます。そこで、この第二の柱は、当然に宅地供給の促進ということになってこようかと思います。これを促進させるための現在の隘路等は、建設省当局からもいろいろとこういう席等で御答弁がいままであっておりますが、そこらにつきまして、諸先生の御協力によりまして、たとえば宅地開発公団法であるとか、あるいは大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法であるとか、ある程度の施策確立されてきているわけでございますが、これらを超えまして、今後計画的な宅地の供給をやるためにさらに何を用意したらいいかというようなことにつきまして、建設省がまず第一義的な中心として、土地政策の総合企画推進に当たるべき国土庁がそのバックをしながら、その施策を固めていくことが第二であろうかと思うのでございます。  さらに第三には、非常に限られました有限な土地資源というものが、農用地の確保の問題であるとか、あるいは自然環境の保全の問題であるとかというようなこととの関連におきまして、今後ますます有限性が顕在化してくるという感じもいたします。人口も昭和六十年までには一千万人以上もふえるわけでございます。そこで、こういった限られた国土を国民すべてが適正な利用に分け合っていくということが重要なことでございますので、その点、土地利用計画確立をいたしまして、これに基づいた適正利用に誘導していく、促進するという施策が必要ではなかろうかと思っております。その一つには、井上先生常に御持論であられる保有課税の適正化ということもありましょう。また、国土法にございます遊休地の利用の促進措置、これも重要な柱であろうかと思うのでございます。しかし、時間の関係もございますから、ひっくるめて言うならば、土地利用計画の再検討確立と、適正な利用への促進措置ということが第三番目の柱になってこようかと思うのでございます。
  78. 井上普方

    井上(普)委員 河野さん、あなたははっきり物言う人だが、いまのお話を聞いていると何も中身がないですな。演説は聞かされたけれども、ともかく何も中身のないお話でございます。とするならば、国土庁は一体今後どうすればいいのか。土地利用計画法をつくらして、誘導するのだ、これはもう前から決まっておることなんだ。それから遊休地につきましても、ともかく適確にやらす、これを推進することは当然の話です。そうすると、いま直ちにやろうとすることは何もない、具体案がない、こう考えていいのですか、どうですか、国土庁長官としては。
  79. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいま局長が申し上げたことで尽きると私は思うのですが、国土利用計画法を着実に運用していくことによって——地価が上がるということについては、国土庁は非常に神経を過敏にいたしておるわけであります。ですから、先ほども申し上げましたように、一億国民すべてが土地問題で投機とかそういうものに走った結果、あの国土利用計画法というものができ上がった。自由社会で本来ならばできなかったがという感じが私はするのです。しかし、あれをあの時点で抑えるのに、あの法律でなければできないということで、いわば超党派ででき上がったのだと私は思う。そういう意味で、これは今日の土地の鎮静剤としては相当な効果があったことは確かだ。その効果というものを私は踏まえながら、着実に適確に運営をしてまいりたい、こう考えておるわけであります。
  80. 井上普方

    井上(普)委員 私のいまの考え方を言いますと、利用計画法はつくってはおるけれども、油断をすればまた上がるぞ、さらに、この機会にもっと適確な方針を立てなければ、利用計画法の当初の目的である、当時の価格の七〇%から八〇%に地価を抑えるということはできにくい。現在でもまだ七〇%から八〇%に達してないのです。さらにそれをもっと下げていくということをやってもらわなければならないので、国土庁としては新しい方針を打ち出すべき必要があるのじゃなかろうか、こう思って私はお伺いしておるのです。油断しますと、金融緩和になってきた、やがてまた土地価格が高騰するおそれなしとしない。こういうためにいまから研究される必要があると思って私はお伺いしておるのです。具体的な方針がないというのだから、私はこれはまず宿題にいたしまして、ともかく五十一年度には新しい手法による地価の鎮静化、あるいは安定化、あるいは低くするような方法を考えていただきたいことを強く要求いたしておきたいと思います。  それからもう一つ、自由主義国家においてはこういうような法律はないとおっしゃいますけれども、実際、西ドイツに行きましてもイギリスに行きましても、土地価格については建築基準法あるいは都市計画法等々でぎゅっと抑えておるのです。決して日本だけがこういうことをやっているのじゃないのです。他の手法をもってやっておる。手法の違いだけだということは御認識願いたい。そういうことをやっておるがために、現に諸外国では日本ほどの高騰が起こってない。このことをわれわれは十分念頭に置きながらやらなければならぬと思うのです。今後の国土庁の御方針を承りたいと思います。
  81. 金丸信

    ○金丸国務大臣 地価をできるだけ下げたいという考え方で、無策で手を上げているということでは全然ありません。国土庁の土地局でもこの問題について非常に勉強もし、検討もし、ぜひひとつまた先生方のお知恵も拝借しながら、御支援、御鞭撻をいただきながら、この地価の問題については最大の関心を持って対処していきたい、こう考えております。
  82. 井上普方

    井上(普)委員 この問題については終わりたいと思うのですが、実を言いますと私は、金融が引き締まった場合あるいは不況になった場合に、法人が持っておる土地というものを放出するのじゃなかろうかという希望、淡い望みを持っておったのであります。法人の土地につきましては、御承知のように赤字が出たときには、その土地を売ることによって、ともかく税率も二〇%になってくるというので、法人が赤字の場合には非常に土地を売りやすくしておるのが現状でございます。ところがこのような事態になりましても、やはり会社側がその土地の放出をやらない、売りに出さない。なぜだろうかというと、やはり将来土地は上がるぞという考え方が依然として法人にはあるのではなかろうかと私には思われてならないのであります。したがって、いままで大蔵省は土地税制につきましては、土地税制を改正するのは補完的な処置だなんていつも言いますけれども、もう指導的な役割りを果たすのが土地税制であります。したがって、税制につきましては大蔵省が全部権限を握って、国土庁が主役になることはできないいまの機構でございますけれども、これらについての考え方というものをやはり明確にされる必要があるんじゃなかろうかと私は思うのであります。この点につきましては、ともかくいま国土庁はどうも具体案をお持ちにならない。まことに私も残念に思いますが、ひとつ五十一年には新しい角度から地価を——ともかくいつ上がるかわかりませんよ、実際の話として。ここらあたりをひとつ御認識願いまして、なお一層の御奮闘をお願いする次第でございます。  それからもう一つの問題といたしまして、建設省にお伺いしますが、各種の五カ年計画が、これは五十年は見送られて五十一年から新しい形で五カ年計画をやらなければなりませんが、それと先ほど福岡委員からも御質問がありました三全総との関係をどう考えられておるのか。   〔梶山委員長代理退席、村田委員長代理着席〕 果たして五十一年度から新しい五カ年計画というのを発足させる自信があるのか、ここらあたりの考え方をひとつ承りたいと思います。
  83. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 五カ年計画と三全総との関係でありますが、私どもは、住宅にしても下水道にしましても、その他海岸あるいは交通安全対策等、五十一年度から五カ年計画を進めたいと思うのが五件ほどあります。これはもちろん三全総のいかんにかかわらずという言い方はおかしいですけれども、私どもは私ども方針に基づいて進めていきたいと思います。  ただ、三全総が決定されるということになれば、その中でいろいろな進捗状況と申しますか、進度調整といったものがあり得るかもしれませんけれども、それよりもいま一番われわれがどうしようかと思っておる問題は、治水関係は五十一年で終わって五十二年度から出発する、道路関係は五十二年度で終わって五十三年から出発する、こういうわけです。従来なら大体一年ぐらいは繰り上げてスタートをそろえたらいいじゃないかというのがありましたけれども、むしろ私どもはいまの場合はやはり治水と道路関係は現在の計画をそのまま期間内は遂行をして、そして期間が切れれば新しい計画を立てよう、こういう考え方を持っております。  ただこの問題に関する限りは、それなら従来の五カ年計画のままでいけるかどうかという問題。現実にすでに進捗状態はそうなっておりませんけれども、従来のままの計画の中でさらに三全総とあわせて進度調整等を考えていかなければならぬ、こういうことにはなり得ると思います。これは五十一年度予算編成の時点ですでにそういう問題が、三全総のあるなしにかかわらず財源関係はかなり調整されると思っておりますけれども、われわれはやはり従来の五カ年計画に基づいて進めていく。それは三全総がどうせ決まるでしょうから、決まればその中でやはり調整をしていかなければならぬということはこれは現実の問題として、一、二カ年はそれが続くものと思っております。
  84. 井上普方

    井上(普)委員 三全総関係は、きょうも実は三全総の会議がありますので私も出ることになっておるのですが、文章を見ますと、いまのところこれは日本語になっておらぬような文章を結構平気で書く計画なんですね。どこに主語があるのか、どこに述語があるのか全然わからぬような文章で、実は私も読むのに困っておるような実情です。  それはともかくといたしまして、三全総が策定されるのは、来年の六月と言いますが恐らくもっとおくれるでしょう。実際問題とすれば地方自治体意見も聞かなければいかぬというようなことになれば、作業は相当おくれるのじゃなかろうか。でございますので、新しい五カ年計画がどうなるのかということは私どもの重大な関心事でもあります。  住宅五カ年計画というのがまた発足しなければならないのですが、これは五十一年度から発足するのでしょうね。とするならばかなり大きい関連も出てくるということになりますと、一体どういうように事務的にやっていくのか一これは私ども不思議でなりませんが、ひとつそのときはそのときでなにをやろうと思います。いま大臣のおっしゃられた意味が私には十分わからないのですが、それはともかくといたしまして、国民が要望しておるものは着実に実行する五カ年計画を組み立てていただきたいということをお願いいたしておきたいと思います。  それからもう一つ、最後になりますが、地方公営住宅を分譲するというような考え方をこの間ちらっと新聞で拝見いたしまして、これはえらいおかしいことを言い始めたな、このように私は感じたのであります。と申しますのは、公有地を拡大しようというのは国の方針としてやられておる、それを今度は、こういう公営住宅を個人に分譲しようというのはどうも逆行する考え方ではないか、このように思うのですが、建設省としては地方公営住宅を分譲する考え方を持っておるのですか、どうなんです。
  85. 山岡一男

    山岡政府委員 第七十二国会であったと思いますけれども、当委員会においても公営住宅の払い下げの問題につきまして大変な議論が行われたと覚えております。その際、当時政府方針ということでここでお話しいたしましたのが、大都市圏においては原則として建てかえによりまして環境のよい住宅を供給する方に使う、それから大都市圏に準ずるところもおおむねそういう方針に準ずるような措置をとる、しかし地方等におきましてはできる限り管理者の意見を尊重するというふうな趣旨の結論を、ここで大臣が述べておられます  そういう趣旨の運用を今後いたしたいということでございまして、ただ何でもかんでも分譲が出てくればいいかということではなくて、いろんなきつい条件もつけております。たとえば、都市計画によります土地利用上本当に払い下げてもいいのかどうか、将来建てかえるための計画の中に織り込むことに対しまして本当に不要かどうか、いろんな条件を七つ八つつけておりますけれども、そういうものに該当し、かつ法律で定めます耐用年数の半分以上過ぎたもので、地方公共団体の長の方が議会の議決その他によりましてそういうようなものをお決めになった場合には、できる限り尊重いたしましょうという趣旨でございます。  なお、そのために、全体の所有の公営住宅の現在の団地等につきまして、総点検をしていただいて管理計画というものをつくっていただきたいということを一番初めに冒頭に入れております。そういたしますと、やはり将来市町村に管理を変更するもの、用途を廃止するもの、それから将来希望があれば一部は分譲にしてもいいものというものについて、全体計画をまずつくっていただくということも大前提としてお願いをしておる、こういうふうな趣旨でございます。
  86. 井上普方

    井上(普)委員 私は、そのとき質問をして交渉をいたした一人でありますが、大都市圏以外におきまして自治体の主張がそういうような意見があるときには分譲するということを決めておらぬと私は思っております。いまのお話ですと、自治体の議会の議決を経たならば大体大都市圏以外であれば分譲してもいいというような考え方になっておるように承る。しかし、いまの時代には、公有地をいかにして拡大するかというのが土地政策上非常に重要であることは皆さんも御承知のとおりであるし、わざわざ公有地拡大法という法律をつくって、そして公有地を拡大しようという考え方がある。それに一貫して進んできておると思うのです。にもかかわらず、公営住宅の土地を分譲しようという考え方は時代逆行であると私は考える。自治体が、いまは何に使われておるにいたしましても、公有地をたくさん持っておるということが時代の趨勢じゃありませんでしょうか。西欧各国を見ましても、いかに公有地がたくさんあるか、そしてそれが豊かな自然を守り、かつまた計画的な都市づくり、町づくりをつくっていく上において大きな、ともかく支えになっておることは御承知のとおりであります。いまの管理がやりにくいからというために、目先だけで公有地を分譲しようという考え方には私は納得いたしかねるのでありますが、大臣いかがであります。原則はあくまでも原則として守っていただきたい、いかがでございます。
  87. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 公有地を守っていくという、できるだけ拡大していくというその思想は、私ども反対をしておりません。ただ、公営住宅の問題にはいろいろ地域によって実情があるわけなんですよ。私のところの方にもいろいろ陳情が来たり要望があっております。基本的に言って、大都市圏の中で現在ある公営住宅を分譲するなんということは考えておりません。用地は非常に少ないし、用地をつくることにいま苦労をしておるのですから、できることなれば、その地域の住民の方々や公営住宅に住まいをしておる方々に了解をしてもらって、そして中高層住宅にして入居者を何倍かにふやしていくということ、これは大きな政策の柱にしておりますから、そんなこと基本的に私ども考えておりません。  ただ、地方へ行きますと、いわゆる公営住宅建設のためにもいろいろ地方財源の問題があるわけなんでして、なかなか新しいこれからの公営住宅を進めていくためにも財政上非常に窮屈な市町村もあるわけであります。だから、私どもは、前提としてこれからも公営住宅をどんどん進めていかなければ、伸ばしていかなければいかない。これはあくまでも前提にしていく。その伸ばしていくために支障を来さないということがまず前提になるわけであります。そうしますと、地方へ行きますと、大都会にすればいろいろ用地問題、宅地問題、苦労はありますけれども、末端の地方市町村へ行きますと、用地問題に余り苦労してないところもたくさんあるわけなんで、用地の代替があって、そしていつでも公営住宅が支障を来さずに今後拡大でき、建築ができていくという一つの条件があるなれば、むしろ御希望があるとすれば、さっき言ったように、建築の耐用年数を半分以上過ぎたものであって、地元の人が、関係者が非常に要望をして、しかもその分譲代金というものが地方財政の、あるいは後の公営住宅をつくるための財源になって、むしろ後の公営住宅を進めるために積極的な推進役になるなら、実態に応じて考えてもいいではないかと、ケース・バイ・ケースで考えてもいいじゃないかというのが基本的な考え方でありまして、基本的には、やはり公有地を拡大していくことは基本的に必要でありますけれども、これは実態に応じて、全国的にはそういうことをむしろ非常に希望しておる団体公営住宅に住まいをしておる人々の要望もあるし、あるいは地方によってはそういう実態に応じてやるということがいいという考え方を持っておるところもあるわけでありますから、私は実態に応じて、後の公営住宅推進していくために支障を来さない、むしろそれが推進一つの方策になるというなら、余りこだわることはないじゃないかという感じは持っております。
  88. 井上普方

    井上(普)委員 だから私は、地方財政が逼迫しておるから、新しく公営住宅をつくるための財源処置のために売るのだというあなたの考え方は目先ばかりだと言うのです。地方財政、これは国の方で財政手当てをすることをおろそかにしておる、あるいはまた、地方財源というものを圧縮しておるがためにそういうようなことが出てくるのである。公営住宅を建てることが財政的に窮屈であるということになる。むしろ根本的にそれを直す必要があるのであって、いま公営住宅としてせっかく持っておる公有地を分譲しようという考え方は、私は時代逆行である。原則は、田舎であれ都会であれ、いずれにしても公有地を拡大するというのは、これは時代の要請でもあるし、そうしなければならないのじゃございませんか。そうすることによって、地方自治体が公有地を持つことによって新しい村づくりもできるし、町づくりもできる。いままでの地方自治体の仕事を考えてごらんなさい。どんな田舎の山村にいたしましても、土地の取得がいかにむずかしいかということは、恐らく高知の幡多郡の山奥におきましてもそのとおりだろうと思うのです。これをわざわざ手放すということは私はおかしいと思う。建てかえするなりあるいは高層化するなり、田舎においても私はやっていい事柄であろうと思う。  ただ、地方財政が逼迫しておる現状におきまして、新しい公営住宅をつくるために財源処置として分譲するんだという考え方は、これは目先ばかりの事柄に目をとられて大局を誤るおそれがあると私は考えるのです。あくまでも公有地拡大の精神にのっとって、地方公営住宅を分譲すべきではないと私は考えるし、また、過般の当委員会において問題になったときもそういう趣旨であったと私は思う。ここらあたり、建設省は目先にとらわれない大局的な立場から公有地の拡大に今後も努力しなければならないし、現在せっかく持っておる土地を分譲するということはどうしても私は納得できない。大臣、いかがでございます。決心変更していただきたいと思います。
  89. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 私どもは必ずしも目先だけの町村財政のみを考えて言っておるとは思っておりませんし、その公営住宅に住まいをしておる人のきわめて切実な要望等もあるから、むしろそういう人々の要望があるとすればある程度要望も聞いてあげて、しかも新しく入居する人の住宅に支障を来さない、むしろ積極的にそれを推進する一つ方法とすればこれは考えてもいいじゃないか、こういう考え方を持っておるわけでして、確かに地方財政を圧迫しないように国が積極的にやれということは、これは当然でありまして、単価もできるだけ引き上げておりますし、それから負担分については全額起債も認めておりますし、できるだけのことは私どもはやっておるつもりであります。  それから、公有の土地は手放すべきではない、むしろ拡大すべきだということも、私どもできるだけ公有土地をふやして、そうしてそれを公的に利用するということは、これは理想だと思っております。しかし、いかに公有土地でもそこに公営住宅という建物がある限り、これは生涯それ以外に使うことはできないわけであります。できることなれば、その土地を高度に利用をして、そして建てかえ改良をして中高層住宅にでもして、そこに新しく入居者も何倍かにふやしていくということが理想でありまして、そういう理想を私どもは考えておるわけであります。しかしそれは、大都市を中心にして新しく公営住宅を建設するための用地が全く入手が困難な場合には当然そういうことを考えるよりほかにないわけで、新しく入居者を入れるわけにいきませんから、新しく入居者をどうしても考えなければならぬわけでありますから。ただ、田舎の方へ行きますと、わりあいに公営住宅の用地というものはまだ手に入りやすいのであります。だから、一つは手放すけれども、その次の用地は買収できて、しかもそれはそう無理もなくして買収ができて、そのために新しい入居者が入れるということになれば、財源の足しにもなることだから現実的に処理するためにいいではないか、こういう考え方であります。  公営住宅にいま一たん入っておる人は、相当所得が伸びてきておる。伸びてきておる人に伸びたから家賃を上げると言っても上げることもできないのが実際の状態であります。そういう人に余力があればむしろ買い取ってもらって、その財源が新しい公営住宅建設の役に立つということなら、むしろ私は、新しく入居するために一つ方法として考えてもいいではないか、こういう考え方を持っておりまして、余り思想的には、考え方の基本においては、私は井上先生と変わっておると思いませんけれども、現実的な処理として、入居者の方からも地方団体からもそういう希望があるとすれば、それが後々の公営住宅の建設に支障を来さない、むしろ推進になるということなら、そのことも考えてもいいではないかという現実的な処理を考えておるわけでありまして、基本的な問題はそう変わっておらぬと思います。
  90. 井上普方

    井上(普)委員 住んでおる人の希望があるから田舎において分譲するのだ。どうも私は納得できない。これはだれだって、いま公団住宅に住んでおる人でも、安い価格で分譲してくれるのなら皆飛びつきます。住んでおる人が希望するから分譲するのだという考え方は、私は基本的に考え方としてはおかしいと思う。むしろ公の立場から公有地を拡大するのだという国の方針、あるいは時代の要請を推進していくことこそやらなければならぬ立場ではなかろうかと思います。例外のない原則はないと言いますけれども、いま土地の問題について例外を認めたら大変になってくる。この際私は、建設省のその方針はどうも納得できないし、変更していただきたく強く要望いたしておきたいと思います。  新しい公営住宅をつくるために財源が不足であるならば、それだけの手当てをすればいい、それができない建設省ではありますまい、また国でもありますまい。ただ目先によって、こういうせっかく確保しておる公有地を新しく建てかえすることができないのだということは、行政能力の不足なんです。私はこれを改めていただいて、現在持っておる公有地というものはあくまでも守り抜くんだという態度を建設省がとっていただくことを強く要求いたしたいと思います。  これで質問を終わります。
  91. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 浦井洋君。
  92. 浦井洋

    ○浦井委員 私は、建築行政について具体的な二、三の例を挙げながら質問をしてみたいと思うわけです。  まず第一番の問題は、この間八王子で起こりました秀和レジデンスのガス爆発の件、これはまず住宅局長にお伺いをしたいのですけれども福岡県の公団日の里団地で爆発が起こった。この間八王子の秀和レジデンスで爆発が起こった。この日の里団地の場合は在来工法であった。今度の場合にはフジタ工業施工のHPC工法である。この二つを比較してみて、工法上の観点から相違点とそれからよく似ておる点とをひとつ教えていただきたいと思います。
  93. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり日の里は在来工法でございます。それから今度の八王子市の場合はHPCというプレハブ工法でございます。この場合いずれも構造強度につきましては法令上工法による差はないと考えております。具体的には法令で定める荷重、それから外力に対して使用する材料ごとに法令で定めております許容応力度をもとに、プレハブ工法も在来工法も同じ方法の構造計算を行って安全を確かめるということになっております。したがいまして、両方とも今回の例におきましてはいずれも法令の規定は満足しておったというのが実情でございます。  しかしながら、異なった点と申しますか、実際の爆発が起こった結果を見ますと、日の里団地の事故におきましては、爆発住戸の天井及び床が約六十センチないし七十センチ上に出たり下に沈んだりいたしました。しかしながら脱落には至っておりません。爆発により発生した火災によりまして二百五号室と隣の部屋とその直上階と三戸が燃えております。人身被害は、死亡者二名、負傷者十五名ということでございました。  それから秀和めじろ台レジデンスの事故におきましては、当該火事の起こりました部屋の床の中央パネルが完全に脱落をして下に落ちております。それからさらに横の壁も、隣の住戸との間の壁の一部に貫通部分が生じております。このために当該火事を起こしましたところとその上とその下、それからその横と、さらに一階飛ばしましてもう一階上の九階の九百十四号室というのも延焼しております。  これで見ますと、在来工法もプレハブ工法も同様の構造計算を行って構造強度についての検証はいたしておりますけれども、この爆発の結果を見ますと、接合部の耐力という点では異なっておるということが言えると思います。したがいまして、今回のは異常なガスの爆発ということに起因するものでございますので、ガスの種類、ガスの量、混合比率等々まだ検討を要する点もあるかと思いますけれども、早速小委員会を設けておりまして現地の調査も行っておりますけれども、日の里の分とも比べ合わせまして今後十分検討を続けてまいりたいと考えておるわけでございます。
  94. 浦井洋

    ○浦井委員 相違点についてでありますけれども、これは建設省よく御承知のように、日の里団地の事故のあった後で、中高層共同住宅設計の安全性見なおし委員会というのがつくられて、すでに調査報告書が出ておるわけで、いま局長言われたような趣旨の答えが出てきておるわけです。ちょっと読み上げてみますと、「構造上の対策検討事項」という中で、「プレキャスト工法の場合は、壁体の転倒や床版の脱落があると副次災害が起りやすいので、特に接合部分の靱性の強化について配慮をして、床などの落下防止の手当をすることが必要であると考えられる。」せっかくこの時点でこういう委員会の警告といいますか、指摘があったわけですから、それ以後一体建設省はこういう指摘や警告に対してどう対応してきたのかということを念のために聞いておきたいと思うのです。
  95. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生のおっしゃいました調査報告書をいただきまして、それらに基づきましていろいろな点につきまして、たとえば構造計算等につきましても検討を続けておるのは事実でございます。ただ今回の八王子のマンション爆発、日の里のような場合には、ガス爆発という異常な事件でございましたが、特に過去の例で、日の里の場合には一平方メートル当たり三トンないし四トンという圧力が生じたというふうに言われております。したがいまして、構造耐力の問題の検討を進めておりますけれども、基本的には建築物の構造耐力を強化して被害を防ぐということにつきましては、経済的、実用的に考えて無理じゃないか、他の方法を計算したらどうだということで内部の検討を進めておった次第でございます。床の構造計算に通常用いておりますのは、大体一般の建築の場合、平方メートル当たり五百キログラムぐらいで設計されております。それに比べましてそれの六倍ないし七倍というふうな圧力が一遍にかかるわけでございますので、それに対して構造耐力を云々ということはどうも問題があろうかということでございます。  それから、いずれの場合も火災が延焼いたしております。従来の在来工法の耐火構造建築物におきましては、隣戸との間、それから上下階との間、それの外壁面につきましてはいずれも火が延焼しないような耐火の壁をもちまして外側を適当な間隔をとるということにいたしております。したがいまして、一般にはそういうふうなことによりまして一階燃えた分が二階、三階に移るということは余りないわけでございます。  ただ、今回の場合はやはりガス爆発という特殊な事故でございますので、一斉に火が上がりまして特に非常におもしろい——おもしろいというと語弊がありますけれども、直上階が燃えましたけれども、その上一階飛ばしましてさらにもう一階上の方が燃えているというふうな現状もございます。したがいまして、そういうふうな延焼防止についていままでの分でよかったかどうかという反省が今後必要でございまして、共同住宅ガス爆発事故対策委員会というのを再度つくっておりますので、その中で検討を続けてまいりたいと思っております。  それからもう一点、共同住宅におけるガス使用についてどのように考えたらいいかという点についての内部の議論を続けておりまして、高層共同住宅では熱源をガスから電気に転換したらという意見も相当出ました。しかしながら、ガス料金に比べまして電気料金は相当割り高でございまして、さらに一遍にそういうものを変えるというためのいろいろな設備と申しますか、供給面、需要面等を考えましても一応差があると思います。さらに生活様式、料理方法等も欧米と異なっておりますので、イギリスでは現在高層ビルにつきましてはどんどん電気に切りかえておるということでございますけれども、いま直ちにそれに追随していいのかどうかもう少し検討しよう、それよりはガス器具使用の安全性を高めることが最も具体的な解決策ではあるまいかということで、日本住宅公団中心にいたしまして集合住宅のガス安全機器等の開発委員会というのを発足させておりまして、その開発をいま急がせておるというのが現状でございます。
  96. 浦井洋

    ○浦井委員 住宅局長は私の問いには余り的確に答えられずに、ほかの点で非常に長々と答えていただいたわけなんですが、大臣にひとつ質問したいのです。  いま問答を聞いておられて御理解だと思うわけなんですが、やはり私はHPC工法というのは在来工法に比べて爆発などの事故に対する安全性という点では劣ると思うわけです。これは大臣は聞いておられないと思うのですが、前々回でしたか、当委員会で建築基準法について参考人をお呼びをして意見をお伺いしたときにも、たとえば高野公男参考人はこういうふうに言っておられる。日の里公団住宅、泉佐野市営住宅、それから石神井マンションの爆発事故を見てみても、在来工法に対してプレハブは弱いというふうな意見を率直に言われておる。さらにこの見なおし委員会の委員でもある星野昌一参考人でさえも、HPCは弱く、全面崩壊になる危険性もあるということで指摘してきたというふうに言われておるわけなんです。だから、やはりこの際建設省としては、こういう不幸な事故を今後絶対に起こさないように、他の措置ももちろん大事でありますけれども、この際工法上の問題として、構造上の問題としてもう一遍再検討する必要があるのではないかというのが世論でもあるし、私もそう思うわけなんです。この点についてひとつ大臣の明確なお答えをいただきたいと思います。
  97. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 建築基準法の問題ではいろいろ各党で御理解いただいて御協議を願っておるようでありますし、この間参考人を呼んでいろいろ意見を聞いてもらったこともよくわかっております。私どもいずれにしても災害が起きて、それによって人命が損傷されるということを防がなければならぬということが第一の条件であります。そういう面で建築基準法も今後よく検討していかなければならぬと思っておりますが、工法等によりましておっしゃるような問題があるとすれば、私は十分に耳を傾けて検討して最善の方法を選ぶということは当然のことだと思っておるわけであります。別にかたくなにこういう方法でいままでやってきましたからこれでなければいけませんとか、その意見には耳をかしませんとか、そんな性質のものじゃ絶対ありません。いかにして人命を守るかということに重点を置いていかなければいけませんから、そういう面で御意見があれば十分に聞いて検討する、そうして最善のものを考えていくということは当然の政治の姿勢であると私は思っております。
  98. 浦井洋

    ○浦井委員 もう一遍お聞きしますが、構造上といいますか、工法上の問題も再検討するというふうに理解してよろしいですね、大臣
  99. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 そのとおりでございます。
  100. 浦井洋

    ○浦井委員 それならその次の問題に移りたいと思うのです。  その前に大臣、この図を見ておっていただきたい、私が説明しますから……。  次の問題は、これは今回の建築基準法改正案と外れた部分の建築基準法の問題であるわけですけれども、具体的に申し上げますと、静岡県の熱海市の南熱海温泉病院の建設にかかわる問題です。昭和四十九年の九月に芳栄産業株式会社というのが施主になって大成建設が設計施工して、南熱海温泉病院の増築工事を行っておるわけです。そこの図にあるとおりです。この建物は当時まだ用途地域の指定がなかった。その後いわゆる駆け込み申請で二種住専に指定をされておるわけなんですけれども、この区域で増築をするということになれば、ごらんになっておるように前面道路の幅が病院の前は四メートルである。だから当然道路に接する建物は六メートル以下の高さでなければならないはずであるわけです。ところがこの建築確認申請の添付図面、それを見てみますと、前面道路の向かい側にあるルポという喫茶店、これがないものとして、幅員六メートルの国道百三十五号線に接しておるように見せかけて——その薄っぺらい紙を操作していただくと事情がよくわかると思うのです。そうして、しかもそこに交差点がありますが、交差点の対角線の長さの十メートルを道路の幅員として申請をして、静岡県の県条例も利用して、道路に接する建物部分が十七メートルという建物をつくって建築確認をとっておる。そして四十八年八月十日に検査済み証を受け取って現在病院として使用しておる。だから、これは南側ですから当然喫茶店ルポは日照はなくなるし、さらに工事中はものすごい騒音、振動に悩まされたというふうに周囲の人が訴えておるわけなんです。質問は、これはもう明らかに建築基準法違反の建物ではないかと思うのですが、この点どうですか。
  101. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、現状では建築基準法違反の建物だと思います。
  102. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで、その間の経過をもう少し細かく見てみますと、まず静岡県の建築主事の責任問題ということになってくるわけなんですが、この静岡県の建築主事は、申請日を見て——これはもう一見して問題のある土地であるということがわかるわけなんです。少なくとも道路の幅員を交差点の対角線の長さとするというような非常識なことがあるわけなんです。すぐわかるはずなんです。ところが、こういうような事情があるにもかかわらず建築確認をしておる。さらに、工事完了検査の時点で申請の敷地と現状とが大きく異なっておるということ、これも見ればわかるわけなんです。それにもかかわらず、そういうことを承知の上で検査済み証を発行しておると言わざるを得ないわけなんです。これはやはり建築主事として私は責任があると思うのですが、これはどうですか。
  103. 山岡一男

    山岡政府委員 現在事情を聴取いたしておりますけれども、当初の確認の際には、そこにございました喫茶店ルポの敷地も全部芳栄産業ですか、これが買い取りまして、そして国道敷として寄付をするというようなことについて、市長からの副申もあって確認をしたと言っております。もちろん県の条例も援用したと思います。しかしながら現実の問題としまして、喫茶店ルポというのは現在ございまして、盛んに民事の訴訟を行っておられるようでございます。したがいまして、県の方では当時確認の際にも、それから竣工検査の際にも、必ずあれは買うのだということをある程度信じて進めたと言っておりますけれども、現状ではそういうような状況になっていないというのは県もよく知っておりまして、その点につきましては、特に確認の際は別といたしまして、例の竣工検査に当たりまして認めたということについては大変な遺漏があったと思います。  県の現在の方針を聞いてみますと、当事者による自主的解決の推移を見届けておりますけれども、最終的には是正命令によって是正をさせる方針だと申しております。なお、その場合の是正の仕方につきまして、是正計画書を現在芳栄産業に対して文書で提出を求めておるというのが現状でございます。  われわれの方でも建築基準法違反が長期間是正されないということはきわめて好ましくないところでございますので、早期是正について特定行政庁を指導いたしてまいりたいと思っております。
  104. 浦井洋

    ○浦井委員 住宅局長がいま言われた中に、その喫茶店ルポを買収するのを前提にしてというような話があったわけなんですが、私、そのルポの主人に話を聞いてみました。そうすると、昭和四十四年以降、ルポの所有者は施主である芳栄産業から一度も買収交渉を受けておらぬ、こういうことなんですよね。ますますけしからぬわけなんです。これはそういうことを知りながら四十七年に申請をしているわけですから、これはもう詐欺行為といいますか、非常にけしからぬと思うわけです。そうなってきますと、これは施主の芳栄産業株式会社あるいは設計施工をしました大成建設、これは喫茶店ルポがないものとして道路の現状を偽って申告をする、さらに道路の幅員を偽るという二重のだまし行為をやっておるわけですね。そして静岡県の建築主事から建築確認をとっておる。ここらの責任は一体どうなるのですか。
  105. 山岡一男

    山岡政府委員 現在建築基準法におきます確認制度の際には、実は所有権問題まで立ち至っておりません。したがいまして、確認の際には本当にそういうのが建つであろうということであれば確認をする、そこまでは私はよかろうと思います。ただ、でき上がったものを見て検査済み証交付の際に、若干の情状を見まして、その土地の売買がまだ進行中だということを聞きまして、今後の期間を見ながらとはいいながら検査済み証を出しておるということは非常にけしからぬというふうに思うわけであります。
  106. 浦井洋

    ○浦井委員 それなら、最後に大臣にこの問題についてお聞きしたいのですけれども、いま局長が答えられたように、もう違反行為というのは明らかにされておるわけなんです。しかもいまだに是正がされておらない。建設省としては早急に是正命令を出すということをここでひとつお約束をしていただけますか。
  107. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 これは直接のなにでありませんから、関係知事ですか、特定行政庁と言っておりますが、これに厳重に申し入れをする、それに対処をする、そういうことにいたします。
  108. 浦井洋

    ○浦井委員 蛇足でありますけれども、じんぜんとして日を長く置くと、その喫茶ルポの用地買収の話なんかでごまかされてしまうわけですよ。ルポの御主人の竹本さんという方は売る意思は毛頭ないというふうにはっきり言われておるわけですから、当然そこらを判断して早急に是正命令を出すように指導すべきだということを再度私は言っておきたいと思うのです。よろしいですね。これが第一の例であります。  それから第二の例、これも同じような非常にけしからぬ例なんですけれども、まずこれは建設省にお伺いをしておきたいのです。  これはあたりまえのことなんですが、前面道路の斜線制限というのがある。これを逃れるために、ある敷地の一部分、道路と敷地の間に一・五メートル幅の土地を分筆いたしまして、それを他人名義にして建築確認を申請している。こういう場合に、果たしてその残った土地に建った建築物というのは斜線制限がかからないのかどうかという問題、それからそのとき一体建築主事はどういう行政指導を行うべきかということについてあらかじめ聞いておきたいと思うのです。
  109. 山岡一男

    山岡政府委員 具体的な事例を余りよく承知しておりませんが、道路があれば斜線制限はございます。道路がなければ働きません。
  110. 浦井洋

    ○浦井委員 しかしこの場合に、これは後で具体的に御説明した方がいいと思うのですけれども、こういうことなんですよ。固有名詞を申し上げますと、福島県の郡山市の大町センタービルというのができた。これは施主が建てて、そこのほとんど全部を、キーテナントとして有名なスーパーダイエーが進出をしておるわけなんです。十一月二十五日ですか開店をしまして、そして非常な乱売合戦をやっておるといういわくつきのところなんですけれども、この敷地の問題なんです。市道沿いに幅一・五メートル、しかも長さが四十九メートルの、これはだれが見ても、そういう細長い敷地だから独立して利用できないわけです。その土地をその分だけ分筆をして、しかも建築確認の直前に分筆をしておる。だから、その後ダイエーのビルが建った敷地は市道に接しておらない、だから斜線制限は要らぬのだというようなかっこうの解釈で申請をして、これに対して市の方はそうだというようなかっこうの確認をおろしてきておるわけなんです。ところがいろいろ矛盾しておりますから、その地元の業者の皆さん方が市に質問書を出したわけなんです。そうすると市の建築指導課が文書で回答をしてきた。この大町センタービルのこういう行為に対しては、それはどうもぐあいが悪いというような趣旨で強く指導をしたんだ、しかし申請者の了解が得られなかった、こういう経過がある。だから隣地を境界とみなさざるを得ないというようなことで建築確認をおろしておるわけなんです。こういうような事実がある。こんなことは果たして認められるのかどうか、ひとつお伺いしたい。
  111. 山岡一男

    山岡政府委員 申しわけありませんが、具体的ケースを余りよく知りませんので、よく勉強してみたいと思います。そういう場合に、本来ならば道路があるべきところを道路がないというためにそういう行為をしたということであれば、それは脱法行為だと思います。
  112. 浦井洋

    ○浦井委員 これには落ちがついているわけなんです。施主の方、所有者の方も、それから建築確認をした建築主事の方も、その道路がいわゆる建築基準法四十二条の二項の二項道路であるというふうに、二項道路でない市道を二項道路であるというふうに誤って両方とも受け取っておるわけなんです。だから、そういう誤った認識のもとに施主の方は、いま住宅局長が言われたように、何とか脱法行為をするために一生懸命骨を折っておるし、主事はそういうことで何とか認めてやらなければいかぬ。周囲の商店街の皆さん方に追及をされて、市の公式文書で苦しい弁解をせざるを得ないというような茶番劇を演じておる。結果としてはこれは別に法にひっかかるというようなものではなかった、こういうことなんですよね。少し経過がややこしいですけれども。そういうようなことを現実にずっと各地方へ行ってみますと私よう聞くわけなんですよね。この場合さらに言いますと、建築主事がこれは斜線制限をかけなければいかぬところだというふうに思っておる証拠には、道路の片っ方の側の建物にはちゃんと斜線制限をかけているわけですよ。ところがこちらのダイエーの入った大町センタービルには何だかんだと言いわけをしながらかけなかった。こういう経過があるわけなんです。  だから大臣にお聞きしたいのですけれども、こういう事態が起こる前に、市か県の方で建築基準法違反を摘発するためのパトロールをやったという。そうするとそこで摘発されたのは、町の工務店やら大工さん、こういうような人たちが建てた建物の非常に小さな違反をどんどんどんどん遠慮なく摘発した。ところが天下のスーパーダイエーが入るこの大町センタービル——その時点ではだれも誤りとは気づいておらないわけですが、明らかに違反であったわけなんです。それは見逃しておる。こういうような公正さ、公平さを欠くような行政は信用がならぬということで非常に怒っておられるわけなんです。これは大臣どう思われますか。
  113. 山岡一男

    山岡政府委員 いまのお話の中で道路お話が出ましたが、四十二条の二項の道路ということでございますと、これはこの章の規定が適用されるに至ったときに現に存したものを存置をするという趣旨でございまして、いまの話を聞きますと、恐らくそれをつけかえるという意味でこちらの方で既存の道路ということにしようと思って長い土地を買ったんじゃないかと想像されますけれども、そういう場合は……。
  114. 浦井洋

    ○浦井委員 土地を買ったんじゃないですよ。分筆したんですよ。
  115. 山岡一男

    山岡政府委員 いまの真ん中の、真ん中かどこか知りませんが、どこかにある既存の道路は、それをつぶしたときから基準法上の道路でなくなるということでございます。その点、きょう御指摘で場所も聞きましたので、よく調べてみたいと思います。
  116. 浦井洋

    ○浦井委員 だからこの道路は、相変わらず別に基準法は適用されないわけですよ。ところが、施主の方も建築主事の方も両方とも適用されるものだというふうな認識のもとに一生懸命作為をやった、これがけしからぬと言うているわけですよ。一方では、先ほど言いましたように、小さな大工さんが建てたような普通の居宅についてはいろいろな文句をつける、こっちはほったらかしではないか、こういう状態なんですよ、大臣。私、二例同じような例を挙げましたけれども、片一方は大成建設というような非常に大きな建設会社、片一方の方では入るテナントがスーパーダイエーである。そのほかにもいろいろありますけれども、そういう大きな企業の関係しておるようなものについては少々の違反は目をつぶる、ところが庶民に対してはもうびしびし摘発というような態度で臨むというようなことが、いまだにどうも末端の建築行政の中で横行しているのではないかというふうに思わざるを得ないわけなんです。この点について、大臣のお考えと、それを是正するなら是正するという具体的な処置をお聞かせ願いたいと思います。
  117. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 地方行政庁のやったことですから、ここで一々いいとか悪いとか言うことについてはわれわれはそれなりの準備と用意がなくてはならぬわけであります。いま局長からも申し上げたように、十分この事態がわかっていないようでありますから、なお調査の上でということになっておるようであります。  ただ、おっしゃるとおりをそのまま私が聞くとすれば、行政が、小さいものであろうが大きいものであろうが差別をすることはあるべきでない、この基本線においてはおっしゃるとおりでありまして、そういうことがあるとすれば是正せなければならないということであります。  ただ、この件については私もいま聞くのが初めてです。つまびらかではありませんから、よく調査をいたしまして行政指導をする、こういうことにしたいと思います。
  118. 浦井洋

    ○浦井委員 最後に大臣に。  これは郡山といいますと建設委員長のおひざ元でもありますし、しかも先ほども申し上げましたように、十一月の二十五日にオープンをいたしまして、卵十個を十円で売るというような乱売行為をやりまして、非常に中小商店を初めとして庶民のひんしゅくを買っておる、こういう問題の場所であります。ところであります。だからひとつ建設省当局もこの点はよく調べていただいて、この場合は違法でなかったわけなんですが、しかしこういうことの今後一切起こらないような指導をお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  119. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 次回は、来る十七日水曜日午前十時委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十八分散会