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1975-11-19 第76回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十九日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 内海 英男君 理事 梶山 静六君    理事 唐沢俊二郎君 理事 服部 安司君    理事 村田敬次郎君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    大村 襄治君       三枝 三郎君    塩谷 一夫君       中尾  宏君    野中 英二君       浜田 幸一君    林  義郎君       松野 幸泰君    綿貫 民輔君       渡辺 栄一君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       山崎 始男君    柴田 睦夫君       瀬崎 博義君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         建設政務次官  中村 弘海君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省道路局長 井上  孝君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         大蔵省主税局税         制第二課長   島崎 晴夫君         自治省税務局税         務企画官    吉住 俊彦君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     川口 京村君        参  考  人        (日本道路公団        副総裁)    尾之内由紀夫君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事長)  鈴木 俊一君         参  考  人         (阪神高速道路         公団理事長) 小林 忠雄君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁)  富樫 凱一君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 十一月十九日  辞任         補欠選任   田村 良平君     綿貫 民輔君 同日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     田村 良平君     ————————————— 十一月十四日  国道一七号新大宮バイパスに接する日本住宅公  団田島団地防音構築物設置に関する請願(小  川新一郎君紹介)(第二二四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十年度における道路整備費財源特例  等に関する法律案内閣提出第三一号)      ————◇—————
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案審査のため、本日、日本住宅公団理事旦泉村君、日本道路公団総裁尾之内由紀夫君、首都高速道路公団理事長鈴木俊一君、阪神高速道路公団理事長小林忠雄君及び本州四国連絡橋公団総裁富樫凱一君参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 天野光晴

    天野委員長 次に、内閣提出昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案を議題とし、審査に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡義登君。
  5. 福岡義登

    福岡委員 ただいまから審査に入ります道路整備費財源特例等に関する法律案でございますが、これは趣旨説明にもありますように、道路整備緊急措置法によって、本来五十一年度財源となるべき五百三十四億円を五十年度道路財源に繰り入れようとするものであります。この五十年度に繰り入れようとする事情はわからないわけでもないのですが、便法的にこういう措置をするということは原則的にいいことではない。     〔委員長退席服部委員長代理着席〕 特に財政事情考えてみましたときに、これに反対するというようなことは結果としてはできないと思うのですが、政府として、経済見通しあるいは財政運営の失敗というか、そういうものがこういうやりくりをしなければならなくなった大きな原因だと思うのです。その辺について建設大臣としては、むしろ建設大臣というよりも三木内閣としては、一体どういうように考えておられるのか、まずその辺を聞かしていただきたいと思います。
  6. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 政府財政見通し等の問題については予算委員会でもいろいろと議論をされたとおりでありまして、財政上いろいろとってきた措置については誤りなかったとは思うけれども見通しの面において食い違いがあったことは、これは政府の率直に認めておるところであります。私どももそのとおりでありますが、今回の措置につきましては、四十九年度決算額が五百三十億ほども出たわけでありまして、本来なら五十一年度に当然使用されるべきものを繰り上げて五十年度にこれを使うということ自体は本筋ではございません。おっしゃるとおりでありますが、何さまにも財源が非常に枯渇しておるときでもありますし、緊急対策あるいは不況対策道路予算補正をいたしたわけでありまして、その財源としてぜひひとつ繰り上げて使いたい、使うのはやむを得ないというような実情に迫られまして今回の措置をとったわけでありますので、御理解をいただきたいと存じます。
  7. 福岡義登

    福岡委員 揮発油税等収入額年度別実績を見ますと、今回のように五百三十四億円というようなべらぼうなものになった年度は全然ないのでありまして、一番多いときでも九十六億円、百億になってない。特に四十九年度に五百三十四億円も大きな調整額が出たという大体の事情は判断できるのですが、政府としてはどういうところにこれだけ大きな調整額が出たと考えておられるのか。
  8. 井上孝

    井上(孝)政府委員 過去のガソリン税等特定財源決算調整額は、先生指摘のとおり、通年は数億ないし十数億という過不足額でございました。多いところで過去最高は九十六億という実績でございまして、百億以内でございました。昨年の、四十九年度揮発油税収見込みは、御承知のように四十八年後半に起こりました石油ショック影響で、四十九年度予算重油税ガソリン税収見込みを、非常に低く抑えたという結果でございました。ところが実績は案外収入額が上がりまして、御指摘のように五百二十四億という過去に例を見ない多額の収入増が出たわけでございます。
  9. 福岡義登

    福岡委員 ところで、昭和五十一年度予算要求の中で、道路関係は五十年に比べまして一三%の伸び、こういう要求になっておるわけであります。この中に五百三十四億円の調整額は含まれておるわけであります。したがって、五百三十四億を五十年度に使ってしまえば、五十一年度要求財源的にそれだけダウンするということになるのですが、その辺は一体どういうように理解すればいいのですか。
  10. 井上孝

    井上(孝)政府委員 昨年度決算調整額が五百三十四億ということはことしの七月末の政府決算で明らかになりました。法律によりますと、決算調整額翌々年度調整するということになっておりますが、これはやはり当初予算を組む段階には決算調整額は明らかになっておらないという事情で翌々年ということになっております。今回八百十億に上る補正予算を編成する段階で、すでに七月末にこの五百三十四億に上る決算調整額が明らかになっておりまして、やはり道路整備特定財源を主体とするという法の精神に基づきまして、今回の特例法によって、前年に繰り上げて使うということになった次第でございます。  なお、来年度につきましては、実は来年度予算編成の際に、まだ前年度決算調整額がこれほど大きくなるということがわかっておりませんでした。来年もわれわれの予算要求数字は若干低目といいますか、収入額は低目に考えておることが一つ。それから、御指摘のように、来年度もやはり総需要抑制の延長と申しますか、そういうことで政府予算要求が各省一五%以内ということになりまして、省内調整の結果、道路整備事業費は十二・五%という非常に低い比率要求になっております。したがいまして、その枠内でまいりますと、来年度特定財源収入との差額、いわゆる純一般財源、これは自動車重量税一般財源ではございますが、国の収入額の八割が道路整備に充当されるということになっております。それを勘定いたしますと、純粋一般財源というのは今年度は百数十億でございましたが、来年度もそれほど大きくない。したがって、五百三十四億を先食いいたしましても、一三%程度予算編成でございましたら十分一般財源で調達できる、こういうふうに見込んでおります。
  11. 福岡義登

    福岡委員 道路関係の五十一年度予算要求が一三%の伸びでしかないというのは非常に不満なんであります。しかし、いまお話がありましたように、建設省内の調整でこういうことになったというのですが、それはそれでまた別の機会に議論したいと思うのですが、ここではっきりさせておきたいのは、先食いをすることによって五十一年度予算にさらに影響が出てこないか。いまの道路局長お話によりますと、一般財源の方で何とか埋め合わせがっくだろう、したがって結論的には、要求しておる一三%というのを確保できそうである、こういうお話なんですが、そう考えて間違いございませんか。
  12. 井上孝

    井上(孝)政府委員 ただいま御答弁申し上げたような事情で五百三十四億を先食いするわけでございまして、予算要求段階の来年度要求財源内訳には、先生の御指摘のとおり五百三十四億見込んでおりました。これが減額になりまして、それだけ一般財源投入を必要とするということになった次第でございますが、私ども予算の獲得には一般財源投入を含めまして最大努力をしたいと思っております。
  13. 福岡義登

    福岡委員 最大努力をすると言われるところにちょっと心配があるわけであります。先食いをする以上は、ある程度見通しをつけて、五十年度で使っても五十一年度にはそんなに影響が出ないという見通しのもとになされるのでなければ、われわれとしてもちょっと心配なんです。その点を少しいまからはっきり——努力をするということだけでは心配なんで……。
  14. 井上孝

    井上(孝)政府委員 先生承知のように、ここ二年間道路予算は前年を下回る予算編成で、総需要抑制のもとで非常に抑えられて厳しい状況にございます。その結果、道路予算に占める特定財源比率は過去の傾向に比べまして非常に高くなっております。今年度は、当初予算では、自動車重量税の八割を含めますとほとんど九九%が特定財源になっておりまして、いわゆる純粋一般財源投入はきわめて少ないのでございます。これは、過去大体七割とか六割とかいう特定財源比率が現在九九%になっております。私どもとしては、来年度予算編成に当たりましては、純粋一般財源をもっと投入すべきであるという考えがございますので、いま申しましたような答弁になった次第でございますが、私どもは、もっと純粋一般財源投入すべきであって、道路整備をほとんど全部特定財源で賄うというのはゆがんだ姿ではないかというふうに考えております。
  15. 福岡義登

    福岡委員 建設省としての見解はそれで当然であるし、私はいいと思うのですが、問題は相手があることで、大蔵省筋が、先食いをされたのは建設省の勝手であってわれわれのあずかり知らぬところである、こう逃げられる。私どもも、自動車重量税が全部一般財源だとしましても、今年度の当初予算では一般財源の割合が一六%でしかない。それから補正後におきましても一七、八%程度しかない。おっしゃるように、自動車重量税の八割が道路財源に充てられておるということで計算をすると九九%が特定財源である。したがって、一般財源をもう少し投入するのはいいのだというように建設省としてお考えになるのは当然だし、私どももそう思うのですが、問題は、五十一年度予算をいまから決めるときに、一三%の伸びでも低いのに、さらにこれがダウンするような心配はないのか。もしそれがあるというのならば、少し審議を保留しまして、その辺の見通しをつけてから審議を進めることにしたいのですが、どうですか。
  16. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 福岡さんの御意見はもっともであります。私どもそういう意味において五百三十四億五十一年度のやつを先食いするということについてはいささか抵抗を感じたわけでありますが、補正上、財源上どうしてもやむを得ないということで、これはたっての大蔵の要望に基づいてやったわけでございますから、それだけ大蔵省責任を感じてもらわなければならぬと思っております。特定財源で九九%まではやっておりますけれども、率直に言って、この大事業を進めていくためにもう少し積極的に一般財源を繰り入れることは私ども当然だと思いますから、そういう意味においては責任を負ってもらわなければいかぬと思っております。  ただ一五%の伸び率で、特に道路だけは一三%以内で実は私ども予算編成方針を立てておるわけですが、率直に言って、景気対策の面から言っても、さらに明年度予算公共事業を推進するという空気が出てくるのじゃないか。またそれが本当じゃないかと思っております。そういう場合に、財源関係道路予算がいまのままでくぎづけにされるということは、これは国民も納得しないし、われわれも承服しないところでありますから、これは大蔵省と、今年の経緯等にかんがみまして、責任を持ってそういうことのダウンのないように努力をするということで進めていきたいと思います。
  17. 福岡義登

    福岡委員 大臣答弁ではございますが、われわれが考えるところ、そうはならぬのじゃないか。一般財源は圧縮されても、増額をされるというようなことはまずないのじゃないか。  大蔵省お見えになっておりますね。この前の新聞によりますと、自動車関係諸税を今度大幅に上げようという検討がなされておる。大体平均して四〇%くらい上がるのではないか、こういうわけであります。大蔵省自治省は、去る十三日に自民党税制調査会に、来年度自動車関係税制関係について全面的に引き上げ方針説明した、こうあるわけです。どういうことを考えておられるのか、後で聞かしていただきたいのですが、恐らく特定財源をふやして道路関係予算を確保する、一般財源をふやすようなことは毛頭大蔵省考えていないと私は思うのであります。その辺はまた後で議論したいと思いますが、とりあえず大蔵省としては、五十一年度自動車関係諸税、つまり揮発油税等あるいは重量税、そういう自動車関係の税金の引き上げをどのように検討されておるのか、内容と、どこまで進んでおるのか、その辺の説明をしていただきたいと思います。
  18. 島崎晴夫

    島崎説明員 揮発油税と、それからそれに伴います地方道路税、さらに自動車重量税につきましては、来年の三月と四月とにいまの暫定措置の期限が到来いたします。それを機会にしまして見直しをせざるを得ないという状況にはございます。私ども世界各国自動車税負担であるとか、それから揮発油税税負担現状というものをいろいろ比較いたしますと、この際自動車につきましては負担調整増税をお願いしてもいいのではないかということを考えているわけでございます。  しかし、最近の事情考えますといろいろむずかしい問題がございます。増税するとしますと、揮発油税につきましては価格が上がるわけでございますけれども、それが果たして転嫁できるかどうかというような問題も慎重に検討しなければいけませんし、それからさらに増税した場合に、先ほど来の先生の御質問にもございますように、道路特会の中で特定財源がどの程度になるか、増税幅いかん、また予算査定いかんによっては特定財源があふれ出す、オーバーフローするというような事態も考えられるわけでございまして、いろいろむずかしい問題がございます。したがいまして、現状では私どもはまだどっちというはっきりした結論を出しておりませんけれども、何せ十二月までの期間しか残っておりませんので、今後作業はいろいろ検討を進めていかなければいけないと思いますけれども、最終的には税制調査会で御検討いただいて結論を出すということになろうかと思います。現状はその程度でございます。
  19. 福岡義登

    福岡委員 では新聞に書いてあることは違うのですか。相当具体的に書いてあるわけです。さっきちょっと初めだけ読みましたが、「十三日、自民党税制調査会で来年度税制改正自動車関係税を全面的に引き上げ方針説明した。両省が報告したその引き上げ案は、」云々と中身がずっと書いてあるわけです。だから、大蔵省としては自治省相談をして引き上げ方針を決めて、ただ自動車取得税物品税は据え置くことにしておる、その他は全部四〇%ないし五〇%引き上げる、こう中身が書いてあるのだが、これはいまのお話と少し違うようだけれども大蔵省としての態度は、方針としては決まっておるのではないのか、その辺どうですか。
  20. 島崎晴夫

    島崎説明員 先生がいま御指摘になりましたような幅につきまして考えていることは事実でございますが、最終的にそれで増税するかどうかということにつきましては、まだしばらくのお時間をちょうだいいたしたいと思っております。
  21. 福岡義登

    福岡委員 もうちょっとはっきりできないのですか。そういうのなら、一般財源特定財源関係で、これはやはり審議は進みませんね。大蔵省自治省が協議して、それで方針を決めて自民党税調会説明した。そこまでははっきりしておるわけでしょう。まだ案が決まってないとおっしゃるけれども大蔵省自治省として相談をした結果、案が決まっておるわけです。それを政府・与党がいいと言うかどうか、その辺の段階である、こうおっしゃるなら新聞のとおりでわかるのだけれども、それじゃさっきの説明によりますと、自民党税調会説明したのはいいかげんなものであって、どうなるかわからぬのだ、ちょっとアドバルーンを揚げてみたという程度のものですか。自民党税調会の了承が得られるならばこれでいきたいということじゃないのですか。
  22. 島崎晴夫

    島崎説明員 ただいまいろいろ検討しておる段階でございまして、新聞でいろいろ伝えられておりますけれども、私どもといたしましては、今後とも検討を進めたいということしか申し上げられない状況でございます。ただ、増税幅につきましてはそういうことで考えているわけでございまして、主税局立場からいえば、できたら増税したいなということは考えておりますけれども、産業に対する影響であるとか、それから道路財源との関係もございますので、今後そういった問題も十分に検討した上でないとなかなか結論は出しにくいと思っております。
  23. 福岡義登

    福岡委員 余りこだわるつもりではないですが、このぐらいのことははっきりさしておいてもらいたい。自民党税調会説明したのは、では、どういうように理解すればいいか。ただ単にだれかが思いつきを、こういうことも考えられますよという程度の話なのか、了解を得られればこれでいきたいという大蔵自治両省協議の結果の方針だとわれわれは理解するのだが、いまの説明を聞くと、いやいや、検討中でまだどうなるかわかりません、こう言う。十三日に自民党税調会説明したその値上げ案というのはどういう性格のものか、そこだけはっきりしてください。
  24. 島崎晴夫

    島崎説明員 税制調査会お話申しました趣旨なりあるいはニュアンスというものは、いま私が先生に申し上げたとおりのものでございまして、新聞にはいろいろ伝えられておりますけれども、私ども立場はいま申し上げたようなことだと御理解いだたきたいと思います。
  25. 福岡義登

    福岡委員 どうも納得できないのですが、では、いま大蔵省考えておるのは、試算的にいえば、特定財源はこの値上げ案が通るとすればどのぐらいになると見込んでおるのですか。
  26. 島崎晴夫

    島崎説明員 ただいまいろいろ試算中でございます。一番根底になりますのは、来年の揮発油需要がどの程度伸びるか、それから自動車保有台数がどの程度伸びるかということだろうと思います。そこいらの点につきましてもいま鋭意見通しを進めている段階でございまして、確定的な段階で申し上げられる状況ではございません。
  27. 福岡義登

    福岡委員 そう言うだろうと思ったのですが、暗算をしてみますと、昭和五十年度補正後の特定財源は八千四百八十五億ですか、それの三〇%上がるとすれば二千四百から二千五百億上がるわけです。今度五十一年度に入れるべきものを今年度に五百三十四億ですか、入れるわけですが、そうすると、五十一年度要求をされたときの調整額五百三十四億円が仮になくなっても、約二千億円ぐらい特定財源がふえる計算になりますね。そうすると、どうなるのですか。
  28. 島崎晴夫

    島崎説明員 仮りにいま増税するといたしまして、そしてその幅を相当程度見込むとすれば、場合によっては先生おっしゃいますように二千億とかあるいは三千億という数字も出てまいります。ただし、それはあくまでも計算上における話でございます。
  29. 福岡義登

    福岡委員 この点はその程度にいたしまして、また別の機会に議論したいと思います。  そこで、いまのバス企業などから、赤字バスが主として問題なんですが、重量税とか軽油引取税、これは地方税でございますけれども、そういう軽減が強く——バス協会はもちろん労働組合の方からも、赤字バスに対する諸税についてはいろいろ検討するべきであると言明してもらいたいという要求が出ておるのですが、いま大蔵省がいろいろ検討されておる中で、そういうものが対象になっておるかどうかということと、もし対象になっていないとすれば、対象にしてもらうように要望しなければなりませんが、考えられておるとするならば、その内容はどういうことが考えられておるか、ちょっと説明していただきたいと思うのです。
  30. 島崎晴夫

    島崎説明員 自動車重量税というのは、御承知のように道路損傷を含めまして自動車社会的費用がいろいろかかっている、それを賄ってもらうという趣旨でできているわけでありまして、重さに比例して相応の負担をお願いしているわけでございます。そこで、そういった趣旨から考えますと、車の形であるとかあるいは営業用であるか自家用であるかということによって差別をつけるということは、私どもは、税の立場から言えば、必ずしも適当ではないと思っております。  ただ、この前引き上げましたときには、物価対策等のいろいろな判断がございまして、営業車につきましては据え置きにし、自家用車を倍に上げたわけでございます。これを今後どうするかという問題でございますけれども、先ほど申し上げましたような重量税趣旨から言いまして、やはり営業車についても相応の負担はお願いしたいというふうに考えているのが私どもの現在の考えでございます。
  31. 福岡義登

    福岡委員 おっしゃるように、税制だけで考えれば、営業であるか自家用であるかというようなことによって差をつけるのは必ずしも適当でないというように私どもも了解できます。しかし、交通政策全体から考えると、赤字バスなどについては何らか対策をとらなければいかぬということだけははっきりしている。その中でこの税制一つであり、あるいは別の補助金考えられるなり、総合的な施策が必要なのですが、いろいろ言ってみましても、税の減免をするというようなことを柱にしなければ、実際問題としての解決策というのは少ないと思うのであります。  そこで、これは大蔵省税制だけでは考えられないと思うのですが、交通政策の大きな役割り道路も果たしておるわけですから、そういう観点から、建設大臣、ひとつ赤字バスなどに対する軽油税などのあるいは重量税などの調整、減免について格段の努力をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  32. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 揮発油税重量税等いろいろ税の問題がいま大蔵省で問題になっておることは御承知のとおりであります。ただ、税体系から言えば、自家用であろうが営業であろうが、これは御理解いただけると思うのでありますが、おっしゃるように、バス経営、企業経営等が赤字を出してきわめて困難になっておることも当然でありまして、私は、税金は税金として考えるとしても、そういう業種の赤字対策の問題、いわゆる景気浮揚対策、そういった問題から考えて、これはこれなりに別途方策を考えなければならない。現在かなり断片的には安くしているはずでありますけれども、さらに一歩前進して救済の問題も考えるべきじゃないかという御意見でございますが、そういった問題は、今後の問題として当然検討しなければいかぬ問題だ、かように思っております。
  33. 福岡義登

    福岡委員 特段の御努力を要望しておきたいと思うのです。  次に、特定財源地方税関係ですが、石油ガス税の二分の一が地方税に譲与されておる。これはどうして二分の一という線が出たかというようなことは私どもよくわかりませんが、特に地方財政が今日苦しいというような事情考えますと、石油ガス税の二分の一という地方譲与率を再検討してみる必要があるのではないかと思うのですが、どうですか、大蔵省。二分の一というものはどういう根拠というかいきさつによって決められたのか、この二分の一という譲与税の割合を再検討する用意があるかどうか、その辺はどうでしょうか。
  34. 島崎晴夫

    島崎説明員 二分の一がどういうふうに決められましたかにつきましては、ちょっと私いま手元に資料ございませんので、後刻調べまして御報告するように検討させていただきたいと思います。  それから、二分の一のかきね、これはまた揮発油税地方道路税についても言えることでございますけれども、これにつきましては、私どもいま動かして地方の方の取り分をふやすということは考えておりません。
  35. 福岡義登

    福岡委員 地方財政現状にかんがみまして、非常に生活道路などがおくれておる、単独事業ども相当制限されておる、補助裏もちょっと困難であるというような事情になっておりますので、将来検討していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  次は、第七次道路整備五カ年計画についてでありますが、四十八年から五十二年、この間に第七次道路整備五カ年計画が策定されておるわけでありますが、五十年度末で、この補正後どのくらいの進捗率になる見込みなのか。それで五十二年度までには一体どうなるのか。さらに、三全総との関係どもあろうと思うのですが、五カ年計画全体について再検討される用意があるのか。その辺の事情を少し説明していただきたい。
  36. 井上孝

    井上(孝)政府委員 第七次五カ年計画が昭和四十八年度から始まっておりますが、三年目の五十年度、今回の補正予算を含めまして、一般道路事業では進捗率が四五・二%、有料道路事業で四三・五%、両方合わせまして四四・六%となっておりまして、地方単独事業につきましては、五十年度、特に目下のところ推計でございまして、これは推計は非常に大きく狂うおそれがございますが、推計べースでは四五%でございます。一般道路事業、有料道路事業、地方単独事業、全部含めまして総体の進捗率は四三・六%という状況でございます。  それから、三全総の策定が現在作業中でございますが、道路整備五カ年計画につきましても、当初、経済計画あるいは三全総に合わせて五十一年度から五十五年度までの総投資規模等を検討中でございますが、なおまだ二カ年この五カ年計画が残っておりますので、今回五十一年度からの五カ年計画の改定はしないという予定でございます。
  37. 福岡義登

    福岡委員 そうしますと、第七次道路整備五カ年計画は計画どおりにやっていこう、三全総との調整というか関係はその後において考える、こういうように考えればいいわけですか。  そこで、そうしますと、五カ年のうち三年今年度で経過するわけでありますが、お話のように四三・六%の進捗率である、これは財政事情なり総需要抑制なりいろいろな関係、単価の値上がり、そういうものがあったと思うのですが、この分でいけばそれでは一〇〇%の達成は不可能である、五十一年、五十二年、相当ピッチを上げてみましても困難ではないか、こう思うのですが、その辺は一体どう考えられておるのでしょうか。
  38. 井上孝

    井上(孝)政府委員 第七次五カ年計画の完全達成は、五十二年度までまだ二年ございますが、きわめて困難だと承知しております。
  39. 福岡義登

    福岡委員 きわめて困難だということでは困るのでありますが、道路公団、首都高速、阪神高速、本四関係公団の幹部の皆さん出席していただいておるのですが、いろいろ御苦労されておると思うのですが、第七次五カ年計画における、いま道路局長の話があったのですが、それぞれの公団のサイドとしまして、このままで進められる場合に特に問題がある点を、もしあればこの際聞かしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  40. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 日本道路公団では、ただいまの五カ年計画の最終年度には、たとえば高速道路で申しますと三千百キロ総延長ということになっておりますが、本年度末で大体それに対して千九百キロ完成することになっております。したがいまして、残り二年で千二百キロということでございまして、平均して六百キロつくらなければならぬということになりますが、現在のところ二カ年間で千二百キロを達成することはまず不可能である、かように考えております。
  41. 鈴木俊一

    鈴木参考人 首都高速道路公団事業でございますが、環境対策の問題がだんだんやかましくなっておりますけれども、いま御指摘の五カ年計画に定められておりまする枠を実施するためには、現在の財源ではとうていおさまらないというふうに考えております。
  42. 小林忠雄

    小林参考人 阪神高速道路公団におきましては、公害問題その他から住民運動によりますいろいろ反対運動がありまして、現在のところ残念ながら事業の進捗が予定どおり行なわれておりません。したがいまして、そういう面からいって、所定の目標を達成するということがその面からなかなか困難ではなかろうかと考えております。
  43. 富樫凱一

    富樫参考人 本四公団におきましては、、五カ年計画、かねての計画で資金を見積もってもらうようにお願いしておりましたけれども、まだ着工の点が流動的でございますので、その点が決まりましてはっきりさせたいと思っております。
  44. 福岡義登

    福岡委員 大臣、お聞きのようなことでございます。いろいろ総需要抑制その他財政事情考えまして、今日までの経過はやむを得ぬと思われる点があるのですが、問題は、この三全総が五十一年度から策定をされようとしておるときに、道路整備だけは一応五十二年までやっていこう、しかも一〇〇%達成はおぼつかない、こういうことでございますが、当然、この見直しというか三全総との関連で検討されるべきものだと思うのですが、その辺について大臣としてはどういうようにお考えになっておるか、少し前向きの考え方を示してもらいたいと思います。
  45. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 いまそれぞれの公団総裁からも局長からも御答弁を申し上げましたように、福岡先生承知のように、四十九年、五十年度公共事業関係、建設関係伸び率ゼロであります。特にその中でも、道路関係予算建設省の中でも非常に大きなウェートを占めておりますから、全体で一五%の伸びでも道路だけは一三%以下にしようというふうに、たとえば来年度予算要求も先ほど御説明申し上げたとおりであります。本年度道路予算だけとってみましても、たとえば国道関係伸び率マイナスであります。九三%程度。特に地方の市町村道、生活道を伸ばしていこうということで、これは一七、八%ほど伸ばしておる。同じ道路予算の中でも、特に国道関係はそういうふうにして大幅にダウンをしておるという状態であります。これは総需要抑制という一つの大きな至上命題のもとで、私どもはやむを得ないと思っておりますが、それがいま申し上げましたようなそれぞれに大きなしわ寄せが来ておることは事実であります。大体三全総というのはなぜつくるかと言えば、いままでの大型プロジェクト計画というものは、これは高度成長時代につくった計画なんだから、新しい安定成長の時代に新しい経済学に基づいてもう一遍見直そうというわけでありますから、考え方によればこれは縮小計画なんであります。私どもは、道路計画はまだあと二年残されておる、三年やってみてしかも五〇%じゃ足らない、そういうことを考えてみると、それ以上に三全総でこれをまだ縮小せられるということ自体、これは国民は承知しないだろうという考え方を持っております。だから、二カ年間あとあれば、二カ年間現状計画でやっていこう、できるだけその計画のもとで伸ばしていくことを大蔵省とも折衝をしようし、国民にも訴えていこう、こういう考え方を実は持っておるわけでありまして、そういう意味から考えますと、現在の計画をさらに二年やっても一〇〇%いくことはなかなか困難であります。困難でありますが、過去三カ年間道路関係は異常に圧縮せられておった。そういうことが直接の原困ではありませんけれども不況対策がいま盛んに騒がれて、その不況対策の七〇%までは公共事業をやらなければならぬところまで政府は追い込まれてきておる。かように考えてまいりますと、来年度も経済政策を考えていくなら、不況対策公共事業を見逃すことはできぬと思っております。私は、そういう時代の方向に向かって、われわれはこの機会に全力を挙げてひとつ公共事業の推進を図っていきたい、特に道路網の整備についても最善の努力をしていきたい、こういう考え方でありまして、なかなかむずかしい問題ではありますけれども、これは野党の皆さん方にも御協力をいただいて、ひとつぜひ今後さらに一層伸ばしていくことを考えたい、そういうふうに努力をいたしたいと思っております。
  46. 福岡義登

    福岡委員 きょうは道路行政全般について議論するのが中心的な議題ではないから余り多くを申し上げようとは思いませんが、大臣のおっしゃるように三全総に乗せるということは縮小計画になる。その点は私も同感なのでありますが、問題は、なし崩し的に五カ年計画が、やってみた結果七〇%であった、八〇%であったということよりも、諸般の事情を勘案をいたしましてここまではやりたい、やるべきであるということを国民の前に明らかにするというのが信頼される政治であろう。大臣の気持ちもわかりますが、いま申し上げましたような意味で、三全総に合わせて再検討される必要があるのではないか、こういう気持ちを申し上げたわけでありますが、いずれこれは道路行政全般について議論をしたいと思います。  もう一つだけこの道路行政で緊急な課題だと思われますので伺いたいと思いますのは、例の日照問題でございます。  高速道路関係で日照の補償、住民運動が相当強くあちこちで起きておる。私の選挙区の方でも二、三そういうものがあるのでありますが、昭和四十七年の、いつか記憶しておりませんが、閣議で日照問題の補償はしないと、公共事業の日照障害を補償しないという方針が決められまして、その後公共事業でそのとおりにやられて、補償された例はないのですが、最近、それではやっていけそうにない、何とかしなければならぬのじゃないかということで、建設省が中心になって公共事業関係の日照問題が検討されておる。これは前向きの姿勢だと私は思うのですが、どういうところまでその検討が進められておるのか、あわせて今後の方針などを聞かしていただきたいと思います。
  47. 井上孝

    井上(孝)政府委員 日照権につきましては、道路だけの問題ではございませんので、実は建設省の方では計画局所管でやっております。私から間違った御答弁を申し上げるのもいかがかと思いますので詳しいことは申し上げかねますが、用地対策連絡協議会で一応の検討をいたしまして、結論をそろそろ得る段階に来ておると思いますので、その方針に従って高速道路の日照権につきましても処置をしてまいりたいというふうに思っております。
  48. 福岡義登

    福岡委員 以上で終わります。
  49. 天野光晴

    天野委員長 瀬崎博義君。
  50. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 道路財源のあり方と深い関係を持つ幹線自動車道建設計画を審議する国土開発幹線自動車道建設審議会は、四十八年の十月十九日に開催されて以来二年間を経過しているわけですけれども、これが現在まだ開かれておりません。当時の会長であった田中前首相は、次のようにあいさつをしております。「いまや横断自動車道を含めましてその建設を全国的に展開し、国土の総合開発の基軸とすべき段階であり、新たな基本計画及び整備計画を策定し、幹線自動車国道網の早期完成をはかる必要がございます。」と強調したわけです。これによって、そのときの審議会の任務とか性格というものは、政府立場からはおのずから明らかにされたわけなんですが、これはとりもなおさず列島改造論の頂点にあった時期の情勢を道路に反映させたものだと考えるわけです。  まず、建設大臣にお聞きしたいのは、現在の情勢を当時に比較して変わっていると考えていらっしゃるのか、変わっていないのだ、同じことだと考えていらっしゃるのか、お聞きしたいのであります。
  51. 井上孝

    井上(孝)政府委員 国の全体の総合開発計画につきましては、もう先生承知のように、現在、当時とは変わりましたので、第三次総合開発計画を国土庁で検討いたしております。  ただ、道路につきましては、御指摘の四十八年十月の建設審議会におきまして、基本計画及び整備計画の追加が決定されました。基本計画六千六百九十四キロ、整備計画四千八百十六キロということになったわけでありますが、この計画の基本につきましては、現在といえども高速道路の必要性あるいは道路網のあり方等にはいささかも変更の必要はないというふうに考えております。ただ、整備計画につきましては、その後いろいろ連結地点、経過市町村等につきまして調査の結果変更がございますので、整備計画については、近い審議会において御審議を願って変更をする必要があろうというふうに考えております。
  52. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞いたのは、直接の道路計画の基本をいらう必要があるかないかという単純な質問をしたのではなくて、時間がありませんから省いておりますが、田中前首相があいさつの前段で、国土利用の抜本的な再編成を進めるという改造論の精神を述べた上、新しい基本計画、整備計画を練ってくれという提案をした。その前提にある社会情勢、経済情勢が当時といまと変わったのか、一緒であると考えているのかどうかということなんです。これは前首相が言ったことでありますから、改めて仮谷建設大臣の御認識を伺いたいと思うのです。
  53. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 田中前総理は、例の列島改造論から出発して、いろいろとその当時の発言やら計画がいま批判をされ、議論をされていることは事実でありますけれども、世の中がどんなに変わってきましても、日本の国土の均衡ある開発を図って、均衡のとれた生活環境に住まいをするということは日本国民の権利でありまして、私は政治の最終目的はそうでなくてはならぬと思っております。  ただ、田中さんの発言をした当時と現在とは経済情勢も非常に変わってきておりますから、高度経済成長時代にそういうふうに考えた問題を、もう一遍新しい安定成長下において検討してみようというのが三全総の思想であることは御承知のとおりでありまして、そういうふうな三全総の考え方に基づいて、今後の整備計画については、あるいはいろいろと検討する必要の生じておることは事実だと思っております。
  54. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、先ほど一歩先んじて道路局長説明されたように、整備計画については大幅な作業のおくれというものを来しております。二十本中十五本が事実上作業中止をしているような状態になっている。その主な理由を政府はどう見ているのか、簡単にひとつ答えていただきたいのです。
  55. 井上孝

    井上(孝)政府委員 昭和四十八年に、先ほど申し上げましたように整備計画四千八百十六キロを決定していただきまして、直ちに日本道路公団に施行命令が建設大臣から出されたわけでございます。四十八年、四十九年、それと今年度五十年度、総需要抑制のために高速道路の建設費は三千五百億ということで三カ年据え置きになっております。私ども当初考えました第七次道路整備五カ年計画では、さらに大幅な建設費の計上を考えておりましたが、いま申しましたように、抑制の結果三千五百億と三カ年とどめ置かれましたために、建設費の不足で工事が大幅におくれておるということでございます。
  56. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうことになってきた原因がどこから生まれ出たのかということを私は聞いておるわけなんです。そんなことくらいはもう現象的にわかっておるわけです。  結局、事の起こりは、石油ショック後に起こってきた総需要抑制策の影響が強く道路建設の行政にもあらわれた。同時にまた、当時すでに問題になっておったように、一部の区間については地元との調整が非常に困難であったことも事実、これも社会環境や住民意識が変わってきたから、いままでのようにつくればよいという道路行政は当然許されなくなった。そして今日、新全総の見直しへと発展してきておるのだから、まあ基本計画をいささかも変える必要はないと言われたって、変えざるを得ないような背景がすでに生まれて、つくったものが予定どおりに進められない。強引にやればより大きな矛盾を来すことはわかり切っておるわけなんです。そこで高度成長政策の転換だともおっしゃっておる、こう思うのです。  だから、私たちが特にここで強調しておきたいことは、当時あの審議会に参加しておったメンバーがどの程度そのまま残っていらっしゃるかどうかは別として、現在の情勢下で審議会にどういうふうな意見が出てくるかということは、政府としては当然聞いておくべき問題ではないかと思うのです。その点、会長代理である大臣は、二年も開いていないことについてどういうお考えなんですか。
  57. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 うちの方の審議会は必要が生ずれば開くわけでありますから、その開いた場合に審議会でいろいろあれば、そのための審議会ですから、意見を尊重することは当然なことでありまして、そんなことは私どもは別にこだわっておりません。  ただ率直に申し上げまして、たとえば高度成長の時期に立てた計画といえどもいろいろ問題はあります。局部的には問題はありますけれども、その時分でも現在でも、その地域の国民の要望、強い期待あるいは夢というものは変わっているとは思いません。そうしますと、基本計画を崩さないと道路局長が言ったということは、崩さないではない、崩せないのであります。一本の縦貫道路計画を立てた、それを一体どこでぶち切るかといったようなことは、これは共産党でもできやしないと思うのです。住民の強い要望があります。われわれにはなかなかできない。ただ、新しい経済情勢に応じて進度調整考えていく、あるいは計画の一部変更といったものを考えていく。住民の意識が変わっておれば、変わった意識に即応した方向で整備計画を進めていくことは当然でありますけれども、基本的なあの計画を根本的にぶち切ってしまって、そして計画を立ててやり直せと言ったってこれはなかなか簡単にできるものではないし、むしろ住民の意思に沿った方向で、やはり期待はつないでおく必要があると私は思います。ただ、進度調整をしながら、その地域の住民の意見を聞きながら、今後の整備を進めていくことは当然考えなければならないし、そのための審議会の意見があれば、審議会の意見も尊重せなければならぬ、かように思っております。
  58. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま大臣もやはり進度調整の必要性とか新しい現在の情勢のもとでの住民の意見等は聞いていきたい、必要なら、計画の変更というものも考えるということなんでしょう。私も途中まで建設したものを直ちに以後絶対つくらないという方向でぶった切れなどという暴論は吐いていない。当然これだけ世の中が変われば、当時といまと住民の意見が変わっていることはいま大臣もお認めになったのですね。  そこで、当時の審議会は、わずか二時間やそこらで審議終わりということにいろいろ異論が出たわけなんです。新聞にまで出たわけですね、もめたということは。とどのつまり当時の金丸会長代理が「いろいろ御質問や御意見があろうと思いますが、先ほど来堀先生からもお話がありましたように、小委員会を設けるということにきめられましたので、いろいろの問題につきましては小委員会でまたいろいろ御討議願うことにいたしまして」とにかく自分が会長代理になった途端に一日で審議が終わらぬようになったということは勘弁してくれ、こういう浪花節が出たわけですよ。  さらに、これを受けて去年の三月二十七日にも、私はこの約束を当然政府としては履行する必要があるんじゃないかということを質問したわけです。当時は建設大臣は亀岡さんだった。その方がちょうどいま大臣が言われているのと同じような趣旨のことを答えられたのです。この審議会においても、「やはり本会議に議案を出すまでに、部会なり、ただいま御指摘のような小委員会なりで十分こなしたものを提案をして、お忙しい委員先生方に最後の決をとっていただくというシステムにしていかなければならないことは当然でございます。そういう点につきましては、御指摘のとおり迅速にやっていきますように考えてまいります。」こう答えているのですね、「迅速」という言葉を……。  さて、「迅速」と言ってからこれもうまた一年以上たっちゃったわけでしょう。ですから、少なくとも私は、まずこの小委員会をつくる審議会を開いて、そしてどのような意見審議委員のメンバーがその後聞いているのか、また審議委員はどういうふうに意見をいま持っているのか、これは出されて、この本会議に備えるというのが政府のいままでの言明から言っても果たさなければならない約束だと思うのです。もしそれをしないと言うなら、これは直接仮谷さんの発言ではないけれども建設省全体としては常に国会や審議会での発言をいいかげんなものだと、こういうことに私はなると思うのですね。いいかけんじゃないと言うのなら、ここではっきりこれをいつやるのか、約束をいつ果たすのか、これだけをはっきりしてほしいです。
  59. 井上孝

    井上(孝)政府委員 御指摘のとおり、四十八年の十月の審議会で、主として中央自動車道長野線の塩尻市に関係する区間につきまして、地元との調整が不十分だということで工事の実施に先立って小委員会をつくって改めて検討するということになりました。現在、それを含めまして建設省としましては地元との交渉を急いでおりまして、近く交渉が妥結するであろうというふうに考えておりますので、その結果によりまして小委員会を開催して御審議願うということを考えております。
  60. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは問題のすりかえなんですよ。小委員会を提案されたのは、いまおたくのおっしゃった問題区間がきっかけになった。ところが、その後もいろいろ意見が出てきたんですね。その点についてさっきも私が議事録を読んだように、いろいろ御質問や御意見はあろうと思いますが、これは小委員会を設けることになったからそこで検討してほしい。また亀岡さんの場合も、今後はこの本会議にかける前に小委員会なり部会でひとつ案を練ってもらえばスムーズにいくんじゃないか、そうでなかったらそれは一日に二時間で審議せよというのは無理ではないか、こういう趣旨のことを言われているのです。そういう点では今日提案されている小委員会は一般化されている。だから塩尻区間がどうであれこうであれ、一応そのようないろいろな意見をざっくばらんに聞くという意味でこういうものが出され、私も賛成しているわけですね。そういうものだけは早くつくる審議会を開くべきだ、こういう意見なんですが、どうですか。
  61. 井上孝

    井上(孝)政府委員 国土開発幹線自動車道建設審議会には、現在、先ほど来申し上げておりますように、すでに御審議願った整備計画の達成がきわめてまだおくれております。新たな区間について基本計画なり整備計画をお諮りするという計画が立たないわけでございます。したがいまして、審議会もこの二年間開催されなかったわけでございます。新しい長期計画もできました段階で、また新規の区間の整備計画あるいは基本計画、あるいは先ほども申し上げました過去の整備計画の変更というものについてお諮りする機会があろうかと思いますので、その機会には、先生の御指摘のように運営に先立ちまして小委員会を開催して、詳細の御審議を願うという予定を立てております。
  62. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほど来の話は、いろいろ住民の考え方も道路に対して変わっているであろうから、そういうものの意見は聞く必要があると言われているわけです。だからこれは、やはりこれだけ社会が激変しているのだから、急がなければならない問題なんです。いまの局長の答弁は、政府側から何か新しい提案をする必要ができたらそのときつくってもらいましょう。そんな話には、これを読んでごらんなさい、過去なっていないのですよ。小委員会をつくっておいて、いろいろ意見があれば、まずそこで出た意見を聞きながら政府としても案をつくろうということなんだから、そういう点論理をすりかえたらいけないと私は思うのです。私の与えられている時間はそう多くありませんから、結局そういう言を左右にして、繰り返し国会の場やあるいは審議会そのものであなた方の方が約束したことをずらすということは、つまり迅速にやると言って、またこれから必要があればと、こういうふうに言いかえているのですから、これはいいかげんなと言われたって仕方がないと思うのです、そういう態度を固執するならば。  結局、高度成長の転換、転換と口では言っているけれども、高度成長時代の道路体系をやはり温存していく、時期を見たらまたどんどん建設を再開していくというふうなことでは、これはやはり国民を愚弄することになる。少なくともいま直ちに政府が提案するかせぬか別にして、すでにつくられてきたそのような基本計画、整備計画に対して、審議に参画した人々の意見もどう変わっているかわからない、これも一遍聞いてみようというくらいのことは必要だと思う。そういうことをして初めて、これじゃ本当に高度成長政策を考え直しているんだな、こういうことになっていくのじゃないかと私は思うのですよ。  そこで次の問題は、こういうふうな道路関係の計画と財源との関連の問題なんです。  道路整備緊急措置が成立させられた目的、いきさつは非常にはっきりしているのですね。一々当時の議事録内容を紹介することは、皆さんの方がよく御存じなんだから避けますが、要点を言えば、田中角榮氏がまず目的をはっきりさせていますね。「産業はまず道路からという道路に対する根本観念を具体化するため、」当時はこういう考えだったのですよ、道路は。そうして「税率が減ったり減免を行ったりして収入額が非常に減じたりすると、五カ年計画が崩れるのではないかという心配もあるが、万一減ったとしても、いままでの公共事業費プラスガソリン税財源という考え方であるから、」心配はないのだ、このように答えているわけです。つまりこのような裏づけが道路については特別あるので、道路の方の計画だけはそうそうでかいものを組んだって余り心配はない、また一時停滞してもいずれまたこういうもので復活できるのだ、こういう考え方があるのではないかと私たちは考えるわけですね。したがって、本当に高速道路を中心とした産業優先の考え方が政府としてはもう変わっているのだ、こういうことになるなら、先ほど来言うております過去に立ててきた計画についても、やはり私たちは意見を求めて、どうするかは別として見直しの態度を示すべきである。これは申し上げたとおりなんですが、同時に、このような特定財源を組み合わせて最優先的に道路財源を確保していくというふうな制度も、つまり道路財政制度ですね、これにも見直しが加えられてしかるべきではないか、こう思うのですが、政府の方のお考えはどうですか。
  63. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路整備緊急措置法によりまして揮発油税、石油ガス税等が道路特定財源とされた経緯は、諸外国に比べてわが国の道路が非常におくれておったということで、緊急整備ということでございます。しかしながら、この制度が創設されてから二十年たっておりますけれども、現在のわが国の道路整備状況は、いろいろな指標がございますので一律ではございませんが、欧米の主要国と比較いたしますといまだに二分の一程度という低水準にございます。したがいまして、ガソリン税に加えるに、さらに道路特定財源が必要であるということで、昭和四十六年に自動車重量税ができました。これは法律特定財源になっておりませんが、その八割が道路に充当されるという実質上の特定財源扱いになっておるわけでございます。現在、いま申しましたように、いまだにわが国の道路整備の水準は諸外国に比べて非常に劣っておりますので、私どもといたしましては、この特定財源制度は今後さらに拡充強化する必要があろうというふうに考えております。
  64. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大変道路のおくれを諸外国に比べて強調されたけれども、おくれておる面をとれば、もっともっとおくれておる面が国民生活関連の部分にはあると思うのですよ。     〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 下水道なんかのおくれはもっとひどいわけですよ、これは全く一例ですけれども。  そもそもこの道路財源というのは目的税そのものでないことは当時田中氏も明らかにしているわけです。そういう点で大臣に聞きたいのですが、こういう制度があるにしても、目的税そのものではないこの道路財源を、もっと幅広く見て、現在道路よりもおくれている部分の整備に回すというふうな考え方はないのですか。
  65. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 特定のものがおくれておるから、それだけ集中してそれだけ全部やれという理屈は、これは政府方針としてはとれない。おくれておるものがあればおくれておるものを考えるし、一つはそのままほうっておいてあとのものをやれというわけにはいかない。道路もおくれておるし下水もおくれておれば、道路も下水もできるだけおくれを取り返すようにやろうというのが私らの政治の方向ではないかと思っております。  先ほどの御質問の中にもありましたけれども審議会を開かぬのは国民を愚弄しておるというふうな言い方をされましたけれども、私どもはそう思っておりません。局部的にはそれは問題はあるかもしれませんけれども、あの道路整備計画に反対しておる国民はないわけでありまして、むしろなぜ早く計画をやらないのか、大変おくれておるのではないか、一日も早く予算をつけて一日も早くその推進をしてくださいという意見が大勢を占めておる場合があるのですよ。そういうふうなことを考えてみると、私どもは二年前にかけた地域計画そのものについての住民の意思ははっきりしておると思います。ただ、それを、いまのような経済状態になりましたから、重大な変更を加えなければならないとかあるいは短縮しなければならないとかいう事態が生じてくれば、これは当然審議会を開いて審議会の意見を十分尊重しなければならぬことは当然でありまして、そういう事態が生じた場合には当然私どもはやることにやぶさかではございません。いろいろ御意見はありましょうけれども、とにかく公共事業が大きく圧縮されておることは御承知のとおりでありますから、むしろ私どもは、圧縮されたその中においてどうして予算を効率的に使って国民の要望に少しでもこたえることができるかということについて腐心をいたしておるわけでありますから、これはひとつ御協力をいただきたいと思います。
  66. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 財源の問題についてはなおまた後、柴田議員の方からいろいろと質問があると思います。  最後にもう一遍念を押しておきたいのは、とにかくこれだけ社会情勢が激変しているのだということは認められたのです。そうしていろいろ計画変更等の必要性も生まれるだろう、そういうこともおっしゃっているわけなんです。では問題は、そういうことを早く委員会を開いてかけるのか、それともずるずるずるずるほうっておいてやるのか、ここに政府の誠意が問われてくると思うのです。いいかげんであるのかいいかげんでないのか、これが問われると思うのです。早くやりますか。今度はどうですか。そこだけ最後に大臣からはっきり答えていただいて、私は終わりたいと思うのです。
  67. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 必要が生じたら早急に開くことにいたしますよ。ただ、審議会の委員意見があるからといって、じゃ審議会を開いて委員意見を聞いて右する左するというわけにはいかないでしょう。一つの問題が生じた場合に、その問題をいかにするかということを審議会に諮って決定するわけであって、その場合に審議会の意見が出れば尊重してまいります、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  68. 天野光晴

    天野委員長 柴田睦夫君。
  69. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 道路財源特例法案の審議に関連して、最初に道路五カ年計画について質問いたします。  現在国土庁においては新全総の総点検が進められて、三全総の策定作業が進められておりますが、この三全総は向こう十カ年間の国土利用を定める長期計画であって、政府によりますと、道路、住宅、下水道などの公共事業計画の基準になる、こう言われております。国土庁が発足した当時に、西村長官は十三の公共事業計画は三全総に基づいて整合されるべきである、こう国会で言われておりますが、現在三全総の策定作業とこの公共事業計画の見直し及び改定はどのような整合性を持って進められているのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  70. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 お答えいたします。  いまおっしゃられましたように、現在第三次全国総合開発計画につきましては、まず新全総の総点検作業をする必要があるということで総点検作業を始めております。この総点検作業につきましては、間もなく一通りの作業を終わるべく努力しておりますが、一方で、今日におきましては経済企画庁が経済五カ年計画の作業を始めておりまして、私どもの方の全国総合開発計画と経済計画との調整ということをまず始めております。その調整の過程で、一方各省庁から公共事業の五カ年計画に関連いたします予算要求が出されましたので、それらの公共事業計画との調整もあわせてしているところでございますけれども、現在のところまだ結論を得ておりません。
  71. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 西村国土庁長官は、昭和四十九年八月九日の建設委員会ですが、ここでも、これらの長期計画は三全総を基準にして改定し、五十一年度からそろってスタートさせたい、こう答弁しておられるわけですが、来年度五十一年から新たに改定され、スタートする予定の計画はどういうものがあるわけですか、お伺いします。
  72. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 政府といたしましては、来年度予算編成ともからみながら、五カ年計画の取り扱いについてはまだ明確にしておりません。ただし、関係省庁から五十一年度を初年度として計画を立てるという要求の御説明が関連してありましたものは、第四次下水道整備五カ年計画、第二次都市公園等整備五カ年計画、第三期住宅建設五カ年計画、第二次海岸事業五カ年計画、新特定交通安全施設等整備事業五カ年計画、第五次港湾整備五カ年計画、第三次空港整備五カ年計画、沿岸漁場整備開発計画、以上八計画でございますが、現在厚生省におきまして廃棄物処理施設整備計画を作案中であるという連絡を受けております。
  73. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 五十一年度予算に関連してそれらの計画が考えられているようですが、建設省の方はこの道路の五カ年計画については改定の対象にしない、先ほど大臣お話でございました。  ところで第七次道路計画は、第六次を半ばで改定した四十八年から五十二年までの長期計画でありまして、これはもうその政治的背景は、皆さんが言われましたように、田中内閣によって策定され、高度成長、列島改造型の道路計画である。その内容は、新全総の高速道路七千六百キロ延伸を基調にして、計画期間中に三千百キロを建設する計画であるわけです。このような列島改造型で新全総を基調にしたというその政治的背景、内容から見ても、当然見直し改定がなされるべきであるというのが私の考えですけれども建設大臣、先ほど答弁されておりましたが、その点についてなお意見があれば……。
  74. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 そういう意見も有力な意見でございます。ただ、先ほど国土庁からも御答弁いたしましたように、住宅や下水道はもうすでに本年で五カ年計画が切れて、明年度新規に立てなければいかぬことになっておりますが、道路はいま三年目でありまして、余すところまだ二年あるわけであります。三全総計画というものは新しい経済計画に従ってやるわけでありまして、私どもは従来の計画の縮小と考えなければならぬ、短縮と考えなければならぬと思っております。道路計画の必要性はもちろん申し上げるまでもありません。それが三年間でまだ五〇%に満たないような状態でありますから、これはぜひひとつ、一〇〇%いかなくても相当のところまで道路計画は遂行をいたしてまいりたい、こういう気持ちでおります。  そうかといって、決して三全総を無視するわけじゃございません。ただ、計画自体はまだ五十二年度まであるわけでありますから、これは現在の計画をぜひ進めてまいりたいと思いますが、その間三全総との調整は十分図りながら進めていきたい、かように思っておりまして、趣旨を決して理解しないわけではございません。ただ、事情そういうことでありますから、一応計画そのものは、あと二カ年間は現計画を進めながら、実施は三全総と調整をしながら、こういう考え方でやっていきたいと思っております。
  75. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 なおつけ加えておきますと、第七次計画を見ますと、「国の経済及び国土総合開発に関する長期計画に即応して、」道路整備を図る、こういう内容になるわけです。この段階では新全総が基調になっているのであって、その経済指標をとってみましても、GNPの年平均八・四%という高い成長率を基準にしているわけです。ところが、最近発表されました新全総総点検の計画のフレームによりますと、八%の成長率では公害や自然環境の破壊、地価の高騰でインフレを再発する、こういう指摘があります。また、経済審議会の企画委員会第一研究グループの報告、「昭和五十年代の潜在成長力と今後の問題点」というのですが、ここでも、いままでのような高度成長を維持することは困難である、こう指摘しております。新聞報道によりますと、金丸国土庁長官は、高速道路もこれらの予測からは六十年までに七千六百キロの二分の一強の四千キロがぎりぎりだ、こう述べたと伝えられております。こういう点から高速道路だけ見ても、三千百キロを実現するという第七次計画、これは先ほどの答弁によりますととうてい無理だという話でありますが、そうしますと第七次計画の根拠が崩れている。ですから第七次計画は当然早急に改定しなければ、最初からできないものを計画として置いておくということで、理屈に合わないのではないか。合わないということを指摘しておきたいと思います。  この三全総は、民主的な地域開発を進める指針として、また住宅や下水道などの国民の生活基盤に資源を重点的に配分し、その事業を効率よく実施する計画でなければならないと思うのですけれども、この点、国土庁はどういうお考えであるか、お伺いします。
  76. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 私どもいろいろ総点検作業をしております過程で、住宅、下水、公園等の都市におきます生活環境施設のおくれが非常に目立っているということから、そのおくれの取り戻しをしたいということを計画の中心作業として検討しているということを申し上げたいと思います。しかし一方で、低成長下におきましてもなおかつ若干の成長が認められます場合に、旅客、貨物の増加というものを当然ある程度予想しなければなりませんけれども、経済成長が下がるために財源が不足することによって交通施設整備がまたおくれるということと交通量との関係につきましては、単に財源不足ということで済まされない側面を持っておる面がございますので、決して住宅、公園、下水だけが回復すればいいということにはなりませんので、交通体系施設についても総合的な見地から十分検討させていただきたいと思います。
  77. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 現在の局面というのは結局限られた資源をどのように配分し、何を重点に事業を実施するのかという点であると思います。こういう観点に立ってみますと、いま公共事業計画の中で道路や治山治水の見直し改定、こういうことは延期する、そして住宅や下水道だけを改定するというわけで、その中でも列島改造の標本のように言われております高速道路を基調にして、莫大な予算規模を持つ道路計画は温存する、こういう施策では、三全総に基づく整合性というのは結局口先だけになってしまうと思うのです。これらの高速道路予算は大幅に住宅や下水道などに配分しなければ、それらの計画の現実性、整合性はないと言わなければならないと思います。この点、国土庁の答弁をもう一度お伺いします。
  78. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 先ほどお答えしました中で、経済企画庁の経済五カ年計画と国土庁の第三次全国総合開発計画の調整作業を進めているということを申しましたが、その作業の中で、五カ年間におきます社会資本と申しますか、公共事業の規模をどのくらいにすることが適当であるのか、そしてその公共事業全体をどのようにバランスさせるのが適当であるかという作業は進めさせていただこうというふうに考えておりまして、道路五カ年計画というものを新たにつくるかどうかという御議論と今後五カ年間の社会資本の配分をどのようにすることが適当であるかという御議論とを別にして私ども作業しているというのが実情でございまして、今後五カ年の中で道路投資をどの程度にすることになるかということもあわせて社会資本全体の計画の調整作業をしております。
  79. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 道路五カ年計画の見直し及び改定という点からいいますと、これは地方道や市町村道などの生活道路に優先的に配分されなければならない、こう考えております。建設省は、公式には生活道路を優先さしているということをしばしば言われるわけですが、第七次計画の事業費の内訳を見ますと、一般国道三兆六千三百億円、高速道路二兆六千七百億円、地方道二兆五千八百億円というわけで、地方道の比重はきわめて低く抑えられております。また、第六次から七次へ改定されたときを見てみましても、道路整備事業量では、高速道路が二倍強の伸び率に対しまして、地方道は一・五倍、これまた低く抑えられているわけです。  それでは、地方道路の整備は進んでいるのかといいますと、それもそうではないわけです。道路統計年報の七五年版の「道路現状の推移」というところを見てみますと、四十八年度ですが、一般国道は改良済み八七・八%、それから舗装済みが九二・六%、都道府県道は改良済みが五三・〇%、舗装済みが六二・九%、ところが市町村道の方は一九・六%の改良済み、それから舗装済みの方は二一・三%。市町村道や地方道などの整備は著しく立ちおくれているわけです。建設省は生活道路優先ということを言われますが、これを宣伝文句に終わらせないためにも、これらの生活道路予算を大幅にふやす、計画の中でも生活道路予算を多くつけるということが必要だと考えますが、いかがですか。
  80. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路整備の基本的な方針といたしまして、やはり国土の均衡ある利用といいますか、そういうものに役立つために幹線国道、高速自動車国道の整備を根幹としております。しかし、御指摘のように地方道整備も国民の生活の基盤になりますので、第七次五カ年計画以降は市町村道、地方道に重点を置いて予算配分等もやっております。御指摘のような方向で道路整備事業を実施しておる次第でございます。
  81. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 公式にそのように言われるわけですけれども、いま言いましたように、数字の上からも生活道路優先というようには見られない、こう考えております。しかも高速道路や一般国道の場合には、付近住民の意向でそうしたものをつくってもらいたくないと思われるところにもそれが進められるというところに問題があるわけですが、そのことに関連して、具体的な問題で東関東自動車道に関連して質問したいと思います。  この東関道というのはどういう役割りを持った道路かという問題があるわけですが、これは国土開発幹線自動車道計画によりますと、この東関道は木更津線と鹿島線とありまして、南は千葉県の木更津、東は茨城県の鹿島町まで延長される計画となっております。これを首都圏の道路計画というもので大きく見てみますと、東京湾をぐるりと回る湾岸道路、この湾岸から東に鹿島、南に木更津と延ばされることになっているわけです。こうして見ますと、この東関道と湾岸道の関連で見れば、この東関道は京葉、京浜、鹿島という三つの巨大コンビナートを結ぶ重要な産業道路、高速道路であるということが言えると思うのです。これは大企業のコンビナートの産業用に使われる、それが中心の計画であります。  ところがこれが通過する沿線住民の間には、騒音や排気ガスや振動といったさまざまな不安をいま生じさせているわけです。これらの沿線住民の不安を解決するためには、建設省が万全の環境対策、住民の納得のいく環境対策がとられなければならないと考えるわけですけれども、この点建設大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  82. 井上孝

    井上(孝)政府委員 東関東自動車道は、御指摘のように鹿島線及び木更津線と分かれております。その一部が東京−千葉間の東京湾岸の上を利用するという計画になっております。  御指摘のように東京湾湾岸にはコンビナート等がたくさん立地いたしておりますけれども、ただ、首都圏の人口配分等を見ますと、やはり千葉県の方に相当の人口の張りつけが必要であります。こういう方々の通勤等にもこの東関道は役立ちます。また、鹿島線の途中には国際空港としての成田空港が建設中でございます。これが東京都の都心とを結ぶ重要な交通路になる、こういったいろいろな目的を持っております。  ただ、沿道付近にいまところどころで団地等がございまして、騒音、排気ガス等のおそれがあるということで、住民の方々からいろいろと御注文が出ております。これにつきましては、いろいろな環境対策道路サイドでも講じまして、十分御理解を得つつ仕事をやっていきたいというふうに思っております。
  83. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 大臣も同じ考えだと思うのですが、もう少し具体的に聞きますと、市川から犢橋の間のうちの幕張部分、ここでいろいろ聞いておりますのでお尋ねしたいと思いますが、この地域は県営住宅や団地が立ち並んでいるわけですけれども、しかもここは幕張の新都市計画で今後住宅が急増するというところであるわけです。ここにはすでに国道十四号線が供用されておりまして、沿線住民はいまその十四号線の騒音、排気ガスで大変悩まされております。その十四号線のところに今度の東関道計画が発表されて、沿線住民は一層大変な状況に追い込まれているわけです。  そうした問題で、市民の要求があって、千葉市が騒音測定を行ってみましたところ、八地点のうち四地点が環境基準を現在オーバーしている。また基準内であっても適合率が九〇%を超える地点は道路から二百八十メートルも離れた地点だけであるわけです。またオキシダント濃度の調査でも、国の基準をはるかに上回っている、こういう状態です。こういうような現状のもとで、そこに東関道が建設されれば、もうこれは住環境というような問題ではなくなってしまうというわけで、住民の不安があるというのは当然のことであると思うのです。こうしたすでに道路によって環境破壊が進んでいる地域では、その道路環境対策がまず優先的にやられることが必要であり、それまで新設の道路や特に高速道路などはつくるべきではない、こう考えるのですが、御意見をお伺いします。
  84. 井上孝

    井上(孝)政府委員 国道十四号線の千葉市幕張地区におきまして、ことしの六月に千葉市が騒音の実態調査をしたことは承知いたしております。この結果によりますと、道路の沿道では騒音規制法の要請基準は上回っておりませんが、環境基準を上回っておる個所がございます。しかし、この地域は先生も御承知のように沿道は準工業地域に指定されておりまして、すでに沿道には騒音等に余り支障を感じない土地利用と申しますか、ガソリンスタンドとかあるいは駐車場等が多く立地をいたしておりまして、幹線道路の沿道型の土地利用ということが進んでおる現状でございます。したがいまして、環境対策として普通実施いたします遮音壁とか緑地帯というようなものを設置することは、むしろかえって沿道の土地利用に邪魔になるという実態がございまして、こういうものを設置することは適切とは考えておりません。  先生指摘のような東関東自動車道の新設をこの付近に考えておりますけれども、これは南側でございますが、湾岸道路の一部を考えております。この新しい道路は、むしろこれを建設することによりまして、現在の十四号の交通量を減らし、沿道の環境を改善するということになりますので、私どもとしてはむしろ十四号の環境対策一つとして、一環として東関東自動車道、湾岸道路の建設を急ぎたい、こういうふうに考えております。  なお、東関東自動車道あるいは湾岸道路の建設に際しましては、付近に対する騒音、排気ガス等の公害が最小限になるようないろいろな環境対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  85. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ちょっと考え方に違いがあるようですけれども、まずこの地域の対策として建設省責任を持って国道十四号線の騒音調査を実施するということが必要であると思うのです。また環境基準をオーバーしている地域については、最低基準内に抑えるための騒音対策を何か考えなくちゃならない、このことが必要だろうと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  86. 井上孝

    井上(孝)政府委員 国道十四号線の騒音の実態調査につきましては、先ほど申し上げましたように幕張地区で千葉市が実施いたしましたものがございます。それからまた、国といたしましては千葉市の登戸地区で、これは四十六年度以降毎年騒音等の調査を実施いたしておりまして、必要に応じて調査をこれからも推進してまいりたいと思っております。  それから、環境基準をオーバーしておる地域、この対策といたしましてはいろいろな方法がございます。先ほど申し上げましたように、バイパス等を整備してそちらの方へ交通量を移すということ、これが最も基本的な方法でございますが、そのほか道路構造の改善、たとえばすでに道路局長通達で、幹線道路につきましては、両サイドに十メーターないし二十メーターという環境施設帯を設置いたしまして、遮音壁、植樹帯というようなものを設置して沿道への公害を少なくする、あるいは場合によりましては、高架構造が環境の保全に効き目があるという場合には、高架構造あるいは掘り割り構造というようなものも採用してまいる。いずれにしても道路のサイドに余地をとりまして緑化をするということを進めておる次第でございます。  なお、来年度予算の中では、私ども先ほども幕張地区等で申し上げましたように、沿道の土地利用が公害に強いといいますか、そういった土地利用になることが最も望ましいということで、幹線道路の沿道について、たとえば土地区画整理事業、そういう土地利用の変換をする事業を実施をしたいという地方公共団体の計画があります場合には、できればこれに必要資金を貸し付けるという制度を来年度新しい試みとして予算要求をしておる次第でございます。
  87. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 そうした対策を講じることによって環境対策を十分にやるということがどうしても必要であるわけですけれども、いま建設省道路公団では住民との話し合いを持っておられると思うのですけれども、住民が納得するまで工事はこういうところでやらないというようなお約束ができるかどうか、お伺いしたいと思います。
  88. 井上孝

    井上(孝)政府委員 御指摘のように道路、特に幹線道路を建設する場合に、直接沿道の住民の方からいろいろな点で反対あるいはいろいろな御注文がつく場合がございます。しかし、道路は局地的な目的でつくるものではございませんので、むしろ幹線道路はもっと大きな立場から必要であるということでございますので、私どもとしては、沿線住民の方々にいろいろな対策をお示しして、できるだけ納得を得て仕事をしたいということに努力はいたしておりますが、やはり百人中百人の御了解を得るということは無理な場合もたくさんございますので、大多数の方の御賛同を得るということを一つ。それから、やはりそういった地域の代表であります地方公共団体あるいはその長、市町村長さん、こういう方々の御意見あるいはこういう方々の御了解のもとに仕事を進めていくということに留意をして事業を実施しておる次第でございます。
  89. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 本当に筋の通った話であれば、住民の圧倒的多数あるいは全部、そうした人が納得できる問題ですから、筋の通った話をすることで十分な納得を得る、そしてそういうところに至るまではやらないという態度で臨んでいただきたいと思います。  同じ沿線に、西小中台の団地があるわけですが、これは四十八年の四月に住宅公団から分譲されたところであるわけです。そのときのパンフレットによりますと、「高速道路等の建設計画関係」というところに「団地南側に東関東自動車道路および都市計画街路が計画されていますので将来騒音が予想されます。あらかじめご承知おきください。」というようなことが書いてあります。しかし、この公団の計画と高速道路の計画を見てみますと、東関道の整備計画が四十三年の三月六日、都市計画は四十年の五月二十二日、それから西小中台団地の方では用地買収が四十三年の十一月から四十四年の十二月、こういうようになっておりまして、公団はこれは高速道路計画があると知りながら用地買収を進めてきたわけです。騒音から団地を守るという責任は放棄してはならないと思いますし、それをこのように「ご承知おきください。」ということでは済む問題ではないと思うのです。どのような対策を講じるのか、公団建設省にお伺いしたいと思います。
  90. 川口京村

    ○川口参考人 いま御指摘の西小中台団地につきましては、公団としてもそこに高速道路が近くを通るということは承知しております。ですから、募集の際にそういうことを周知徹底さしておるわけでございますが、公団といたしましては、設計配置につきまして妻側の壁を道路に面するように配置しております。それから騒音が起こると思われる窓には防音サッシを用いております。またバルコニーは、現在の公団のバルコニーはほとんど鋼鉄製といいますか鉄製のすいているバルコニーなんですが、このところはコンクリートの手すりとしております。それからバルコニーの天井面、それから下がった壁のところには吸音材で仕上げる、そういうような事前の措置は講じてございます。ただ、道路が通ってみませんと、実際の騒音についてわかりませんので、その際予想されるものにつきましては、この道路設置者あるいは関係機関と協議してやっていきたい、そういうふうに考えております。
  91. 井上孝

    井上(孝)政府委員 小仲台団地のところにつきましては、日本住宅公団と協議をいたしまして、防音壁を設置するということで、現在その構造についていろいろと打ち合わせ中でございます。いずれにしましても、防音壁によりまして環境基準を満足するように検討をいたしておる次第でございます。
  92. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それでは、いままでの話にも関係あるのですけれども、住宅団地と道路との関係という問題ですが、もともと集合的に住宅がつくられる団地では良好な住環境が確保されるのが当然であるわけですけれども、それにもかかわらず、最近では道路による環境の破壊ということが至るところで問題になっております。こうした住宅団地の環境を確保するという立場から、道路の騒音、その環境対策というのは一体どこが責任を持つのか、このことをお伺いしたいと思います。
  93. 井上孝

    井上(孝)政府委員 住宅公団の建設いたします団地につきましては、住宅公団と十分協議をいたしまして、道路サイドでは道路側でできる限りの環境対策を設定するということにいたしております。
  94. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 すでに供用されております国道でも、住宅団地の環境悪化が至るところで見られるわけですが、私の住んでおります千葉県内の団地では、京葉道路や国道十六号に隣接する団地がたくさんあって、団地住民から絶えず騒音についての要望が出されているわけです。住宅公団では、米本団地や幸町団地などを初め六つの団地について騒音調査をされているということですが、その結果どうなっているのか、概略をお伺いしたいと思います。
  95. 川口京村

    ○川口参考人 まだ全部については騒音測定は行っておりません。  ただ、いまお話の出ました米本団地につきましては、昨年の暮れに一応騒音測定いたしました。ただ、この騒音測定は、たまたま空き家がございましたので、その空き家の室内で、窓を締めて行ったわけでございます。その結果、八千代市が行った騒音と大分開きがございます。ちなみに八千代市の行った騒音の測定値では、いわゆる規制法の範囲内ではございますが、環境基準を上回っております。それにつきましては、公団としては改めて騒音の測定をいたしまして、その結果環境基準を上回っているものについては、道路側と相談して対策を講じたい、そういうふうに考えております。  なお、このほかに若松二丁目、これはたしかオートレースか何かそばにあるわけです。それから、袖ケ浦、高根台、あやめ台、千葉幸町、そういう団地につきましては、居住者の方から苦情もあり、また、いま御指摘もございましたので、いわゆる騒音規制法による測定方法というのは決まっております。それによって再度測定をして、その結果に基づいて対策を講じたい、そういうふうに考えております。
  96. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 その点については、八千代市長から住宅公団の支社長あてに、米本団地の騒音対策について要望が出されているわけですけれども、この八千代市長の要望について住宅公団はどういう対処をするのか、どういう対策を立てているのか、もうちょっと伺いたいと思います。
  97. 川口京村

    ○川口参考人 米本団地につきましては、公団で、いま申し上げましたように、規制法による一つの騒音測定のやり方というのがございます。それによって公団の方でも測定いたしまして、その結果に基づいて対策を講じたいと思っております。
  98. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 結局、住宅公団対策があるわけですけれども、これは道路の方にも対策を講じなければ解決しない問題だろうと思うのですが、建設省との協議は考えているわけですか。
  99. 川口京村

    ○川口参考人 当然建設省との協議も含まれております。
  100. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 先ほど言われましたように、公団の調査と八千代市の調査で相当な隔たりがある。これは測定点に違いがあったのだと思うのですけれども、そういう意味で、公団の方の測定場所が米本団地の前の道路が坂になったところで、ここは比較的騒音が少ない地点であるというわけです。そういうことで八千代市の一般的なところと比べて差ができたのだと思うのですけれども、騒音に係る環境基準についてという四十六年の閣議決定の、測定場所の点でも、「測定点としては、なるべく当該地域の騒音を代表すると思われる地点または騒音を生じ易い地点を選ぶものとする。」こういう内容になっているわけです。そういう意味で、この基準にあるような代表的なところを選んで、責任を持って再度騒音調査をするということが約束できるわけですね、
  101. 川口京村

    ○川口参考人 そのとおりでございます。
  102. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それから、八千代市から出ております騒音対策の要望についての考え方をいまお聞きしたわけですけれども、住民の方から、窓枠をアルミサッシにかえるということや、あるいは騒音の問題が解決しないようなところについては家賃についての減額措置というような要求だとか、いろいろ住民の素朴な——素朴な場合もありますけれども、聞くべき要求もあると思うのですけれども関係省庁で住民とよく話し合って対策を早急に立てるべきだ、こういうことになるかと思いますが、公団の方の見解を最後に伺っておきます。
  103. 川口京村

    ○川口参考人 騒音対策につきましては、できるだけ防音サッシその他防音壁等で対処していきたいと思います。  家賃の減額につきましては、現在定められている家賃を変更する意思はございません。
  104. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 いま私二つしか言いませんでしたけれども、そのほかにも住民の間からいろいろな意見が出ているわけですが、そうした問題について、しっかりと話をして解決していく、ちゃんとした態度をとっていくということを約束していただきたいと思います。
  105. 川口京村

    ○川口参考人 公団としてはできる限りのこと片したいと思います。
  106. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 終わります。
  107. 内海英男

    ○内海(英)委員長代理 新井彬之君。
  108. 新井彬之

    ○新井委員 私は、昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案につきまして若干質問いたしたいと思います。  これは筋ではないかもわかりませんが、今回のこの特例法でございますが、これについては景気対策の一環であると、先ほどからいろいろと質疑があったわけでございますが、きのうは経企庁から、景気は八月からだんだん着実に回復に向かっておるというぐあいに言われたわけでございますが、建設大臣として、景気が今後どのようになるのか、閣僚の一人として見通し等がありましたら聞かせていただきたいと思います。
  109. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 経済専門家がいろいろと検討しているので、素人がとやかく言うべきものじゃありませんけれども、景気浮揚対策の七〇%以上は建設省が実は責任を負っている、そういう意味責任を感じておるばかりであります。そういう意味で、せっかく不況対策補正ができたのだから、その効果があるように全力を挙げて発注を早くして、そうして景気浮揚策を考えなければならぬ、かように思っておりますから、これがかなり浸透してきますと年度末にはかなり景気もあるいは上向いてくるのじゃないか、また、そうさせなければいかぬじゃないか、そういうふうに私ども公共事業担当として考えているわけであります。
  110. 新井彬之

    ○新井委員 まあ筋と違いますから、とにかくこの不景気の中で一番景気対策に価値があるような、不景気を打開するために価値のあるような公共事業のやり方ということも考えなければならないのですけれども、今回のこの不況対策について、建設省として公共事業を出す場合に、どういう面において価値ある景気対策を打ったかということについて聞いておきたいと思います。
  111. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 私どもでは、特に建設省関係では国費二千八百億、財投四千億、それで総予算額七千二百億という計画を立て、これに基づく経済効果といいますか経済規模といいますか、一兆一千億ぐらい実は考えておるわけであります。重点はやはり波及効果が直ちにあらわれるという住宅対策に重点を置いたことは御承知のとおりでありまして、二千七百億近い国民金融公庫の財投追加をやった。これで大体事業規模が五千六百億ぐらいになるだろう、二倍以上になるだろう、こういう予想をいたしておるわけでありまして、これにまず重点を置いたということが第一点であります。その他は道路一千七百億、治水関係一千二百億、あるいは下水道六百億といったようにそれぞれ補正考えたわけでありますが、道路関係でも一千七百億の中の六百億は公団でありますけれども、その他はできるだけ地方の公共事業を伸ばしていこうという考え方で、地方配分に重点を置いておることは御承知のとおりであります。  ただ、一番心配されるのは、私ども補正をそういうふうに重点的にやりましても地方公共団体の受けざらが問題でありますから、これに非常に意を用いたわけでありまして、その点についても、それに対する地方公共団体の負担金一千二百億も同じように裏づけをしながら今回の補正を予定をした、こういうわけでありまして、そういうことで私ども公共事業補正をいたしたわけでありますが、問題は、もう補正が通れば、これをできるだけ、さきにも申しましたように早期発注をして早期に効果があらわれるようにするということに私どもはこれからも全力を挙げなければならぬし、またそれに対する期待も非常に大きいということに責任を感じておるわけであります。
  112. 新井彬之

    ○新井委員 その問題については、そういう概略的なことはもういままでよくわかっておるわけでございまして、もっとその先の話を聞きたかったのですけれども、時間がないので次へ進みます。  今回のこの問題で、税金のことについて若干伺っておきたいのでございますが、大蔵省が、先ほども問題になりましたけれども自動車重量税五〇%あるいはガソリン税も三〇%上げる、もちろん税のことでございまして、大蔵省が主体になるとは思いますけれども、こういうような少なくとも道路の特別会計に入るような内容の問題については建設省と事前に打ち合わせがあるのかないのか、そういう面はいかがですか。
  113. 井上孝

    井上(孝)政府委員 いまの段階では大蔵省から具体的な増税したものの取り扱い、そういうものについてはまだ連絡がございません。
  114. 新井彬之

    ○新井委員 わが国の場合におきましては、道路財源として八項目のいろいろな税金で成り立っているようなことが多いわけでございまして、一般財源というのは非常に少ない。逆の言い方をすれば、特定財源というのが非常に多いと思うのですけれども、とにかく自動車重量税のときも、道路予算が非常に足らないというような現状の中で、これは一般財源であるということでいろいろ議論があった結果、八〇%は道路財源に回そうということになっておるわけです。したがいまして、どうも今回の増税考えておる内容を見ますと、多額にそういうところから税金を取っても、あと一般財源に回そうというような考え方があるわけでございますが、そういう問題について建設省予算要求等の絡みとしてどのように基本的に考えておるのか、聞かせていただきたいと思います。
  115. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路予算につきましては、先生承知のように四十九年度及び五十年度、前年を下回る予算の圧縮を受けました。一方、道路特定財源であります揮発油税及びいまおっしゃいましたような実質的な特定財源として扱われておる自動車重量税、これは前年に対して若干伸びを示しております。したがいまして、この二年にわたる予算の圧縮の結果、道路予算に占めます特定財源比率というものは非常に高まってきております。自動車重量税特定財源として勘定をいたしますと、五十年度の当初予算は九八・八%と、ほとんど九九%が特定財源であるというふうになっております。しかしながら、わが国の道路整備は諸外国と比べましてもまだ非常に低位にございますし、特に地方の道路はおくれておりますので、今後やはり道路整備には格段の資金をつぎ込む必要がございますので、私ども長期的には自動車関係税特定財源としてさらに強化拡充する必要があるというふうに考えております。しかし、五十一年度予算編成が非常に窮屈でございまして、道路予算も来年度一三%増というような予算要求をいたしております関係で、大蔵省考えておりますようなガソリン税あるいは自動車重量税の大幅な増税を来年度実施いたしますと、場合によっては、増税の幅によりますが、道路予算要求しております受けざらといいますか、それよりも特定財源収入の方が上回るという事態が考えられます。この扱いにつきましては、私ども特定財源制度の基本にかかわる問題でございますので、非常に重大な問題として今後大蔵省と十分検討したいと思っておりますが、先ほども申し上げましたように、わが国の道路整備がまだきわめておくれておりますので、特定財源一般財源化するというようなことは現段階では適当でないというふうに考えております。
  116. 新井彬之

    ○新井委員 大蔵省、来てますか。——自治省、来てますね。  この財源の中でも、特に地方道の整備にかかわる財源をアップしていただきたいという要望というのが多々あるわけでございます。そういう中で、さっきも話がありましたけれども、地方道の整備が非常におくれておるわけでございますが、自治省としては、そういう財源問題について、たとえて言いますと、自動車取得税というのはもう五十一年の三月末で見直しをしなければいかぬというときにも来ておるわけでございますが、そういうものをひっくるめまして、今後の地方に対する財源対策をどのように考えておるか、もしありましたら聞かしていただきたいと思います。
  117. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 地方道路目的財源を基本的に充実してまいらなければいけないというのが私どもの基本的な考え方でございますので、万事その基本的な考え方にのっとりまして充実を図ってまいりたいということでございますが、ただいま具体的に出ました自動車取得税につきましては、御承知のように明年三月三十一日をもって期限切れに相なりますので、これを延長するかどうかということにつきましては、政府税制調査会に御相談をしながら検討してまいりたい、かように考えております。
  118. 新井彬之

    ○新井委員 自治省として、全国の知事会とかあるいは全国の市長会とか、そういうところからも何回も要望が出ていることはよく御承知だと思います。そういうわけで、具体的に、内容的に、こういう問題についてはこういう税源を用意したいと思っておるとか、そうなるかならないかは、さっきも言いましたように、税制調査会であるとかあるいは大蔵省との話し合いということになるわけですが、少なくとも自治省としても、そういうきちっとした考え方のものを持っておらなければ、これは話し合いも何もできないような状態になると思います。ありましたらひとつお答え願いたいと思います。
  119. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 すべていま検討中の問題ばかりでございますが、問題といたしましては、ただいま申し上げました自動車取得税を延長するかどうかという問題がございます。そのほかに地方道路目的財源といたしましては、たとえば軽油引取税の税率をどうするかといったような問題がございます。その他、これは一般財源ではございますけれども自動車税をどうするかといったようなことで、これは国の財源でございますものとあわせまして、自動車関係税を一体どういう方向に持ってまいるか、こういうことは私ども重要な問題として認識をしているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、いろいろ手続その他ございますので、各方面に御相談しながら検討してまいりたい、こういうことでございます。
  120. 新井彬之

    ○新井委員 何も具体的でないので質問のしようもないわけでございますが、今後この道路財源について充実をして、そして要望のある地域にどんどん道路をよくする、特にさっきからも話がありますように、道路も単調な道路じゃなくて、ある意味では公害対策としての緑樹帯であるとかいうものも完備して、きちっとやっていかなければならない、ますます金がかかってくると思いますけれども。  新聞にも載っておりますけれども、もしもガソリン税が三〇%と、重量税が五〇%アップされますと、車の年間維持費は、月に千キロ走行でガソリン一リットルで十二キロメートル走るとして、現在の四万四千五百円から五万九千八百五十円にはね上がるということもあるわけでございます。だから、当然必要な人あるいはまた必要だけれども所得が低いために車に乗れないというようなことにもなろうかと思います。  また、私近ごろ高速道路を通って思いますことは、高速道路の料金が非常に高いわけです。たとえて言いますと、中国縦貫道路がこの前吹田から美作まで開通をしたわけでございますが、それでも二千百円ですか、一区間乗るだけでも四百円取っております。往復で乗れば八百円。そういうことですから、これから道路整備していく上において、料金を多額に上げて徴収する方法にするのか、あるいはもっと別の財源を見つけて、そして料金を安くして利用者をたくさんふやすようにするのか、そういうようなことをよく検討しないと、全国にたくさんの高速道路網をつくりましても、いまの東名とか、名神、そういうところは通過量が非常に多いわけですからこれはまあそれだけの償却ができると思いますが、赤字路線というのがたくさん出てくるのじゃないか。それに伴って料金をどんどん上げると、今度利用者の方があらゆる税金のアップとともにもう維持できなくなってしまう、こういうことで、今後自動車台数の伸び率が三全総の中でどういうぐあいに計算されてくるかはちょっといまのところわからないようでございますけれども、そういう面も含めて、道路の整備も緊急にしてもらわなければならぬ、こういうぐあいに思うわけでございまして、そういう全体の問題について建設省としても、大蔵省あるいはまた自治省と、地方道との関係がございますので、鋭意打ち合わせをしていただいて、極力国民の皆さんが納得できるような方向で道路建設というものをやっていただきたい、このように思うわけでございます。  次に、さっきも出ましたけれども道路整備五カ年計画でございますが、とにかく総需要抑制ということで非常に抑えられてしまった。したがいまして、本来ならもっと早く整備をされるようなところからたくさんの陳情とか請願が大臣の方にも出ておると思いますけれども、とにかくこの五カ年計画、四十八年から五十二年度までの間にやるのだと言っても、さっきの進捗率からいきますと、なかなか実現不可能に思うわけでございます。これは来年度と再来年度予算だけで決まるわけでございますから、それだけのものができるかどうか、聞かせていただきたいと思います。
  121. 井上孝

    井上(孝)政府委員 第七次五カ年計画では、御承知のように高速道路の目標は、三千百キロ五十二年度末に供用するということを目標にいたしております。現在千五百キロ強供用いたしております。今年度末には千九百キロになる予定でございます。これは四、五年前の道路投資が現在実を結んでおりまして、ことしは一年度だけで三百八十キロに及ぶ供用開始が実現できるわけでございます。来年以降は、過去二、三年に及びます予算の圧縮という影響から、百六十キロくらいずつの供用しか見込めませんので、実は三千百キロの目標でございましたが、いまの予定では二千二、三百キロが実現する予定でございます。  なお、今後は三全総等の関係もございまして、私どもとしては、高速道路の一刻も早く七千六百キロ全線の完成が図られますよう努力をしたいと思います。
  122. 新井彬之

    ○新井委員 高速道路だけではなしに、第七次道路計画——まあ結構です。とにかく、さっきの進捗率が非常に悪かったわけですから、この五カ年の間に取り戻して、予定どおりできるかどうか、これはできない。どの程度までに落ちつくのか、そのところを聞きたかったのですけれども、結構です。  道路整備緊急措置法によりますと、「道路を緊急に整備することにより、自動車交通の安全の保持とその能率の増進とを図り、もって経済基盤の強化に寄与することを目的とする。」ということがありますが、高速道路なら高速道路一本通りましたときに、側道との関係というのがあるわけです。インターがありまして、それが今度ほかの国道につながる、あるいはまた主要地方道につながる、県道につながる、それから市町村道につながるというぐあいに、一つのインターが開通したことによって、交通渋滞ではなしに、楽に、本当はそれがスムーズに流れるような整備でなくちゃいかぬと思うのですが、たとえて例をとりますと、中国縦貫道路の今回の開通に伴いまして、山崎インターというのがございます。この山崎インターチェンジでいろいろ問題になっておりましたのは、とにかく中国縦貫道路にどのぐらいの車が通行するか、それからどのぐらいそこに乗りおりする車があるのかということで、ほかの国道以外は余り整備をされていない。特に山崎から新宮に行っている線であるとか、県道等もあるわけでございますけれども、そういうような線だけでは足らないために、何とかほかの道路を持ってこないとその地域の方々というのは非常に交通渋滞等で迷惑するということで、鋭意努力をしておったようでございます。ところが、区画整理か何かで道路をつくるというようなこともいろいろやったらしいのでございますが、それが現在うまくいかないというようなことで、結局高速道路の方が早く開通をしてしまったということになっております。  そういう問題とか、あるいはまた国道二十九号線を、取りつけ部分については四百メートルは拡幅工事を——二十四メートルの拡幅をやりまして、そこまでは車がおりられるわけですけれども、まだもう少し、二百メートルほど国道の拡幅をしないと車が混雑するというような現状があるわけです。  そういうわけで、高速道路の開通に伴いまして、全体的な地方道との兼ね合い等についてはどのようにやられておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  123. 井上孝

    井上(孝)政府委員 高速道路が開通いたしますと、インターチェンジからどっと車が出入りいたしまして、付近のアクセス道路に非常に大きな交通量が乗るということで、アクセス道路の整備を高速道路と一緒にするということは非常に重要な問題でございまして、それぞれの道路管理者が高速道路の計画を立てます際に十分その辺を協議いたしまして、一定の計画のもとに事業を実施いたしております。予算面におきましても、地方道の場合にはその地方道に手厚く計画どおりに予算をつけていくということを優先的に実施をいたしております。しかしながら、それぞれ現地のいろいろな事情で、高速道路が完成したときに計画どおりアクセス道路ができておらないというような事例が間々見られまして、御迷惑をかけておることはまことに遺憾でございます。  御指摘の山崎インターにつきましても、連絡道路といたしまして県道の山崎新宮線、山崎南光線、それから国道二十九号線、こういう道路がございますが、兵庫県において山崎町の中心をこの道路が通っておりますので、これの対策として、兵庫県におきまして新宮町方面からの交通を山崎町の南部から直接山崎インターチェンジへ流入させるという計画を立てまして、いま御質問にもございました都市計画道路の計画を立てておったわけでございますが、区画整理が地元のいろいろな事情でできなくなりました。現在は直買、直接買収でやろうということに計画を変更しております。これがおくれましたのが、山崎町に御迷惑をかける一番の原因になりました。この道路の整備につきましては、来年度地元の御協力を得れば実施をいたしたいと思っております。  それから二十九号線の拡幅につきましても、いま申しました南側の都市計画道路の完成後に、交通状況を見て拡幅の着手を検討したいと考えております。
  124. 新井彬之

    ○新井委員 ことし末までに主要地方道の昇格をすると言われておるわけですけれども、これは各県から順番のランク等つけて、これはお願いしたいと来ていると思います。  私、そこでその基準についてお話をしておきたいと思うのでございますが、やはりどうしてもその線しかないような地域ですね、ほかの道路では行けないという地域、それがほかの県ともつながりまして本当に大事な線というような線を最優先すべきではないか、こういうぐあいに思うわけでございます。特に、いろいろ道路はあるわけでございますが、兵庫県の南光町から鳥取県の若桜町までずっと抜けております若桜南光線というのがございますけれども、あの地域というのはよそに抜けようと思ってもほかの線がなかなかないわけでございますね。どこにも出られない、その線だけが頼りであるというようなところが残っておるわけでございまして、そういうところをそういう基準とともにひとつよく見ていただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。  それから、いま道路の中でもいろいろありますが、サイクリングロードというのが非常に要望があるわけでございます。いろいろございますが、姫路市の一本松を起点といたしまして、終点が明石市の南王子町、こういうところにもサイクリングロードがいま着々とつくられておるわけでございますが、こういうサイクリングロードの計画というのは、その起点と終着点でとまってしまうのか、あるいはそこからもっとどんどん今後延ばしていくようなことも考えておるのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  125. 井上孝

    井上(孝)政府委員 御指摘のサイクリングロードは、兵庫県の方で計画をいたしまして、国庫補助事業として実施いたしております播磨自転車道というもので、これは県道姫路明石自転車道線として認定をされまして、四十九年度に国庫補助事業として採択をして整備に着手しております。県の計画によりますと、この全長は三十五キロメートル、非常に大規模な自転車道でありまして、いまの予算状況では、今年度末で約九キロが完成するという予定でございます。  この自転車道計画は、大きくは中国一周自転車道という大きな構想の一環として考えられておりますので、現在は具体的な計画は姫路から明石までの三十五キロでございますが、恐らくこれが完成に近づきました場合には、さらに岡山県方面に結ぶ計画が具体化するというふうに思っております。
  126. 新井彬之

    ○新井委員 それから道路の事故が大分起こっております。これは年度別に見ますと、四十六年度が十四件、それから四十七年度が十九件、四十八年度が二十八件、それまでの合計六十一件、これは国道が二十一件、国道指定区間外が六件、都道府県道、指定市道が二十六件、市町村道が六件、その他二件、こういうことでございます。穴ぼこ等が二十五件、スリップが五件、落石八件、工事不全が七件、そういうことで内容がずっとあるわけでございますが、これに対する損害賠償が、四十七年度で二億八千百二十三万四千円、それから四十八年度が三億九千百八十五万四千円、ことしなんかでは飛騨川のバス転落事故、それだけでも被害の額がだんだん高くなっておるわけです。こういう問題というのは、一々裁判をしなければいけない問題もありますし、裁判以外でも認めてやる場合もあるとは思いますが、そのときに国道の場合、これは指定区間内と指定区間外がございますが、とにかく建設大臣がつくられた道路、あるいはまた都道府県知事がつくられた道路ということで明確ですけれども、費用分担の内容によって裁判の判決の賠償金の持ち方が違っているわけでございます。飛騨川のバス転落事故の例を見ますと、国が八分の五、地方公共団体が八分の三ということでございまして、これらはやはり費用の負担をどちらがするかということは別にしまして、そういう問題が起こったときに補償をするということを明確に決めておかれた方がいいのではないかということが一点でございます。  それからもう一つは、やはり各公共団体ともいま道路の瑕疵によって事故が起こった場合に多額の賠償金を取られてしまう。したがって共済制度的なものを設けていただきたいということが、これは国の方にも大分要望があると思いますけれども、こういう問題についてはどのように考えておるかお聞きしたいと思います。
  127. 井上孝

    井上(孝)政府委員 最近、御指摘のように道路上におきます事故、その原因のいかんによりまして道路管理者に損害賠償判決が下るという事例が増加してまいりました。その損害賠償の費用負担につきましては、損害賠償の原因が管理の瑕疵にあるのかあるいは設置の瑕疵と申しますか、道路をつくったつくり方に問題があるのかということで、実は国と地方との負担割合が変わるのが道路法の定めでございます。たとえて申しますと、指定区間内の一般国道におきます仮に管理瑕疵が原因で起こった事故の損害賠償でございますと、これは費用の負担は国と地方が二分の一ずつ、それから設置、建設の瑕疵になりますと、これは四分の三が国で四分の一が地方ということになります。したがいまして、損害賠償の原因が新設、改築にあるか維持管理にあるかということで違ってまいります。御指摘の飛騨川の事故につきましては、実は判決の内容を見ますと、管理の疵瑕と設置の瑕疵と両方がございました。二分の一ずつの負担と四分の三と四分の一の負担、これを平均をいたしまして国が八分の五、地方が八分の三という結果になったわけでございまして、こういった例に見ますように、今後ともこういう場合にはケース・バイ・ケースで原因のいかんによって処置してまいりたいというふうに考えておりますが、これは内閣法制局の見解も同様でございます。  それから、御指摘のように各地方公共団体は道路管理者を兼ねております。こういった管理瑕疵、設置瑕疵で損害賠償を請求されますと、たとえば市町村の場合には市町村の財政に非常に極端な圧迫を加えるということで、損害賠償に対する共済制度をつくれという希望が強く出ております。道路局といたしましては、今年度実は行政部費で調査費を計上いたしまして、現在学識経験者等にお寄り願いまして委員会をつくって、どのような制度がよろしいか検討中でございます。この結論を得ましたならば予算面に反映させ、施策に反映させたいというふうに考えております。
  128. 新井彬之

    ○新井委員 最後に一つ、関連街路交付金についてお伺いをしたいのでございますが、首都高速道路公団等幾つかの道路公団がございますけれども公団が高速道路建設に関連して行う街路事業については公団法施行令第六条によって公団がその事業費の三分の一を持つ、こういうぐあいになっておるわけでございます。ところが、地方公共団体がこの公団負担の三分の一のまた三分の一を負担をしている。これは関連街路交付金の形で負担をしておるわけであります。それは別に法律違反でも何でもないわけでございますが、公団としてはそういうお金は負担してもらわなくても、全部私の方で持ちます、こう言っているわけです。それから地方自治体の方は、いやそれは出したくありませんと言っているわけです。ところがそういうものが予算を組むときには一方的につけられてしまうということがあるわけでございますけれども、これは本来大蔵省を呼んでかっちり聞かなければいけない問題だと思いますが、そういうところの内容は一体どのようになっているのか聞いておきたいと思います。
  129. 井上孝

    井上(孝)政府委員 都市高速道路の新設または改築に伴って必要を生じました都市高速道路以外の道路の改築事業、たとえば首都高速の場合には、関連街路といたしまして高速道路が高架で乗る道路の下の街路を広げております。この広げる費用につきましてその三分の一を関連街路分担金として公団負担しております。公共事業によりまして街路事業を実施いたしました場合には、国が三分の二、地方が三分の一、二対一という負担割合がございます。これに関連いたしまして、公団負担する関連街路分担金のそのまた三分の一、全体の九分の一を地方公共団体から交付金として公団に助成する、交付するという制度が現在とられておるわけでご、ざいます  しかし最近は、先生のおっしゃいますように、地方公共団体が、交付金は起債の対象になりませんので、非常に予算を組みにくいというような事情もございまして、また首都、阪神の公団の供用実績も相当上がって、平たく言えば収入も上がってきたというような実績がございますので、五十一年度からはこれを、三分の一地方公共団体が交付するという制度を廃止していただきたいということで予算要求いたしております。なお実現に努力いたしたいと思います。
  130. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  131. 天野光晴

    天野委員長 北側義一君。
  132. 北側義一

    ○北側委員 決められた時間が少しありますので、道路整備財源に関連いたしまして聞いてまいりたいと思います。  国が施行いたします道路事業等のために地方公共団体または地方土地開発公社が先行取得しておる土地の保有状況、これを九月十九日現在の建設省から出ておりますところの資料によりますと、次のようになっているわけです。まず直轄事業分といたしまして、昭和四十九年度道路事業、面積が二千二百七十七ヘクタール、取得原価が二千九十三億円、推定金利が三百六億円、合計二千三百九十九億円、このようになっているわけです。ついでに河川事業についても直轄事業で申しますと、四十九年度末面積が二百九十二ヘクタール、取得原価が百七十三億円、推定金利十八億円、合計百九十一億円。直轄事業の場合はほとんど道路事業になっておるわけです。また補助事業を見ますと、補助事業の中には道路以外に河川、街路、公園、下水道、こういうものが含まれておるわけでありますが、それを合計してみますと、四十九年度末で面積三千二百三十二ヘクタール、取得価格四千百二十三億円、推定金利四百三十億円、合計四千五百五十三億円。直轄と補助事業を合わせますと、合計で四十九年度末面積が五千八百一ヘクタール、取得価格が六千三百八十九億円、推定金利が七百五十四億円、合計七千百四十三億円。このようになっているわけですが、現状も大体これと変わりませんか。
  133. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 現在の持っております資料は、いま御指摘になりました資料が最新のものでございます。
  134. 北側義一

    ○北側委員 なおまたこの資料によりますと、直轄事業道路事業の用地保有量は五十年度の再取得計画額の十三・六倍、このようになっておるわけです。そのほか直轄事業の河川事業の保有量を調べてみますと、五十年度再取得計画額の八・二年分、すなわち八・二倍ですね。膨大な量が先行取得されておるわけです。これは補助事業についてもずっとそのように相当の保有量があるわけです。  そこで、私ここで考えますのは、このような数年分の公共用地の先行取得、これを進めてこられた。少し多過ぎるのではないかということであります。推定金利だけでも合計七百五十四億円、このように膨大な金利になっておるわけです。この金利負担にしましても、道路事業のたとえば十三・六倍、こうなりますと、そのようなたくさんの土地を先行取得する必要はなかったのではないだろうか、このような考え方を私持っておるのですが、その点どのようにお考えか。
  135. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 御承知のとおり、いままでは大体二千ヘクタールぐらいの保有量でございましたのが、一挙に四十八年、四十九年は四千ヘクタールあるいは七千ヘクタールというふうに激増いたしたわけでございますが、その当時の事情は、御承知のとおり公有地拡大法その他を初め、地価の対前年比の伸び率がきわめて大きかったというようなこともありまして、事業の円滑な施行を行いますためには先行取得の必要が大きく痛感せられた時代であったわけであります。その意味におきましては、地価が鎮静しました現在から見ますと、御指摘のとおりあんなに急ぐ必要はなかったのではないかとわれわれも反省をいたしておるわけでありますが、当時といたしましては、事業の円滑な実施をするということのためには、どうしてもこの値上がり状況等から見まして、ここ数年分は急ぐところからやはり先に買っておく必要がある、こういう認識を持っていたのでございます。いまとなりましては反省しておる次第でございます。
  136. 北側義一

    ○北側委員 そこで、このいわゆる先行土地取得制度の考え方というのは、四十七年、八年に非常に地価が騰貴した。そういうことでこの制度が設けられわけです。これからの地価の情勢——これから地価が上がるようでは困るわけです。また、国土利用計画をつくりましたことから考えましてもそういうことがあってはいけないわけでありますが、そういう点で、この制度についての今後の見通しについて大臣から一遍お伺いしたいと思うのです。
  137. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 先行投資は、いま局長からお話がありましたように、やはり土地の値段が非常に上がるものですから、できるだけ早く取得をしておく方がいいという考え方でやったのが、いま実は逆になったわけであります。そうすると、率直に言って先行投資の意味がなくなるのじゃないかということも考えられます。私どもは現在は極力抑制をいたしております。最小限度工事を施行していくために必要な限度以外は、先行取得そのものは極力抑制をしていく。全面的に廃止してしまうということについては、いろいろ工事の進捗上問題があるかと思いますが、少なくとも従来の方向は転換すべきであると考えております。
  138. 北側義一

    ○北側委員 そこで、そのようにやっていかなければならないんじゃないか、私もそう思っておるのですが、特に御存じのとおり昨年、一昨年から行われました総需要抑制政策、これと国土利用計画の適用ですね、これを受けまして、ことしはいわゆる市街化区域以外の地価につきまして大幅に値下がりしておるのが実情なんです。本年一月一日の地価公示価格によりますと、全国平均九・二%の値下がり、これはいわゆる地価鑑定方式が変わった、そこらから出てきておるのじゃないか、こう思うのですが、これからもやはり地価が上がってもらっては私たちとしては困るわけです。そのような地価が上がるような状況になりますと、四党で国土利用計画法を議員立法いたしたわけですから、その責任の問題にもかかってまいりますが、地価が上がりかけたら、またこの問題は一遍四つに取り組んでやりたい、こう私は考えておるわけです。  そういう点から考えまして、先行取得されました用地について国が再取得する場合、時価プラス金利及び事務費、このようになっておると私は承知しておるわけです。特に一番地価の高騰しておる昭和四十八年、昭和四十九年、このときに先行取得した用地は、先ほどお話ししましたとおり、いわゆる市街化区域以外の地区につきましては開発許可がおりない、こういうことで九・二%これは全国平均ですから、私は値段がもっと大きく落ちておるんじゃないかと思うのです。そうしますと、その下がる分につきまして地方自治体や地方土地開発公社の負担になってしまうような状況になっておるわけです。この点について大臣、そのような負担を地方公共団体に背負わせていいものかどうか、そこはどうなんでしょうか。
  139. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 私から先に、いまやっております作業と関連いたしますのでお答えいたします。  逆ざや現象の問題は、この制度始まって以来当面した問題でございますので、新しい問題としてわれわれは非常に重要な問題と考えておりますが、大体四十八、九年に取得したものが多いわけでございますので、大体三年の間に再取得するということを従来の方針としてまいりました。御指摘のように物によりましては、道路の直轄なんかは、いまのペースで参りますとまだそれよりかかるのでございますけれども、これからは地価が鎮静してまいりまして、特に対前年比が五十年度は落ちている、五十一年度も落ちるであろう、そういうふうに考えますときに、逆ざや現象が出てまいります。この逆ざや現象に関しましては、場所によって違いますけれども、われわれといたしましては少なくとも地方公共団体に不当な迷惑がかからないようにすべきである、こういった基本線のもとに再取得のテンポを早めるとともに、その逆ざやが出る場合、これはおそらく五十一年はごくわずかだと思います。現在は出ておりません。五十二年度以降に相当出ることが予想されますので、その対策につきまして考え方及びその見通しを持ちまして大蔵当局等といま折衝中でございますが、いずれにしましてもその考え方は、地方に不当な迷惑をかけてはいけないということで考えておる次第でございます。
  140. 北側義一

    ○北側委員 私思うのですが、大臣、先ほどの答弁ですと、この先行取得制度はある程度残しておかなければ、これは事業を執行していくのに非常に都合が悪い。残しておく以上は、この逆ざや現象というのを地方に負担させた場合に、この制度はもう実際上運用できないようになると思うのですよ。そこらの点から私はいまお話し申し上げておるわけです。特にいま局長さんがおっしゃったとおり、四十八年、四十九年に取得した分が非常に多いわけです。大体七〇%ないし八〇%は、この逆ざや現象が出てくるような四十八年、四十九年に取得した分ですから、そういう点、特に四十九年に取得した分は完全に逆ざや現象が出てくると思うのです。それをそういう取り決めがあるからといってそういうやり方をやりますと、これからの公共事業の進め方は非常にむずかしくなるんじゃないかと思うのですよ。その点を大臣からもひとつ……。
  141. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 いま局長が御答弁したとおりの考え方でおります。いろいろ公共事業を進めていくための一番の問題は用地の取得でして、出先が用地取得ではずいぶん苦労しておることはよくわかるのですよ。苦労させた上に、さらに逆ざやでまた迷惑をかけるようなことをしてはならぬというのが私ども考え方でございます。  まだ具体的な問題は出ておりませんけれども、これは自治大臣からも非常に強い要請がありまして、こういった問題についてはぜひひとつ関係省庁で話し合いをして対策を立てるべきであるという話があっておりまして、そのとおりでございますから、そういう方向で努力をいたしてまいります。
  142. 北側義一

    ○北側委員 じゃ、次に質問を進めますが、直轄事業負担金制度、この問題についてですが、御存じのとおり地方財政財政危機で非常に逼迫しておるわけです。地方自治体のいわゆる全国知事会あたりでは、この直轄事業に対する負担金制度、この問題について、廃止してもらいたいとか、また繰り延べをしてもらいたいとか、こういう要望が非常に強いわけです。これに対して私自身は、九月の十日現在の資料をもらって、後からまたきょう今度資料をもらいましたら大分これはふえておるのですが、九月十日納期分のものにつきましては四四・二%のいわゆる納入状況、こういう状況です。いまいただきました資料によりますと、大分これは入っておりますね。それでも七三%、こうなっておるわけですね。これはやはり地方財政の逼迫した状況がこのように明らかに出てきておるのじゃないか。たとえばことしはこうであっても、また来年ということが考えられるわけです。そこらについて一体どのようなお考えに立っておられるのか、まずそれをお伺いしたいと思うのです。
  143. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 これはさっきの先行投資のように余り色よい返事をするわけにいかぬのです。実は確かに負担金の問題については知事会からも要請があっておりまして、あるいは分納、延納といったようなこと、分割、延納といったようなことも言ってきております。どうしてもできない場合に、年度内であるいはやりくりするといったことは最悪の場合にはやむを得ないこともあるかと思うのですけれども、五十年度のものを五十一年度でというわけには一いまもおっしゃったように、十一月十日現在でもうすでに九月期の納期分が七〇%ほど納められております。大変まじめに、とにかく納めるべきものは納めるということでやっておる県がほとんど大部分でありまして、何かこんな時期に少し便乗しよう、そういう考え方はないとは思いますけれども、これは公平の原則を欠くわけになりますから、そういう意味ではぜひひとつ御協力を願いたいと思っております。非常にむずかしいところもあるのです、県によりましたら非常にむずかしいところがあるのですが、そういう点は個別にひとつ相談をしながら対策を立てたい、かように思っておるわけであります。
  144. 北側義一

    ○北側委員 では、これで終わります。
  145. 天野光晴

    天野委員長 渡辺武三君。
  146. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 まず最初に、今回の法律のもとになりましたいわば揮発油税特定財源の税収の大幅な見込み違い、この理由について大蔵省建設省からひとつお答えを願いたいと思います。
  147. 井上孝

    井上(孝)政府委員 昭和四十九年度決算調整額が五百億以上も出ました原因は、四十八年後半に起きました石油ショックによりまして、四十九年度予算編成のときに大蔵省と御相談をいたしました結果、ガソリン税収入予想額を計上し、それに相当する額を特定財源として道路特会に繰り入れるということで予算を編成いたしましたその際、石油ショックの後でございましたので、きわめてガソリン税の伸びが低くなるであろうという予想をいたしました。現実にはそれほど低くなりませんで、収入額がそれほど落ちなくて五百数十億決算調整額が出た、こういう結果でございます。
  148. 西垣昭

    ○西垣説明員 いま道路局長からお答えしたとおりでございまして、石油ショックの後どの程度ガソリンが消費されるかという見通しを立てたわけでございますけれども、そのときには、四十八年度実績に対しまして四十九年度は五%程度減るだろう、こういう見通しのもとにガソリン税の収入を見たわけでございますが、実際にはそこまで落ち込みませんで、二%ちょっとという程度の落ち込みにとどまったということで、差が出てきたわけでございます。
  149. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そこで奇異に感じますのは、いま全体としてきわめて深刻な歳入不足、こういう状態ですね。だからそういう情勢の中で、なぜ特異的にこの物だけきわめて多くの見込み違いがされたのか、本当にこのような情勢で税収を考えておられるならば、この膨大な歳入不足に悩んでおるのはなぜだろうか、こう考えざるを得ない。そうしますと、何か仄聞するところによれば、増税を意図した故意的な見込み違いではなかったのかということすら実はささやかれておるわけですね。なぜ特異的にこの物だけ、この減収のきわめて厳しい情勢の中でこんなに多額に、年間数億円の見込み違いがあったとしても、こういう時期になぜこんな多額、五百何千億というような見込み違いが生じたのか、この辺ちょっとわからないのですよ。いかがでしょうか。
  150. 島崎晴夫

    島崎説明員 四十九年度の税収見込みを立てますときはちょうど石油ショックの直後でございました。そこで、省資源、省エネルギーということが国を挙げて言われていた事態でございましたので、それが反映して相当程度揮発油の税収は落ち込むだろう、こう考えていたわけでございますが、それが当初予想したとおりには下がらなかったというのが見込み違いの実情でございます。決して他意があったわけではございませんで、現在の状況石油ショックのときの状況とを比較してお考えいただければある程度御理解いただけるのじゃないかと思っております。
  151. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この問題を追求することが本意ではございませんから余り深くは申し上げませんが、それだけの説明だけではそれはとうてい理解できるものではないのです。本来的にシビアに分析をしておれば、片方は物すごい減収、片方は物すごい増収というような極端な差異というものが出てくるということ自身にそこに何らかの意図的なものがあったのではないかと疑わざるを得ない、これまた実際は自然なことですよ、普通の状態で一般的に相対的に押さえていけばですよ。数年来なかったようなそんな増収がこの時期に出てくるということ自身が、これは奇異な感を抱かざるを得ない、こういうことでございます。だからいまのお答えだけでは理解いたしかねますけれども、それだけが目的じゃございませんから次に進みます。  いわば道路事業そのものは長期にわたって計画的に推進されなくてはならない、これは当然なことでございます。そこで、この特定財源制度ができましたのが私の調べたところによりますと昭和二十七年。そしてそのときに揮発油税特定財源化が定められたわけですね。時の建設大臣は亡くなられました佐藤榮作さん。この方はこの委員会で、道路は河川と並んで国土の保全あるいは経済開発を図るための根幹である、この大事な道路予算が、国の財源が十分でないために要望にこたえるだけの額を確保できておらない、したがって道路財源につきましては、恒久的な財源確保を可能にするために特定財源化というものが最も好ましいのだ、こういうふうにおっしゃって、実はこの特定財源化が図られておるのです。  ところが、最近わが国は、いわば国の歳入欠陥を補てんする理由だけで、道路特定財源を一般化しようという動きが大蔵省の中にあるということを聞いておるわけであります。そうした考え方が、諸外国に比べて非常に立ちおくれておるわが国の道路整備や強力に推進しなければならないいわば道路の生活環境の整備、従来と違って新たにより強化をされていかなければならないいわば環境対策事業、こういうものに対してなお一層のひずみを生じてしまうのではないか、こういうふうに考えるわけですが、この特定財源一般財源への移行ということにつきましてどのようにお考えでしょうか。これも大蔵省建設省にお尋ねしたいと思います。
  152. 島崎晴夫

    島崎説明員 午前中も福岡先生の御質問についてお答えしたところでございますが、私どもただいま、揮発油税、それから自動車重量税の問題につきまして、来年三月、四月に期限が到来いたしますので、その後の措置をどうしようかということについて検討中でございます。それで主税局立場から申し上げますと、国際的に比較いたしましても、まだ自動車の税金あるいは燃料に対する課税というものは相応の負担をしていただいていいのではないだろうかというふうに考えておりますし、それからやや技術的な話になりますが、揮発油税の場合には従量税システムをとっているものですから、物価の上がりぐあいに対応して税負担率を確保するということができないという問題点がございます。そういったことをあわせ考えますと、この際負担調整を図るということも必要ではないかとも考えていますけれども、他方では、今度は仮に増税をいたした場合には、果たして転嫁が可能であろうかという問題もございますでしょうし、それから先生からただいま御指摘ありましたところの特定財源との絡みということもございますので、ただいま内部でいろいろ検討して慎重審議しているところでございます。もう少し時期が押し迫りますれば税制調査会にも御審議いただいて、その上で結論を出していただきたいというふうに考えております。
  153. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路整備につきましては先ほどもお答えいたしましたが、特定財源制度創設以来すでに二十年以上になっておりますが、いまだに道路整備の水準は欧米主要国に比べてきわめて立ちおくれております。したがいまして、私どもとしてはさらに道路整備を促進する必要がある、しかも環境対策等の原因で道路の必要な資金はますますふえてまいります。長期的には私ども道路整備特定財源の充実強化ということが必要というふうに考えております。  ただ、来年度予算要求が抑制を受けておりまして、御承知のように一三%増という予算要求になっております。大蔵省がいまお考えのような増税ということが実現いたしますと、その増税の幅にもよりますが、場合によってはわれわれが要求いたしております国費の予算額を特定財源収入がオーバーするというような事態も考えられます。そういった場合にどう処置するか、オーバーフローした特定財源をどうするかということにつきまして、もちろんまだ私の方は大蔵省当局から具体的な御説明を承っておりませんので、はっきりした御答弁を申し上げるわけにいきませんが、ただ、仮にこの特定財源一般財源的に使われるということになりますと、特定財源制度の根本に触れる問題になりますので、私どもとしては慎重に扱わざるを得ないきわめて重要な問題であろうと思っておりますので、大蔵省となお詳細を詰めた上で態度をはっきりさせたいというふうに考えております。
  154. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いま大蔵省のお答えでは、欧米諸国と比べてまだまだ負担をしていただかなければならないというような、特に燃料税等についてのお話があったと思いますが、あなたは税額だけを比較をしておられるのではないか。税額だけを見ればわが国はヨーロッパに比べて燃料税は確かに低い。しかし実際には、そのもとになるべきガソリンの値段そのものが大変に高いということですね。非常に遠くから運んできます船賃が加算をされておったり、いろいろなことで現実にはヨーロッパで買うよりもうんと高いものになってしまう、一面ではこういう現実があるということですね。さらに自動車自体にかけられておる税金は、欧米諸国と比べてみましても日本が低いなどというような資料は、調べてまいりましても出てまいりませんよ。わずかにフランスがやや高いかなと思われる点がありますけれども、あるいは西ドイツにいたしましても、イギリスにいたしましても、アメリカにいたしましても、日本に比べて現状自身で大変に低いわけですよ。さらに間接税総収入の中で見る自動車税というものを見ていきますと、これまた世界でも最高水準になっておる。どうして日本だけがそれ以上納めなければならぬか、こういうことに実はなってまいるわけでございます。  これは私が発言しますと、何か変なあれになりますけれども、いわば自動車税というものは使っておる国民が納めておる税金なんですよ。私はこの前税金のときにいろいろ発言しましたら、新聞等で批判をされましたけれども、何も自動車税というものはメーカーが納める税金ではないのです。すべてが使っておる国民が納めておる税金なんですよ。その普及度を見ていきますと、大半の国民がもう車をお使いになっておる。そうして相当高い過酷な税金に悩まされておる。しかも非常に道路が悪いから、道路を直すために何とかがまんをしてくれというような、そういう理由はある程度納得性はある。実際に自分が車に乗って道路を走るわけですから、国民としても納得性がある。先ほど他の委員からの発言をちょっと聞いておりますと、道路だけが国際比較的に悪いのではないのだ、下水も大変おくれておる、なぜもっと解釈を広くして、下水にも使わぬかというような御発言がありますけれども自動車に乗っておる国民から見れば、自分たちが乗っておる自動車、そのために何で下水を直さなければならぬか、こういうことになってくるのですよ、目的税というものは。自動車に乗っておる人は、道路を整備するために過酷な税金を取られてもある程度やむを得ない、こういう納得性はありますけれども、他の社会資本投資がおくれておるから、下水の普及がおくれておるから、だから一般税に回すのだ、そうなってまいりますと、何のために、自動車に乗っておる人、自動車を使っておる国民がその特定の財源を、下水道の修理、普及に使われなければならぬか、こういう素朴な疑問が当然出てくる。  しかも道路そのものが本当に完全に整備されておるならばともかくも、いろいろ調査をいたしていきますと、まだまだおくれておる。しかもいま実際の投資そのものは、いわば生活道路としてあるいは奥地の開発用地としての開発道路、こういうものに全体の道路総額の三五%が実は投入をされておるのです。  そういうふうに見ていきますと、いわば特定財源プラス一般税投入率がもっとうんとふえてもよさそうだ、先ほど来の討議の中でも明らかにされておりますように、道路投資そのものはもう九九%も特定財源で賄われておるというふうに御説明になっておる。     〔委員長退席服部委員長代理着席〕 そういう中で、国策として奥地開発を進めていく道路あるいは生活関連道路、本当に国民が生活のために整備をしなければならない道路、そういうものに三五%も実は投入されておるのですから、そうだとするならば、特定財源プラス一般財源投入率というものがもっともっと高くても当然ではないか。これも国際比較をしてみるならば、いわばモータリゼーションの進行過程における一般税率の投入額というものはわが国ほど低いところはないのです。これを言いますと、大蔵省は、だから特定財源から一般財源に直したいのだ、こういう答えが当然返ってくると思いますが、その考え方であるならば、それならば徴収するのは一体どこから徴収するのかという、そこの源までさかのぼって、そしてお考えにならないと大変なことになる。先ほど言いましたように自動車を使っておる国民だけがなぜその過酷な税金を取られなければならぬのか。広く社会資本に投資するならば、自動車から取って鉄道にもあるいは下水にもいろいろな社会福祉施設にも充当するのだ。こうするならば、一体その税金はだれが納めるのが至当なんだ、こういうことに当然ならざるを得ないのですね。したがって、私はいま本当に自動車に乗っていらっしゃる国民の皆様方が担税能力というものがまだまだあるのか、どういうふうに一体大蔵省としてはお考えになっているだろうか、こういう疑問を持たざるを得ないのです。それはどのようにお考えでしょうか。
  155. 島崎晴夫

    島崎説明員 まず第一に、各国の揮発油の価格はわが国に比べて高いではないかという先生の御指摘がございましたので、その点から申し上げたいと思います。  いま全国平均いたしますと、揮発油の小売価格百三円程度でございます。イギリスが九十九円、それから西ドイツは百九円、フランスは百十六円になっております。確かにこれら西欧諸国、日本に比べて安いところもございますけれども、アメリカを除けばおおむね日本と同水準にあるであろうと考えられるわけでございます。  私どもがいろいろ税の問題を考える場合に問題といたしますのは、揮発油税一つの消費税でございますから、小売価格の中に占める税負担の割合、これが各国と比べてどうであろうかということを目安にしているわけでございまして、この数字を申し上げますと、日本の場合がおおむね三三%でございます。アメリカは御指摘のように低うございますが、イギリスの場合が五五%、フランスが五八%、西ドイツが六一%とかなり高い水準になっております。  それから、わが国の場合だけをとりましても、いまは三三%になっていますが、たとえば三十九年、いまから十年前を見ますと、六二%という水準にあったわけでございまして、これが三三%まで下がったことが先ほど私申し上げたように従量税なるがゆえの一つの宿命であろうと考えております。  こういったことを比較いたしますと、まだ揮発油につきましては、いろいろ問題はございますけれども税負担の水準ということから言えば、もう少し御負担いただいてもいいのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  それから自動車につきましては過酷な税金というお話でございますが、これも国際比較がございます。いろいろな前提を置かなければいけませんが、一応千五百ないし千六百CCの乗用車の場合ですと、日本の場合には九万六千円程度。これに対しまして、イギリスは十万六千円、西ドイツは十二万六千円、それからフランスは十五万七千円というふうにかなり高水準でございます。  いま申し上げましたのは自家用の乗用車でございますが、営業用のトラックについて同じように前提を置きましていろいろ試算しますと、日本の場合は三十三万四千円、アメリカでも四十四万七千円、それからイギリスは百十六万円、西ドイツが百六十二万円、フランスが八十八万六千円という状況でございまして、わが国が比較的低水準にあるということは言えるかと思います。  それから、所得が低いというような御批判もあろうかと思いますけれども、いま問題になっておりますところの消費税というものは、消費に担税力を見出して課税するものでございますから、私どもは、所得の水準というものよりはより直接的にはその物の価格、車の価格なり油の価格というものに着目して考えればよろしかろうというふうに考えております。  それから、最後におっしゃいましたところの間接税の中の自動車関係の税金が多いでないかというお話でございますが、これはその国、その国のいろいろな政策によりまして結果的に決まってくることでございまして、間接税の中で自動車諸税の占めるウエートが高いからといって、それが自動車諸税が過酷であるということの理由にはならないと思っております。
  156. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その資料の数値を私はもてあそびたいとは思いません。思いませんが、その税額のみをストレートに比較することは誤りですよということは、ガソリン税をとって申し上げました。いわば税負担というものはその国の国民所得というものが当然考慮されなければならないのです。一人当たりの国民所得で割ってみなければいかぬ。そうしてみると、税負担率というものが出てくるのですよ。その税負担率から見ればわが国は間違いなく最高にあるということなんです、額だけではなくて。たとえばドイツがちょっと高いからと言う。税額だけをストレートに比較すればそうでございましょう。しかし、もらってくる月給というものが違うのですから、元が。一人当たりの国民所得で税負担率を出してみれば、間違いなく日本の方が高いのですよ。だから私は、過酷になっておるのではないか、それをストレートに税額だけを——自動車にかかっておる税金が、日本が九万六千円で西ドイツが十一万何千円です、だから日本はまだあるのです、こういう見方というものはいわば国民所得を完全に無視した見方ではないのか。国民所得というものがあって初めて担税能力というものが考えられるわけでしょう。完全にその税金が課せられておる単体の物体に対して、税金がかけられておる額がストレートに比較をしてみて日本が低いんだ、こういう結論だけでは、これはやはりおかしいのですよ。当然、国民所得が一体どうなっているのだろうか。一人当たりの税の負担額というものを国民所得で割ってみれば、私は税の負担率が出てくると思うのです。そう計算をして見ていきますと、大蔵省の言っているようにわが国はまだまだ他国と比べて低いんですなんといった資料は出てこないのですよ。その辺はどうなんですか。
  157. 島崎晴夫

    島崎説明員 国民所得なりあるいは所得それ自体に着目してそこに担税力を見出して課税するのが私は所得税だろうと思います。消費税の場合には、所得ではございませんで、その消費に示されるところの担税力というものに着目して課税するわけでございますから、所得の水準ということよりはむしろその物品の購入に際してどの程度のお金が払われるか、それが五十万であるか、百万であるかというその事実に着目して税負担の妥当性というものを検討すべきものと考えております。
  158. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それは余りにも一方的な議論だと私は思うのです。そういうのは、いわば社会資本が完全に行き渡って、いわば公平な公共投資が行われておる、こういうことならばまあいいわけですけれども、わが国の場合、きわめて社会資本の投資がおくれておる、つまり過疎地に行けば行くほど公共輸送機関もないし、いろいろな面でみずからが背伸びをして使わざるを得ないという状態に置かれているのですよ。だから私自身自動車を保有している階層別な資料があるならば聞かせてもらいたいということをあらかじめ申し上げましたら、大蔵省は全然それはわからぬ、こういうお答えでございますが、自動車を保有をしておる、いわば階層別な保有者というものを調べていきますと、自家用車では八〇%くらいが所得三百万円以下の方々が取得をしておられる。しかも、それらは非常に過疎地に保有が高いのですよ。こういう大都市の中心地などというものは非常に保有率は低いのですよ。一世帯当たりの保有率を見ていきますと、いわばそういう社会資本の投資がおくれておるところほど高い。しかもそれらは、所得が三百万円以下というような勤労所得者あるいは農業あるいは中小企業、こういう方々の保有率というのが非常に高いのです。だから、そういうことを勘案をしなければ完全に——所得を総合的に見るのではなくて、その物を買う、百万なら百万円のものを買う力、それだけで果たして判定できるのかどうか、担税能力についてですね。たとえば中小企業なんかもこのごろは、大工さんの例をとってみても、昔よりもうんといわば能率的に、合理的にやらなければならぬ、それにはのみやらかんなやなんかを自転車の荷受けに積んでごとごとと歩いておったのではとても仕事にならぬ、こういうことで、いわばやむなく個人営業の大工さん等も自動車を買って実際の仕事をしていらっしゃる。そこで自動車に対する維持費というものが相当その生活費に食い込んできておる。そういう状態の中ですから、ただ単に百万円もするような車が買えるから、まだまだ担税能力があるんだというようなきわめてイージーな考え方でやってもらったのでは、実際はこれはたまったものじゃないのですよ。どうなんですか。
  159. 島崎晴夫

    島崎説明員 税負担がいかにあるべきかという問題は、個々の税目をとらえまして判断するということよりは、むしろ全体としての所得税なりそれから法人税といった直接税、それと、いま御議論になっておりますところの自動車関係諸税を含めました間接税、これが総体としてどういうふうに構成されているか、その結果国民一人の税負担がどうなっているのかという観点から私は判断すべき問題だと思っております。  その際に、直接税はやはり所得というものを判断基準にしますし、それから間接税は消費に示される購買力というものを判断基準にして考えていくということが妥当だろうと考えております。その結果、それがいろいろに織り込まれまして、最終的には国民の負担が全体としてどの程度であるべきかという議論になるのではないだろうかと考えております。
  160. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 きょうは税金の論議をしようと思っておりませんけれども、どうも考え方がおかしいものですから、そういうふうに発展をせざるを得ないのです。  それで特に第七次の五カ年計画、先ほども問題になっておりましたけれども、三カ年間を経過をいたしまして、いまの進捗率は四三・八%、こういうことでございます。第六次までは大体三カ年間で一〇〇%に近い進捗率があって、そして五年間を待たずして改定がされてきたというのが従来の例でございます。したがって、この第七次五カ年計画というものは恐らく遂行が不可能であろう、こう考えておりますけれども、こういう落ち込みが今後の道路交通にどういう影響をするのかあるいはその対策を今後どうしていこうとしておられるのか。大臣も御承知のように、交通安全委員会では、そのような事実を察知をして、さらに強力に推進をしてもらいたいという特別決議まで実は出しておるのですね。特別決議までしたのです。だから、そういう状況を見ていきますと、一体どうされていくのか、こういうことを伺わざるを得ない。  さらに、いま自身、道路整備というもの、つまり環境対策というものを重点目標にせざるを得ない状況になってきておる。従来の道路投資に比べまして、実際道路建設の単価というものも三〇%程度アップをしておるのではないかとすら実は考えられておるわけです。そういう中で、最近見ていきますと、道路投資そのものが総需要抑制という枠の中でぐんぐんと抑えられてきておる、こういうことですね。だから、私は交通安全委員会でも言ったのですけれども、つまり生活道路そのものは、あるいは交通安全をより向上させるためににはまだまだ整備をしなければならない多くの問題が残っておる。それを一様に総需要抑制という美名に隠れて抑制をしていいものかどうか。一方、福祉予算というものがどんどん拡大をしていく、こういう傾向にあるわけですから、生活を守るという点で見れば、当然やはり福祉予算の一環だというふうに考慮すべきではないか、こういうふうに実は考えておる。ところが道路というと、何となく抑えつけるべきものだというような観念があるのではないか、こういうふうに実は考えざるを得ないわけでございます。  特に、建設省が出しておられます五十一年度の概算要求を見てまいりましても、公共投資のガイドラインというのが一五%に決められております。ところがそのガイドラインよりも低い十二%ぐらいの増で概算要求をしておられる。果たしてそれでいいだろうか。こういうふうないろいろな要望がたくさん出てきておる中で、十分に環境対策というものができるかどうかということについても、実は大変に疑問を持たざるを得ない。ところが実際には、要求をしても大蔵省に抑えられてしまうという問題がある。だから、大蔵省は一体どう考えておられるのか。今後の環境との調和のとれた道路建設を進めるには、環境対策費というもの、こういうものを新たにプラスした考え方をつけていかなければいかぬじゃないか。そういうふうに考えてみますと、公共投資のガイドラインとは別枠で考えていくことが必要ではないか、こういうふうに考えるわけですが、大蔵省いかがでございましょうか。
  161. 西垣昭

    ○西垣説明員 いま公共事業のガイドラインということをおっしゃいましたが、実はそういうものはございません。予算要求の限度額ということで一五%の枠を設けているわけです。先生も御存じのように、今回の補正で三兆九千億程度の税収等の減少を見込まざるを得ないような財政状況でございまして、これは五十一年度においても同じような、税収が急にふえるというような状況ではございませんし、いままでのような高度成長のもとで予算がどんどんふえるということを期待できるような状態でもない、これからは厳しく予算を編成していく必要があるということで、一五%の上限額を設けたわけでございます。したがいまして、いま手元に資料を持ってきておりませんが、公共事業全体の要求額は恐らく二〇%を超えている、こういうふうに思います。  それから、道路整備水準が十分でない、したがってもっともっと道路整備のために努力をすべきだという御意見につきましては、私も全く同感でございます。残念ながらそれができなかった、そういう状況でなかったということでございまして、それは道路だけでなくて、公共事業全体の問題でもございます。現在経済社会基本計画の改定作業を企画庁を中心にしてやっておりますけれども、四十七年当時の情勢を踏まえて四十八年に策定されました基本計画の規模を相当程度抑えなくちゃならない、こういうような情勢でございますので、そういう状況のもとで公共事業全体を、道路も含めましてどういうふうに伸ばしていくのか、こういうことをわれわれは考えなくちゃならないんじゃないか、こういうふうに考えております。
  162. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 公共投資と言いましても、いろいろあるのですよ、性格が。それで全体として産業優先からいわば国民生活優先へというふうに転換が図られておるわけでしょう。だから、国民生活に関連の深いもの、こういうものへより重点が移行されていくという方向でなければならぬ。ところが、よくよく見ておりますと、税制の上ではどうもどうもまだまだ発想の転換が行われていないのではないか。  たとえば税制一つとってみましても、営業用自家用車とは大分差異がございます。それを言いかえれば、営業用は有用なものであり、自家用は無用なものである、こう言わざるを得ないような税制になっておるのです。さらに言いかえれば、産業優先の思想以外の何物でもない、こう言わざるを得ないのですね。国民のニーズである、いわば何も楽しみがない、せめて車ぐらい買って自由に走りたいやという国民の欲望がある。そういうものが果たして無用かどうか、仕事さえすればいいのか、こういうふうに考えていきますと、あながち私は営業用自家用というものがそう簡単に割り切れるものではない。  だからそういう面で見ていきますと、私は大蔵省そのものが本当にいわば産業優先の思想から国民生活優先への思想に転換をしておるのかどうかということすら疑わざるを得ないような状況なんです。そういう点については一体いかようにお考えでございましょうか。
  163. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答え申し上げます。  公共事業の配分という問題は、私ども一番苦労しているところでございまして、産業基盤は抑えるべきだ、生活関連という名前がついたものは伸ばすべきだ、国土保全も長年かかってやるような事業だから、これは抑えてもいいんだというような、レッテルを張ったような配分の仕方というのではなくて、先生が言われますように、やはり道路の中でもいろいろございます。そういったことも含めまして、予算の規模というものは経済全体の中から出てくるわけでございますので、その与えられた枠の配分というものにつきましては、いま言われたようなことも十分考えながら、公平な配分をしていきたいというのがわれわれの考えでございます。
  164. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わりたいと思いますが、私は、税金というものはいわば不公正を是正するために、いわば富の再配分のためにというような性格も当然持っておると思うのですね。しかし、そういう観点からながめていくと、これはむしろ逆行するものではないのか、不公正がますます拡大をしていくような傾向にあるのではないかと言わざるを得ないのです。だから本来の原則に戻って、税金は努めて公正に、いわば社会の富の再配分が十分に行われるような方向で解決をしてもらいたい、私はこういうことを強く要望して終わりたいと思います。
  165. 天野光晴

    天野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  166. 天野光晴

    天野委員長 これより本案を討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。村田敬次郎君。
  167. 村田敬次郎

    ○村田委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案について、賛成の意向を表明するものであります。  委員各位御承知のとおり、今国会において成立しました昭和五十年度補正予算においては、最近における経済の停滞等の諸情勢にかんがみ、租税収入の大幅な減少等に伴う財源不足を補うための公債の発行及び景気回復のための公共事業の追加等緊要な事項について、所要の予算措置が講ぜられているのであります。  本法律案は、今回の補正予算の関連法案として提出されたものでありますが、巨額の公債を発行しなければならない現下の厳しい財政事情及び昭和四十九年度揮発油税等決算調整額が約五百三十四億円という例年にない多額のものとなったこと等を考慮し、この決算調整額を、昭和五十年度道路整備費特定財源として先取り使用することによって、公債発行額を圧縮するとともに、景気対策の一環としての道路整備事業財源を確保し、その実施の促進を図ろうとするものであり、実情に適した妥当なものと考えるのであります。  以上、本法律案に対する賛成の理由を簡単に申し述べて私の賛成討論を終わります。(拍手)
  168. 天野光晴

    天野委員長 浦井洋君。
  169. 浦井洋

    ○浦井委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、反対の討論を行います。  今回の道路財源についての特例法案は、大企業に奉仕する五十年度当初道路予算特例を設けて、道路財源の補充を図ろうとするものであり、反対であります。  日本共産党・革新共同は、五十年度当初の道路予算について、それが大企業奉仕の性格を持っているため反対してきたところでありますが、補正予算ではその内容をさらに悪化させています。  補正予算における、一般国道と地方道との予算配分比率を、当初予算に比べ一般国道をより高くしており、国道優先、地方道路軽視の傾向を一層強くさせています。  また、一方では財源の不足を理由に国民の福祉を切り下げるという状況にありながら、他方では高速道路に国費四十数億円、財投五百億円を超える資金を投入して、引き続きその建設を促進させようとしていますが、これは国民の要求に逆行するものであります。  このように、政府道路予算は、大企業に奉仕する不況対策として、列島改造型の公共事業の中心に道路建設を据えようとするものであります。  このように反国民的な道路予算に対し、さらに特例を設けてまで財源の補充を図る必要は全く認められないのであります。  日本共産党・革新共同は、いま国民が必要としている生活道路である地方道の整備を重点的に促進させるべきであり、不況対策の観点から見ても、中小建設業者に仕事を生み出し得る地方道の建設を行うべきであると考えるものであります。  以上をもって反対討論を終わります。(拍手)
  170. 天野光晴

    天野委員長 以上で討論は終局いたしました。     —————————————
  171. 天野光晴

    天野委員長 これより採決いたします。  内閣提出昭和五十年度における道路整備費財源特例等に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  172. 天野光晴

    天野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。仮谷建設大臣
  173. 仮谷忠男

    仮谷国務大臣 朝から休憩なしに熱心な御審議をいただきまして、ただいま御議決を賜りましたことを心から厚くお礼を申し上げたいと存じます。  いろいろ審議中における委員各位の御所見につきましては、今後誠意を持って努力をいたしてまいります。  委員長初め委員各位の御指導、御協力に心から感謝をいたしまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
  174. 天野光晴

    天野委員長 なお、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  175. 天野光晴

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     —————————————
  176. 天野光晴

    天野委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十分散会