○原(茂)委員 私がいま御質問申し上げた前段は、大臣の楽観説だけで行こうとすれば国際分業論という立場で、後半は食糧の安全保障という立場との兼ね合いになるのですね。大臣おっしゃったように、アメリカ一国じゃ危険だ。そうは言っても危険だ。だからカナダその他をとおっしゃるのですが、国内生産というものにもう一度メスを入れ直してやっていかなければいけないことも、おっしゃらなかったけれ
ども、あるだろうと思うのですね。衰え切ったいまの日本の
土地の
状況を一体どう活を入れるかというようなことは、根本的に
農業政策として考えられていかないと、何でも食糧を外国から
輸入輸入と言うたけで——いま大臣そのつもりでおっしゃったのではないと思いますが、ほかの国からもですが、それにも増して大事なのは、やはり国内生産にもう一度スポットを当てて、これに思い切った力を与えていこうという見直しをやらないといけないのじゃないかと思いますが、いまの安全保障あるいは分業論というようなものを考えたときに、あいまいな形でなくはっきりと政府が国際分業も必要だというたてまえをひとつ打ち出し、同時に、食糧の安全保障というたてまえからも、こうあるべきだというあるべき姿というものをここで打ち出して、世界にもそれを知ってもらっていいと思うのです。
これは命の綱でございますから、当然ですから、したがって、そういったものを、ビジョンとは言わないまでも、備蓄政策というものを
農林省が考えて打ち出そうとしているのですが、その底にある思想としてはこういうものがあるのだという、はっきりした論理的な裏づけをする必要があるのじゃないか。これは、国民がそのことを知って理解をして、そして国民的な世論の中でやはり進めていくようにしないと、
農林省の皆さんがどんなに
努力したって、政府のいまの財政事情からいって、こうだああだというようなことで、先ほどの備蓄だけでもわずかな金ですらなかなかに財源難だ、こう言われて、そのためにいろいろな
措置を講じなければいけないようなことを考えていることが新聞などでも出ています。
おっしゃるとおり、いろいろな手当てを考えておられる。これも必要だろうけれ
ども、私はそのことが国民の理解するところになっているかどうか。やはりいまの政治というものは、一番大事なのは国民的なコンセンサスがあるかないかということが政治を押し上げる。公害問題で何か住民パワーがあれだけの大きな力を発揮するのと同じように大事ですから、
農林大臣は何といっても若くて元気で力のある大臣ですからいいのですが、それでもやはりこれからの政治のあり方として、特に国民全体の食糧あるいは穀物全体の問題は、すでに自給率四・一%に下がっているという現状ははだ寒い感じです。
いまここへ来て入手したのですけれ
ども、新聞な
ども言っているように、国民の過半数が、割高でもいいから国内生産に力を入れてくれないかという不安を感じているわけですね。半分以上の人が十年後にはとにかく食糧は危険だぞということを感じておりますということを、政府みずから
調査で発表しているわけです。これにタイアップして、わが党も備蓄の十年計画を九〇%にするのだというようなことを言って、自給度を高めることを含めた法案の提出の準備というようなことをやっているのですが、これは一政党あるいは与党、野党が考えるというよりは、一番大きな力と
指導的な役割りを果たす責任のある政府が、やはり底流としての思想、考え方というものがはっきりと国民の中に知られて、だから国際分業論として、これだけのものはやる必要がある、しかし反面、ある国際的な事情によっては食糧が安全保障あるいは戦略物資扱いをされる危険があるので、国の安全保障というためには、最低限度国内生産を、あるいはアメリカ以外のどこの
輸入をといったようなことがそこから出てきて、国民全体に理解をされるようにしておくことが非常に大事な時期だろうと思うのです。
農林省が何かつくってくれました、それが発表された、それがずっと各自治体に伝わっていった、それから農村へ、農協へ、こういったいままでのやり方で、パターンでやっていっていいか。この種の問題というのは、特にいまの財政事情もあるし、いろいろなものとのかかわり合いの中で、備蓄一つとらえてもなかなか困難だ。わずかな金額でも財源的な困難があるというようなときであればあるほど、やはり国民的な理解というものがそこに得られるような、いま
農林省が備蓄を考えて、こうだこうだと言ってその現象的なものだけを訴えないで、やはり日本の食糧政策の今後について、いま私が言った二つの立場を明快にしながら、
農林省が国の責任で国民への理解を深めていこうというような手だてを講じなければいけない重要な段階ではないかと思いますが、いかがでしょうか。その考えと、その方法をぜひ実行してもらいたいと思いますので、そのことをおやりになれるかどうか、お伺いします。