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坂田国務大臣 実は
昭和三十二年に
国防会議で決まりました
国防の基本方針というものは、これはあくまでも踏襲してまいりたいというふうに考えております。したがいまして、従来ともいたしますと、所要
防衛力つまり
日本列島周辺の潜在的軍事力あるいはそれの脅威が顕在化するかどうかは、
可能性として秘めておるわけでございますけれども、従来の考えで申しますと、そういう周囲の潜在能力というものに対して対応する所要の
防衛力というものをどうしても持たなければ守れないのだ、こういう
考え方が実はあったわけでございます。
しかして、
日本の置かれた
憲法的制約及び
財政経済の制約、あるいは
民生を著しく圧迫しない制約、そういうもので
整備計画を立てていきますと、いつまでたったら充実するのだろうという気持ちが
国民の間にもあるかと思います。同時に、今度また逆に言いますと、どこまで
整備されるのかという、歯どめがない不安感というものを
国民の一部に持つ、これは私、当然だと思ったのです。
やはり、ここで
現実的に
整備すべき目標というものを政治的な
一つの決断によって決めるという方がその歯どめにもなるし、同時にまた、実際の
自衛隊の人たちにおいても、そこまでで充実したやり方でいこうという気持ちにもなりますし、どこまでいくかわからぬ、そして
現実に
整備されておるものはあれも足りない、これも足りない、そして小
規模の
侵略に対して果たしてこれで対処できるだろうかという不安感もある、それがまた非常に士気を阻喪させるということで、私はやはりここで政治的決断によって、外交、経済、
民生、つまり
昭和三十二
年度の
国防会議の基本方針に基づいて、
一つの政治的決断をした線を引くべきではないだろうか。そして、それは
現実可能な
整備目標だ、その方が作業もしやすい、こういうことかと思いまして、ただいま
防衛局長から
説明を申し上げましたことで一応指示をいたしました。
作業の結果、どういう数字になるかわかりませんが、これをもう一遍
国防会議に諮ります。
国防議員懇談会に諮り、御検討を願い、実質審議をしていただいて、それをもう一遍われわれで引き取って、もう一遍これを固めて、そして最終的に来年の八月、あるいは十二月になるか知りませんけれども、そこでひとつ
国会にお願いを申し上げようという段取りをしておるわけでございます。
言うならば、小ぢんまりしているけれども反撃力のあるもの、それでもって小
規模の
侵略あるいは限定的
侵略に対しては、この基盤
防衛力でもってある程度即応体制ができる、こういうことでございます。
そういう基盤的
防衛力を考えよう。これは前提として、やはり現在の世界の軍事情勢というものが、多少危険な様相は残っておるけれども、基調としては、あくまでもデタントであるという前提、これは五年間ばかりを見た場合にそうだ。これがまた緊張が高まるとか有事とかいう場合は、この基盤
防衛力をある程度はエキスパンドできる、こういうことでございまして、しかしこの外交
努力、あるいはいろいろな経済
努力、そういうようなことを続けていくならば、この緊張緩和の状況のもとにおいては、この程度の基盤的な
防衛力を
整備しておけばいいという
一つの
整備目標を定めた、こういうことでございます。
現在の四次防でどうだということでございますが、それはやはりもう少し高くなるということは言えます。しかし、従来考えておりました
一つの大きい、あらゆる
侵略あるいは脅威に対して、あらゆる
防衛力を持ち、かつ即応体制を常に平時において持っておらなければならないという、その構想から言うと、そこはダウンをしている、こういう
考え方でございます。
ただし、たとえば情報機能というのは、これはやはり一〇〇%持っておらなければならないし、先ほど御
指摘のスクランブル体制も、まあ九〇%ぐらいはなければいけないのじゃないか、その他の点はもう少し下げて、基盤
防衛力を考えていいのじゃないか。つまり、この基盤
防衛力は小
規模以下の問題に対しては、これのみで即応体制ができるのだということでございまして、つまり
整備すべき目標が大体実現可能なものだというところに一線を画した、それ以上はやはり政治の段階、政治のリスクの問題、あるいは外交
努力によってそこまでいかない、つまり
戦争を防止する、未然に
侵略を防止する機能を外交
努力や何かによってやらなければならない。一方、小さい
防衛力だけれども、その
防衛力だけを取り上げるならば、なかなか大国に対抗はできないけれども、
安保条約というものが加わり、そして先ほど言う、
国民が国を自分の手によって守るというこの
気概と、この
三つが一組みになった場合は、
日本に攻めてくる、あるいは
侵略を侵すという
可能性というものは非常に少ない、来てもそれは小
規模なもの、そしてそれはこの基盤
防衛力で大体未然に防止できる、こういう
考え方でございます。