○伊達政府
委員 お答え申し上げます。
先ほどの先生の第一番目の御質問にもございましたように、海洋法
会議の結論を待ったらどうかという御意見もあるということも私も承知しているわけでございますけれども、そのよって来る根拠と申しますれば、やはりあの
共同開発の地域というものが、経済水域二百海里あるいは
大陸だなの新たな取り決めということによって、日本のものとなるのではないか、したがって、それを当然の権利として獲得し得べきものをいまから放棄することはないではないかという御議論であるように聞いておりますけれども、海洋法
会議で議論されておりますのは、
大陸だな及び経済水域と二つのはっきりとした——一緒の問題として議論されてはおりませんので、それぞれ別個の問題として取り扱われているということがまず第一にございます。
大陸だなについて申し上げますと、
大陸だなの件に関しましては、先ほども政務次官から御答弁もございましたように非常に複雑な関係にある。つまり、すでに
大陸棚条約というものが一九五八年にでき上がっておりまして、それによってある程度の既得権というものを獲得した国というものがあるわけでございます。あるいは言葉をかえて申しますれば、それらの国は、
大陸だなに関しては、その一九五八年
条約によって既得権を持っておる、したがって、それは自然の延長というものがある限りにおいては、その
条約によってその権利を獲得しておるのだというような議論も現にこの新しい海洋法
会議においても行われているわけでございまして、わが国は中間線ということを主張はいたしておるわけでございますけれども、それが必ずしも大勢を制するには至っておらないというような状況でございます。
それから経済水域について申しますと、経済水域の議論というものはいろいろと行われておるわけでございまして、これが果たして認められるかどうか、現状においては恐らく認められることになるであろうということは申し上げられるわけでございますが、その態様がどういうものになっていくか、内容が漁業管轄権でございますとか、それから地下資源に及ぶものであるというところまでは合意ができているように思われますけれども、そのほかにさらにどのような条件が付されていくかという点についてはまたいろいろな議論の対象となっている。そこで、経済水域の境界という問題につきましてもこれは議論が行われておりまして、現在、ことしの夏のジュネーブ
会議でできました単一草案というものの中にも、
大陸だなの境界と経済水域の
境界画定ということについての条文がそれぞれ別個に設けられておりますが、経済水域の条文も必ずしも中間線でやるべきだということがはっきりと出ているわけではないわけでございます。
そのような情勢にありまして、わが国は、
大陸だなにつきましてもそれから経済水域につきましても、中間線ということを強く主張いたしておるわけでございます。この中間線理論をとっているわが国がこの日韓の
大陸棚協定を早期に
批准する、しかも
共同開発区域がいわゆる日韓の中間線よりも南側の部分にできているということで矛盾するではないかというお尋ねなのでございますが、そのような国際的な情勢からいたしますと、むしろ日本は、この海洋法
会議におきまして中間線理論を強く主張することによって、いささか逆説的なのかもしれませんけれども、この日韓
大陸棚協定というものについて、
共同開発地域というものを日本についても獲得することができたということも言えるわけでございまして、この点については矛盾というよりはむしろ、日本が立場は中間線理論を貫くことによってこの
大陸棚協定ができ上がっているというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。