○
宮澤国務大臣 いわゆる
秘密協定という呼び方が正確でないということは、先ほど大蔵省の政府
委員がお
答えをしたとおりでございますが、
一つの部分は、今後
為替相場の乱高下、非常に激しい高騰あるいは下落というものをお互いに防ごうではないかということについて、いわゆる
紳士協定があったということ。
次に、現在行われております変動
相場というものは、もともと
IMFの趣旨から言えば緊急避難的な位置しか与えられておりませんで、
IMFは金・ドルの
固定相場といったような思想でできているわけですが、しかしそれは現状にそぐわないので、いわゆる変動
相場、
フロートというようなものも
IMFの規定を
改正することによって、正当な位置を与えようではないかということについて
フランスと
アメリカとの間にアンダースタンディングができた。ただし、これは
IMFの規則の
改正であるから、
フランスと
アメリカだけでできるわけのものではなく、
関係国がみんな集まってしなければならない問題ではあるが、ともかく、この問題についての従来のいわゆる神学的な
論争というものは、この際これ以上進めても大して具体的な
成果なり
意味合いはないということで、現実的な処理を
IMFの規定の中でしていこうということについて、主として意見の対立しておった
アメリカと
フランスとの間でアンダースタンディングができた。この二つの部分から今回の問題は成っておりますというふうに大蔵省の政府
委員が申し上げたと思います。そのとおりであると思いますので、まず、それが
わが国にどのような
関係を持つかということにつきまして、第一の点について申せば、
わが国自身がドルとの関連において比較的安定した円の
相場を持っている。三百円とか三百二円とかいうあたりを上下しておるわけでございますし、その間、時によって中央銀行が若干の介入をいたしておると
考えますけれども、これはいわゆる乱高下を防ぐという効果を持ってきておる。そういう
意味では、今度できました
紳士協定と言われるものは、どちらかといえば、従来
わが国が
わが国の方針としてやってきたそのことを指すようなものでございますから、
わが国にとって別段支障があるということはない。先ほど大蔵省の政府
委員が申し上げましたように、
わが国にとってはむしろ利益があるのではないかということは当たっておると私は思います。
それから、第二の、
IMFの規則の中にいわゆる
フロートというものを正当な位置づけをするということは、これは現実にそのようなことをやってきておるわけでございます。遠い将来あるいは理想的な問題の解決のために
フロートがいいか
固定相場がいいかということは、これはいわゆる神学的
論争に属することでございますから、いまそのような大して現実的な
意味のない学問的
論争はそれとしておいて、現実にやられておるところの
フロート、それも今回の
紳士協定によれば、今後乱高下をなるべく防いでいくような
フロートといったようなものを、
IMFの規則の中で正当な位置を与えるということは、これもまた
わが国にとって利益こそあれ損失ではないというふうに判断をして間違いはないと思います。