運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-12-18 第76回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十八日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 松本 忠助君    理事 熊谷 義雄君 理事 床次 徳二君    理事 西銘 順治君 理事 安井 吉典君    理事 正森 成二君       伊東 正義君    大村 襄治君       田中 龍夫君    山田 久就君       上原 康助君    島田 琢郎君       渡部 一郎君    安里積千代君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         沖繩開発庁総務         局長      山田  滋君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  鳥羽 浜雄君         防衛施設庁施設         部施設対策第二         課長      白根  洋君         防衛施設庁労務         部労務厚生課長 佐々木 肇君         文部省大学局医         学教育課長   齋藤 諦淳君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         農林省畜産局自         給飼料課長   山田  績君         農林省食品流通         局市場課長   岡田 明輝君         通商産業省産業         政策局沖繩国際         海洋博覧会管理         官       増山 孝明君         労働大臣官房参         事官      石井 辰治君         労働省労働基準         局監督課長   倉橋 義定君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 十一月二十日  沖繩戦被災者に対する補償措置実現に関する陳  情書  (第二八三号)  沖繩県在住被爆者医療費負担に対する救済措  置に関する陳情書  (第二八四号)  本土と石垣港・平良港間の直送コスト低減措置等  に関する陳情書(  第二八五号)  沖繩県における南西航空株式会社運賃の値上げ  阻止等に関する陳情書  (第二八六号)  北方領土復帰促進に関する陳情書外二件  (第二八七号) 十二月十五日  沖繩県嘉手納基地にB52核戦略爆撃機の再飛  来阻止に関する陳情書外一件  (第三五三号)  沖繩県におけるパインアップル産業維持強化  等に関する陳情書  (第三五四号)  沖繩県における南西航空株式会社運賃等の値上  げ阻止に関する陳情書  (第三五五号)  北方領土復帰促進に関する陳情書  (第三五六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  沖繩問題に関する件  請 願   一 北方領土返還促進に関する請願(鈴木     善幸君紹介)(第一一七二号)      ――――◇―――――
  2. 松本忠助

    松本委員長 これより会議を開きます。  請願審査に入ります。  今会期中、本委員会に付託されました請願は、北方領土返還促進に関する請願一件であります。  本請願を議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  本請願内容につきましては、文書表等ですでに御承知のことでありますし、また先ほど理事会におきましても慎重に御検討を願いましたので、この際、紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  本請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 松本忠助

    松本委員長 なお、本委員会に参考のため送付された陳情書は、お手元に配付いたしておりますとおり、沖繩海洋博跡地国際海洋総合大学誘致に関する陳情書外十五件であります。念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  7. 松本忠助

    松本委員長 次に、閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  安井吉典君外八名提出沖繩住民等が受けた損害の補償に関する特別措置法案及び沖繩及び北方問題に関する件、以上の各件について、議長に対し、閉会審査申し出をしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 松本忠助

    松本委員長 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  10. 上原康助

    上原委員 きょうは、この間の内閣委員会でちょっとお尋ね不足の面がありますので、特に沖繩軍用地返還の問題と関連をしてお尋ねをしてみたいと思うのです。  最初に、これまでも何回かお尋ねをしてきたのですが、那覇空軍海軍補助施設、いわゆる那覇基地全体の返還の問題はどうなっているのかということなんですね。P3移転ということで、空港部門は大体今年の六月ごろまでに返還されている、あるいはまた現在返還されつつある部門もあるわけですが、いつかも指摘をしましたが、県民の側からすると、那覇空港返還というのは、那覇基地全体の返還だというふうに受けとめておった節があるわけですね。返還協定審議時点から非常に問題になりましたP3移転の問題を含めて、どういう段階でいつごろまでに那覇基地全体が返還をされるのか、そういう点についてまず御説明をいただきたいと思います。
  11. 銅崎富司

    銅崎政府委員 お答え申し上げます。  那覇空軍海軍補助施設返還につきましては、第十四回の日米安保協議委員会におきまして、代替施設嘉手納飛行場等建設することを条件として合意を見ております。現在、那覇空港完全返還関連しまして、返還に先立ち着工することとなっていた修理工場、倉庫、司令部等移設工事を実施しております。この完成は五十一年度の予定になっております。しかしながら、本施設につきましては、その返還条件として、このほかに消防署、空中投下物品保管施設将校宿舎等多数の代替施設建設要求がありますので、その内容については現在米側協議しておりますし、なお協議をする必要がありますので、現在の見通しとしましては、なお若干の年数を要するというふうに見込んでおります。
  12. 上原康助

    上原委員 おとといでしたか、内閣委員会で私がこの問題をちょっとはしょって聞いたのですが、返還前に完成すべき建物等工事費が、たしか百三十九億円とか言っていましたね。それと、返還前に着工すべき施設いわゆる建物等工事費というのが約六十六億円、六十六億ちょっと余ったような感じですが、そうしますと、合わせて二百五億円余ということになっています。これは全部じゃないわけですね。いわゆるP3移転に伴う関連施設の総額にはならないわけですね、いまの御説明からすると。そこいら少し明らかにしておいていただきたいと思います。
  13. 銅崎富司

    銅崎政府委員 P3関係予算といたしましては、ただいまもお話がありましたように、返還前に完成すべき建物等につきまして、五十年度までに百三十九億六千五百万、それから返還前に着工すべき建物等につきましては、五十年度までに六十六億二千万でございます。それで、五十一年度引き続いて工事を進めるということで、ただいま予算要求しております額は、約百三十億円でございます。
  14. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、五十一年度で引き続き予算要求——まあ要求ですからどういうふうに査定されるかはわかりませんが、おおむね百三十億円要求しておる。すでに、先ほど申し上げましたように約二百六億の予算、もうこれは完成したものあるいは現に発注しているもの、建設中のものが大半だと私は見ていますので、合わせて三百三十五、六億から三百四十億ぐらい、P3移転に伴う関連施設工事費としてかかる、こう見ていいわけですか。
  15. 銅崎富司

    銅崎政府委員 現在、見積もっておりますのがそういうことでございまして、今後なお若干の費用というか、先ほど申し上げましたように、なお移設条件になっている施設がございますので、その分を入れますともう少しかかるということですが、それは現在幾らかということはまだ申し上げる段階になっておらないということでございます。
  16. 上原康助

    上原委員 そこで問題になるのは、きょうはこういう問題だけにしぼりたいのですが、P3の移転に伴ういわゆるリロケーションですが、これだけの費用がかかるわけですね。いま明らかにされただけでも三百三十七億ぐらい近くになっている。もう少し何か隠し財源みたいなのがあるというんだから、これは三百五十億か四百億近くかかるかもしらぬ、正直申し上げて膨大な予算なんですね。だから、十五回安保協議会で取り決められたいわゆる移設の必要を認めて後に、まあ要するに条件つき返還ですね、移設措置の伴う返還というもの。沖繩基地整理縮小と口ではなまやさしいことを言う。また、これまで新聞にもいろいろ報道されてきても、実際に膨大な予算がなければ基地整理というものができないで、縮小ではなくしてむしろ集中強化になっていくということは、この一例を見てももう明らかになっているわけですね。  この点は余りにも国民県民の前に知らされてない一例だと私は思うので、この点を細かくこれからも追及していきたいわけですが、そこで問題は、このP3移転に伴う移設費としてこれだけわが国の負担がある。しからば、アメリカ側に新しく建物なりあるいは施設をつくってあげる場合に、一体、現に那覇空港那覇基地にある建物とかその施設の評価は皆さんはどうしたかということが問題になってくるわけですよね。現に那覇基地にあるいわゆる空軍海軍補助施設という中に、海軍が使っているものあるいは空軍が便っているもの、その施設にある地上物件なりそういう関連施設リストなりはあるわけですか、どういう建物があって、どういうものを新しくつくってあげねばいかぬという。といいますのは、私もかつて資料要求もしまして、なかなか出したがらなかったんですが、現地で今年の五月一日付で一応施設庁から資料もいただきました。しかし、これはまだ全部じゃないわけですね。ですから、現に那覇基地にはどういうような建物なり施設があるか、それと比較対照しないと十分理解できない面があるわけです。現に那覇基地にある建造物なり施設、いわゆる地上物件全部、詳細にわたるまで皆さん調査をして、そういった資料というものは整っているのかどうか。これは外務省かもしれませんが、これもあわせてお答えいただきたいと思うのです。
  17. 銅崎富司

    銅崎政府委員 移設計画を立てますときには、現在どれほどのものがあって、それをどういう規模、それからそのときの状況によってどういう構造の建物にするかということを決めてまいるわけですが、一応その対象になったものにつきましては詳細な資料を用意いたしまして、そうして作業を進めるわけでございます。
  18. 上原康助

    上原委員 といいますのは、従来米軍那覇基地使用しておった建物なり施設リストというものはあるということですね。
  19. 銅崎富司

    銅崎政府委員 ございます。
  20. 上原康助

    上原委員 これは委員長にも要望申し上げたいんですが、その資料提出をぜひ求めたいと思います。
  21. 松本忠助

    松本委員長 上原君の申し出については、後刻理事会でお諮りしまして……。
  22. 上原康助

    上原委員 施設庁資料提出いたしますね。ここで聞いておきたいと思うのです。
  23. 銅崎富司

    銅崎政府委員 できるだけお出ししたいと思います。ただ、対米関係がございますので、どの程度のものを出せるかはまたよく相談いたしまして、極力お出しするようにいたしたいと思います。
  24. 上原康助

    上原委員 そこで、これは米軍の方が昨年の暮れに基地従業員に出している通達の一部なんですが、この施設移転の問題と関連しますのでちょっと引用いたしますが、その前に、全部返還するのはいつまでかかるのですか。那覇基地空軍海軍補助施設全部が解放されるのは、そのめどはいつごろを考えておられるのか、まず聞いてから進めたいと思うのです。
  25. 銅崎富司

    銅崎政府委員 先ほども御説明申し上げたわけでございますが、上原先生も御承知のように、全部になりますと、あの基地の中には住宅があり学校がありカミサリーがあり、いろいろな施設がございます。当面、施設庁におきまして中心になってやっておりますのは、P3関連工事である。したがいまして、その余の建物につきましては、これから米側といろいろ協議をしていくということ、それから地元にもいろいろの御意見があるようでございますので、そういうものも考慮しながらやっていくということでございますが、それにいろいろな財政事情等もございますので、それらを勘案していつまでにやるかということが決められると思うのですけれども、現在のところ、その見通しを申し上げる段階にはなっておらないわけでございまして、かなり年数がかかるという漠然としたお答えしかいまのところできないということでございます。
  26. 上原康助

    上原委員 かなり年数かかるということになりますと、いまさっきの予算説明というのはP3移転だけなんですね。あとハウジングとかあるいはそのほかの施設移転については、全然まだ計画がなされていないということになるわけですか。
  27. 銅崎富司

    銅崎政府委員 そのとおりでございます。
  28. 上原康助

    上原委員 そうしますと、もう那覇基地を完全に返還する、あるいは米軍那覇基地からいなくなるということば、予算上も大変な額になるということが想像できますね。P3関連に伴うものだけでも、五十一年度予算を入れて、先ほどから議論しましたように三百三十五、六億、現にめどづけされているのが。これより若干上回る、いまの状況で上回ることが予想されるでしょう。三百五十億前後になるかもしれない。ここいらがどうしてもいままでの言い方と違ってくるわけですね。  そこで、具体的にもう少し聞きたいのですが、米軍従業員に配っている通達を見ますと、こういうふうに指摘をしているのですよ。「第一段階嘉手納基地に於ける移動建設計画フライトライン道路の西側の各建物一般兵舎七〇八、七〇九、七一〇及び将校宿舎八〇一、八〇二、八〇三、八〇四です。この計画は一九七五年三月三十一日以降実施される予定です。」これがいわゆる第一段階移転だったと思うのですよ。三月三十一日よりは若干延びた、五月末か六月になったのですが。  それで問題は、ではこのいま挙げました一般兵舎七〇八、七〇九、七一〇及び将校宿舎八〇一、八〇二、八〇三、八〇四、そういう建物は、もう現在は米軍使用していないわけですね。この取り扱いはどうなっていますか。
  29. 銅崎富司

    銅崎政府委員 突然のお尋ねのわけですが、あいているものもあります。ただ、その番号一つ一つにつきまして、どれに入っていてどれがあいているというのは、いま直ちにはお答えできませんので、御了承いただきたいと思います。
  30. 上原康助

    上原委員 あいているのはあたりまえじゃないですか。アメリカはそこを移って、皆さんが新しくつくって移したわけですから、当然あくわけですよ。ですから、その空になった、移転をした部分の取り扱いは、全然日米間で話し合いはなされていないわけですか。これが第一段階移転なんですね。いまさっきのP3関連移転に伴う工事というのは、この第一段階のことを主に言っているのでしょう。そのほかも含むのですか。
  31. 銅崎富司

    銅崎政府委員 その建物日本側に返ってまいりますのは、関連工事が全部終わってからということになりますが、返りました後は、日本側がその建物をどう利用する計画があるか、地元にお聞きした上でいろいろな取り扱いを決めるということになるわけですけれども、現在はあいてはおりますが、まだそのままになっているという状況でございます。
  32. 上原康助

    上原委員 それから「第二段階住宅を除くすべての海軍施設移動建設計画です。当段階は一九七六年の中ばまでに終了する予定です。」とあるのですね。いま関連施設をいろいろつくっているようですが、そのことを言っている。ここまでがいまさっき言う大体五十一年度を目途にして予算計上をされている分だと私は見ている。  そうしますと、まだ第三段階のものがある。「第三段階海軍住宅移動建設計画です。当段階はまだ予定に組まれておりません。」先ほど言ったように、めどが立っていない。ですから、約八百戸ぐらいあるハウジングあるいはそれに付帯をしているところのPXとかその他カミサリーあるいは劇場教会などもあるでしょう。こうなりますと、那覇空軍基地を完全に移転するだけでも、これは場合によっては、これからの物価上昇なりいろいろな面、まあ建築資材はかつてのようには高騰しないかもしれませんが、P3移転関係でも先ほど言ったように三百五十億を下らない予算、少なくともこれを下回らない程度予算がなければ、完全な那覇空軍基地の解放というのはあり得ないというように推測できるわけです。そこいらの計画と、日米間の話し合いというものは、一体どうなっているのかということ。  また政府は、第一段階、第二段階として三百億近い予算を使って、これは何も防衛庁、外務省等政府だけのふところから出るわけではない。ある面では国民の税金ですよ。それでやって、アメリカはりっぱな建物にどんどん移転をしていく。残った建物使用なりあるいは後処理というものは全然進まない。それをまた復元補償をする、いろいろな境界設定をやるというような、地主が使う形にするにも相当金はかかるわけですね。これも後で時間があれば議論をいたしますが、そういう相関性というものを持たせて基地整理縮小というものを考えていかないと、これはもう百年河清を待つようなかっこうになりかねないと思うのですね。そういった緻密な計画というものが日米間でなされて作業が進められてきたかというと、私はそうは思わない。ここにややもするとその政治的な効果だけをねらって宣伝をして、沖繩基地はうんと整理縮小しましたよ、十四回、十五回の安保協でこうこうなりますよということを大々的に宣伝はしたけれども、内閣委員会でも言ったように全くお粗末な限りの作業しか進められてきていないという、これだけ問題を指摘すれば皆さんだって将来これは並み大抵のことでないということは恐らく予想がつくと思うのです、いまの国の財政状況からしても。こういう面をどう県民の前に、あるいは国民に具体的に明らかにしていくかということがいま問われていると私は思うのですよ。この点についてどうするのですか。もう少し政府の確たる方針などを明らかにしてもらわないと、これは困るのです。
  33. 銅崎富司

    銅崎政府委員 火曜日の内閣委員会でもいろいろな問題を御指摘いただいたわけですが、私どもも十分そういう点、問題の意識は持っているつもりでございまして、そういう点を踏まえながら対米交渉も進めているつもりですし、今後とも進めていきたいと考えているわけですが、現在まで施設特別委員会でこのリロケーションの問題も話し合いをしておりましたけれども、最近に至りまして移設部会というのをつくりまして、専門作業班をつくって、専門家も入れまして、今後慎重に話し合っていこうという体制をとっている次第でございます。
  34. 上原康助

    上原委員 どうも余りすっきりしないのですが、本当に大変なあれなのですよ。これは那覇空軍基地だけではなくして、この間も指摘しましたように、返還協定でも覚書にありますように上之屋のハウジング、いわゆる牧港・那覇ハウジングエリア、これは千二百戸、そのうちのわずか二百戸しかいま移設計画はなされていないわけですよね。あとの千戸近くの家屋の移転ということ、それは住宅だけではなくして、千二百戸の住宅があれば、そこには学校もある、PXもある、劇場もある、教会もある、一つのコミュニティーみたいになっている。われわれもいままで大きな基地問題だけを取り上げて、こういうのは余り取り上げなかったという反省もしていますが、十五回の安保協議委員会で決めた移設措置、あるいは那覇軍港とかハンビー飛行場、もうたくさんあるのです。あなた、こういうものを本当に全部やっていくには、何兆円という金がなければできないはずですよ。そういう具体的な緻密な計画なくしてやってきたところに非常に問題があるということを改めて認識していただかないと困ると思うのですよ。これは後でまた触れます。  そこで、もう少しお尋ねしておきたいのですが、この瀬長島取り扱い、これはどうなさるのですか。瀬長島にはどういう施設があって、いまどういうふうに使用されているのか、また先ほど言いましたような第一、第二、第三という段階があるのですが、どの時点返還をするのか、お答えいただきたいと思うのです。
  35. 銅崎富司

    銅崎政府委員 瀬長島には弾薬庫がございまして、その建物の建坪は二千七百十平方メートルになっております。現在これは自衛隊の方が、共同使用でもって、その一部を使用しております。この弾薬庫も、那覇空軍海軍補助施設返還されるときにあわせて返還されるということになります。
  36. 上原康助

    上原委員 嘉手納にはどれくらいの弾薬庫をつくったのですか。
  37. 銅崎富司

    銅崎政府委員 嘉手納につくりましたのは、二千七百平米の弾薬庫をつくっております。  それで、恐らくお尋ね瀬長島だけだと多いということかと思いますが、これの見合いといたしまして、あとP自体那覇飛行場の中に弾薬庫を持っておりまして、それが三十六平米、それから南部弾薬庫対象にしておりまして、千五百七十二平方メートル。瀬長島、P3用弾薬庫南部弾薬庫、合わせますと二千七百十平方メートルになります。
  38. 上原康助

    上原委員 南部弾薬庫の問題も、これはいつでもそういうごまかしみたいなことをやるのですが、南部弾薬庫というのはもともと陸軍の弾薬庫だったのですよ。しかし、日にちは私もちょっと忘れましたが、途中で空軍弾薬庫というふうにいわゆる使用変更をやった、そして実際には使っていないのだが、その分を嘉手納に新しくつくってあげる。まあ日米合意の上でやっているのか知らぬけれども、アメリカがずるいのか、そういうインチキみたいなことは幾らでも指摘できるのですよ。瀬長島にそんなにたくさん弾薬庫がありますか。ぼくはここに図面を持ってきていますが、弾薬庫はわずかに七つぐらいしかない。大半南部弾薬庫の従来使ってもいない弾薬庫ですが、新しく嘉手納空軍弾薬庫の近くに二千七百平米のりっぱなものをつくってあげている。なぜそこまで——こういうことは常識として通らないと思うのだな。  そこで、いまの瀬長島、あなたはそういうことを言うが、いつまでに返すのですか。これは冗談じゃありませんよ。かつて私はこの問題を取り上げてきましたが、七三年の段階ではっきり返すということを、内閣委員会で当時の山中国務大臣が明言していますよ。それはおわかりですか。七十一国会の四十八年六月二十二日の内閣委員会瀬長島の件について山中国務大臣はこういうふうに御答弁しておられる。「返還時において瀬長島も返されることになります。法律的には暫定収用で五年間ということでありますけれども、個々の地主の方々に対して、なお自衛隊あとそこの残りの二年を使うというようなことは許されません、私はそう思います。したがって、那覇陸海空軍補助施設というものが返還されました際には瀬長島返還され、したがって、そこは自衛隊使用しないということをはっきり申し上げておきます。」こう言われた。いまのような答弁からすると、これは暫定使用は五ヵ年、これもどうするのかを後で聞きますが、沖繩における公用地等の暫定使用がもう期間が残り少なくなっている、どういう取り扱いをしようとしているのか後でお尋ねいたしますが、山中さんがこういうふうにお答えしたのは、空港部門が返された段階では瀬長島も返されるという想定を彼はやっているのですよね。いまの話になりますと、向こう何ヵ年かかるかわからない。しかし、現に自衛隊が使っている。暫定使用が五ヵ年あっても、残り二年間を自衛隊が使うということは、地主に対して申しわけないから、許されませんと、あの当時はっきり言ったのですよ。しかもそれを、後でのうのうと共同使用に変えている。  少なくとも国会において大臣が答弁をしたものに対して、これは約束違反である、どう取り扱うのか、この際改めてはっきりさせていただきたいと思うのです。
  39. 銅崎富司

    銅崎政府委員 ただいまお読み上げになりました中で、山中大臣は、那覇空軍海軍補助施設が返るときにあわせて返るというふうに申されていると思うのですが、そういう方向で、したがいまして、四十八年の第十四回の日米安保協議委員会において返還代替施設建設された後に返還されるということで日米間の合意を見、その作業を現在進めておる。ただ、どういうものをどういう計画で返すかというのは、先ほどから申し上げておりますように、今後日米間で詰めていくということでございますので、なお相当の時間がかかるということを申し上げているわけでございます。  それから、瀬長島が返された後に自衛隊がそれを使用するというふうには聞いておりません。
  40. 上原康助

    上原委員 いま、共同使用といったって、米軍は実際向こうには飛行機は置いてないわけですよね。米軍関係の飛行機は実際ないのです。共同使用といったって、自衛隊が独自で使っているだけでしょう。しかも、自衛隊も使いません、瀬長島は返しますということをはっきり言ったのです。問題は、すでに新しい弾薬庫、P3関係弾薬庫はちゃんと嘉手納につくってあげてある、関連施設も。そうであれば返すのが当然ではありませんか、自衛隊も使いませんと。それをいまさっきの論議のように、あとハウジングの一棟までもつくって、全部完全に向こうの施設が移動しない限り瀬長島を返さないというのは、これは言葉のあや、言葉じりを取り上げるようなものであって、山中さんが言った内容とは違う、私はそう思うのです。これはそういうことでは納得できませんよ。なぜなら、施設もつくってあげてなければ、事は、まだつくってあげてないからしばらくしんほうということになるかもしれない、善意に解釈をしてあげるとですね。しかし、すでにみんな弾薬庫はつくってあげている、しかも全然便ってないところのものまで。これは改めてどういうふうに取り扱うか整理して答弁してくださいよ。いまの答弁では、これは納得できません。
  41. 銅崎富司

    銅崎政府委員 十四回日米安保協議委員会でも、那覇空軍海軍施設の全施設といいますか、その代替施設建設された後に返されるという政府間の約束になっているわけでございまして、他の移設計画が完了したときにあわせて返還されるということでございます。
  42. 上原康助

    上原委員 それは山中さんの答弁と若干違いますよね。こういうふうに国会ではっきり大臣が答弁したことも、皆さん作業の進捗状況なりいろいろなことで覆されていくということは私は合点いきません。しかも、共同使用といったって、では現に米軍瀬長島をいま使っているのですか。どういう使用目的でそれは使っていますか。
  43. 銅崎富司

    銅崎政府委員 米軍は現在使用しておりません。したがって、先ほどもお話ありました隊舎等もあいた後、全体の計画の完了を待って返還されるということでございますから、その時点まではそういう状態で管理されるということになります。
  44. 上原康助

    上原委員 そうすると、共同使用にはならないのじゃないですか。地位協定からいってもおかしくなるのじゃないですか。
  45. 銅崎富司

    銅崎政府委員 現在の状態は、依然として地位協定によって提供されている施設、区域だということでございます。返還されるまでは施設、区域だと……。
  46. 上原康助

    上原委員 それはあなた方がそうしているからそうなっているわけでしょう。こう一つ一つ物事を詰めていけば詰めていくほど後退をしていく、あるいは自分たちの都合のいいようにやっていく、これではもう全く話にならぬじゃないですか。  そこで、これは改めて念を押しておきますが、自衛隊は使いませんね。それと、那覇空軍基地が全部返還された段階においては、無条件返還いたしますね。
  47. 銅崎富司

    銅崎政府委員 自衛隊の今後の使用について、私は答弁する権限がないわけでございますが、自衛隊使用しないというふうに聞いております。したがいまして、返還になれば無条件に返されるということでございます。
  48. 上原康助

    上原委員 アメリカ局長お尋ねしておきますが、基地の有事の際の再使用といいますか、そういうのが内閣委員会でもかなり議論になりました。那覇空港返還の際に、アメリカ側は、有事あるいはアメリカ側が何らかの都合で使いたいという権限を留保して全面返還をしたのだという言い分もございます。いわゆるリエントリーですね。それは事実なのかどうか。  また、内閣委員会の防衛論議では、有事の際に、自衛隊基地も含めて米軍使用させることもあり得るということを防衛局長も言っておられましたし、アメリカ局長もそういう場合もあり得るので一はないかという御発言があったかのように私は記憶をいたしております。そこで、那覇空軍基地の場合に、那覇空港那覇空軍基地ですね、まあ空軍空港といいますか、米側がそういう形で使用するということをわが政府は認めているのかどうか。また、そういう申し入れがあった場合に、どういう態度をとられるのか、これも明確にしてお  いていただきたいと思います。
  49. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 那覇空港及び那覇空軍海軍補助施設その他の関連施設に関しまして、その返還についてはいろいろ代替施設建設の問題がありまして、相当時間もかかり費用もかかっておるわけでございますが、御承知のとおり空港については完全に返還を見たわけでございます。ただ、その空軍海軍補助施設及び関連施設は時間がかかっておることは、ただいま施設庁の方からお話があったとおりでございます。ただ、この問題のアメリカ側との話し合いにおきまして、完全返還になった後に再びアメリカ使用するという権利を留保したというふうなことはございません。そういうふうな約束はいたしておりません。  他方、有事の場合の問題でございますけれども、この点は他の委員会でも防衛局長及び私も御答弁申し上げておりますが、たとえば日本がそういう武力攻撃を受けた場合には、わが国はいわば存亡の危機に立っておるわけでございますから、アメリカ側といろいろな意味で協力する必要はある。その場合に、アメリカ側として、現在の施設、区域で足りないというふうなことがあった場合に、追加の施設、区域を提供しなければならぬというふうなことはあり得ると思います。これは安保条約六条の規定及び精神から見ても、そういう事態はあり得るわけでございます。その場合に、自衛隊基地も含めて提供するということはあり得る。しかしこれは、あくまでそういう事態の状況に応じて、また本当の緊急性に応じて、政府が自主的に判断すべきものであると考えます。
  50. 上原康助

    上原委員 いまの御答弁からしますと、返還時にそういった再使用の権限を留保した、条件をつけたということではなくして、新たな事態が発生をしたとした場合に、自衛隊との共同使用——共同使用と言うより、自衛隊使用しているので、その自衛隊基地使用を有事の際に米軍もなし得るという、新たな観点に立ってそういうこともあり得るのだということで、返還の際とか日米間の話し合いでそういう留保権があったのではないということをいまおっしゃったと思うのですが、そのとおりですか。
  51. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 那覇基地返還に際して、そういう条件アメリカ側が留保して返還を受けるということに合意したということはありませんということを申し上げたわけでございます。いま先生のおっしゃいましたように、新たな事態、そういう緊急事態の場合に、安保条約の関連規定に従って、日本政府が本当に必要と認めたときは改めて新規に提供することはあり得る。その場合は、もちろんまた地位協定の二条での手続が当然あるわけでございます。
  52. 上原康助

    上原委員 これにはきょうは余り時間をかけませんが、もう一点だけ。  そうしますと、有事の際というのは、安保の五条の適用か、自衛隊法の七十六条の適用以外は一応は考えられないわけですね、条約上、法律上は。それ以外は那覇空港米軍の再使用というのはあり得ないということを理解していいのか。もう一点、もし仮に、それ以外も米軍の飛行機がおりるとかあるいは一時的な使用をするという場合には、四条の随時協議という形をとるのか。この二点だけは明確にしておいていただきたいと思うのです。
  53. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 緊急な事態あるいはまたそれが非常に差し迫っておるような事態においては、もちろん安保条約四条に基づく随時協議は当然行われると思います。  それから、那覇空港が完全に返還された現状において米軍機が使用するという問題は、これは地位協定の五条一項の問題でございまして、米軍機は、日本の港または飛行場に出入する権利は持っております。これは普通の出入りの権利としてあるわけでございます。
  54. 上原康助

    上原委員 地位協定の五条では確かに——そうなりますと、いつでも勝手に来れるという解釈になるのですよ。私が聞いているのは、仮にそういうことでできるという場合、じゃ政府は無条件に認めるのですか。五条で、地位協定上、そういう港や空港に出入りできる権限をアメリカは持っている。そうであるならば、わが方に事前に協議もなく勝手にそういう行動をとることを日本政府は認めるのですか。そういうことなら問題はまた別で、大きな問題になるのですよ。ですから、仮に地位協定五条の方でアメリカ側にそういう権限があるにしたって、一応何の留保権もなくして返した以上は、これは日本政府の財産、というより日本政府にいわゆる帰属したことになるわけでしょう、那覇空港というのは、運輸省の管轄下ですから。その際に、人の庭に入るのに、勝手に入っていいからと言われて入るわけにはいかぬでしょうが。少なくともそういうことが予想される場合には、事前の協議というのが必要でしょうね、五条の問題は別としても。そのことを私はお尋ねしたのです。地位協定の五条でそういう権限があるから、いつでもアメリカ側は飛行機を持ってきてもいい、あるいは使ってもいいということにはならないのじゃないですか。その点は明確にしておかないと、これは事は重大ですよ。
  55. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 アメリカの航空機が日本の空港に出入りすることはできるということは、地位協定の五条一項に書いてあるわけでございます。  ただ、いま先生のおっしゃいますように、空軍が部隊として駐留するという問題は全く別でございまして、そういう権利を五条一項においては与えているわけではありません。空軍部隊が駐留する以上は、もちろんそれに関連するいろいろな施設も必要でしょうし、そういう要員も必要なわけでございますから、そういうことになればそれは基地の提供でございまして、これは全く基地の提供として、地位協定二条の問題として処理さるべきだと思います。  私が申し上げておりますのは、米軍の飛行機が那覇空港なんかに全然出入りできないわけじゃない、出入りすることは五条一項でできますということだけを申し上げているつもりでございます。
  56. 上原康助

    上原委員 それは那覇空港だけじゃなくして、飛行場はどこでもできるんじゃないですか。港もどこだってできる。だから、御自由にお使いくださいというわけじゃありませんでしょうと言っているわけだ。そのくらいのことは政府としてはおやりにならなければいけない。あるいは戦闘的に、戦闘というより軍事的に使用させるということであるならば、当然事前協議ということにはなるでしょうというのが私の見解なんですね。そうじゃありませんか、ちょっとくどいようですが。これを議論すると、またちょっと横に入るけれども。
  57. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 事前協議という問題になってまいりますと……
  58. 上原康助

    上原委員 事前じゃない、随時の方には該当するんじゃないですか、再使用に値するものは。
  59. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 その問題は、施設の新たな提供という問題になってまいりますれば、もちろん両政府間でいろいろ話し合うということはあります。それを随事協議一つの形態と考えても、ようございます。ただ、いずれにしてもそういう施設の新たな提供ということになりますれば、先ほどから申し上げておりますように、地位協定二条一項によって両政府間で合意する必要はあるわけでございまして、そういう両政府間の合意手続なくしてアメリカ側が新たな施設を取得するといいますか、使用することはないわけでございます。
  60. 上原康助

    上原委員 じゃ、もう一点だけ念を押しておきますが、地位協定の五条で、たとえば緊急やむを得ないという言葉はぼくは余り使いたくありませんが、何かの事故があってどうしても那覇空港におりなければならない、これは複数ではなくして単機でおりることはあり得る、そういう場合は使えるわけですね。しかし、少なくとも軍事目的で新たに使おうという場合は、基地の再提供という形を、日米間でそういう手続をとらなければいけない。日米間の交渉がなくして、地位協定五条があるからということで那覇空港を新たに米側が再使用するということはあり得ない、こういう解釈でいいですね。
  61. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 お答え申し上げます。  米軍機が、緊急やむを得ない場合に那覇空港におりるということはもちろんあり得るわけでございますが、それ以外の場合でありましても、安保条約の目的の範囲内であるならば、米軍機が、通常の連絡その他のために那覇空港に着陸するということはあり得ると思います。また、そういうことがいわば第五条一項に規定されているわけでございます。  ただ、先ほどから申し上げますように、飛行機が一機とか二機おりるというだけでそれが基地となるわけではないわけでございまして、それが米軍基地となり施設となるためには、新たな施設、区域の提供という形態をとるわけで、その際には地位協定二条の手続に従うというわけでございます。飛行機が一機、二機おりたことによって、またおりることによって、部隊の駐留ということにはならないと思います。
  62. 上原康助

    上原委員 次に、返還された軍用地の跡利用の問題についてお尋ねしておきたいのですが、ちょっと時間があれですから……。  これもいろいろこれまでお尋ねしてきたのですが、なかなか跡利用問題が進んでいないわけですよ。それが進まないがゆえに返されてもかえって迷惑だ——困るんじゃない、迷惑だと言っているんですよ、跡利用できないから。それをまた政府はいい口実に使いたがる面もいま出ているような感も受けるわけです。私が先ほどから言っておりますように、アメリカ側施設をつくるためにはいろいろ何百億という予算をかけ、残されたものの手当てというものについては微々たる金しか日本政府は出していないわけですよ。復帰後今日まで返還された軍用地がどれだけあって、どういうふうに利用されているのか、そういう面についての説明を少し賜っておきたいと思うのです。  それが一つと、いま一つ、きょう私ちょっと大蔵を呼ぶのを忘れたのですが、いわゆる地籍確定、境界確定ができないがゆえに返されても放置されている土地がたくさんあるわけですね。したがって、返しはしたけれども後使えない、そういう状況下で、いわゆる政府が提供しておった当時の土地代というものを現在までは一応管理補償費ということで払ってはいるんですが、管理補償費も打ち切るんだということを政府は、まあそういう方向にあるということも聞いております。この管理補償費の問題いわゆる土地代は少なくとも跡利用が完全にできるというめどが立たない間は地主に払うべきだというのが私たちの主張なんですね。当然だと思う。これをどうするのか、この二点はぜひきょう承っておきたいと思うのです。
  63. 銅崎富司

    銅崎政府委員 復帰になりましてから五十年七月末までに全部返還になりました施設の数は二十八施設、それから一部返還となったのが三十四施設、これを含めまして返還面積は約千四百六十九万平方メートルになっております。  それで、返還になりました土地の地籍確定の問題でございますが、現在返還になりまして境界設定を要する施設は、ことしの五月で二十一施設あるわけでございますが、そのうち四つの施設は境界確定が終わっております。それから、二つにつきましては境界設定工事を実施中という状況でございますが、この境界確定作業の促進を図るために、施設庁としましては、四十九年度に施設、区域及びその周辺を含めました航空測量をいたしまして、それに基づいて航空写真、現況測量図、それにあわせて戦災前の航空写真等の資料関係の土地の所有者に提供いたしております。今年度はその資料をもとにしまして、この返還になりました土地につきましては原状回復補償費の中に境界設定費というものをお出しすることになっておりますので、この境界設定費でやっていただくわけですが、まず市町村界、それから大字界、小字界と順次に小さく地積測量の区分をしぼってまいりまして、小字内にもさらに地形地物をもとにして区割り測量がなされる。それから、所有者別にどういう配列になりどういう区画になっておったかということになりますと、これはやはり所有者の所有権に関する問題でございますので、土地の所有者が主体的になって作業を進められる、これが原則であろうと考えております。その作業につきましては、土地の所有者が協議していただいて、合意を見た上で境界確定作業が終わるということになるわけですけれども、その全段階を通じまして那覇の防衛施設局は積極的に協力、援助して問題の解決に当たりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、管理費の問題でございますが、一般的に申し上げまして、所有者に返還されました土地につきましては三ヵ月を限度として借料相当額の管理費を払うということになっておるわけですが、沖繩の境界不明の土地につきましては、いろいろ特殊な事情がございますので、境界確定のために関係土地所有者の間の合意に要する期間として一年、その合意成立後登記までに要する期間として一年を管理補償期間としたものでございます。この合意に要する期間について一年とした理由は、復帰前に琉球政府によってなされました地籍確定作業があるわけでございますが、そのいろいろな事例を勘案しまして一年としたということでございます。そしてなお、この地籍確定に要する資料等は、先ほど申し上げましたように航空写真、現況測量図、戦前の写真というような資料等も提出いたしましてこの作業の促進がなされるようにいろいろと御援助申し上げているところでございます。それから、地主の間の合意が成立いたしまして登記をするわけでございますが、土地の利用としては、一応合意が成立いたしますと、全く利用ができないというふうには考えられませんので、登記をするまでに係る補償の額につきましては借料相当額の十分の一、それは利用の制約の度合い等を考慮いたしまして十分の一と、こういうふうにした次第でございます。
  64. 上原康助

    上原委員 これは、いまのあれでは納得しかねますが、とにかく返還された土地の跡利用問題というのは、皆さんがおっしゃるように事は運んでいない。管理補償の問題にしたって、これは開発庁との関係も復帰前のやつがありますが、いずれ私は、きょうは大まかに聞いておきますが、この問題だけまとめていろいろ具体的な例を挙げて議論をせぬと、大ざっぱになるとなかなか議論がかみ合わない点もありますので、やってみたいと思いますが、われわれも前々から言っておりますように、何らかの法的措置というものも合わせて考えないとこの問題は抜本的解決というものはおぼつかない。しかも、現状にマッチをした利用計画というものを含めてこの種の計画というのはやらないといかない問題でございますので、後でもう少し議論をしたいと思うのです。  そこで、時間が来ますので、先ほどちょっと触れましたように、公用地等暫定措置法の期限というのが御承知のように五ヵ年なんですね。この取り扱いはもうそろそろ検討を始めなければいけない点だと思うのですが、一体どういうふうにお考えなのか、方針だけ明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  65. 銅崎富司

    銅崎政府委員 この問題につきましては、私どもの基本的な考え方は、暫定措置法の一条の二項にうたわれておりますようにやはり契約の努力をしていくということで、契約をしていただくように今後とも努力していきたいと思っております。それからなお、場所によってお返しできるようなところがあれば、極力そういう方法をとってまいりたいと考えております。  それで、お尋ねの点の中心になるわけですが、暫定措置法が期限が来た後どうするかということにつきましては、本土におきましては、自衛隊については土地収用法、それから駐留軍につきましては駐留軍等の土地の使用等に関する特別措置法というのがございますが、そういう法律等いろいろとまだ現在どうしたらいいかというのを検討している段階でございまして、どういう方針でいくということをいま申し上げるところまで検討が進んでいないわけでございます。
  66. 上原康助

    上原委員 そうしますと、現段階で暫定措置法の再延長とかそういうことはまだ政府は決めてはいないということですか。
  67. 銅崎富司

    銅崎政府委員 決めておりません。
  68. 上原康助

    上原委員 最後に、労働省いらしていると思いますので、時間の範囲で簡単にお尋ねしておきたいのです。  たしか今年八月の五日ごろから八月一ぱいにかけて基地内の六価クロム問題、公害問題というのが大変出たのですが、この問題については労働大臣にも私直接お会いをしましたし、また基準局長にもお会いしたりして、個人としても社会党としてもいろいろ申し入れを行いました。また、施設庁関係あるのですが、在籍者については一応第一次の健康診断というものは終わったのですが、われわれが特に注意を喚起しておきました離職者の健康診断については、残念ながら現段階まで実施をされていないと私は見ている。この取り扱いについて、一体政府はその後どういうふうに考えておるのか、今後またどうしようとしておるのか。あれからもう五ヵ月近くもたっておる状況ですが、やはり決まったことあるいは約束したことについては守ってもらわないと困ると思うのです。国会で取り上げない限りなかなか問題が前進しないということは、私は行政の立場としてはあってはいかぬと思うのですね。むしろ行政の方が、われわれが問題提起なり取り上げないでも積極的に解決するという姿勢でなければいけないのだが、いろいろ医療機関の問題なり能力の問題があるということは理解はいたしますが、なぜこれほどおくれたのかを含めて今後の方針などもあわせて御答弁を求めておきたいと思います。
  69. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 お答え申し上げます。  八月の半ばに洗浄廃液が海面に流出したことに伴いまして、牧港補給地区に働く従業員の方または過去に働いていた方の健康の問題がいろいろ社会問題化したわけでございますが、労働省といたしましては、これの取り扱い原材料、特に洗浄液の成分等につきましてどういう成分であるかの解明を急ぐ必要があるということで、急遽本省から三名を現地に派遣をいたしまして、基地の立ち入りを行ったわけでございます。  その立ち入り調査によりまして、有機溶剤によりまして自動車部品等の洗浄作業が過去から現在まで行われてきたわけでございますが、当該有機溶剤につきましての所要の健診が米軍側でなされていないという事実が判明いたしたわけでございます。即刻、現地司令官あて口頭でその実施方を要請するとともに、数日置きまして文書によりまして現地基準局長から健康診断の実施方を勧告したわけでございます。その際、現在の労働者に限らず過去この作業に従事した労働者につきましても健康診断の実施を要請したわけでございますが、米軍側としましては、現職者の健康診断につきましては約束いたしましたが、すでに退職した者の健康診断につきましてはその承諾が得られなかったわけでございます。  そういうことで、労働省といたしまして、本来健康診断の実施義務者は使用者でございまして、国特に監督機関である労働省がこれを実施するというたてまえは必ずしも適当ではなく、本土の例を挙げましても退職者の健診は企業に実施させているわけでございます。筋はそういうことで使用者に実施させるというのが筋でございますが、何せ退職労働者の方の健康の不安の問題があるわけでございます。一刻も早くこの不安の除去をするという必要性があることから、労働省がこれら作業に従事した者に対しまして健康診断を実施するという方針を決定いたしまして、現地の基準局長に指示をしたわけでございます。  その後、現地の基準局では沖繩県に所要の名簿の提出等を求めまして、いろいろ当該作業に従事した者の選定を急いだわけでございますが、過去具体的にどういう作業に従事していたかという選定に若干手間取りまして、また関係団体等とのいろいろ名簿の突合等がございまして、時間は現在に至ったわけでございますが、先日一応リストアップした中で当該洗浄作業に従事したという者が選定されまして、その選定数が百六十一名になっているわけでございます。選定につきましてはまだ若干漏れがあると思いますが、今後ともその選定につきましては行っていくわけでございまして、とりあえずこの百六十一名につきまして十二月二十四日から二十五日、二十六日の三日間におきまして健診を実施していきたいと思うわけでございます。ただ、先生御承知のように、現地の健診機関の一日の実施能力の制限がございます。したがいまして、その半数以上は来年度に持ち越さざるを得ません。来年度に入りましたらできるだけ早い機会に残りの者の健診を実施するよう、いま現地で話をしております。残りの者の健診の実施期日は二十五、六日ごろに確定すると思っております。  そういう段階に来ておるわけでございます。
  70. 上原康助

    上原委員 時間ですから、これでもう終えますが、そうすると、うやむやにはしないということは基準局長も大臣もおっしゃってきたし、また課長もそういうお気持ちだったわけですね。これは牧港補給基地で働いておった者だけでなくして、該当者、離職者を含めてうやむやにしない形で、若干時間はかかるけれども第一次の健康診断はあくまで実施をする、年内から来年早々にかけて、そういうことでよろしいですね。
  71. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 ただいまお答えいたしましたのは、牧港補給地区におきまして洗浄作業に従事した労働者につきまして健診を実施するということでございまして、当該地区から流出しました洗浄液の中に六価クロムが含まれているということから、非常に労働者の健康の不安が高まったわけでございまして、労働省といたしましては臨時緊急措置といたしまして、牧港の離職者につきまして健診を実施するということでございます。
  72. 上原康助

    上原委員 施設庁来ていると思うのですが、在籍者の健康診断の結果がどうなっているか、またどういうふうな処置をやったのか、もう時間がありませんから、後でその点は資料として提出をしていただきたい、報告をしていただきたい。よろしいですね。その点だけお答えください。
  73. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  すでに十月二十四日に、在籍者の健康診断は二百三十一名終了しております。その結果を待ちまして、第二次健診の受検者をいま精査しているところでございます。それが大体県の報告によりますと、来年一月中を目途として第二次健診者の有無を確定したいという報告を受けております。その報告を待ちまして、そのリスト等はできるだけ整備した上でお届けしたいと思っております。
  74. 上原康助

    上原委員 終わります。
  75. 松本忠助

    松本委員長 次に、正森成二君。
  76. 正森成二

    ○正森委員 私は十五日から十七日まで、外務省を通じて連絡をいたしまして、沖繩米軍基地を視察してまいりました。そこで、きのう帰ってきたばかりで整理ができておりませんので、全部を聞くことはできませんけれども、そのうちの一部について、施設庁と、場合によっては外務省に伺いたいと思います。  中部地域だと思いますが、伊芸という部落があります。御存じですね。金武村の一部ですね。伊芸の地域で伺ったのですが、これまでは砲座のある射撃場が、たとえば三と四というようなポイントがあります。そこの場合はいままでどおりのところへ撃っておるようですが、新たに屋嘉という隣の部落、そこに五番と六番の射撃場ができて、迫撃砲その他を撃っておるわけです。ところが、ここで撃っておる米兵は、いままでの着弾地点目がけて撃つのではなしに——承知のように、沖縄は水が非常に乏しいわけですが、貯水池を設けて山から流れてくる水を受けて、それを百五十三戸の伊芸部落の農業用水及び生活用水にしております。ところが、その上流にあるわずかばかり残った水源涵養林、それは私現実に見てまいりましたが、両側は撃たれて、もう赤くなって木がないわけです。そこだけが辛うじて木が残っておる。その肝心の涵養林に、この春ごろから砲座をつくって砲撃を始めました。私は近くから見てまいりましたけれども、その涵養林のところに撃ち込まれた跡が非常にたくさん離れたところからも見えるわけですね。これは伊芸の部落民にとっては、生活の基礎を奪われる非常に重大な問題だ、こういうことで要請をしておるようであります。施設庁もそれはお聞きになりまして、米側には伝えたようですね。米側には伝えて、配慮すると言っておるようですが、実際にこれは演習は全く行わないようにするのか、あるいは少なくとも涵養林を撃たないようにするのか、それは部落民全体の非常に大きな要望でございますので、具体的にお答えを願いたいと思います。
  77. 銅崎富司

    銅崎政府委員 御指摘の地域につきましては、ことしの八月ごろからだんだんひどくなったようでございますが、水源涵養林があって、それが壊されているということで、キャンプ・ハンセンの実弾射撃演習をやめてくれと言う立場にございませんので、とにかく射方向を変えて、そこに撃ち込まないようにしてくれ、アメリカ側はそういう措置をとるという約束をしております。
  78. 正森成二

    ○正森委員 私は、実は五番、六番の砲座へ行ってきたわけです。そこで実際に見たわけです。銅崎さんは御存じかどうかわかりませんが、目の前にある山を飛び越して砲弾が飛ぶのですね。目の前の山に白い旗が掲げてありまして、それが大体射方向を指示しているようなんです。ところが、射方向を示す白い旗は依然として撤去されていない。ですから、あの射方向で撃つ限りは必ず涵養林に命中するようになっておる。そこへ撃ち込まないようにするためには、あの白い旗を、私が見た場所では右の方に何度か振らなければならない。ところが、右の方へ振りますと、すぐ近くに日本道路公団の高速道路が通っておりまして、ちょっと米側が撃ちそこなうと、これは破片が飛ぶおそれがあるというようなこともございまして、あの射撃場を、つまり砲座のあるところを維持するのは非常に困難ではないかというのが現地住民の意見ですね。現実に最近は、なるほど申し入れもあって撃たれていないようですけれども、もしあの白い旗がかかっているあの射方向のまま撃つとすれば、涵養林にどうしても弾が行くということを現地の区長も説明しておりましたが、その点はいかがですか。
  79. 銅崎富司

    銅崎政府委員 その点の詳細まで私承知しておりませんでしたので、その点も含めまして局の方にまた改めて指示したいと思います。
  80. 正森成二

    ○正森委員 私は現実に見てまいりまして、涵養林の部分はほんの少ししか残っていないのです。もう両側は撃たれてはげになっているのですね。そのわずかばかりのところが、二キロぐらい離れたところから見ても目に見えるように穴がぽんぽんあいて茶色に焼けかけている。これがそのまま広がると、水源で水がなくなってしまうわけですから、非常に重大な問題なんですね。ですから住民は、五番、六番からは射撃をしない、これは新しくつくられた砲座ですから、そのことを非常に強く望んでおりますが、いま銅崎部長が言われたように、最小限射角を変える、射方向を変えるということをやらなければ涵養林にとっては大変なことになるということを指摘して、その点について米側に十分詰めてほしいと思うのです。それについての御回答を委員会へいただきたいと思いますが、もう今国会は最後でございますから、その前に、できましたら私にお知らせいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  81. 銅崎富司

    銅崎政府委員 局の方を通じまして、対米交渉をさせたいと思います。それで、その結果がわかり次第、先生の方に御連絡申し上げます。
  82. 正森成二

    ○正森委員 それから、ついででございますから、もう一つ要望しておきたいと思います。  それは、現地の区長などの言っておりますところでは、キャンプ・ハンセンで司令官がかわると引き継ぎが十分なされないで、いままでの約束が守られないことがある。これは施設庁側もときどきそういうことを現地住民に漏らしておるということですね。ですから、現在の司令官はたしかハッチ准将だったと思いますが、その点も米側に厳重に伝言してほしい。  それから、もう一つの住民の要望は、そこへ砲弾が落ちておりますので、砲弾の性質がどんなものであるか、ただ破裂するだけなのか、あるいは砲弾にはいろいろ化学的反応がありますから、それが水源にしみ込んで飲み水に関係してくるというようなことになると大変だ。保健所で調べておるようですが、保健所の分析能力というのは非常に限られておりますので、非常に不安である。そこで、総合事務局が責任を持つのか、あるいは県が責任を持つのか、施設庁が責任を持つのか、その辺は三者で相談をされて、伊芸の貯水池の水質の詳しい検査もしてほしいということですが、それについてはどこが責任を持ってくださいますか。
  83. 銅崎富司

    銅崎政府委員 私どもの方で、このキャンプ・ハンセンに関しまして水源が汚濁されるということで、水道施設とかダムの工事等をやっておりますので、その関連で、村の方と相談をいたしまして水質の検査を、これはわが方で取ってきて県の適当なところへ頼むかどうか、その辺検討させていただきたいと思いますが、私の方でやらせていただきます。
  84. 正森成二

    ○正森委員 次に、有名な県道百四号線、これは当委員会でも何回か伺いました。その関係で、喜瀬武原という小中学校がございまして、その小中学校はすぐ近くに射撃場があり、学校の頭の上を飛び越えて砲弾が飛んでいって、そして着弾地に着くということは、内閣委員会で私も質問をいたしました、同僚議員も質問いたしましたので、よく御存じのことだと思うのですね。こういうことはどうしても射撃を中止させなければなりません。  それに関連して防衛施設庁に伺いたいのですが、非常な騒音なんですね、射撃を実際やりますときは。しかも、かてて加えて、砲弾がちょうど校舎の真上を飛んでいくだけでなしに、校長室のありますすぐ前の方の方向に、今度は小火器の射撃場があるのですね。そして、八時から四時ごろまでだだだだだだとやるということでございますが、それについて防音装置とか、あるいはその小中学校が十分に勉強できるような設備というのを防衛施設庁は全然やっておらないのですね。私が行って校長に直接会って聞きましたし、生徒にも面談いたしましたが、全然やっておらない。もってのほかだと思うのですが、よくよく聞いてみると、これは勘ぐりですが、恩納村に、四、五キロ離れたところに安富祖という小学校と中学校がある。そこで、この喜瀬武原という小中学校を閉鎖してしまって、生徒を全部そちらの方へ移せば、これで一件落着ではないかという、そういうような考えがあるやに聞いており、そうなればどっちみち移転するものに設備をしたって仕方がないので施設庁はサボっておるのではないか、これが現地の住民のもっぱらの声ですね。そういうような不届きな考えはないのかどうか。ないとすれば、なぜいままで何もやらなかったのか、それを伺いたい。
  85. 白根洋

    ○白根説明員 お答えいたします。  喜瀬武原小中の問題につきましては、当初五十年度概算要求におきまして地元からも防音工事の必要性について要望がございましたので、計上いたしまして、五十年度予算成立当時におきましてはそのように計画を組んでおりました。その後、一部いま先生もお触れになったようでございますが、恩納村のいろいろ学校整備計画等があるので恩納小中に振りかえてほしい、こういう御要望がございましたので、そのように計画を変更いたしまして、今年度、設計を実施する予定にしております。  なお、現在恩納村で計画しておりますのは、恩納小中学校のほかに仲泊小中学校というのが一つございます。そのようなことでございます。  それからもう一つ、安富祖もいま計画中でございますが、安富祖に統合するというようなお話は、正式には私どもの方には参っておりません。ただ、喜瀬武原小中のうち中学校の部分については、統合の必要があるので恩納に切りかえてほしいという要望はあったわけでございます。
  86. 正森成二

    ○正森委員 いまの答弁でも、恩納小中に対策費を切りかえるということで、喜瀬武原には行われていないということはお認めになったのですね。喜瀬武原というのは、学校の上を砲弾が飛び越えるという日本で唯一の小中学校、恐らく全世界で唯一の小中学校であろうと思うのですね。  そこで、同校の三年生の外間浩一君という人がおりますが、十一月に恩納村で、お話大会といって、作文を書きましてそれを読むのでなしに演説調でやるという大会があったのです。そこで同君が喜瀬武原の中学校代表として話したものを、昨日同君に会って直接話してもらって書き取ってまいりましたので、それを御参考のために読みたいと思います。こういう状況だということを知っていただきたい。「ジェット機が耳をつんざくような爆音を残して低空飛行の演習をする。いまにも教室に突っ込んでくるのではないかと、思わず両手で頭を押さえてしまいます。大砲の実弾演習は、学校を吹っ飛ばすのではないかと思うほど大きな爆発音となって、窓ガラスをがたがたと振動させます。自動小銃の発射音は、すぐ近くの方でマフラーの切れた車のように轟音を立てて鳴り響いています。皆さん、このような米軍演習場の近くにあるぼくたちの学校学校であるということを、皆さんは信じるでしょうか。いや、事実なんです。ジェット機の爆音や大砲の爆発音は、授業中のピアノの音も、先生の声も、友だちの本を読む声もかき消してしまいます。みんなが勉強しようという意欲までも奪い取ってしまいます。ぼくはそのたびごとに思うのです、このような演習はやめてもらいたいと。また、世界の平和のために演習が何の役に立つのかと。実弾演習のあるときは、ぼくたちの県道百四号線が封鎖されたのです。生活のためになくてはならないぼくたちの県道までが、米軍の演習のために使えなくなったのです。そこで、ぼくたちの部落では、何度も県民大会が開かれました。そして県民は、実弾演習をすぐやめろとか、県道百四号線を封鎖するなとか言って、いろいろな立場の人たちが意見を述べ合っていました。ぼくもその話を聞いて、本当にそのとおりだと思いました。皆さん、ぼくたちは学校で国際理解とか、人類愛、理想社会の実現とかという言葉を先生のお話の中でよく聞きます。また、戦争の恐ろしさや悲惨さもテレビや映画で見てよく知っています。米軍の演習のないぼくたちの学校は平和そのものです。校庭には季節の花が咲き誇り、教室の窓辺からはかわいい小鳥のさえずりが聞こえてくるのです。平和は全人類の共通の願いであると思います。それなのに、米軍の演習は世界の平和というぼくたちの願いを無視して行われているのです。世界平和の担い手となって、戦争の恐ろしさや悲惨さを知り、平和の世界を実現させようではありませんか。」というのが、多少幼いところもありますけれども、中学三年生が精いっぱいにお話大会で言った言葉なんですね。  私はこの校庭にも立ってみましたけれども、言うとおり、演習はその日、近くではやっておりませんでしたので、非常に平和で小鳥のさえずりも聞こえるというところでしたが、それが一たび演習が行われると猛烈な砲弾、近くからは自動小銃のだだだだっという音が聞こえるというところなんですね。ですから、そういう点をよくお考えになって、喜瀬武原の小中学校自体にも何らかの設備をなさるお気持ちがあるかどうかですね。それを一言伺っておきたいと思うのです。この子供たちのためにもお答え願います。
  87. 白根洋

    ○白根説明員 先ほど事情を御説明したわけでございますが、この振りかえの問題につきまして、実は同時に喜瀬武原小中も工事対象にしたらどうかということで、地元の恩納村の方に、御希望でおやりになるということであるならば、採択して、やりましょうということを申し入れたわけでございます。ただ、この点につきましては補助金でやっておる関係で、地元の財政事情その他地元の事情というものがやはり優先するわけでございます。そこで、国の方で勝手につけるというわけにまいりませんので、そういうことを申し入れまして、村の決意といいますか、御要望のほどを伺ったわけでございますが、やはりいまのところ喜瀬武原については御要望がない。したがって、私どもの方としましては、御要望があれば直ちにそういう態勢をとり得るような段階にその当時からしておるわけでございます。でございますから、騒音の問題につきまして、先生のおっしゃることは十分調査もいたしておりまして、そのような態勢を整えておるわけでございますが、いわゆる何といいますか、補助金の制度的な問題から、やはり地元の事情といったものを十分勘案しませんと、私どもの方で勝手にこれをやれと言うわけにはまいらぬのでございまして、その辺を御理解いただきたいと思います。
  88. 正森成二

    ○正森委員 いまのお話では、むしろ恩納村に問題があるというような指摘のようであります。それは私も現地へ行きましたら、恩納村当局と喜瀬武原の部落住民との間に若干の意見のそごがあるようでございますけれども、しかしこれはそこで本当に困っている部落の住民が対策を望んでいないということじゃないのですね。対策は十分に望み、村の方もそれを希望しているけれども、補助金制度で全額というわけじゃないから、いまの沖繩の貧困な状況では一挙に全部はできないということになっておるのですね。ですから、これについてやはり国が特別にこういう場合には考えていくというようなことを考えなきゃならない、こう思います。問題点を指摘しておきたいと思います。  それから、別の問題でございますが、ハンビー、ヘリコプターの基地がありますが、これについては従前、日本に、わが方に返還するというようにたしか伺ったはずであります。その点についてはその後どうなっておりますか。
  89. 銅崎富司

    銅崎政府委員 ハンビー飛行場返還につきましては、地元側といろいろ御相談を申し上げ、その御希望も踏まえて作業を進めていこうということでやっておるわけですが、ハンビー飛行場は返してもいいという条件になっておりますので、その点は問題ないわけでございます。ただ、地元側で現在私ども聞いておりますのは、キャンプ瑞慶覧の国道側の返還とあわせて返してほしいというふうに聞いておりますので、なお地元側とよく相談して進めていきたい、こういうふうに考えております。
  90. 正森成二

    ○正森委員 銅崎さんはそういう御意見ですけれども、こちらが余りもたもたしておるものですから、米軍の方はすっかりいい気になっておると言うといけませんけれども、私を案内した米側将校などは、ハンビーというのはヘリコプター駐機場としては理想的なんだ、アイデアルという言葉を、私は英語はよくできないのですが、二遍ぐらい使いましたですね。それで、普天間が非常に手狭なんで、あそこの必要性は非常に高いのだということで、いまの状態ではてこでも返さぬというような雰囲気ですね。ですから、まごまごしておると、日本側はそれほどあそこは要らないのだ、必要性が少ないのだ、一方米側は理想的なヘリの駐機場であり、そして普天間の込みぐあいからいってもなかなか放せないということで、その返還の実現性がますます失われていくというように思うのですね。ですから、それについてもう少し施設庁としては現地と詰めて、返還してもらえるものはさせるということが必要だと思うのですが、それについてもう一度伺いたいと思います。米軍はアイデアルだと言って、ものすごく使う気ですよ。
  91. 鳥羽浜雄

    ○鳥羽説明員 お答えいたします。  ハンビー飛行場部分の返還につきましては、第十五回の安保協議委員会におきまして、リロケーション条件返還されるというふうに日米間で合意されておる場所でございます。ただいま委員会の下部機構としまして移設部会というのが設置されておりまして、そこで、果たしてどういうリロケーションをしたらいいのかという細部にわたって調整中でございます。したがいまして、そのリロケーション内容日米間で詰めて、それを実施した後に返還されるということでございまして、基本的にはそういう線で作業を進めておる段階でございます。(「何も知らないんだな、二個中隊は行っているんじゃないか」と呼ぶ者あり)
  92. 正森成二

    ○正森委員 いま同僚議員が言われたように、ヘリコプターがたくさんおりまして、それで本当にここは必要性があるということで、米軍はとても返すどころの話じゃないですよ。  それからもう一つ言うておきますと、私が屋嘉部落に五番、六番の砲座があるというようなこと、従来の三番、四番などと違って、これは涵養林に着弾地があるということをお話ししましたね。話の中で、少し話を正確にするために、砲座を地図のところへ大体の位置をかき込んでくれ、こう言うたら、ここへ紙が参りまして、砲座を明示した図面は米軍の都合で提出できないとのことです、お許しください、こう来ておる。これは何ということを言うのですか。私は行って見てきたのですよ、そこへ行って。だから、地図を持ってきてくれれば、私だってこの部分だと言ってかけるのです。伊芸の区長のいられる、あれは何というのですかね、伊芸の部落には事務所があるのです、区の事務所が。そこから三番、四番などは真ん前に見えるのですよ。そんなものは地図があれば、村民だって、ここにひょいと丸できるのですよ。そんなものを米軍の都合で提出できないなんて、一体何事ですか。施設だって目に見えているのですから、ここにひょっと丸できるでしょうが。私は、ここが涵養林で、ここが射撃場だというように説明すれば説明がしやすいと思って言ったのです。ここは施設じゃないのですか。嘉手納飛行場だって、滑走路がどこにあるかぐらい、どの市役所だって地図で、こう写真を写して、張ってあるでしょうが。私は自分で見てきて、その砲座の中に入ったのですよ。それが出せないとは一体何事だ。  アメリカ局長、これはそういうようになっているのですか。ここはベトナム戦場じゃないのだ。砲座が明らかになったぐらいで何が悪い。
  93. 銅崎富司

    銅崎政府委員 お答え申し上げます。  そういうメモが先生の方に行ったというのをいま初めて承知したわけでございますが、米側とよく相談いたしまして、お出しするように努力いたします。
  94. 正森成二

    ○正森委員 私はそんな十センチ右に寄っておるとか左に寄っておるという意味で、その米軍の砲座を何かで砲撃してやろうと思って出せと言うんじゃないのです。ここで質問するために、大体どの位置だというだけだから、五百メートルぐらい右にいったって左にいったってどうということないのですよ。そんなものは何も米側から出させなくたって施設庁で出せるでしょうが。そんなものは承知しているでしょうが。こんなことまで米側に断らなければ国会に出せないのですか。そのことの方がずっと重大だ。施設庁は自分の意思で、その位置さえ大体のところを丸できないのですか。それを答弁しなさい。それならそれで、それの方が重大だ。こんなことさえ一々米側の許可をもらっているのか。それなら従属国じゃないか。
  95. 銅崎富司

    銅崎政府委員 大体のところでいいということでございましたら、後刻お出しいたします。
  96. 正森成二

    ○正森委員 それなら結構ですけれども、質問一つするにもこういうようなことをわが国の国会で言われる。しかも、その砲座は、きのう私が砲座の中に入ってきた場所ですよ。そんなでたらめなことがありますか、あなた。  アメリカ局長、これはそういうぐあいになっているのですか。国会で答弁するにしても、そんな場所は、一々米軍の許しがなければ出せないようになっているのですか。
  97. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 米軍施設の詳細につきましては、米軍が管理権を持っておりますから、問い合わせなければならないことはあると思いますが、もちろん施設については施設庁承知しておられる面もあるわけでございますから、施設庁承知しておられる限りにおいてお出しすることについてまでアメリカに一々了解を取りつける必要はないと思います。
  98. 正森成二

    ○正森委員 それは私、そのとおりだと思うのですね。それをこういうようなことを言ってくるということは、私はもってのほかだと思いますね。わざわざ事前に、話を簡単にするために、涵養林はここだと、それで求めたのですから。  それでは、別の問題に移ります。沖縄の失業対策について質問をしたいと思います。  十二月五日の総理府の統計局の発表によりますと、十月の統計でございますが、沖縄の失業率はついに六%を記録しております。完全失業者の数は二万四千人。全国的にも失業率は増大しておりまして、完全失業率は一・九%ですが、その三倍を超えておるという状況であります。しかも、これは今回だけの現象ではなしに、復帰後一貫した傾向なんですね。ちなみに申し上げますと、四十七年度では沖縄が二・九%のときに全国では一・四%、本土の二倍であります。四十八年度は三・五%のときに本土では一・三%。四十九年度、沖縄で四・〇%のときに全国で一・四%、大体本土の二・八倍になっていますね。今回はついに六%台になって、三倍になった。つまりシェーレといいますか、格差がますます広がる一方であるということは言えると思うのですね。  ところが、復帰前はどうであったかということを調べてみますと、たとえば四十五年では沖縄県は〇・八%であります。そのとき本土全体の平均は一・二%であります。四十六年は県が一・〇%のときに全国は一・二%であります。つまり復帰前の方は、むしろ全国平均よりも少なかったのに、復帰になってからますますその格差が広がっていくというような状況でございまして、それは非常に重大な問題であるというように思うのですね。これは同僚議員が何回もお聞きになったことですけれども、こういうように失業の格差が増大しているというのは、どこに原因があるとつかんでいますか。
  99. 石井辰治

    ○石井説明員 失業率の高い原因でございますが、私ども、三点あると思っております。  第一点は、沖縄県の就業構造がいわゆる第三次産業に偏った就業構造になっておりまして、数字を申し上げますと、沖縄県が六三%程度でありますのに対しまして全国は五二%ということでございまして、非常に第三次産業のウエートが高いということと、もう一点は、いわゆる小零細企業が圧倒的に多うございまして、雇用吸収力の多い製造業が少ないというのが第一点でございます。  それから第二点は、復帰後いわゆる駐留軍労務者とかあるいは本土復帰に伴います制度改廃によるいわゆる復帰失業者が増大したというのが第二点でございます。  それから第三点は、全国的な不況の影響を沖縄県がより一層強く受けておる、この三点ではないかと思います。
  100. 正森成二

    ○正森委員 いまの答弁の中では、県における労働力を吸収すべき産業の基盤が非常に弱いというようなことに重点を置いて答えられたと思うんですね。しかし、その答弁の中にもありましたように、軍雇用者の解雇というものがこの近年非常にずば抜けて多くなったということが非常に大きな原因をなして、それが産業基盤の弱いということと絡み合っているということは、これは一般的傾向として言えると思うのですね。ちなみに、四十四年から本年八月までの、第四種を含めた軍労働者の累積解雇者数は一万六千三百五十七人ですね。そのうち、県の労働関係調査によりますと、就職者数は三千四十九人で、約一万三千人がまだ失業したまま残っておるというのが統計上言える問題であります。  そこで、これらの離職者に対してどういうように対策を講じて、再就職を保障するように努力してきたかという点について簡単に答えてください。
  101. 石井辰治

    ○石井説明員 駐留軍関係、四種を含めまして中高年齢者の比率が非常に高いということ、それからいわゆる基地労働の態様というものが、通常の民間企業におきます労働の態様とかなり違っておるということ、それから沖繩県におきます雇用機会がきわめて不足をしているといったようなことから、先生御指摘のように非常な滞留が見られるわけでございます。  私どもこれに対しまして、従来からいわゆる就職促進手当とか再就職奨励金というようなものあるいは雇用奨励金といったような各種の就職上の援護措置を拡充してまいっております。それから国、県等が一体となりまして総合職業相談所を設置いたしまして、職業紹介体制を強化するというような問題、そのほか本土への就職を希望される方に対しましてはいろいろな援護措置を講ずるといったようなことをあらましやってきております。
  102. 正森成二

    ○正森委員 時間がありませんので、大分私も省略して聞きたいと思っておりますけれども、駐留軍の労務者の場合には、勤めているときの仕事が非常に単純なんですね。それで技術がありませんので、駐留軍の離職者だというだけでなかなか求人側が歓迎しないというような傾向もあるということを、現地で聞いたら言うているんですね。したがって、雇用促進のために技術を身につけるということは非常に必要だと思うのですね。     〔委員長退席、安井委員長代理着席〕 日経連の調査によりましても、一般的に失業の率は広がっておりますが、技能労働力につきましては、まだ二百万人ぐらい全国で不足しているというように日経連が言っておるような関係からいたしましても、職業訓練校を経て技術を身につけると、沖繩の場合でもそこの卒業生の就職率というのは非常に高いんですね。  そこで伺いたいと思いますが、促進事業団立というのがあるのですね。それから、県立というのがあるようですが、これらを含めて、全国にはいま何ヵ所ぐらいの職業訓練校がありますか、そして沖繩の場合には何校ですか、お答えください。
  103. 石井辰治

    ○石井説明員 全国の職業訓練校は全部で四百三十八校ございます。訓練生数は二十一万ということになっております。  沖繩県につきましては、先生お話しなさっておりますように、県立の職業訓練校は二校、それから雇用促進事業団立の訓練校が一校あったわけでございますけれども、五十年度におきまして、事業団立の訓練校としまして新たに沖繩南総合高等職業訓練校というものを開設いたしております。  そういったようなことで、駐留軍関係離職者等の能力再開発訓練を中心に、本年度におきましては、いろいろな訓練の訓練科目とか訓練生数を大幅に引き上げております。
  104. 正森成二

    ○正森委員 いまお答えがございましたように、全国で学校だけで四百三十八といいますと、平均しますと八ないし九校になりますね。それがこの間まで三つしがなかった。ふえて四つである。もちろん沖繩の県人口が百万で、全国平均より少ないということもあろうかと思いますけれども、そのかわり失業の率は三倍からになっておるということから見ますと、せめて平均の八校、九校はあってもいいのではないか。あるいはもっと設備、定員を拡充すべきであるというように思うのですが、そういう点について、労働省や開発庁で具体的な計画を持っておられますか、あるいは来年度予算ではこの職業訓練関係にどのくらいの予算要求されておりますか、伺いたいと思います。
  105. 石井辰治

    ○石井説明員 雇用促進事業団立の訓練校が二校あると先ほど申し上げましたけれども、事業団立の訓練校が二校あるということは、人口等から見まして、少ない数ではないわけでございます。ただ、県立の訓練校が全国平均より非常に少ないわけでございますが、これにつきましては、私ども、これは補助制度でございますので、県の方で設置されるという意向がございました場合には、積極的に対応したいと思っております。
  106. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 職業訓練の問題は、沖繩開発庁所管事項でございませんので、予算要求いたしておりません。
  107. 正森成二

    ○正森委員 労働省としては、いまのところ促進事業団立のものは二校で、平均はいっている。あとは県立が少ないのだけれども、県立については、補助事業だから、県の方の予算関係というものを見きわめなければ、国だけで幾らということはできない、こういう考えですか。今度、国の関係ではその予算を労働省としては組んでおらない、こういうことですか。
  108. 石井辰治

    ○石井説明員 県立の訓練校につきましては、先ほど申し上げましたように補助制度でございまして、国の予算としましては特別に個所づけをしないで計上いたしております。したがいまして、先ほどと同じことでございますが、沖繩県から要請がございましたときには、積極的に対応したいと思っております。
  109. 正森成二

    ○正森委員 ここでもやはり沖繩の県財政が非常に貧困であるということと関係すると思うのですね。個所づけしていないから、一定の予算の中で、沖繩から出てくれば、それを優先的にあるいは先順位に扱うということは考えてもいい、こういう含みだろうと思うのですけれども、やはり先ほどの喜瀬武原の学校施設と同じような問題が起こってきているということは留意しておきたいと思います。     〔安井委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、別の問題に移りますが、沖繩振興開発特別措置法の第三十八条では「労働大臣は、沖繩の労働者の雇用を促進し、その職業の安定を図るため、沖繩県知事の意見をきいて、職業指導、職業紹介及び職業訓練の実施、就業の機会の増大を図るための事業の実施その他必要な事項に関する計画を作成し、その計画に基づき必要な措置を講ずるものとする。」というようになっておりますが、それについて具体的にどういうぐあいにやっておりますか。
  110. 石井辰治

    ○石井説明員 初めに結論を申し上げますと、御指摘計画につきましては、近く公示できますように目下作業を進めている段階でございます。  そこで、なぜこの計画がこのようにおくれたのかということでございますが、実はこの計画の主要項目の一つになると考えられました沖繩県から本土への広域職業紹介につきまして、沖繩県当局と私どもの意見が必ずしも一致しなかった面があったためでございます。この意見の相違も最近ほぼ解消いたしまして、本年十月からは、沖繩県全域を、職業安定法第十九条の二の規定に基づきますいわゆる広域職業紹介の送り出し地域としての指定をしたところでございまして、ごく近日中に労働省の案を取りまとめまして、沖繩県知事の意見を聞く準備を進めておるところでございます。
  111. 正森成二

    ○正森委員 公示すら行われていない、それは沖繩県側と意見が相違していたからである、それは近く解消される、言うてみればこういうことでしょう。  えらい立ち入って聞くようですが、いまの答弁の中に若干示唆される点はあったと思うのですが、どこが意見が食い違ったのですか、差し支えなければ簡単にお答えください。
  112. 石井辰治

    ○石井説明員 これは沖繩県の雇用対策のあり方と基本的にかかわると思うのですが、沖繩県の失業問題を解決するためには、一つの柱としまして、いわゆる本土就職の促進ということが重要であろうかと思うわけでございます。その点につきまして、従来、復帰後、沖繩県当局におかれましては、必ずしも本土就職につきまして賛成でなかったという面があったわけでございます。
  113. 正森成二

    ○正森委員 沖繩県としては、沖繩県の若年労働力などが本土へ流出して沖繩県の人口が減少するということでなしに、県内で就職してもらって県自身が発展するということを望まれた、これは県としては当然のことだったと思うのですね。それが近く意見が一致してくる見込みがあるということば、恐らく沖繩県が、これはもう沖繩県だけで解決しようと思ってはにっちもさっちもいかない、だから本土へ就職に出ていくということも大筋では認めなければならないというようになられたのであろうかと推察するのですけれども、それだけに、沖繩における失業問題というのはいかに重大であるか、どこでも自分の県で賄えればそういうことはなるべくしたくない、特に沖繩の場合には、本土に復帰したのに人口がどんどん流出していく、何かいいことがあるかと思ったら、余りいいことがなかった、いいことというのは本土へ比較的自由に行けるだけである、それでそういうことにはなりたくないと思った、その気持ちはわかると思うのですね。ですから、いろいろ失業をなくしていくということは非常に大きな問題で、場合によったら本土へ御就職になるということも必要ではございますけれども、沖繩県内で就業をする機会がふえるように、私としては要望しておきたいと思うのですね。  その関係で、関連して一言聞かせていただきます。私どもが調べさせていただいたところによりますと、公共事業関係が、沖繩の場合には比較的他の県に比べまして削減されないで残っておるという点については、開発庁もいろいろ努力なされただろうということで、その労を多としたいと思いますが、私どもが四十七年から五十年までの一億円以上の沖繩県の土木工事の会社別の契約高を調べてみますと、全部で六十三件あるのですが、二十一件、三三%以上が本土の建設会社が契約しているわけですね。ところが、この本土の建設会社というのは全部連れてくる場合が非常に多くて、そして沖繩県における労働力に就職の機会を与えるという点では、比較的貢献度が少ないということを地元で非常に聞いているわけですね。  そこで、私は伺いたいと思うのですが、沖繩振興開発特別措置法の「職業の安定のための特別措置」という中に第三十九条というのがありますね。これは時間がございませんので省略いたしますが、労働省告示で、沖繩の場合には吸収率六〇%とたしか決めていると思うのですね。ところが、この六〇%の吸収率というのが実際は実現されていないのじゃないか。この点については、どういうようにこの吸収率を守るように明示し、監督を行っているか、どういうぐあいにその率を実際上高めているかという点についての総合事務局のお考えを伺いたいと思います。あるいは労働省のお考えを伺いたいと思います。
  114. 石井辰治

    ○石井説明員 御指摘のように、復帰の際に吸収率六〇%という定めをいたしたわけでございます。この吸収率は必ずしも守られておらないという点がございましたので、先般沖繩開発庁に対しまして、失業者の就業確保の問題につきまして書面で要請をいたしますとともに、あわせまして十月八日でございますけれども、職業安定局長の名前によりまして、沖繩県知事に対しまして、沖繩総合事務局などのいわゆる公共事業発注機関との連絡を密にして、この制度の周知徹底を図り、職場を確保してもらいたいということで、御示唆を申し上げたわけでございます。今後もこの制度の適切な運用につきまして、私ども十分努力をしてまいりたいと思っております。
  115. 正森成二

    ○正森委員 いまの答弁にもありましたように、非常にこの点の周知徹底、守らせるという点が不十分なんですね。明文の規定がございまして、それに基づいて六〇%という告示をしているわけですね。ですから、非常に困難はありましょうとも、公共事業を受注した会社にそれを守らせるということですから、そういうのを絶対守らないというならそういうところには受注させないというような点も含めて、これはきちんと監督あるいは実施というものをやってもらいませんと、これが本土と同じ程度の失業率でとどまっているのでも、本土が二%というような失業率ですから大変ですのに、その三倍の六%といいますと、本土全体が六%になりますと、これは大変なことですよ。ですから、そういう点については労働省、あるいはこれは総合事務局は行政上関係ないのですか、相携えてそういう点については厳正な行政をやってほしいと思うのです。
  116. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 総合事務局は、直轄工事については発注者でございますので、当然尊重すべき役回りは果たしておるかと思います。  ただ、先ほどちょっとお話がございましたので、この際お答えさせていただきますけれども、いわゆる公共事業の発注につきまして、復帰の際に本土と同じ業者区分をいたしまして、五段階別、A、B、C、D、E、俗称そう申しておりますけれども、五段階の業者区分をいたしまして、それに見合う発注形式をとってきたわけでございます。ただいまのところ、総合事務局にいわゆる登録されております業者数は、沖繩県内業者百三十、それから本土業者が百二十三ということになっておりまして、外形基準で工事量に見合って指名をやってまいります関係で、ことに海洋博関連工事の大きいものがございました関係で、指名にかなり本土業者が入っておったということで、御指摘のようなパーセンテージが出てまいったわけでございます。  私ども、五十年度予算からいわゆる地元歩どまりをできるだけ大きくするという趣旨で、予算の重点自体を土地改良とか公立文教施設という方に切りかえていったわけでありまして、五十一年度も同じ方向でやっているわけでありますけれども、いままで復帰後四年近く発注してまいりまして、直轄工事につきましてもおのずからいままでの既成観念での五段階区分にこだわる必要は必ずしもないのではないか、各業者の実績、能力その他わかってまいっておりますので、それに従いまして逐次いわゆるランク分けを変えていくという形に進めてまいりたい、さように考えております。
  117. 正森成二

    ○正森委員 いま答弁がありましたけれども、せっかく公共事業をやる場合に、仕事ができるというだけでなしに、その仕事を通じて現地の業者に仕事を出す、そして現地の労働力が雇用されるようにするということは、これはやはり公共事業としての一つの大きな目的でもあろうかと思うのですね。わが党は、官公需の発注について中小企業をできるだけ優先させるということで、これは法律にも精神規定としてはありますけれども、それを沖繩についてはますます特に留意していただきたいということを要望しておきたいと思います。  時間が迫ってまいりましたが、対米請求権の放棄の問題について、当委員会にも沖繩住民等が受けた損害の補償に関する特別措置法というので継続案件になっておりますが、この問題に関連して若干伺いたいと思います。  昨年の第一次要求及びことし七月の第二次分の合計が千百五十九億五千四百万円、累計いたしますとそういうことになっておると思います。請求項目が十三項目、件数は約十二万件というようになっておるようでありますが、問題処理の主務官庁もまだ十分に決まらないで、関係省庁を網羅した処理機関というのもできていないというように聞いております。これらは非常に複雑な問題でございますが、どういうような調査を行ったのか、調査の結果はどのようにまとめられたのか、そしてこれらの作業の中で今後どのような調査体制が必要と考えるのか、最終的にはどこが責任を持つべきであると考えておられるのか、これらの点について一応承りたいと思います。
  118. 銅崎富司

    銅崎政府委員 お答え申し上げます。  沖繩のいわゆる対米請求権問題につきましては、当面、沖繩開発庁の協力のもとに防衛施設庁調査を行うことになりまして、昭和四十八年度以降実態の把握に努めてきております。本年九月までに、沖繩返還協定放棄請求権等補償推進協議会からの第一次要請分、それから沖繩県漁連要請分につきまして概況調査を終わっております。現在、前に申しました補償推進協議会からの第二次要請分について調査を進めているところでございます。  調査の結果、各請求項目ごとの被害内容の概要は把握できました。しかし、幾つかの問題がございまして、まず一つは、返還協定四条二項事案とみなされるもので取り扱いにつき検討を要するもの、それから二番目に、アメリカの施政権時代の補償と重複しているおそれのあるもの、それから地籍が不明確であるため、現地との照合が困難であるもの、損害額評価時点が区々であり、統一がとれていないこと、事実確認がきわめて困難であり、関係市町村でも立証困難であること、それから補償体系自体が成り立つかどうか疑義のあるもの等の問題がございまして、私どもの判断といたしましては、さらに精密調査をする必要があるということで、沖繩県等の協力も得まして引き続き調査を実施していきたいと思っております。  現在、この調査結果に基づきまして沖繩開発庁、総理府審議室等とも今後どういうふうに取り扱っていくか等について協議しているところでございまして、総理府のどこかにこの処理をする機関を設けて、統一的にどういう処理方針でどういう補償基準でやるか、そういう必要があるのではないかということで、いろいろ関係の機関で協議をしているところでございます。
  119. 正森成二

    ○正森委員 報道によりますと、総理府の中に総括室というようなものを設けて窓口にしたいというような意見も政府部内で出ているというように聞いておりますが、その点はいかがですか。一説によると、防衛施設庁も開発庁も、内容が複雑多岐で実態の掌握がむずかしいから、お互いにどうぞ、どうぞと言って譲り合って、責任を余り持ちたがらぬというようなことも報道されておりますが、その点も絡めて答弁してください。
  120. 山田績

    山田政府委員 この問題の調査につきましては、ただいま施設部長からお話がございましたように、一応概況と申しますかサンプル的な調査——サンプルといいましても相当膨大なものでございますが、でき上がっておりますが、これでは残念ながら先ほどいろいろ指摘されましたように問題点が多うございまして、直ちに処理方針をそこから決定するというまでに至っておりません。  したがいまして、今後の段階としては、いまお話がありましたように、もう少し掘り下げて、各項目ごとにそれぞれどういう考え方をすべきかという点もあわせながら検討してまいろうということで、場合によりますれば項目によりまして、施設庁と私の方で分担をしまして調査をさらに深めていきたいということで、実は五十一年度予算につきましても、従来私どもはございませんでしたけれども、開発庁としても予算要求をいたしております。  それから、いまお話がございました統一的な窓口の問題でございます。これは新聞に出ましたのは、私どももそういうのが直ちに公表されるとは夢にも思わなかったわけでございますけれども、寄り寄り協議しておりますのは、実は内閣審議室が一応まとめの窓口になっておりますので、そこでいろいろな意見をぶっつけ合っております。その中の一つの意見としまして、いまお話がございましたように、やはり総理府に対策室みたいなものを設けた方が、基本的な方針を統一的に考える意味におきましても非常に便利ではないかということで、しかも膨大な調査でございますから、やはり最後は実態として一つ一つ十何万件を具体的にどうするかということはむずかしい問題がございます。したがって、基本的に一定の原則を立てまして進めなければできないのではないか。そうなりました場合には、やはりいまの統一的な窓口でやった方がいいのではないかという考え方を私どもは持っておるわけでございます。しかしながら、まだ審議室の段階で最終的に固まったものではございません。
  121. 正森成二

    ○正森委員 時間がございませんので、いま統一的な原則を設けるというその原則の定め方に、私どもが承知しておるところではいろいろ問題があるので伺いたいと思ったのですが、それは次の機会にさせていただきます。  最後に一言だけ伺います。防衛施設庁が漁業損害補償獲得協議会と交渉されて、漁業の問題については、全部は妥結しないにしても、とりあえずこれだけは認められるというものについて、来年度予算に計上してお渡ししたいというような段階になっておると聞いておりますが、それはそのとおりですか。来年度予算幾ら計上されましたか。
  122. 銅崎富司

    銅崎政府委員 いわゆる漁業補償の請求権関係の問題でございますが、漁業関係の事案につきましては、概況調査というのが漁連の方に資料がございまして、陸上関係の請求権の各事項に比べましてかなりはっきりした調査ができておるわけでございますが、ただいまも申し上げましたように、この問題についてどういうふうな処理をしていったらいいか、陸上の分と海上の分とどういうかみ合わせになるか、統一的な基準をどうするかということでございますので、開発庁それから内閣審議室とまだ相談中でございまして、概算要求をする段階になっておりません。
  123. 正森成二

    ○正森委員 しかし、新聞報道によると、最近、復帰後三億ですか、二十年と見て六十億だけれども、とりあえずそのうち二十億ないし三十億については先払いしようというようなことで予算要求しているんだとか、するんだとか、もう新聞にどんどん出ておりますね。来年度予算は二十九日までにできちゃうのでしょう。概算要求するについてもまだ意見がまとまっていないということは、来年度の予算予算請求しないということですか、それともすることはするんだけれども、細かい何万何千円までは決まっていないという意味ですか。それが非常にあいまいだから、その点だけはっきりしてください。
  124. 銅崎富司

    銅崎政府委員 漁業関係補償の問題につきまして、考え方がいつまとまるかということになるかと思うのですが、現在のところ来年度概算要求するという段階までに立ち至っていないということでございます。
  125. 正森成二

    ○正森委員 概算要求する段階になっていないと、いまになってそんなことを言っているようじゃ、協議会の皆さんはずいぶん失望しますよ。私は非常に残念なことだと思います。しかし、その点については後でまた詰めさしていただくとして、時間でございますから、終わらせていただきます。
  126. 松本忠助

    松本委員長 次に、渡部一郎君。
  127. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 最初に、VOA沖繩中継局の問題について伺いたいと存じます。  ボイス・オブ・アメリカ沖繩県における存続につきましては、返還協定審査の際に大きな問題になったわけであります。これは現在どういう形で存続をしており、その法的な根拠及び沖繩返還協定の際に明らかにされたような復帰後五年にして撤去するという約束については、どういうふうに履行されようとしているか、その問題についてまず原則的に伺いたいと存じます。
  128. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 VOAにつきましては、沖繩返還協定の八条によりまして、協定の発効後五年間VOAの中継局の運営を継続することになったわけでございますが、その協定に書いてありますように、協定が発効いたしました二年後に、VOAの将来の運営について協議に入ることになっております。  そこで、昨年の五月及び六月に、この規定に基づきまして、日米両国政府はこのVOA中継局の将来の運営につき協議を行った次第でございます。その協議におきまして、わが方から、この中継局の活動はできるだけ早期に、少なくとも一九七七年五月十五日までに終了するということを強く希望するという立場を再確認いたしました。これに対しましてアメリカ側は、わが方の立場を了承いたしまして、返還協定の第八条及び第八条に関する合意議事録に基づいて、一九七七年五月十五日までに代替施設建設を完了するようにあらゆる努力を行うということを答えた次第でございます。その後、わが方から米側に対して、この米側の立場につき随時照会いたしておりますが、アメリカ側は、その立場に変更はないということを答えております。  そこで、では実際にどうするかということになるわけでございますが、この点も先方の予算措置その他をわれわれもずっとフォローしておるわけでございますが、アメリカの広報庁と訳しますか、USIAは、一九七六年度予算中に無線施設の取得という項目を立てておりまして、その中に沖繩VOA中継局移転費用の一部として六百八十四万ドルを計上いたしておりまして、この予算の歳出法案は、すでに米国の上下両院を通過いたしておりまして、十月二十一日に大統領の署名を得て、成立をいたしておる次第でございます。  こういうわけでございまして、その予算措置も着々講じられておるようでございますから、われわれとしては、VOAは期限までに撤去されるものと確信いたしております。
  129. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 このボイス・オブ・アメリカの放送の内容について、沖繩返還協定の際に大変問題になりまして、このような謀略放送、わが国の国益を損するような運用というものは慎むべきである旨の質問が行われ、それに対して、十分郵政省とも連絡をとって外務省は努力をする旨の御発言もあったやに記憶しておるわけであります。  放送内容について、現在どういうチェックをされているか、伺いたい。
  130. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 放送につきましては、郵政省の方の御努力でこれをテープにとっていただきまして、外務省に送付していただきまして、われわれはその内容の把握に努めております。  他方、USIAからは毎回プログラムの提供を受けておる次第でございます。
  131. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 その内容について、わが国の国益を害し、あるいはわが国の外交的立場を損なうようなものはなかったと確認されておるのですか。
  132. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 VOAの放送は、御承知のとおりニュース及びニュース解説、それから音楽というふうなものでございまして、われわれもその内容の把握に努めておりますけれども、わが国の国益を害するようなものはないと確信しております。
  133. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そのとられたテープは提出することが可能でありますか。
  134. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 毎日の放送のテープでございますから膨大なものになりますけれども、われわれとしてはその内容の把握に努めておりまして、関係の部分について御要求がございましたら提出することもできます。
  135. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、その撤去の時期が先ほどのお話のように迫っておるとすれば、日本人従業員の処遇について、もはやその将来を考慮する時期が来たのではないかと思われます。現在のVOA従業員の人数、あるいは雇用関係、あるいはその法的身分等に関して御説明をいただきたい。
  136. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 VOAに雇用されております日本人職員の数は、実は最終的にきょうもチェックいたしたわけでございますが、七十二名でございます。この人々は、VOAつまりUSIAの一部でございますから、米国政府機関に雇用されておる。そこで、そういう政府機関に雇用されている人としての待遇は受けているわけでございます。したがいまして、もしVOAが撤去される場合には、米国政府とのそういう雇用契約関係が終了するということになるわけでございます。
  137. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 この人々は、現在アメリカ合衆国のUSIAに雇用されておるというお話でありますから、当然日本国の失業保険制度その他の中には入っていないものと思われます。現在、彼らの説明によれば、アメリカ合衆国の年金制度で、アメリカ系の保険会社に加入しており、本人が五〇%を負担し、残りを米国政府負担しており、六十三歳から支給される、こういう形になっているようであります。ちなみに、本人負担は月額四千円だそうであります。もし、これが五十二年五月解職ということになりますと、その年金の権利も失うわけであります。そうしますと、当人たちは失業保険もない、年金もないという状況でほうり出される形になるわけでありますが、その辺をどう評価しておられますか。
  138. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 VOAに雇用されておる日本人の方々については、仰せのとおり失業保険は受けられないわけでございますが、そのかわり米国側の制度によりまして退職金はもらえることになっております。また、年金につきましては、私たちも詳細をまだよく把握するに至っておりませんので、アメリカ側にも、どういうふうにするのか照会して、調査してみたいと考えております。
  139. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 防衛施設局に伺いますが、防衛施設局としてこのVOAは監督あるいは何らかのこの問題に関する関与をしておられるかどうかを伺いたい。
  140. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  ただいまのところVOAの従業員は、いわゆる通常申しておりますところの従業員、MLC、IHAの従業員とは別の性格でございます。したがって、私どもでいま関与しております従業員はMLC従業員並びにlHAの従業員並びに船員関係、MCでございますが、これを担当しておりますが、VOAの関係従業員についてはいまのところ関与しておりません。
  141. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうしますと、これらの職員の失業保険や年金のたぐいも同じような状況になっているのでしょうか。
  142. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 その身分関係並びに年金関係の待遇が同じであるかどうか、その辺は私ども必ずしも十分把握しておるわけではございません。
  143. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これは明らかに年金あるいは失業保険との関係が、VOAの関係で非常に不明瞭だということは、少なくとも日本人職員の将来の生活安定に非常に大きな問題が残っていることを示しているわけであります。したがって、防衛施設局の方も、御自分の所管されるそういう米国政府系に勤めている日本人職員に関しては、十分お調べをいただきたい。また、アメリカ局の方も、VOAの職員の身分に関し十分調べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  144. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 これは私ども施設庁の担当範囲だけの問題ではございませんので、将来の各省庁の問題といたしまして、検討事項として調査検討させていただきたいと思います。
  145. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 VOAに雇われている方々は、確かに施設庁の所管の問題ではないわけでございますが、VOAは米国政府機関の一部をなすものでございますので、外務省といたしましても非常に関心を持っておりまして、その方々の身分の問題あるいは退職後の問題については十分調査いたしまして、アメリカ側に対してできるだけのことをするように、われわれとしても努力してまいりたいと存じます。
  146. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 VOA沖繩中継局の従業員有志一同から私の手元に来ている陳情によれば——地元では労働組合の編成をVOA当局が認めていないことと未加入者がいるというので、従業員有志という形でこの文書が届けられてきております。  要望の一つとして、VOAの縮小及び撤去に伴う離職者全員に対し、最小限軍離職者並みの待遇をしていただきたい。一般の軍離職者といま待遇が違っているようであります。特に従事者免許というような身につけた職種の各種の免許資格があるようでありますが、それがわが国と法制上違っておりますから、自動車免許一つにしてもわが国の方には通じない、フォークリフト一つにしても通じないというような——フォークリフトがあるかどうか私知りませんが、そういうものがこちらに通じないかっこうになっているようであります。それをひとつ何とかしていただきたい。  それから、従業員の再就職可能な身分保障あるいは就職あっせんの労をとっていただきたい。この二項目につき、要望が出ているわけであります。  アメリカ局長にすべてお答えいただくのも、いろいろ範囲もございますでしょうが、総括してお答えいただけませんでしょうか。
  147. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 外務省としても、この問題に関して権限を持っているという問題ではございませんけれども、確かに駐留軍離職者の方々とできるだけ同一の待遇が与えられるようにすべきだということについては、われわれとしてもできるだけの努力をいたしたいと思います。この比較が非常にむずかしい問題でございまして、VOAの従業員の方々の場合には、先ほど申し上げました退職金のほか、ある一定資格があれば年金が支給されるという面がございます。他方、駐留軍関係者の場合には、離職の場合に特別給付金というものが与えられるということがございますので、この点につきましては関係省庁ともいろいろ研究をいたしまして、実質的に待遇が余り違わないように、われわれとしてもよく研究をし七まいりたいと思います。  それから、就職あっせんその他の問題でございますが、この点に関しましてわれわれの承知しております限りでは、外務省の所管ではございませんが、沖繩振興開発特別措置法によって、就職指導を受けたりあるいは就職促進手当の支給を受けるということはできると聞いております。
  148. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、前回当沖繩特別委員会調査団が沖繩に参りましたときに挙げられた問題につきまして、その後進展してない問題がございますので、ばらばらでございますが、お伺いをいたします。  まず、海洋博の跡地利用及びポスト海洋博の問題について伺います。  同海洋博の全体的な収支決算と申しますか、総入場者数はどれくらいで収支はどれくらいになる見通しであるか、また海洋博跡地の利用についてはどういうことになっておるか、その辺まずお伺いしたいと思います。
  149. 増山孝明

    ○増山説明員 海洋博覧会協会関係の件につきましてお答え申し上げますが、海洋博の総入場予定は、当初四百四十五万人と計画しておった次第でございますけれども、その後の不況等の影響を受けまして若干観客の動員がにぶっておりまして、現在までのところ約二割方入場者の予想が減少する状態になっております。  それから、総合収支でございますけれども、入場者が減少いたしますと、その分入場料収入は落み込むわけでございますが、一方、経費の節減とか他の財源の獲得に目下努力中でございますので、全体的な総合収支につきましては、いまのところ何ともお答えできないという状態になっております。
  150. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 跡利用計画について申し上げます。  御承知のように、七月十五日の閣議決定をもちまして、あの地域を国営の記念公園とするという閣議決定がなされております。その後、われわれが政府関係各省及び沖繩県と折衝いたしまして、大体詰まってまいりました方角は、九十万平米のうち、沖繩県が必要といたします独自の利用計画を持っております十八万平米を除いた七十二万平米の地域を公園とする。それで、現在大部分が県有地でございますので、国営公園といたします関係で国有地に移すわけでございますが、その関係につきましては、そのうちの約三分の一程度の土地をまずとりあえず国有に移すということで、先日成立いたしました補正予算に計上済みでございます。約八億五千万の金額になるかと思います。ただいまのところ、残った作業といたしまして、沖繩開発庁に計上してございました特定公共事業推進調査費というものがございまして、そのうちから二千五百万円を建設省に移しかえをいたしまして、当該公園の詳細設計及び周辺地区の利用計画を絡めまして調査をするということで措置をいたしまして、ただいま建設省で学識経験者十二名から成る調査委員会をつくっておりまして、その詳細の結論が、非常に幾つもの部門に分かれておりますけれども、早いものは今月中、遅いものにつきましても来年早々には出てくるかと思います。  それで、残置いたします施設は、これも大体合意がなされておりまして、政府の出展をしております海洋文化館、沖繩県の出展しております沖繩館、それから同じく政府出展でございます人工ビーチ、水族館、それから国際三号館、これらのものは残すということでおおむね関係省庁間の合意ができている、こういう状況でございます。
  151. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 跡地利用の計画の立て方とも絡むと思いますが、これは西銘先生が御発言なさるといいのですが、沖繩の小学校のうち十二校しか海洋博は見に行っていない。行けなかったこともあるんだろうし、行く気がないこともあるだろうと思いますし、いろいろ事情は複雑だと思いますが、一つは行きにくかったことは事実だろうと思います。海洋博の最終日あるいはその後でもこれらの少年、少女が、あるいは沖繩の人々が無料で入れるようなことは考えられないか、いきなりつぶしてしまうのももったいないではないか、こういう考え方ですが、こういうのはどうですか。
  152. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 私どもといたしましては、あの地域を速やかに公園として人の入れる地域にしたいということを今日としては第一義的に考えているわけでございます。  ただ、残置いたします水族館、海洋文化館、沖繩館等は、いずれにしても展示施設として残るわけでございまして、ただいま沖繩県の方でいろいろ計画しておられるようでございますが、いわゆる民間館に出展されておるもののうち残していってくれるものといいますか、残してもらえるもの、出展企業側で残してくれるもので後々非常にそういう子供の教育上必要なものがあれば、それを残します残置施設の中のどこかに集約して残すということは当然考え得ることでございまして、沖繩県の側でいろいろ御検討のようでございますので、私の方はその結果を待っております。
  153. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 少なくとも海洋博は万国博覧会条約で定められた特別博覧会でありますから、そのままの形で残すことはできないのはわかっていますが、全部壊して直した後で見せるというのも一つの考えですけれども、海洋博終結の時点で別の名称で、沖繩海洋博フェアとか何かの形で期間を多少延長するかのごとき形で沖繩の人々にお見せするようなことをしたらどうか、少なくとも海洋博というものが現地の住民感情からして必ずしも成功したものとは言いがたい現況においては、そういう配慮が必要ではないか。少なくとも、見たかったけれども見られなかった、おもしろくなかったという感情的しこりを少しでも防ぐためにも、そういう配慮が必要ではないか。海洋博を実質的に延長し、しかもそれに伴う費用の支出というものは、それほど規模の大きいものではない。少なくとも、特に隣接地域における迷惑代ぐらいのつもりでそうしたことを考えてはどうか、こう思うのですけれども、どうでしょう。
  154. 増山孝明

    ○増山説明員 国際博覧会の終了後、いわゆるアンコールフェアと称して国内的な博覧会として延長してはどうかという御意見、かねてから地元に非常に強くあるわけでございますが、これを実施いたしますためには、各出展者とも六ヵ月間の会期ということで全部予算を組んで準備しておりますし、これをさらに延長いたしますと相当な経費が付加されるというようなこと、あるいは新しく記念公園として発足する時期を一刻でも早めたいということもございますので、海洋博そのものの施設をそのままの姿で名前を変えてさらにアンコールフェアとして継続するということは、現在のところ通産省では考えておりません。
  155. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それは課長さんがお答えになるのはちょっと無理だな。あなたはたちが悪いよ、指で課長さんを指図して返事させたというのは。彼は説明員であって、あなたは政府委員なんだから、政府委員が答えなければいけませんね。だからあなたは、いま大臣がおられないのだから、大臣のかわりに、十分検討するとかなんとか言わなければ……。
  156. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 担当所管が違いますので、答弁を通産にお願いしたわけでございますけれども、沖繩開発庁としては、先ほど申しましたように公園にするという閣議決定がなされ、すでにそれに対する予算計上も補正予算で行われておりますので、一日も早くあれを公園にして沖繩の人々の利用に供するということを主眼に考えております。
  157. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 じゃ、この問題は、委員長、またしかるべきときに担当大臣などにお伝えをいただきまして配慮をお願いしたい、こう思います。  じゃ、次に、沖繩のこれからの起爆剤に海洋博をしようとしてがんばられたわけですけれども、いよいよ沖繩県の経済というものを立て直しをしなければいけないと思います。  そのじみな問題の一つとして、沖繩県がことしの八月二十七日に提出された書類を見ますと、「県内企業の育成と第一次産業の振興」として原則的なことが書かれております。まことに穏当であり、かつ実質やらなければならぬことが書かれているわけでありますが、引用いたしますと、「(2)県内企業の育成と第一次産業の振興県内既存企業による自給度の向上を図るため、経営構造の高度化や経営の組織化を推進するとともに、県内産品の優先使用を行政的に強化したいと考えます。また、蔬菜等の団地形成、畜産基地建設、大型漁礁の設置など、農漁業生産基盤の整備及び季節変動調整機能を兼ねた流通機構を整備しつつ、第一次産業の振興を図ります。具体的施策 (1)畜産基地建設(2)沖繩県中央卸売市場の設置」、こうなっているわけでありますが、まずその基礎として挙げられた畜産基地建設からお伺いしたい。  この畜産基地建設するという構想は非常に結構でありますが、実際具体論としてどこまでいま来ているのか、またそれに政府としてはどう対応していこうとしておられるのか、その辺をお伺いいたします。
  158. 山田績

    山田説明員 お答えします。  沖繩県におきます畜産の振興と畜産物の安定的なる供給を図るために、飼料基盤の拡充強化というものがどうしても必要でございます。  そこで、沖繩県にはまだ利用されていない山林原野が存在しておりますから、これを開発して、近代的なる農業経営群による大規模なる畜産物の濃密なる生産団地というものを建設していく必要がございます。具体的に申しますと、大体一団地百五十ヘクタールで、そこで畜種複合型と言いまして大家畜と中小家畜とを混在させまして、そういう形態をそこに集約的につくっていくということでございます。  これが畜産基地の構想でありますが、このため農林省におきましては、沖繩県におきまして農用地開発公団による基地建設事業の実施を予定しておりまして、現在、本島北部の山原地区と石垣地区、石垣島全体をかけておりますが、調査計画を実施しているところでございまして、石垣地区につきましては昭和五十一年度から事業実施に入る予定になっております。ただいま大蔵省の方に予算をお願いしているところでございます。これら計画等を踏まえまして、沖繩の畜産基地建設を今後促進していきたい、こういうふうに思っております。
  159. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 その団地は何団地ぐらいをおつくりになるおつもりですか。そしてまた、頭数にしてどれくらいのものを見込んでおられるか。また、団地のできた近郷近在の既存の畜産農家に対して悪い影響がないかどうか。むしろいい影響のあることを望んでいるわけですが、その点はどうですか。
  160. 山田績

    山田説明員 ただいま申しましたように、一つの団地が最低百五十ヘクタールでございまして、地域がまとまりますならば百八十ヘクタールでも二百ヘクタールにでもなっていくわけでございます。一つにまとまらなくても飛び地でもよろしゅうございます。そして、そこに飼う家畜の数は、豚換算とわれわれ申しますけれども、豚の頭数に換算いたしまして約一万頭でございます。  それから、既存の畜産農家にどういう影響があるかというお話でございますが、既存の畜産農家は、御案内のように土地条件あるいは公害問題等で規模拡大がうまくいかないというようなものがありますと、そこの団地に移転してくる、そして経営参加をするということで、その団地に入ってまいりまして、そして自分の経営を拡大していくということで、既存の養鶏あるいは養豚、肉用牛の生産農家との調和は十分図れるものと思っております。
  161. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 何団地おつくりになりますか。
  162. 山田績

    山田説明員 いまのところ、計画では石垣が第一、第二、第三と三団地ぐらいの計画でございます。それから山原の方は、いま調査をいたしておりますけれども、事業を実施するに至るまでにはまだ土地の権利調整その他が未調整のところが多うございますから、明年度は予算要求しておりません。  何団地とおっしゃいましたけれども、明年度は石垣の第一工区と申しますか、第一団地から入っていくつもりでございます。
  163. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうしますと、その畜産基地建設すると同時に、そういうものの卸売あるいはリフリジェレーターのようなものであるとか、コールドチェーンであるとかあるいは運搬船の問題、そういうものも一緒にずっと出てくると思うのです。  まず、その運搬あるいは本土に対する移送あるいは島内における消費のための流通チェーンの整備とか、そうしたものについてはどういう構想を持っておられますか。
  164. 山田績

    山田説明員 大変申しわけございませんが、食肉鶏卵課長がただいま来ておりません。私は自給飼料課長でございますがお答え申し上げますと、そのような大規模畜産基地をつくりますと、当然、屠場の整備あるいは食肉加工施設とか、いま先生御指摘の本土に対しますところの移送施設というものが必要になってくることもあります。はっきり予算名を申し上げられませんけれども、総合食肉整備事業というものもございますから、事業の振興にあわせて食肉の特に流通面の整備、あるいは種畜、そこに入れる家畜の供給、家畜導入のあり方とか優良家畜の導入とかいうことも基地事業の振興とともに十分配慮しなければならない問題と思っております。
  165. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、ここで挙げられたように畜産基地建設はいまようやくスタートし始めた、こういうことなんでしょうが、この畜産団地は政府まる抱えでやるのじゃなくて、どれくらいの補助率で予算をつけられるか。
  166. 山田績

    山田説明員 ただいま畜産基地事業は、福島県の麓山地区と島根県の石央というところと二ヵ所実施しております。これは本土でございます。その場合の補助率は国費六〇%になっております。沖繩は今年度初めて予算要求をしておるわけでございます。御案内のように本土、北海道、沖繩、こういうふうになっておりまして、いま大蔵省の方にはそれ以上の補助率ということでお願いしているところでございます。
  167. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 まだ決まっているわけじゃないわけですね。
  168. 山田績

    山田説明員 決まっていないけれども、六〇%ではとても沖繩の御負担が大変だろうということはるる御説明申し上げているところでございますから、それ以上のことはひとつ御容赦願いたいと思います。
  169. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これはぜひとも一〇〇%にしていただかなければならないですね。地元ではできないだろうと思いますよ。とてもじゃないけれども六〇%や七〇%じゃ話にならないし、沖繩経済を自立させる実質的なスタートとなるべきものでありましょうから、その辺十分御配慮いただきたいと思います。  後の御努力をお願いするとしまして、さて中央卸売市場の方は、まだできてないなんてとんでもない話なんですけれども、沖繩の現在の流通システムとの調和もありましょうし、過渡的な処置が行われなければならない段階でもありましょうが、具体的な計画を早く公示され、住民の支持のもとにつくられていくことが望ましいと私は思っておりますが、中央卸売市場の設置の問題につきまして、御説明をいただきたいと思います。
  170. 岡田明輝

    ○岡田説明員 実質関係を御説明申し上げます。  中央卸売市場につきましては、御承知のように中央卸売市場整備計画というのをつくりまして、これによりまして全国的に計画的な整備を進めることといたしております。  沖繩県につきましては、現行の中央卸売市場整備計画によりますと、五十五年度までに那覇市の那覇新港と申しますか、ここに沖繩県が開設する沖繩県中央卸売市場といいますものを青果物、水産物の両方を取り扱います総合市場として開設すること、そういう計画になっております。私どもの方と沖繩県の担当部局の方では、埋め立て事業が行われておりますので、その埋め立て事業の進展、その度合いを見計らいつつ、できるだけ速やかに市場の建設に着手するようにいたしたい、そういうふうに思っております。
  171. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 もうちょっと詳しく答えられませんか。埋め立て事業はいつごろ終わって、そして中央卸売市場の建設にいつかかるのか、いつごろできそうな見通しなのか、今年の予算措置はどう行われているのか、そういうふうにお答えいただけませんか。
  172. 岡田明輝

    ○岡田説明員 埋め立て事業は、私どもで聞いております限りでは五十二年度までに完成するというふうに聞いております。したがいまして、五十三年度以降、市場の基盤整備とそれから上屋の建設事業にかかっていきまして、五十五年度末までには完成させたい、そういう計画になっております。したがいまして、現在のところ、現在出しております五十一年度の予算要求では、沖繩県の基盤整備に対する補助というものは計上されておりません。  以上であります。
  173. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 いまの方は非常に若々しく率直に答えてくださいましたから驚いたわけですが、人間、生活するのに何と言ったって飯を食わなければならないし、野菜を食べて、畜産物を何とか手に入れてというふうになるわけですね。その一番大事な卸売の部分が、まだ埋め立てをゆっくりやっているんだな。いま昭和五十年です。五十二年まで埋め立てをやっていて、五十三年になってやっと上屋を建て始めて、五十三年の末にでき上がる。上屋ができただけじゃ運行その他がたがたしますから、早く行ったって一年でスタートするというのは考えられない。私は神戸で東部卸売市場の建設のときに横で見ておりましたけれども、実際上屋ができ上がってさっと準備機構が全部できていても、まず一年というのはほとんど問題の続出であって、二年目、そうするとこれはまあよくて五十五年でしょう。これはちょっとおそ過ぎるんじゃないかな。それはいまでも飯は食っておるんだから構わないと言えばそういう事情は成り立つかもしれない。だけれども、中央卸売市場の整備ができていないことに基づく物価の極端な騰貴あるいは新鮮な物を供給しがたいという状況は現にあらわれておる。だから、これは埋め立てをしてから完成するまでの間、便宜にどこかに土地を設けて卸売市場の実際の運行を図るのが当然ではないかと思うのですがね。こういうやり方は非常識ですよ。これはよし悪しの問題ではなくて非常識の問題に属する。しかし、これ以上伺ってもこれはだめでしょうね。課長さんなんだから、ちょっといまの御答弁以上の返事ができないし、そこの局長さんに言えば、おれの所管じゃないと言うだろうし、総務長官は来ないし、困ったな。だから、これはしようがないから振興局長答えなさい。これはとんでもない。
  174. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 ただいまの問題でございますけれども、既存の流通秩序というのはそれなりにでき上がっておりまして、それとの間の摩擦というのはいろいろ起こり得る可能性がございますし、性急に事を運びますと、それに伴っていろいろ問題は出てまいります。その大部分、相当多数の中小企業といいますかが、そういう食料品販売その他をやっておるわけでございますので、その点はやはり本土の大都会のような調子には運べないという問題があるかと思います。埋め立てが五十二年というのはおそいではないかというお話は、国が埋め立てをやっておるものではございませんので、その辺のスピードの関係は私、判断いたしかねますが、そういうことでございます。
  175. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これではちょっと質問が続きません。これはちょっと困りますね。  確かに既存の流通機構との摩擦が起こるということは本当ですから、この切りかえはものすごい手間を要します。だから、埋め立てをいまやっている間、何にも流通機構に手をつけないというのではなくて、流通機構の整備はいますぐ始めてかかっていないとだめだ、それが行われている気配がないので心配だ。たとえば那覇市の真ん中で、ニガウリをおばさんたちが持ってきて売っているところがありますね。屋根もないところですね。そうすると、雨が降るとずぶずぶになってしまう。その日は荷物を担いで帰ってしまう。そういうところに屋根覆いをつけるくらいなら一ヵ月もあればつくのですから、それくらいのところは始める。そういう流通機構の整備から始められたらどうなんですか。これは答えられるんじゃないですかね。
  176. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 お答えにならないかもしれませんが、那覇市内で沖繩県の経済連が一部の蔬菜について卸売機能に施設をつくっております。ただし、実際問題としてはほとんど利用されておりませんで、実際の生産者から流通に移る、それから消費に移る段階はすべていわゆる相対応対の形でなされているのが現状でございます。そういう現状のもとで性急に事を運ぶというのは、やはり沖繩経済にとっては大変なショックとなりかねないということは事実であろうと私は思います。
  177. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 急がなくてもいいものを大分急いだ形跡もありますから、慎重になられたのは結構ですけれども、私はそれは逆じゃないかと思いますね。卸売市場というものの持つ意味合いというのは非常に大きなものです。小売市場というものを安定させるためにいままで相対応対なんですから、非常に大きな掛け値をしなければ、いま小売屋というものはやっていけないという状況がありますね。また、いつでも購入するときに腐ってしまうことを覚悟した上で、ある程度小売屋はストックを持たなければならないという条件が生まれてくる。したがって、妙なコストが小売段階に反映するのですから、私はいま何もあなたに卸売の講義をしようとは思わないけれども、もうちょっと考えておいていただかなければならない。したがって、この問題は、中央卸売市場の整備計画について、きょうこの委員会質問で答弁が出ないのはこれでわかりましたから、しょうがないので、振興局長、ひとつ責任を持っていただいて、後ほど御説明をいただきたい。しかるべき官庁に対してこの問題についての計画を立案させ、早急に計画をつくる。計画は早ければ早いほどいいのですから、早急に計画をつくる。そして、沖繩の青果市場あるいは畜産市場等の市場を安定させるための可能な限りの手を、もっと大幅にかつ具体的に実効あるように打つということについて要求しておきますが、よろしゅうございますか。
  178. 井上幸夫

    ○井上(幸)政府委員 そのような努力をいたします。
  179. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、琉球大学の医学部のことを伺います。  琉球大学のこの実際的な計画の具体的政策の中に入っておるわけでありますが、琉球大学の医学部をつくってほしいというお話が何回も何回も出ておって、とんざしておるわけでありますが、現在の状況はどうなっており、予算要求はどうされておるのか。この琉大の医学部設置の問題は、沖繩の医療問題のかぎとして、必要性が幾ら強く言われても言われ過ぎることはないほどの問題だと思います。ひとつお願いします。
  180. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 沖繩県の医療事情を勘案してみます場合に、医学部はぜひ早期に設置しなければならない、そういう切実な事情を私どもも再三見聞きさせていただいておるわけでございます。そこで、文部省といたしましては、昭和四十八年度に医科大学等設置調査会の中に琉球大学小委員会というのを設けまして、ここで検討をした次第であります。そこで、先ほど申しました事情を踏まえて、医学教育機関を設置することが必要と当然認められたわけであります。ただ、そのために県の方で具体的な条件等を十分検討いただいて、さらに琉球大学の方でも具体的な調査研究を行うことが適当である、こうされた次第であります。昭和五十年度の予算では、琉球大学の中に医学部設置調査経費を計上いたしまして、文部省の調査を踏まえて琉球大学が中心になって現地における具体的な調査研究が進められております。目下琉球大学でその研究が進められておるわけでございますが、来年度もさらにまたこれを一歩進めるということで調査費の予算要求をしておる、そういう状況になっておる次第でございます。
  181. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 どうもそれはのろいのだな。五十一年度に、調査費の要求というのはどれくらいしているのですか。何を調査する費用を見込んでおられるのか。
  182. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 昭和五十年度の予算額と申しますと、百九十万円の予算額でありますけれども、これは医学部の設置等についての、たとえば解剖体の収集であるとか、あるいは教官の確保計画であるとか、こういうことにつきまして、相当専門的な意見をまとめていかなければならない、その会議のための経費を来年度もさらに要求をしておる、こういう事情でございます。
  183. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 百九十万円の予算というのは会議費の一部でしょうね、実際的には。だから、お茶をいただいてお菓子をいただいて仲よくお話をするのに適当な費用でしょう。恐らくこれだったら一月一回の会議でしょうね、この百九十万というのは。これはちょっとスピードがのろ過ぎるし、むしろ設置を延ばすために予算をつけたとしか思われない、この予算については。これはちょっとまずいんじゃないかと思いますよ。これは各党の意見も一致していることでもありますし、予算要求もちょっと——五十一年度予算にどれくらい要求されたのですか。要求しているところは、あなた方の責任ですよ。判断するところは、大蔵省が悪いし、政府が悪い、大臣が悪いというふうにわれわれ言うけれども、要求するところまで下がってはいかぬと思うんだな。いま幾ら要求されていますか。
  184. 齋藤諦淳

    ○齋藤説明員 この調査経費で、現在沖繩大学の学長とかあるいは県立中部病院長とか、こういう人が会議に加わっておられますし、それから本土の方からは懸田克躬といいまして順天堂大学の学長とか、あるいは佐藤八郎といいまして前鹿児島大学の医学部長で現在鹿児島逓信病院の院長をしておられますが、こういう方々に専門調査をしていただいておりますが、先ほども申し上げましたように、具体的の教官の確保等につきまして、それから解剖体につきましても相当まだ専門的な問題がある、こういうことでございますので、そういう趣旨で私どもとしましては金額は増額の要求をしておりますけれども、性格としてはさらにこの調査研究を進める、こういうことでございます。  なお具体的には、たとえば琉球大学の中の医学部でございますので、琉球大学自身が統合移転をするという大問題を抱えておりまして、この統合移転の一環として琉球大学が医学部をつくらなければならないという問題もございます。当初、現在与儀にあります病院を活用してここで医学部をつくるべきではないか、そうすれば早急にできるではないかということで、私どももずいぶん推進したわけでございますけれども、残念ながらこの与儀の地区はわずかに一万九千平米という非常に狭い敷地でございます。内地の場合には二十万平米程度が医学部としては今後のことを考えればぜひ必要である、こういうことになりましたので、四十八年度の文部省の調査の際に、いままで一万九千平米のあそこでやるべきである、こういうことで来ておったわけでありますけれども、将来を考えてぜひ移転すべきである、こういうことになりましたので、相当計画がおくれました。そういう事情にありますことをひとつ御了解願いたい、こういうように考える次第であります。
  185. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 琉大の医学部の問題は、そうしますといろいろな問題点があるのはわかりますが、いま挙げられたお医者さん方を費用を出して集めて、そして討議をするというだけでは、これは問題が片づかないほど問題が多いだろうと思いますね。だから、集められるメンバーをもっと拡大しなければいけない。少なくともそういう大学の統合移転の問題だったら、文部省の学術国際局長、大学局長あたりが正面から出ていって、また大蔵省の主計官なんか出ていって相談しなければ、時間がかかるばかりだ。むだですね。評論家の集いみたいになってしまう。また、本当に沖繩に医学部が欲しいという住民の意見が代表されていないし、その意味では、ちょっとメンバーも不足だし、取り上げ方の仕組み自体が問題だと思いますよ。あなたはこれ以上御判断をされるポストにはないのでしょうけれども、それは上司の方によく言われて、少なくとも当委員会では各党を通して何回も言われて、こういうようにサボられるというのは、はなはだ不本意ですね。  委員長、これもひとつ委員長の方で関係当局に対する御指示をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  186. 松本忠助

    松本委員長 後刻理事会にお諮りいたしまして、さよう取り計らうように善処いたしましょう。
  187. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それから、文部省来ておられるついでに申し上げますが、例の識名小学校の問題はその後どう進展しましたでしょうか、お伺いいたします。
  188. 西崎清久

    ○西崎説明員 先般九月に先生からお話のございました識名の件でございますが、お話の趣旨も含めまして、私ども沖繩県を通じまして鋭意お話し合いをしたわけでございます。  現時点での姿と申しますと、那覇市土地開発公社が、識名小学校分離校の用地といたしまして約一万二千平米の用地を確保できることになっております。そこで、私どもは県を通じまして、この一万二千平米の取得土地については那覇市が買い取ることになるわけでございますから、本年度ぜひ那覇市は開発公社からこれを買い取るべく予算計上し、私どもは本年度予算で補助いたしたいというふうな話をしておりまして、この一万二千平米につきましては補助申請が出てくる予定になっておるわけでございます。全体計画としましては二万平米あるわけでございますが、いろいろ地権者の問題もありまして、二万平米のうち、いま一万二千平米が努力によって買い取られておるわけでございますが、残余のものについては今後も鋭意努力をしたいというふうに話を聞いております。  なお、私どもも県を通じまして指導を強めてまいりたいというふうに思っております。
  189. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、この補助が認められますと、いつごろになるとこの学校が建ち上がるということになるわけですか、この時間的な関係を言ってください。
  190. 西崎清久

    ○西崎説明員 私どもが沖繩県を通じて聞いておりますのは、この識名小学校につきましての分離新設校は、開設年度を五十二年度と予定しておるようでございます。したがいまして、一万二千平米買い取れた部分の土地に、可能であれば五十一年度から建築に取りかかりたいという意向を聞いておるわけでございますが、その配置計画その他についてはまだ詳しく存じておりません。しかし、五十二年度開設であるとしますならば、五十一年度からかかるのが至当でございますので、その点も私ども今後詰めてまいりたいというふうに思っております。
  191. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これはぜひ御努力をお願いいたします。  次は、B52。外務省をお待たせしているようですが、B52がしばしば沖繩へやってくる。台風でやってくるというお話に理論的にはなっておるわけであります。台風が来たんで来たんだ、それである日また突然帰っていく、こういう状況県民としては好ましく思っておらない。簡単にやってくる。簡単に出動していく。そうして、現地の米軍ヘリコプターの兵隊たちの言うことでは、この間もタイのそばまでわれわれは軍事行動として出動したというようなことを述べておる。そのアメリカ軍のきわめて政治的なB52という飛行機の飛来については、もう少し厳格なルールがあってしかるべきではないかと考えておるわけです。  そこで伺うのですが、B52飛来に関しての、通常のわが国に対する意思表示、通報はどういう形で行われておるか。そして、それをもっと厳格な形で運用すべきではないか、これにお答え願いたい。
  192. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 B52の飛来に関しましては、かつてベトナム戦争との関連でたびたび問題になりましたことでもありまして、昭和四十七年七月に、当時の大平外務大臣とインガソル駐日大使との間で話し合いが行われまして、アメリカ側としては、日本国民の、ことに沖繩の方々のB52に対する感情も十分理解できるので、平常の事態においては、台風避難等緊急やむを得ない場合のほかは飛来させることはないということを申したわけでございます。そういう一つの紳士約束といいますか、そういうものができておるわけでございます。したがいまして、その後三年ほど実際に飛来することはなかったわけでございますが、今回たまたまグアムを襲いました二つの台風、連続してそういうものが参ったために、二回にわたってB52が飛来いたしました。しかし、そのときはわれわれとしても、台風が現実にグアムを襲いそうであるということも気象庁その他を通じて確かめたわけでございます。そして、アメリカ側から、こういう飛来するということについて事前の通報は受けておったわけでございます。また、台風が去りました後は、いずれも直ちに沖繩を去っております。
  193. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、この台風通報で、わが方としては気象庁を通じてそれを確認し、かつ向こう側から事前通報を受けておる、そして向こうはその台風が去った後には帰っておる、こういう三つの過程でチェックされているわけですね。  そうすると、私らが言うのは、もう一つは、核兵器をその都度搬入してくるのかどうかについて確認をされるのが当然だと思いますが、その点はいかがですか。
  194. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 その点に関しましては、われわれはそういう通報を受けるときは、当然アームドであるか武装していないかということを確認いたしております。また、実際に核兵器を積んでくるものならば、当然事前協議にかけられるべきものと考えますが、事前協議はいたしておりません。
  195. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、これは随時協議のやり方でやられておるのですか。どういう形、安保条約のどの規定に基づくものと理解されておりますか。
  196. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 これは米軍の配置ということになり、そしてそれが重要な配置の変更ということになれば、事前協議対象となるわけでございますが、この程度の規模のものでございますと、そういうものには当たらないわけでございます。また、事実、配置でもございません。したがいまして、事前協議の問題ではございませんが、強いて申せば、そういう随時協議に当たるかとは思いますけれども、そういう部隊の通常の移動等は、米軍としては、場合によってわが方に通報することによって行い得るわけでございます。
  197. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 最後に、六価クロムのその後の問題を伺いたい。  六価クロムの問題について、沖繩の労働基準局長から県知事及び駐留米陸軍司令官にあて指導勧告が九月二十三日の段階で行われ、その後洗浄液サンプルの分析結果が発表されたやに伺っているわけでありますが、その後の状況はどうなっておるかをお伺いしたいと存じます。
  198. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 沖繩の牧港補給地区におきまして、八月の中旬、六価クロムを含有いたします洗浄廃液が流出いたしまして、それを契機といたしまして、労働本省からも私を含め三人の係官が、現地の職員を交えまして当地区の立ち入り調査をしたわけでございます。この結果につきまして、先ほど先生の御指摘にありましたような現地局長の文書による是正勧告をしたわけでございます。  その内容につきましては、調査の際に、各種の有機溶剤を使っておりますが、これに基づく所定の健康診断が実施されていなかったこと、それから有機溶剤等につきましては、わが国の安全衛生法令によりまして内容の表示を容器等にする必要のあるものがあるわけでございます。それがなされないでコードナンバーのみが記載され、内容が何であるかというのは取り扱い労働者がわからないというような状況があったこと、それからこれらのものを取り扱う場合につきまして、やはり注意して取り扱わなくてはなりませんが、その取り扱いの注意事項につきまして、所要の事項をその作業場所に要点を掲示するという必要がございますが、これが必ずしも十分に行われていない、あっても英語で書いてあるとか非常に簡単過ぎるというような点があったこと、それから保護具、防毒マスク等を着用しなければならないわけでございますが、これにつきまして必ずしもその着用が励行されていないこと、有機溶剤を使う場合に、局所排気装置が有効に稼働しまして、有害物質が離散する、または空気中に蒸気となって存在するのをできるだけ排気装置で抜いていくということが必要でございますが、局所排気装置は現にございますが、必ずしも押す方と引く方とのバランスがうまくとれてないというような事例が一点ございましたこと等がわかりましたので、これらにつきましての是正勧告をしたわけでございます。  これらの是正内容につきまして、その後現地監督機関におきまして、陸軍当局に対しましてその実施方を求めているわけでございますが、その中の労働者の健診でございますが、米軍といたしましては現に牧港地区に働いております労働者のうち、過去及び現在洗浄作業に従事した者二百三十一名につきまして、十月二十四日までに健診を完了したという報告が出てきております。  それから、六価クロムにつきましては、当初立ち入った場合に、洗浄廃液になぜ六価クロムが含有されていたかということが明瞭でなかったわけでございます。その際、米軍から洗浄に使った原液の提出を求めまして、それを労働本省へ持ち帰りまして衛生研究所で分析したところ、六百三十二ppmの六価クロムを含有していることがわかったわけでございます。したがいまして、どういう理由からこれらの六価クロム物質を洗浄原液に入れたのかということを、米政府を通じましてメーカーに問い合わせたところ、さびどめの目的をもってクロム酸ナトリウムを混入したということがわかったわけでございます。  なおこれは、この六百三十二ppmから推算いたしますと、〇・二%の含有率になるわけでございまして、わが国の法令から見まして、一%以上含有する六価クロムの取り扱い作業につきまして所要の規制措置がございますが、〇・二%程度含有した洗浄液を取り扱う場合につきましては、六価クロム自体についての健診とか必要な措置義務というのはないわけでございます。  なお、表示等の問題につきましては、現在、現地の機関が、効果的な表示ができるよう具体的なラベルの作製等を指導しているところでございます。
  199. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 健診の結果、その二百三十一名の人々に障害あるいはその他のものはありませんでしたか。
  200. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  労働省からの勧告によりまして、私どもとしてとりました措置を申し上げます。  九月二十三日に労働基準局からの勧告を受けまして、当庁といたしましては直ちに沖繩県に対して、勧告の具体的な措置を現地米軍協議、調整して、早くその勧告に従うように、改善を具現するように指示をいたしました。引き続き十月四日に、在日米軍司令部に勧告の速やかな実施方を要請しております。さらに、十月二十三日、長官名をもちまして従業員の安全衛生の確保並びに施設、区域の環境の保全方を在日米軍司令官あてに要請しております。  他方、健康診断の問題でございますが、勧告を受けました後、九月二十九日から、沖繩現地によって従業員二百三十一名に対する健診を十月二十四日に終了しております。ただ、この健診の結果に関しましては、現在沖繩県の方で鋭意調整中でございます。大体県の報告によりますと、来年の一月を目途としてその結果を明らかにしたいというふうな報告を受けております。
  201. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 なぜそんなふうに時間がかかるのか。あなたはいま微妙な言い方で、検査結果については調整中であると言われた。調整したというのは、出たデータを妙なぐあいに調整することも可能ですね。それは何かおかしなことをやっておるのですか。
  202. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 私の言葉が足りませんで申しわけございませんが、調整という言葉を使ったのはそういう意味でございませんで、いわゆる勧告の内容を具現するようにあれするということを米軍に申し入れると同時に、健診の問題に関しましては六価クロムによるものであるかどうか、そういうふうなものを含めまして、それ以外のものも含めまして、現在健診を受けた従業員で何らかの体の異常があるという方々についてのリストを作製中である、健診をしていただいた先生方のその健診結果を待っておるということでございます。  なお、その健診結果が明らかになりました後においては、当然、その中で体の異常者というものが出た場合は、再び第二次健診を実施すべく、現地沖繩県を通じまして米軍とはすでに話し合いを進めております。
  203. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これは六価クロムでやられたらしい人が存在することは、もうすでにわれわれは知っているわけですし、回りくどい言い方をなさらずとも、十名ないし二十名というような規模で障害者が出てくるだろうと思われます。この人々の医療費というものは米軍で全部めんどうを見ることになるわけですね。その辺はどうなんですか。
  204. 佐々木肇

    ○佐々木説明員 当然、米軍の方の経費によって第二次健診も実施する予定でございます。
  205. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 治す方……。
  206. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 現在行っております健診につきましては、有機溶剤を取り扱っていた労働者につきまして法定健診義務がございます。それに対して実施しているわけでございますが、ただ今回社会問題化しましたのは、クロムがその有機溶剤中に含まれているということがあったわけでございまして、したがいまして健診項目の中にクロムの項目も付加いたしまして健診いたしているわけでございます。法律的には、先ほど申しましたように、〇・二%程度の六価クロムの含有物を取り扱っていた場合につきましては、クロムの健診そのものは法的義務じゃございませんが、今回の状況にかんがみまして、健診項目を追加したわけでございます。  そういう点で、今後健診その他によりまして異常が出た、それが有機溶剤その他作業中に取り扱っていた物質なり作業内容によりまして疾病が生じたということが明らかであれば、現在の労働者の方々は労働保険によりまして、わが国の労働災害保険の支給対象者になっております。したがいまして、これらにつきましては業務上の疾病といたしまして労災保険の方から所要の費用を支弁するということになるわけでございます。
  207. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 こうした問題についての原則的立場は理解できますが、その有機溶剤の少なくともクロムが臨時的にまぜ合わされた洗浄液によってそれが起きたかどうかについて、それを論証する、確証するということはきわめてむずかしいのだろうと私は思います。そうした場合に、厳格な適用をすればするほど境目があいまいになってくるだろう、その境目があいまいになればなるほど政府のとられる処置に対する住民の不安というか不満ですね、大きくなるだろうと思います。それも十分御配慮の上、適切な御処置をとられるように私は要望したい、こう思っているわけであります。  さて、これで前回の沖繩調査の際に挙げられた項目に関する質問は、全部終了させていただきました。  どうもありがとうございました。
  208. 松本忠助

    松本委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後二時十七分散会