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木村国務大臣 新全総がまだ決まっておりません中で
空港とか港湾とかの長期
計画を組んでおる点でございますが、まだ新全総は決まっておりませんし、いずれ今週末か来週政府といたしましても
予算編成の大綱を決める
ようになると思いますけれ
ども、前提となりますのは、いままでの
ような、一昨年ごろまでありました高度の経済の成長ということは前提にいたしておりません。緩やかな成長ということで、五、六%あるいは七%ぐらいの
程度の経済成長ということを前提に考えておるわけでございます。なお、そういう非常に緩やかな成長ではございますが、それだけ成長していくわけでございますので、輸送の伸びというものも当然あるわけでございますから、それに対応する輸送力を整備するということも前提になっておるわけでございます。
ところで、いろいろと個々の
問題について御
質問がございましたが、
海運、造船
問題でございますが、御指摘の
ように
海運の不況が造船に響いておるということは現実の事実でございます。したがいまして、まず、造船等につきましても、従来の
計画造船は、ことし五十年度におきましても、従来の利子補給等はやめまして、また、その規模も収縮したわけでございますが、さらに今後の緩やかな経済の伸びということと
海運市況の将来ということを考えますと、現在の造船の設備で十分であるか、また、余り過ぎるのではないかという
問題があるわけでございまして、これらにつきましては、逐次そういった整理も行う
ような前提で、他に転換する
方法等も含めまして、その方向で造船に対する
予算編成あるいは行政指導をやっていきたいと思っております。
また、
海運も、すでに集約もいたしておりまして、かなり徹底をしてまいっておりますけれ
ども、一般的に、世界的な
海運市況の悪化ということに備えましてさらに新しい考え方で
海運の指導もやらなければいけないと思っておりまして、現在、船主協会等
海運業者自体でまず今後の
海運対策について研究をさせておるわけでございまして、そういった過程も見ながら今後の
海運行政は進めていきたいと思っておるわけでございます。
それから、
国鉄の再建
問題でございますが、
国鉄の
予算の中身についてもいろいろ御
質問がございましたが、
国鉄は御承知の
ように大変な累積債務を持ち、いまのままでいきますと収支のアンバランスがますますひどくなるという
状況下でございますので、まず、今日までの累積債務をどの
ように処理するかということが一つの大きな
問題で、この
問題につきましてはいま
大蔵省といろいろ折衝をいたしております。
累積債務の中には
国鉄の資産の増加に見合うものもございますし、収支の赤字を補てんする意味の債務も入っておるわけでございますので、そういう累積債務の中身をしさいに
検討いたしまして、そして、これを全部五十一年度以後に持ち越すということは再建としては非常に困難でございますので、これらの全部かあるいは一部を政府が肩がわりをするという方向で現在
検討を進めておるわけでございます。これが現在
検討しておる中で一番大きい
問題となっております。
それから、補助の
問題でございますが、この累積債務を政府が肩がわりするということも大きい意味での補助の中に入るわけでございますが、さらに、
国鉄の輸送の実態を見ます場合に、いわゆる企業としてではなくて、公共使命達成のためにいろいろと普通以上の負担をして運営に当たっておる面がたくさんあるわけでございますから、それらはやはり毎年度政府がある
程度の補助をすべきであるというふうに考えておるわけでございます。
ローカル線の
問題につきましても、ローカル線の分け方はいろいろありますので、それらの仕分けも現在やっておりますけれ
ども、要するに、地方のローカル線で非常に赤字が多くて、しかも他に代替する
ような交通機関のないというふうなものがローカル線として最も極端な
状態にあるローカル線でございますが、そういうところは、国有
鉄道の使命からして、いかに赤字が出てもこれは
経営しなければならないというふうなものにつきましては政府がやはりめんどうを見なければならないが、これをどういう形でめんどうを見るかという
問題で現在折衝をいたしておるわけでございます。
それから、運賃の値上げの
方法等でございますけれ
ども、これも五十一年度単年度だけ見ましても大体九千億に近い収支のアンバランスが出ておりますので、それを全部運賃でカバーをするということにいたしますと、お話しの
ように、
総裁が申しております
ように倍に上げないとカバーはできません。しかし、一挙にそういうふうなことをやることが国民生活にいかに響くか、あるいは
物価にどう影響するかというふうな
問題も考えまして、この運賃の値上げの率、額等につきましてはいま経済企画庁等と相談をいたしておる最中でございますが、いずれにいたしましても運賃改定はいたさなければいけないと考えております。
そこで、その
方法につきまして、従来
国鉄の再建が中途倒れになりました一つの原因として適時適切な運賃改定ができなかったという事実があるわけでございますので、そういう点から考えまして、運賃改定の
方法をどういうふうにするかという
問題があります。現在は運賃法に基づいて国会で審議を願っておるわけでございますけれ
ども、あの運賃法の中にはキロ当たりの細かい賃率まで全部法律に盛り込む
ような仕組みになっておりますので、そのままでよろしいか、あるいはもう少し簡単にでき、しかも国民の納得できる
ような
方法が他にないであろうかというふうなことをいまいろいろ
検討いたしております。これは法制局との
関係もございまして、
検討の
段階であるわけでございます。
なお、合理化といえばすぐ首切りではないかというお話でございますが、もちろん余剰の人員の整理ということも当然含まれるわけでございますけれ
ども、もっと広い意味での
国鉄の
経営のやり方あるいは機械化をやるとか、あるいは合理的な配置転換をやるとか、いろいろな
方法がまだまだたくさんあると思いますし、それから遊休の資産の整理等ももっと活発にやるべきでありますので、これは
国鉄の
経営のあり方等を含めて合理化という
問題をとらえていくつもりでございます。
それから、輸送力の整備といいますか、輸送力増強が主で一番大切な公害防止等がなおざりになってはいないかという御指摘でございますが、港湾にいたしましても
空港整備にいたしましても、これらの長期
計画の中で重点を置いておりますのは何といたしましても公害の防止、環境の整備でございます。もちろん、冒頭に申し上げました
ように国民生活あるいは経済の伸びというものが、緩やかではありますがさらに今後発展してまいりますので、それに対応するだけの輸送力の整備、強化ということは並行して当然考えなければなりませんが、そのために公害の防止でありますとかあるいは環境の整備がおくれるということがあってはならない。過去におきましては遺憾ながらそういう面が確かにございました。そういうことも十分反省をいたしまして、環境整備や公害防止には特に
予算の上におきましても重点を置いて
予算要求をいたしておるわけでございます。
まだ足りない点があるいはあるかとも思いますが、以上申し上げた次第でございます。