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田中寿美子君 ただいまの
徳永先生のおっしゃいました
福祉のあり方ですね。これは私も非常に長い間
福祉の問題にはもちろん強い関心を持っておりますし、それから研究な
どもしてきましたし、各国の状況な
ども見てきております。そうしていま
福祉の
先進国と言われた国々でも、
地域福祉というのが
一つの方向としてみんな出つつあるところなんで、その点では賛成なんですが、その
地域福祉を確保していく条件というのをやっぱりつくっていきませんと、まだ大変不足の状況がある。そういう意味で、私はいまのは大変共鳴する点もたくさんあるんですけれ
ども、
大蔵大臣というのはそういう
福祉のための財源を見つけてくださる、それを配分してくださる人でございますからね。ですから、
厚生省当局が要求することに対しても、もうGNP第一の
経済でなく、切りかえつつおるときですから、ひとつ政治的な配慮で
考え方をどんどん切りかえていってくださらなければならない。物質的な条件を整えないでおいて
福祉を言うことは非常にむずかしくなりますので、ぜひそのことは頭に置いていただいて御
答弁をいただきたいわけなんです。
で、実はきょうは私、
政府関係
金融機関でありますところの公庫の貸し倒れ引当金——滞貸償却引当金という大変むずかしい言葉が使われておりますが、その問題一本にしぼってお尋ねするんですけれ
ども、
政府委員室の方が、銀行局だけでいいか、
大蔵大臣だけでいいかとたびたびお尋ねに見えましたけれ
ども、私が銀行局だけにしぼりましたのは、政治的な問題は
大蔵大臣がお答えくださるはずだし、お答えいただきたいと思うからなんでございます。
福祉ということを一生懸命に私たちも主張いたしますけれ
ども、その
福祉を主張するためには
福祉の財源というのが非常に必要である、その財源を捻出するために、私たちもいろいろと
野党の
立場からも
考えなきゃいけないし、それから、これまでの国家
予算の組み方も見直していかなきゃいけないんじゃないか、あるいはもっと大きく言って資源の配分も変えていくというような大きな政策が必要なんじゃないかという
立場をとっているわけでなんです。そういう点から、実は私はこの公庫の貸し倒れの引当金ですね、その計上の仕方に大変問題があるんではないかというふうに気がついたわけなんです。それは、三月五日の総括質問のときにも私はちょっと関連質問で触れまして、そのときに十分なお答えをいただいておりませんし、あのとき、
大蔵大臣覚えていらっしゃると思いますが、検討してみますというふうにお答えになっていらっしゃいますので、それで私はどのように検討なさっているのか、
大蔵大臣のお答えを聞きたいと思ったわけなんです。
その問題の順序を一通り、よくもう
大蔵大臣、非常にたくさんのことを頭に入れていらっしゃると思いますけれ
ども、この問題を私が
考えるようになった順序を申し上げてみます。
今回五十年度
予算の
大蔵省からいただいている資料の中で公庫の関係をずっと見ますと、四十九年度の利益のところですね、全部ゼロになっている。そして五十年度の予定のところに滞貸償却引当金というのを非常に大きな額を計上してあるというのがそもそも私が不思議に思った最初なんでございます。公庫というものは全部利益がないものなのかどうかということなんですね。それから見始めたわけなんで、実は四十九年の四月一日ですね、私がまだ
参議院の決算委員長をしておりましたときに、すでにこの問題は決算
委員会でわが党の小谷守さんが取り上げているわけなんです。そして、そのときに主張しておりますことは、小谷さんの方の主張したことは、滞貸引当金というものは非常にたくさんの高い率で計上してある、そして
大蔵省の方で洗いがえ方式というのでこれまでと方式を変えるようになったということである、しかし、非常に過分に貸し倒れ引当金が積み立ててあるにもかかわらず、実績としては貸し倒れというのは非常に少ししかないではないか、それはおかしいという点を
指摘されたわけなんです。そしたら、それに対して
大蔵省の答えていらっしゃることは、今回私が総括質問のときに関連して御質問しましたときのお答えと大体同じですし、その後はいろいろな資料を見てみると、
大蔵省当局の
考え方そのものに非常に問題があるんじゃないかという気がしたわけなんです。
それで、
予算を計上するためにたとえば主計局がなさる。しかし、銀行局というのは
政府関係の一種の
金融機関のようなもので、どうしても銀行局的な発想でなさると思うんですね。それで、私がきょう問題にするのは、
政府委員の方は、
大蔵省の当局の方は、この問題は幾らでも私に
説明をするから国会での質問はしないようにという御要望がありました。しかし、私はこれは非常におかしいんじゃないか。
説明は非常によくわかりました。大変丁寧に
説明していただきました。経過も
説明していただきました。だけれ
ども、こういう行政当局の
考え方に対して、あるいはやったことに対して、国会というのは
審議する権限がある。だから、その
審議する自由もあるはずだ。だから、私は銀行局の
人たちの
考えに対して、
大蔵大臣はもっと高い見地から政策的な
立場でお答えを願いたいと思いましたものですから、銀行局の方と
大蔵大臣だけをお願いしたわけなんです。
そこで、
答弁されたことにいろいろ問題がありましたが、あのときおっし ったことは、民間の経理とは違うんだ、これは国家の政策金融なんだから民間の経理とは違うんだ、しかも、
一般会計から公庫にはお金を繰り入れてくるものなんだから、無利息の一番いいお金でございまして、各
金融機関の資金コストを引き下げる役に立っておりますというふうに銀行
局長は三月五日には答えていらっしゃるわけなんですね。だから、これは政策金融として行うものなんだから資金コストを下げる役に立つし、大変いい金融の財源になるから、そのまま貸し倒れ引当金が使われなくても、取り崩されなくても、毎年毎年積み立ててきてその金額が大きくなったんだというようなことを答えていらっしゃるわけなんです。それで、ほかの一般の企業の経理とは違いますよということを言われ、それから去年答えていらっしゃるのは、政策金融なんだからリスクが多いと、だから積み立ててきたんだと、しかし、実態を見てみると実績では取り崩し額は少ないので、そろそろやり方を変えなきゃいけないと思っていたということなんですね。
そこでその次に、そのやり方を洗いがえ方式に変えるのについては、行政管理庁から勧告が出ているわけですね、四十八年の十月の十一日に。公庫の経理のやり方について問題があるから方式をちゃんと変えなさいと。その他いろいろ後でこれは触れたいと思いますが、行政管理庁からの勧告が出ている。その勧告に対して、
大蔵省当局の方も回答を出していらっしゃる。私はその両方を見ました。そこで、さっきから申しますように、
大蔵省当局の反省というものが余り私はないように思います。自分たちのやったことはちゃんとしていたんだ、民間金融とは違うぞ、政策金融なんだからこのくらいのことはあたりまえであって、そして利益というものを計上しないで、どんどん滞貸償却引当金が使われなければ毎年毎年積み上げていって、そしてそれを資金コストの安いものとして回しているんだからいいではないかと、こういう
考えがにじみ出ているわけなんですね。それにもかかわらず、実績としての取り崩しが少ないということを
指摘されたから、今回洗いがえ方式にいたしますと、何だか渋々これに従うような回答が出ているわけなんです。
そこで、
大蔵大臣にまず私は、公庫というものはこれは全額
一般会計から出資している。これは
国民の税金でございますね。ですから、
国民の
立場からして、この税金を繰り入れて出しているところの公庫の経理というものはそういうふうなやり方をしていていいのか、利益は全部なかったものにして積み上げてきたことについての反省というものがあってしかるべきではないかということが一点。
それから、公庫というものは、
一般会計から全額出資してそして使うから、利益が出たときにそれをまた国庫に返すということに原則としてなっているわけですね。それを全然返さないできたわけなんだけれ
ども、そういうやり方をしていていいのかということについての
大蔵大臣の御見解を、もう一度きちんとお尋ねしたいと思います。