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政府委員(澤邊守君) 五十年度から、民間にございます卵価安定基金に対しまして国が補てん財源の一部に新たに助成をするということにしたわけでございますが、このねらいは、もちろんその価格が低落した場合の経営打撃を緩和するということが直接の目的でございますが、それと同時に、従来、民間だけでやっておりました以上に国が援助をするということによりまして入りやすくするということによりまして、加入率を高め、しかも補てんを実施します場合には、別途行います
需要に見合った
計画生産という
事業に加入者が
協力をしていただくということを条件にして補てんを行うというような結びつきをすることによりまして
計画生産の達成を実現をしていこうと、その担保にしようというような
考えもあって、その二つをねらいとしておるわけでございます。
いずれにいたしましても、従来は自主的に民間でおやりになってたと、これに対しまして今回は国が補てん財源の一部を補助するというふうに変えますので、それに伴いまして国の財政支出の対象としてふさわしいような制度の中身につきまして若干の修正をしていただくということでございます。自主的なものであれば、とかく国は申し上げる必要もありませんけれ
ども、やはり国が助成をいたしますということになりますれば、他の価格安定制度、助成対策等とのバランスの問題もございますし、財政の支出ということになりますと、それなりの合理的なやり方を期待したいということで、仕組みについて若干改善をお願いすることにしておるわけでございます。
その主な点を申し上げますと、補てんにつきましては、従来は日別の価格を毎日見まして、一定の基準価格から下がりました場合には、下がった分を補てんをするというのが原則的な
考えでございますが、今回は日別ではなくして、月別に幾らの価格が実現をしたかということを市場におきます形成されます価格を見た上で把握しまして、それと基準価格との差を補てんをするというやり方にしたいと思っておるわけでございます。これは、私
どもで、他の
畜産物についても同じような補てん制度を、民間のものに対する助成という形でやっておりますけれ
ども、これも大体そういうことになっていますし、特に卵の性格からいたしますと、各農家とも原則として毎日出荷するというのでございますが、卸売価格は毎日変動しておるわけです。浮動をしておるわけでございますので、一日、仮に下がったといたしましても、直ちに補てんするというよりは、一定期間基準価格より下がったということによって初めて経営が打撃を受けるわけでございますので、一日下がりましても翌日回復すれば、基準価格以上になれば打撃を受けないわけでございますので、これはやはり一定期間をとらえてやるべきではないかと、これは極論いたしますと、一年間を見て
考えていいじゃないかと、こういう議論もございますけれ
ども、従来、毎日やっておったのをいきなり一年間にするということは制度的に飛躍がございますし、農家でもなかなか受け入れにくい点もあるだろうということで、私
どもといたしましては月別に直しております。まあ、他の制度も大体月別でやっておるということで月別補てんに改めるというのが一点でございます。
それからもう一点は、補てんの限度でございますが、従来は基準価格を下がりますれば、その一〇〇%全部補てんをするということにしておりますけれ
ども、これはやはり基準価格、これも他の制度とも関連をいたしますけれ
ども、私
どもで肉用牛なり、子豚についてやっぱり価格安定制度をやっております、国が若干の助成をいたしまして民間でやっていただいておりますけれ
ども、この場合も基準価格を下がったものをまるまるということではなくして、その下回った差額の八〇%を限度として補てんをするということにいたしておりますので、その部分、二〇%は経営努力にも期待するということで、八〇%を限度として頭切りするといいますか、そのような仕組みに改めていきたいというように
考えておるわけでございます。
もう一点、強いて申し上げれば、これは国が一応三カ年間ぐらいに三十数億ぐらいの補てんを、三十四億の補てんを必要とするであろうという推定のもとに、初年度といたしまして、その初年度分の二分の一を国が
予算を計上いたしまして助成することにしておるわけでございますが、実は将来の価格の
見通しといいますのは、なかなか的確にやりにくい面がございます。特に最近のように、
えさ価格が非常に変動しておりまして、これまで何回も上がりまして、ことしになってかなり下がってきておると、今後の
見通しいかんということになりますと正確には
見通しにくいということ、それから
需要も御承知のような不況下でございますので、平常の年よりはやっぱり異常な推移をいたしておりますので、的確に見通すことはできませんけれ
ども、一応その程度の補てんを必要とするという想定のもとに
予算を組んでおるわけでございますが、仮にそういうことで
予算を計上いたしましてやった場合に、初年度の場合であっても、補てん財源に不足を来たすというような場合も全く予期されないわけではないわけでございます、価格が予想外に下がったというような場合は。したがいまして、そういうときには、補てんの限度額——総額におきます限度額というものをやっぱり設けておく必要があると思います。ただ、当面、積立金が十分まだ掛金あるいは国の助成だけでは補てんはできないけれ
ども、年度内にさらに掛金が納入されるというような場合には、その限度において借り入れするということは、これは自己財源においていずれ返還可能でございますので、そういう借り入れ財源を原資にして補てんするということも
考えていっていいというように思います。
いずれにいたしましても野放しではないと、やはり補てんの総額におきます限度を設け、それに必要な借り入れの場合にも、健全な運営をするために
農林省が承認をするというような仕組みでやっていただきたいということをお願いをしているわけであります。