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瀬谷英行君 スピードの問題も、少し私は技術的な自己満足の面があるんじゃないかという気がするんですよ。三時間で走れたからというんでいい気分になっている。
東京−
博多間六時間五十六分という宣伝が大いに行われました。あと四分で七時間になるわけですね。何もそんなに無理して四分ぐらい刻んで六時間五十六分でございますというようなことを言わなくたって、七時間でいいじゃないですか。そういう点、私はやはり
国鉄には多少でもスピードでもって何か自己満足にふけるというきらいがあるような気がするわけです。いまスピードは大事だというふうに言われたけれども、安全の面から
考えると、私は二百キロ以上のスピードを四六時中維持をし続けるということは、去年
新幹線の事故、非常に多岐にわたって事故がふえてまいりましたけれども、この事故の件数と無
関係じゃないと思うのです。
それは、あれだけの巨大な重量を持った長い編成のものが二百キロ以上、昔の飛行機のスピードでもって、しかも五分か十分置きに走っているということは、どう
考えても物理的には無理が生ずると思うわけです。そういう無理を生じさせないようにするためには、安全という面もちっとは
考えなければいかぬ。安全という面も
考えるならば、私は二百キロ台のスピードに固執すべきではなかろう、こういう気がいたします。
たとえば上越
新幹線、これは
東京−新潟間に予定されているわけです。この三百キロ足らずのところをたとえば時速平均百四十キロぐらいで走ったって二時間で行けるわけですね。いままで約四時間近くかかっていたのを二時間にすれば、それで私はいいんじゃないかという気がする。ところが、二百キロ以上のスピードを出したとなれば、これは一時間半でもって結ぶと、こういうことに
国鉄としては、恐らく技術屋さんの立場からすれば、したいんじゃないかという気がするんです。しかし
考えてみると、それによって得るところの時間というのはわずか三十分です。一時間半か二時間かという問題を
考えてみると、私はこの辺でやたらとスピード競走をやって公害問題をまき散らすということは余り得策じゃないという気がする。そういう点から言うと、
在来線も百三十キロぐらい出しているんだから、百三十キロや百五十キロじゃ
在来線と変わりがないと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、
在来線と違うことは、これは高架にして踏切がなくなっているから踏切事故というのはなくなっているわけですよ。
新幹線じゃ。だから、そういう面で
考えてみると、
新幹線がいまのような形態で百五十キロぐらいのスピードで走ったとしても、私は文句は言われないと思う。
ヨーロッパの
鉄道なんというのは二百キロ以上も出しているところはないように思うのです。あれは技術的にはやっぱり
国鉄と同じで、三百キロぐらいのスピードを出そうと思えば出せるはずなんです。それをそんなにスピードを上げていないということは、安全の面も
考えてのことではないかという気がするわけです。その点はむしろ
日本の
国鉄がヨーロッパの
鉄道に見習うべき点もあるんじゃないかという気がいたしますが、その点ヨーロッパの
鉄道の運営の
方法と比較して、
日本の
国有鉄道というのは果たしてどういうものか、ちょっと疑問があるわけなんですが、その点はどうでしょう。