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事務総長(岸田實君) 議長さんが前々から提唱しております参議院改革につきましては、ただいま先生が仰せのとおり、主として本
会議なり委員会なりの運営の問題についていろいろ改革をすべきであるという御提唱があるわけでございます。
事務局といたしましては、この参議院改革に対して、これに即応するのにいかなる問題を取り上げなければならないかという点につきましては、まず第一に考えられますことは、参議院を改革いたしまして議長さんの言われる慎重審議を徹底させるというたてまえから申しますと、その議員活動を補佐すべき陣容を整えなければならない、ことに
調査室の充実ということが当面の重大な課題であると思います。この点につきましては、数年前から年々努力してまいっておるところでございますが、本年におきましても、
予算要求におきまして新規の
増員の要求をいたしたりして努力してまいったところでございますが、結果におきましては、純増は、現在の
予算・財政事情からなかなか困難であって、現員の部内の調整ということで、若干の人数をふやすことができたわけでございます。
その次は、主権者である
国民に対して開かれた国会にすべきではないかという須原先生の御提唱、これは議長さんの御意向でもございます。この点につきましては、すでに、たとえば傍聴人に対するお取り扱いにつきまして、
施設の改善をするとか、あるいは傍聴人休憩所を増設・
整備するというようなことをいたしましたり、また傍聴人控え室に傍聴するのに必要な各種の資料を展示いたしまして、たとえば、立法の筋道がどういうふうになるのかという図表を掲げましたり、その日の議事の議事予定表、あるいは議員の議席表等を展示したりいたしております。また、傍聴人がちょっと筆記をしたいということに応じて筆記具を取りそろえたり、その他いろいろの傍聴人の便宜を図るような改善をいたしてまいっております。これを年々改善を進めてきておるわけでございます。
また、国会の審議を
国民に周知させるという
意味から申しますと、何と申しましても、今日ではテレビ及び
新聞報道を通じて日々の国会審議を素早く
国民に周知せしめることが最も必要なことであるということで、このテレビ及び報道機関に対しまする便宜供与ということに特に留意をいたしまして、資料の提供でありますとか、あるいは照会に対する回答であるとかという点をいま一生懸命やっておるわけでございます。
なお、録音、録画、撮影等の際の許可手続につきましても特に簡素化いたしまして、迅速にそういうことが実施できるように進めておるわけでございます。
また、参観人に対しまする「国会案内」、これはもう昨年も須原先生にもお答えいたしましたが、「国会案内」を大体年二十万部――二、三十万部になると思いますが、お渡しいたしまして、寄贈いたしまして、ごく概略的な国会のあり方を御理解願うということを進めておりまして、また、その内容につきましても、先年の須原先生の指示もありまして、請願等の取り扱いにつきましての
基準もそれにつげ加えたりいたして、請願の取り扱い手続等を周知徹底せしめる一助にいたしたいということで改善を加えてまいっております。
それから、都道府県の図書館に対しまして、委員会
会議録、これは
昭和四十七年から実施いたしておりますが、これを引き続いて無償で供与するということを続けてやっております。これは国会の審議が地方の都道府県図書館に参りますということは、
相当に広く
国民に周知させる一つの大きな働きをするのではないかというふうに考えております。また、参議院の一種の外郭団体でございますが、参友会から全国の高等学校、特殊学校に、「わたしたちの国会」という小冊子をつくりまして、大体における国会の組織、運営の
実情がわかるようなものを年々贈っておるわけでございますが、ことしで大体全国の高等学校、特殊学校に全部行き渡ることになるのではないか、年々六、七千部の小冊子をつくりまして、これを贈っておるわけでございます。
そのほか
調査室で、隔月に「立法と
調査」というそのときどきの時事問題について要約した記述をまとめておりますものをつくっておりますが、これも広くあれするわけにもいきませんが、たとえば、都道府県であるとかいろいろの大学であるとか、そういう非常に関心の強いところには無償で提供するというようなことで、国会のそのときどきの大きな問題を周知させる一つの働きをさしていると、こういうようなことでまいっております。
請願の取り扱いにつきましては、議院運営委員会で請願の処理についての改善を御
検討中でございまして、各会派からいろいろ御意見が出ておりますが、その方針が決定いたしましたならば直ちに対応できるような気持ちで準備はいたしております。できるだけ請願の
審査及びこれを
国民に対するサービスという点につきましては、今後とも手落ちのないように進めてまいりたい、このようなことをいままでやっておるわけでございますが、
調査室の充実ということは、非常に各先生から強く伺っておることでございますが、なかなか
増員ということが、
予算の要求の際に、現在のような財政事情でございますので実現できない。今日の
状況ではまだ不十分であると私も考えておりますことはもちろんでございますが、今後ともこの点につきましてはさらに努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。