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国務大臣(
三木武夫君) 日米間の安保条約、あるいはその上にその大きな前提になっておる日米の相互
協力、これを支えるものは両
国民であるということは御指摘のとおりだと思います。したがって、絶えず、単に
政府間折衝というのでなくして、まあ議会人との間にもこういう問題に対して相互の
理解を深めておく必要は御指摘のとおりだと思う。
ただ、私が残念に思うのは、こういう国の防衛問題のような重要な問題が、この
国会において
政党間に
意見の
一致を見てないという事実であります。だから、これは先方と議会同士のいろいろな
意見の交換をするにしても、各
政党の方々が行かれればこういう重要な問題について皆百八十度
考え方が違うというところに、アメリカから見れば、こういう重要問題について
政党に
考えのコンセンサスが得られてないということはアメリカに非常な不安を与える材料だと思うんですね。
だから私は、安保反対なら反対でいいですよ、しかし、日本の安全を確保するということに責任を感じない
政党があるべきではないと思うんですね。安保反対と日本の安全を確保するということについては共通の関心事であるわけですからね、各
政党とも。だから、
田渕議員の所属する民社党などの提唱されておる、
国会内で安全保障の特別
委員会を置いて、そうして各
政党がもう少し歩み寄りができないものかと。歩み寄りができなくても、いま言った安全保障の問題というものは共通の一つの
議論の土俵にはなるんですからね、安全を確保するということは大事な問題だと。そういうことで、まずやはりこの
国会内でもう少し安全保障の問題というものがいろいろな広い角度から取り上げられて、一応の
国会というものに一つの——コンセンサスをつくるといっても、いま場はないでしょう。いろいろな
予算委員会などにおいてそのときの一項目として取り上げられるけれども、もう少しやっぱりその問題を掘り下げて
各党が話し合って、そしてもう少しコンセンサスをつくる努力というものは当然にすべきである。
防衛問題についてこれだけ百八十度
政党の
考え方が違っておるというのは、私は余り知りませんね。これはやはりいろんな
政党の違いはあっても、この問題についてはお互いにいろいろ
方法論に多少の食い違いはあっても、共通の基盤を持っておる。これは非常に日本の不幸なことである、この点で。そうでないと、いま
田渕議員が御指摘になった、議会人同士とか
国民同士といっても、
政党の代表が行ったら皆言うことが違うということでは、日米
協力の基礎になるものは相互の信頼関係ですからね、ところが主要
政党の言うことが皆百八十度違うということが相互の信頼を促進する道では私はないと思う。こういう点を、
自民党とか民社党とか社会党とかいう
立場を離れて、
国会としてお
考え願いたい私は問題点である。そうでなければ相互の
理解といっても非常にむずかしい、議会人の交流といっても。そうでしょう。
国会へ
各党代表が行ったら百八十度違う
意見を言って、それで日米の信頼が促進されるとは思わない。こういう点に私は問題がある。
こういう点を
自民党も真剣に
考えています、これは。やっぱり今後の防衛問題を
考えるときに、
国民的コンセンサスを得なければ防衛問題というものは、これは基地の問題一つとらえてもいろんな問題が起こるというのは、その背景をなしておるものは
国民的なやはりコンセンサスのないところに問題が起こるわけですね。そういう点で、問題の根本はそういうところにあるということにもわれわれは思いをいたして、これは
自民党でも
検討いたしますし、各
政党においてもこの問題は真剣に御
検討を願いたい重要な課題である。この私の
意見を述べまして、あなたに対する
お答えにも私はなると思う。
事前協議の問題でもそうですよ。皆
政府の言うことは信用できぬと。それはやはり日本の防衛問題に対する基本的な
考え方の違いがあるわけですからね。もう少しお互いに共通の土俵で話し合うことならば、事前協議の問題についても、もう少しお互いの
理解は深まるのじゃないか。