○
上田哲君 関連。
改ざん、いわゆる改ざんされたかもしれないという問題ですね。これは事実関係として非常に重要ですから、むしろ私は
委員長に申し上げなきゃならないと思いますけれども、単に手続の問題とか、事務上のミスとか、そういう問題になってしまって、たとえば、速記さんが失敗したみたいなことになられたんでは、問題が歪曲、矮小化されてしまうと思います。で、私は、そのことはぜひひとつ客観的に、質問者である田議員と
委員長、並びに
政府その他の間で詰めていただくことを
委員長にお願いをいたしまして、これは非常に重大な問題だと思います。
しかし、それだけでなくて、この際、
一つ私は申し上げなきゃならぬと思うのは、少なくとも
防衛庁長官が四月一日に答弁をされ、それが十分ではないというので文書に書かれて、一応非公式であるにせよ、
野党側の
理事との話し合いの上で了解された文書を、再答弁の発言を求められて、文書をお読みになった。しかし、その文書がですね、四月九日に議事録が配られていながら、訂正の申し入れは五月の二十三日に来た、その
期間の長さを
一つ考えましても、私どもはその疑惑なしとしないわけです。
まあそれはそれとしましても、私が最大に重視して問題にしたいのは、そういう手紙を踏んで行われた
政府責任者の発言が、この
参議院での発言の内容が、衆議院に行きましたらころっと変わってしまうということになりますと、わが院の討議、
審議は一体何であるかということになります。で、どういうふうに言いましても、海域分担は必要ないんだと思っていたからと
防衛庁長官は言われるんですが、どうしても抹消したいと言われるたった一点の海域という字句を消しましても、海域分担という
言葉は、四月一日と四月二日の全文章の中にあふれているんですよ。だから、その一点をとって、実は
参議院ではすべて海域分担は言わなかったんであるといって、衆議院では機能分担ということになったというような作為があることになったのでは、私どもは、これは当院の
審議とは何であったかということになるということを、これはどうしても申し上げておかなきゃならない。これはひとつ
委員長、この問題は憲法にもかかわる、院の権威にかかわる問題でもありますので、厳正にひとつ御措置をとられることを、まず手続上お願いをしておきたいと思うんです。
で、私は、単なる手続上の問題だけでなしに、これが内容の問題に非常にかかわってくることと、関連質問として、ぜひはっきりしておきたいと思うんでありますけれども、つまり、
政府が根本的な見解を変えられてしまったということになると、幾つかの点は当然出てまいります。その当時の、つまり
防衛庁長官と、
総理も答弁されたわけですが、
総理答弁と
防衛庁長官答弁が基本的に食い違っていたということなんです。それはどういうことかと言いますと、あれほど明確に海域分担の取り決めをしたいのだと、近き将来云々という
言葉まですっかり使っておられた――これは議事録に残っておりますから。そういう方向が変わってしまったというのは、
総理が答えられた、憲法範囲でなければ行いませんという
言葉に抵触するんです。これは、憲法のこれまでの解釈と、及び安保条約第五条に抵触をするために、いままで制服がずっと続けてきたもんだから何とかしてやらなきゃならぬと踏み切りかけた防衛庁が、やっぱり引き戻されてしまって、海域分担はできないという判断に立ったとしか私どもには理解ができないのであります。もっと具体的に申し上げれば、衆議院における
吉國法制
局長官の説明も大変あいまいでありまして、細かいことは省きますけれども、たとえばわが自衛隊が領海外に出て行く場合の、いわゆる自衛権発動の行為はどういう場合に許されるかということがいろいろ議論されてまいりましたが、端的に申し上げて、三十五年の安保
国会でもこれははっきりしていることは、集団自衛権の発動だけは、これは、ほかはどうあれ、憲法違反であるということは明確になっているんでありまして、そういうことはできないにもかかわらず、海域分担となると、集団自衛権の発動ということになります。それから、領海外でも、攻撃を受けた場合には、その攻撃に対して自衛権の発動は仕方がないんだとおっしゃるが、はっきり海域分担の取り決めを行って艦艇の配置を行った場合には、この突発事件、アクシデントとは違ってくるんであります。こういう観点から、
防衛庁長官の発言と
総理の言われた憲法に抵触する場合にはできないのだと言われたことが、ここにぶつかってきて、一たんやると言った海域分担を防衛庁は変更されざるを得なくなったという点が
一つ。そうであるのかないのかを明確にひとつ解明をお願いしたい。
もう
一つ。しかし実際には、海域分担をおやりにならないと言われても、ここ二年間余り、アメリカからやいのやいのという、海域分担協定取り決めを行いたいということが非常に厳しく要請されてきたことは事実であります。たとえばシュレジンジャー
長官の記者会見、あるいはブラウン統合参謀本部議長の公式の議会への報告書の中にこれと類する文言は明確に見受けられるのでありまして、この要請が消えないんであります。一体この要請が消えているのかどうかということを明らかにしていただきたい。
第三点。取り消しをされていない……