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国務大臣(
福田一君) お答えいたします。
国が国土並びに
国民の
生命財産を守るという重大な責務があるわけでございますので、同時に、地方公共団体もそういう
一つの使命を持っておることは御
案内のとおりでございますが、いずれにしても、この地震
対策についてはわれわれとして万全を期して
努力をいたさなければならない、かように考えておるわけでございます。
そこで、それではいまさしあたり具体的なことは何を考えているかといいますと、先ほ
ども国土庁長官が申し上げましたように、いろいろの災害の予防とか災害の応急
対策、災害の復旧等の防災
計画について中央防災会議でもって話をいたしまして、そして緊密な連絡をとりながら問題の解決に当たりたいというのが一応の方針でございます。しかし、その方針があっても、具体的にやってなければ何にもならないじゃないかというのがあなたの御
意見であろうかと思うのでございますが、さしあたりの問題といたしましては、われわれの方では
一つは消防
関係を扱っております。そういう意味では初期の消火の
方法とか延焼拡大の防止策とか、それから地域住民の安全な避難
対策、こういうようなことを考えて、これは私は
国家公安委員長をいたしておりますからですが、そういう意味も含めてこれは万全の
対策を考えていきたいと思います。
しかし問題は、川崎とか横浜とか東京というようなところに起きますと、一番心配なのは避難場所がないということじゃないかと私は思うのです。どうせ火事になると想定しなければなりません。そうすると、その避難場所をつくる。つくっておけばある程度の
安心感が出ると思うのですが、ところが、ここいらは非常な密集地帯で、人を動かすということになったら、これは大変なことであります。そうなると国も、場合によっては、そういう
計画ができればそれは国もある程度めんどう見なければいかぬし、起債等の問題ももちろん考えなければいかぬが、問題は当該の市あるいは区等において、どうしたらいいかという具体的な案を住民の
意見を聞きながら考える。そして避難場所がないということなら、これはつくるのにはどうしたらいいかとか、そういうことを具体的に地方自治体も腹を決めて入っていきませんというと、ただ何とかしてくれということだけでは国としても何とも、いま申し上げたような方策以外にはないと思うわけであります。
公害等の問題からいっても、過密地帯というものが非常にいろいろな問題を起こしていますから、そういう意味からいっても、本当をいえばそういうある種の公園であるとか、ふだんは公園に使っているが、いざというときには避難というような目的に使うとか、あるいは施設をたくさんつくって、子供の遊び場所みたいなものをつくって、ふだんは公園として使うが、いざというときにはそういう方面に使うというようなことを考える。そして考えたときに、どれだけの人を動かし、どれだけの金が要るかというような具体的なことですね。例のごみ処理の問題なんかでも、あれだけでもなかなか解決がいきませんから、私はたとえば国でもし物事を決めても、とても住民の同意を得ることはなかなかむずかしいと思う。だから、当該地域の住民の総意というものが
一つ結集されることが私としてはまず第一義ではなかろうか。それが望ましいことである。それが結集されれば国としてもこれに対応するところの
措置をとる。全部が全部それを持つというわけには私は無理があると思いますが、みんな密集地帯の都市の住民のためとはいいながら、それはやはり地方団体も、またその住民も自分の身体や
生命を守るためのことでもありますから、そこいらをどういうふうに見るかは別としても、とにかくまず自治体内の創意をひとつ考えて、そしてそういう避難する場所ができればそこで避難道路の問題も考えねばいけないし、あとは、そこができれば私はわりあいにまだ
方法があるんじゃないかと思うのですが、これはまだ十分なあれではございませんけれ
ども、これを要するに、国と地方が一体になって、まず地方の
考え方から築き上げてきてもらわぬと私は困難ではなかろうか、かように考えております。