○夏目
忠雄君 そこで、現実の状況をちょっと二、三例を挙げまして、私の考え方を申し上げてみたいと思います。
いまの市町村の大きな泣きどころの
一つに屎尿、ごみ処理の問題がございます。これは処理場の建設地域の住民の人が、それはものすごい命がけの反抗を、反対をいたします。これを何とかして説得することは骨身を削る思いでございます。しかも、二年、三年の長期にわたって説得を続けなければならないことは決して珍しいことではございません。そこで、とにかくようやく納得していただきまして、中央へ計画書を持ってまいります。そうしますると、こちらも人間でございまするから、こんな苦労は在任中は勘弁してもらいたいと思いまして、若干大き目な計画を持ってくることは事実でございまするが、これがもう全然受けつけられません。所管は両方とも厚生省でございまするが、おまえのところの人口はこれこれだ、人間一人当たりの排せつ量はこれこれだからこれだけしか認めない、こういうお話でございます。それも相当の根拠をもって
数字をおやりになっているのでしょうけれども、現実に私どもが収集して処理をする量から比べますると、非常にかけ離れております。
数字が小そうございます。
しかし、まあ何しろそう言わなきゃ補助金をくれぬのだから、けんかのしようがない。仰せに従うわけであります。せめて、まあ一年に長野でございますると八百万人ぐらいの参詣客が来るから、その分だけでも見てくれと言うと、そんなわけにはいかぬ、長野の者だってよそへ行ってやるじゃないかと、こういうような笑い話のようなことでございまするが、そういうことでがんとして受けつけません。で、以後いろいろなメーカーがたくさん来まするが、このメーカーの処理能力というものはマキシマムを書いてある。百トンの処理能力だ、五十トンの処理能力だと書いてはありまするが、それはマキシマ人の
数字だ。一番ミニマムの
数字とマキシマムの
数字をつなぎ合わせてこしらえるのでありまするから、でき上がって大体二年か三年というと、もう次の計画に取りかからなければならない。私は現実に十年の間に二度やらなければならなかった、こういうのが状況でございます。
また今度は、小さ過ぎると言って怒られるものもある。たとえば保育所でございます。最近やっと直ったようでございまするが、つい最近まで保育効率を上げなければいかぬから、厚生省の方の定員は百二十人もしくは九十人だと。それを七十人のやつで持ってきたんじゃ認められない。ところが、現在保育所というものは、農村は母ちゃん農業になっていますから、農村地帯にたくさんつくらなければいかぬ。そして通園区域というものはおのずからあるわけなんです。七十人しか——七十人が私は一番適当だと思うと言っても、だめだ、それじゃいかぬ、九十人にしろと言うから、仕方がない、九十人のものをつくる。それでやむを得ずでき上がればマイクロバスを持って遠くの子供を集めてきてやっと定員を維持する。こんなばかげたかっこうになっておるわけであります。
いま大きさのことだけを申し上げましたが、大きさの問題だけじゃございません。もう微に入り細にわたっていろいろおっしゃいます。初めは私も市長になりたてのときは、やはり
日本の役人というものは偉いもんだ、信州の山の中の保育所の、市長の知らないようなことまでよく知っていなさる、偉いもんだと思って初めは感心しておったわけです。そのうちにばかくさくなっちゃった。何の必要があって一々そこまで中央のお役人さんが、個所を決定し、査定をおやりになる必要があるのか。保育所なら保育所は大蔵省とかけ合って、一年間とにかくこれだけの予算が取れたならば、これをば何らかの方法で地方で割賦しちゃったらどうだ。この割賦の仕方はいろいろ問題がありまするが、あとからまた申し上げまするが、いずれにしろ割賦しちゃったらどうだ。いろいろな物差しがありますから、そうすればいま早い話が、お役人さんの数そのものがあらかた要らなくなる。それで、地方で一番困っているたとえば屎尿処理やごみの問題ですと、地方ではどうしても解決ができないのは、要するに技術開発の問題です。これが中ぐらいのものしかできない。したがって、いま言ったように、地元の人の反対も無理からぬ点があるわけです。百点満点の処理施設というものは現在ありませんから。そういう技術開発をおやりになる。また保育所なら、そんな一カ所に何ぼのものをつくるなんということはお任せして、地方ではどうしても解決できない、つまり保育所と幼稚園の
関係——保育所と幼稚園の
関係なんか地方で幾らやろうと思っても解決できません、どうしてもおやりになることはおやりにならないでいて、細かいことだけ口出すような状況では、これはなかなか育たぬ。
私は、この補助金というものを、それは一件一件査定をしなきゃならぬものももちろんあることは
承知いたしておりまするが、たとえば、いま厚生省だけ挙げましたが、文部省にいきますると、学校の増改築、これがそうであります。建設省へいけば地方道がございます。それから、農林省へいけば構造改善事業がある。全部
資料というものは地元から上がってきているんですから、十分地元にはこれの処理能力があるわけです。一件一件査定することをおやめになって、何らかのひもをつけて結構でありまするから、地方ヘプール計算でもってお渡しになっている。そうすれば、大体行政管理庁にもお答え願いたいと思うのでありまするが、一律各省何%なんというみみっちいことを言わなくたって、要するに一件査定をする必要があるかないかで各省の仕事をずっと洗い直していけば、十年分の成績が一遍に上がるはずですよ。ぜひひとつこれをやっていただきたい。これが地方自治を育てる一番近道じゃないか。いま臨時行政調査会の話が出ましたが、あれの事務配分というものは大変やかましい問題で、現在に必ずしも適切じゃない。一番現在必要としているのは、補助金行政というものを洗い直していま言ったようにやってもらう。
で、割賦の仕方でございまするが、きのうの新聞に、成田さんが第二交付税というものを言われた。私も趣旨としては、やり方としては第二交付税というやり方もあるけれども、しかし、成田さんの言われた、ああいうふうにいきなり八%なら八%の第二交付税をつくるというような金の面から入ってはやっぱりだめだ。いまの地方自治を本当に育てるには、自分の責任で自分のことを処理するんだということがなきゃいけませんから、この仕事は中央でおやりになる、この仕事は地方でやるという事務を洗い直して配分した上で、それに要る金がこれこれだから、第二交付税というものはこれこれ必要だと。あるいは五%という
数字が出るかもしれぬ、一二%という
数字が出るかもしれぬ。私の考えで補助金全部洗い直せば、恐らく二〇%ぐらいの
数字が出てくるはずであります。ですから、事務を洗い直して、しかし、それにもまたいろいろあろうかと思います。緩急の度合いもある。やりやすい、やりにくいという問題もある。しかし、洗っていっては、即座にできるものからどんどんおやりになったらどうだ。補助金制度をそういうふうにお変えになったらどうだろうかと、こういうふうに思うんでございまするが、補助金担当の——補助金担当かどうか知りませんけれども、予算全部お握りの大蔵大臣のひとつ御所見を承りたいと存じます。