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塩出啓典君 私は、
公明党を代表し、ただいま
議題となりました
沖繩における
米海兵隊の射撃
訓練について
緊急質問をいたします。
総理も御存じのとおり、
米軍基地キャンプ・ハンセンにおける
米海兵隊の百五ミリ
りゅう弾砲の
実弾射撃訓練の問題であります。この
基地の中には、先ほどお話のありました
ように、
県道百四号線が通過しており、
米海兵隊の射撃
訓練はこの
県道をまたいで行われるため、
沖繩の
日本返還以前は、
基地内のこの
県道を封鎖して射撃
訓練が行われていたのであります。しかし、
沖繩県民の念願の
日本への
返還が決定された後、
県民の
生活道路である百四号線を一方的に封鎖するやり方について、
沖繩県民の反対の声は徐々に高まってきたことは、
沖繩の歴史を振り返るときに、自然の感情の発露と言わなければなりません。
今日までの
経過を振り返ると、昨年の二月二十日の射撃練習においては、
県道百四号線の封鎖に反対する住民が車に乗って交通規制区域に立ち入ったのであります。そして、引き続いて同年十月十六日、十七日の両日、着弾地付近に住民の座り込みによる反対運動が行われました。そして、本年三月十一日の射撃
訓練のときはさらに過激になって、機動隊との小競り合いから数人のけが人が出るという事態にまでなっているのであります。
身の危険も顧みず、実力によって射撃練習をやめさせ
ようという
沖繩県民のその姿に対して、総理はどの
ような
見解を持っておられるのか、まずお伺いしたいのであります。
今回の
事件について
調査を進めてまいりますと、数々の疑問にぶつかるのであります。いままでの練習は
道路を封鎖して行ったが、今回の処置は封鎖をしないで実弾射撃の合間を見て交通を可能ならしめる
方法をとったのであります。しかも、
県道の管理者である県当局の
承認を得ていないし、
県民の代表である
沖繩県議会も与野党こぞって反対し、名護市議会等も
全会一致で反対をしているにかかわらず、保安
条約の
地位協定を盾に射撃
訓練を強行するやり方は断じて許せないと思うのであります。
地位協定に
基づく
基地の提供も、あくまでも国民の大多数の合意の上にあるべきは当然であります、
政府は、すべからく、
県道百四号線をまたいで行われる
米海兵隊の射撃
訓練を、
沖繩県民の納得のいく処置が決まるまで、直ちに
中止させる
よう、総理の責任のもとに米
政府に申し入れるべきであると思いますが、総理のお考えを聞きたいのであります。
そして、
沖繩本島の全面積の二一%に当たる二百六十平方キロメートルという広大な面積を
米軍基地として使用していながら、
沖繩全
県民の反対を押して
県道百四号線をまたがなければ実弾射撃ができないということは全く理解に苦しむところであります。
日本政府は、日米合同
委員会において
提案をし、少なくとも
県道百四号線を施設及び区域の一部として
米軍に提供することを直ちにやめるべきであります。
外務大臣にその決意があるかどうか、お伺いするものであります。
また、さきに述べたとおり、今回の
訓練においては
県道を封鎖しないままでの実弾射撃を
日本政府は認めたと聞いているわけでありますが、まことに人命を軽視した御都合主義の処置と言わなければなりません。人命の危険には万全の配慮をするべきが第一であり、
日本政府は、
日本人の生命を守るため毅然とした姿勢で
米軍当局に臨むべきであります。今回の処置は人命よりも射撃
訓練を優先させたやり方であり、根本的に改めるべきであると思いますが、
防衛庁長官の
見解を聞きたいと存じます。
さらに、今回の阻止
行動を封じ込めるために、
沖繩の防衛施設当局が
米軍の山道の拡張や鉄条網張りなどに協力していたと報ぜられております。公務員が公務執行以外のために参加をしていたことは国家公務員法の違反であります。住民の間では、防衛施設庁は
日本の施設庁なのか米国の施設庁なのかと疑っているのであります。この
ような態度が住民の反感を生じた原因であったと言っても過言ではありません。今後は改めるべきだと思いますが、重ねて
防衛庁長官の
見解をお聞きいたします。
しかも、安保
条約に
基づく協定の実施に伴う刑事特別法によって安易にこれら住民の
行動に対して適用させることは、かえってトラブルに油を注ぐ
ようなことになりかねないのであります。すでに何名か検挙者が出ていることについては総理も御存じだと思いますが、さらに、先ほども話がありました
ように、
沖繩機動隊員が
米軍の
ヘリコプターに乗って着弾地付近の反対派の捜査に当たっているのであります。しかも、この
ヘリコプターは
実弾射撃訓練の一環として出動したものなのであります。公平に処置すべき
県警機動隊が、この
ような緊迫した事態において
米軍ヘリコプターを使用するということはまことに無神経で、これもまた住民をして、
県警までが
米軍に従属をしているのではないかと不信感をつのらせてしまっているのであります。
国家公安委員長はどの
ように反省をしているのか、重ねて
答弁を求めるものであります。
最後に私は、
沖繩における緊急かつ重要な二、三の問題について
政府の
見解をただしたいのであります。
過去二回の安保協議
委員会で、
基地の整理統合計画について
アメリカ側と話し合いがあり、合意されているのであります。しかしながら、さきの米国議会におきまして、シュレジンジャー国防長官あるいはブラウン統合参謀本部
議長の
報告によって明らかにされている
ように、
沖繩を韓国の後方支接
基地として、米
極東戦略のかなめとして強調されているのであります。これは明らかに日米安保協議
委員会の合意を無視したものであり、
日本国民の総意に反するものと言わなければなりません。
政府は、米国側に
基地の整理統合の実行について厳しい姿勢で申し入れをしなければならないと思うのでありますが、
政府の
見解をお聞きしたいのであります。
続いて、在
沖繩米軍基地従業員の解雇の問題であります。
昨年七月、
米軍当局が陸軍の再編に伴い約千三百人の従業員が解雇されるであろうとの見通しだったが、今回発表の九百八十八人を含めると千六百五十三人となり、当初の予想を三百人も上回っているのであります。そして、このたびの大量解雇通告によって失業者数は二万人突破の記録が更新され、不況による民間部門の失業者の増大と合わせて、すべて予想以上の最悪の事態になっているのであります。しかも、
沖繩の抱えている産業構造は脆弱であり、現在の混乱を避ける立場から、解雇に対しては最小限にとどめ、また、
基地雇用にかわる労働力の吸収、再配置を可能にする素地を早急につくる必要があると強く主張するものであります。
政府の具体策をお聞きしたいのであります。
さらに、
日米安保条約、日米
地位協定によれば、
基地内に居住できるのは軍人・軍属、その家族となっているにもかかわらず、
沖繩の
基地には一般外国人約二百人を居住させていると報ぜられているが、事実かどうかお伺いしたい。この
ような
不法居住がもしありとせば、日米両国の友好親善に悪影響を及ぼすものであり、即刻に改めるべきと思いますが、
政府の対策を聞きたいのであります。
次に、
沖繩の米空軍嘉手納
基地の軍当局は、米空軍のF4のファントム戦闘機隊二
部隊が台湾の防空任務に当たっていることを認めております。このことは、日中国交
正常化以後の
日本の外交姿勢から考えて好ましくない、また、これら戦闘
作戦行動のために
沖繩の
基地を使用している事実は、あくまでも安保
条約の
事前協議制に照らして何らかの制限ないし制約を加えるべきであると思うが、もう一度この点について
政府の
答弁を期待するものであります。
世界に誇る平和憲法を持ち、世界において最も平和を愛する
日本国民また
沖繩県民の気持ちの上に立って、
政府の誠意ある
答弁を強く要望し、私の質問を終わります。(
拍手)
〔国務大臣三木武夫君
登壇、
拍手〕