○温水三郎君 自由民主党を代表し、五十
年度予算案等を通じて、内政の一部だけに若干の
質問を行うものであります。
〔議長退席、副議長着席〕
三木総理は、総裁に指名されたとき、青天のへきれきという表現をされたことは有名であります。すなわち、就任の時期においてすでに五十
年度予算はほとんどでき上がっていて、修正の余地も余裕もなかったと思うのであります。しかるに、
予算はかなり
三木色が盛り込まれたことは
総理の豊かなる学識と強靱なる信念によるものと存じ、改めて敬意をささげ、かつ、十字架を背負う今日の指導者として
最高の信頼を寄せるものであります。(
拍手)しかしながら、なお施政について
国民の前に明白にしなければならない諸問題があると思うのであります。
質問の第一点は、徹底的話し合いの
政治姿勢であります。国内において今日のイデオロギーの対立、世代間の断絶、モラルの喪失等、国内の不安と動揺の時代において肝要なことは、全
国民が相互に理解し、相
協力する時代思潮を樹立することであります。
総理は、与野党間における国家の重要問題に対する共通の広場のないことが与野党間の政権交代を阻んでいるという趣旨の
発言をされたと仄聞するのであります。私ども
自民党員は
自民党の永久政権が望ましいのでありますが、しかし、議会制民主主義の
政治理念からすれば、
総理のこの
発言は重大であると言わなければなりません。このことは、しかし容易なことではありません。
総理がこれに身をもって当たり、
内閣が一致して推進し、党が理解と
協力を与えるならば、野党もまたイデオロギーを振りかざしていたずらに対立することなく、与野党間に共通の広場をつくり、
わが国政治のがんを切除することが
三木総理ならば不可能にあらずと信ずるものであります。
総理の所信を伺います。
質問の第二点は、
物価の問題であります。
福田副
総理のいわゆる短期決戦によって
物価抑制は成功しつつあります。
物価を安定し、数%の
経済成長を定着せしめ、社会的不公正を
是正し、
国民の不安、動揺を取り除き、美しい国土のもと人情豊かなる
国民生活を築くことが今日施政の根本
方針であると思うのであります。
物価は予定どおり
年度内一五%、次
年度一〇%以内の上昇に落ちつく公算が大になってきたことは喜ばしいことであります。
しかしながら、
世界先進諸国の
インフレ、また
輸入物資の影響を
考え、さらに、
国民の、なお
物価は上昇するであろうという
考えを考慮に入れるとき、一歩を緩めれば
インフレ再現の危険が十分にあるのであります。
このときに当たり、
政府は、物資需給の均衡確保、生産の向上、流通の改善、公正自由な競争条件の整備等強力に推進することが肝要であります。
また、
政府は、低成長時代にふさわしい
経済社会
基本計画を組み直さんとしているのであるが、
国民は、今日、わらをもつかむ気持ちで
政府の
経済政策の動向を一日も早く知ることによって生きる道を探さんとする切迫した事態に追い込まれているのでありまするから、安定
経済成長を骨子とした中期計画とでも言うがごときものを一日も早く策定し、動かざる指針として、
国民にお示し願いたいのであります。
一方において、
物価抑制短期決戦の副作用として、成長はマイナスに転じ、
中小企業等の倒産いまなお相次ぎ、失業の多発、
経済活動の萎縮、生産の減退等、世情不安の様相を呈していることは御
承知のとおりであります。いまや、何らかの手直し的施策の展開が望まれるのであります。今
年度予算において、
政府は、
中小企業対策に対して、その振興のための若干の手段を用意いたしました。しかし、これは短期決戦の副作用に対する手直しではありません。
物価抑制は至上命題でありますが、これを達成しながら、この副作用を緩和する手段としていかなる秘策をお持ちであるか、
政府の
考えを承るものでございます。
問題の第三点は、社会福祉
政策についてであります。
三木総理は、
物価の安定と社会的不公正の
是正を当面の
政策の主な柱として、五十
年度予算案の編成に際しまして、その主導によって、老齢年金を当初の計画より月二千円上積みしたほか、各種福祉年金、児童扶養手当等もこれに準じて上積みし、また、在宅重度障害者の福祉手当制度を創設するなど、福祉の画期的とも言うべき前進を実現したのであります。ために、五十
年度において、社会保障関係費の伸びは三五・八%と大きな飛躍を示し、構成比は防衛費の約三倍に相当し、また欧米先進国の水準にも迫るものであり、
三木内閣の福祉国家建設の性格を如実に証明するものとして私はこれを高く評価するものであります。(
拍手)
しかしながら、低成長時代に入り、さらに福祉の増大を図るためには、財政の長期的
見通しに即応して、最も合理的に効率的に再編整理する必要を痛感するものであります。すなわち、低成長時代が定着すれば、福祉優先といえども、これ以上巨額の新規
財源をこれに割くことは困難となります。
一例を挙げれば、現に老齢年金の二千円
引き上げでさえも連鎖的措置を伴い、五十
年度は三百億円程度としても、平
年度二千八百億円以上の負担となり、財政硬直化の
原因ともなりかねないのであります。もし、また一部の論客の説くがごとく、年金の積立方式を単純なる賦課方式に改めるとすれば、後
年度においてはその負担は飛躍的に増大し、現に福祉先進国のスウェーデンやイギリスが陥ったような財政上の行き詰まりや負担の過重にあえぐ結果となり、国政全般の均衡ある
発展が阻害されるに至るでありましょう。
総理の施政
方針でも述べておられますが、私は、低成長時代における福祉は、高福祉・高負担の
原則を確立することが肝要だと存じます。
国民全体が、高福祉を求むれば、その経費を負担すべきことをはっきりと理解すべきであります。その負担はもちろん大
企業や富裕階級が多くを負担すべきでありまするけれども、社会保障を初めとする福祉
政策は、
国民全体が連帯してお互いに助け合うための
政策でありますから、中小所得階級といえども応分の負担をなすべきであると私は
考えるのであります。弱者救済という言葉がありますが、これについて抵抗を感ずる旨の意見が
国民の一部から届けられました。
日本民族は誇り高き民族であります。負担すべきは負担し、恩恵は胸を張って受け取ることこそ、
国民の感情に沿うものと思うのであります。(
拍手)今後の福祉
政策をいかように再編整理するか、どのような
方針をもって進められるのか、
総理及び厚生
大臣のお答えが願いたいのであります。
この際、提言があります。社会保障の主柱とも言うべき医療保障は、
政府管掌健康保険から
国民健康保険に至るまで九種類もあるのであります。これらの各種制度はそれぞれ制定の沿革があって、内容も不
統一、不均衡のまま今日に至っておりますが、これが改善
合理化は低成長時代の真の福祉国家建設の前提と信ずるのであります。
特に、医療保険制度は、財政的にも幾たびか危機に直面し、中でも一般
国民四千五百万人を対象とする
国民健康保険財政の悪化は著しく、これが国の財政硬直化の大きな要因の
一つになっているのであります。
五十
年度予算案におきましても、
国民健康保険助成費は一兆六百二十億円の巨額に達しているのであります。これをこのまま放置することは、とうていできないと思うのであります。
国民健康保険財政がなぜこのように悪化したか。その
原因は、最も病気にかかる率の高い老人や
体質の弱い階層がこれに集中する仕組みになっていること、具体的に言えば、定年退職で職域健康保険から追い出された老人、幼児あるいは身体検査で採用を断られた不健康な青年がすべて
国民健康保険に組み入れられたことが第一であります。
かくして、一方において、赤字に悩み十分な診療の
期待できない
国民健康保険があり、他方、潤沢な財政と施設に恵まれ、家族にも実質的十割給付のできるような大
企業の組合健保が存在することは、公正であるべき社会保障とはいかにしても
承知できないのであります。
田中厚生
大臣は厚生行政については専門家であると思うが、私の
質問が余りにも幼稚であり、かつ、野党の諸君及び財界まで反対であるからこれが一本化は困難だ、と言われるかもしれませんが、しかし、健康保険の一本化こそは
国民大多数の切実な要望であり、国保の財政改善にもつながる問題であると
考えるし、勇気を持ってこれに当たれば不可能ではないと思うのであります。
総理及び厚生
大臣の
答弁を求めるものであります。
質問の第四点は、文教
政策であります。
徳性・知性・情操・健康のバランスのとれた人間性豊かなたくましい
国民を育成することが国家民族永遠の
発展を保障する
基本であることは言うまでもありません。戦後の
わが国教育の歩みを反省いたしますと、多くの弊害や欠陥の存在する事実は何人といえども否定できないと思うのであります。私は、特に重要と思われる二、三の点について
政府の
見解をただすものであります。
その第一は、日教組のあり方についてであります。日教組指導部は、教師は
労働者なりと
主張し、崇高なる人間育成の使命を自覚せず、違法にも教壇放棄の争議
行為を指導し、中立性が要求されるにかかわらず、どう見ても偏向的な教育
態度を持ち、子女を人質に取られるがごとき恐怖の思いを父兄に味わしめ、破壊的闘争本位の
態度を今日まで持ち続けることは、私の最も遺憾に思うものであります。しかしながら、日教組にはそれなりの理由と
主張があるのでありましょう。このたび学界から選ばれた永井文部
大臣は、その経歴、識見からして、日教組との対話による教育正常化には最適任者であり、
期待も大きいのであります。そこで、私が特に要望したいことは、日教組の
主張でとるべきものは
最大限にこれを受け入れることにやぶさかであってはならない。と同時に、改めさせるべき点はいささかも妥協することなく、明らかな偏向教育と違法のストライキは厳にこれを慎むよう求むべきであると思うのであります。日教組もまた、
国民総耐乏のとき、教師の待遇を特別に改善したことでもあり、原始的賃上げ闘争は自発的にやめるべきだと存じます。わが自由民主党は、教養高き教育者に対して、日教組であっても、いたずらに対立し、教育を党略の具に供し、その中立性を侵さんとするものでは決してありません。この機会に日教組との徹底的話し合いを行うべきであると
考えるものであります。
第二点は、私学の振興についてでありますが、
わが国の教育、特に高等教育と幼稚園教育においては、私立学校が圧倒的な比重と
役割りを占めているのであります。すなわち、大学は短大を含めて学生総数が百九十万人のうち、私立大学は百五十万人と約八割の学生を教育しているのであります。しかるにかかわらず、国のこれに対する助成は、五十
年度予算案においてようやく千億円を超えた程度にすぎません。国立学校会計への繰り入れが五千六百十二億円であるのに比ぶれば、私立大学に対する国の補助が、いかに均衡を失した少額のものであるかがはっきりとわかるのであります。五十
年度は、高等学校以下に対しても、私立学校に対して国が地方の助成をかさ上げする
予算が八十億円計上されましたことは画期的とも言うべきことで高く評価いたしますが、なお不十分であり、私学振興になお格段の配意をなすべきではないかと思うのであります。所見を文部
大臣から承ります。
今日の教育は、幼稚園から大学に至るまで試験地獄につきまとわれ、そのため、自然に伸びるべき少年が心身ともにさいなまれ、人間として
国民としての素直さやたくましさを失ってしまうのであります。その根本の禍根は学歴偏重の社会にあります。試験地獄の解消と学歴偏重の
是正についての文相の具体的施策についてお伺いいたしたいと存じます。
質問の第五点は、
食糧問題についてであります。
食糧は、その供給が不足し、あるいは不安定になりますと、たちまち民生の混乱を来たし、その国の存立が動揺することは歴史と現実が示すとおりであります。われわれが戦中、戦後において経験したところであります。
現下、内外の
食糧事情は、昨年十一月のローマでの
世界食糧会議が象徴するように、いまや
世界的不足が大きな関心を集めるに至り、現に飢餓線上をさまよう多数の人類があるのであります。
わが国は現在
食糧に不安はないように見えるのでありますが、外国の
食糧に依存し、自給率四〇%程度であるので、国際
食糧事情の変化によっていつ
食糧難に見舞われるかわからないというきわめて不安定な環境にあると思うのであります。
現に、一九七二年の
ソ連の大凶作による
アメリカ、カナダからの二千七百万トンと推定される難物の買い付けが行われるや、たちまちそれらの国際
価格は数倍に急騰し、
アメリカはついに輸出割り当ての挙に出たのであります。かくて、穀物全体の自給率わずかに四一%という
わが国は、大百八〇%、小麦九三%を
アメリカに依存していたがために、不安のどん底に陥ったことは記憶に新たなところであります。
アメリカといかに
友好関係があるといっても、自
国民を犠牲にして他国に
食糧を供給する国はないのであります。また、もし買い付けたとしても、船舶がなければ運搬が不可能なのであります。このように天候に支配される農産物を外国に依存することは、
わが国食糧の恒久的保障とはならないと思うのであります。
今日、第五次
中東戦争は、発生するか否かが問題ではなく、いつ発生するかが問題であるという説もあります。あれとれ思いをめぐらすとき、
わが国はいまや飢餓の断崖の上に安眠をむさぼっていると言っても過言ではありません。
わが国の
食糧自給率は、一九六五年総合
食糧で八一%であったのでありますが、その後大幅に低下し、穀類全体実に四〇%を割る
状態であると推定されます。もはや瑞穂の国の影すらないのであります。わずかに米が余るといっても、それは大量の麦を
輸入している結果であることは言うまでもありません。
何がここに至らしめたのでありましょうか。その
原因は、重化学工業を中心とした高度
経済成長
政策が成長速度の遅い農業の衰退を必然としたこと、また、国際分業主義、国際自由競争主義が
わが国の農業
政策の展開を拒んだことにあると思うのであります。
土に基盤を置き、自然を相手とする農業は、工業とは本質的に異なり、設備を増せば直ちに増産できるものではありません。農業者は今日では熟練工であり、しかも、少年期から土にまみれなければこれに向く体力はできないのであります。耕地も、宅地のように一朝一夕にできるものではありません。熟成した耕地は十年の歳月を要するのであります。
国際分業主義は言うに及ばず、アジア地域などに農業の開発を行っても、最も飢えているのはこれらの地域であり、開発農産物を食うものは爆発的人口増加を伴う現地人であります。農業
政策は、確固たる
目標を立て、じみちな
政策をたゆまずうまず、着実に積み上げていくことによって初めて効果を発揮するものであります。歴代の
政府は、農業を十分に理解することなく、腰の弱い
政策をとってきたと言ったら言い過ぎになるでありましようか。
最近の例を挙げれば、
政府は
昭和四十八年五月、土地改良長期計画を閣議決定し、十カ年間に総事業量十三兆円の基盤整備事業を計画、実施し、前期五カ年の事業量を五兆二千億円と予定したのであります。さらに自由民主党は、昨年の
参議院選挙に際し、
物価上昇等の事情を考慮して、十五兆円の計画に改めることを
公約したのであります。五十
年度はこの長期計画の第三
年度に当たり、閣議決定の計画の事業量を実行するならば、約六千億円を必要とするのであります。ところが、五十
年度予算案に計上された農業生産基盤整備の
予算額は、四十九
年度予算のほぼ横ばい程度の約三千六百億円にすぎず、
物価、
賃金の上昇を考慮すると、事業量では二十数%の縮小となるのであります。
農業基盤整備は、生産性向上の
基礎条件であります。昔、大化の改新においては、くわという新農機具を発明しこれに適合する耕地の整備をした、と言われております。今日、大多数の農地は、いまだ大化の改新より一歩も改良されていないのであります。農道・環境を含む広義の基盤整備が農業の死命を制することが理解されなければなりません。これなくして
農民に生産性の向上を押しつけても豊富、低廉なる農産物を得ることは夢のまた夢と言わざるを得ません。歴代の
政府首脳は農業に対する理解が十分でなく、このことが
わが国農業の衰退の
原因であると思うのであります。
農民は
国民の苗代なりと池田元首相は言われました。また、だれよりも
農民を愛する
福田副
総理がおられます。しかし私は、農業
政策は
農民を対象として
考えることも大事でありますが、それよりも農業そのものに焦点を合わせなければならないと思うのであります。本
年度予算編成の末期、
三木総理の意向ということで三十億円の構造改善への追加があったことは、いささかなりとも心の支えになったと思うのであります。
三木総理の農業問題に対する御精進を心からお願い申し上げます。
農業には、なお一日もゆるがせにできない問題がたくさんあるのであります。このたびの
予算においても、農道及び環境の整備、緊急粗飼料増産
対策、牛肉等農産
物価格支持、裏作奨励、えさの
対策、果樹
対策、近代化
資金等、金融
対策等に適切な
予算計上を見たことは、従来の
政策の補強をなすものとして評価するのでありますが、しかし、
わが国政治の中に農業の
地位を最重点に置き、勇敢なる施策を実行し、豊富、低廉なる農産物の造成と、一部の品目でも海外への輸出を可能ならしむる程度の振興こそ私は現
内閣の使命と存ずるのであります。
総理及び農林
大臣の
答弁を求むるものであります。
なお、農業に関し、
二つの問題につき所信を伺うものであります。
その第一は農業
基本法であります。
昭和三十六年制定された
基本法は、当時としては重大な意義を有し、その効果はよく目的を達成したと思うが、今日においては、
農民の所得を
目標とし、選択的拡大を柱とした
基本法は、今日ミカン生産の伸び過ぎ、畜産の経営不安、
国民食
生活洋風化のための
食糧輸入の増大等の副作用を発生せしめているのであります。今日は
食糧自給、進んでは一部の輸出さえ
目標とし、農業の
発展と合理性の追求を理念とすべき時代であります。すなわち、新農業
基本法を制定すべきであると思うのであります。
その第二は食管制度についてであります。すなわち、
食糧管理制度の赤字であります。八千四百億円を超す赤字は、大約四千億余が米、二千億余が麦の逆ざやであり、事務経費が約二千億余であります。
世界の穀物相場は数倍に上昇し、
わが国の生産費も、
物価上昇とともに上がらざるを得ません。漫然とこのまま続けることは許されないと思うのであります。そもそもこの赤字は、本質的には消費者救済の赤字と思うのでありますが、その影響は、長谷川万治氏、藤井堯四郎氏等富裕階級にも恩恵を与えますが、一方、飯米農家という貧乏人には与えられないのであります。
現状は
物価対策としてやむを得ないことはわかりますが、このような消費者
対策は社会保障として考慮するのでなければ社会的公正は期せられないと思うのであります。
今日、消費者米価十キロ約二千二百五十円は、
物価総合指数、食料総合指数から見ても高くはなく、エンゲル係数から見ても警戒する数字ではないと存じます。私は物最優先の現今、いますぐ
是正できるとは思いませんが、適当な時期において事務経費を除く逆ざやの赤字だけはこれを漸次縮小し、その余裕を社会福祉による消費者の救済と、豊富、低廉なる農産物の生産を目ざす
政策に振り向けるべきであると思うのであります。
大臣の御
見解を承りたいと存じます。
質問の第六点は、漁業と林業の振興であります。
日本は海洋国であり、
食糧たん白
資源の三二%は魚介類より摂取している
世界唯一の国であります。しかるに、近時国際環境の悪化、沿岸及び内水面の汚染等によって、
わが国の漁業はきわめて悲観すべき環境に置かれているのであります。関係国に対し強力なる漁業保護の外交を展開すべきはもちろんでありますが、
わが国でできることは一日も早くこれを行うべきであります。
すなわち、漁港の整備は最も緊要であります。窮屈なる本
年度の
予算につき若干の配慮を見たことはこれを認めますが、なお満足する
状態にはほど遠いのであります。
政府は、重要なる
食糧生産が漁業にもかかっていることに思いをいたし、その基盤たる漁港に対し整備を促進することは一日もゆるがせにすべきではないと存ずるのであります。
次に、国際環境の悪化に対抗し、養殖漁業の育成に果敢なる投資を行い、また、公害
対策のほかに、漁業の振興の
立場からも、海洋及び内水面の汚染に対し十分なる
対策を講ずべきであると思うのであります。農漁業によって
食糧の需給を達成するために十分なる国費の投入を惜しむならば、後年の
国民に対し、亡国の嘆きを見せしむるものと断ぜざるを得ないのであります。(
拍手)
林業もまた百年の大計を要する
国民生活関連産業であります。今日需給安定の様相を示しておりますが、林業こそ、百年たゆまざる振興によってのみ
発展する産業でありまして、我が国の
経済にとってもきわめて重要なるものであることは何人も異論なきところでありましょう。したがって、林業構造改善事業、林道の整備拡充等の林業
基本政策は、時代の影響を受けることなく、静々として進めなければならない施策であると思うのであります。今次
予算において、公共事業抑制の若干の犠牲となったことはやむを得ないと存じすすが、しかし、遺憾の意を表せざるを得ないのであります。農林
大臣の御
答弁をお願いいたします。
質問の第七は、産業構造とエネルギー問題についてであります。
一昨年秋の
石油危機以来、
わが国の
経済の様相は一変し、安価な原油の自由な
輸入に依存した重化学工業中心の
経済高度成長時代は終わり、一転してマイナス成長の時代へ突入したのであります。もはや省
資源産業の開発なくしては
経済の成長は望めないのであります。
政府も、しばしば省
資源、知識集約型産業重視の産業構造再編成を強調しておるのであります。しかし、一般
国民は、具体的にはどのような
目標のもとに、どのような段取りで、どのような産業を育成しようというのか。また、そのような産業構造の根本的転換が実現できるものかどうかなどについて疑問と不安を抱いていると思われるのであります。
私がここで承りたいのは、知識集約型産業とは、具体的にどのような産業を、どのように位置づけて
考えておられるのか。具体的青写真はいつごろまでに策定され
国民に公表できるのかということであります。
次に伺いたいことはエネルギー
対策であります。
当面、
石油に代替する最も実際的な新エネルギーは、言うまでもなく、現に建設が進みつつある
原子力発電であります。今後、
原子力発電の飛躍的促進を図るためには、この
安全性確保につき
国民の完全な信頼を得るととが前提条件であります。
政府は五十
年度予算において、
原子力安全局の設置を初め、
原子力安全関係
予算の飛躍的な拡充を行いましたが、この機会にその具体的な施策の内容を明らかにされたいのであります。
エネルギーの恒久的安定供給確保のためには、核融合とともに、太陽エネルギーその他の無公害、無限の新エネルギー開発技術の研究開発の必要なことは言うまでもなく、私は、五十
年度予算に大幅の増額を見たサンシャイン計画についても多大の
期待を寄せるものでありますが、計画の具体的内容を承りたいのであります。
以上、国政の一部につき
質問いたしましたが、知識集約型産業と食料産業が国家
発展のため最重要二大産業であることは、
アメリカ、フランスの例に見るがごとく、古今東西の歴史が示すとおりであります。
内閣は
決意を新たにしてこの二大産業の
世界最強を目指し、
最大の努力をなすべきであります。
総理の御
決意を伺うものであります。
以上をもって私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣三木武夫君登壇、
拍手〕