○
佐々木静子君 これも大事な問題でございますから、
法務省としても努力していらっしゃると思いますが、ぜひとも前向きで取り組んでいただきたいと思います。
最後に、この
恩赦というものが、いま私
ども国民から見た場合に一方的に権力者が恩恵を受ける。本来から言うと
恩赦というものは、個々の気の毒な
国民、あるいは不公正な
判決とかそういうようなことで谷間であえいでいる
国民の人権を守って、不公正を是正するというのが一番の目的であり、刑事政策的に見てそういうふうに
恩赦制度というものを活用していかなければならないにもかかわらず、現実に私
ども国民の前に
恩赦ということが問題になるのは、
恩赦によって時の権力が思い切りいろいろな面で利益を得るというふうなかっこうで、いまの
恩赦制度というものが運用されているようにわれわれ
国民には見えるわけでございますね。
前回の
改正のときにも、御承知のとおりにちょうど沖繩復帰に伴う
恩赦の問題な
どもございまして、そして沖繩
恩赦から選挙違反者を除外せよという決議案を社会党その他の野党からこの
委員会に
提案いたしまして、また私も、
恩赦法の一部
改正案をそのとき発議者となって当
委員会に
提案したわけでございますが、残念ながらいずれも否決されたようなことになったわけでございます。いままた統一
地方選挙が始まっている、また選挙違反者が出るであろう、そういうふうなときにまた
恩赦がフルに回転するということが、
国民にとって、主権者である
国民が望んでいるようなかっこうで
恩赦制度が拡充されるのは非常にありがたいことなんですが、全く望まない方向に
恩赦というものが動いていくのじゃないか、そういう点で大変に私
ども危惧しているわけでございます。
特に、これは講和条約を締結したときの
恩赦だと思いますけれ
ども、そのときの
恩赦が、九九・何%という率でもってその
恩赦の対象になったのが選挙違反の人たちであった。私数字を用意してきたのですが、いまちょっと出てまいらないわけでございますが、間違いなく九九%以上が選挙違反
対象者であった。そういうことに対して、こういうふうなことでは困るじゃないかという
質問に対しましても、やはり選挙違反者だけを特別優遇しているというふうな感じがその後の沖繩
恩赦においても、これだけ厳しい世論が起こったにもかかわらず、選挙違反者が大量に罪を免れて、そしてわがもの顔にまたもや同じことを繰り返している。
そういうことで、きょうは刑事局の方に来ていただいておりませんので、
前回の参議院選でも悪質な選挙違反者が出たことは十分
当局で御存じのとおりでございますので、大体公職選挙法違反の
事件がいまどのくらい係属しているのかということもお聞きしたいわけですが、もう時間もございませんし、この悪質な選挙違反というものに対する
恩赦、これは大きく選挙違反が
恩赦の恩恵をこうむるのは
政令恩赦の場合が多いと思うのでございますが、しかし
個別恩赦の問題もございますし、それから特に
復権は、公民権のほかにいろいろな試験制度についてというような
お話がございましたが、医師になりたいと思っている人、
司法書士になりたいと思っている人というのはきわめて全体の
国民から見るとまれで、
復権によって利益を受けるのは、これは選挙違反を犯した人たちがそのほとんどでございますので、そういうことから
考えますと、今度の法案の
改正と選挙違反に対する救済というものとが、これは密接不可分な
関係にあると思うわけです。
私
ども、この
法律の
改正によりまして
審査会が、人権を守り社会の不平等を是正し、そして刑事政策的に意義ある方に
審査会が充足されるということについては賛成でございますけれ
ども、それが社会悪を助長し、一部の権力者のみを保護するというかっこうに
審査会が充足されるとすれば、これは由々しき問題だと思うわけでございます。そういうわけで、今後選挙違反者に対する
個別恩赦あるいは
復権の問題なんかについても
当局はどのように今後処していかれるか、
局長と次官から伺いたいと思います。