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最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 一般的に申しまして、増員要求の仕方の問題ともからむわけでございますが、単に
裁判所の事務量がふえたということで何人というふうな要求ではございませんで、それぞれの業務というものを
考えまして、その業務に必要な人員ということで
予算要求をしてまいっているのでございます。本
年度の当初要求もそのようでございまして、たとえば
裁判所は非常にPRが下手であるというようなことを言われておりますので、広報体制の充実といったようなことで相当数の事務官の要求をいたす、また健康管理ということで医者とか薬剤師の増員を要求をいたす、それからまた経理面でございますが、共済組合事務、最近は年金業務とか財形貯蓄といったようなことで業務がふえてまいっておりますので共済組合の事務、それから今度は
予算で認められておりますが、寄託金事務、これは家庭
裁判所におきますところの寄託金の取り
扱い事務がふえたということで寄託金事務の処理といったようなこと、それから書記官
研修所とか
調査官
研修所でそれぞれ事務量がふえたというようなことで、それの要求をいたす、そのほか裁判関係では、たとえば民事の場合におきますと、調停制度が今度改正されましたので、それに伴うところの事件増というものを
考えまして要求をいたすとか、また特殊損害賠償事件がふえているので、これを適正、迅速に処理するために合議体をふやしたいということで
判事補の要求をいたす、執行官事務を適正に行うということのために、そのために要する人員といったようなこと、そのようなことでいろいろとそれぞれの業務に応じまして、それに必要な人員ということで要求をいたすのでございます。
結果的に非常に少ない人員になったということでございますが、いま申し上げましたように、私
どもの増員要求と申しますのは、裁判事務関係のものと一般行政事務関係のものと二つございまして、一般行政事務関係でございますと、これは
裁判所特有の業務ではございません。たとえば共済組合事務ということになりますと、これは各省庁あることでございまして、
裁判所特有の業務でもないといったような関係もございまして、また一面そうした一般行政事務でございますと、事務能率器具を整備するというようなことによって合理化、能率化も図られるという面もございますし、また人員を適正に配置をするというようなことによってある程度合理化、能率化も図れるといったような面もございます。そのような関係で、一般行政事務関係の点につきましては、政府の定員削減の方針等もございますし、また一面、そうした能率器具等を整備することによって合理化もできるというようなことで、この際はこの点の増員はそちらの方でカバーしていきたいというふうに
考えたのでございます。
しかしながら、一面、裁判関係でございますと、これは
裁判所特有の業務でございまして、一日もゆるがせにできない面もございまして、その点につきましては私
どもとしても鋭意
努力を集中するわけでございます。しかしながら最終的には、たとえば
裁判官の場合でございますと、
判事補、判事といったようなところになりますと一定の資格等も必要でございますので、給源といったような問題もございます。それからまた
予算要求は、前の年の八月末現在である程度今後の事件増、事件の推移といったようなものを加味いたしまして要求いたすものでございますので、反面、事件の推移というものが勢い八月から
予算が最終的にきまります、ことしでございますと一月でございますが、一月現在の状況というものがある程度加味されますので、事件の推移等も当初の見込みとはある程度違った面も出てまいる。たとえば調停事件でございますと、新制度発足ということで相当に事件がふえるのではないかというふうなことで、その処理に要する人員ということで要求をしましたけれ
ども、結果的にはそう事件は伸びていないというようなことでございますので、この点につきましては今後、調停事件の推移等を加味して来
年度においてまた改めて検討いたしたいというようなことでございます。
給源その他、事件の推移等を
考えまして、最終的には今回の増員ということになった次第でございまして、今回の増員で事務上支障を来たすのではないかという御疑念もあろうかと思いますが、以上のような次第でございますので、さしあたり現在、この程度の増員で裁判関係、それから行政事務関係におきましても、特に支障を来たすものではなかろうというふうに私
ども考えております。
以上でございます。