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佐々木静子君 国有地は登記簿の中でも表示されずに、結局、国有地の面積はどれだけなのかということがわからない。そのために、国有地と民有地との境界というものがきわめて不鮮明ではっきりしない。そのことによるトラブルというものもきわめて多いと思うわけです。特に、いまも
お話しになったように税務署の地図が
法務省へ移された。これは国民の知恵と申しますか、搾取されている国民の観念とすると、できるだけ少ない面積を税務署に届けたい、そういうところから、その地図は必ずしも明治の初年につくられた
段階で正確な所有面積じゃなくて、もう小さい目小さい目に届けられている。そして、それから逆算すると民有地に隣接する国有地が非常に大きいことになるけれ
ども、実際は民有地の方がかなりあって、ただ届けが少なくなっているというふうな
ケースも大変多いように思います。
私も現に、特に国有林などのあるところへ開発の波が押し寄せてきて、そうして土地の値段が大変に高くなって、都市化の波も押し寄せている。ところが、国有地の地図というものが全く登記所にないために、その境界というものがわからない。そして買うときには、これは公簿上はこうだけれ
ども、実際はこれだけあるんだということで、それだけの代金を払って買ったところが、国有地がはっきりしないために結局、逆に言えば買い取ったところの場所がはっきりしない。そのことによって思わぬトラブルに巻き込まれたり損失を受けたりしているということもあるわけでございますので、そのほかの省でどのような財産を管理しているかという、すでにその管理している財産というものが各省もう少し連絡がよければ、
法務省の公図というものももっと整うのじゃないかというふうに思うわけです。
主としていま土地家屋
調査士会などで問題にしておりますのは、地方自治体にある地図を、その登記公図の不備を補うためにもつと使わせてほしいという要求が大変にいまのところ強いようでございますが、これも
個々の地方自治体と折衝して
個々的に解決しているというのが現状のようでございますが、これは
一般的な問題として、大変に協力
関係のいいところもあるのか知りませんけれ
ども、また非常にお役所のなわ張りということになっているのか、大変に協力を得られない。結局その谷間に国民が落ち込んで困っているというのが
実情だと思うのです。地方自治体のほうも三割自治というような哀れな
状態で、この上まだ中央官庁にサービスを要求されるのかというようなことで、もちろんそういう
考え方もわかるわけなんでございますけれ
ども、そのしわ寄せが結局国民の上にかかってきている。国民の側から見れば、これは税金を払えばどこの役所の所管とかなんとかということは余り問題じゃないわけで、もう少しお役所でうまくやってくれればというのが当然の要求になってくるわけです。
そのことで、たとえばこれは自治省のほうにも伺いたいのですが、これはこの公図のことと直接
関係ありませんが、
法務省の事務官に聞いてもそういう話が出るし、特に登記を申請に行ったりした人などからよく話が出るのですが、住居表示というものができておって、いまのところ自分の自宅の番地といえば、元は登記簿上の番地を覚えておったけれ
ども、もう何年もたつうちに住居表示で手紙も来るし、自分もそれで手紙を出すために登記簿上の番地をもう忘れてしまって、あるいはその登記簿上の番地と住居表示の番地が違うというようなことはもう普通の国民は頭にないわけで、住居表示の番地で登記の申請をする。そうすると、調べてもらってもそれに該当するものがないということで、申請に行った者も非常に時間がかかって、結局わからない、そういうものはないということで、市役所へ行ってまた調べ直さないといけない。そしてまたいろいろ時間をかけて調べて、もう一度法務局へ行かないといけない。法務局のほうとしても、受け付けて、それがあるかないか調べるのに非常に手間取る。そして結局これは住居表示の番号だということになる。そうすると、申請に行った国民の側から見れば、同じ役所同士なんだから、住居表示の番号を言えば元の旧番地、旧番地という概念じゃないのですけれ
ども、それがわかってしかるべきだから、そのぐらいの親切は法務局がやってくれたらいいじゃないかという不平が出てくるわけなんですね。
そこら辺で、これは地方自治体のほうで住居表示というものをおつくりになったわけですけれ
ども、それについてもう少し、たとえば法務局との間で連絡をよくしていただくようなわけにいかないものか。きのうも自治省のほうにお伺いしてみると、これは自治体でやっていることなので余りサービスする必要はないというようなお
考えのようにも伺ったのですけれ
どもね。結局、不動産の表示は
法務省でやるんだ、そしてそれから後に、これは主として配達の便利を
考えてつくられたものだと思うのですが、住居表示というものはそれとは全然別個に地方自治体がつくった。しかし、国民のほうではもう一緒になってしまっているから、そこでお互いに役所のほうも、それから国民の側も非常に手数がかかる。そこら辺で、対照表のようなものが
一つでもあれば、ああ住居表示はここのところは登記の上ではこうなるんだ、あるいは本籍地も、自分の家の住居表示が本籍地だと思い込んでいる人がたくさんいるために、これは同じく市役所へ行くものですから市役所の中で調べて、同じ役所で解決できるわけですけれ
ども、法務局の場合はなかなかそうはいかないし、非常に手続が繁雑なために簡単なことでも何日もかからないといけない。これは
法務省サイドだけでも簡略化できないのじゃないか。自治省のほうで何とかそれをもう少し国民のために、役所の管轄はともかくとして、便宜を図るようなお
考えはないのか、そのあたりちょっと伺いたいと思うわけです。