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1975-05-08 第75回国会 参議院 文教委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月八日(木曜日)    午前十時九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         内藤誉三郎君     理 事                 有田 一寿君                 久保田藤麿君                 久保  亘君                 加藤  進君     委 員                 山東 昭子君                 志村 愛子君                 高橋 誉冨君                 中村 登美君                 藤井 丙午君                 宮田  輝君                 最上  進君                 粕谷 照美君                 鈴木美枝子君                 宮之原貞光君                 内田 善利君                 矢原 秀男君                 小巻 敏雄君                 中沢伊登子君    国務大臣        文 部 大 臣  永井 道雄君    政府委員        文部政務次官   山崎平八郎君        文部大臣官房長  清水 成之君        文部省学術国際        局長       木田  宏君        文化庁長官    安達 健二君        文化庁次長    内山  正君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○文化功労者年金法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  文化功労者年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 粕谷照美

    粕谷照美君 最初にちょっと古い話になりますけれども文化功労者に対する年金制度が確立されたのは昭和二十六年でございますけれども、当時の背景あるいはこの理由、それはどこにあったかということについて詳しくお伺いしたいというふうに思います。
  4. 清水成之

    政府委員清水成之君) ただいまの点でございますが、戦後日本文化国家として発足するにつきまして、それにふさわしい施策をいかように進めるか、こういうことが問題になったと思うのでございます。従来から、御承知のとおり、文化勲章令によります文化勲章制度文化という面には一つございました。それからまた、御承知のとおり、一般叙勲制度があったわけでございます。さらにまた、紫綬褒章等褒章制度があったわけでございます。  御案内のとおり、これらの点につきましては、どちらかと申しますと精神的な顕彰制度でございます。物質的なものではございませんで、精神面でこれを顕彰していくという制度でございます。  そこで、こういう方々に対して物質的に何らかの顕彰ということが考えられるかどうか、文化勲章イーコールそこに何か物質的なものを加えられるかと、こういうようなことも検討をされたわけでございますが、御案内のとおり、憲法の栄典に対する特権付与の制限と申しますか、禁止の問題との関連がございまして、文化勲章勲章とし、それにまた物質的に金の面で何らかの顕彰制度を設ける、こういうことは、栄典制度とは切り離した別個の制度として発足をさせるべきである、こういうようなことから文化功労者年金制度、こういうものが設けられまして、精神面また物質面の両面から文化の振興を図ってまいろう、こういうような趣旨からこの制度ができたというふうに承知をいたしておる次第でございます。
  5. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、その次にお伺いすることは、昭和二十六年以降、神武景気あるいは岩戸景気と言われるような経済変動の激しい年月を経てきておりますけれども政令によって年金額を決めたということではなくて、国会の議を経てこの額を決定してきたというそのよってきたるものは一体何だったのでしょうか。
  6. 清水成之

    政府委員清水成之君) 当時、いま御指摘の点でございますが、発足当初以来、年金法自体金額明定をされておったわけでございます。当時の立案過程等多少伺ったところによりますと、議論はあったようでございます。金額法律明定しておくのがいいか、あるいはまた学士院年金等あるいは芸術院年金等、これは予算範囲内で文部省令に委任をされておるわけでございまして、その辺どうするかと、こういう議論があったようでございますが、この際金額法律明定をしていこうと、年金を起こすんだからそういうふうにしていこうというのが発足当初の趣旨であった、かように立案過程の話として承知をしておるわけでございます。
  7. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうすると、その精神はいまでも生きているわけですか。
  8. 清水成之

    政府委員清水成之君) そういうことで発足以来参ったわけでございますが、御案内のとおり、いろいろと社会経済情勢変化提案理由説明大臣からも申しましたように、社会経済情勢の著しい変化というような点、それからまた、予算の御審議の際に、このことにつきまして十分御審議をいただいて決定されますので、それを踏まえてひとつ政令にお任せをいただきまして速やかに受給対象者支給をさせていただきたい、こういうふうに私どもとしましては考えた次第でございまして、今回そういう趣旨でひとつお願いをしたいということで提案をするわけでございます。
  9. 粕谷照美

    粕谷照美君 必ずしも、このことについて反対をするという立場ではないわけですけれどもね、いまの御説明では納得がし切れないわけです。予算審議の際に十分にやれるからいいというふうにおっしゃいますけれども、問題はそんなことではないというふうに考えます。いままでの歴史的な経過から言っても、やっぱり正式には文教委員会でこの国会の議を経てやっていくというそういう筋道を通るのが本当は至当なんだろうというふうに思うわけですが、去年の私は提案理由を読んでみました。  昨年、つまり四十九年三月の文化功労者年金法一部改正に関する提案理由というのを見ますと、一応前段の方は省きまして途中からを読み上げますと、「昭和四十六年の改正以来百五十万円とされてまいった」、「その間における国民生活水準向上経済事情変遷には著しいものがあり、また、なお一そうわが国文化向上発達を期する見地からも、この際、年金額を改定して、」云々と、こういうふうになっているわけです。  それで、考えてみますと、四十七年、四十八年の国会では、この二年間というのは特に上げるべき経済的社会的事情というものはなかった、それで出さなかったというふうに考えられるのかということが一つあるわけです。
  10. 清水成之

    政府委員清水成之君) いまもお話ございましたように、四十六年度で百五十万円になったわけでございますが、発足当初五十万円、それから三十九年度に百万円、四十六年度に百五十万、こういうことで沿革的に申しまして推移をし、また増額をしていただいてきたわけでございます。四十七、四十八年度でそういうことを考えなくてよかったか。四十九年度に至りまして二百万ということで御提案し、またさき臨時国会でお認めいただいたわけでございますが、これは、正直に申しまして、四十七、四十八年度もいろんな変動が非常に激しい時期でございました。そこで私どもとしましては、そういうことを勘案して増額を図りたいという意欲と気持ちは十分持っておったわけでございますが、微力のため残念ながら成功しなかった、こういうまあ正直な経緯でございます。
  11. 粕谷照美

    粕谷照美君 成功しなかったというのは、一体具体的にどういうことなんですか、よくわからないんですけれども
  12. 清水成之

    政府委員清水成之君) 非常に突っ込んだお話お答えもしにくい面があるわけでございますが、私ども説得力がいろいろとまた足らなかった、こういう点を反省しております。(「だれに、説得とは何ですか、だれにですか」と呼ぶ者あり)
  13. 粕谷照美

    粕谷照美君 どうもその説得力というのは、いまも声が上がっておりましたけれども、たとえば国会に対しての説得力が足りなかったのか、具体的に予算を編成するというような段階説得力が足りなかったのか、一体その障害というのはどこにあったんですか。
  14. 清水成之

    政府委員清水成之君) その点、舌足らずで御迷惑をかけまして恐縮でございますが、決して国会に対して説得力が足らなかったというわけではございませんで、私ども内部関係でございます。
  15. 粕谷照美

    粕谷照美君 私ども内部というのは文部省内部というふうに考えてよろしいわけですか。
  16. 清水成之

    政府委員清水成之君) いろいろ事情もございまして御推察いただけることかと思うわけでございまして、文部省としましては、非常に意欲を燃やしておったということでひとつ御了承いただきたいと存じます。
  17. 粕谷照美

    粕谷照美君 非常におっしゃりづらそうなこともありますから、まあこれ以上私としては突かないことにしていきます。  それでは、なぜ、四十九年の改定案が出されて、そのときにはその障害をはねのけて認められて原案が提出をされるようになったが、ここのところが問題があるわけですね。その辺はいかがですか。政府委員清水成之君) 四十九年度でようやく認められたわけでございます。従来の経緯をへこの種の年金について見てまいりますと、従来は先ほども申しましたように、二十六年、三十九年、四十六年、こういうある間を置いて進んでまいったわけでございますが、四十九年度でお認めをいただいたわけでございますが、これをいかようにして立法上現行法のままでお願いをし、金額だけの改正でとどめるかあるいはどうするかと、こういうことをいろいろと議論をいたしました結果、この社会経済情勢の非常に変動の激しいときに、ひとつ予算で御説明も申し上げ、御審議を十分いただくわけでございますので、その都度法律明定をするということをこの際いかがなものであろうか。予算審議のあれを踏まえまして、政令にお譲りをいただいて、できるだけ早く支給をさしていただきたい、こういうことで四十九年度政令にお譲りをいただきたいと、こういう提案をしたわけでございまして、さき臨時国会でその点が御承認がいただけなかったわけでございますが、今後におきましてもその原案提案考え方によりまして、再度、今回お願をしておると、こういう次第でございます。
  18. 粕谷照美

    粕谷照美君 もっと端的に言えば、四十九年度にそれが認められたというのは、四十八年秋の石油ショック以来、買い占め、売り惜しみ、そして天井知らずのこの狂乱物価の中で、本当に経済事情変遷が最大の理由であったというふうに思うわけです。だから百五十万円が二百万円に提案されたんではないかというふうに考えるわけですが、そういう意味から考えてみますと、今回、昨年改正された二百万円を二百四十万円にしたい、こうおっしゃるその根拠は、六日の矢原委員質問に対する答弁で了解はいたしました。二百万円が二百四十万円になったその根拠はわかりました。ただ、その改正のポイントは額ではなくて、その額を政令で定めるというところにあるわけで、その理由が近年の社会的経済的諸事情変遷が著しいから速やかに支給するためと、こういうふうに述べられていますけれども、逆に考えてみますと、国会の議を経ていたのでは間に合わないほどの経済的な変遷、社会的な事情変化というものがこれから予想されるか。もっと言いかえるならば、いま政府長期安定経済成長をやっていくというふうにおっしゃっているわけですけれども、この経済狂乱状態、もう大変な変化というものがまた来るであろうという、そういう分析をされての提案なのかどうかということをお伺いしたい。
  19. 清水成之

    政府委員清水成之君) もし足らない点がございましたら大臣からまたお答えがあろうかと思いますが、いまのお尋ねの点でございますが、安定成長期に入ってそうすぐ変動がないんではないか、あるいは先々またいろんなことがあるんではないか、こういう御趣旨お尋ねかと思うのでございますが、私どもこの社会経済的条件と、こういうふうに申し上げました一つには、社会的条件としまして、経済の問題も絡んでくるわけでございますが、こういう時代であるからこそ、一般文化に対する意識と申しますか、そういうものに対する意欲と申しますか、そういうものが逆に高まってくるであろう、こういうことを一つ考えておるわけでございます。それから、そういう意識が高まるにつれて、こういう文化功労者に対する金額と、こういうものにつきましてもまた見方が変わってくるであろう、こういう意識の点が大きな問題であろうと思います。  それから経済の点につきましては、専門でございませんので、詳しくは申し上げられませんが、これにつきましても、いま安定成長期に入りまして、そういま直ちにどうこうということはないかと思いますが、いまの意識の面、そういうものを総合勘案いたしまして、予算でひとつ御審議をいただいた線に即して政令にお任せいただきたいと、こういうことでございます。これらの点につきましては、いろいろ考え方として御議論があろうかとは思いますが、ひとつ政令にお譲りをいただいて速やかに支給をさしていただきたいと、こういう趣旨でございます。
  20. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣うなずいていらっしゃるから、それでよろしいんだろうというふうに思うわけですけれども、やっぱり納得がいかないんですよ。いま御説明があったように、一般のということは、国民のというふうに考えてよろしいと思いますけれども国民意識文化に対してうんと高まるように、あるいはこういう功労のあった人たちに対して国民が十分な意識を持つようにというふうにお考えになるのでありましたら、何も政令ですいすいと上がっていくような方策ではなくて、国会の議を経ていくということの方が、本当はその意義を達することができるんではないかというふうに思うわけですけれども、その辺のところを大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  21. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 法律によりまして額を決めるというのも一つの方法でありますが、ただいま官房長から申し上げましたように、予算編成段階において、国会を十分尊重いたしましてこの問題について御検討願いたいということであります。  いま社会経済変動とは何であるのか、特に政府経済先行き見通しにつきまして安定成長ということを考えているが、しからば変動ということは余りなかろうではないかという意味の御質疑について申し上げます。  これは別に文部省経済企画庁と違う経済見通しを持っているということはないのでありますが、社会経済という言葉に表現されておりますように、今後の経済生活変化、それとの関連、あるいは関連ということ自体よりも文化それ自身の変化ということから、社会的に文化関連者あるいは教育関連者という者が非常に高く国民の中に評価されるようになっていくということが望ましいし、また、そうなることもあるであろう。それは先生方に対する待遇がよくなっていくことがよいということがここ数年の国民的な世論でありますことにもあらわれておりますように、一般文化教育に対する関心が高まっていくということであります。そこで、そういう情勢を踏まえて、私たちとして政令として考えさしていただきたいというわけでありまして、そういう角度から見ますと、やはり、ここしばらくは変動期であるというふうに考えてよいのではないだろうか。ただし、かといって文部省が独走して額を決めるというのではなくて、予算編成期において、十分に国会の御審議を願うという形で、この問題を解決していくのが最も望ましいのではないかという趣旨からの今回の法の一部改正提案でございます。
  22. 粕谷照美

    粕谷照美君 時間がありませんからこの問題はこの辺でやめまして、次に移ります。  社会党は、この年金法ができた趣旨に沿って本当にすぐれた学者芸術家に対して相応の年金支給されることにも、また、経済的な変遷に対して年金額政令で変えていかれるということに対しても絶対に反対をする立場ではないわけです。しかし、簡単に賛成できないというのは、実は二月の二十六日の衆議院のわが党の長谷川正三委員、それから三月二十九日に参議院の久保亘委員がそれぞれ予算分科会において、芸術院会員の選任の問題をめぐっての黒い霧問題について質問をしているわけです。このことは、毎日新聞の一月一日付のものに大見出しで、「すべてこの世は……一当八落の打算、総裁選並み……芸術院」、こういう見出しで載っているわけですけれども、諸悪の根源は総裁選にある、こうおっしゃったお偉い方もいらっしゃるということを考えて、国民としては、文化功労者の大部分がとかくのうわさのあるそういう芸術院会員が占めているという点でも大きな疑問を持っているわけです。それで、この長谷川久保お二人の質問に対して、大臣も、現場を突きとめたわけではないのでとか、あるいは安達政府委員もあるいは肯定をされるようなしないような非常に微妙な答弁をされているわけですが、その辺がきちんと克服される努力がなされなければ、政令年金を上げるということについて、上げるというのは国会審議を免れようとする態度だと厳しく指摘をされてもやむを得ないというふうに思うわけです。  そういう立場に立ってひとつお伺いいたしますけれども文化功労者のうちの日本学士院会員を兼ねる者は何名、あるいは芸術院会員を兼ねる者は何名か、それから両者を兼ねる者は何名か、さらに、それ以外の者は何名か、計現在何名になっているかというこの数字をお伺いいたしたい。
  23. 清水成之

    政府委員清水成之君) ただいまの点でございますが、前回矢原先生の御質問お答えした点がございますが、これは実は生存者の方だけについての数字を申し上げましたので、それをまず第一に、その後の変動がちょっとございましたのでまず最初に申し上げたいと存じます。  現存の方が学士院会員を兼ねていらしゃる方が四十三人、芸術院会員を兼ねていらしゃる方が四十人、それから学士院芸術院両方に御関係のある方が一人これは高橋誠一郎先生でございます。それからその他の方が三十四人で、現存者百十八人。前回は百十九名でございましたが、古畑先生がその後お亡くなりになりまして一名減ということでございます。  なお、二十六年の制度発足以来決定された数字を申し上げたいと思います。  学士院会員を兼ねていらしゃた方が九十五人、芸術院会員を兼ねていらしゃった方が九十六人、それから両方に御関係のあった方が四名、その他の方が七十三人、計二百六十八人、人数的には以上でございます。
  24. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、いまの数字を見ましても一応芸術院会員の集団というものが選出母体になっているというふうに考えられるというふうに思いますが、現在、芸術院会員のどういう部門から何人出されているかというふうな数字はありますでしょうか。
  25. 清水成之

    政府委員清水成之君) いま、芸術院会員美術とか音楽あるいは何と申しますか彫刻とかいう一々の区分けをちょっと持っておりませんが、この二百六十八の内訳をちょっと分野別にまず申し上げたいと存じます。  それからいきますと、文学関係が三十五名で、これは決定者数字でございます。それから現存者が十五名、それから芸術その他——まあ芸術その他広い意味でございますが、九十一名で、現存者が三十八名、こういう数字でございます。
  26. 粕谷照美

    粕谷照美君 では、先ほど質問した数字は後で私の方にいただきたいというふうに思います。  文化功労者審査委員十人というのは、文部大臣が任命するというふうになっておりますけれども芸術院会員学士院会員との関連はどのように現在なっているのか、あるいは任期は一年とするけれども再任を妨げないというふうになっておりますけれども、どういうようなところからこの候補者名前を挙げてくるのかですね、その審査委員文化功労者名前をどのようなところから挙げていらしゃるのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  27. 清水成之

    政府委員清水成之君) この文化功労者選考審査会委員を十名お願いをいたしておりまして、まず最初選考委員分野を申し上げた方がよろしいかと存じますが、この十名につきまして人文科学自然科学芸術その他一般と、こういう大枠を設けまして、そしてまた、その中身をさらに文学、哲学、史学、法学、経済学、理学、工学、医学、農学、文芸、美術、芸能、その他、こういうことに分けて、これら分野を勘案しながら十名の方にお願いをしておるわけでございます。  そこで、実際のこの運用の問題のお尋ねかと思うわけでございますが、私どもとしまして、その具体的な選考基準というものは設けておりません。候補者選考基準は設けておりません。この委員方々に広い視野から功労者年金法文化向上発達に特に功績顕著な方、これを御推薦、選考していただくと、こういうねらいでございます。選考基準は設けておりません。  そこでこの各委員方々はそれぞれ大体二ないし三とか、多い方は五名ぐらいの候補者自分で持ってこられます、選考会の席上。その場合には、その委員の方が自分選考分野の人以外の人についても持ってこられる場合が多うございます。そこでまあ予算的な十名という問題もございまして、芸術文化関係、それから学術サイド関係というふうに分けまして、その中からしぼりが審査会の席でかけられていく、こういうことでございます。その際、いまお話しの、お尋ねの中にちょっとございましたこの候補者を推薦する場合に芸術院会員とか学士院会員との関係がどうかと、こういうことが……
  28. 粕谷照美

    粕谷照美君 それは違うんです。審査委員とその関係
  29. 清水成之

    政府委員清水成之君) ああそうでございますか。必ずしも私どもとしましては芸術院会員あるいは学士院会員でなければ審査委員にいたさないと、そういう原則は一つもございませんし、そういうことにこだわらずこの委員お願いをしておる、こういうことでございます。
  30. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、諸外国での文化功労者を選ぶ場合、それぞれの国でそれぞれの歴史があるというふうに思いますけれども分野別に見まして日本と比較をいたしますと、一体どういうと  ころに特色があるか、大体日本と同じような形で選ばれているかどうかという点についてお伺いします。
  31. 清水成之

    政府委員清水成之君) この点、私ども十分に  ちょっと把握しかねておる面もあろうかと思いますが、非常に大まかなことで恐縮でございますが、多少の国について申し上げますと、まあ一つイギリスがございます。イギリスにおきましては学術芸術上の功労に対しましてだけ授与する勲章制度とか、そういう制度はございませんが、一般的に毎年、芸術家とか技術者学者に対して功労勲章というものが設けられておりますとか、それからどういうあれかちょっと中身は私存じませんが、コンパニオンズ・オブ・オナーという勲章が授与されておる、こういうようなことがございますが、これにつきましては年金賞金等支給されていない、こういうことでございます。また、イギリスにおきましては功労勲章がございまして、これは単一級でございます。その中の私ども関係あります点を挙げますと、芸術文学科学発達に対する特に著しい功労に対して授与する、こういうのがございます。それから先ほど申し上げたコンパニオンズ・オブ・オナーという勲章につきましては、これも単一級でございまして、これは芸術分野だけではございませんが、芸術分野で顕著な貢献をした男女に授与する、こういうことが言われております。  それからアメリカ合衆国におきまして、特に、日本的なあれにするのがございませんが、自由勲章というものがございまして、一九六三年の改正によりまして授与範囲が拡大されました結果、文化的またはその他重要な公的、私的の事業に対する貢献ということで自由勲章が授与されておるということでございます。  なお、次にフランスにおきまして教育、学芸、芸術上の功労に限って授与される棕櫚葉の文化勲章、それから芸術文学勲章というのがございます。そこで棕櫚葉文化勲章というのにつきましては、三つの等級がございまして、これもほかの教職者とか、そういうあれもございますが、文芸、絵画、その他の芸術等により間接に国民教育功労のある者に授与する、こういうことが言われております。それから芸術……
  32. 粕谷照美

    粕谷照美君 時間がありませんから、大体。
  33. 清水成之

    政府委員清水成之君) はい。  それからソビエト連邦につきましては栄典の一種としまして、学術芸術功労者というのと国民俳優という称号の制度がございます。時間の関係もあるようでございますので……
  34. 粕谷照美

    粕谷照美君 大変御丁寧に言っていただいてありがとうございましたけれども、しかし、日本とどこのところが具体的に違うかという、そういう明確な御答弁でなかったという点では非常に不満を残すわけですが、時間がありませんからこの辺で打ち切りますけれども、先日の矢原委員に対する御答弁で、やっぱりわが国は国民大衆の文化に貢献している者が余り出ていないのではないかという、この辺のことについてのこれからの御努力ということについて御見解をお伺いしたいというふうに思いますし、先ほどから私が話をしておりましたいわゆる芸術院会員になる、あるいはそこから選ばれていくという、この非常に忌まわしい話を本当に克服をするための努力がこれからどのような決意でもっておやりになるのか、あるいはみずからの手でそういうものをやっぱり切っていくという姿勢も非常に重要だというふうに思いますけれども、それにはそれなりのやっぱり文部省としての指導性というものがなければなりませんから、その辺のところをお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  35. 安達健二

    政府委員安達健二君) 芸術院会員の選考につきましてお話がございましたが、日本芸術院会員、定員が百二十名でございまして、この会員の補充をどういう形で行うかということはいろいろ御見解もあるかと思いますけれども、現在はフランスのアカデミー・フランセーズあるいはアカデミー・デ・ボザールというようなところと同じように選挙の方法をとっておるわけでございます。会員の選挙による方法をとっておるわけでございますが、その会員による選挙ということ以外になかなか適切な手続が見出しがたいということでそういう手続がとられておると思うのでございます。その場合に選挙でございますれば、当然自分の業績を知らしめたいというお気持ちが動くのは当然でございまして、そのためにたとえば展覧会をおやりになるとか、そういうようなことが行われることも十分あり得るわけでございます。そのほかにその金品等によってそういう事項を知らしめるというようなことがあるということは、これは非常によくないことでございまして、こういうことは選挙があってもそういうことがないようにできるだけの努力をしなければならない、こういうことは当然でございまして、したがいまして、そういう選考につきまして十分適正に行われますように文部省なり文化庁からもたびたび要請をいたしておるわけでございまして、私自身も芸術院の総会等にお伺いいたしまして、そういうことについてのお願いをいたしておるわけでございます。また、その芸術院等におかれましてもその選挙に際して事前運動というものが、いわゆる運動と思われるようなものが行われることがないように、そしてまた、仮にも金品の授受が行われることがないようにということは再三申し合わせをいたしておられまして、その点につきましては委員自体としても慎重に、しかもそういうことのないよう極力努力をされておるというように伺っておるわけでございます。そういうことでございますので、われわれといたしましては、この芸術院会員の選考についても不明朗な点がないように極力努力し、また、芸術院内部におきましての自粛を要望し続けてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  36. 久保亘

    久保亘君 関連して一、二点お尋ねいたしますが、学士院法による年金、それから文部省設置法に基づいて芸術院会員支給されます年金文化功労者年金とは性格的にどういう差がありますでしょうか。
  37. 清水成之

    政府委員清水成之君) いま性格の点のお尋ねがあったわけでございますが、文化功労者年金法によります年金につきましては、御承知のとおり第一条にございますように、わが国文化向上発達に特に功績顕著な者に与えると、こういう顕彰するため、こういう顕彰という性格でございます。それから学士院法並びに文部省設置法によります芸術院会員に対します年金につきましては、栄誉機関としての、栄誉という点が出ておるわけでございます。ただ、この学士院会員並びに芸術院会員はこれまた御案内のとおり国家機関に所属します非常勤の国家公務員ということになっておるわけでございます。そして先ほど来お話も出ておりますように、院賞あるいは恩賜賞等の選考なりあるいは会員補充の選考等の仕事もございますので、一部と申しますか、あわせ若干給与的な性格が入っておる、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  38. 久保亘

    久保亘君 学士院芸術院の会員に支給されます年金文化功労者年金は併給されておりますか。
  39. 清水成之

    政府委員清水成之君) これにつきましては併給をされております。
  40. 久保亘

    久保亘君 学士院芸術院は国家の機関的なその役割りがごく一部分でありますが存在しておりまして、それに対する若干の報酬的な意味合いもあるということをお答えになりました。私もそう思っております。文化功労者年金というのは、これは全く年金支給するための法律に基づいてやられているものでありますから、私はむしろ文化功労者顕彰、それからこの人たち日本文化に対するその後の貢献というものを称揚する意味においては、文化功労者年金というのは年金によらずかなりな額の一時金を支給して、そして、その後の文化活動に大いにひとつ力を尽くしてもらう、その方がよいのではないか、それから学士院芸術院年金との併給の問題について考えてみまする場合にも、やっぱり文化功労者に対する顕彰というのは、功労年金の十年分、二十年分に当たるものを一時金として支給することによって、日本文化向上に役立ててもらうというような考え方はどうなんだろうかと、これは別に私どもの党でそう考えているというわけではありませんけれども、併給の問題などを少し考えてまいりますと、そういうようなことは検討に値しないかどうかというような気持ちがいたしますものですから、大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  41. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま先生が御指摘になりましたように、文化功労者の場合には、将来の活動を励ますという意味合いを持たせてはどうかということですが、これはやはり意味合いとしては含まれていると思います。ただ、実質的に考えますと、そうなると非常に若い方々で、ある程度将来についてわからない方まで含めなければならないということも起こり得ますから、やはり奨励的なものであっても相当の仕事をされた方を選ばざるを得ないということは、やはり実質的な問題ではないかと思います。  なお先ほど、粕谷先生がお尋ねになりました大衆文化に対する貢献の問題でありますが、これも非常に大事であります。数から申しますと、必ずしも多くありませんが、たとえば登山の槇有恒氏、それから柔道の三船先生、それから演劇では水谷八重子さん、杉村春子さん、それから文学で尾崎士郎さん、この方は亡くなった後でありますが、それから高見順先生、そういうふうな例もいろいろございます。そういうものを今後強めていくべきであるとかように思います。
  42. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後零時十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十時五十二分休憩      —————・—————    午後零時十三分開会
  43. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  文化功労者年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き本案に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  44. 内田善利

    ○内田善利君 昭和二十六年にこの法律ができたわけですが、その当時のことですけれども、今回は二百四十万円の年金額になるわけですが、昭和二十六年にこの法律ができたときは五十万円、そのときは先ほども答弁がありましたが、物質的顕彰ということで五十万円ということなんですが、この五十万円を決めた基準と申しますか、これは局長待遇ということで決められたように伺っておりますが、この点はいかがですか。
  45. 清水成之

    政府委員清水成之君) ただいまの点でございますが、仰せのとおり、当時五十万円とするにつきまして局長の最高号俸で計算をしたわけでございます。そのときでいきますと三十万というのが実質であったわけでございますが、当時は税金がかかっておりまして、それに税金分を加算して五十万、こういうことになったわけでございますが、実質上は仰せのとおり局長の最高号俸、これがめどになったわけでございます。
  46. 内田善利

    ○内田善利君 そうしますと、先ほども答弁がありましたが、物質的顕彰に切りかえたということですが、当時は生活給ということも考えられたんじゃないかと、こう思いますが、この点はどうだったのか。それと現在の局長さんの年収は幾らか。
  47. 清水成之

    政府委員清水成之君) 最初の点でございますが、局長の最高号俸をめどにしたということは確かでございますが、計算上のめどにいたしましただけでございまして、生活給という考え方は当時もとらなかったというふうに承知をしておるわけでございます。あくまでも顕彰の性格を持った年金である、こういうことでございます。  後段の局長の現在のあれでございますが、これも大体指定職の関係が幅がございまして、期末手当等含めますと八百万をちょっと下回る辺から八百万を超す辺までの幅がある、こういうことでございます。
  48. 内田善利

    ○内田善利君 八百万と当時の五十万とは大分差があるわけですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  49. 清水成之

    政府委員清水成之君) その後の貨幣価値の変動等も勘案しましてもいまの二百四十万と、それから当時の五十万、それからいまの八百万というふうに比較しました場合には相当の隔たりがある、こういうことはいま御指摘のとおりだと思います。
  50. 内田善利

    ○内田善利君 ですからこれを今度政令金額を決めるわけですが、どうもこの年金額の算定の基準というのが明確でないと、政令でどうやって決めるのか、決めにくいのじゃないかと、そう思うわけですが、やはり何らかの算定の基準というものをしっかりと決めておかないと、政令で決めるにしても大変じゃないか。  それからもう一つは、先ほど審査委員の方の選考基準もまだ設けていない、こういうことなんですが、金額もまだ明確でない、明確であれば教えていただきたいと思いますが、昨年の二百万からことし二百四十万円になるわけですけれども、その算定の基準ですね、これはやっぱりある程度はっきりしておくべきじゃないか、こう思うのですが、政令になればなるほどはっきりしておくべきだと、国会審議するならば私は妥当な線が出ると思いますけれども政令で決めるとなればやはりある程度の基準を私たちにも明示していただきたい、こう思うのですがいかがでしょうか。
  51. 清水成之

    政府委員清水成之君) ただいまの政令の基準ということでございますが、法律上におきましては今回改正を御提案しております中の第八条第二項でございましたか、文化向上発達に関する功績に照らし、社会経済的諸条件を勘案して、そしてこれを顕彰するにふさわしい額でなければならない、これはまあ従来も明文があろうとなかろうと当然であったわけでございますが、この点を法律できちっとひとつ明定をしていただきたい、こういうことでございます。  そこで、具体的に今回の二百万から二百四十万に上がりました経緯でございます、算定基準でございますが、前回も申し上げましたとおり、一つは、沿革上の問題があったわけでございますが、めどとしまして、一つの指標としまして、国家公務員の本俸ベースアップ率をめどにしたわけでございます。四十八年から四十九年の一般のアップ率が二六・二五と、こういう計数を一応使ってはじいてみますと、二百万に対して前回お答えしましたとおり、二百五十三万という数字が一応出たわけでございます。  それからもう一つ前回申し上げましたとおり、経済企画庁でつくられております都市全世帯の消費水準のアップ率、こういうものを一つめどに置いたわけでございます。それではじきますと、二百万に対して二百四十二万、こういう数字が一応出ます。そこで、いろいろ勘案いたしまして丸く二百四十万、月額に換算しますと二十万、こういうようなところが一つのめどではなかろうか、こういうことで二百四十万と、こういうふうにしたわけでございます。
  52. 内田善利

    ○内田善利君 この政令問題はこれだけにいたします。  次に、この法案に関連しまして、これは一昨日も矢原委員から質問が出ておりましたが、国民文化の振興ということで、大臣にその抱負といいますか、所見をお伺いしたいと思います。
  53. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 昨日の御質問にもありましたが、国民文化という場合に、いわゆる大衆的文化、それからいわば専門的な文化というふうに大別できると思います。文化功労者の場合に、専門文化と申しますか、学術あるいは芸術、非常に専門的な方々の数が多いということは事実であります。やはり大衆的な文化に貢献された方というものを非常に重んじていくべきだと私は考えております。これまでもそういう方が絶無であったというのではなく、やはりスポーツとかあるいは大衆文学あるいは大衆的な演劇に貢献された方々文化功労者になっておられますが、やはりそういう考え方がありましたから、いまのような方々が選ばれたんだと思います。  ただ、その点が十分であるかどうかということは、十分選考委員会でも今後もお考えを願いまして、特に大衆の文化というものが民主社会において重要でありますから、私どもとして、選考の際に十分お考え願うことを希望していきたいと考えている次第でございます。
  54. 内田善利

    ○内田善利君 文部大臣のお考えをお聞きしまして意を強うしたわけですが、先ほどの答弁の中からも学士院関係あるいは芸術院関係の方が多いわけですが、もう少し大衆的文化の振興ということに力を注いでいくべきじゃないかと思うわけですが、特に地方文化の振興ということで、地方に文化活動の運営あるいは文化行事の推進、そういったことのための文化センターを地方につくったらどうかという考えが私どもにあるわけですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  55. 内山正

    政府委員(内山正君) 地方に文化活動の拠点となります文化センターないしはそういった関連の施設の充実はきわめて必要であろうと考えております。  文化庁におきましても、数年来、文化会館あるいは市民会館というようなものの建設につきましては助成を年々いたしておりまして、現在助成によりまして設置されました館数は九十館程度が、県あるいは市の段階において設置をされております。今後ともこうした文化活動の拠点となります場の充実につきましては、さらに努力をしてまいらなければならないと考えております。
  56. 内田善利

    ○内田善利君 博物館は国立しかないわけですが、県立博物館建設の助成、この点はどのようにお考えですか。
  57. 内山正

    政府委員(内山正君) 県立の博物館の建設の助成につきましては、社会教育局の方で建設費の助成をいたしておるわけでございます。
  58. 内田善利

    ○内田善利君 いわゆる各種の文化行事として展示会が行われておるわけですが、ほとんど東京中心なんですね。これをもう少し地方に広げて地方都市に移動させていく、そういう方向で財政措置、助成措置は考えられないか。
  59. 内山正

    政府委員(内山正君) 地方にできるだけ美術展等の移動につきまして配慮をする必要があると思うわけでございますが、これにつきましては、都道府県あるいは市町村段階におきまして、文化会館等におきまして県展あるいは市主催の展覧会等を実施いたしますそういう自主的な事業に関しまして助成をしているわけでございます。  さらにまた、中央で行われます各種の展覧会を地方に巡回する等の事業に対しましても助成をいたして、あるいは文化庁直轄の事業として実施をしている事業もございます。今後そういった面での充実はさらに拡充が必要であると考えております。
  60. 内田善利

    ○内田善利君 一つ提案ですけれども、国際文化交流の面から日本にもたくさん参っておりますが、各国の民族舞踊団があるわけですね。ところが日本では一つ政府の援助による舞踊団は結成されてないように思うんですが、欧米あるいはソ連、中国あるいはメキシコ、インドネシア、フィリピン等の発展途上国でも国家の代表としてりっぱな舞踊団を持っている。ところが日本にはこういう舞踊団が結成されていないわけですが、わが国の民族文化発展のために、こういった民族舞踊団といったようなものを結成するということはどうでしょう。
  61. 安達健二

    政府委員安達健二君) 民族芸能あるいは民族舞踊というものを、どのように助成し育てていくべきかという問題があるわけでございます。  一つは民族芸能というのは、それぞれその土地に根ざしたものでございますから、やはりその土地の人がみずからその時期におきまして、現地でこれをするということが一つの原則であろうというように考えるわけでございまして、したがいまして、現在文化庁といたしましては、文化財保護法に基づきまして無形文化財としての民族芸能、これを選びまして現地での公開の助成をするということを一つやっておるわけでございます。と同時に、そういう民族舞踊なり民族芸能というものは民族の遺産でございまして、現地の公開等による保存ということにつきましても、ある程度やはり限度があるかもしれないということがございますので、これはひとつやはり専門家に民族芸能等を覚え込みしていただきまして、そうしてそういう形で保存していく、あるいはそういうものを海外で紹介していくというようなことも、もう一つの方向として考えられるのではなかろうか。そういう面におきまして、現在ごくわずかでございますけれども日本民族舞踊研究会あるいは日本民族芸能協会というようなところで、そういう専門家が民族舞踊を勉強し体得する、そして、それを海外等で行う場合につきまして助成をするというようなことの試みをいたしておるわけでございまして、あるいはそういうものは、将来もう少し強固な基礎に立った民族舞踊団、国立の民族舞踊団というようなものを形成することにつきましては、さらにその状況等を見ながらそういう点も十分検討すべき重要な課題であると考えておるところでございます。
  62. 内田善利

    ○内田善利君 その次に、先ほども大臣から答弁があっておりましたが、専門文化ではなくて大衆的な文化の面で非常に貢献された方をいまからはどしどし表彰、顕彰していきたいということですが、こういった大衆的文化功労者、そういう方々はなかなか見出しにくいと思うんですけれども、こういった方々をどういう形でどういうふうにして表彰していかれるか、大衆的文化功労顕著であったという、そういう隠れた場所におけるそういう功労者をどういう形で表彰していかれるか。具体的に見出す方法といいますか、先ほど選考基準がまだできていないということなんですが、この点はどうでしょう。
  63. 清水成之

    政府委員清水成之君) 一つは、文化功労者の問題も御質問の主意にあろうかと思いますが、その前に、そういう方々につきまして叙勲褒賞の制度上どういうふうに考えていくかという問題があろうかと存じます。これらにつきましては、全国的、地方的にわかっております場合には、私どももそれぞれの局で留意をいたしまして官房で取りまとめるということが可能でございますが、いま仰せのとおり、それこそ草の根の文化と申しますか、そういう埋もれているような方々の叙勲褒賞につきましては、それぞれの当該地方団体から御推薦をいただきまして、そして文部省で取りまとめ、該当の向きにつきましてそれぞれの方へ推薦をいたす、上申をする、こういうことでやっておるつもりでございますし、やっていきたいと思うのでございます。  なお、大臣からも先ほどお答えがございました文化功労者の問題につきましては、文化範囲が非常に広い範囲でとらえられておりますので、対象としましては広く一般に入るわけでございますが、現在のところいわゆる仰せのとおりの運用には結果的にはいままだ入っていない、こういうことでございます。
  64. 内田善利

    ○内田善利君 功労者を選考する場合の審査員が選考される場合の選考基準ですね。これを決められる考えはありませんか。
  65. 清水成之

    政府委員清水成之君) これもこれまで御指摘のそういう点がございまして、内部で検討もいたしましたが、先ほどもお答えいたしましたように、現在具体的につくっておりません。その趣旨としますところは、こちらでいろいろ、何と申しますか、   〔委員長退席、理事久保田藤麿君着席〕 細部にわたる基準をつくる方がいいのか、あるいは各委員の良識と、何と申しますか、識見にまって御選考をいただいた方がいいのか、こういう点がございまして、私どもとしましては現在のところ後段の方法をとっておるわけでございます。  なお、これらにつきまして、また別にお考えがあれば大臣からもお答えがあろうかとも存じます。
  66. 内田善利

    ○内田善利君 先ほどから大衆文化といいますか、こういった中から功労のあった方々を選考するという立場に立ちますと、現在の審査委員のメンバーを見ましても、もう少し隠れたそういう功労者を探していくという立場からいきますと、現在の審査委員の中にそういった分野の方も含めるべきじゃないかと、そう思うんですが、もし現在の審査委員であるならば、選考基準を設けて、もう少し広い立場から隠れたそういった大衆文化的な功労者を選考していくというふうにすべきじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょう、大臣審査委員選考基準との関係ですね。
  67. 清水成之

    政府委員清水成之君) 大臣からお答えあります前に、事務的にちょっと経過だけ御説明させていただきたいと存じます。  いま仰せの御趣旨は私どもよく理解できるわけでございます。最近の審査状況の一つの特色としまして、これは一例でございますが、文学、小説を議題にされます場合に、いわゆる純文学ということだけではなしに、いわゆる大衆小説家、そういう方でいい人がないかとか、あるいはまた、これはまあいまはそういうことになっておりませんが、漫画というものはどうだろうかと、こういうようなことが選考委員会の話題に上り出したと、こういうことがございます。それから、これもまた恐縮なあれでございますけれども、いわゆる芸能関係を考えます場合に、いわゆる古典芸能だけというような従来の傾向に対しまして、新しい方面の芸能からどなたか適当な人がおらぬかと、こういうような角度もございまして、婦人の文化功労者方々も若干は出ておる、こういう傾向が特色として最近は出てまいっておるという事実だけ大臣の御答弁の前に御報告させていただきたいと存じます。
  68. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 基準の問題、それから大衆的な文化というものを尊重していく場合にどうしたらいいかという二つのことについて申し上げたいと思います。  基準の方ですが、まず選考審査委員が選ばれる場合、この方々に少なくも四つぐらいの分野を代表していただく、自然科学、社会科学人文科学芸術ですか、それからその他とかと、またその中が非常に細かく十以上に分かれております。そういう形でいろいろな分野の方が参加されるということによって一つの基準は示されていると思います。つまりどういう分野方々が選ばれるかと、選考委員になっているかということが同時にどういう人々を文化功労者として選ぶべきかという考え方とつながっていくというふうに思うんです。ただし、その場合にも、先ほど官房長から申し上げたように、基準というものを設けていない。これは二種類考えがあると思います。この文化功労者の選考だけでなく、ほかの民間におきますいろいろな文化賞の選考の場合にも、基準というものを設けるよりもかなり自由に選考委員会の方々に選んでいただくという形をとっているのが私多いと思います。そこで、基準ということを言えば非常に抽象的になるわけで、むしろ選考委員方々に自由に考えていただくという考え方の方が柔軟性があるんではないかと、そうすると、次に、選考委員にどういう人になってもらうかということがたとえば大衆文化の場合に関係してくるわけであります。  最近の選考委員の表を見ますと、たとえば、音楽あるいは文学という場合、堀内敬三氏あるいは吉田秀和氏、それから広津和郎氏、丹羽文雄氏、こういう方々は相当広く音楽や文学の世界で活動している人について知っておられますから、私はこういう方々功労者の選考委員お願いしておきますというと、相当大衆文化の貢献者というものを選んでいただく目があるのではないか。しかし、これで十分かどうかというと、確かに非常に問題がございますから、今後ともに広く大衆文化に貢献する人を選ぶのにふさわしい選考委員お願いしていくように私どもとして配慮いたすべきであると考えます。
  69. 加藤進

    ○加藤進君 今度の改正案で年金を二百万円から今日の社会経済的な諸条件を勘案してこれを引き上げる、こういう趣旨について私は当然だと賛意を表します。同時に、この年金の額の決定について、文化功労者方々文化に貢献されたその功績に対してこれを顕彰するにふさわしいものとすると、この趣旨についても私たちは全面的に賛成です。しかしながら、そういう趣旨や内容のものを今日までたびたび国会において提案され、国会において改正の都度審議されてきたものであります。ところが今回出されてきておるのは、内容、趣旨については従来とそれほど変わっておりません。もちろん、衆議院における修正意見も入っています。しかし、基本は変わっていないと思う。基本の変わっていないものを、しかも、従来国会において常に審議を経て決定されてきたものを何がゆえに今回だけあるいは今後政令に任せるというような措置をとらなければならなくなってきておるのか。私は今日まで各委員質疑を聞いておりました。答弁も聞いておりましたけれども、その答弁は全く納得のいきかねるものであって、何ら明確になっておりません。私はあえて、重ねてその点についてこれこれしかじかの理由によって政令にゆだねざるを得ないものであるという点のはっきりとした御答弁お願いしたいと思います。
  70. 清水成之

    政府委員清水成之君) けさもお答えいたしましたように、加藤先生に御納得いただけないということでございますが、この点いろいろ御議論があることは私ども承知をいたしておりますし、また、いま御意見のございました点も理解ができるわけでございますが、私ども提案理由のことにつきまして再度またお答えをさしていただきたいと存じます。  本法ができました当初から金額をここに明記して決定をするということにつきましてはけさほどお答えしたとおりでございまして、四十八年までそういう考え方でまいったことも確かでございます。四十九年度の際におきまして、この提案理由説明にもございますし、けさもお答えいたしましたように、一つは、社会経済事情変動の著しい時期でございますので、予算審議を経て十分御審議をいただいた結果でございますので、それをひとつ政令に譲らしていただくということでお願いをしたいと、こういうことがございます。それから予算が成立いたしましたら、政令にもって譲らしていただきまして、受給対象者に速やかに支給をさしていただきたい、こういうことでございます。決して、けさも御指摘がございましたし、大臣からもお答えいたしましたように、国会の御審議を云々というようなものでは毛頭ございませんで、予算委員会あるいはまた文教委員会におきまして予算を通じてこの点はいつも御批判、御審議をいただいている件でございますので、これを踏まえて政令に譲らしていただきたい、こういう趣旨でございます。
  71. 加藤進

    ○加藤進君 それは逃げ口上ですよ。第一、いまわが国の社会的、経済的諸事情の問題というのは、これはもう当然のことながら国会の十分な審議を経なくてはなりません。しかも、これと文化功労者に対して年金を付与するという額の問題を決定するということは、これはわが委員会の仕事で従来あったわけでありますから、その意味においては、この委員会においてもその点について十分に審議するということは当然のことであって、その審議を抜きにして予算委員会等々において物価上昇等々の問題が審議されておるから、あとはもう文部省に任してくれというのは、これは私は国会軽視の考え方に基づいているものであると、こう言わざるを得ないと思います。私はあえて言うならば、それほど深刻な状況に今日社会的経済的諸条件があるんだからこそ、もっと十分に国会審議する、こういう態度を堅持することが当然であると、こう思います。  もう一つは、文化功労者に対するその功績を顕彰するというのが趣旨でございますから、この功績を顕彰するという立場から言うなら、これは、政令によって行う行政措置ではなしに、国権の最高機関である国会においてこの問題について十分に国民を代表して審議決定する、こういうことが私は文化功労者に対する当然の敬意を表すべき態度である、こういうふうに考えるわけでございますけれども、その点につきまして、一言で結構でございますが、文部大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  72. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先生仰せのとおり、われわれは、文化功労者顕彰するに当たって国会のお考えを尊重してまいりたいと思います。ただ、額の決定の方法について政令にゆだねていただきたいということをお願いいたしました事情官房長から申し上げたとおりであります。こういう形になりましても、予算の御審議もいただきますし、また、文教委員会等において国民文化あるいはそれの顕彰のあり方はいかにあるべきかということについての御討議が今後も進行していくと考えておりますし、また進行することが望ましいとも思っておりますので、御趣旨の点は十分体して、そうして、今度の一部改正法律案というものを御趣旨に沿う線において生かしていきたいというふうに考えております。
  73. 加藤進

    ○加藤進君 大臣お答えにつきましても私は納得がまいりません。納得がまいらないというのは、なぜ政令にゆだねなくてはならぬという積極的な理由があるのかということです。なぜ、国会審議を経て決定するという従来のやり方を変えて、文部省に任せろ、こういうことをあえて行わなくてはならぬのか、こういうことであります。私は、その点につきまして、文教行政の中に文教行政独走、そして国会軽視ということがこの法案の改正についても端的にあらわれている、こういう点を私は絶対に見逃がすわけにはまいりません。つきまして、この問題について後刻修正案を提案したいと思いますから、この点はこの程度で、とりあえず終わります。  そこで、文化向上のためにいろいろの問題がございますけれども、とりわけ、今日日本の子供たちの置かれておるきわめて憂うべき状況があると思います。これは、すでに非行化がますます年齢を下げてきている。小さな子供たちにまで及んでいる。あるいは子供たちの自殺などというような異常な現象が今日起こっている。この問題について文教行政は無関係であるとは私は言えないと思います。その意味において、子供たちに安全でしかも快適な遊び場等々の身体の健全化を図るような措置だとか、あるいは詰め込み教育をやめて行き届いた教育を実行するための積極的な努力だとか、あるいは受験地獄の解消のための努力等々が、当然のことながら文教行政として行われなくちゃならぬ問題だと思います。と同時に、今日、子供たちが、学校の教育の場以外に、家庭におきましてはマスコミのはんらんのさなかに置かれて成長しているわけでありまして、たとえばテレビあるいは映画、ラジオ等々を通じてきわめて深刻な影響を与えているということは大臣も御承知のとおりだと思います。そういう影響の中で、好ましくない影響を取り除いていく、そして子供たち文化的な要求を満たしていくというような措置を積極的に文教行政の上において行っていかなくてはならない、こういう問題が従来から言われておるところだと思います。その点につきまして、文化庁が子供芸術劇場などの企画をすでに実施しておりまして、子供たちに対して、その要望にこたえて健全な子供たちの発育を保障していくという方向で努力されておるということについては私たちはそれなりに評価しています。つきまして、この子供芸術劇場が今日どのような活動を行っておるのか。たとえば、昭和四十九年度においてどのような活動を行われておるのか。数字を含めて御報告をいただきたいと思います。
  74. 内山正

    政府委員(内山正君) 成長期にあります子供たちにその発達段階に応じた教育を施すあるいは文化の提供をするということは大変大事なことであろうと思うわけであります。その場合に、できるだけすぐれた芸術を鑑賞させる機会を与えるという、そういうことについての強い配慮をする必要があるわけでございますが、このことにつきまして、ただいま先生から御指摘のございましたように、文化庁におきましては四十九年度から子供芸術劇場というものを実施してまいりましたし、それに先立ちまして四十二年度からは青少年芸術劇場というのを実施してまいったわけでございますが、この事業の中身はすでに御承知かと思いますけれども、全国の各地に、通常は接することのできないすぐれた芸術を持って巡回をいたしまして、無料で青少年や子供たちに鑑賞をさせるという事業でございまして、四十九年度の子供芸術劇場について申し上げますと、子供芸術劇場は四十九年度は初年度でございましたので、十分、全部の県に行き渡るという実績を示すことはできませんでしたけれども、子供にふさわしいオーケストラあるいは音楽劇、バレー、児童劇、こういう四種目の芸術を三十六県、四十七公演を実施をいたしたわけでございます。   〔理事久保田藤麿君退席、委員長着席〕 これにつきましては、各地で大変成果を上げておりまして、子供たちが強い感銘を受けたという評価を聞いております。
  75. 加藤進

    ○加藤進君 おっしゃるとおりだと思います。その効果はあると思っています。同時に、三十六県で四十七の公演ということになると、まあ各県に割り当ててみましても一県に一年間に一回、こういういわば機会しか保障されていないという点から言うならば、これだけで足れりと当然のことながら甘んずるわけにはまいらないと私たちは思っておるわけでございますが、その点について、同じ趣旨のもとで文部省の企画されておるような方向でお母さんたちと子供たちとが協力し合いながら自主的にそのような活動を展開しておるという一つの運動がございます。これは子供劇場という運動でございまして、この発生地は、すでに十年前に福岡市で初めて行われた。その運動が各地に広がりまして、いまでは全国百三十四カ所において子供劇場が公演されつつある。その会員数は十七万二千名に達しています。子供だけでも十万を超えておるという状態でございまして、昨年七月にはその全国的な連絡会ができた、こういう発展の状況を示しておるわけでございますが、この内容について、もう御存じのことでございますから、あえてお聞きするまでもございませんけれども、演劇、バレー、人形劇、映画、芸能等を子供たちに見せ、母親が子供たちと一緒に楽しむ、こういう健全なやっぱり企画になっておるわけであります。  ところが、この劇場の活動を支えていくものは何かといえば、会員からの零細な会費でございます。これは全国的に言うと月平均二百八十円程度だそうでございますけれども、この会費だけではとうてい足らないので、お母さんたちは各所で献身的にこの子供劇場を支えていくための無料奉仕を続けておられるということは御存じいただいておることだと思います。  これに対して福岡市などでは、ささやかではありますけれども、自治体としての補助をしようということで、この運動を励ますような措置が各地にとられておりまして、今日では全国三十八の子供劇場に対して、ささやかでございますが、三百三十六万円の補助が地方自治体、公共団体からなされている、こういう現状でございます。  ところで、私がお尋ねしたいのは、文部省として子供芸術劇場等々の企画をもって積極的に子供の教育文化のために努力をされておるわけでございますから、こういう子供劇場の運動というのはお母さんたちの努力と子供たちとの協力によって、むしろ文部省の努力しておられる方向に対してこれをバックアップしながら、さらにこれを広げていく、こういう意味の重要な活動の内容になっておるのではないか、こういう点から見るならば、私は単にこのような運動に対して、お母さんたちの献身的な努力だけに仕せるということではなしに、国立劇場に対してあれほどの補助をされておられる今日の文化庁でございますから、私は、地方公共団体がすでに始めておられるような補助をぜひとも国の段階文部省としても十分にしてもらうことが願わしいことではなかろうかと考えるわけでございます。もちろん、この運動は福岡市の選出の先生たちもよく御存じのことでございまして、これは決して党派にこだわるような運動ではございませんし、広範な父母、子供たちの参加するという健全な運動でございますから、その点について子供たちを含めての文化の育成ということを考慮しながら、私は、文部省としてこの際、適切な補助の措置をとっていただく必要があるのではなかろうか、こういうことを重ねて申し上げるわけでございまして、この点について文部大臣の御所見を賜りたいと思います。
  76. 内山正

    政府委員(内山正君) ただいまお話のございましたような子供劇場という活動が各地で行われていることは伺っております。有志の方々が集まって、会費を納めで子供のための活動をなさっているわけでございまして、この点につきましては、大変有意義なそれぞれ意味を持った活動を展開されていると承知をしております。現在、文化庁でこうした活動につきまして、芸術文化団体に対しまして助成をいたしておりますが、こうしたと申しますか、一般芸術文化団体に対する助成をいたしておりますが、従来まだ、今年度もそうでございますが、いわば鑑賞を中心とした鑑賞組織に対しましての助成は行っていないわけでございます。これについてもいろいろ御意見もあることであろうかと思いますが、それからもう一つは、この子供劇場の活動が個々の団体の活動として各地で展開されているということでございまして、これに対して国が直接助成をするというのはなかなかむずかしい問題でもありますし、先ほどお話のございましたように、地方自治体等においてこれに対する助成をさらに強化していただくというようなことを配慮することが必要であろうかと思います。  なお、この鑑賞組織という点につきまして私どもが検討をいたしておりますことは、事業の場合の企画性について、もう一つはっきりとした実態をつかみたいというようなこともございまして、これらの活動の実態をさらに見きわめた上で、検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  77. 加藤進

    ○加藤進君 この点について、文部大臣、広範な子供たちの幸せにつながる問題でございまして、これは鑑賞団体には助成をした経過はないとか、いろいろ言われましたけれども、私は、文部大臣として未来をになう子供たちのために、当然、政府として何らかの意味の助成を行う必要があるのではなかろうかと思いますが、その点の御所見を重ねて大臣の方からお聞きしたいと思います。
  78. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 子供芸術劇場は、本年は百四十を超えるところまで持っていきたいということであります。それとの関連におきまして、先生は地方の子供劇場の重要性を御指摘になりました。これは私も地方の子供劇場というものが非常に大事であるということについて、先生のお考えに共感を持ちます。ただ、その財政的な基礎というものをどういうふうにしていくかということでありますが、これも先生のお言葉の中にありましたように、現状においては、少額であるけれども地方自治体がある程度の応援をしておられるというふうに承っております。そうしますと、この子供芸術劇場、これについては国の力を財政的にも注いでいるわけでありますが、こうしたものも相互に補う、相補的な関係と申しましょうか、これがどういうふうなものであるべきか、また、あり得るのかということを、少し勉強の時間をいただきまして、その勉強を十分にいたしました上で、財政的な基礎については考えさしていただきたいと、しかし、目的といたしますところは、自発的に起こってまいります子供のこういう劇場、それから政府が計画して推進しておりますもの、こういうものがかみ合っていくということが望ましいという点には変わりはございません。繰り返しますが、若干の勉強時間をいただきたいという考えでございます。
  79. 加藤進

    ○加藤進君 運動の趣旨、目的については、きわめて有意義なものであると考えると、ただ、助成措置については若干の時間を持って研究して前向きに処置する、こう理解してよろしゅうございますね。
  80. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) はい。
  81. 加藤進

    ○加藤進君 わかりました。  それでは、あとの時間にもう一つお尋ねしたいことがありますけれども、いま子供たちに、茶の間にまで影響を与えているもう一つの問題として、テレビのコマーシャルソングという問題がございます。もうあるコマーシャルソングなどは子供の愛唱歌にもなっておるというようなほど、重要な影響を子供たちに与えておるわけでございまして、これも文化的にも、教育上からも軽視できない問題だと思うわけでございますが、こういうコマーシャル音楽をつくられる作曲家の諸君が、どのような状態にあるかという問題でございます。第一には、この作曲家の作曲活動、創作活動を保障すべき生活条件、こういうものがきわめて厳しい状態にある。一つの作曲をつくって、一本二万円から三万円、かせぐに追いつく貧乏なしと申します、かせぎにかせいで、何と月に十五本もつくらなければ生活ができない、こういう作曲家が現にあるわけでございます。二日に一本です。だから、どのような内容の、どのような深い意味を持つような作品になるかということは、ここで推して知るべきだと思うんです。もう追いまくられて作曲をやっていると、こういう状態の作曲が、まさに企業家の手に渡って、それが全国の子供たちの茶の間に大きな影響を与える、こういう問題でございますから、これは単に作曲家の問題だけではないという点が一つあります。  その問題についてお尋ねしたいのは、広告音楽の作曲を依頼される場合に、その作曲家に対して支払いはどんなふうにやられておるのか、この点の御認識をお伺いしたいと思います。
  82. 安達健二

    政府委員安達健二君) コマーシャルソングが、どのような形でもって法律上の処理がされておるかということでございますが、第一は、広告主、スポンサーが広告代理店に制作を依頼する、そうすると、広告代理店がさらに広告音楽のプロダクションに発注をするということで、そのプロダクションが、作詩、作曲家と委嘱契約を結ぶ、こういうことでございまして、一本幾らと、先ほどのような形におきましてコマーシャルソングが委嘱され、作品ができるわけでございまして、その委嘱契約の内容といたしまして、その広告音楽の使用の形態等につきましては、はっきりした文書による契約まではないようでございますけれども一般的にはそのコマーシャルソングを使うところの放送権というものを含んだまあ委嘱料というような形で支払われておるというようなのが実情のようでございます。
  83. 加藤進

    ○加藤進君 そこで問題になるのは、源泉処理とかいうような言葉でやられていますね、その処理の仕方で、とにかく作曲をした者がまず支払いを受ける。ところが、支払いを通じて与えたその作曲なるものは、何回これを使っても、これは全部作曲家そのものの収入にはならない、あとは全部、あるいは企業、あるいは民放の収入になる、これはもう遠慮会釈なくその内容、規模が拡大していく、こういう状況にあるわけですね。その間、一度たりとも使用料の応分の分を差し上げますなどというようなお話は何一つないということでございますから、いわば当然作曲家が持っておるはずの著作権さえ、一遍の支払いの授受によって買い取られてしまったと、こういうような状況に現実にはなっておるわけでございまして、この問題について、作曲家の皆さんからひとしく声が上がっておるのは、われわれは作曲して、そして作品を売るわけだから、作曲料としては当然いただいていると、同時に、その作品があるいはテレビで、あるいはラジオ等々で、どんどん使用さわるわけだから、その使用については、その収益の一部として使用料をわれわれは受ける権利がある、これが著作権法に示されている当然の著作者としての権利ではなかろうか、こういう問題が出まして、各作曲家の皆さんが組合までつくって、その主張を出されてきておるというのが現状でございますけれども、これは著作権法に基づいて、そのような主張や要求が不当であるのか、正当であるのか、私はそのけじめだけは文化庁としてぜひやってもらわなくてはならぬと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  84. 安達健二

    政府委員安達健二君) 問題は、その場合の委嘱契約の内容になるわけでございます。つまり、委嘱契約の中で、これは最初の作曲についての報酬だけを委嘱したものの関係であるというのと、それにプラスいたしまして、放送の使用の場合についてはどうするかというような内容を明快にするということがまず大事なことだろうと思うのでございますが、現在は実は文書による契約が余りなされてないという点が、実は不明確なものですから、まず第一点はそれを明快にするということが必要でございます。ただし、権利者と使用者との間の関係は、一般的に言えば、力の関係と申しますか、そういう関係におきましての契約が結ばれるわけでございますから、やはりその間にそういうコマーシャルの著作者の方々と使用者との間で、一種の標準契約のようなものを考えていく、そういう契約を標準契約化することの段階におきまして、関係者間で十分な話し合いをして、そうしてそれらの権利処理の関係を明快にすると、これが私はまず第一のことでございまして、この点がはっきりすれば、それと著作権法との関係も明快になるということで、私どもは、そういう標準契約化が大事なことだと思うのでございまして、幸いにいたしまして、使用者側にもそういう声があるわけでございますので、そういう形をわれわれとしても期待をいたしてまいりたいと考えるところでございます。
  85. 加藤進

    ○加藤進君 最後に、文部省のハンドブックというのが出ておりますから、これについては私は引用はいたしませんが、特に著作権というのは、著作者の著作物を利用して収益を上げる財産権である、いわば著作し、作曲する方たちにとっては財産権である、こういう重要な問題でございまして、その権利に対して、文化庁は常に著作権の権利が守られておるかどうか監視しなくちゃならぬという立場でございますので、私は、もう時間がありませんから、あえて細かく申し上げることはできませんけれども、今日個々の作曲家と、あるいは著作権の管理を委託されておる協会と、それからまた、その背景にある民放の方々との間にまだ十分な意見の調整ができかねるというような状況が今日あるようでございますが、そのような問題が今日起こっておるからこそ、私はあえて文部省文化庁に対して著作権法の趣旨精神に基づいて、これはもう旧著作権法をつくられた水野錬太郎博士の名著の中にも明確に出されている内容でございまして、この趣旨精神に基づいてこれに対する指導なり、あるいは助言なりということを進んでやっていただきたいということを期待するわけでございますけれども、その点についての御答弁大臣からお伺いしたいと思います。
  86. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 著作権法に基づく著作権の保護というものが大事であるということは申すまでもないことでございます。先ほど文化庁長官から申し上げましたように、ただ、当事者間の契約がどのような姿で明確に結ばれているかということが法的には重要な点でありまして、これは、たとえば音楽に関する著作権に限らず、他の場合にも使用権と著作権の問題というものを生じるわけであります。そこで、われわれ文部省といたしましては、今後その契約内容というものが明確にされて、著作権を持っている人の利益というものが契約に基づいて明確に保護されますように、そういう精神で今後の動きを見守っていきたいと考えております。
  87. 加藤進

    ○加藤進君 そのようにひとつ積極的に善処していただきたいということを申し添えまして、私の質問を終わります。
  88. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 すでに質問はもう出尽くした感じでございますけれども、締めくくりのような感じで最後に質問をさしていただきます。  現在、文化功労者に対する年金としてはこの法律に基づく文化功労者年金日本学士院及び日本芸術院会員に対する年金、これは先ほどの御答弁によって給与的意味も含まれているということでございますが、そういったものや、文化功労者年金が単なる顕彰なのに対して、学士院及び芸術院の方が顕彰に加えて大臣への建議等、非常勤的な国家公務員の性格をも持っていると、このようなお答えがあったわけですが、そういったようないろいろな三種類のものがあるわけですが、どちらもその人の文化活動のわが国文化の発展に寄与したことをたたえる点においては実質的に同じものであると考えております。しかし、これらの人たちに与えられる年金の額はそれぞれ違っていますが、その理由はどのようなことでございますか。
  89. 清水成之

    政府委員清水成之君) ただいま御指摘の点でございますが、一つは、いま先生お話しのとおり性格から来る問題があろうと思います。文化功労者年金につきましては、今朝来お答えいたしましたように、顕彰という性格でございます。それから日本学士院並びに芸術院会員年金につきましては栄誉という点が一つございます。それからお話しのとおり給与的な性格があろう、こういう性格から来る点がございます。  いま金額が違っておる点も、これもそのとおりでございますが、これまた、一つは沿革の問題もあるわけでございまして、学士院が明治十二年に発足をして同年からそういう制度ができた、芸術院につきましては四十年に美術審査委員会というようなことから発足しまして途中からこういう金の問題がついてまいっておる、そういうような沿革上の問題、これもあるいは理由にならないとおっしゃればそれまででございますが、そういう理由もある、こういうことでございます。主としては性格の問題でございます。
  90. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それだけ伺えばその点については結構でございますが、文化功労者と、それから学士院芸術院、こう三つあるわけですが、もう一つありますのが人間国宝でございますね。このいわゆる人間国宝に指定された者の中で文化功労者に指定された者は何人いらっしゃるんでしょうか。
  91. 内山正

    政府委員(内山正君) いわゆる人間国宝、重要無形文化財保持者に認定をされた方で文化功労者に入っておられる方は五名でございます。
  92. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その氏名をおっしゃってくださいますか。
  93. 内山正

    政府委員(内山正君) 中村歌右衛門、芸名で申し上げます。松田権六、荒川豊藏、濱田庄司、それに中村勘三郎、この五名でございます。
  94. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 文化功労者に指定されながら、しかも、人間国宝になっていらっしゃるわけですね。私、その人間国宝という言葉に大変抵抗を感じるわけです。もう少し何とかいい言葉はないものだろうかと、こう思うわけですけれども、この文化功労者年金がその人の、いま文化功労者年金をもらっている人がわが国の文化の発展への貢献をたたえるという意味では、その対象はその人自身でありますね。その人自身であるのに対して、いわゆる人間国宝は文化財ということで、その人のわざに対する保護ということでしょう。あるいは後継者養成ということ。そういったようなことで、わざの保持者は保護の対象とはなっていないのではないか。わざに対しては保護されながら年金が与えられるわけですね。しかも、その年金は百万円でございますね。そのわざを持っている保持者、その保持者に対する保護というのは対象になっていないわけですね。しかし、人間国宝の場合はわざとその保持者を厳密に区別するということは不可能で、一体のものと言っても当然でございますね。したがって、人間国宝の保持者のわが国文化の発展に対する貢献は非常に大きなものがありますので、人間国宝の指定とは別に、そのわざの保持者、これを文化功労者として指定をし年金額支給すべきではないか、このように考えるわけですが、その点はいかがでございますか。
  95. 内山正

    政府委員(内山正君) まず、人間国宝という言葉には抵抗を感じるというお話でございますが、これは正式には私どもも重要無形文化財の保持者、認定された保持者ということでございまして、当時この制度発足しましたときにマスコミ等で人間国宝という新聞見出し等が出まして、この方がむしろポピュラーになったという実態でございます。この重要無形文化財の保持者に対します助成は、これはいわゆる御承知のように年金でなくて、その持っておられる保持者が体に体現しておられるわざを保存していただくための、そのための日ごろの練習、練摩、あるいは後へ保存するための後継者養成というような、そういう活動費の一部を助成するという形のものでございまして、優遇するための年金というような形の、ほかの制度とは異なるものでございまして、その額も五十年度百万円でございますが、この額がその活動の助成に関して十分であるかという点については問題がございます。したがいまして、その活動費に対する助成ということでございまして、年金支給すべきではないかという御意見につきましては、これは文化財保持者としてその中から選ばれて年金支給されていらっしゃる方もあるわけでございまして、保存のための、わざの保存のための助成ということに関する強化は今後さらに検討してまいらなければならないかと思います。したがいまして、重要無形文化財保持者に対する百万円という金額は、これは年金ではないということでございます。
  96. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまお伺いしたのは、人間国宝というのはいま七十名いらっしゃる。その中で文化功労者年金をいただいている方はわずかに五名でございますね。そうすると、あとの六十五名というのは、いまあなたのおっしゃるお言葉をかりれば、活動費に対する助成ということで年百万円でございますね。そうすると、私はこれはやっぱり相当引き上げるべきだと思いますが、今後これは十分検討をしていただいて、余りにも差が大き過ぎる、こういう点で、少し御検討いただくように、大臣からちょっと一言お言葉をいただきたい。
  97. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの先生の御指摘の点につきまして、十分それを勘案いたしまして検討努力をいたします。
  98. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは先ほど来、いろいろ議論になっておりました点は、もう少し文化功労者年金を差し上げる方の幅を広くしたらどうかという点が先ほど来議論になっておりましたね。これには審査委員の選考の過程でもいろいろ問題があろうかと思いますが、私が調査をいたしました点では、現在百十八名の文化功労者年金をいただいていらっしゃる方の種類——種類と申し上げると大変失礼かもしれませんが、自然科学の方が四十八人、それから人文科学の方が二十名、それから文学の方が十五名、それから美術その他という点で三十八名ですね。そこへけさほど来からの御答弁によりますと、スポーツ関係では平沼亮三さんとかあるいは三船久蔵さんですか、あの柔道の十段の方ですね。あるいはマナスル登山をされた槇さん、それから映画で水谷八重子さんとか、杉村春子さんはこの間指定されたわけですが、こういう方をいろいろ拾ってみますと、いわゆる文化功労者年金というのに自然科学とか人文科学とか、あるいは美術、そういったような方が非常にウェートが大きいわけですね。ですから、その幅をもう少し広げるようにというのが、先ほど来の御質問の中にあったと思いますが、その中でいわゆる大衆文化向上に相当努力をされた中に囲碁とか将棋とか、こういう方もいらっしゃるわけです。こういう方もこれから対象にされてはいかがかと、こう思うわけですが、それについてはやっぱり選考委員といいますか、審査委員、そういうところに相当変わった方もお入れする必要があるんじゃないか、それでなければいわゆる文化というものが自然科学であったり、人文科学であったり、いろんなことになってしまうわけですね。その辺でこれからの審査委員の選考過程においてもう少し幅を広げていただいたらどうであろうか、このように思うわけですが、さらに、私の存じあげている中では、まあスポーツといえば平沼亮三さんと、こういうことになるかもしれませんが、そうではなくて隠れたところで青少年の心身の育成のために自分の私財も投げ出して、自分の事業もアルバイト的になってしまって、青少年の指導のために一生をささげていらっしゃる、こういう人もいらっしゃるし、それからまた、この間伺ったところでは、これは女性に大いに関係があるのですが、刺しゅうを教えていらっしゃる先生、この方が、日本政府がやらないからということで台湾にまでわざわざ出かけて、刺しゅうというのはアルバイトみたいなもんで、むしろ日本から台湾の方の奥さんになっていらっしゃる、そういう奥様方を行ってお慰めをしたりごちそうをして差し上げたり、日本お話をしながら片一方では楽しみということで刺しゅうを教えていらっしゃる、こういうようないろんな方がいらっしゃるわけですよ。私いま例としては二つ、三つ申し上げただけですけれども、こういうふうに、ずいぶんいわゆる大衆文化といいますか、そういうものに貢献をされた方があちこちにいらっしゃるのに、先ほど申し上げましたように、自然科学は四十八人であったり、人文科学が二十人とか、こういうふうにウエートが相当偏っている。この辺をこれからもう少し、選考委員の選考をする過程において幅を広げていただきたい。このことを申し上げておきたいと思いますが、その点でお答えをいただいて質問を終わります。
  99. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 文化というこの観念といいますか、これは非常に幅が広いですから囲碁、将棋、刺しゅう、まあいろいろのものが入ってき得るわけです。先ほどから申し上げましたように、私は大衆の文化に貢献された方を含めていくということは非常に大事だと思いますが、諸外国の例を見ましても、やはりある種の賞というものは、特に文化の場合、そう全般にわたるというのでなくって、やはりある種の特色が出てきているのが、事実であるように思います。わが国の文化功労者の場合、栄誉に対して年金を差し上げているわけですが、これはやはり相当専門的な学術芸術の方がいままで多かった。これをがらっと変えてしまうということは、かえって混乱を招くんではないだろうか。そうしますと、ほかにいろいろな勲章の受章というようなこともあるわけです。そういうふうな方でも考えていただくという形で、いまの大衆文化への貢献者の問題もやはり対処していくべきではないだろうか。スポーツ関係者で申し上げますというと、これは叙勲の受章者というものが大体相当の数毎年選ばれております。昭和五十年度は二十八人でございますが、四十九年は四十八人、それから先ほどお話が出ました囲碁、将棋の関係者も昭和四十一年から今日までに六人選ばれております。また、そのほか紫綬褒章の受章者にスポーツ関係者が昭和三十年以来三十六人、囲碁、将棋関係者が八人というようなことでございまして、こういうほかの賞というものでも大衆文化への貢献者に賞を与えていただくというのと、それからこの文化功労者の今後のあり方というものを、相互に、お互いに助け合いながら、眼目といたしますところは、先生おっしゃいますように国民文化向上でございますから、やはり文化功労者の持っているいままでの伝統的特色というものは維持しながら、そして同時に全体のことを考えていくべきだ、かように考えております。
  100. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 御異議ないと認めます。  加藤君から委員長の手元に修正案が提出されております。  この際、本修正案を議題といたします。  加藤君から修正案の趣旨説明を願います。加藤進君。
  102. 加藤進

    ○加藤進君 私は日本共産党を代表して、文化功労者年金法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明いたします。  案文はすでに委員各位のお手元に配付されておりますので、その朗読は省略させていただきます。  修正の趣旨は、原案において文化功労者年金の額を政令で定めることとしているのを、議会制民主主義を守り国権の最高機関である国会審議を重視する立場から、現行のとおり法律で定めることとし、年金額経済的諸事情の推移を勘案して二百万円から二百四十万円に引き上げることとするものであります。  以上が修正案の趣旨であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  103. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、加藤君提出の修正案を問題に供します。  加藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  105. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 少数と認めます。よって、加藤君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  106. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十一分散会      —————・—————