○国務大臣(永井道雄君) 三点について御
質問があったと考えますので、順次お答え申し上げます。
第一に、三十二年の
通達があるが、そのほかになぜ一〇・四
通達が必要であるかということでございますが、三十二年の
通達というのは、
内申を待って
行政を行えというのでございまして、これは通常の状態、そして一〇・四の
通達というのは、まことに異常なる
事態における場合というのでございますから、これはやむを得ざることでありますが、そういう
事態のものでありまして、特にこの際申し上げておきたいことは、それは決して
市町村教育委員会の正当なる
行政の機能というものを
都道府県教育委員会が剥奪してよろしいというような意味合いでないことは申すまでもないわけでございます。
第二点、
福岡県におきまして政争というものがあるからそういうものを模範と考えたりしてはいけないのではないか。私はあえて
福岡県というものだけを取り出して議論をいたしたくないと考えますのは、実は各地におきましてやはり政争というものが
教育に反映したということについて疑いを持つ人は少ないのではないだろうか。ただし、そのことは人々がそうなることを喜んでやったというのではなくて、善意の
努力をいたしまして、それはいろいろのところで善意の
努力がありましたが、にもかかわらずそのような状況になった。そこで、今後は
教育の中立性というものを守っていくために各都道府県において
努力するでありましょうし、また、私たち
文部省はそれと
協力するということでございます。
次に、
福岡において多くの
処分があり、またそれほど
処分のないところもあるではないか、この
処分というふうなものをどう考えるかというお言葉でございますが、
処分というものだけを切り離して考えることはできませんのは、
ストライキというものがありますと
処分があるわけであります。そこで問題は、私は昨日も槙枝
委員長とお話しをしたわけでありますが、
ストライキというものがなくなることが望ましいし、また、われわれ
行政当局にあります者は、
ストライキがなくなるような状況をつくるべく全力を挙げなければいけない。私
自身も教師でございましたが、これはだれしも記憶しておりますように、高度経済成長期において教師の、教員の待遇というものがよくなかった。そこでこれをよくすべきということがまず第一のことでございます。これについてある
程度の成果というものは上がってきたというふうに私は認識しております。しかし、教員は待遇だけで生きるのではなく、やはり
教育という問題についての生きがいを感じるということが非常に大事でございますから、さまざまに異なる
意見があるにせよ、これは必ずしも日教組だけでなく他のいろいろの団体もありますが、それと
文部省、またその団体相互間におきまして、
教育について、
自分たちについて考えるよりも、学びつつある子供の
立場に立ちまして、共通に
教育の問題を議論し、そして内容を深めていくように私は微力ながら就任以来多少は
努力をしてまいったつもりでございます。こういう姿でわれわれは
ストライキをなくしていく条件をつくり上げる、そうするならば、
処分の問題を考えることがなくなるではないか、かように考えて私は日日の仕事に当たっておりますので、
処分をどうするかというお言葉に対する答えとしては、相互
関係にありますところの
ストライキと
処分の
関係を申し上げ、そしてわが国の
教育というものは、これは私個人の力ではなく、私は国民の中にある多数の人々、その人たちの願うところはきわめて充実した
教育というものを争いなく深めていこうとするそうした潜在力があるに違いないということを信じて日々の仕事に当たっているということを申し上げまして私の答弁といたします。