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政府委員(澤邊守君) 飼料の
品質改善に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、
提案理由を補足して御
説明申し上げます。
本
法律案を提出いたしました
理由につきましては、すでに
提案理由において申し述べましたので、以下その
内容につき若干補足させていただきます。
第一は、題名の
改正及び定義
規定の整備であります。
題名につきましては、今回飼料の安全性確保のための
制度を充実したことに伴い、「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する
法律」に改めることとしております。
次に定義
規定の整備でありますが、飼料の範囲につきましては、現行法は農林大臣の個別指定によりその範囲を画することとしておりますが、飼料の種類が多様化し、かつ、その需給の規模が膨大なものとなっている現状では、現在のような農林大臣の指定制によっては、適切、迅速な対応が期しがたいものと
考えられますので、家畜、家禽その他の動物で一定のものの栄養に供することを
目的として使用される物を本法上の飼料と定義し、これにより本法の適用対象を
拡大することとしたものであります。また、飼料添加物については、飼料の品質の低下の防止等一定の用途に供することを
目的として飼料に添加、混和、浸潤その他の方法によって用いられる物で農林大臣が指定するものを本法の飼料添加と定義し、これを本法の
規制対象に加えることとしたものであります。
第二は、飼料または飼料添加物の製造の方法等の基準及び成分の規格を定めることができる
制度の新設であります。最近、畜産物を通じての有害物質による人の健康への
影響の問題、抗生物質を初めとする飼料添加物の家畜体内での残留性の
問題等が取り上げられ、これらの問題の防止に対する社会的要請が高まってきております。これらの問題を未然に防止するため、農林大臣は、飼料の使用が原因となって有害畜産物が生産されることを防止し、または家畜等に被害が生ずることにより畜産物の生産が阻害されることを防止する
見地から、農業資材
審議会の意見を聞いて、飼料もしくは飼料添加物の製造、使用、保存の方法もしくは表示につき基準を定め、または飼料もしくは飼料添加物の成分につき規格を定めることができることとし、この場合には、当該基準に適合しない方法によって飼料または飼料添加物を販売の用に供するために製造し、または使用すること等の行為をしてはならないものとしたものであります。
また、この規格が定められた飼料または飼料添加物のうち、その使用等が原因となって、有害畜産物が生産され、または家畜等に被害が生ずることにより畜産物の生産が阻害されるおそれが特に強いと認められる一定のものについては、
農林省の機関または農林大臣が指定した者が行う検定を受け、当該飼料もしくは飼料添加物またはその容器もしくは包装に、これに合格したことを示す表示が付されているものでなければ、これを販売してはならないものとすることとしております。
なお、これらの基準及び規格の設定を初めとして、以下に申し述べますこの
法律の主要な
措置の実施に関しましては、必要に応じ厚生大臣が意見を述べまたは要請を行うことができる旨明らかにし、公衆衛生の
見地との
調整にも配慮することといたしております。
第三は、有害な物質を含む飼料または飼料添加物等の販売を
禁止することができる
制度を新設したことであります。その製造、販売等の過程で事故等により有害な物質が混入した飼料もしくは飼料添加物の使用等または使用の経験が少ないため、有害でない旨の確証がないと認められる飼料の使用等が原因となって有害畜産物が生産されることを防止するため、農林大臣は、農業資材
審議会の意見を聞いて、製造業者、
輸入業者または販売業者に対し、当該飼料または当該飼料添加物の販売を
禁止することができることとしたものであります。
第四は、有害畜産物の生産の防止のための
措置に違反した飼料または飼料添加物の廃棄、回収等必要な
措置をとるべきことを命ずることができる
制度の新設であります。これは、第二の基準または規格に適合しない飼料または飼料添加物及び第三の販売
禁止に係る飼料または飼料添加物を製造業者、
輸入業者または販売業者が違法に販売した場合の対応
措置として、農林大臣は、必要な限度で、当該製造業者、
輸入業者または販売業者に対し、当該飼料または当該飼料添加物の廃棄回収等実害の発生を回避するために必要な
措置命令をすることができるものとしたものであります。
第五は、飼料製造管理者の設置を義務づける
制度の新設であります。これは、第二により製造方法についての基準の定められた飼料または飼料添加物のうちには、その基準設定の
趣旨にかんがみ、製造業者の側においても、特別の注意を払い、適正な製造管理を行うことが必要と
考えられるものがありますので、その一定の飼料または飼料添加物の製造業者に対し、その事業場ごとに一定の水準以上の知識経験を有する飼料製造管理者を置かせ、その製造を実地に管理させることとしたものであります。
第六は、飼料の公定規格
制度の改善であります。従来の公定規格は、飼料の種類ごとに粗たん白、粗脂肪、粗繊維、粗灰分の四成分のバランスを示したものでありますが、今回この四成分のほかに可消化養分総量、可消化粗たん白質、リン、カルシウムの項目を新たに加え、公定規格の
内容を最近における飼養管理技術の進展等に対応したものとすることにしております。またこれに関連いたしまして、公定規格に適合しているか否かを判定するための検査の方法、頻度、さらにその判定の効力の存続期間等を飼料の実態に即応したものとする必要があるため、従来の登録
制度にかえ、公定規格が定められている種類の飼料について
農林省の機関または農林大臣が指定した者が公定規格の適合の有無に関する検定を行い、これに合格したときは公定規格に適合していることを示す公定規格適合表示を付することができるものとしたものであります。
第七は、飼料の栄養成分に関する表示
制度の拡充であります。従来は、貝がら粉末、わら粉末等増量材的に用いられるおそれがあるものを除き、登録飼料についてのみ、その名称、用途、成分量等一定の事項の表示が義務づけられておりましたが、今回表示義務の対象を
拡大し農林大臣は、栄養成分に関する品質を識別することが必要な飼料についてはすべて、その名称、用途はもちろん従来の四成分のほか、可消化養分総量、可消化粗たん白質等の栄養成分量、原料または材料の名称その他必要な事項等について表示の基準となるべき事項を定めることとしたものであります。
また、農林大臣は、表示事項を表示しない等表示に関する
規定に違反した製造業者、
輸入業者または販売業者に対し、表示事項を表示すべきこと等を指示し、その指示を守らない者があるときは、その旨を公表することができることとしております。
第八は、指定検定機関の
制度の新設でありまして、第二または第六による検定は、
農林省の機関のほか、農林大臣が指定した者が行うこととしていますが、この指定は検定を行おうとする者の申請に基づき行うものとするとともに、指定に際しての欠格条項、指定の基準、その指定を受けた者である指定検定機関の届け出事項、指定取り消し事由等所要の
規定を整備することとしております。
以上のほか、製造業者等の届け出
制度、罰則等に関し所要の
規定の整備を行うこととしております。
なお、この
法律の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において、別途
政令により定めることとしております。
以上をもちまして飼料の
品質改善に関する
法律の一部を
改正する
法律案の
提案理由の補足
説明といたします。