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鶴園哲夫君 もう
一つ申し上げておきますが、この
農業会議所が発表しました中核
農家三千七百七十七名は初めての調査だと思うのですが、
農林省やってないわけですから。初めての調査で出たこの中核
農家三千七百七十七名の意向を調査するというと、
規模拡大を望む者は三六%で、あとは現状維持、これじゃあどうにもならぬという私は感じがするんですね。三六%が
規模拡大、あとは現状維持。
規模拡大はどういう方向で望むのかということについては、土地を買い入れによってやりたいというのが四〇%、あと、借地、請負、協業、こういうものによって
規模拡大をしたいというが一〇%です。
——私はいまある
資料の中から言えることは、これから後、展開しますけれども、借地
農業という形のものでは、これはせいぜい一〇%です。これしかないと思うのです、いま新しい調査というものは。それを見ると、
規模拡大したいというのは三六%で、あとは現状維持。で、
規模拡大したい者はどういう方法で
規模拡大したいかといえば、買いたいというのが四〇%、借地や請負やそれから協業という形で規模を拡大したいというのが一〇%。借地
農業でやりたいというのは一〇%です。
そこで、次に移りますが、この担い手論については私はどうもはっきりしませんので、
農林省としまして、りっぱな統計情報部を持っていらっしゃるわけですから、すみやかに調査をやられて、私が言うようなものではないというふうにしてもらいたい。私はどうも大変疑問を抱いている。先ほど若干の官房長の
説明がありましたけれども、にかかわらず、私としては大変に疑問を抱いておりますので。
そこで、続いてもう
一つだけこの
農業基本法について伺いたいのですが、これからの
農業の近代化というのが
農業基本法の至るところに充満しております。近代化ということがちりばめられてあるわけです。それは
一つは、経営の
規模拡大、そして機械化、もう
一つは
選択的拡大、そしてそれは単一作物集中、これは近代化だと。これは
農政の柱となって展開をされてきたわけですが、一体それはどうなっているのか。経営
規模拡大の問題については先ほど申し上げたとおり。単一化の問題については非常に大きな問題があるんじゃないかというふうに私は思っております。
そこで、
農業の担い手として登場いたしましたこの中核
農家について今度の
農業白書、この間出ました
農業白書の中でこの中核
農家を推定しておるわけですね。これは
農家経済調査から推定したわけですからこれ危ないんですが、
農家経済調査というのは五百万戸の
農家の中の一万戸とっているんですから、その中からの推計ですから、まあ若干危ない点もありますけれども、しかしいま中核
農家というのはその中から選んだんでしょう。その中から選んで見たところが一部門の経営、酪農なら酪農だけと。一部門の経営で
農業粗収益の八割が一作物だけだ、という
農家は三割だと言うんですね。そして、二部門以上の経営、二作目以上の経営というのが七〇%だ。その七〇%の中の四五%というのが二部門であって、五五%というのは三部門の経営だと、こういう言い方なんですよね。それで、これ見ますというと、一部門というのは酪農とか果樹とかそれから蔬菜、園芸というやつだと思うんですね。そうすると、これは二部門、三部門以上経営という形になっておるわけですね。ですから私は、
選択的拡大、経営規模の拡大、機械化、そして一作物集中という
やり方はごく一部においては
意味を持っておるけれども、それ以外については
意味なくなっているんだという感じがしますね。しかもこれは、いま
農業経営の
立場から言って非常に大きな問題になっているんですね。再
検討すべきという
段階に来ているんじゃないでしょうか。それから、
農業基本法というのは、これはもうどうにもこうにもならなくなっちまっていると、そのねらいとしては。これは先ほど申し上げたように、経営規模の拡大、そしてそれは機械化、そして
選択的拡大ということで、一作物集中主義。これはもう余り
意味ないようになっちゃっているんじゃないかというふうに思うし、ここでこの
程度でとどめまして、何か答弁ありましたら伺ってもいいですが、どうでしょうか……。
私は、
農業経営というのはやっぱりあんな畑や田んぼが遊んでおっちゃいかぬと。工場の機械が半年遊んでいるというようなことで、
農業経営が成り立つわけないし、さらにそこに働いている
農業者が通年働けるというような態勢をつくらにゃいかぬ、これが
農業じゃないか、こう思うんですね。ところが、
農林省が進めたのはそうじゃなかったですね。単一作物で機械化ですから。これはあなたね、百五十日働けなくなっちゃっているんです。だから出かせぎ出たくなるでしょう。逆に言えば出かせぎの方から吸収されちゃってそうなったとも言えるし、だからむちゃくちゃな
状態に
農業をしちまったんじゃないか、
農林省は。私はそう思っているわけですよ。ひどいことになっちゃったと。ですから、何か昔、適正規模という論議が行われたことがあるんですが、そのときのやはり問題は、生産力を高めるということ、それから家族の労働というのが消化されるということ、通年労働ができるということ、そして
農家は
農業として
一つの完結した形ができるということだったと思うんですよ。いま
農家へ行ってみますとそうじゃないですものね。しかし頑強に残っているのはやはり複合経営で、そして経営としては自己完結型のものになっている。通年作業ができる、そして厩肥ができていく、こういう形の
農業というのが、
農林省はそんなものは無視してやってきたんだけれども、それだけが残っているんですね。全然逆のものが残っている。
農業基本法がねらったものとは逆のものが残っている。
農業基本法がねらったものは加工産業、畜産の
関係が若干出ている。それから施設園芸が出ただけのことであって、後の
農業なんていうのはそんなものでなくなっちゃっている。そういうものでないはずですね。
農林省というのはどうもここらあたり根本的に変えにゃいかぬと思うんです。
そこで、これは一応ここでおきまして、農振法の問題について私、ちょっと伺いたいんです。農振法の問題について、もう時間がなくなりましたが、まず第一に伺いたいのは、
農林省が出しました四十九年の十一月末、これは五年で終わることになっておったわけですから、四十九年の三月で終わった形になっているわけですが、
資料としては四十九年の十一月の
資料が出ておりまして、その中で知事の指定が三千二十四、市町村長の
整備計画が二千九百七十二、それから知事の
整備計画が二百二という数字が出ておるわけです。その中で市町村長の
整備計画で二千九百七十二個所に出ているわけですが、その中で農用地区域の面積、これについて聞きたいわけです。四百四十一万ヘクタール。で、四百四十一万ヘクタールというのがこれからの
農政を集中的にやっていく地域になるわけですが、それで、いま四十九年で耕地面積は五百六十一万ヘクタール、それが四百四十一万ヘクタールに指定されるわけです。ここに集中的に
農業が行われていくということになるわけです。そうすると、その差が百二十万ヘクタールほど小さくなるわけです。もちろんこの中には都市計画法によりますところの市街化区域約三十万ヘクタールと言われておりますが、それが入りますから、ですからそれ引かなきゃなりませんが、九十万ヘクタールぐらいになると思いますが。そうしますと、いまは五百六十一万ヘクタールという耕地面積があるが、これが今後十年懸命に施策を集中するところが四百四十一万ヘクタールということになりますというと、後の百二十万ヘクタールというものはどんどんこれから衰微していかざるを得ない。
農業としては成り立たなくなるという傾向になるのが必然的なことになってくるだろうと思うんですね。そうすると、その四百四十一万ヘクタールというものでこれからおやりになろうというふうに
考えていらっしゃるのかどうかという点ですね。